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第8章 山田町における新エネルギープロジェクト

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第8章 山田町における新エネルギープロジェクト
第8章
山田町における新エネルギープロジェクト
8.山田町における新エネルギープロジェクト
8-1 山田町の豊かな自然を活用した新エネルギーの導入
8-1-1 太陽エネルギーの利用
公共施設での太陽光発電の導入
(1)プランの考え方
太陽光発電は、町民意識調査にあったように、町民の関心が高く、最も普及している
技術である。町内では、山田中学校や県立山田病院には太陽光発電設備が導入されてい
る。中高生のアンケート調査でも、山田中学校以外の学校へ太陽光発電を導入したいと
いう希望が多い。山田町役場や中央公民館、小中学校などの公共施設に、町が率先して
太陽光発電システムを導入する事業プランである。
町の人々が集まる地区公民館に、太陽光発電システムを設置すれば、多くの人の目に
とまり、環境・エネルギーに対する意識向上になる。また、防災対策として指定避難場
所に設置すれば、災害時の生活拠点としての機能を発揮することが考えられる。
(2)システムの概要
県立山田病院
非常用負荷(防災型)
太陽電池モジュール
施設内負荷
発電表示
商用電力
空 調
照 明
電気設備
照 明
電気設備
切 替
集電盤
受変電設備
インバータ
連系保護装置
蓄電池設備
計測装置
図 8-1-1-1 太陽光発電システム概要
114
電力計
(3)プランの例
①導入候補場所
・山田町役場、中央公民館、コミュニティセンター
・豊間根中学校、荒川小学校、豊間根小学校、大沢小学校、山田北小学校、
山田南小学校、織笠小学校、轟木小学校、大浦小学校、船越小学校
山田中学校の太陽光発電
山田中学校太陽光発電のパネル
②導入検討の例
表 8-1-1-1 太陽光発電プランの例
項目
内容
導入場所
備考
小中学校など
導入
名称
太陽光発電
システム
規模
10kW
概算事業費
5,000 千円
助成制度
100 万円/kW、補助率 1/2 想定
地域新エネルギー導入促進事業等
日 射 量 1,454kWh/m2 ・ 年 、 発 電 面 積
100m2、変換効率 0.075 想定
予想発電量 10,907kWh/年
経済効果
導入効果
CO2 削減効
果
263 千円
24 円/kWh 想定
3,708kg-CO2/年
排出係数 0.340kg-CO2/kWh(東北電力)
投資回収年 19.0 年
メリット等
メリット
課題等
課題等
その他
事業主体地方公共団体等
(概算事業費)/(経済効果)より
○電力代替により CO2 削減になる。
○普及啓発・環境教育・PR 効果が見込める。
□設置スペース、耐荷重、取付け角度に留意が必要である。
□耐久性の問題や発電効率の低下の懸念などがある。
△経済性に課題
・今後、買い取り価格の固定化などの支援も考えられる。
・年2回以上程度の点検(約 20 千円程度)を要する。
115
(4)ポイント・課題等
①メリットと課題(○:メリット、△:課題、□:特徴)
○利用者の多い公共施設への導入は、PR効果が高い。
○蓄電池を設置すれば、災害時の非常用電源として利用できる。
メリット
○技術的には確立している。
○小中学校へ導入することで、生きた環境教育の教材として活用できる。
課題
△近年製造コストが下がったとはいえ投資回収するのは難しい。
特徴
□今後、発電電力の固定価格での買取などの施策支援も期待できる。
【天候の影響】
・発電量は、曇り時には晴天時の 1/3~1/10、雨天時は 1/5~1/20 になる。
・積雪の場合、発電量は期待できない。
【気温(温度)の影響】
・太陽光発電は、パネル面の温度が上昇すると発電効率が低下する傾向がある。
【方位各(方角)と傾斜角(傾斜)の影響】
・真南の緯度角程度が最も発電量が大きくなるが、真東、真西向きに設置しても真
南に比べて約 15%程度の発電量低下となるものの使用可能。
・傾斜角では、20°~30°が考えられるが、発電量の差は約 1~2%程度といわれ
ており、大きな差はでない。よって、傾斜については、設置する屋根の既存方位・
角度に沿って設置するのが一般的である。
・最大発電量が得られると見込まれる方位、角度に太陽電池モジュールを設置す
ることが望ましいが、外観や構造(耐風圧など)なども合わせて考慮する必要があ
る。
【影の影響】
備考
・薄い影(山、ビル、樹木、電柱等の影)が太陽電池に掛かった場合、発電量が低
下する(周囲からの散乱光のためゼロにはならないが、l/10~1/3 程度にな
る)。なるべく太陽電池に影が掛からないような工夫をすることが重要である。
・パネル上に影ができるような設置条件の場合、補助金認可が得られないケースも
ある。
【設置に係る届出】
・受電方式と出力規模により区分され、住宅用などの小容量(20kW 未満)で受電が
低圧の場合には基本的に届け出は不要である(電力会社との事前協議は必
要)。
・その他の場合は、経済産業省 産業保安監督部へ工事計画の届出、使用前安全
管理審査、主任技術者選任あるいは不選任承認、保安規程の届出が必要な場
合がある。
【強風等への耐性】
・建築基準法に準拠した設計となっており、通常の台風等に対しては問題はない
が、設置時に諸条件に注意する必要がある。
②評価と位置付け
評価
短期~
位置
国の施策動向を踏まえて、高い導入効果が見込まれる公共施設への導入につい
づけ
て積極的に検討していく。
116
公共施設での太陽熱の利用
(1)プランの考え方
太陽熱ソーラーシステムもまた町民意識調査にあったように、町民の関心が高く、最
も普及している技術である。多くの町民が訪れる公共施設に率先的に導入することで、
普及啓発・PR 効果などが期待できる。
太陽熱の用途は、温水や暖房が考えられる。
(2)システムの概要
表 8-1-1-2 主な太陽熱利用システムの分類
分類
太陽熱
特徴
自然循環形
温水器
真空貯湯形
水式
ソーラー
システム
空気式
・ 太陽集熱器と貯湯槽が一体となった構造で、屋根上に設置される。
・ 集熱部で温められた水が自然循環しながらお湯となって最上部の
貯湯タンクに蓄えられる。
・ 集熱部と貯部が一体となっており、水道直結式で地上設置も出来る。
・ 真空断熱により、集めた熱が外へ逃げにくくなっている。
・ 屋根等に設置した太陽集熱器により高温に達した不凍液などの熱
媒を循環ポンプで循環させる。
・ 蓄熱槽の中に蓄えた水を、蓄熱槽内の熱交換器により、温めてお
湯にする。
・ 天候等により集熱量が不十分な場合は、補助熱源器で加温して給
湯する。
・ 暖房用配管、循環ポンプなどを備えて、温風暖房、床暖房などに使
用する事も可能である。
・ 屋根に設置したガラス付き集熱面などにより高温に達した空気を、
小屋根裏部に設置した送風機ユニットで床下に送風する。
・ 床下の蓄熱材(コンクリート)に蓄熱させた後で、室内に入れ直接暖
房し、蓄熱槽の中に蓄えた水を、送風機ユニット内などの熱交換器
により温めてお湯にする。
・ 冬の昼は、暖房を主体にし、集熱量に余剰がある場合は給湯に使
用する。夏の昼は、高温の屋根空気を屋外に排出し、夏の夜は、屋
外から涼気を取り入れて利用できる。
(資料:(財)新エネルギー財団)
117
【自然循環式】
太陽熱で貯湯庫の水を温めて給湯に利
用する。昔より実用化されている太陽熱
温水器である。家庭用であれば、集熱面
積 3~4m2、
貯湯量 200~250L のシステム
が多くなっている。天気のいい日には約
60℃の温水が得られる。価格も比較的安
価で技術的にも実用化している。
【ソーラーシステム(水式)】
太陽熱を運ぶ媒体(液体や空気)を強制
的にポンプ等の動力で循環させるもの。
利用する温水を直接巡回させる「開放
式」と、媒体から熱交換で間接的に熱を取
り出す「密閉式」とがある。家庭用の場合、
集熱面積 6m2、貯湯量 300L 程度のシステ
ムが一般的である。
図 8-1-1-2 太陽熱温水器概要
(資料:社団法人ソーラーシステム振興協会 HP)
【ソーラーシステム(空気式)
】
「パッシブソーラーシステム」とも呼ばれる。外気を建物に取り入れ太陽熱を利用し
て暖め、その暖気をダクトで床下に送り床面から室内を暖める。夏は昼間の熱を給湯に
利用し、夜間の涼しい空気を取り込んで冷房効果を発揮することもできる。
本町でも山田中学校で特別活動室の屋根を利用したソーラーシステムが導入されて
いる。
山田中学校(空気式ソーラーシステム)
図 8-1-1-3 空気式(OM ソーラー)システム
(資料:OM ソーラー協会 HP)
118
(3)プランの例
①導入候補場所
介護施設(給湯や暖房(空気式等)に利用)
・文教施設(小中学校・保育園)
(給湯や暖房(空気式等)に利用)
・道の駅「やまだ」(足湯の施設等を設置し、熱源として利用)
道の駅 やまだ
②導入検討の例
表 8-1-1-3 太陽熱利用プランの例
項目
内容
導入場所
備考
介護施設、道の駅等
導入
名称
太陽熱利用システム(強制循環型)
システム
規模
集熱面積 100m2
概算事業費
助成制度
15 万円/m2、補助率 1/2 想定
7,500 千円
地域新エネルギー導入促進事業 等 事業主体地方公共団体等
日射量 1,454kWh/m2・年、
変換効率 0.4 想定
予想発電量 209,411MJ/年
導入効果
灯油換算
5,706L/年
灯油発熱量 36.7MJ/L より
経済効果
382 千円
灯油単価 67 円/L(1,200 円/18L)想定
CO2 削減効果 14,205kg-CO2/年
灯油の CO2 排出係数 0.0678kg-CO2/MJ
投資回収年 19.6 年
メリット
課題等
温水利用等
メリット等
課題等
その他
(概算事業費)/(経済効果)より
○灯油等の燃料代替、CO2 削減になる。
○普及啓発・環境教育・PR 効果が見込める。
○エネルギー変換効率が太陽光発電に比べて高い。
○快適性や衛生面の効果がある(燃焼ガス等が発生しない)。
△経済性に課題
□需要先の熱需要特性を考慮する必要がある。
・燃料価格が上昇すると経済的なメリットも出てくる可能性がある。
・暖房として利用する方法もある。
119
(4)ポイント・課題等
①メリットと課題(○:メリット、△:課題、□:特徴)
○技術的には確立している。
○太陽熱利用システムは、エネルギー変換効率が太陽光発電より高い。
メリット ○暖房・給湯用の灯油やガスを削減できる。
○快適性や衛生面での効果が期待できる。
○快適性や衛生面での効果が期待できる。
△熱需要への対応に限られる。
課題
△空調利用の場合は既存施設への追加設置は難しい。
②評価と位置付け
評価
短期~
・熱需要がある公共施設への導入について積極的に検討していく。
位置
・文教施設等の新設・改築時などの契機において導入を検討する。
づけ
・熱源としての特性を活かした休息スポットや憩い場への導入を検討する。
120
8-1-2
木質バイオマスエネルギーの利用
木質バイオマスエネルギーの利用~森林・林業の活性化
(1)プランの考え方
本町では、冬の暖房の加温・給湯などに使用する灯油の消費量が多くなっているの
が特徴である。一方、地域の90%近くが山林で、間伐材などの木質バイオマス資源は
豊富である。また、近年木質バイオマスのエネルギー変換方法の技術が進歩し、さま
ざまな用途に利用できるようになっている。本町の未利用の木質バイオマス資源をエ
ネルギーとして様々な用途に有効利用することが考えられる。
また森林資源の利用は、森林整備の促進・林業の活性化などの波及効果も期待でき
る。現在、森林に対しては、化石代替エネルギーとしての役割とともに、CO2吸収源と
しての地球温暖化防止対策としての期待とともに、さらに治水・水土保全などの多面
的効果についても注目が高まっている。
それらの多面的な効果に配慮しながら具体化を図っていくことが考えられる。
(2)木質バイオマスエネルギーの利用の概要
①木質バイオマスの燃料形態
木質バイオマスには、下表のような燃料への加工形態・利用方法がある。
表 8-1-2-1 木質バイオマスの燃料形態
燃料形態
概要
大きさ
利用機器
チッ プ
ペレッ ト
オガコ
薪
ブリケッ ト
木材を微粉砕し
木材をチッパーと
て、ペレタイザーと 木材をオガコ製造 丸太を小割して棒
呼ばれる破砕機で
呼ばれる装置で圧 機で数mm前後に 状にして乾燥させ
数cm角程度に破
縮・成形した固形 微粉砕したもの
たもの
砕したもの
燃料
木材を粉砕してブ
リケッターと呼ばれ
る装置で圧縮・成
形したも固形燃料
3cm角等
(チッパーの種類
等により異なる)
長さ1-2cm
直径6-8mm程度
2mm角等
(粉砕方法により
異なる)
ペレットより大きい
ブロック状・円筒状
チップボイラー
ガス化原料
ペレットボイラー
ペレットストーブ
ペレット・液化原料 薪ストーブ
木粉ボイラー
薪ボイラー
外観
121
10cm角、長さ
30cm等
ブリケットボイラー
②木質バイオマスのエネルギー変換・利用方法
木質バイオマスのエネルギー変換技術としては、例えば図8-1-2-1のような手法があ
る。
熱利用
発電
燃焼
木
質
バ
イ
オ
マ
ス
熱化学的変換
ガス化
低・中カロリーガス⇒コジェネ
⇒合成燃料 等
熱分解
ガス・炭・オイル
油化
オイル
アルコール発酵
エタノール
嫌気的消化
メタン
生物化学的変換
図 8-1-2-1 木質バイオマスのエネルギー変換・利用方法
(3)プランの例
①導入候補場所
公共施設(庁舎等)、小中学校(小型のペレットストーブ、薪ストーブ)
・事業者(木質バイオマスボイラー、工業用・業務用ボイラーを利用している事業所) 等
②導入検討の例
1)ペレットストーブ
庁舎や小中学校などで、ペレットストーブを利用することが考えられる。
表 8-1-2-2 ペレットストーブと灯油ストーブの比較
項目
想定用途
使用燃料種別
燃料発熱量
使用機器
能力・設備費例
(暖房面積:木造)
灯油ストーブ
ペレットストーブ
備考
公共施設等の個別暖房
灯油
ペレット
8,767kcal/l
4,000kcal/kg ペレットはバーク
灯油ストーブ
2,300kcal/h
約 30,000 円
(7-10 畳)
ペレットストーブ
12,000kcal/h
約 230,000 円 ペレットストーブは工事費含まず
(約 30 畳)
122
2)木質バイオマスボイラーの例
熱需要の大きい施設では、木質ボイラーの利用が考えられる。主な熱利用機器として
は、チップを燃料とするチップボイラーとペレットを燃料とするペレットボイラーとが
ある。
表 8-1-2-3 チップボイラーとペレットボイラー
チップボイラー
ペレットボイラー
外観
所要面積
負荷対応
設備費
運用費
・大きい
・負荷変動への追従が遅い
・細かい温度制御は難しい
・高価
・燃料のチップはペレットより安価に製
造、調達できる
・小さい
・負荷変動への追従が早い
・細かい温度制御も可能
・安価
・燃料のペレットの価格が高い
(4)ポイント・課題等
①メリットと課題(○:メリット、△:課題、□:特徴)
○学校や、公共施設などでのペレットストーブの利用は、普及啓発や PR に高い効
メリット
果を発揮する。
△ボイラーによる熱供給に適した需要場所は、追い炊きをしている温泉のような年
間安定的に熱需要がある施設であるが、本町の公共施設にはそうした熱需要施
課題
設が少ない。今後、新たな施設の整備等の契機に導入を検討することが考えら
れる。
②評価と位置付け
評価
短期~
位置
森林資源の化石代替利用を通じて、森林の持つ多面的機能を産業や生活に活
づけ
かしていく。
123
(5)その他~木質バイオマス利用の全体システム
森林資源等の木質バイオマスを地域内で有効活用できる仕組みを作ることで、森林・
林業の活性化を図るとともに、森林整備の促進などによる多面的機能の向上などの波及
効果も期待できる。
「人・海・森のハーモニー」プロジェクト
漁業環境の整備や環境保全を視野に入れて、森林整備と木質バイオマス利用を推進する。
①プロジェクトの目的
海の栄養分は河川を介して森林から供給されている。現在の放置された針葉樹(スギ)
の森を伐採し、広葉樹(コナラやブナ)の森に更新し、森林生態系を健全化することに
よって、山田湾の「海の恵み」を持続的に利用できるようにする。また伐木をバイオマ
ス燃料として有効利用することにより、林業を復興させる。そして、水産資源の持続的
管理によって、漁業を発展させる。さらに、漁業廃棄物のカキ殻を堆肥化し、有機農業
を推進し、特産品化することによって、農業を再生させる。このように本町内に豊富な
森林資源をエネルギー原料として利用することによって、農林漁業のつながりを蘇らせ、
持続的で自然共生型の町として地域の活性化を図る。
②プロジェクトの背景
河川流域の緑化を行うことによって、近海における水揚げ高が増加することが知られ
ている。こうした事実が認知され、漁師の手による植林が全国で行われるようになり、
その規模も年々拡大しつつある。本町でも植樹祭が行われてはいるものの、伐採した木
材のコストに見合う用途がほとんどないことから伐採の意義は見過ごされている。まず
は、伐採した木材の利用先をつくる必要がある。
図 8-1-2-2 「人・海・森のハーモニー」プロジェクトの概念
124
③プロジェクトの概要
漁業の町である本町は三方を海抜500~1,160mの山々に囲まれ、それらの稜線が町界
になっている。山田湾に注ぐ関口川と織笠川は、その源流部を町内の山地内にもつ。従
って、山田湾の「恵み」は、この二河川の流域の森林から供給される栄養分に依存して
いることになる(図)。換言すれば、これまでの山田湾における海の恵みは、本町内の
豊かな森林によって支えられてきたということになる。
その一方で、町の面積の約90%を占める森林は現在までのところほとんど利用されな
いまま放置されている。今後こうした管理の行き届かない状態が続くと、将来的には湾
内や近海における漁業にも影響を及ぼしかねない。
そこで、現在の豊かな水産資源を持続的に利用していくために、まずは森林の伐採を
行い、広葉樹の森への大々的な更新を行う。伐採された木材は、バイオマス燃料として
暖房に利用できるように公共投資によって環境整備を行う。伐採、搬出されたバイオマ
ス原料の供給先を大口でかつ安定的に確保できれば、森林の伐採が進むことが期待され
る。このように森林を建築材料生産の場ではなく、バイオマス燃料生産の場として機能
させることによって、林業を復興させる。また、広葉樹林の森に更新し、森林生態系を
健全化することで、水産資源が保全され、それを持続的に利用できるようになる。この
ように流域の森林整備を通じて水産資源の増殖を図ることによって、町の漁業を発展さ
せる。さらに、漁業系廃棄物として出るカキ殻を堆肥化し、それを用いた有機農業を推
進する。こうして栽培された有機農産物(加工品)を農林漁業の連携の産物として特産
品化することによって、農業を再生させる。
本町には豊富な森林資源が賦存している。この未利用バイオマス資源を、化石燃料代
替のエネルギー原料として利用できるようにする。そうすることによって、農林漁業の
連携を蘇らせ、持続的で自然共生型の町として生まれ変わらせる。
森と海のつながり
図 8-1-2-3 森と海のつながり
125
④プロジェクトの具体的施策
・公共施設にペレットストーブを導入する(県の補助金を利用)
。
・植樹祭では「木を切ることが森を育てる」という伐採の意義を啓発する。
・宿泊施設や事業所が、重油ボイラーを木質バイオマスボイラーに置き換える場合に
補助やメリットがあるような制度を町が検討する。
図 8-1-2-4 木質バイオマス利活用の流れ
図 8-1-2-5
木質バイオマスの利活用推進
126
8-1-3
その他の自然エネルギーの活用
小水力発電の利用
(1)プランの考え方
町内を流れる関口川、織笠川から取水し、導水路を経て発電所に導き、マイクロ水力発
電を行うプランである。
(2)システムの概要
小水力発電は、水の位置エネルギー(落差)と運動エネルギー(流量)をタービンで電
力に変換して利用するものである。
一般的に、上流で発電に利用する水量を別途水路を引くなどにより確保し、導水管など
で落差を取り、下流側で発電し放流する。取水時のスクリーン(ごみ等の除去)
、ヘッドタ
ンク(水量確保・流量調整)、導水管(下流側の発電機に水を送り込む)、発電機(小屋な
どの中に設置)
、放流口に至る一連の機器で構成される。
水力エネルギーの出力は、
「落差」と「流水量」の積に比例する。発電量を多くするには
できるだけ落差を大きく水量を多くとる必要がある。
表 8-1-3-1 出力による水力発電の分類
種
類
出
力
ナノ水力
10 kW 以下
マイクロ水力
10~100kW
ミニ水力
100kW~1,000kW
小水力
1,000kW~10,000kW
中水力
10,000kW~100,000kW
大水力
100,000kW 以上
取水設備
ヘッドタンク
導水管で発電機へ
小型水力発電機
落差(水の重さ・圧力)
をエネルギーに変える
図 8-1-3-1 小水力発電の概念図
127
放流
(3)プランの例
①導入候補場所
・関口川、織笠川
(エネルギーの利用先)
・関口農業担い手センター、関谷林業担い手センター、轟木小学校
織笠婦人若者等活動促進センター、山田北小学校 等
織笠川
関口川
関口川鮭人工孵化場
②
①
③
④
織笠川鮭採卵場
図 8-1-3-2 関口川、織笠川 水量調査場所
表 8-1-3-2 小水力エネルギー利用可能量(年間)
河川名
関口川
織笠川
①
②
③
④
調査場所
JR 山田線鉄橋下付近
北っ子橋付近
白石(旧水車小屋付近)
鮭人口ふ化場付近
川幅
8
5.8
1
5
128
中央水深
0.20
0.20
0.10
0.15
両脇水深 最大流速(m/s)
0.15~0.20
3.06
0.10~0.20
1.67
0.10
2
0.10~0.20
0.82
(4)ポイント・課題等
①メリットと課題(○:メリット、△:課題、□:特徴)
メリット ○技術的には確立している。
課題
△エネルギーの利用場所がある市街地では流量・落差の確保が難しい。
□関口川や織笠川は鮭が溯上し、鮭のふ化場や採卵場がある自然に恵まれた豊
かな川である。この自然体系に悪影響を及ぼすことのないよう配慮する必要が
ある。
□以下に示す項目が事業性に影響する。
・安定した流量の確保が可能か
特徴
・落差の確保が可能か
・アクセス・場所の確保が可能か
・取水地点と発電設備の位置・その距離等の物理的条件
・発電設備周辺に需要先があるか
・水利権の問題がないか
・設置地点における年間の流量測定と流量変化のデータの把握。
・設置する流域における影響の検討。
・設置に関する法律としては、主に河川法と電気事業法があり、河川法に基づき水
備考
利権を取得する必要がある。
・発電出力が 10kw 以上の場合は工事計画書の事前届出及び使用前検査を受け
る必要がある。
②評価と位置付け
評価
中期~
以下のような点に留意して、導入可能なサイトを検討していく。
位置
・安定した流量の確保、・落差の確保、・アクセス・場所の確保
づけ
・取水地点と発電設備の位置・その距離等の物理的条件
・発電設備周辺に需要先があるか、・水利権の問題がないか
129
風力発電の利用
(1)プランの考え方
風力発電は知名度も高く、回転運動する風車は誰の目にも留まりやすく、高い PR 効
果を有している。風況の良い場所を選んで発電事業としての整備を行うことや、公園や
街路に小型の風力発電を設置して街路灯などの需要へと電力を供給するとともに普及
啓発や PR に役立てていくなどの活用方法が考えられる。
(2)システムの概要
風力発電は、数 kW 程度の小型タイプから 1 基で 2,000kW を超えるような大型まで様々
なシステムがある。小型タイプでは、太陽光との組み合わせによるハイブリッド型街路
灯などもある。
発電型式も、一般的な 3 枚羽のプロペラ型のほか、ダリウス型やサボニウス型などさ
まざまな種類がある。
プロペラ型(大型)
ジャイロミル型
プロペラ型(小型)
130
(3)プランの例
①導入候補場所
・浦の浜(中大規模、「鯨と海の科学館」への供給)
・小中学校、公共施設(小型、ハイブリッド型)
・街路灯(太陽光とのハイブリッド型) 等
鯨と海の科学館
(4)ポイント・課題等
①メリットと課題(○:メリット、△:課題、□:特徴)
○技術的には確立している。
メリット
○シンボル的な施設として町の PR やイメージアップが図れる。
課題
△大規模な風力発電は設備費を要し、風況等の事業リスクも小さくない。
□東北電力との協議が必要(電力系統との関係で事業化契機が制約される※)
□洋上風力発電などの技術開発も進んでいる。
□大型の風力発電では、設置に際して景観や自然環境、及び野生生物への配慮
などが求められる。
□風力発電は、発電量が風速の3乗に比例する。年間トータルの発電量が、経済
性に影響するため、発電量(稼働率)を確保できる条件を検討する必要がある。
特に、投資額が大きい風力発電設備では、風況精査の実測を通じた平均風速や
特徴
風速分布などの詳細な検討が必要である。
□小型風力発電は、発電による経済性の確保は難しいと考えられる。
□小型風力発電では、風切り音や回転羽根による危険性などに配慮する必要が
ある。
※風力発電は発電出力が不安定なため連系容量が限定されており、安定化等の条
件を満足した上で、 さらに抽選等を通じて最終的な許可を受ける必要がある
②評価と位置付け
評価
中期~長期
・風量発電の事業化には、最低でも1年間の風況精査が必要である。
位置
・洋上などの技術動向も踏まえて適地の選定と精査の実施を検討する。
づけ
・経済性・環境性を踏まえて中長期的に検討していく。
131
波力エネルギーの利用
(1)プランの考え方
波力エネルギーとは、海洋表面をふく吹く風によって発生する波のエネルギーであ
る(海洋エネルギーには他に潮汐、海流・潮流エネルギー等がある)。地域的には、北
大西洋・北太平洋・南米などで 30-90kW/m、日本近海で 10-15kW/m の波力エネルギーが
あると推定されている。
山田湾や船越湾内での利用について検討する。
(2)システムの概要
波力発電は波の力で発電機をまわして電気を得る仕組みで、日本のように、海岸に絶
えず波が押し寄せる国に適した方法で、日本は世界をリードしている。すでに航路標識
一体型のような小規模なものは実用化されている。
世界で初めて実用化されたのは、日本の海上保安庁が 1965 年に採用した出力 30-60W
と小出力の小型航路標識ブイであり、今日でも稼働している。
表 8-1-3-3 主な海洋エネルギーの利用方法
エネルギー種別
概要
波力エネルギー
海洋表面を動く風によって発生する波のエネルギーを利用するもの。
潮汐エネルギー
河口や入江などにダムを設け、満潮時に流入させた水を干潮時に放出す
ることで発電するもの。潮位差が大きいほどよいが、日本では潮位差が不
足しているといわれている。
海流・潮流エネルギー
海流(太陽熱と風により生じるもの)や潮流(潮汐により生じる流れ)の流速
で発電するもの。
(3)プランの例
①導入候補場所
・山田湾や船越湾内
山田湾 (大浦漁港付近より)
132
(4)ポイント・課題等
①メリットと課題(○:メリット、△:課題、□:特徴)
メリット
△一部の限られた用途では実用化されているものもあるが、発電用途のシステム
課題
は開発途上である。
□湾内は比較的波が穏やかであるため、エネルギー回収を目的とする場合は設
置場所を検討する必要がある。
特徴
□沖合などの潮流などエネルギー面を考慮した場合、供給方法と供給先が課題で
ある。
②評価と位置付け
評価
中期~長期
位置
技術動向を見ながら、本町への適用について長期的に検討していく。
づけ
133
8-2 住みよいまちづくりに活かす新エネルギー
8-2-1 リサイクルエネルギーの活用
廃食油の活用
(1)プランの考え方
廃食油は、分別回収することで BDF(バイオ・ディーゼル・フューエル)という軽油
代替燃料の原料として利用することができる。家庭や事業所等から回収して BDF 製造装
置で燃料化し、公用車等で利用することが考えられる。
(2)システムの概要
植物油は粘度が高くこのままでは燃料として使用できないが、主成分であるトリグリ
セライドにメタノールを反応させてメチルエステルへと転換することにより、粘度が低
くなりディーゼル燃料として利用することができるようになる。このエステル交換によ
って生成したメチルエステルを主成分とする燃料を BDF と呼ぶ。
BDF は、セタン価などの面で軽油とほぼ同様の性状で、軽油代替燃料としてディーゼ
ル車などに使用することができる。バイオマス由来で硫黄分等を含まないため、排気ガ
ス中の SOx(硫黄酸化物)が激減し、黒煙は軽油の 1/3 程度に軽減されるなどの優れ
た環境特性を有している。
原
料
触
媒
メタノール
濾過
脱 水
反応槽
メチルエステル交換
分 離
グリセリン
洗 浄
洗浄水
分 離
洗浄水
脱 水
図 8-2-1-1 BDF 製造装置例
分離・濾過
製
品
図 8-2-1-2 BDF 製造工程のフロー
134
家庭・
廃食油回収
BDF 製造プラント
飲食店
BDF 給油
公用車
図 8-2-1-3 BDF 事業の概念図
(3)プランの例
①導入候補場所
(廃食油の回収)家庭、公共施設(給食センター等)、福祉等の事業所
(BDF の利用先)公用車などのディーゼル車両
②導入検討の例
家庭や事業所、食品加工工場等から回収した廃食油を BDF 製造装置で燃料化し、軽油
代替燃料として利用する。
表 8-2-1-1 プランの例
項目
内容
導入場所
導入
システム
備考
公共施設、食品加工施設等
公共、民間など
名称
BDF 製造システム
湿式・乾式などがある
規模
100L/日
概算事業費
助成制度
補助 1/2 想定※1、建物含まず
10,000 千円
地域新エネルギー導入促進事業 等 事業主体地方公共団体等※2
BDF 製造量 18,000L/年
導入効果
メリット
課題等
100L/日処理、200 日/年稼働時
軽油換算
17,217L/年
軽 油 発 熱 量 9,200kcal/L 、
BDF8,800kcal/L の熱量換算による
経済効果
1,722 千円
軽油単価 100 円/L 想定
CO2 削減効果 1,181kg-CO2/年
軽油の CO2 排出係数 0.0686kg-CO2/MJ
投資回収年 10.0 年
ランニングコストを約 720 千円/年(40 円/L)と
みて、概算事業費/(経済効果-720)より
メリット等
課題等
その他
○軽油代替、CO2 削減になる。
○普及啓発・環境教育・PR 効果が高い。
○利用時の排ガスがクリーンなど環境特性に優れる。
□原料量の確保がポイント
□BDF の品質への配慮が必要
・設置時(消防法等)、BDF 利用時(道路交通法、品確法※3)の関連法令
を順守する必要がある。
※1 民間事業者の場合は補助率は 1/3 以内となる場合が多い
※2 「新エネルギー等事業者支援対策事業」等
※3 揮発油等の品質の確保等に関する法律
135
(4)ポイント・課題等
①メリットと課題(○:メリット、△:課題、□:特徴)
○技術的には実用化している。
メリット ○輸送用燃料として本町でも消費量が多い軽油を代替できる。
○町民参加により、エネルギー問題や環境問題に対する意識が向上する。
△原料の廃食油の回収において、各家庭では発生量が少なく効率的な回収が難
課題
しい。事業系の廃食油は産業廃棄物に該当するため取り扱いに注意する必要
がある。
□効率的に廃食油を回収するシステムを構築する必要がある。
特徴
□BDF の品質への配慮が必要。
②評価と位置付け
評価
短期~中期
位置
廃食油原料が安定的に集めることが望ましい。事業所との連携や給食センターで
づけ
の発生動向などを踏まえて検討していく。
136
廃棄物系バイオマスの活用
(1)プランの考え方
生ごみや汚泥などの廃棄物は、含水率が高く焼却処理が困難で、腐敗や悪臭の問題な
どもあり、適正な処理・有効利用が難しい。そうした、高含水率の廃棄物系バイオマス
をメタン発酵で処理し、得られたメタンガスをボイラー燃料等として利用することがで
きる。
(2)システムの概要
①メタン発酵の機構
メタン発酵はメタン菌の作用によって、液状または固形状の有機廃棄物を嫌気状態に
保って、バイオガスを発生させるものである。バイオガスは、メタン約 60%、二酸化
炭素約 40%を主成分とし、その他成分として硫化水素、水素、窒素が微量含まれてい
る。
生ごみからメタン発酵によってバイオガスが生成する過程を下図に示す。有機物質の
炭水化物、たんぱく質及び脂肪は、嫌気性下において嫌気性細菌の作用で分解され、炭
素は加水分解反応、酸生成反応、アセトジェニック反応及びメタン生成反応の 4 つの段
階を経てメタンと二酸化炭素になる。
発 酵 過 程
バイオガス
(燃料)
メタン発酵
酸 発 酵
メタン発酵
(液化)
(ガス化)
生ごみ等
発酵処理物
(肥料など)
単
蛋 白 質
ペプチド・アミノ酸
脂
グリセリン・脂肪酸
糖
類
低級脂肪酸
肪
繊 維 素
高分子物質
単
糖
類
酢酸
水素・二酸化炭素・ギ酸
低分子化
酸 生 成
細 菌
多種類の通性・偏性嫌気性細菌
バイオガス
有 機 物 の 変 化
有 機 物 質
メタン
炭水化物
二酸化炭素
そ
硫化水素
の
窒素
他
水素
ガ ス 化
メタン細菌
図 8-2-1-4 メタン発酵の概略
137
②メタン発酵の例
食品リサイクル法などにより食品工場などでの導入が進んだ。また、行政等では汚泥
などとの複合処理で焼却処分に代わる廃棄物処理の手法として導入されている事例が
ある。
生ごみのメタン発酵施設の例
(3)プランの例
①導入候補場所
・食品工場、新規に設置される給食センター等
(4)ポイント・課題等
①メリットと課題(○:メリット、△:課題、□:特徴)
○技術的には実用化している。
メリット ○廃棄物からのエネルギーリサイクルが図られる。
○焼却処理施設の負荷を軽減できる。
課題
△原材料の確保、また分別を行う必要がある。
□分別収集の取り組みを通じ環境問題への意識を向上させる契機となる。
□原料(生ごみ)の量や性状の安定性がポイントとなる。
特徴
□原料としては、含水率の高い生ごみや汚泥などを複合処理できるが、バイオガ
スの発生効率や有機物の量や分解しやすさ等によって異なる。
②評価と位置付け
評価
中期~長期
位置
づけ
原料を安定的に集めることが望ましい。事業所との連携や広域での取り組み、焼
却処理から資源リサイクルへの転換などの廃棄物行政としての位置づけなどを踏
まえて中長期的に検討していく。
138
8-2-2
まちづくりと新エネルギーの活用
ハイブリッド街路灯などまちづくりにおける新エネルギーの活用
(1)プランの考え方
街路灯は夜間の町や道路を照らす照明灯であり、かつ防犯灯の役割を兼ねて、住民の
生活の安全と安心に役立っている。
ハイブリッド型(太陽光・小風力)街路灯を通学路などに導入し、児童・生徒への環
境教育の効果、町民のエネルギーや環境に対する意識向上、対外的な町のイメージアッ
プ、防犯対策などに役立てる。
(2)システムの概要
自然エネルギー街路灯で使用される自然エネルギーとしては、そのほとんどが太陽光
である。小型風力とのハイブリッド型も多いが、実質的にエネルギー源として機能して
いるのは太陽光発電の割合が高い。
また、系統連系せず、自立型の街路灯としているケースが多い。よって、そのエネル
ギー供給と需要の時間帯のずれを補うため、独立型仕様には蓄電池が必須である。
太陽電池
コントローラ
風力発電機
負荷(照明)
バッテリー
図 8-2-2-1 自然エネルギー街路灯の概念図
139
(3)プランの例
①導入候補場所
・公共施設、小中学校、観光施設
・街路(公衆街路灯)
街路灯
大浦漁港
山田漁港
②導入検討の例
ハイブリッド型(太陽光・小風力)街路灯を通学路や街中に導入し、児童・生徒への環
境教育の効果、町民のエネルギーや環境に対する意識向上、景観を活かしたまちづくり、
防犯対策などに役立てる。
表 8-2-2-1 太陽光街路灯の種類(例)
タイプ
ハイブリッド型
太陽光街路灯
電灯種類
蛍光灯 15 形
LED
電灯出力
15W
12W
照度
7 lx(H3.0m下水平面)
3 lx(H3.5m 下水平面)
1 日消費電力
144Wh
太陽光 130W
蓄電池容量
120Wh
太陽光 84W 風力 30W
合計 114W
50Ah
点灯時間
8 時間(標準)
12 時間
無日照対応
自然エネルギー出力
152Ah
4-5 日
5日
耐用年数
蛍光灯(6,000h)蓄電池 3-5 年
LED 10 年(50,000h)蓄電池 3-4 年
交換コスト
蛍光灯 1,000 円、蓄電池 50,000 円
LED 約 2,000 円、蓄電池 80,000 円
イニシャルコスト
1,500 千円
1,350 千円
ランニングコスト※
約 13,000 円/年
約 20,000 円/年
※ 各交換部品ごとに(交換コスト÷耐用年数)を合計したもの
140
(4)ポイント・課題等
①メリットと課題(○:メリット、△:課題、□:特徴)
○通学路に設置することで、児童・生徒の環境教育として活用できる。
○防犯灯としての役割が果たせる。
メリット ○町の景観形成が進み、町のPRに活用できる。
○1基からでも設置できるため、商店街・公園などあらゆるところに設置可能であ
る。
課題
△一般的な街路灯に比べて高額である。
②評価と位置付け
評価
短期~
位置
通常の街路灯に比べて高額であるが、普及啓発やまちづくり、防犯といった観点か
づけ
ら導入を検討する。
141
防災型などまちづくりにおける安全・安心確保のための新エネルギー活用
(1)プランの考え方
新エネルギーは、自然環境からエネルギーを得ることができるため、災害時などに電
気やガスなどの供給が絶たれた場合でも利用可能なシステムを構築できる。公園や小中
学校、避難場所などに、普段は自家消費用の電力補給の電源となり、非常時には系統か
ら切り離して独立・自立型で運転できるような「防災型」の資源エネルギー活用型のシ
ステムを導入することが考えられる。
(2)システムの概要
公園・避難場所としての最低基本設備(夜間照明灯、公衆トイレなど)と災害時にお
けるエネルギー自立機能等がある。災害時に中心的避難場所としての広域型防災公園と
しては、生活拠点として避難救済拠点、貯水、備蓄のライフスポット機能を備えた各種
応用機器の設置が考えられる。
【防災型太陽電池応用機器】
ソーラー掲示板
ベースパワーステーション
ソーラー避難誘導灯
ソーラー放送設備
サニタリーパワーステーション
図 8-2-2-2 防災型太陽電池応用機器
142
ソーラー街路灯
ウォーターパワーステーション
(3)プランの例
①導入候補場所
・山田町役場(バックアップ電源に太陽光発電を利用)
・各地区の町民の「緊急避難場所」「収容避難場所」に防災型の設備を設置する。
・防災関係のサインパネルを LED タイプに変更
山田町役場
②導入検討の例
本町は海の町で、明治 29 年の明治三陸大津波、昭和 8 年の昭和三陸津波などの災害
で甚大な被害を受けてきた歴史があるが、過去の災害の記憶が忘れられ防災意識の希薄
化が懸念されている。
災害時にライフラインが断たれた場合でも、利用可能なシステムを構築する。災 害
発 生 時 に 一 時 的 に 避 難 す る「 緊 急 避 難 場 所 」や 避 難 が 長 期 化 し た 場 合 の「 収
容 避 難 場 所 」 に 貯水、備蓄のライフスポット機能を備えた防災型の資源エネルギー
活用型の各種応用機器を設置する。
(4)ポイント・課題等
①メリットと課題(○:メリット、△:課題、□:特徴)
○自然エネルギーは既存インフラに係りなく利用できるため防災利用に適してい
メリット
る。
○まちづくり、生活における安心・安全の向上に貢献する。
課題
△災害時以外の利用頻度が少ない。
特徴
②評価と位置付け
評価
中期~
位置
施設の更新時や防災計画の見直しなどの際に活用を検討していく。
づけ
143
8-3 まちぐるみでの地球温暖化防止への取り組み
8-3-1 各家庭での地球温暖化防止への取り組み
各家庭での地球温暖化防止への取り組み
(1)プランの考え方
地球温暖化を防止し、持続可能な社会・低炭素社会を実現するためには一人ひとりの
取り組みが重要である。普及啓発や導入支援などにより、各家庭での取り組み・対策を
促進する。
(2)システムの概要
各家庭で太陽光発電や太陽熱利用システムを導入し、省エネルギーも積極的に進める。
行政は普及啓発や導入支援を促進する。
【各家庭での取り組み】
太陽光発電
・導入
・取り組み
太陽熱利用システム
・実践
省エネルギー
【行政】
上乗せ補助
啓蒙・普及・促進
(3)プランの例
①導入候補場所
・各家庭
②導入検討の例
1)各家庭での太陽光発電の導入
・ 出力 3~4kW 程度の規模が一般的である。
・ 4kW システムの場合、
本町では約 4,300kWh/
年の発電量が期待できる。本町の家庭一世
帯当たりの電力消費量は約 6,000kWh/年
(アンケート調査より)であるので、約7
割をまかなうことができることになる。
・ また、定額買い取り(48 円/kWh)、補助制
度(住宅用太陽光発電支援対策費補助金)
の開始など、家庭における太陽光発電の導
入には政策的な支援も強化されている。
144
図 8-3-1-1 住宅用太陽光発電の概要
(資料:(財)新エネルギー財団)
図 8-3-1-2 「太陽光発電の新たな買取制度」の概要
(資料:資源エネルギー庁 HP)
2)各家庭での太陽熱利用システムの導入
・ 太陽熱利用は実用化し、成熟段階を迎えつつある技術で、太陽のエネルギーを効率
よく利用できるシステムである。
・ 真空貯湯タイプなどの高効率の給湯器や不凍液などの媒体を用いて熱交換によって
給湯や暖房などを行うソーラーシステムなどのタイプがありより利用しやすくなっ
ている。
図 8-3-1-3 家庭用太陽熱利用システムの概要
(資料:(財)新エネルギー財団)
図 8-3-1-4 家庭用太陽熱温水器による集熱効果
(資料:(財)新エネルギー財団)
145
3)省エネルギー
「一人ひとりの地球温暖化対策」が重要となっている。たとえば、以下のような家庭で
の対策例が挙げられる。パンフレットの配布や環境家計簿による取り組みの促進などが考
えられる。
表 8-3-1-1 家庭における温暖化対策例
一 世 帯 当 た り の 年 一世帯当たりの年
取り組みの例
間排出量に対す
間 CO2 削減効果
る削減割合(%)
一世帯当 たりの
年間節約効果
1
冷房の温度を 1℃高く、暖
房の温度を 1℃低く設定す
る
約 31kg/年
0.5%
約 2,000 円/年
2
週 2 日往復 8km の車の運
転をひかえる
約 185kg/年
3.1%
約 8,000 円/年
3
1 日 5 分間のアイドリングス
トップを行う
約 39kg/年
0.7%
約 2,000 円/年
4
待機電力を 90%削減する
約 87kg/年
1.5%
約 6,000 円/年
5
シャワーを 1 日 1 分家族全
員が減らす
約 65kg/年
1.1%
約 4,000 円/年
6
風呂の残り湯を洗濯に使
いまわす
約 17kg/年
0.3%
約 5,000 円/年
7
ジャーの保温を止める
約 31kg/年
0.5%
約 2,000 円/年
8
家族が同じ部屋で団らん
し、暖房と照明の利用を 2
割減らす
約 240kg/年
4.1%
約 11,000 円/年
9
買い物袋を持ち歩き、省包
装の野菜などを選ぶ
約 58kg/年
1.0%
10
テレビ番組を選び、1 日 1
時間テレビ利用を減らす
約 13kg/年
0.2%
約 1,000 円/年
合計
約 766kg/年
13.0%
約 41,000 円/年
我が国全体での効果
約 34.7 百万トン/年
146
我が国の温室効果ガス排出量
(1990 年)を 2.8%削減
ア)環境家計簿
・ 「環境家計簿」とは、家庭や事業者が、日ごろの電気やガス、灯油、水道などの消
費量や料金額について、領収書や検針票などをもとに記録しながら省エネルギーに
取り組むものである。記録することで、行動の効果が把握でき、取り組みの動機付
けになる。
・ 「環境家計簿」を家庭や事業所へ配布し、モニター家庭を募集したり、取り組みを
広報等で紹介したりしながら省エネルギーを推進する手法が考えられる。
イ)省エネナビ
・ 住宅用「省エネナビ」システムは、家庭での省エネ効果がひと目でわかるように消
費電力の総量を金額に換算して、表示する機器システムである。
・ 時間、日、週、月単位の消費電力がデータとして記録され、前年同月比の節約目標
値を入力すれば、目標値を超過した場合には警告が発せられる。
・ 省エネナビを家庭に貸し出すモニター制度などが考えられる。
ウ)省エネラベリング
・ 自動車、家電製品、パソコンなどの特定機器に対して、
「トップランナー方式」とい
う省エネルギー基準設定が行われており、消費者にこれらの製品の理解を容易にし
普及を図るために「省エネラベリング」が行われている。
・ 製品購入の際、これらの省エネラベリングに着目し、光熱費や燃料代の節減を図る
ことを提案する。
147
(4)ポイント・課題等
①メリットと課題(○:メリット、△:課題、□:特徴)
1)各家庭での太陽光発電の導入
○技術的に確立しており、家庭で導入できる温暖化対策である。
メリット ○1kW あたり7万円の設置補助制度がある。
○余剰電力の買取価格が 48 円/kWh で固定となることで経済的メリットが高まる。
△国が政策的に力を入れてはいるものの導入にはかなりの費用を要する。(平成
19 年度の住宅用太陽光発電システム平均設置価格(機器・工事費込み)は、新
課題
エネルギー財団によると、1KW 当たりの平均価格が 69.6 万円と調査報告があ
る)
□町民に補助制度や買取制度などの支援枠組みを啓発するとともに、メリット・
特徴
デメリットなど正確な情報を伝える必要がある。
2)各家庭での太陽熱利用システムの導入
○技術的に実用化されている。
○太陽熱利用システムは、エネルギー変換効率が太陽光発電より高く、エネルギ
メリット
ー利用が高い。
○暖房・給湯用の灯油やガスを削減できる。
○快適性や衛生面での効果が期待できる。
課題
△ソーラーシステムは導入コストが高価になる。
特徴
3)省エネルギー
メリット ○内容によっては、費用をかけずにすぐにでも取り組むことができる。
△人々の環境意識は年々向上しているが、一人ひとりのライフスタイルと関係
課題
の深い家庭部家庭における省エネルギーについては、個人の意識の差が大
きい。
②評価と位置付け
評価
短期~
位置
普及啓発や情報提供を積極的かつ継続的に行っていく。
づけ
148
8-3-2
普及啓発と環境教育
普及啓発と環境教育
(1)プランの考え方
将来を担う小中学校の児童・生徒にとって地域の環境・エネルギー・リサイクルなど
について学び、地球温暖化防止に貢献する活動を実践することは大変重要なことである。
「総合的な学習の時間」に、国が行っているエネルギー・環境教育に関する事業を活用
して環境教育を行う。
(2)システムの概要
これからのまちづくりを担う次世代が、エネルギー問題や環境問題に興味を持ち、地
球全体の未来を考えるよう広い視野を育むための学習を進める。具体的には、NEDO
(新エネルギー・産業技術総合開発機構)やNEF(新エネルギー財団)、いわてエネルギ
ー環境教育ネットワークが行っている事業を利用する。
小学校の先生を対象とした
エネルギー環境教育学習会
小学生を対象とした
エネルギー環境教育
(3)プランの例
①実施対象
・小中学生(小中学校)等
149
②導入検討の例
1)「省エネルギー教育推進モデル校」への応募
児童・生徒が省エネルギーについて、
「学び」そして「実践」する機会を提供するこ
とを目的に、省エネルギーセンターは全国の小中学校を対象に、約 100 校の省エネル
ギー教育推進モデル校を募集して支援を行っている。支援内容は、学校用「省エネナ
ビ」、家庭用「省エネナビ」「エコワット」のハードの設置と必要な教材の提供や人材
の派遣である。モデル校は指定期間の 3 年間にこれらを有効に活用し、学校内にとど
まらず、家庭や地域を含め幅広い観点から省エネルギー教育を実践する。省エネルギ
ーを「しっかり理解し、何をなすべきか」を教育し、子供たちの「生きる力」を育て
ることを目的として、省エネルギー教育推進モデル校に応募する。
《活動内容》
○リアルタイムに消費電力量を表示する「省エネナビ」
、「エコワット」の提供、教材・
人材の派遣、省エネに関する情報提供、先生のための研究会、事例発表会の開催な
どの支援を受け、省エネ学習プランを作成し、総合的な学習の時間などで実施する。
○「省エネ学習研究会」
「省エネ学習事例発表会」の開催。
○「省エネナビ」で学校及び家庭で省エネ活動に取り組む。
2)エネルギー教育実践校
エネルギー教育を学校全体の学習活動に位置づけ、家庭や地域社会との連携のもと
に多様な実践に取り組んでいく学校を「エネルギー教育実践校」として全国の小中学
校・高等学校から選定し、
「総合的な学習の時間」を活用したエネルギー教育、地域と
一体になった取り組みをエネルギー環境教育情報センターが支援している。
3)新エネルギー教室の開催
新エネルギーとは何か、なぜ必要なのかを楽しみながら理解するため、新エネルギ
ー財団が小学校を対象として「新エネルギー教室」を開催している。新エネルギー教
室は、お笑いコンビを新エネ博士として迎え、新エネに関する勉強会、新エネを題材
にしたビデオの上映、ソーラーカーの模型工作を行っている。
新エネルギー教室の風景
150
4)省エネ共和国の建国
省エネ共和国とは、地球温暖化防止のためにエネルギーを考え、省エネルギー・環
境・リサイクルなどを推進する地域活動の実践を、それぞれの特性に合わせたプラン
に基づいて目指す人々の集まりである。学校、商店会、家庭、職場や地域などを単位
として建国し、共和国民が共通の認識のもとに目標を設定し、身近な場で日常的な省
エネルギー活動に取り組む。(財)省エネルギーセンターが運営している。
5)いわてエネルギー環境教育ネットワークの活用
エネルギー教育調査普及事業は、(財)社会経済生産性本部・エネルギー環境教育情
報センターが地域の研究拠点の構築と地域の特色を活かしたエネルギー教育に関する
実践的な研究を支援することを目的として実施している。
(4)ポイント・課題等
①メリットと課題(○:メリット、△:課題、□:特徴)
○子供たちが環境について学ぶことで、将来環境に対する意識の高い人材が育
メリット
つ。
○子供を通じて、各家庭にも情報を伝えることができる。
課題
△具体的に効果を数値化することが難しい。
②評価と位置付け
評価
短期~
位置
情報提供を行い、教育委員会や学校関係者の協力も得ながら取り組みを検討して
づけ
いく。
151
8-3-3
地球温暖化対策
クリーンエネルギー自動車
(1)プランの考え方
本町においては、車は主要な交通手段である。排気ガスによる二酸化炭素、窒素酸化
物の削減を図るため、公用車の更新時などにクリーンエネルギー自動車への切り替えを
検討する。町民や事業者に対してもクリーンエネルギー自動車の普及促進を図ることを
検討する。
(2)システムの概要
クリーンエネルギー自動車とは、一般には、石油以外のエネルギー源として、ハイブ
リッド・システムや天然ガス(CNG)、ディーゼル代替 LPG、電気などを利用する自動車
のことを指す。すでに、ハイブリッド車は一般化しており、近年は電気自動車が注目さ
れている。
(3)プランの例
①導入対象
・公用車の代替
②導入検討の例
主なクリーンエネルギー自動車を下記にあげる。
表 8-3-3-1 主なクリーンエネルギー自動車
種類
電気
自動車
ハイブリッ
ド車
車種
燃費等
価格(参考)
ニッサン LEAF
1回充電走行距離 160km
約 400 万円
三菱 i-MiEV
ホンダ インサイト
1回充電走行距離 160km
30km/L
約 460 万円
約 200 万円
30km/L
約 220 万円
トヨタ プリウス
(4)ポイント・課題等
①メリットと課題(○:メリット、△:課題、□:特徴)
メリット ○国が積極的に導入を進めていて、補助金がある。
課題
△電気自動車では、航行距離や充電インフラなどの問題がある。
特徴
□車の更新するタイミングを見ながら導入する必要がある。
②評価と位置付け
評価
短期~
位置
エコカーに対する補助金等の支援もあり、個人や事業者でもクリーンエネルギー自
づけ
動車に対する関心は高い。町が率先的に導入することで取り組みを広めていく。
152
省エネルギー
(1)プランの考え方
小さなことからでもよいので、役場内で積極的、継続的に省エネルギーを進める。
(2)システムの概要
省エネルギー対策チームをつくり、きちんと省エネルギーが実行されているかをチェ
ックする体制を確立する。
(3)プランの例
①導入候補地
・山田町役場、中央公民館、コミュニティセンター
②導入検討の例
1)役場内で省エネルギーを進める。
・適正な室内環境に対応したビジネスファッションの使用
適正な暖房温度(暖房 19 度)に対応したビジネスウェアの着用(クールビズ、ウ
ォームビズの推進)
・効率的なワークスタイル
フレックスタイム制、機器、設備の効率的運用
パーソナル空調、自然採光等利用した空調、照明のコントロール
省エネ型の機器や設備の採用(国際エネルギースタープログラム)
製品ライフサイクルの長い機器、事務用品の採用
2)公用車の運転については、エコドライブを行う。
(4)ポイント・課題等
①メリットと課題(○:メリット、△:課題、□:特徴)
メリット
課題
○費用も特にかからず、すぐにでも実行できる。
△マンネリ化しやすく掛け声だけで終わりがちになる。
②評価と位置付け
評価
短期~
位置
マンネリ化しないように常に意識づけを行う工夫をする。
づけ
153
8-4
新エネルギー活用による産業と雇用創出の活性化について
新規事業における活用
カキ殻の有効利用について
新エネルギーの利用により、本町の課題を解決し、さらに新たな産業や雇用の創出に
つなげていくことができれば望ましい。
本町では、特産品のカキの生産に伴って発生する大量のカキ殻の処理が課題となって
いる。一方、カキ殻に含まれるカルシウム分が、土壌に対して農作物が吸収できるよう
な形で還元することができれば、糖度が高いなどの高品質の農作物が生産されることが
知られている。
カキ殻に含まれるカルシウムを土壌改良資材として有効活用しながら、それによって
栽培される農作物の残渣から有用成分を抽出し、抽出後の残渣をカキ殻処理のためのエ
ネルギーとして利用するような、たとえば下図のようなサイクルが考えられる。
山田町
例:葛巻町との取組
海の資源
高付加価値
農作物
山の資源
森林資源
カキ
処理・抽出装置
処理用
エネルギー
燃料
バイオマス
(剪定枝等)
カキ殻
農作物栽培
有用成
分抽出
カキ殻から抽出した有用資源
土壌改良剤
カルシウム
薬用カルシウム 等
図 8-4-1 カキ殻の有効利用の概要
154
研究開発への取り組み
研究開発事業について
シーズ段階にある技術を自立化させていくのは容易でない。汎用性が高く技術開発に
より多大な波及効果が見込める場合は、国の委託研究等の枠組みも活用しうる。こうし
た制度資金の活用も視野に入れて、シーズ段階の技術から取り組んでいくことも考えて
いく必要がある。以下に、主な委託事業例を挙げる。
①地域イノベーション創出研究開発事業、地域資源活用型研究開発事業(経済産業省)
本事業は、地域において新産業・新事業を創出し、地域経済の活性化を図るため、産
学官の研究開発資源の最適な組み合わせからなる研究体を組織し、最先端の技術シーズ
をもとに新製品開発等を目指す実用化技術の研究開発や地域資源を活用した技術開発
の実施を支援するものである。
②新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業(農林水産省)
農林水産業・食品産業の発展や地域の活性化などの農林水産政策の推進及び現場にお
ける課題の解決を図るため、実用化に向けた技術開発を提案公募方式により推進するも
のである。実用化に向けた具体的な研究目標の明示や行政部局との連携強化による研究
の進行管理体制の構築等により、着実な実用技術の創出を目指している。
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