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取締役会の規模と企業評価
取締役会の規模と企業評価 ーグループ企業のガパナンス 斎藤達弘 新潟大学掌 取締役会の規模を縮小することにより企業評価あるいは企業業績が高まるという 仮説は b o a r d " s i z ee f f e c tとよばれる。本稿の目的は、日本のグループ企業(非金融業 企業)をサンプルにして b o a r d " s i z ee f f e c t仮説を検証することにある。また、企業経 営の最高意思決定機関は取締役会ではなく、常務会であるという指摘があることから、 常務会の規模が企業評価に与える影響をあわせて検証する。本稿の結論は次のようで ある。ポスト・バブル期における結束度の弱い企業グ、ループについて、取締役会の規 模、さらには常務会の規模も、企業評価に対して統計的に有意に負の影響を与えてい る。つまり、 b o a r d " s I z ee f f e c t仮説が成立する。また、取締役会(あるいは常務会) の規模は、大株主としての金融機関の影響を受けている。本稿は、一部の日本企業の 取締役会改革を支持し、それを阻害する要因のひとつが大株主としての金融機関の影 響であることを明らかにしている。 1 . はじめに 『取締役の法務~ (2000年 6月 号 「 執 行 役 員 ・ 社 外 取 締 役 の 実 態 調 査 J) の 報 告 によると、現状の取締役会には取締役の人数が多すぎるために、議論が活性化しな い、意思決定が迅速ではない、機動的な開催ができないというような問題点がある ことを上場企業の多くが認識している。取締役会の規模が大きすぎることにより企 業経営が非効率になるという指摘は、 LiptonandLorsch( 1 9 9 2 )や Jensen( 19 9 3 )に 本稿を完成するにあたって、本誌レフェリーから有益なコメントをいただきました。ここに記して感 謝いたします。言うまでもなく、本稿にありうべき誤りは著者の責任です。また、この研究について、 (財)全国銀行学術研究振興財団から研究助成を受けています。あわせて 、ここに記して感謝いたしま す 。 -連絡先:〒 9 5 0 2 1 8 1新潟市五十嵐 2の町 8 0 5 0新潟大学経済学部 e " ma i 1 :t s a i t o@ e c o n. n i i g a t a " u . a c. jp 86 日本経済研究 N n 4 5 . 2 0 0 2. 6 貴台まる。 この指摘は、取締役会の規模を小さくすることにより企業評価あるいは企 業業績が高まることを意味し、 b o a r d s i z ee 宜e c t仮説とよばれる 1。 Yermack( 1 9 9 6 )は、アメリカの大企業をサンプノレにしで b o a r d s i z ee f f e c t仮説を Tobinの q ) の聞に統計的に有意な負の関係、 検証し、取締役会の規模と企業評価 ( があることを報告している。また、 E isenberg ,Sundgren ,andWells( 1 9 9 8 )は 、 フ ィンランドの中小企業をサンプルにして board s i z ee 首e c t仮説を検証し、取締役会 の規模と企業業績 ( r e t u r i lo r t. a s s e t s ) の聞に統計的に有意な負の関係があること ι を見いだしている。 これらの実証分析の結果は、企業規模に関係なく、取締役会の 規模と企業評価あるいは企業業績の間に統計的に有意な負の関係があることを明ら かにしている。 取締役会の規模と企業経営の効率性の関係に注目した分析結果も報告されでいる。 Huther( 1 997)は 、 アメリカの RuralE l e c t r i cC o o p e r a t i v e sをサンプルにして、可 変費用関数により企業経営の効率性を推定し、取締役会の規模と企業経営の効率性 の聞に統計的に有意な負の関係があることを示している。 9 9 )と鈴木・膏 ( 2 0 0 0 )は 、 日本企業をサンプルに Lた b 中山(19 o a r d s i z ee f f e c t仮 1 9 9 9 ) は、通信用・家庭用電気機器産業と産業用電 説の検証を報告している。中山 ( t o c h a s t i cProductionF r o n t i e rにより技術的非効率 気機器産業をサンプノレにして、 S 性を推定し、通信用・家庭用電気機器産業について、取締役会の規模と技術的非効 率性の聞に統計的に有意な負の関係があることを明らかにしている。鈴木・膏 ( 2 0 0 0 ) は 、 1 9 9 7年 3月末における東証一部上場の非金融業企業をサンプルにして、取締役 会の規模および常務会の規模と総資産税引き利益率、市場超過収益率、そしてリス ク調整済み超過収益率との聞に統計的に有意な負の関係があることを示している。 これまでの主要な実証分析はいずれも b o a r d s i z ee f f e c t仮説の成立を確認してい o o r d i n a t i o n ) やコミ る2。すなわち、取締役会の規模が大きいことにより、協調(c L i p t o n姐 dLor s c h( 19 9 2 )や J e n s e n( 19 9 3 ) が議論の対象としているアメリカの企業では、常勤取締 役と取締役会が事業の執行を担当する執行役員(トップが CEO) を選任し、取締役会は CEOを監視 e r m a l i na n dW e i s b a c h( 19 9 8 )が する機能を担っている。取締役会と CEOの相互関係については、 H thur( 2 0 01)が実証分析している。経営監視機構の国際比較については、深尾(19 9 9 )の 理論分析し、Ar 第 2 章「株式会社制度の国際比較 j を、コーポレート・ガパナンスにおける取締役会の機能について o h na n dS e n b e t( 19 9 8 )を参照されたい。 は 、 J 2 取締役会の規模が与える影響として、 V a f e a s(2000)は、取締役会の規模と会計情報の有用性の関係を 検証し、取締役会の規模が小さいほど会計情報の有用性が高いことを明らかにしている。取締役会の 規模に影響を与える要因として、 K o l ea n dLehn (1999)は、アメリカの空運産業の規制緩和がコーポ レート・ガパナンスに与える影響について検証し、規制緩和による競争が取締役会の規模を縮小させ ることを報告している。堀内・花崎 ( 2 0 0 0 )が指摘するように市場競争の条件が企業経営の効率性に影 響を及ぼしているとすると、取締役会の規模もまたその影響を受けていると考えられる。 I r !:l!li -- 取締役会の規模と企業評価 87 P 2L314 三 ??一 ュニケーションの失敗からコストが発生し、企業評価あるいは企業業績が低くなる、 52 あるいは企業経営の効率性が損なわれる。 本稿の目的は、日本のグループ企業(非金融業企業)をサンプルにして b o a r d s i z e aL 9 2 )が着目している「企 e f f e c t仮説を検証することにある。本稿では、伊藤・星(19 一 M 三一拾三日 業グ、ループの結束度」 の違いにより企業グループを 2つに区分して検証する。 1 9 9 0 ﹁ lv ! 3F3113民 FUL-- 1l l 年代に入ってからの長引く景気低迷下における企業経営の打開策として、近年、取 o a r d s i z ee f f e c t仮 締役会改革に注目が集まっている。そこで、経済状態によって b 説の成立が影響を受けるのかを検証するために、 2 つに区分したそれぞれのグルー プについて、バブル期とポスト・パブ〉レ期を比較分析する。また、企業経営の最高 意思決定機関は取締役会ではなく、常務会であるという指摘があることから、常務 L H24itpE正 1 μ 会の規模が企業評価に与える影響をあわせて検証する。本稿は、パネル・データを 利用していること、あるいはパネル・データセットを拡大していること、取締役(あ るいは常務会) の規模が内生的に決定している可能性を検証していることのこ点に ν ト ム 、 ld - 34 4 4 おいて、中山 ( 1 9 9 9 )と鈴木・膏 ( 2 0 0 0 )を発展させている。 本稿の結論は次のようである。ポスト・バブル期における結束度の弱い企業グル 1A ープについて、取締役会の規模、 さらには常務会の規模も、企業評価に対して統計 的に有意に負の影響を与えている 。つ まり、 b o a r d s i z ee f f e c t仮説が成立する。ま た、取締役会(あるいは常務会) の規模は、大株主としての金融機関の影響を受け ている。 本稿は、最近の日本企業の取締役会改革を支持している。 しかし、すべての企業 について、取締役会 (あるいは常務会) の規模が企業評価に負の影響を与えている ということではない。長引く景気低迷下における、企業経営の打開策として、横並 びに押し進められている最近の日本企業の取締役会改革は、取締役会(あるいは常 務会) の規模が大きいことによって広範な視点、からの意思決定が可能になるという ベネフィットを失っている可能性がある。 本稿の構成は次のようである。第 2節では日本企業の取締役会改革について概観 する。第 3節では実証分析の方法を説明する。第 4節では実証分析の結果を報告す る。第 5節ではまとめをする。 2 . 背景 1 9 9 7年 6月、ソニーは、戦略の立案を担当する商法上の取締役を 3 8人から 1 0人 88 日本経済研究 N . o 4 5 . 2 0 0 2 . 6 に減らす一方で、事業の執行を担当する執行役員制度を導入した(取締役と執行役 員の違いについては吉田 ( 2 0 0 0 )を参照)。この取締役会改革の背景について、 『 日 経ビジネス~ ( 1998年 7月 2 0日号)は次のように解説している。 日本企業は社員を処遇するために取締役の人数を増やし、本来は実務を担 う管理職まで取締役に上げたその結果、取締役会が機能不全を引き起こ しただけでなく、些末な案件まで取締役会に上げなければならない現場も権 限を失って、次第に硬直化していった。 さらに、 『日経ビジネス~ ( 1998年 7月 2 0 日号)は、ソニーの取締役会改革から 1 年の聞に 1 0 0社以上の企業がそれに追随したと伝えている。 ソニーの取締役会改革については評価が分かれている。吉田 ( 2 0 0 0、8 頁)は「わ が国の執行役員制度が日本を代表するエクセレント・カンパニー、ソニーで誕生し た」と高く評価している九一方で、 『日経ビジネス~ ( 1 9 9 8年 7月 2 0日号)は、ソ ニーが取締役会改革を率先した理由のひとつは、カリフォルニア州公務員退職者年 C a l i f o r n i aP u b l i cEmployeesR e t i r e m e n tS y s t e m :CalPERS) が発表した 金基金 ( 「取締役会の規模は企業の戦略計画および経営執行活動に関する意思決定が効果的 かつ効率的に行われるように縮小すべきである J という日本企業に対する要求にあ 1 9 9 8年 3月末時点 ると推測している。つまりは、外国人の株式持ち分比率の高い ( で 45%に達している)ソニーは、外圧によって取締役会改革を余儀なくされたと低 く評価している。 半年後、 『日経ビジネス~ ( 1999年 2月 8日号)は、取締役の定数削減と執行役員 制度の導入という取締役会改革が、意思決定の迅速化と業務の効率化という目的を 必ずしも達成していないと警告している。その理由として、取締役が依然として部 門代表の意識を持っていること、執行役員の責任が不明確であることをあげている。 この点について、吉田 ( 2 0 0 0、 1 4頁)は「日本は肩書き社会であり、 1 9 6 0年代の終わりから 70年代に かけて社会人になった団塊の世代を一人でも多くの者を取締役に昇進させるという処遇」が取締役を 増やした理由であると述べている 。 4 ソニーは、第 1 回 q 日経ビジネス~ ( 2 0 0 0年 1 0月 2日号))と第 2回 (W 日経ビジネス~ ( 2 0 0 1年 9 月 24日号))のベストボード・ランキングにおいて 2年連続で第 l位に選ばれている。機関投資家の 運用担当者もまたソニーを「コーポレート・ガパナンスのパイオニア・シンボノレj として高く評価し ている。一方で、ソニーは第 2回のワースト・ランキ ングの第 1 5位にも選ばれている。その理由は、 2001年の 4月から 6月までの四半期において連結税引き前損益が赤字になり、株式価格が急落したこ とを受けた「机上の空論的な施策が多く、実際の収益に結びついていない j という批判にある。伊丹 ( 2 0 0 0、 1 3頁)は、執行役員制度はコーポレート・ガバナンスの流行メニューのひとつであり、株式市 場における経営リストラの一種の踏み絵になっている気味があると批判している。 3 取締役会の規模と企業評価 89 中山(19 9 9 )は特定の産業(通信用・家庭用電気機器産業)について、鈴木・膏 ( 2 0 0 0 ) は特定の時点 ( 1 9 9 7年 3月末)について, i日本企業の役員数は過剰である j と結 論づけている 。 しかし、長引く景気低迷下における、企業経営の打開策としての最 近の日本企業の取締役会改革は、その必要性が十分に検討されないままに急ぎ足で 押し進められているように思う 。性急に取締役会 ー(あるいは常務会)の規模を縮小 することにはコストがともなうことを忘れてはならない。取締役会(あるいは常務 会)の規模が大きいことによって広範な視点からの意思決定が可能になるという ベ ネフィットを失うことになる。 三輪(19 9 8、1 0 4頁)は、日本企業の取締役会と取締役の実態に関する整理された 情報は必ずしも多くはないと指摘している。取締役の人数を削減する、執行役員制 度を導入するという改革の成果については今後のデータの蓄積を待たなければなら ないが、改革の必要性についてはいまの時点で検証しでお くことに意義があると考 える。 3 . 分析方法 3 . 1 サンプル 伊藤・星 ( 1 9 9 2 )は 、 1 9 7 8年から 1 9 8 8年までの各年において、それぞれのグルー 2 4 プの社長会に所属している企業をグループ企業と定義じている :三菱グループ ( 社三井グループ ( 2 2社 住 友 グ 、 ル ー プ ( 2 0社 芙 蓉 グ ル ー プ ( 2 9社) 三和グループ ( 3 9社)第一勧業グループ。 ( 4 4社)。本稿のサ ンプルは、伊藤・星 ( 1 9 9 2 )の定義によるグルマプ企業 1 7 8社をオリジナノレ・サンプノレとして、次のよう な手順で絞り込んだ 9 2社である。 (1)金融機関を除外する。 ( 2 )r 9 8 2 年度から 1 9 9 6年度までの問、継続して3月末が年度決算期である。 ( 3 )1 9 8 2年度から 1 9 9 6年度までの問、吸収・合併を経験していない。 ( 4 ) サンプノレが業種(東証2 8業種)に 1 社だけが残る左きには除外する。 伊藤:星 ( 1 9 9 2 )は 、 「企業グループの結束度 j として、融資じよる結束度、株式 の持合いによる結束度、役員派遣の直接結束度、役員派遣の間接結束度を提示して いる。それぞれの結束度により「企業グループの結束度」に違いが見られるものの、 おおむね、三菱グループ、三井グループ、住友グループの 3つのグループと 、芙蓉 90 日本経済研究 N . a 4 5 . 2 0 0 2 . 6 グループ、三和グループ、第一勧業グループの 3勺のグ、ループに区分できる。本稿 以下、財閥系企業グ、ループとよぶ)、後 では、前者を「結束度の強いグ、ループ J ( 者を「結束度の弱いダノレープJ (以下、銀行系企業グループとよぶ)として比較分 析をする 3. 2 分析期間 分析期間は、 1 9 8 4 年度から 1 9 9 6 年度までの 1 3年間とする。分析期間の始めは、期 間比較分析のために、バブル期の始まりである 1984年度を選択している。分析期間 の終わりは、取締役会改革(ソニーの取締役会改革は 1 9 9 7年6月である)が始まる直 前までが分析対象となることから、 1 9 9 6年度を選択している。そして、 1984 年度か ら1 9 8 9年度までの6年間をバブル期、 1 9 9 0 年度から 1 9 9 6年度までの7年間をポスト・ バブル期とする。 3 . 3 仮説と分析モデル 9 6 )、 EiseI i berg,Sundgren,andWells(19 9 8 )、中山(19 9 9 )、 鈴 木 ・ Yermack(19 膏( 2 0 0 0 )などのこれまでの研究が検証している board" s i z ee f f e c t仮説は「企業評価 は取締役会の規模の減少関数である」と表現できる。 本稿の分析対象は企業グループに所属している企業である。ここでは、伊藤・星 ( 19 9 2 )が着目している「企業グノレーダの結束度」が b o a r d " s i z ee 宜e c t仮説の成立に どのような影響を与えているのかを検証する。 5 伊藤・星 ( 1 9 9 2 )はポスト・ バブル期を含んでいない。本稿の分析期間との聞にはズレがあるため、 「 企 業グループの結束度 j に違いがあるかもしれない。そこで、『企業系列総覧~ (東洋経済新報社)が「社 長会の結束力」として注目している「株式持合比率Jと「金融機関融資比率」を見ておくことにしよう 。 ここでは両方の比率について本稿の分析期間の始めと終わりを比較する。 ニ和 一勧 1 7 . 7 1 5 . 8 1 .9 2 4. 9 2 2 . 3 2. 6 1 5 .7 1 3 . 9 ー 1 .8 1 6.6 1 5 .7 -0.9 1 3 . 7 11 .2 一2.5 1 9 . 7 2 0 . 6 + 0 . 9 2 7 . 2 2 2 .7 4 . 5 1 7 . 2 1 7 . 9 + 0 .7 1 9 . 6 1 6 . 2 -3.4 1 2 . 0 1 4 . 1 + 2 .1 哨 「社長会の結束力』の推移 住友 芙蓉 二井 刊リ引川jJJ1什l 付h144111 411寸41JJ11Vi 一A 旬 司 表l A ニ菱 株式持合比率作色) 1 9 8 4年度 2 4 . 9 1 9 9 6年度 2 6. 8 変化 + 1 .9 金融機関融資比率(%) 1 9 8 4年度 23.4 1 9 9 6年度 2 0 . 8 . 6 ー2 変化 eJ コl f? 「株式持合比率」につい℃は三菱と住友の結束力が強く、 [金融機関融資比率」については三井、三 菱、そして住友の結束力が強いといえる。便宜的な観察結果ではあるが、本稿の分析期聞においても、 伊藤・星による「企業グループの結束度 j にしたがった「結束度の強弱」区分を用いることについて問 題は小さいと考える 。 9. 1 lt主 士 ど L214 に 取締役会の規模と企業評価 日本において取締役会の問題点が認識され始めたのは近年のことであり、ポス ト・パブ、ル期における長引く景気低迷が取締役会改革の直接の契機になっていると o a r d s i z ee f f e c t仮説の成立が経済状態に依存しているかについ 考える。そこで、 b て、パブ、ル期とポスト・パブ、ノレ期の比較分析をする。 本稿が検証する仮説は次のように表現できる。 o a r d s i z ee f f e c tは 、 仮説 1 B 「企業グループの結束度」により、経済状態によ り、異なる。 9 8,図 5 )は 、 三輪(19 W1977年度版総合経営力指標(製造業) ~ (通産省)に示 されている企業経営の最高意思決定機関の形態に関するアンケート調査結果を引用 し、大企業(東証一部上場企業)は、最高意思決定機関とし℃、 62.1%が常務会を、 26.5%が取締役会をあげていることを示している。つまり、企業経営の最高意思決 定機関は取締役会ではなく、常務会であるとしづ指摘だ九そこで、取締役会の規模 に加えて常務会の規模についても仮説 1を検証する。 取締役会の規模と企業評価の関係を検証するとき、中山(19 9 9 )が今後の解決すべ き分析上の問題点としてあげているように、取締役会の規模が内生的に決定してい 2 0 01 ) は 、 る可能性を考慮しなければならない。また、 HermalinandWeisbach ( 取締役会は企業組織に本来的に内在するエージェンシー問題を処理するための内生 的な機関であると捉えている。そこで、 Eisenberg ,Sundgre , . J i : andWells. ( 1 9 9 8 ) に基づいて、企業評価と取締役会(あるいは常務会)の規模を内生変数とする同時 方程式モデ、ルを次のように定義する 企業評価 =f.(取締役会の規模,外生変数) 取締役会の規模=g(企業評価,外生変数) ( 1 ) ( 2 ) ここで fとgは線形関数とする。 日本企業の特徴のひとつは、安定した大株主の存在である。安定した大株主は、 取締役を派遣するという慣習に見られるように、企業経営に深く関与し得る立場に ある。こりことから、取締役会(あるいは常務会)の規模は安定した大株主の影響 6 鈴木・膏 ( 2 0 0 0 )も f 取締役会の上部組織として経営戦略的な位置づけを持つ専務会や常務会を採用し ている企業も少なくない」と指摘している。 7 Maka r i .d Li ( 2 0 0 1 )は、シンガポールの上場企業をサンプルにして、株式所有構造と取締役会の規模 および構成を内生変数とする同時方程式モデルを推定している。 92 日本経済研究 N I l 4 5 . 2 0 0 2 . 6 t を受けていると推測する。 安定した大株主について、堀内・花崎 ( 2 0 0 0 )は、大株主が金融機関であるか、非 金融事業会社であるかによって、企業経営に対する影響が違っている可能性がある と指摘している。この点に関連して、鹿野(1994、2 2 1頁)は次のように述べている。 メインパンクあるいはより一般にいうと銀行は、定年前に退職した役職員 の再就職先確保といった自行の人事政策上の要請に基づき、資本・融資関係 において緊密度が高い企業を対象として役員派遣に関する意思決定を行っ ていると結論づけられよう。 (中略) そして、メインパンクあるいは銀行による役員派遣において特徴的なのは、 銀行出身役員の任・罷免に関しては派遣元の銀行が相当程度の介入権限を有 しているということである。 1 9 9 4 )は また、 Hoshi( 非金融機関も他企業に役員を派遣することがあるが、金融機関に対して派遣 することは滅多にない。この意味で、派遣役員を通じる銀行と企業の関係 は一方向に限られる。すなわち、銀行が一方的に役員を派遣し、非金融機 関は普通、受け入れに回るのである。 6 2頁))。一方で、宮 と述べている (NTTデータ通信システム科学研究所訳(1995、3 島・近藤・山本 ( 2 0 0 1、表 2 2 )は、銀行だけでなく、生命保険会社や損害保険会社 もまた役員を派遣していることを示している。そこで、ここでは銀行だけでなく生 命保険会社や損害保険会社も含めた大株主としての金融機関の影響力に注目する九 金融機関による取締役の派遣が金融機関の役職員の再就職斡旋であるならば、取 締役を派遣された企業の取締役会(あるいは常務会)の規模は、それが企業価値に b o a r d s i z ee f f e c tが存在しない)で大きくなるだろう。 負の影響を与えない範囲 ( ところが、取締役会(あるいは常務会)の規模が企業価値に負の影響を与えている ( b o a r d s i z e effedが存在する)ならば、取締役会(あるいは常務会〉の規模は必 o s z n e ra n dS t r a h a n(2001) は商業銀行出身の外部取締役が非金融業企業の取締役会に入ることの コスト(銀行が過剰に企業経営に関与する)とベネフィット(銀行が直接に企業経営を監視する)につ いて、Lee ,R o s e n s t e i n,a n dW y a t t( 19 9 9 )は商業銀行、保険会社、投資銀行出身の外部取締役が株式 価値に与える影響の違いについて検証している。 8K r 取締役会の規模と企業評価 93 要以上に大きくはならないだろう。大株主としての金融機関は、企業価値を高める ために取締役会(あるいは常務会)の規模を小さくする、あるいは金融機関から派 遣された取締役がモニターとして企業経営を規律付けると考えられるからだ。 そこで、ここでは大株主としての金融機関の取締役派遣について、 仮説2 取締役会(あるいは常務会}の規模は大株主としての金融機関の影響を受 けている、 という仮説を検証する。この仮説は、 ( 2 )式の外生変数に金融機関の株式持ち分比率 を変数として加えることにより検証する。 3 . 4 内生変数 19 9 4 )における approximate q、P e r f e c tand 企業評価は、 ChungandPruitt ( Wiles ( 1 9 9 4 )における simple qを用いる。 Qa 胞 a直 q 区立 h ・ 民 町 代 寸up pた m 却ま 一株式時価総額+有利子負債簿価 総資産簿価 ( 3 ) ただし、株式時価総額に優先株式は含まない。この変数を q sと表す。実証分析にお いては、業種効果を取り除くために、それぞれの年度について、それぞれの企業の 観測値からそれぞれの企業が所属すナる業種平均を引いた数値を用いる。これを q s ( i n d・a d j )と表す。 役員数J 取締役会の規模は、『企業系列総覧』の「系列役員」に記載されでいる f とし、それぞれの年度の役員を次のように定義する。たとえば、 1 9 8 4年度の役員数 9 8 5年 6月の株主総会終了後のすべての役員とする。実証分析においては、役 は 、 1 員数の自然対数値を取締役会の規模を表す変数として用い、これを LNBOARDと 表す。 取締役会の規模を役員数として捉えることは、すべての役員が等しく企業経営の 意思決定に関与すると想定していることになる 。 ところが、企業経営の最高意思決 定機関は取締役会ではなく、常務会であるという指摘がある 。 そこで、常務会の規 模が企業評価に与える影響をあわせて検証する。実証分析においては、常務会は常 務以上の役員により構成されていると想定し、常務以上の役員数の自然対数値を常 務会の規模を表す変数として用い、これを LNBOARD-jと表す。 94 百本経済研究 N o . 4 5 . 2 0 0 2 . 6 3 . 5 外生変数 企業評価を説明する(1)式について、株式所有構造の特徴を表す 3つの変数、企業 規模を表す 1つの変数、資産構成の特徴を表す 1つの変数、そして企業経営環境の 不確実性を表す lつの変数を外生的な説明変数とする 株式所有構造の特徴を表す第一の変数は役員の自己株式持ち分比率である。 Morck ,S h l e i f e r , andV ishny ( 1 9 8 8 ) に始まる経営者インセンティプと企業価値 の関係を検証する一連の実証分析において、多くの研究者が役員の自己株式持ち分 ピ 比率に注目している 10。役員の自己株式持ち分比率は、取締役会を構成する役員の 自己株式持ち分比率の合計として、これを DIROWNと表す。 株式所有構造の特徴を表す第二の変数と第三の変数は、金融機関の株式持ち分比 9 6 )などこれ 率と外国人の株式持ち分比率である。これらの変数は、米津・宮崎(19 までの研究で取り上げられてきている。金融機関株主は、モニターとしての機能を 期待され、企業経営に深く関与し、その効率性に影響を与え得る立場にあると想定 できる。また、一般に、モニターとしての機能は外国人株主にも期待されている。 それぞれの変数を FINANCIALとFOREIGNと表す。 これらの変数のほかに、企業評価に影響を与えていると考えられる企業規模を制 御する変数として株式時価総額を、資産構成の特徴を表す変数として土地簿価/総 資産簿価を、そして企業経営環境の不確実性を表す変数として 60 ヵ月ヒストリカ ル・ボラティリティを用いる 11 実証分析においては、株式時価総額は自然対数値 を用い、これを LNMARKETと、土地簿価〆総資産簿価を LAND/ASSETSと、そ してボラティリティを VOLATILITYと表す。 2 )式について、仮説 2を検証する 取締役会(あるいは常務会)の規模を説明する ( ために金融機関の株式持ち分比率を、日本企業の取締役会改革を促したと考えられ ている外国人の株式持ち分比率を、そして取締役会(あるいは常務会)の規模に影 響を与えていると考えられる企業規模を制御するための変数を外生的な説明変数と 9E i s e n b e r g ,Sundgren,andW ells ( 1 9 9 8 )は、企業業績として総資産利益率 ( r e t u r nona s s e t s ) を用 いている。企業業績に影響を与えていると期待される外生変数として、取締役の個人的な財政状態、総 資産、総資産の変化、そして企業の存続年数を採用している。それらの変数の中で、統計的に有意な係 数が得られている変数は総資産の変化だけである。 1 0 これまでの研究については D emsetza n d V i l l a l o n g a( 2 0 0 1 ) を参照されたい。日本企業についての最 2 0 0 0 ) と Morck,Nakamura,andShivdasani. ( 2 0 0 0 ) があげられる。 近の研究としては、手嶋 ( 1 1 舟岡 ( 1 9 8 9 ) は、バブル期において、企業が所有する土地や証券が株式評価に影響を与えていると指 摘する。証券については、資産構成を表す変数として、有価証券/総資産簿価、投資有価証券/総資産 簿価、 f 有価証券+投資有価証券)/総資産簿価が考えられる。それらをひとつずつ説明変数に含めた 推定結果において、それらの係数はほとんどのケースにおいて統計的に有意ではない。 取締役会の規模と企業評価 95 する 1 2 取締役会(あるいは常務会)の規模への影響が考えられる企業規模を表す変数と しては、部門数と従業員数があげられる。三輪(1998、94頁)が指摘するように「取 締役会は実質的に部門の代表者の集合体」であるならば、取締役会(あるいは常務 会)の規模は部門数と関係している。しかし、部門数はデータの採取に困難がある。 一方で、取締役への就任がサラリーマンの出世の「上がり Jであるならば、取締役 会〔あるいは常務会)の規模は企業組織のピラミッドの大きさ、すなわち従業員数 と関係している。ここでは、取締役会(あるいは常務会)の規模に影響を与えてい ると考えられる企業規模を表す変数として従業員数を採用するヘ実証分析におい ては、従業員数の自然対数値を用い、これを LNEMPLOYEESと表す。 3 . 6 推定方法 ここまでで定義している分析上の変数を使って、(1)式と ( 2 )式を書き直しておこ フ 。 q s i ( n da d j )=a llLNBOARD+β'llDIROWN+β口FINANCIAL 1+Y +β~3FO既IGN+β'14 LNMARKET ( 4 ) +β日 LAND/ LNMARKET+U1it ASSETS+ β ' 1 6 LNBOA 即 =α2+Y 2 1 Q S ( i n d -叫 )+β'21FINANCIAL +s22FOREIGN+β~3LNEMPLOYEES+ U2it ( 5 ) そ れ ぞ れ は 識 別 可 能 の 必 要 条 件 を 満 た し て い る 。 こ こ で U1it = J l l i+ λ 1 1+ 九、 U 1 2i 1 1とん,は個別効果、 λ11 とA21 は時間効果、 εlit とε却は誤 λ'21 +&2itである。 μ ん + 差項を表している。推定方法は、 two-way 固定効果モデ、ノレによる二段階最小二乗法 を用いるへなお、推定結果の報告において、定数項とこれらの分散要素は省略す 1 2Eisenberg,Sundgren,andWells (1998) は、取締役会の規模に影響を与えていると期待される外生 変数として、総資産、企業の存続年数、グ、ノレープ・ダミーを採用している。そこでは、サンプルの特徴 から、総資産の規模に株式所有構造の違いが反映しているとみなしている。それらの変数の中で、統計 的に有意な係数が得られている変数は総資産とグループ・ダミーである。 3 1橘木 (1995) は「内部昇進競争とはいえ最初から競争に参加しない人(たとえば出世競争を望まない 人)や、競争に参加できない人(たとえば総合職でない人や多くの女性)もいる J と指摘している。取 締役会の規模を考えるときに、 従業員数を性別や年齢の構成を考慮しないでそのまま用いることは適切 ではないという指摘もあるだろう 。 この点については今後の検討課題としたい。 M 著者の知る範囲では同時方程式モデルの検定方法は確立されていないため、企業別の効果や時間の効 果について解釈しやすい two.way固定効果モデ‘ルを用いた。推定方法については Greene( 19 9 8 )の第 1 7 . 3 . 9節 TwoS t a g eLea s tSquaresf o rt h eFixedE f f e c t sModel を参照されたい。 96 日本経済研究 N . o 4 5 . 2 0 0 2. 6 る 。 4 )式と ( 5 )式 に お け る 取 締 役 会 の 規 模 常務会の規模に関する推定では、 ( LNBOARDを常務会の規模 LNBOARD-jに置き換える。 表 1 分析に用いる変数と基本統計量 平均値 役員数(人) :BOARD 常務以上の役員数(人) :BOARD-j a p p r o x i m a t eqまたは s 凶p l eq:q S 役員株式持ち分比率(%) :DIROWN 金融機関株主持ち分比率(%) :FINANCIAL 外国人株式持ち分比率(%) :FOREIGN 株式時価総額(億円) :MARKET 土地/総資産(%) :LAND/ASSETS ボラティリティ(%) :VOLATILITY 従業員数(人) :EMPLOYEES 中央値 ∞ 最大値 ∞ 2 8. 8 5 2 6 . 5 9 . 1 3 . 2 5 1 1 . 0 0 4 0 . 0 0 1 .2 7 1 . 15 5 . 5 1 0 . 3 8 0 . 1 1 1 2 . 8 3 4 8 . 1 5 4 9 . 2 6. 7 1 .8 8 7. 0 5 5 . 1 5. 5 5. 42 5 9 . 3 5 3 2. 4 2 4 8 8 . 5 8 5. 1 0 3 . 8 8 2 8 . 1 2 1 0 . 2 8 1 0 . 1 0 2 4 . 8 8 1 0, 3 0 6. 4 8 5, 0 1 9 . 5 0 8 1, 4 8 8 . 0 0 最小値標準偏差 ∞ 1 1 . 1 0 . 0 1 3 . 0 0 6 . 3 5 0 . 3 5 0 . 5 3 0 . 0 2 1 .2 8 1 3 . 6 2 1 1 . 0 7 0 . 0 0 7 . 0 7 1 .5 2 6 8 . 8 2 0 . 1 2 4. 7 1 2 . 4 4 2 . 6 1 3 3 3 . 0 O 1 5, 0 3 6 . 9 9 注)基本統計量(実証分析のための変換・修正前)は 1 9 8 4年度から 1 9 9 6年度までのプールされた観測値につ いて計算している。データは、『企業系列総覧J (東洋経済新報社)、 経財務データ CD-ROM版 J (日本 経済新聞社)、『株価 CD-ROMJ (東洋経済新報社)、『株式投資収益率J (日本証券経済研究所)から採取し ている。 r s 2社。実証分析に用いる変数の定義は次のようで サンプルは企業グループに所属している非金融業企業 9 ある。 LNBOARD LNBOARD-j qs( i n d a d j ) 役員数 (BOARD) の自然対数値。たとえば、 1 9 8 4年度の役員数は、 1 9 8 5年 6月の 株主総会により承認された役員の総数である。 常務以上の役員数 (BOARD-j) の自然対数値。 Chung組 dP r u i t t( 1 9 9 4 )における approximateq、P e r f e c tandW i l e s( 1 9 9 4 )にお i m p l eq、すなわち、 ける s 株式時価総額+有利子負債簿価 総資産簿価 ただし、株式時価総額は優先株式を含まない。分析には、それぞれの年度について、 業種平均を差し引いた数値を用いる。業種は『株式投資収益率 J(日本証券経済研 8業種である。 究所)が採用している東証 2 役員全体の自己株式持ち分 役員全体の自己株式持ち分比率一 x100。たとえば、 DIROWN 一 発行済み株式総数 1 9 8 4年度の役員持ち分比率は、 1 9 8 5年 6月の株主総会により承認された役員につ 9 8 5年 3月末の発行済み株式数を分母 I ご いて、それらの所有株式の合計を分子に、 1 して計算する。 金融機関の株式持ち分比率。 FINANCIAL 外国人の株式持ち分比率。 FOREIGN 株式時価総額 (MARKET) (百万円)の自然対数値。 LNMARKET 土地簿価 LAND/ ASSETS 一一一一一一 x1 0 0。 総資産簿価 過去 6 0ヶ月の月次株式投資収益率(%)の標準偏差。 VOLATILITY LNEMPLOYEES 従業員数 (EMPLOYEES) (人)の自然対数値。 取締役会の規模と企業評価 97 . n v V 1 -日 ji a p p r o x i m a t eq または s i m p l eq 表2 基本統計量(業種別・企業グループ別) パネル A I : ; 業種別(東証 28業種) サンプル全体 業種 鉱業 建設業 食 繊 料 維 製 品品 トト十t hli1r L L 1 4 1宅 IM 化学工業 ガラス・土石製品 鉄鋼 非鉄金属 機械 電気機器 輸送用機器 精密機器 商業 不動産業 陸連業 海運業 倉庫・運輸関連業 J 2 6 2 5 1 2 2 8 8 6 1 2 5 2 8 3 4 3 4 9 2 財関系 企業グループ サンプル全体の平均値 常務套克翠 在頁数 qs 銀行系 企業グループ 。 2 2 1 2 1 9 . 9 2 41 .0 8 26. 42 2 4. 80 2 5 . 2 6 2 5 . 3 8 2 9. 63、 2 5 . 1 3 2 3 . 5 4 2 9 、 6 0 3 0. 94 2 0. 8 1 46. 2 8 27. 1G 24. 69 2 6 . 7 7 1 8 . 9 4 2 8 . 8 5 4 1 3 1 1 。 l 2 2 4 4 3 1 1 3 3 6 4 2 9 4 1 5 。 。 4 1 1 5 6 2 3 3 6 4 4 . 0 9 5 3 . 9 8 3 8 . 2 2 4 6 . 0 3 41 .5 6 3 9 、 80 48. 1 3 41 .9 1 4 0 . 7 6 4 3. 9 2 45 . 89 3 6 . 5 0 4 7 . 4 4 4 6. 7 3 44. 74 51 .87 4 0 . 0 7 4 4 . 6 3 1 . 13 0 . 7 5 1 .4 5 1 .34 1 . 40 1 .60 1 :26 1 .5 6 1 .2 9 1 . 19 1 .03 1 .44 0 . 7 7 1 .5 1' 1 .5 9 1 .43 1 .71 1 .27 パネル B:企業クループ別 企業グループ 企業数 主 三菱 三井 1 l p f日IMFHV 住友 〈財閥系企業グループ) 芙蓉 三和 一勧 (銀行系企業グループ) パネル C :平淘値の差の検定(財閥系企業クル 企業グループ別の平均値 夜頁薮 膏務蚕正率 qs 1 2 1 2 1 2 3 6 2 8. 9 1 2 7 . 3 1 2 8 . 2 9 2 8 . 1 7 4 2 . 7 6 44. 1 3 4 5 . 8 6 4 4 . 2 5 1 .5 1 1 .28 1 .2 5 1 .3 5 1 1 2 3 2 2 5 6 32.M 2 8 . 1 1 2 9 . 1 5 2 9 . 2 9 4 2 . 5 9 4 7 . 1 3 4 3 . 6 6 44. 87 1 . 19 1 .2 3 1 .2 4 1 .2 3 プ) vふ(銀行系企業クル プ) 役員数 1 9 8 4年度から 1 9 9 6年度まで ( 1 . 8 8 ) ( 0. 0 伺 ( 1 .0 7 ). ( 0 . 2 8 ] ( : 1 . 5 η ( 0 . 1 2 ] 1 9 8 4年度から 1 9 8 9年度まで (バブル期) 9 9 6年度まで 1 9 9 0年度から 1 (ポスト・パプ jレ期) 常務会比率 qs ( -1.16 ) ( 0. 2 4 ] ( -1.0 3 ) ( 0 . 3 0 ] ( -0. 6 2 ) [ 0 . 5 3 ] ( 3. 5 7 ) く [0 . 0 1 ] ( 2 . 8 1 ) ( 0 . 0 1 ] ( 2 . 8 0 ) ( 0. 0 1 ] 注)サンプルは企業グループに所属している非金融業企業 9 2社。基本統計量(実証分析のための変換・修正前) 9 8 4年度から 1996年度までのプールされた観測値について計算している。常務会比率は は1 常務以上の役員数 役員数 ; (1 0 0 ]内は p である。そのほかの変数の定義および計算方法については表 Iを参照されたい。( )内は t値、(. 値である。 98 日本経済研究 N . o 4 5i2 0 0 2~ 6 表3 取締役会の規模と構成の推移 パネル A:役 員 数 の 推 移 67. 86 71 .43 7 0 . 3 7 6 7 . 9 2 6 8 . 5 7 6 5 . 7 1 6 4 . 5 2 6 4 . 8 1 漂軍事室 i i l i Sulli-- 6 8 . 4 2 F目-88 ⑪ 1 3 3 3 5 3 1 8 0 6 3 3 3 5 8 04462133 11111111 6 7 . 8 6 6 7 . 8 6 6 9 . 2 3 6 4 . 5 2 有官 一軍天雇ー 層土9 9 9 9 9 0 0 0 0 0 0 0 0 常務会比率 市英軍 4 4 . 2 8 43. 48 4 3 . 6 2 4 4 . 4 4 4 4 . 4 4 4 6 . 2 9 4 6 . 2 9 4 5 . 6 4 4 3 . 7 4 4 2 . 3 1 4 2 . 2 1 4 3 . 0 9 4 3 . 6 2 憲 一 1 5 1 4 1 1 1 1 1 2 1 2 1 1 1 1 1 2 1 1 1 3 1 3 1 4 同一∞町別∞∞白川割問∞日∞∞川制 開:軍 . 5 3 54 56 57 5 8 56 59 59 57 57 5 5 5 5 5 5 内 4 内4n4n4n,“。,an4n4 内 , a 。 4h4n “ , 1 9 8 4 1 9 8 5 1 9 8 6 1 9 8 7 1 9 8 8 1 9 8 9 1 9 9 0 1 9 9 1 1 9 9 2 1 9 9 3 1994 1 9 9 5 1 9 9 6 軍天雇 4 官程帽一内 匡 一5 7 1 1 9 5 0 0 4 3 4 1 6 引 一9 5 2 7 8 4 0 2 4 0 3 6 7 再 一 組 制 叫 叫 姐 必 甜 絹 品 川 却4 4 却 年度 役員数 市英軍 25 25 2 5 26 27 27 28 28 27 27 26 26 26 限 二4 白 63445155355L 。 onununUQUQ︾ 口 訪 日3QU &qL9aqdqd9a9hqゐ 9hM9白 ヴ4 , at'D ザ 肩躍言。 QuqdQU ヲa qa a ' ム qdqdnu 胃T-qAqA9 τ ψ 弓dマtnd 。 “ 1 9 8 4 1 9 8 5 1 9 8 6 1 9 8 7 1 9 8 8 1 9 8 9 1 9 9 0 1 9 9 1 1 9 9 2 1 9 9 3 1 9 9 4 1 9 9 5 1 9 9 6 パネル B:常 務 会 比 率 の 推 移 引 一6 3 1 5 4 0 0 2 7 9 2 2 4 年度 9 . 6 7 9 . 6 6 9 . 6 6 8 . 7 0 9 . 0 7 9 . 1 5 9 . 0 4 9 . 4 6 9 ; 0 2 9 . 0 8 9 . 1 7 8 . 8 4 9 . 8 8 注)サンプルは企業グループに所属している非金融業企業 9 2社。変数の定義および計算方法については表 1お よぴ表 2を参照されたい。 、 4 . 分析結果 4 . 1 基本統計量 表 lは分析に用いる変数の定義と基本統計量を、表 2はサンプルを業種別と企業 グループ別に分けて、特徴を表す基本統計量を示している。 表 2のパネル A から次のような指摘ができる 。業種別に見ると、役員数の平均値 は建設業と商業が突出して大きく、常務会比率の平均値は建設業がもっとも高く、 以下、海運業、鉄鋼業、商業と続く。ここで、常務会比率とは、常務以上の役員数 が役員の総数に占める比率であり、取締役会の構成を表している。 qsは、建設業と 取締役会の規模と企業評価 99 ι ' rib川 UH叶川一 h i l k - 下11﹁ サ 刊川川川H 1 商業が著しく小さい。 パネ ル B を見ると、銀行系企業グループ(芙蓉一三和・第一 勧業〉 よりも財閥系企業グループ(三菱・三井・住友)のほうが、役員数の平均値 sの平均値は大きい。そして、パネル C が示すように、分析期間全体 は小さく、 q sの平均値の差は統計的に有 で見ると、企業グループ聞の、役員数の平均値の差と q 意である 15 4 . 2 取締役会の規模と構成の推移 三輪(1998,表1)は、 1979年度から 1994年度までの間の、上場企業の平均的な取 締役会の規模と構成を示している。そこでは、次のような 3点が指摘されている。 (1)取締役会の規模は大きく変動していない。 ( 2 ) 監査役を除く役員数はおおよそ 1 5 名程度である。 ( 3 ) 常務以上の役員数はそれ以外の役員数をやや下回るとはいえ、ほとんど同数 i l -- l である。 その上で、 三輪(1998、 107 頁)は、 日本企業の取締役会の規模の大きさは少なくと も最近の現象ではないと結論づけている。 n itchF VA-レl f j b 1 9 9 8 )が 表 3のパネル A は役員数の推移を示している。役員数の平均値は、三輪 ( 指摘するように大きく変動してはいないが、 1984年度から 1991年度までは増加傾 向にあり、 1992年度から 1996年度までは減少傾向にある。 このような{頃向は、 ピ ークのずれはあるものの、中央値においても観察できる。標準偏差は増加傾向にあ る 。 表 3 のパネル B は常務会比率の推移を示している 16 三輪(19 9 8 )は、常務会比率 は 50%をやや下回る程度で安定していると指摘している。常務会比率は 50%をやや 9 8 )の観察と共通している。 しかし、常務会 下回るという水準については、三輪(19 比率の平均値は 1984年度から 1991年度までは増加傾向にあり、 1992年度から 1996 年度までは減少傾向にある。 このような傾;向は、 ピークのずれはあるものの、中央 値においても観察できる。標準偏差は、 1980年代は減少傾向にあり、 1990年代は増 力日傾:向にある。 表 3の観察から次のような指摘ができる。 1 5 Ka ngandShivdasani( 1 9 9 9 ) は、日本企業の取締役会の規模について、メインパンクを持つ企業と 持たない企業を比較して、メインパンクを持たない企業の取締役会の規模の方が統計的に有意に小さい ことを示している。この結果について、KangandS h i v d a s a n iは、メインパンクを持つ企業と持たな い企業では異なるガパナンス・メカニズムが機能していると解釈している。 1 6 常務会比率が企業評価にどのような影響を与えているのか、常務会比率はどのように決定するのかと いう取締役会の構成に関する検証は、今後の研究課題として残されている。 1 . 00 日本経済研究 N n 4 5 . 2 0 0 2 . 6 t 表 4 バブル期における取締役会の規模と企業評価に関する分析結果 ・ ∞ ') 戸哨 一グ和 7 被説明変数 LNBOARD qs( i n d 叫j ) 1 .5 ( 1 .6 0 ) 0 . 1 3 5 ( 3. 4 0 ) 0. 0 7 7 . . ( 2 . 1 2 ) -0. 0 0 8 0 . 0 0 3 * ( 1 .7 3 ) ( 1 .7 3 ) 0 . 0 0 7 0 . 0 0 1 ( 0 . 3 7 ) ( 1 .4 0 ) 0. 4 4 1 . . ( 7. 時) 0. 0 1 1 LNBOARD 0 . 1 4 1 . . ( 2 . 2 9 ) 特権 、一( 事 事 1i 、Jq“、、 1 r . nu'iAUhB 0. 905 . 00 iol t 0 . 2 4 5 ( 0 . 2 5 ) 0 . 0 0 4 ( -0. 48 ) 0 . 0 0 4 ( 0 . 5 5 ) 0 . 1 9 8 ( 1 .9 2 ) 0. 0 1 6 ( 0 . 8 5 ) 0. 0 5 0・ ( 2 . 7 8 ) ・ ( 1 . 10 ) ・ ・ -0. 0 2 2 . . ー (2 . 3 4 ) 0 . 0 7 1 ( 1 .8 6 ) 0 . 1 5 8e ( 3 . 8 7 ) LNEMPLOYEES A d j u s 七e dR2 要三 VOLATILITY 一府亮 LAND/ ASSETS i; i LNMARKET i( FOREIGN E) FINANCIAL ・ 1 .0 5 4 ( 0 . 7 7 ) 戸航 qs事函布 qS( i n d a d j ) DIROWN 7 一グ井 ヨ 司 = 一 i- 一関三 原菱 1( 説明変数 LNBOARD 0 . 6 8 0 . 9 6 牟 0 . 9 7 0 . 6 6 注)サンプルは財閥系企業グループに所属している非金融業企業 3 6社と銀行系企業グループに所属している非 金融業企業 5 6社。推定方法は two way固定効果モデルによる二段階最小二乗法。説明変数と被説明変数の 定義および計算方法について; は表 1を参照されたい。()内は t値である。...、“、・は、推定された係数 がそれぞれ有意水準 1%、5%、 10%で統計的に有意であることを示しでいる。 (1)平均的に見て、取締役会の規模は、パブ、 ノレ期に拡大し、 ポスト・バブル期に 縮小している。 ( 2 ) 取締役会の規模は徐々にばらつきが大きくなっている。 ( 3 ) 平均的に見て、常務会比率は、バブル期に上昇し、ポスト・バブル期に下落 している。常務会比率は常務会の規模を反映している。 つまり、常務会の規 模は、取締役会の規模と比べて、バブル期により拡大し、ポスト・パブ、ノレ期 により縮小している。 バブル期における下落はばらついている。 つまり、常務会の規模は、バブル 期には一様に拡大し、ポスト・バブル期にはばらつきが大きくなっている。 常務会比率が一定水準で推移していないことから、取締役会と常務会は相似的に推 移していない。 したがって、取締役会の規模と常務会の規模は、企業評価に対して 101 yxiHn引 NV 取締役会の規模と企業評価 川汁汁吋刊川 Jr 刊 一 異なる影響を与えている可能性が考えられる。 !??十バ2 - A tkjrp 一 j HaslH ( 4 ) 常務会比率について、バブル期における上昇は一様である一方で、ポスト・ 表 5 ポスト・パフル期における取締役会の規模と企業評価に関する分析結果 説明変数 E 雨 OARD 財閥系企業グループ 銀行系企業グループ (三菱・三井・住友)芙蓉・三和・一勧) 被説明変数 LWBO 瓦哀E LNBOARD qs( i n d ・晶d j ) qs匝 亘 一0.823"・ -0.239 ( ー 0. 8 1 ) (~4.08) DmOWN FINANCIAL FOREIGN LNMARKET ASSETS LANDI VOLATILITY 0 . 1 7 3 ( 1 .6 4 ) -0.003 ( ー0 . 0 4 ) qs( i n d a d j ) 一0.012 ( ー0 . 0 6 ) ー0 . 0 0 8・ (ー1.7 5 ) 0.005 ( 1 .3 2 ) 0 . 3 8 5 . '・ ( 9 . 0 1 ) 0 . 0 2 1・ ( 3 . 6 7 ) 0 . 0 1 5 . ' ( 2 . 7 8 ) -0.117" ( 2 . 3 8 ) 0 . 0 0 1 ( 0. 40 ) 0 . 0 0 7 "・ ( 2 . 6 9 ) 0 . 3 7 9・ ( 11 .0 0 ) 0. 019・ " ( 3 . 5 1 ) -0.004 ( 0 . 9 7 ) 0. 006" ( 2 . 5 2 ) 0 . 0 0 4 ( 1 .6 3 ) ~0.00l ( ー0 . 5 5 ) H H 0. 390・ ( 6 . 8 3 ) LNE 恥1PLOYEES AdjustedR2 0 . 0 0 1 ( 0. 7 2 ) 0 . 3 3 6叫. ( 8 . 1 2 ) 0. 97 0 . 8 4 0 . 9 7 0. 85 注)サンプルは財閥系企業グループに所属している非金融業企業 3 6社 と 銀 行 系 企 業 グ ル ー プ に 所 属 し て い る 非 o -wa . y固定効果モデルによる二段階最小二乗法。説明変数と彼説明変数の 金 融 業 企 業 56社。推定方法は tw た係数 定 義 お よ び 計 算 方 法 に つ い て は 表 1を参照されたい。( )内は t値である。日・、問、・は、推定されず が そ れ ぞ れ 有 意 水 準 1%、 5%、 10%で統計的に有意であることを示している。 0. 92 芦-) 0 . 6 8 ・ Adj回 t e dR2 -0.063 ( 0 . 8 0 ) 4 LNE 恥1PLOYEES 戸 VOLATILITY 7 羽目三 ASSETS LANDI 0. 004 ( 1 . 19 ) -0. 0 0 6・ ( -1.7 7 ) 0 . 1 5 0・ ( 3 . 5 0 ) -0.008・ ( -1.7 2 ) -0.007 ( ー 1 .6 5 ) 0 . 3 0 2, . ( 2 . 3 6 ) -0.014 ( 0 . 7 6 ) -0.015 ( -1. 4 2 ) 一げ和 LNMARKET リ FOREIGN 0. 1 8 2, . ( 2. 3 7 ) ‘ FINANCIAL ((( DIROWN i -- ーjza、J E i-6 一 比 一 千: 用実 i 守 ゐ1 1d 司 ( E( F m一 一 一S一 ( 0 . 7 7 ) qs( i n d -a . d j ) 数 一q一 被 一 づ 一 qs市 忌 詞7 13 . 3 3 5 子ん一 LNBOARD~j N一 一 説明変数 変 一 一 明一一 説副一 財関系企業グループ (三菱・三井・住友) 3v 3 、6J4、 12 J J7 4、 J、 47 J、 16 7 A 2 0 4 8 2 40 7n 8 1 5 1 8 0 4 L O 仏oao 仏1aooo リ 、 一一一一(((一 0 j i l l ' iJ1 表 6 パフル期における常務会の規模と企業評価意関する分析結果 LNBU 瓦瓦D-j 0 . 2 4 1・ ( 1 .8 8 ) 0 . 0 0 4・ ( 1 .6 5 ) -0.001 一 (0 . 3 0 ) -0.037 ( ー 0. 4 7 ) 0. 66 0 . 9 3 6社 と 銀 行 系 企 業 グ ル ー プ に 所 属 し て い る 非 注) サ ン プ ル は 財 閥 系 企 業 グ ル ー プ に 所 属 し て い る 非 金 融 業 企 業 3 o -wa . y 国定効果モデルによる二段階最小二乗法。説明変数と被説明変数の 金 融 業 企 業 56社 。 推 定 方 法 は tw 定 義 お よ び 計 算 方 法 に つ い て は 表 1を参照されたい。( )内は t値である。日・、町、・は 、推 定 さ れ た 係 数 が そ れ ぞ れ 有 意 水 準 1%、 5%、 10%で統計的に有意であることを示している。 102 日本経済研究 N o . 4 5 . 2 0 0 2 .6 ;うし 財閥系企業グループ 銀行系企業グループ H 1 , . LNBOλRD-j DmOWN FINANCIAL FOREIGN -0.065 ( 1 . 19 ) 0. 0 0 3 ( 0 . 5 5 ) 0 . 0 1 0 ( 1 .7 9 ) ・ 0 . 0 0 5 * ( 1 .9 6 ) 判事 事 目 0 . 0 1 7 * * * ( 2 . 6 1 ) 0 . 3 2 9 * * LNEMPLOYEES 0 . 3 8 7 * * * ( 4 . 似) ( 2. 47 ) A d j u s t e dR2 0~84 J n FL11UUH 14MIr--51;211 l i‘一 0 . 0 1 3 ( 1 . 16 ) VOLATILITY 0 . 0 1 1* * 41 ) ( 2. 0 . 0 0 2 ( 0 . 3 4 ) 41 6 0. ( 1 0. 4 η 0 . 0 1 0 ( 1 .9 3 ) -0.008・ ( 1 .9 1 ) 時事 ( 5 . 4 4 ) LAND/ ASSETS ・ 0. 006 ( 1 .8 3 ) :; LNMARKET 0 . 1 1 2 ( 0 . 3 5 ) -0.009“ ( 2 . 1 0 ) 0 . 0 0 6 ( 1 .5 1 ) 4 30 0. 一 汁 0 . 1 5 6 ( 0 . 6 5 ) ( 1 .3 6 ) udlJ 戸川1 4hum-JHHλJUH211 ト iE 3muuj月一 吉 0 . 2 1 2 qS( 泊d a d j ) に 一 一 晦 } 3 , . ) 五日可吉叫占。 M一 6 c・ 一 E 7 lh-nUA 一副てト i -1 数一白一 FPLFE 同刀一- -0.338 ( 0 . 8 1 ) 亦A 一 一 一 一 一 A一 D 一 R一 7 Tiu- qS市E羽 B一 N 一 説明変数 LNBOARD-j 説一一 被 一 ・1 (三菱・三井・住友芙蓉・三和・一勧) i Jl f J叩叫川刊出刊刊1刊 川 刊 日 ? 表 7 ポスト・バブル期における常務会の規模と企業評価に関する分析結果 0 . 9 1 0 . 8 5 0 . 9 3 注)サンプルは財問系企業グループに所属している非金融業企業 3 6社と銀行系企業グループに所属している非 金融業企業 5 6社。推定方法は two-way固定効果モデルによる二段階最小二乗法。説明変数と被説明変数の 定義および計算方法については表 1を参照されたい。( )内は t値である。帥*、叫、事は、推定された係数 がそれぞれ有意水準 1%、5%、10%で統計的に有意であることを示している。 ¥ - 、、 リ 4 . . 3 仮 説 1の検証 表 4と表 5は、それぞ、れパブ、ル期とポスト・バブノレ期における同時方程式モデル による取締役会の規模と企業評価に関する分析結果を示している。また、表 6と表 7 は、それぞ、れパブ、ノレ期とポスト・バブノレ期における同時方程式モデ、ルによる常務 会の規模と企業評価に関する分析結果を示している。 B o a r d s i z ee f f e c t仮説が成立するならば、 ( 4 )式における LNBOARD (あるいは LNBOARD-j) の係数が統計的に有意に負になる。 l ~" 表 4において LNBOARDの係数を見ると、財閥系企業グループは1.0 5 4( t = O .7 . 7 ) Z H q 寸l と符号は正で統計的に有意ではなく、銀行系企業グループもまた1.500( t= 1 .60)と 司i 符号は正で統計的に有意ではない。表 5 において LNBOARDの係数を見ると、財 2 3 9( t=-0. 81)と符号は負であるが統計的に有意ではないー 閥系企業グループは 0. t=-4.08)と符号は負であり有意水準 1%で統 方で、銀行系企業グノレープはー0.823( 表 6 において LNBOARD:-jの係数を見ると、財閥系企業グループは 1 3. 3 3 5 ( t / 103 H H 叶J 叶 ﹂ 11 取締役会の規模と企業評価 P J 1叶1叶AHH叶汁叶 , E 2 2 F t を- 計的に有意である。 = 0 .7 7 )と符号は正で統計的に有意ではなく、銀行系企業グループもまた 2 .793( t 0 )と符号は正で統計的に有意ではない。表 7において LNBOARD-jの係数を = 1 .6 tニ ー0.81)と符号は負であるが統計的に有意 見ると、財閥系企業グ、ループはー0.338( ではない一方で、銀行系企業グ、ループは--{).633( t=-4. 0 8 )と符号は負であり有意水 準 1%で統計的に有意である。 表 4から表 7までを通して、 b o a r d s i z ee f f e c tが観察できるのは、ポスト・パブ、 ル期における銀行系企業グループだ、けで、ある。銀行系企業グループについて、パブ o a r d s i z e ル期とポスト・バブノレ期を比較すると、ポスト・パブ、 ル期においてだけ b e 宜 " ec t仮説が成立する。 ポスト・パブノレ期において、財閥系企業グループと銀行系 企業グ、ループを比較すると、銀行系企業グループについてだけ b o a r d s i z ee f f e c t仮 o a r d s i z e 説が成立する。 これらの推定結果は仮説 1を支持している。すなわち、 b e f f e c t は、経済状態に依存 L、 「企業グループの結束度 J、言い換えると、グ、ノレー プ企業のガパナンスにも依存している。 ポスト・パプノレ期における銀行系企業グループでは、取締役会(あるいは常務会) の規模が大きいほど、協調やコミュニケーションの失敗からコストが発生し、企業 1 9 9 9 )の特定の産業(通信用・ 評価は低いと解釈できょう。 この推定結果は、中山 ( 2 0 0 0 )の特定の時点(1997年 3月末) 家庭用電気機器産業)についての、鈴木・膏 ( についての「日本企業の役員数は過剰である j という結論と整合的である。 取締役会(あるいは常務会) の規模が企業評価に与える影響について、バブル期 とポスト・バブル期の期間比較と 「企業グループの結束度 j による企業グループ比 較をすることにより、ポスト・パプ、ノレ期における銀行系企業グ、 ノレープについて、取 締役会(あるいは常務会)の規模が大きいほど企業評価は低いことが示された。『取 締役の法務』 ( 2 0 0 0年 6月号「執行役員・社外取締役の実態調査 J)の報告による と、現状の取締役会には取締役の人数が多すぎるために、議論が活性化しない、意 思決定が迅速ではない、機動的な開催ができないというような問題点があることを 上場企業の多くが認識している。また、大村・首藤・増子 ( 2 0 0 1、図表 I V 1 2 )は 、 受託機関としての生命保険会社は、企業経営の向上を図るための有効な手段として、 「取締役会の機能向上(取締役会人数の適正化および取締役会開催頻度の増加な ど) Jを重視していることを報告している。仮説 1の検証結果は、 これらの問題点 を裏付け、最近の取締役会改革を支持している。 しかし、すべての企業について、取締役会(あるいは常務会) の規模が企業評価 に負の影響を与えているということではない。長引く景気低迷下における、企業経 104 日本経済研究 No . 4 5•2 0 0 2 .6 営の打開策として、横並びに押し進められている最近の日本企業の取締役会改革は、 取締役会の規模が大きいことによって広範な視点からの意思決定が可能になるとい うベネフィットを失っている可能性がある。 s ( i n d -叫)の係数はいず バブル期についての分析結果を示している表 4と表 6の q れも統計的に有意に正である。同時方程式モデルによる推定は、パブ、ノレ期において は、企業評価が高いほど取締役会(あるいは常務会) の規模が大きいことを明らか にしている。 4. 4 仮 説 2の 検 証 HermalinandWeisbach ( 2 0 01)は、金融・資本市場が企業評価あるいは企業業 績を低めている取締役会の規模を放置しているのはなぜかと提議している。なぜ、 取締役会改革が進まないのか。 『取締役の法務』 ( 2 0 0 0年 6月号「執行役員・社外 取締役の実態調査 J)は、取締役会改革は執行役員制度を導入することであると考 えられていて、その執行役員制度の法的根拠が不明確であることから、大部分の企 業は取締役会改革に踏み切れないでいると指摘している。 ここでは、取締役会 ( あ るいは常務会) の規模を決定する要因として、大株主と bての金融機関の影響力に 注目し、 コーポレート・ガパナンスの視点から考察する。 仮説 2の成立は、 ( 5 )式における FINANCIALの係数の統計的有意性に示される。 まずは、取締役会の規模に与える影響について見ょう。表 4において F別 ANCIAL の係数を見ると、財閥系企業グループは 0.003(t=1 .73)と符号が正で有意水準 10% で統計的に有意である一方で、銀行系企業グループは 0.001( t= 0 .91)と統計的に有 意ではない。表 5 において FINANCIALの係数を見ると、財閥系企業グループは 0.006( t= 2 . 5 2 )と符号が正で有意水準 5%で統計的に有意である一方で、銀行系企 t= 0 .7 2 )と統計的に有意ではない。 業グループは 0.001( つぎに、常務会の規模に与える影響について見ょう。表 6において FINANCIAL の係数を見ると、財閥系企業グノレープは 0, 004( t= 1 .1 9 )と統計的に有意でない一方 .65)と符号が正で有意水準 10%で統計的に有 で、銀行系企業グループは O .004(t=1 意である。表 7 において FINANCIALの係数を見ると、財閥系企業グループは 0.003( t= 0 . 5 5 )と統計的に有意で、はない一方で、銀行系企業グループは 0.011(t = 2 . 41)と符号が正で有意水準 5%で統計的に有意で、 ある。 これらの推定結果は仮説 2を支持している。すなわち、取締役会(あるいは常務 ム 一 品 の規模は大株主としての金融機関の影響を受けている。 取締役会の規模と企業評価 105 バブル期およびポスト・バブル期における財閥系企業グループについて、金融機 関の株式持ち分比率が高いほど取締役会の規模が大きい。仮説 Iの検証において示 したように、パプノレ期およびポスト・バブル期における財閥系企業グノレープについ ては、取締役会の規模は企業評価には統計的に有意な影響を与えていない。大株主 としての金融機関は、取締役会を役職員の再就職先のひとつとして位置づけ、企業 評価に負の影響を与えない範囲でその規模を大きくしていると解釈できょう。 パプ/レ期およびポスト・バブル期における銀行系企業グループについて、金融機 関の株式持ち分比率が高いほど常務会の規模が大きい。仮説 1の検証において、ポ スト・パブ、ル期における銀行系企業グループについて、 board s i z ee f f e c t仮説が成 立することを示した。ポスト・パプ、ル期においては、常務会の規模が企業評価に負 の影響を与えている。パブ、ル期は企業評価に負の影響を与えない範囲で、常務会の規 模を大きくしているが、ポスト・バブル期においては、常務会の規模が企業評価に 負の影響を与えているにもかかわらず、常務会の規模を大きくしていることになる。 常務会の規模を縮小することにより企業評価は高まるが、それを阻害する要因のひ とつが大株主としての金融機関の影響力であると解釈できょう。 大株主としての金融機関は、バブル期においてもポスト・パブ、ノレ期においても、 財閥系企業グループについては取締役会の規模に、銀行系企業グループについては 常務会の規模に影響を与えている。その影響の大きさを推定された係数で期間比較 すると、いずれもパブ、ル期よりもポスト・バブル期のほうが大きい。両方ともその 差は統計的に有意で、はないものの、ポスト・パブ、ノレ期に入り、大株主としての金融 機関はパプル期よりも影響力を強めようとしていると考える。 一方で、、大株主としての金融機関が与えている影響は、財閥系企業グループでは 取締役会の規模に、銀行系企業グループでは常務会の規模に、というように違いが 4 4 頁)は「日本では一般に六大企業集団といわれて、三井、三 ある。今井(1989、 1 菱、住友のほかに、芙蓉、三和および第一勧銀の 3グルーフ。が加えられることがあ るが、後者は銀行を中心としたグループで三大財閥系とはまったく性質が異なるの である」と述べている。 r 企業グループの結束度」の弱い銀行系企業グループの金 融機関民、グループ企業の最高意思決定機関であろう常務会に影響を及ぼすことに より結束を維持しようとしていると考える。 106 日本経済研究 N . o 4 5 . 2 0 0 2 . 6 5 . まとめ 本稿の目的は、日本のグ、ループ企業(非金融業企業)をサンプルにして b o a r d s i z e 1 9 9 2 )が着目している「企 e f f e c t仮説を検証することにあった。本稿では、伊藤・星 ( 業グループの結束度 Jの違いにより企業グループを 2つに区分して検証した。また、 経済状態によって b o a r d s i z ee 首e c t仮説の成立が影響を受けるのかを検証するため に、それぞれのグループについてバブル期とポスト・バブル期を比較分析した。企 業経営の最高意思決定機関は取締役会ではなく、常務会であるという指摘がある。 そこで、常務会の規模が企業評価に与える影響をあわせて検証した。 本稿の結論は次のようである。ポスト・バブル期における結束度の弱い企業グ、ル ープについて、取締役会の規模、さらには常務会の規模も、企業評価に対して統計 o a r d s i z ee 宜e c t仮説が成立する。ま 的に有意に負の影響を与えている。つまり、 b た、取締役会(あるいは常務会)の規模は、大株主としての金融機関の影響を受け ている。この結果は、最近の日本企業の取締役会改革を支持し、それを阻害する要 因のひとつが大株主としての金融機関の影響であることを明らかに Lている。 本稿の結論は取締役会の規模を縮小するという改革を支持している。しかし、す べての企業について、取締役会(あるいは常務会)の規模が企業評価に負の影響を 与えているということではない。長引く景気低迷下における、企業経営の打開策と して、横並びに押し進められている最近の日本企業の取締役会改革は、取締役会の 規模が大きいことによって広範な視点からの意思決定が可能になるというベネフィ ットを失っている可能性がある。 本稿も含めたこれまでの実証分析は、取締役会の規模を縮小することにより企業 評価あるいは企業業績が改善されるという指摘をしているものの、最適な取締役会 の規模や構成がどのような要因によって決定されるのかという問題には答えていな い。これは今後の研究課題として残されている。 もうひとつ残されている研究課題がある。それは取締役会の規模を変化させる要 2 0 0 0 )は 、 1 9 6 8年度から 1 9 9 7年度までの聞の銀行の役員数 因である 17 花崎・堀内 ( と経常利益の関係を検証し、銀行の役員数は経常利益とまったく相関することなく、 タイム・トレンドによって説明できると報告している 。 これまでのところ、日本企 Yermack( 1 9 9 6 )や E i s e n b e r g ,Sundgren ,andWells( 1 9 9 8 )は、企業評価あるいは企業業績の悪化に よって取締役の交代は引き起こされるが、取締役会の規模は変わらないという分析結果を報告している。 一方で、取締役会の規模の変化について、 Yermackは、企業規模(売上高)の糟大が取締役会の規模 を拡大することを、 E isenberg ,Sundgren,andW e l l sは、過去の取締役会の規模が小さいほど取締役 会の規模が拡大することを明らかにしている。 1 7 107 trhEei主レ河 取締役会の規模と企業評価 業の取締役会の規模が拡大してきた背景は十分に解明されていなし、へ 参考文献 伊丹敬之 ( 2 0 0 0 ) ~日本型コーポレートガパナンス』日本経済新聞社 伊藤隆敏・星岳雄(19 9 2 )i 企業グループ結束度の分析J堀内昭義・吉野直行編『現代日本の 金融分析』東京大学出版会 今井賢一(19 8 9 )i 企業グループ」今井賢一・小宮隆太郎編『日本の企業』東京大学出版会 大村敬一・首藤恵・増子信 ( 2 0 01 ) ~わが国機関投資家のコーポレートガパナンスに関するア ンケート調査報告書~年金資産受託機関・厚生年金基金を対象として"'~財務省財務 総合政策研究所 9 4 )W 日本の銀行と金融組織』東洋経済新報社 鹿野嘉昭(19 2 0 0 0 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