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解は正しいか
解は正しいか 池 k 博 1 . はじめに 「高校の物理は少なくとも、一部大学の教育内容とつながる知的レベルを持ってほしい な」というのが最近の授業での感想である。というのは、例えば、ニュートンの逆二乗則 を教える場合、「これは法則であるから疑問をはさむ余地はない」と生徒達に教えるわけ であるが、「でも、ほんのちょっとでもずれたらどうなるのかな」という疑問は物理に興 味を持つ何人かの生徒は持つようである。この疑問に正し〈答えることのできる先生は少 ないように思うが、それは、たとえば天体の二体問題の軌道に話を限っても、三れを方程 式で記述すれば、連立微分方程式となり、解析的に解けはするものの、現象をパラメトリッ クに調べようとすれば、多量のデータを計算処理しなければならず、しかもこれを表示し ようとすればコンビュータの力を借りる必要があるからであるこ 三体問題になると、もう解析的には解けず、/レンゲ・クノタ法等を用いた数値計算に頼 らざるを得ない G すなわち、現在の高校物理で教えている内容をほんの少しでも踏み込ん でその内容の充実を図ろうとすれば、そこはもう数値計算の世界なのである。 本報告の後半でも述べるが、自然現象を記述する方程式、たとえば流体の基礎方程式な 5 0年ほど前に導かれていたが、当時はこれを解く手段がなく実際に解ける どは、すでに 1 ようになったのは、コンビュータが高速化、大型化したごく最近のことであるつ 従来、高校の物理は主として比例関係が成り立つ領域に限られていた。しかし、世の中 には比例関係ぐらい退屈な関係はなし h つるまきばねとして軟鋼のはりがねで‘作ったもの を用いて、ある程度より重いおもりを乗せたらずるずると伸びて塑性変形をしてしまった というところを見せれば、生徒に印象深いだろう。そうするとブソクの法則は決しさ n明 な法則でなく、ある決まった条件の下でのみ成り立つことがわか η、この法則の意義と意 味を理解するであろうむ 大学や研究所等では殆ど数値解析の領域での研究が主で、あるが、これはほと人との場合 非線形連立偏微分方程式を取り扱うからである。いま、高校の物理は了度ごの解析解(結 果は数式で表示される)と数値解析解(結果は数値のみで表される j の境界領域にさしか かっているといって良いであろう。 生徒達がこれまでやみくもに丸暗記してきた公式が、実は原理から論理的にあるいは数 学的に導き出されたものであり、実際、物理的現実をよく表す法則であるごとを納得し、 -40 原理から少しでも外れると現象を説明し得ないことを確認できたとき、初めてその面白さ が分かり、物理学に対し更に興味を示してくれるものと思う D さて、高校で教える初等物理学では以下に示すような三つの理想化 (1)が行われている。 すなわち 初等物理学では ① 物体は質点である。 ポンチ絵等を描く場合、質点をある大きさの円で示すために、扱う質点は大き さを持っていると勘違いしている生徒が結構多い。 ② 二体問題までしか扱わない。 三体以上の多体問題は解析的に解くことが出来ないということは、ポアンカレー によって数学的に証明されており、二体問題しか扱っていない。 ③ 線形現象のみを扱い、非線形現象は扱わない。 現実の世界はほとんど非線形である。高校では、応答する成分が過去の履涯を 問わない場合、すなわち重ね合わせが可能で、時間の順序を問わない場合しか扱 わない己 また、以上三つの理想化が行える場合、運動方程式は解析的に解けるのである。 しかし、 この中のどれか一つでも満足しない場合は、解析的に解くことは難しく、その場合は数値 計算で解を求めなければならない 大学や研究所などで問題解決に数値解析を用 t、た場合、結果は数値のみで表されるため、 その解の吟味は高校で習うレベルの解析解で、アプローチするのが殆どで、しかもそれが第 -次近似解で去ることを考えると、高校で習う解析解には大きな意味があり、しかも非常 に重要であることを教える側はもっと深〈認識する必要がある。 本報告は、まず、問題から導かれた解析解が正しし、かどうかを、その解に着目して吟味 する方法について述べ、次に解析解と数値解析解の具体例を挙げ、解析的に解く方法と数 値計算で、求める方法との比較を通して、両解法が持つ特徴を認識、理解し、さらに、有限 要素法で代表される数値シミュレーンョンを紹介し、今後の授業の参考にするのが主な目 的であるこ 2 . 7 トウソドの器械 自分自身で導いた方程式とその方程式の解が正ししゅ、どうかの吟味はむかしから多くの -41- 人を悩まし続けている問題である。 演習問題のレベルでの間違いは「あっ、しまった間違った」で済むが、大学入試問題等 で答を求める場合や現象を支配する方程式を導き、解を求め、その結果を用いて実際に物 を作るような場合には、この間違いは致命的である。 したがって、解が正しし 1かどうかの吟味は物理や化学の分野のみならず数式を用いて理 論を展開する分野(例えば経済など)においても非常に重要であるつ 解の吟味の方法は、解法の手順を最初からしっかり見直すというのが基本である t "か し、式が複雑すぎるような場合や他人が導いた式などを吟味しなければならないような場 合には大変である。そこで、このような場合には、別の方法を考えなければならない r す なわち、極端なケースを幾っか考えて、それで解の妥当性を検討しようとする方法でみる J 実はこの方法は生徒達に開発したシミュレーション・プログラムを体験させる場合に、 生徒達が無意識のうちにやっていることであるっすなわち、最初、生徒達は教科書の範囲 内の数値をインプットし物理現象を楽しそうに見ているが、しぼらくすると、とんでもな い値(質量や速度など)をインプ y トし始める。との時、すかさず、「その発想が大切だ よ」と声を掛けている。 小学校や中学校での解の吟味方法は主に「解法の手順を最初からしっかり見直す J ごと が基本であるが、高校、大学へと進むにつれて、「結果のみを、別の方法で吟味する J こ とが多くなり、しかもこの方法は、非常に効率的であり、有効である。 以下では、後者の方法について、具体的な例を用いて検討し、その一有効性について述べる c まず、図 1は理科 1の教科書にでてくる、滑車にかけた糸の端の物体の運動を示すポン チ絵である。図の記号にしたがって、この問題を解し、てみよう。 a )でつなぎ、なめらかな滑車にかけた装置 質量 mlとm2のおもりを質量の無視できる糸 ( をアトウッドの器械と呼んでいる。 ml>m2とし、また重力加速度の大きさを g として、 おもりの加速度の大きさと糸の張力を表す式を求めなさい。ただし、 mlが下向きに、 m2 が上向きに動く場合を正とする。 この問題は、半分以上の生徒が正解を出してくれる。 正方向の加速度を α、糸の張力を Tとすれば 質点 mlについての運動方程式は -42 m1α=m1g-T'・・・・・① 質点 m 2についての運動方程式は m2α=T-m2g..・・・・② ①十② より加速度 αは 口1 2 m1-m 2 g ~. . . . . . .~ m1 t -m2 - 口1 1 瓜 α~. 図1 ①式に③を代入し、張力 Tを求めれば T=_ _ _ lm 1m2 ー m1+m2 ④ 0 ~ となる。生徒達はこの式を求めるとすぐに「先生出来ました」といってくる。 そこで、数値を代入する前に、いくつかの質問をする。とくに、 m1>m2の条件をは ずして考えさせると面白い。 ( 1 ) ③式と④式は本当に正しいか? m 1, m2が極端な値を持つ場合について考え なさい。 ( 2 ) 加速度 αの正の向きはどちらかっ 加速度 αの向きを図とは逆の向きに正をとれ ば答えはどうなるか考えなさい。 ( 3 ) 滑車を吊っている糸の張力 Tは 、 m 1、m2を一緒に纏めて直接糸で吊った場合の 張力 T" (おもりが加速度運動をしていない場合に相当)に比べ、どう違うか調 べなさい口 ( 4 ) m 1とm2に働く張力は等しいとしているが、何故か答えなさい。 -43 ( 1 )、( 2 )では、生徒たちは何度も計算式を見直し、答が正しいことを確認する O ( a ) 加速度 αについて ( イ ) m2=Oの場合 ml=Oの場合 ( 吋 α=gとなり mlは自由落下になることを理解するむ α=-gとなり、生徒達は符号でちょっと戸惑うがすぐ m2の 自由落下であることを理解する O m, =m2の場合 αニ Oとなる。これは釣り合って止まっているか、等速運動 川 をしていることを理解する c ( ニ ) ml>m2の場合 α>0すなわち、 m ,が下向きに、 m2が上向きに動くと ( ホ ) ml<m2の場合 α<0すなわち、 mlが上向きに、 m2が下向きに動〈。 ( b ) 張力 Tについて ( イ ) ml=m2ニ m の場合 T=mgとなり、釣り合っているか、等速 運動をしているかのいずれかである口 ( 3 )では 糸に直接mlとm2を吊り下げるばあいの張力 T" は T" - (ml十 m2) g . . . . . . ⑤ -44一 T ¥ j汁le ミO 十 JK ハ I . 口1 1十口1 2 z' (ml-m2)2 T 小! t l l ・ ﹄ :.T" - T =⑤ 式 -2x④ 式 ( a ) ml=m2 の場合 釣り合っているか、等速運動をしており T" =Tである D ( b ) ml手 m2 の場合 物体が動いている(加速度運動をしている)場合には T" >T 。 質量差が大きいほどその差は大きい。 ( 4 ) この問題は、注意深く学習している生徒にとっては疑問点として、必ず質問され る事項である。 いま、糸の微小部分 dxをとって、糸の単位長さあたりの質量を μ、 dxに働 〈張力をそれぞれ T、T ' とすれば(図 2) この部分の運動方程式は μdxα=μdxg+T' -T ......⑥ で表される。ところが、題意 ( a ) より μ=0であるから T T =T 咽 α↓ すなわち、 T=一定である。 ↓T T 問い 図2 上の解説をヒントに、簡単な問題を作りなさい。 例 十ト Uf ーの 次のはかりは何kgを示すか。ただし、 1つのおもりはそれぞれ質量 l何で、ある c m 2町1 2m -45 3m 3 . 解析解 ( 1 ) 組み合わせ滑車に掛けた糸の端の物体の運動 図のように、質量m 3のおもり Aと、質量m2のおもり Bを糸で結んで滑車 Pに掛け、 滑車 Pと質量 mlのおもり Cを糸で結んで、固定滑車 Qに掛け、A. B . Cを動かない ように手で支えた後、同時に静かに放す。この時の Cの加速度、および Pに掛けた糸の 張力を求めなさい。ただし、糸、滑車の重さ、摩擦、空気の抵抗はすべて無視するもの とする D C 町1 3 A 図1 この問題は、過去に何校かの私立大学で出題された入試問題であり、初めて自にする 生徒にとっては、結構難しい問題である。 出題では、 A, B, Cの質量がそれぞれ m, 2m , 3m となっており、固定滑車の 両側で滑車が動かなければ、釣り合うように見える。したがって、加速度は Oであると してしまいそうな問題である。 本間を以下の点に注意して解いてみよう。 ( a ) 出題者の意図は、滑車 Pに掛けた質点A. Bは左右で釣り合わないために回転し、 したがって、前章の考察より、滑車 Pを吊るす糸の張力は Cを吊るす糸の張力の 3 m gより小さくなり、おもり Cは下向きに加速度 ( α とする)で降下し、 Pは同じ 4 6ー 大きさの上向きの加速度で上昇する。すなわち、この組み合わせ滑車に掛けた物体 は加速度運動をする。 ( b ) 前章の結果より、滑車の重さと軸における摩擦を無視すれば、これに掛けた糸の 張力は、滑車の回転の有無に関わらず、滑車の両側で等しい。 ( c ) 座標系は床を基準にとり、おもりA. さ 3、Bは下向きに大きさ Bの Pに対する加速度を Aは上向きに大き 3とすれば、 Aの床に対する加速度は上向きに α十 3、 Bの床に対する加速度は下向きに一 α +[3である c 質点m1. m2および m3についてそれぞれ運動方程式を立てれば次式を得る。 打11α= 口1 1g -2T -・・① m2 ( [ 3-α) =m2g-T'" ・・・② m3 (α+( 3)=T-m3g......③ ①、②および③より α T B 口1 1町1 2十 ロ1 1町13-4m2町1 3 m1打1 2十口11m3十 4町12m3 3 4η11m2口1 ロ11m2+ロ11m3十 4π12町1 3 g .....・④ g. . . . . . ⑤ 2m1 (m2-m3) g..・・・・⑥ 口1 1町1 2十 町1 1口13+4η12町1 3 解の吟味 生徒は解④、⑤および⑤を導くと、もう満足して「はしリ出来ました、で終わって しまう。そこでもう少し刺激する。 ( a ) 解が正しし 1かを検討しなさい。 -47- ( イ ) 汀11=2 m、m2=m3=m の場合 α=0、T=mg、8=0となり我々の常識と合致する。 ( ロ ) 入試問題のように解があれば 12=2口1 , m3=m の場合 ロ 1 1= 3口1 ,ロ α- 1 7 . o jn g 0 2 4 T=1 7m g g 、)弓i { l ハ円μ となり、入試問題の解と A 致する , 2ニ m .lごごっ「口1 の場合 口1 g mm 一 一 mm α T=--~ ロ11m2 只 一 一 一 口1, ト ロ一 1 2 ~ となり、 これは前章の解に 致する。 これらより、解は正 i い Y 考 え }1 < ' 、 司 ι u 解の性質を調べなさいっ 例えば、多くの生徒達が釣り合うと考えてしまう Qの 左 右 で 質 量 が 等 , 1 易f ?に ついて調べてみる。 ④、⑤、⑤式に条件 m ,=口1 2 η 1 3 を代入し、整卑すればそれヂ 1次式を得 十 る 。 α= ( 口1 2 口1 3 ) 2 2 → 4m2m3 (m2十 m3) ー 。 -48- 4m2m3 (m2十 m3) g.‘・・・・⑧ T= (m2十 m3) 2十 4m2m3 s-2(m2 十 m3) (m2-m3) 一一一一一一一一一一一一一ー g . .....⑨ ( ロ12+m3)2 十 4m2m3 加速度 αについての考察 αと O である。 ⑦式より ( イ ) m,m Jの場合 α=0であり、質点は止ま「ているかあるいは等速直線運 動を行っている士 u, r n '> 巾 または m : ;く〆 fアログヲ場台 1 , γ-"" ( ; T~' t ; . , :" ¥ 三〉{)であろ〔と占 . 、 一 、 . <0で、妻)J己 主 と、'翼点(、 1 は下 E きするコ t u 張力 Tにつ IA , " ". / -白 i { アの考察 号、なる rn~, I ! ? 1ミ;列車;二対して毛常に T>Oである U ρに /ll 加速度 3につしちて 7 )考察 式より 〆 イ τ11 m とで I T 1 "の場合 戸 二 ご ( jであり、質点は静止して釣り合勺ているか等速直線動 を行ぺているふ { ロ ! m:、 二m3の場合 3 ;>(ーであり、質点 Bは下降、質点 Aは上昇する r い ) 打 ] 之 <m3の場合 己く Oであり、質点 Bは上昇、質点 Aは下降する。 -49 以上をまとめて表 1に示す。 表1 ~ 結果のまとめ 。 T α ロ1 2二口}3=ロ1 町1 2>口1 3 ロ19 正 正 負 C したがって α!+ ロ12<口1 3 。 B f f i l = f f i 2 + f f i 3の条件のもとでは、 ( a ) { 3=0のとき、 α=0、T>Oである。 m, 打1 2 ( b ) { 3>0または{3<0のとき すなわち、おもり A . Bのどちらが下降しようと、 Cは必ず下降し、 α>0、 T>Oとなる口 聞い f f i l= Ff f i 2十 f f i 3で 、 Cが静止を続けるためには、 Cの質量はどれだけにすればよい か検討しなさい。 -50 ( 2 ) ホイートストンブリッジ 次に、よく似た問題を考えてみよう。ホイートストンブリッジの検流計の部分に流れ る電流を求める。ただし、図 2のように検流計の抵抗は R5、電池の内部抵抗を Oとす る 。 図2 検流計に電流が流れるかどうかは通常 ACとA Dの電圧降下で片づけてしまうが、こ こでは、図のように電流を仮定し、キ jレヒホヅフの法則を適用して求める。 第 I法則より i0 i 一 i2 =0 (A点) ・・・・・・① 11十 15一 i3=0 (C点) ・・・・・・② i5= 0 ( D点) ・・・・・・③ 12 14一 第 E法則より i2 R 2十 isR5-ilRlニ O (閉回路 ADC) ・・・・・・④ i4R4一 i3R3-i5R5=0 (閉回路 BCD) ・・・・・・⑤ -51ー i2R2+i4R4=E -・⑤ 未知数 i0からいの 6個、式の数 6個で 1次独立であるから、 15に関して次式を得る。 15 RlR4-R2R3 E ......⑦ R s ( R J + R 3 )(Rz 十R, ) 十R J R 3 ( R z + R,)十 R z R . ( R J十R 3 ) 解の吟味 式⑦の分母は複雑で、この式が正ししゅ、どうかはすぐは分からない。そこで l章で 述べたように、ここでも抵抗 Rl~R4 に極端な値を代入して解の妥当性を検討するコ ( a ) Rl=R4=Oの時 f l 3 E R5 ^ ,c いは下向き ( b ) R2=R3=Oの時 E R5 R I ,^ i5 は上向き l J , C O ( c ) R, =R2=0の時 i5=0 JL/1 f i U / i ( d ) R2、R3=∞の時 15-一 E Rl+R5十 R4 15は下向き - ー ベ 「 二l -52 i i y t ハ 2 ; C ( e )R J、R4=∞の時 ¥ 、 、 日 15 E R 2十 Rs+R3 ~ l J 15は上向き → 主 以上より、解は正しいと考えられる。したがって ( a ) RIR4ニ R2R3の時 R5には電流は流れない。すなわち、ブリッジを組んだ場合 この状態を利用して未知の抵抗値を求めることが出来る。 ( b ) RJR4>R2R3の時 i5 >0 電流は上向きに流れる。 ( c ) RJR4<R2R3の時 i5<0 電流は下向きに流れる c 問い ( 1 )や ( 2 )に類似の問題を探しだし、検討を加えなさい。 4 . 数値解析解 ( 1 ) 組み合せ滑車に掛けた糸の端の物体の運動 前章で求めた連立方程式を再記すれば次の通りである。 f f i l α 十 2 Tニ f f i 2 α 十f f i 2( 3+ f f i l g ......① T= f f i 2g . . . . . . ② ffi3α+ffi3( 3- T=-ffi3g . . . . . . ③ これをマトリックス形で表せば、次式を得る O すなわち f f i l 。 ロ1 2 口1 2 町1 3 打1 3 2 -1 α 打1 : B f f i 2 T 町1 3 ~ g. . . . . . ④ この連立方程式を直接解くことを考えよう。計算条件は f f i, = f f i 2十 f f i 3であるので、 これを代入すれば、 2元連立 1次方程式になり元数が 1つ減るが、こごでは手計算はし、っ さい考えないで 3元連立 1次方程式を解くこととし、データは入力で調整することにし て計算を進める。 ④式を見ただけでは、前章のような解の見通しが全く立たない。そこで、ここでは f f i l =1とした時の、 f f i 2 .f f i 3がとり得る全ての値についてパラメトリソクに検討する。 計算結果を表 1に示す。 -54- 表 1 計算結果 (ml=m2十 m3 ただし ml=1 g =1 .0 ) 3 T ロ1 2 町1 3 α 0 . 0 5 0 . 9 5 0 . 6 8 1 1 .5 1 3 0 . 1 6 0 0. 10 0 . 9 0 0 . 4 7 1 1 .1 7 6 0 . 2 6 5 0 . 1 5 0 . 8 5 0 . 3 2 5 0 . 9 2 7 0 . 3 3 8 0 . 2 0 0 . 8 0 0 . 2 2 0 0 . 7 3 2 0 . 3 9 0 0 . 2 5 0 . 7 5 0 . 1 4 3 0 . 5 7 1 0 . 4 2 9 0 . 3 0 0 . 7 0 0 . 0 8 7 0 . 4 3 5 0 . 4 5 7 0 . 3 5 0 . 6 5 0 . 0 4 7 0 . 3 1 4 0 . 4 7 6 0 . 4 0 0 . 6 0 0 . 0 2 0 0 . 2 0 4 0 . 4 9 0 0 . 4 5 0 . 5 5 0 . 0 0 5 0 . 1 0 1 0 . 4 9 7 0 . 5 0 0 . 5 0 0 . 0 0 . 0 0 . 5 0 0 0 . 5 5 0 . 4 5 0 . 0 0 5 0 . 1 0 1 0 . 4 9 7 0 . 6 0 0 . 4 0 0 . 0 2 0 0 . 2 0 4 0 . 4 9 0 0 . 6 5 0 . 3 5 0 . 0 4 7 0 . 3 1 4 . 4 7 6 0 0 . 7 0 0 . 3 0 0 . 0 8 7 0 . 4 3 5 0 . 4 5 7 0 . 7 5 0 . 2 5 14 3 0. 0 . 5 7 1 0 . 4 2 9 0 . 8 0 0 . 2 0 0 . 2 2 0 0 . 7 3 2 0 . 3 9 0 0 . 8 5 0. 15 0 . 3 2 5 0 . 9 2 7 0 . 3 3 8 0 . 9 0 0 . 1 0 0 . 4 7 1 1 .1 7 6 0 . 2 6 5 0 . 9 5 0 . 0 5 0 . 6 8 1 1 .5 1 3 0 . 1 6 0 これらをまとめて図 1、図 2および図 3にそれぞれ示す。 3 .( 1 )の解の性質で述べた項 目は、数値計算後、これを旨くまとめて初めて分かることであり、この点で解析解は解の 見通しが非常に良いことが分かる O -55- 1 .0 0 0 . 8 0 0 . 6 0 α cm α C 11 ゑ 0 . 4 0 A A 町1 3 , 町1 O .2 0 。 O .0 0 一 ー . 2 ・ . , . . . 6 . 4 口1 2 . 8 図 1 おもり Cおよび滑車 Pの加速度 (α) -56- x2 1 .00 T O .8 0 T l i - → O .6 0 F ,,〆 •• •••• J d 0 . 4 0 d 仇 八 / / / / O .2 0 " ¥ T ↑ / ¥ nHvnHU ハ U ハ U lJV ↑ ↓ A B m 2 , m2 打1 . 2 . 4 . 6 図 2 滑車を吊っている糸の張力 5 7 . 8 2 . 0 0 。 図 3 おもり A . Bの Pに対する加速度 (β) -58 ( 2 ) ホイートストンプリゾジ 3 . の連立方程式をマトリックス形で表せば、次式を得る G 。。。 。 。 。 。。 。 。R, Rz 。。Rs 。。。-R3 R4 -R5 。。R2 。R4 。 10 。 。 。I 。 。 . . . . . . ① 15 E この連立方程式を直接解いてみよう口滑車の問題と同様に、解の見通しが悪いので、 ブリッジの性質を全く知らない解析者にとっては初期値に何を選ぶかが大きな問題で ある O ここでは、少なくとも R1R4=R2R3 は何か別の方法で見いだし得たという想 定で計算を進める。 入力データを表 1に、計算結果を表 2と図 lにそれぞれ示す。これからも判るよう に、数値解析解はかなり擾雑な問題が解ける反面、結果のデータ処理をうまく行わな いと問題の本質をつく解を得るのはなかなか難しい。 一般に、数値計算を行う場合、解析対象の簡単なモデル化により、定性的な、出来 れば定量的な、特徴を前もって掴んで解析する場合が多い。 しかし、このモデル化の作業が解析対象の解の見通しを左右するので、その作成に 当たっては、工学的センスが重要であり、高校で習った物理の知識が大いに役立つの である。 なお、巻末の p/72~p/74 は連立方程式の解法とグラフ作成プログラムである。 これらは、ロータス 1-2-3の科学計算フォーム集を使ってもよし、 問し¥ p/72の連立方程式のプログラムが正しし¥かどうかを検討しなさい。 υ に 表 1 入力データ Rl R2 R3 ケース 1 2 . 0 1 .0 2 。 開 ケース 2 2 . 0 1 .5 2 . 0 ケース 3 2 . 0 2 . 0 2 . 0 ケース 4 2 . 0 2 . 5 2 . 0 ケース 5 2 . 0 3 . 0 2 . 0 表 2 計算結果 ケース 1 ケース 2 ケース 3 7-, 74 ケース 5 7 . 8 4 1 7 . 5 8 0 7 . 5 0 0 7 . 5 8 0 7 . 8 4 1 11 3 . 0 6 8 3 . 4 3 1 3 . 7 5 0 4 . 0 6 9 4. 43 2 12 4 . 7 7 3 4. 14 9 3 . 7 5 0 3 . 5 1 1 3 . 4 0 9 13 4. 43 2 4 . 0 6 9 3 . 7 5 0 3 . 4 3 1 3 . 0 6 8 3 . 4 0 9 3 . 5 1 1 3 . 7 5 0 4 . 1 4 9 4 . 7 7 3 1 .3 6 4 0 . 6 3 8 0 . 0 0 0 15 一 -60 -0ω 1 .3 6 4 8 一ーー-一一'ー~ー 。 円 一~ーー、ー一、 7- / 0 民V 電流の大きさ 1 . 1 2 -ー日・一 _.-・ー - 43- 一-♂~~て=::-:::::-一一, -~- 一一二 : = : : τ・ー...=.:二二 ー ー--_晶、ー~-叫ー- 一一・ 4 一ー~.一 ー・一ー.-ー一一一一ーー・ーー:守廿・門戸作目戸一 一日・ ~1'!:"","'-F / 1 {J 248A ・一 、一 一 司 、 ー 、可p h ・ 」 日 」 8 ー I S 句 、 一一 ー 、 ‘ 一 一ー‘ー、'._ ー 一 、 e 一 ー 』 - 九 九 一 ー ー・ー ーーー ー 、‘ 一一、ー } 九 」 一、 2 ケース 2 ケース 1 ケース 3 ケース 4 計算ケース 図 l 結果のまとめ C メ 二 門ぺ R主 λ Rも ¥ L dJ R‘ バ イ ペJ -61 B ケース 5 5 . 解析シミコレーション いままでは、解析的に解くことが出来ない訳ではないが、少々厄介な場合、連立方程式 をコンビュータの力を借りて解くという問題であった。しかし、現実にはその現象を支配 する基礎方程式(例えば、非線形偏微分方程式)は導くことは出来ても、解析的には解け ない問題の方がはるかに多い。とこでは、この種の問題をちょっと司郎、てみるごとにしよう ο 理学、工学系の数値解析というときは「高校などで習っている解析的方法に対して数値 的方法」の意味であることが多く、具体的には数値実験(解析シミュレーション)を意味 する場合が多い。 従来、理学、工学の研究方法としては ( 1 ) 実験による研究 ( 2 ) 数学的解析による研究 が主流を占めていたが、最近では ( 3 ) 数値解析による研究 がこれに加わり、第三の研究方法として認知されるようになってきた O 数値計算を行うには、 0 O 線形計算(連立 1次方程式の解法など) 。 。 固有値問題 近似式や補間法 O 数値微分、数値積分 常微分、偏微分方程式の数値解法 O 極値問題、最適化問題 など、高校ではほとんど習わない分野の勉強が必要である。 高校あるいは大学でもそうであるが、既存の教科書の大部分は、コンビュータ以前のス タイルで書かれているために、数値計算とのつながりが非常に悪いように思う c また、現在では計算機を利用して解析を行う分野は非常に広く、特に理論物理や工学の 分野の研究の成果は目ざましいものがあるが、残念ながらその多くは現在の教科書の枠外 にあるのが現実である。 理系の大学では、どの研究室にもパソコンが置かれており、しかもフル稼働中というと ころが多く、この分野の研究が更に進んでいることを物語っている。 ( 1 ) 解析の対象 自然界の現象は、そのほとんどが非線形であるため、その解析には数値計算を用い ることが多い。たとえば 。 。 。 ( a ) 構造解析では 熱伝導、応力計算 自動車、建築物、船舶、航空機等の強度・振動計算 建築物耐震計算 0 衝突シミュレーション ( b ) 流体力学では 0 風洞シミュレーション 。 O 気象予報 台風予測 O O 海洋シミュレーション(潮流) 。 乱流 環境アセスメント(物質の拡散) などである。 ( 2 ) 数値シミュレーション 数値シミュレーションの方法としては、差分法、有眼要素法、その他の方法が用 いられているが、現在では、 ( a ) 解析領域の任意性がある。 ( b ) 境界条件の設定が容易である。 などの理由で、有眼要素法 (FEM)が多〈用いられている。 有限要素法はリッツ法またはガラーキン法を用いた微分方程式の近似解法の一種 で、近似として区分多項式を用いる方法である D 特徴としては、リッツ法は、その -63ー 解法に汎関数を必要とするため、汎関数の存在しない問題(例えば非線形項を含む もの)は解くことができない口ガラーキン法は必ずしも汎関数の存在しない微分方 程式にも適用できる利点がある。 ( 3 ) シミュレーションの例 ( a ) 建物の振動応答 (FEM) 建物が地動によって加振される場合の運動方程式は各階の質量と基礎の聞との 相対変位で表される D 線形系が調和外力を受ける場合の系の運動方程式は CMJ {u} 十 いま、 [CJ {u} 十 [KJ {u} 二 一 CMJ {ys } {y} = {yo} e ' ω ? とすれば ' ω t {y} =- {yo}ω2e また、 {u} ニ { Y } ei ω t とすれば {[KJ一 ω2[MJ +iωCCJ} { Y } =ω2 [MJ {yo } したがって、 uは次式で求められる。 {u} =Re ( Ye'ωt) =Re CY (cosωt- isinωt) ) この例では、汎関数から連立方程式を導き、数値解析を行っている。図 lは 1 2画面動画である。 ( b ) 潮流 (FEM) 潮汐運動の干満によって引き起こされる水平方向の流れの約 1 2時間周期の海水の -64- 流動のシミュレーションである D 潮流の運動を支配する基礎方程式としては、以下のような、浅水方程式(偏微分 方程式)と連続の式である。 ou ot , ..ou , ~òç 八 一一一一十 U~ 十 g 一てでー =0 IU IVV 一一一一十 Oy 1DOX V OX 運動方程式 o V I..OV I..OV , ~ÒÇ ハ V一 一 一 十 g一てて一 =0 ot 十IU一一一一↓ OX " O y 1DOY-V 一一 U. oc , oHu ox , oHv_(¥ 一 一 一 一 一 - ot I Oy 連続の式 V 例では、浅水方程式をガラーキン法を用い離散化し、数値的に解を求めている (2) , なお、 u, vは平均流速、 gは重力加速度、 こは潮位で、水面からの鉛直変位、 日= h十 c(hは平均水深)である。解析モデルを下図に示すが、節点数 111、要 素数 1 7 4である。 2 )の画面を 1 2画面動画にしたものである。 図 2は文献 ( これら、(刻、 ( b )の離散化された数学モデルは、寸支には大規模な連立方程式となる。 N l ﹄年│十 r~ V.=Q [ ' , 5km -65 正弦波加振による 3 0階建てビ Jしの振動(動画) r.一一マーーー ーーーーι - こ二三三二J ,---= w . ・ ' ' ー ー ・4 -二--こ- :ιーιー' ご ー ー 」 ー - : 己二工三三 :L _ ' _ ' _ ' _ ' _ ' 口 力 : ιーム__:_l 振 条 牛 { 句 ー ー ・ ユL・ ー ー _ : . ' 加 振 振 動 数 =04 2 Hz TABLE加 速 度 =00 0 7g TABLE変 位 =10 0 0cm ; t1 減 衰 =00 1 0 ; t2 減 衰 =00 2 0 主主主主主当 , l . ! . . _ _ l . ょ , , ー 」 ・ 」ムー:.: Lμ ζ三三三三 : _ ' _ ' _ ' _ " 「一「了ーで1 註主主主主三 T 主主主ざ f , , , 数値実験結果 r ー ? で 一 一 一 ァt 注さささ当 最 大 相 対 変 位 =70 3 4cm f , , 「 ーτ一 γτ- 主主主主主主芸" J ・ I _,_斗ム 主主主主主主 終了 f ( E KEY) ih::::然:::}~\:~:~:~:}~:~:~:~:りだ 図 1 高層建築物の振動 (4) 66- 潮の満ち引きによる湾内の海水の流動シミュレーション(動画) 2 . 0 [hJ VMAX=0.289 [m/sJ ぺ(\,ー札}仏ヤ.~!" , 1 ~)j. ' t ' : : : . . . ?当吐、, R I で ず n 吋 吋 r・ . ) "~p.., 図2 潮 流 -67- ( 2 ),( 5 ) これら、シミュレーションで得られた締麗な画像を眺めていると、コンピュータは徴分 方程式などいとも簡単に解いてしまう、というような錯覚に陥りがちになる。 しかし、二 ンビュータが計算していることは、実は、単純な四則演算の有限目の繰り返しに過ぎ寸、 微分や積分をやっている訳ではなし」すなわち、コンピュータが実際に解いているのは‘ 微分方程式の近似解にすぎない。 微分方程式をコンビュータで解くための基本戦略は以下の通りである。 O 方程式を近似することにより、解を近似する。 すなわち、方程式が近いということは、解が近いということである三れは、三 とえば、微分演算子を差分演算子によって置き換えた方程式、すなわち差うf方程式 を代わりに考えようとする戦略であるつ もう一つは O 解の挙動を予め制限して近似解を得ようとするものである ν このクラスの近似には古典的なガラーキン法や有限要素法なとが去と 特 J士、令 限要素法では、実際の物理量の変化の様子が分からないときに、解析対象♂領域ヤ 有限個の小さな要素に分け、その中での関数の変化を簡単な関数で近似し、角~ノ き問題を限られた自由度の代数方程式に置き換える(これを我々は離散化ょ丹、ト いるん ここで得られた方程式は行列の形で表示されるので、行列の性質に関する知識 t 連立方程式の解法に関する知識などがあればあとは簡単である。 通常、我々が知りたい多くの物理現象は複雑な 2次元あるいは 3次元の偏微分方程式で モデル化されるので、上述した離散化を行い、近似的に数値解を求めることを数値解析あ るいは数値実験(数値シミュレーション)と呼んでいる。 ( 4 ) CG (コンビュータ・グラフィック)と解析シミュレーション CGは物理現象を一目で判るように、ポンチ絵化したものであり、その背景には、動 画で理解してもらうというのがまず最初にあって、必ずしも方程式を男都、てその解を動 画で見せるというところまではいっていない。 一方、解析シミュレーションはそのほとんどが偏徹分方程式の計算である乙物理学や 工学の問題の多〈は偏微分方程式の形で定式化されており、この式を解くことが問題解 決の鍵になっている D 現実の問題に現れる偏微分方程式の多くは解析的に解けないので、 6 8 コンビュータのカを借りてその近似解を求めるのであり、 CGとは若干意味を異にする c 以上、高校レベルでの解析解、これを少し進めた数値解析解、さらに現在第 1線で研 究されている基礎方程式を離散化して解を求める方法 CFEM等)について言及した。 FEMのこの領域の研究はもう実用に耐える計算が学問的にも経詩的にも可能に 特に、 なってきた。結果のまとめを表 lに示したむ 前にも記したように、今日の物理教育は非線形の世界に入るとほとんど手も足も出な いという事情のため、解析的にきれいに解ける問題に限られており、そのため生徒達は 自然を究極的に美し〆線形に閉じた世界と見る自然観を持つのに慣れてしまうのではな いかという懸念がある、この点に関しては、授業で、機会あるごとに現在行われている 新しい研究の紹介を続けていくつもりである。 解析解と数値解析解との比較 l ( 長 所 ι一 I 解 短 所 一一一一一一一一一一一一←→一一一一一一一 C解の見通しがよい(どのパラメタ lC複雑な問題は解けない。すなわち、 l 析│ ←ゐを動かせば何処がどう変るか等! 解ける問題が限られている。 !(Qi理想化を伴うため、第 1次近似で が容易に分かるに io 複雑な数値計算の必要がなく簡単 i ある(実はこれは長所でもある)。 解 i │ である。 I 」 一 」 1 0 現象を支配する基本原理と基礎方 数│ ! 値 程式が分かっている場合には複雑 な問題でもコンビュータによる解 l が可能である。 1 0 問題によっては i 必要である。 I ラメ卜リ 大型の計算機が 10解の見通しが悪く、数値解析はパ y クに行う必要がある。 10線形化などの無理な簡単化は不要 10得られた解が正しし、かどうかの判 i 解 _ , _ │ である c 析 I 定が難しい。 !O見たいものを好きなように可視化 │O出力が多すぎて、まとめが大変で 1 解│ 出来る(解析解や実験ではごく限 られた値しか求められない) i ある。 I0大型の計算の場合、計算費用や計 算時間が膨大になる O -69- 6 . おわりに 自分自身で導いた方程式の解の吟味の方法について述べ、次に解析解と数値解析解につ いて具体例を挙げて、その長所、短所について言及した。また大学や研究所などでは数値 計算が主流を占めている現在、その結果の妥当性はやはり解析解からヒントを得ると言う 意味で、高校で習う解析解の重要性を強調した。 コンピュータはいよいよ教師が演示実験やシミュレーションを利用してきた時代から、 個々の生徒の探求学習に利用される時代に変わろうとしている。 物理を考えるということは ( 1 ) 実際に手を動かして計算し ( 2 ) その結果をグラフや図に表して吟味し ( 3 ) 想像力を働かせて具体的なイメージをかき立てる ことをいう。 ( 1 )、( 2 )については、授業の中でも従来からも十分やってきた分野であるが、 ( 3 )について は、これからコンビュータ・シミュレーションやビデオ等で補って行かなければならない 非常に幅の広く、面白い分野である O 特に、コンピュータ・プログラムの開発は大変では あるが、その学校の生徒の学力レベルを十分把握しているその学校の教師の仕事であって、 プログラムの内容はその学校独自のものであってよく、汎用性など考えなくても良いので ある。 生徒達が物理学の論理的な考え方や現象の解明の仕方を学ぶに当たって、現場の指導で は、これらができるようにお膳立てすることが必要である。効果的で、真に価値のある授 業をするためには、フレミングの「偶然は、それを受ける準備のある精神を好んで手助け する」の言葉通り、出会った偶然を活かすととのできるたゆまない努力と科学的実践なら びに多角的な面からの下調べや研究は我々教師には必要不可欠である O このことによって、たとえ、物理を学んで卒業していった生徒達が将来、物理学から全 く離れた分野に行ったとしても、社会人として活躍するときには必ず役に立つはず、で、ある。 私情に流されず論理にしたがう訓練が物理の教育を通じてなされれば、これはすばらしい ことだと思う。 7 0 本報告は平成 4年 2月2 8日福井県教育研究所第 8回研究発表会用に準備した資料を加筆、 修正したものである O 参考文献 ( 1 ) Iコンビュータ物理の世界」 神原他 ( 2 ) I パソコンによる流れ解析」 大西他 ( 3 ) 福井県教育研究所第 6回研究発表会資料 平成元年 1 1月 Iシミュレーション振動台」 池上 ( 5 ) 朝倉書居 I 物理の授業におけるパソコン・シミュレーションの活用」 池上 ( 4 ) 講談社 福井県教育研究所第 7回研究発表会資料 平成 3年 2月 I 解は正しいか」 池上 福井県教育研究所第 8回研究発表会資料 71- 平成 4年 2月 6000 ・ー一ーーーーーーー一一一一一一一一一一ー一ー一一ーー一一 6010 1 帯き出し法 6020 ・ーーー一一ーーーー一一四ーー一一一一ー一一一一一一一一一 6030 CLS 3 6040 DEFDBL X:DIM X< 10,10) 6050 ・ 圃 DATA INPUT 6060 INPUT "N元 1次連立方程式 ";N J列" 6070 PRINT "係数 I行 6080 FOR 1=1 TO N 6090 FOR J=1 TO N 6100 PRINT USING " 梓持.梓師 " ;1, J; 6110 INPUT XCI,J) 6120 NEXT J BC!)=",XCI,N+l) 6130 INPUT "右辺 6140 NEXT 1 6150 CLS 3 一一一一一 INPUT DATA 一一一 " 6160 PRINT " 6170 PRINT 6180 FOR 1=1 TO N 6190 FOR J=1 TO N 6200 PRINT USING "HHH.aHH ":XCJ.J): 6210 NEXT J " ;X( 1 .N+1 ) 6220 PRINT USING "軒目 HH. 師官官 6230 NEXT 1 6240 PRINT 6250 EPSL=IE-08 6260 Nl=N+l 6270 FOR NA=1 TO N 6280 P=O 6290 NA1=NA+1 6300 FOR I=NA TO N 6310 IF P>ABS(XCI, NA)) TJ lEN 6340 NA)) 6320 P=ABSCXCI, 6330 KP=I 6340 NEXT 1 6350 IF P>EPS TJ lEN 6380 一 一 一 一 ・ ・ 6360 PRINT "一一一一一不定 一 6370 GOTO 6600 6380 FOR J=NA TO N1 6390 Z=XCNA,J) 6400 XCNA.J)=X(KP,J) 6410 XCKP.J)=Z 6420 NEXT J 6430 FOR J=NAl TO Nl 6440 XCNA,J)=XCNA,J)/XCNA,NA) 6450 NEXT J 6460 FOR 1=1 TO Nl 6470 IF I=NA THEN 6510 6480 FOR J=NA1 TO Nl 6490 X(I,J)=X(I,J)-X(I,NA)ホ X(NA,J) 6500 NEXT J 6510 NEXT 1 6520 NEXT NA 6530 6540 PRINT 一一一一一 OUTPUT DATA -一一一ー" 6550 PRINT " 6560 PRINT 6570 FOR 1=1 TO N 6580 PRINT USING " HaH.aHa";XC!,N+l) 6590 NEXT 1 6600 END ・ ・ 72 5000 ・ ーー一一一一一一一一一一一一一ー一一一一一ーー 一一一一一一一一一一一ー一一ー一一 5010 ・ ユニパーサルグラフ 5020 1 1 .2 . 11 .29 I 'ILE NAME =GR^Plll.sAS 5030 ・ 一一一一ー一一ー一一一ー一一一一一一一一一一一一一 一 ー 一 一一一一一一一一一一 5040 SCREEN 3.0:CLS 3:CONSOLE 0,25,0,I:WIDTII 80,25:COLOR 5 グラフ" 5050 LOCATE 20.2:PRINT " ユ ニ パ ー サ ル 5060 LOCATE 12.12:lNPUT "データの純1 教を入力して下さい (X.Yを 1組とする) " .N 5070 DIM X(N),Y(N) 5080 ON STOP GOSUB 1580:STOP ON 5090 E メインJ レーザーン 5100 GOSUs 5120:GOSUB 5420:GOSUB 5640 5110 11 ' INKEY&="" THEN 5110 データの読み込み 5120 ・圃 5130 CLS 3:CONSOLE 12.1:COLOR 4:LOCATE 2.0 " : ・ NEXT J 5140 FOR J=I TO 5:PRINT" X Y 5150 COLOR 7 5160 FOR 1=1 TO N ¥ 10)ホ 15. ((]-J) MOD 10)+1:PRINT USING " 1 1 1 1 " ;1 ; 5170 LOCATE ((I-1) 5180 LOCATE 0.13:PR]NT "No.";I; 5190 LOCATE 0.14:INPUT "".X(]).Y<I) 5200 LOCATE ((1-1)¥10)本 15+3. (([-1) 阿OD 10)+1 1 ";X(!)• Y(1) ; 5210 PRINT USING " 骨 骨 幹 拝 持 拝 1 l1 5220 LOCATE O . 14:PR1NT SPC(20) 5230 NEXT 1 データの修正 5240 5250 LOCATE O . 13:PRINT"修正しますかげ /N)":^$=INPUTS(I) ' INSTR("yYン".A$) THEN ELSE 5400 5260 11 5270 LOCATE O . 14:PRINT" 5280 LOCATE O . 13:PRINT"修正 4る番号を入力して下きい(終了は 0) "; 5290 LOCATE 0.14:LINE lNPUT M 5300 [=VAL(A!) 5310 11 ' [=0 THEN 5400 5320 LOCATE 0.13:PRINT"No.";I;"のデータを修正して下きい 5330 LOCATE O . 14:PRINT USING " 拝Il.拝拝 11l.1l1l" ;X< I ) , Y<I) 5340 LOCATE 0.15:INPUT X(I).Y(]) 5350 LOCATE 0.15・ PRINT" 5360 LOCATE O . 14:PRINT" 5370 LOCATE ((1-1)¥10)*15+3. ((1-1) MOD 10)+1 53日oPRINT USING "持1l.1l持拝持拝持 ";X(]).Y(J); 5390 GOTO 5280 5400 CONSOLE 0.25 5410 RETURN 制と目~りの大きさ 5420 .掴 5430 CLS 3:COLOR 5 5440 LOCATE 20. 2:INPLJT "x軸の最小値は ";XO 5450 LOCATE 20. 3:INPLJT "x制の最大憶は";Xし:COLOR 6 5460 LOCATE 20, 5:INPUT "x勅の単位は ";XS:COLOR 7 ま";YO 5470 LOCATE 20. 7:INPUT "y馳の最小値 l 5480 LOCATE 20, 8:INPLJT "y輸の最大飽は ";YL:COLOR 6 5490 LOCATE 20.10:INPUT "y納の単位は";Y&: COLOR 7 5500 LOCATE 20,12:INPUT "x納は何等分しますか..:DX i何等分しますか..;DY 5510 LOCATE 20.13:INPUT "y制 l 5520 XW=XL-XO:YW=YL-YO:CX=406/DX:CY=180/DY:CLS 1 輸 5530 ・冒 5540 LINE (59.0)ー (406+59,360),,s 5550 FOR 1=1 TO DX 5560 LINE (CX淑 1+59.354)ー (CX*1+59.360) 5570 NEXT 1 5580 FOR 1=1 TO DY 5590 LINE (59,2*CI80-CY*I))ー (62.2本 (180-CY本1)) 5600 NEXT [ 各納の名称 5610 E 5620 LOCATE 53.21:PRINT "x":LOCATE R,O:PR[NT "y" , OCAT 1 2 10.0:PRINT"〈";YS;"〉" 5630 LOCATE54.21:PIJINT"〈";XS;"〕":t 5640 E 目盛りの数筒 5650 FOR 1=0 TO DX STEP 2 ・ ・ ・ ・・ ・ ・ -73- 5660 PX=INTCCCX本 1+55)/日)ー 1 :11 ' PX >77 TJ lEN 5 [;80 5670 LOCATE PX.23:COLOR 7:PRINT XW本l/DX+XO 5680 NEXT 1 'OR 1=0 TO DY STEP 2 5690 1 ' PY<O Tl IEN 5720 5700 PY=CINTCC180-CYホ 1-3)/司) :11 5710 LOCATE O.PY:PRINT USING "梓持If.持梓 ":YW*I/DY+YO 5720 NEXT 1 5730 グラフのプロット 5740 1 'OR 1=1 TO N-l 5750 X1=406*CXCI)ーXO)/XW+59 :X2=406本 CXCI+l)-XO)/XW+59 5760 Yl=180-180被 CY(l)ー YO)/YW:Y2=180-180濃く YCI+l)-YO)/YW 5770 LINE CXl.2本 Y Dー (X2.2ホY2).6 5780 NEXT 1 5790 A$=" SHAKING TABLE" 5800 LOCATE 60. O:PRINT AS 5810 RETURN 5820 E 終わり 5830 CLS 3:ERASE X.Y 終 わ り (2) " 5840 LOCATE 20. 12:PRINT"もう一度( 1) 5850 A$=INKEY$:IF INKEY$="" THEN 5850 5860 11 ' AS="l" THEN 5000 ELSE 11 ' A$= 2" T IJEt J RUtJ"SiJAKE" ELSE 5850 ・・ ・ 司 -74一