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パートナーシップの生成と発展(1)
パートナーシップの生成と発展(1) 1 〈論 説〉 パートナーシップの生成と発展(1) −パートナーシップの特徴を中心として− 田邉 正 はじめに 米国の企業形態には、 パートナーシップという企業形態が存在する。統一パー トナーシップ法典においてパートナーシップとは、利潤を目的とした事業を運 営するために二人以上の所有者を有する団体であると定義されている。しかし、 各州法によって、パートナーシップの種類は異なっており、事業実体として利 用し易い組織形態へと発展していった。パートナーシップは、選択要件、責任 範囲の範囲及び経営参加の権限の特徴の違いによって分類される。 当初、パートナーシップは、監査法人、法律事務所、病院等の専門職業人に よるサービス事業等に利用されていた。これはパートナーシップが課税上の導 管性を有しているため、専門職業人によるサービス事業の事業実体として利用 するには都合がよかったのである。だが、パートナーシップは、租税回避を目 的とした事業実体として濫用されることが多々あった。そのため、各州法で容 認されているパートナーシップでも、内国歳入法上ではパートナーシップとし て容認されることが困難であるという状況が長期間続いていた。しかし、1996 年に、クリントン政権の税制改革によるチェック・ザ・ボックス規則の導入に よって、納税者の自由裁量によってパートナーシップとしての取扱いを選択で きることが可能となった。 そこで、本稿では、まず、パートナーシップの生成について述べる。そのな かで、パートナーシップの発展とその範囲を説明することにする。次に、パー 2 駒澤大学経営学部研究紀要第37号 トナーシップの特徴について述べる。そして、法律上、容認されていたジェネ ラル・パートナーシップ、リミテッド・パートナーシップ及びリミテッド・ラ イアビリティ・パートナーシップの特徴について説明した後に、チェック・ザ・ ボックス規則によって、コーポレーションとしての特徴が強いながらも課税上 の導管性を有するSコーポレーション及びリミテッド・ライアビリティ・カン パニーについて説明することにする。 1. パートナーシップの生成 (1)米国の企業形態とパートナーシップ 米国の企業形態は、一般的に個人企業(sole proprietorship)、パートナー シップ(partnership) 、コーポレーション(corporation)に分類される(1)。法律 上、 統一パートナーシップ法典 (Uniform Partnership Act)においてパートナー シップとは、利潤を目的とした事業を運営するために二人以上の所有者を有す る団体(association)であると定義されている(UPA6)(2)。一方、内国歳入法 (Internal Revenue Code)においてパートナーシップとは、事業、財務活動又 は投機におけるシンジケート(syndicate) 、 グループ(group)、プール(pool)、 ジョイントベンチャー(joint venture)又は他のコーポレーションに該当しな い組織のことであり、トラスト(trust) 、不動産(estate)又は法人は含まな いと規定されている(Sec. 7701(a)(2)) 。 1932年に、内国歳入法において初めてパートナーシップの取扱いについて規 定されて以来、この規定は何ら変更をされておらず、実質的にパートナーシッ プを定義したものでもない。しかし、統一パートナーシップ法典では、実質的 にパートナーシップを定義している。上述したことから解るように、内国歳入 法によるパートナーシップの取扱いのほうが、一般的な概念である統一パート ナーシップ法典による定義よりも広義である。内国歳入法においてパートナー シップを広義に捉える理由として、コーポレーションと同様の組織形態で事業 を行うものでもパートナーシップとして取扱うものが存在するということから である。したがって、法律上、統一パートナーシップ法典では、パートナーシッ パートナーシップの生成と発展(1) 3 プを定義しているのである。 内国歳入法上、具体的にパートナーシップとして取扱われるものは、ジェネ ラル・パートナーシップ(general partnerships) 、リミテッド・パートナーシッ プ(limited partnerships) 、リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ (limited liability partnerships) 、リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (limited liability company) 、 Sコーポレーション(S corporation)、ラージ・ パートナーシップ (large partnerships) が存在している。これらのパートナー シップの具体的な内容については後述することにする。 ローマ時代に、パートナーシップは生成されたといわれている(3)。中世イタ リア時代に、複数の個人出資者によって組織されたソキエタス(societas)が 生成された。ソキエタスは、すべての出資者が無限責任を負っており、経営参 加の権限も付与されていた。しかし、この組織形態では、出資者数を大幅に拡 大することは困難であり、さらに、出資者が増加した場合、すべての出資者に 経営参加の権限が付与されていたら、ソキエタスの統一的支配の維持が図れな くなる。そこで、組織の統一的支配の維持を図りながら、一層の資本集中を可 能にするコメンダ(commenda)という組織形態が生成された。コメンダは、経 営参加の権限が付与されていない出資者は有限責任が付与されることになる。 しかし、コメンダでも、出資者数を拡大するには限界があった(4)。 そして、さらに資本集中の可能性を高めるためにコーポレーションが生成 されることになる。1600年に、イギリス東インド会社(British East Indian Company)が設立された。当初、イギリス東インド会社では、一航海ごとに資金 を集めるという継続性のない当座会社であった。その後、1602年に、オランダ 東インド会社(Vereenigde Oostindische Compagnie)が設立され、このオラ ンダ東インド会社がコーポレーションの起源とされている(5)。一航海ごとの資 金の残高を次回の航海に繰越していくよりも永続的な合本企業制へ移行する方 が合理的で都合がよいということからコーポレーションへと発展していくこと になった。さらに、1665年には、イギリス東インド会社において、すべての出 資者に有限責任が付与された。 4 駒澤大学経営学部研究紀要第37号 株式会社発生史の説明において、個人企業、合名会社、合資会社、株式会社 の順序で発展してきたと跡付けされている。その際、ソキエタスを合名会社の 起源として捉え、コメンダを合資会社の起源として捉える見解が存在する(6)。 しかし、中世イタリア時代当時、コーポレーションという概念が存在しなかっ たことから、ソキエタス及びコメンダは、パートナーシップの起源ではないか と考えるべきである。ソキエタスは、 すべての出資者が無限責任を負っており、 経営参加の権限も付与されていたことからジェネラル・パートナーシップの起 源であり、一方、コメンダは、経営参加の権限が付与されていない出資者は有 限責任が付与されることから、リミテッド・パートナーシップの起源と考えら れる。 一方、1776年の独立宣言以前、米国では個人企業とパートナーシップのみの 企業形態であり、 現在のコーポレーションのような企業組織は存在しなかった。 当然、 法人設立に関する法律規定もなかった。独立宣言後、商人たちは幅広く民 間から資金調達を図り、 これに対して、 州政府は特許会社(chartered business corporation)を提案した。米国では、この特許会社がコーポレーションの起 源だと考えられている(7)。 しかし、米国では、依然として個人企業及びパートナーシップが企業形態の 中心であり、コーポレーションが一般に普及するには時間がかかった。特許会 社の設立許可書は、公的事業及び金融機関に対して付与されたが、製造業に対 して付与されることは殆んど無かったといわれている(8)。設立当時、公共事業 による利益獲得を目的として特許会社が認可されていた。しかし、商人たちは、 下記の優位性に着目してコーポレーションを競って設立しようと試みた(9)。 ①各種の有価証券を発行することが可能である。 ②額面価額を自由に設定できる。 ③半永久的に継続する。 ④財産等の所有権を第三者に譲渡することが可能である。 ⑤有限責任であること。 ⑥所有と経営の分離。 パートナーシップの生成と発展(1) 5 上記に示したことがコーポレーションの優位性と考えられるが、これらはパ ートナーシップとコーポレーションの当時の相違点であるとも解することもで きる。コーポレーション創設時、最も重要であったと考えられるのは⑤の有限 責任であり、当時の州政府では、当時の州政府では、パートナーシップにおい て有限責任の付与は許可されていなかった。責任という側面を考慮すれば、健 全な運営を行っているパートナーシップに対しても、パートナーとして参加す ることは、信頼性に欠けることから、パートナーを遠方から募ることは困難な ものであった。しかし、コーポレーション創設によって、州の認可、独占的特 権の是認、議決権行使と株式登録のための諸条件が付与されたことから、遠方 からの投資も可能となり容易なものとなった(10)。その後、コーポレーションは、 成熟した企業形態として幅広く普及することとなった。コーポレーションを普 及させた歴史的背景には三つの要因が存在すると考えられる(11)。 第一に、技術革新によって鉄道及び電信等の新規事業が発達し、これらの技 術革新が流通における卸売販売業者及び小売販売業者の調整と製造業者の調整 とを簡易化させた。そして、適正な事業結合によって、従業員の拡張及び資本 の集中化がみられ経済規模の拡大を導くこととなった。第二に、企業規模が拡 大することによって、一握りの裕福な投資家のみと交渉して資金調達を図るの ではなく、 より広範囲な投資家から多額な資金調達を行う必要性が生じてきた。 第三に、規模が拡大した企業を運営していくためには、投資における私的所有 権を社会規範に適用しなければならず、政府と税制を通じて資本の集中化の問 題を解決するために法律規定の必要性が生じてきた。 このような要因にもとづいて、現在のコーポレーションの特徴として下記の 四つのものが形成されてきたと考えられる(12)。 ①投資家の有限責任。 ②投資持ち株の自由譲渡可能性。 ③法人格を有すること。 ④中央集権的経営。 上記のコーポレーションの特徴は、コーポレーション創設時の優位性とほぼ 6 駒澤大学経営学部研究紀要第37号 同様のものと見受けられる。 ①の投資家の有限責任については、パートナーシッ プにおけるパートナーは自らの出資金だけではなくパートナーシップ及びパー トナーの義務に対して個人的責任を負う危険性を持っている。しかし、コーポ レーションの株主は、損失及び賠償等に関する責任に対して個人的責任を負う ことはない。②の投資持ち株の自由譲渡可能性については、パートナーシップ では、持分を売買できる取引所が存在しないため、持分の利権は複雑で評価が 困難なものとなる。③の法人格については、 パートナーシップでは、パートナー の脱退によってパートナーシップ自体が消滅するが、コーポレーションでは、 株主の株式譲渡及び売却によってもコーポレーションが資本金を維持している 限り存続することになる。④の中央集権的経営については、パートナーシップ では、 すべてのパートナーが経営参加の権限を平等に有しているが、コーポレー ションでは、取締役等の経営陣に経営の権限を委託している。したがって、実 質的な経営の方向性は、取締役等の経営陣が決定するため、所有と経営の分離 が生じることになる。このことは、①の投資家の有限責任と深い関係があり、 株主は有限責任であるため損失及び賠償等の個人的責任の危険性を回避するこ とを引替えに、株主の経営に関する権限を弱めたと考えられる。 これらの特徴を踏襲したうえで、パートナーシップとコーポレーションを比 較すれば、コーポレーションのほうが有利であることは明確である。しかし、 内国歳入法上、コーポレーションとほぼ同様の特徴を備えた組織形態である リミテッド、ライアビリティー、パートナーシップ、リミテッド・ライアビリ ティー・カンパニー及びSコーポレーションをパートナーシップとして取扱う ことを容認している。 コーポレーションでは、それ自体の所得金額が課税標準となり、連邦法人所 得税の納税義務を負うことになる。だが、パートナーシップでは、それ自体の 所得金額は課税標準とならず、パートナーシップを構成する各パートナーに所 得金額を分配して連邦法人所得税の納税義務を負うことになる(Sec. 701)。こ のように、コーポレーションとパートナーシップでは、課税対象が異なるため、 それぞれの税率も異なることになる。そこで、内国歳入法上、パートナーシッ パートナーシップの生成と発展(1) 7 プとして取扱われるリミテッド・ライアビリティー・カンパニー及びSコーポ レーションを意図的に利用して租税回避が可能となる。これらの詳細について は後述することにする。 (2)パートナーシップの範囲 前述したように、 統一パートナーシップ法典においてパートナーシップとは、 利潤を目的とした事業を運営するために二人以上の所有者を有する団体であ ると定義されている。これはジェネラル・パートナーシップを定義したもので あり、パートナーシップを構成するすべてのパートナーは、無限責任を負うこ とになる。また、統一リミテッド・パートナーシップ法典(Uniform Limited Partnership Act)では、パートナーシップを構成するパートナーが、無限責任 を負うジェネラル・パートナー(general partner)と有限責任が付与されて いるリミテッド・パートナー(limited partner)の二種類に分類されるリミッ テッド・パートナーシップ(limited partnership)について規定している。 これらの二つの規定では、ジェネラル・パートナーシップとリミテッド・パー トナーシップの組織形態について規定したものである。 しかし、パートナーシップであるか否かの判断基準は、各州法によって委ね られている。統一パートナーシップ法典又は統一リミテッド・パートナーシッ プ法典を受け入れるか否かも各州法に裁量に委ねられることになる。したがっ て、パートナーシップの種類、選択要件、責任範囲の範囲等も各州法によって 異なることになる。ジェネラル・パートナーシップ及びリミテッド・パートナ ーシップは、各州法でもパートナーシップとして取扱われることになるが、そ れ以外の組織形態については、各州法の判断基準によってパートナーシップと して取扱われないこともありうる。 前述したように、コーポレーションの生成の経緯による組織形態の一つがパ ートナーシップである。そのため、事業規模を拡大することを前提とすれば、 パートナーシップの組織形態自体に魅力は殆んどないと考えられる。しかし、 1954年に、内国歳入法 Subchapter K においてパートナーシップ自体には、連 8 駒澤大学経営学部研究紀要第37号 邦法人所得税を課税しないことが規定された(IRC701)。すなわち、パートナー シップ課税である。パートナーシップが稼得した所得は、パートナーに帰属し ており、各パートナーの持分に応じて分配されることになり、各パートナーは 自らの申告所得に含めて申告納付することになる。したがって、パートナーシ ップは、単なる導管(conduit)でしかないのである。すなわち、課税上の導管 性を有することになる。そして、1960年代に、パートナーシップの導管性及び パス・スルー(pass through)を濫用した租税回避が横行した。法人所得税率 と個人所得税率を比較して、個人所得税率が低率であれば、コーポレーション よりもパートナーシップとして課税されたほうが有利なのである。 しかし、内国歳入法においてパートナーシップとは、事業、財務活動又は投 機におけるシンジケート、グループ、プール、ジョイントベンチャー又は他の コーポレーションに該当しない組織のことであり、トラスト、不動産又は法人 は含まないと規定しているだけである (Sec. 7701(a))。この規定はパートナー シップを明確に定義したものではないため、パートナーシップの判断基準は、 各州法に委ねている傾向がある。パートナーシップが租税回避のために濫用さ れていた当時、 州政府においてパートナーシップとして取扱われる組織形態が、 内国歳入法でもパートナーシップとして取扱われるか否かという問題が頻繁に 検討されていた(13)。 米国では、パートナーシップの範囲をめぐる代表的な判例がいくつか存在 する。まず、多くの判例でコーポレーションの判断基準として利用されていた Morrissey 事件判決がある(14)。1921年に、ロスアンジェルスにおいてウェスタ ン・アベニュー・ゴルフクラブ(Western Avenue Golf Club)が、投資者の出 資力に応じてトラストとして設立された。このゴルフクラブでは、受託者であ る運営者に、土地の買収からゴルフコース及びクラブハウスの運営まで全ての 権限を委託していた。この判決では、トラストとして設立されたゴルフクラブ を団体(association)として取扱うか否かということを問題としている。トラ ストとして取扱われれば、コーポレーションとして課税されないことになる。 1920年代当時、見せかけのトラストを利用して連邦法人所得税を回避する傾向 パートナーシップの生成と発展(1) 9 があった。そこで、Morrissey 事件判決では、コーポレーションとの類似性に ついて下記の八つの要因をあげている。 ①複数の株主の存在。 ②収益事業による利益分配。 ③組織の実体の存在。 ④管理及び経営の集中。 ⑤組織の継続性。 ⑥多額の資金募集。 ⑦株主の有限責任性。 ⑧持分の自由譲渡。 上記の要因を満たすか否かによって、コーポレーションとの類似性を判断す ることになる。したがって、ジェネラル・パートナーシップは、上記の要件の うち、④管理及び経営の集中、⑥多額の資金募集、⑦株主の有限責任性、⑧持 分の自由譲渡は満たしていないため、コーポレーションとの類似性は低いこと になる。しかし、リミテッド・パートナーシップは、無限責任を負うことにな るジェネラル・パートナーと有限責任の権限が付与されているリミテッド・パー トナーが存在しており、ジェネラル・パートナーに事実上の事業経営の権限が 付与されている。このことから、上記の要因のうち、⑧持分の譲渡性以外は満 たしているため、コーポレーションとの類似性は極めて高くなる。ただし、法 律上、リミテッド・パートナーシップは、当然パートナーシップとして取扱わ れる。 次に、Kintner 規定の基礎となった Kintner 事件判決がある(15)。ミズーリ州 及びモンタナ州において八人の医師によって団体としてクリニックが設立され た。しかし、この団体から医師が脱退して新たにウエスタン・モンタナ・クリ ニック (Western Montana Clinic) という名称でクリニックを開業することにな る。その際、脱退以前の団体に留保された所得を持分の分配として、その脱退 した医師に課税されるか否かということを問題としている。すなわち、このク リニックの団体をパートナーシップとして取扱うか否かを争った事件である。 10 駒澤大学経営学部研究紀要第37号 一審では、上述した Morrissey 事件判決によるコーポレーションとの類似性を 判断基準として判決を下している。当時、Morrissey 事件判決による判断基準 が、コーポレーションか否かを判断する一般的な基準として利用されていた。 ただし、この基準が判決等で利用されれば、統一パートナーシップ法典及び統 一リミテッド・パートナーシップ法典の形骸化と各州法上のパートナーシップ との矛盾が生じることになる。 しかし、医療行為は個人的なものであってコーポレーションでは行えないと いう理由から、控訴審においてクリニックである団体は、コーポレーションと して取扱わないとした(16)。したがって、内国歳入法上、医師等の専門職業人に よる団体をコーポレーションとして取扱うことは困難となったのである。この ことを踏襲して、1960年に、財務省規則において Kintner 規定が、コーポレー ションの判断基準として利用されることになった(Sec. 301)。Kintner 規定で は、コーポレーションとの類似性について下記の四つの要因をあげている。 ①組織の継続性。 ②経営の集中。 ③構成員の有限責任性。 ④持分の自由譲渡性。 上記の要因は、Morrissey 事件判決による類似性の要因を整理したものであ り、これらの四つの要因のうち三つ以上の要因を満たさなければ、コーポレー ションとして取扱わないとした。そして、統一パートナーシップ法典及び統一 リミテッド・パートナーシップ法典にもとづいた組織は、パートナーシップ契 約の自由裁量によって清算されるため組織の継続性は不安定であるということ から、①組織の継続性は満たさないとした。したがって、残りの三つの要件の うち一つが欠ければ、コーポレーションとして取扱われないことになる。この Kintner 規定によって、内国歳入法上、リミテッド・パートナーシップもパート ナーシップとして取扱われることになり、前述した内国歳入法上の取扱いの矛 盾は解消されたことになる。 しかし、 Kintner 事件判決のような専門職業人による団体が、必ずしもパート パートナーシップの生成と発展(1) 11 ナーシップとして取扱われることを希望するわけではない。やはり、組織の成 熟性及び信頼性等からコーポレーションとしての取扱いを希望する団体も存在 する。そこで、このような専門職業人による団体をコーポレーションとして取 扱うために、多くの州で専門職能法人 (professional service corporation)に 関する法律が創設された。専門職能法人は、法律業務、医療サービス、会計業 務及び準拠法に規定されたその他いくつかの専門職能を提供することを目的と した法人である(17)。これは専門職能法人と専門職能免許の認可機関との関係の ような問題を対象として特別規定も定められている(18)。 1960年の Kintner 規定以降、パートナーシップの取扱い範囲は緩和されるこ とになる。ほぼ同時期の1958年に、Subchapter S が規定され、Sコーポレーショ ンが創設された。Sコーポレーションは、Cコーポレーションよりも小規模な 企業形態で、パートナーシップと同様に課税上の導管性を有することが可能で ある。そのため、小中企業経営者に注目をあびることとなった。そして、1977 年に、ワイオミング州においてリミテッド・ライアビリティ・カンパニーが創 設されることとなった。しかし、リミテッド・ライアビリティ・カンパニーを Kintner 規定に適用した場合、組織の継続性を排除する努力をしなければ、税 務上、コーポレーションとして取扱われることになる。そのため、リミテッド・ ライアビリティ・カンパニーの存続期間を意図的に限定することによって、パ ートナーシップとして取扱っていた。そのため、当時、リミテッド・ライアビリ ティ・カンパニーの存続性の不安定性は拭い去れなかった(19)。さらに、1991年 に、テキサス州においてリミテッド・ライアビリティー・パートナーシップが 創設されることになった。リミテッド・ライアビリティー・パートナーシップ の魅力の一つは、パートナーに有限責任の権限が付与されていることである。 上述したリミテッド・ライアビリティ・カンパニーと比較して、法律上、パー トナーシップとして明確にされているか否かの違いで、基本的な点について何 ら違いはみられない。もし、最初にリミテッド・ライアビリティー・パートナ ーシップが創設されていたならば、リミテッド・ライアビリティ・カンパニー は存在しなかったであろうとも言われている(20)。 12 駒澤大学経営学部研究紀要第37号 そして、 1997年に、財務省規則においてチェック・ザ・ボックス規則(Checkthe-Box Regulation)が規定された(Sec. 701) 。チェック・ザ・ボックス規則 とは、Kintner 規定による四つの要因に縛られることなく、原則として納税者 が、自由にパートナーシップ課税かコーポレーション課税かを選択することが 可能な規則である。この規則によってパートナーシップか否かを判断する必要 性がなくなった。したがって、納税者の自由裁量で、前述した組織は、すべて パートナーシップとして取扱うことが可能となり、組織に課税上の導管性を有 することとなる。 2. パートナーシップの特徴 (1)パートナーシップの特徴 パートナーシップとは、利潤を目的とした事業を運営するために二人以上の 所有者を有する団体である。法律上、各州法によってパートナーシップの取扱 いは規定されており、米国においてパートナーシップは、一般的な企業形態と して普及している。 パス・スルーとして課税上の導管性を有するパートナーシップは、中小企業 経営者にとっては簡易な組織形態であったため魅力的なものであった。しかし、 初期のジェネラル・パートナーシップでは、すべてのパートナーが無限責任を 負うことから、パートナーの損失及び賠償等の個人的責任の危険性が、個人財 産にまで生じてくることになる。このことから、ジェナラル・パートナーシッ プは、より利用しやすい組織形態へと発展することになる。 前述したように、パートナーシップの設立にあたっては各州法に委ねられて いる。そのため、パートナーシップの種類、選択要件、責任制限の範囲等も各 州で異なることになる。また、パートナーシップにおけるパートナーの詳細な 取決めは、パートナーシップ契約(partnership agreement)のなかで規定され ている。パートナーシップごとにパートナーシップ契約も異なるため、パート ナーの変更、脱退及び志望によるパートナーシップの存続についても当然パー トナーシップごとに契約が異なる。しかし、パートナーシップの存続性の不安 パートナーシップの生成と発展(1) 13 定は拭い去れない。 下記に、ジェネラル・パートナーシップ、リミテッド・パートナーシップ及 びリミテッド・ライアビリティー・パートナーシップについて説明する。 ①ジェネラル・パートナーシップ 統一パートナーシップ法典においてジェネラル・パートナーシップとは、利 潤を目的とした事業を運営するために二人以上の所有者を有する団体と定義さ れている。 パートナーシップ契約を締結すれば、州当局に対する報告、書類提出及び登 録等の行政手続きなしで、ジェネラル・パートナーシップは設立される。した がって、各州法上、ジェネラル・パートナーシップは、組織形態として認可さ れているが、非公式な組織であるため存在を一般に公開されることはない(21)。 ジェネラル・パートナーシップにおけるすべてのパートナーは、無限責任を 負うことになり、これらのパートナーは、ジェネラル・パートナー(general partner)とよばれている。また、すべてのジェネラル・パートナーには、パ ートナーシップの経営に参加する権限が同等に付与されている。そして、パー トナーシップの財産に関する所有権についても、ジェネラル・パートナーが保 持しており、それにともなって、ジェネラル・パートナーは、費用返済、事業 契約における賠償、事業及び財産に対する義務を同等に有することになる。 通常の事業運営における事項については、 ジェネラル・パートナーによる過半 数の議決をもって決定されることになる。 さらに、パートナー契約の基本である 新規のパートナーの加入及び懲罰の判断等の事項についてはジェネラル・パー トナーによる全員一致をもって決定されなければならない(UPA18(e)、9(3)、 18(g))(22)。 ジェネラル・パートナーの同等の代理権限と経営参加の権限は、しばしば経 営の集中化を制限していることがある。これはジェネラル・パートナーが、無 限責任を負うことから生じてくる。ジェネラル・パートナーシップの経営は、 ジェネラル・パートナーに責任を押付けているように見受けられる側面もある が、これらの責任は、ジェネラル・パートナーがジェネラル・パートナーシッ 14 駒澤大学経営学部研究紀要第37号 プの代理であるという基本概念に由来している(23)。そのため、すべてジェネ ラル・パートナーが、必ずしも事業運営の中心にいるわけではない。ジェネラ ル・パートナーによる議決によって選出されたシングル・パートナー(single partner)が、ジェネラル・パートナーシップにおける全般の事業運営を任せら れることも容認されている(24)。 また、ジェネラル・パートナーは同等の信用性の責任を有していることから、 ジェネラル・パートナーシップは、パートナーシップに関する報告を各ジェネ ラル・パートナーに提供する義務がある(UPA20、21)。前述したように、パー トナーシップ契約にもとづいてジェネラル・パートナーの権限は明確にされ、 ジェネラル・パートナーシップは、ジェネラル・パートナーの代理となるが、 その権限によってジェネラル・パートナーシップは運営されることになる。し たがって、ジェネラル・パートナーシップの責任には、パートナーシップ契約 における共同責任、パートナーシップの共同条件による責任、そして、パート ナーシップの不正行為等による責任が存在する。このことから、ジェネラル・ パートナーシップの責任は、パートナーシップの利益評価に対しても有限なも のではないことになる(25)。 ②リミテッド・パートナーシップ 1976 年の修正統一リミテッド・パートナーシップ法典(Revised Uniform Limited Partnership Act)においてリミテッド・パートナーシップとは、二 人以上によって設立され、一人以上のジェネラル・パートナーと一人以上のリ ミテッド・パートナー(limited partner)を有するパートナーシップである と定義されている(RULPA101(7)) 。 リミテッド・パートナーシップは、慣習法(common law)を起源としたもの ではなく、仏国のパートナーシップの組織形態を米国に導入したものである。 1882年に、ニューヨーク州において、最初にリミテッド・パートナーシップは 創設され、このニューヨーク州法を規範として、他の州政府もリミテッド・パ ートナーシップを導入することになった。 ジェネラル・パートナーシップと異なって、リミテッド・パートナーシップ パートナーシップの生成と発展(1) 15 の設立には、州当局に登録届出書を提出することになる(RULPA201)。この登 録届出書には、リミテッド・パートナーシップ、登録書提出人、ジェネラル・ パートナーとその住所、そして、パートナーシップが消滅する条件を記載しな ければならない (26)。また、会社名にリミテッド・パートナーシップと表示 しなければならないが、リミテッド・パートナーの会社名又は個人名は表示し てはならない(RULPA102、303(3)) 。 リミテッド・パートナーシップにおけるジェネラル・パートナーは、事業運 営の権限及び経営参加の権限を有することから必然的に個人的責任も有するこ とになる。すなわち、ジェネラル・パートナーは、無限責任を負うことになる。 一方、リミテッド・パートナーは、個人的責任までは有せず、有限責任の権限 が付与されている。それと引替えに、リミテッド・パートナーには、リミテッ ド・パートナーシップへの経営参加の権限は容認されていない。しかし、リミ テッド・パートナーは、経営参加に関与しないことから、リミテッド・パート ナーシップと実質的な関係をもつことができる。具体的な例として以下のもの が考えられる(27)。 a.リミテッド・パートナーは、ジェネラル・パートナーの代理又は従業員と して活動することが許可される。 b.リミテッド・パートナーシップの事業に関してジェネラル・パートナーに 助言及び指導ができる。 c.リミテッド・パートナーシップの消滅、事業の撤退、パートナーの加入及 び解任等の基本的変更、リミテッド・パートナーシップの事業に関する本質 的変更を提案若しくは議決する権限が付与されている。 したがって、リミテッド・パートナーは、保護された身分が剥奪されること のない取締役又は株主と同様の役割を担っているようである。要するに、リミ テッド・パートナーは、ジェネラル・パートナーに対して補助的な立場をとっ ているため、内国歳入法上も曖昧な立場を採っていた(28)。前述したように、 内国歳入法上、Kintner 規定以前の判断では、リミテッド・パートナーシップ をパートナーシップとして取扱うことは困難であった。 16 駒澤大学経営学部研究紀要第37号 また、投資評価及び投資保護の提案議決の権限から、リミテッド・パートナ ーシップは、パートナーシップの財政状態及び経営成績に関する報告を各リミ テッド・パートナーに提供する義務がある。さらに、リミテッド・パートナー シップの管理という側面から、リミテッド・パートナーには、パートナーシッ プの住所等を含めて正確な記録を調査及び複写する権利が与えられている。 そして、ジェネラル・パートナーが、リミテッド・パートナーシップに損害 を被って賠償責任を負う場合、リミテッド・パートナーは、リミテッド・パー トナーシップの代理として責任を追及するための提訴権利を付与されている (RULPA1001-1004) 。この派生訴訟 (derivative action)は、一般株主がリミテッ ド・パートナーに代わっただけで、実質的に株主代表訴訟と類似したものだと 考えられる。 ③リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ 1991年に、テキサス州においてリミテッド・ライアビリティ・パートナーシ ップが、初めて創設された。リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ では、すべてのパートナーに有限責任が付与されている。ただし、各州法及び パートナーシップ契約によって、パートナーの責任範囲は異なってくる。そし て、リミテッド・パートナーシップと同様に、リミテッド・ライアビリティ・ パートナーシップの設立には、 州当局に登録届出書を提出しなければならない。 1980年代、大半の監査法人、法律事務所、病院等の専門職業人によるサービ ス事業は、積極的な経営参加を希望してジェネラル・パートナーシップの組織 形態を採用していた。しかし、貯蓄貸付組合が破綻したため、業務過誤の理由 から、公認会計士、弁護士等の専門職業人にまで責任が遡及したのである。こ のために、貯蓄貸付組合の破綻と何ら関係のない、これらの専門職業人が関係 するジェネラル・パートナーシップのジェネラル・パートナーにまでもが連帯 責任が生じることとなった。このことを回避するために、テキサス州では、パー トナーシップ法を改正し、ジェネラル・パートナーの責任範囲を制限して、他 のジェネラル・パートナーの過失及び違法行為による個人責任及び連帯責任の 回避を可能としたのである(29)(30)。 パートナーシップの生成と発展(1) 17 1994年に、ニューヨーク州においてもリミテッド・ライアビリティ・パート ナーシップは認可され、本格的に普及することとなり、現在では全州で認可さ れている。当時、六大監査法人では、ジェネラル・パートナーシップの組織形 態を採用していた。しかし、ある一人のジェネラル・パートナーの活動によっ て生じた責任請求の遡及から他のジェネラル・パートナーを保護する理由で、 六大監査法人は、組織形態をリミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ へ変更した。そのために、六大監査法人は、リミテッド・ライアビリティ・パ ートナーシップが認可されているニューヨーク州に本拠地を移転した(31)。ちな みに、現在の四大監査法人は、すべてリミテッド・ライアビリティ・パートナ ーシップの組織形態を採っている。 リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップとジェネラル・パートナー シップには、基本的に大きな違いは存在しない。ただ、パートナーの責任範囲 が限定されるか否かの違いである。ジェネラル・パートナーシップのジェネラ ル・パートナーは、パートナーシップ及び他のジェネラル・パートナーの債務 に対して個人的責任及び連帯責任を負うことになる。一方、リミテッド・ライ アビリティ・パートナーシップのパートナーは、パートナーシップ契約の責任 範囲内でしか個人的責任及び連帯責任を負わない。リミテッド・ライアビリテ ィ・パートナーシップでは、自己の過失及び違法行為による個人的責任を負う 必要性はあるが、他のパートナーの過失及び違法行為による個人的責任は負う 必要性がないのである。また、事業運営を委託された代表者であるパートナー の責任範囲もリミテッド・ライアビリティ・パートナーシップの保証債務によ って、その資産を限度として軽減される。 しかし、前述したように、リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ の責任範囲は、各州法及びパートナーシップ契約によって異なっており、通常 の事業運営から生じた一定の違法行為及び不正行為に対する責任範囲を部分的 に限定するものから全面的に限定するものまで多様である。したがって、部分 的な責任範囲の限定容認であれば、他のパートナーに対して訴訟が起こされた 場合、連帯責任が遡及して個人的責任を負う可能性も生じてくる。このことか 18 駒澤大学経営学部研究紀要第37号 ら、一時的に、リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップの総数は減少 したといわれている(32)。現在、このような他のパートナー及びリミテッド・ラ イアビリティ・パートナーシップの過失及び違法行為による個人的責任及び連 帯責任責を部分的に限定するのではなく、リミテッド・ライアビリティ・パー トナーシップの責任範囲を全面的に限定しようとする傾向がある。 上述したように、代表的なパートナーシップとして、ジェネラル・パートナ ーシップ、リミテッド・パートナーシップ及びリミテッド・ライアビリティ・ パートナーシップが存在するが、これらの各パートナーシップの特徴を簡単に 図示すれば、下記の(図表1)のようになる。 (図表1) 組織形態 創設 ジェネラル・パートナー リミテッド・パートナー リミテッド・ライア シップ シップ ビリティ・パートナ (general partnerships) (limited partnerships) ーシップ (limited liability partnerships) 1776 年 1882 年 1991 年 独立時から存在 ニューヨーク州 テキサス州 統一パートナーシップ法 統一リミテッド・パート 法律の適用 典及び各州法 ナーシップ法典及び各州 法 ジェナラル・パートナー ジェネラル・パートナー 出資者の種 及びリミテッド・パート 類 ナー 無限責任のみ ジェネラル・パートナー 有限責任範 は無限責任 囲 リミテッド・パートナー は有限責任 すべてのジェネラル・パ ジェネラル・パートナー ートナーに経営参加の権 に経営参加の権限を付与 経営参加の 限を付与 有無 ( ただし、シングル・パ ートナーのみに委託する ことも可 ) 登録届出書 登録届出書の提出必要な 登録届出書の提出必要 の必要性 し 各州法 パートナー 有限責任のみ 経営を委託されたパ ートナーと経営に参 加しないパートナー が存在 登録届出書の提出必 要 パートナーシップの生成と発展(1) 19 (図表1)から解るように、パートナーシップの種類は、パートナーの責任範 囲の違いによって分類されることになる。そして、パートナーシップ又はパー トナーの過失及び違法行為による個人責任並びに連帯責任を限定していくこと で、ジェネラル・パートナーシップからリミテッド・パートナーシップ、リミ テッド・ライアビリティ・パートナーシップへと発展したと考えられる。ただし、 法律上、これらの組織形態は、パートナーシップにはかわりはない。成熟した パートナーシップとして、リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップが あげられるが、コーポレーションに比較的に近い組織形態である。しかし、監 査法人、法律事務所、病院等の専門職業人によるサービス事業においては、積 極的な経営参加を希望することから、コーポレーションのような企業形態では 不都合が生じてくる。責任範囲の限定という点からは、ジェネラル・パートナ ーシップよりもリミテッド・ライアビリティ・パートナーシップのほうが都合 のよいことになる。さらに、リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ の詳細な取決めは、パートナーシップ契約の規定に委ねられるため、この契約 のなかで、運営事業を委ねられたパートナーとそれ以外のパートナーに分類さ れれば、実質的な所有と経営の分離も存在することになる。しかし、最も魅力 的な点は、コーポレーションとほぼ類似した組織形態でありながら、課税上の 導管性を有しているということである。 (2)チェック・ザ・ボックス規則について 1996年の税制改正によって、パートナーシップとしての取扱いを規定した財 務省規則が、全文改正されることとなった。この改正によって、チェック・ザ・ ボックス規則が規定され、パートナーシップとして取扱うか否かの判断は、納 税者の申告に委ねられることとなった(Sec. 7701-1.2.3)。チェック・ザ・ボッ クス規則のもとでは、 二人以上のメンバー(member)を有する事業実体は、パー トナーシップ又はコーポレーションとして取扱うかを納税者の自由裁量によっ て選択が可能となったのである。一方、一人しか所有者(owner)を有しない事 業実体は、個人事業又はコーポレーションとして取扱われる。また、連邦法及 び各州法のもとで設立された事業実体及び公開市場で持分を取引されるパート 20 駒澤大学経営学部研究紀要第37号 ナーシップは、コーポレーションとして課税され、納税者に選択の余地は与え (33) られていない(Sec. 7704) 。 1980 年から 1981 年にかけて第二次石油危機等の直撃によって、米国経済 は、深刻な景気後退に直面していた。当時、米国経済は、スタグフレーション (stagflation)のさなかにあり、実質平均家計所得は 1970年以前の水準に後退 しているにもかかわらず、個人の名目所得はインフレのため上昇していたので ある。そのため、プラケット・クリープ(placket creep)が発生し、実質的税 負担が、強度の重税感を国民に抱かされるようになった。このことが、レー ガン政権の税制改革の根拠となっている(34)(35)。そこで、レーガン政権では、 1981年の経済再生税制と1986年の税制改正の二度にわたる抜本的な税制改革が 実施されたのである。 その結果、レーガン政権では、景気回復及びインフレ抑制に成功したが、レ ーガン政権の最大の負の遺産である膨大な財政赤字をブッシュ政権並びにクリ ントン政権は引継ぐことになった。1993年に、クリントン政権では、 「米国変革 のビジョン」という構想を公表しており、1993年の包括予算調整法にもとづい て連邦個人所得税の最高税率は、31%から36%に引上げられた。さらに、一定 の高額所得者には、付加税を適用したので税率は36.9%となった。そして、連 邦法人所得税の税率は、34%から35%に引上げられた(36)。 ただし、連邦個人所得税の改正は、税率構造の累進性を回復するものであり、 そのなかでキャピタル・ゲインの優遇措置を復活及び拡充する必要性もあった (37) 。そこで、チェック・ザ・ボックス規則が導入されたのである。この累進税 率を利用して、法人形態から個人形態への変更が相次ぎ、パートナーシップの 利用を促進させることとなった。また、チェック・ザ・ボックス規則には、ベ ンチャービジネスの誘致及び育成、市場資金調達の容易性、雇用機会の拡大と いう目的を前提とした経済政策上の規制緩和も含意されている。 従来の Kintner 規定では、連邦法人所得税と連邦個人所得税の税率を勘案し ながら、パートナーシップとしての課税の判断にあたって慎重な検討を要して いた。そのため、施行規則及び通達が複雑となり、課税当局の事務的処理も煩 パートナーシップの生成と発展(1) 21 雑化していた(38)。しかし、チェック・ザ・ボックス規則の導入によって、納税 者の自由裁量によって課税の取扱いを選択できるため、過去の判例による矛盾 と課税当局の事務的処理の簡素化は解決されたと考えられる。そこで、コーポ レーションの特徴が強いとされながらも課税上の導管性を有するSコーポレー ションとリミテッド・ライアビリティ・カンパニーについて述べることにする。 ①Sコーポレーション 1958年に、 Subchapter S が規定され、Sコーポレーションが創設されること となった。内国歳入法上、コーポレーションの取扱いとして、Cコーポレー ション及びSコーポレーションの取扱いが存在する。Cコーポレーションと は、一般法人であるコーポレーションのことであり、内国歳入法第1章C節 (Subchapter C)に、詳細な取扱いが規定されていることから、Cコーポレーシ ョンとよばれている。当然、Cコーポレーションでは、コーポレーションの所 得に対して連邦法人所得税が課される。一方、 Sコーポレーションは、内国歳入 法第1章S節(Subchapter S)に、詳細な取扱いが規定されていることから、 Sコーポレーションとよばれている。しかし、 Sコーポレーションでは、コーポ レーション自体が課税対象とはならず、 株主の持分に応じて、Sコーポレーショ ンの所得を分配し、 その所得に対して連邦個人所得税が課される。したがって、 課税上の導管性を有することになる。また、コーポレーションと同様に、Sコ ーポレーションの設立には、州当局に登録届出書を提出しなければならない。 法律上、これら両者の組織形態は、コーポレーションの企業形態として違い はない。だが、内国歳入法上、事業実体の規模を基準にして、これら両者の違 いは明確に分類されている。五事業年度のうち三事業年度の総所得を基礎とし て、10万ドルから50万ドルの範囲内で判断基準を設定し、この基準にもとづい てCコーポレーションかSコーポレーションを分類していた(39)。現在では判断 基準ではなく、 Sコーポレーションの制約条件が設けられている。Sコーポレー ションの制約条件として下記の条件があげられている。 a.すべての株主が同意すること(Sec. 1362 (a)(2))。 b.コーポレーションが内国法人であること(Sec.1361(b)(1))。 22 駒澤大学経営学部研究紀要第37号 c. コーポレーションの株主が100人以下であること(Sec.1361(b)(1)(A)、(c))。 d.コーポレーションの株主は、個人又はその他の事業実体に限定されている こと(Sec. 1361(b)(1)(B)、(c)(2)、(d)、(e))。 e.コーポレーションの株主は永住権を有していなければならない(Sec. 1361 (b)(1)(C)) 。 f. コ ー ポ レ ー シ ョ ン と し て 一 種 類 の 株 式 の み の 発 行 で あ る こ と(Sec. 1361(b) (1)(D)) 。 g.コーポレーションとして法人格を有していること(Sec. 1361(b)(2))。 上記の制約条件を満たさなければ、内国歳入法上、Sコーポレーションとし て取扱われない。これらの制約条件は、1996年の小規模ビジネス雇用保護法 (small business job protection act)及び納税者控除法(taxpayer relief act)の改正にともなって大幅に改正されたといわれている(40)。従来から制約条 件は設けられていたが、株主は35人以下でなければならず、他のコーポレーシ ョンの株式を80%以上保有することは容認されていなかった。そのため、Sコ ーポレーションは、ごく限られた小規模ビジネスにしか利用されることはなか った。しかし、現在では制約条件も上記のように緩和され、Sコーポレーショ ンの範囲は大幅に拡大し、事業実体として選択される機会も増加したと考えら れる。 ②リミテッド・ライアビリティー・カンパニー 1977年に、ワイオミング州において、石油及び天然ガス採掘事業活性化のた めに、リミテッド・ライアビリティ・カンパニーが創設されることとなった(41)。 リミテッド・ライアビリティー・カンパニーは、二人以上の投資者であるメン バー (member) によって設立される法人格を有しない事業実体である。そして、 すべてのメンバーは、責任範囲が限定されており、有限責任の権限が付与され ている。したがって、メンバーは、他のメンバーによる過失及び違法行為によ る個人責任及び連帯責任を負う必要性がなくなる。また、すべてのメンバーに 経営参加の権限が付与されており、これは新規に事業進出するにあたって弾力 性をもたせたものであった。 パートナーシップの生成と発展(1) 23 そして、リミテッド・ライアビリティ・カンパニーの設立には、州当局への 登録及び基本定款の提出が必要である。基本定款には、組織名称、主たる営業 所及び代理人の住所、組織の存続期間等の詳細を規定している。しかし、各メ ンバーの投資額については一般的に明記する必要はない(42)。 法律上、リミテッド・ライアビリティー・カンパニーは、容認されている組 織形態の一つであり、創設当時、課税上の導管性を有した組織形態ではなかっ た。その後、1988年に、内国歳入法上、リミテッド・ライアビリティー・カン パニーは、パートナーシップとして取扱われることとなった。この改正によっ て、リミテッド・ライアビリティー・カンパニーは、課税の導管性を有するこ とになったのである。 上述したように、チェック・ザ・ボックス規則の導入によって、パートナー シップとは異なる組織形態でありながら、パートナーシップと同様に取扱われ る組織形態として、S コーポレーション及びリミテッド・ライアビリティ・カ ンパニーが存在するが、これらの組織形態の特徴を簡単に図示すれば、下記の (図表2)のようになる。 (図表2) 組織形態 Sコーポレーション リミテッド・ライアビリティ・ (limited liability company) カンパニー (S corporation) 創設 1958 年 内国歳入法によって規定 1977 年 ワイオミング州 法律の適用 会社法及び内国歳入法 各州法 出資者の種類 株主 メンバー 有限責任範囲 有限責任のみ 有限責任のみ 経営参加の有無 すべての株主に経営参加の権限 すべてのメンバーに経営参加の を付与 権限を付与 登録届出書の必要性 登録届出書の提出必要 登録届出書の提出必要 24 駒澤大学経営学部研究紀要第37号 (図表2) から解るように、Sコーポレーションとリミテッド・ライアビリテ ィ・カンパニーの共通点として第一に、すべての株主又はメンバーに対して責 任範囲の限定と経営参加の権限が付与されている。これによって、少額の資本 によってベンチャービジネス等を運営する際、経営者は執行力を握ったうえで 個人的責任を負う必要性がない。第二に、課税上の導管性の選択を兼ね備えて いる。設立当初、 事業実体が過大な稼得を獲得することは難しい。したがって、 株主又はメンバーの持分に応じて累進課税である連邦個人所得税を課される方 が有利に働き、また、株主又はメンバーと事業実体との二重課税の回避も可能 となる。 次に、Sコーポレーションとリミテッド・ライアビリティ・カンパニーの相 違点として第一に、法律上の規制が異なる。Sコーポレーションは、会社法の 規制を受け、リミテッド・ライアビリティ・カンパニーは、各州法の規制を受 けることになる。Sコーポレーションは、コーポレーションのうちの一つの形 態であるため、設立等の行政的手続が、厳格なものとなる。さらに、Cコーポ レーションと同様に、Sコーポレーションは、株主に対して情報開示の必要性 が生じてくる。一方、リミテッド・ライアビリティ・カンパニーは、各州法の 規制を受けるため、Sコーポレーションのような制約条件は適用されない。し たがって、企業実体として利用するにあたって、リミテッド・ライアビリティ・ カンパニーの方が、弾力性と容易性を有しているといえる。しかし、各州法に もとづくため、各州でリミテッド・ライアビリティ・カンパニーの規定が異な るという欠点も有している。第三に、株式及び持分の自由譲渡性についてリミ テッド・ライアビリティ・カンパニーは、基本定款及び基本契約の操作が可能 なため、自由譲渡性は曖昧なものとなっている。これに対して、Sコーポレー ションは、会社法の規制を受けるため、自由譲渡性を有することは明確である。 したがって、ベンチャービジネス等の事業規模を拡大する際、自由譲渡性を有 することは、資本調達を容易に図ることが可能であると考えられる。 Sコーポレーションとリミテッド・ライアビリティ・カンパニーを比較した 場合、一概にどちらの組織形態が有利であるか判断することは困難である。し パートナーシップの生成と発展(1) 25 かし、事業規模の拡大にともなって、幅広い投資家から資本調達を図る必要性 が生じてくる。その際、投資家側の立場に着目すれば、事業実体に対して外的 法規制が強い方が望ましい。したがって、投資家の信頼性から、行政的手続は 煩雑になるが会社法の規制を受けるSコーポレーションのほうが自由譲渡性も 含めて資本調達を容易に図ることができる。 また、前述したリミテッド・ライアビリティ・パートナーシップと比較した 場合、責任範囲の限定が付与されている点では異ならないが、経営参加の権限 の付与の点で異なってくる。リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ においてパートナーが経営参加に関与するか否かは、パートナーシップ契約の 規定に委ねられるため、実質的な所有と経営の分離が存在することになる。し かし、Sコーポレーションとリミテッド・ライアビリティ・カンパニーでは、 すべての株主及びメンバーは、経営参加の権限が付与されているため、原則的 に所有と経営の分離は生じない。したがって、チェック・ザ・ボックス規則に よって、リミテッド・ライアビリティ・カンパニーが課税上の導管性を有する 限り、リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップとの優劣は付け難いと 考えられる。 おわりに チェック・ザ・ボックス規則が導入され、納税者の自由裁量によってパート ナーシップとしての課税の取扱いが選択可能になった。このことによって、各 州法で容認されている法律上のパートナーシップが、税務上のパートナーシッ プとして取扱われないという過去の判例による矛盾と課税当局の事務的処理の 簡素化は解決されることとなった。 しかし、事業実体を利用する経営者としては、特徴の類似したSコーポレー ション、リミテッド・ライアビリティ・カンパニー及びリミテッド・ライアビ リティ・パートナーシップのうちどの組織形態を選択すればよいのか困惑する。 行政的手続は煩雑となるが、将来的に事業規模を拡大する前提ならば、信頼性 及び資本調達の容易性という理由から、Sコーポレーションが望ましいと考え 26 駒澤大学経営学部研究紀要第37号 られる。また、チェック・ザ・ボックス規則導入以前、リミテッド・ライアビ リティ・カンパニーは、税務上、パートナーシップとして取扱われなかった。 そのため、利用し難い組織形態の一つであったが、チェック・ザ・ボックス規 則導入後は、コーポレーションとしての特徴が強いにもかかわらず課税上の導 管性を有するため、 利用し易い組織形態へと変わった。このことは、リミテッド・ ライアビリティ・カンパニーの組織形態数が物語っている。チェック・ザ・ボッ クス規則導入以前における1994年のリミテッド・ライアビリティ・カンパニー の組織形態数は、約117,000社であり、導入後における2002年の組織形態数は、 約946,000社である(43)。 また、経済政策上の規制緩和としてチェック・ザ・ボックス規則は導入され たが、内国歳入庁と各州政府との垂直的な租税関係を歪めているという意見も ある(44)。各州政府は、内国歳入法の課税所得の規定を調整しながら利用してい る。したがって、内国歳入庁に申告されるコーポレーションの利潤が、一般経 済の成長と同じペースで上昇すれば、各州政府が課税するコーポレーションの 利潤も一般経済の成長と見合ったペースで上昇するはずである。しかし、事業 実体として課税上の導管性を有する組織形態を利用するかなりの経営者が存在 するため、パートナー及びメンバーである出資者に連邦個人所得税が課される ことになる(45)。このことによって、課税ベースは浸食されていると考えられる。 さらに、1997年から2007年まで、連邦法人所得税の税率には変更はないが、連 邦個人所得税の税率は最高税率39.6%から35%へと引下げられている(46)(47)。 チェック・ザ・ボックス規則導入から、パートナーシップの取扱いに対し て、さらなる規制緩和がなされたと考えられる。ベンチャービジネスの誘致及 び育成、市場資金調達の容易性、雇用機会の拡大という目的を前提とすれば、 ある程度のパートナーシップ課税は必要である。しかし、米国財政の復調と各 州政府の垂直的な租税関係の歪みがもたらす課税ベースの浸食を考慮すれば、 チェック・ザ・ボックス規則は余りにも緩和過ぎる。さらに、コーポレーショ ンの特徴が強いとされる類似した組織形態が複数存在するので、経営者は事業 実体の選択に困惑する。これらを踏襲すれば、チェック・ザ・ボックス規則の パートナーシップの生成と発展(1) 27 見直しと課税の導管性を有する組織形態の統合が必要だと考えられる。 注 (1)米国においてパートナーシップは、企業形態の一つとして捉えられている。しかし、 正確には組織形態のうちの一つとして捉えるべきであるという意見も存在する。また、 コーポレーションは、株式会社として捉える意見も存在するが、本稿では株式会社に限 定しないということでコーポレーションとして取扱うことにする。 (2)本稿では、パートナーシップをコーポレーション及び個人企業と比較するときには、 「企 業形態」という用語を使用するが、それ以外の比較では、「組織形態」という用語を使 用する。 (3)Curtis J. Berger, Peter J. Wiedenback, PARTNERSHIP TAXATION, WEST PABLISHING COMPANY p.1 (4)佐久間信夫編著『現代企業論の基礎』学文社 2006年 4~5頁。 (5)佐久間信夫編著 同上書 22頁。 (6)大塚久雄教授によると個人企業、合名会社、合資会社、株式会社の順序で発展し、株 式会社の特徴として、①全社員の有限責任の確立、②会社機関の存在、③譲渡自由な等 額株式制、④確定資本金制度と企業の永続性をあげている。そして、①の全社員の有限 責任の確立が株式会社の決定的指標であると主張している。(大塚久雄『株式会社発生 史論』岩波書店 1969年 144頁) (7)Thomas C. Cochran, 200YEARS OF AMERICAN BUSINESS, PUBLISHERS NEWYORK p.15 (8)佐久間信夫編著 前掲書 22頁。 (9)Thomas C. Cochran, ibid., p.16 (10)Thomas C. Cochran, ibid., p.16 (11)Robert Charles Clark, CORPRATE LAW, Little Brown and Company pp.2-3 (12)Robert Charles Clark, ibid., p.2 (13)佐藤英明「アメリカ連邦所得税における『パートナーシップ』の範囲に関する問題点」 『日 税研論集』Vol.44 34頁。 (14)Erwin N. Griswold, CASES AND MATERIALS ON FEDRAL TAXATION, Brooklyn The 28 駒澤大学経営学部研究紀要第37号 Foundation Press pp.923-930 (15)U.S. TAX CASES, U.S. v. Kintner et al, Commerce Clearing House Inc VOLUME 54-2 pp.690-696 (16)佐藤英明 前掲稿 57頁。 (17)平野嘉秋「日本版LLC・LLPと課税上の論点〈1〉 」国際税務 Vol.24 No.11 44~45頁。 (18)Kintner 規定の特別規定として、まず、専門職能法人は、団体の不安定性から「組織の 継続性」は認められないとした。第二に、団体の構成員が専門職能を個々に有している ことから、専門職能法人の経営者は、すべての事項を決定する排他的な権限は有してい ないため、「経営の集中」はないとした。第三に、責任の重要性によって「組織の有限 責任性」の是非は決定される。したがって、医師及び弁護士等の専門性の高い組織であ れば、過誤責任を負う可能性があるため、 「組織の有限責任性」は認められないことに なる。最後に、「持分の自由譲渡性」は、パートナーシップと同様に認められない。 (19)平野嘉秋「LLC の法務と税務 リミテッド・ライアビリティ・カンパニーの法構造(1)」 国際税務 Vol.18 No.9 34頁。 (20)平野嘉秋 前掲稿 49頁。(15) (21)Curtis J. Berger, Peter J. Wiedenback, op. cit., pp.18-19 (22)Curtis J. Berger, Peter J. Wiedenback, ibid., p19 (23)Curtis J. Berger, Peter J. Wiedenback, ibid., p19 (24)Thomas R. Pope, Kenneth E. Anderson, John L. Kramer, FEDERAL TAXATION 2007 Comprehennsive, PRENTICE HALL'S 2007 9-3 (25)Curtis J. Berger, Peter J. Wiedenback, op. cit., p20 (26)Curtis J. Berger, Peter J. Wiedenback, ibid., p27 (27)Curtis J. Berger, Peter J. Wiedenback, ibid., p28 (28)Gray C. Karch, Equity Compensation By Partnership Operating Businesses, TAXES December 1996 p.722 (29)枡田淳二「アメリカの新しい事業形態~ LLC、LLP および LLLP の展開~〔下〕」国際商 事法務 Vol.26 No.8 796頁。 (30)William H. Hoffman, Jr. William A. Raabe, James E. Smith, David M. Maloney, パートナーシップの生成と発展(1) 29 CORPORATIONS, PARTONERSHIP, ESTATE, AND TRUSUT, West Publishing Company 10-5 (31)William H. Hoffman, Jr. William A. Raabe, James E. Smith, David M. Maloney, ibid., 10-5 (32)William H. Hoffman, Jr. William A. Raabe, James E. Smith, David M. Maloney, ibid., 11-41 (33)本文にあげたもの以外にコーポレーションとして課税される事業実体は、州法にもと づくジョイント・ストック・カンパニー(joint-stock company)及びジョイント・ストッ ク・アソシエーション(joint-stock association) 、保険会社、銀行、自治体が100% 出資した事業実体が含まれる。 (34)高橋利雄『アメリカの財政政策と税制改革』ぎょうせい 平成 17 年 204 頁。 (35)プラケット・クリープとは、インフレによる名目所得の膨張と累進税率構造によって 発生する増税のことである。 (36)高橋利雄 前掲書 213頁。 (37)渋谷博史『20世紀アメリカ財政史Ⅲ-レーガン財政からポスト冷戦へ-』東京大学出 版会 2005年 252頁。 (38)福島節子「LLC の税務上のメリットを活かすためのポイント」税務弘報 Vol.45 No.13 137頁。 (39)Jerome Kurtz, The Limited Liability Company and the Future of Business Taxation: A Comment on Professor Bergers Plan, TAX LAW REVIEW Vol.47 1992 p.81 (40)Arthur C. Walker, TAX PLANNING OPPORTUNITIES USING QSSSs AS PASS THROUGH ENTITIES, TAXES AUGUST 1998 pp.23-24 (41)福島節子「LLC の概要と課税問題」税務弘報 Vol.45 No.11 90 ~ 91 頁。 (42)ジョセフ G. ジアノラ、スコット L. ランズバウム「リミテッド・ライアビリティ・カ ンパニー~その形態の適正な選択に関する考察~」国際商事法務 Vol.22 No.2 123頁。 (43)Thomas R. Pope, Kenneth E. Anderson, John L. Kramer, op. cit., 9-3 (44)片桐正俊『アメリカ財政の構造転換』東洋経済新報社 2005年 229頁。 (45)課税上の導管性を有する組織形態は全体の約七割になる。 (46)CCH Editorial Staff Publication, 2007 U.S. Master Tax Guide, CCH 2007 pp.27 30 駒澤大学経営学部研究紀要第37号 -47 (47)CCH Editorial Staff Publication, 1997 U.S. Master Tax Guide, CCH 1997 pp.15 -31