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pdfファイル 1.38MB - 佐賀大学低平地沿岸海域研究センター
Institute of Lowland and Marine Research
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佐賀大学 低平地沿岸海域研究センター ニューズレター
No. 11
Contents
P. 1-2 「有明海学-市民の科学講座」開催報告
P. 2
The First Asian Marine Biology Symposium参加報告
P.2-3 日野准教授の佐賀大学優秀科学技術研
究賞の受賞と教授の昇格
P. 4
スタッフの着任
「有明海学-市民の科学講座」開催報告
佐賀大学
低平地沿岸海域研究センター
事務室
〒840-8502
佐賀市本庄町1番地
電話 : 0952-28-8582
0952-28-8846
FAX : 0952-28-8189
0952-28-8846
[email protected]
本講座は,有明海の環境保全と沿岸地域における持続可能な生業や生活のあ
り方について,講義と実践・体験・実験・実習等を通して地域住民が主体と
なって学ぶ講座です。この講座が発端となって将来的には地域住民による多様
で継続的な実践活動につながるような人材の育成を目指して開催しています。
昨年に続いて本年も佐賀大学干潟環境教育サテライトむつごろう館および鹿島
市干潟展望館で開催しました。
第一回目は佐賀大学農学部の五十嵐勉氏に,「市民の科学」の重要性につい
て,また有明海地域における地域振興の現状について紹介して頂きました。第
二回目はむつごろう館前に広がる干潟に実際に入り,そこに棲息する生物を観
察する予定でした。しかし,あいにくの天気で中止になってしまいました。第
三回目は「生物を飼育してみよう」と題し,藤井が話をしました。また,鹿島
市干潟展望館での展示を見ながら,海洋生物,とくに有明海に棲息する生物を
飼うにはどのような注意が必要なのか解説をしました。第四回目は道の駅鹿島
の端にある棚じぶを使って実際に漁を体験しながら,有明海の生物を観察しま
した。残念ながら量・種類とも少なかったですが,「棚じぶ」の漁を堪能でき
ました。また,鹿島市干潟展望館の中村安弘氏に解説をして頂きました。第五
回目は,今年の海苔養殖開始数日後のノリ篊を見学しに行きました。また,鹿
島市沖にある牡蠣床を観に行き,どのような構造になっているのか実際に足を
踏み入れてみました。最終回には「有明海の食と干潟漁撈」と題して元佐賀大
学農学部教授の武田 淳氏にご講演頂きました。昔撮影された有明海の写真等
を観ながら,数十年前の有明海の姿についての話が盛り上がりました。講座の
後には「むつごろう唐揚げ」など有明海の産物を実際に食しながら歓談しまし
た。
今年の講座は参加者が少なく1回の講座につき2~6名程度でしたが,参加
者は非常に熱心に講座に加わってくださり,非常に濃い内容となりました。こ
www.ilt.saga-u.ac.jp
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低平地沿岸海域研究センター ニューズレター No. 11
の講座は来年も開催する予定です。次回は,有明海の環境モニタリングの手
法,環境学習の指導法,エコツアーの企画・実践等についての基本的な学習な
ど,去年・今年になかった話題について開催したいと考えております。
(藤井直紀)
The First Asian Marine Biology Symposium参加報告
Pa Khlock Bayの干潟
Jae-Sang Hong教授と撮影
12月13日~17日にタイ、プーケットで開催されたThe First Asian Marine Biology Symposiumに参加しました。本シンポジウムはその名前が示すように主に
海洋プランクトンとベントスを対象とする生態学や分類学に関するアジアでは
じめて開催されるシンポジウムであり、シンポジウムの後半2日間はワーク
ショップになっています。参加人数は約160人で国際会議としての規模は小さ
いものの、開催国のタイはもとより、日本からも多くのベントス関連の研究者
が参加したほか、韓国、フィリピン、マレーシア、イラン、台湾、ロシア、イ
ンドネシア等の10カ国から研究者が集まり、54の口頭発表と77のポスター発表
が行われ、活発な議論が行われました。
筆者はポスターで有明海湾奥部のベントス群集の形成機構について発表を
行ったほか、ワークショップにも参加し、プーケット島北東海岸の砂質干潟で
海草パッチ内のベントス、底泥採集とPhuket Marine Biological Center (PMBC)に
てそれらの同定作業のほか、底質のクロロフィル分析を行いました。普段有明
海の「歩けない」泥干潟ばかりをみている私は「歩くことができる」砂質干潟
での生物についてみてみたいというのがあり、このワークショップにも参加し
ました。干潟には海草のパッチがあり、周辺では繁殖期をむかえたヤドカリの
ガードペアやカラフルなシオマネキなどのウェイビングなども所々でみられま
した。ワークショップは海草パッチからの膨大な量の底泥の採集から、そのふ
るい作業、ソーティングや底泥のクロロフィル分析に関するレクチャーなど実
際の研究さながらのハードワークでしたが、ワークショップを含む今回のシン
ポジウムをとおして有明海問題と関連の深いShiwa湖のベントス群集を研究し
ておられ、本シンポジウムのオーガナイザーの一人でもあるJae-Sang Hong教授
やサルボウの仲間であるフネガイ科の貝を研究しているタイの研究者とも交流
することができ、著者にはとても実りの多い国際会議でした。
(吉野健児 )
日野准教授の佐賀大学優秀科学技術研究賞の受賞と
教授の昇格
去る平成24年11月27日(火)、日野剛徳准教授が佐賀大学優秀科学技術研究
賞を受賞されました。また、去る平成24年12月1日(土)をもって、当セン
ターの教授に昇格されました。
優秀科学技術研究賞の趣旨については、次のとおりです。本学の第1期中期
目標・中期計画に掲げる「将来性のある研究者・研究チーム重点育成・支援計
画により、育成・支援する。」に基づき、平成19年2月16日開催の教育研究評
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低平地沿岸海域研究センター ニューズレター No. 11
議会において、平成19年度から「研究者へのインセンティブ付与につい
て」支援することが了承されました。また、平成22年7月16日開催の教育
研究評議会において、本学の第2期中期目標・中期計画に掲げる「将来性
のある基礎的・基盤的研究への支援や若手研究者の育成に重点的に取り組
み、研究活動を活性化する。」に基づき、引き続き「研究者へのインセン
ティブ付与について」支援することが了承され、今日に至るものです。
日野准教授は、平成23年度に日本学術振興会・科学研究費補助金におけ
る基盤研究(B)(一般)および挑戦的萌芽研究を同時に獲得されたのを
はじめ、平成14年度末から今日までの10年以上にわたって佐賀県有明海沿
岸道路整備事務所・受託研究(有明海沿岸道路における盛土および基礎技
術に関する研究)に取り組まれてきたこと、さらに、これらの競争的外部
資金にリンクさせる形で、研究業績(平成23年8月・国際低平地研究協
会・低平地に関する国際会議2010・ベストペーパー賞)、教育業績、国際
業績、地域社会貢献業績をバランスよく挙げられてきたこと、などのこと
が高く評価され、同賞の受賞に輝きました。“世界に通じる科学力・技術
力・研究力で地域社会への貢献を!”のモットーを地で行く努力が報われ
た形でもあり、当人のみならず、当センター関係者一同にとっても望外の
喜びといえます。以上のような日野准教授の業績は、ついには教授の昇格
へと結びつきました。
上記の経緯について、日野准教授あらため日野教授は、当センターにお
ける先人によって培われてきた伝統や資産を地道に受け継ぎ、守り抜いて
きた結果と語ります。“低平地”や“有明海”というキーワードは、これ
らに関わる研究者にとってはさもすると重く感じ、縛りの強い印象すら抱
かせるかもしれません。ところが、一見すれば地域に根差す研究活動で
あっても、国内外を問わず高く評価されている前例はいくらでもあるとい
います。このような勇気の糧にぶれることなく、地域を信じともに歩むこ
とが成功への近道なのかもしれない、と語り続けてくれました。
日野教授には現在、当センター・海外サテライトの設置を成功裏に導く
ための重責が課せられています。国際的な共同研究の展開はもちろんのこ
と、同サテライトの成功は本学における恒常的な留学生の確保の目もある
だけに、いくつもの高い壁を乗り越えられようとしています。このため、
ますます厳しくなるであろう日野教授の勤務状況を少しでも軽減させ、支
え続けることが私達の使命と考えています。
(加 瑞、執筆協力:片野俊也)
日野研究室での受賞記念撮影
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低平地沿岸海域研究センター ニューズレター No. 11
スタッフの着任
平 成 24 年 10 月 か ら Suman Manandhar 研 究 機 関 研 究 員、11 月 16 日 か ら
Ariestides Kadinge Torry Dundu 外国人客員准教授が本センターに着任されまし
た。以下に両氏からのコメントを掲載いたします。
Suman Manandhar
Suman Manandhar
研究機関研究員
I completed Doctoral degree (Dr Eng) in Geotechnical Engineering from Kyushu
University in September 2010 and continued as a Postdoctoral Researcher for two
years. Since October 2012, I have enrolled the Institute of Lowland and Marine Research (ILMR), Saga University as a Lecturer. My research works have focused on
analyses of bearing capacity of tapered piles, quality assessment of the embankment slope based on different compaction methodologies and landslide hazard management of watershed using GIS.
As a member of ILMR, I am continuing my research work based on tapered pile
foundation, raft and pile modeling and innovation of compaction device for unconfined slopes of levees and embankments with Associate Professor Daisuke
Suetsugu. I am also optimistic to achieve knowledge on lowland technologies and
solve the problem arises in the Ariake sea.
Ariestides Kadinge Torry Dundu (A. K. Torry Dundu)
A. K. Torry Dundu
外国人客員准教授
My Doctor of Engineering from Saga University in September 2012. I have
joined the Institute of Lowland and Marine Research, Saga University as a new Associate Professor from November 2012. My main interest is the impact of typhoons
to flooding coastal area and coastal hazard management especially in lowland area
like Saga and surroundings. Numerical model based on MIKE 3 developed by DHI
can be use in study about Ariake sea, Rokkaku river estuary and Ushizu river in
Saga prefecture. I am doing joint research with Prof. H. Yamanishi and Prof. K. Ohgushi. I am a new associate editor of Lowland Technology International Journal.
LTI vol. 14 no. 2 has published on December 2012. Furthermore, I gave some explanation to students and solved a problem about MIKE 3.
編集後記
12月に入ってから雪がちらつき、寒い日々が
続いています。研究室のタイ人留学生にとっ
ては新鮮味があるようで元気でしたが、やはり
寒さが堪えたようで最近風邪を引いてしまい
ました。
皆様も健康にはお気を付けください。
(三島 記)
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編集担当:片野,三島
発行・編集
佐賀大学低平地沿岸海域研究センター
〒840-8502 佐賀市本庄町1番地
TEL 0952 - 28 - 8582 0952-28-8846
FAX 0952 - 28 - 8189 0952-28-8846
ホームページ http://ilt.saga-u.ac.jp
(平成24年12月27日発行)
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