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渡慶次集落(PDF:128KB)

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渡慶次集落(PDF:128KB)
天
皇
杯
老いも若きもユイマール、みんなが元気な渡慶次集落
と
受賞者
け
し
渡慶次集落
おきなわけんなかがみぐんよみたんそん と
け
し
(沖縄県中頭郡読谷村渡慶次)
■地域の沿革と概要
1.立地条件
第1図
位置図
読谷村は沖縄本島中部の西側に位置し、
東 は 海 抜200mの 読 谷 山 岳 を 頂 点 に 、 南 に
概 ね 緩 や か な 丘 陵 傾 斜 地 、 西 は 海 抜130m
の座喜味城跡がある丘を頂点に、カルス
ト台地が広がり段丘をもって海岸へ続い
て お り 、 中 心 部 か ら 東 西 約 5.7km、 南 北
約 5.8kmの 広 が り で あ る 。
北は恩納村、東は沖縄市、南は嘉手納
沖縄県中頭郡読谷村渡慶次
町に隣接している。
渡 慶 次 集 落
渡 慶 次 集 落 は 、 人 口1,498名 、 総 世 帯 数
477戸 ( 平 成17年7月 現 在 ) で あ り 、 読 谷 村
の19あ る 集 落 の 中 で は 平 均 的 規 模 で あ る 。
2.社会、経済的条件
(1) 地 域 産 業 、 経 済 の 状 況
主な産業は農業の他、加工・食品産業、
観光業、建設業、米軍関連業で、村面積の
45% は 米 軍 用 地 で あ る 。 渡 慶 次 集 落 の 耕 地
面 積 は20haで 、 主 要 作 物 は 、 サ ト ウ キ ビ 、
芋類を中心に、最近では生産基盤が整備さ
れ、かん水も可能となったことから、花き
(きく)、パパイヤ、ゴーヤー、インゲン
などの施設栽培も盛んに行われている。
※ 白 地 区 KenMap の 地 図 画 像 を 編 集
第1表 地区の概要
内 容
集落の単位(1集落)
地縁的な集団
9.6%
(内訳)
総世帯数
426戸
農 家 数
41戸
販売農家数
20戸
(内訳)
専業農家
4戸
Ⅰ兼農家
3戸
Ⅱ兼農家
13戸
主要農産物
花き類
54百万円
農業産出額
野菜類
22百万円
さとうきび
12百万円
農用地の状況 耕地計
20ha
(内訳)
田
−
畑
18ha
樹園地
−
耕地率
19%
農家一戸当たり農用地面積
50a
事 項
地区の規模
地区の性格
農 家 率
(2) 交 通
読 谷 村 は 、そ の 中 央 部 や や 東 寄 り に 、国 道 58号 線 が 南 北 に 抜 け 、南 隣 り の 嘉 手 納
町 付 近 か ら 、西 側 に 県 道 6 号 線 が 、村 の 主 な 集 落 を 抜 け る 形 で 西 側 外 周 を 回 り 込 ん
で 北 上 し 、 恩 納 村 に 入 り 再 び 国 道 58号 線 に 接 続 し て い る 。
県 庁 所 在 地 の 那 覇 市 か ら は28㎞ と 近 隣 で あ り 交 通 の 条 件 は 良 好 で あ る 。
■むらづくりの概要
1.地区の特色
渡 慶 次 集 落 は 、読 谷 村 の 北 側 に 位 置 し て お り 、海 岸 線 か ら 緩 や か に 丘 陵 地 帯( 海
抜40∼60㍍ )へ と 続 く 地 形 で 、集 落 か ら 西 に 東 シ ナ 海 と 慶 良 間 諸 島 を 望 み 、天 気 の
良い日は、海への日没を間近に見ることが出来る。
土 壌 は 、琉 球 石 灰 岩 を 母 岩 と す る「 島 尻 マ ー ジ 」( サ ン ゴ 石 灰 岩 を 母 材 と す る 暗
赤 色 土 )で 通 気 性・透 水 性 に 優 れ て い る も の の 、保 水 性 に 乏 し い た め 干 ば つ の 影 響
を受けやすい性質であるが、前述した基盤整備等により現在では克服されている。
歴 史 的 に は 、第 二 次 世 界 大 戦 で 我 が 国 唯 一 の 熾 烈 な 地 上 戦 が 行 わ れ た 沖 縄 に 於 い
て、米軍の上陸地点に隣接していたことから、集落は壊滅的被害を受けた。
戦 後 長 ら く し て 、飛 行 場 を 含 む 軍 用 地 が 昭 和 5 1 年 に 返 還 さ れ た が 、一 部 は 未 だ
に軍用地として使用されている。
ま た 、文 化 面 に お い て は 、先 の 戦 争 で 約50年 間 途 絶 え た ま ま に な っ て い た 伝 統 芸
能 の 組 踊 り を 、青 洋 会( 老 人 会 )の 面 々 が 聞 き 取 り を 重 ね 、昭 和 4 8 年 に 復 活 さ せ
るなど、その復興や伝承にも力を入れている。
2.むらづくりの基本的特徴
(1) む ら づ く り の 動 機 、 背 景
ア 戦前、戦時中の状況
戦 前 の 渡 慶 次 集 落 は 、の ど か な 農 村 地 帯 で あ り 、農 地 は サ ト ウ キ ビ を 中 心 に 、甘
藷 や 粟 が 栽 培 さ れ 、畜 産 も 規 模 は 小 さ い な が ら 、農 耕 馬・牛・豚・ヤ ギ な ど が 飼 育
さ れ て い た 。ま た 、海 は 青 く 、魚 が 豊 富 で 、本 島 各 地 を 結 ぶ 船 の 寄 港 地 と し て 栄 え
ていた。
し か し 、こ の 風 景 も 、昭 和 2 0 年 の 第 2 次 世 界 大 戦 に お け る 米 軍 の 侵 攻 に よ り 一
変 し た 。米 軍 は 上 陸 し て す ぐ 当 集 落 を 占 拠 し 、ブ ル ド ー ザ ー で 敷 き な ら し 、本 土 決
戦 に 向 け て 飛 行 場 を 建 設 し た 。こ の こ と に よ り 、本 島 北 部 に 疎 開 し て い た 集 落 住 民
は、戦争が終わっても帰るところがなく、散り散りに生活せざるをえなかった。
イ 集落への帰還
昭 和 2 0 年 に 終 戦 を 迎 え た が 、集 落 は 米 軍 に 占 拠 さ れ 、す ぐ に は 帰 還 で き な か っ
た 。米 軍 か ら 当 集 落 へ の 移 住 許 可 が 下 り た の は 、昭 和 2 2 年 の こ と で あ っ た 。住 民
は 協 力 し な が ら 焦 土 と 化 し た 土 地 に 山 林 か ら 伐 採 し た 木 材 や 、米 軍 の 廃 材 を 用 い て
簡 易 住 宅 を 整 え て い っ た 。そ し て 住 環 境 の 整 備 が 進 む に 従 っ て 、散 り 散 り に な っ て
いた住民も徐々に集落へ集まってきた。
し か し 、米 軍 は 翌 年( 昭 和 2 3 年 )、住 民 に 対 し て 期 限 が た っ た 7 日 の 立 ち 退 き
命 令 を 下 し 、従 わ ざ る を 得 な い 住 民 は 、家 屋 を 解 体・運 搬 し 近 隣 の 集 落 に 移 動 し た
の だ っ た 。こ の 措 置 に よ り 、立 ち 退 き 先 か ら 戻 ら ず 、移 動 先 に そ の ま ま 住 み 着 く 者
も出る有様であった。
そ の 後 、村 の 関 係 者 や 区 役 員 の 強 い 要 請 に よ り 、や っ と 集 落 に 戻 れ た の は 終 戦 か
ら8年後の昭和27年のことであった。
ウ 戦後の復興と現在に至るまでの経過等
集 落 復 興 は 緊 急 か つ 重 要 課 題 で あ っ た が 、廃 墟 の 中 か ら 復 興 す る の は 並 大 抵 の 努
力 で 成 し 得 る も の で は な か っ た 。そ の よ う な 中 で 、郷 里 に 愛 着 と 誇 り を 持 っ て い た
住 民 の 団 結 と 士 気 は 高 く 、中 で も 、集 落 の 将 来 を 見 据 え た 道 路 整 備 に ま つ わ る 逸 話
は 、そ れ を 如 実 に 物 語 っ て い る 。戦 前 の 渡 慶 次 は 、集 落 道 路 が 狭 く 曲 が り く ね っ て
い る な ど 、荷 馬 車 が 1 台 通 れ る 位 の 幅 員 し か 無 か っ た 。そ こ で 戦 後 す ぐ に 、広 く 安
全な道路を造るための取り組みを始めたが、土地の無償提供が前提であったため、
地 主 の 異 議 は 勿 論 、道 路 の 延 長 上 に 家 屋 が 在 る 者 に つ い て は 土 地 や 屋 敷 を 分 割 し た
り、削られることに当然ながら反発も相当にあり、その説得は困難を極めた。
し か し 、地 域 再 建 振 興 会 は 理 想 の 実 現 に 向 け 、村 内 外 の 地 主 を 一 件 ず つ 訪 問 し て
ね ば り 強 く 説 得 を 行 い 、つ い に は 碁 盤 目 状 道 路 を 完 成 さ せ た 。ま た 、そ の 整 備 作
業 に 於 い て も 、可 能 な 所 か ら 区 民 総 出 で 行 う な ど 、ユ イ マ ー ル「 協 調・和 衷( わ
ちゅう)・助け合い」の精神が見事に具現化されていると言えよう。
こ の よ う に 、集 落 の 誰 も が ユ イ マ ー ル の 精 神 で 、あ ら ゆ る 面 か ら む ら の 復 興 に 取
り 組 む 必 要 性 を 強 く 感 じ 、問 題 解 決 に 対 す る 熱 意 と 意 識 の 高 さ と 、厳 し い 状 況 の 中
で も 、常 に 話 し 合 い 合 意 形 成 を 図 る ね ば り 強 さ で 、戦 後 の 環 境 整 備 を 進 め た 。ま た 、
コ ー ラ ル で 敷 き 詰 め ら れ た 返 還 軍 用 地 に は 、補 助 事 業 に よ り 農 地 や 水 を 確 保 し 、生
産環境の整備を進めた。
戦後の復興とともに、自治会の活動も活発になり、産業組合(後の農業同好会)
や 体 育 振 興 会 、婦 人 会 な ど の 組 織 が 農 業 振 興 、住 環 境 の 整 備 、生 き が い づ く り な ど
に 精 力 的 に 取 り 組 ん だ 。各 組 織 は 個 々 の 活 動 を 強 化 す る 一 方 で 、相 互 に 交 流 し 、刺
激し合い、地域の復興と活性化を推進した。
第2表
むらづくりに関する年表
西暦
事項
1637(崇禎10・
渡慶次村に南蛮人(宣教師ゴンザレス)日本への布教の為に漂着
寛永14)
1919(大正8)
婦人会発足(初代会長前之上池の山内マシさん)
1920(大正9)
渡慶次産業組合発足(農業同好会の前身)
1945(昭和20)
第二次大戦も激烈を極め部落民は二月より国頭へ避難が始まり、三月に軍司令
部より立ち退き命令が出る
1947(昭和22)
自治会組織が戦後のスタート、少年自治会(子ども会の前身)発足
1952(昭和27)
渡慶次部落への移動許可。それに伴う青年会による敷地の整備作業開始。割当
土地の小作料を所有権者に支払い開始。
1955(昭和30)
道路拡張工事完成祝賀会。出産祝忘年会の合同祝賀会を開催(仮装行列)
1964(昭和39)
渡慶次青洋会(老人会)発足
1969(昭和44)
第1回渡慶次区民運動会開催
1974(昭和49)
4字連合のボーローポイント返還軍用地主会結成
1976(昭和51)
軍用地(ボーローポイント中地区)の返還
1979(昭和54)
渡慶次公民館報第1号発刊(現「こうみんかんだより」)
1983(昭和58)
渡慶次字章の制定
1984(昭和59)
第1回渡慶次まつり開催(部落共進会から名称変更)
1988(昭和63)
渡慶次地区土地改良事業の竣工
1991(平成3)
渡慶次デイサービス活動開始(現渡慶次いぶし銀会)
1999(平成11)
渡慶次子ども獅子舞クラブ博報賞受賞祝賀会
2000(平成12)
婦人会80周年記念式典及び祝賀会。記念誌発刊、記念碑除幕
2004(平成16)
地縁団体(法人格)取得
2004(平成16)
第10回山芋づくり同好会10周年記念式典及び祝賀会。記念誌発刊。「山芋スー
ブの歌」が披露される
(2) む ら づ く り の 推 進 体 制
ア むらづくり推進のための運営状況と構成員の参加状況
む ら づ く り 活 動 は 、村 内 で 唯 一 法 人 化 さ れ た 自 治 会 が 中 心 に な り 、全 員 参 加 の も
と で 行 わ れ る 。組 織 は 区 長 を 中 心 に 行 政 委 員 会 、行 政 班 長 、予 算 審 議 委 員 会 、文 化
保 存 委 員 会 、体 育 振 興 会 や 相 談 役 の 顧 問 会 、全 戸 参 加 に よ る 戸 主 会 が 明 確 に 区 分 さ
れ て お り 、そ の 下 部 組 織 と し て 補 助 団 体 の 農 業 同 好 会 、青 洋 会( 老 人 会 )、婦 人 会 、
青 年 会 、子 ど も 会 育 成 会 、健 青 会 、い ぶ し 銀 会 や 、任 意 団 体 と し て 山 芋 づ く り 同 好
会 、子 ど も 獅 子 舞 ク ラ ブ そ の 他 を 設 置 す る な ど 、体 系 だ っ た 推 進 体 制 と 役 割 分 担 に
より、多様で個性的なむらづくりを実践している。
第2図
推進体制
読谷村渡慶次のむらづくり体制図
戸主会
(定期総会)
公民館連絡協議会
年2回
行政委員会
・自治会行事の審議
・区民の福利厚生、日常生活の改善
・各種伝統行事の企画・運営
・集落内の環境美化の運営
監査委員
・業務実績、年間計画、
予算、決算の協議
顧問
行政班長
渡慶次自治会
(区長・書記・行政班長)
・1班・2班・3班・4班
・5班・6班・7班
・自治会行事の審議・執行
予算審議委員会
・自治会予算の審議・執行
文化財保存委員会
(連携) ・伝統文化の保存・継承
体育振興会
(連携)
・区民運動会の企画・運営、スポーツ交流
補助団体
・青洋会 ・健青会 ・婦人会 ・青年会 ・子ども会育成会 ・農業同好会
・渡慶次まつり実行委員会 ・渡慶次福祉いぶし銀会
任意団体
・山芋づくり同好会 ・子ども獅子舞クラブ ・ゲートボール同好会
・うらしまソフトボール同好会(シニア・実年) ・グランドゴルフ同好会
・健康体操サークル ・生花サークル ・大正琴サークル
(支援)
農 協
(支援)
(連携)
・農業資材の確保、栽培施設の導入、生産技術支援
役 場
(支援)
(連携)
・事業の導入、各種行事の支援
農業改良普及センター
・生産技術、加工技術、体験農業支援
イ 団体の紹介
伝 統 芸 能 の 盛 ん な 沖 縄 に 於 い て 、こ こ 渡 慶 次 集 落 に も 文 化 保 存 委 員 会 の も と に 芸
能 保 存 会 が あ り 、そ の 中 で 伝 統 芸 能 、棒 術 、獅 子 舞 、組 踊 り 等 が 着 実 に 継 承 で き る
よう活動を行っている。
農 業 同 好 会 は 、大 正 9 年 に 産 業 組 合 と し て 結 成 さ れ そ の 後 、組 織 改 編 を 繰 り 返 し
今 に 至 る が 、作 物 の 生 産 振 興 、渡 慶 次 ま つ り の 準 備 、渡 慶 次 ま つ り に 出 展 さ れ た 農
産 物 及 び 加 工 品 の 審 査 、環 境 美 化 、子 ど も 農 業 体 験 学 習 支 援 、全 区 民 対 象 の 産 業 視
察など多岐にわたる活動を展開している。
子 ど も 会 育 成 会 は 、地 域 の 子 ど も 達 の 健 全 育 成 の た め 活 動 し て い る が 、そ の 運 営
は「 人 を 思 い や り 、地 域 を 愛 す る 心 豊 か な た く ま し い 子 ど も の 育 成 」を ス ロ ー ガ ン
に、父母は勿論、農業同好会、婦人会などの協力も得ながら行っている。
山 芋 づ く り 同 好 会 は 、29人 の 会 員 で 構 成 す る 任 意 の 組 織 で あ る 。村 内 の 山 芋 ス ー
ブ( 重 量 競 争 )の 先 駆 者 と な り 、現 在 、7 集 落 に 波 及 し て い る 。集 落 の 内 外 か ら 多
くの参観者で賑わう大きな催しである。
各 種 団 体 の 役 員 は 独 自 の 予 算 や 計 画 に 基 づ き 、そ の 執 行 に 当 た る が 、互 い に 綿 密
に連携し、むらづくりの推進役を担っている。
例 え ば 、区 民 運 動 会 の 主 催 は 体 育 振 興 会 で あ る が 、班 長 会 、青 年 会 、健 青 会 な ど
が積極的にサポートしている。具体的には、
婦 人 会 が 昼 食 用 に 、 来 客 等 を 含 む 総 勢800人
分のカレーライスの炊き出しを行うなど、
各団体がそれぞれの立場で役割をこなし、
イベント等をみんなで盛り上げていく体制
が確立されている。
渡慶次まつりは当該実行委員会の主催で
行われるが、その準備や展示、審査には農
業同好会をはじめ、子ども会育成会、婦人
写真1:婦人会による菓子の販売
会 、老 人 会 、山 芋 づ く り 同 好 会 な ど 多 く の 組 織 が 係 わ っ て 実 施 さ れ る 。舞 台 発 表 で
は140人 の 区 民 が 参 加 し 、2 日 間 の 催 し を 盛 り 上 げ る 。
ウ 市町村、農林漁業団体等関係機関、団体との関係
本 集 落 へ の 役 場 か ら の 行 政 上 の 業 務 は 区 長 を 通 し て 行 わ れ る 。村 と 集 落 の 連 携 は
非 常 に 良 く 、村 の 施 策 は 集 落 へ 円 滑 に 伝 達・実 行 さ れ 、集 落 の 要 望 事 項 は 速 や か に
村 行 政 へ 反 映 さ れ て い る 。役 場 と は 行 政 上 の 事 務 連 絡 、渡 慶 次 ま つ り 、事 業 の 導 入 、
花壇用苗の提供などで密接に連携している。
ま た 、JAと は 土 づ く り 、農 業 資 材 の 確 保 、栽 培 施 設 の 導 入 、栽 培 技 術 支 援 な ど で
深 い 係 わ り を も っ て い る 。普 及 セ ン タ ー と は 地 域 農 業 振 興 総 合 指 導 事 業 を 通 し て む
ら づ く り を 推 進 す る と と も に 、生 産 技 術 、加 工 技 術 、子 ど も 会 の 農 業 体 験 学 習 に 関
し支援を受けている。
■むらづくりの特色と優秀性
1.むらづくりの性格
(1) ユ イ マ ー ル 「 協 調 ・ 和 衷 ( わ ち ゅ う ) ・ 助 け 合 い 」 の 精 神
渡 慶 次 集 落 に は 組 踊 り や 獅 子 舞 な ど の 伝 統 芸 能 や 渡 慶 次 ま つ り 、区 民 運 動 会 な ど
の イ ベ ン ト が あ る が 、全 区 民 を あ げ て の 活 気 に 満 ち た 催 し と な っ て い る 。渡 慶 次 ま
つ り は 、そ れ ま で 個 別 に 開 催 さ れ て い た 、産 業 振 興 会・出 生 祝・十 五 夜 等 の 行 事 を
一 括 し て 行 う 行 事 と し て ス タ ー ト し 、今 年 で 21回 目 を 迎 え 、そ の 内 容 は 年 々 充 実 し 、
規 模 も 拡 大 し て き て い る 。こ の 祭 り に 向 け て 、多 く の 農 家 が 切 磋 琢 磨 し な が ら 農 作
物 を 栽 培 し 、共 進 会 で そ の 出 来 具 合 を 競 う こ と で 地 域 農 業 の 発 展 に 大 き く 貢 献 し て
い る 。ま た 、地 元 住 民 と 集 落 外 の 住 民 と の 交 流 の 場 と も な り 、地 域 活 性 化 の 推 進 役
と し て の 役 割 も 果 た し て い る 。渡 慶 次 ま つ り を 参 考 に 、別 の 集 落 で も 祭 り を 開 催 す
る 事 例 が で て き て お り 、「 渡 慶 次 」の 名 を 発 信 す る 広 告 塔 的 な 役 割 を 果 た し て い る 。
区 民 運 動 会 は 今 年 で 37回 目 を 迎 え 、地 域 住 民 の 健 康 増 進 を 図 る 上 で も 大 事 な 催 し
で あ る 。婦 人 会 や 老 人 会 な ど の 踊 り も 披 露 さ れ 、地 域 の 伝 統 芸 能 の 継 承 の 場 と も な
っ て い る 。こ れ を 通 し 、地 域 住 民 が 運 営 方 法 、選 手 選 考 な ど に つ い て 話 し 合 う 場 面
も増え、上位入賞を目指して団結心も強化されている。
ま た 、先 に 述 べ た 戦 後 復 興 時 の 集 落 内 道 路 整 備 に も 見 ら れ る よ う に 、沖 縄 の 特 徴
で あ る ユ イ マ ー ル「 協 調・和 衷・助 け 合 い 」の 精 神 が 特 に 渡 慶 次 集 落 は 強 く 、こ の
よ う な 地 域 活 動 や 組 織 間 の 連 携 体 制 の も と で 、区 民 の 地 域 へ の 愛 着 心 や 誇 り に す る
心が育まれており、地域における定住促進に大きく寄与している。
(2) 伝 統 芸 能 や 体 験 農 業 の 次 世 代 へ の 継 承
当集落は、獅子舞や三線(さんし
ん)などの伝統芸能において子ども
の組織化もなされており、その中で
も特に子ども獅子舞クラブは、県内
各地や県外(東京、大阪、鳥取)と
交流行事に参加しており、後継者育
成や青少年の健全な育成の場となっ
ている。平成11年には、このよう
な活動が評価され、財団法人・博報
写真2:子ども獅子舞の披露
児童教育振興協会主催のコンクールで「博報賞」を受賞している。
ま た 、子 ど も 会 で は 、村 特 産 の「 紅 イ モ 」や ニ ン ジ ン を 植 え 付 け か ら 収 穫 ま で 体
験させることで農業にふれあう機会を創出している。
(3) い き が い の 発 信 ( 伝 搬 ・ 拡 大 ・ 発 展 )
本 集 落 は 各 種 団 体 や 組 織 が 活 発 に 活 動 し 、そ の 活 動 自 体 が 生 き が い で あ り 、む ら
づくりの原動力となっている。中でも、山芋づくり同好会はその中心的な組織で、
会 員 の「 生 き が い づ く り 」を 目 的 に 結 成 さ れ て い る 。活 動 は「 夫 婦 同 伴 」を 原 則 と
し 、集 落 の 山 芋 ス ー ブ( 重 量 に よ る 勝 負 )の 全 島 大 会 に 備 え 、種 芋 の 準 備 か ら 植 え
付 け 、栽 培 管 理 、収 穫 ま で 、切 磋 琢 磨 し な が ら 共 同 作 業 で あ た っ て い る 。こ の 活 動
は、渡慶次集落のコミュニテイ活動の「シン
ボル」となっており、「生きがいづくり」や
「男女共同参画」のモデルとして高く評価さ
れ 、 平 成 1 6 年 に は10周 年 記 念 フ ォ ー ラ ム の
開催、記念式典および祝賀会、記念誌の発行
が行われるなど、単なる生き甲斐の枠を超え、
今後の発展が期待される。また、村内外にも
この手法が取り入れられ、相乗効果を生んで
いる。
写真3:山芋スーブで優勝!
2.農業生産面における特徴
(1) 生 産 基 盤 の 整 備 と 新 規 作 物 の 導 入
渡 慶 次 集 落 は 従 来 、前 述 し た 土 壌「 島 尻 マ ー ジ 」の 性 質 上 、小 規 模 な 有 畜 複 合 経
営が行われていた。
昭 和 5 0 年 以 降 、農 用 地 指 定 懇 談 会( 長 浜 ダ ム 建 設 計 画 )に 端 を 発 す る 土 地 改 良
事 業 等 に よ り 生 産 基 盤 が 整 備 さ れ 、か ん 水 が 可 能 と な っ た こ と か ら 、サ ト ウ キ ビ の
一部を転換してキク、パパイヤ、ゴーヤー、
インゲンなどの新規作物を導入し、ハウス
栽培による生産が盛んとなった。新規作物
に関する展示ほ場の設置や現地検討会、講
習会の実施等、産地形成に向けての取組を
行ったことで、現在では産地として定着し
て い る 。 サ ト ウ キ ビ の 反 収 も5.2tか ら8.6t
と な り 、 県 平 均5.0tよ り も 高 く な っ て い る 。 写 真 4 : ら せ ん 仕 立 て の パ パ イ ヤ ハ ウ ス
こ の よ う に 、 渡 慶 次 集 落 の 平 成 7 年 の 農 業 産 出 額 は 90百 万 円 か ら 平 成 16年 に は 158
百 万 円 と 約 1.5倍 に 伸 び て お り 、 新 規 就 農 者 も イ ン ゲ ン 4 戸 ( I タ ー ン 1 名 、 U タ
ー ン 3 名 )、パ パ イ ヤ 2 戸( U タ ー ン )と 増 え て い る な ど 、農 業 の 発 展 が 地 域 活 性
化に大きく寄与している。
3.生活・環境整備面における特徴
(1) 環 境 美 化 活 動 を 通 し て の 住 環 境 の 整 備
環 境 整 備 に 於 け る 協 力 体 制 は 現 在 に も 受 け 継 が れ て お り 、現 在 、自 治 会 主 体 で 年
4回、区民全員が参加して清掃が実施されている。
中でも、渡慶次婦人会は、環境美化を重点
目標の一つとして、ゴミ減量化、古紙回収、
運動広場前の花壇づくりに取り組んでいる。
ほかにも多くの組織や個人が環境美化活動に
取り組んでおり、集落内は常にきれいに整備
され、運動広場前の花壇をはじめ、年間を通
して色々な花々が鑑賞できる住環境となって
いる。
子ども獅子舞クラブは、空き缶の回収やプ
写真5:婦人会による清掃活動
レ ス を 行 い 業 者 に 販 売 し 、活 動 資 金 に 充 て て い る 。こ の 活 動 を 通 し て 、子 供 達 に ゴ
ミの減量化や再利用意識が芽生えている。
平 成 1 4 年 に は 、渡 慶 次 婦 人 会 の こ れ ま で の 活 動 が 評 価 さ れ 、み ど り の 愛 護 週 間
の 一 還 と し て 行 わ れ た 環 境 美 化 コ ン ク ー ル で 、「 国 土 交 通 大 臣 賞 」を 受 賞 し て い る 。
(2) 高 齢 者 が 輝 く む ら づ く り
本 集 落 は 、65歳 以 上 の 高 齢 者 が 約18% を 占 め て お り 、青 洋 会( 老 人 会 )を は じ め 、
農 業 同 好 会 や 山 芋 づ く り 同 好 会 で 活 発 に 活 動 し て い る 。自 ら の 経 験 と こ れ ま で 培 っ
て き た 技 術 を 活 か し た グ ル ー プ 活 動 は 、高 齢 者 の 働 く 場 の 創 出 や 生 き が い 活 動 へ 繋
が っ て い る 。ま た 、渡 慶 次 福 祉 い ぶ し 銀 会 が 中 心 と な っ て「 ゆ い ま ー る 共 生 事 業( ミ
ニ・デ イ サ ー ビ ス 事 業 )」を 行 っ て お り 、一 人 暮 ら し 老 人 や 身 体 障 害 者 等 に 対 し て
の 健 康 チ エ ッ ク 、さ ら に レ ク レ ー シ ョ ン 、世 代 間 交 流 会 、カ ジ マ ヤ ー 祝( 数 え 97歳
の お 祝 い で 、当 人 が 風 車 を 持 つ と こ ろ か ら こ う 言 わ れ る )等 、多 岐 に 渡 る「 ボ ラ ン
テ イ ア 活 動 」を 繰 り 広 げ て い る 。地 域 で 支 え 合 う 体 制 の 下 で 、若 い ボ ラ ン テ イ ア も
育成されるなど、高齢者が安心して暮らせる優しいむらづくりに繋がっている。
(3) 男 女 が 共 に 築 く む ら づ く り
本 集 落 は 、各 種 団 体 や 組 織 が 活 発 に 活 動 し て お り 、そ の 活 動 自 体 が 生 き が い で あ
り、むらづくりの原動力となっている。山芋づくり同好会はその中心的な組織で、
会 員 の「 生 き が い づ く り 」を 目 的 に 結 成 さ れ て い る 。活 動 は「 夫 婦 同 伴 」を 原 則 と
し 、集 落 の 山 芋 ス ー ブ( 重 量 に よ る 勝 負 )全 島 大 会 に 備 え 、種 芋 の 準 備 か ら 植 え 付
け、栽培管理、収穫まで、切磋琢磨しながら共同作業であたっている。
ま た 、婦 人 会 を 中 心 に シ ソ 、ハ ン ダ マ 、赤 ウ リ な ど の 地 場 野 菜 の 栽 培 、販 売 も 行
っ て い る 。平 成 1 6 年 に 開 催 さ れ た 山 芋 ス ー ブ 同 好 会 主 催 の10周 年 記 念 フ ォ ー ラ ム
で は 、山 芋 加 工 展 示 会 も 行 わ れ 、婦 人 会 か ら 49点 の 山 芋 料 理 が 出 展 さ れ る な ど イ ベ
ン ト に 華 を 添 え た 。婦 人 会 が 担 う 地 産 地 消 活 動 や 、夫 婦 で つ く る「 山 芋 ス ー ブ 」は 、
今 や 渡 慶 次 集 落 の コ ミ ュ ニ テ イ 活 動 の「 シ ン ボ ル 」と な っ て お り 、「 生 き が い づ く
り」や「男女共同参画」のモデルとして高く評価されている。
第3表
文
化
財
保
存
委
員
会
渡
慶
次
自
治
会
項
目
農
業
同
好
会
体
育
振
興
会
年間予定行事一覧
山
芋
づ
く
り
同
好
会
青
洋
会
渡
慶
次
い
ぶ
し
銀
会
健
青
会
婦
人
会
山マーイ、 字清明祭 村男子ソ 定期総
三月御祭 フトボール 会
役員研修 ふれあ
い総会
行政委員研 カンカー
芸能大会 ボラン シング 美化作業
テイア アチ
研修受 やー
入
4 事務引継
月
村女子ソフ 産業視
祭、甘藷 トボールテニ 察
5 修、区民一
斉清掃、決 御主祭、ア ス・サッカー・
月 算総会
ブシバレー 女子バスケ
父の日ソフ 五月御祭 村夏季
大会(5
種目)
祭
農休日 ゲートボール
大会、村
ゲートボール
6 トボール大
月 会、慰霊
区民運動 六月御祭 村夏季
井の御祭 大会(7
委員研修 種目)
8
月
敬老会
9
月
タマネギ
播種
読谷まつ カママー 村駅伝
大会、区
民ソフト
大会
読老連グ 社会見
ランドゴルフ 学
願
1 り、共進会 イ
1 出品
月
解御願
ひまわり学
級
社会見学、
ひまわり学
級
生年合同
祝
1
月
予算審議 初御願
馬鈴薯
審査
定期総会、
総会
慰霊祭
参加
村長杯グ 生年合
ランドゴルフ 同祝
初越し 役員選挙 ボラン 総会
総会
ティア
視察研
修
空き缶プ
レス、三線
教室(週
1回)
空き缶プ
レス
ラジオ体 与論島交
操、夜間 流会
補導
エイサー エイサー
お楽しみ バザー
会ビーチ
パーティー
10/10 祭り芸 祭バザー、 祭り芸 農業体
空襲か 能発表 ひまわり学 能発表 験学習
ら60年
級、祭り芸
芋掘り
を語る
能発表
ボラン 奉仕作 園芸の集
い
テイア 業
の集い
タマネギ 山芋
の苗配 スーブ
布
区民一斉
1 清掃
2
月
3 役員選出、
区民一斉清
月 掃
ひまわり学
級、運動会
カレー炊き
出し
ボージヌ御 村陸上
願、八月 競技
御祭獅子
又御願
読老連ソフ 米寿合
トボール大 同祝
会、社会
奉仕日
子
ど
も
獅
子
舞
ク
ラ
ブ
角力大 学事奨
会
励会
祭り用 視察研 読老連グ 転倒予 奉仕作 美化作業、 エイ
花の
修
ランドゴルフ 防の勉 業
ひまわり学 サー
ポット植
強会
級
え
字グランド
ゴルフ大
会、祭り
芸能発表
2
月
農業体
験学習
旗スガ
シー、カン
カー祭
渡慶次ま 組踊発表 祭ゴゴル 祭り花
(大川敵 フ、ゲート の装飾
討)、大御 ボール
1 つり
0
月
リーダー研修
玄米みそ
講習
社会見学 健康講
話
7 会
月
青
年
会
子
ど
も
会
育
成
会
グリン・グ
レシャス、
農業体験
学習
空缶プレ
ス
読谷祭
り、獅子
舞出演、
祭バザー
クリスマ
スパーテ
イー
ボーリング 正月獅子
大会
舞公演
予算審議
県外交
流
ボーリング
大会
定期総会
卒業生を 総会3年
送る会、 生を送る
農業体 会
験学習
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