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医療・介護省(庁)新設案 渡辺 恒雄
渡辺委員提出資料 医療・介護省(庁)新設案 渡辺 恒雄 〈 概 要 〉 現 厚 労 省 を 分 割 し 、「 雇 用 ・ 年 金 省 」 と 「 医 療 ・ 介 護 省 ( 庁 )」 に 分 割 し 、 社 会 保 障 行 政 の 効 率 化 を は か り 、 国 民 に 行 政 責 任 の 所 在 を 明 示 し 、も っ て 、安 心 社 会 確 立 に 関 す る 政 府 の 施 策に対し国民への周知をはかる。 〈 理 由 〉 厚 生 省 は 、 一 九 三 八 年( 昭 和 一 三 年 ) に 旧 内 務 省 か ら 独 立 し 、社 会 福 祉 ・ 公 衆 衛 生 担 当 官 庁 と し て 設 置 さ れ 、戦 後 は 一 時 、旧 軍 人 の 復 員 、残 務 整 理 に 当 た っ た 後 、外 局 に 社 会 保 険 庁 を お く な ど 、業 務 を 膨 張 さ せ た 。二 〇 〇 一 年 の 橋 本 行 革 で 労 働 省 と 統 合 さ れ 、厚 生 労 働 省 と な っ た 結 果 行 政 官 庁 と し て 極 度 に 肥 大 化 し 、現 在 で は 、文 科 、国 交 、防 衛 各 省 予 算 の 三 倍 前 後 の 二 十 数 兆 円の予算を執行する巨大官庁となっている。 労働省は、旧内務省社会局が厚生省に編入されていたものが、 一 九 四 七 年 に 内 務 省 解 体 と 並 行 し て 厚 生 省 か ら 分 離 独 立 し た 。し か し 、実 態 は 労 政 局 及 び 組 合 課 が 主 流 で あ っ た よ う に 、終 戦 後 の 過 激 化 し た 総 評 、産 別 等 の 大 労 働 組 合 に 対 処 す る こ と が 主 任 務 で あった。 橋 本 龍 太 郎 内 閣 の 行 革 会 議 で 、か な り 強 引 に 厚 生・労 働 二 省 が 合 併 し 、( 当 時 渡 辺 は 行 革 会 議 委 員 で あ っ た ) 年 を 追 っ て 財 政 支 出も急増した。 以 上 の 経 過 か ら 、 今 日 厚 労 省 は 、「 医 政 局 」「 健 康 局 」「 医 薬 食 品 局 」の よ う な 医 療 部 門 、 「 社 会・援 護 局 」 「 老 健 局 」の よ う な 福 祉 ・ 介 護 部 門 、「 保 険 局 」「 年 金 局 」 の よ う な 保 険 ・ 年 金 部 門 や 、 か な り 性 格 を 異 に す る「 労 働 基 準 局 」 「職業安定局」 「職業能力開 発 局 」「 雇 用 均 等 ・ 児 童 家 庭 局 」 等 の 各 局 が 林 立 し 、 さ ら に 行 政 効 率 上 き わ め て 問 題 の あ る「 社 会 保 険 庁 」を 外 局 に か か え て い た 。 こ の た め 、厚 労 大 臣 の 所 管 範 囲 は き わ め て 広 大 で 、一 大 臣 で 統 治するのには無理が多すぎると考える。 一方、医療行政は、ナショナル センター、国立病院、及び私 立 病 院 、開 業 医 等 を 所 管 し な が ら 、医 科 大 学 や 大 学 医 学 部 附 属 病 1 ・ 院 等 は 文 科 省 高 等 教 育 局 の 「 医 学 教 育 課 」( 課 長 は 厚 労 省 よ り 出 向 ) が 所 管 し て い る 。 し た が っ て 、 医 療 機 関 も 大 学 病 院 は 、厚 労 省 と 別 個 に 、 文 科 省 に 監 督 、予 算 査 定 さ れ て お り 、こ こ に も 、 病 院 勤 務 医 と 開 業 医 の 待 遇 格 差 や 、医 療 科 目 別 配 置 の 困 難 さ の 因 が 存 在 し て い る 。ま た 厚 労 次 官 は 、旧 厚 生 省 、旧 労 働 省 か ら 交 互 に タスキガケで任用されてきたのも行革合併の不自然さを示す。 〈 解 決 案 〉 医 療 政 策 は 、厚 労 、 文 科 省 よ り 独 立 し て 一 本 化 し 、 医 療 省 の 所 管 と す る 。次 善 の 案 と し て 右 二 省 の 何 れ か の 省 の 外 局 の 庁とする。 さらに、介護は現在厚労省の老健局が担当しているが、老健、 特養等の介護施設は、医療(医師、看護師、作業・理学療法士) と の 関 係 が 深 い の で 、厚 労 省 か ら 分 割 し て 、医 療 省( 庁 )も し く は 医 療 介 護 省 ( 庁 )の 所 管 と す る 。 外 局 の 庁 に す る 場 合 で も 、担 当 大 臣 を お く べ き で あ る 。な お 、中 医 協 は 、政 治 や 圧 力 団 体 の 影 響をできるだけ排除するよう構成を改めることとする。 現 在 の 厚 労 省 は 、「 雇 用 ・ 年 金 省 」 と 改 称 し 、 旧 労 働 省 の 業 務 及 び 年 金・保 険 行 政 を 所 管 す る こ と と す る 。戦 後 初 期 の 労 働 行 政 は 労 組 対 策 で あ っ た が 、現 在 必 要 と さ れ て い る の は 、雇 用 対 策 が 中心であることを考慮する。 〈 メ リ ッ ト 〉 現 在 社 会 保 障 行 政 が 、膨 大 な 規 模 の 予 算 と 事 務 を 管 掌 す る 厚 労 省 一 省 に 委 ね ら れ て い る 結 果 、国 民 か ら み る と 、必 要 な 立 法 や 行 政 事 務 の 責 任 等 が 一 見 し て 明 瞭 で な く 、大 臣 の 監 督 権 も 弱 体 化 し て い た た め 社 会 保 険 庁 の 不 祥 事 を 起 こ し 、国 民 の 年 金行政、ひいては社会保障制度への不信感を爆発させた。また、 国 会 答 弁 に 当 た る 厚 労 大 臣 も 所 管 事 項 が 多 す ぎ て 、今 後 大 臣 選 考 に当たっても困難を伴うと思う。 雇 用 ・ 年 金 省 と 医 療 ・ 介 護 省 ( 庁 )に 再 分 割 し 、そ れ ぞ れ 有 力 で 専 門 知 識 と 経 験 の あ る 大 臣 を 任 命 し 、国 民 に と っ て も 社 会 保 障 行 政 が 、内 閣 構 成 上 も 強 化 さ れ た と い う 印 象 を 持 て ば 、過 去 の 年 金 問 題 を め ぐ る 社 保 庁 の 失 点 以 来 、信 を 失 い か け た 社 会 福 祉 行 政 に希望が生まれることになると考える。 二 十 数 兆 円 に の ぼ る 巨 額 な 予 算 を 、一 省 に の み 委 ね て い る の は 不 自 然 で あ り 、現 在 安 心 社 会 へ の 大 き な 障 壁 と な っ て い る 医 療 ・ 2 介 護 及 び 年 金・雇 用 問 題 を 専 管 す る 二 つ の 新 官 庁 と 二 人 の 担 当 大 臣 を 置 い て 、国 民 と の 接 点 を 広 げ る こ と は 、国 政 上 き わ め て プ ラ スとなる。 3 ◎ 医療行政所管官庁一覧 ◎ 文部科学省 ▽生涯学習政策局 生涯学習推進課 専修学校教育振興室 ▽科学技術・学術政策局 調査調整課 調整企画室 競争的資金調整室 ▽研究振興局 学術研究助成課 ライフサイエンス課 生命倫理・安全対策室 先端医科学研究企画官 ゲノム研究企画調整官 生命科学専門官 橋渡し研究専門官 ▽高等教育局 医学教育課 大学病院支援室 病院支援専門官 救急医療専門官 エイズ・感染症医療専門官 卒後臨床教育推進専門官 臨床研究推進専門官 薬学教育専門官 看護教育専門官 介護福祉人材育成専門官 がん医療人材育成専門官 国立大学法人支援課 専門教育課 私学助成課 厚生労働省 ▽大臣官房 地方課 厚生科学課 ▽医政局 総務課 政策医療課(旧国立病院課) 国立病院機構管理室 高度・専門医療指導官 指導課 医師確保等地域医療対策室 医事課長 試験免許室長 医師臨床研修推進室 歯科保健課 看護課 看護職員確保対策官 経済課長 医療機器政策室長 医療関連サービス室長 首席流通指導官 研究開発振興課 治験推進室 ▽健康局 総務課 生活習慣病対策室 疾病対策課 臓器移植対策室 結核感染症課 ▽医薬食品局 総務課 薬事企画官 審査管理課 医療機器審査管理室 血液対策課 ▽老健局 総務課 介護保険指導室 介護保険課 計画課 認知症・虐待防止対策推進室 振興課 老人保健課 ▽保険局 総務課 保険システム高度化推進室 医療費適正化対策推進室 社会保険審査調整室 保険課 国民健康保険課 高齢者医療課 医療課 歯科医療管理官 保険医療企画調査室 医療指導監査室 薬剤管理官 調査課 数理企画官 □その他機関 国立病院機構 国立高度医療センター 国立保健医療科学院 国立感染症研究所 検疫所 国立ハンセン病療養所 地方厚生局 総務省 ▽自治財政局 公営企業課 経済産業省 ▽商務情報政策局 医療・福祉機器産業室 内閣府沖縄総合事務局 環境省 ▽大臣官房 廃棄物・リサイクル対策部 ▽総合環境政策局 環境保健部 ① 医師養成制度において、卒前教育および大学院は文部科学省、 卒後は厚生労働省が所管する。 ② 救急医療において、救急搬送は消防庁(総務省)、救急医療本体 は厚生労働省が所管する。 ③ 自治体病院については、総務省と厚生労働省とが関与する。 ④ 製薬企業・医療機器産業については、厚生労働省と経済産業省 とが関与する。