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Immunogenicity Assessment of Tumor Necrosis
Review Immunogenicity Assessment of Tumor Necrosis Factor Antagonists in the Clinical Laboratory EszterLázár-Molnár, Julio C. Delgado DOI: 10.1373/clinchem.2015.242875 Published September 2016 Clinical Chemistry 2016; 62: 1186-1198 臨床検査室における腫瘍壊死因子アンタゴニストの抗原 性評価 概要 背景:腫瘍壊死因子(TNF)アンタゴニストは、炎症性および自己免疫性疾患の治療にますます使用さ れてきている。 これらの薬の抗原性は多くの患者にとって、治療ミスや治療における悪影響といっ た障害となる。臨床における薬物抗原性の評価には、薬物濃度に関する臨床検査や抗薬物抗体の検 出が含まれる。 内容:本総説では、TNF アンタゴニストの抗原性、および抗薬物抗体反応の測定に現在利用可能な 試験方法の概要を示すが、治療効果を減少させ、治療ミスに繋がる可能性がある。本総説では、 ELISA 法や同種移動度変化分析法を基にした HPLC 法を含む結合分析法や、レポータージーンアッ セイといった機能性細胞ベースアッセイ法などの方法論についてまとめている。更に血清薬物濃度 と同様に、抗薬物抗体反応試験の検査所見を踏まえて、臨床アルゴリズムが文献やガイドラインを 基にした解説のために提示される。それは治療ミスの後に、最適な治療法を決めるための一助とな るかもしれない。 要約:TNF 抑制剤や抗薬物抗体の血清濃度を測定するための臨床検査方法論は、臨床的に有用であ る。これらの方法は治療ミスを示した患者の精密検査のために、根拠に基づき、かつ個別化された 解決策を提示する。この解決策は時間や資源を節約し、患者のケアの改善に寄与する。 炎症や自己免疫・慢性炎症性疾患の病因における腫瘍壊死因子(TNF)2 の中心的な役割により、TNF アンタゴニストは、関節リウマチ(RA)や強直性脊椎炎、乾癬、そしてクローン病(CD)および潰瘍性 大腸炎を含む、炎症性腸疾患(IBD)の治療に革命を起こした(1, 2)。治療の効果は非常に劇的だった ので、TNF アンタゴニストはベストセラーで、最も処方された調合薬に含まれている(3)。ほとんど の患者は臨床症状の劇的な改善が見られることで、これらの薬に好意的になるが、他に多くの患者 は最初の改善効果の後に症状が再発、あるいは進展してしまう (4)。症状を進展させてしまうメカニ ズムは複雑であるが、タンパク質に基づいた TNF アンタゴニストの抗原性が主な要因であると認め られた(5)。抗薬物抗体(ADA)の出現は、薬剤の活性化あるいは不活性化の中和といった、多数のメ カニズムによって治療ミスの一因となる。この総説において、私たちは、臨床的に適切な技術に注 1 目して、治療ミスに結びつく ADA を検出するために、現在用いられている検査室内方法論を示す が、研究室の中でのみ使用される分析法の詳細はここでは示さない(6-9)。 更に、治療効果や患者の安全性を改善するために、合理的な、検査室に基づいたアプローチが、 TNF アンタゴニストの患者の管理を支援するために提供される。個々の患者のニーズに適合し、免 疫薬理学的な根拠に基づいた治療において個別化されたアプローチは、よりよく、より安全で、よ りコスト効率の良い治療を可能にする。 現在臨床で使われている TNF アンタゴニスト 1990 年代初めにおける RA の病因において、炎症性サイトカイン TNF の原因的役割の発見(10)は、 TNF に対する遮断抗体に関する臨床試験によって支持され、RA(11, 12)のため、続いて CD(13)のた めに最初の生物製剤治療の開発に結びついた。 過去数十年間で、いくつかのモノクローナル抗体(mAb)をベースとした TNF アンタゴニストが開発 されている(図 1, 表 1)。これらの分子はすべて遺伝子工学によって設計され、様々な長さの配列の 中にヒト以外の配列が含まれている。インフリキシマブは、マウスの Fab 領域は保存されているが、 分子の残りはヒトの配列と取り替えられているキメラ・マウス/ヒト化抗体である。アダリムマブと ゴリムマブは、いずれもファージディスプレイ法かトランスジェニックマウス技術によって生産さ れたヒトの IgG1 抗体である。主にヒトの配列を含んでいるにもかかわらず、これらの分子は、生産 する細胞[チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞かマウス髄腫細胞]に特徴的な糖鎖形成パターン (ただし、ヒトの糖鎖形成パターンと必ずしも同一でない)といった、内因性タンパク質の構造とは 異なる特徴を示すかもしれず、それが抗原性に寄与しているかもしれない(14)。セルトリズマブペ ゴルは、人間の IgG4κ の Fab 領域にマウス相補性決定領域(CDR)を挿入することで設計されたヒト 化抗体の Fab フラグメントであり、体内循環での半減期を延長させるためにポリエチレングリコー ル(PEG)分子を結合させている。これらの構成物はバクテリアの中で表現されるが、糖鎖形成を欠く。 エタネルセプトは、二量体のヒト IgG1 Fc を融合させた、ヒト TNF タイプ 2 受容体(TNF-R2、p75) の細胞外の部分から構成される分子で、両方のリガンド、TNF およびリンフォトキシン-α を中和す ることができる。 図 1 TNF アンタゴニストは臨床への使用が承認された 2 インフリキシマブは、マウス Fab およびヒト IgG1 定常領域を持つキメラ抗体である。アダリムマブ とゴリムマブは、完全なヒト IgG1 抗体である。セルトリズマブ、マウス CDR 領域を備えた PEG 化されたヒト化抗体の Fab フラグメントである。エタネルセプトは、TNFR2 および IgG1 Fc のキメ ラ的融合タンパク質である。薬剤の結合標的が示されている。LT-α、リンフォトキシン-α。 表 1 臨床で使用される TNF アンタゴニストおよびそれらの構造や薬理学的特性 これらの認可された薬剤に加えて、いくつかの他のものは現在開発中である。臨床試験における次 世代 TNF-α ブロッカー、オゾラリズマブは、ラクダ型単一ドメイン抗体フラグメントをベースとし たナノボディ技術を使用して設計され(15)、低い抗原性を示すと予想される。しかしながら、臨床 研究はこれを確認するために必要だろう。さらに、インフリキシマブに似た生物由来産物、CT-P13 は、米国食品医薬品局(FDA)によって最近承認されており、参照薬のインフリキシマブに似た抗原 性を示すと予想されている(16)。 TNF アンタゴニスト治療における治療ミス 大多数の患者では臨床的寛解を引き起こすため、これらの薬の投与は疾患活動性を低下させるが、 TNF アンタゴニストを用いた治療の試みは多く行われており、何人かの患者においては不十分な反 応に終わるかもしれない。ある患者は、全く反応せず(一次応答失敗)、他の患者は薬の服用量を増 加させた、あるいはより頻繁に投与したにもかかわらず、経時応答がない(二次応答失敗) (4, 17)。 治療ミスのメカニズムは、薬剤関連の抗原性を含む多くの要因や、薬剤の投与量や生物学的利用能 問題、薬物動態学および薬力学を含む治療関連の要因、個々の患者に関連した要因に基づく。また、 TNF の病原性的役割の疾患特異的な差にも起因している (18)。 一次応答失敗 一次応答失敗は、臨床的症状と導入療法中の症状における改善不足として臨床的に定義され、RA および CD 患者の両方を含む TNF アンタゴニストの治療を受けた患者のおよそ 3 分の 1 に生じるこ とが報告された(4)。一次応答失敗の根本的な理由は必ずしも明らかだとは限らない。しかしそれは、 例えば不十分な投薬や患者のコンプライアンスといった抗原性あるいは生物学的利用能のない状態 において、薬の迅速なクリアランスを含んでいるかもしれない。異常な薬物動態以上に、一次治療 ミスの他の原因には、非 TNF 駆動型の疾病メカニズムのような薬力学が含まれている。抗体の生成 3 がある程度の時間(数週間から数か月間)かかるので、抗原性は通常、一次治療ミスに寄与する要因 ではない。 二次応答ミス TNF アンタゴニストによる導入療法中に臨床症状の改善を示した患者が、経時的に反応しなくなり、 投薬量の増加あるいはより頻繁に投薬したにもかかわらず再発を示す場合、二次応答ミスが生じる。 経時的な薬効の消失により、RA と CD の患者の 50%以内が二次応答消失に発展することが示された 17)。二次応答失敗のメカニズムは多様になり得るが、最も一般的な原因は、TNF 抑制剤に対して抗 体反応に至ってしまう抗原性である(5)。ADA は、それを無効化する薬を中和する、あるいは抗原複 合体の形成によってその迅速なクリアランスを引き起こす。 抗原性に加えて、循環および標的組織における不適当な薬物濃度を含む薬物動態的要因といった他 の問題もまた、二次応答消失に寄与するかもしれない。また二次応答消失は、高い疾病活動性の時 期において、薬物クリアランスの加速あるいは消費量の増加に起因する場合がある。炎症過程やサ イトカイン・バランスを著しく変更することができる感染症といった、炎症を引き起こす病理学の メカニズムに影響する薬力学的問題、あるいは他の薬剤との併用は、二次応答失敗および症状の再 発に終わるかもしれない(14)。 TNF アンタゴニストに対する抗原性 外因性のタンパク質を繰り返し注入することは、免疫反応およびタンパク質に対する抗体の産生を 引き起こすことが示された。それは、一般に治療の有効性の減少に関係している(19, 20)。治療のタ ンパク質が免疫系を活性化させる能力は、その「外因性」と関係がある。それが内因性の対照物と より異なるほど、それが免疫性を誘発するという可能性は高い(20)。完全に、ヒト化抗体はファー ジディスプレー技術、あるいはヒト化マウス・モデルを使用することによって現在製造されている。 しかしながら、抗原性はまだ問題がある。 タンパク質の融合部分だけが外部の T 細胞エピトープを 含んでいるかもしれないので、エタネルセプトはモノクローナル抗体ほど抗原性がない(21)。セル トリズマブは抗原提示細胞による TNF/抗体複合体の結合と、取り込みを仲介する Fc フラグメント を欠くので、縮小された免疫性を示すと予想される。しかしながら、さらに臨床研究によってこれ を確認する必要がある。 抗原性のメカニズムは、HLA 分子によって提示されるペプチドへの分裂後に、抗原提示細胞による これらの薬の取り込みに関連する。その後、これらのペプチド-HLA 複合体は T 細胞レセプターに よって認識され、それにより、ペプチドが特定の T 細胞クローンの増殖および伸長を引き起こす。 抗原提示プロセス(つまり免疫原性)の効率は、利用可能なペプチドあるいは治療のタンパク質およ び免疫反応を引き起こす能力で見つけることができる、免疫性 T 細胞エピトープに依存する(22)。 免疫性は、さらに患者の遺伝的背景、主として HLA ハプロタイプ、および免疫原薬派生型ペプチド と様々な HLA 対立遺伝子との間の結合力によって影響を受ける(23)。さらに免疫性を調整すること は、インターロイキン(IL)-10 のような他の免疫の調節遺伝子中の遺伝的変異によって生じるかもし ない(24)。そして重要なことには、抗原に特有の CD4+T 細胞が、T 細胞を同系統の細胞へ分化させ るような炎症性サイトカインを含む抗原に遭遇するような微環境にある (25)。これは興味深いこと に、TNF アンタゴニストで治療された患者たちの自己免疫あるいは慢性炎症の状態に関与している。 それは、これらの薬への全面的な免疫反応に衝撃を与えるかもしれない。1 つのタイプの TNF アン タゴニストに対する抗体ができる患者は、治療を切り替える場合、別のタイプの TNF 抑制剤に対す る抗体ができるより高い危険性を持っている。以前抗インフリキシマブ抗体がある IBD 患者は、ア 4 ダイリズマブに切り替えられた時、以前抗インフリキシマブ抗体を持たない IBD 患者に比べて抗ア ダイリズマブ抗体を産生する傾向が顕著(33%)であった(26)。さらに患者関連の免疫性要因のより進 んだ検討により、治療を始める前に ADA へ進展するリスクの高い患者を潜在的に予言することが できるようになった。 投薬方法などの治療に関連した要因もまた、免疫性に重要な役割を果たす。タンパク質薬剤の高用 量の使用は、免疫寛容を引き起こすことによりその免疫性を減少させるかもしない(27)。延長され た治療時間以上の反復投与は、ADA 発症のリスクを増加させる。静脈内投与は皮下か筋内投与ほど 免疫原でないと一般的に考えられている(28)。ほとんどの TNF 抑制剤は、皮下注射(静脈内に投与さ れたインフリキシマブの例外を含む)の繰り返しによって投与される、それは免疫原のワクチンの投 与に似ている。興味深いことに、TNF アンタゴニスト、およびメトトレキサートのような免疫抑制 薬を使用する併用療法は、しばしば抗体産生の発生率を減少させて、臨床適用を高める(29, 30)。し かしながら、長期的な免疫抑制療法に付随する一般的に関連したリスクのため、リスク対効果評価 法に基づいた、個別的なアプローチが好まれる(31)。 ADA 反応 最近の包括的な調査によれば、インフリキシマブで治療された患者の 25.3%は ADA に発展した(30)。 アダリムマブ(完全なヒト化抗体)は、RA、脊椎関節炎および IBD を併せたコホート患者の 14.1%で、 抗体反応を誘発すると示された(32)。 ADA の中和は、細胞表面の TNF レセプターを介した TNF シグナリングの阻害作用を減少させるか 除去することにより、薬の生物学的作用に直接阻害する能力を有する。これらの抗体は薬剤の TNF への結合を阻害する立体障害を誘発するため、薬のイディオタイプあるいはその近くにある他のサ イトに直接結合するかもしれない。 中和しない抗体は、直接 TNF 結合を阻害しないが、循環から免疫複合体構成までを通して薬のクリ アランスの増強に寄与し、食細胞上の Fc レセプターに結合することにより、治療の効能を減弱させ ているかもしれない(14)。皮下投与の場合には、免疫複合体が注入サイトの近くで生ずるかもしれ ない。それは、標的組織中の生物学的利用能を減少させるため、循環系への薬の吸収を防ぐだろう (33)。 中和効果と中和しない効果の対比に加えて、ADA のアイソタイプは薬物動態および副作用に影響を 及ぼす際に補足的な関連性を有している。IgA、IgM およびわずかな IgE のような他のアイソタイプ が報告されているが、インフリキシマブ特異抗体は主として IgG アイソタイプである(34, 35)。IgG タイプ抗体のうち、IgG1 と IgG4 は、インフリキシマブ(34)とアダイリムマブ(18, 36)の両方にとっ て大変一般的である。IgG4 タイプの抗体の存在は、このサブタイプは抗原に繰り返し暴露すること によって引き起こされることを示す、以前の知見と一致している(37)。IgG 抗体(IgG3 以外)は吸収さ れた後、内皮細胞のエンドソームにおいて、新生児の Fc レセプター(FcRn)に結合することが知られ ている。そこで異化から保護され、再利用されるため、半減期が他の抗体の半減期より著しく長い (38)。さらに、いくつかの IgG サブクラス、そして最も有効な IgG1 は、免疫複合体の構成に対応し、 免疫複合体構成、補体の活性化および Fc レセプターを介した反応といった様々なエフェクター・メ カニズムと相互作用し、引き起こすことができる。それらは薬物動態の変化や、治療における無反 応、副作用の所見を原因となるかもしれない。 5 全体として、ADA は低トラフ値の薬物濃度に関係していて、臨床反応、あるいは臨床の疾病の軽減 を減少し、注入か注射部位の反応の発生率を増加させた(39, 40)。薬の生物活性は ADA が現われる とすぐに、循環系から消失することが示された(9)。 治療ミスの管理 臨床研究では、TNF アンタゴニストの治療ミスは、薬の服用量を増加させるか、同じ薬の投与を継 続する期間の服用の間隔を短くすることにより通常管理される。この経験的アプローチは何人かの 患者に対してはうまくいくかもしれないが、治療最適化中の他の患者に対しては症状が悪化するリ スクがある。もし無反応を持続するならば、最初の薬に対する免疫性が現れることを予想して、患 者は別のタイプの TNF アンタゴニストに通常切り替えられる。2 番目の薬を用いた治療が失敗する 時、治療履歴が TNF を介した治療の道筋が無いことを示唆するため、患者は IL-6 アンタゴニストと いった異なるクラスの生物製剤に変更される。この経験主義の戦略において、TNF アンタゴニスト に対する反応を損なうメカニズムを同定する初期の試みは行われない。 この経験主義の戦略上の合理的・機械的代案は、薬物濃度(すなわち生物活性)を測定し、かつ反応 が損なわれた原因である最も可能性のあるメカニズムに基づいて、最良の治療戦略を選択するため、 ADA を検出するための臨床試験を行うことである。 試験により主導された戦略へ賛同の支持は、臨床適用の差なしで経験的アプローチと比較して、患 者1人当たりの治療コストの平均を著しく下げたことを示す最近の研究に基づいている (41-44)。 血清薬物濃度および ADA を測定する方法 いくつかの方法は、血清 TNF アンタゴニスト薬物濃度の測定、および ADA の検出に対して現在利 用可能である。それは、分析感度と特異性の両方において著しい変化を示している(45-48)。これら のうちのほとんどは固相 ELISA 法(8, 45, 49)や、液相である HPLC モビリティーシフトアッセイ (HMSA) (50)を含む、結合ベースアッセイが主である。さらに、機能細胞ベースのレポータージーン アッセイ(RGA)が開発されており(51)、臨床検査に利用可能である(52)。 分析法開発で最も重要な基準の 1 つは、機能的な活性を有する薬物および ADA の濃度を正確かつ信 頼できる測定をするための分析能力である。そのような分析法を開発する際の困難さは、ADA およ び最も一般に用いられている TNF アンタゴニストの両方が、免疫グロブリンそのものであるという 事実に由来する。さらにそれらは血清から検出され、それ自身が高濃度の内因性免疫グロブリンで あり、リューマチ因子やその内部成長的な免疫グロブリン、および頻繁に高濃度リューマチ因子お よび抗アロタイプ、あるいはヘテロフィリック抗体といった阻害因子を含んでいる(53)。 すべての結合アッセイの欠点は、この情報が治療ミスのメカニズムについてより正確に理解するた めに不可欠だが、それらが機能的な中和および中和しない ADA を識別しないことである。一方、 機能的な分析は、治療において無反応となってしまう薬剤による TNF シグナル経路の阻害を妨害す るような生物活性のある、薬剤中和抗体の検出を考慮に入れている。生物試験が生体内の状況を本 質的により反映するため、治療薬に対する抗体を測定するために機能細胞ベースアッセイが使用さ れることを、FDA のような監督機関が推奨していることへ注目することは重要である(54)。 更に、ADA の検出はさらなる課題を提示している。これはほぼすべて方法に影響するが、治療中に 高濃度の TNF アンタゴニストが血清中に存在することにより引き起こされた薬剤阻害である。遊離 6 ADA が化学量的に薬物濃度を超過する濃度として存在する場合、ほとんどの分析は主に循環系中の 遊離 ADA が検出される(図 2)。継続的な治療中に、薬剤阻害は抗体検出用の分析感度を低下させる かもしれない。それは、総 ADA 存在量の過小評価あるいは偽陰性の結果に帰着するかもしれない。 ADA 検知能力は、分析期間中に変化する。その一部は他のものより妨害をする傾向にある( 図 2)。 薬の存在下において ADA を検出するために開発された、いくつかのより新しい方法があるが(6)、 これらの方法はまだ広く使用されていない。 免疫反応データは、使用された分析の条件や、血液採 取のタイミング (可能であれば、トラフ濃度を使用)のような考えられる要因、そして戦略と特性の 分析において解釈されるべきである。これらの要因が考慮される場合さえ、患者の中で産生された ADA と、異なる検査室で様々な異なる分析法によって検出された ADA 濃度との間に、不一致があ ることを理解することは重要である。 図 2 TNF アンタゴニスト存在下での ADA の検出 ADA の検出は、ほとんどの分析法により遊離型 ADA 検出の可能性が減少したため、使用される分 析法、および血清中の薬物量(免疫複合体を形成しているかもしれない)に依存して、変化する。 HMSA は、薬物阻害に対する感度低下を引き起こす免疫複合体を分離するために酸処理を使用する。 結合法による ADA の検出 ELISA ADA の検出のために最も一般に用いられている分析法は、従来のサンドイッチ ELISA およびブリ ッジング ELISA を含む ELISA 法である。サンドイッチ ELISA は、ADA を補足するために TNF アン タゴニストの Fab あるいは F(ab′) 2 フラグメントをプラスチックに固相化したものを使用する。この 分析法は手頃で使いやすいが、固定化した薬に対して抗体が交差反応による非特異的結合するため、 あるいはプラスチック表面への薬剤分子の集積のため、偽陽性あるいは異常な結果を与える可能性 がある。薬剤分子の凝集は新しいエピトープを生成するか、既存のエピトープを隠すことがある (14)。 ブリッジング ELISA は、主な抗体アイソタイプの二価か多重原子価を利用する、改良された ELISA 方法である(図 3A)。それは固相としてプラスチック上に固定化した薬を使用し、患者血清由来の ADA を補足し、沈降させる。検出抗体を使用する代わりに、酵素でタグ付けした薬が検出に用いら 7 れる。ADA は、IgG の二価により固相化した薬剤と酵素にタグ付けされた薬分子との間に架橋を形 成する。この方法はほとんどのタイプの IgG を検知することができ、使いやすい。しかし、知って おくべきいくつかの欠点がある。偽陽性の結果(図 3A、左パネル)は、阻害抗体あるいは抗イディオ タイプ抗体の存在のために生じる可能性がある。阻害抗体は IgG の Fc 領域に非特異的に結合するこ とで知られているリューマチ因子のような、この分析系に加えられる薬剤分子と交差できる。 薬剤 が血中に高濃度で存在し、ADA と複合体を形成するとき、その薬剤はブリッジング ELISA におい て検出を阻害する(55)ため、偽陰性の結果(図 3A、右パネル)が生じる可能性がある。更に、この方 法は、IgG4 は通常 1 価であり、合成の後に交換されている分子の半分とともに二重特異性である。 さらにブリッジング ELISA においてはそれが見えなくなっているため、この方法では IgG4 アイソ タイプである ADA を検知することができない (36)。 図 3 結合ベースアッセイは、TNF アンタゴニストの抗体を検出するために使用される (A)固相ブリッジング ELISA は、IgG の二価に基づく。IgG はプレートに結合した非ラベル型および 酵素的にラベル化した薬剤分子を架橋できる。薬剤分子と交差結合することができる非特異型抗体 は偽陽性の結果を引き起こすだろう。過剰な薬あるいは IgG4 タイプ ADA の存在は、偽陰性の結果 を引き起こすだろう。(B)HMSA は、ADA に結合したあるいは結合していないラベル化薬剤のクロ マトグラフィー(サイズ排除 HPLC)で分離したあとに、血清に加えられた蛍光ラベル化薬剤分子との 複合体形成によって ADA を検出する。HMSA は、機能的(中和)および機能を持たない ADA を含む 薬剤に結合する、あらゆる抗体を検出する。 HMSA 8 この方法は薬と ADA の両方を測定するために、サイズ排除 HPLC を使用する(図 3B)。また、それ は米国の臨床使用に利用可能である(50)。患者血清中の ADA は、そこに含まれる抗体と結合する (液相結合)ような蛍光ラベル化薬剤を加えることにより検出される。この後に、ADA に結合したあ るいはしていないラベル化薬剤をサイズ排除 HPLC で分離する。 抗原抗体結合が均一な液中で起こるので、凝集や非特異的結合といった固相 ELISA に関連した潜在 的な実験結果を克服することにより、HMSA 法の分析特性が増加すると予想される。ブリッジング ELISA と比較した HMSA 法の別の利点は、IgG4 を含むすべてのアイソタイプおよびすべてのサブ クラスの抗体を検出できることである。ADA 検出中の酸-解離ステップの導入により、薬妨害に対 する HMSA の耐久性は劇的に改善され、60 μg/mL までの血清インフリキシマブがある状態で ADA の検出が可能である(50)。 蛍光ラベル化が必要であるために、この方法は高価である。それは臨床使用を繰り返すことにとっ て制限となるかもしれない。この検査の別の欠点は、中和したあるいは中和しない抗体間を識別す ることに対して無力であることだ。測定法の比較検討が機能テストと平行にテストされた時、イン フリキシマブを投与された患者の中で、HMSA に報告された抗体の大多数(68%)が機能的な活性が なかったことを示した(47)。これらの抗体は薬剤中和作用を欠くかもしれないし、血清中を循環す る薬と複合体を形成することにより、機能的な分析による検出から排除されるかもしれない。ある いは、それらはただ機能を持たない抗体の存在を示す偽陽性の結果かもしれない。また、それは治 療ミスではないかもしれない。 中和した ADA を検出するための機能的な分析 始原細胞に基づいた分析法は、敏感な腫瘍細胞株を殺すという TNF の能力に基づいた(56)。しかし ながら、それらは非常に厄介で、標準化することが難しかったので、これらの分析法は臨床使用に は適さなかった。 最近、細胞を用いた RGA が利用可能になった(51)。それは現在、機能的に活性化した薬剤および中 和抗体を直接検出することを考慮した、臨床使用に利用可能なただ一つの方法である(52)。この方 法は TNF で誘導可能な NF -κB(核内因子 - κB)-制御ホタル・ルシフェラーゼリポータージーン構成 物を運ぶリポーター細胞を使用している。レポーター遺伝子は、TNF が細胞に加えられ、TNF レセ プターに結合したときに起動し、ホタル・ルシフェラーゼの発現を誘導する(図 4)。生存能や細胞数 への影響といった血清マトリクス効果をコントロールするために、このシグナルは同じリポーター 細胞内に運ばれた、本質的に発現したウミシイタケ属ルシフェラーゼで標準化される。薬剤の活性 を測定するために、患者血清は固定量の TNF と混合させ、次に細胞に添加される。薬が存在すれば、 それは TNF の活性を抑制し、レポーター遺伝子の発現を防ぐ。したがって、血清の中にあるインフ リキシマブの量は、細胞によって産生された発光物質の量に逆相関する (図 4A)。 RGA は、TNF で誘導可能なルシフェラーゼ・レポータージーン構成物を運ぶ細胞を使用する。それ は TNF により発現し、発光物質を生成する。(A)、薬剤活性分析のために、血清は TNF と混合され て、細胞とともにインキュベートされる。血清中の薬剤の存在は TNF 活動をブロックし、発光物質 を減少させる。(B)、中和抗体の測定のために同じ分析法が使用されるが、血清サンプルは薬剤とあ らかじめインキュベートされる。中和抗体がない状態では、薬剤は TNF 活性をブロックし、発光物 質がなくなる。中和 ADA が存在する時、外因性の薬剤による TNF 活性抑制が解除され、レポータ ー遺伝子が発現する。また、発光物質も生成される。 9 中和 ADA 検出のために、血清が既知濃度の薬剤とともに最初に前培養され、上に記述されるよう に、分析が行なわれる。血清が中和抗体を含んでいれば、これらの抗体は TNF 誘導性レポータージ ーンの誘導を薬剤が阻害することを防ぎ、発光シグナルを検出できる (図 4B)。血清中の中和抗体の 量は、細胞によって産生された発光物質の量と直接関連する。抗体の量は、現在では血清の連続希 釈法の試験によって、また、インフリキシマブの活性阻害がないことが観察できる最も高い濃度を 同定することで定量されている。インフリキシマブ(57)およびアダリムマブ(58)に対する ADA 標準 品の有効性は、これら標準品が一度取り入れられ、適切に立証され、また既存法に対して関連させ られれば、絶対的な抗体濃度の報告として考慮されるだろう。 図 4 TNF アンタゴニストに対する抗体検出の機能細胞に基づいた RGA 結合分析法とは対照的に、RGA は薬剤の生物活性および ADA の中和活性の直接機能性評価を示し て、TNF の生物活性を測定する。中和 ADA は、薬剤の活性に邪魔をするかあるいは除去する十分 な強さを以って、薬剤分子のイディオタイプを直接あるいは立体障害によってブロックする。薬剤 の活性を直接阻害しない(例えば、Fc 領域のようなイディオタイプ以外の領域に結合する)ような中 和しない ADA は検出されないだろう。RGA が細胞内レベルおよび生体内に近いレベルの TNF シグ ナルといった生物活性を本当に中和し、阻害する抗体を検出するだけなので、このことはなぜ RGA が結合活性 (HMSA) や RIA ほど感度が低いのかを説明している (47)。機能的に活性のある、中和抗 体を直接検出することは、なぜ治療が何人かで失敗し、それ以外ではそうでないのかをより直接理 解することを示してくれる。例えば、HMSA のような結合に基づいた方法だけによって検出された、 結合しているが中和していない抗体は一時的かもしれないし、あるいは生体内で薬剤の生物活性を 10 直接阻害しないため、治療反応に影響を及ぼさないかもしれない(59)。しかしながら、中和しない 抗体は、まだ免疫複合体の構成や、単核食細胞系による薬の除去のような他のメカニズムによって、 薬の薬物動態を変更するかもしれない(17)。ひとつには特定の分析が広く利用可能ではなかったの で、治療の反応がないこれらの異なるタイプの抗体の個別の寄与は、よく特徴づけられない。機能 性試験に加えた結合アッセイを組み合わせた使用は、治療ミスにおける中和、あるいは中和しない 抗体の両方の役割を明確にするために必要なツールを提供する。 分析法の性質により、RGA は血清中の TNF-α 阻害物質の存在が、薬剤活性測定に対する干渉を引き 起こすため、TNF 活性を測定している。他の分析法でのように、RGA による ADA の検出は薬物阻 害に対して敏感である。また血清中の薬剤量を増加させると、検出された ADA の力価が減少して いた(52)。したがって、薬物濃度が最低(トラフ値)の場合、ADA に関してテストするべき、推奨さ れた方法に従うことが重要である。 TNF 抑制剤を測定するための別の細胞に基づいた方法は、研究用として記述された。それは、TNF 刺激された繊維肉腫細胞系から分泌された IL-6 の測定に基づいている(58)。しかしながら、このテ ストは所要時間が非常に長く、そのため恐らく臨床検査室では使用されにくいだろう。 TNF アンタゴニスト測定のための LC-MS/MS 法の適用 薬剤と ADA の両方を測定するために使用される結合および機能的な分析法に加えて、追加の新し い方法が、臨床応用可能な LC-MS/MS といった薬物濃度のみを定量するために最近確立された (60)。 その方法は、最初はキメラ免疫グロブリンであった H 鎖および L 鎖可変領域から、トリプシン消化 によって得られたクローン型のペプチドの使用に基づき、その後、LC-MS/MS を使用して定量され る。この方法の課題は、ヒト血清中にある内因性の免疫グロブリンの広大なレパートリーからトリ プシン分解したペプチドを判別することができることにある。それはインフリキシマブのようなキ メラ抗体にとってはより簡単であるが、アダリムマブのような完全ヒト化抗体にとってはより検証 されるべきである。この方法の別の不利な点は報告された ELISA 法と比較して、検出限界がより高 い。にもかかわらず、この方法は血清中のインフリキシマブの臨床的に著しい濃度を区別すること に分析的に十分な感度を持ち、HMSA 方法に匹敵する(50)。 TNF アンタゴニストのためのほとんどの分析法は、主に遊離型の薬剤(ADA と複合体を形成してい ない)を測定するためだと考えられているが、この方法において使用されるトリプシン消化ステップ は遊離型か免疫複合体と結合しているのいずれにもかかわらず、総インフリキシマブ量の測定を考 慮に入れている(50)。 TNF アンタゴニスト治療における測定法ガイド戦略 経験的な投与量増加と比較して、TNF アンタゴニスト治療ミスを調節する際に、試験法ガイド戦略 の使用は患者 1 人当たりの治療コストを著しく下げる(43, 44, 61)。試験に基づいた戦略は、コスト 効率が良いだけでなく、一方で治療が患者の個々のニーズに合わせ、効果的な治療において普遍的 で、類似的で、遅れを減らすことよりも個別化して提供することが考えられている (45) 患者は、臨床基準を使用して、疾病活動をモニタリングすることにより現在評価されている。また、 TNF アンタゴニストのモニタリングは、型通りの臨床的ケアの一部ではない。 しかしながら、これ らの薬剤およびそれらの認識された抗原性の可能性に対して高頻度で反応が失われると、薬物濃度 を測定し、かつ ADA を検出する検査法は、患者管理にますます役立つ。 11 治療ミスに対する精密検査は、患者が次の投薬を受け取る前にトラフ値の血清薬物濃度を正確に測 定することを含んでいる。慣習は検査室間で変わる。いくつかの検査室は薬剤および ADA の両方 を同時に測定し、次に、患者がその ADA 検査に反映される。その一方で薬剤が検出できないか、 非常に低い場合、他の検査室では、反映検査としてそれらを提示する。 2 つのテストの結果および 治療ミスの臨床的状況の中で、異なる管理戦略を要求する 4 つの異なるシナリオが生じるかもしれ ない(図. 5)。このアルゴリズムは数人の研究者によって提案され (4, 14, 41, 45, 47, 62)、インフリ キシマブで治療された CD 患者の臨床試験に反映された(43)。 図 5 臨床試験を理解するために提案されたアルゴリズムは、患者が TNF アンタゴニストに対する 治療へ無反応を示すことになる TNF アンタゴニストに反応しなくなった患者は、4 つのシナリオに従う。薬剤と ADA に対する血清 トラフ濃度は、薬剤と ADA に対する既定のカットオフ値を用いて臨床的に有効な方法で測定され る。 試験結果に基づいた 1 つのシナリオは、患者が治療に適合しているにもかかわらず、薬剤と ADA と がトラフ値の検出レベル未満であることである。この患者のグループにおいて反応失敗は、おそら く生物学的利用能あるいは薬物動態の問題を含む抗体以外が関与しているだろう。したがって、そ の推奨案は、臨床反応の再評価を受けて服用量の増加、あるいは服用量間隔を短くすることにより、 同じ TNF アンタゴニストを使用して治療を強めることである。 第 2 のシナリオは、薬剤が検出できないが ADA は存在する時、薬物濃度の減少を受けても ADA が 生成することの臨床的エビデンスを提供するために、連続測定により正確に確認することだ。この 持続的な治療ミスの状況において、抗体は通常特効薬であるため、推奨案は、これらの患者がもう 一方の TNF アンタゴニストに切り替えられることだ。 第 3 のシナリオは、患者が治療の範囲において検出できる薬物濃度、あるいはより高い濃度が検出 されない ADA を有するが、治療に対してまだ反応しないときである。この患者グループにおいて、 治療ミスが持続する場合、推奨案は臨床症状を再評価し、治療ミスに対して他の非炎症性の原因を 除外することである。異なる炎症性のメディエーター(例えば IL-6)をターゲットとする別のクラス の生物製剤へ切り替えることは有用かもしれない。 12 最後に、第 4 および最もまれなシナリオは、薬剤と ADA の両方が血清中で検出される時である。こ の場合その推奨案は、偽陽性の結果を除外するために検査を繰り返すことである。機能を持たない 抗体を含めて、すべての抗体を検出する結合ベースアッセイを使用して ADA 濃度が測定される場 合、このシナリオの結果が主に生じると予想される。検査結果にバイアスをかける要因は、一時的 な抗体と低い結合活性を生じることや、薬剤による過剰な抗体の中和 (ウィンドウ現象)、 血清アル ブミン濃度による変化、そして FcRn サルベージ活性を含んでいる(47)。このグループの患者は、中 和抗体が存在するために機能的な検査から恩恵を受けるだろう。反復試験の結果が同じで、反応失 敗が継続すれば、別のタイプの治療へ切り替えることは、前のシナリオで述べたように、有効だろ う。 現在、TNF アンタゴニストおよび ADA の測定は、薬剤のモニタリングのためではなく、治療ミス に発展する患者の管理のために主としておこなわれている。有望な無作為化研究は、これらの分析 法を使用して、薬物治療モニタリングのための適切な測定間隔および臨床のカットオフレベルを確 立するのに必要である。 要約および将来の方向性 TNF アンタゴニストは、RA や IBD そしてそれ以外を含む慢性炎症性疾患の治療のために世界的に 有効で、使用される重要なクラスの生物製剤である。これらの抗体に基づいた薬の免疫原性は、多 くの患者の中で治療の非反応性に結びつくことができる重要な問題点を有している。ADA は血清薬 物濃度の減少や、治療効能の減弱、および超過敏反応と免疫複合体病のような悪影響に関係してい る。インフリキシマブあるいはアダリムマブで治療された患者の 40%以上は敏感になり、抗体がで きる(63)。ADA のための検査は、FDA と欧州医薬品庁を含む規制機関によって、すべての新しい生 物治療学のマーケティングに必要である(64-66)。それは薬剤免疫性に対する個々の患者をモニター する重要性を支持している。 バイオ調合薬剤の役割が増加することを受けて、ADA のための臨床 試験が他のタンパク質に基づいた治療薬まで同様に延長されることが期待される。 現在、TNF アンタゴニスト濃度および ADA のために検査することが、治療ミスの背景において推 奨されている。利用可能な臨床試験の概念および制限の理解は、検査結果の正確な解釈にとって重 要である。生体内の状況をより非常によく模倣するため、TNF アンタゴニストと ADA の生物活性 を報告する分析法は、非常に意味がある。 結合アッセイは、中和抗体および非中和抗体の両方を検 出するため、ADA の存在を過剰に示すかもしれない。その結果、生体内の治療ミスに結びつくかも しれないし、そうでもないかもしれない。 主なタイプの TNF アンタゴニストおよび ADA のための臨床検査の有効性とともに、患者個人の活 性薬物濃度および循環抗体のモニタリングは、恐らく型通りの臨床検査の一部になるだろう 経験的な投与量増加と比較してこれらのエビデンスの増加は、検査法ガイド戦略の使用が患者 1 人 当たりの治療コストを著しく下げ、有効な治療の遅れを減少させることを示唆している。患者それ ぞれがニーズに対して適切に治療されること対して、個別化されたアプローチを実行することは、 コストのかかる普遍的アプローチや TNF アンタゴニストを広く使用するよりも安全で、安価、そし てより効果的な治療戦略にとって不可欠である。 (訳者:津久井 隆行) 13 Acknowledgments The authors acknowledge the expert help of Mary Paul in preparing the graphics for the 図 ures. 2 Nonstandard abbreviations:Footnotes TNF, tumor necrosis factor; RA, rheumatoid arthritis; IBD, inflammatory bowel disease; CD, Crohn disease; ADA, antidrug antibody; mAb, monoclonal antibody; CHO, Chinese hamster ovary; CDR, complementarity determining region; PEG, polyethylene glycol; TNF-R2, TNF type 2 receptor; FDA, US Food and Drug Administration; FcRn, neonatal Fc receptor; HMSA, homogenous mobility shift assay; RGA, reporter gene assay. Author Contributions:All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of this paper and have met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the conception and design, acquisition of data, or analysis and interpretation of data; (b) drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final approval of the published article. Authors' Disclosures or Potential Conflicts of Interest:No authors declared any potential conflicts of interest. Received for publication March 29, 2016. Accepted for publication May 23, 2016. 14 © 2016 American Association for Clinical Chemistry References 1. Smolen JS, Emery P. Infliximab: 12 years of experience. Arthritis Res Ther 2011;13(Suppl 1):S2. 2. Talley NJ, Abreu MT, Achkar JP, Bernstein CN, Dubinsky MC, Hanauer SB, et al. An evidence-based systematic review on medical therapies for inflammatory bowel disease. Am J Gastroenterol 2011; 106(Suppl 1):S2–25. 3. 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