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国際行政論 第4回授業 - 城山英明のホームページ

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国際行政論 第4回授業 - 城山英明のホームページ
国際行政論(2012)
第4回
城山英明([email protected])
第4章
一般的国際組織-国際連盟、国際連合
4-1
国際連盟の創設
画期:一般的国際組織、巨大な国際公務員制度、普遍的国際的組織
一般的組織としての意義
現実にはこれ自体機能的組織たらざる得ない側面
-一般的機能の限界、現実には落ち穂拾い機能
戦時同盟と一定の断絶 but 第1次大戦後のベルサイユ会議において国際連盟の設立決定
基本的方式:国際連盟は連合国共同管理の方式を継承して大臣レベルの理事会(council)
とそれを補佐する事務局(secretariat)but3点変化
①連合国共同管理が、食料、船舶の共同管理というある程度限定された目的のための組
織だったのに対し、国際連盟の連盟規約(covenant)の目的規定は一般的であり、行
動範囲については国際連盟の組織に大幅な裁量が残された
②事務局(secretariat )を構成する職員の性格が変わった。連合国共同管理を主導し、
パリ講和会議の 10 大国会議、4大国会議にも書記官(secretary)として参加したハ
ンキー(Lord.Hankey )は、国際連盟においても、連合国共同管理の伝統を引き継ぎ、
事務局は各国代表によって構成されることを主張した。それに対し、同じイギリス公
務員の出身ながら、初代国際連盟事務総長となったドラモント(H.E.Drummond)は、
事務局職員に国際的性格(international character )を求めた。そして、最終的に
はドラモントの主張が受入れられ国際公務員制度(International Civil Service)が
成立。最盛期 1931 年で約 700 人
③理事会の構成:5 常任理事国(事務総長、副事務総長、3事務次長を出す)+非常任
理事国(中小国:当初 4 カ国)-中小国も一定の関与
普遍的国際組織化
契機としてのハーグ平和会議
一国一票制の総会
理事会にも中小国参加
4-2
国際連盟の制度と活動
(1)集団安全保障の試み
強制性をめぐる歴史的議論
cf. 米国内における平和強制同盟対ハーグ会議派
第 16 条第 1 項:連盟規約によって禁止された戦争に訴える国は他の全ての連盟国に対し
て戦争行為をなしたるものとみなされる
非軍事的制裁:経済制裁等(第 16 条 1 項)
軍事的制裁(第 16 条 2 項):理事会が使用すべき兵力に対する連盟各国の陸海又は空軍
の分担程度を連盟各国に提案する
運用上の問題
理事会の意思決定は基本的には全員一致(第 5 条 1 項)
例外:理事会による紛争審査「報告書」採択(その場合、勧告に応ずる紛争当事国に対
して戦争に訴えてはいけない)についてはN-1決定(第 15 条 6 項)。さらに、総会に
1
移管(第 15 条 9)の場合は、過半数の同意で同様の効果
連盟軍事力についての意見の差異
フランス・イタリア:強大な軍事力の保持主張
英米:国際軍事主義だとして反対
事例
中小国関連ではそれなりに機能-ギリシャ・ブルガリア紛争(1925 年)、上部シレジア
問題(ポーランド内ドイツ民族)等
満州事変における「失敗」cf. 1932 年 2 月総会へ移管-中小国参加-19 人委員会設置
(2)経済社会政策
cf. 担当者としてのソルター
根拠:連盟規約第 23 条(労働、婦人児童・阿片の売買、武器弾薬取引、交通通過の自由・
通商に関する公平なる待遇、疾病の予防・撲滅)
組織化:国際連盟は自らの下に多くの専門機関(Technical Organization)を設立-財政・
経済機関、通信・通過機関、衛生機関、知的協力に関する委員会等
cf.他にILO
改革案:ブルース報告(1939 年)-契機としての横断的課題としての栄養問題への注目
-国連経済社会理事会の原型提案
運用
例:財政危機対応-資金を直接持たないコンディショナリティー設定
オーストラリア財政危機・インフレへの対応(1922 年 8 月-)by ソルター、モネ等
3つの条件-紙幣印刷即時禁止、財政支出の劇的コントロール、外国政府保証融資
ノーマン英国中銀総裁も関心
コミッショナー任命の困難
迅速かつ劇的に成功
ハンガリー:オーストリアの成功ゆえに政府保証なしで融資確保
機能
戦後直後は不安定条件下で資金移転を促す役割
運用上、融資が失敗しないためには米国の金融機関との連携は重要
基本的課題
19 世紀のシステムの修復の限界
構造改革ではなく再建だった
危機の芽を隠すことを成功したことによる悲劇
例:中国-技術協力の実験(モネ、ソルターの関与)cf. 日本は反日との認識
衛生活動
幣制改革支援
4-3
cf. 経済の政治的基礎の重要性(中印の差)の認識 by ソルター
国際連盟の行政運用
(1)理事会の設計と運用
管轄:
「世界の平和に影響する一切の事項」-紛争、少数民族保護、財政再建、軍縮等多様
な問題
1920 年は 12 回開催
1922 年以後年 4 回、欧州諸国からは外務大臣が参加する慣行形成
cf. ソルター:セクター別直接的接触との関係の議論
2
(2)国際公務員制度の設立と運用
バルフォア報告(Balfour Report)-国際的性格(international character):可能な限
り能力のあるもの(best available)を採用すること;なるべく多くの国々から採用す
ること
1920 年第1回総会:ノーブルメールを議長とする調査委員会組織-行財政組織原則検討
1921 年5月の第2回総会第4委員会に報告を提出:内容-かなり国内モデル
待遇は、最も待遇のよい国(この時点ではイギリス)以上とすること
採用は試験によるものとするが事務総長は他の方法を用いることも可能である
特に低いレベルのポストについては終身雇用とすること
(3)組織間関係-集権と分権連盟規約第 24 条:既存の事務局、委員会との関係について
は各機関との合意を条件に各
機関を国際連盟の指揮(direction )下におくことが規定
された
しかし多くの事務局、委員会は、国際連盟と協定を結んでその指揮下に入ることはなし
他方、国際連盟は自らの下に多くの専門機関(Technical Organization)を設立しそのプ
ログラム、予算を連盟理事会のコントロールの下にお cf.ILO予算も連盟理事会決定
当初国際連盟と既存の事務局との管轄境界紛争
徐々に個々に協定を結ぶというかたちで分業関係、協力関係が形成
(4)ブルース報告-活動・政策手段の変質と組織的対応案
1939 年「経済社会問題における国際協力の発展」
新たな課題
課題の共通性
経験の学習、相互援助の重要性
4-4
国際連合の創設
戦時からの連続性
一般性、ただし、安全保障理事会と経済社会理事会を分離
安全保障理事会の管轄:柔軟性、総会との関係
形式的には「国際の平和及び安全の維持回復」
(国連憲章 39 条)に安保理の目的は限定
さ
れているが、これはいろいろなものに引っかけられる=「一般性」
cf. 北朝鮮のIAEA違反の核開発(疑惑)への対応
麻痺→「平和のための結集決議」
4-5
国際連合の制度と活動
(1)集団安全保障の限界と平和維持活動の実践一定の強制化:集団安全保障措置
安保理:非「常任理事国」に対しては拘束的決定の可能性
拒否権:大国協調を志向する米ソの取り込み
小国による妨害への危惧?
国際連盟の反省として適切かは問題
拒否権の行政的性格-需要制御機能
3
軍事的制裁手段の活用は限定的
対象をめぐる意見不一致
担い手問題:負担分担の問題-限定的供給 cf.米国の死傷者への許容限度の減少
大国への非対称性問題(いかに大国を管理するかの問題)cf.有志連合と国連のお墨付き
防衛と攻撃の峻別の困難
集団安保(PKOも同様)はパワープロジェクションが必要なので攻撃兵器となる
実践的運用としての「国際」PKO
原則として関係(国)政府の同意が必要
ホスト国の一方的行為に対する保障必要-一方的行為抑止手段として国際的プレゼンス
軍事部隊の構成-当初安全保障理事会常任理事国の排除、特別利害持つ国の排除
(2)経済社会政策・規範設定・緊急対応
経済の「失敗」:経済社会理事会、UNDP、UNCTAD-別途、世銀・IMF
規範浸透の成功?
主権国家(脱植民地化)
人権:人権委員会→人権理事会
国連世界会議(UN Global Conferences-環境、ジェンダー等)の活用-規範的企業家と
しての役割
緊急対応-最後の手段:人道援助(UNHCR)
4-6
国際連合の行政運用
(1)安保理の運用
ツール(認識枠組み提供、正統性付与機能)
決議:公式会合における評決で採択
議長声明:法的拘束力は持たない、非公式協議(ここでコンセンサスの成立を確認)
Cf. 反対派は議長声明としての採択に固執すること多い
プレス・ステートメント:事務局による情報提供がいまだ行われておらず、それを基礎と
した詳細な分析が行えない場合に、安保理としてのとりあえずの評価を迅速に対外発信
多様化する場
公式会合
公開会合
ブリーフィング(事務局から情報提供)
討論(紛争当事国や関心国等、非メンバーの加盟国等を招致し討議)
公開討論(事前審査せず全ての加盟国に発言機会提供)
決議案評決や議長声明案読み上げのための会合
非公開会合
準公式的会合
大使級非公式協議
cf. 記録無し、「その他の事項」の活用
アリア・フォーミュラ会合(紛争当事者、関係NGOと安保理の接触機会)
Cf. 安保理「メンバー」による非公式な会合(議長は主催せず)
水面下の交渉
専門家会合(担当官級)(議題リード国が議長)
非公式・非公式(大使級)
4
事務総長との昼食
運用上の課題
P5への権力集中(特に議題リード国)-分担の必要
Cf. 複数リード国、コア・グループの活用
非常任の運用-一部地域における順送り選出の問題←→アジア
安保理における決定と実施部門(各国)との関係:サボタージュ、行政能力問題
(2)国際公務員制度の展開と運用
事務総長の政治的役割:憲章 98 条、99 条
事務局職員に関してなるべく広範な地理的配分:憲章 101 条
詳細な人事制度:職員の職務分類、給与、手当、終身身分保有、休暇、社会保障等
cf.給与についてはノーブルメール原則(今はアメリカ連邦公務員の給与が基準)維持
国連共通システム-IMF、世界銀行等の財政関係機関は入っていない
課題:一体性(←→機関毎の組織化)、ポスト配分と事務総長の調整力、自己利益追求行動
(3)分権的セクター間調整
専門機関の自律化-分権化
国連と各専門機関との関係:個別協定によって規定される
予算:総会下部機関である行財政諮問委員会(Advisory Committee on Administrative
and Budgetary Question:ACABQ)が各専門機関の予算を review(決定は各機関)
各機関は経済社会理事会(Economic and Social Council:ECOSOC)に年次報告
国連事務総長を議長とし各専門機関(IMF、世銀も入る)の長によって構成される行政
調整委員会(Administrative Committee on Coordination:ACC:1947 年)
2001 年から United Nations System Chief Executives Board for Coordination(CE
B)
計画調整委員会(Committee for Programme and Coorditation:CPC):
UNDP(United Nations Development Programme):援助のための国連システムの自
主的拠出財源(voluntary contribution)の一元的管理
人事行政:「共通システム」-一定程度機能?
1948 年:国際人事諮問委員会(International Civil Service Advisory Board)
1974 年:国際人事委員会(International Civil Servuce Commission)
4-7
国際行政学の対応
対象の限定へ?
①関心の焦点の官僚制的構造をもつ事務局(secretariat )活動への収斂
②国際公務員、諮問委員会における国際的性格や論理的討議が政府代表の性格、政府間交
渉の行動原理と対照された-セットでは論じられない
③人事、財務を対象-行政学の伝統的関心が応用 but 過度の国内アナロジーの恐れ
cf. 例外的な行政自由主義論 by ラブディ(国際連盟社会経済部門)
5
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