Comments
Description
Transcript
路面プロフィルによるわだち掘れの進行調査について
V-054 土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月) 路面プロフィルによるわだち掘れの進行調査について 阪 神 高 速 道 路 公 団 正 員 袴田 文雄 (株)フジエンジニアリング 正 員 土性 清隆 (株)フジエンジニアリング 曲原 和宏 まえがき 1. 阪神高速道路公団では,逐次ジャッキアップ・ダ @5,000*9=45,000 ウン工法によってプレキャストPC床版にプレス 750 レーンマーク 1750 ている.供用後およそ3年を経過した時点で,舗装 の大規模打替工事の機会を利用して路面プロフィ G1 750 トレスを導入した少主桁橋の追跡調査をおこなっ 右タイヤ 測点25 左タイヤ 測点26 ジョイント 走行方向 ルの測定を行い,建設時の初期データとの比較から レーンマーク わだち掘れの進行に関する考察を行った. G2 A 調査概要 2. B C D E F G H I J 測定断面 6,800 橋面舗装の横断および縦断方向の路面凹凸をプ 図1 ロフィルグラフ・プロフィルメータ(8m)を用いて図1 横断勾配 1.95% に示す断面で計測を行った.縦断方向は左右タイヤ位置 左タイヤ側 で伸縮継手を挟んで前後 45m とし,この間を 5m ピッチ 右タイヤ側 で区切り横断方向の測定を実施した.対象橋梁はランプ 図 1 調査断面配置 調査断面配置図 断面配置図 橋(6径間連続鋼2主桁,密粒アスファルト舗装(改質)) 図4に で,調査対象箇所はランプから本線合流直前の伸縮継手位置(▼)である.本橋における対象軸重を図4 図4 示した.規制軸重を超えているものも認められるが,約 35 万 kN/日であった. 調査結果 横断方向のわだち掘れ進行 20 イヤ側のわだち掘れがより大きく進行してい 図3は,横断方向断面の ることが分かった.図3 図3 代表例としてB断面のわだち掘れ量とその統 3.84 3.52 3.2 2.88 2.56 -5 2.24 0 1.92 図2から,横断勾配の高い位置にある右タ 図2 1.6 面との差をもとに整理したものである. 5 1.28 供用後約2年7ヶ月を経過した路面と初期路 右タイ ヤ位置 10 0.64 の積算量で示したものである.図のデータは 左タイ ヤ位置 15 10断面の積算わだち掘れ量 mm 面わだち掘れの進行状況を計測した 10 断面 0.96 図2はプロフィルグラフによる横断方向路 図2 0.32 3.1. 0 3. -10 -15 計値である.統計値のマイナス側がわだち掘 -20 れの進行を示している.① ①平均的には各断面 -25 レーンマーク 車線中 A断面 B断面 C断面 D断面 E断面 F断面 G断面 H断面 I断面 J断面 レーンマーク 位置 m とも約-1mm 弱のわだち掘れが発生している が,わだち掘れが最も深い値(最小値)では, 図 2 わだち掘れの進行 ジョイントから 5m 以上離れた断面B,C,D, 図2,図3の左図から G,H断面で 3mm 前後となっている.② ②また,プラス値(路面の盛り上がり)は,図2,図3 図2,図3 図3右図のわだち掘れの頻度分布を見 車線中央およびレーンマーク位置に集中していることが分かった.③ ③図3 ると,0点よりややマイナス側寄りの正規分布を示していることが分かる. キーワード:路面プロフィル,わだち掘れ,ライフサイクル 連絡先:〒552-0007 大阪市港区弁天 1-2-1-1900 オーク 200 1-19 tel 06-6575-4478 fax:06-6575-4491 -107- V-054 土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月) B断面 進行していることが分かった. 0% 頻度 データ区間 mm 図 3 わだち掘れの進行と統計量(横断方向 ↓ 3 わだち掘れの進行と統計量(横断方向 ↓レーンマーク) 表 1 交通車両の軸重 1 交通車両の軸重・軸数と 交通車両の軸重・軸数と 軸重頻度 わだち掘れの進行状況の関係 最小値 mm 平均値 mm 右タイヤ -3.69 -2.59 左タイヤ -3.79 -2.00 kN/mm 右タイヤ 90,351,751 128,698,045 左タイヤ 87,881,597 166,221,688 軸/mm 右タイヤ 2,221,387 3,164,168 左タイヤ 2,160,656 4,086,724 mm/年 右タイヤ -1.43 -1.00 左タイヤ -1.47 -0.78 H12年度 H13年度 1000 100 10 1 10 29 49 69 88 108 127 軸重データ(kN) 147 167 186 図 4 1日の軸重頻度 プロフィルメータ相対段差量(H13-H11) 縦断方向 図5は,路面の縦断方向の凹凸を8 図5 進行方向 右タイヤ 7ヶ月を経過した路面と初期値との段差 量をもとに統計処理を行ったものである. 25 20 15 10 5 0 -5 -10 -15 -20 -25 -20 相対段差量の累積 ヒストグラム 100 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 90 80 70 頻度 mプロフィルメータにて計測した結果を まとめたものである.図のデータは2年 H11年度 10000 縦断方向のわだち掘れ 路面段差の相対差 mm 3.2. 10% 60 50 40 30 20 10 頻度 累積 % 0 -15 -10 -5 0 5 ジョイントからの距離 m 10 15 累積度数 % 左タイヤ側よりも2割程度早く 測定位置 m 20% 0 8 るが,平均値では右タイヤ側が 10 最大値 2.2 mm 最小値-3.1 mm 30% 頻度 累積 % 20% 10% 0% 9 10 は,最小値ではほぼ同程度であ 20 6 7 た.③ ③左右タイヤ位置での進行 50% 40% 4 5 –0.78∼-1.0 mm/年程度であっ 3 4 -1.43∼-1.47 mm/年,平均値で 2 2 3 年間の進行状況では,最小値で B測線 1 0 1 kN/mm 程度であった.② ②また, 60% 30 -1 約 13,000 万 ∼ 17,000 万 70% -4 -3 -2 9,000 万 kN/mm,平均値では 80% 40 -6 -5 るのに,最小値では軸重約 50 -8 -7 ①わだち掘れが1mm 進行す 100% 90% 右タイヤ位置 -1 0 -9 とが分かる. 左タイヤ位置 -10 -9 -8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 のである.統計結果から次のこ 5 4 3 2 1 0 -1 0 -2 -3 -4 -5 発生個数(軸) 数・軸重との関係を整理したも わだち掘れの段差量 mm ヤ別に分けて各断面のわだち掘 れの最小・平均値および車両軸 ヒストグラム 60 累積度数 % 表1は,車線中央で左右タイ 表1 データ区間 ち掘れが進行している. 4. まとめ 40 30 0% 9 10 8 6 7 5 頻度 累積 % 4 15 2 3 10 0 1 -5 0 5 ジョイントからの距離 m -1 -10 -4 -3 -2 -15 20 10 0 50% 40% 30% 20% 10% 累積度数 % 70% 60% -6 -5 前後 5m 以内のところで右タイヤのわだ 100% 90% 80% 100 90 80 70 60 50 -8 -7 いる(盛り上がる) .③ジョイントの近傍 左タイヤ ヒストグラム 頻度 はジョイント通過後凹凸が+側になって 25 20 15 10 5 0 -5 -10 -15 -20 -25 -20 -1 0 -9 ヤ側の段差が進行している.② ②左タイヤ 路面段差の相対差 mm 図から,次の知見が得られた.① ①右タイ データ区間 図 5 わだち掘れの進行と統計量(縦断方向) 5 わだち掘れの進行と統計量(縦断方向) 今回の調査で得られたわだち掘れに関する知見をまとめると次の通りである. ① 横断勾配のある路面では,勾配の高い側のわだち掘れが2割程度早く進行した. ② 年間軸重 1,300 万トンの交通量によって,平均 0.78∼1.0mm のわだち掘れが進行した. ③ 伸縮装置の前後 5m の範囲において 5mm 以上進行した. 舗装路面の持つ問題は,走行安全性,快適性,荷物の落下,騒音振動などの環境問題など多岐にわたるも のであり,道路の要となる構造物である.今回の調査では横断勾配による影響でわだち掘れの進行が異なる ことが分かったが,舗装材料や荷重条件など今後わだち掘れの進行に影響を及ぼす要因について検討を重ね, 経済的維持管理のための指標となるライフサイクルの検討を進めていく所存である. 参考文献 村山,袴田,土性:逐次ジャッキアップダウン工法による導入プレストレスの追跡調査について,,土木学会年次学術講演会,2002 -108-