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Blu-ray Disc の作成について 巨摩高等学校 長沼 武志 卒業時に映像

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Blu-ray Disc の作成について 巨摩高等学校 長沼 武志 卒業時に映像
BluBlu-ray Disc の作成について
の作成について
巨摩高等学校
長沼 武志
卒業時に映像ディスクの配布を初めて今回で5回目になった。もともと定時制に勤めて
いた時に、中学校を休みがちだった生徒たちの学校での様子を少しでも保護者と本人に残
せないかなと考えたのが始まりだった。当時は写真だけをデータに焼くなら CD-R で可能
であったが映像となると VideoCD しか自分で用意できるものはなく、再生が LD プレイヤ
ーか PC というのもハードルが高く結局手を出さなかった。2001 年に民生用の DVD-R ド
ライブを購入し、2002 年には DV を使ったノンリニア編集の環境ができてきたため、卒業
文集の代わりに DVD をつくろうと考えた。初めて作成したのは 2004 年の 3 月である。5
年前には卒業記念 DVD の作成についてのレポートを書いた。
前回の結びではもう少し DVD
かなとしたが、今回は次の理由から Blu-ray Disc(以下 BD)の作成に挑戦してみた。
・自分の機材(一眼、ビデオカメラ)を買い換えたことにより HD 素材を準備できるよ
うになった。
・地デジ移行に伴って HD テレビが一般的になった。
・家庭用のレコーダーが先行したため、メディアの価格が下がっている。
・PC のさらなる高速化。
・他の人があまりやっていない。
DVD との比較をしてみると
BD のメリット
BD のデメリット
・画質がよい
・普及率が低い
・長時間の収録ができる
・制作の難易度が上がる
・互換性が高い など
・傷に弱い など
といったところが浮かんだ。
実際の編集は高校生活を振り返るように時系列で1年から3年で編集した。各学年の映
像のあとにデジカメで撮ったものをフォトムービーにして入れた。今回は時間がなかった
ので使えそうなものは全部使った。また、自分が撮影したものだけでなく、生徒がスマー
トフォンやデジカメで撮ったデータも提出してもらった。修学旅行中の班別行動の写真な
どおもしろい素材が集まった。最後に、卒業文集の代わりになる一人一言を撮影して収録
した。また、希望者には DVD も配布した。将来的には BD に置き換わるとしても現状では
再生環境のない家庭もある程度あり、結果的にはクラスの半分くらいに渡すことになった。
時間的な制約もあり、新しいことはやらずに今までの卒業記念 DVD と同じことを BD にす
る方針で行った。
作成に使用した主なソフトは、動画編集に「Grass valley EDIUS 5.5」
、フォトムービー
に「AI ソフト デジカメ de!!ムービーシアター3」
、オーサリングに「Pegasys TMPGEnc
Authoring Works 5」である。最初の 2 つは前回までと基本同じである。EDIUS は会社名
がいろいろ変わったがカノープス以来のさくさく編集できるところは気に入っている。ム
ービーシアターはバージョンアップも全くしていないが普通に動作しているので問題ない。
この 2 つについて興味のある方は web にある前回のレポートを見ていただきたい。最後の
Pegasys TMPGEnc Authoring Works 5 であるが、
DVD の時に使っていた TMPGEnc DVD
Author 2.0 の後継ソフトである。エンコーダも持っているので使い勝手はだいぶ向上して
いる。
特徴は
①入力ファイルに応じたスマートレンダリング
②Blu-ray 出力に H.264 エンコーダが使える
③Blu-ray の取り込みからオーサリングできる
④操作が簡単である
といったところである。①は今回 EDIUS から書き出した avi ファイルを使っているので関
係ないが、場合によって使えると思う。②がこのソフトに変更した大きな理由である。1 つ
前のバージョン 4 でも BD は扱えたのだが、codec が mpeg2 のみであった。DVD と同じで
扱いやすいが長時間の記録には向かない。コピーやコストを考えても 1 層で作成したいの
で必須である。ちなみにこのソフトは H.264 の中でも高速で画質がよいといわれている
x264 をエンコーダとして採用している。③は DVD を作るのに大いに役立った。作成した
BD の iso イメージをマウントして取り込むとチャプター情報はすべて保持したまま DVD
ができる。メニューだけもう一度テンプレートからつければ完成である。もしかしたら、
プロジェクトファイルの設定で直接できるのかもしれないのだが、時間がなくて上記の方
法を用いた。パッケージは今回こだわったところである。今まで記録面の影響を考えて常
に黒のケースを作ってきたのだが、BD っぽくしてみたいと考えて市販の BD にも使われて
いるアマレー純正のケースを業者から取り寄せた。上部に BD のロゴが入っていてかっこ
いい。写真では BD1 枚しかメディアを入れていないが、もう片方は DVD を入れるためで
ある。
素材についての感想であるが、DV 時代のテープベースからファイルベースになり、キャ
プチャの分はかなり楽になった。前回 40 本近くの取り込みをしたときには気が遠くなった。
スマフォの普及により、生徒が写真やビデオを提供してくれるようになった。この変化は
かなり大きかった。写真だけであれば以前もデジカメのデータを出してくれる生徒がいた
が、今はほとんどの生徒が自分の端末に何らかの写真を蓄積している。今回は USB メモリ
を出席番号順に回して写真をコピーしてもらった。また、iPhone5 などで HD 動画を撮影
するだけでなく、ソフトを使って加工したものも提供してもらった。シーンのつなぎやエ
ンディングに PinP でいれるなど利用した。上手に使えばよい素材が集まると思う。修学旅
行前などに集めることを告知しておくとよいかもしれない。そのほか、デジカメの解像度
が上がり、HDD の容量を食うのも気になった。バックアップ先をどうするかが今後の問題
になると思う。クラウドストレージの利用を真剣に考えてみたくなった。
編集については、SD の素材を高画質に HD にアップコンバートする手軽なソフトがなく
て困った。編集はそのままできるが、SD と HD が混在した書き出しがどうなるか不安だっ
たので手持ちのソフトで先に変換してから編集した。EDIUS は PC のスペック向上もあり
SD と差はない。ディゾルブや PinP などの基本的なトランジションやエフェクトはリアル
タイムにレンダリングして止まらなかった。ムービーシアターは写真のデータが大きくな
って重さを感じる。Core i7 に 16GB の ram を積んだマシンでも操作を待たされる。ここ
が一番ストレスがたまった。ソフトが 64bit にならないとどうにもならない気がした。ファ
イルの書き出しはムービーシアター、 Authoring Works ともに時間がかかる。これはエン
コードに時間がかかっているので仕方ない。HDD のスピードも関係あると思うが、BD の
オーサリングは DVD の 3 倍はかかった。
Disc については、Disc 単価は 1 層だと DVD:BD=1:2 か 1:3 くらい。前回は DVD3
枚組で 12.1GB 3 時間 57 分、今回は BD1 枚で 22.5GB 3 時間 32 分であった。日本製のパ
ナソニックの 4 倍速の 1 層が 100 円程度なので、信頼性を考えても BD の方が得だと思う。
2 層 DVD はかなり割高で DVD であること以外メリットは全くなかった。書き込みは 1 枚
20 分程度、クラス分だと 13 時間は必要だった。しかし、一人あたり 3 枚焼くことに比べ
れば時間的にも若干早い上、ディスクを入れ替える手間を考えると BD の方が遙かに楽だ
った。もちろん DVD は学校にデュプリケーターがあったり、パソコン室で何台も使ってコ
ピーすれば話は別である。今回の収録時間があればほとんどの場合は大丈夫だろうから、
H.264 を使えば 2 層の BD を使わなくても十分なクオリティのものを作れることはわかっ
た。
全般について、時間がかかること以外、DVD 作成と BD 作成の難易度はさほど変わらな
いことがわかった。かかると言っても 2004 年に初めて DVD を作った頃に比べれば速いと
思う。DVD と BD を見比べるとやはり BD の満足度が高い。リビングの TV(42 インチ)
はもちろん PC のモニター(24 インチ)で見ても明らかにレベルが違うのがわかる。生徒
の評判も上々で、今後作るなら間違いなく BD だと感じた。
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