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現代の自殺増加とその対策に対する心理的側面からの

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現代の自殺増加とその対策に対する心理的側面からの
現代の
現代の自殺増加とその
自殺増加とその対策
とその対策に
対策に対する心理的側面
する心理的側面からの
心理的側面からの考察
からの考察
R03040
指導教員
1、研究の
研究の目的
1998年以来、日本における自殺者の数は1年間
で3万人以上にも上っている。これは非常に深刻な状
況である。
表1、年別自殺者数
40000
佐藤
盛
誠
香織
が吹き荒れ、職を失う中年代が激増した年である。実
際に、自殺者の7割が40歳以上のであること、男女
比が7:3で男性が多いこと(表1参照)、そして下の
グラフの通り失業者と自殺者の関係が同じ波を刻んで
いることからも、失業と自殺が関係していることは明
らかである。
表2
30000
20000
10000
女
0
1978年 1980年1982年 1984年1986年 1988年 1990年1992年 1994年1996年 1998年2000年 2002年2004年
男
総数
上のグラフは1978年から2004年までの自殺
者の総数と、それを男女別に示した物であるが見ての
通り、1998年にいきなり3万人に到達し、それ以
降3万人以下になった事がない。2005年も3万人
を超えた為、計8年連続で3万人を越えた事となる。
1998年以前は多くても2万5千人程度であり、ア
ベレージ的には2万人前後を記録していた。また、こ
のグラフには表示されていない、これ以前の年でも3
万人を記録したことはない。つまり、1998年に記
録史上初の3万人を記録するという惨事が起き、その
惨事が8年間も継続しているのである。
さらにいうなら、自殺問題は死者の数だけでは推し
量れない。一般的に自殺者1人に対し、未遂者がその
10倍。そして未遂者と自殺者それぞれの行動によっ
て深刻なショックを受ける親類縁者が、その6倍。つ
まり年間に3万が自殺したとすると、自殺問題によっ
て悩みを抱える人は
(30000+30000×10)×6=1980000
という計算により、約200万人にも上るのである。
問題の深刻さが窺えるだろう。
当研究はそんな深刻化する自殺問題に対して、心理
的側面からアプローチをかけ分析し、現在取られてい
る国、地方公共団体、NPOの対策に対して考察、改
善の提案を行うことを目的とする。
2、研究方法
当研究では、分析や理論の構成に使う知識は、書籍
を中心に得、統計データや事柄に対する調査はインタ
ーネットを活用して行っていく。また、自殺が「精神・
心」に基づく行動(その理由は「3、自殺の現状」で
説明)であることから、問題の理解・分析は心理的側
面から行うものとする。
3、自殺の
自殺の現状
1998年以来3万人以上の自殺者を記録し続けて
いるといったが、1998年といえば、リストラの嵐
しかし、失業=自殺という等式は成り立たない。職
を失うことが直接その人の命を脅かすようなことはな
いからである。生活が圧迫されることはあっても、生
きていくことは可能である。では何故死を選ぶのか。
そこには、心の生み出した「現状に対する絶望」や「未
来に対する不安」などが大きく関係してくる。実際に
経済的に厳しい中でのそういった感情は、簡単に人を
追い込み生きる希望を見失わせる。きっかけは環境や
物理的なことであっても、自殺と言う行動に踏み切ら
せるのは、その人の心以外の何者でもないのである。
他に心理的側面からのアプローチの必要性を感じさ
せるものとしては現代特有の「若い世代での特殊な自
殺」が挙げられる。例としては「インターネット自殺」
や「いじめ自殺」などが挙げられるが、多感であり、
まだまだ未来に可能性がある世代の自殺が目立ってい
るのである。
自殺を理解し、その対策に対して考察を行うには、
心理的側面からアプローチすることがもっとも有効だ
といえる。
4、思想的観点からの
思想的観点からの自殺
からの自殺の
自殺の分類
当研究においては、自殺を心理的側面から3種類に分
類した、フランスの社会学者、エミール・デュルケムの
理論を採用していく。デュルケムは、その動機の根底に
位置する「意志の発生源」に着目し分類し、
「自己本位的
自殺」、「集団本位的自殺」、「アノミー的自殺」の三種類
(「アノミー的自殺」だけは個人ではなく、社会に起因し
たものとなっている)に分類した。それぞれに対して簡
潔に説明する。
4.1、自己本位
自己本位的自殺
「自己本位的自殺」とは、端的に述べると、自殺を起
こす原因・動機に、己以外の要因を一切含まない自殺の
ことである。己の価値観、見解を絶対的なものとし、そ
れに基づいて考慮・判断した結果、この世に生きている
ことに疑問や苦痛を感じて、自らの生を終わらせる。そ
うして起きたものを「自己本位的自殺」という。これに
は「外力」という、人が生きてこの世で生活する限り必
ず受ける、自分以外の何かからの影響を振り切れるだけ
の、確固たる真実を自分なりに創出する必要がある。
4.2、集団本位的自殺
「集団本位的自殺」は、
「外力」によって起こされる自
殺のことである。一番わかりやすい例は江戸時代や戦国
時代などで起きた武士の切腹である。これは個人の意志
で行われたわけではなく、当時の社会がそうすることを
美とし、個人にそうした価値観を植え付けたことに起因
している。外力は例を挙げればキリがなく、家族や友人、
社会や宗教などその個人と繋がりのあるものから受ける
影響力全てを指している。宗教的思想を根拠に行われた
「死のう団」による集団自殺が代表的な例である。
4.3、アノミー的自殺
アノミー的自殺
「アノミー」とはギリシャ語で「神の法の無視」を意
味し、日本語では「無規制」
「無統制」などと訳されてい
る。日本が資本主義経済を受け入れ、市場の拡大を前提
とした、生産・流通の増強を行ったことで、それまでの
社会的枠組み(農村や町など限られた空間での活動)が
破壊され、人が「量」として「力」あるところに雪崩込
むという現象が起きた。それは、人々に賃金を稼ぐ方法
の多さを教えると同時に、己の未来と可能性の無限性を
気づかせた。それは無限に思えるほどの多さであり、
「人
の欲望」を強く刺激し、その結果、可能性があるが故に
今の自分が妥協して生きていることを痛感させられるこ
ととなった。(「均衡」が崩れ、括りがなくなり)無限の
可能性により統制が取れなくなった末に誘発される自殺
がアノミー的自殺といえる。
5、現状の
現状の分析
その人が無職であることや、経済的困難な状況にあった
こと、もしくは何かしらの障害を負っていたなどの報道
がその例であるが、そういった情報は同じような状況に
立っている人には多大な影響を与え、そういった選択肢
の可能性を提示する。つまり、リストラと自殺が繋がる
点を結んでいたのはマスコミ報道であり、それによる「自
殺過程の植え付け」という心理操作が行われていたとい
えるのである。
またインターネット自殺で話題に挙がった自殺サイト
内の掲示板や、単純にインターネットを使った自殺方法
の検索は、従来の枠組みを壊し若年者の自殺を増加させ
ている。下のグラフでわかる通り、ネット自殺がはやり
始めた1998年から先の年では10代・20代合わせ
て、毎年3500人前後の自殺が発生している。
表4
従来の枠組みが壊され、自殺に手を出しやすくなった
という点はアノミー的自殺に近いものであり、それらが
あらゆるメディアを伝わり知れ渡ったことで、自殺の件
数が増加したという点は集団本位自殺の特徴と一致する。
つまり現状は、マスメディアによって構築された外力に
よって自殺が誘発され、それを実行に移す難しさがイン
ターネットによって破壊された状況と言うことになる。
集団本位的自殺とアノミー的自殺が入り混じった状況が
現状の実態である。
6、現在取られている
現在取られている対策
られている対策
国や知公共団体、NPO で取られている主な対策には以
下のような物がある。現在の対策はいずれも「止まろう」
という意志が本人
・ 相談窓口の開設
にあり、
本人が行動
・ シンポジウムの開催
表3,自殺の原因
して初めて有効と
・ 自殺防止サイトの開設、そ
れに伴う自殺防止関係のネ
家庭問題
なる物ばかりであ
3%
10%
3%1% 6%
ットワーク構築
健康問題
る。現在取られてい
6%
・ それぞれの団体における相
経済生活問題
る対策には「止まろ
談役の特別教育
勤務問題
・ メディアに対する報道の勧
う」と思うきっかけ
男女問題
告
を作る視点が欠け
40%
・ 自殺対策基本法の施行
学校問題
ているのである。私
31%
・ 遺族に対するメンタルケア
その他
講習、相談窓口の開設
としては現代の自
上のグラフは遺書があった自殺の動機の 不詳
・ 自殺を理解してもらう為の
殺増加がメディア
パンフレット配布
内訳を表した物である。こうして見るとやはり「経済生
による大衆化によ
活問題」が上位に入っており「健康問題」が4割を占め
って引き起こされ
るという形になっている。しかし、これら「経済問題」
「健
た物であり、
「集団本位的自殺」に近しい物があるという
康問題」はそれらが直接命を脅かしていたわけではない。
点から、
「自殺防止のCM」を作成することを提案したい。
むしろ自殺をしたと言うことは、逆にいえば「自ら命を
能動的に動くことを期待できない自殺願望を持つ人には、
断たなければ死ななかった」と言うこともできる。
効果的なものであると予想できる。
では何を判断基準として、自らの命を断つことを選択
7、参考文献
したのだろうか。この判断基準の構築に大きく関わって
参考サイト:警視庁発表 自殺者数の統計 http://www.t-pec.co.jp/mental/2002-08-4.htm
:図録 失業者数・自殺者数の推移 http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/2740.html
くるのがマスコミ報道である。ある自殺事件の報道に於
:自殺予防支援対策ページ http://www.ncnp-k.go.jp/ikiru-hp/
参考書籍:自殺の思想
いて、大概の場合は自殺した人の状況を一緒に報道する。
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