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資料7 - 日本機械学会

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資料7 - 日本機械学会
振動相談1
状態監視振動診断技術者コミュニティ
第7回ミーティング
プラントのポンプやブロワの振動診断(簡易的に異変を検出)を実施す
るため、“加速度”を用いて計測・評価を行う予定です。
(主目的は、振動診断に慣れることと、自プラントの知見集積です)
事前メール受付による振動相談の紹介
その際の評価については、加速度の実効値で行うつもりですが、参考と
する、ISOの振動シビアリティ判定においては“速度”となっており、この
場合はどのように考えるのが適当か、ご教示いただけないでしょうか。
また、今回は精密診断ではなく、振動を使って、簡易的に初期診断を行
えるということを周知していきたい考えもあります。
振動コミュニティ幹事
電源開発株式会社
火力発電部
沼尻光一郎
振動コミュニティ主査
東芝原子力エンジニアリングサービス㈱
渡部幸夫
(追記)
現状は原因究明ではなく、何かがおかしいということを可視化するレベ
ルでの管理を考えています。
1
振動相談1 回答
振動相談1 回答
 ポンプやブロワなどの振動状態監視(簡易的な傾向監視)とし
ては、ISOで推奨しているように、「速度」を用いる。
 加速度の場合、短い時間(数マイクロ秒)の間に受ける材料の
中を伝搬する弾性波も検知するので、異常の判定が困難。
 機械にダメージを与えるのは、振動の運動エネルギーであり、
その大きさは、速度の2乗。
⇒機器の状態監視には「速度」が適している。
 大きい加速度でも、受ける時間が短ければ損傷はあまり大きく
ない。
 加速度監視だと、ちょっとした接触、異物かみこみ等でレベルが
高くなる。
 ISO‐10816の振動シビアリティ評価基準と同じrms(実効値)で管
理すると、基準との比較が容易。
2
3
振動相談1 回答
PK Velocity in mm/Sec
 速度オーバーオールでは、軸受
の初期損傷など、高周波数領
域に現れる事象の検知は困難。
OVERALL= 4.13 V-DG
PK = 4.12
LOAD = 100.0
RPM = 1776. (29.60 Hz)
1
0
500
1000
1500
Frequency in Hz
2000
Freq:
Ordr:
Spec:
29.69
1.003
3.753
04/8/24
13:08:54
04/10/05
16:59:33
05/2/23
16:25:37
05/5/10
10:50:23
0
10
20
30
40
50
Frequency in Orders
速度オーバーオール
BCW - A-Bearing Cooling Water Pum
A-BCWP -PIH Pump Inboard Horizontal
0.20
Route Spectrum
05/10/04 10:03:06
加速度
0.15
A-CP
14
OVERALL= 4.13 V-DG
RMS = .3542
LOAD = 100.0
RPM = 1776. (29.60 Hz)
70
80
90
CND - A-CP
-MIX Motor Inboard Horizontal
Trend Display
of
PEAK TO PEAK
12
10
-- Baseline -Value: 1.153
Date: 24-5-04
ALERT
8
6
-- Baseline -Value: 1.094
Date: 24-5-04
10
Pk-Pk Waveform in G-s
0.10
A-CP
14
Trend Display
of
Overall Value
FAULT
60
加速度振幅
CND - A-CP
-MIX Motor Inboard Horizontal
12
PK Velocity in mm/Sec
RMS Acceleration in G-s
2500
04/5/24
11:05:31
 速度オーバーオールの傾向監
視をベースとし、加速度も併せ
て測定することで、早期の異常
検知が可能となる。
2
0
0.8
0.6
0.4
0.2
0
PK Velocity in mm/Sec
速度
CND - A-CP
-MIX Motor Inboard Horizontal
Max Amp
.85
3
 右図は同一データの
速度と加速度の比較。
A-CP
Route Spectrum
05/10/04 10:03:06
4
 加速度は速度と比較
して高周波数領域が
強調され、低周波数
領域が抑制される。
振動相談1 回答
BCW - A-Bearing Cooling Water Pum
A-BCWP -PIH Pump Inboard Horizontal
5
8
6
4
4
2
2
0
0
FAULT
0.05
0
0
0
500
1000
1500
Frequency in Hz
2000
2500
Freq: 29.69
Ordr: 1.003
Spec: .05029
80
160
Days: 24-5-04
240
To 10-5-05
320
400
0
ALERT
80
160
Days: 24-5-04
240
To 10-5-05
320
400
4
5
振動相談2 ディーゼルエンジンの健全性評価の
有効な指標や測定箇所は?
振動相談1 回答
 使用する振動ピックアップは、加速度センサを選択し、振動計で積分
して、速度の値を得る。
 加速度センサを使用することで、加速度、速度の両方のデータを取
得することが可能となる。
•
ディーゼルエンジンの診断について振動データを集め、健全性評価の確立を
目指している。
•
テストランに合わせて、振動診断を実施しており
測定部はエンジンのすべり軸受け部に絞って傾向を把握している段階。
•
シリンダーピストンの摩耗やバルブの異常、燃焼不良を検知するなどの
測定事例がありましたらご教授ください。
ピストン軸直角負荷
被駆動部
6
7
振動相談2 回答
米国による運転中診断例
文献
8
エンジン特性分析例 :文献1)による
9
振動相談2 回答
診断ソフトの例
SOFTROX波形解析・判定機 (安価)
時刻歴波形の標準偏差からのずれを検知して、異常/劣化を診断。
・砥石切削加工/穴あけ加工機械の主軸モータ電流波形による工具の摩耗検知
正常波形
電流
破損直前の異常
破損ケース
文献 1)吉永他:ディーゼル機関診断装置の実機適用,第5回評価・診断に関するシンポジウム,2006,134‐138
2)太田他:シリンダヘッド振動加速度を用いた小型漁船機関のためのトルクリッチ診断法,第5回評価・診断
に関するシンポジウム,2006,91‐96
中山慎司;日本プラントメンテナンス協会,
プラントエンジニア Vol45 No.5 May2013
10
0
時間
20sec
11
物理モデルによる連鎖した劣化要因分析による劣化予測
モータ駆動のコンプレッサーの解析結果例
① 検査のばらつきや劣化確率分布変化の考慮が必要
② 部品の劣化の進展とそれらの相互作用が解析できる物理モデルが必要
慣性力等
250
物理モデルによる劣化予測
200
150
DCモータ
50
ピストン負荷,N
回転軸のモデル化
部品モデル
100
部品ごとにmodelica言語で構築し組み上げて、物理モデルを作成31)
0
・制御弁
0.02
・エアコン
・コジェネレーションシステム
に適用済み
各コンポーネントを数式モデル化
振動相談3
ベルト張力調整後振動大発生の原因は?
出力:3.7kW
電圧:440V/50Hz
極数:2P
冷風扇:10枚
②復旧3日後にベルト調整を実施
ベルト位置
①点検前
異常発生箇所
吐出側
本体側プーリ
(5500rpm・fr91.7Hz)
ブロワ本体仕様
種類:遠心式
流体:廃ガス
容量:110m³/h
運転圧力:13.2kPa
13
①定期分解点検(半年毎)を実施
・点検内容:
本体の内部点検、部品手入れ(プーリー等)、消耗品(ベルト、軸受、油脂)交換、運転確認
・モータ部の点検は未実施
・ベルトの撓み量、プーリの傾き:規定値内に調整
・運転確認:モータ部の振動値がわずかに増加
水平方向 分解点検前:約12μmp‐p→分解点検後:約17μmp‐p
垂直方向 分解点検前:約5μmp‐p→分解点検後約7μmp‐p
モータ仕様
Vベルト(3本掛け)
想定外故障の防止が可能
【経緯】
モータ部
本体部(4段)
0.08
12
対象機器:遠心式多段ターボブロワ
吸入側
0.04
0.06
軸受摩耗量,mm
②点検後
③ベルト調整前
④ベルト調整後
ブロワ側
2.25N
10.50N
5.25N
10.25N
中央
5.75N
11.50N
5.50N
11.75N
反ブロワ側
5.00N
11.00N
6.25N
11.00N
表.ベルト撓み荷重の変化
モータ側プーリ
(2820rpm・fr47.0Hz)
フレーム基礎
防振ゴム
14
③ベルト調整後にモータ部の振動値が増加
水平方向 分解点検前:約17μmp‐p → ベルト調整後:約42μmp‐p
垂直方向 分解点検前:約7μmp‐p → ベルト調整後: 約18μmp‐p)
④原因調査のため、モータ単体運転(ベルト切り離し)時の振動を測定
・分解点検前より振動値が低下
水平方向 ベルト調整後:約42μmp‐p → モータ単体運転:約8μmp‐p
垂直方向 ベルト調整後:約18μmp‐p → モータ単体運転:約17μmp‐p
15
【周波数解析】
【振動速度値のトレンドグラフ】
モータ部反プーリ側振動速度波形(垂直方向)
モータ部反プーリ側(水平方向)
モータ部反プーリ側(垂直方向)
モータ単体運転
92.9Hz≒回転成分2fr(94.0Hz)
モータ単体運転
点検直後
点検直後
モータ部反プーリ側振動速度波形(水平方向)
12/12/30
15/08/08
04/07/14
15/08/28
モータ部プーリ側(垂直方向)
モータ部プーリ側(水平方向)
モータ単体運転
モータ単体運転
点検直後
モータ部プーリ側振動速度波形(垂直方向)
点検直後
12/12/30
15/08/08
モータ部プーリ側振動速度波形(水平方向)
本体部反プーリ側(水平方向)
04/03/19
94Hzと電源周波数の
2倍100Hzのうなり
点検直後
点検直後
04/05/05
15/08/28
04/07/14
本体部プーリ側(水平方向)
04/05/05
モータ部の水平方向の振動だけが著しく増加している
04/03/19
16
92.9Hzはモータの回転成分2frの他、ブロワ本体の回転成分:91.7Hzと近似する。
→ベルトの進行方向(水平方向)の振動が大きい
→ベルトが関与している?(ベルトスリップ、ブロワ側プーリの遠心力etc…)
17
【振動原因】
【振動診断結果】
異常発生箇所
本体側プーリ
(5500rpm・fr91.7Hz)
・モータ単体運転時、モータの振動値が減少
→モータの異常ではなく、他要素からの影響と判断
モータ側プーリ
(2820rpm・fr47.0Hz)
軸受の隙間によりブロワ側のベルト張力大
・点検前のベルト撓み荷重がブロワ側だけ著しい
また、調整後も中央・反ブロワ側よりも低い
ブロワ側のプーリ溝摩耗大
→ブロワ側のプーリが偏摩耗しているのでは?
・ブロワ本体の振動に異常なし
長時間運転後ブロワ側の張力小
→ブロワ本体からの影響は考え難い
ベルト張力の不平衡に伴う過大振動ではないか?
Vベルト(3本掛け)
【質問内容】
・ベルト張力の不平衡の他に考えられる原因はあるか?
・振動速度スペクトルに現れた92.2Hzの正体は何が考えられるか?
※モータ部の回転成分2fr(94.0Hz) or ブロワ側の回転成分fr(91.7Hz)
防振ゴム
・原因究明のための調査方法はあるか?
18
ベルトの張力調整・・・あまり良くない調整方法 19
【振動原因】 ① プーリの傾きによる振動
【振動原因】 ② モータ軸のキー溝による異方向剛性
張力分布
N1
ロータ偏心による電源
周波数の2倍振動発生
モータ
ベルト
モータ軸
側圧
90°,270°
点Bのモータ軸変位 mm
点B
0°,180°
モータ軸の断面
静荷重がベルトにより作用
0°
0.25
0.2
キー溝
0.15
0.1
0.05
0
0
90
180
【原因究明方法】
ベルトの側圧分布が微小な傾き
により大きく変化
張力の変動
(b) 非対称軸の点Bの回転角度における変位
モータ回転周波数の2倍が発生
【根拠】
90°
360
回転角度 °
(a) 軸を水平方向から見た図
ダイヤルゲージ
で計測
270
・張力が小さいと振動値が小さい
・モータロータ偏心による電源周波数の2倍の振動発生している
引張られるベルト長さが変化
180°
張力大ほど影響大
偏角したプーリが1回転する間に2回ベルトが引っ張られる
増速比大ほど影響大 20
【振動原因】
③ モータの固有振動数が100Hzに近く応答倍率大
21
【原因究明方法】
① 周波数窓を200Hz、400ライン以上、分解能を0.5Hz以下として、周波数分析
を行う ⇒排気流量を変化させると振動周波数が変化するならば、プーリ傾きによ
る強制振動
回転成分:2fr(94.0Hz)
② モータの上部の打撃試験により、水平方向の固有振動数、減衰比を求める
応答倍率大
③ ベルトを打撃して、ベルトの固有振動数を計測する
・・・できれば回転周波数の2倍の周波数のストロボでベルトを観察
・ベルトの高次も含めた固有振動数がモータの固有振動数の1/2近傍なら、
係数励振(パラメトリック励振)。⇒排気流量を変化させても振動周波数変化無
⇒対策:モータの固有振動数を変化させる
ベルト
回転成分:fr(47Hz)
④ プーリの溝が摩耗していないか。
100Hz近傍以外の
振動値が小さい
プーリ
・ベルトは、外周はプーリより出ているか。
・ベルトが滑っていないか。⇒ベルトのマークを3本合わせて30分運転して、マーク
がずれるかチェック
・溝が摩耗するとベルトが離れる時にグリップ力のためベルト振動大⇒溝の手入れ
周波数 (Hz)
【原因究明方法】
・打撃試験により固有振動数、減衰比計測
・従来のベルト検査項目だけではダメ
・複合要因を診断すべき
【対策】 ・回転数の2倍の周波数:94Hzから離反させて、応答倍率の低減
22
23
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