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果実・果実加工品 (PDF:612KB)

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果実・果実加工品 (PDF:612KB)
第3章
果実・果実加工品
【要約】
生鮮・冷蔵の果実についても野菜と同様には 2007 年に植物検疫規則の改正により過去
5 年間のタイへの輸出実績のないものについては原則輸入禁止(輸入禁止植物の場合)か
植物検疫証明書(輸入制限植物の場合)が求められることとなり、輸入禁止の解除につ
いては、個別に二国間協議で検討していく必要があるとしている。輸出実績のあったも
のについては従来通りの手続きでタイへの輸出が可能である。冷凍および果実加工品に
ついては輸出が可能であるが、冷凍の果実加工品や缶詰等の密閉容器に詰められた果
実・飲料については製造国での GMP 適合基準証明書を輸入前の食品登録番号取得の際に
求められるので注意を要する。また国内税については、例えばりんご果汁は物品税の対
象となる。
近年、タイへの果実・果実加工品の輸入は顕著な増加傾向にあり、これは都市部にお
いて中高所得者層が増え、この層を中心に健康志向が高まっていること、また中国や豪
州・ニュージーランドなどとの自由貿易協定や経済連携協定の発効によって、温帯果実
の輸入関税が削減あるいは撤廃したこと、が大きな要因であると考えられている。同時
にタイにはない果実や温帯果実も個人消費の需要の増加に伴って世界各国から輸入され
ており、日本産を含めた高級市場も生まれている。
1.品目の定義
HS4 桁分類:果実 HS0801~0814、果実加工品 HS2007~2009
HS6 桁分類の品目は第 2 部「重点グループの HS 範囲」に掲載している。
重点個別品目については各品目の項に掲載している。
2.輸出の可否
果実については 2007 年 7 月の植物検疫規則の改定により、「輸入禁止植物」は輸入禁止
であるが、「制限植物」は輸出国側の植物検疫証明書の提示があれば「可」である。輸入禁
止植物については、経過措置として過去 5 年間(2002 年 1 月~2006 年 12 月)に輸出実績
のある果実については、規則の解釈上、植物検疫証明書の有無は従来通り(改正前と同様)
とされている。
果実加工品については食品法上の衛生規則を満たしていれば輸出は「可」である。
59
3.手続き全体の流れ
(1)フローチャート
①果実
輸入前
食品輸入業務許可申請
(輸入業者が未取得の場合)
植物検疫証明書(品目による)
輸入時
(保健省食品医薬品局)
(日本側)
輸入通関申請 (各税関)
関税審査
植物検疫審査 (各税関内植物検疫事務所)
食品衛生審査 (各港の食品医薬品局事務所)
輸入後
輸入業者及び小売店側の商品検査(品質・規格等)
小売店等での行政検査(モニタリング検査)
(自主検査)
(食品医薬品局)
②果実加工品
「野菜・野菜加工品」(前述)の野菜加工品と同じ
(2)留意点
①果実
・食品法上、植物検疫上、品目によっては貿易管理上での輸入手続きがある。
・食品法上、野菜は「一般食品」に属するため、食品輸入業務許可書を事前に取得してお
く必要がある。(第 2 部「保健省食品医薬品局の輸入手続き」参照)
・植物検疫上、「輸入制限植物」に分類される野菜を輸入する場合は、植物検疫証明書を日
本側で事前に取得しておく必要がある。「輸入禁止植物」については原則的に輸入禁止であ
る。ただし、2007 年 7 月の植物検疫規則の改正前の過去 5 年間に輸出実績のある野菜につ
いては従来通りであると解釈され、従来の「一般植物」は植物検疫証明書を必要とせず、「輸
入制限植物」のみ必要とすると解釈されている。
(次項および第 2 部「植物検疫について」
参照)
・輸入時の食品衛生検査は必要書類が備わっていれば、書類及び目視検査で終了する。
・食品医薬品局の行政検査は必要に応じて残留化学物質などのモニタリング調査が実施さ
れる。
②果実加工品
「野菜・野菜加工品」(前述)の野菜加工品と同じ
60
4.輸入制度・輸入規制
(1)輸入手続き(所管官庁とその窓口、手順、必要書類、所要日数、注意事項など)
A.果実の場合
①食品輸入業務許可(食品を輸入する業者が所得する業務許可)
手続きについては「精米」(前述)と同じ。(第 2 部「保健省食品医薬品局の輸入手続き」参
照)
②植物検疫
「野菜・野菜加工品」(前述)と同じ
植物検疫規則改正後の重点個別品目の分類
品目
(改正前)
(改正後)
2007.7~
過去 5 年間の輸
改正後の植物検疫証
出実績の有無
明書の有無
りんご
一般植物
輸入禁止植物
有
不要
なし
一般植物
輸入禁止植物
有
不要
みかん
輸入禁止
輸入禁止植物
無
(条件付きで一部の
地域からの輸出のみ
認められる)
もも
一般植物
輸入禁止植物
有
不要
ぶどう
一般植物
輸入禁止植物
有
不要
かき
一般植物
輸入禁止植物
有
不要
メロン
一般植物
輸入禁止植物
有
不要
いちご
一般職物
輸入禁止植物
有
不要
B.果実加工品の場合
「野菜・野菜加工品」(前述)と同じ
(2)輸入許可のための要件
A.果実の場合
①植物検疫
「野菜・野菜加工品」(前述)と同じ
②残留農薬
1) 最大許容残留値(MRL)
保健省告示第 288 号(2005 年)で 11 種類の化学物質について最大許容残留値(MRL)
61
および 5 種類の化学物質について不可避的原因による生じた許容残留値(ERL)を規定し
ている。その他の化学物質については Codex の基準に従う必要があり、さらに農業・協同
組合省が告示で国内での使用を禁止している農薬については不可避的原因の許容残留値
(ERL)を規定する化学物質を除いては、残留してはならない。輸入時には、保健省の担
当官がモニタリング検査を実施している。
果実の MRL:
第 2 部「その他の食品衛生規則」」の保健省告示第 288 号 MRL リストを参照のこと。
果実の ERL
不可避的原因による残留上限値(ERL):
不可避的な原因(外部的要因)により生じた残留毒素の上限
(食品 1 ㎏あたりの㎎)
アルドリン及
クロルデン
びディルドリン
(chlordane)
食品の種類
DDT
エンドリン
ヘプタクロル
(endrin)
(heptachlor)
(aldrin and
dieldrin)
- 果実
0.05
0.02
0.01
0.01
0.01
- うり科の野菜
0.1
-
-
0.05
-
2) 使用禁止農薬
農業・協同組合省農業局では 1992 年危険化学薬剤法に基づく第 4 種危険化学物質として使
用が禁止される農薬は現在 96 種類となっている。その他、農業局では使用禁止ではないが
危険な薬剤として監視している 11 種類の化学薬剤をリスト化している。
(使用禁止農薬リストについては第 2 部の「使用禁止農薬リスト」参照)
B.果実加工品の場合
「野菜・野菜加工品」(前述)の野菜加工品と同じ
(3)関税以外の国境特別措置
上記以外の該当する規制はない。
5.販売時の規制・手続き
(1)販売手続き
該当する規制はない。
(2)販売許可のための要件
該当する規制はない。
62
6.表示方法
(1)法律に基づく義務表示および手続き
「野菜・野菜加工品」(前述)と同じ。
(2)法律に基づく任意表示および手続き
「野菜・野菜加工品」(前述)と同じ。
(3)業界自主表示および手続き
特になし。野菜加工品は自主的に HACCP、GMP 認定の表示をしている場合もある。
(4)「食の安心・安全」表示に関する基準・認定制度
a) 食の安心・安全についてタイ政府が実施している認定制度とその表示
「野菜・野菜加工品」(前述)と同じ
b) 食の安心・安全について業界、生産団体等が独自に実施している認定制度とその表示
「野菜・野菜加工品」(前述)と同じ
c) わが国での認定マーク等の表示・販売に対する規制、等
該当する規制はない。
7.税制度
(1)関税
タイの輸入関税は申告評価制度であり、関税率は、基本税率(MFN)のほか、WTO 税率、
タイ政府が譲許する Discount 税率、その他二国間(自由貿易協定等)
、多国間(AFTA 等)
などの種類がある。日本の場合は、WTO 税率または Discount 税率あるいは 2007 年 11 月に
発効した日タイ経済連携協定税率(JTEPA)の税率の適用を受けることができる。
なお、JTEPA 適用税率の権利を得るには日本からの原産地証明書(Certificate of Origin
C/O)が輸入時に必要となる。
(2)付加価値税(VAT)
輸入額と関税額、その他(ある場合)の合計に付加価値税(VAT)7%が課税される。
(3)その他
野菜汁・果汁に対しては物品税が課せられるが、例外規定があり、現在のところ、野菜
汁・果汁については主に 10%未満の野菜汁・果汁、およびりんご果汁のみに物品税が課せ
63
られる。課税対象の品目は輸入額と関税額の合計に従価税 10%、従量税 0.37 バーツ/440cc
に基づいて計算され、どちらが高い方が課税される。(さらに計算方法には定められた計算
式がある。)なお、支払った商品には通常、印紙が張り付けられる。
(特に国内商品の場合、
登録すれば、印紙の貼り付けの省略が可能である)
(計算方法等については「清涼飲料水」を参照のこと。)
8.国内流通・取引慣行等
(1)国内マーケット事情
近年、タイにおける果実の輸入は顕著な増加傾向にある。これは 1997 年の経済危機後、
2000 年以降に景気が回復基調に入り、都市部において中高所得者層が増え、この層を中心
に健康志向が高まっていること、また中国や豪州・ニュージーランドなどとの自由貿易協
定や経済連携協定の発効によって、一部の温帯果実の輸入関税が削減あるいは撤廃された
こと、が大きな要因であると考えられている。
こうしたことによって、温帯果実やこれまでマイナーとされていた外国産の生鮮果実も
店頭に多く並ぶようになっている。タイは熱帯モンスーン気候であり、パインアップル、
マンゴー、ココナッツ、ドリアン、マンゴスチン等の熱帯果実や、一部の温帯果実が生産
され、その加工品を含めてタイは果実製品の輸出大国であるが、同時にタイにはない果実
や温帯果実も個人消費の需要の増加に伴って世界各国から輸入されている。
タイで輸入の多い生鮮果実は、リンゴ、ブドウ、ナシである。これらは中国、米国、豪
州、ニュージーランド、南アフリカ産が大量に出回っており、ブドウなどの国産と合わせ
て、低価格帯の市場を形成している。その一方で、日本産や韓国産を含めた高級市場も生
まれている。
リンゴ、ブドウ、ナシに次いで多いのは柑橘類である。タイでは柑橘類はタンジェリン
を除いては、数種類のものしか生産されていない。また、タイの柑橘類の輸入は、植物検
疫条件の制限が多いことから、中国や米国など特定の国から輸入に依存している。(日本の
うんしゅうみかんについては 2007 年より条件付きで一部の地域からの輸入が解禁されてい
る。)
果実缶詰については、タイは世界でも有数の輸出国であり、国内数社の大手製造業者を
中心に輸出用、国内用の果実缶詰を生産している。
タイでは、果実缶詰の国内消費は多くないと言われているが、タイにない果実缶詰の輸
入は多く、一部はカンボジアやラオスへ再輸出されている。また、バンコクなど都市圏で
の都会的なライフスタイルの浸透は、果実缶詰の消費を着実に増やす要因になっている。
国内に流通する主な果実缶詰は、国産ではパインアップル、ランブータン、竜眼、混合
果実が主なもので、一部でみかんのシロップ漬けが出回っている。一方、輸入ものは主に
黄桃、洋なし、チェリー、アプリコットなどで、ホテル・レストランのほか、市内のスー
パーに出回っている。
64
果汁は近年、国内消費が大幅に伸びている品目の一つである。2006 年の国内の果汁市場
の規模は 52 億バーツ(約 1.4 億ドル)で、2007 年はさらに 25%増と予測され(AC ニールセン
調べ)、他の業種に比べても大きな成長が予測されている。特に 100%果汁(プレミアム果
汁)の市場が急速に伸びている。
輸入果汁は、主に国内の原料用果汁として利用さてい
る。特にオレンジ果汁(冷凍)が多く、ブラジル、オランダ、イスラエルから輸入されて
いる。そのほかの果汁についてもその輸入先は欧米諸国、中国、ASEAN 諸国など多様である。
なお、国内の小売用としても市内スーパーでは豪州、米国、南アフリカ産ブランドでリン
ゴ果汁、混合果汁が出回っている。
(2)流通経路
「野菜」(前述)と同じ
(3)新規参入の留意点
輸入果実は他の生鮮物と同様、入荷までの日数を要するために鮮度保持、傷、品傷みな
どに十分注意を要する。特に鮮度保持には包装への工夫も必要かと考えられる。特に高級
果実の場合は、鮮度保持同様に果皮の光沢、包装デザインなども評価の対象とするため、
消費者の嗜好パターンを十分に認識する必要がある。さらに近年、中国、米国、豪州、ニ
ュージーランド等の多数の国からの温帯・冷帯果実の輸入が増加傾向にあり、他国産との
明確な差別性を持つように工夫するとともに、
「日本産」であることを積極的に PR してい
く必要がある。また高級市場に参入するためには少量多品目の流通にきめ細かく対応でき
る輸入業者を選定する事も重要となる。
果実加工品についても同様で、在住日本人のみならず、タイ人、在住外国人の顧客を開
拓していくうえで包装デザインや商品特徴を訴求していく工夫も求められるだろう。
9.サンプル輸出の規制状況等
果実および果実加工品ともに、サンプルとして限度を超えない量において「可」である。
ただし、果実については植物検疫上の制約を受け、
「輸入禁止植物」は原則として不可、「輸
入制限植物」は輸出国の植物検疫証明書が要求される。数量は担当官の裁量に委ねられるが、
概ね 10 ㎏程度が認められる。
販売以外の目的、例えば見本市出展等、飲食店用の使用についても同様で、果実の場合
は、まず植物検疫の制約を受けるが、検疫条件を満たす場合は、数量等の条件はあるもの
の、事前申請により、輸入は可能である。(第 2 部の「各種輸入手続き」参照)
10.関連企業・団体概要リスト
輸入に係る関連団体はないが、その他の関連団体については、第 2 部「関係機関・団体
リスト」を参照のこと。
65
主な輸入業者については重点個別品目の各項を参照のこと。
11.重点個別品目の詳細補足説明
11.1 りんご
英名:apple
学名:Malus domisitca
タイ名:Apple
<輸出の可否>
輸出は「可」
11.1.1 品目の定義
HS コード分類:
0808.10.00.000:
りんご(生鮮)
HS 番号
品目
統計
HS Code
分類
"Apples, pears and quinces, fresh."
0808
0808.10.00
000
りんご、なし及びマルメロ(生鮮のものに限る。)
りんご
- Apples
11.1.2 手続き全体の流れ
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.1.3 輸入・販売上の規制
(1) 植物検疫
現時点では、改正前の植物検疫規則のとおり、植物検疫証明書は必要としない。
植物検疫の手続きは「果実・果実加工品」(前述)と同じ
(2) 残留農薬
①最大許容残留値(MRL)
りんごは次のとおり。
MRL:特に規定なし
(Codex の MRL 基準に従う。またタイ国内の使用禁止農薬については残留してはならな
い。)
ERL: 「果実・果実加工品」 (前述)と同じ
66
②使用禁止農薬
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.1.4 表示方法
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.1.5 税制度
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
日本のりんごの関税率は次のとおりである。
HS 番号
Heading
Sub
Code
Code
0808.10.00
000
基本税率(MFN)
0808.10.00
00
WTO 税率
0808.10.00
Discount 税率
0808.10.00
00
00
品目
関税率
-Apples
-Apples
従価税
従量税(バーツ/㎏)
60%
50.00
-Apples
従価税
従量税(バーツ/㎏)
30%
12.50
-Apples
従価税
従量税(バーツ/㎏)
10%
3.00
JTEPA 関税率
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
11/1/07 4/1/08 4/1/09 4/1/10 4/1/11 4/1/12 4/1/13 4/1/14 4/1/15 4/1/16- 4/1/17
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
3/31/08 3/31/09 3/31/10 3/31/11 3/31/12 3/31/13 3/31/14 3/31/15 3/31/16 3/31/17
0808.10.00.00
(0808.10.00.000)
-Apples
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
2008 年 1 月時点
11.1.6 国内流通・取引慣行等
(1) 国内マーケット事情
商品特性
国内産はタイ北部で生産されているが僅かであり出荷最盛期は6月で、殆どが海外産で
ある。国内産はタイ北部の山岳民族の生計向上の一環として王室プロジェクト財団が普及
したのが始まりで、現在、チェンライ県ドイアンカーンの 1400m の標高の山岳地域で生産
されているが、同程度の価格の輸入産が大量に流通していることから、生産は少量に留ま
67
っている。国内産は主に同財団のマーケティング会社である「ドイカム」を通じて販売さ
れている。出荷最盛期は 6 月である。海外産は中国産、米国産、ニュージーランド産、日
本産、南アフリカ産がみられ、北半球産は日本の秋から冬、南半球産は日本の春から夏に
かけて出回るので、貯蔵されたものも含めほぼ一年を通じて出回っている。
マーケット事情
市場に出回っているりんごの大半は、国内のその他熱帯果実と価格的に大差のない中国
産のりんごであり、次いで米国産、南アフリカ産となる。りんごは、タイ国内マーケット
において、他の現地の熱帯果実と同様に一般的な輸入果実の一つである。りんごはタイが
最も多く輸入している日本産の果実であり、そのシェアは日本産の全ての果実の過半数を
占めている。日本産のりんごは、伊勢丹、フジスーパー、イオンや一部のタイ系高級デパ
ートでは、
「ふじ」、
「むつ」、
「世界一」、
「王林」、
「金星」等数多くの種類が販売されており、
農林水産省の常設店舗事業のコーナー等で販売員が試食を提供する等によりPRするケー
スも多い。「ふじ」や「むつ」等は青森県で長期保存されたものがあるので長期間にわたり
販売されている。また、青森産の「むつ」など一部の商品に限っては、それ以外のスーパ
ーも含め広く販売されている。日本産のりんごは他国産と違い、パック単位では販売され
ておらず、個単位にきれいに緩衝材で包装して販売しており、タイ人富裕層、外国人を対
象とした高級果実と位置付けられている。
りんごの販売先は大手スーパー、果物専門店、屋台等、幅広く流通しており、大手スー
パーではパック売りも行われているが、多くはサイズ別の量り売りの形態である。店頭で
は、大規模店になると、10 種類程度のアイテムが揃えられている。それぞれ産地、品種の
違いはあり、消費者は試食をしながら選択する。果肉の硬さ、軟らかさ、果汁の量、味の
好み(甘味、酸味)により選択され、消費者の味覚にあったものは、キズ、痛みがないか
を確認され購買される。贈答用の高級果実を除き、光沢、色等は選択する際の理由として
優先順位は低いとされる。
関連品に関しては、りんご果汁、ジャム、りんご酢、りんごのチップス、缶詰、離乳食
などがEU諸国、米国、豪州から輸入されているほか、タイ国内メーカーの製品も流通し
ている。
(2) 流通経路
各国からの生鮮品輸入の流通経路に関し大きな差異はないが、日本産りんごは中国産、
米国産のりんごと比較すると卸売市場を経由することは少なく、輸入業者から直接小売店
に卸される場合が多い。また、日本の輸出業者から直接輸入部門を持つ高級小売店が買っ
ている場合もある。
中国産の場合、港に到着した荷は、中華系タイ人を中心とした輸入業者から大小中卸し
を通じてバンコク始め地方市場、スーパー、露天商等に販売されていく。輸入元は中華系
68
タイ人のネットワークを通じて電話で全国から注文を受けその都度、定期便の 10 輪車トラ
ックで店まで配達していく。その他、2003 年 10 月からの中国との果実の関税撤廃を受け
て多数の零細の輸入業者が単発または小ロットで輸入する傾向が見られる。
(3) 新規参入の留意点
りんごは中国産、米国産を中心とした廉価市場が確立しているため、日本産は高級りん
ごとして高所得者層に顧客層を絞り、他国産や日本の他の産地産との明確な差別化(ふじ
の「蜜入り」など)を打ち出して販売されてきた。今後もこの方向が基本であると考えら
れるが、イオンやフジスーパーにおいて、フェアの際に一個40~70バーツ台の低価格
で販売して人気を博している例もあり、JTEPA で関税が撤廃されたことも手伝い中間層に
手が届く価格での供給も有望である。しかしながら、小売の段階で品質が期待したほどで
ない(味がぼけた)とみなされるケースも過去にあった。日本産りんごは産地や品種も多
いため、産地や品種の特色をどう出していくか、品質をどう保つか重要なポイントである。
11.1.7 サンプル輸出
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.1.8 輸入業者リスト
日本のりんごを輸入する主な輸入業者は次のとおりである。
Name
Central Retail Corporation
C&T Global Company
Limited
Daisho(Thailand) Co., Ltd.
Kobe-Ya Shokuhin Kogyo
Co.,Ltd.
Tongchai Intertrading
Ltd.,Part.
City Fresh Fruit Limited
Parnership
Address
Central Plaza Phahonyothin
1693 ,Chatuchak, Chat uchak,Bangkok,
10900
127 Bam Rung Mueang
Rd,Klongmahanak,Pomprap Sattruphai,
Bangkok,10100
Unit A-B and C3, 14th Fl. No.947 Moo 12 ,
Thosapol Land Building 3, Bangna-Trad Rd,
Bangna, Bangkok 10260
256-266 Soi Chokechaijongjamroen, Rama 3
Rd., Bangpongpang, Yannawa, Bangkok
10120
325/34 Ranluang Rd., Si Yak Mahanak,
Dusit,. Bangkok
40/29 Moo 5 Kanchanapisek , Bangbon ,
Bangbon , Bangkok 10150
Tel: - Fax: - URL
Tel : 0-2937-1700
Tel : 0-2226-4630
Tel : 0-2744-1450,1,3 Fax :
0-2744-1452
Tel : 0-2683-0520-4
0-2683-0177
Fax :
Tel : 0-2281-7393
Tel : 0-2895-1761
Fax :0-2895-1771
www.cititex.co.th
Tel : 0-2631-1350-4
Jalux Asia Co., Ltd.
United Center Bldg., 20th Fl. Rm. 2004, 323
Silom Rd., Bang Rak, Bangkok 10500
Fresh Master Co ., Ltd.
537/202-204 Sathupradit 37,Sathupradit,
Chongnonsri, Yan nawa,Bangkok 10120
Tel :0-2294-9094
Sun Expo Services Co., Ltd
60/107 Moo 9 Dokmai,Prawet, Prawet,
Bangkok 10250
Tel : 0-2728-4452 - 4 Fax :
0-2752-8545 - 6
www.sunexpothai.com
69
11.2 なし
英名:Pear, Orietntal Pear
学名:Pyrus pyrifolia (N.L. Burman) Nakai
タイ名:Salii
<輸出の可否>
輸出は「可」
11.2.1 品目の定義
HS コード分類:
0808.20.00.000:
ナシ及びマルメロ(生鮮)
HS 番号
品目
統計
HS Code
分類
"Apples, pears and quinces, fresh."
0808
0808.20.00
りんご、なし及びマルメロ(生鮮のものに限る。)
000
- Pears and quinces なし及びマルメロ
11.2.2 手続き全体の流れ
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.2.3 輸入・販売上の規制
(1) 植物検疫
現時点では、改正前の植物検疫規則のとおり、植物検疫証明書は必要としない。
植物検疫の手続きは「果実・果実加工品」(前述)と同じ
(2) 残留農薬
①最大許容残留値(MRL)
なしは次のとおり。
MRL:特に規定なし
(Codex の MRL 基準に従う。またタイ国内の使用禁止農薬については残留してはならな
い。)
ERL: 「果実・果実加工品」(前述)と同じ
②使用禁止農薬
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
70
11.2.4 表示方法
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.2.5 税制度
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
なしの関税率は次のとおりである。
HS 番号
Heading
Sub
Code
Code
0808.20.00
000 -Pears and quinces
基本税率(MFN)
0808.20.00
00
-Pears and quinces
従価税
従量税(バーツ/㎏)
WTO 税率
0808.20.00
00
-Pears and quinces
従価税
従量税(バーツ/㎏)
Discount 税率
0808.20.00
00
-Pears and quinces
従価税
従量税(バーツ/㎏)
品目
関税率
60%
50.00
30%
25.00
30%
15.00
JTEPA 関税率
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
11/1/07 4/1/08 4/1/09 4/1/10 4/1/11 4/1/12 4/1/13 4/1/14 4/1/15 4/1/16- 4/1/17
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
3/31/08 3/31/09 3/31/10 3/31/11 3/31/12 3/31/13 3/31/14 3/31/15 3/31/16 3/31/17
0808.20.00.00
(0808.20.00.000)
-Pears and quinces
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
2008 年 1 月時点
11.2.6 国内流通・取引慣行等
(1) 国内マーケット事情
商品特性
国内産は少なく僅かにタイ北部のチェンライ県、チェンマイ県で生産される程度である
栽培品種は日本種として YOKOYAMA WASE, KIAWSUI、台湾種は SH 078, SH 085 であ
る。収穫最盛期は 7 月~8 月である。輸入は中国産が殆どであり、最盛期は 10 月~12 月で
ある。
マーケット事情
国内に出回るなしは洋なしと和なしがあるが、特に和なしはほぼ 100%輸入である。
和なしは近年の温帯果実の需要増加に伴って輸入は顕著に増加している。ただし、りん
71
ごに比べるとまだ、マイナーな温帯果実となる。主な輸入先は中国で全体の 9 割以上を占
める。中国産は「幸水」、「豊水」が流通している。また数量は少ないものの韓国産、豪州
産が出回る。大手スーパーでは和なしを英語表記で「Japanese Pear」と称しているが、必
ずしも日本産とは限らない。大手スーパー、果物専門店、屋台等、幅広く流通しており、
大手スーパーではパック売りも行われているが、多くはサイズ別の量り売りの形態である。
ここ数年で急速に普及が進んでいる輸入果物の一つであり、大規模店になると、数種類の
アイテムが揃えられ、幸水系(中国産)の丸型、洋なし系のものなどがある。それぞれ品
種の違いはあり、場所によって消費者は試食をしながら選択することが可能である。一般
に味の好み(甘味、酸味)、食感、果汁の量により選択されるが、国内で多く出回る熱帯果
実のグアバと食感が似たところがあり、グアバより高級感があるものの、りんごのように
多種類出回っているわけでなく、りんごより消費は少ない。
日本産は、同品種の中国産よりジューシーで甘みも強く、見た目も美しいという強みを
持っているため、富裕層・中間層に人気があり、最高ランクに位置するが、中国産と外見
が近い割には価格差も大きいため、競合している状況にある。また、中国産の方が販売期
間が長い。2008 年以降は、JTEPAで関税が撤廃された後の本格的な輸入となるので、
日本産のブランドイメージを維持しつつ、他の輸入品に負けないサイズ、味覚等を持つ品
種を高品質かつリーズナブルな価格で提供することで、さらに需要を拡大することが可能
である。
日本産のなしを販売する小売店は、伊勢丹、フジスーパー、一部のタイ資本高級デパー
ト、スーパーである。
関連品に関して、加工品は比較的少なく、ジュース、缶詰などがEU諸国から輸入され
ている。
(2) 流通経路
なしは「りんご」と同様に中国産が多いため、中華系の輸入業者が独自のネットワーク
で流通している。量販店への経路はりんごと同様である。
(3) 新規参入の留意点
りんごに比べると、需要が少ないこともあり、競争はそれほど激しくないものの、廉価
な中国産、韓国産が出回っているため、高所得者層向けに、「日本産」の味覚と見栄えの良
さを引き続き PR していくことも必要である。
11.2.7 サンプル輸出
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
72
11.2.8 輸入業者リスト
日本のなしを輸入する主な輸入業者は次のとおりである。
Name
Bridgestone Metalpha
(Thailand) Co., Ltd
Daisho (Thailand) Co., Ltd.
Sanyo kasei (Thailand)
Limited
City Fresh Fruit Limited
Parnership
Address
29/1 Moo 4, Highway 331 Rd ,Pluak Daeng,
Pluak Daeng ,Rayong 21140
Unit A-B and C3, 14th Fl. No.947 Moo 12 ,
Thosapol Land Building 3, Bangna-Trad Rd,
Bangna, Bangkok 10260
22 Sukhumvit, Prakanong, Klongtoey,
Bangkok 10110
40/29 Moo 5 Kanchanapisek , Bangbon ,
Bangbon , Bangkok 10150
Tel: - Fax: - URL
Tel : 0-3895-4290
Tel: 0-2744-1450,1,3
Fax : 0-2744-1452
Tel : 0-2390-2061-8
Tel : 0-2895-1761
Fax :0-2895-1771
www.cititex.co.th
Tel : 0-2631-1350-4
Jalux Asia Co., Ltd.
United Center Bldg., 20th Fl. Rm. 2004, 323
Silom Rd., Bang Rak, Bangkok 10500
Kobe-Ya Shokuhin Kogyo
Co.,Ltd.
256-266 Soi Chokechaijongjamroen, Rama 3
Rd., Bangpongpang, Yannawa, Bangkok
10120
127 Bam Rung Mueang
Rd,Klongmahanak,Pomprap Sattruphai,
Bangkok,10100
60/107 Moo 9 Dokmai,Prawet, Prawet,
Bangkok 10250
Tel : 0-2683-0520-4
Fax : 0-2683-0177
325/34 Siyakmahanak, Lan Luang Rd,
Dusit, Bangkok 10300
Tel : 0-2281-7393
C&T Global Company
Limited
Sun Expo Services Co., Ltd
Thongchai Intertrading
Ltd.,Part
73
Tel : 0-2226-4630
Tel : 0-2728-4452 - 4
Fax : 0-2752-8545 - 6
www.sunexpothai.com
11.3 みかん
英名:Mandarin
学名:Citrus unshiu
タイ名:Som (Som Kiaw waan)
<輸出の可否>
輸出は条件付きで「可」
現在のところ、植物検疫上、日本からの輸出は一部の地域(静岡県藤枝地域)か
らのみに限られている。
11.3.1 品目の定義
HS コード分類:
0805.20.00.090:
その他(生鮮、乾燥)
HS 番号
品目
統計
HS Code
分類
“Citrus fruits, fresh or dried."
0805
かんきつ類の果実(生鮮のもの及び乾燥したものに限る。)
0805.20.00
0805.20.00
090
- Mandarins (including tangerines and satsumas); clementines, wilkings and
similar citrus hybrids マンダリン(タンジェリン、うんしゅうみかんを含む)
Other その他
11.3.2 手続き全体の流れ
タイへの輸出は定められた検疫条件を満たさなければならない。(2008 年 1 月現在、静岡
県の藤枝地域のうんしゅうみかんの輸出が可能である)(次項参照)
11.3.3 輸入・販売上の規制
(1) 植物検疫
植物検疫上、日本からの輸入は条件付きで一部の地域のみに限られている。
タイへのうんしゅうみかんの輸入の解禁について
タイ政府は 2007 年 6 月 13 日付で日本のうんしゅうみかんのタイへの輸入の解禁を発表した。
日本政府の発表によると、解禁にあてはまる検疫条件は次のとおりとなっている。
・モニタリング調査(4月1日~10 月 31 日)の結果、ミカンバエの発生が確認されていない地
域にあり、植物防疫所が登録した生産園地であること(今年産を輸出するためには、今年4月1
74
日からのモニタリング調査が実施されていることが必要。現在は静岡県藤枝地域が該当する)
。
・輸出のための梱包作業が 11 月1日から来年3月 31 日までの間に行われること。
・生産地域について、輸出初年度にタイ側検査官による現地調査が実施されること。
・輸出向け生産園地等について、毎年タイ側検査官が現地調査を行うこと。
・日本側が行う輸出検査には、タイ側検査官が立ち会うこと。
今後、新たにタイ向けうんしゅうみかんの生産園地として登録されるためには、都道府県を通
じて植物防疫所に申請し、来年4月1日~10 月 31 日までミカンバエに対するモニタリング調査
を実施する必要がある。この結果、ミカンバエが未発生であることが確認されれば、植物防疫所
は当該生産地域と生産園地を新たに登録し、農水省を通じてタイに検査官の派遣を要請する。さ
らにタイ側検査官による調査結果にもとづきタイ側の指定手続きが終了すれば、輸出が可能にな
る。
うんしゅうみかん以外の柑橘類については、農水省は今後タイとの協議を進めることにしてい
る。
(2) 残留農薬
①最大許容残留値(MRL)
みかんは次のとおり。
MRL:
化学物質名
最大許容残留値(MRL)
(食品 1kg 当たりの mg)
タンジェリン
カルバリル
15
シペルメトリン
2
ジメトエート
2
マラチオン
4
メソミル
1
プロフェノホス
0.1
(その他については Codex の MRL 基準に従う。またタイ国内の使用禁止農薬について
は残留してはならない。
)
ERL:「果実・果実加工品」(前述)と同じ
②使用禁止農薬
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.3.4 表示方法
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
75
11.3.5 税制度
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
みかんの関税率は次のとおりである。
HS 番号
Heading
Sub
Code
Code
0805.20.00
090
基本税率(MFN)
0805.20.00
00
WTO 税率
0805.20.00
Discount 税率
0805.20.00
00
00
品目
関税率
-Mandarins (including tangerines and satsumas); clementines,
wilkings and similar citrus hybrids
-Mandarins (including tangerines and satsumas);
clementines, wilkings and similar citrus hybrids
従価税
従量税(バーツ/㎏)
60%
50.00
-Mandarins (including tangerines and satsumas);
clementines, wilkings and similar citrus hybrids
従価税
従量税(バーツ/㎏)
40%
33.50
-Mandarins (including tangerines and satsumas);
clementines, wilkings and similar citrus hybrids
従価税
従量税(バーツ/㎏)
40%
33.50
JTEPA 関税率
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
11/1/07 4/1/08 4/1/09 4/1/10 4/1/11 4/1/12 4/1/13 4/1/14 4/1/15 4/1/16- 4/1/17
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
3/31/08 3/31/09 3/31/10 3/31/11 3/31/12 3/31/13 3/31/14 3/31/15 3/31/16 3/31/17
0805.20.00.00
(0805.20.00.090)
-Mandarins (including
tangerines and satsumas);
clementines, wilkings and
similar citrus hybrids
33.33% 26.67% 20.00% 13.33%
6.67%
無税
無税
無税
無税
無税
無税
2008 年 1 月時点
11.3.6 国内流通・取引慣行等
(1) 国内マーケット事情
商品特性
みかん、特にタンジェリンはタイで最も一般的な柑橘類である。国内のどの地方でも栽培
することが可能だか、気温の低い北部で生産することにより外皮のオレンジ色が強くなり、
市場における価格は高くなる。タンジェリンは国内の需要を満たすだけの生産量があるが、
害虫に対する抵抗性が他の果実と比べ低いこと、商品のサイズおよび外皮に関し品質が低
いために商品価値の向上が難しい。タイで生産される主要品種は「ショーグン」種、「シィ
ートン」種である。商品は年中出回っている。日本のみかん、「うんしゅうみかん」のよう
76
な種無しは見られないが、現在、大手農園では試験栽培がされており、今後、出荷される
可能性があるだろう。
(2) マーケット事情
市場に出回るみかん類は、タイ南部、北部で生産される国内産が中心となっている。近
年は日本のミカン(うんしゅうみかん)に形状、色が似た生食用、皮の柔らかいものが出
回りはじめており、同種類は高級品種として、化粧箱に入れられ販売されている。みかん
は現地のローカルフルーツとして食生活に深く浸透している果物であり、スーパーマーケ
ット、果物専門店、屋台等で幅広く販売されている。その絞り果汁も露店等で広く販売さ
れている。販売の形態は、サイズ別の量り売りが一般的であるが、果皮の綺麗なみかんに
関しては、高級品として、パック売りも行われ、特に化粧箱に入れられたものは、贈答用
や中華系タイ人の旧正月用として購入されることも多い。なお、スーパー以外の市場、露
店で販売されるものには、見栄えと鮮度保持のためにコーティング処理をしているものが
多い。
その他の柑橘類、例えばオレンジに関しては、一部の品種を除いて国内栽培はされてお
らず、豪州、米国から輸入され、外国人層、タイ人高所得者層に限定された高級果実とな
っている。
みかんの関連品として、みかんのシロップ漬け、果汁が挙げられる。みかんのシロップ
漬けは大手果実加工会社が販売している。果汁は近年の健康志向ブームを受け、100%果汁
(濃縮または絞り果汁)が普及しており、現地の果実加工会社の数社が販売しており、オ
レンジ、ブラッドオレンジ、タンジェリンなど様々な種類の柑橘類の果汁が販売されてい
る。
(3) 流通経路
みかん(タンジェリン)は国内産が殆どであり輸入は少ない。国内の流通はタイ北部に
大規模に商業的生産を実施している業者が数社あり、直接量販店に販売する経路、中卸し
に販売する経路がある。バンコク近郊のタイ最大の生鮮果実の卸売(中卸)市場であるタ
ラート・タイ市場ではみかん(タンジェリン)専用の市場棟があり、多数の専門中卸商が
軒を並べ、産地集荷業者から仕入れた商品をホテルや小売業者へ販売している。
日本産温州みかんは 2007 年 12 月に静岡の一部地域産の温州みかんが解禁され、
「日本食
品フェア 2007」において輸入・紹介されたが、2008 年2月現在、タイ市場に本格的に輸入
されている状況にない。
なお、オレンジについては輸入業者が豪州、米国から空輸され、直接小売業者へ販売さ
れるケースが殆どで、卸売市場を介した流通は少ない。
77
(4) 新規参入の留意点
国内産のみかん(タンジェリン)は依然として味覚、サイズ、ツブ揃い等で改善の余地
が見受けられる。将来的に外国産のみかんの輸入需要増が見込まれる。一方、日本産の温
州みかんは、航空輸送をした場合に酸味が残ったまま店頭に並ぶ場合があり得るが、タイ
の消費者は比較的酸味がない国産のタンジェリンになれている一方酸味を嫌うため、その
品質には留意する必要がある。日本産のみかんというブランド的な評価が得られる可能性
は高いが、国内産と競合しないような差別化が求められる。
なお、今後輸入が解禁される可能性があるその他の日本産かんきつ類については、タイ
市場にほとんど同一な品種はないといって良いが、季節的に国産・輸入かんきつと競合す
る場合も少なくないため、十分な市場調査が必要である。
11.3.7 サンプル輸出
基本的に「不可」。ただし、上述の植物検疫上の条件を満たせば可能である。
11.3.8 輸入業者リスト
日本のみかんを輸入する業者は以下のとおりである。これは 2007 年 12 月に静岡産の温州
みかんが初めて紹介された「日本食品フェア 2007」における輸入業者であり、この業者は
展示会専門の業者であるため、本格的な輸入を行う可能性は低い。
Name
Sun Expo Services Co., Ltd
Address
60/107 Moo 9 Dokmai,Prawet, Prawet,
Bangkok 10250
78
Tel: - Fax: - URL
Tel : 0-2728-4452 - 4
Fax : 0-2752-8545 - 6
www.sunexpothai.com
11.4 もも
英名:Peach
学名:Prunus persica L. Batsch
タイ名:Luuk Tor
<輸出の可否>
輸出は「可」
11.4.1 品目の定義
HS コード分類:
0809.30.00.000:
桃、ネクタリンも含む(生鮮)
HS 番号
品目
統計
HS Code
分類
"Apricots, cherries, peaches (including nectarines), plums and sloes, fresh."
0809
0809.30.00
000
あんず、さくらんぼ、桃(ネクタリンを含む。)、プラム及びスロー(生鮮のものに
限る。)
- Peaches, including nectarines 桃、ネクタリンも含む
11.4.2 手続き全体の流れ
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.4.3 輸入・販売上の規制
(1) 植物検疫
現時点では、改正前の植物検疫規則のとおり、植物検疫証明書は必要としない。
植物検疫の手続きは「果実・果実加工品」(前述)と同じ
(2) 残留農薬
①最大許容残留値(MRL)
ももは次のとおり。
MRL:特に規定なし
(Codex の MRL 基準に従う。またタイ国内の使用禁止農薬については残留してはならな
い)
ERL:「果実・果実加工品」(前述)と同じ
②使用禁止農薬
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
79
11.4.4 表示方法
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.4.5 税制度
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
ももの関税率は次のとおりである。
HS 番号
Heading
Sub
Code
Code
0809.30.00
000
基本税率(MFN)
0809.30.00
00
WTO 税率
0809.30.00
Discount 税率
0809.30.00
00
00
品目
関税率
-Peaches, including nectarines
-Peaches, including nectarines
従価税
従量税(バーツ/㎏)
60%
50.00
-Peaches, including nectarines
従価税
従量税(バーツ/㎏)
40%
33.50
-Peaches, including nectarines
従価税
従量税(バーツ/㎏)
40%
33.50
JTEPA 関税率
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
11/1/07 4/1/08 4/1/09 4/1/10 4/1/11 4/1/12 4/1/13 4/1/14 4/1/15 4/1/16- 4/1/17
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
3/31/08 3/31/09 3/31/10 3/31/11 3/31/12 3/31/13 3/31/14 3/31/15 3/31/16 3/31/17
0809.30.00.00
(0809.30.00.000)
-Peaches, including
nectarines
33.33% 26.67% 20.00% 13.33%
6.67%
無税
無税
無税
無税
無税
無税
2008 年 1 月時点
11.4.6 国内流通・取引慣行等
(1) 国内マーケット事情
商品特性
標高 1,000 メートル以上、平均気温 10 度内外のタイ北部山岳地域で生産されるものがあ
る。当初 PEMURG という種類から作付け生産は開始されたが、小ぶりで生産量は少なか
ったため、同種の生産は中止された。現在はフロリダ系の品種が生産されているが生産量
は少なく殆ど輸入である。国内産の収穫期は 4 月~7 月である。輸入は中国が多く、次いで
米国、その他、日本、豪州である。主な輸入時期は 5 月~12 月である。
マーケット事情
中国からの輸入が中心となっているが、まだ一般的なフルーツとして浸透しているとは
80
いえない。桃は高級果実の代表でもあり、他の現地産との果実との価格差もあり、一般消
費者には高嶺の花であり、購買頻度は少なく馴染みが薄い。一部、タイ北部、山岳部で生
産される国内産も流通しているがその量は少なく、桃は国内産というより中国産と認識し
ている人が多い。
販売は1個からの個数売り、贈答用のフルーツバスケットに詰められるものとしての利
用が多く、その場合はサイズの大きなものが好まれるようである。
日本産は富裕層・中間層に人気があり、特に最高ランクに位置する日本産は富裕層のた
めのぜいたく品として定着している。2008 年以降は、JTEPAで関税が撤廃された後の
本格的な輸入となるので、日本産のブランドイメージを維持しつつ、他の輸入品に負けな
いサイズ、味覚等を持つ品種を高品質かつリーズナブルな価格で提供することで、さらに
需要を拡大することが可能である。
日本産の桃を販売する小売店は、伊勢丹、フジスーパー、一部のタイ資本高級デパート、
スーパーである。日系高級フルーツショップ・パーラーの「むらはた」では、日本産の桃
を使ったフルーツパフェなどのデザートを提供している。
関連品に関しては、缶詰製品、ジュース類はEU諸国、米国、中国から輸入されている。
(2)流通経路
主に中国産は輸入業者→卸売・仲買市場→小売業者の流通経路も多いが、米国や日本
産は輸入業者→小売業者が最も一般的な経路である。
(3) 新規参入の留意点
桃は高級果実として認識されており一般の消費は少ない。業者の間では米国産の評価が
高いが、日本産は甘みがあり、見た目が大変美しいという評判があり、輸入価格は高いが
米国産との競合は可能であると指摘する。そのため鮮度管理には十分留意し、個装の工夫、
日本ブランドを積極的に PR することで、より高級感を打ち出すことが重要である。
11.4.7 サンプル輸出
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.4.8 輸入業者リスト
日本のももを輸入する主な輸入業者は次のとおりである。
Name
Daisho (Thailand) Co., Ltd.
Erawan Ploenchit
(Branch 2) Co., Ltd.
Marriott BKK
JW
Address
Unit A-B and C3, 14th Fl. No.947 Moo 12 ,
Thosapol Land Building 3, Bangna-Trad
Rd, Bangna, Bangkok 10260
4 JW Marriott Hotel Bangkok Sukhumvit,
Klongtoey, Klongtoey, Bangkok 10110
81
Tel: - Fax: - URL
Tel : 0-2744-1450,1,3 Fax :
0-2744-1452
Tel : 0-2656-7700
11.5 ぶどう
英名:Grape
学名:Vitis vin
タイ名:agun
<輸出の可否>
輸出は「可」
11.5.1 品目の定義
HS コード分類:
0806.10.00.000:
ぶどう(生鮮)
0806.20.00.000:
ぶどう(乾燥)
HS 番号
品目
統計
HS Code
分類
"Grapes, fresh or dried."
0806
0806.10.00
0806.20.00
000
000
ぶどう(生鮮のもの及び乾燥したものに限る。)
- Fresh 生鮮
- Dried 乾燥
11.5.2 手続き全体の流れ
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.5.3 輸入・販売上の規制
(1) 植物検疫
現時点では、改正前の植物検疫規則のとおり、植物検疫証明書は必要としない。
植物検疫の手続きは「果実・果実加工品」(前述)と同じ
(2) 残留農薬
①最大許容残留値(MRL)
ぶどうは次のとおり。
MRL:
化学物質名
最大許容残留値(MRL)
(食品 1kg 当たりの mg)
ぶどう
プロフェノホス
0.05
トリアゾホス
0.02
(その他については Codex の MRL 基準に従う。またタイ国内の使用禁止農薬については
残留してはならない。)
82
ERL:「果実・果実加工品」(前述)と同じ
②使用禁止農薬
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.5.4 表示方法
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.5.5 税制度
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
ぶどうの関税率は次のとおりである。
HS 番号
Heading
Sub
Code
Code
0806.10.00
000
0806.20.00
000
基本税率(MFN)
0806.10.00
00
0806.20.00
WTO 税率
0806.10.00
0806.20.00
Discount 税率
0806.10.00
0806.20.00
00
00
00
00
00
品目
関税率
-Grapes, fresh
-Grapes, Dried
-Grapes, fresh
従価税
従量税(バーツ/㎏)
-Grapes, Dried
従価税
従量税(バーツ/㎏)
60%
50.00
60%
50.00
-Grapes, fresh
従価税
従量税(バーツ/㎏)
-Grapes, Dried
従価税
従量税(バーツ/㎏)
30%
25.00
30%
25.00
-Grapes, fresh
従価税
従量税(バーツ/㎏)
-Grapes, Dried
従価税
従量税(バーツ/㎏)
30%
25.00
30%
25.00
JTEPA 関税率
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
11/1/07 4/1/08 4/1/09 4/1/10 4/1/11 4/1/12 4/1/13 4/1/14 4/1/15 4/1/16- 4/1/17
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
3/31/08 3/31/09 3/31/10 3/31/11 3/31/12 3/31/13 3/31/14 3/31/15 3/31/16 3/31/17
0806.10.00.00
(0806.10.00.000)
-Grapes, fresh
0806.20.00.00
(0806.20.00.000)
-Grapes, Dried
25.00% 20.00% 15.00% 10.00%
無税
無税
無税
無税
2008 年 1 月時点
83
5.00%
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
11.5.6 国内流通・取引慣行等
(1) 国内マーケット事情
商品特性
もともとタイのぶどうの生産は 50 年以上前から開始されたが、生産は生食用が中心であ
ったが近年のワインブームを受けワイン用も栽培されるようになり、現在は国内でも生食
用、ワイン用とも生産が盛んである。主産地はバンコク周辺県のラチャブリ県、サムット
サコン県、ナコンパトム県である。主要な品種は「カーディナル」種、
「ホワイトマラカー」
種であるが、その他にもワイン用など多種類ある。収穫は約 3 ヶ月ごとであり、最盛期は 1
月~4 月、9 月~12 月である。輸入産も多く出回っており、国内生産量の 2 割程度が米国、
豪州、南アフリカなどから 1 年を通じて輸入されている。
マーケット事情
ぶどうはタイにおいて最もポピュラーになっている輸入果実の一つである。米国、豪州、
南アフリカ、チリ等からの輸入が主体となっているほか、国内産も多く出回っている。タ
イ国内産のブドウはもともと外来種であり、「カーディナル」種、「ホワイトマラカー」種
のほか輸入品と同種も生産されている。近年、国内の栽培も盛んで技術的にも他国産と遜
色がなく国内産、外国産の見分けがつきにくい。スーパーマーケット、果物専門店等で幅
広く流通しており、タイの現地の熱帯果実と同様に一般的に食生活に浸透した果物になっ
ている。
輸入されているもの、市場に広く流通しているものは、比較的果皮の傷みに強い品種で
あり、販売方法は大量陳列による量り売りが中心であるが、高級品として高所得者層、外
国人層を対象としたタイ産の巨砲、また果皮の傷みに弱い品種は、パック売りが行われ、
それぞれ高級感を打ち出したオリジナルのパッケージが使用されている。市場で消費者の
目に留まる機会は多く、価格も手頃なことから一般的な果実となっているが、購買の際は
鮮度、大きさ重視により選択される傾向がある。
日本産は、巨峰、ピオーネ、マスカット・オブ・アレキサンドリアといった高級品種が
中心であり、他国産のものとは品種が異なり、ジューシーで甘みも強く、見た目も美しい
という強みを持っているため、富裕層・中間層に人気があり、最高ランクに位置するが、
他国産にも大粒で糖度が高いものもあり、価格差も大きいため、競合している状況にある。
日本産のブランドイメージを維持しつつ、他の輸入品に負けない色、形、味覚等を持つ品
種を高品質かつリーズナブルな価格で提供することで、さらに需要を拡大することが可能
である。
日本産のぶどうを販売する小売店は、伊勢丹、フジスーパー、一部のタイ資本高級デパ
ート、スーパーである。日系高級フルーツショップ・パーラーの「むらはた」では、日本
産ぶどうを使ったフルーツパフェなどのデザートを提供している。
84
関連品としては、ワイン、ジュース、ジャム、ワインビネガー、ブランデー等はEU諸
国、豪州、米国、チリ等の各国から輸入されているほか、近年はワインブームを受け、タ
イ産ブドウを使用した国内産ワインも定着している。レーズンは主に米国からの輸入品で
あり、タイ国内製品もある。
(2) 流通経路
海外産は輸入業者→小売業者が最も一般的である。国産は卸売市場を介して販売する経
路、直接産地から小売業者に販売される経路がある。
(3) 新規参入の留意点
ぶどうはタイ国内において品種によって高級用としてパック詰め、化粧箱に入れられ取
り扱われることもあるが、一般的には大量に陳列されており、国産の違いがわかりにくい。
そのためど日本産としての差別化するためにどの品種で参入するかを見極めることが重要
である。またブドウは鮮度が果皮に出やすい(果皮が白いうちは新しく、古くなるとつや
が出る)ため輸送方法を含め品質管理にも留意する必要がある。
11.5.7 サンプル輸出
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.5.8 関連企業・団体概要・リスト
輸入果実に関連する関連団体は特に存在しない。
主な輸入業者は次のとおりである。
ぶどう:
Name
Daisho (Thailand) Co., Ltd.
Address
Unit A-B and C3, 14th Fl. No.947 Moo 12 , Thosapol
Land Building 3, Bangna-Trad Rd, Bangna, Bangkok
10260
United Center Bldg., 20th Fl. Rm. 2004, 323 Silom Rd.,
Bang Rak, Bangkok 10500
Tel: - Fax: - URL
Tel : 0-2744-1450,1,3
Fax : 0-2744-1452
Kobe-Ya Shokuhin Kogyo
Co.,Ltd.
256-266 Soi Chokechaijongjamroen, Rama 3 Rd.,
Bangpongpang, Yannawa, Bangkok 10120
Tel. 0-2683-0520-4
Fax.0-2683-0177
City Fresh Fruit Limited
Parnership
40/29 Moo 5 Kanjanapisek , Bangbon , Bangbon ,
Bangkok 10150
Erawan Ploenchit
(Branch 2) Co., Ltd.
Marriott BKK
4 JW Marriott Hotel Bangkok Sukhumvit, Klongtoey,
Klongtoey, Bangkok 10110
Tel : 0-2895-1761
Fax :0-2895-1771
www.cititex.co.th
Tel : 0-2656-7700
Jalux Asia Co., Ltd.
JW
85
Tel : 0-2631-1350-4
11.6 かき
英名:Persimmon
学名:Diospyros Kaki L.F.
タイ名:Luuk prap
<輸出の可否>
輸出は「可」
11.6.1 品目の定義
HS コード分類:
0810.90.90.004:
かき(生鮮)
HS 番号
品目
統計
HS Code
分類
0810
0810.90
0810.90.90
0810.90.90
004
"Other fruit, fresh." その他の果実(生鮮のものに限る。)
- Other その他のもの
- - Other その他のもの
Persimmon かき
11.6.2 手続き全体の流れ
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.6.3 輸入・販売上の規制
(1) 植物検疫
現時点では、改正前の植物検疫規則のとおり、植物検疫証明書は必要としない。
植物検疫の手続きは「「果実・果実加工品」(前述)と同じ
(2) 残留農薬
①最大許容残留値(MRL)
かきは次のとおり。
MRL:特に規定なし
(Codex の MRL 基準に従う。またタイ国内の使用禁止農薬については残留してはならな
い)
ERL: 「果実・果実加工品」(前述)と同じ
②使用禁止農薬
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
86
11.6.4 表示方法
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.6.5 税制度
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
かきの関税率は次のとおりである。
HS 番号
Heading
Sub
Code
Code
0810.90.90
004
基本税率(MFN)
0809.30.00
00
WTO 税率
0809.30.00
Discount 税率
0809.30.00
00
00
品目
関税率
- - Other
- - Other
従価税
従量税(バーツ/㎏)
60%
50.00
- - Other
従価税
従量税(バーツ/㎏)
40%
33.50
- - Other
従価税
従量税(バーツ/㎏)
40%
33.50
JTEPA 関税率
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
11/1/07 4/1/08 4/1/09 4/1/10 4/1/11 4/1/12 4/1/13 4/1/14 4/1/15 4/1/16- 4/1/17
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
3/31/08 3/31/09 3/31/10 3/31/11 3/31/12 3/31/13 3/31/14 3/31/15 3/31/16 3/31/17
0810.90.90.00
(0810.90.90.004)
- - Other
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
2008 年 1 月時点
11.6.6 国内流通・取引慣行等
(1) 国内マーケット事情
商品特性
タイ産はチェンライ県の山岳地域で栽培されているが、生産量は僅かである。生食用と
して甘柿の Fuyu(富有), Suruga などがあるが現地での収量は低く、殆どが Tanenasi,
Nightingale, Szu Chou などの渋柿が栽培されており、渋抜処理して販売されるか、干し柿
用として使用される。収穫最盛期は 8 月~9 月である。しかし国内に流通する柿の殆どは中
国産であるが、日本産も富有柿が輸入されている。その他はイスラエル産の Wachamon 種
やスペイン産もサイズが大きく味が良いと業者には評判である。外国産の主な出回り時期
は 12 月~2 月、5 月~8 月と言われている。柿はみかんとともにタイ国内で中華系タイ人
87
を中心に好まれる温帯果実の一つであり、贈答用として利用されている。
マーケット事情
中国、日本からの輸入物が中心となっているタイのマーケットにおいて、昔から知られ
ているものの一般的な果実として広く市場に浸透しているとは言い難い。タイ北部の国内
産も流通しているが量は僅かである。
一部の大規模スーパーマーケット、果物専門店に並べられることはあるが、やはり特別
な存在であり、贈答用として、またはフルーツバスケットに詰められるものとしての利用
が多く、サイズが大きく、光沢があり発色の良いものが選ばれている。販売形態は1個か
らの個数売りが普通である。なお、タイでは家庭や社内、寺院などの祭壇に供え物をする
習慣があるが、特に金色のものが好まれ、生鮮食品では柿、みかん、カボチャなど代表的
である。
かきはタイがりんごに次いで多く輸入している日本産の果実である。日本産は、同品種
も有する中国産よりジューシーで甘みも強く、見た目も美しいという強みを持っているた
め、富裕層・中間層に人気があり、最高ランクに位置するが、中国産と外見が近い割には
価格差も大きいため、競合している状況にある。2008 年以降は、JTEPAで関税が撤廃
された後の本格的な輸入となるので、日本産のブランドイメージを維持しつつ、他の輸入
品に負けないサイズ、味覚等を持つ品種を高品質かつリーズナブルな価格で提供すること
で、さらに需要を拡大することが可能である。
日本産のかきを販売する小売店は、伊勢丹、フジスーパー、一部のタイ資本高級デパー
ト、スーパーである。
関連品に関しては、タイ国産または外国産(中国)の干し柿がある。干し柿は最近日本
産も出回るようになっており、一定の人気を博しているとのことである。
(2) 流通経路
柿は中国産が多いため、中華系の輸入業者から仲卸を経て中華街に多く出回っている。
そこからさらに小売業者へ販売される。中国産以外の外国産は大手スーパーのみで輸入卸
売業者を介して流通している。
(3) 新規参入の留意点
中国産、他国産との差別化、鮮度管理に留意する必要がある。特に、かきは輸送中に温度
等の理由で褐色に変質することがあり、商品価値を損ねるので、輸送には細心の注意を払
う必要がある。
11.6.7 サンプル輸出
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
88
11.6.8 関連企業・団体概要・リスト
日本のかきを輸入する主な輸入業者は次のとおりである。
Name
City Fresh Fruit Limited
Parnership
Address
40/29 Moo 5 Kanchanapisek , Bangbon ,
Bangbon , Bangkok 10150
Jalux Asia Co., Ltd.
United Center Bldg., 20th Fl. Rm. 2004,
323 Silom Rd., Bang Rak, Bangkok 10500
Panasonic Electronic
Devices (Thailand) Co.,
Ltd.
Kobe-Ya Shokuhin Kogyo
Co.,Ltd.
101 Moo.2 Theparak Rd, Bang sao
Thong ,King Amphoe Bang Sao Thong,
Samutprakarn 10540
256-266 Soi Chokechaijongjamroen, Rama
3 Rd., Bangpongpang, Yannawa, Bangkok
10120
Unit A-B and C3, 14th Fl. No.947 Moo 12 ,
Thosapol Land Building 3, Bangna-Trad
Rd, Bangna, Bangkok 10260
325/126-127 Siyakmahanak ,Lan
Luang Rd, Dusit, Bangkok 10300
325/34 Siyakmahanak, Lan Luang Rd,
Dusit, Bangkok 10300
1244-1250 Songwad Rd,
Samphanthawong, Sampantawong ,
Bangkok 10100
44/35 Moo 10 ,Iyara 1 Rd., Klong
Song ,Klong Luang, Pathumthani 12120
Daisho (Thailand) Co., Ltd.
VSM Fruits Limited
Partnership
Thongchai Intertrading
Ltd.,Part
Yoo Yong Ltd,.Part
Inter Fresh Co., Ltd
C&T Global Co.,ltd
Kampangsan Commercial
(KC Fresh) Co, Ltd
Sun Expo Services Co., Ltd
127 Bumrungmuang Rd, Klong Maha
Nak, Pomprabsattupai,Bangkok 10100
222 Moo 2, Poldamri Rd, Kamphaeng
Saen, Kamphaeng Saen, Nakhonpathom
73130
60/107 Moo 9 Dokmai,Prawet, Prawet,
Bangkok 10250
89
Tel: - Fax: - URL
Tel : 0-2895-1761
Fax :0-2895-1771
www.cititex.co.th
Tel : 0-2631-1350-4
Tel : 0-2723-3100
Tel. 0-2683-0520-4
Fax.0-2683-0177
Tel. 0-2744-1450,1,3
Fax.0-2744-1452
Tel : 0-2591-7641-4
Tel : 0-2281-7393
Tel : 0-2222-0666
Tel : 0-2908-3208 Fax :
0-2908-2352
www.interfresh.co.th
Tel : 0-2226-4630
Tel : 0-3435-1556-8
Tel : 0-2728-4452 - 4
Fax : 0-2752-8545 - 6
www.sunexpothai.com
11.7 メロン
英名:Melon
学名:Cucumis melo
タイ名:Cantaluup または Teng
<輸出の可否>
輸出は「可」
11.7.1 品目の定義
HS コード分類:
0807.19.00.001:
カンタロープ(生鮮)
0807.19.00.090:
その他メロン
HS 番号
品目
統計
HS Code
分類
"Melons (including watermelons) and papaws (papayas), fresh."
0807
0807.19.00
0807.19.00
0807.19.00
001
090
パパイヤ及びメロン(すいかを含む。)(生鮮のものに限る。)
- Melons(oncluding watermelons): メロン(すいかを含む。)
- - Other その他のもの
Cantaloupe カンタロープ
Other melons その他メロン
11.7.2 手続き全体の流れ
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.7.3 輸入・販売上の規制
(1) 植物検疫
現時点では、改正前の植物検疫規則のとおり、植物検疫証明書は必要としない。
植物検疫の手続きは「果実・果実加工品」(前述)と同じ
(2) 残留農薬
①最大許容残留値(MRL)
メロンは次のとおり。
MRL:特に規定なし
(Codex の MRL 基準に従う。またタイ国内の使用禁止農薬については残留してはならな
い)
ERL: 「果実・果実加工品」(前述)と同じ
90
②使用禁止農薬
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.7.4 表示方法
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.7.5 税制度
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
メロンの関税率は次のとおりである。
HS 番号
Heading
Sub
Code
Code
0807.19.00
001
0807.19.00
090
基本税率(MFN)
0807.19.00
00
WTO 税率
0807.19.00
Discount 税率
0807.19.00
00
00
品目
関税率
Cantaloupe
Other melons
- - Other
従価税
従量税(バーツ/㎏)
60%
50.00
- - Other
従価税
従量税(バーツ/㎏)
40%
33.50
- - Other
従価税
従量税(バーツ/㎏)
40%
33.50
JTEPA 関税率
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
11/1/07 4/1/08 4/1/09 4/1/10 4/1/11 4/1/12 4/1/13 4/1/14 4/1/15 4/1/16- 4/1/17
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
3/31/08 3/31/09 3/31/10 3/31/11 3/31/12 3/31/13 3/31/14 3/31/15 3/31/16 3/31/17
0807.19.00.00
(0807.19.00.001)
Cantaloupe
(0807.19.00.090)
Other melons
26.67% 13.33%
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
無税
2008 年 1 月時点
11.7.6 国内流通・取引慣行等
(1) 国内マーケット事情
商品特性
メロンはすいかと同様に国内市場に広く流通している。国内ではプリンス系メロン、ハ
ウスメロン(ノーネット型)、そしてハウスメロン(ネット型、マスク系メロン)が生産さ
れている。タイではどちらかと言えばプリンス系、ノーネット型が種類も多く主体であっ
91
たが、最近は高級感のあるネット型も多く出回っている。主産地はタイ東部のサケオ県が
50%以上を生産している。ネット型は緑肉が主体である。通年収穫が可能であるが、最盛
期は7月~9 月である。現在のところ外国産の流通は比率的にはわずかであるが、世界的に
流通している米国産のハニーデューを中心に、輸入品が高級デパート等で出回っている。
マーケット事情
メロンもすいかと同様に庶民的な果物であり、バンコク市内の路上での果物のカット売
りのアイテムの一つである。大手スーパーでもすいかの隣に山積みで陳列されている光景
が良く見られる。最近は品質を保持するために緩衝材(発泡ネット)で個装したり、ネッ
ト型のハウスメロンでは化粧箱に入れて高級感を打ち出して販売されたりしている。ネッ
ト 型 の ハ ウ ス メ ロ ン は 英 語 表 記 で 「 Japanese Melon 」 と 称 さ れ て お り 、 化 粧 箱 に は
「Premium」Japanese Melon などの高級感を打ち出す表記がされている場合もある。販売
形態は量り売りまたは個数売りが普通である。
日本産は富裕層・中間層に人気があり、特に最高ランクに位置する日本産は、美しいネ
ット、化粧箱に入れられるという商品特性もあり、ギフト需要も含む富裕層のためのぜい
たく品として定着しつつある。今後も、日本産のブランドイメージを維持しつつ、日本人
がおいしいと思う熟度のメロンへの理解を深め、他の輸入品に負けないサイズ、味覚等を
持つ品種を高品質かつリーズナブルな価格で提供することで、さらに需要を拡大すること
が可能である。
日本産のメロンを販売する小売店は、伊勢丹、フジスーパー、一部のタイ資本高級デパ
ート、スーパーである。日系高級フルーツショップ・パーラーの「むらはた」では、日本
産のメロンを使ったフルーツパフェなどのデザートを提供している。
(2) 流通経路
海外産は輸入業者→小売業者が最も一般的である。国産は卸売市場を介して販売する経
路、直接産地から小売業者に販売される経路がある。
(3) 新規参入の留意点
国産のメロンは廉価で取引されているため、海外産は高級品として顧客層を絞った形で
国産との明確な差別化を打ち出していく必要がある。タイのメロンは日本で普通食べられ
るものより堅い状態で食べられるものであり、日本人がおいしいと思う適度に熟したメロ
ンがタイの消費者にとっては「熟れすぎて傷んでいる」と思われることもままあるとのこ
とである。この価値観の違いは、ていねいに説明することにより解消される余地があると
のことであり、日本人と同じメロンに対する価値観を持つに至ったタイ人も少なくない。
92
11.7.7 サンプル輸出
「果実・果実加工品」(前述)と同じ
11.7.8 主な輸入業者リスト
日本のメロンを輸入する主な輸入業者は次のとおりである。
Name
Hikaru Co.,Ltd
Erawan
Ploenchit
(Branch 2) Co., Ltd. JW
Marriott BKK
Daisho (Thailand) Co.,Ltd
Pongsawang
Partnership
Jalux Asia Co., Ltd.
Ltd,
Address
29 B.B.C Tower -19 th Soi Ekamai Sukhumvit,
North Klongtoey,Wattana,Bangkok, 10110
4 JW Marriott Hotel Bangkok Sukhumvit,
Klongtoey, Bangkok 10110
Tel: - Fax: - URL
Tel : 0-2714-8312
Unit A-B and C3, 14th Fl. No.947 Moo 12 ,
Thosapol Land Building 3, Bangna-Trad Road,
Bangna, Bangkok 10260
260-262 Charoen Vieng Rd., Silom, Bang Rak,
Bangkok 10500
United Center Bldg., 20th Fl. Rm. 2004, 323
Silom Rd., Bangrak, Bangkok 10500
Tel: 0-2744-1450-3
93
Tel : 0-2656-7700
Tel : 0-2234-9621
Tel : 0-2631-1350-4
11.8 いちご
英名:Strawberry
学名:Fragaria × ananassa
タイ名:Strawberry
<輸出の可否>
輸出は「可」
11.8.1 品目の定義
HS コード分類:
0811.10.00.000:
いちご(生鮮)
HS 番号
品目
統計
HS Code
分類
0810
0810.10.00
0811
0811.10.00
000
000
"Other fruit, fresh." その他の果実(生鮮のものに限る。)
- Strawberries
"Fruit and nuts, uncooked or cooked by steaming or boiling in water, frozen,
whether or not containing added sugar or other sweetening matter."
冷凍果実及び冷凍ナット(調理してないもの及び蒸気又は水煮による調理をしたもの
に限るものとし、砂糖その他の甘味料を加えてあるかないかを問わない。)
- Strawberries いちご
11.8.2 手続き全体の流れ
「野菜・野菜加工品」(前述)と同じ
11.8.3 輸入・販売上の規制
(1) 植物検疫
現時点では、改正前の植物検疫規則のとおり、植物検疫証明書は必要としない。
植物検疫の手続きは「野菜・野菜加工品」(前述)と同じ
(2) 残留農薬
①最大許容残留値(MRL)
いちごは次のとおり。
MRL:特に規定なし(Codex の MRL 基準に従う。またタイ国内の使用禁止農薬について
は残留してはならない。
)
ERL:「野菜・野菜加工品」(前述)と同じ
②使用禁止農薬
「野菜・野菜加工品」(前述)と同じ
94
11.8.4 表示方法
「野菜・野菜加工品」(前述)と同じ
11.8.5 税制度
「野菜・野菜加工品」(前述)と同じ
いちごの関税率は次のとおりである。
HS 番号
Heading
Sub
Code
Code
0810.10.00
000
基本税率(MFN)
0810.10.00
00
WTO 税率
0810.10.00
Discount 税率
0810.10.00
00
00
品目
関税率
- Strawberry
- Strawberry
従価税
従量税(バーツ/㎏)
60%
50
- Strawberry
従価税
従量税(バーツ/㎏)
40%
33.50
- Strawberry
従価税
従量税(バーツ/㎏)
40%
33.50
JTEPA 関税率
2007
2008
2009
2010
2011
2012
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11/1/07 4/1/08 4/1/09 4/1/10 4/1/11 4/1/12 4/1/13 4/1/14 4/1/15 4/1/16- 4/1/17
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0810.10.10.00
(0810.10.00.000)
- Strawberry
33.33% 26.67% 20.00% 13.33%
6.67%
無税
無税
無税
無税
無税
無税
2008 年 1 月時点
11.8.6 国内流通・取引慣行等
(1) 商品特性
主な産地はタイ北部のチェンマイ、チェンライで、品種はタイオカ種が主流である。11
月頃の第 1 果目のいちごは、サイズも大きいが、収穫が進行するにつれてサイズ、品質の
低下が目立ち、最終的にはジャム用など加工用として販売される。以前は、チェンマイで
観光客向けに販売されていたが最近は流通技術も向上し、バンコク市内でも生食用として
流通している。しかし、国産のいちごは概して粒は小さく酸味が強いのが特徴である。
いちごの輸入は、ほとんど空輸によるものであり、ニュージーランド産、豪州産、米国
産、韓国産が小売店で多く出回っているが、インドネシア産が輸入統計上はトップである。
北半球産は、おおむね12月~5月にかけて出回るが、南半球産はおおむね8月から12
月に出回る。日本産は、12月頃から3月頃まで出回り、日本における市場と同様、はし
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りのものが最も価格が高い。
(2) マーケット事情
国産品については、チェンマイで昔から果物を手掛けていた業者(いちご加工業者やモ
ロロンマーケット市場関係者や観光客向け販売業者)が、農家をグループ化し契約栽培を
している。そのグループで栽培されたいちごを買い受け、自社工場で選果、選別しパッキ
ングした物をチェンマイ近辺の市場に流通していたが、近年は輸送技術が向上しバンコク
などの大都市にもチェンマイ産いちごが販売され始めている。
販売形態は 5~10 果入りの袋詰めまたはプラスチック製容器が主流である。国産は日本
と同様のサイズのプラスチック製容器または化粧箱単位で販売されておらず、プラスチッ
ク袋で販売されている。品質の良い第1果、第2果は、大手スーパーや量販店で販売され
るが、それ以後の中粒、小粒はバンコクの街中の露天商で販売されたりする。
いちごは人気の果実の一つであるが、外国産の価格は現地の果実に比べると割高である
こと、長距離輸送のためやはり鮮度が落ちること、一年を通じて目にする機会は少ないこ
となどから、他の果実に比べてまだ生食の需要は少ない。しかし、高価であっても輸入い
ちごは品質がよいことから、生食用の輸入いちごの販売は年々増加傾向にある。その中で
も、日本産のいちごは甘みの強さ、色や形の美しさ等品質面で一歩抜きんでており、最も
高価ではあるが最も高級なものとして人気はほぼ定着したと言える。日本産では、福岡産
あまおう、栃木産とちおとめ、熊本産ひのしずく、群馬産やよいひめ、佐賀産さがほのか
等各県の主力品種が品種名を前面に出して PR 競争が行われている状況であり、価格帯は1
パック 400 バーツ台から 1000 バーツ台ほどであるが、中でも福岡産あまおうが最も高い価
格で売れる品種となっており、はしりの時期には1パック 1500 バーツで販売された。いち
ごの輸入業者はほとんど日系であったが、2007/08 シーズンより、タイ系の業者も取扱いは
じめたようである。
日本産いちごを販売する小売店は、伊勢丹、フジスーパー、一部のタイ資本高級デパー
ト、スーパーである。日系高級フルーツショップ・パーラーの「むらはた」では、日本産
イチゴを使ったフルーツパフェなどのデザートを提供している。
(3) 流通経路
タイ国産のいちごは産地が北部で収穫時期も限られていること、傷みやすいことから、
流通は地方の産地集荷業者と都市の卸売業者が直接電話で取引している。輸入のいちごは
輸入業者からスーパーに卸されて、販売されるか、スーパーのディストリビューションセ
ンターを通じて各店舗へ出荷される。
(4) 新規参入の留意点
タイ国内ではいちごに対する嗜好性は高いが、富裕層・中間層以外は、価格面から国産
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以外には手が出ず、「好きであるが食する機会が少ない」状況と思われる。輸入品は高価格
であるが品質も高いため、富裕層・中間層に人気があり、特に最高ランクに位置する日本
産は富裕層のためのぜいたく品として定着している。今後も、JTEPAの利用で関税率
が年々削減されるというメリットもあり、日本産のブランドイメージを維持しつつ、他の
輸入品に負けないサイズ、味覚等を持つ品種を高品質かつリーズナブルな価格で提供する
ことで、さらに需要を拡大することが可能である。ただ現時点では日本産は産地競争も激
しくなっており、品種にそれ相応の品質がなければ新規参入は難しくなってきている。輸
送の傷みが出やすい品目であるため、今後も輸出向きの品種開発や鮮度保持の工夫が必要
であるが、もし極めて保存性の高い品種が開発される等により船便での輸送が可能となれ
ば、さらに価格も下げることができ、市場の状況も大きく変化すると思われる。
11.8.7 サンプル輸出
「野菜・野菜加工品」(前述)と同じ
11.8.8 関連企業・団体概要・リスト
日本からいちごを輸入している主な輸入業者は次のとおりである。
いちご(生鮮):
Name
Daisho (Thailand) Co., Ltd.
Kobe-Ya Shokuhin Kogyo
Co.,Ltd.
Jalux Asia Co., Ltd.
Erawan
Ploenchit
(Branch 2) Co., Ltd. JW
Marriott BKK
Sun Expo Services Co., Ltd
Address
Unit A-B and C3, 14th Fl. No.947 Moo 12 ,
Thosapol Land Building 3, Bangna-Trad
Rd, Bangna, Bangkok 10260
256-266
Soi
Chokechaijongjamroen,
Rama 3 Rd., Bangpongpang, Yannawa,
Bangkok 10120
United Center Bldg., 20th Fl. Rm. 2004,
323 Silom Rd., Bang Rak, Bangkok 10500
4 JW Marriott Hotel Bangkok Sukhumvit,
Klongtoey, Klongtoey, Bangkok 10110
Tel: - Fax: - URL
Tel : 0-2744-1450,1,3
Fax :0-2744-1452
60/107 Moo 9 Dokmai,Prawet, Prawet,
Bangkok 10250
Tel : 0-2728-4452 - 4
Fax : 0-2752-8545 - 6
www.sunexpothai.com
97
Tel
:
0-2683-0520-4
Fax : 0-2683-0177
Tel : 0-2631-1350-4
Tel : 0-2656-7700
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