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第9回日カンボジア官民合同会議(結果概要) 11 月 26 日、隈丸大使

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第9回日カンボジア官民合同会議(結果概要) 11 月 26 日、隈丸大使
第9回日カンボジア官民合同会議(結果概要)
11 月 26 日、隈丸大使及びソク・チェンダ首相補佐特命大臣兼 CDC 事務局長の共同議長により、
第 9 回日カンボジア官民合同会議をカンボジア開発協議会(CDC)に於いて開催したところ、概
要は以下の通り(日本側は、当館からは隈丸大使他、カンボジア日本人商工会(JBAC)からは近
藤会長及び各部会長他、JICA 事務所から井崎所長他、JETRO 事務所から道法所長など約 20 名が
出席、カンボジア側は、CDC 関係者及び 15 省庁から約 40 名が出席)。
1.両議長からの開会に当たっての冒頭挨拶
(ソク・チェンダ大臣)本日、隈丸大使はじめご参加の皆様に対し感謝申し上げる。官民会議は
第 9 回目を迎えるが、カンボジアでは新政権が成立し、本件会議の参加者の顔ぶれも変わったこ
とからこれまでの経緯について説明したい。2007 年にフン・セン首相が訪日した際、安倍総理
との間で 2 国間投資協定に署名した。カンボジアは現在 20 カ国と投資協定を結んでいるが、日
本との協定にのみ投資環境整備及び円滑化のために 2 国間で合同委員会を開催することが規定
されている。官民合同会議がこの合同委員会の役割を担っており、民間企業の参加を得て、6 ヶ
月毎に開催し、投資環境改善に向けた議論を行っている。担当省庁が会合の場できちんと回答で
きるように、CDC と日本大使館の担当者レベルで事前協議を行い、議題を調整している。他方で、
日本側におかれては、準備した議題のみに縛られることなく、会議中に新たな提案をして頂いて
結構である。最後に 11 月 16 日に安倍総理がカンボジアを公式訪問され首脳会談を行った際も、
引き続きカンボジアへの投資誘致を促進していくことで一致している旨申し上げておきたい。
(隈丸大使)ソク・チェンダ大臣の指導の下、今回で官民合同会議も 9 回目を迎えることができ嬉
しく思う。ソク・チェンダ大臣から官民合同会議の説明があったが、カンボジア側にも重要性を
認識して頂き嬉しく思う。我が国としては、本件会議は大きな成果を上げている会議であると認
識している。2007 年に投資協定が締結されて以降、日系企業は確実に当国への投資を伸ばして
きており、右は本件会議の成果の証左である。安倍総理が 11 月 16 日にカンボジアを公式訪問し
た際にも、両首脳の間で様々な意見交換がなされたが、カンボジアへの日系企業の投資が増大し
ている中で、さらなる投資環境改善と投資増大が必要との認識で一致している。また、そのため
には官民合同会議を使っていくことが重要との認識が共同声明の中にも明示的に記載されてい
る。12 月 13 日-15 日に日 ASEAN 特別首脳会議が東京で開催され、フン・セン首相も日本を訪問
されるが、同首相は滞在を延ばして安倍総理との会談や晩餐会に参加する予定であり、日系企業
の投資の進展についてもさらに議論が行われると考える。
2.前回のフォローアップ
(1)追加投資の際の法人税免税期間の新たな付与
(ア)日本側から以下のとおり述べた。
追加投資の際の法人税免税期間の新たな付与については、過去第 5 回会議からの継続事項であ
ると承知。選挙が終了し、投資法の改正等の検討を進めていると承知しているが、進捗を再度確
認したい。
(イ)カンボジア側からの回答は以下のとおり。
総選挙のため議論が中断していたが、今後、CDC と経済財政省、租税総局と協議を行っていく。
内部調整、省庁間調整、民間との調整も必要であるため、早ければ 2014 年 6 月にドラフトが閣
議に上がることを想定している。他方、追加投資のインセンティブに関しては、これまで以上に
広げていく方針である。これらは投資法改正に伴って、民間企業の意見も聴取する予定にしてい
る。もちろん、JBAC にも意見を聴取したいと考えている。CDC は、JICA 専門家含め、日本の専
門家によるドラフト作りの協力に感謝している。
(2)電力見通し
(ア)日本側から以下のとおり述べた。
シハヌークビルの火力発電稼働後、シハヌークビルでは電力料金の引き下げが起きている話も
聞く。今後の電力供給および価格の見通しについてお聞きするとともに、次の発電所計画等につ
いてご教示いただきたい。
(イ)カンボジア側からの回答は以下のとおり。
(EAC)電力料金は5年毎の評価を踏まえて作成しているので、中間である今年の料金が急激に
下がることはない。
(現在、2010 年から 15 年の料金が決められている。
)2013 年に火力発電所の
計画が 95%完成しており、水力発電所の計画が 85%進んでいる。2012 年着工の 270MW 級火力発
電所建設は 50%以上進んでいる。330MW 級の水力発電所建設は 45%進んでいる。240MW 級のアタ
イ水力発電所建設は 2015 年完成予定で、現在 40%進んでいる。中国の 100MW 級火力発電所建設
も 45%進んでいる。セザン2水力発電所も 2017 年完成を目指しているところ。今後、2014 年は
電力の不足が見込まれるが、2015 年は現在建設中の発電所が稼働する予定であり、電力不足は
生じない見込みである。
(EDC)プノンペンの電力料金については、中国の借款による発電所からの電力を引いており、
地方より、ある程度安くなっていると思う。2014 年に中国の借款プロジェクトが、コンポンチ
ャム、プレイベン、シハヌークビルで進められることから、地方の電力料金も安くなっていくと
予想している。2013 年から 2014 年にかけて乾期は少し電力が足りないと考えるが、2015 年に入
ると電力は不足が無くなるので、EAC には、2015 年からの電力料金改訂に反映してもらいたいと
思う。
(CDC)来年度は産業開発政策を打ち出したいと考えており、選挙前からドラフトはできている
ので来年協議をして完成させたい。その中で、どういう産業に重きを置くのか政策方針がうちだ
される。その中でも電力問題は産業発展阻害要因となるため重要と考えている。
(隈丸大使)今の 5 年計画の時期はいつからから。2015 年には輸入も不要という意味なのか。
(EAC)今の料金は 2010 年から 5 年間のもので、2015 年に改訂予定。今はベトナムから 200MW
を輸入しているが、2015 年に国内で必要な需要を全て賄うことができるということである。
(3)役所手続きの料金体系の明示と領収書の発行
(ア)日本側から以下のとおり述べた。
プラカスにおいて、経済財政省と各省庁において公共サービスの料金体系が明示されたことに
感謝したい。ただ、重要なのは、同プラカスに基づく執行面の徹底であるため、各役所での徹底
をお願いしたい。
(イ)カンボジア側からの回答は以下のとおり。
2013 年 1 月よりプラカスで各省庁料金体系をつくり広めることとなった。経済財政省と関係
省庁と共同プラカスで、公共サービス料金を明示して領収書を発行されている。一方で、プラカ
スに記載されていない手続きがあることも承知しており、今後の課題であると認識している。全
体的にはよい方向に向かっていると評価している。何か問題があれば ACU に連絡して欲しい。
(4)最低賃金見通し
(ア)日本側から以下のとおり述べた。
経済成長とともに最低賃金が徐々に引き上がるのは承知している。現在、カンボジアへの進出
または追加投資を検討している企業も多く、急激な賃金の引き上げは、この勢いを阻害するもの
となる。周辺諸国とも比較して検討すべき課題であり、選挙後を見据えた最低賃金の今後の見通
しについてご教示願いたい。
(イ)カンボジア側からの回答は以下のとおり。
最低賃金の規定決定は機微な問題である。賃金は自由な経済活動の中でオーナーが労働者に対
価を支払うものであるが、国民生活の観点から政府が規定しなければならない問題である。1年
前から最低賃金が大きな問題となっており、ストライキなどの事件も起きている。最低賃金につ
いては、第三次四辺形戦略でも触れられており、重要な国家目標である。最低賃金の引き上げに
ついては、一定期間ごとに行われる調査に基づき地域的文化、国民生活を保障される価格を調査
した上で決定すると規定されている。最低賃金引き上げについては、労働省内に WG を設置して、
労働組合、GMAC も入って継続的に協議を行い、雇用者・労働者の両者の意見を踏まえ議論した
うえ決定していく。企業が倒産した際にもきちんと雇用者を保障することとしている。現在、政
府と民間セクターの議論の場として、9 つの WG が設けられており、労働問題を扱う WG もあるこ
とから、日本企業におかれては、右 WG でも問題提起をして欲しい。また、JBAC の活動の中で GMAC
と協議や情報交換を行って欲しい。
(5)輸出入禁止・制限品目の許可・承認手続きに関する要望
(ア)日本側から以下のとおり述べた。
政令 209 号の附属書に輸出入禁止・制限品目が掲げられている。当該禁止・制限品目について
は、関税消費税総局への輸出入申告前に、当該品目を所管する各省庁から許可又は承認を得るこ
とが要求されている。前回要望後も何ら変化はないので、各省庁内の窓口につき、リスト化(複
数の担当者名および部署名、電話番号、メールアドレス等)して、官民合同会議で提供してもら
いたい。
(イ)カンボジア側からの回答は以下のとおり。
2013 年 1 月にリスト化を決定しており、すべての公共サービスの料金及び所要時間などにつ
いて各省庁へリスト作成を指示している。ちなみに CDC には 35 の行政サービスがあり、料金、
時間、種類について規定している。
(ACU)(3)
(イ)でも申し上げたが、経済財政省と 17 省庁が発表した共同プラカスに公共料金
が明示されているところ、執行されていない場合は ACU に連絡して欲しい。
(CDC)今回の要望として各省庁へきちんと部署名が明示されるよう指導したい。
(隈丸大使)CDC から各省庁へ依頼しても改善は進まない可能性が高いので、CDC が責任を持っ
てリストをとりまとめていただくことは可能か。
(CDC)ACU と相談したい。
3.日本側からの新規要望(今時優先的に改善を希望する点)に対するカンボジア側回答
(貿易手続きの円滑化)
(冒頭、日本側近藤 JBAC 会長より、貿易手続きの円滑化に関して過去の官民合同会議での議題
にもあげた事前教示制度など関税消費税総局(GDCE)のご対応に謝辞を述べた。
)
(1)ASYCUDA の使用方法の改善
(ア)日本側より以下のとおり要望した。
世界銀行の支援で港やドライポートに配備されている ASYCUDA システムについて、情報入力が
決められた税関事務所に限定されており、また、手作業になっている。企業がインターネット経
由で情報入力を行えるよう ASYCUDA の改善を要望したい。
(イ)カンボジア側(GDCE)は以下のとおり回答した。
ASYCUDA は現時点では日本の NACCS のようにどこでもアクセスできるものではない。現在港や
国境など 22 の GDCE 事務所でしか使用できないが、輸出入手続き書類の 90%は ASYCUDA で管理
できている。手作業での入力というのが大変なのはその通りで、ソフト化されておらず、入力す
るためには該当する事務所に行かないといけないのが現状である。要望があるのは、この入力を
外の機関からアクセスすることができるようにということであると考えるが、 DTI(Direct
Trader Input)というやり方もある。民間企業が自社で GDCE のサーバーにアクセスして入力する
方法で、事前に登録することにより、現在では 22 企業が EDI でできるシステムを採用している。
(2)貿易手続きの重複体制の一本化
(ア)日本側より以下のとおり要望した。
現段階におけるカンボジアの輸出入体制は、関税消費税総局、カムコントロール、Economic
Police 等重複行政であり、これを一本化することにより貿易円滑化を図って頂きたい。
(イ)カンボジア側(商業省)は以下のとおり回答した。
商業省は昨日、本日と世界銀行と共催で貿易円滑化に係るセミナーを開催している。商業大臣
は、カムコントロールの改革にも取り組んでいく方針であり、また、原産地証明書については、
輸入国が求めない場合には取得を要求しない旨発表した。さらに、商業省では商業登録の自動化、
ICT マスタープランの作成を予定しており、原産地証明書のオンライン入力も導入する予定であ
る。また各種手数料の支払いのために E ペイメントシステムを導入し、苦情を受け付けるための
ホットラインも開設する予定である。これらの措置を通じてナショナル・シングルウィンドウを
確立し、アセアン・シングルウィンドウへつなげていきたいと考えている。
GDCE、カムコントロール、エコノミックポリスの機能は政令によって規定されているが、棲み
分けがわかりやすいように今後検討していきたい。現在、輸出入に関して ASYCUDA で検査なしと
判断された場合には、カムコントロールでも検査していない。ただ品目によりリスクがあるもの
に関しては、GDCE で確認した後、カムコントロールが技術的な検査をしている。なお、輸出に
ついては衣類のみカムコントロールで検査をしている。
(日本側より輸入品の検査についてリストのようなものを作成しているのかと質したのに対し)
輸出は衣類のみであるが、輸入は品目別に政令 209 号でリスト化されており、主にハイリスクが
あるもののみについて検査している。
(3)カンボジア版の AEO 制度(Best Trader Incentive Mechanism)導入
(ア)日本側より以下のとおり要望した。
カンボジアでは AEO 制度は Best Trader Incentive Mechanism として今年 4 月にプラカスが制
定されているが、利用実績はまだ 1 社もないと聞いている。今後ガイドラインの策定等が必要に
なるかとは思うが、コンプライアンスを遵守している日本企業の貿易手続きの迅速化のためにも、
早期の執行をお願いしたい。
(イ)カンボジア側(GDCE)は以下のとおり回答した。
ご指摘のとおり 4 月にプラカス 452 号が制度として発表されたが、条件等について、これから
システムを構築していく予定である。現在、ミネベア社からリクエストがあがっているが、まだ
決定はしていない。
4.日本側の対応・支援策の説明
(冒頭、井崎 JICA カンボジア事務所長から、カンボジアの持続的成長にとっての外国投資、特
にカンボジアと共に成長を遂げようと尽力する日本企業の投資誘致のための環境整備が重要で
ある点を説明の上、①メコン地域内連結性強化と南部経済回廊の着実な整備、②関税、③租税、
④投資法改正などに係る協力事例を紹介したのに対し)カンボジア側から以下のコメントがあっ
た。
(1)本日の会合の成果については満足している。11 月 16 日に実施された、歴史的意義のある
日・カンボジア首脳会談における議論の内容を踏まえ、今後の両国の関係がより一層強固となる
ことを期待する。人材育成の必要性にも言及されていたが、カンボジア政府としてもその必要性
を強く認識しているところ、日本からの継続的な協力をお願いしたい。
(2)首脳会談の席上では、フン・セン首相より包括的戦略パートナーシップについて提案があ
った。この実現に向けて実務者レベルでの作業も増加すると実感している。外国直接投資の重要
性も認識しており、投資の活性化がさらに必要になると考えるところ、本日出席している各省の
担当者の協力もお願いしたい。
5.その他(次回の官民合同会議開催時期など)
隈丸大使より、次回開催は半年後を目処と考えている旨、進出済みの日系企業が直面する問題
の解決にさらにご尽力いただけるよう期待している旨、進捗のあった場合には次回開催を待たず
に連絡してほしい旨述べた。
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