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Title (1)学長奨励研究助成成果報告 Journal 歯科学報, 115(6): 505

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Title (1)学長奨励研究助成成果報告 Journal 歯科学報, 115(6): 505
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(1)学長奨励研究助成成果報告
歯科学報, 115(6): 505-516
http://hdl.handle.net/10130/3912
Right
Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College,
Available from http://ir.tdc.ac.jp/
505
平成26年度
東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ
研究成果報告
⑴学長奨励研究助成成果報告
① 抗菌性,耐食性を有するチタン合金による
合金の変色が起こりうる可能性を示唆している。こ
れまでの研究において,チタンやチタン合金の腐食
新規インプラントの創製
や変色は,齲蝕予防剤に含まれるフッ化物や歯質漂
歯科理工学講座
武本真治
白剤や義歯洗浄剤に含まれる過酸化物によって引き
起こされ,その変色および腐食機構としてチタン表
1.研究背景
面の不動態被膜の破壊または厚い酸化膜の形成が
インプラント治療は,骨への早期に維持・固定さ
原因であることが報告されている10,11)。しかしなが
れることが望まれているために,オッセオインテグ
ら,その硫化物による変色機構の詳細は明らかにさ
レーションの促進が求められてきた。オッセオイン
れていない。
テグレーションの促進の研究として,インプラント
本研究では,細菌感染によるチタン合金への腐食
材のチタンやその合金へのリン酸カルシウムのコー
挙動を明らかにするとともに口腔内で優れた耐食性
1)
2)
ティング ,表面酸化処理などの表面改質法 ,骨造
を示すチタン合金の創製を目的とした。本報告で
成促進因子の固定などが多く検討されてきた。しか
は,硫化物溶液への静的浸漬試験によるチタンおよ
し,歯科インプラント治療を成功させるためには,
びチタン合金の変色挙動を明らかにし,その表面分
顎骨に埋入したインプラントボディ部位でのオッセ
析に基づく腐食機構について議論する。
オインテグレーションの獲得のみならず,長期的に
2.研究の方法
咬合機能を維持するためにインプラントが顎骨に維
持されることが重要である。
本研究では,まず,硫化物によるチタンやチタン
合金の in vitro における腐食挙動について検討した。
埋入したインプラントを撤去する原因としてイン
3)
純 チ タ ン(JIS2種:TI)
や チ タ ン 合 金(Ti-6Al-4
プラント周囲炎が挙げられている 。このインプラ
V:TAV,Ti-6Al-7Nb:TNB,Ti-20Cr:TCR,
ント周囲炎は細菌感染によるものであり,その細菌
6Zr:TNTZ)
を 準 備 し,通 法 の 金
Ti-29Nb-13Ta-4.
は歯周病原性菌と一致している。そのような細菌感
属の研磨手順にしたがって,#320~#1200の耐水
染に加えて摩耗が起こるような環境にチタン合金が
研磨紙で研磨した後,ダイヤモンドスラリーまたは
曝されると,その腐食が進行することが報告されて
コロイダルシリカによりバフで研磨することにより
4)
いる 。一方,インプラントが口腔内で破折した症
鏡面にまで仕上げた。研磨後,アセトンおよび蒸留
例では,その破断面に腐食生成物が認められてい
水中で5分間超音波洗浄を行った。硫化物を含む溶
5)
る 。これは炎症環境でマクロファージが活性化さ
(Wako)
を0.
013mol/L,0.
05mol
液 は,Na2S-9H2O
れ,生成した過酸化物により腐食される可能性が示
10mol/L となるように超純水に溶解させて
/L,0.
唆されている6-8)。これらのことから,細菌感染は
3~12.
5とアルカリ性を
準備した。溶液の pH は11.
口腔内で劣悪な環境を導くばかりか,インプラント
示していた。鏡面研磨した純チタンおよびチタン合
や補綴装置の破折を誘引することが危惧され,その
金をポリスチレン製容器の底に置き,溶液20mL を
対策が必要である。
注いだ後,37℃に保持した恒温槽中に種々の期間静
近年,吉田らは硫化物を含む溶液中にチタン合金
置した。浸漬期間は,3,6,12,24,72時間とし
を浸漬すると変色が認められることを報告してい
て,低濃度の硫化物を含む溶液中では7日間(168時
9)
る 。このことは,口腔内での口臭の原因物質とさ
間)
まで浸漬した。種々の期間経過した後,試料を
れる微生物の硫化物を含む代謝物質によってチタン
溶液から取り出し,色彩,光沢,表面形状および表
― 1 ―
506
東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ
面性状を調べた。
浸漬前後の試料の色彩は色彩計(MCR-A,Luck
Office)
で,光沢度は光沢度計(GM-26D,Murakami
Color Research Laboratory)
で調べた。変色程度は
色彩から下記の式を用いて色差(ΔE*ab)
を算出して
評価した。
2
2
2 1/2
+(bt-b0)
+(Lt-L0)
)
ΔE*ab=(
(at-a0)
(at,bt,Lt:種々の浸漬期間での値,a0,b0,L0:
浸漬前の値)
浸漬した試料の表面 観 察 は 電 界 放 出 型 走 査 型
により 観
電子顕微鏡(FE-SEM:SU6600,Hitachi)
察した。表面性状の分析には,X線光電子分光分
析(XPS:Axis-Ultra,Shimadzu-Kratos),および
オ ー ジ ェ 電 子 分 光 分 析 装 置(AES:JAMP-7100,
JEOL)
を用いて行った。
図1
超純水および0.
10mol/L Na2S を含むアルカリ性溶液
に浸漬した純チタンの色差(ΔE*ab)
の経時的変化
図2
超純水および0.
10mol/L Na2S を含むアルカリ性溶液
に24時間浸漬した純チタンおよびチタン合金の色差(ΔE
*ab)
TI:Commercially pure titanium
(Grade 2)
TAV:Ti-6Al-4V,TNB:Ti-6Al-7Nb
6Zr
TCR:Ti-20Cr,TNTZ:Ti-29Nb-13Ta-4.
3.結果および考察
経時的変色の調査
純チタン(TI)
を用いて,硫化物を含むアルカリ
10mol/L の Na2S 水溶液)
に浸漬し,その
性溶液(0.
変色を経時的変化を図1に示す。対照試料として,
硫化物を含まない超純水(MQ)に浸漬した TI の ΔE
*ab を調べた。MQ に72時間浸漬した TI では視覚
4であった。
的な変色は認められず,ΔE*ab 値は1.
0.
10mol/L の Na2S 水 溶 液 に 浸 漬 し た TI の ΔE*ab
値は浸漬時間が長くなるにしたがって増加した。さ
らに,硫化物を含むアルカリ性水溶液に7日まで浸
漬すると,TI の ΔE*ab 値は僅かに減少した。光沢
度を測定した結果,浸漬期間が長くなるにしたがっ
10mol/L の Na2S 水溶液に浸漬し た TI で は
て,0.
減少が認められた。したがって,硫化物を含むアル
カリ性溶液中では TI の変色の進行とともに,光沢
度が低下することが明らかになった。
10
硫化物濃度による変色程度を確認するため,0.
mol/L Na2S より硫化物濃度の低い溶液(0.
05mol/
013mol/L)
への浸漬試験を行った。硫化物濃
L,0.
TCR,TNTZ)を0.
10mol/L の Na2S 溶液に24時間
度が低いほど TI の変色程度は小さく,また光沢度
浸漬し,その変色程度および光沢度を評価した。図
の減少も小さいことが明らかになった。このことか
2に各種チタン合金の変色程度を示す。TAV およ
ら,チタンの変色および光沢度は,硫化物溶液への
10mol/L の Na2S 溶液に 浸 漬 す る
び TNB では,0.
浸漬期間および硫化物濃度に依存していることが明
ことにより TI 同様に ΔE*ab 値が大 き く,変 色 が
らかになった。
認められた。一方で,TCR と TNTZ では硫化物を
チタン合金の種類による耐変色性の違い
含むアルカリ性溶液に浸漬しても ΔE*ab 値が小さ
TI の 他 に4種 類 の チ タ ン 合 金(TAV,TNB,
かった。光沢度においても,TAV および TNB で
― 2 ―
歯科学報
Vol.115,No.6(2015)
507
は大きな低下が認められたが,TCR および TNTZ
sputtering for producing ceramic coatings on im-
では低下はほとんど認められなかった。これらの試
plant materials. Clin Oral Implants Res, 4⑴:
料の表面を FE-SEM で観察したところ,変色程度
28-34,1993.
が小さかった試料では浸漬前の試料と同様であった
2)Buser D, Broggini N, Wieland M, Schenk RK,
が,変色程度の大きかった試料ではナノメートルレ
Denzer AJ, Cochran DL, et al. : Enhanced bone
ベルの網目構造が認められた。これらのことから,
apposition to a chemically modified SLA titanium
硫化物を含むアルカリ性溶液に浸漬したチタンおよ
surface. J Dent Res, 83⑺:529-533,2004.
びチタン合金は表面が粗糙になることにより,光沢
3)Esposito M, Hirsch JM, Lekholm U, Thomsen
度の減少が引き起こされるとともに変色していると
P:Biological factors contributing to failures of
考えられる。
osseointegrated oral implants. Ⅱ. Etiopathogene-
表面分析による変色機構の解明
sis. Eur J Oral Sci, 106⑶:721-764,1998.
X線光電子分光分析(XPS)
により,超純水および
4)Souza JC, Henriques M, Oliveira R, Teughels
10mol/L Na2S)
に
硫化物を含むアルカリ性溶液(0.
W, Celis JP, Rocha LA:Do oral biofilms influence
浸漬した TI の表面分析を行った。いずれの TI 表
the wear and corrosion behavior of titanium?
面からも炭素,酸素および微量の窒素が検出された
Biofouling, 26⑷:471-478,2010.
5)吉成正雄:歯科インプラントの現状と展望.生
が,硫黄は検出されなかった。Ti2p および O1s
体材料,20⑹:408-417,2002.
XPS スペクトルを詳細に分析したところ,超純水
に浸漬した TI の Ti2p スペクトルには454eV 付近
6)Mu Y, Kobayashi T, Sumita M, Yamamoto A,
に Ti0の金属状態に帰属されるピークが認められた
Hanawa T:Metal ion release from titanium
が,硫化物を含むアルカリ性溶液に浸漬した TI に
with active oxygen species generated by rat
は認められなかった。
macrophages in vitro. J Biomed Mater Res, 49
⑵:238-243,2000.
一方で,オージェ電子分光分析(AES)
により,
表面からの深さ方向の組成を分析したところ,超純
7)Messer RLW, Tackas G, Mickalonis J, Brown
水に浸漬した TI と比較して,硫化物を含むアルカ
Y, Lewis JB, Wataha JC:Corrosion of machined
リ性溶液に浸漬した TI では酸化物層の厚みが深部
titanium dental implants under inflammatory
にまで及んでいることが明らかになった。これらの
conditions. J Biomed Mater Res B Appl Bioma-
ことから,硫化物を含むアルカリ性溶液に浸漬した
ter, 88⑵:474-481,2009.
8)Lin HY, Bumgardner JD:In vitro biocorro-
チタンは酸化が進行し,その厚みが増加しているこ
とが明らかになった。
sion of Co-Cr-Mo implant alloy by macrophage
4.謝
cells. J Orthop Res, 22⑹:1231-1236,2004.
辞
稿を終えるにあたり,本研究に際してご指導・ご
9)Yoshida T, Aoki H, Yoshida K, Irie N, Mu-
助言いただきました歯科理工学講座の吉成正雄教
rayama D:Color and Weight Changes of Tita-
授,小田
豊名誉教授,河田英司主任教授に深謝致
nium and Titanium Alloys Immersed in Various
します。また,研究分担者として協力いただきまし
Solutions Containing Sodium Sulfide. J Jpn Soc
た歯周病学講座・衣松高志講師,口腔インプラント
Dent Products, 12;23⑵:10-19,2009.
学講座・佐々木穂高講師,一部の実験の遂行を担っ
10)Noguchi T, Takemoto S, Hattori M, Yoshinari
てくれた歯科理工学講座・原田麗乃大学院生に感謝
M, Kawada E, Oda Y:Discoloration and dissolu-
致します。
tion of titanium and titanium alloys with immersion in peroxide- or fluoride-containing solutions.
文
Dent Mater J, 27⑴:117-123,2008.
献
1)Jansen JA, Wolke JG, Swann S, Van Der Waer-
11)Takemoto S, Hattori M, Yoshinari M, Kawada
den JP, De Groot K:Application of magnetron
E, Oda Y:Discoloration of titanium alloy in acidic
― 3 ―
508
東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ
saline solutions with peroxide. Dent Mater J, 32
いて,単一象牙芽細胞に対する細胞膜直接機械刺激
⑴:19-24,2013.
を行った。ガラス微小管を細胞表面の直上から,マ
2μm/秒の速度
イクロマニュピレーターを用いて2.
3,8.
5,12.
5μm を垂直に移動させることで
で,4.
② 象牙芽細胞間情報伝達機構の解明
直接機械刺激を行った。機械刺激に対する象牙芽細
胞の応答はカルシウム蛍光指示薬である fura-2/
生理学講座
佐藤正樹
AM を用いて二波長励起による細胞内カルシウムイ
の変化を同時系列で多細胞から
オン濃度(
[Ca2+]
i)
1.序
記録した。また[Ca2+]応答と細胞間距離の関係に
i
論
歯髄最外層,象牙質直下に位置する象牙芽細胞
は,様々な侵害刺激を受容する細胞膜タンパク質で
ついても検討した。
3.結
果
ある transient receptor potential
(TRP)
チャネルを
象牙芽細胞に直接機械刺激を加えると,
[Ca2+]が
i
機能的に発現している感覚受容細胞である1-8)。エ
一過性に増加した。一方,カプサイシン感受性のあ
ナメル質の欠損,齲蝕,歯の切削や歯肉退縮により
る TRP vanilloid subfamily member 1
(TRPV1)
象牙質が露出すると,象牙質表面に様々な侵害刺激
チャネルの阻害剤であるカプサゼピンは,機械刺激
(酸・アルカリ,熱・冷,浸透圧,化学物質など)
が
誘発性[Ca2+]増加を有意に抑制した。また細胞外
i
加わる。侵害刺激は象牙細管を満たす象牙細管内液
カルシウムを除去すると機械刺激誘発性[Ca2+]の
i
を口腔側へ移動させ(動水力学)
,象牙細管内に細胞
一過性増加は消失した。加えて直接機械刺激した象
突起を持つ象牙芽細胞の細胞膜を変形する。象牙芽
牙芽細胞の[Ca2+]
i が増加するだけではなく,刺激
細胞の細胞膜の変形は機械刺激感受性 TRP チャネ
象牙芽細胞に接触せず周囲に存在する近傍象牙芽
ルで受容され,歯髄に分布する感覚ニューロンに情
細胞においても[Ca2+]が増加した。一方でヒト胎
i
報伝達が生じることで象牙質痛が発生すると考えら
児由来腎臓細胞(human embryonic kidney cells;
9-11)
。また細胞内に流入したカルシウムイ
に対して同様の直接機械刺激を行っ
HEK293 cells)
オンはナトリウムイオン-カルシウムイオン交換体
たところ,刺激された HEK293 cells では[Ca2+]が
i
(Na+-Ca2+ exchanger:NCX)によって細胞 外 へ 積
増加したが,近傍 HEK293 cells では[Ca2+]増加は
i
極的に排出されることで,象牙質刺激に伴う反応性
みられなかった。次に細胞からの ATP 放出に関
象牙質が形成される。
与 す る pannexin-1の 阻 害 剤 で あ る mefloquine の
れている
歯を含む硬組織の形成では,細胞間連絡による
効果を検討した。Mefloquine は刺激象牙芽細胞の
協調的細胞機能調節が重要であると報告されてい
[Ca2+]増加には影響しなかったが,近傍象牙芽細
i
る12)。象牙芽細胞間にはギャップ結合を介した電気
胞の[Ca2+]増加を濃度依存的に抑制した。機械刺
i
的細胞間連絡が報告されている13-16)。また,象牙芽
激細胞から放出された ATP を受容する細胞膜タン
細胞には G タンパク質共役型 ATP-ADP 感受性ホ
パク質を明らかにするために,P2Y 受容体と結合
スホリパーゼ C(PLC)
結合型ヌクレオチド受容体の
し,細胞内 inositol trisphosphate(IP3)生成に関与
17)
機能的発現が報告されているが ,詳細な象牙芽細
する phospholipase-C(PLC)
の阻害剤である U73122
胞機械刺激による細胞間の連絡機構のメカニズムは
の 効 果 を 検 討 し た。U73122は 刺 激 象 牙 芽 細 胞 の
まだ明らかにされていない。そこで単一細胞への直
[Ca2+]増加には影響しなかったが,近傍象牙芽細
i
接機械刺激を行った時の象牙芽細胞間における情報
胞の[Ca2+]増加を濃度依存的に抑制した。
i
伝達機構を検討した。
4.結
2.方
論
象牙芽細胞は機械感受性 TRP チャネルを介し
法
象牙芽細胞の継代培養細胞であるマウス由来象牙
18,
19)
芽細胞系細胞(odontoblast lineage cells,OLC)
の細胞膜にガラス微小管(先端直径2-3μm)
を用
増 加 し た。機 械 刺 激 に よ り 増 加 し た
て[Ca2+]を
i
[Ca2+]は
pannexin-1か ら の ATP 放 出 を 誘 発 す
i
る。刺激象牙芽細胞外に放出された ATP は,周囲
― 4 ―
歯科学報
Vol.115,No.6(2015)
509
に存在する近傍象牙芽細胞の P2Y 受容体を活性化
Tsumura M, Shibukawa Y, Tazaki M : Voltage-
させることで ATP による象牙芽細胞間情報伝達が
dependent
確立することが示唆された。これらの結果は,ATP
activated potassium channels in human odon-
の傍細胞性分泌によって活性化する象牙芽細胞間情
toblasts in vitro. J Endod, 38:1355-1362,
報伝達ネットワークが,象牙質表面刺激に伴う反応
2012.
sodium
channels
and
calcium-
7)Tsumura M, Sobhan U, Sato M, Shimada M,
性象牙質形成の促進,あるいは感覚受容-伝達機構
Nishiyama A, Kawaguchi A, Soya M, Kuroda H,
の変調をもたらす可能性を示唆している。
本 研 究 は2015年11月 に Intercellular odontoblast
Tazaki M, Shibukawa Y : Functional Expres-
communication via ATP mediated by pannexin-1
sion of TRPM8 and TRPA1 Channels in Rat
channel and phospholipase C-coupled receptor ac-
Odontoblasts. PLoS One,
(2013)
.
8:e82233
8)Sato M, Sobhan U, Tsumura M, Kuroda H,
tivation の表題で Frontiers in Physiology に掲載さ
Soya M, Masamura A, Nishiyama A, Katakura
れました。
A, Ichinohe T, Tazaki M, Shibukawa Y
文
:
Hypotonic-induced stretching of plasma mem-
献
1)Okumura R, Shima K, Muramatsu T, Naka-
brane activates transient receptor potential va-
gawa K, Shimono M, Suzuki T, Magloire H,
nilloid channels and sodium-calcium exchangers
Shibukawa Y : The odontoblast as a sensory
in mouse odontoblasts. J Endod, 39:779-787,
2013.
receptor cell? The expression of TRPV1(VR‐
1)channels.
Arch
Histol
Cytol, 68:251-
9)Kuroda H, Sobhan U, Sato M, Tsumura M,
257,2005.
Ichinohe T, Tazaki M, Shibukawa Y : Sodium-
2)Son AR, Yang YM, Hong JH, Lee SI,
calcium exchangers in rat trigeminal ganglion
neurons. Mol Pain, 9:22,2013.
Shibukawa Y, Shin DM : Odontoblast TRP
channels and thermo/mechanical transmission. J
10)Shibukawa Y, Sato M, Kimura M, Sobhan U,
Dent Res, 88:1014-1019,2009.
3) Magloire
H,
Maurin
JC,
Shimada M, Nishiyama A, Kawaguchi A, Soya
Couble
ML,
M, Kuroda H, Katakura A, Ichinohe T, Tazaki
Shibukawa Y, Tsumura M, Thivichon-Prince B,
M : Odontoblasts as sensory receptors : tran-
Bleicher F : Topical review. Dental pain and
sient receptor potential channels, pannexin-1,
odontoblasts : facts and hypotheses. J Orofac
and ionotropic ATP receptors mediate intercel-
Pain, 24:335-349,2010.
lular odontoblast-neuron signal
4)Tsumura M, Okumura R, Tatsuyama S,
transduction.
Pflüg Arch Eur J Physiol, 467:843-863,
2015.
Ichikawa H, Muramatsu T, Matsuda T, Baba A,
Suzuki K, Kajiya H, Sahara Y, Tokuda M, Mo-
11)Kawaguchi A, Sato M, Kimura M, Ichinohe T,
mose Y, Tazaki M, Shimono M, Shibukawa Y :
Tazaki M, Shibukawa Y : Expression and func-
Ca
2+
extrusion via Na
+
-
Ca
2+
exchangers in rat
tion of purinergic P2Y12 receptors in rat trigemi-
odontoblasts. J Endod, 36:668-674,2010.
nal ganglion neurons. Neurosci Res, 98:17-
5)Tsumura M, Sobhan U, Muramatsu T, Sato
27,2015.
M, Ichikawa H, Sahara Y, Tazaki M, Shibukawa
12)Iwamoto T, Nakamura T, Doyle A, Ishikawa
Y : TRPV1-mediated calcium signal couples
M, de Vega S, Fukumoto S, Yamada Y : Pan-
with cannabinoid receptors and sodium-calcium
nexin 3 regulates intracellular ATP/cAMP lev-
exchangers in rat odontoblasts. Cell Calcium,
els and promotes chondrocyte differentiation. J
52:124-136,2012.
Biol Chem, 285:18948-18958,2010.
6)Ichikawa H, Kim HJ, Shuprisha A, Shikano T,
13)Sasaki T, Nakagawa K, Higashi S : Ultra-
― 5 ―
510
東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ
structure of odontoblasts in kitten tooth germs
胞の硬組織形成能を亢進させることが示されてい
as revealed by freeze-fracture. Arch Oral Biol,
る。我々は,その細胞内標的分子として,Activator
27:897-904,1982.
protein-1(AP-1)
に注目した。本研究の目的は,
14)Callé A : Intercellular junctions between hu-
NAC は AP-1の制御によりヒト骨芽細胞,セメン
man odontoblasts. A freeze-fracture study after
ト芽細胞や歯根膜細胞の細胞外基質産生能と石灰化
demineralization. Acta Anat
(Basel)
,122:138
を促進させるかどうかを分子生物学的に検証する
-144,1985.
5および
ことである。NAC-HEPES 水溶液を0,2.
15)Muramatsu T, Hamano H, Ogami K, Ohta K,
5.
0mM となるように添加した骨誘導培地でヒトセ
Inoue T, Shimono M : Reduction of connexin 43
メント芽細胞株を培養し,一定期間培養後,アルカ
expression in aged human dental pulp. Int En-
ルフォスファターゼ(ALP)
活性,基質石灰化程度,
dod J, 37:814-818,2004.
コラーゲン沈着量,細胞増殖活性および骨組織およ
16)Ikeda H, Suda H : Odontoblastic Syncytium
びセメント質関連マーカーの遺伝子発現の評価を
through Electrical Coupling in the Human Den-
行 っ た。NAC 添 加 に よ り,Cementum protein 1
tal Pulp. J Dent Res, 92:371-375,2013.
といったセメント芽細胞特異的なマーカーの発現や
2+
17)Shibukawa Y, Suzuki T : Ca
Signaling Me-
ALP 活性は向上しなかったが,I 型およびⅢ型コ
2+
Releasing and
ラーゲンや骨シアロタンパク,F-spondin といった
Channels in Rat Odon-
セメント質の主要な細胞外基質の発現は促進した。
diated by IP3-Dependent Ca
2+
Store-Operated Ca
toblasts. J Bone Miner Res, 18:30-38,2003.
また,NAC 添加により,コラーゲン産生量および
18)Arany S, Kawagoe M, Sugiyama T : Applica-
基質中へのカルシウム沈着量が増加した。細胞増殖
tion of spontaneously immortalized odontoblast
活性は NAC 添加により変化しなかった。これまで
cells in tooth regeneration. Biochem Biophys
の結果から,NAC は,ヒトセメント芽細胞の細胞
Res Commun, 381:84-89,2009.
外基質形成能と石灰化能を向上させることが示唆さ
19)Fujisawa M, Tokuda M, Morimoto-Yamashita
れた。今後,NAC のヒト骨芽細胞や歯根膜細胞の
Y, Tatsuyama S, Arany S, Sugiyama T, Kita-
機能に与える影響と,AP-1への影響およびその機
mura C, Shibukawa Y, Torii M : Hyperosmotic
序に関して解析する予定である。
Stress Induces Cell Death in an Odontoblast-
背景と目的
lineage Cell Line. J Endod, 38:931-935,2012.
歯周組織再生は抜歯を回避し得る有効な治療法で
あるが,その達成は難しい。歯周組織の再生を成功
裏に導く戦略の一つとして,リコンビナント成長因
③ 多機能性小分子化合物・N-アセチル-L-シ
子の局所応用が考えられている。しかし,局所輸送
ステインによる硬組織形成細胞の分化制御
の確実性の低さに関連した安全性の担保や組織再生
とその細胞内標的分子の同定
促進効果に関して,多くの疑問点が報告されてい
る1-3)。歯周組織再生では,その複雑な微小組織構
有床義歯補綴学講座
山田将博
造を形成するセメント質や歯槽骨および歯根膜それ
ぞれの細胞の機能を横断的に活性化することが重要
抄
録
である。
歯周組織再生の戦略の一つとして,従来のリコン
近年,炎症性自己免疫疾患やガンの治療法の一つ
ビナント成長因子に代わり小分子化合物を用いた
である分子標的治療は,その迅速性や効率性の高さ
分 子 標 的 治 療 が あ る。N-ア セ チ ル-L-シ ス テ イ ン
から,組織再生分野への応用が期待されている。低
(NAC)
は小分子化合物であり,細胞内外で働く抗
分子化合物は異なる細胞種に共通した細胞内分子を
酸化能により細菌感染や毒性物質による細胞死や細
標的とすることで,単体で多種の細胞を横断的に調
胞機能障害を防ぐだけでなく,骨芽細胞や象牙芽細
節する用途が期待できる。セメント芽細胞や骨芽細
― 6 ―
歯科学報
Vol.115,No.6(2015)
511
胞および歯根膜細胞に横断的に作用する低分子化合
される酸化ストレスに対する細胞の耐性が向上した
物を同定すれば歯周組織再生に有効な分子標的治療
ことに加え,NAC が細胞の生存活性,増殖および
へと繋がる。
分化を制御したことが示唆された。また,NAC は
19の小分子化合物であり,細
NAC は分子量163.
通常接着培養の実験系で,ラット骨芽細胞の細胞外
胞膜透過性をもつ。NAC は既に加工食品や化粧品,
基質産生能および石灰化能を著しく向上させるこ
健康補助食品などに幅広く利用されており,また,
と,NAC 含有コラーゲンスポンジはラット臨界サ
鎮咳剤などで医学応用されている。NAC は分子構
イズ骨欠損の骨再生を著しく促進することも示し
造中のスルフフィドリル基により強力な活性酸素
た19)。加えて,ヒト気管支上皮細胞を用いた培養実
(ROS)
消去活性を示す4)。また,NAC の細胞内取
験で,NAC を取り込んだ細胞では,細胞表面のデ
り込み後の生化学反応経路として,脱アセチル化後
コイとして感染防御機能を示す膜型ムチン MUC4
4)
のグルタチオン(GSH)
生合成経路がある 。GSH は
の発現が特異的に増加し,抗感染機能が向上するこ
チオール基を2つ有する細胞内の主要な抗酸化物質
とが明らかとなった20)。これら細胞の表現型を制御
であるため,NAC は細胞内抗酸化物質の供給源と
する共通した転写因子として,我々は AP-121,22)に
しても働く。このような細胞内外の強力な抗酸化作
着目した。AP-1はシステイン残基をもつ転写因子
用だけでなく,NAC は細胞内のシグナル伝達タン
であり,DNA 結合の前段階として,DNA 結合部
パクや転写因子を直接作用し細胞機能を調節する可
GSHが
位にあるシステイン残基の還元が必要23)であり,
能性が示唆されている4)。
その役割を担う細胞内分子の一つである24)。NAC
研究代表者はこれまで,NAC は細菌感染や毒性
は,官能基であるスルフィドリル基により,また
物質によるアポトーシスや機能障害を防ぐことを歯
GSH の供給源となることで,直接的および間接的
肉線維芽細胞,象牙芽細胞,骨芽細胞および軟骨細
に AP-1の DNA 結合を制御する可能性が示唆され
5-18)
胞で示してきた
。この機序として,NAC の抗
酸化作用により細菌感染や化学物質により引き起こ
図1
る。さらに,AP-1はセメント芽細胞や歯根膜細胞
の表現型にも深く関与する25,26)
(図1)
。
本研究の背景を示した模式図
― 7 ―
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東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ
図2
NAC の細胞内作用機序に関して考慮すべき経路を示した模式図
以上を背景に,「NAC は AP-1の制御により骨芽
特異的マーカー(Periostin)
を RT-PCR と蛍光染色定
細胞,セメント芽細胞や歯根膜細胞の細胞外基質産
量により評価する。また,アルカリフォスファター
生能と石灰化を促進させる」という作業仮説を立
ゼ染色とvon Kossa 染色で基質石灰化能を評価する。
て,この仮説を分子生物学的に検証することを本研
3.核内外の AP-1レベルの定量
究の目的とした。
AP-1ファミリータンパク質(c-fos,fra-1,fra-
材料と方法
2,fosB,c-jun,junD および junB)は核内で二量
1.細胞培養
体(ホモもしくはヘテロ)
を形成して AP-1となった
ヒトセメント芽細胞株(HCEM)
(広島大学口腔顎
後,DNA へ結合する。NAC の細胞内吸収速度27)に
顔面病理病態学より供与)
と正常ヒト間葉系幹細胞,
基づき,浮遊培養1時間,3時間および6時間後に
ヒト歯根膜細胞(HPDL)
(それぞれ購入)
を使用す
ノーザンプロットと RNA プローブハイブリダイ
る。正常ヒト間葉系幹細胞は指定の骨分化誘導培
ゼーション併用法26)により AP-1ファミリータンパ
地で継代培養し骨芽細胞(HOB)
に分化誘導する。
クそれぞれの mRNA 発現を,また,核抽出物を解
HCEM および HPDL では10%FBS 添加 α-MEM に
析し AP-1の核内形成量26)を評価する。
て継代培養する。実験開始時から,デキサメタゾン
4.AP-1上流のシグナル伝達タンパクおよび他の
(Dex)
非添加で10%FBS 添加の α-MEM 中で培養す
転写因子への影響の評価
る。播種直後と培地交換の際,NAC-HEPES 水溶液
3.と同じ培養条件で,AP-1ファミリーの上流
5,5mM で滴下する。一定期間
をそれぞれ0,2.
に位置する p38,JNK,ERK と,NAC の標的転写
培養後,以下2から5の分析を行う。
因子候補の一つである NFκB/IκBα に関して,リン
2.各細胞の表現型解析
酸 化 お よ び 非 リ ン 酸 化 状 態 の レ ベ ル を Western
接着培養5日,10日,30日後に,各細胞に共通す
る細胞外基質マーカー(I 型とⅢ型コラーゲン),骨
blotting 法にて評価する。
5.GSH 生合成経路の関与の判定
およびセメント質マーカー(骨シアロタンパクおよ
③と同じ培養条件に加え,GSH 合成酵素阻害剤の
びオステオカルシン)
,セメント質特異的マーカー
一つである buthionine sulfoximine を添加した GSH
(F-Spondin と Cementum Protein-1)
および歯根膜
合成 knock-down 系を作製する。浮遊培養6時間後
― 8 ―
歯科学報
Vol.115,No.6(2015)
513
に細胞内 GSH レベルと AP-1の核内形成量を,正
常培養系と GSH 合成 knock-down 系との比較を行
うことで評価する。
6.AP-1の DNA 結合活性への直接的作用の評価
この分析は細胞を使用せず,③で最も発現した
AP-1ファミリータンパクの DNA 結合ドメインの
リコンビナントを作製24)し,in vitro の生化学試験
を行う。濃度勾配をつけた NAC 存在下における
DNA 結合能をゲルシフトアッセイにより解析す
図3
24)
る 。
培養2日および4日後の BrdU 細胞増殖活性試験結果
05,Bonferroni multiple comparison)
(n=3,**p<0.
しなかった(図4A)
。しかし,コラーゲン沈着量(図
これまでの結果と考察
現在まで,HCEM を用いた NAC 添加による細胞
4B)
および細胞外基質の石灰化度(図4C と D)
は,
増殖活性,骨およびセメント質関連基質産生と石灰
NAC 添加培養で増加した。RT-PCR 解析では,培
化に与える影響に関する知見を得た。細胞増殖活性
養10日後および30日後において,NAC 添加により,
に関して,NAC 添加培養と未添加細胞で差を認め
セメント質特異的マーカーである Cementum pro-
なかった(図3)
。NAC を添加することにより,ヒ
tein 1や ALP,Osteocalcin の発現は不変もしくは
トセメント芽細胞の培養12日目の ALP 活性は向上
減少したが,I 型およびⅢ型コラーゲンや Bone sia-
図4
A培養5日後のシリウス赤染色写真と比色定量結果,B培養12日後のアルカリフォスファターゼ活性試
験結果,C培養27日後のシリウス赤染色写真と比色定量結果,D培養30日後のカルシウム沈着定量試験結
05,Bonferroni multiple comparison)
果(それぞれ n=3,**p<0.
― 9 ―
514
東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ
図5
RT-PCR 法による培養5,10,30日後 の Cementum protein-1(CEMP
1)
,F-spondin,Bone sialoprotein 2(BSP2)
,アルカリフォスファター
ゼ(ALP)
および Collagen I とⅢといった骨およびセメント質基質関連遺
伝子発現結果
loprotein 2,F-spondin の発現は促進した(図5)
。
結
骨芽細胞系列とは異なり,Cementum protein-1
と F-spondin といったセメント芽細胞マーカーの発
論
NAC はヒトセメント芽細胞の細胞外基質形成能
と石灰化能を向上させた。
現順序はほとんどわかっていない。しかし,セメン
ト質中の細胞外基質の分布を踏まえ,細胞培養実験
文
献
系で細胞外基質の遺伝子発現とタンパクレベルでの
1)Carragee EJ, Chu G, Rohatgi R, Hurwitz EL,
産生量の大きさから,NAC がセメント芽細胞の基
Weiner BK, Yoon ST, et al.:Cancer risk after
質形成能に与えた影響を推測できる。ヒトセメント
use of recombinant bone morphogenetic protein
とⅢ型コラー
質の細胞外基質は主に I 型(90%以上)
‐2 for spinal arthrodesis. J Bone Joint Surg
28)
ゲン(約5%)
で構成されている 。コラーゲン線維
間を非コラーゲン性タンパクが沈着する。その内,
Am,95:1537-1545,2013.
2)Kaigler D, Cirelli JA, Giannobile WV:Growth
Osteopontin や Bone sialoprotein は石灰化領域全体
factor delivery for oral and periodontal tissue
に分布し,石灰化したコラーゲン線維間を埋めてい
engineering. Expert Opin Drug Deliv, 3:647-
る29)のに対し,Osteocalcin の分布は比較的散漫で
662,2006.
30)
それゆえ,セメント質に
あると観察されている 。
3)Geiger M, Li RH, Friess W:Collagen sponges
おいて,I 型とⅢ型コラーゲンおよび Bone sialopro-
Adv Drug
for bone regeneration with rhBMP‐2.
tein は基質石灰化の進行とともに,特に基質の強度
Deliv Rev,55:1613-1629,2003.
にかかわる細胞外基質であると言える。これまでの
4)Zafarullah M, Li WQ, Sylvester J, Ahmad M :
結果から,NAC を歯周組織再生術へ応用すれば,
Molecular mechanisms of N-acetylcysteine ac-
より強靭なセメント質がより早く再生する可能性が
tions. Cell Mol Life Sci, 60:6-20,2003.
5)Yamada M, Ishihara K, Ogawa T, Sakurai K:
示唆されたと言える。
今後,ナノスクラッチテストなどの薄膜強度試験
The inhibition of infection by wound pathogens
機を用いた形成された石灰化基質の機械的強度や動
on scaffold in tissue-forming process using N-
物実験モデルを用いた歯周組織再生量と質を評価す
acetyl
ることで,NAC のセメント質再生促進能力を判定
8485,2011.
cysteine.
Biomaterials,
32:8474-
する。また,NAC の転写因子 AP-1活性化に与え
6)Minamikawa H, Yamada M, Deyama Y, Suzuki
る影響とその生化学的経路の解明を行う予定であ
K, Kaga M, Yawaka Y, et al.:Effect of N-
る。
acetylcysteine on rat dental pulp cells cultured
― 10 ―
歯科学報
Vol.115,No.6(2015)
515
on mineral trioxide aggregate. J Endod,37:637
T, Ogawa T.:N-Acetyl cysteine restores viabil-
-641,2011.
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paired by polymethylmethacrylate dental resin
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Sakurai K, Ogawa T : Improvement in the osteoblastic cellular response to a commercial col-
15)Att W, Yamada M, Kojima N, Ogawa T.:N-
lagen membrane and demineralized freeze-dried
Acetyl cysteine prevents suppression of oral fi-
bone by an amino acid derivative:an in vitro
broblast function on poly
(methylmethacrylate)
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2011.
16)Yamada M, Ueno T, Minamikawa H, Sato N,
8)Yamada M, Minamikawa H, Ueno T, Sakurai
Iwasa F, Hori N, et al.:N-acetyl cysteine allevi-
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9)Yamada M, Kubo K, Ueno T, Iwasa F, Att W,
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18)Yamada M, Kojima N, Paranjpe A, Att W, Aita
sponge-and membrane-induced apoptosis and
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-
dysfunction in cultured osteoblasts by an amino
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19)Yamada M, Tsukimura N, Ikeda T, Sugita Y,
10)Minamikawa H, Yamada M, Iwasa F, Ueno T,
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