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アラブ首長国連邦(UAE):総合エネルギー企業として躍進する TAQA

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アラブ首長国連邦(UAE):総合エネルギー企業として躍進する TAQA
 <更新日:2008/7/14 >
<中東事務所:石田 聖>
アラブ首長国連邦(UAE):総合エネルギー企業として躍進する TAQA
UAE アブダビをベースとする Abu Dhabi National Energy Company(TAQA)社の活躍が
最近とみに目立ってきた。当初は、会社名にもあるように IWPP
*1
等国内のインフラ整備
に注力していたが、豊富なオイルダラーを背景に、最近は海外上流資産等の買収を積極的に
展開している。
2008 年 7 月 7 日には、シェルおよびエクソン・モービルから北海の 6 油田の買収を発表
した。
1. TAQA の概要
Abu Dhabi National Energy Company PJSC(以下「TAQA」)は、アブダビ政府の 100% 出資
機関 Abu Dhabi Water & Electricity Authority(ADWEA:アブダビ水・電力庁)から 51%、ア
ブダビ政府保有の農業基金から 24.1% の出資を受け、さらにアブダビ証券取引所へ上場するこ
とによって一般投資家の資金 24.9% によって、2005 年に設立された。
会長は、アブダビ財務庁次官であるハマド・アル・スウェイディ、CEO Peter E. BarkerHomek が務めている。
表 1 に示したとおり、上流権益を含めた資産規模は 678 億 Dhs(UAE ディルハム):約 185
億米ドルと言われ、アブダビ証券取引所上場社のうち最大規模である。2007 年の収益は、83
億 Dhs(約 23 億米ドル)、EBITDA
*2
は、52 億 Dhs(約 14 億米ドル)、最終益は、10 億 Dhs(約
* 1 IWPP Independent Water and Power Producer「独立造水・発電事業者(プロジェクト)」およびその施設のこと。
海水を何らかの手段で熱し、水蒸気を発生(フラッシュ)させ、冷却して淡水にする方法は、大量の淡水を作
り出すことができる。新鋭のガス火力発電所と造水(海水淡水化)装置とを組み合わせた場合、エネルギーロ
スが比較的少なくてすむため、多くの場合両者は併設される。燃料は、天然ガスが主体である。
この方式はガス資源に余裕のあった時代に多くの中東の産油国に採用されてきた。
* 2 EBITDA とは、税引前利益に支払利息と減価償却費を加算したものであり、他人資本を含む資本に対してど
の程度のキャッシュフローを産みだしたかを簡易的に示す利益概念である。
国ごとの金利税率会計基準の違いによる見かけ上の企業の利益格差を最小限に抑える指標として利用される
こともある。
(http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_1565.html より引用)
Global Disclaimer (免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資
料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであ
り、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果
については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い
申し上げます。
-1-
2 億 8,000 万米ドル)であっ
た。
今 後 数 年 以 内 に、 発 電、
造水、石油・天然ガス上流、
ガ ス 地 下 貯 蔵、 パ イ プ ラ
イン事業等の主要な業務に
よって世界展開を行い、資
産規模を倍加する方針であ
る。
前述のとおり、当初設立
表 1 TAQA の収益および資産状況
Financial Highlights
Million AED*
Revenue
EBITDA
Net Income
Total Assets
Total Equity
Net Debt / Equity
2005
2,998
2,452
602
30,204
6,738
2.8x
2006
4,837
3,031
807
51,767
7,564
3.2x
2007
8,338
5,155
1,035
67,844
8,129
5.8x
1 AED = 0.272 US$
目的は国内の独立系の水・ 出所 : TAQA ホームページ (http://www.taqa.ae/en/investor_relations.
電力会社への資本参加を通
html)
してアブダビ首長国内の
ユーティリティの安定供給体制を確立することにあった。この事業は国外からの投資を呼び込
み、成功裡に推移している。さらに、2006 年末より国外のエネルギー関連事業につぎつぎに投
資しており、資産・収益は「倍々ゲーム」で増加している(図 1)
。
本稿では、図 2 に示すように、国内の発電造水事業および国外における事業、すなわち石油・
天然ガス上流資産取得、国外発電事業等ユーティリティ事業に分けて記述することとしたい。
百万ディルハム (Mil. Dhs)
10,000
2005 年
8,338
8,000
2006 年
2007 年
6,000
5,155
4,837
4,000
3,031
2,998
2,452
2,000
602
807
1,035
0
Revenue
EBITDA
Net Income
図 1 TAQA の収益の変遷
出所 : TAQA ホームページ (http://www.taqa.ae/en/investor_relations.html) をもとに筆者作成。
Global Disclaimer (免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資
料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであ
り、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果
については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い
申し上げます。
-2-
Domestic Generation
Assets
International Generation
Assets
Oil & Gas - Upstream &
Midstream
54%
Emirates CMS
Power Co
100%
Jorf Lasfar
(Morocco)
100%
TAQA Energy
(Netherlands)
74%
Shuweihat CMS
Intl. Power Co
100%
Neyveli
(India)
100%
TAQA Bratani
(UK)
Taweelah Asia
Power Co.
90%
100%
54%
Gulf Total
Tractebel Power Co.
25%
TAQA North
(Canada)
54%
Arabian Power
Co.
54%
Takoradi
(Ghana)
Jubail
(Saudi Arabia)
図 2 TAQA の事業会社
54%
Emirates SembCorp
Water & Power Co.
出所 : TAQA プレゼン資料 (www.taqa.ae/images/Developing_an_Internation
al_Energy_Company.pdf ) をもとに筆者作成。
2.発電・造水事業
UAE 国内には、多くの IWPP がある。IWPP に関しては、技術的な解説も含め稿を改めて記
述することとしたい。ここでは簡単に、TAQA の IWPP 事業への投資構成について図 3 にまと
めた。ADWEA は民営化を強く推し進めており、国際ユーティリティ会社や日本の商社が相次
いで参入している。
TAQA の各 IWPP 事業への参加実績を表 2 にまとめる。また、典型的な各 IWPP の事業形態
を APC(後述)を例にとって図 4 に示す。
図でも明らかなように TAQA は、各 IWPP 事業に対してそれぞれ 100% 子会社のホールディ
ングカンパニーを設立する。それぞれのホールディングカンパニーは、アブダビ政府関連機関・
企業として最低出資比率 60% で、各 IWPP 事業者に対して出資を行う。残りの 40% については、
国外からの投資社を募る形となっている。なお、いずれの IWPP 事業も TAQA(90%:事業会
社への出資比率としては 54%)および ADWEA(100%:同 6%)の基本出資比率は 60% であるが、
事業開始後の国外企業への出資移転や国外出資企業の買収等により、出資比率は変動している。
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資
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り、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果
については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い
申し上げます。
-3-
1 0 0%
Government of Abu Dhabi
100%
100%
ホールディング
カンパニー
プロジェクト
カンパニー
IWPP 施設
Public shareholders
Abu Dhabi Water
& Electricity Authority
Fund for Support of Farm Owners
in the Emirate of Abu Dhabi
2 4 .9 %
51%
2 4.1%
100%
100%
100%
100%
100%
Power
Company
Al Taweelah
United Power
Company
Union Power
Holding
Company
100%
Arabian United
100%
Emirates
Power
Company
Gulf Power
Company
Al Shuweihat
Power
Company
54%
54%
74%
54%
54%
54%
54%
Emirates CMS
Power
Company
Gulf Total
Tractebel Power
Company
Shuweihat CMS
Int’l Power
Company
Arabian Power
Company
Taweelah Asia
Power Company
Emirates
SembCorp Water
and Power
Company
Fujairah Asia
Power
Company
(ECPC)
(GTTPC)
(SCIPCO)
(APC)
(TAPCO)
(ESWPC)
(FAPC)
Taweelah A2
Taweelah A1
Shuweihat
Umm Al Nar
Taweelah B
Fujairah
Fujairah-2
図 3 TAQA の国内 IWPP 事業
出所 : TAQA 投資家向けプレゼン資料 (2007 年 4 月 ) をもとに筆者作成。
International
Power plc
Tokyo Electric
Power
Company
Mitsui & Co.
Ltd
Abu Dhabi Water
& Electricity
Authority
51%
Abu Dhabi National
Energy Company
PJSC (TAQA)
Abu Dhabi Water & Electricity Authority
100%
100%
International
Power
Holding Ltd
TEPCO
International
BV
50%
35%
15%
10%
90%
100%
ITM
Investment
Company
100%
40%
60%
Arabian United
Power
Company
Arabian Power Company
図 4 IWPP 事業会社への投資形態
出所 : ADWEA ホームページ (http://www.adwea.com/priv/apc/en/index.html ) をもとに筆者作成。
-4-
表 2 TAQA の出資する IWPP 一覧
IWPP 事業会社名
発電 ・ 造水施設名
契約年
稼動年
Emirates CMS Power
Company
Taweelah A2
1998 年
2001 年
発電能力
(MW)
777
造水能力
(MIG/d)
50
Gulf Total Tractebel
Power Company
Taweelah A1
2000 年
2003 年
1,350
84
Shuweihat CMS
International Power
Company
Shuweihat
2001 年
2004 年
1,500
100
-5-
Arabian Power
Company
Taweelah Asia Power
Company
Emirates Sembcorp
Water and Power
Company
Fujairah Asia
Power
Company
出資企業 (出資会社名 : 親会社出資比率)
TAQA
ADWEA
丸紅
TAQA
ADWEA
Total
Suez Energy Int’ l
TAQA
ADWEA
International Power
(Emirates Power Company : 100%)
(International Power Holding Ltd. : 100%)
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
54%
6%
40%
54%
6%
20%
20%
74%
6%
20%
TAQA
(Arabian United Power Company : 100%)
:
54%
:
6%
(Gulf Power Company : 100%)
(Total Tractebel Emirates Power Co. : 50%)
(Total Tractebel Emirates Power Co. : 50%)
(Al Shuweihat Power Company : 100%)
ADWEA
Umm Al Nar
Taweelah B
Fujairah
Fujairah-2
2003 年
2005 年
2006 年
2007 年
2006 年
2008 年
2009 年
2010 年
出所:ADWEA、TAQA の各種資料を使用し、筆者作成。
2,435
2,220
861
2160
160
160
100
130
International Power
(International Power Holding Ltd. : 100%)
:
20%
東京電力
(TEPCO International BV : 100%)
:
14%
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
6%
54%
6%
14%
10%
10%
6%
54%
6%
40%
54%
6%
20%
20%
三井物産
TAQA ADWEA
丸紅
Powertek Berhad
BTU Group
日揮
TAQA
ADWEA
Sembcorp
TAQA
ADWEA
丸紅
International Power
(Al Taweelah United Power Company : 100%)
(Union Power Holding Company : 100%)
( : 100%)
(International Power Holding Ltd. : 100%)
(1)Emirates CMS Power Company
同社の操業する IWPP タウィーラ A2 は、2001 年に操業を開始しており、アブダビとドバイ
のそれぞれの市街地のほぼ中間の海岸に位置している。定格発電能力は 777MW の天然ガスコ
ンバインドサイクル火力発電設備で、50MIGD
*3
(約 23 万トン/日)の造水能力も併せて持っ
ている。
2007 年 11 月 6 日、 丸 紅 は TAQA と の 間 で、Emirates CMS Power Company(ECPC) の
事業参加合意に至ったと発表した。同社へは、当初米国のエネルギー企業 CMS Energy の電
力 部 門 子 会 社 CMS Generation が 40% 出 資 し て い た が、2007 年 2 月 の TAQA に よ る CMS
Generation 買収に伴い、その出資分が TAQA に置き換わった。丸紅は、TAQA が 94%保有して
いた同社株式の 40%を 1 億 4,000 万ドルで取得した。
(2)Gulf Total Tractebel Power Company
同社の IWPP 施設も Taweelah に位置しており、タウィーラ A1 と呼ばれる。2003 年 4 月の
運転開始時には、発電能力 221MW、造水能力 28MIGD(約 13 万トン/日)であったが、現在
同 1,350MW、54MIGD(万トン/日)への拡張工事中である。
Total 社と Suez-Tractebel 社は 50% ずつの出資によって、ホールディングカンパニー Total
Tractebel Emirates Power Company を設立している。同社は本プロジェクトカンパニーに 40%
を出資している。現在、当初出資社であった Tractebel 社は Suez 社の傘下に入り、発電への出
資事業は、Suez Energy International が引き継いでいる。
(3)Shuweihat CMS International Power Company
同社の操業する施設であるスウェイハット IWPP はアブダビ市の西方約 260km に位置して
いる。5 機のタービンによって発電能力は 1,500MW、6 機の MSF
*4
脱塩造水装置(同社以外
の IWPP の淡水化装置も同様)によって、100MIGD(約 45 万トン/日)の造水能力を持って
いる。前述のとおり、CMS Generation が TAQA によって買収されたことにより、当初の CMS
出資分は現在 TAQA 所有に置き換わっている。
* 3 Million Imperial Gallon per Day(百万英ガロン / 日)のこと。1 英ガロン≒ 4.54 リットルであるので、1MIGD
は約 4.5 万トン/日の生産量に相当する。
* 4 MSF(Multi Stage Flash Distillation)IWPP で広く使われる淡水化の方式。海水を何らかの手段で熱し、水蒸気
を発生(フラッシュ)させ、冷却して淡水にする。淡水の回収効率を上げ、熱エネルギー効率を良くするため、
多数の減圧蒸留室を組み合わせているので、「多段」と呼ばれている。大量の淡水を作り出すことができ、新鋭
のガス火力発電所と組み合わせた場合、エネルギーロスが比較的少なくてすむ。
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資
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り、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果
については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い
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-6-
(4)Arabian Power Company
同社の IWPP 施設は、アブダビ市街のすぐ東側約 20km の Sas Al Nakhl に位置し、ウム・アル・
ナール IWPP と呼ばれる。同施設には、東京電力と三井物産が出資しており(図 4)、2007 年
8 月 13 日、増設分の運転を開始し、能力は発電 2,435MW と造水 160MIGD(約 73 万トン/日)
となった。能力拡大は、TAQA、ADWEA と外資 3 社コンソーシアムがプラントの追加建設を進
めてきたものである。
設備の運転保守は IP と東京電力が共同で設立した ITM O&M 社(出資比率: IP 70%、東京
電力 30%)が行う。
(5)Taweelah Asia Power Company
同社の IWPP 施設 3 基は、いずれもタウィーラに位置している。1 基目の完成時の 1977 年
には 6 機の蒸気タービンによる 876MW の発電能力と 75MIGD(約 34 万トン/日)の造水能
力をもつものであったが、その後、2 基目の増設によって 200MW と 23MIGD(約 10 万トン
/日)の生産能力がつけ加わった。2009 年完成予定の第 2 期拡張によって、総計 2,220MW、
160MIGD(73 万トン/日)の能力を持つことになる。
本事業には、丸紅 35%、BTU Power 25%、Powertek berhad 25%、日揮 15% が参加している。
丸紅は現在全世界で 5,000MW 以上の発電能力イクイティを所有しており、さらに 1,000MW
以上が建設中である。丸紅は、2007 年 8 月にフジャイラ 2 IWPP(後述)へ 20%出資しており、
UAE 国内で総発電能力 4,710MW、総造水能力は 310MIGD(約 155 万トン/日)に関与する
こととなる。
(6)Emirates Sembcorp Water and Power Company
同社の操業する施設フジャイラ IWPP は、フジャイラ首長国 Qidfa に位置している。4 機の
ガスタービン、2 機の蒸気タービンによって、現在の発電能力は 641MW、拡張後は 861MW、
造水能力は 100MIGD(約 45 万トン/日)である。
(7)Fujairah Asia Power Company
ADWEA は 2007 年 8 月 1 日、丸紅および英 International Power(IP)に対し、UAE のフジャ
イラ首長国における IWPP 事業権付与の契約に調印した。フジャイラ 2 と呼ばれるこのプロジェ
クトは総事業費が約 28 億ドルに上り、UAE では最大規模の IWPP 事業となる。
フジャイラ 2 IWPP は、発電能力 2,160MW、造水能力 130MIGD(約 59 万トン/日)となる。
TAQA および ADWEA が 60%、丸紅、IP が各 20% を出資した事業会社 Fujairah Asia Power
Company が事業にあたる。運転開始は 2010 年が予定されており、生産された電力および水は、
フジャイラ、アブダビ、ドバイなどに供給される予定である。
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り、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果
については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い
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3.国外投資
最近国外における資産取得が大規模になっており、進出国は 10 ヵ国に及び、エネルギー生
産規模は原油換算で 100,000 バレル/日に達している。
国外資産を含めた投資概念図は図 2 のとおりである。
(1)石油上流資産の買収
① TAQA Energy(Netherland)
TAQA は、2006 年 12 月、BP の所有するオランダの資産を 6 億 9,400 万米ドルで買収した。
これは、海域および陸域のガス田、生産施設、パイプライン、貯蔵施設を含むものである。また、
休止油田 Rijn 油田も含まれる。同油田は、1985 年に発見され、ピーク生産量は 14,000b/d で
あった。TAQA は、買収後生産能力を倍加するとしている。買収前の生産量は、6,200 万 cfd(180
3
万 m /d)であった。買収資産の操業のため TAQA Energy (Netherland) が 2007 年 2 月に設立
された。
同社の P1 埋蔵量は 1,400 万 boe(石油換算バレル)、P2 のそれは 3,500 万 boe とされている。
買収ガス田は、ピーク時(1993 年)には 1,300 万 m3/ 日(約 459MMcfd)のガスを生産した。
今後は、地下ガス貯蔵施設として使われる予定である。なお、TAQA は後述する北米の資産も
あわせてガス地下貯蔵をビジネスの柱にしようと考えている。
② TAQA Bratani(「タカ英国」の意)
TAQA は、2007 年 1 月、英領北海の権益・企業買収のため 100%子会社の英国法人 TAQA
Bratani 社を設立した。当初の主要権益は、Talisman(UK)社から 5 億 5,000 万ドルで買収し
た South・North・Central・West・East Brae 油田、Beninn 油田および Braemar 油田の権益であった。
TAQA は、2008 年 7 月 7 日、 シ ェ ル(Shell UK Ltd.) お よ び エ ク ソ ン・ モ ー ビ ル(Esso
Exploration and Production (UK) Ltd.)からの北海権益の取得を発表した。これらには、Tern、
Eider、Cormorant North、South Cormorant、Kestrel、Pelican のオペレータ 6 油田と 2 ノン・
オペレータ油田である。
既に 2008 年 3 月末現在の英領北海における TAQA の権益上流資産は、埋蔵量で 2P ベース
3,800 万バレル、平均生産量は 23,000boe/d であったが、今回の買収によって約 40,000boe/d
の上積みがなされた。
なお、新規購入資産の操業に関しては、TAQA より John Wood Group PLC (Wood Group) に
委託されることになる。
③ TAQA North
TAQA は、カナダにおける権益を有する Northrock Resources を、2007 年 8 月 16 日に 20
億米ドルで買収して TAQA North 社を設立した。
Northrock Resources 社はアルバータ州、ブリティッシュ・コロンビア州、サスカチュアン州
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資
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り、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果
については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い
申し上げます。
-8-
および北西準州において、37,000 boe/d の油ガスを生産油ガスを生産していた。この買収で、
TAQA North の埋蔵量は 1 億 4,200 万バレルとなった。
TAQA North は、2007 年 8 月 23 日 Pioneer International Resources Company の 100% 子
会社カナダ法人である Pioneer Natural Resources Canada Inc.、さらに孫会社にあたる米国法人
の Pioneer Natural Resources Company を 5 億 4,000 万米ドルで買収した。この買収によって、
TAQA は 5,900 万バレル(2P)の埋蔵量と、TAQA North として買収前より 27% 増の生産量と
なる 10,000boe/d 以上を手にすることができた。また、Pioneer Natural Resources Canada Inc.
が、コールドベッドメタン(CBM)の生産を行っていたことから、同開発生産技術および技術
人員を得ることができた。
引 き 続 い て 2007 年 9 月、 カ ナ ダ の PrimeWest を 買 収 し た。 同 社 の 生 産 量 は、 約
37,000boe/d である。
以上みてきたように、このところ
Performance Progression
資産取得による収益は「うなぎ登り」
4,500
3,997
4,000
の様相を呈しており(図 5)、また石
3,500
油上流権益の取得による同セクター
3,000
Million
AED
の収益比率の急拡大も見られる(図
2,377
2,500
6)
。
2,000
1,500
1,048
945
1,000
398
500
64
0
Revenue
EBITDA
Q1 2007
Net Income
Q1 2008
図 5 TAQA 収益急拡大の軌跡
出所 : TAQA ホームページ (http://www.taqa.
ae/assetsmanager/files/presentations/
1st_Quarter_2008_Results_Presentation.ppt) より筆者作成
H1 2007 Revenue Breakdown
Oil & Gas
5%
Other
1%
US$772Mil.
Q1 2008 Revenue Breakdown
Oil & Gas
Water &
Electricity
94%
Water &
Electricity
42%
58%
US$1,088Mil.
図 6 TAQA 収益内容の変化
注) 円グラフの大きさは相対的な金額の多寡を表す。 左グラフは、
2007 年前半、 右グラフは 2008 年第 1 四半期で期間が違うこ
とに留意。
出所 : TAQA ホームページ (http://www.taqa.ae/assetsmanager/
files/presentations/1st_Quarter_2008_Results_Presentation.
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資
料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであ
り、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果
については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い
申し上げます。
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(2)国外発電事業への参入
現在、TAQA は UAE 国内の発電・造水事業の約 85%を傘下に収めている。一方、国外では石油、
ガス開発事業から電力供給に至るまで幅広いエネルギー事業に参画し、進出国は 10 ヵ国に及ん
でいる。
①インド
2006 年 12 月、インド State Bank of India の所有する事業会社 Infrastructure Leasing and
Financial Services(IL & FS)との間で、同社が進める 6,000MW の発電および送電プロジェク
トに資金面で協力することとなった。巨大プロジェクトである本プロジェクトには、シンガポー
ル投資庁、HSBC、ADIA(Abu Dhabi Investment Authority:アブダビ投資庁)のほか、日本のオリッ
クスも参加することになっている。投資額は、約 10 億米ドルが予定されている。
② CMS Generation の買収
2007 年 2 月、9 億米ドルで CMS Generation を親会社である米国 CMS Energy より買収した。
同社は、米国の発電事業だけではなく広くモロッコ、インド、サウジ、ガーナ、UAE で事業展
開してきた。また、TAQA はモロッコとインドにおける CMS Generation の合弁事業につき、そ
の相手先である ABB より権益を取得した。これらの権益取得により、TAQA の国外事業におけ
る発電能力は 4,300MW 増加した。同社は前述のとおり、UAE 国内の IWPP 事業に早くから投
資してきており、TAQA とはいわば旧知の仲の相手先を買収したものである。
4.まとめと今後の検討課題
同社の国外資産の買収は一巡したと思われるが、高油価によるアブダビ政府の収入増を背景
に、権益買収は引き続いていくものと思われる。2007 年以降の上流資産買収とガス貯蔵事業な
どを含めた上・中流再生事業は、新しいビジネスモデルとして注目に値する。今後とも注視し
ていく必要があろう。
なお、先述のとおり、技術的なことがらを含めた IWPP の解説、中東・北アフリカ地域に展
開するアブダビ TAQA と同名のエジプト・クウェートおよびサウジアラビアの TAQA 社につい
ては、稿を改めて報告することとする。
参考文献(順不同)
TAQA ホームページ http://www.taqa.ae/en/index.html
ADWEA(アブダビ水・電力庁)ホームページ http://www.adwea.com/en/index.html
Regulation and Supervision Bureau ホームページ http://www.rsb.gov.ae/English/Index.aspx
在アラブ首長国連邦日本国大使館資料「アブダビ国営エネルギー会社(TAQA)概要 」
http://www.dubai.uae.emb-japan.go.jp/pdf/abudhabi/abudhabi_report01.pdf
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MEES 2006/12/4、2007/2/12、2007/2/17
TRANSCO 5-Year Electricity Planning Statement Update
http://www.transco.ae/media/pdf/Transco%205YPS-2008-2012electricity%20planning%20statement%20volume.pdf
Privatization of the Power, Water and Waste Water Sector in the Emirate of Abu Dhabi-The
Success Story-(JBIC ドバイ事務所開設記念講演会(2006 年 11 月 22 日)資料)
中東研ニュースリポート「丸紅がフジャイラの発電造水事業参画」2007 年 8 月 3 日
中東研ニュースリポート「丸紅がタウィーラ A2 発電造水事業に参画」2007 年 11 月 7 日
中東研・中東動向分析 「東電・三井物産出資のウム・アル・ナール IWPP が営業運転開始」
インターネット記事(Telegraph.co.uk)
http://www.telegraph.co.uk/money/main.jhtml?xml=/money/2008/07/08/cnshell108.
xml ほか
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2007 年 4 月より、JOGMEC 中東事務所の管轄エリアに東ア
フリカが加わりました。
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