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甲斐絹復活による新製品開発と新市場開拓
成功事例 株式会社 前田源商店 かいき 認定テーマ名:甲斐絹復活による新製品開発と新市場開拓 1.認定事業の現況 『伝統の甲斐絹の復興と連携グループ結成により地域を活性化』 当事業は、山梨県郡内地域に古くから伝わる甲斐絹(かいき)を復活させ、日本が誇る伝統 商品として、国内はもとより、世界へ向けて発信していくことを目的としている。 本事業に先立ち、平成 14 年には㈱前田源商店、㈲田辺織物、㈱槙田商店、山崎織物㈱の 4 社 で甲斐絹復活事業展開のヘッドオフィスとなる甲斐絹座を立ち上げ、山梨県産繭を使った生 糸で甲斐絹を復刻した。その後、本事業により、甲斐絹の特徴である先染技術が活かせる「玉 虫甲斐絹」の復刻に成功し、約 50 色の色のバリエーションをストックできるまでになった。玉 虫甲斐絹による製品では「かいきシリーズ」としてネクタイ、クッション、バック、傘等を開 発し、 「hangen」というブランド名で統一している。さらに、現在では玉虫甲斐絹の特徴を十分 活かしたスカーフ、ランプシェード、ウオールパネル、PC クッションの試作・販売にも成功し ているが、さらに良いものへとの努力を惜しまない。 平成 23 年冬には、フランスのパリで開催された「メゾン・エ・オブジェ展」に出展し、純日 本製シルクとしてデザイン・品質において非常に高い評価を受けた。円高の厳しい環境下では あるが海外展開の可能性は高い。 「海外の展示会を中心に商談の準備や輸出方法などの確認を行なっていけば国内のビジネス よりも確実に販路開拓が見込める」と語るように、前田社長の地域資源を活用し、日本ならで はの伝統工芸を復活させて世界に発信していく活動には目を見張るものがある。なお、甲斐絹 座は、当事業3年目にして、株式会社として法人化した。これは計画より2年早く、前田社長 の甲斐絹にかける情熱と理念には、頭が下がる思いである。 1 成功事例 事業実施体制図 事 業 進 体 制 甲斐絹座プロジェクト 富士工業技術センター 「甲斐絹復活による新製品開発と新市場開 ・試作品開発支援 委員会構成員 ・参画企業4社 ・富士工業技術センター ・富士吉田商工会議所 ・専門家 ・アドバイザー 推 ・品質管理の支援 プロジェクトネットワークが形成された環境 甲 専門家 ・(有)クルツ 絹 座 富士吉田商工会議所 (事務局:㈱前田源商店) ・商取引の支援 ・ (株)前田源商店・ (株)槙田商店 ・展示会の支援 ・山崎織物(株) ・ (有)田辺織物 ・事業化への支援 ・(株)ボスコ グラフィック系デザイン 斐 プロダクトデザイン会社 事業遂行 甲斐絹座プロジェクト構成企業の役割 本事業計画では、以下の事業項目を実施する。 1年目 原材料の調達ルートの確立 2年目 既存分野での新規商品開発 3年目 インテリアテキスタイルの開発 4年目 フォーマルテキスタイルの開発 5年目 桃、ブドウなどの剪定枝を活用した素材開発 (株)前田源商店 (株)槙田商店 山崎織物(株) (有)田辺織物 (担当者名:前田 市郎) (担当者名:槙田 則夫) (担当者名:山崎 泰洋) (担当者名:田辺 丈人) ・事業企画・立案 ・事業企画・立案 ・事業企画・立案 ・事業企画・立案 ・事業管理 ・製織技術の研究 ・事業管理 ・製織技術の研究 ・事務管理 ・機能性研究 ・機能性研究 ・機能性研究 ・渉外担当 ・製織担当 ・顧客担当 ・製織担当 2.今後の展望(見通し) (1)海外市場への取り組み 当社はシルクの市場が確立している海外の方が、正当な評価を受けやすいという結論から、 今後は、海外展開に力を入れていく。基本的なコンセプトは、まず海外で評価を得てブランド 形成し、その後、日本での認知度を高める戦略をとっていく方針である。 (2)日本市場の開拓 一方で、円高の昨今、日本市場の開拓も必要であり、国内でも販売活動を強化していく。 「カプセルスカーフをテレビショッピングに出してほしい」等の依頼もあるが、テレビショ ッピングは、価値が正当に評価されないまま、市場から消えていく商品も多い。本来甲斐絹が 使用されていた「茶道」に使用する袱紗等の袋物、座布団は、適正な価格での販売が期待でき 2 成功事例 る。文化的な裏付けも行ないながら、先ずはどの販売チャネルが良いのかしっかり市場調査し ていく方針である。 (3)子供への伝承を通じた消費者の創造 子供たちへの教育活動として、製品としての「甲斐絹」だけでなく、養蚕農業も踏まえた地 域文化や伝統文化継承活動もしていきたい。本活動は、「将来の消費者を育てる」「本物を本物 としてわかる消費者を育てる」ことにもなり、知識を持った次世代を育てることへもつながる。 3.認定を目指した経緯 「ビジターズ・インダストリー」という産業観光事業の立ち上げがあった時に、その事業を 耳にした県庁職員から当時の富士吉田商工会議所の職員を通じて、本事業を紹介された。 この事業は、公的機関の方々が「経営者の人たちと、甲斐絹ビジネスで何かできないか」と いう話から始まった。話し合いが進み、公的機関と経営者の間で「ブランド品の良いものを作 ってみよう」ということになった。検討の結果、甲斐の生糸も残っていたため、甲斐絹を作っ てきた歴史を復活させることとなった。 4.利用した中小機構の支援策 「中小機構には、情報が多くある。海外情報、全国情報、戦略的なノウハウを上手に使える ような施策が多くある。展示会情報、支援が大変良かった。NIPPON MONOICHI では、お客様と の接点ができた」と同社社長は語る。 5.企業概要 事業者名 株式会社 前田源商店 (株式会社 甲斐絹座) 本社所在地 山梨県富士吉田市下吉田2-25-24 ホームページアドレス http://www.maedagen.co.jp/ http://www.kaikiza.com/ 設立年月 1955 年 8 月 資本金 売上高 10,000 千円 従業員数 6名 非公開 ※平成23年7月31日現在 6.認定事業の概要 テーマ名 甲斐絹復活による新製品開発と新市場開拓 テーマの概要 素材としての甲斐絹を復活させ、その品質の優位性を生かした 新製品の開発を行い、新市場を開拓する。これまでの大手企業 の OEM 生産に頼った事業からの脱却を目指し、独自ブランド「甲 斐絹座」の創造と発展を目的とした事業を行う。 認定期間 平成19年11月1日~平成24年3月31日 3