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日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 96 号)
1. 次期大統領選でのビル・クリントン元大統領の役割
2. 米国から見た北朝鮮の現状 -中国需要で活況を呈する経済
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 3 月 16 日付けレポートを弊社にてダ
イジェスト版化
4. 編集後記―アリゾナに行ってきました
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1.
次期大統領選でのビル・クリントン元大統領の役割
ビル・クリントン元大統領はいまだに絶大な人気を誇る。NBC とウォールストリートジャーナルの共同アン
ケート調査では回答者の 56%が彼のことを好ましく思っており、逆は 26%のみ。ジョージ・W・ブッシュの場
合、人気度 35%、不人気度 39%、オバマ大統領で 44%と 43%といった状況。肝心のヒラリー・クリントンも好
感度においては夫を遥かに下回り 44%の状況。 これだけ好感度の高い夫を 2016 年の選挙でどのように
使うかが問われている。ヒラリーが大統領選に臨んだ前回 2008 年では、ビル・クリントンは“噛ませ犬”さ
ながらに対立候補を攻撃する役割を担った。 例えばオバマに対し、執拗にそのアフリカ系のルーツを際
立たせるべくジェシー・ジャクソン牧師になぞらえたり、そのキャンペーンの内容を現実性の乏しいおとぎ
話にたとえたり、「オバマが(政策論でなく)人種のカードを切っている」とまで批判、これがメディアの反発
を買い、自分自身の好感度を大きく下げた経緯がある。逆に 2012 年のオバマ再選時にはビル・クリントン
が自信を持つ経済政策と説得力を前面に有権者が彼に持つポジティブなイメージを補強する形で選挙運
動を勝利に導いた。従い、2016 年もヒラリーが立つならば対立候補への激しい攻撃ではなく、2012 年同
様の彼持ち前の説得力に終始すべきとの意見が民主党内に強いという。一瞬先は闇と言われる政争に
おいては対立候補陣営が出してくる様々な問題や疑問にタイムリーかつ柔軟に応えていく能力、問題解
決を図るリーダーシップを本人自身がどれだけ備えているかを有権者も注目していると思われる。そうい
った中、ビル・クリントンの役割は有権者が忘れがちな視点や過去の出来事を思い出させ、彼の支持する
候補者の主張点の説得力を増すという役割に集中するのではと予想される。
2. 米国から見た北朝鮮の現状 -中国需要で活況を呈する経済
以下ワシントンポストによる北朝鮮と中国の経済関係の特集の要約を紹介する。 中国遼寧省丹東市か
ら鴨緑江にかかる橋を越え反対側の北朝鮮側にある新義州市の繊維縫製工場で多くの”Made in China”
製品が作られている。丹東市の 80 万人の人口の約 4 分の 1 がこの北朝鮮とのビジネスに関わっている
という。
北朝鮮の経済成長はこの丹東市からの製造下請けニーズ対応を中心に年率 7%を超えるペースで伸び
ており、その“活況ぶり”は「米国と米国の仲間が行う制裁が機能している」という認識と矛盾している。中
国共産党幹部が金正恩への対応に苦慮していると考えるのは中国と北朝鮮の関係のある一面だけの見
方といえる。
北朝鮮経済は現状、韓国経済の 50 分の 1 程度だが、「市場経済」に基づく運営が進み、変化が起こって
いる。新義州市の縫製工場では女性工が一日 13 時間、月間 28 日から 29 日働いて、月収 300 ドルを稼
ぐ。このうちの 100 ドルが自分のものとなり、200 ドルは金正恩政権に渡される。北朝鮮からの国外出稼
ぎ労働者は約 5 万人とみられ内、13,000 人が丹東市にいると見られる。逆に中国から北朝鮮へテレビな
ど耐久消費財が流れている。北朝鮮経済の発展を阻害する問題もある。 新鴨緑江橋建設工事が凍結
されている。北朝鮮側でこの建設を推進していたビジネスマンでかつ金正恩の叔父の張成沢が 2013 年
に処刑されたことが一つの理由。張氏の周辺の人物も平壌に召喚されるか行方不明(恐らくは粛清され
た)になっており、ビジネスの阻害要因となっている。もう1つは米国の制裁で、北朝鮮へのカネの流れを
止めることに焦点を置いている。 ただ、丹東市内の小規模銀行は高率の手数料ベースで北朝鮮への送
金を行い、金額によっては昔さながらにスーツケースに現金を詰めて鴨緑江橋を超えている。以上が特
集の要約で、政冷経熱の関係は日中関係とも似ているが、丹東市を通じた双方の依存関係は深まる一
方であり、中国側は新鴨緑江橋建設でその蛇口を拡大しようとし、北朝鮮側はその蛇口を絞るグリップを
効かせようとしているといったところであろうか。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 3 月 16 日付けレポートを弊社にてダ
イジェスト版化
(1) 中国
 北京市内人口抑制へ
北京市の李士祥副市長は、北京で開かれた全国人民代表大会の分科会において、「2020年の北京市
内の人口を2,300万人以下に抑える方針である。」と発表した。更に、「北京市の水不足は『南水北調』
で緩和されるが、根本的に解決することはできない。」とも述べ、都市しての北京の拡大の限界をも示唆
している。
 日中韓 FTA への期待表明
中国の高虎城商務相は、全国人民代表大会に合わせて開いた記者会見の中で、日本、韓国との三国間
自由貿易協定(FTA)について、「交渉をさらに加速させる。」との意欲を示した。日中韓FTAは3カ国の主
張に差があり、その交渉が難航しているが、中国は韓国との2国間FTAで合意、外堀を埋めたことから、
今後は、日本を意識して攻め込み、日中韓FTA交渉に注力するという方針を敢えて内外に強調したと見
ておきたい。
 スリランカの中国依存脱却の動き
スリランカ政府は、「コロンボで中国がこれまで建設支援してきてくれた“港湾都市プロジェクト”の突然の
中断を決め、工事を止めた。」と報告している。こうした背景には、シリセナ新政権が前政権の中国依存
から脱却を図る動きを示したことに対する嫌がらせと牽制があると見られ、このままでは、新政権と最大
援助国の中国本土との関係が冷え込む可能性もある。
 国産空母初建造へ
中国系香港紙である香港商報は、「中国・人民解放軍・海軍の首脳であり、政治委員を務めた劉暁江氏
が取材に応じ、中国本土が進めているとされる“国産空母”の建造について“製造部門が行っている”と語
ったと伝えた。軍関係者が建造を公式に認めるのは初めてである。」と報道している。更に、技術担当の
将官は国産空母の艦載機発艦装置について、「我々の掌握している技術は米国に劣らず、さらに先進的
である。」との見方を示したことも報道されている。
(2)韓国
 仁川にデュバイが企業都市建設へ
アラブ首長国連邦(UAE)のデュバイは、36億米ドルを投資して、韓国の仁川にグローバル企業都市を
造成する計画があることを発表している。デュバイの都市発展の経験を生かし、外国にもその影響力を拡
大したいというデュバイ側と外資導入を刺激に都市の再活性化を図りたいとする仁川側の意向が合致し
たものと思われる。
具体的には、仁川市と、デュバイで政府系投資会社として活躍する、実績豊富なインベストメント・コーポ
レーション・オブ・デュバイ(ICD)が、仁川・コムダン企業都市造成のための投資計画を契約することにな
ると見られている。ICDは先ずは投資意向契約締結を受けて、仁川市西区のコムダン地域1段階事業用
地386万平方メートルに「フューチャー・シティー」を造成する計画であり、この「フューチャー・シティー」は、
情報通信技術(ICT)やメディアコンテンツなどの先端産業と教育機関を結集した未来型の知識クラスター
都市がイメージされている。また、同都市の開発は、2003年にデュバイに造成されたグローバル企業都
市「スマート・シティー」の開発方式と同様のやり方で進められる予定となっている。
 LG化学、リチウム電池で中国大手と連携
韓国有数企業の一つであるLG化学は、中国のリチウムイオン2次電池分離膜メーカー最大手である深
セン市星源材質科技(通称、深センシニアテクノロジー)と安全性強化分離膜関連特許の有償ライセンス
契約を締結したと発表している。同分離膜はLG化学が独自開発したものと伝えられている。尚、世界のリ
チウムイオン電池の市場規模は、昨年時点では154億米ドル強に達すると見られており、LG化学は、市
場規模の拡大を意識したライセンス・ビジネスを展開していると見られている。
 2 月の船舶受注実績世界一位を奪還
韓国マスコミは、「英国の造船・海運業界専門調査会社であるクラックソンは、韓国の造船業界は先月、
中国本土と日本を抑え、船舶受注実績で世界首位を奪還したとの内容の報告を発表した。」と報道してい
る。即ち、これによると、先月の全世界の船舶発注量は118万CGT(標準貨物船換算トン数)、46隻とな
っており、昨年11月(103万CGT)以降では最低となっている。こうした中、韓国の造船会社は全体の58.
1%に相当する68万7,000CGT(21隻)を受注し、中国本土の38万6,000CGT、19隻、日本の8万
5,000CGT、3隻を大きく引き離したと報告されている。外貨獲得源の一つである海外造船受注増は韓
国にとっては基本的には朗報である。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/ 1,124.55(前週対比-26.05)
台湾:1米ドル/31.60ニュー台湾ドル(前週対比-0.16)
日本:1米ドル/ 121.27円(前週対比-1.14)
中国本土:1米ドル/6.2614人民元(前週対比+0.0028)
2.
株式動向
韓国(ソウル総合指数):1,970.59(前週対比-42.35)
台湾(台北加権指数):9,596.00(前週対比-49.77)
日本(日経平均指数):18,991.11(前週対比+20.11)
中国本土(上海B):3,349.323(前週対比+100.847)
4.編集後記― アリゾナに行ってきました
先週出張したアリゾナ州で休日に訪れたセドナはパワースポットとして日本でも有名だそうです。世界に
は vortex という渦のように“気”が吹き上がり循環する場所が 25 か所あるそうですが、そのうちの 5 か所
がセドナにあると言われております。 霊感(?)の強い日本人女性はこのスポットに入ると泣き出したり
鼻血を出したりしてしまうそうです。もう1つセドナで目立ったのは丘陵地帯や山岳地帯を子供を縦横無尽
に走り回るマウンテンバイカーの姿でした。アリゾナでもう一か所、ご紹介したいのは帝国ホテルの建築
設計で有名な建築家フランク・ロイド・ライトの冬季別荘です。フランク・ロイド・ライト財団により管理され、
現在も世界の建築家の卵たちが建築設計を学ぶ場として、或いは地元のイベント会場として、或いは旅
行者の観光スポットとして利用されています。 ここには折り紙風の椅子や日本庭園に見られる借景のレ
イアウトなど日本文化がかなり取り入れられています。 いずれ日本からの直行便ができれば益々日本
からの旅行者の往来が増すことは確実と言えそうです。
州都のフェニックスではアリゾナ州立大学のキャンパスの巨大さに目を奪われました。その大学の影響も
あるのか、航空宇宙、ICT、バイオ、エネルギー・環境といったハイテク産業が盛んでした。一方、伝統産
業の綿、牛肉、銅産出といった一次、二次産業もしっかり息づいています。日本からもトヨタ、日産をはじ
めとする自動車産業、ブリジストン、アイリス大山といった有名企業も進出しているそうです。フェニックス
で行われる日本祭りは 10 万人近くも観客を動員する全米屈指のイベントになっているそうで、そこにも日
本の文化への興味の強さがうかがえそうです。地元商工会議所の Global Chamber の代表から日本企業
の進出の際の様々な優遇内容も拝聴しました。 企業に限らず観光、和食・飲食業などで進出意欲のあ
る方は同チャンバーをご紹介しますのでご遠慮なく仰ってください。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 95 号)
1. ネットプロバイダーの中立性を命じた FCC
2. 共和党保守派の原点確認会議と 2016 年大統領選
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 2 月 27 日付けレポートを弊社にてダ
イジェスト版化
4. 編集後記―プリンストン大学牧野成一名誉教授の米国における日本語教育のお話
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1.
ネットプロバイダーの中立性を命じた FCC
米国連邦通信委員会(FCC)は 2 月 26 日、インターネット・ブロードバンド・プロバイダーを公共財と分類し、
国民がウェブ上で閲覧するコンテンツのをプロバイダーがコントロールすることを認めず、中立性を保つ
ことを求める判断を下した。 ベライゾンやタイムワーナーケーブルといって大手プロバイダーが自らの利
益に反するウェブサイトをブロックしたり、利用料金に応じてアクセススピードを変えるような恣意的対応
が禁じられることになる。この規制は電話会社に政府が課している中立性要件に匹敵する厳格さとのこと。
「インターネットは人々の生活に重要過ぎて、プロバイダーが勝手にルールを決められるようなインフラで
はもはやない。」というのが政府規制当局の認識。具体的には、Netflix(オンライン DVD レンタル及び映
像ストリーミング配信事業会社)のようなウェブサービスへのユーザーアクセスをブロックしたりストップす
ることが禁じられ、特定のウェブサイトからのダウンロードのスピードを遅らせることもできなくなる。 この
規制はベライゾン・ワイヤレスやスプリント、T-Mobile といったスマホやタブレットベースの無線キャリアに
も適用される。 今回の厳格な規制適用はオバマ大統領直々の指導とみられている。当初、FCC はより
緩やかな規制内容を準備していたが、大統領からの強い影響力の行使があった模様。 この政府による
規制強化に対し、プロバイダー企業は FCC を訴え、法廷闘争に持ち込むと見られている。そして、訴訟で
時間を稼いでいる間に、ロビーストを通じ議会工作を進め、規制を嫌う共和党が主導する上下両院でそ
の規制を骨抜きにする方向で進めようとする模様。大統領がここまで直々にコミットしているからには法制
化されても拒否権発動が想定されるが、ネットの中立性を担保する規制強化を目指すオバマ政権と規制
緩和を目指す共和党との間のイデオロギーのぶつかりあいが、そのまま次期大統領選の争点にもなり得
るか注目される。
2.共和党保守派の原点確認会議と 2016 年大統領選
先週、ワシントン DC で行われた Conservative Political Action Conference は共和党次期大統領候補保
守派の論戦の予告編となった。現状、共和党保守層の人気投票でトップにあるウィスコンシン州知事の
スコット・ウォーカーはイスラム国過激派への対応をオバマ政権との違いとして大統領の取るべき姿勢と
して強い姿勢を示した。一方で、共和党内の戦いを勝ち抜くべく、自らを貧しい牧師の家庭から努力して
知事にまでなった半生を元大統領の子どもであり弟であるエリート家庭のジェフ・ブッシュと対比する形で
示した。 ニュージャージー州知事のクリス・クリスティも持ち前の弁舌で保守層への訴求に余念がなかっ
た。 一方、民主党に対する対抗意識のトーンを高めたのが元ヒューレット・パッカード CEO のカーリー・フ
ィオリーナ女史で、民主党次期大統領候補筆頭のヒラリー・クリントン前国務長官に対する批判として、国
務長官としての実績不足とクリントン財団が外国政府から高額の寄付を受けている事実をやり玉に挙げ、
聴衆のスタンディングオベーションを受けた。サラ・ペイリン、ドナルド・トランプなどが過激な表現で保守的
怪気炎を上げ、半ば「保守ショー」と化す中で、共和党の本命であっても保守派のチョイスではないジェ
フ・ブッシュが登壇した際には拍手とブーイングが混在した状況のようであった。 彼の教育政策や移民
政策は保守どころか中道から左寄りともみられ、保守派の批判対象であるものの、本選では有権者に訴
求する大きな切り札であることも間違いない。 ティーパーティに代表される共和党保守派が党内分裂を
煽ったことを教訓に、共和党が如何にジェフ・ブッシュを中心に保守派も含めて団結できるか、気が早い
が副大統領候補のチョイスなども注目されよう。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 2 月 27 日付けレポートを弊社にてダ
イジェスト版化
(1) 中国
 中印領土問題
インドのモディ首相は、中国本土との領有権争いをしている北東部・アルナチャルプラデシュ州を、首相就
任以来、初めて訪問した。この地域でのインドの実効支配を改めて内外に示す狙いがあるとみられてい
る。これに対して、中国政府が反発しているのは当然のことであり、今後の動向を注視する必要がある。
 江蘇省連雲港市と中央アジアのカザフスタンを結ぶ定期貨物鉄道の運行開始
中国政府は、沿海部の江蘇省連雲港市と中央アジアのカザフスタンを結ぶ定期貨物鉄道の運行を始め
ると発表した。これは、習近平国家主席が提唱する、「シルクロード経済ベルト構想」に基づくものと見ら
れ、豊富な天然資源を保有し、歴史的に見れば、ロシアの勢力圏とも見られる中央アジアでの中国本土
の影響力は、更に強まっていく可能性はある。
 香港 2014 年実質 GDP 前年比 2.3%増
香港特別行政区政府が発表した2014年の実質域内総生産(GDP)は前年対比2.3%増となっている。
これは、2013年の2.9%増から鈍化したことを示す状況である。消費や輸出が低迷し、大規模なデモ
の余波もやはりあったと見られる。曽財政官は、2015年度予算案で個人向け減税など340億香港ドル
相当の景気刺激策を通して、GDPを1%引き上げたいとしている。
 南沙諸島にて大規模埋め立て工事
国際軍事専門誌IHSジェーンズは、「中国は南シナ海の南沙諸島の三つの岩礁で、大規模な埋め立て工
事を進めていることを確認した。」と報告している。同誌が公開したガベン礁の衛星画像を確認すると、2
014年3月末の撮影時点で小さな建造物しかなかった場所に、僅か10か月後の2015年1月末時点で
巨大な人工島が建造されていることが確認できるとされている。南沙諸島問題は地域の禍根の種となり
かねず、特に中国本土の海洋覇権の拡大に対して周辺国はもとより、米国や日本もどのような対応をし
ていくのか、目立った対応はしないのかなどを注視したい。
(2)韓国
 三星電子と SK ハイニックスでDRAM市場 7 割を席巻
半導体関連情報サイトのDRAMエクスチェンジは、「2014年10~12月期のDRAM市場で韓国の三星
電子とSKハイニックスの2社が世界のシェアの約7割を占めることとなった。」と発表している。三星電子
のシェアは41.4%と前期から0.3ポイント下がったものの、首位をキープ、SKハイニックスは1.2ポイ
ント上昇の27.7%と報告されている。
 韓国国産戦闘機 KFX
韓国政府・防衛事業庁は、韓国型戦闘機(KFX)の開発事業入札に韓国航空宇宙産業(KAI)と大韓航
空の2社が参加すると発表している。このKFX事業は、老朽化した韓国空軍のF4、F5戦闘機の後継機
を開発するもので、インドネシア政府と海外の航空機製造会社が参加する国際共同開発事業であり、総
事業費は約8兆6700億ウォンと見られている。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/ 1,094.20(前週対比+15.41)
台湾:1米ドル/31.33ニュー台湾ドル(前週対比+0.42)
日本:1米ドル/ 118.74円(前週対比+0.03)
中国本土:1米ドル/6.2584人民元(前週対比-0.0038)
2.
株式動向
韓国(ソウル総合指数):1,993.08(前週対比+31.63)
台湾(台北加権指数):9,622.10(前週対比+92.59)
日本(日経平均指数):18,785.79(前週対比+453.49)
中国本土(上海B):3,298.359(前週対比+51.453)
4.編集後記― プリンストン大学牧野成一名誉教授の米国における日本語教育のお話
先月、渋谷の東京日本語学校長沼スクールにて行われました特別講座「Oral Proficiency Interview (OPI)
は口頭能力をどうやって測るか。」と「OPI を使って言語能力と同時に「分化能力」をどうやて測るか。」 を
拝聴しました。講師のプリンストン大学牧野名誉教授は1960年代前半にフルブライト留学生で米留され
イリノイ州立大学などを経られてプリンストン大学で日本語と日本文化の教育と言語学の研究にあたって
こられました。 当日の講義では American Council on The Teaching Foreign Languages (ACTFL)という米
国で外国語教育を行う教師など関係者の個人会員制組織が作った OPI という外国語口頭能力検定制度
の現状と課題をお話しされ、かつ OPI インタビューの実演も行われました。OPI を通じ外国語学習者は初
級(Novice)、中級(Intermediate)、上級(Advanced)、超級(Superior)、卓越級(Distinguished)の5段階と、
夫々の段階の中での初級から上級までは其々に上(High)、中(Mid)、下(Low)のグレードに分類されま
す。(超級は上と下のみ、卓越級はグレード分けは無し)。言語によらず、この等級分けが標準的にできる
ように最長 30 分ものインタビューで相手の語学習熟度が徹底的に裸にされます。ただ、牧野教授は日本
語とそれを用いる状況の間に文化の要因が大きく関連するとみられており、この点で ACTFL に対して文
化面を反映した等級分けを提案されようとしています。尚、先生が語られていた様々なプリンストン大学で
のエピソードの1つに作家、村上春樹氏のプリンストン大学留学時代の交流があり、その影響で『ノルウェ
イの森』のベースとなったと言われる『蛍』を日本語教育の教材とされたお話などが強く印象に残りました。
いずれにしてもこの会話能力重視の OPI を日本人の英語教育に積極的に取り入れることも一考と感じま
した。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 94 号)
1.
2.
3.
米国人は何を食べるべきか
旧正月を日本で過ごす中国人の期待値
編集後記―政策分析ネットワークの地方活性化イベントに行ってきました。
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1. 米国人は何を食べるべきか
米政府(保健省と農務省)は定期的に国民の食すべき食事の内容として Dietary Guidelines を発行してき
ている。最新版が今年発行されるにあたり専門家による諮問委員会がそのガイドラインに反映させるべき
お勧めの食事内容を報告したが、その中で赤身の肉の消費を抑えるべきことを勧めた。その理由として
国民の健康はもとより気候変動問題への対応に重要であると書いたため、議会や食肉業界を巻き込み
論争を招いている。この諮問委員会からは 571 ページにも及ぶ報告書が出され、アメリカ人が植物系の
食事(野菜、果物、粒類、豆類、ナッツ類、種子類をもっと取り入れ、動物系の食事を減らすことが健康増
進と環境保全に役立つと記した。この報告書をどこまで政府がガイドラインに反映するかは政府次第では
あるものの、従来は報告書の多くをそのまま反映してきた。ガイドラインが発行された後に国民の食生活
に直接影響が出る部分は子供の給食メニューと食品の表示方法にあるという。気候変動に関する記述と
して、1kg あたりで牛肉の場合は豚肉に比べ 2 倍、七面鳥に比べ 3 倍、鶏肉に比べ 4 倍の二酸化炭素を
排出しているという。ましてや魚介類、野菜中心の食生活に比べ気候温暖化につながる環境負荷は大で
あると結論づける。また、牛肉の赤身は他の素材に比べカロリーにしてもタンパク質にしても摂取の効率
が悪いという。 尚、今回のレポートでは卵やレバーなど高コレステロール食品の抑制はうたっていない。
日本でも牛肉の熟成や和牛ブランドのグローバル化など牛肉で外に打って出ようとの矢先に冷水となり
かねない報告書といえる。
2.旧正月を日本で過ごす中国人の期待値
ワシントンポストが春節で日本を訪れる中国旅行者の様子を特集した。彼らの日本での期待値は日本食
や観光、そして秋葉原などでのショッピングが定番であるが、人気スポットの1つの北海道では到着後ま
ず深呼吸して美味しい空気を味わうことも隠れた期待値のようである。 昨年日本を訪れた中国人旅行
客は 2013 年比 83%も増加している。東京は一年を通じ常に人気のスポットだが、冬場は中国人旅行客の
半分が北海道を目指すという。魚介類のおいしさもさることながら、”If You Are the One”という中国映画
が北海道をロケ地として撮られたことが貢献している模様。またこの時期のさっぽろ雪まつりも大きな吸
引力で、地元のラーメン屋は中国旅行客でごった返しているという。 ニセコに代表される北海道のスキ
ー場もまた中国人旅行客でにぎわっている。 一昨年来の円安も訪日の動機づけになっている模様で、
中国人旅行客は「タクシー代と食事代は中国よりも高いが他はそれほど差はない」と感じているとのこと。
中国人旅行客のお金の使いっぷりは訪日旅行客の中でもトップクラスで昨年外国人が日本に落とした総
額 170 億ドルの約 4 分の 1、一人当たり 2 千ドルも支出している。ワシントンポストに久方ぶりに日本の話
題が掲載されたが、これも「中国」あっての記事の価値といえそうである。米国から見て表向き尖閣列島
の問題や靖国参拝問題などで日本に反発していると見える中国の人々が大挙して日本に押し寄せる様
子と、マナーの問題はあってもその経済効果に期待せざるを得ない日本の厳しい状況がニュースバリュ
ーのようである。
3. 編集後記― 政策分析ネットワークの地方活性化イベントに行ってきました
政府が昨年末に出した「まちひと仕事創生長期ビジョン統合戦略」の関連で地方の人口、特に労働人口
の減少と、リタイアが進む団塊の世代の方々の地方移住願望をマッチングさせていく社会工学的実験の
現状を内閣府、高知県、パソナ(マッチメーキング担当)、地方移住を支援する NPO 法人の方々がプレゼ
ンとパネルセッションを通じ披露されました。内閣府からは、上述の統合戦略(2015 年~19 年)において
地方側にも同様のビジョン策定を求め、それに応じて政府から情報支援(地方経済分析システム等ビッ
グデータ分析支援)、財政支援(補正 4 千億円)、人材支援(各省に都道府県担当コンシェルジェを設け、
官僚、教師、シンクタンク研究員などを地方に派遣)を行い、「東京一極集中」の是正、地方の人口減少
の歯止めと地方安定雇用確保を目指すとの目標の説明がありました。2040 年からは高齢者人口も減っ
ていくので単に介護士を増やせばよいということではなく、人口動態に沿った適切なダイナミックアプロー
チが肝要とのこと。高知県では人口減少が全国に 15 年先行、高齢化が 10 年先行している状況から危機
感が強く、大掛かりな「移住促進プロジェクト」の 2 年目に入っているとのことです。方向性として、①高知
を知って好きになってもらう、②移住に関心を持ってもらう、③移住に向けた主体的な行動に移ってもらう、
④移住について真剣に考えて金てもらう、⑤高知に安心して住み続けてもらうという 5 つのステップを想
定、夫々に具体的な支援策を設けています。その高知県の包括的パートナーとしてパソナが県側の高い
スキル・知識・経験を持つ県外人材確保のニーズと高知に移住後も就労を続けたい年配の人々のマッチ
ングを推進されています。地方の中小企業で求められている人財は①販路拡大、海外販路展開経験者、
②事業承継候補者育成者(要は経営ノウハウ伝授)あたりだそうです。
最後に NPO 法人ふるさと回帰支援センターでは年に 130 回もの移住相談会が開催されており、特に大震
災以降相談者が急増中とのこと。相談者の年代は全ての世代で平均的で 60 歳以上は 4 分の 1 程度。20
代もかなりいる模様。人気移住希望先は長野県、山梨県だそうです。移住して成功されているケースの
ポイントとして、事前に地域慣れしておくこと(長期滞留ベースで生活してみて生活者の視点を持ち、地元
の人と付き合ってみること。また現地で起業するにしてもまずは地元企業などに就業し、地域に馴染み人
脈を作ってから起業するなど)が大切なようです。 今回のセッションでは外国人財の活用については触
れられませんでしたが、高知県の 5 つのステップはそのまま日本に関心の高い外国人財にとっての地方
アクセスのヒントになると感じました。但し、移住というと双方にとって重いテーマなのでやはり生活・就労
経験をして日本と地方の良いところを身に着け母国に戻って宣伝し、また多くの若者の還流を実現できれ
ばと思った次第です。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 93 号)
1. 米国メディアが取り上げる民主化のミャンマーに潜む宗教問題のリスク
2. なぜハッカーは医療機関を狙うのか?
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 2 月 16 日付けレポートを弊社にてダ
イジェスト版化
4. 編集後記―戦後 70 周年の節目、振り返りの年
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1.
米国メディアが取り上げる民主化のミャンマーに潜む宗教問題のリスク
民主化の進展と法体系並びにインフラの整備を期待して外資が流入中のミャンマー国内にロヒンギャ族
という少数派イスラム教徒集団迫害の人権問題が目立ちつつあるとワシントンポストは伝える。ミャンマ
ー国内に約130万人が暮らすこの民族の大半はバングラデシュやインドとの国境沿いのラカイン州の先
住民族である。異民族で異教徒である彼らへの迫害を政府も無視し、基本的な人権が損なわれている状
態にあるという。国連は度々ミャンマー政府に対し、ロヒンギャ族への市民権を完全に付与すべきである
との要求を出してきており、昨年12月には国連総会決議まで出しているが、逆にそれがミャンマーの国
内の反発を増している。 ミャンマー政府自身は国連決議に応じ、所定の手続き書類を保持しているロヒ
ンギャの人々に来たる国民投票への投票権を暫定的に認める方針を出したが、これに強く反対する国内
勢力によるデモ行進の結果、政府はその方針を取り下げてしまった。反ロヒンギャ活動の原動力は国粋
的仏教僧である。 その急先鋒を務めるアシン・ウィラツー僧はその外国人嫌いの説法で悪名高く、雑誌
タイムの表紙に「仏教徒によるテロリズムの顔」と書かれ紹介されている。ウィラツー僧自身も自らをビル
マのビン・ラディンと呼び、国内イスラム教徒に対する“行動”を呼び掛けている。ただ、この国の今後の民
主化と国際化進展の期待の星であるアウンサン・スー・チー女史ですら、対立する与党政府方針に従う
かのように“ロヒンギャ”という固有名詞すら発せずノーコメントを通しているところが同国内の問題以上に
国際社会とのかかわりにおけるリスクをはらみつつある。
2.新たな電力革命を住宅用バッテリーで仕掛けるテスラ
高級電気自動車製造販売で有名なテスラモーターズは近々家庭や地域電力会社向けに高性能バッテリ
ーの販売を開始すると発表した。デザインは既に完成しており、来月までに製品発表を行い量産は早け
れば半年を目途に始まるという。価格帯はまだ不明だが、その蓄電性能の良さから、このバッテリーを購
入した家庭の電気代を節約することになるという。 米国ではまだ安い太陽光パネルが次々と出回ってい
るという事実からして現状では大半の世帯ででまだ電力網から電気を購入し、自前で電力を賄いきれて
いない状況が見えている。テスラのこのバッテリーが所期の蓄電能力を発揮すれば再生可能エネルギー
の蓄電能力が飛躍的に伸び、売電の規模も増し、それが電力市場での売価に与える規模にまでなること
が期待される。 そして度重なる停電や寡占に基づくサービスの悪さに閉口する消費者にとってこのバッ
テリーは大いなる代替手段を提供することになると同社のバッテリー動向を昨年来モニターしてきている
モルガンスタンレーは高く評価している。 テスラの株主でもあり、住宅も手掛け、昨年末に燃料電池自動
車をリリースしたばかりのトヨタはこのバッテリーをどのように位置付けるのであろうか?
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 2 月 16 日付けレポートを弊社にてダ
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(1) 中国
 政策金利 0.5%引下げへ
中国本土金融当局も景気刺激を目的とした金融緩和を実施するとし、政策金利を0.5%引き下げた。中
国本土政府が景気低迷に歯止めをかけるため、市中銀行から強制的に預かる資金の比率を示す預金準
備率を引き下げると発表したものである。これはまた、2年9カ月ぶりの引き下げで、世界的な金融緩和
に追随したと見られている。更に、こうしたことから、各国の通貨戦争はエスカレートする兆しを見せてい
ると見られている。利下げや預金準備率の引き下げといった金融緩和政策は、景気浮揚を図ると同時に、
自国通貨を切り下げ、輸出競争力を高める狙いがある。尚、このような動きを受けて、韓国も現在の政策
金利(年2.0%)から追加利下げが必要であるとの声が強まっている点も留意しておきたい。
 1 月の輸出高前年同月比3.3%減
中国本土政府・税関総署は、本年1月の輸出が前年同月対比3.3%減となったと発表している。輸出の
減少は2014年3月以来、10カ月ぶりとなる。また、輸入も同19.9%減と3カ月連続のマイナスとなり、
中国本土経済を支える外需部門は縮小均衡に入っていると見られている。輸出不振を地域別に見ると、
主要な貿易相手である欧州への輸出が減少しており、欧州経済の回復の遅れが今後も続くと見られてい
る中、中国本土経済の先行きを不安視する声も強まっている。
 米中首脳電話会談
米国のオバマ大統領は、中国本土の習近平国家主席と電話協議し、サイバーテロ問題やイランの核問
題などグローバルな安全保障問題での緊密な連携を確認したと見られている。更に、オバマ大統領は今
年9月の国際連合創設70周年の記念活動に合わせて米国を国賓訪問するよう習主席を招き、習主席は
これを受け入れたと伝えている。
(2)韓国
 日本の造船業復活の脅威
英国・クラークソン社によると、1月の世界の船舶発注量は215万7,000CGT(標準貨物船換算トン数)
で前年同月対比213%減少し、前月対比では84%減少している。造船市場の規模が縮小するなか、韓
国は全体の30.9%となる66万7000CGTを受注したことになる。また、前年同月対比173%減少し、
前月対比でも214%減っているが、世界第2位を守ったことになる。中国本土の受注量は前年同月対比
678%減、前月対比107%減となる37万9,000CGTで、シェアは17.6%となり第3位に落ちている。
こうした一方で、日本の受注量は前月対比77%増の99万1,000CGTとなり、シェアは45.9%と、世
界第1位となった。円安で価格競争力が高まった為とみられている。こうした動向を総括する形で、韓国
の造船業界では、「中国本土の物量攻勢に苦戦してきた韓国造船業が、今度は日本造船業の復活によ
り板ばさみになっている。特に日本は中国本土よりも高い技術力を持っており、韓国にとって、中国本土
以上に脅威である。」との見方を示している。
 2014 年の海外建設収入は 4 年ぶりのマイナス成長
中央銀行である韓国銀行は、昨年の国際収支における海外建設収入を前年対比16.1%減の171億
米ドルと発表している。2010年の17.7%減以来、4年ぶりのマイナスとなっている。昨年マイナスに転
じた背景の一つには、原油安が影響したとされている。韓国の建設会社の海外受注は、その半分が中東
に集まっているが、発注者である中東産油国の経済が厳しくなれば、発注者の支払い状況が悪くなると
いうことが挙げられているのである。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/
1,098.81(前週対比-8.89)
台湾:1米ドル/31.35ニュー台湾ドル(前週対比+0.06)
日本:1米ドル/
119.01円(前週対比-1.69)
中国本土:1米ドル/6.2399人民元(前週対比+0.0007)
2. 株式動向
韓国(ソウル総合指数):1,957.56(前週対比+4.72)
台湾(台北加権指数):9,529.51(前週対比+73.33)
日本(日経平均指数):17,913.36(前週対比+287.92)
中国本土(上海B):3,203.827(前週対比+67.296)
4.編集後記― 戦後 70 周年の節目、振り返りの年
先週行われた安倍首相の所信表明演説の後半部分で戦後 70 周年の振り返りと今後のビジョンについて
簡潔に下記の通り述べられています。
(戦後七十年の「積極的平和主義」)
本年は、戦後七十年の節目の年にあたります。我が国は、先の大戦の深い反省と共に、ひたすらに自由
で民主的な国を創り上げ、世界の平和と繁栄に貢献してまいりました。その誇りを胸に、私たちは、これま
で以上に世界の平和と安定に貢献する国とならなければなりません。次なる八十年、九十年、そして百年
に向けて、その強い意志を世界に向けて発信してまいります。
この演説に関し、ワシントン DC 駐在時代に縁を得たアジア、中国の安保・外交専門の米人(現役は退い
ている)のウェブマガジンの記事が送られてきました(お時間がある方はウェブサイトで原文をご覧くださ
い: http://thediplomat.com/2015/02/japan-from-proactive-pacifism-to-proactive-diplomacy/)。その
中で特に「日本の「平和主義」という名のグローバルな出来事への無関心から「積極的平和主義」という
名の「平和づくりのための行動重視」への変化を、この項の後に続く「地球儀を俯瞰する外交」での「民主
主義」と「基本的人権」を推進する「積極的外交」」と相まって高く評価しています。その本音は、「日本の
隣国の中国や北朝鮮の国民は本来地域の平和の面からこの安倍首相の演説を歓迎すべきであるところ
を両国の指導部が対日批判を繰り返すところに平和よりもむしろ戦前の日本の国粋(権威)主義や大東
亜共栄圏に近いものがあると両国自身が歴史の振り返りから気づき、自制すべき、という趣旨です。好感
されているのは安倍首相の”Proactive”な姿勢、「積極的行動」であるところは歴史解釈が飛び交うであろ
う今年において「先手を取る」意味でまず得点を挙げた可能性はあるようです。先手という意味では習近
平主席は 2015 年を「抗日戦争勝利 70 周年」と既に位置づけ国内のトーンを固めているようです。この歴
史解釈の先手争いや海外での対外イメージ戦略競争がさらに戦後 70 周年の今年、目立ってくるのでしょ
う。 同じく先週行われたウクライナ停戦協議での仏独両首脳の 16 時間もの粘り腰のロシア説得の行動
の姿は「対独勝利xx周年」を毎年盛大に祝うロシアの歴史の振り返りよりも、隣国同士の仏独が教訓を
生かした戦後の「積極的和平行動」の知恵を感じさせる一幕でした。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 92 号)
1. 事実上の選挙対策本部を構築したヒラリー・クリントン
2.
3.
4.
なぜハッカーは医療機関を狙うのか?
東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 2 月 9 日付けレポートを弊社にてダイ
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編集後記―中東情勢分析(中東フリーランサー東京報告5)by 三井物産戦略研究所大橋研究員
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1.
事実上の選挙対策本部を構築したヒラリー・クリントン
ヒラリー・クリントン元国務長官は、いまだに 2016 年大統領選への出馬を表明していないが、水面下では
既に選挙対策本部の場所と陣容、行動計画、戦略を固めていると報道された。 ビル・クリントン大統領
時代の首席補佐官でオバマ大統領の上級顧問を務めるジョン・ポデスタと選対本部長予定のロビー・ム
ックがヒラリーと共に人選はもとより、リクルートを仕切っている。この大規模な選対本部の状況をリーク
することで民主党内のライバルの出現をけん制する意図もあると見られる。その人選的にはあたかも現
職のオバマ大統領の再選チームと言えるほど、オバマ陣営の補佐官を起用している。その多くは彼女に
とって初めての予備選となった 2008 年の党内予備選でヒラリーに苦杯をなめさせた張本人たちであり、
中でもオバマ選対本部を率いていたジム・メッシーナは今回、彼女の 2016 年選対活動資金(super PAC)
の元締めとなる。「今回は彼女が(大統領に)なる番であり、彼女がなるべき時代。」と彼は語る。 共和党
の予想されるいかなる対立候補も現段階ではこれだけの人材と規模の選対本部の準備は無い。さらには
巨額な資金源を確保し、党内に対立候補の気配がない盤石な状況にあるヒラリーだが、同一党から大統
領が三期連続出るという確率は低いことも歴史的事実であり(1981 年から 1992 年までのレーガンと H.ブ
ッシュの 3 期が前回)、現職大統領との違い、ゼロからのチャレンジといった演出も必要になる。 彼女の
2008 年の教訓として、パブリックコミュニケーション、特に選対本部とメディアとの関係の悪さがあったこと
から、今回はその点の補強にもぬかりがない。オバマ陣営の世論調査員であったジョエル・ベネンソンは
ヒラリーの首席顧問を務め、ポデスタを含めメディアとの関係も良好にある。選対事務所はニューヨーク
市のマンハッタンかブルックリンに置かれる模様。政策的にはオバマ大統領との違いを徐々に鮮明にし
つつも、オバマ大統領との良好な関係を維持するという繊細な対応も求められる。2000 年の大統領選で
民主党大統領候補のアル・ゴア副大統領が現職大統領のビル・クリントンの支持を拒み混乱したキャン
ペーンとなった。 オバマ大統領は「ヒラリーが候補となれば、その勝利のためにできる限りのことはする」
と語っている。 彼女の出馬表明は今年の 4 月頃であろうとワシントン・ポストでは予想している。
2.なぜハッカーは医療機関を狙うのか?
米国第二位の健康保険提供会社の Anthem 社にハッカーが侵入し、百万人単位の職員と顧客の個人情
報が流出した。この事件はサイバー犯罪者が攻撃対象を医療機関に絞ってきている現状を象徴するも
ので、その理由は個人の健康情報がブラックマーケットで高く売り抜けるからである。これらの犯罪者が
集めるデータはソーシャルセキュリティ番号、誕生日、住所、メールアドレスから始まり、医療診療データ
にまで及ぶ。一人分の健康保険情報一式でブラックマーケットでは 20 ドル程度で売買されており、これは
米国内のクレジットカード番号とそのセキュリティコードのパッケージ情報の 10 倍から 20 倍の“取引価格”
という。この情報を使い、被害者になりすまして、医療サービスや高額の医療機器を購入し、保険会社に
費用請求していく手口が一般的。健康保険組織に対するサイバーアタックの件数は 2009 年から 2013 年
で倍増しているという。その結果、米国の健康保険機関の約 4 割が被害に遭っている。 昨年 4 月には
FBI が健康保険提供組織に対し、そのサイバーセキュリティ体制が国内の小売組織や金融機関に比べ劣
っていることを指摘したうえで顧客データの管理体制の強化を促す警告を出している。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 2 月 9 日付けレポートを弊社にてダイ
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(1) 中国
 1 月の製造業購買担当者景気指数(PMI) 2 年 4 か月ぶりに50を割り込む
国家統計局と中国物流購入連合会が発表した1月の中国本土の製造業購買担当者景気指数(PMI)を
見ると、PMIは前月対比0.3ポイント低下し、とうとう景気判断を見分ける50を切って、49.8となってい
る。50を割るのは2年4カ月ぶりである。国内外の需要の伸び悩みを受けて生産が低迷していることを受
けての景気減速と見られている。
 インドの常任理事国入りを支持
日本の常任理事国入りには反対している中国政府だが、その外務部は最近、国連安全保障理事会の常
任理事国入りを目指すインドの動きに対して、「中国政府は、発展途上大国としてのインドの地位を重視
し、安全保障理事会を含む国連の場でより大きな役割を果たそうとするインドの願いを理解し、支持す
る。」との姿勢を改めて示した。
 台湾の 2014 年実質経済成長率3.51%
台湾政府・主計総処が発表した2014年の実質域内総生産(GDP、速報値)にわると、台湾の昨年のGD
P成長率は前年対比3.51%増となっている。3%台の経済成長を回復したのは3年ぶりとなる。
そうした背景としては、スマートフォン景気を受けて半導体など主力のIT関連輸出が好調だったことが上
げられ、株価上昇などで個人消費も復調したと見られている。尚、2014年の名目GDPは約16兆500
億ニュー台湾ドルとなっている。
(2) インド 2014 年 3 月締め実質経済成長率6.9%に上方修正
「国家会計の基準年度の変更に伴い2013年度(2013年4月~2014年3月)の実質国内総生産(GD
P)の成長率が6.9%に修正されたと発表している。昨年5月に出した数値は4.7%となっていた。景気
回復の傾向を踏まえ2014年度(2014年4月~2015年3月)の成長率が7%を超える可能性も出てき
ている。2012年度の成長率も4.5%から5.1%に引き上げられている。
インド政府は今回、基準年度を2004年度から2011年度に切り替えている。
(3) フィリピンの 1 月の消費者物価指数前年同月比2.4%増、1 年半ぶりの低水準
フィリピン政府・統計庁は本年1月の消費者物価指数(CPI)上昇率について、「前年同月対比2.4%増と
なった。」と発表している。これは、前月よりも0.3ポイント増加率が低下しており、約1年半ぶりの低水準
となったと報告されている。原油安や、電気料金の低下などが上昇率低下の背景とされている。
(4)インドネシアの 2014 年実質経済成長率5.02%増
インドネシア政府・中央統計局は、「2014年のインドネシアの実質国内総生産(GDP)成長率は前年対
比で5.02%増となった。」と発表している。投資が減速、資源を中心とする輸出も低迷する、低成長とな
っている。しかし、本年については、原油安の影響で物価上昇が和らぎ、政府が投資振興を急ぐとの見通
しから経済成長率の鈍化には歯止めがかかるとの見方も出てきている。
(5)韓国
 防衛産業の活況
国防関連企業の一つである韓国航空宇宙産業(KAI)が発表した2014年12月期決算は、売上高が前
期対比14.8%増の2兆3,149億ウォン、営業利益が29.5%増の1,613億ウォン、当期純利益が2
2.9%増の1,111億ウォンとなっている。KAIは、「1999年の会社設立以来最高の業績を達成した。
軽攻撃機FA50と韓国型機動ヘリコプター、スリオン(KUH)の量産が業績改善をけん引した。」とコメント
している。そして、両機種は昨年の売上高全体の半分を超える1兆2,000億ウォンを占めた。また、エア
バスとボーイングなど世界的な航空大手に納品している機体構造物部門も好調となっている。航空機の
翼の骨格、胴体部品を8,000億ウォン以上販売したほか、イラク、ペルー、フィリピンなどにFA50訓練
機(KT1)を輸出し、3,000億ウォン以上を売り上げている KAIの河社長は、「今年の増収目標を前期
対比30%増の3兆ウォンに設定した。次世代の韓国型戦闘機(KFX)と小型武装・民需ヘリコプター事業
が本格化すれば、問題なく目標を達成できる。」と強気のコメントを示している。
 大企業役員の退職年齢平均54.5歳、会社員の退職時年齢の平均は53歳
調査会社のCEOスコアは、10大財閥グループ(上場企業96社)の役員のうち、昨年末から年初にかけ
ての定期人事異動で退職し自社株を売却した271人を対象に調査を実施した。その結果、退職した役員
の平均年齢は54.5歳であり、役員在任期間は5.2年と報告されている。役職別の退職年齢をみると、
常務(取締役)が平均53.5歳、副社長が55.8歳、専務が56.2歳、社長が58.7歳、副会長が63.0
歳となっている。役員の退職時の年齢が最も低いのはLGで51.4歳であった。尚、雇用労働部によると、
会社員の退職時の年齢は平均53歳とされている。
 現代・起亜自動車グループの善戦
韓国有数企業グループであり、世界的な自動車メーカーグループでもある現代・起亜自動車グループは、
昨年、世界市場で前年同期対比4.7%増の771万2,000台を販売した。また、調査会社のLMCオート
モーティブが集計した世界需要(8,716万6,000台)を基にすれば、8.8%のシェアを占めたとの見方
が出来ると韓国では見られている。現代・起亜自動車グループは、「起亜自動車の中国本土第3工場以
外に生産基地の拡充がない状況で、前年水準の市場シェアを維持したのは善戦と言える。また、主要市
場で日本メーカーが円安を追い風に攻勢を強めているほか、現代・起亜の主力である新興市場が振るわ
ない状況の中で得た結果であるため、意味がある。」とこうした好結果を前向きに受け止めている。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/
1,089.92(前週対比+4.02)
台湾:1米ドル/31.41ニュー台湾ドル(前週対比+0.09)
日本:1米ドル/
117.32円(前週対比+0.50)
中国本土:1米ドル/6.2406人民元(前週対比+0.0084)
2. 株式動向
韓国(ソウル総合指数):1,952.84(前週対比+3.58)
台湾(台北加権指数):9,456.18(前週対比+94.27)
日本(日経平均指数):17,625.44(前週対比-48.95)
中国本土(上海B):3,136.531(前週対比-73.832)
4.編集後記― 中東情勢分析(中東フリーランサー東京報告5)by 三井物産戦略研究所大橋研究員
長らく中東に駐在勤務されていた中東三井物産の大橋副社長が東京に戻られ三井物産戦略研究所で引
き続き中東情勢分析をされています。今回はイスラム過激派のテロ事件を中心に①「冗句」を逸する?、
②邦人誘拐事件に思う、③100 年ごとの 15 年度をふりかえる、と④平和と美の回廊に・・・の 4 つです。中
東でのビジネスを検討されている方々のご参考になれば幸いです。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 91 号)
1.
2.
3.
4.
ミット・ロムニー氏 2016 年大統領選出馬を断念
ダウジョーンズで株を買うべき日と避けるべき日 -過去 100 年のデータに基づく分析結果
東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 1 月 31 日付けレポートを弊社にてダ
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編集後記―シンガポールのセレター・エアロスペース・パークに行ってきました。
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1.
ミット・ロムニー氏 2016 年大統領選出馬を断念
2012 年共和党大統領候補ミット・ロムニー氏は先週金曜日に支持者に対し、2016 年の大統領選には出
馬しないと正式に伝えた。ワシントンポストの報道では、元フロリダ州知事のジェフ・ブッシュ氏が参戦へ
の意欲を予想外に早く示したことが今回の決定を早めた模様。現段階での世論調査では共和党大統領
候補としてロムニーの優勢が伝えられていたものの、ヒラリー・クリントン前国務長官が本命と目される民
主党大統領候補との本選では世論調査上は「不利」が見えていた。その「不利」をじっくりと挽回していく
チャンスを伺うつもりであったものが、ジェフ・ブッシュの予想外の早い動きで、まずブッシュをはじめとした
党内の戦いに勝つ算段を立てる必要が生じる。2012 年の時にも共和党内の候補者同士の戦いでロムニ
ー自身弱点が強調され、ぼろぼろとなって本選に臨んだ経緯があり、ブッシュとの早い段階での応酬でま
たこのプロセスを経ることはただでさえ「不利」な本選をさらに困難にさせると読んだものとみられる。その
ブッシュ陣営の早い仕掛けの中には予備選や本選で口火を切るアイオワ州でのロムニー陣営の選挙対
策本部長の David Kochel 氏を引き抜きに成功したことも効いているとみられる。 「断念」を発表した中で、
ロムニーは共和党内の若手の台頭にチャンスを与えるため、としてジェフ・ブッシュの動きに対する非難
のトーンを出したという。 このロムニーの決断に対し、民主党の本命のヒラリー・クリントン陣営は、「ロム
ニーとブッシュで争い続けた方が互いの粗が出て良かったが・・」、とか「ロムニーが候補となれば 2012 年
の戦い方の教本が残っていてやりやすかったのに・・」という声はあるものの最新のワシントンポストと
ABC ニュースの共同世論調査で、共和党大統領候補がロムニーであれブッシュであれ、クリントンのリー
ドは 10%以上との結果が余裕をもたらしている模様。 恐らく、共和党では有名無名を含め多くの候補が
登場し、乱立状態の中で互いをけなし合う中、ヒラリーはそういったレベルでの議論に巻き込まれず、自
身の理念、理想を自らの実績と絡めて格調高く喧伝していくと見られる。
2.ダウジョーンズで株を買うべき日と避けるべき日 -過去 100 年のデータに基づく分析結果
データ・サイエンティストの Seth Kadish 氏は、1914 年 7 月 30 日から今年 1 月 26 日までの 100 年強のダ
ウジョーンズ工業平均株価の日々の終値の変動率をチャートにし、それを色分けを通じて一目で「良い日」
と「悪い日」がわかるヒートマップを作り上げた(ヒートマップは同氏のブログ Vizual
Statistix(http://vizual-statistix.tumblr.com/)をご覧ください。2つチャートがあり、左側が、過去 100 年間
でその日が上昇した日であった確率、右側が過去 100 年間の平均変動率)。青色が濃いほどに株価が
上昇した回数や上昇率が高い日となり、オレンジ色が濃いほどにその逆の日となる。 これによると、4 月
15 日の Tax Day(アメリカの所得税確定申告期限日)が最良日で、それ以外には祝日の前後の 7 月 3 日、
12 月 24 日、12 月 26 日、1 月 2 日なども非常に「良い日」となっている。一方、最悪は 4 月 7 日と、4 年に
一度の 2 月 29 日との結果が出ている。Kadish 氏いわく、このチャートはあくまでも娯楽目的で、投資戦略
を形成する根拠となるものではないと語っている。とはいえ、「歴史は繰り返す」、「人は忘れやすい」とい
う点を鑑みると、100 年分のデータのなかに何らかの投資家の心理(真理?)が読み取れるのではとも思
いたくなる。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 1 月 31 日付けレポートを弊社にてダ
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(1) 中国
 金門島での中台会談の実現に見る中台接近
台湾・行政院大陸委員会の王主任委員は、 「2月初めに台湾の金門島で中国本土・国務院台湾事務弁
公室の張主任と会談する。」と発表している。金門島は、かつては中台対立の最前線であったが、近年は
中国本土との交流が進んでおり、中台接近を与党・国民党が推進していく象徴のように利用する狙いもあ
りそうであるとの見方も出ている。
 台湾の 2014 年 12 月の鉱工業生産指数前年同月比 7.33%増
台湾政府・経済部が発表した2014年12月の鉱工業生産指数(2011年=100)は111.58となってい
る。これは、前年同月対比で7.33%上昇した水準である。
こうした背景には、スマートフォン用の半導体など電子部品が12.88%上昇したこと、機械設備も15.0
3%上昇ことなどが挙げられている。 一方、2014年年間平均の鉱工業生産指数は106.56となり、前
年対比6.14%上昇したと報告されている。
(2) ロシア 「対独戦勝 70 周年記念式典」に金正恩第一主席参加
ロシアのペスコフ大統領報道官は、北朝鮮の金正恩第1書記が本年5月9日にモスクワで開催される予
定の「対独戦勝70周年記念式典」に参加することが確認されたとの声明を発表した。北朝鮮も国際社会
での立ち位置が厳しくなる中、ロシアへのアプローチを再び強化していく可能性が出てきていると見ておく
べきであろう。
尚、金正恩第一書記は2011年に最高指導者となって以来、これまで一度も国外訪問は行っておらず、
今回の訪露が実現すれば、ロシアが最初の訪問国になる可能性が高まっている。
(3) 韓国
 粗鋼生産でロシアを抜いて世界 5 位へ
世界鉄鋼協会は、昨年の国別粗鋼生産に関して、中国本土(8億2,207トン)、日本(1億1,070万ト
ン)、米国(8,830万トン)、インド(8,320万トン)、そして韓国(7,100万トン)となったと発表している。
前年5位だったロシアに代わって韓国が5位となっている。前年対比増加率を見ると、中国本土の0.9%、
日本の0.1%、米国の1.7%に対して韓国は7.5%増となっており、粗鋼生産量1,000万トン以上の
主要生産国の中では最も高くなっている。
 現代自動車の水素燃料電池自動車イニシアチブ強化
韓国有数企業グループの一つである現代自動車グループは、光州市一帯を水素燃料電池車を含む自動
車産業の新規事業開発拠点として位置づけるとしている。
同社の認識では、2013年2月に世界に先駆け水素燃料電池車の量産に成功したとした上で、水素産業
関連の研究基盤施設が整った光州地域を今後も活用し、将来成長が見込まれる水素自動車の分野で世
界的な主導権を握りたいとしている。こうしたプロジェクトに韓国政府も本格的なバックアップの意向、姿
勢を示している。
 財閥企業の昨年の業況概ね好調
12 月決算が多い韓国財閥系企業の決算が出そろった。
売上(前年比%)
営業利益(前年比)
現代自動車
89.26 兆ウォン(2.2%増) 7.55 兆ウォン(9.2%減)
LGディスプレイ
26.46 兆ウォン(2.1%減) 1.36 兆ウォン(16.7%増)
LG 電子
59.04 兆ウォン(4.0%増) 1.83 兆ウォン(46.4%増)
SK ハイニックス
17.13 兆ウォン(20.9%増) 5.11 兆ウォン(51.2%増)
三星電子(10-12 月期) 52.73 兆ウォン(11.1%増) 5.29 兆ウォン(30.2%増)
三星 SDI(10-12 月期)
1.91 兆ウォン(1.0%増) 0.04 兆ウォン(14.4%増)
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/ 1,093.94(前週対比-9.39)
台湾:1米ドル/31.50ニュー台湾ドル(前週対比-0.07)
日本:1米ドル/ 117.82円(前週対比+0.11)
中国本土:1米ドル/6.2490人民元(前週対比-0.0390)
2.
株式動向
韓国(ソウル総合指数):1,949.26(前週対比+28.44)
台湾(台北加権指数):9,361.91(前週対比-7.60)
日本(日経平均指数):17,674.39(前週対比+345.37)
中国本土(上海B):3,210.363(前週対比-132.981)
4. 編集後記― シンガポールのセレター・エアロスペース・パークに行ってきました
先月後半にシンガポールを訪れ、同国の表玄関のチャンギ国際空港から西北に数十km離れたセレター
空港周辺に造成中のセレター・エアロスペース工業団地に行ってきました。シンガポールは世銀が毎年
発表するビジネスのしやすさランキングで、2013 年も 2014 年も世界1位(日本はおととし 27 位、昨年 29
位)にランクされることが象徴するように、低税率、規制の低さ、インフラの質、労働力の質の高さ(教育水
準の高さ)、英語と中国語がネイティブ、といった環境を整えています。そして常に世界のトレンドの先を読
み、来るリーディングインダストリーの呼び込みとそれに必要な場、インフラ、人財を用意して外資の来訪
を促します。 エアロスペース(航空宇宙産業)も例外ではなく、世界の人とモノの流れが海運に加えて航
空にも移るとみるや、チャンギ空港の 24 時間運用を通じた利便性の向上と共に、同空港をフィーチャーし
たシンガポールエアショーをパリの航空際に匹敵する世界トップクラスのエアショーに仕上げ、世界中の
エアロスペース関連企業が集まる場としました。そして、シンガポールエアラインを世界一の満足度を与
えるエアラインに育て、スターアライアンスグループを通じネットワークを世界中に広げました。次に、エア
ラインが必要とする機体とエンジンの維持・修理事業(いわゆる MRO 産業)を強化し、ST エアロスペース
を世界最大の航空 MRO 企業に築き上げました。それにより、世界のエアラインがシンガポール(チャンギ)
をハブとするメリットが増大し、シンガポールの求心力が乗数的に増したわけです。ところが、2 年前にオ
ーストラリアのカンタス航空がシンガポールエアラインとの提携を解消し、ドバイのエミレーツ航空に乗り
換えたことや LCC の攻勢、インチョンなど他のアジアハブの台頭の危機感からチャンギ国際空港のキャ
パを現在の 6600 万人から 2025 年までに 1.3 億人に倍増させる計画を実施中です。話が横道にそれまし
たが、MRO 事業をエアロスペース産業の川下とみるならば、航空機、エンジン、部品の設計・開発といっ
た最上流から、その製造といった中流に川を遡るための場づくりがセレター・エアロスペース・パークであ
ると感じました。 現在はチャーター便や貨物機、パイロット訓練用として使用されているセレター空港周
辺の広大な敷地を造成し、エアロスペース産業専用の工業団地が作られています。 すでに英国ロール
スロイスが B787 用エンジンの製造工場を設け、生産を始め、負けじと米国 Pratt & Whitney が修理とエン
ジニアリング作業の施設を設けています。研究開発部門には 100 名もの技術者がいるとのことです。 さ
らには 18 万平方フィートもの敷地を加え、日本の MRJ の主機となる Geared Turbo-Fan エンジン用のファ
ンブレードとハイプレッシャータービンの製造工場も立ち上げることになっています。 圧巻なのは、エアバ
スで、固定翼大型機の関連に加え、子会社のエアバスヘリコプター、ベクターエアロスペース(ヘリエンジ
ンの整備会社)などグループ傘下企業を連れてきてビレッジとしていました。聞いてみると、狙いはアセア
ンに加え、インドだそうです。
欧米のエアロスペース企業が集積しつつあるこの工業団地に日本の中小企業の優れた加工技術や部品
のサプライチェーンがあれば、同工業団地の求心力が増すと共に、日本のブランド・情報発信力が増すと
感じた次第です(同団地を管理する JTC 公団の人は「great idea.大歓迎」と言ってました。実際、フランス
やドイツの中堅企業はすでに同地に進出済みだそうです。今回の出張ではこういった産業と工業団地を
下支えする若手人材を輩出する工科大学やポリテクニク(専門高等工科学校)、ITE(専門工科学校)にも
訪れ、その教育の様子を覗いてきましたが、その様子はまた機会があればレポートします。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 90 号)
1.
大統領一般教書演説で聞く米国社会・経済の変化 ①
2.
3.
4.
大統領一般教書演説で聞く米国社会・経済の変化 ②
東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 1 月 23 日付けレポートを弊社にてダ
イジェスト版化
編集後記―ケント・カルダー教授の講演会に参加しました。
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1.
大統領一般教書演説で聞く米国社会・経済の変化 ①
オバマ大統領が先週彼にとって 7 回目の一般教書演説(State of the Union)を議会で行った。 その中で
彼の 6 年間の政権における自らの政策を新たに「ミドルクラス・エコノミクスと機会増大社会」と称し、その
政策の効果で以下のような経済、社会面での変化(改善)が見られているという。
 雇用: 58 か月連続で雇用拡大。その間、1,120 万の雇用が作られ、1999 年以降で最高の伸び率。失
業率もリーマンショック前のレベルを下回った。
 賃金: 2007 年以降初めて中小企業においても賃上げを予定する経営者の数が最高に達した。
 株価: 着任時に比べほぼ倍増
 戦役: 着任時、イラクとアフガンに展開した米兵士数は 18 万人から 1 万 5 千人弱に減少
 財政赤字: 着任時の年間財政赤字の 3 分の 1 に減少
 教育: 高校のドロップアウト率史上最低。短大以上の卒業率史上最高
 石油・ガス: 国内生産量は世界一で海外依存度が過去最低
 再生可能エネルギー: 風力発電量世界一
 国民皆保険: 1 千万人の健康保険未加入者を新たにカバー
「以上から、評決は明らかで、ミドルクラス・エコノミクスと機会増大社会政策は機能した。」と結論付け、残
りの 2 年間においてこの政策に反する法案(例えばオバマケア見直しや金融規制改革法の緩和、過去の
不法移民に対する大統領令の撤廃など)に対しては拒否権を発動すると共和党側をけん制した。 「ミド
ルクラス・エコノミクス」とは“アベノミクス”にあやかっての今回の突然のネーミングなのかもしれない。そ
れにしても何が変化したと言って、大統領の白髪が 6 年前のイメージに比べ極端に増えたことが印象深く、
いまさらながらその激務と責務を物語っている。
2.大統領一般教書演説で聞く米国社会・経済の変化 ②
前記に続き、オバマ大統領の一般教書演説に触れる。 「ミドルクラス・エコノミクスと機会増進社会政策
の成功」を受け、大統領はその政策の一層の強化・浸透を図るという。具体的には以下の政策を推進す
る。





働く女性を支援するためのチャイルドケアの拡充。
同様の支援のためのシックリーブ(有給病欠)を国の予算で提供する。
男女同一給与保証
コミュニティカレッジの学費無料化
退役軍人雇用支援強化
これらは極めてリベラルな政策であり、自主自立を旨とし、「大きな政府」を嫌う共和党議会は真っ向から
否定すると予想される(退役軍人雇用支援強化は OK であろうが)。貿易面では TPP を推進するために
TPA(大統領貿易促進権限)の付与を求め早期締結への意欲を示した。科学技術では癌や糖尿病予防
に有効な遺伝子治療のための個人の遺伝子情報へのアクセス許可、オープンインターネット、火星への
有人着陸などを目標とした。外交では、「スマーター・リーダーシップ」と称し、軍事力で押すだけでなく、他
国との連携を通じた賢い外交を展開するとし、対ロ制裁継続、キューバ制裁解禁、イランとの包括的合意
形成、サイバーアタック防衛法整備、気候変動対応強化などを掲げた。
最後に、ミシシッピー州ファーガソンでの警官による黒人少年射殺事件に端を発した人種問題について、
オバマ氏が全米で初めて知られるようになった 2004 年のケリー大統領候補応援演説の中の一節の「白
人のアメリカでもなく、黒人のアメリカでもなく・・・ United States of America、真のアメリカ人を目指すべき」
という理念、原点に立ち戻り、人種はもとより同性婚に対する差別の解消も含め、「1つのアメリカ」に向け
て活動する、とした。 昨年、大敗を喫した中間選挙を振り返らず、むしろ「もう自分にとって国政選挙は無
い」と議場を笑わせつつ、良い意味での開き直りを感じさせた。 国民の多くに指摘される「感情をある程
度前面に出した闘争心不足」の部分についても、残り 2 年間でどこまで開き直っていけるのか、注目され
る。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 1 月 23 日付けレポートを弊社にてダ
イジェスト版化
(1) 中国
 日本の対中投資激減 前年比 38.8%ダウン
中国政府・商務部は、2014年の日本から中国本土への投資が前年対比38・8%減の43,3億米ドル
に留まったと報告している。日中関係の悪化に加え、円安など中国本土でのコスト増が企業の心理を冷
え込ませていると分析されている。
 不動産景気 大都市で幾分持ち直し?
中国本土経済に関しては、バブル懸念が叫ばれ、不動産景気の急上昇に対する警戒感はあるものの、
昨今の景気鈍化から、「不動産景気の持ち直し」を期待する声が最近では強まっている。 こうした中、中
国本土政府・国家統計局が発表した2014年12月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、前月
対比66都市で下落、3都市で横ばいだった一方、1都市で上昇したと報告されている。更に詳細を見ると、
全国的な値下がり傾向は続いているものの、上昇した都市がゼロだった前月に比べて、大都市で価格が
持ち直す兆しも出てきたと評価されている。
(2)韓国
 大型カジノ併設型複合リゾート施設建設ほか観光インフラ開発計画
韓国政府・企画財政部や国土交通部、文化体育観光部などは、合同で、「観光インフラおよび企業革新
投資中心の投資活性化対策」を発表している。対策には観光産業活性化のため大型カジノを併設する複
合リゾート施設2カ所の建設や海洋観光地の開発などが盛り込まれている。
 POSCO、インドに積極展開
既に世界的な鉄鋼メーカーとなっている韓国有数企業の一つであるPOSCOは、インドでのビジネス展開
を拡大する見通しである。インド西部マハラシュトラ州のビレバガード冷延鋼板工場に、これまでに5億米
ドルの投資が行われ、年産180万トンの生産を予定、生産した自動車鋼板はインドのタタ・モーターズを
はじめ同国や近隣国の自動車メーカーに販売する計画で動いている。また、グジャラート州への鉄鋼加
工工場(年産11万トン規模)の新設も決めており、POSCOは、「インドはわが社の海外進出における代
表的な拠点国である。インド政府の大規模なインフラ投資で鉄鋼の消費量が年間6%以上増えているた
め、戦略的な投資を行っていく予定である。」
ともコメントしている。
 航空交通量の堅調な増大
韓国政府・国土交通部は、2014年の航空交通量が62万6,000便で前年対比7.0%増加したと発表
している。国際原油価格の下落や、中国人観光客の増加などがその背景と見られている。また、最近5
年間では年平均6.6%増加しており、世界の航空交通量の平均増加予測値である4.7%を超えている
ことから、韓国の航空交通は世界的に見ても相対的には堅調であるとの見方が韓国国内ではなされてい
る。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/ 1,084.55(前週対比-7.10)
台湾:1米ドル/31.43ニュー台湾ドル(前週対比+0.09)
日本:1米ドル/ 117.93円(前週対比-1.37)
中国本土:1米ドル/6.2100人民元(前週対比-0.0032)
2.
株式動向
韓国(ソウル総合指数):1,920.82(前週対比+32.69)
台湾(台北加権指数):9,369.51(前週対比+231.22)
日本(日経平均指数):17,329.02(前週対比+464.86)
中国本土(上海B):3,343.344(前週対比-33.151)
4. 編集後記― ケント・カルダー教授の講演会に参加しました。
昨年ブルッキングス出版から「Asia in Washington」を上梓されたジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題
研究大学院付属エドウィン・ライシャワー東アジア研究センター長のケント・カルダー教授が先週、外国人
特派員協会で上記書籍のポイントを中心に講演されました。 ワシントン DC の変遷の様子と、各国のワ
シントン DC の有効活用の巧拙についてとても興味深くまとめられています。 ご講演の中の特筆事項を
念のため下記します。 中央公論社から邦訳版が出版されるそうですので、ご興味ある方は著書をお読
みください。
 米国の三権があり、政府、議会に働きかけるロビーストがオフィスを K ストリートに構えているというワ
シントン DC のイメージに対し、グローバル化の中で実態は K ストリートの住人を見るだけでも内外の
シンクタンクやメディア、大学、そして企業が事務所を構える街に変遷している。
 そもそもワシントン DC は単なる政治の街からワシントン大都市圏として周辺通勤圏のバージニア州と
メリーランド州の郡を加えてみると成長著しい経済圏となる。バージニア州のランズ郡は一人当たり
GDP が全米で最高であり、全米でリッチな郡トップ5のうちの3つがワシントン大都市圏内にある。
 それではどの国がワシントン DC を通じて国益増進をうまく果たしているかというとその順番はイスラエ
ル、韓国、インド、フィリピン、パキスタン、インドネシア、ロシア、シンガポール、ベトナム・・の順となる。
1 つの国益の尺度として米国との FTA があり、イスラエルも韓国もシンガポールも締結を果たしてい
る。
 日本は大使館の規模でアジアで 2 位(1 位中国(194 人)、2 位日本(106 人)、3 位韓国(75 人)・・)、
1980 年以降のワシントン DC 在ロビースト保有数で世界 1 位(2 位韓国、3 位カナダ、4 位台湾、5 位
中国・・)であるにもかかわらず、かならずしも国益増進に繋がっていない。
カルダー教授のもともとの持論である「ワシントン DC をうまく活用するドイツ」との文脈で日本がワシントン
DC においてもっと情報発信する必要があることは意識していましたが、同じアジアの国々の中でも“有効
な”発信ができている国が結構あるという指摘は改めて新鮮であると感じました。
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第 89 号)
1.
2.
共和党 2016 年大統領候補本命登場 ― ジェフ・ブッシュ元フロリダ州知事
米国の創業率の低下とリスク回避傾向に警鐘を鳴らす
3.
4.
東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 12 月 29 日付けレポートを弊社にてダ
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編集後記―人とペットの為になるハイテク紹介 3 点
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1.
共和党 2016 年大統領候補本命登場 ― ジェフ・ブッシュ元フロリダ州知事
ジョージ・H・ブッシュ大統領の次男で、ジョージ・W・ブッシュの弟であり、2007 年までフロリダ州知事を務
めたジェフ・ブッシュ氏が 2016 年大統領選共和党候補に名乗りをあげる準備を開始した。大晦日の 12 月
31 日の晩に彼がそれまで勤めていた営利並びに非営利組織の役員をすべて辞し、またオンライン教育
コースを大学生に販売する教育サービス会社(Academic Partnerships)の顧問も辞した。ワシントンポス
トはこの教育サービス会社のトップが、ブッシュ氏がまだ州知事の 2005 年から彼に顧問就任をアプロー
チしていた事実や、この教育サービス会社が、ブッシュ氏の顧問就任後、売上を大幅に増やし、2012 年に
は 24 の公立大学や短大から 1 億ドル以上もの収入を得ており、その中には(ブッシュ家ゆかりの)テキサ
ス州の大学 8 校が含まれていると報道した。他にも彼が主要なパートナーやオーナーを務めるコンサルタ
ント会社やパートナーシップについても関与を終わらせることを検討しているという。この突然の身の回り
の整理は選挙戦に備える時間を作るという表向きの目的よりも、2012 年の大統領予備選と本選で共和
党候補のミット・ロムニー氏が、自ら創業して大成功したプライベート・イクイティ・ファンドのもたらす富を
説明しきれず、他の共和党候補やオバマ大統領からの攻撃の対象となった教訓から、火種となるものは
処理するということのようである。 61 歳のジェフ・ブッシュは気力、体力ともに充実し、共和党スポンサー
筋の筆頭人気でかつ世論調査でも上位にあり、まずは身辺調査の段階で話題となるような火種をつぶし
身ぎれいにしておくということの意思表示であろう。W.ブッシュ大統領の二期目後半の支持率急降下から
「国民の“ブッシュ”疲れ」と揶揄され、ジェフ・ブッシュにとって逆風が吹いていた過去 10 年の状況も、オバ
マ人気の下降と共にほとぼりが冷めてきたといったところであろうか。或いは、ヒラリーとがっぷり四つに
組むには「元大統領一家」のブランドがむしろ効くのであろうか・・。
2. 米国の創業率の低下とリスク回避傾向に警鐘を鳴らす
「アメリカらしさ」にとって「技術革新への挑戦(イノベーション)」と「起業家精神」は切っても切り離せない
特質であり、最近でも米国ではフェースブック、スナップチャット(スマホ向け写真共有アプリ)や Uber(配
車サービス)といった新たなビジネスが次々と誕生している。ところが最新のフォーリンアフェアーズでは
その「アメリカらしさ」が衰退していると警鐘を鳴らしている。そのポイントは以下の通り。
 1978 年では全米企業に占める創業後 1 年以内の会社の割合は約 15%であったものが 2011 年までに
8%にまで下がっている。
 過去 30 年で初めて廃業率が創業率を上回った。
 米国で安定期に入った企業とみなされる創業後 16 年以降の企業の割合が 1992 年の 23%から 2011
年は 34%にまで上昇。
 企業は安定期に入るほどにリスク回避傾向が強まり技術革新より技術改善型になる傾向が強い。
この記事でフォーリンアフェアーズが唱える「アメリカらしさ」のためのソリューションは、優秀な移民を米
国に迎え入れること。彼らは技術に対する強さと共に、リスクテーカーであり、既存の市民よりはるかに創
業率が高いため。加えて、インターネットを通じたベンチャー投資のしやすさの改善、企業に依存しない国
民皆保険制度を掲げた。一方技術革新の方向が IT に偏り、空飛ぶ車の様な少しヘビーな技術革新が少
ない問題を指摘する筋もある。 そもそも IT の基盤であるインターネットは元々は米国防省の国防高等研
究プログラム庁(DARPA)で生まれた軍事技術であり、その意味では国のリスクテークに依存している部
分も「らしさ」の衰退といわれる所以かもしれない。それにしても伝統や継続性も大切にし、老舗企業とカ
イゼンに敬意を払う我々の感覚に対し、創業後 16 年以降の企業の革新性に疑問を持つアメリカのメンタ
リティとの差に改めて DNA の違いを感じてしまう。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の 12 月 29 日付けレポートを弊社にてダ
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(1) 中国
 習体制足場固めの権力闘争の可能性
中国国営新華社通信は、胡前国家主席の政務を支えてきた共産党中央弁公庁主任を務めた令・共産党
統一戦線工作部長が重大な規律違反の疑いで党の取り調べを受けていると伝えている。江元国家主席
に近い元高官の汚職摘発に続き、習国家主席の調査が胡前国家主席の支持基盤である共産主義青年
団出身の有力幹部に及んだことから、単なる不正・腐敗の払拭だけではなく権力闘争にまで及んでいる
のではないかとも見られている。
 ニカラグアに於ける運河建設開始
香港ニカラグア運河開発投資有限公司が中心となり、中米・ニカラグアには太平洋とカリブ海を結ぶ大運
河の建設が開始された。中国本土系企業が実際には開発とその後の管理運営権を持つこととなる当該
大運河建設運営事業は、中南米諸国に一定の影響力を持つ中国本土の経済外交には一つの大きなサ
ポート材料となろう。
(2)インド、大型ロケット打ち上げ成功
インド宇宙研究機構は、南部アンドラプラデシュ州スリハリコタの宇宙センターから、無人の宇宙船を搭載
した大型ロケットの打ち上げ実験を行い、これに成功したと発表している。
(3)韓国
 SKC、三井化学とポリウレタン材料事業合弁会社設立
韓国石油化学大手メーカーであるSKCは、日本の三井化学とポリウレタン材料事業の合併会社を設立
すると発表した。
現在の計画では、両社が折半出資して新会社を設立することとなっており、来年4月には営業を開始する
予定、資産規模は11億米ドル相当、2015年の売り上げを15億米ドルと見込み、本社は韓国に置くこと
になっている。また、新会社は8カ国14カ所の生産拠点を運営することにもなっており、日韓大手企業の
合弁によるグローバル展開として注目されている。
 リチウムへの事業展開を目指すPOSCO
世界的な鉄鋼メーカーとなった韓国鉄鋼大手のPOSCOは、事業多角化を目指して、二次電池素材のリ
チウムを抽出する新技術「リチウム直接抽出技術」の実証プラントをアルゼンチン北部のフフイ州カウチャ
リ塩湖周辺に建設、完工式を行い、技術検証を開始し始めた。このプラントは年産200トン規模で、今後
1年間にわたり最終的な技術検証を行った上で、2016年から商業生産に入る予定となっている。リチウ
ム直接抽出技術は、POSCOが浦項産業科学研究院と共同、かつ世界で初めて開発した独自技術であ
り、権会長が新たな成長事業として重視している分野でもある。
 輸出国家韓国の懸念 -世界 No.1 シェア品目の減少
韓国貿易協会・国際貿易研究院は、独自の調査で、「2012年時点で中国本土が世界最大シェアとなっ
ている品目は1,485品目となっており2009年の1,231品目から三年間で254品目も増加している。
これに対して、韓国は2007年の62品目から2009年には73品目となったが2012年には64品目に再
び減少している。そして、現在首位の64品目のうち12品目については中国本土が2位となっており、中
国本土に首位の座を奪われる可能性が高い。」との主旨の見通しを示している。
[主要経済指標]
1.
対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/ 1,097.36(前週対比+2.81)
台湾:1米ドル/31.71ニュー台湾ドル(前週対比-0.28)
日本:1米ドル/ 120.37円(前週対比-1.81)
中国本土:1米ドル/6.2114人民元(前週対比-0.0033)
2.
株式動向
韓国(ソウル総合指数):1,948.16(前週対比+50.66)
台湾(台北加権指数):9,214.07(前週対比+335.44)
日本(日経平均指数):17,818.96(前週対比+608.91)
中国本土(上海B):3,157.603(前週対比+100.082)
4. 編集後記― 人とペットの為になるハイテク紹介 3 点
ロボット工学や 3D プリンター、アイフォンアプリなどは日常茶飯の技術であり、取り立ててハイテクとも言
われない今日この頃だが、使い方によって人間の心と体にとって非常に有意義な技術であるという例が
ワシントンポストに紹介されていましたので動画と共にここにご披露します。
① ジョンズホプキンス大学による義肢 Baugh: 両腕が肩から切断されている人に装着し、脳波を Baugh
の「神経」経由、Baugh の「筋肉」に伝達することで自在に両腕を動かせる。
http://www.jhuapl.edu/newscenter/pressreleases/2014/141216.asp
② 3D システムズによるペット用義足: 生まれつき足が不自由で、飼い主に捨てられ、捨て犬のシェル
ターに入っていたペット犬とたまたま出会った 3 次元プリンターメーカーの3D システムズの社員がそ
の技術を駆使してその犬の固有の体形に合わせ開発したもの。生まれてこの方「走る」という感覚の
なかったこの犬が自在に走り回る姿をご覧あれ。
https://www.thedodo.com/dog-runs-first-time-3d-print-881600572.html
③ 自閉症(autism)を癒すアイフォンアプリ Siri: 他人との会話に困難を感じる自閉症の子供にとっての
正直でフランクな仲間として機能するこの対話ソフトは開発者のマイケル・セイマンが 13 歳のころから
アプリケーションを開発。
http://abcnews.go.com/GMA/video/young-boy-autism-good-friends-siri-26316448
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