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感動の一冊! - 兵庫県立図書館
さわやかな季節となりました。芸術の秋、スポーツの秋、そして読書の秋。10月27日から11月9日 まで、2008・第62回「読書週間」です。このたびの標語は「おもわぬ出会いがありました。」です。感動 の一冊との出会いが、あなたの人生をドラマチックに変えてくれるかも?しれませんよ。 2008.10.1 兵庫県立図書館 調査相談課 TEL 078-918-3377(直通) . 書 名 ローマ人の物語 1~15 著 者 名 塩野 七生 著 当館請求記号 出 版 者 232/16/1~ 新潮社 15 刊年 2006 古代ローマの興亡を14年にわたり、書き綴った壮大なドラマ小説です。歴史に君臨した大帝国は、いつ、ど のようにして滅んだのか、じっくりと読む感動の一冊です。この作品により、1993年に新潮学芸賞を受賞。ま た、2002年にイタリア共和国功労勲賞、2007年文化功労賞に輝くなど、活躍中の作者のこのシリーズを踏破 するのも、ひとつの感動ものです。 遠きにありてつくるもの 日系ブ 細川 周平 著 ラジル人の思い・ことば・芸能 334.4/342 みすず書房 2008 石風社 2001 今年はブラジル移民百年。色々な図書が刊行されましたが、日系ブラジル移民の 歴史と文化を再考するのに、著者の、膨大な資料との格闘と調査研究に傾けた情 熱は感動に値します。 医者井戸を掘る アフガン旱魃と 中村 哲 著 の闘い 498/413 パキスタン・アフガニスタンで長年診療を続ける医師が、2000年6 月から日本の青年たちとともにアフガン人を指揮して千の井戸を 掘ったという1年間のドキュメント。発行から7年を経過した現在は、 井戸に加え、灌漑用水も掘っています。当時を振り返り、国際協力 について改めて考えてみませんか。 LOVE in Alaska 星のような物語 星野 道夫 著 748/672 小学館 2006 冒頭に添えられた言葉「寒いことが気持ちを暖めるんだ。離れていることが、人と人を近づけるんだ。」から 始まり、最後の頁に添えられた言葉「日々生きているということは、あたりまえのことではなくて、実は奇跡的な ことのような気がします。」で終わるこの写真集は、限りなく優しく澄んだ眼で、動物、植物、そして人が撮られ ています。語りかける風景は、言葉で語りかけるより何倍も、やわらかい気持ちにしてくれます。アラスカの風 を、においを、…感じてみませんか。 植田正治小さい伝記 植田 正治 著 748/702 阪急コミュニケー ションズ 2008 水曜社 2006 終生山陰の地に留まり、砂丘を舞台に数々の名作を生み出した写真家・植田正 治。雑誌『カメラ毎日』連載の「小さい伝記」の作品と、同時期に書かれたテキストか ら「写真する」姿勢や「小さい伝記」に関する記事を選んで掲載しています。生涯を 「アマチュア」として撮り続けた作家の人生も感じる一冊です。写真集『日本の写真 家 20』(748/434/20)とあわせてご覧下さい。 京都職人 巧のてのひら サクラエディトリアル ワークス 編著 750.2/105 京都のものづくりは今、市場の縮小や後継者不足などの問題を抱 え、ひとつの岐路にあります。問題解決までの道筋もひとつではあ りません。そのような現状で職人が語る、ものづくりに対する辛さと 喜び。50の技と半生が、写真を交えて紹介されています。『京都老 舗 暖簾のこころ』(673.7/202)もあわせてどうぞ。 書 名 近代文学研究叢書 第28巻 著 作 者 昭和女子大学近代文 学研究室 当館請求記号 出 版 者 910.26/64/2 昭和女子大学 8 刊年 1968 このシリーズは、作家の略歴、詳細な著作目録を収録し、また作家についての簡潔なわかりやすい概説、作 品に関わる説明が書かれていて調査研究される人にとって、大変便利な図書です。この巻に収録されている 物集高見(もずめたかみ)は息子であり、国文学者でもある物集高量(もずめたかかず)とともに「広文庫」「群 書索引」編纂事業に協力、超文献索引整理力で活躍しました。インターネット情報で、文献調査や語彙索引は 簡単にできる時代となりましたが、歴代の人物の蓄積が土台となっていることをみなさんはご存知でしょうか? その先駆者を再考し、偉大な人物の著述能力に感動を覚える一冊です。 落日燃ゆ 城山 三郎 著 913.6/652 新潮社 1974 講談社 1993 歴史に“イフ”はないと言われますが、この小説を読む度に、もしそれがあれば激 動の昭和史もドラマチックに変わっていたかもしれません。東京裁判で絞首刑を宣 告された7人のA級戦犯のうち、ただ1人文官であり元総理、外相広田弘毅。戦争反 対に努めながら、その努力に水をさし続けた軍人たちと共に処刑されるという運命 に直面させられ、それを従容として受け入れ、一切の弁解をしなかった広田の生涯 を、城山三郎の静謐な文章が、読者に語りかけます。秋の夜長に、昭和史と重ね合 わせて一読されることをお薦めします。 深い河 遠藤 周作 著 913.6/3723 遠藤周作70歳の時の作品で「キリスト教と日本人」の最終章となりました。1994年毎日芸術賞受賞、翌年映 画化もされました。「命の向こうにある永遠なるもの」に、老境を迎えた小説家の日々と死への覚悟がみえま す。宗教という枠を超え、「生きる」という意味を考えさせられます。 残花亭日暦 田辺 聖子 著 915.6/257 角川書店 2004 最愛の夫「かもかのおっちゃん」の闘病から死までをつづる随筆日 記です。96歳の母親の世話に原稿執筆、講演旅行など、超多忙な 日々のなかで、おもわず病室で泣いてしまう田辺さんを「かわいそ に、わしはあんたの、味方やで」と七五調で励ます夫。泣いて、笑っ て心がじんわりあったかくなります。 村上春樹全作品1979-1989 4 村上 春樹 著 世界の終りとハードボイル ド・ワンダーランド 918.68/287/ 講談社 4 1990 最近の神戸新聞ネット調査でも、村上春樹長編作品のうち第一位に選ばれました。「世界の終り」と「ハード ボイルドワンダーランド」という二つの世界が交互に進行していく物語。ボブ・ディランが引用されていることで 有名です。著者35歳の作品でかつ最高傑作。二つの世界のどちらにも素敵な女性図書館員が登場します。 私と20世紀のクロニクル ドナルド・キーン 著 角地 幸男 訳 930.2/1313 中央公論新社 2007 936/70 日本放送出版 協会 1998 日本と日本文学を世界に紹介したアメリカの日本文学研究者であ る著者が、読売新聞に連載した自叙伝。三島由紀夫や川端康成と 親交があり、川端康成のノーベル賞受賞時の知られざるエピソード は衝撃的。 モリー先生との火曜日 ミッチ・アルボム 著 別宮 貞徳 訳 スポーツコラムニストとして活躍するミッチ・アルボムが16年ぶりに再会したモリー先生は難病ALS(筋萎縮 性側索硬化症)に侵されていた。死を前にして、毎週火曜日に行われた最後の授業。人は人との出会い、人 の言葉によって変わることができる…大切なことを思い出させてくれて、生きる勇気がもてる一冊です。 星の王子様 オリジナル版 サン=デグジュベリ 著 953.7/6 内藤 濯 訳 岩波書店 2000 「いちばん大切なものは目にみえないんだ」と呼びかけるキツネの 言葉。この作品は、中学校の授業や教育現場での推薦図書となっ ています。世界大戦のさなか、1943年に第1版が刊行されて以来、 子どもも大人も魅了してやまないサン=デグジュベリの世界。自らも 作品中の王子様のごとく、飛行中に事故で空に消えてしまいまし た。翻訳書や研究書も多数出版され、様々な解釈がなされていま す。子どもの心を思い出させてくれることでしょう。