午後 2 時～3 時 45 分

図書館 名作映画鑑賞会
―⽇本語字幕―
平成
年
月
23 日(土)
午後 2 時～3 時 45 分
（開場 午後 1 時 30 分）
場所：戸田市立図書館 ２階視聴覚室
対象：一般（高校生以上）
定員：４０名（申込不要・当日先着順）
費用：無料
戸田市立図書館
〒335-0021 埼玉県戸田市大字新曽 1707 番地
TEL 048-442-2800 FAX 048-442-8988
https://library.toda.saitama.jp/
https://library.toda.saitama.jp/i/ihome.html 【携帯電話用】
休館日
第 2、第 4、第 5 月曜日（祝日のときは開館）
月末整理日（土･日曜日･祝日のときは開館）
※戸田駅より徒歩８分
※toco バス西循環「図書館・博物館」下車
監督と作品
ルネ・クレマン（1913.3.18－1996.3.17）は、フランスの映画監督で、初期には鉄道組合員のレ
ジスタンス運動を題材にした『鉄路の闘い』
（
‘45）や潜水艦に閉じ込められた人々の葛藤を描く『海
の牙』
（‘46）など記録映画を思わせる手法を用いた硬質な作品で知られていた。ところが本作『禁
じられた遊び』
（‘52）では、一転して詩的レアリスムに満ちた牧歌的な作風の映画を撮り、世界中
で大ヒットするとともに、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞（グランプリ）と英国アカデミー名誉賞
（外国語映画賞）を受賞するなど高い評価を得た。
その後、クレマンは更に作風を変え、フランスの人気男優アラン・ドロンを主役に『太陽がいっ
ぱい』
（‘60）を撮り、娯楽色の強いサスペンス映画として大ヒットした。これまでも作風の変化は
あったが、娯楽映画といえるようなものがなかっただけに、
『太陽がいっぱい』がクレマン作品とし
てその後の大きな転機になった。なお、クレマンが世界三大映画祭で賞を受賞したのは、『居酒屋』
（‘56）までとなっている。
『禁じられた遊び』は、音楽とともにめくられていく本のページに出演者やスタッフの名前が記
されているという斬新なオープニングクレジットで始まる。ここで流れる音楽は、ナルシソ・イエ
ペスのギターによる独奏で、この映画全編の音楽がイエペスのギターソロで奏でられている。テー
マ曲の『愛のロマンス』はこの映画と共に有名になり、映画音楽史上屈指の名曲といわれている。
抒情的で哀切を伴う調べが、この映画の詩情豊かな情景を特に強く印象付けている。
映画は、冒頭でドイツ軍の空襲に逃げ惑う人々の混乱が描かれ、主人公ポレットの両親と飼い犬
が機銃掃射で死傷する。５歳の幼女ポレットは、絶命した両親を後にし、瀕死の子犬を抱いてその
場を逃れていくが、その子犬もやがて死ぬ。犬の死骸を抱え農村にたどり着いたポレットは、農家
の子供である少年ミシェルと出会い、その子の家の世話になることになる。その家族は皆粗野で無
教養だが、愛嬌があり珍しいパリッ子のポレットに興味とともに好感を持ち、彼女をぞんざいには
扱わなかった。そんな日々の中、水車小屋での愛犬の埋葬をきっかけにポレットとミシェルは、小
動物の墓作りに励むことになる。そしてこれが二人にとって密かな愉悦を伴う儀式（遊び）となっ
た。
題名にある「禁じられた遊び」とは、何を禁じているのか。小動物の墓を作るために命あるもの
の死をほしいままにし、キリスト（神）の象徴である十字架を盗み、玩具の如く扱うという冒瀆が
「禁じられた＝許されざる」遊びとされているのだろう。そして、ラストでは、「禁じられた遊び」
の首謀者となってしまった幼い女の子と彼女の歓心を買うためにあえて禁忌を犯した思春期前の少
年に厳しい現実が待っていた。
また、この映画は、ポレットの可愛らしい仕草や表情に目を奪われがちだが、隣人同士の諍いや
両家の子供の逢引きのシーンなどユーモラスな演出が随所になされている点も見逃せない。
（
（館長
熊谷尚慶）