Comments
Description
Transcript
大腸癌で死なないために 大腸癌治療の現状
大腸癌で死なないために 大腸癌治療の現況 独立行政法人国立病院機構神戸医療センター 外科 島田悦司 部位別癌死亡数(2005年) がんの統計2007「がんの統計」(財団法人がん研究振興財団)より 神戸医療センター外科 大腸癌手術症例数の変遷(1998~2007) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 93 90 69 53 51 39 49 40 39 58 56 40 57 40 57 41 31 12 14 98 99 18 16 18 17 16 0 1 2 3 4 結腸癌 直腸癌 合計 62 62 40 29 28 31 5 6 7 大腸癌の危険因子は? 環境要因・宿主要因の面から 大腸内視鏡検査中の消化器内科末廣部長 大腸癌の危険因子(食品・栄養・身体活動) WCRF/AICRのデータより 評価 予防因子 確実 身体活動(結腸癌のみ) 野菜(果実以外) 関連のない因子 ほぼ確実 可能性あり 食物繊維、でんぷん、 カロテノイド 証拠不充分 消化抵抗性澱粉、 ビタミンC、D、E、葉 酸、メチオニン、穀類、 コーヒー リスク因子 赤身の肉、アルコール カルシウム、 セレン、魚肉 肥満(結腸癌のみ)、 高身長、頻回の食事、 総脂肪、飽和脂肪酸、 動物性脂肪、加工肉、 卵、こげた肉 鉄 大腸癌の 大腸癌の発生を 発生を抑える有効 える有効な 有効な予防法は 予防法は まだ確立 まだ確立されていない 確立されていない ①動物性脂肪、赤身の肉、貯蔵肉、アルコールの 摂取量を少なくする。 ②食生活に注意して肥満にならないようにする。 運動などを 運動などを含 などを含めた規則正 めた規則正しい 規則正しい生活 しい生活と 生活と バランスのとれた バランスのとれた食事 のとれた食事をこころがける 食事をこころがける。 をこころがける。 大腸癌の発生 大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドラインの解説」より 大腸癌発生にかかわる遺伝子 大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドラインの解説」より 大腸癌関連の遺伝性消化管腫瘍 疾患 遺伝子異常 常染色体 大腸癌のリスク 家族性大腸腺腫症 APC MYH 優 劣 60歳までに90% HNPCC 非遺伝性大腸ポリ ポーシス症 MLH1 MHS2など 優 80%以上 Turcot症候群 HNPCC遺伝子の 機能的ホモ接合 劣 100% Peuts-Jeghers 症候群 LKB1/STK11 優 30~50% 家族歴を 家族歴 する 大腸癌 家族歴を を有 有する大腸癌 する大腸癌 大腸癌がすべて がすべて 家族歴を する大腸癌がすべて 大腸癌がすべて 遺伝性というわけではない 遺伝性 というわけではない 遺伝性というわけではない というわけではない。 遺伝性というわけではない。 というわけではない。。 遺伝性の 遺伝性 らかな 大腸癌 もある 遺伝性の 遺伝性の の明 明らかな大腸癌 らかな大腸癌 らかな大腸癌もある 大腸癌もある もある。 大腸癌もある。 もある。。 家族性大腸腺腫症 家族性大腸腺腫症 非遺伝性大腸ポリポーシス )) 非遺伝性大腸 ポリポーシス HNPCC) 非遺伝性大腸ポリポーシス ポリポーシス症 症(( HNPCC) 非遺伝性大腸ポリポーシス症 ポリポーシス症 大腸癌の肉眼分類 大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドラインの解説」より 大腸癌の浸潤 大腸癌の転移経路 大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドラインの解説」より 大腸癌の症状は? 当院検査科(病理)藤田科長 大腸癌の部位別頻度 大腸癌の症状 右側結腸癌 左側結腸癌 盲腸~横行結腸 下行結腸~S状結腸 貧血 腫瘤(しこり) 頑固な便秘 腸蠕動不穏 左側腹部痛 下痢と便秘 下血 腸閉塞 直腸癌 下血 便意頻回 便柱が細くなる 便秘・下痢 腰痛 骨盤痛 大腸癌の診断は? 検診、スクリーニングのおすすめ 注腸透視検査中の放射線科森田部長 検診はなにがいい? 大腸癌検診ガイドラインより 便潜血( 便潜血(推奨グレード 推奨グレードA) グレード 大腸内視鏡( 大腸内視鏡(推奨グレード 推奨グレードC) グレードC) 注腸透視( 注腸透視(推奨グレード 推奨グレードC) グレードC) 直腸診( 直腸診(推奨グレード 推奨グレードD) グレードD) 大腸癌検診とその後 一次検査 便潜血 便に混じっている血液を検査 大腸癌のスクリーニング検査 簡単にできる(市町村で検診あり) 陽性 精密検査 大腸内視鏡 大腸粘膜を直接 観察 注腸検査 バリウムを使って X線で撮影 異常あり 異常あり 治療 陰性 異常なし 異常なし 定期的検診 血液検査と大腸癌 大腸癌と関連する腫瘍マーカー CEAとCA19-9 腫瘍マーカー 腫瘍マーカーの マーカーの診断感度、 診断感度、特異度は 特異度は低い。 早期癌の 早期癌の発見には 発見には効力 には効力を 効力を発揮できない 発揮できない。 できない。 陽性時には 陽性時には 1)手術の 手術の完成度や 完成度や化学療法の 化学療法の効果 2)再発癌の 再発癌の早期発見 に有用。 有用。 大腸癌治療のながれ 不可能 内視鏡治療は 内視鏡治療は? 切除可能か 切除可能か? 可能 不可能 可能 ポリペクトミー EMR ESD 抗癌剤 緩和医療 腹腔鏡手術の 腹腔鏡手術の適応は 適応は? 適応あり 適応あり 腹腔鏡手術 適応なし 適応なし 開腹手術 大腸癌の臨床病期(ステージ)分類 大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドラインの解説」より ステージ0~Ⅲ大腸癌の治療方針 大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドライン」より M 癌、 SM 癌の治療方針 大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドライン」より 大腸癌の内視鏡的治療 ホットバイオプシー、 ホットバイオプシー、ポリペクトミー EMR(内視鏡的粘膜切除 内視鏡的粘膜切除) 内視鏡的粘膜切除) ESD(内視鏡的粘膜下層剥離 内視鏡的粘膜下層剥離) 内視鏡的粘膜下層剥離) 内視鏡治療の合併症 出血 0.36% 36% 穿孔 0.2% 外科的治療 開腹手術 腹腔鏡補助下手術 Stage 0~Stage III 大腸癌の手術治療方針 大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドライン」より Stage IV 大腸癌の治療方針 大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドライン」より 結腸癌の手術 大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドラインの解説」より 直腸癌の術式はどうして決まる? 直腸癌局所再発率 約10% 10% 局所再発を 局所再発を防止するには 防止するには 適切な 適切な肛門側切離距離 高・中分化型 低分化型 早期癌 0.5~ ~1㎝ ㎝ 進行癌 1~ ~2㎝ ㎝ 2~ ~3㎝ ㎝ 直腸癌 前方切除術 直腸切断術 腹腔鏡補助下大腸切除術とは 炭酸ガス 炭酸ガスでおなかをふくらませ ガスでおなかをふくらませ、 でおなかをふくらませ、腹腔鏡で 腹腔鏡で観察しながら 観察しながら、 しながら、 数箇所の 数箇所のポートから ポートから器具 から器具を 器具を入れて手術 れて手術。 手術。 外科治療のやり 外科治療のやり方 のやり方のひとつ。 のひとつ。 結腸癌、 結腸癌、直腸S状部癌 直腸 状部癌の 状部癌のステージ0、 ステージ 、Ⅰに適応あり 適応あり。 あり。 手術の合併症 縫合不全 縫合不全 腸閉塞 腸閉塞 創感染 創感染 結腸癌1.5%、 結腸癌1.5%、 直腸癌5% 直腸癌5% 10~15% 10~15% ステージ別大腸癌累積5年生存率 大腸癌研究会大腸癌全国登録1991~1994年度症例 (単位%) ステージ 0 Ⅰ Ⅱ Ⅲa Ⅲb Ⅳ 全体 結腸癌 94.8 90.6 83.6 76.1 62.1 14.3 71.4 直腸癌 92.9 89.3 76.4 64.7 47.1 11.1 67.7 大腸癌全体 94.3 90.6 81.2 71.4 56.0 13.2 69.9 大腸癌の 大腸癌 治療成績 良好 である 大腸癌の の治療成績は 治療成績は は良好である 良好である である。 大腸癌の 治療成績は 良好である。 である。。 早期癌であれば 早期癌 であれば 内視鏡治療 早期癌であれば であれば内視鏡治療 内視鏡治療や や 早期癌であれば内視鏡治療 であれば内視鏡治療や 内視鏡治療や 腹腔鏡手術などの 腹腔鏡手術 などの 低侵襲手術 腹腔鏡手術などの などの低侵襲手術 低侵襲手術の の選 選 腹腔鏡手術などの低侵襲手術 などの低侵襲手術の 低侵襲手術の 択肢がある 択肢 がある 択肢がある がある。 択肢がある。 がある。。 早期発見早期治療が 早期発見早期治療 大切 早期発見早期治療が が大切! 大切! ! 早期発見早期治療が 大切! 大腸癌治癒切除後再発頻度 大腸癌研究会・プロジェクト研究1991~1996症例より 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 40.8 24.1 再発(%) 再発 (%) 12.5 3.7 Ⅰ Ⅱ Ⅲa Ⅲb 再発部位別再発率(%) 大腸癌研究会・プロジェクト研究1991~1996症例より 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 17 再発部位 7 4.7 3.9 3.7 0.4 肝臓 肺 局所 吻合部 その他 その 他 全体 術後経過年数と再発発現頻度 大腸癌研究会・プロジェクト研究1991~1996症例より 100% 80% 5年 4年 ~3年 60% 40% 20% 0% Ⅰ Ⅱ Ⅲa Ⅲb 再発大腸癌の治療方針 大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドライン」より 肝、肺切除例の生存率は? 肝切除後の 肝切除後の5年生存率 年生存率は ~50% % 年生存率は20~ 肺切除後の 年生存率は ~60% % 肺切除後の5年生存率 年生存率は30~ 大腸癌の抗癌剤治療について 当院外来化学療法室、森田医長 大腸癌化学療法に使われる抗癌剤 イリノテカン オキサリプラチン セツキシマブ Cetuxi UFT/LV CPT-11 L-OHP Beva 5-FU UFT TS-1 Cape カペシタビン Cytotoxic agents ベバシヅマブ 分子標的治療薬 2005~ 2005~ 術後補助化学療法の適応 治癒切除が行われたステージⅢ結腸癌 主要臓器機能が保たれている FU/LV( (ロイコボリン) ロイコボリン) UFT UFT/LV Cape( (カペシタビン) カペシタビン) 投与期間は 投与期間は 術後6ヶ 術後 ヶ月間が 月間が多い 7~ ~8% %の上乗せ 上乗せ 切除不能転移・再発大腸癌に対する化学療法 切除不能な転移・再発大腸癌 →現状では治癒できない 「化学療法の目標」 腫瘍増大を延長させて症状コントロール 切除不能・再発大腸癌の化学療法 FOLFOX(5 5-FU/LV+ +オキサリプラチン) オキサリプラチン) 5-FU/LV+ +イリノテカン) イリノテカン) FOLFIRI(5 FOLFOX/FOLFIRI+ +ベバシズマブ 大腸癌の 大腸癌の再発治療に 再発治療に有効な 有効な抗癌剤治療法が 抗癌剤治療法が つぎつぎに開発 つぎつぎに開発されている 開発されている。 されている。 抗癌剤の副作用対策はすすんでおり 外来治療が中心。 大腸癌で死なないためには 何をなすべきか? 大腸癌検診をうける 大腸癌検診をうける! をうける! 異常があれば大腸内視鏡検査! ご静聴ありがとうございました 静聴ありがとうございました。 ありがとうございました。