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平成22年度
東大阪市地域研究活動
東大阪市景観計画策定に向けた現状分析とパイロット計画に関する研究
工学部 建築・環境デザイン学科 助手
川口 将武
(1)研究の背景と目的
都市景観行政に求められる大きな役割の一つに、都市空間の秩序を顕在化させ、それを都市・地域に
おける共有の風景として保全・再生していくということが挙げられる。
(中略)顕著な景観資源を持ち得
る都市・地域であれば、それを核としてアイデンティティを維持・形成することが可能であるが、所謂
ふつうの都市の場合では、いかにして都市空間の秩序を見出していくべきなのか。その手がかりとして
近年期待が高まっているのが、眺望景観である(引用:岡村祐[2008])。
芦原義信(1979)は、「都市の街並みにおいて俯瞰景をふやすことは都市の魅力を増加する」
、樋口忠
彦(1981)は、
「眺めのある所に休息できる場所を、休息できる場所に眺めを備えてやると(中略)都市
の景観は生き生きとしてくるはずなのである」
、田村明(2005)は、「都市を一望で捉えられる眺望点を
確保し、市民が都市の実感をもてるようにする。都市の主人公になった市民が近くの丘などから都市の
全景をみられるとよい。かつての領主に代わり、時々は市民が実感として都市を捉えることが必要だ。
」
と都市における眺望景観の重要性を指摘している。
東大阪市は、これまで都市景観形成調査(H13,H15)
(以後、景観調査)
、景観形成基本計画(H17)
(以
後、景観計画)を作成し着実に景観行政を進めているものの、眺望景観については、眺望点(場所)や
眺望対象について具体的な調査を行っていない現状である。
景観形成基本計画で目標に挙げられている“まちの魅力を実感できるまちづくり”を推進していくた
めには、眺望景観を手がかりに東大阪「らしい、(を)代表する、(の)シンボル」景観を形成していく
ことは重要である。
そこで、都市全体を見渡す、背景に映える・なじむ都市の顔を眺めるといった大きな眺望から、集落
内や街角からの地区(生活)のシンボルを眺めるといった小さな眺望まで広く対象として捉え、
「眺望の
良い場所」と「魅力的な眺望対象」を発見し特性を把握することにより、それらの保全、形成方策を探
ることを研究の目的とする。
(2)研究の方法
景観計画に定められた景観類型を精読すると共に、郷土史や行政出版物、市民による出版物など景観
調査、①景観計画で未確認の資料を収集、確認し、
「東大阪の景観的シンボル」を抽出する。そして、次
の②~④の景観的レベルから調査を行う。対象範囲は、恩智川以東を最重点地域に最大中央環状線まで
を範囲とする。
②特定の対象(=生駒山)を(から)眺める眺望点及びその集合:地域全体レベル
③特定の対象(ex,枚岡神社、門冠 etc)を(から)眺める眺望点及びその集合:都市-地区レベル(眺
望対象とまちの関係)
④界わい景観(眺望対象、眺望点(景観資源)の集合により地区の景観的特性が浮き彫りになる景観)
:
地区レベル(商店街)
1
■各研究テーマとそれらの位置づけ(以下の番号は、研究の方法と対応する)
①地域メディアから得られる文化情報の分析-東大阪市の景観的特徴の抽出-
②東大阪市域の生駒山から見た眺望景観の現状調査と特性評価
③東大阪市における商店街景観についての現状把握と分析
④東大阪市生駒山麓部における門冠りを持つ民家の調査・分析
地域全体的広がり(大景観) 地区的広がり(中景観)
地域メディア研究
街区的広がり(小景観)
B・C
眺望景観 研究
A
商店街景観 研究
A
門冠り 研究
A
A:多くの人々が目にし、魅力的、美しいと感じる物的関係からなる景観
B:歴史の重層やそこでの人々の生活・文化が創り上げてきた物語が人々に感動を与える景観
C:多くの人々が有する東大阪市の景観イメージ
(3)研究の結果
(卒研学生:林優樹、角田篤志、林龍輝、塩見篤志)
(4)その他
①東大阪市民の景観意識把握について(檀上祐樹)
・東大阪市の景観に関するアンケートの集計結果について
・景観アンケート(手法と質問内容)の事例について
②GISを活用した地域景観情報のデータ構築について(佐藤浩)
・大阪府景観計画区域
・市街地形態図→景観類型(5つの地区景観、6つの施設景観)
・用途地域図
③近隣市町村における景観計画の分析と先進的事例調査(大阪産業大学論集自然科学編 123 にて発表)
・景観調査と景観計画について-枚方市の「景観調査書」と「景観計画書」の分析-住民等による「景
観計画素案」のための基礎的研究
その2(榊原和彦、谷口興紀、川口将武)
・
「心に現れる景色」という用語について
住民等による「景観計画素案」のための基礎的研究
その3(谷口興紀、榊原和彦、川口将武)
・人口減少下の北河内地域更新の枠組みについて
礎的研究
住民等による「景観計画素案」のための基
その4(川口将武、谷口興紀、榊原和彦)
2
地域メディアから得られる文化情報の分析
―東大阪市の景観的特徴の抽出―
1.研究の背景と目的
東大阪市景観基本形成計画書には東大阪らしさ
が感じられる「まち」をつくろうという目標があ
げられており、しかしながら、東大阪らしい景観
がどのようなものか、明らかになっていない。そ
こで、地域メディアの文化情報を収集し、一般名
詞・固有名詞・景観構成パターンの三つを整理、
分析することで、東大阪市の「らしさ」
「個性」
「魅
図-2 校歌分析グラフ
力」を見い出す事を研究の目的とする。
2.研究の方法
3-2 画集分析
画集では、全体の割合から読み取れることとし
て、
社寺に関する景観が74 景中20 景あり、
27%。
山に関する景観が 74 景中 11 景あり、19%。この
ことから、画集では、自然と都市の景観が多く、
また、
その中でも、
山と社寺に関する景観が多い。
その理由として、画集は、校歌などと違い、ある
特定の人物が見ることのほうが多いため、自然、
都市の中でも、歴史的な要素が多く描かれている
のではないかと考えることができる。(図-3)
図-1 研究方法のフロー
校歌・画集・郷土史かるたを分析し、東大阪市の
景観的特徴を抽出。
3.地域メディアによる分析
3-1 校歌分析
小学校では、山に関するフレーズが 49 校中 44
校あり 89.8%あり、約 9 割の校歌に山に関するフ
レーズがうたわれていることが分かった。また、
平野に関しても 49 校中 23 校あり、46.9%ある。
中学校では、山に関するフレーズが 22 校中 19 校
あり、86%と言う数値があきらかになった。また、
図-3 画集分析グラフ
3-3 郷土史かるた分析
郷土史かるたでは、社寺に関する景観が 91 景
平野に関しても、50%ある。高等学校では、山に
中 18 景あり、20%。次に多いのが商業に関する
関するフレーズが 6 校中 6 校あり 100%である。
景観が 91 景中 14 景あり、15%。
(図-4)しかし、
次に多いのは平野に関するフレーズで 6 校中 3 校
郷土史かるたでは、校歌、画集とは違い、全ての
あり、50%という結果がでた。このことから、校
大カテゴリーを平均的に描かれており、その理由
歌では自然に関する景観が多く描かれており、校
として、郷土史カルタは幅広い世代に関心を持っ
歌をとして、地域の自然的なことを意識づけてい
てもらう為、全ての景観要素が平均的に描かれて
るのではないかと考えることができる。
(図-2)
いるのではないかと考えることができる。
街+山
図-4 郷土史かるた分析グラフ
4.景観の構図パターンの分析
中央に景観要素
四つの構成パターンが多く描かれている。
① 時間の移り変わりを表した描き方。
② 二つ目は、季節の変化をあらわした描き方。
③ 三つ目は、何かと主題要素を一緒に描き方。
④ 四つ目は中央に景観要素を描く、描き方。
5.まとめ
古くから、広い世代に愛されてきた、地域メデ
ィアがあり、その中の校歌から読み取れる事とし
て、校歌では、生駒山・河内平野・長瀬川のよう
な、自然景観に関する景観が多く、また、画集か
時間の変化(時間の移り変わり)
ら読み取れる事として、生駒山・石切神社といっ
た、自然景・都市景が多く描かれている。その描
き方として、都市の背景に自然景が存在すると言
う景観構成で描かれていることが多い事がわかっ
た。
また、
郷土史かるたから読み取れる事として、
校歌、画集とは違い、より地域の幅広い世代に
愛されるように、すべての景観要素が平均的に描
かれている事がわかった。
5-1.今後の課題と方向性
今後の方向性として、郷土史かるたにおける、イ
メージの中の東大阪市を描いたイメージ景を調べ
る事で、東大阪市の歴史的な景観をより知ること
ができる。また、今後の課題として、今回の研究
したデータが全てではなく、東大阪市に住む人々
時間の変化(季節)
にアンケート調査をし、地域の人々から見た東大
阪市のリアルな景観的特徴を知ることが今後の課
題になると考える事ができる。
東大阪市域の生駒山から見た眺望景観の現状調査と特性評価
で点数をつけて評価する。
(○ならば+1 点 ―ならば 0 点)次に
1.研究の背景と目的
生駒山は、「眺めるモノ」や「感じる場」として東大阪市に位置
基準点を設け(項目数の数を最高得点とし、項目数の半分を基準点
づけられているが、生駒山の眺望についてあまり知られておらず、
とする。このとき小数点は切り捨てする)各眺望点の項目の基準点
私たちが「眺めるモノ」や「感じる場」をどのように整えてゆけば
を超えていれば○、超えていなければ―とし、どこの眺望点が良い
よいのかを考え工夫するためには、その現状を知る必要がある。そ
か判断する。評価する眺望点は 133 箇所中、81 箇所とする。
こで本研究では、①まず研究対象地である生駒山に眺望点があるの
3-1.眺望点の評価結果
表-3 眺望点の評価結果
かを把握する。②次に眺望を望む場所として成り立っているのかを
安全性、利便性、快適性、持続性の項目で間主観的に評価し、どこ
安全性
の眺望点が安心して、気持ちよく、いつ行っても眺められる場所な
山麓部
山腹部
山頂部
日下公園(9点)
―
―
枚岡公園梅林(13点)
―
―
正法寺跡(13点)
―
―
山畑古墳群(13点)
―
重願寺周辺(13点)
利便性 今池グラウンド周辺(13点)
上石切第2公園(13点)
のかを分析する。③次に眺望点別に見え方や見えるもの、眺望景観
休憩所 トイレあり(4点)
快適性
額田山展望台(4点)
の種類や眺望景観を阻害する要素を抽出し、どこにどのような眺望
景観があるかを分析する。以上①②③から眺望する場所はどのよう
な場所が良いのか、東大阪の特徴的な眺望景観とはどのようなもの
持続性
―
枚岡山展望台(4点)
パノラマ駐車場(4点)
ぼくらの広場(4点)
枚岡公園梅林(4点)
ホテルセイリュウ(5点)
―
鐘の鳴る展望台(4点)
森のレストハウス(4点)
生駒山上遊園地(5点)
ぼくらの広場(5点)
安全性では 1 箇所。日下公園周辺が有人施設は周りにないがその
他の項目では当てはまった。
かを導き出すことが研究の目的である。
2. 本研究における眺望景観に関する用語の定義
眺望景観とは、遠くを見渡すこと(行為)によって得られるけし
き、ながめ(情報)
。眺望点とは、眺望主対象を眺めることができ
る場所と定義する。
図-2 安全性の高い場所の写真
利便性では 6 箇所。山畑古墳群以外では近くに駐車・駐輪スペー
3. 研究の方法
スが無い。
まず、生駒山に点在する眺望点を参考資料から収集する。
表-1 参考資料
石切・日下
周辺関連
生駒山ハイキング
コース関連
いっとこMAP
いこいこMAP
ええとこMAP
関西ハイキング
生駒山関連
生駒山の歴史関連
大阪府の山 中河内歴史探訪の旅
その他(WEB)
東大阪市市役所
大阪府の夜景
図-3 利便性の高い場所の写真
快適性では 8 箇所。8 箇所ともベンチがあると分かった。
次に、眺望点の分類方法として、山麓部、山腹部、山頂部に分類
する。
表-2 分類の定義
山麓部 ~標高200M未満
山腹部 標高200M以上~400M未満
山頂部 標高400M以上~
現地調査の方法として、まず眺望点から見える範囲・何が見えて
いるかを意識し、写真を撮る。次に写真を撮った場所を地形図
図-4 快適性の高い場所の写真
持続性は 3 箇所。3 箇所ともゴミ箱と連絡用の掲示板があり、視
界を遮る樹木が無いと分かった。
(1/2500)にプロットする。調査後 GIS ソフトを用いて、大阪府建
築都市部総合計画作成をオーバーレイしたものをベースマップと
した地図に眺望点をプロットする。使用ソフト:ESRI 社 arcView9.1
使用データ:パスコ社 Fresh Map2500「おおさかのちけい」
(1/2500
地形図画像)H11~H13 年測量の分。
評価方法として、各眺望点の物的対象(ベンチ等)に即して間主
観的に評価する。評価する項目を評価の属性、評価の種類、評価の
項目に種類分けし、項目に認められるものがあれば○、なければ―
図-5 持続性の高い場所の写真
4.眺望景観の評価結果
4-1.東大阪市の眺望景観の型 パノラマ+ヴィスタ+オブジェ
が多いと分かった。
表-4 眺望景観の型の分析表
山麓部
山腹部
山頂部
①パノラマ
3
0
0
計
3
②ヴィスタ
0
2
0
2
③パノラマ+ヴィスタ
0
0
0
0
④オブジェ
1
0
0
1
①パノラマ+④オブジェ
5
0
0
5
②ヴィスタ+④オブジェ
20
4
6
30
③パノラマ+ヴィスタ+④オブジェ
15
9
15
39
小計
44
15
21
80
山麓部
山腹部
山頂部
計
①自然景
0
0
2
2
②生活景
40
4
7
51
③産業景
0
0
0
0
④都心景
3
10
12
25
②生活景+④都心景
1
0
0
1
①自然景+②生活景+④都心景
0
1
0
1
44
15
21
80
小計
4-3.眺望景観の阻害要素 山麓部では、日下新池や東石切公園
などで視界を遮る樹木がかなり目立ち、東石切四丁目周辺では電線
や電柱がかなり目立つ。山腹部ではみはらし休憩所は柵やフェンス
パノラマ
+ ヴィスタ
+ オブジェ
がすこし気になるが、ほかの場所では特に気にならない。山頂部で
は 2 や 4 など電線や鉄塔が目立つが山麓部ほどではない。
図-6 パノラマ・ヴィスタ・オブジェの模式図
表-7 眺望景観の阻害要素の分析表
山麓部 山腹部 山頂部
図-7 眺望景観の型の写真
38
13
20
植栽
31
6
4
41
電線・電柱・アンテナ
41
1
11
53
鉄塔
37
2
9
48
柵・フェンス
25
18
4
3
5
0
0
カーブミラー
7
0
0
7
14
0
1
15
2
0
0
2
屋外広告
案内板
解説板
生駒山などの山地が見えることと分かった。
小計
景観要素の土地利用に関しては墓地、神社、田園が見え、墓地は
81 箇所中 5 箇所、神社は 81 箇所中 9 箇所、田園は 81 箇所中 18
箇所が見える。 表-5 景観要素の土地利用に関する分析表
日下公園周辺
墓地
山腹部
3
0
0
5
3
2
0
0
2
198
26
48
272
図-13 各眺望点の阻害要素が写る写真
図-8 基本的な景観要素が写る写真
山麓部
71
ガードレール
街灯
4-2.景観要素について 基本的な景観要素は、市街地、樹木、
計
樹木
5.結論
眺望点側の結論として、ホテルセイリュウ、日下公園周辺、上石
切第2公園が眺望点として最も良いと分かった。
山頂部
客坊町13 道
上四条町17丁目 道
―
上六万寺町12 道
―
六万寺一丁目22 道
神社
博物館近くの駐車場
みはらし広場
第10車いす休憩所
第2展望休憩所
第3展望休憩所
額田山展望台
正法寺跡周辺 道
みはらし休憩所
みはらし広場
博物館近くの駐車場
上六万寺町12 道
第10車いす休憩所
第2展望休憩所
上六万寺一丁目18 交差点
六万寺ハイキングコース
第3展望休憩所
入り口近く 道
横小路三丁目10 道
横小路三丁目10
縄手南中前 道
日下公園周辺
田園
みはらし休憩所
ぼくらの広場
鐘の鳴る展望台
ぼくらの広場
十三峠駐車場
枚岡山展望台
鐘の鳴る展望台
眺望点 道
図-14 最も良い眺望点の写真
眺望景観側の結論として市街地、樹木、生駒山などの山地が見え
る景観が東大阪市の特徴的な眺望景観である。
図-9 土地利用を行っている写真
可視範囲による景観要素では、山麓部では河川や海は見えず市街
地や工場地が中心に見える。山腹部では市内よりも市外が見え河川
や海、山地が重畳として見える。山頂部では山地は重畳しか見えず、
市街地や工場は他県まで見え、東大阪市内のほぼすべてが見える。
図-10 山麓部
図-11 山腹部
図-15 東大阪市の特徴的な眺望景観の写真
阻害要素に関しては、屋外広告はあまり目立たなく、樹木や植栽
は視界を遮る場所が多く、あまり管理されていないと分かった。
図-12 山頂部
4-3.眺望景観の種類 都心景が多く、産業景が少ないと分かっ
た。また、②+④の場所はホテルセイリュウ、①+②+④の場所は
新豊浦橋と分かった。
表-6 眺望景観の種類の分析表
図-16 視界を遮る樹木や植栽の写真
今後の課題としては、①点数が高い眺望点から見える眺望景観が
良い眺望景観なのか、②眺望点の樹木や植栽の改善を考察し、より
良い眺望点や眺望景観を導き出したい。
東大阪市における商店街景観についての現状把握と分析
1.研究の背景・目的
の有無、街路線形、商店の並び方、屋根の有無、
東大阪市景観形成基本計画書の中で書かれてい
電柱の有無、サイン・広告物類の有無、路面舗
る地区景観の方針の中の商業地景観における布施
装の種類、道路占用の有無、その他の項目とし
駅から八戸ノ里駅までの近鉄沿線に広がる中心商
て商店街景観の雰囲気等を記録する、チェック
業業務地は、人通りも多く活気やにぎわいが見ら
シートの作成をした。
れる。一方、昔から駅周辺のにぎわいをつくって
3.商店街に行きカメラを約 1.5 メートルの高さに
きた商店街は近年、商店街の規模の変動や店主の
固定してゲートからゲートまで、約 10 メート
高齢化、量販店の進出などにより空洞化が進み、
ルおきに写真を撮影した。
その活気を失いつつある中、商店街景観を守るに
4. ア ー ケ ー ド の 高 さ や 道 の 幅 員 は Leica
は、現在の東大阪市の商店街景観の特性(空間構
Geosystems(ライカ・ジオシステムズ)社の
成や景観的イメージ、景観的な演出)を導き出す
Leica DISTO™A8 というレーザー測距機を使い
ことを目的とする。
測定した。
2.研究の対象
2-1.本研究で扱う商店街の定義
・本研究では、公道沿いや駅前付近に立地し、
道路に沿って小売店(商店)が複数戸立ち並び、
組合等の組織団体をつくり商業振興を行っている
場所を商店街としてとらえる。
今回の調査対象は、
5.商店街組合の会長、役員の方に①商店の総店舗
数②現在は廃業して閉められている店の数③
Web ページの有無のヒアリングを行った。
3.東大阪市における商店街に関する現状把握と
整理
3-1.東大阪市の商店街がある地区について
東大阪市域の近鉄(奈良線・大阪線)沿線におけ
本研究で扱う商店街は、近鉄奈良線、近鉄大阪
る商店街とし、
現在東大阪全域に商店街は 71 ヶ所
線にある。
(図1)まず近鉄奈良線では石切駅、瓢
ある。そのうち定義に入らない商店街は 8 ヶ所あ
箪山駅、河内花園駅、若江岩田駅、八戸ノ里駅、
り、それは沿道には無く、一つの建物の中に商店
河内小阪駅、河内永和駅、布施駅にある。次に近
が複数戸あり運営されているためである。また今
鉄大阪線では、長瀬駅、弥刀駅にある。
回は近鉄沿線を対象としているのでJRにある 6
ヶ所商店街があるがその商店街も省くこととする。
そのため今回の調査対象となる近鉄(奈良線・大
阪線)沿線の全商店街は 57 ヶ所である。
2-2.調査の方法
・東大阪市の商店街の現状を知る為には、商店街
の数や場所を把握し、各商店街の平面上の形態
の調査・分析を行う。また、各商店街の空間演
出の分類・分析を行う。
2-3.調査の手順
1.東大阪市にある商店街数を調べるために、東大
図1 東大阪市地図
阪市役所の商業課の方に商店街のリストの提供
3-2.商店街の平面上の形態について
を受けた。
<商店街の長さ>
2.商店街のリストを基に平面的にどのように駅か
・ 1 団体レベルでみた商店街組合別の平均値は約
ら商店街が広がっているのかを知る為地図の作
240m、そのうち一番長い商店街は石切参道商店
成、人間のアイレベルで見た街路の種類、歩道
街(振)の約 700m である。連続した商店街の長
さが一番長いのは若江岩田駅周辺の約 2 ㎞である。 についているタイプ、個々の看板は壁に付いてい
<商店街の形態>
るタイプが多く見られる。床面はアスファルトが
◎ 駅の東側、西側、南側、北側のまとまりで分
主に見られる。照明は街灯のみが多く、立面は道
類した。
の両側に商店が立ち並んでいるタイプが多く見ら
①駅を挟んで片側・両側に続く商店街・・・弥刀(西
れる。
表 1 空間演出表
側)
、長瀬(東、西側)
、布施(北側)
、河内永和(南
側)
、若江岩田(北、南側)
、瓢箪山(北側)
、石切
アーケードの屋根の形
(西側)②線路脇の道路に沿って並ぶ商店街・・・
八戸ノ里(南側)
、花園(南側)③高架下にある商
店街・・・布施、
八戸ノ里④駅前に面的に広がる商店
街・・・弥刀(東側)
、長瀬(東側)
、布施(南側)
、
河内小阪 (北、南側)
、瓢箪山(南側)⑤駅から
離れた所にある商店街・・・弥刀(西側)
、長瀬(東
側)
、河内永和(南、北側)
、河内花園(北側)
・アーケードの高さに対する道幅の比率は幅÷高
さをする。1 を基準とし、0 に近づくほどアーケ
ード(屋根)が高く道幅の狭い谷底にいるような
商店街になり、1を超えるとアーケード(屋根)
ドーム型
7
歩道にある屋根の形
合掌型
4
平板型
5
ゲート
斜面型
1
ゲート
アーケード+看板
14
看板
35
アーケード(歩道に屋根)
建物の壁に付いているタイプ からぶら下がっているタイ
プ
16
13
照明
複合型(ドーム型+平板型)
1
照明+看板または看板のみ
道の両側
32
道の片側
27
街灯に付いているタイプ
建物+街灯
25
1
店街が約 1.3 で幅が広く天井が低く感じる。また、
東大阪市金岡商店会は約 0.5 で天井が高く道幅が
街灯のみ
なし
6
1
アーケードに蛍光灯(電球)
アーケードに蛍光灯(電球) アーケードに蛍光灯(電球)
が埋め込んでいる
が埋め込んでいる
が埋め込んでいる
アーケードに蛍光灯(電球) アーケードに蛍光灯(電球)
+
+
+
が埋め込んでいる
が埋め込んでいる
看板が光る
看板が光る
看板が光る
+
+
+
+
+
自然光
看板が光る
街灯
自然光
街灯
+
自然光
4
6
1
4
3
床面
が低く道幅の広い商店街になる。東大阪市の商店
街では、近鉄八戸ノ里ショッピングセンター東名
複合型(ドーム型+平板型)
1
平板型
4
景観的な演出
交通面での演出
アスファルトのみ
景観的な演出
+
交通面での演出
景観的な演出
+
交通弱者対策の演出
14
11
12
7
3
看板が光る
+
街灯
街灯のみ
35
3
景観的な演出
+
交通
+
交通弱者対策の演出
7
交通面での演出
+
交通弱者対策の演出
2
5.結論
東大阪市の商店街の平面上での形態における特
狭い商店街であるということがわかる。
徴として、距離は約 240m で幅員は約 6.6m の直
4.商店街で見られる空間演出について
線型ということがわかった。さらに東大阪市の商
東大阪市の商店街は 2 つのタイプに分けられる。 店街はアーケードのない商店街が 60%と半分以
4-1.アーケードのある商店街空間の演出について
上ある。また、アーケードのない商店街景観とし
アーケードのある商店街については東大阪市で
て、ゲートは道を挟んだ照明に看板が付いている
(28%)
、
歩道に屋根がある商店街は
(12%)
ある。
タイプが多く見られる。看板は街灯に付いている
次に、商店街の空間演出について(表 1)
、天井は
タイプが主で、
床面はアスファルトがほとんどで、
ドーム型のアーケードが多く、ゲートは道を挟ん
照明は街灯に光る看板が付いているタイプが主で
だ照明に看板が付いているタイプが主に見られ、
ある。立面は道の両側に商店が立ち並んでいるタ
統一的な看板は天井から吊り下げているタイプ多
イプが多い。よってこのような空間演出をしてい
く見られる。床面はタイルがよく使用され、照明
る商店街が東大阪らしいといえる。
はアーケードに蛍光灯(電球)が、埋め込んでい
5-1.今後の課題
るタイプ+看板が光るタイプが多く見られる。立
今後の課題としては、JR にある残りの東大阪市
面は道の両側に商店が立ち並んでいる商店街が多
の商店街を調査する。それにより、東大阪市内に
い。
ある全ての商店街を調査し終える。今回は近鉄沿
4-2.アーケードのない商店街空間の演出について
線のみなので JR との違いも見出すことができ、
アーケードのない商店街については東大阪市で
各駅の商店街の空間演出の手法による商店街の魅
(60%)ある。次に空間演出については、ゲート
力、東大阪らしさをより深く見出すことが出来る
は街灯の実の商店街が多く、統一的な看板は街灯
と考えられる。
東大阪市生駒山麓部における門冠りを持つ民家の調査・分析
1.研究の背景と目的
東大阪市景観形成基本計画の景観づくりの基
本方針には、個性的で魅力ある「東大阪らしさ」
が感じられる「まち」をつくるとある。
「東大阪
らしさ」が感じられる「まち」をつくり、守る
には、活用、保全する景観要素を明確にする必
図-1
要がある。造園的な街並みの形成手法として現
2-2. 門冠りの定義
在までいわれていたのが生垣や庭木、鉢植えな
どで、門冠りは研究されていない。しかし、門
造園用語辞典では、
「正門の門柱の左また
冠りを持つ民家を景観要素の1つとして捉え、
は右の脇に樹木を植え、
枝条の一部を差し枝
保全・活用していくことで良好でまとまりのあ
風に正門の上に伸ばした形のもの」
と言われ
る街並みを守り、
つくっていくことが期待でき、
ているが本研究では柱に添わせて植えられ
また、門冠りが沿道部にあることにより、市街
ていなくても、
正門の上に伸ばした形のもの
地に緑をもたらし、快適な街並みをつくってい
であれば門冠りとする。
2-3. 研究の方法
くことが期待できる。 よって本研究では、東大
阪市生駒山麓部における門冠りを持つ民家の実
調査対象地域の公道を歩き、民家の門冠りの
態を明らかにし、
「東大阪らしい景観」をつくり
有無を確認する。門冠りが有った場合は、写真
だしている景観要素の1つとして見出すことを
撮影を行い、門冠りとその民家の位置を地図に
目的とする。
記入する。現地調査によって得た情報を、GIS
2.研究の方法
に入力し、
「樹種」
「樹形」
「分布」の視点から
分析を行う。
2-1.調査対象地域
東大阪市景観形成基本計画では、「まち」と
3.門冠りを持つ民家の分析
しての一体的な計画・整備ができる、適当な生
調査対象地域における門冠りを持つ民家の
活圏を持った区域を目安に、主要な道路や河川
件数。
でAからGの7つの地域に区分している。
(図-1)
3-1.調査対象地域における門冠りの樹種別
A地域は、山麓部が早くから郊外住宅地として開
件数
1106 件
発され、生駒の自然を背景に閑静な住宅を形成し、
1.マキ
598 件
54.1%
また、旧集落が点在して歴史的で落ち着いた街並
2.マツ
451 件
40.8%
みとなっており、門冠りを持つ民家が景観に大き
3.ツゲ
28 件
2.5%
く関わっている可能性がある。よって、本研究で
4.その他
29 件
2.6%
は、景観形成基本計画で区分された7つの地域の
3-2.樹形での分類
A地域重点的に調査対象地域を設定する。
北端 大東市との境界線
※
南端 国道308号線
※
西端 大阪外環状線
※
東端 生駒山の山際
※
樹形Ⅰ(例)
幹が垂直に伸び、枝が正門に伸びる形。
4.結論
樹形Ⅱ(例)
本研究により、東大阪市生駒山麓部における門
冠りを持つ民家の実態が明らかとなった。門冠り
の樹種は、9 割以上がマキとマツが使われており、
マキが一番多く使われている。また、樹形では、
植えられている地点から、正門上へ幹が斜め
全体の 6 割に樹形Ⅰが使われている。
に伸びる形。
分布の特徴には、旧 170 号線を起点とし、東側に
樹形Ⅲ(例)
位置する調査地域では、門冠りを持つ民家が集中
して分布されている傾向がある。また、旧 170 号
線から西側に位置する調査地域では、門冠りを持
つ民家がないわけではないが、東側と比べると集
中したまとまりがないことが GIS の分布図から読
幹が正門にほぼ水平になるように伸びる形。
み取ることができる。原因として、大阪外環状線
から旧 170 号線の間は、工場と住宅が混在してい
樹形別件数
1.樹態I 673 件
60.8%
て、住宅が少なく、また、工場により住宅の連続
2.樹態Ⅱ 200 件
18.1%
性が断たれているからである。
3.樹態Ⅲ 233 件
21.1%
旧市街地の住宅地には、門冠りを持つ民家が連続
3-3.旧市街地における門冠りを持つ民家の件数
238 件
21.5%
して見られる傾向がある。旧 170 号線より西側の
住宅地でも旧市街地の住宅地であれば門冠りを持
旧市街地に色を付けて GIS 上にプロットし、門
つ民家が連続して見られる。また、東側の住宅地
(図-2)
冠りを持つ民家の分布を見て考察を行った。
では、旧市街地の住宅地とそれ以外の住宅地に関
係なく連続して見られ、まとまりのある良好な街
並みが形成されている。このことから、一部地域
に集中したまとまりがないものの、門冠りを持つ
民家は、調査対象地域全体に見られ、この地域の
景観的特徴ともいえる。よって、門冠りを持つ民
家は、東大阪市生駒山麓部における「東大阪らし
い景観」をつくりだしている景観要素の1つとい
える。
5.おわりに
今回の研究では、どのような理由で門冠りを植
え、 なぜ、この地域に多いのかということが明ら
かになっていない。また、調査対象地域には、造
園業者や石材店が多くあり、この地場産業と門冠
りの関係性を確かめていくことが必要である。
<参考文献>
東大阪市景観形成基本計画
造園用語辞典 第二版
東大阪市民環境フェスティバル 2009 におけるブース展示でのアンケート結果
回収枚数:33 枚
質問1
あなたの性別、年齢について、それぞれ次の中から該当する番号に◯印をつけてください。
性別:男性
14(42.4%)
女性
14(42.4%)
無回答
5(15.2%)
0( 0%)
年齢:20 歳未満
20 歳代
3(9.1%)
30 歳代
4(12.1%)
40 歳代
7(21.2%)
50 歳代
8(24.2%)
60 歳代
10(30.3%)
70 歳代以上 0( 0%)
無回答
1(3.0%)
質問 2
各展示パネル写真は東大阪市内の景観です。各展示パネル写真についてどのような印象を受けましたか?また知
らなかった写真はありますか?
自然景 ①東石切公園から見た生駒山
魅力的 15(45.5%)
無回答
どちらでもない
13(39.4%)
魅力的でない
1(3.0%)
4(12.1%)
魅力的でない
2(6.1%)
7(21.2%)
魅力的でない
0(0%)
4(12.1%)
知らなかった写真 6(18.2%)
②生駒山から見た東大阪の街
魅力的 24(72.7%)
無回答
どちらでもない
3(9.1%)
知らなかった写真 0( 0%)
③鴻池水路
魅力的
16(48.5%)
どちらでもない
無回答 10(30.3%)
知らなかった写真 0( 0%)
生活景 ④石切の旧集落
魅力的 19(57.6%)
無回答
どちらでもない
7(21.2%)
知らなかった写真 9(27.3%)
6(18.2%) 魅力的でない
1(3.0%)
⑤近鉄布施駅周辺の商店街
魅力的
12(36.4%)
無回答
3( 9.1%)
どちらでもない
17(51.5%)
魅力的でない
1(3.0%)
6(18.2%)
魅力的でない
0( 0%)
16(48.5%)
魅力的でない
6(18.2%)
17(51.5%)
魅力的でない
6(18.2%)
1( 3.0%)
魅力的でない
0( 0%)
12(36.4%)
魅力的でない
1(3.0%)
7(21.2%)
魅力的でない
2(6.1%)
21(63.6%)
魅力的でない
5(15.2%)
知らなかった写真 0( 0%)
⑥花園中央公園多目的球技広場
魅力的 22(66.7%)
無回答
どちらでもない
5(15.1%)
知らなかった写真 0( 0%)
産業景 ⑦加納工業団地
魅力的
2( 6.1%)
無回答
9(27.2%)
どちらでもない
知らなかった写真 8(24.2%)
⑧柏田の工場街
魅力的
3( 9.1%)
無回答
7(21.2%)
どちらでもない
知らなかった写真 8(24.2%)
⑨田園景観
魅力的 30(90.9%)
無回答
どちらでもない
2( 6.1%)
知らなかった写真 5(15.2%)
都心景 ⑩府営春宮住宅・府立中央図書館
魅力的 15(45.5%)
無回答
どちらでもない
5(15.2%)
知らなかった写真 1( 3.0%)
⑪東大阪市役所本庁舎
魅力的
5(15.2%)
どちらでもない
無回答 19(57.6%)
知らなかった写真 1( 3.0%)
⑫流通業務団地
魅力的
2( 6.1%)
無回答
5(15.2%)
どちらでもない
知らなかった写真 4(12.1%)
質問3
各展示パネル写真で好きな写真を各景から 1 つ選んで、その番号と選んだ理由を記入して下さい。
自然景 ①東石切公園から見た生駒山 5 票
理由:・いつも見ている風景
・電車から見おろすのが好き
・緑の野山が見える風景。山からの展望が広がる光景が人々に癒しをもたらすと思います
②生駒山から見た東大阪の街 13 票
理由:・車から見た夜景は、キレイだと思います。
・自然に囲まれた生活がしたい
・登った時にすごくきれいだったから。
・パノラマ感がある
・高所から街を見るのは楽しい
・山の広がりと遠景の街なみ。上からながめると気もちがおちつく
・昼だけでなく、夜景もすばらしいから
・東大阪の夜景はキレイ
・上から見おろすのがいい気分。夜景もおすすめ。
・高い所から見た景色が好きだから
・緑の野山が見える風景。山からの展望が広がる光景が人々に癒しをもたらすと思います
・解放的で心がいやされる
・心が清々しくなる
③鴻池水路
4票
理由:・水や緑が身近にあり、心を和らげてくれます
・今ある自然を保全するのはあたりまえ。今後は自然環境の整備が必要
・汚れてきたない水路を土木技術でよくここまでに
・ 住宅とマッチしたいい景観になっている
⑨田園景観
3票
理由:・やはり自然
・畑や田んぼなど東大阪ではなかなか見られない景しきなので
生活景 ④石切の旧集落 11 票
理由:・自然ある風景
・昔ながらの雰囲気が懐かしい感じがする
・静かな町で暮らしたい
・落ち着いた感じ
・古い街並みが好きだから
・旧集落をできるだけ残して欲しい
・水路の浄化と付近の散策路を整備してほしいから
・昔ながらの街並みが生きづいており、とてもよい
・歴史的な街並に東大阪の歴史の奥深さを再発見できる
・こういうところをこれからも残していってほしいと思った。
・昔ながらの生活を感じるような石垣
・歴史・文化の大切さが伝わってくる。
⑤近鉄布施駅周辺の商店街 6 票
理由:・買い物していると楽しい。
・下町のにぎわいは親しみがある
・やはり商店街のまち並は好きな風景です
・東大阪第2位の商店街
・商店街がにぎわっている風景は地元が元気な証拠
⑥花園中央公園多目的球技広場 2 票
理由:・広々とした感じが好き。ドリーム 21 を入れた写真もいいですよ。
・ 災害に備えての遊水池を晴天に日に多目的に
③鴻池水路
2票
理由:・ほどより郊外に住みたい
・旧集落をできるだけ残して欲しい
・ 水路の浄化と付近の散策路を整備してほしいから
産業景 ⑦加納工業団地 3 票
理由:・(あまり好きではないが)もう少し緑がほしい。
・中小企業の街としての東大阪の役割を感じられる
・東大阪の技術を生かすためには住工分離が必要だと思う
⑧柏田の工場街 3 票
理由:・ニュースでも、中小工業がとりあげられているので。
・東大阪市の中小企業の街がよく表れている
⑨田園景観 14 票
理由:・東大阪にこの様な田園がある事を知らなかったのでビックリ!
・のどかな環境が好き
・昔からの風景
・東大阪にも田園風景画のこっている事を大事にしたい。ピンボケがおしい。
・農業は大事
・自然が少ないのでこのような所は大事
・米が好きなのでおいしいのかな
・いなかが好きだから
・自然を感じられてとてもよい
・ほっとできるので。
・東大阪市にもこんないなか的風景が
・本市にもまだあると感じました。
・ このような風景を守っていきたいと思った
⑤近鉄布施駅周辺の商店街 1 票
理由:・布施!!住んでます
都心景 ⑩府営春宮住宅・府立中央図書館 12 票
理由:・公園も あって広々してよい
・少しでも緑が多い方がいいかな
・庁舎(写っていないが)や図書館の立体空間が近代的
・近代建築も好きだから
・新都心として計画的に高層ビルが立ち並ぶ光景がいい
・まとまって整備されているのが感じられてよい
・近代的な街作にとりくんでいる
・都心に整備された緑がきれい
・図書館まわりの緑がいい。
・将来へ向けての文化都市との印象を受けた
⑪東大阪市役所本庁舎 1 票
理由:・府庁が建ってから、方角が分かるようになりました。
⑫流通業務団地 1 票
理由:・流通がスムーズに行くように考えられているようなので。
⑤近鉄布施駅周辺の商店街 1 票
理由:・(あまり好きではないが)もう少し緑がほしい。
質問 4
写真集の写真も東大阪市内の景観です。写真集の中から好きな写真を選んで、その番号を記入して下さい。(い
くつ選んでいただいても構いません。)
4票
9、113
3票
101、106、207
2票
2、3、6、102、112、209、210、211、222、228、234、245、321、322、323
1票
4、5、10、12、103、105、108、109、111、202、203、215、224、225、227、229、235、
238、246、247、248、251、252、253、302、304、305、320、403、503、504
質問 5
東大阪市内であなたが知っている好きな景観があれば記入して下さい。
・生駒山の雪げしき
・夜景
・ぼくらの広場
・生駒山のぼくらの広場
・市役所の展望台からみる景しき
・枚岡公園より市街地をのぞむ。
・ぼくらの広場より市街地をのぞむ。
・鴻池新田開所
・北宮小学校周辺の水路
・中部緑地
・2 の写真の場所
・桜通の桜がさいている時が好き
・108 の写真の場所が私の知っている東大阪の中で一番好きな場所です
・上小阪小学校付近。旧十三街道がまだ少し残っているところ。
・中小阪の集落で、今も残るワラ葺き屋根家屋(残念ながらトタン葺きになっているが)と同
集落に舟板塀がわずかに残っているところ
・かんしょう緑地
・近鉄奈良線石切駅〜枚岡駅の電車の中からみる夜の大阪平野の夜景
・本庁舎 22F からみる夜の高速 JCT(環境の観点からは???ですが。
。。
)
・暗峠付近
質問 6
意見があれば自由に記入して下さい。
・今住んでいる西石切には 13 年程です。歴史の写真に感動しました。
・桜並木がもっとみじかにあればとおもいます
・東大阪は、生駒山もあって、天気のいい晴れた日に山を見るととてもきれいで好きです。
・緑(自然)を残せるところは残してほしい
・東大阪市で 44 年、あちこち、絵になる場所を探しています。絵になる場所もいろいろありま
す。
・きせつでまた景観も変わるので、四季のみりょくも見つけることも良いと思う。
・花園の桜通の桜のうえる時、生長を考えてうえるべき。だいたい何も考えずに緑をふやせば
いいと思い過ぎ。勉強して欲しい
・東大阪は、道はばがせまくてごみごみしているところが多いのに写真にうつるとちがって見
えますね
・古いものを大切にして、古い風景を残してほしい
・なくなりつつある風景をできるだけ残して欲しい。せめて、写真集ででも。
・大型の商業施設やホテルを誘致して下さい。
・東大阪市は特に景観にすぐれている所があると今まであまり考えていませんでした。しかし
今回の展示を拝見して、東大阪市も歴史、産業、生活において、なかなか良い所がたくさん
あるなあと再発見することができました。ありがとうございました。
・東大阪にも見所はいっぱいあるのだなあと思いました。
・住工がある中で自然を少しでも生かした景観を残して欲しい。
(5)提言
研究計画において、景観計画に定めなければならない必須事項※1を中心に調査研究を行い(中略)、東
大阪市独自のオリジナリティある景観計画が策定できるよう、その一助となる基礎資料としてまとめる
ことを目標とするとしていたため提言としてまとめを行う。
5-1. 大阪府における他市町の景観計画の対象区域と地域区分について
景観法が 2005(平成 17)年6月に全面施行されてから約6年が経過しようとしているが、平成 22 年
12 月現在、大阪府では 11 市町が景観行政団体(表-1,図-1)となり、そのうち8市町が景観計画を
策定済みである。それら8市町についての景観計画の対象区域は、下表のように太子町を除く全ての市が
全域としている。
表-1:計画の対象区域
これは、景観計画を景観に関するマスタープラン的な位置づけとしていること、これまでの自主的な取
り組みにおいて、市町村の全域を対象に大規模建築物の規制や誘導に取り組んできた継続性を重視してい
ることなどが想定できる。
景観計画の策定にあたって課題となる一つに区域区分があると言われるが、東大阪市の近隣地域である
寝屋川市(平成 22 年 8 月策定)では、重点的に景観形成を図る地区として大阪府景観計画との関連から
「景観重点地区」(淀川河川軸、生駒やまなみ緑地軸、大阪外環状線沿道、第二京阪道路沿道)を指定す
るとともに、駅前再開発地区といった都市計画との整
合・連携を考慮し「景観重点地区」を指定している。
また、箕面市(平成 22 年 7 月施行)では、景観基本
計画において重要な要素として位置づけられていたも
のを継承し「重点地区」指定するとともに、現在あるい
は今後良好な景観を形成していく必要のある地区を「都
市景観形成地区」、
「景観配慮地区」として位置づけてい
る。
さらに、岸和田市(平成 22 年 7 月策定)では、まと
まりとして認識される景観構造から基本景観区、基本景
観軸、景観配慮地区に区分し、景観特性に応じた地域区
分を行っている。
このように区域区分は、府県レベルの景観計画との連
携や市域内の都市計画との関連性などから検討してい
-----------------------------------------------※1:必須事項とは、①景観計画の区域②良好な景観の形成に関する方針
③行為の制限に関する事項④景観重要建造物、樹木の指定の方針の4項目。
図-1:大阪府における景観計画区域の概要
く必要性があろう。本研究で取り上げた地域メディア(校歌、風景画、カルタ)や眺望景観研究からわか
るように、生駒山系は北河内及び中河内地域一帯の緑、あるいは、河内(大阪)平野に広がる市街地を眺
める場として広域景観として保全、形成に取り組んでいく視点を忘れてはいけない。
5-2. 良好な景観の形成に関する方針について
「東大阪市景観形成基本計画」を踏まえ、景観計画の対象区域全域及び景観重点地区ごとに「良好な景
観の形成に関する方針」を定める必要がある。
対象区域全域に関しては、本研究における「地域メディアから得られる文化情報の分析―東大阪市の景
観的特徴の抽出―(以後、地域メディア研究)
」で得られた結果によって、東大阪市にとって最もプリミ
ティブで、市民にとって大切な景観資源(東大阪市民に引き継がれてきた地域景観イメージ)がどのよう
なモノであるのかを客観的に説明できる根拠的資料ができたといえよう。今後は、
「環境実感都市」※2の
実現に向け、現在、生活している市民の「実感」を把握するためのアンケートやワークショップ、展示会、
トークイベントなどを実践していくことが課題としてあげられる。特に、景観づくりには長い時間を要す
る※3ため、これからの地域の将来を担う子ども達に対して、景観教育を行っていく※4ことは重要である。
5-3.良好な景観の形成のための行為の制限について
5-3-1.届出対象行為の設定
届出対象行為については、建築物の建築や工作物の建設等についてはほぼ全ての景観計画において届出
対象行為とされているほか、土地の形質の変更や屋外における土石などの堆積、木竹の伐採などは多くの
景観行政団体で届出対象行為に追加されている。※5
5-3-2.景観形成基準
ほとんどの景観計画で建築物の形態意匠の制限、高さの最高限度について定められている。そのうち色
彩の基準はほぼ設定されており、マンセル値を用いた基準設定が多い。高さの基準は、眺望景観の保全や
既存のまちなみのスケールとの不調和を規制するために設定される例がある。※5
本研究で取り組んだ「生駒山から見た眺望景観の現状調査と特性評価」において、眺望点の評価を安全
性、利便性、快適性、持続性の4つの視点から行い点数化を試み、眺望点周辺の環境条件と合わせて「眺
める場」の現状評価をした。また、眺望景観については、眺望のタイプ、距離毎に眺められる景観要素、
眺望阻害要素といった定性的な項目を調査者の視点で把握した。今後は写真画像内の物理的要素の面積や
色彩などから基準化につなげられるよう数値化することが課題である。また、地域メディア研究における
校歌の分析において、市街地側から山並みを望む歌詞がほぼ全ての小学校で見られたが、実際には学校か
ら生駒山が見えるのか(可視/不可視)、どの程度見えるのか(緑視量)、阻害要因等を把握すれば、景観
形成基準に結びつけていくことも検討できるといえよう。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------※2東大阪市景観形成基本計画にあげられている景観づくりの基本目標は、「みんなが愛着と誇りをもち 活気にあふれる 環境実感都
市・東大阪」である。また、基本方針は『東大阪の「まち」と「ひと」 ~その双方から、東大阪らしさをつくり、東大阪らしさをはぐ
くむ』である。
※3佐佐木綱他,「景観十年、風景百年、風土千年」,蒼洋社,1997 年
※4社会変化予測を踏まえた上で景観づくりを考える前提条件そのもの、目標とする時間設定も考える必要があるといえよう。
※5原田佳道,「季刊まちづくり 28 号」,学芸出版社,2010 年,p.24-p.30
一方、地域の特性にあった基準設定もあり、京都や金沢など伝統的集落や歴史的な建築物による街並
みが特徴的な地区などでは、数値やイメージ図等により明示的な内容とする例がある。例として屋根勾
配、軒の出、ケラバの出、庇の出などの数値基準化したり、地場産の瓦を使用するように素材指定をす
る例もある。※5本研究では、商店街景観の現状把握と分析を行ったが、実測データから導き出された空
間形態(D/H,D/L)や空間演出要素の意匠分類結果から屋外広告物の基準を検討することができよう。
5-4.景観重要建造物及び景観樹木の指定の方針
景観重要樹木は他の樹木保全制度と比較し、行政の意思により指定候補の抽出が可能である。大阪府下
の市町における指定方針の傾向を見ると、
・周辺地域の良好な都市景観を特徴付けている樹木、地域のシンボルとなっている、特徴のある樹容を有
している、地域の景観を先導し又は継承し特徴づけている
・市民に愛され親しまれている樹木、広くした親しまれている樹木
・歴史的、文化的な価値が高い樹木、地域の歴史を感じさせる古木や巨大樹木
・道路その他公共の場所から眺められる
等が多くの景観行政団体で指定の要件とされている。
本研究では、「生駒山麓部における門冠りをもつ民家の調査・分析」を行ったが、一部の地域に集中し
たまとまりがないものの、門冠りを持つ民家は、調査対象地域全体に見られた。宅地開発の年代、建設業
者の志向性、住宅様式、地域産業との関係等の分析を通じ、この地域独自の景観的特徴といえるのかどう
かを考察することが課題といえる。特に、生駒山麓部の善根寺、日下、石切界隈には多くの石材造園業者
が分布しており、それらとの関係も把握することが課題といえる。
「門冠り」は、多くの景観行政団体で指定の要件にあげられている要件を満たしていると思われるもの
の住民意識がどの程度まで醸成されているか等調査を行うことで、景観重要樹木の指定や新しい緑化協定
の手法としての可能性を検討することができよう。
5-5.終わりに
景観計画の策定方法は、自主条例等に基づく景観基本計画をベースしながら策定するパターンが多く、
各市町村のこれまでの取り組みを活用し策定している。大阪府下の近隣市町村において既に策定済み(寝
屋川市)であったり、現在策定中の(交野市,枚方市)市に対して、連携の内容検討も含めてヒアリング
を行うことが重要であろう。
また、景観計画の策定体制を整えていく必要があるといえ、庁内の検討会や展示会、写真展等の開催、
ワークショップやまち歩き等の市民参加や市民アンケートを実施し、景観計画策定の気運を高めていく必
要があろう。その際、市民協働は必須条件といえ、地域での市民活動を実施しているボランティア、NP
O団体や商店街と大学が連携している活動団体などを把握し、連携関係を形成していくことが重要であろ
う。
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