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個人の色知覚に適合する表色系の数理モデル
個 人の色知 覚 に適合 する表色系 の数理 モデル 広内哲夫 坂本和義 A Mathematical Adaptable Model of the Color to Individuals' Tetsuo Color Order System Perception Hirouchi Kazuyoshi Sakamoto 要 旨 表 色 系 は大 き く分 け て 、 顕 色 系 と混 色 系 が あ る。 前 者 は心 理 学 的 な立 場 か ら構 成 さ れ 、 後 者 は 測 色 学 的 な立 場 か ら構 成 され る。 筆 者 は 、 利 用 者 の立 場 か らは 顕 色 系 で あ り、 ソ フ トウ ェ ア の作 成 原 理 か らす れ ば混 色系 で あ る電 子 的 な 表 色 系ACSを 開 発 した 。 この 表 色系 はNCS精 神 を受 け継 い で お り、 各 個 人 の 色 知 覚 に適 合 す る と い う特 徴 を持 っ て い る。ACSを 人 毎 の ユ ニ ー ク 色 相 と色 構 成 比 率 と純 度 に 関 す る 測 定 に 関 す る3つ 構 成す る には、個 の心 理 実 験 を必 要 とす る 。 被 験 者 に負 担 を か け な い で 実 験 を行 い 、 そ こ か ら得 られ る 主観 的 デ ー タ に基 づ い てACSを 作 り上 げ る に は、 色 立 体 にお け る色 配 置 の 数 理 モ デ ル が 必 要 と な る。 本 論 文 で は 、 こ の 数 理 モ デ ル を構 成 す る方 法 につ い て報 告 す る。 Summary The color order system is roughly classified into a color appearance system and a color mixing system . standpoint , whereas the latter is composed from a The former is composed from a psychological colorimetric standpoint. The authors of this paper have been successful in developing a color order system that can be regarded as a color appearance system from users' standpoint and concurrently can be dealt with as a color mixing system from a construction principle of software . The color system has inherited NCS spirit, and a feature is pointed out with the fact that the system is adaptable enough for the individual people's color perception. To compose ACS, 3 psychological experiments concerning the unique hue in accordance with the individual people , color composition ratio, and measurement in connection with purity are required. To build up ACS based on the subjective data obtained from the experiment conducted without applying any burden onto the objectives (examinees) , a mathematical model of the color location on the color solid is required. In this paper, a report is released in connection with the method to compose the mathematical model referred to above . 一179一 1.は じめ に (a)研 究 の 意 図:最 近 、 超 多 彩 色 表 示 可 能 な パ ソ コ ン、 キ ャ リブ レ ー シ ョン付 きの 高 精 度 カ ラ ー デ ィス プ レ イ装 置 、 高 性 能 カ ラ ー プ リ ン ター 、 高 色 彩 型 ビ デ オ カ メ ラ な どが 登 場 し始 め 、 自然 に 近 い ム ラ の な い色 を画 面 や プ リ ン タ ー で 一 貫 して 再 現 す るす る技 術 基 盤 が 整 い 始 め た ω。 そ して 、 パ ソ コ ン を用 い て カ ラ ー デ ー タベ ー ス を構 成 した り、 特 定 の色 見 本 を デ ィ ス プ レ イ装 置 を用 い て 電 子 的 に再 現 した り し始 め て い る(2)。ま た 、 特 殊 な ビ デ オ カ メ ラ に よ っ て 、 自 然 で 質 の 高 い 画 像 を再 現 す る技 術 も開 発 さ れ て お り、 こ の よ う な技 術 を用 い る と、 絵 や 美術 品 な ど を デ ィ ス プ レイ 装 置 を用 い て 遠 隔 鑑 賞 す る こ と も可 能 に な っ て くる(3)。 こ の よ う に 現 在 は 色 彩 関 係 の 技 術 開 発 が 活 況 を呈 して い る 。 筆 者 は こ の状 況 に鑑 み 、 従 来 の塗 料 を用 い た色 見 本 に 替 わ っ て 、 電 子 化 され た色 見 本(電 子 色 見 本)の 開 発 を構 想 した 。 コ ン ピ ュ ー タの 強 み は、1677万 色 もの 多 彩 な色 をデ ィス プ レ イ画 面 に 自 由 に再 現 で き る と こ ろ に あ る の で 、 カ ラ ー デ ィ ス プ レイ 画 面 を表 示 媒 体 とす る 新 しい 概 念 の 表 色 系 を創 案 す る こ とが 出 来 れ ば 、 こ れ か らの マ ル チ メ デ ィ ア時 代 にふ さわ しい ソ フ トウ ェ ア と して の 色 見 本 を創 り出 せ る 可 能 性 が あ る もの と思 わ れ る。 本 研 究 はそ の萌 芽 的 な研 究 で あ る。 (b)研 究 の 目的:表 色 系 は 大 き く分 け て 、 顕 色 系 と混 色 系 が あ る。 前 者 は 、 色 を視 感 的 に評 価 し そ れ を数 値 や 記 号 を用 い て 等 歩 度 で 表 色 系 を構 成 す る と い う心 理 的 な 立 場 か ら構 成 さ れ る 。 この 代 表 と して 、 米 国 で 考 案 さ れ た マ ンセ ル 表 色 系 や ス ウ ェ ー デ ンで 開 発 さ れ たNCS(naturalcolor system)表 色 系 が 挙 げ られ る。 色 と言 う も の は 本 来 、 人 間 の 知 覚 現 象 が 生 み 出 す もの な の で 、 視 感 に基 づ く顕 色 系 は そ の 点 、 理 にか な っ た 表 色 系 で あ る と言 え る。 ソ フ トウ ェ ア と して 顕 色 系 を 実 現 す る 試 み は 、 す で に い くつ か な さ れ て い るが(4,5)、膨 大 な デ ー タ を必 要 とす る 。 一 方 、 後 者 の 混 色 系 は 、 色 光 の 混 色 原 理 に基 づ く測 色 的 な 立 場 か ら構 成 され る 。 そ の代 表 が オ ス トワ ル ド表 色 系 で あ る。 混 色 系 は 、 そ の 表 色 系 の 数 理 モ デ ル を創 案 す る こ とが 出 来 れ ば 、 ソ フ トウ ェ ア と して の実 現 は比 較 的容 易 で あ る と思 わ れ る。 そ こで 筆 者 は 、 電 子 色 見 本 を作 成 す る際 の基 礎 と な る表 色 系 と して 、利 用 者 の 立 場 か らは 人 間 の色 知 覚 を 尊 重 し た顕 色 系 で あ るが 、 ソ フ トウ ェ ア の 構 成 原 理 か らす れ ば 測 色 学 に基 づ く混 表 系 で あ る とい う、 両 表 色 系 の 特 徴 を活 か した コ ン ピュ ー タ の カ ラ ー デ ィ ス プ レイ 装 置 を利 用 す る表 色 系 を 開発 した い と考 え た 。 本 論 文 で は 、 そ の 表 色 系 を 具 体 化 す る た め の 基 礎 理 論 に つ い て 報 告 す る 。 な お 、 こ の 表 色 系 は個 人 の 色 知 覚 に 適 合 す る 特 徴 を持 つ の で 、 本 論 文 で は そ れ を適 応 型 表 色 系(adaptivecolorsystem:ACSと 以 降 、 第2章 でACSの 略 記)と 呼 ぶ こ と にす る 。 構 成 原 理 を示 す 。 第3章 ∼ 第6章 で はACSの 数 理 モ デ ル と そ れ を実 現 す る た め の 心 理 実 験 の 方 法 論 を説 明 す る 。 こ こ で 述 べ る 基 礎 的 な理 論 が 今 回 の 論 文 の 主 題 で あ る 。 ACSの 構 成 の 具 体 例 な ら び に そ の応 用 と して 電 子 色 見 本 の 試 作 につ い て は 、 次 回 以 降 の 論 文 で 示 す こ と にす る 。 2.ACSの 2.1心 ACSの 構成原理 理 実 験 に基 づ くACS 表 色 系 の 原 理 はNCSの 考 え方 を 基 礎 に して い る。NCSの :1 精 神 は 、 人 間 の 色 知 覚 に合 っ た 自然 な表 色系 を実 現 す る こ と に あ る。NCSは 、 人 々 が 色 に含 ま れ て い る と感 じる 色 味 、 白 味 、 黒 味 の 割 合 を、 そ の 表 色 系 を構 成 す る た め の 基 礎 に置 い て い る 。 そ の た め 、 多 くの 人 々 に対 して 心 理 実 験 を行 い 、 そ こ で 得 られ た色 知 覚 の統 計 的 な 平 均 値 をNCSの の は 、 人 間 の 知 覚 現 象 で あ る の で 、NCSが 構 成 に用 い て い る。 色 と言 う も 人 々 が 心 の 中 で 感 じる 白 味 、 黒 味 、 色 味 の 混 合 割 合 を 表 色 系 を構 成 す る主 要 な 要 素 に して い るの は 、他 の 顕 色 系 に比 べ て優 れ て い る点 で もあ る 。 と こ ろ で 、 色 の 見 え は本 質 的 に 主 観 の伴 う もの で あ る。 色 味 の基 に な る ユ ニ ー ク 色 相 な ど も 各 個 人 に よ っ て 変 化 し、 中 間色 を構 成 す る基 本 色 の 混 合 割 合 も人 々 に よ り異 な っ て感 じられ る 。 そ れ故 、 カ ラ ー デ ィ ス プ レイ 画 面 を 表 示 媒 体 とす る 新 しい 表 色 系 を 開発 す る際 に は 、 この 立 場 を押 し進 め て 、NCSで は 完 全 に は 満 た され て い な い 、 各 個 人 の 色 知 覚 に 適 合 す る 表 色 系 を創 造 す る の も1つ の 考 え方 で あ る 。 そ こで 筆 者 は 、NCSの る表 色 系ACSの 精 神 を さ ら に進 め て 、 各 個 人 の 心 の 中 に あ る 色 知 覚 を色 判 別 の 基 準 と す 開発 を試 み た 。ACSは 、 表 色 系 の 基 本 原 理 と して はNCSの 考 え方 を採 用 して い る が 、 利 用 者 に は カ ラ ー ネ ー ミ ン グ法 等 を用 い た心 理 実 験 を課 す の で 、 そ の 実 験 デ ー タ に基 づ い て 個 々 人 の 色 知 覚 に適 合 す る 表 色 系 とな る の で あ る 。 そ れ ゆ え 、ACSは 極 め て心理 的な色合 いの 強 い 顕 色 系 で あ る と言 え る 。 色 知 覚 に 関 す る デ ィス プ レイ装 置 お よ び カ ラ ー ネ ー ミン グ法 を用 い る心 理 実 験 につ い て 、 次 の2 点 に コ メ ン ト して お く。 (a)カ ラ ー テ レ ビ は 光 源 色 に よ る色 再 現 で あ る た め 、 我 々 は そ の 色 を 開 口 色 モ ー ドと考 え る か も し れ な い 。 しか し、 通 常 の 場 合 、 画 面 中 に は複 数 の 色 が 混 在 す る の で 、 我 々 は画 面 中 の 色 を もっ ぱ ら表 面 色 モ ー ドと して 知 覚 して い る(6)。デ ィス プ レ イ装 置 を用 い た色 知 覚 の 心 理 実 験 に お い て も、 画 面 中 の 試 験 色 に対 す る背 景 色 を 白 色 あ る い は灰 色 にす る な どの 工 夫 に よ っ て 、 そ の試 験 色 を表 面 色 モ ー ド と して 知 覚 す る こ とが 出 来 る。 そ れ ゆ え 、 デ ィス プ レ イ画 面 の 表 示 方 法 等 を 工 夫 す れ ば 、 限定 され た使 用 範 囲 内 で は 、 デ ィス プ レ イ画 面 を電 子 色 見 本 の 媒 体 と して用 い る こ と も可 能 で あ る 。 な お 、 デ ィス プ レ イ画 面 を マ ンセ ル 表 色 系 の 表 示 媒 体 とす る研 究 は 、 す で にMeyer等 に よっ て 行 わ れ て い る(7)。 (b)カ ラ ー ネ ー ミ ング 法 に よ る色 の 表 現 にお い て 、 被 験 者 個 人 の測 定 値 は結 構 安 定 して お り、 実 験 毎 の ば らつ きは そ れ ほ どで もな い が 、 被 験 者 毎 の特 性 が 顕 著 に現 れ 、 必 ず 個 人 差 が 生 ず る もの で あ る(8)。こ の 点 か ら も、 個 人 の 色 知 覚 に適 合 す る 表 色 系ACSを 開発 す る価 値 は あ る と 、筆 者 は 考 え て い る。 2.2ACSの ACSの 基礎 と して のNCS 基 礎 を なすNCSの 概 要 を説 明 して お く(8,9,1°,IU。NCSは、Heringに よ っ て提 案 され た色 覚 の反 対 色 説 に基 づ い て い る 。NCSの 彩 色(白 、 黒)の 基 本 色 は4つ の基 本 有 彩 色(赤 、 黄 、 緑 、 青)と2つ の基本 無 計6色 で あ る が 、 そ の 基 本 有 彩 色 に は ユ ニ ー ク色 を 当 て る 。 ユ ニ ー ク色 とは 、 個 々 人 の 心 の 中 で 経 験 的 に感 じ とる知 覚 上 の 色 で あ り、 赤 味 、 黄 味 、 緑 味 、 青 味 の4つ の ユ ニ ー ク 色 が あ る。 NCSの 色 相 環 は 、 図1(a)に 示 す よ う に 円 を4等 分 す る位 置 に基 本有 彩 色 の赤/緑 、 黄/青 の反 対 色 同士 を相 対 して 配 置 す る 。 そ して 、4つ の4分 円周 上 に赤 と黄 、 黄 と緑 、 緑 と青 、 お よび 青 と赤 の2色 の基 本 有彩 色 同士 が 混 ざ り合 っ た 色 を そ れ ぞ れ 置 く。 そ の 配 置 は 、 心 理 的 に 感 じるそ の2色 同 士 の構 成 比 率 に 従 っ て 等 間 隔 に行 わ れ る。 こ の混 合 色 は 、 白 味 も黒 味 も知 覚 され な い純 粋 に色 一181一 味 だ け の 色 で あ る 。 この 色 を文 献9に 従 っ て完 全 色 と呼 ぶ こ と にす る 。 なお 、 本 論 文 に お い て は 、 白 味 と黒 味 を次 の よ う に 定 義 して お く。 白味 だ け の 色 と は色 味 と黒 味 が 全 く知 覚 され な い 色 、 ま た 黒 味 だ け の 色 とは 光 が 全 く感 覚 され ない 暗 黒 の 色 とす る。 ユ ニ ー ク緑 (a)色 相 環 (b)色 三 角形 図1NCSの (c)NCS色 立体 色 配置 色 相 の 区 別 は 基 本 有 彩 色 間 の構 成 比 率 で 行 わ れ る 。 赤 を 開 始 点 と して 、 反 時 計 周 りの 方 向 に1.0 (赤)、2.0(黄)、3.0(緑)、4.0(青)と 順 序 数 を付 け 、 そ れ を 色 相hと す る。 色 相 の 小 数 点 以 下 の 数 が 基 本 有 彩 色 問 の 構 成 比 率 を表 す 。 色 相hは1.0≦h≦4.999… 始 点 に 戻 っ た こ と を示 し、 そ れ はh=1.0と の 範 囲 で あ り、h=5.0は な る 。 ち な み に赤 味70%と 黄 味30%で 円環 の 開 混 色 さ れ る色 の 色 相 は1.3で あ る(た だ し、 こ の 表 記 法 は本 論 文 に合 わ せ た便 宜 的 な もの で あ り、 実 際 のNCSで Y70Rと は 記 す 。 しか し、 本 質 的 に は変 わ りな い)。 同 一 色 相 の 色 は 、 色 相 環 の 中心 と円 周 の 一 点 を 結 ぶ 直 線(半 径)上 に存 在 す る 。 彩 度 と明 度 に関 して は 、 図1(b)に 示 す 正 三 角 形(色 三 角 形)で 表 され る。 白(W)と 黒(S)と 完 全 色(C)が 色 三 角 形 の 頂 点 に配 置 され る。 他 の 中 間 色 は、 そ の 色 に含 まれ る と感 じ られ る 白 味 、 黒 味 、 色 味 の 構 成 比 率 か らそ の色 の 位 置 が 決 定 さ れ る 。 色 三 角 形 内 の 一 点 をPと す れ ば 、 点Pか ら各 底 辺 に下 ろ した垂 線 の 長 さW、S、Cを 、 そ れ ぞ れ そ の 合 計 値 で 割 っ た値 を改 め てW、S、Cと す れば w+s+c=1(1) で あ る こ と か ら(実 際 のNCSで は 、w+s+c=100の%単 位 が 用 い られ る)、w、s、cの 定 め る 色 の 白 味 、 黒 味 、 色 味 の構 成 比 率 を表 して い る 。 従 っ てNCSで を構 成 比 率w、s、cと 色 相hの4要 表 す こ とにす る。 円)を 水 平 に、 ま た 彩 度/明 盤 玉 状 の 立 体 がNCSの は 、 色 空 問 に お け る色 配 置 素 の 中 の3要 素 を用 い て 決 定 す る こ とが 出 来 る 。 そ の3要 素 の 組 を本 論 文 で は色 座 標 と呼 び 、(h,w,s)で 色 相 環 面(色 値 は 点Pが 度 面(色 三 角 形)を 色 立 体 を形 成 す る。 従 ってNCSを 垂 直 に組 み 合 わせ た 図1(c)の 算 構 成 す る全 て の 色 は 、 こ の算 盤 玉 状 の 色 立 体 の 内 部 ま た は 表 面 の 一 点 に 存 在 す る。 2.3ACSの 基 本 色 と色 表 現 範 囲 色 空 間 に対 す るACSの ACSの 基 本 色 もNCSと 色 配 置 の方 法 は 、 図1に 示 すNCSと 同 じで あ り、 式(1)に 従 っ て行 わ れ る。 同 様 に赤 、黄 、緑 、 青 、 白 、 黒 の6色 で あ る。 そ れ らは デ ィ ス フ゜レ イ装 置 の 3原 色 の 赤 、 緑 、 青 の 混 色 に よ っ て 再 現 す る色 を用 い る が 、ACSの 一182一 基 本 有 彩 色 に は 、NCSと 同様、 ユ ニ ー ク色 相 と同 一 色 相 の4色 を当 て る こ と にす る 。 そ こで 、 そ れ らの4色 がCIE色 度 図 の ど の位 置 に存 在 す る か を確 定 す る 必 要 が あ る。 図2のCIE色 置 をR、G、B、 三 角 形RGBの 度 図 に示 す よ うに 、3原 色 の赤 、 緑 、 青 の位 ま た そ の赤 と緑 か ら合 成 され る 黄 の 位 置 をYと す る と、 装 置 が 再 現 可 能 な 色 は 、 内 部 に存 在 す る色 で あ る。 この 色 範 囲 をACSは 対 象 とす る。 な お 、3原 色 の 赤 、 緑 、 青 のCIE色 度 図 上 の 位 置 は 、 デ ィス プ レイ 装 置 の発 光 体 等 の 特 性 に多 少 依 存 す る 。 図2ACSの 基本 色 図2に お け る単 色 光 軌 跡 と赤 紫 線 の 上 に存 在 す る 赤 、 黄 、緑 、 青 の4つ の ユ ニ ー ク色 の位 置 を そ れ ぞ れu_R、u_Y、u RGBの _G、u_Bと し、 こ の ユ ニ ー ク色 と 同 一 色 相(ユ ニ ー ク色 相)の 色 を三 角 形 底 辺 上 に取 り、 そ の色 の 位 置 をそ れ ぞ れd _R、d_Y、d_G、d_Bと す る 。 こ れ らの 色 は 、 ユ ニ ー ク色 相 を持 つ デ ィス プ レ イ装 置 が 再 現 す る無 数 の色 の 中 で 、 最 も彩 度(純 度 と も言 う)の 高 い色 で あ る。 これ ら4つ の 色 は 、 単 色 光 軌 跡 あ る い は 赤 紫 線 の 上 に存 在 す る ユ ニ ー ク色 よ り も彩 度 が 低 い が 、 デ ィス プ レ イ装 置 が 再 現 す る色 の 中 に お い て は 、 ユ ニ ー ク 色 に準 ず る働 き をす る た め に 、 こ れ ら の 色 をdユ ニ ー ク 色(頭 文 字 のdは デ ィス プ レ イ 画 面 上 の 色 を 意 味 す るd).と 呼 ぶ こ と に す る 。 そ して 、dユ ニ ー ク 赤 、dユ ニ ー ク黄 、dユ ニ ー ク緑 、dユ ニ ー ク青 と言 え ば 、 そ れ ぞ れ d_R、d _Y、d_G、d_Bの4点 で 特 定 さ れ る 色 とす る 。 この4つ のdユ ニ ー ク色 がACSを 構 成 す る上 で の基 本 有 彩 色 と な る。 と こ ろで 、 ユ ニ ー ク 色 は各 個 人 の 色 知 覚 に よ っ て 異 な る の で 、dユ ニ ー ク 色 も各 個 人 に よ って 異 な る 。 そ こで 、ACSを 構 成 す る た め に は 、個 人 毎 にユ ニ ー ク色 相 を 測 定 す る必 要 が あ り、 これ に よ っ て基 本 有 彩 色 とな るdユ ニ ー ク 色 のCIE色 度 図 上 の 位 置 が確 定 す る 。 ま た 、 三 角 形RGBの 各 底 辺 上 の色 は 、 そ れ と同 一 色 相 に属 す る デ ィ ス プ レ イ 装 置 の 再 現 す る 無 数 の 色 の 中 で 、 最 も純 度 の高 い 色 で あ り、 こ れ がACSの 色 相 環 の最 外 周 の 色 を形 成 す る。 この 色 を 高 純 度 色 と呼 ぶ こ と に す る。 ACSの 基 本 無 彩 色 の 白 と黒 に は 、 デ ィス プ レ イ装 置 が 再 現 す る 白お よび 黒 を用 い る。 そ のCIE色 度 図 上 で の 位 置 は、 デ ィ ス プ レ イ装 置 の 発 光 体 等 の 特 性 に 多 少 依 存 す る。 な お 、測 色 学 的 に は 等 一183一 エ ネ ル ギ ー ス ペ ク トル 白 色 光 は 、CIE-xy色 点Wで 度 座 標 で(113,113)と 定 め ら れ て お り、 図2で はそれは 示 された位置 である。 2.4ACSの ACSは 構成 手順 、各 個 人 の 色 知 覚 に適 合 す る表 色 系 を電 子 的 に実 現 しよ う とす る もの で あ る。そ の た め に、 利 用 者 に は デ ィス プ レ イ装 置 を用 い た3回 の 心 理 実験 を課 し、 これ ら の実 験 デ ー タ に基 づ い て個 人 向 きの 顕 色 系ACSが 構 成 され る。 そ の構 成 手 順 を 図3に 掲 げ 、 そ の概 要 を以 下 に 述 べ る。 図3ACS構 (a)原 始 表 色 系 ・ … 成 の手順 出発 点 の 混 色 系 まず 、 デ ィス プ レ イ装 置 の3原 色(赤 、 緑 、黄)か ら、 赤 、 黄 、 緑 、青 を基 本 有 彩 色 、 白 と黒 を 基 本 無 彩 色 を構 成 し、 この 基 本 色 を混 色 とす る 原 始 表 色 系 と呼 ぶ 単 純 な混 色 系 を作 成 す る。 これ がACS構 成 の 出 発 点 とな る 表 色 系 で あ る。 こ の混 色 系 の 作 成 に際 して は 、 筆 者 の 導 出 した3原 色 と 6基 本 色 間 の 相 互 変 換 を行 うた め の混 色 式/脱 混 色 式 を使 用 し、 こ の と きの 混 色 の単 位 と して 、 筆 者 の 定 め た 色 強 度 と呼 ば れ る単 位 お よび そ の 比 率(混 色 比 率)を 用 い る 。 こ れ に よ る混 色 を 測 色 的 な 混 色 と呼 び 、 以 降 で 述 べ る 心 理 的 な色 混 合 と 区 別 す る 。 ま た 、 原 始 表 色 系 をデ ィス プ レ イ画 面 に 出 力 す る 際 に は 、 デ ィ ス プ レ イ 装 置 の ガ ン マ 補 正 や 人 間 の 眼 の 光 に対 す る に 生 理 反 応 (Stevensの 法 則)を 考 慮 す る必 要 が あ る 。 こ こで 述 べ た 混 色 式/脱 混色式、色 強度、混色比 率、 ガ ンマ 補 正 、Stevensの 法 則 な どの 詳 細 や 原 始 表 色 系 の 作 成 法 に つ い て は 、 筆 者 の論 文(文 献12)を 参 考 に さ れ た い 。 原 始 表 色 系 が 作 成 され た後 は 、 そ れ を 出 発 点 と して 、 数 学 的 な 変 換 に よ り、 順 次 、 次 に 示 す3つ の 表 色 系 を創 り出 し、 最 終 的 に得 られ る表 色 系 が 目 的 の顕 色 系ACSで (b)第 一 中 間表 色 系 … ある。 ユ ニ ー ク色 相 変 換 に よ る混 色 系 次 に 、 原 始 表 色 系 の4つ の 基 本 有 彩 色 は 、 一 般 に利 用 者 の ユ ニ ー ク色 相 に は該 当 しな い の で 、利 用 者 に は ユ ニ ー ク色 相 測 定 の た め の心 理 実 験 を課 す 。 そ の 実験 か らdユ ニ ー ク色 を 同定 し、 原 始 表 色 系 をdユ ニ ー ク色 を基 本 有 彩 色 とす る第 一 中 間 表 色 系 と呼 ぶ 混 色 系 に数 学 的 に変 換 す る 。 こ の 変 換 をユ ニ ー ク色 相 変 換 と呼 ぶ 。 (c)第 二 中 間 表 色 系 … 混 色 比 率 変 換 に よる 顕 色 系 次 に、 利 用 者 に は カ ラ ー ネ ー ミ ン グ法 を 用 い た 色 の 見 え に 関 す る心 理 実 験 を課 す 。 こ の 実 験 を 通 して 、 色 の 見 え を定 め る混 色 比 率 変 換 関 数 と呼 ぶ 関 数 を決 定 す る 。 こ の 関 数 を用 い て 、 測 色 的 な混 色 か ら成 る 第 一 中 間 表 色 系 を心 理 的 な 色 混 合 か ら構 成 さ れ る顕 色 系 に 数 学 的 に 変 換 す る 。 こ の顕 色 系 を 第 二 中 間表 色 系 と呼 び 、 この 変 換 を混 色 比 率 変 換 と言 う。 (d)目 的 表 色 系 … 純 度 変 換 に よる 顕 色 系 ., さ ら に 、 図2に 示 した 三 角 形RGBの 底 辺 上 に位 置 す る 色 、 す な わ ち高 純 度 色 につ い て 、 カ ラ ー ネ ー ミン グ法 を用 い た 色 の 見 え に関 す る 心 理 実 験 を利 用 者 に課 す 。 こ の 実 験 を通 して 、 高 純 度 色 の 白味 と黒 味 の 割 合 を定 め る 純 度 変 換 関 数 と呼 ぶ 関 数 を決 定 す る 。(場 合 に よ って は、 さ ら に基 本 無 彩 色 に お け る 白 の 純 粋 白 味 と黒 の純 粋 黒 味 の 割 合 を 定 め る 白黒 純 度 変 換 関 数 も決 定 す る)。 こ の 関 数 を 用 い て 第 二 中 間 表 色 系 に 数 学 的 変 換 を 施 し、最 終 的 に 目 的 表 色 系 と呼 ぶ 顕 色 系ACSを 構成 す る。 これ に よ っ て 、 利 用 者 が デ ィ ス プ レイ 装 置 の 再 現 色 を知 覚 す る と き の 色 空 間 に お け る 色 立 体 が 決 定 す る。 この 色 立 体 がACSの 色 立 体 で あ り、 そ れ はNCSの 色 立 体 の 部 分 とな って い る 。 こ の 変 換 を純 度 変 換 と呼 ぶ 。 *** この よ う にACSは3つ な わ ち、ACSは の心 理 実 験 を介 して 、 利 用 者 の 色 知 覚 に適 合 す る表 色 系 へ と進 化 す る。 す 、 利 用 者 のdユ ニ ー ク色 を基 本 有 彩 色 と し、 利 用 者 の 感 ず る 白 味 と黒 味 と色 味 に従 っ た 色 配 置 に よ る表 色 系 と な る の で あ る 。 3.ユ 3.1ユ ニ ー ク色 相 変 換 ニ ー ク色 相 変 換 の 原 理 原 始 表 色 系 は 、 デ ィス プ レ イ装 置 の 再 現 す る赤 、 黄 、 緑 、 青 、 白 、 黒 の6基 本 色 の 混 色 に よっ て 作 成 さ れ る の で(12>、一 般 に そ の 基 本 有 彩 色 が 利 用 者 の ユ ニ ー ク色 相 に一 致 して い る訳 で は な い 。 そ こで 、 原 始 表 色 系 の 高 純 度 色 の 中 か ら利 用 者 の ユ ニ ー ク色 相 に合 致 す るdユ ニ ー ク色 を 心 理 実 験 か ら見 い 出 し、 そ のdユ ニ ー ク色 が 第 一 中 間 表 色 系 の 基 本 有 彩 色 に な る よ う に 、 原 始 表 色 系 に ユ ニ ー ク色 相 の変 換 操 作 を施 す 必 要 が あ る 。 そ の 変 換 原 理 は次 の 通 りで あ る 。 図4ユ ニ ー ク色 相 変 換 原 始 表 色 系 に お い て 高 純 度 色 のユ ニ ー ク色 相 を測 定 し、 そ こか らdユ ニ ー ク赤 、dユ ニ ー ク黄 、d ユ ニ ー ク緑 、dユ ニ ー ク青 の色 相 を決 定 す る。 そ して 、 そ の色 相 を図4に 示 す 上 部 の 円 環(色 相 環) の 値(a1,a2,a3,a4>と す る 。 ま た 、 図4の 下 部 の 円 環 を第 一 中 間 表 色 系 の 色 相 環 とす る。 例 え ば 、 原 始 表 色 系 の 黄 緑 領 域 お け る任 意 の 色 相 をh、 第 一 中 間 表 色 系 にお け る そ の 領 域 の 色 相 をh、とす る 一185一 と 、hか らh。へ の 変 換 は 、 そ れ ぞ れ の 円 環 の 円 弧 の 長 さ に 関 す る 次 の 比 例 式 か ら求 め ら れ る 。 a3‐h:h‐az=3.0‐hU:hU-2.0(2) h。に つ い て 式 を 解 く と hu={1.0/(a3-a2)}(h-a2)十2.0(3) とな る 。 こ の よ う な 変 換 を 一 般 化 し よ う 。 色 相hは1.0≦h≦4.999… の 範 囲 で あ り 、h=5.0でh=1.0に 戻 る こ と を 考 慮 し て 、 ま ず ユ ニ ー ク 赤 の 色 相a,の 値 の 範 囲 に よ っ て 、 以 下 の ① ま た は ② の ブ ロ ッ ク を 選 択 し、 次 に そ の ブ ロ ッ ク 中 でhの 値 の 範 囲 に よ っ て 、 添 字iとjお よ び 定 数nを 決 定 す る。 そ し て、 そ の値 を用 い て、 ③ の ブ ロ ック 中 の 変 換 式 を計 算 す る 。 ①1.0≦a1〈2.0の と き 、a5=a1+4.0と う で な け れ ば 、h.=hと し、 も し そ の と き、1.0≦h<a,な す る 。 そ して 、hxが ら ば 、h、=h+4.0と 満 た す 以 下 の 不 等 式 を 選 択 し、 対 応 す るiとjお し、 そ よ びn の 値 を定 め る。 a董≦hx≦a2=> i=1,j=2,n=1 a2≦hx≦a3=> i=2,j=3,n=2 a3≦hx≦a4:J1> i=3,j=4,n=3 a4≦hx<a5⇒ i=4,j=5,n=4 ②4.0<a1〈5.0の と き 、aO=a1-4.0と う で な け れ ば 、h、=hと し、 も しそ の と き 、al≦h<5.0な ら ば 、h、=h-4.0と す る 。 そ し て 、h.が 満 た す 以 下 の 不 等 式 を 選 択 し、 対 応 す るiとjお し、 そ よ びn の 値 を定 め る 。 ao<hx≦a2=1> i=0,j=2,n=1 a2≦hx≦a3:⇒ i=2,j=3,n=2 a3≦h。 i=3,j=4,n=3 ≦a4⇒ i=4,j=1,n=4 a4≦hx≦a1::〉 ③ 添 字iとjが 定 め る ユ ニ ー ク 色 相 の 値a、 とa;お よ び 変 換 す る 色 相h.を 次 の 式 hu={11(a;-ai)}(hx-a、)十n(4) に代 入 して 、 変 換 さ れ た 色 相huを 求 め る。aiとa;に は4つ の ユ ニ ー ク色 相 の測 定 値(al,a2,a3,a4)の 2つ を用 い る 。 *** 原 始 表 色 系 か らdユ ニ ー ク色 を基 本 有 彩 色 とす る 第 一 中 間 表 色 系 へ の 変 換 は 、 この よ う な 簡 単 な 線 形 変 換 に よ っ て 行 う。 この ユ ニ ー ク色 相 変 換 に よ っ て 、 第 一 中 間 表 色 系 の 基 本 有 彩 色 を利 用 者 の ユ ニ ー ク色 相 に一 致 す る の で 、 原 始 表 色 系 の任 意 の 色 相hは 、 第 一 中 間 表 色 系 の 色 相h、に 変 換 す る こ とが 出 来 る 。 3.2ユ ニ ー ク色 相 測 定 の 実 験 方 法 ユ ニ ー ク色 相 を 測 定 す る た め の 実 験 方 法 を具 体 的 に説 明 す る。dユ ニ ー ク赤 を測 定 す る例 を取 り 上 げ る 。 図5に 示 す よ う に 、 コ ン ピュ ー タ ・プ ロ グ ラ ム は 、 デ ィ ス プ レ イ画 面 に原 始 表 色 系 を用 い て作 られ た1つ の色 帯 を 表 示 す る 。 色 帯 に は 、左 端 に 原 始 表 色 系 の 青 、 右 端 に 同様 の 黄 を配 置 し、 そ の 間 に 、 青 と黄 の 混 色 比 率 が 連 続 的 に変 化 す る色 ス ペ ク トル を 配 置 す る。 そ れ は 高 純 度 色 か ら 構 成 され る色 ス ペ ク トル で あ り、 そ の 中 に被 験 者 の 同定 す べ きdユ ニ ー ク赤 が 存 在 す る の で あ る。 :・ 図5ユ ニ ー ク色相測 定 実 験の 画面 被 験 者 は 色 ス ペ ク トル を 眺 め 、 そ の 中 で 青 味 も な く黄 味 も な い よ う に 知 覚 さ れ る 色 、 す な わ ち ユ ニ ー ク 赤 と 同 じ色 相 で あ るdユ ニ ー ク 赤 の 位 置 を マ ウ ス で 指 定 す る 。 プ ロ グ ラ ム は 、 被 験 者 の 知 覚 す るユ ニ ー ク赤 の色 相 を測 定 す る 。 そ して 、 こ の色 帯 に つ い て複 数 回 実 験 を行 い 、 そ の 色 相 の 平 均 値a,を 求 め る 。 こ れ に よ り 、 被 験 者 の 原 始 表 色 系 に お け る ユ ニ ー ク 赤 の 色 相 が 求 め ら れ る 。 プ ロ グ ラ ム は こ の よ う な 測 定 を 他 の ス ケ ル ト ン 色 帯(赤 色 帯)に 一 黄 一緑 、 黄 一緑 一青 、緑 一 青 一赤 の つ い て も行 い 、 原 始 表 色 系 に お け るdユ ニ ー ク 黄 、dユ 平 均 値a2、a3、a4を 求 め る 。dユ ニ ー ク 色 の 色 相(a1,a2,a3,a4)が ニ ー ク 緑 、dユ ニ ー ク 青 の 色 相 の 求 ま る と 、 式(4)を ク 色 相 変 換 を 行 う こ と が 出 来 る 。 な お 、 ス ケ ル ト ン 色 帯 の 意 味 は 、4⊥2項 用 いてユ ニー で述べ る。 4.混 色比 率 変 換 の 原 理 4.1混 4.1,1混 色比率 変換関数 色 比 率 変 換 関数 の 設 定 混 色 系 の 第 一 中 間 表 色 系 は 、 そ の 基 本 有 彩 色 が 利 用 者 の ユ ニ ー ク色 相 に合 致 した 表 色 系 で は あ る が 、 利 用 者 の知 覚 す る 白 味 、 黒 味 、 色 味 の 割 合 に従 っ て 色 配 置 され た表 色 系 には な っ て い な い 。 そ こで 、 利 用 者 の色 知 覚 に 見 合 っ た 様 式 で 色 の 再 配 置 を行 い 、 顕 色 系 の 第 二 中 間 表 色 系 を構 成 す る必 要 が あ る 。 こ れ を行 う に は色 の 見 え に 関 す る心 理 実 験 を必 要 とす る 。 こ の 色 の 見 え と は 、 第 一 中 間 表 色 系 で 定 まっ て い る6基 本 色(ユ ニ ー ク色 相 に一 致 した赤 、 黄 、 緑 、 青 お よび 白 と黒)の 間 で2色 を取 り出 した2色 混 合 色 の 白 味 、 黒 味 、 色 味 の 割 合 につ い て で あ る 。 具 体 的 に 言 え ば 、 図6に 示 す よ う に、 例 え ば赤 と黄 の基 本 有 彩 色 の 測 色 的 な2色 混 色 に よ っ て 構 成 し た色 ス ペ ク トル帯(赤 一 黄 色 帯)の あ る特 定 の色 に対 し て 、 そ の 基 本 色 の心 理 的 な 混 合 割 合 が い くら か を カ ラ ー ネ ー ミン グ 法 を用 い て 言 う。 この 割 合 を心 理 的 色 構 成 比 率 と呼 ぶ 。 こ の と き、 そ の 比 率 の 決 め 方 と して 、 心 の 中 で 経 験 的 に 感 じ取 っ て きた 純 粋 な 赤 味 、 黄 味 、緑 味 、 青 味 の 各 色(ユ ニ ー ク 色)お よび 純 粋 に黒 味 の 色(光 の 全 く存 在 しな い 暗 黒 と感 じ る色)と 色(色 味 と黒 味 が 全 く知 覚 され な い と感 じる色)を 純粋 に白味の 知 覚 上 の 基 準 色 とす る 。 例 え ば あ る 特 定 の 色 に対 して そ の 基 本 色 が 半 分 の 割 合 で 混 ざ っ て い る と知 覚 した な らば 、 基 本 色 の そ の 当 該 色 に対 す る心 理 的 色 構 成 比 率 を0.5(50%)と す る の で あ る。 一187一 心 理的 色構 成 比 率 1 1 色 ス ペ ク トル 赤中 図6混 ⇔ 橙 中i黄 色比 率 変換 関数 色 ス ペ ク トル帯 を構 成 す る2色 混 色 の 測 色 的 な 比 率 を測 色 的 混 色 比 率 と呼 ぶ 。 この 比 率 に対 す る 心 理 的 色 構 成 比 率 を定 め る関 数 を決 定 す る の が 、 利 用 者 に 課 す と こ ろ の 色 の 見 え に 関 す る心 理 実 験 で あ り、 こ れ に よ っ て 心 理 的 色 構 成 比 率 を測 定 す る。 この 関 数 を混 色 比 率 変 換 関 数 と呼 ぶ(*)。 例 え ば 図6に 示 す よ う に 、 赤 黄 色 帯 にお け る あ る 特 定 の色 に対 して 、基 本 有 彩 色 の 黄 の測 色 的 混 色 比 率 をa、 ユ ニ ー ク 黄 の 主 観 的 な混 合 比 率 す な わ ち心 理 的 色 構 成 比 率 をa。とす れ ば、 混 色 比 率 変 換関数 は a。=F,r(a)(5) と定 め られ る 。Fyrが 黄 の 赤 に対 す る混 色 比 率 変換 関 数 で あ る。 な お 本 項 の 最 後 に 、 第 一 中 間 表 色 系 を基 に して 利 用 者 の 色 の 見 え に適 合 す る 第 二 中 間 表 色 系 を 構 成 す る 方 法 と して 、 本 論 文 で 述 べ る混 色 比 率 変 換 関 数 以 外 に ニ ュ ー ラ ル ネ ッ トを用 い る 方 法 も 考 え られ る の で 、 そ の 点 に言 及 して お く。 混 色 系 の 第 一 中 間 表 色 系 か ら顕 色 系 の 第 二 申 間 表 色 系 を構 成 す る こ と は 、 前 者 の測 色 的 な色 座 標 を後 者 の 心 理 的 な色 座 標 に変 換 す る問 題 と等 価 で あ る 。 第 一 中 間表 色 系 の 測 色 的 色 座 標(h,w,s>か ら第 二 中 間 表 色 系 の 心 理 的 色 座 標(h。,w。,s。)へ 変 換 を行 う式 をho=Fh(h,w,s)、w。=Fw(h,w,s)、s。=F、(h,w,s)と 記 述 しよ う。Fh、Fw、F、の 関 数 を 求 め る に は、 第 一 中 間 表 色 系 の 色 空 間 にお い て複 数 の 代 表 点(h,w,s)を じ られ る色 座 標(ho,Wo,So)を 選 び 、 そ の点 の心 理 的 に 感 カ ラー ネ ー ミ ン グ法 に よ って 測 定 し、 ニ ュ ー ラル ネ ッ トワ ー ク を用 い て 同 定 す る 方 法 が 考 え られ る。 (*)色 ス ペ ク トル は 、 フ ァ ジ ィ理 論 にお い て は典 型 的 な フ ァ ジ ィ事 象 で あ る 。 この 事 象 は メ ンバ ー シ ッ プ 関 数 と呼 ば れ る 関 数 で 記 述 れ る が 、 そ の 関 数 は主 観 的 に 決 定 され る 。 従 っ て 、 本 論 文 で 示 す 混 色 比 率 変 換 関 数 は 、 フ ァ ジ ィ理 論 にお け る メ ンバ ー シ ップ 関 数 に対 応 す る もの で あ る。 .. しか し、 この 方 法 で は 、 労 力 の 要 す る心 理 実 験 が 必 要 と さ れ る。 と言 うの は 、 非 常 に数 多 くの 代 表 点 に対 す る実 験 デ ー タ を得 な け れ ば な ら な い か ら で あ る。 この よ う な心 理 実 験 を 利 用 者 に課 す の は 、 実 用 的 な立 場 か らす る と不 適 当 で あ る 。 また 、 ニ ュ ー ラ ル ネ ッ トワ ー ク は一 般 に 多 大 な 計 算 時 間 が 必 要 と され る 。 そ こ で 、 実 験 デ ー タが 比 較 的 少 な く また 計 算 時 間 も少 し しか 必 要 と し な い で 、 表 色 系 を生 成 す る こ とが 出 来 る 数 理 モ デ ル が 要 求 され る 。 そ の モ デ ル を構 成 す る 主 要 部 分 が 本 章 で 述 べ る混 色 比 率 変換 で あ る 。 4.1.2混 ACSを 色 比 率 変 換 関 数 の種 類 構 成 す る た め に必 要 な 混 色 比 率 変 換 関 数 は、 第 一 中 間 表 色 系 の 色 空 間 の 表 面 最 外 周 に存 在 す る4色 の 基 本 有 彩 色(赤 (白 、 黒)の 、 黄 、 緑 、 青)、 お よ び そ の 空 間 の 上 下 の2頂 点 の2色 の 基 本 無 彩 色 混 色 か ら生 成 され る色 帯 に基 づ い て作 成 さ れ る 。 こ の 色 帯 をス ケ ル トン(骨 組 み)色 帯 と呼 ぶ こ と にす る が 、 そ れ は そ の 表 色 系 の 表 面 の 高 純 度 色 に 関 す る ス ケ ル トン色 帯 お よ び そ の 内 部 の 無 彩 色 に関 す る ス ケ ル トン色 帯 で あ る。 そ の 具 体 的 な ス ケ ル トン色 帯 は2色 の 基 本 色 同 士 を 混 色 とす る赤 一 黄 、 黄 一緑 、緑 一 青 、 青 一赤 、赤 一 白、 黄 一白 、緑 一 白 、青 一 白 、赤 一黒 、 黄 一黒 、 緑 一黒 、 青 一 黒 、 白 一黒 の13色 帯 で あ り、 図7に そ れ ら を示 す 。 利 用 者 に心 理 実 験 を課 す こ と に よ り、 こ れ ら の 色 帯 に 関 す る 混 色 比 率 変 換 関 数 が 決 定 す る。 従 っ て 、ACSの 表 色 系 を創 り出 す 働 きの1つ で あ る混 色 比 率 変 換 は 、 混 色 系 の 第 一 中 間 表 色 系 の色 空 間 の表 面 と内 部 に存 在 す るス ケ ル トン色 帯 に 関 す る混 色 比 率 変換 関 数 の 非 線 形 的 特 性 に基 づ い て 、 そ の 表 面 と内 部 の 色 を再 配 置 し、 顕 色 系 の 第 二 中 間 表 色 系 を構 成 す るの で あ る 。 白 図7ス 4.1,3混 ケル トン色帯 色 比 率 変 換 関 数 の正 規 化 白 あ る い は 黒 と基 本 有 彩 色 の2色 混 色 に 関 す る混 色比 率 変 換 関 数 は、 測 色 的 混 色 比 率 に対 して ユ ニ ー ク色 を基 準 に した と きの 心 理 的 色 構 成 比 率 を定 め る 関 数 で あ る の で 、 そ の値 を実 験 的 に求 め た場 合 に は、 図8に 示 す よ うに 最 大 値 は 一 般 に1 .0未 満 の 値 で あ る 。 とい う の は 、 測 色 的 混 色 比 率 ,, が1.0の と き、 そ の と きの 色 が ユ ニ ー ク色 た だ1色 の 色 味 の み か ら成 る と知 覚 され る の で あ れ ば 、 関 数 の最 大 値 は 理 論 的 に1.0と な るが 、 しか し、 第 一 中 間 表色 系 の 基 本 有 彩 色 は 、2.3節 で 述 べ た よ う に 、 ユ ニ ー ク色 よ り も純 度 が 低 く、 一 般 に は若 干 の 白味 と黒 味 を含 ん で い る と知 覚 さ れ る の で 、 関 数 の最 大 値 はLO未 満 と測 定 さ れ る の で あ る 。 第 一 中 間 表 色 系 の 基 本 有 彩 色 は この よ う な性 質 の 色 で あ る。 従 っ て 白 また は黒 と基 本 有 彩 色 の 混 色 か ら構 成 さ れ る色 味 に 関 す る心 理 的 色 構 成 比 率 は一 般 に は0.0か ら1.0未 満 の 間 の 値 と して 知 覚 され るの で あ る 。 1.0 心 理 的 色0.9 構 成 比 率 1.0 測 色的 混色 比率 図8混 色 比率 変 換 関数 の正規 化 混 色 比 率 変 換 に お い て は 、 関 数 は 正 規 化(関 数 値 の 最 大 値 が1.0に な る よ う に、 比 例 的 に基 準 化 す る こ と)さ れ て い る こ とが 条 件 で あ る。 そ こで 、 心 理 実 験 で 得 られ た 関 数 の 最 大 値 が1.0未 満 の 場 合 に は、 す べ て の 関 数 に対 して 正 規 化 を施 す もの とす る。 図8の 点 線 が 正 規 化 され た混 色 比 率 変 換 関 数 で あ る 。 こ れ に よ り数 式 を取 り扱 う上 で は 、利 用 者 は 基 本 有 彩 色 に含 まれ て い る と感 じる 白 味 と黒 味 を仮 想 的 に色 味 と して 知 覚 す る こ と に な る 。 な お 、 最 終 的 な 結 果 を 得 る に は 脱 正 規 化 を行 い 、 こ の仮 想 の色 味 を 除去 す る 必 要 が あ るが 、 そ れ につ い て は第6章 の 純 度 変 換 に お い て 述 べ る。 ま た 、基 本 無 彩 色 の 黒 と 白 に 関 す る混 色 比 率 変 換 関 数 の 決 定 に 際 して も、 実験 条 件 に よっ て は 被 験 者 に と っ て 白 味100%、 黒 味100%の 色 は知 覚 され ず 、 関 数 の 最 大 値 が1.0未 満 と な り、 最 小 値 が0.0に 達 し な い と い う こ と も想 定 さ れ る 。 こ の よ う な場 合 に も、 白味 と黒 味 の色 構 成 比 率 が と も にo.5と な る 点 を基 準 点 と して最 大 値 が1.o、 最 小 値 がo.oと な る よ う な正 規 化 を行 い 、 そ の 後 に脱 正 規 化 を行 う必 要 が あ るが 、 こ れ に つ い て は6.1.2項 で 述 べ る。 一190一 4.2色 三 角 形 に お け る心 理 的 色 構 成 比 率 の 導 出 第 一 中 間 表 色 系 の測 色 的 色 座 標(h,w,s>を 持 つ 赤 黄 領 域 に お け る色 を例 と して取 り上 げ る。 こ の 領 域 の 色 は 、 赤 、 黄 、 白 、 黒 の4色 の基 本 色 の 混 色 に よ っ て 作 られ る。hは 色 相 で あ り、 そ れ は 3。1節の ユ ニ ー ク色 相 変換 に よ っ て定 め らたh。で あ る(す な わ ちhに は3 .1節 で 求 め たh,を 用 い る)。 wとsは 、 そ の 色 を構 成 す る基 本 無 彩 色 の 白 と黒 の 測 色 的 混 色 比 率 で あ る。 そ の 色 の基 本 有 彩 色 の 赤 と黄 の測 色 的 混 色 比 率 をr、yと し、 次 の値 を定 め る 。 n=int(h)(6) uyr=dec(h)=y/(r十y)(7) SSW=si(W+S)(s) C=r十y(9) d=w十s(10) c十d=1(11) 式(6)のint関 数 と式(7)のdec関 数 は そ れ ぞ れ 、 色 相hの 整 数 部 分 の数nと る関 数 で あ る 。 なお 、2色 問 の 混 色 比 率uやvに 小 数 部 分 の 数uを 求め 付 け られ た2つ の文 字 か ら構 成 され る1組 の添 字 は 、 混 色 され た2色 の 種 類 を示 し、 後 の 添 字 の示 す 色 に対 す る前 の添 字 の 示 す 色 の 混 色 比 率 で あ る こ と を示 す 。 4.2.1心 理 的 指 標 の導 入 ま ず 最 初 に 第 二 中 間 表 色 系 に お け る 白 味 、 黒 味 、 赤 黄 の 色 味 の 心 理 的 色 構 成 比 率(W。 求 め よ う 。 図1(b)の 色 三 角 形WSCに ,S。,C。)を お い て 、 第 一 中 間 表 色 系 の2色 間 で の 混 色 比 率 を 示 す 測 色 的 指 標(v、w,p、w,p。 、)を 導 入 し 、p、w、p、、を 次 の よ う に 定 義 す る(v、wは 式(8)で 定 義 済 み)。 Pcw=c!(c十w)(12) Pcs=c/(c十s)(13) v、wは式(8)か (13)か ら 白 と黒 に お け る 黒 、p。wは 式(12)か ら 赤 黄 混 合 色 と 白 に お け る 赤 黄 混 合 色 、p。、 は式 ら 同 じ く赤 黄 混 合 色 と 黒 に お け る 赤 黄 混 合 色 、 の 各 測 色 的 混 色 比 率 を 表 す 。 こ の 指 標 か ら 心 理 的 指 標(v。 、w,p伽,p。。 、)を 得 る に は 、 そ れ ぞ れ2色 混 色(赤 黄 混 合 色 を1色 と数 え る)に おけ る 測 色 的 混 色 比 率 か ら心 理 的 色 構 成 比 率 へ 変 換 す る混 色 比 率 変 換 関 数 を用 意 す る 。 この 変 換 関 数 を F、w、F。w、F。,とす れ ば 、 変 換 さ れ た 心 理 的 指 標 は vosw=Fsw(vsw)(14) pOcw=Fcw(p。w)(15) pOc、=Fc、(Pc、)(16) で 求 め られ る 。 と ころ で 、 赤 か ら黄 ま で の 範 囲 の 赤 黄 混 合 色 は無 数 に存 在 す る の で 、 そ れ ら に対 す る 全 て のF。wお よ びF、、 関 数 を実 験 に 求 め る こ と は現 実 的 で な い 。 そ こ で 、 次 の よ うに 、 白赤 混 色 に 対 す る 赤 、 白 黄 混 色 に対 す る 黄 、 .黒 赤 混 色 に 対 す る 赤 、 黒 黄 混 色 に 対 す る 黄 、 の そ れ ぞ れ2色 混 れ ら は ス ケ ル ト ン 色 帯 に 関 す る 測 色 的 混 色 比 率 で あ る)を 心 理 的 色 構 成 色 の 測 色 的 混 色 比 率(こ 比 率 に 変 換 す る 混 色 比 率 変 換 関 数F,w、Fy。 、F,s、Fy、を 導 入 す る 。 そ の 関 数 は 心 理 実 験 か ら 定 め る こ と に す る 。 そ して 、 こ れ ら の 関 数 を 用 い て 、 心 理 的 指 標p伽 、p。、 、は 次 の 式 か ら 求 め る こ と に す る 。 pocw=Flw(pcw)(1-Uy,)十Fyw(pcw)uy,(17) pocs=F,、(pcs>(1-uy,)十Fy、(pc、)Uy,(18) 図9に 混 色 比 率 変 換 関 数 の 一 覧 を 示 す 。 こ の 図 か ら分 か る よ う に 、 例 え ば 式(17)で 一191一 は、色相 が 赤 に 近 く な れ ば 、Uy,の 値 は0に 近 く な る の で 、 関 数Fr.の 寄 与 が 大 き く な り 、 色 相 が 黄 に 近 く な れ ば 、Uy,の 値 は1に 近 くな る の で 、 関 数F,wの 寄 与 は 小 さ く な る 。 な お 、 例 え ば 式(17)は 、 この よ う な関 係 を満 た す 次 の 比 例 式 Fyw(p、w)-F,w(p、w):Fyw(p。w)-pocwe1:1-uy,(19) か ら求 め る こ と が 出 来 る 。 S 図9混 4.2.2心 色比 率変 換 関数 の一覧 図 理 的色 構 成 比 率 の導 出 ま ず 、 心 理 的 指 標(v。 、w,p。 、w,p。 、 、)か ら 第 二 中 間 表 色 系 の 心 理 的 色 構 成 比 率(w。,s。,c。)を す る2つ の 近 似 的 な 方 法 を示 す 。 図103交 点 平 均法 一192一 算定 (1)3交 点平均 法 図10の 色 三 角 形WSCに お い て 、 頂 点Cか ら 以 下 の 式 を 満 た す よ う に 底 辺WSに 線 を 下 ろ し、 そ の 交 点 をPと す る 。 PW/(PS-f-PW)=vosW(20) ま た 、 同 様 に 頂 点Sと 頂 点Wか の 交 点 を そ れ ぞ れQ、Rと ら 、 以 下 の 式 を 満 た す よ う に 底 辺WC 、 底 辺SCに 線 を下 ろ し、 そ す る。 QW/(QW+QC)=p伽W(21) RS/(RS十RC)=po、 線 分PCと (21)か 線 分QSの 、(22) 交 点01に お け る 色 構 成 比 率 を(w。 、,s。 、,c。 、)と す る と、 そ れ は 、 式(20)と 式 ら導 い た soi/(woi+soi)=vosW(23) ・・11(・ ・1+w。1)-P。 、W(24) と Wog十soi十co,=1(25) の3元 連 立 方 程 式 の 解 と し て 求 め ら れ る 。 同 様 に 、 線 分QSと 線 分RWの 交 点02に お け る 色 構 成 比 率 を(w。2,s。2,c。2)とす る と 、 そ れ は co21(co2十wo2)=pocw(26) co2/(co2十so2)=poc、(27) wo2十so2十coZ=1(28) の 解 と して 、 ま た 、線 分RWと 線 分PCの 交 点03に お け る 色 構 成 比 率 を(w。3 ,s。3,c。3)とす る と 、そ れ は co31(co3十so3)=poc、(29) s・ ・!(w・ ・+s。,)一・。 、w(30) w・・+s・・+c・・=1(31) の 解 と して 、 そ れ ぞ れ 求 め ら れ る 。 こ の こ と は 、 利 用 者 は あ る 特 定 の 色 に 関 す る1組 の 心 理 的 指 標(v。 と し て3つ の 色(図10に お け る3つ の 交 点 の 示 す 色)を ,w,p。、w,p。 。 、)を 通 し て 、 結 果 知 覚 した こ と に な る 。 こ れ は知 覚 心 理 実 験 で は 避 け られ な い 主 観 的 な曖 昧 さの 現 れ で あ る。 主 観 的 な 曖 昧 さが 生 じ ない 理 想 的 な 測 定 が 成 立 し た と仮 定 し た 場 合 に は 、W。1=W。2=WO3、S。1=S。2=S。3、C。1=C。2=C。3と 成 り 立 つ 条 件 は 、 当 然 、 図10に 色 三 角 形WSCに お い て 点OI、 チ ェ バ の 定 理*)を 点02、 点03が な る。 この よ う な色 知 覚 が 一 点 で 重 な る こ とで あ る 。 こ の と き、 適 用 し、 そ の 三 角 形 が 正 三 角 形 で あ る こ と を考 慮 す る と 、 心 理 的 指 標(vo、w,po、w,po、、)の 要 素 間 で は vosw*(1-pocw)*poc、=(1-vosw)*pocw*(1-poc、)(32) な る 関係 が 成 立 しな け れ ば な らな い 。 しか し、 利 用 者 に と って こ の よ うな 関 係 が成 立 す る よ うな 色 知 覚 を 行 う こ と は 至 難 の 業 で あ り 、 実 際 的 に は 主 観 的 な 曖 昧 さ が 生 じ 、W。 、≠W。2≠WO3、SO、 ≠ S。2≠S。3、C。1≠C。2≠C。3と な っ て しま う◎ そ こ で こ の 心 理 実 験 の 曖 昧 さ を 踏 ま え て 、 利 用 者 の 知 覚 す る 色 は 、 図10に (*)任 WC・ 意 の 三 角 形WSCの 線 分WOの (RSIRC)=1が 内 部 の 一 点 を0と し、 線 分COの 延 長 と底 辺Sc、 延 長 と底 辺WS、 の そ れ ぞ れ の 交 点 をP、Q、Rと 成 立 す る。 ま た そ の 逆 も成 立 す る。 一193一 示 す 色 三 角 形WSCの 線 分SOの 延 長 と底 辺 す る と 、(PWIPS)(QCIQW) 中 の 三 角 形010203の 領 域 内 の あ る 点0。 に 存 在 す る と仮 定 す る 。 そ の 色 の 色 構 成 比 率 は 、w。1とw。2 とW。3、S。1とS。2とS。3、C。1とC。2とC。3の 平 均 を もっ て 定 め る の が 妥 当 で あ る。 結 局 、 第 二 中 間 表 色 系 の 心 理 的 色 構 成 比 率(w。,s。,c。)は 、 式(23)∼ 式(25)の 解 、 式(26)∼ 式(28)の 解 、 式(29)∼ 式 (31)の 解 を 用 い て wo=(wo1十wo2十wo3)!3 ={(1-vo sw)(1-pocw)1(1-vosw*pocw) 十poc、(1-pocw)/(poc、-pocs*pocw十pocw) (33) 十(1-vosw)(1-poc、)1(1十vosw*pocs-poc、)}13 so=(sol一 トso2-←so3)13 ={vosw(1-pocw)1(1‐VOsw*pocw) 十pocw(1-pocs)1(pocs-poc、*pocw十pocw) (34) 十vosw(1‐poi、)/(1十vosw*poc、-poc、)}13 c。=(c。1+c。2+c。3)13 ={(1-w。1-s。1)+(1-w。,-s。2)+(1-w。3-s。3)}/3 (35) =1‐wo‐so と定 め る も の とす る 。 この 方 法 は3つ の交 点(解)の (2)色 値 を 平 均 す る方 法 か ら、3交 点 平 均 法 と呼 ぶ 。 量変 化平均 法 利 用 者 が 第 一 中 間 表 色 系 の 測 色 的 混 色 比 率(w,s,c)に 三 角 形 の 底 辺WSか よ っ て 定 め ら れ る 色 を 、 図1(b)に 示 す色 ら眺 め る と、 利 用 者 は 白 味 と黒 味 をそ れ ぞ れ wo1=(w十s)(1-vosw)(36) so1=(w十s)vosw(37> と 計 算 さ れ る よ う な 色 構 成 比 率 で 知 覚 す る こ と に な る 。 ま た 、 式(36)と 式(37)か ら Wo1十sOl=w十s(38) の 関 係 が 導 か れ の で 、 そ の と き色 味 の 色 構 成 比 率 は co,=1‐wo,‐so,=1‐w‐s=c(39) と変 化 が な い の で 、 こ の と き、 利 用 者 は 白味 と黒 味 の 量 だ け が 変 化 した と知 覚 す る。 ま た 、 こ の 関 係 か ら 、 式(23)と 同 じ so1/(wo1十SOt>‐VOsw(40) が成立す る。 こ の こ と を 幾 何 学 的 に 説 明 す る 。 図11の め る 点0を 取 り 、 点0を s,と す る 。 式(38)と W,S,Cが 通 り底 辺WSに 式(40)の 色 三 角 形WSCの 内 部 に 測 色 的 混 色 比 率(w,s,c)の 平 行 な 線 を 引 き 、 底 辺WCと 関 係 を 満 た す よ う な 点o,を 底 辺SCの 線 分WlSl上 に取 る。 この 点 は 三 角 形 正 三 角 形 で あ る こ と か ら 必 ず 存 在 す る 。 こ の よ う な 訳 で 、 利 用 者 が 底 辺WSか た 色 構 成 比 率(w。1,s。1,c。1)の 同 様 に 、 色 三 角 形WSCの 色 は 、 線 分WlSlのOI点 底 辺WCか らは wo2=(c十w)(1-pocw)(41) sot=s(42) co2=(c十w)pocw(43) と 計 算 さ れ 、 式(41)と 式(43)か ら 一194一 定 交 点 を そ れ ぞ れWl、 に存 在 す る色 で あ る 。 ら知 覚 し woe十co2=w.-1-c(44) が 得 ら れ る 。 こ の と き、 利 用 者 は 白 味 と 色 味 の 量 だ け が 変 化 し た よ う に 知 覚 す る 。 こ の 関 係 か ら 式(26)と 、 同 じ ・・2/(・ ・2+w・2)=P。 。w(45) が 得 ら れ る 。 図11に れ は 点0を お い て 式(41)∼ 通 り底 辺WCに 式(43)で 平 行 な 線 分)上 表 さ れ る 色 構 成 比 率 の 色 が 存 在 す る 線 分W2C の 点 を0,と す と 、 そ の 点0、 は 式(44)と 式(46)の 、(こ 関係 を 満 たす。 ま た 、 底 辺SCか らは wos=w(46) so3=(c十s)(1‐pois)(47) Co3=(c十s)POcs(48) と 計 算 さ れ 、 式(47)と 式(48)か ら SO3十CO3=C十SX49) が 得 られ る 。 この と き、 利 用 者 は黒 味 と色 味 の 量 だ け が 変化 した よ う に知 覚 す る 。 こ の 関係 か ら、 式(29)と 同 じ c・・/(c・ ・+・。,)=P。、 、(50) が 得 ら れ る 。 図11に は 点0を 通 り底 辺SCに お い て 式(46)∼ 平 行 な 線)上 式(48)で 表 さ れ る 色 構 成 比 率 の 色 が 存 在 す る 線 分S2C,(こ の 点 を03と す る と、 そ の 点03は 式(49)と 式(50)の れ 関係 を満 たす 。 W 図11色 と こ ろ で 、 利 用 者 が3方 量 変化 平 均法 向 か ら の 知 覚 し た 色 構 成 比 率 は 、 前 項(1)で 述 べ た よ うに、一般 に w。i≠w。2≠w。3、s。1≠s。2≠s。3、c。1ヂc。2≠c。3と な る 。 そ こ で 、 利 用 者 は3方 向 か ら の 色 構 成 比 率 を 平 均 し た 色 を 知 覚 し た も の と 仮 定 し 、 そ の よ う な 色 は 、 図11に OlO203の 領 域 内 の あ る 点00に 示 す 色 三 角 形WSCの 中の三 角 形 存 在 す る と す る 。 そ の 色 の 色 構 成 比 率(w。 ,s。,c。)は 、w。1とw。 、と 一195一 WO3、SO1とSO2とS。3、C。1とCO2とCO3の 式(36)∼ 式(39)、 式(41)∼ 平 均 を も っ て 定 め る のが 妥 当 で あ る 。 結 局 、 そ れ らの 比 率 は 、 式(43)、 式(46)∼ 式(48)を 用 いて w。=(w。 豆+w。2+w。3)13 ={(w十s)(1-vo 、w)十(w十c)(1-p(kw)十w}13(51) s。=(s。1+s。2+s。3)13 ={(w十s)vosw十s十(c十s)(1‐poi、)}13(52) c。=(c。1+c。2+c。3)13 ={c十(w十c)po cw十(c十s)pocs}13(53) か ら定 め る もの とす る。 導 出 さ れ た 白 味 、 黒 味 、 色 味 の色 構 成 比 率 は wo十so十co=w十s十c=1(54) の 関 係 に あ る こ と か ら 、 そ れ は 第 二 中 間 表 色 系 の 心 理 的 色 構 成 比 率(W。,S。,C。)と す る こ とが 出 来 る。 こ の方 法 を、 色 量 の 変 化 を平 均 す る こ とか ら、 色 量 変 化 平 均 法 と呼 ぶ 。 *** 3交 点 平 均 法 と 色 量 変 化 平 均 法 は 、 と も に 心 理 的 色 構 成 比 率 を 求 め る 近 似 的 な 方 法 で あ り、 ど ち ら も本 質 的 に は 同 じ考 え 方 で あ る 。 し か し、 数 値 実 験 に よ る と 、3交 点 平 均 法 の 方 が 色 量 変 化 平 均 法 よ り も 混 色 比 率 変 換 関 数 の 非 線 形 性 の 度 合 い に 敏 感 に 反 応 して 、 よ り大 き く変 化 す る 心 理 的 色 構 成 比 率 を 作 り 出 す 。 ど ち ら の 方 法 が よ り良 い か ど う か に つ い て は 、 最 終 的 に 電 子 色 見 本 を 作 成 し、 そ の と き の 利 用 者 の 心 理 的 な 満 足 度 に よ っ て 決 定 す る 。 4.3色 相 環 に お け る心 理 的 色 相 の 導 出 次 に 第 二 中 間 表 色 系 の 心 理 的 色 相h。 を 求 め よ う 。 こ れ は4.2節 で 心 理 的 色 構 成 比 率(w。,s。,c。) を 得 た 場 合 と 同 様 な 方 法 に よ っ て 得 ら れ る 。 と い う の は 、 図12(a)に 相 環 の4分 円 は 、 図12(b)に 示 す 赤 、 黄 、 白 黒 混 合 色(灰 色:Dで 示 す 赤 黄 領 域 を構 成 す る色 表 す)を そ の 頂 点 に配 した 色 三 角 形 と 等 価 な 数 学 的 性 質 を 持 つ か ら で あ る 。 赤 、 黄 、 白 黒 混 合 色 を4.2節 で 述 べ た 白 、 黒 、 赤 黄 混 合 色 に そ れ ぞ れ 対 応 させ る と (a)色 相 環(4分 円) 図12色 (b)色 相環 の色 三角 形へ の変 換 一196一 三角 形 uOyr-r"yr(uyr¥X55 qd,=d/(r十d)(56) qaY=d/(y十d)(57) qod,=Fw,(qd,)(1-V、w)十F、,(qd,)v、w(58) qody=Fwy(qdy)(1-V,w)十F,y(qdy)v、w(59) と な る 。Uy,は 式(7)の 色 相 か ら 求 め ら れ 、 混 色 比 率 変 換 関 数Fyrは 構 成 比 率 を 定 め る も の で あ り 、 式(58)のq。d,と 式(59)のq。d,は 赤 黄 混 色 に対 す る 黄 の心 理 的 色 そ れ ぞ れ 、 式(17)と 式(18)に 対 応 す る もの で あ る。 こ こ で qrd=1-qdr(60) qyd=1-qdy(61) な る測 色 的混 色比 率 を導 入 す る と 、混 色 比 率 変 換 関 数 の 間 で Fw,(qdr)十Ew(q,d)=1(62) r"wy(qay)十FyW(qyd)=1(63) Fsr(qar)十Frs(qra)=1(64) Fsrigdy)十Fys(qya)=1(65) な る 関 係 式 が 成 立 す る の で 、 式(58)と 率 変 換 関 数F,w、F,、 、Fy。 、Fy,を 式(59)は 、4 .2節 と同 様 に ス ケ ル トン 色 帯 に 関 す る 混 色 比 用 い て 、 次 の よ う に 書 き換 え ら れ る 。 qod,={1-Frw(q,d)}(1-V、w)十{1-Fr,(qrd)}V、w(66) qodye{1-Fyw(qyd)}(1-V、w)十{1-Fy、(qyd)}v、w(67) そ こ で 、 利 用 者 が 知 覚 す る 心 理 的 色 構 成 比 率(r。,y。,d。)は 求 め る 。3交 、4 .2節 の 場 合 と 同 様 な 方 法 に よ っ て 点 平 均 法 で は r。e(r。1+r。 ={(1-uo 、+r。,)/3 y,)(1-qod,>/(1-uoy,*qod,) 十qbdy(1-qod,)/(qody-qody*qodr十qodr) 十(1‐uoy,)(1-qody)/(1十uoy,*qody-qody)}13(68) yo=(yol十yo2十yo3)/3 ={uo yr(1gOdr)/(1-uoyr*qod,) 十qOd,(1-qOdy)!(qOdy-qOdy*qOd,十qOd,) 十uoy,(1-qody)/(1十uoy,*qody-qody)}/3(69) do=(do1十do2十do3)!3 {C1-roi‐yoi)-F-(1-roz‐yoz)+(1‐ro3‐yos)}/3 =1-ro-yo(70) が 得 ら れ る 。 また 、色 量 変 化 平 均 法 で は ro={(r十d)(1‐goal)十r-1-(r十y)(1-uoyr)}/3(71) y・一{y+(y+d)(1-q。dy)+(・+y)・ 。y,}/3(72) do={(r十d)qodr十(y十d)qody十d}13(73) と な る 。 第 二 中 間 表 色 系 に お け る 心 理 的 色 相h。 は 、 い ず れ も ho=n十yo1(ro十yo)(74) と し て 求 め ら れ る 。 た だ し 、nは の 組 、 ま た は 式(51)、 式(52)、 式(6)か 式(74)の ら 定 め ら れ る 。 最 終 的 に は 、 式(33)、 式(34)、 組 か ら 第 二 中 間 表 色 系 の 心 理 的 色 座 標(h。 一197一 式(74) ,w。,s。)が 得 ら れ る 。 な お 、 式(35)と 式(70)あ る い は 式(53)と 式(73)か ら 求 め ら れ るcoとdoの 和 が1で ある こ と は 、幾 何 学 的 に容 易 に証 明 す る こ とが 出来 る 。 *** こ う し て 第 一 中 間 表 色 系 の 測 色 的 色 座 標(h,w,s)は 、混 色 比 率 変 換 関 数 を介 在 して 得 ら れ た 心 理 的 指 標(v。 、 。,p。 、w,p。 、 、 〉 と(u。y,,q。d,,q。dy)を 用 い て 、 第 二 中 間 表 色 系 の 心 理 的 色 座 標(h。,w。,s。) に 変 換 す る こ とが 出 来 る 。 5.混 色比 率 変 換 関 数 の 決定 法 5.1関 数決 定の方法 第4章 で 述 べ た よ う に、 第 一 中 間表 色 系 の 測 色 的色 座 標(h,w,s)を 第 二 中 間表 色 系 の心 理 的 色 座 標(h。,w。,s。)に 変 換 す る に は、 混 色 比 率 変 換 関 数 を 必 要 とす る。 こ の 関 数 は 、2色 の基 本 有 彩 色 同士 、 白 また は黒 と1色 の 基 本 有 彩 色 同士 、 お よ び 白黒 同 士 を測 色 的 な あ る比 率 で 混 色 した 色 ス ペ ク トル を利 用 者 に提 示 し、 そ の ス ペ ク トル 上 の特 定 の あ る色 につ い て 、 基 本 有 彩 色(あ 基 本 無 彩 色)を 基 準 に した 際 の 色 構 成 比 率 を推 定 して も ら う こ と に よ っ て決 定 す る 。 混 色 比 率 変 換 関 数 はy=F(x)で 表 さ れ 、xが 測 色 的混 色 比 率 、yが 心 理 的 色 構 成 比 率 で あ る 。 例 え ば 図6の よ う にx軸 を色 ス ペ ク トル に対 応 させ 、利 用 者 がx軸 上 の 混 色 比 率aの 基 本 無 彩 色)を 数Fは.,(a)を るい は あ る色 を基 本 有 彩 色(あ るいは 基 準 と した構 成 比 率a。で 色 知 覚 した とす る と、a。が 心 理 的色 構 成 比 率 とな り、 関 満 た す 。x軸 の代 表 点 を複 数 選 び 、 測 色 的 混 色 比 率 に対 す るy軸 の 心 理 的 色 構 成 比 率 を心 理 実 験 か ら測 定 し、 数 学 的 な補 間 法 を用 い る と、 混 色 比 率 変 換 関 数 を決 定 す る こ とが 出 来 る。 5.2数 学 的 補 間 に よ る 関数 決 定 混 色 比 率 変 換 関 数y=F(x)の で 、 か つ単 調 性(単 形 状 は 表 色 系 の 色 配 置 の 特 質 か ら、 滑 らか に変 化 す る よ う な 曲線 調 増 加 、 単 調 減 少)を 持 つ こ とが 要 求 さ れ る。 こ の よ うな 関 数 と して 、 次 の よ う な多 項 式 で構 成 さ れ るn-1次 関 数 を用 い る。 y=C1+CZX+C3XZ+....+.CnXn‐1(7S) 測 定 点 をn点 と し、x、yを そ れ ぞ れ 測 色 的混 色 比 率 、 心 理 的 色 構 成 比 率 に関 す る デ ー タ とす る と 、 関 数 の 係 数 は 、n元 連 立 線 形 方 程 式 を解 くこ と に よ っ て求 め られ る。測 定 デ ー タの 性 質 に よ っ て は 、 稀 に変 換 関 数 の 単 調 性 が 得 られ な い こ と もあ る の で 、 注 意 を 要 す る 。 関 数 が 非 単 調 性 と な っ た 場 合 に は 、 各 点 を直 線 で 結 ぶ 線 形 補 間 法 で 対 処 す る 。xを 入 力 信 号 、yを 教 師 信 号 と した ニ ュ ー ラ ル ネ ッ トワ ー ク を 用 い て 、 関 数y=F(x)を 決 定 す る方 法 も考 え られ るが 、 こ れ に は 実 行 時 間 と精 度 に難 点 が あ る 。 ま た 、 ス プ ラ イ ン関 数 を用 い る 方 法 も考 え られ る が 、 単 調 性 が 満 た され な い こ と も多 い 。 な お 、 式(75)の 入 力xと 出力yの 関 係 を逆 にす れ ば 、 混 色 比 率 逆 変 換 関 数x=Fq(y)を 得 る こ とが 出 来 る 。 5.3関 数決 定の実験方 法 混 色 比 率 変 換 関 数 を決 定 す る た め の 実 験 方 法 を具 体 的 に述 べ る 。 図13に 示 す よ う に 、 コ ン ピ ュ ー タ ・プ ロ グ ラ ム は デ ィス プ レイ 画 面 の左 端 と右 端 に 、 第 一 中 間 表 色 系 の6基 本 色(4色 の 基 本 有 一198一 彩 色 と白 と黒)中 の2つ の 色(第 か ら2色 を混 色 基 準 と して 選 ん で提 示 す る。 そ して 、左 端 と右 端 の 問 に混 色 基 準 一 中 間表 色 系 にお け る2色 の 基 本 有 彩 色 、 白 、 黒 の 中 の2色)の 中 間 色 か ら成 る測 色 的 混 色 比 率 の 異 な る複 数 の 色 円 を帯 状 に配 置 し、 被 験 者 にそ の 中 の1つ の色 円 を指 示 す る。 そ の 中 間色 とは ス ケ ル トン色 帯 上 の色 で あ る。(本 来 な ら色 円 で は な く、色 ス ペ ク トル を配 置 す べ きで あ るが 、被 験 者 に とっ て は 、 複 数 の色 円 を帯 状 に配 置 す る方 が 実 験 を行 い易 い)。1色 帯 当 た り8個 程 度 の 色 円 を配 置 し、 そ れ に つ い て の 心 理 的 色 構 成 比 率 を測 定 す る。 この 場 合 、 被 験 者 が 測 定 す る 色 数 は13個 の ス ケ ル トン色 帯 に対 して104色 程 度 と な る。 図13混 色 比率 変換 関 数決 定 実験の 画面 例 え ば 図13に 示 す よ う に 、被 験 者 が プ ロ グ ラム の指 示 す る 赤 黄 色 帯 に関 して 、 心 の 中 で 感 じ ら れ るユ ニ ー ク 黄 の心 理 的 色 構 成 比 率 につ い て 応 答 バ ー 上 で マ ウ ス操 作 に よ り応 答 す る と、 プ ロ グ ラム は 、測 色 的混 色 比 率 に対 す る心 理 的色 構 成 比 率(a。=F(a))を 決 定 す る。 こ の よ う な測 定 を1 色 帯 当 た り8個 程 度 の 色 円 で 行 い 、 しか も、 そ れ を 当 該 色 帯 に つ い て 複 数 回繰 り返 し行 い、 そ の 平 均 を求 め る。 そ して 測 定 が 終 了 した 後 、 プ ロ グ ラ ム は そ の 色 帯 に関 す る混 色 比 率 変 換 関 数 を5.2節 で 述 べ た 方 法 に よっ て 求 め 、 そ れ を 正 規 化 す る 。 6.純 度 変 換 6.1純 6.1.1高 度変換 の原理 純 度 色 に お け る純 度 変 換 第 二 中 間 表 色 系 の 作 成 に 際 して は 、4.1.3項 で 述 べ た よ う に 白 と基 本 有 彩 色 あ る い は黒 と基 本 有 彩 色 に関 す る混 色 比 率 変 換 関 数 にお い て 、 基 本 有 彩 色 の 中 にユ ニ ー ク色 が どの く らい 含 まれ て い る か と言 う比 率(関 数 値)の 最 大 値 は一 般 に1.0未 満 に な る こ とか ら、 そ の混 色 比 率 変 換 関 数 に は 最 大 値 が1.0と な る よ う に正 規 化 を施 して あ る 。 従 っ て この 操 作 に よ り、 基 本 有 彩 色 に含 ま れ る 白 味 と黒 味 の 量 は す べ て 色 味(ユ ニ ー ク色)の 量 と見 な さ れ て し ま うの で 、 そ れ に応 じて 第 二 中 間 表 色 系 に お け る 色 味 の 心 理 的 色 構 成 比 率 は 第 二 中 間 表 色 系 の 全 体 にお い て 、 本 来 的 な比 率 よ り も 一199一 大 きな値 と な っ て い る。 第4章 で 求 め た 心 理 的 色 座 標(h。,w。,s。)に 対 して 、基 本 有 彩 色 にお い て 知 覚 され た 白 味 と黒 味 を も っ て補 正 す る必 要 が あ る 。 す な わ ち正 規 化 さ れ た 混 色 比 率 変 換 関 数 の 脱 正 規 化 を 行 うの で あ る。 白 と黒 がCIE色 度 図 にお け る純 度 に 関係 す る の で 、 こ の補 正 を純 度 変 換 と呼 ぶ こ と にす る 。 第 二 中 間 表 色 系 に こ の純 度 変 換 を施 す こ と に よ り、 目的 表 色 系ACSが 構成 され る 。 以 下 に そ の方 法 を述 べ る 。 基 本 有 彩 色 に お け る純 度 に 関 す る上 記 の 補 正 は、 第 二 中 間 表 色 系 にお け るす べ て の 高 純 度 色 に 関 係 す る こ とで もあ る。 そ こ で 、 こ の補 正 を 高 純 度 色 す べ て に適 用 す る こ と にす る 。 ま ず 純 度 変 換 関 数 と呼 ぶ 関 数 を導 入 す る 。 こ れ は 心 理 的 色 相h。に お い て高 純 度 色 にお け る 白 味 と黒 味 の 心 理 的 色 構 成 比 率 を示 す 関 数 で あ り、Gw(ho)とG、(ho)の2つ が あ る。Gwが 白 味 、G、が 黒 味 に関 す る 関 数 で あ り、 前 者 を 白純 度 変 換 関 数 、 後 者 を黒 純 度 変 換 関 数 と呼 ぶ 。 こ の2つ の 関 数 は利 用 者 の心 理 実 験 か ら決 定 され る。 参 考 の た め に 図14に 純 度 変 換 関 数 の様 子 を示 す 。 図14純 度変 換 関数 心 理 的 色 相h。 に お け る 高 純 度 色 の 本 来 的 な 心 理 的 色 構 成 比 率(WLp,sLp,cLp)は 、2つ の 純 度 変 換 関 数 を用 い て w, _p=GW(ho)(76) sLp=G、(ho)(77) cLp=1-Gw(ho)-G、(ho)(78) と補 正 さ れ る 。 図15に 示 す よ う に 、 実 線 が 利 用 者 が 知 覚 し た 本 来 的 な 混 色 比 率 変 換 関 数 で あ り、 点 線 が 正 規 化 され た 混 色 比 率 変 換 関 数 で あ る。 (1)心 理 的 色 相 の補 正 まず 、 心 理 的 色 相 に対 す る補 正 か ら説 明 す る 。 例 と して 赤 黄 領 域 に 関 す る色 相 を 取 り上 げ る。 赤 と黄 の 基 本 有 彩 色 に関 す る 本 来 的 な心 理 的 色 構 成 比 率 は、 式(78)を 用 い た 補 正 の結 果 r,_p=1-GW(1.0)-GS(1.0)(79) y,_P=1-GW(2.0)-GS(2.0)(80) と して得 られ る 。 第4章 で 求 め た赤 の基 本 有 彩 色 の 色 相 に お け る色 味 の 比 率r。 とそ の 色 相 の も とで 本 来 的 な 色 味 の比 率r1の 問 で は、 図15か ら明 か な よ う に 一200一 1.0 測 色的 混色 比較 図15脱 正 規化 の方 法 r1:r。=rL,:1(81) の 比 例 式 が 成 立 し 、 ま た 、 黄 の 基 本 有 彩 色 の 色 相 に お け るy。 とylに つ い て も yl:yo=y豆_P:1(82) が 成 立 す る 。 式(81)、 rl=rl 式(82)をr1、ylに つ い て 解 く と _P*r。(83) y1=Y1-P*yo(84) で あ る 。 ま た 、 心 理 的 色 相h。 は 式(6)、 式(7)か ら n=int(ho)(85) uoyr=dec(ho)=yo/(ro-F-yo)(86) で あ る の で 、y。 は 式(86)か ら yo=ro*uoyノ(1-uoy,)(87) で あ る 。 と こ ろ で 、 本 来 的 な 心 理 的 色 相hlは h1=n十yl1(r1十yl)(88) で 表 さ れ る の で 、 式(88)に 式(83)、 式(84)、 式(87)を 代 入 す る 。 本 来 的 な 心 理 的 色 相h,は 、 補r 正 の 結 果 h1=n十Uoy,*y弖 _p1{(1-Uoyr)r,_p十Uoyr*y1_p}(89) と して得 られ る 。 (2)心 理的色 構成比率 の補 正 心 理 的 色構 成 比 率 に対 す る補 正 は 、 前 述 の 心 理 的色 相 の 補 正 の 場 合 と同様 に考 えれ ば よい 。 第4 章 で 求 め た 心 理 的 色 構 成 比 率(W。,S。,C。)に お け る色 味 の比 率COと 知 覚 さ れ る本 来 的 な色 味 の 比 率 Clの 問 で は 、 図15か ら明 らか な よ う に 一201一 c1:Co==Cl _P:1(90) の 比 例 式 が 成 立 す る 。従 っ て 、 こ の 式 か ら 高 純 度 色 の 色 味 の 本 来 的 な 色 構 成 比 率Clは 、 補 正 の 結 果 c1=Co*c1 _P(91) と し て 得 ら れ る 。 ま た 、 色 味 の 比 率C。 の 値 の 中 に は 白 味 と 黒 味 の 比 率 の 合 計 がC。-CIの く加 算 さ れ て(含 ま れ て)い 値 だ け多 る 。 そ こ で 、 こ の 値 を 白 味 と 黒 味 のWOとS。 に 案 分 す れ ば よ い が 、 そ れ は 同 じ 心 理 的 色 相h。 で の 高 純 度 色 に お い て 知 覚 さ れ た 白 味 と 黒 味 の 色 構 成 比 率w1 _pとsLpの に 比 例 す る 。 す る と 、 一 般 の 色 の 白 味 と 色 味 に つ い て の 本 来 的 な 心 理 的 色 構 成 比 率W1とS1は 比 、補 正 の結果 wl=wo十(co-cl)w1 _〆(wLP十sLP)(92) s1=so十(co-cl)s1 _P1(wLP十sLP)(93) と し て 得 ら れ る 。 な お 、 式(92)と 式(93)か ら、 当 然 の こ と なが ら w,-1-s,-F-c,=wo十so十co=1(94) が 成 り立 つ 。 *** こ う し て 第 二 中 間 表 色 系 の 心 理 的 色 座 標(h。,w。,s。)は 標(h1,Wl,s1)に 6.1.2白 、 目 的 表 色 系ACSの 本 来 的 な心 理 的 色 座 変 換 す る こ とが 出来 る 。 と黒 の 基 本 色 に お け る純 度 変 換 5.3節 に お け る 心 理 実 験 の 条 件 に よ っ て は 、 基 本 色 の 白 と 黒 に 関 す る 混 色 比 率 変 換 関 数Fswの 大 値 が1.0よ り も 小 さ い 値 、 最 小 値 が0.0よ 最 り も大 きい 値 と して得 られ る こ と もあ る。 こ の よ う な こ とが 生 じ る の は 、 基 本 色 の黒 に対 して は 、 デ ィ ス プ レイ 画 面 に 自然 光 が 当 た っ て 、 本 来 の 黒 が 多 少 白 味 を帯 び て 知 覚 され た と き、 また 、 基 本 色 の 白 に対 して は 、 デ ィス プ レ イ装 置 の 強 度 不 足 で 、 本 来 の 白 が 若 干 灰 色 が か っ て 知 覚 さ れ た と きで あ る 。 こ の よ う な場 合 に は 、 混 色 比 率 変 換 関 数 の 値0.5を 基 準 と し て 、 黒 が100%含 ま た 白 が100%含 ま れ て い る と 知 覚 さ れ た と き の 関 数 値 を1.0と ま れ て い る と知 覚 さ れ た と き の 関 数 値 を0.0と な る よ う に、 な る よ う に 、 そ れ ぞ れ あ らか じめ 正 規 化 を行 っ て 、 第 二 中 間 表 色 系 を作 成 して お く。 こ の よ う な 正 規 化 が 第 二 中 間 表 色 系 作 成 の 時 点 に 行 わ れ て い る 場 合 に は 、6.1.1項 に 引 き続 き 、 そ れ と 同 様 な 変 換 を 行 う必 要 が あ り、 こ れ を特 に 白 黒 純 度 変 換 と 呼 ぶ こ と に す る 。 正 規 化 さ れ る 前 の 混 色 比 率 変 換 関 数 の 最 大 値 をk。、 最 小 値 をk、と す る 。 こ の 値 は5.3節 で 述 べ た 心 理 実 験 か ら得 ら れ る 。 ま た 、6.1.1項 で 純 度 変 換 を 施 して 得 ら れ た 本 来 的 な 心 理 的 色 構 成 比 率 が(WI,s1,c1)で お い て 、黒 味 と 白 味 の 比 率 が 同 じ場 合 、そ の 色 の 白 味(ま あ る色 に た は 黒 味)の 比 率 をt。、と す る と 、 そ れ は tws=(1-Cl)/2(95) で 表 さ れ る 。WI≧S1の と き 、 補 正 さ れ た 最 終 的 な 白 味 の 心 理 的 色 構 成 比 率 をW2と す る と 、W1とW2 に 関 して比 例 式 kW-w2:1-w,=wz-tWS:w,-tWSX96) が 成 立 す る 。 こ れ をW2に つ い て解 くと w2={(kw-tw、)w1十(1-kW)tw、}1(1-tw、)(97) s2=・1-w2-c1(98) c2=cl(99) が 得 ら れ る 。 ま た 、S1≧Wlの と き 、 補 正 さ れ た 最 終 的 な 黒 味 の 心 理 的 色 構 成 比 率 をS2と す る と 、Sl 一202一 とs2に 関 し て 比 例 式 ks-s2:1-sI=s2-tw,:sl-tw、(100) が 成 立 す る 。 こ れ をs2に つ い て 解 く と s2={(ks‐tWS)s,十(1‐ks)tWS}/(1‐tWS)(101) w2=1-s2-c,(102) c2=c,(103) が得 られ る。 な お 、 最 終 的 な 色 相 をh2と す る と 、 そ の 値 は h2=h,(104) で あ り、 白黒 純 度 変 換 にお い て は色 相 は不 変 で あ る。 こ の よ う に、 黒 と 白 の 基 本 色 に 関 す る混 色 比 率 変 換 関 数 を 正 規 化 し た 場 合 に は 、 前 項 で 述 べ た 純 度 変 換 の 後 に 継 続 して 白 黒 純 度 変 換 を 行 う 。 6.1.1項 で 述 べ た 本 来 的 な 心 理 的 色 座 標(h正,Wi,Si)は 終 的 な 心 理 的 色 構 成 比 率(h2,w2,s2)に 、 白 黒 純 度 変 換 に よ っ て 目 的 表 色 系ACSの 最 変 換 され る。 *** 図16ACSの 色 表 現範 囲 本 節 で 述 べ た2つ の純 度 変 換 が 行 わ れ る と 、 図16に 示 す よ う に 、 デ ィス プ レイ 装 置 が 再 現 す る 色 は 、 利 用 者 が 知 覚 す る こ とが 出 来 る色 範 囲 よ り も狭 い 色 とな る。 この 範 囲 は、 心 理 実 験 に よ っ て 定 ま る ユ ニ ー ク色 相 、 混 色 比 率 変 換 関 数 、 純 度 変 換 関 数 の 影 響 を受 け る の で 、 デ ィス プ レ イ装 置 に基 づ く顕 色 系ACSの 6.2純 色 表 現 範 囲 は、 個 々 人 の 色 知 覚 に依 存 す る の で あ る。 度 変換関数 を決定 する実験方法 純 度 変 換 関 数 を決 定 す る 方 法 を具 体 的 に示 す 。 図17に 示 す よ う に 、 コ ン ピ ュ ー タ ・プ ロ グ ラ ム は デ ィ ス プ レイ 画 面 の左 端 と右 端 に 、 第 二 中 間 表 色 系 の4色 の基 本 有 彩 色 の 中か ら2色 を選 ん で そ れ を提 示 す る。 測 定 す るス ケ ル トン色 帯 は赤 一黄 、 黄 一緑 、緑 一青 、 青 一 赤 の4色 帯 で あ る。 そ し て 、左 端 と右 端 の 間 に2色 の 中 間 色 、 す な わ ち色 相 環 の最 外 周 に位 置 す る高 純 度 色 か ら成 る心 理 的 色 構 成 比 率 の 異 な る複 数 の色 円 を帯 状 に配 置 し、 被 験 者 にそ の 中 の1つ の 色 円 を指 示 す る。1色 帯 当 た り8個 程 度 の 色 円 を配 置 し、 そ れ につ い て の 白 味 と黒 味 を測 定 す る。 こ の場 合 、 測 定 対 象 の ス ケ ル トン色 帯 が4色 帯 で あ る の で 、 被 験 者 が 測 定 す る 色 数 は32色 程 度 とな る 。 一203一 図17純 度 変 換関数 決 定実 験 の画面 例 え ば 図17に 示 す よ う に 、被 験 者 は プ ロ グ ラ ム の 指 示 す る 赤 黄 色 帯 の 高 純 度 色 に 関 して 、 そ の 色 に含 まれ て い る と感 じ られ る 白 味 と黒 味 の 本 来 的 な心 理 的 色 構 成 比 率 につ い て 、 該 当 す る応 答 バ ー 上 で マ ウス 操 作 に よ り応 答 す る。 こ の よ うな測 定 を1色 帯 あ た り8色 円程 度 行 い 、 しか も、 そ れ を 当 該 色 帯 に つ い て 複 数 回 繰 り返 して 行 い 、 そ の平 均 を 求 め る 。 そ して 、 測 定 が 終 了 し た後 、 プ ロ グ ラ ム は 、 そ の 色 ス ペ ク トル に 関 す る 白純 度 変 換 関 数 と黒 純 度 変 換 関 数 を、5.2節 で 述 べ た の と同様 な方 法 に よ って 求 め る 。 なお 、 純 度 変 換 関 数 に つ い て は単 調 性 は要 求 され ない 。 7電 子 色 見本 を表 示 す るプ ロ グラ ム作 成 の ため の 逆 変換 第3章 か ら第6章 ま で に述 べ た よ う に 、 ユ ニ ー ク色 相 変 換 、 混 色 比 率 変 換 、 お よ び純 度 変 換 の3 つ の 変 換 を通 して 、 原 始 表 色 系 は 目的 表 色 系 で あ るACSに 示 す 手 順 に従 っ て 、 こ れ らの 変 換 を説 明 して き た。ACSの 変 換 され る の で あ る。 こ れ まで は 図3に 応 用 で あ る電 子 色 見 本 を デ ィス プ レ イ 画 面 に 表 示 す る た め の プ ロ グ ラ ム を作 成 す る に は、 そ の プ ロ グ ラ ム の 中 に 上 記 の 変 換 を全 て含 ん で い る必 要 が あ る。 しか し、 そ の プ ロ グ ラ ム を記 述 す る 実 際 の変 換 の 手 順 は 、 図3と は逆 の 手 順 、 す な わ ち 図18に 示 す 手 順 な の で あ る 。 と い うの は 、 電 子 色 見 本 を表 示 す る プ ロ グ ラ ム の 論 理 は 、 色 情 報 が 目 的 表 色 系 か ら原 始 表 色 系 を経 て デ ィス プ レ イ装 置 へ 伝 達 され る よ う に な っ て い な け れ ば な ら ない か らで あ る 。 本 論 文 で は 変 換 理 論 の 展 開 を説 明 す る た め の 容 易 さか ら、 図3に 示 す 手 順 で説 明 したが 、 図3と 図18と は、 そ れ ぞ れ正/逆 の変 換 関 係 に あ る 。 図3の 手順 を正 変 換 とす る と、 こ れ に対 す る逆 変 換 は 、 こ れ まで に 述 べ て 手 順 の 内 容 を忠 実 に 逆 に辿 れ ば得 る こ とが 出 来 る 。 上 記 の3つ の正 変 換 に お け る逆 変 換 の概 略 を、 そ れ を行 う順 序 に従 っ て示 す 。 一204一 図18電 7.1純 子 混 色 比 率 逆 変 換 純 度 逆 変 換 1 ク 色 相 逆 変 換 子 色見 本 等の プ ロ グラムの 作成 手順 度逆変 換 最 初 に 白黒 純 度 逆 変 換 、 次 に 心 理 的 色 構 成 比 率 に 関 す る純 度 逆 変 換 、最 後 に 心 理 的 色 相 に関 す る 純 度 逆 変 換 の 順 番 で 行 う 。 以 下 に 、 目 的 表 色 系ACSに 終 的 に 知 覚 さ れ る 心 理 的 色 構 成 比 率 を(W2,S2,C2)と 相h。、 心 理 的 色 構 成 比 率(w。,s。,c。)に (a)6.1.2項 お け る 最 終 的 に 知 覚 さ れ る 色 相 をh2、 最 し、 そ れ が 、 第 二 中 間表 色 系 にお け る心 理 的 色 逆 変 換 さ れ る 過 程 を示 す 。 に お け る 白 と 黒 の 基 本 色 に 関 し て 、 式(97)の 逆 補 正 を含 ん だ逆 変 換 の 式 は tsw=(1-c2)/2(105) を用 い て W1-{(1-tw、)w2十(1-kw)tw、}/(kW-tW、)(106) Sl=1-w,-c2(107) c,=c2(108) と な る 。 ま た 、 式(101)の 逆 補 正 の 式 を含 ん だ 逆 変 換 は S,_{(1‐tWS)Sz十(1-ks)tWS}i(ks‐tW5)(109> W1=1-31-C2(110) c,=ca(111) とな る 。 こ の逆 変 換 にお い て は、 色 相 は変 化 しな い の で h,=ha(112) で ある。 (b)6.1.1項 の(2)の 心 理 的 色 構 成 比 率 に つ い て は 、 式(92)、 (W。,S。,C。)と 本 来 的 な 心 理 的 色 構 成 比 率(W1,Sl,Cl)を 式(93)に おい て、心理的色構 成比率 交 換 した次 の式 co=c,/cl _P(113) wo=w1十(CI-co)wLp1(wLp十sLp)(114) s・=s1+(C1-C。)sLノ(wL,+s1 _,)(115) が 逆 変 換 の 式 と な る 。 た だ し 、 心 理 的 色 相h1に 理 的 色 構 成 比 率(wLp,sLp,cLp)は お い て 高 純 度 色 にお け る 白 味 と黒 味 の 本 来 的 な心 、2つ の 純 度 変 換 関 数G2.とG2、 を用 い て W1 _p=G2w(h1)(116) s,_p=G2、(h1)・(117) cLp=1-G2w(h1)-G2、(hl)(118) か ら得 る 。 関 数G2w(h1)とG2、(h1)は 、 本 来 的 な 心 理 的 色 相h1に 従 っ て(h1を 独 立 変 数 と し て)測 定 さ れ た 高 純 度 色 に お け る 白純 度 変 換 関 数 と黒 純 度 変 換 関 数 で あ り、純 度 逆 変 換 に つ い て は 、 こ の 関 数G2wとG2、 を用 い る 。 一205一 (c)6.1.1項 の(1)の 心 理 的 色 相 に つ い て 、 例 え ば 赤 黄 領 域 に 関 す る 式(89)に 対 して は 、 次 の 逆 変 換 の式 ho=n十uly,*r1 _p1{(1ulr,)Y1-P十uly,*rl_p}(119) を用 い る。 た だ し uiyr=dec(h,)(120) で あ る 。な お 、高 純 度 色 の 赤 と 黄 の 基 本 有 彩 色 に 含 ま れ る 色 味 の 本 来 的 な 心 理 的 色 構 成 比 率rLpは yLpは 式(79)、 式(80)か 、 ら得 ら れ る 比 率 で あ る 。 *** 上 記 の(a)の 白 黒 純 度 逆 変 換 過 程 に お い て 求 め られ た本 来 的 な心 理 的 色 構 成 比 率(WI,S1,c1) の要 素 、 お よ び(b)の 純 度 逆 変 換 過 程 に お い て 求 め られ た心 理 的 色 構 成 比 率(w。,s。,c。)の 要 素 の 中 で 、 い ず れ か の 要 素 が負 と な る か あ る い は1.0を 越 え る場 合 に は 、 そ の 比 率 の 色 は デ ィス プ レ イ装 置 が 再 現 出 来 な い色 で あ る の で 、 そ の 色 は 目的 表 色 系 か ら除外 す る 。 7.2混 色 比率逆変換 第 二 中 間 表 色 系 か ら第 一 中 間 表 色 系 へ の逆 変 換 に お い て は 、 第4章 で 求 め た式(33)、 式(74)の 組 、 ま た は式(51)、 式(52)、 式(74)の 式(34)、 組 が 非 線 形 連 立 方 程 式 で あ る た め に、 そ の 数 学 的 な逆 変 換 の式 を解 析 的 に求 め る の は 困 難 で あ る 。 しか し、 第 一 中 間 表 色 系 か ら第 二 中 間 表 色 系 を作 成 す る 手 順 の 逆 は 、 表 色 系 作 成 の た め の 方 法 論 的 な 意 味 で の 逆 変 換(た だ し数 学 的 な 逆 変 換 で は な い 〉 と見 な す こ とが 出 来 る。 そ こで 、 第4章 に お け る 式 の 導 出 にお い て 、 第 一 中 間 表 色 系 の 測 色 的 色 相hお よ び測 色 的 混 色 比 率(w,s,c)と 、 第 二 中 間 表 色 系 の 心 理 的 色 相h。お よ び 心 理 的色 構 成 比 率(w。,s。,c。)と を交 換 した もの が 、h、w、s、cに W。、S。、C。で あ る)と 7。3ユ 関 して の 逆 変 換 の式(独 立 変 数 はh。、 な る 。 た だ し、 混 色 比 率 逆 変 換 関 数 を必 要 とす る。 ニ ー ク色 相 逆 変 換 h。か らhへ の 逆 変 換 は 、 次 の 手 順 で 行 う。h。は7.3節 で 求 め たhを 用 い る。 まず 、3.1節 に示 す 式 (4)か らh。をh。の 関 数 と して 求 め る 。 そ して 、3.1節 にお け る(a)と(b)の っ て 、 添 字iとjお よ び 定 数nを 決 定 す る。 求 め た 関 数 に添 字iとjが よ う にh。の 範 囲 に よ 定 め るdユ ニ ー ク色 の 色 相 (a1,a2,a3,a4)お よ び定 数nを 代 入 して 、 関 数 の 値h.を 求 め る。 そ して 、hx>5.0な h。<1.0な らばh=h.+4.0、1.0≦h.<5.0な らばh=h.、 らばh=h.-4.0、 と してhの 値 を求 め る 。 *** 電 子 色 見 本 を表 示 す る プ ロ グ ラム は 、 図18に 示 す 逆 変 換 の 手 順 に基 づ い て プ ロ グ ラ ミ ン グ さ れ る 。 な お 、 この プ ロ グ ラ ム に必 要 と な る機 能 を 参 考 まで に示 して お く。 ①ACSの 色 立 体 の任 意 の 断 面(色 相 環 や 色 三 角 形)を 表 示 す る機 能 、② 利 用 者 の最 終 的 に知 覚 す る心 理 的色 座標(h、,w、,s、) に よ っ て 、 特 定 の 色 を色 立 体 か ら検 索 して 表 示 す る機 能 、③ 検 索 さ れ た 色 を 原 始 表 色 系 の 色 を 基 準 に して 比 較 して 表 示 す る機 能 、④ 検 索 さ れ た 色 に対 応 す るCIE-xyY値 を計 算 に よ っ て 求 め 、 そ れ を表 示 す る 機 能 な どが 必 要 で あ る 。③ の 機 能 に よ っ て利 用 者 同 士 の 色 の 感 じ方 の 違 い を知 る こ とが 出 来 る 。 また 、 ④ の 機 能 に よ っ て利 用 者 固 有 のACSを 普 遍 的 なCIE表 色 系 に対 応 させ る こ と が 出 来 、 作 成 さ れ た 電 子 色 見 本 の 客 観 性 を 保 つ こ とが 出 来 る。 一206一 8.お わ り に 本 論 文 で 述 べ た 変 換 の 原 理 は 、 原 始 表 色系 の 表 面 お よ び 内 部 の 一 部 分 の 色 配 列 を観 察 して 、 そ こか ら表 色 系 全 体 の色 を再 配 置 す る と い う方 法 を採 用 して い る。 す な わ ち 原 始 表 色 系 の 表 面 に存 在 す る12色 帯 お よ び 内 部 に存 在 す る1色 帯 の 計13個 の ス ケ ル トン色 帯 に 関 す る利 用 者 の 色 知 覚 に 従 っ て 、 表 色 系 全 体 の 色 の 再 配 置 を行 お う と す る もの で あ る 。 この 再 配 置 に用 い るユ ニ 皀 ク色 相 変 換 と純 度 変 換 は 数 学 的 に は 線 形 変 換 で あ る 。 混 色 比 率 変 換 に つ い て も、 利 用 者 が ス ケ ル トン色 帯 につ い て 非 線 形 的 に 色 知 覚(こ れ は混 色 比 率 変 換 関数 で 表 さ れ る)す る非 線 形 変 換 で は あ るが 、 そ の 効 果 は 内 部 に 線 形 的 に 影 響 を及 ぼ す もの と して い る 。 実 用 的 な 顕 色 系ACSを 構 成 す るには、 第 一 近 似 と して は 、 本 論 文 で 述 べ た 変換 方 法 で 十 分 で あ る と思 わ れ る 。 しか し、 利 用 者 が 内 部 の 色 配 列 を非 線 形 的 に色 知 覚 し、 そ の 程 度 が 無 視 し得 な い 場 合 に は 、 さ ら に近 似 を高 め る 必 要 が あ る 。 例 え ば 、Bezold-Brucke効 果(輝 度 が 強 くな る と色 相 が 異 な っ て 見 え る現 象)(13・14)やAbney効 果(純 度 が 高 くな る と色 相 が や や 変 化 す る現 象)(14)な どが 知 覚 され る と きで あ る 。 この よ う な場 合 で も、 こ こ で 述 べ た変 換 方 法 を拡 張 す れ ば 、 よ り精 密 な 数 理 モ デ ル を構 築 す る こ とが 可 能 で あ る。 本 論 文 で は 、 ペ ー ジ 数 の 関 係 で 第 一 近 似 の 変 換 方 法 の み しか 述 べ ら れ な か っ た が 、 次 回 以 降 の 論 文 で は 、 高 近 似 の 変 換 方 法 を紹 介 し、ACSを ACSの 構 成 す る実 験 例 と 有 効 性 を総 合 的 に論 じて み た い と思 う 。 参考文献 (1)画 像 電 子 学 会 編:カ ラ ー マ ネ ジ メ ン トの 基 礎 と 実 際 一 好 ま しい 色 再 現 を 目指 して 一 、 電 子 画 像 学 会 、pp.5.1.5.8(1gg4)。 (2)東 洋 イ ン キ 製 造(株)編:CromoBaseユ (3)山 口 雅 浩 、 岩 間 涼 他:正 ー ザ ー マ ニ ュ ア ル(Ver.1.0)、 東 洋 イ ン キ 製 造(株)(1993)。 確 な 色 再 現 性 を 有 す る 遠 隔 表 示 シ ス テ ム の 開 発(D(2)、 第57回 応用 物 理 学 会 学 術 講 演 会 講 演 予 稿 集 、pp.799(1996)。 (4)富 永 昌 治:ニ ュ ー ラ ル ネ ッ トワ ー ク を 用 い た マ ン セ ル ーCIE変 換 法 、 日 本 色 彩 学 会 誌 、17巻3 号 、197-198(1993)Q (5)久 下 靖 征 、 葛 西 清 重 、 林 正 剛:XYZ表 学 会 誌 、17巻3号 (6)内 川 恵 二:色 色 系 か らNCS表 記 へ の 座 標 変 換 プ ロ グ ラム 、 日本 色 彩 、203-208(1993)。 の 見 え の モ ー ド、 恒 常 性 、 カ テ ゴ リ ー 、 記 憶 一脳 の 高 次 レ ベ ル に お け る 色 覚 の 心 理 物 理 学 一 、 科 学 、65巻7号 、429-437(1995)。 (7)GaryW.Meyer&.DonaldGreenberg:PerceptualColorSpacesforComputerGraphics,Computer 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