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各国の個人遺伝情報の保護のための最近の取り組み
別添2 各国の個人遺伝情報の保護のための最近の取り組み 各国の状況1: 英国保健省の諮問機関が生命保険会社にハンチントン病の遺伝検査結果の 利用を認めることを答申(平成12年10月23日) 英国では、保険会社が遺伝子検査の保険審査における利用について、モラトリアムを設 けて自主的に導入を規制するとともに、英国政府に対して医学的に明らかになっており、 技術的に確立された遺伝子検査結果について利用を公認するよう求めてきた。 英国の諮問機関である Genetics and Insurance Committee ( GAIC:ヒトゲノム諮問委員 会( HGAC )の下部組織)は、ハンチントン病に関する二つの遺伝子検査について保険加 入における審査に利用を認める諮問(平成12年10月13日)を行った。 英国保健省は諮問を受けてその利用を認める方針。 今回の答申の内容は、生命保険会社が、診断の一部としてハンチントン病の遺伝子検査 を受けた個人に対して、その結果の提示を求めることができるというもの。ただし、保険 の加入等について遺伝子検査を強制することは認めていない。 GAIC は、早発性アルツハイマー病や筋ジストロフィーなどの単一遺伝子疾患について も検討を行っている 。(日経バイオテク) 各国の状況2: 米国上院で遺伝情報での差別を禁止した連邦法が可決(平成12年7月3 日) 米議会で、がんにかかりやすいといった人間の遺伝的特質に基づいた差別行為を禁止す る法案審議が本格化してきた。日米欧の国際共同プロジエクトや民間企業によって人問の 全遺伝情報(ヒトゲノム)の解読がほぼ完了したのを受け、病気に関連した遺伝子を見つけ て診断・治療薬に応用する研究の加速が確実なためだ。米上院本会議は保険会社が加入者 に遺伝情報の提出を義務づけたり、その内容によって保険料に差を付けたりすることを禁 じる法案をこのほど可決した。 米上院を通過したのは、ジェフォーズ議員(共和党)が提出した法案。保険会社などが加 人者に 対して 、 遺 伝情報 をもと に保険料 に差を 付ける?遺伝子 診断結果 の提出 を加人条 件とする? 医療機関に よる遺伝子診断結果 の収集や第三者への提 供を無条件に認めるよう 求める --といった行為を禁じる内容だ。 ダシュル民主党上院院内総務は企業が遺伝情報を採用の是非や昇進、昇給の判断材料と するのを禁じ、差別を受けた場合には提訴できるとする法案を出していた。だがこの法案 は否決され、より緩やかな内容のジェフォーズ議員の法案が通った格好だ。 訴訟の多発を恐れた民間が共和党に働きかけたためとみられ、上院ではこの問題を巡っ て近く公聴会を開く。 米下院でもダシュル院内総務の法案と類似の法案が出ており、今後、公聴会の開催など を通して議論が進むとみられる。 クリントン大統領は今年二月、連邦政府機関に対して遺伝情報を雇用や昇進の判断に使 うのを禁じる大統領令を出した。ゲノム解読完了発表の会見でも遺伝情報に基づく差別な どへの懸念を表明しており、米議会に対してダシュル議員の法案並みの厳格な法規制へ向 けた審議を促す構え 。(日本経済新聞)