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コンタクタ テクニカルガイド CSM_Contactor_TG_J_1_1 コンタクタ 用語の説明 ■コンタクタ ■サーマルリレー ●電磁接触器 ●整定電流 一般的にコンタクタ単体のことを電磁接触器といいます。主に 単体で使用する用途としては電路の遮断、ヒーターの開閉などに 使用します。 サーマルリレーの動作を定める電流値で定格使用電流を基準と しています。 ●電磁開閉器 電路の断線を検出し、サーマルリレーを動作させ、電動機を焼損 などから保護する機能です。 また、2Eタイプとは (2Eエレメント:2つの要素) という意味であ り、過負荷保護機能、欠相保護機能の2つの機能を持ち合わせて いることを意味しています。従って、2 素子という意味ではあり ません。 (構造的に2素子のものは1Eであり、過負荷保護機能の みとなります。 ) コンタクタとサーマルリレーを組合せたものを電磁開閉器とい い、業界ではマグネットスイッチと呼ばれています。主に用途と しては電動機(モーター負荷)の開閉に使用します。 ●フレームサイズ コンタクタの大きさ (外形)を表します。基本的に定格使用電圧、 定格使用電流が大きくなるとそれに伴って外形も大きくなりま す。 ●定格容量(kW) 定格使用電圧における電動機(モーター) の使用可能な最大定格 出力(kW)です。 ●定格使用電圧(V) 開閉容量、開閉頻度、接点寿命を満足するための最大負荷電圧で す。 ●定格使用電流(A) 定格使用電圧において、開閉容量、開閉頻度、接点寿命を満足す るための最大負荷電流です。 ●定格通電電流(AC1級) 開閉を伴わない接点に通電できる電流の最大値です。また、ヒー タなどの抵抗負荷を想定した負荷条件をAC1級といいます。 ●AC3級 3 相かご型モーターを想定して設定した負荷条件です。電動機を コンタクタで開閉する際に参考とする基準になる負荷条件です。 ●欠相保護機能(2Eタイプ) ●コールドスタート特性 サーマルリレーに無通電の状態から、サーマルリレーが動作する までの特性です。 ●ホットスタート特性 通常運転中(サーマルリレーに定格電流が通電されている状態) から、サーマルリレーが動作するまでの特性です。 ●手動リセット方式 サーマルリレーが動作した後の復帰を手動(マニュアル)にて行 うようにした設定方式です。 ●自動リセット方式 サーマルリレーが動作した後の復帰を自動(オート)にて行うよ うにした設定方式です。 ●バイメタル 熱を加えると湾曲する特殊な金属。この金属の性質を利用して サーマルリレーの過負荷検出機能に使用しています。 ●補助接点 主接点と連動して動作する接点です。主接点より開閉容量は少 なく、信号用や自己保持回路を組む際などのシーケンス回路全般 に使用されます。 お問い合わせ 0120-919-066 詳細情報は http://www.fa.omron.co.jp 1 コンタクタ テクニカルガイド コンタクタ 使用上の注意 ①コンタクタのご使用にあたって (1) コンタクタを実際に使用するにあたって、机上では考えられ ない不測の事故が発生することがあります。そのため、実施 可能な範囲でのテストをご実施ください。 (2) カタログに記載の各定格性能値は、特に明記のない場合は、 すべてJEM1038 (温度−5∼+40℃、相対温度45∼85%RH、気 圧 86 ∼ 106kPa) のもとでの値です。実機確認を実施される際 には、負荷条件だけでなく使用環境も使用状態と同条件で確 認する必要があります。 ②機種、仕様の選択について ②−1. コイル仕様について コイル仕様は、設計回路に合わせて正しく選定してください。コ イル仕様が適切でないと本来の性能が得られないだけでなく、過 電圧印加などによりコイル焼損の原因となります。 ②−2. 機種選択について 各形式の定格 (接点定格、開閉容量、サーマル動作特性など) に適 した機種を選定ください。なお、この定格は『JEM1038』に基 づく条件であり、使用にあたっては必ず実使用条件にて実機確認 のうえ使用ください。 ②−3. サーマルリレーについて モータの電流値は、モータの製造メーカ、モータの種類、極数、 周波数などで異なりますので、適用電流値をご確認のうえサーマ ルリレーをご選定ください。 ②−4. コイルサージキラーについて コイルサージキラーは、コンタクタや補助リレーの形式および電 圧によって適用機種が異なりますので、必ず個別機種にて指定さ れたコイルサージキラーを使用ください。 なお、コイルサージキラーを付加した場合、復帰時間が長くなり ますので実回路にて必ずご確認ください。 ②−5. 電気的耐久性について 電気的耐久性は、下図に示すように「定格使用電流の6倍の電流 を閉路し、直ちに定格使用電流に低減して遮断する」という JIS C8325 および JEM1038 の AC3 級の試験条件により判定していま す。 ③回路設計に関して ③−1. 入力電圧の印加電圧波形について コイル電圧波形が緩やかな上昇または下降するような使い方は しないでください。規定の機能、性能に影響を与えたり、接点耐 久性の低下や溶着の原因となりますので必ず直投法(瞬時オン、 瞬時オフ)でご使用ください。 ③−2. 直流コンタクタ・電子サーマルリレー使用の場合 (入力電流のリップルについて) 直流コンタクタ・電子サーマルリレーの入力電源は、リップル率 5%以下にしてください。コイル印加電圧のリップル(脈流)が大 きくなるとうなりを生じ、接点溶着の原因となります。 ③−3. 入力電圧の電圧変動について 電流電圧の変動は、各コンタクタが完全に動作する電圧が印加さ れるようにしてください。コンタクタが完全に動作しない電圧を 連続印加するとコイルが異常発熱してコイル焼損の原因となり ます。 ③−4. 最大許容電圧について (1) 最大許容電圧以上のコイル電圧での使用は絶対にしないでく ださい。コイル焼損や絶縁劣化などの原因になります。 (2) 制御盤内の温度もコイル温度上昇に重大な影響を与えるた め、カタログ記載の規定値を超えないでください。 (3) コイルには定格電圧を印加する事が基本です。定格電圧を超 えた印加電圧で使用の場合、最大許容電圧の範囲内であって もコイルへの連続通電はコンタクタ自体の温度上昇が電気的 な耐久性などの特性に影響を与える原因となります。必ず実 使用条件にて確認のうえご使用ください。 ③−5. 正逆切り換えについて 2個のコンタクタで正逆運転される場合は必ずインターロックを ご実施ください。インターロックを実施されない場合、短絡電流 が接点に流れ、コンタクタの焼損、破損の原因となります。 ④実装作業および取りつけに関して ④−1. 取りつけについて 電線サイズ・取りつけねじサイズ・ねじ本数・取りつけDINレー ルサイズに関しては個別機種にて規定のものをご使用ください。 電流 ④−2. ねじ端子部への配線について 6Ie 配線は個別機種に規定された規定の圧着端子を使用し、規定の締 め付けトルクにて取りつけてください。締め付けが緩い場合、端 子部の異常発熱により焼損の原因となります。 ④−3. 他社製品との組み合わせ禁止 Ie 2.25秒 0.75秒 時間 3秒 回路遮断 Ie:定格使用電流 サーマルリレー、補助接点ブロックなどは、当社コンタクタとの 組み合わせにて使用ください。当社以外のコンタクタとの組み合 わせの場合、通電容量の違いやかん合性の違いによりコンタクタ 故障の原因となります。 ④−4. 取りつけ方向について 機種により取りつけ方向を規定しているものがあります。機種別 に記載している「使用上の注意」の欄を確認のうえ、規定の取り つけ方向にてご使用ください。 お問い合わせ 0120-919-066 詳細情報は http://www.fa.omron.co.jp 2 コンタクタ テクニカルガイド ⑤使用環境および保管環境に関して ⑤−1. 使用雰囲気について(1) 塵埃 塵埃の発生する雰囲気中でコンタクタを使用される場合、塵埃が コンタクタの接点部に浸入し、接触不良の原因となります。ま た、線屑が内部に浸入した場合には、絶縁不良の原因となりま す。このような場合には、必ず塵埃対策を実施してください。 ⑤−2. 使用雰囲気について(2)温度、 湿度 高温多湿の雰囲気中では使用しないでください。高温多湿のレベ ルは、各形式ごとに規定している最高制御盤内の温度、最高相対 湿度以上を意味しています。 高温多湿の雰囲気中にて長時間放置あるいは使用すると、接点表 面などに酸化、硫化被膜が生成され、接触不良などの原因となり ます。 コンタクタ内部での結露による絶縁不良や絶縁材料表面でのト ラッキング (通電現象) による絶縁劣化を防ぐため、規定の制御盤 内の温度、相対湿度にて使用ください。 ⑤−3. 使用雰囲気について(3)悪性ガス NH3、H2S、SO2、Cl2、Si、NO2 などの悪性ガスが存在する雰囲 気中では使用しないでください。接点表面に硫化、酸化被膜が生 成され、接触不良などの原因となります。また、金属部品の腐食 による動作不良の原因にもなります。 ⑤−4. 油の付着について コンタクタに油が付着しないようにしてください。成形材料にク ラックが発生および接点の接触不良の原因となります。 ⑤−5. 振動、衝撃について 規定値以上の振動、衝撃が加わらないようにしてください。異常 な振動、衝撃が加わると誤動作の原因となるだけでなく、コンタ クタ内部の部品が破損または変形することにより動作不良の原 因となります。 ⑤−6. 外部荷重について コンタクタ外部から荷重が加わる状態での使用および保管はし ないでください。コンタクタの初期の性能を維持できない原因と なります。 ⑤−7. 保管場所について 直射日光や紫外線のあたる場所での保管はしないでください。直 射日光や紫外線のあたる場所での保管は、樹脂の劣化によるク ラックや破損が発生する原因となります。 ⑤−8. 長期保管について コンタクタを長期保管する場合、周囲環境によっては全く使用し ないで保管するだけでも、接点の劣化が進行し接触不良の原因と なります。使用時には、通電による動作確認をご実施ください。 お問い合わせ 0120-919-066 詳細情報は http://www.fa.omron.co.jp 3 コンタクタ テクニカルガイド コンタクタ 選定方法 【選定手順】 【用途】 負荷容量 (kW) の確認 ・何kWの負荷(モータ) をお使いですか? ・現在何kW用のコンタクタをお使いですか? 【選定】 負荷容量(kW) と負荷電圧がわかればコンタ クタのフレームサイズ (AF) は選定できます。 例)負荷容量2.7kW、 負荷電圧AC200V → 形J7L-12-11を選定します。 負荷電圧 (V) の確認 負荷電圧は何V (ボルト) になりますか? 操作電圧 (V) の確認 操作電圧は何V (ボルト) になりますか? 操作電圧(コイル仕様) が決定します。 例)操作電圧AC100Vの場合 → 形J7L-12-11 100 無 ・サーマルリレーは使いますか? ・電磁開閉器(マグネットスイッチ) として お使いですか? サーマルリレー無しの場合は選定完了です。 サーマルリレー有りの場合は仕様を確認します。 サーマルリレーの タイプ確認 過負荷保護のみの標準タイプでいいで すか?それとも欠相保護付き (2E) タイ プにしますか? サーマルリレーのタイプが決定します。 サーマルリレーの 整定電流確認 整定電流はおよそ何Aくらいに設定され ますか? サーマルリレーの整定電流範囲(呼び定格) が 決定します。 サーマルリレーの 有無 有 例)標準タイプの場合→形JTTL-A2 を選定 2Eタイプの場合→形J7TL-A を選定 例)整定電流1.4Aの場合→呼び定格1E6を選定 従ってサーマルリレーの形式は (標準タイプの場合) 形J7TL-A2-1E6 選定終了 フレームサイズ09∼85でコイル仕様がAC100VまたはAC200Vのコンタクタと標準タイプ (2素子、欠相保護なし) のサーマルリレー形J7TLの組合せによる電磁開閉器形J7Sもあります。 注. その他必要に応じて、 規格準拠定格、 各種オプション (補助接点ユニット、 可逆ユニット、 サージ キラー) の確認が必要です。 お問い合わせ 0120-919-066 詳細情報は http://www.fa.omron.co.jp 4 コンタクタ テクニカルガイド コンタクタ Q&A Q1 A1 Q2 A2 Q3 A3 Q4 A4 フレームサイズとは何か? Q7 コンタクタの大きさ (外形) を表します。定格電圧、定 格電流が大きくなるとそれに伴い形状も大きくなり ます。 A7 コンタクタの定格に書いてあるAC3級、AC1級とは何 か? コンタクタの試験条件です。これをもとにコンタクタ の適正な負荷、寿命などの参考にします。ちなみに AC3 級は電動機 (モータ)の負荷、AC1 級は抵抗(ヒー タ)の負荷を想定した負荷条件です。 サーマルリレーとは、 どんな働きをするものなのか? サーマルリレー (熱動形過負荷継電器) 形 J7TL はコン タクタ (電磁接触器) とセットで使用し、モータの過負 荷保護を行うものです。 過負荷電流が流れるとサーマルリレー内のバイメタ ルが動作し、補助接点 (b接点) を開き、その (サーマル リレーからの) 信号を用いてコンタクタの動作を停止 させます。 電子サーマルリレー (形J7T) は過電流検出用のCTを組 みこみより高い信頼性を持たせたものです。 サーマルリレー 形J7TL なぜサーマルリレーが必要なのか? サーマルリレーは電動機 (モータ) を過負荷 (過電流) に よる焼損から保護するために使用します。 モータに定格電流以上の電流が一定時間以上流れる と焼損してしまいますので、サーマルリレーを作動さ せ電路を遮断します。 電子サーマルリレー 形J7T サーマルリレーの標準と2Eタイプの違いは何か? 標準は負荷の欠相保護機能 (断線による過電流保護機 能)が付いていない仕様であり、2E タイプは欠相保護 機能が付いています。 ちなみに国内では、約10∼20%の機械・装置に欠相機 能付きを使用しますが、海外向け(特にヨーロッパ向 け)においては、ほぼ100%使用します。 リセットボタン トリップ表示 (点灯: トリップ) 電流設定 ダイヤル Q5 A5 Q6 A6 サーマルリレーの整定電流とは何か? 整定電流とはサーマルリレーの定格電流です。一般的 に電動機の定格電流値と同じ値に設定し、設定した整 定電流以上の電流がサーマルリレーに流れ続けると、 それを検出して電路を遮断します。 同じ過電流から保護する、ブレーカとの違いは何か? 基本的にサーマルリレーは電動機 (モータ) を保護する ものです。従ってモータを使用しない設備には基本的 に使用しません。しかし、電路に数千アンペアを越え る短絡電流が流れた場合はサーマルリレーも焼損し てしまうため、サーマルリレーも含め電路全体をブ レーカによって保護します。 お問い合わせ 0120-919-066 詳細情報は (+)端子 (−)端子 電源端子 Q8 A8 リ レ ー を 海 外 で 使 用 し た い。コ イ ル 定 格 電 圧 が AC380Vや400Vなどの一般リレーはあるか? コイル定格電圧がAC200V近辺までの場合はリレー。 AC400V近辺までの場合はコンタクタと商品群が分か れております。 このため、リレーには、AC240Vを超える仕様はござ いません。 AC400V でご使用の場合はトランスなどで降圧する か、コンタクタをご使用ください。 http://www.fa.omron.co.jp 5