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発行 - 裁判所
最高裁判 私たちの生活と裁判所 私たちは,毎日,社会生活のルールに従って生活し ています。そのようなルールとしては,国民の代表者 によって作られる法律や個人の間での取り決めである けいやく 契約などがあります。しかし,ルールを作っても,守 られなければ何にもなりません。ルールが守られない ふんそう ことによって生じる紛争を公平適正に解決する役割を 果たしているのが裁判所です。 1 所大法廷 平成 26 年 6 月撮影 き そ また,裁判所は,罪を犯した疑いで起訴された人に ついて,適切な手続に従って,有罪か無罪か,有罪の けいばつ ときにどのような刑罰を科すべきかを決定します。 このように,裁判所は,公平な裁判を通して,不法 しんがい な侵害から私たちの権利と自由を守り,社会の正義を 実現しているのです。 2 わが国の裁判所制度 日本国憲法の制定 日本国憲法は,昭和 21 年 11 月 3 日に公布され,翌 22 年 5 月 3 日から施行されました。 日本国憲法では,基本的人権の尊重と国民主権の原 則のもとに,三権分立制度が確立され,裁判所は,国 会や内閣から完全に独立した司法権の主体となりまし た。さらに,裁判所には,法律等が憲法に違反してい るかどうかを判断する違憲審査権が与えられました。 三権分立 三権分立制度とは,国の立法権,行政権,司法権を それぞれ独立した機関に分け与えることによって,一 らんよう つの機関に権力が集中して,濫用されるおそれをなく すための仕組みのことです。 裁判 審査 権 三審制 弾劾 内 閣 (行政) 国 民 裁 政 行 選 挙 憲 の違 法律 衆 行政 議院 権行 の解 使に 散 国政 つい 国会 調査 ての の召 首 連帯 集 相指 責任 名 内閣 不信 任決 議 国 会 (立法) 国 民 命令・規則・処分の違憲審査権 最高裁判所長官の指名 その他の裁判官の任命 判 審 査 裁判所 (司法) 裁判所には,最高裁判所,高等裁判所,地方裁判所, 家庭裁判所,簡易裁判所の5種類があり,役割分担が されています。 事件の内容によって,簡易裁判所か地方裁判所ある いは家庭裁判所で最初の裁判(第一審)が行われます。 その裁判に納得がいかないときは,上級の裁判所に不 服を申し立てることができます(第二審)。その裁判 に憲法の違反があるときなどには,さらに上級の裁判 所に不服を申し立てることができます(第三審)。最 高裁判所は,終審の裁判所ですから,その裁判は最終 のものとなります。 3 裁判所の種類 小法廷(3) 大法廷(1) (15人の合議制) (各5人の合議制) 最高裁判所 高等裁判所の裁判に対してされた不服申 立て(上告等)を取り扱う最上級,最終 の裁判所です。 告 告 上 上 告 特別抗告・再抗告 上 高等裁判所 (3人の合議制) 【本庁8(支部6)】 地方裁判所,家庭裁判所,簡易 東京(※知的財産), 大阪, 裁判所の裁判に対してされた こうそ 名古屋(金沢), 広島(岡山・ 不服申立て(控訴等)を取り扱 います。 松江), 福岡(宮崎・那覇), 仙台(秋田), 札幌, 高松 ※知的財産高等裁判所は,東京高等 裁判所の特別の支部として設けら れています。 訴 人事訴訟 控 家事・少年 事 こく 刑 訴 告 控 告 こう 上 訴 抗 控 家庭裁判所 地方裁判所 (1人制または3人の合議制) ※裁判員裁判では,原則裁判官3人, 裁判員6人の合議制 (1人制または3人の合議制) 【本庁 50】 家事事件,少年 民事事件,刑事 都道府県庁のあ 事件,人事訴訟 都道府県庁のあ 事件の第一審を る47か所のほか 事件などを取り る47か所のほか 簡易裁判所と分 函館,旭川,釧 扱います。 函 館 ,旭 川 ,釧 担して取り扱い 路の3か所 路の3か所 ます。 【支 部 203】 【出張所 77】 【本庁 50】 【支部 203】 民 訴 事 こう 控 そ 簡易裁判所 (1人制) 【438】 争いとなっている金額が比較的少額の民事事件と 比較的軽い罪の刑事事件のほか,民事調停も取り 扱います。 4 いろいろな裁判 民事裁判・民事調停 貸したお金を返してくれないなど私たちの日常生活 に起こる法律上の争いを判断して,解決するのが民事 裁判です。 うった 民事裁判は訴えの提起により開始します。訴えた方 を原告,訴えられた方を被告といい,代理人を選任す ほ うて い ることができます。裁判官が,法廷で,双方の言い分 しょう こ を確かめ,証拠を調べた上で,法律に照らし判決を言 い渡すほか,双方が合意して和解することもあります。 ゆず また,お互いに譲り合って円満解決するために裁判 官と調停委員のあっせんで,話合いによる争いの解決 を図る「民事調停」という非公開の手続もあります。 民事単独法廷 1 裁判官 2 裁判所書記官 3 裁判所事務官 4 原告代理人 5 被告代理人 民事裁判では,裁判 官と当事者がだ円形の テーブルを囲んで着席 することのできる「ラウ ンドテーブル法廷」も 利用することができま す。裁判官も当事者も, お互いにリラックスし ふん い き た雰囲気で話をするこ とができます。 ラウンドテーブル法廷 5 また,簡易裁判所では,60万円以下のお金の支払を求 める少額訴訟という手続があります。これは,当事者に とってなるべく少ない負担で早く簡易にトラブルを解決 することを目的とした手続で,原則として,1回の期日 で審理を終え,すぐに判決を言い渡すこととされていま す。この手続では,よくラウンドテーブル法廷が使用さ れています。 行政訴訟 民事裁判の-種に,行政訴訟があります。行政訴訟 は,国や地方公共団体などの行政機関が法律に違反す そこ ることをして,国民の権利を損なった場合などに,そ の誤りを正すための裁判手続です。 民事裁判の手続の流れ ふ ん そう 紛争の発生 訴状の提出 訴状の送達 口頭弁論期日の指定・呼出し 答弁書の提出 原告の請求内容・ ちんじゅつ 被告の答弁・主張の 主張の陳述(訴状) 陳述(答弁書) 争点・証拠の整理 かんこく 和 解 勧 告 集中証拠調べ 和解不成立 弁 論 終 結 和 解 成 立 判決言渡し 6 刑事裁判 どろぼう ぬす 例えば,どこかの家に泥棒が入り,お金や物を盗ん で家の人にけがをさせたとしましょう。警察官は,こ そう さ うした犯罪を捜査し,ある人を犯人だと判断すると, しょ ばつ 検察官に報告します。検察官は,さらに捜査し,処罰 を求める必要があるということになれば,その人を裁 き そ 判所に起訴します(公訴の提起)。 ひ こく にん 裁判所では,検察官と起訴された人(被告人)やこ れを弁護する弁護人の言い分をよく確かめ,それぞれ しょう こ の側から出された証拠を調べ,被告人が本当に犯人で あるかどうかを判断します。犯人ではないと判断した 場合,あるいは,犯人であるとの確信を持てない場合, 被告人に無罪の判決を言い渡しますが,犯人に間違い ないということになれば,被告人に有罪の判決をし, 刑を言い渡します。 ひ がい しゃ なお,平成 20 年 12 月1日から被害者参加制度が始 まりました。 さつじん 被害者参加制度とは,殺人や性犯罪などの被害者や その遺族等が,裁判所の許可を得て,公判期日に出席 したり,自ら被告人に質問したりして刑事裁判に参加 する制度です。 1 6 4 1 2 1 3 7 刑事合議法廷 1 裁判官 2 裁判所書記官 3 裁判所速記官 4 裁判所事務官 5 検察官 6 弁護人 7 被告人 7 5 刑事裁判の手続の流れ 事件発生 検察官の公訴提起(起訴) 公判前整理手続 争点及び証拠の整理 審理予定の策定 (裁判員裁判では,必ず行う。) 裁判員等選任手続 (裁判員裁判) 冒頭手続 じん てい 人定質問 ろう どく 検察官の起訴状朗読 もく ひ 黙秘権の告知 被告人,弁護人の 被告事件についての陳述 証拠調手続 ぼう とうちんじゅつ 冒頭陳述 りっしょう 犯罪事実に関する立証 (検察官,被告人・弁護人) じょうじょう 情状に関する立証 被告人質問 弁論手続 ろんこく 検察官の論告・求刑 弁護人の弁論 被告人の最終陳述 弁論終結 評議(最終評議) 評決 判決の宣告 8 裁判員制度 平成 21 年 5 月 21 日に裁判員制度がスタートしま した。裁判員制度は,国民のみなさんに地方裁判所の ひ こく にん 刑事裁判に参加してもらい,被告人が有罪か無罪か, 有罪の場合どのような刑にするかを裁判官と一緒に決 めてもらう制度です。 裁判員の選ばれ方 20歳以上で選挙権のある人の中から,翌年の裁判員 候補者となる人を毎年くじで選び,地方裁判所ごとに めい ぼ 裁判員候補者名簿を作ります。この名簿に載った方に は,名簿記載通知とともに,1年を通じて裁判員にな れない事情などを尋ねるための調査票が送られます。 ↓ 事件ごとに,名簿の中からさらにくじでその事件の 裁判員候補者を選びます。選ばれた方には,「選任手 続期日のお知らせ」とともに,辞退希望等の有無など を確認するための質問票が送られます。 ↓ ひ がい しゃ 裁判長から,被告人や被害者と関係がないかどうか, 不公平な裁判をするおそれがないかどうか,辞退希望 の理由などについて質問されます。 ↓ 辞退などが認められなかった方の中から最終的にく じにより裁判員が選ばれます。 裁判員裁判の様子 9 裁判員がすること 公判に立ち会う ほうてい しょう こ 法廷で証人の話を聞いたり,証拠を調べたりします。 ひょう ぎ ひょうけつ 評議・評決 裁判員と裁判官が一緒に話し合い,有罪・無罪や刑 の内容を決めます。 判決宣告に立ち会う 裁判長が判決を言い渡す際に立ち会います。 評決の様子(広報用映画「裁判員」より) 裁判員裁判の対象となる事件 代表的なものをあげると,次のようなものがあります。 さつ じん ・人を殺した場合(殺人) ごう とう ・強盗が,人にけがをさせ,あるいは,死亡させてし ごう とう ち し しょう まった場合(強盗致死傷) ・人に暴力をふるうなどしてけがをさせ,その結果死 しょうがい ち し 亡させてしまった場合 (傷害致死) ・ひどく酒に酔った状態で,自動車を運転して人をひ き けん うん てん ち し き,死亡させてしまった場合(危険運転致死) げん じゅう けん ぞう ぶつ とう ほう か ・人の住む家に放火した場合(現住建造物等放火) ゆう かい み しろ きん み しろ ・身の代金を取る目的で,人を誘拐した場合(身の代 きん もく てき ゆう かい 金目的誘拐) ほう ち ・親が子供に食事を与えず,放置したため死亡してし ほ ご せき にん しゃ い き ち し まった場合(保護責任者遺棄致死) かく ざい みつ ゆ にゅう ・財産上の利益を得る目的で覚せい剤を密輸入した場 かく ざい とり しまり ほう い はん 合(覚せい剤取締法違反) 10 家事審判・家事調停・人事訴訟 家事審判・家事調停は,夫婦や親子関係などの争いを 解決する手続です。このような争いの解決には,特に打 ふん い き ち解けた雰囲気の中で,できる限り他人には知られない ように手続が進められることが大切ですから,家庭裁判 なご 所において,非公開の手続で和やかに行われます。 えんぐみ 審判では,未成年者の養子縁組の許可や後見人の選任 というような事件について,裁判官が事情を調べて適切 り こん よう いく ひ い さん ぶん かつ な判断を下します。離婚,養育費,遺産分割のような夫 婦や親族間の問題は,主として調停が行われ,裁判官(又 は調停官)や調停委員が当事者や関係者の言い分をよく 聴き,事情を調べた上,納得のいく,公平で妥当な解決 ができるようあっせんします。 調停で解決できなか った場合,養育費や遺 産分割などについては 審判手続に移り,離婚 などについては人事訴 訟を起こすことになり ます。人事訴訟は,民 家事調停 事 裁 判 の 一 種 で す が, 1 裁判官(又は調停官)2 調停委員 家庭裁判所が取り扱 3 家庭裁判所調査官 い,参与員や家庭裁判 4 裁判所書記官 5 当事者 家事事件の手続の流れ ふんそう 紛争の発生・家事手続案内 申立て 調停手続 審判手続 調査 家庭裁判所 審判・告知 調査 調停成立等 調停不成立 こうこく 即時抗告 審判手続 確 定 訴訟提起 り こ うかんこく り こ う めいれい きょうせいしっこう 履行勧告・履行命令・強制執行 11 所調査官がかかわることもあります(人事訴訟の手続の 流れは,6 頁の「民事裁判の手続の流れ」を参照)。 少年審判 家庭裁判所では,非行少年,つまり罪を犯した少年や 罪を犯すおそれのある少年などについて,調査,審判を します。調査や審判は,保護者にも出席を求めて,非公 なご 開の手続で,和やかな中にも,非行について反省を促す ふん い き よう相応の厳しさのある雰囲気のもとに行われます。そ あやま こでは,その少年が本当に過ちを犯したかどうかという ことだけではなく,どうしてそのような過ちを犯したか という事情もよく調べた上で,再び過ちを犯すことがな そ ち いよう,本人にとって最も適した措置が決められます。 ひ がい なお,平成20年12月15日から,一定の重大事件の被害 しゃ 者やその遺族の 方が,裁判所の 許可により,少 ぼうちょう 年審判を傍聴で きる制度が始ま りました。 少年審判 1 裁判官 2 裁判所書記官 3 家庭裁判所調査官 4 裁判所事務官 5 少年 6 保護者 7 付添人 少年事件の手続の流れ 事件の発生・非行少年 送致・通告・報告 審判不開始 調 査 観護措置 審 判 試験観察決定 保護処分 知事又は 少年院送致, 児童相談所長 児童自立支援施設・ 送致 児童養護施設送致, 保護観察 こう 検察官送致 不処分 こく 抗 告 公訴提起 高等裁判所 地方(簡易)裁判所 12 たずさ 裁判に携わる人々 裁判官 裁判官に任命されるためには,まず,司法 試験に合格し,司法修習生として一定期間修 習することが必要です。この修習を終え,も う一度試験に合格すると初めて裁判官,検察 官,弁護士になる資格を取得するのです。裁 判官は,この資格のある人の中から任命され ます。もっとも,簡易裁判所の裁判官は,そ のような資格がなくても,その職務に必要な 学識経験があれば,任命されることがありま す。 最高裁判所の裁判官は,15人のうち少な くとも10人は法律専門家でなければなりま せんが,最高裁判所の果たす重要な使命から, 識見が高く,法律のことをよく知っている人 であれば,法律専門 家でない人も,任命 することができるこ とになっています。 なお,民事,家事 の調停事件について は,裁判官と同等の 権限で調停手続を取 り扱う調停官の制度 があります。調停官 は,5年以上の経験 を持つ弁護士の中か ら任命されます。 裁判官の法服(男性) しき けん 裁判所職員 裁判所には,裁判官のほかに,裁判の仕事 に携わる人として,裁判所書記官,裁判所速 記官,家庭裁判所調査官,裁判所事務官,執 行官などの職員がいます。 たずさ 13 裁判所書記官 裁判所書記官は,法廷に立ち会い,裁判の 手続や証言を記録する調書を作成したり,法 令や判例を調査したり,裁判手続が円滑に進 行するように,弁護士,検察官,当事者と打 合せをしたりします。 裁判所速記官 裁判所速記官は,法廷での発言内容を速記 で記録し,速記録を作成します。 家庭裁判所調査官 家庭裁判所調査官は,家事事件や人事訴訟 事件で,子どもの養育状況などに関する調査 を行ったり,少年事件で,少年が非行に至っ た動機や経緯,生育歴,性格,生活環境など の調査をしたりします。 裁判所事務官 裁判所事務官は,裁判部や事務局に配置さ れます。裁判部では,裁判所書記官のもと で,各種裁判事務を担当するとともに,法廷 での審理をスムーズに行うために,審理が始 まる前の準備をしたり,証人尋問の手続の補 助をしたりします。また,事務局では,裁判 所の庶務,人事,会計などの仕事をします。 執行官 執行官は,財産の差押えや家の明渡しをす るなど裁判で命じられたことが行われないと きに,その内容を強制的に実現したり,競売 不動産の現況調査などを行うことを主な仕事 としています。 ほう てい えん かつ じん もん 専門委員 専門委員は,専門的な知識経験を持つ専門 家であり,建築関係,医事関係,知的財産権 関係などの紛争を解決する上で専門的な知識 や経験が必要となる裁判の手続全般に関与し, 裁判所のアドバイザー的な立場から,専門的 な事項に関する当事者の言い分や証拠等につ いて,分かりやすく説明をします。 ふん そう しょう こ 14 調停委員 調停委員は,豊富な知識や経験を持つ人格 識見の高い一般市民の中から選ばれ,裁判官 と共に調停委員会の構成員として調停手続に 携わります。 民事,家事に関する様々な紛争が扱われる 調停手続において,調停委員は,紛争の実情 に応じた適切な解決案を示して,当事者双方 の話合いによる円満な解決が図られるよう あっせんします。 しき けん たずさ ふん そう 司法委員・参与員 司法委員と参与員は,良識のある一般市民 の中から選ばれます。司法委員は,簡易裁判 所の民事事件について,裁判官が和解を勧め るときに裁判官の補助をしたり,審理に立ち 会って意見を述べたりします。 また,参与員は,家庭裁判所における名の 変更,戸籍訂正,未成年者の養子縁組の許可 などの家事審判事件や離婚などの人事訴訟事 件に立ち会って,意見を述べたりします。 り こん 労働審判員 労働審判員は,労働関係に関する専門的な 知識経験を有する人の中から選ばれ,裁判官 と共に,労働審判委員会の構成員として,中 立・公正な立場で労働審判手続に携わり,個 別労働紛争の迅速かつ柔軟な解決を図るた め,調停を試み,調停がまとまらなければ審 判を行います。 たずさ ふん そう 15 Q &A Q.裁判は何人の裁判官で行われるの? A. 実際に,何人の裁判官で裁判をするのかは, 裁判所の種類によって違います。簡易裁判所で は,1 人の裁判官が裁判をします。地方裁判所 と家庭裁判所では,事件によって,1 人の裁判 官で裁判をする場合と 3 人(大規模な民事事件 については 5 人)の裁判官で裁判をする場合が あります。高等裁判所では,3 人の裁判官で裁 判するのが通常です。最高裁判所では,法律な どが憲法に合っているかどうかを裁判する場合 や,特に重要な問題について裁判をする場合に は,15 人の裁判官全員による大法廷(定足数 9 人)で,そのほかの場合は 5 人の裁判官による 小法廷(定足数 3 人)で裁判することになって います。 てい そく すう 最高裁判所大法廷 Q.全国に裁判官は何人いるの? A. いろいろな種類の裁判所の裁判官をすべて合 わせると,全国には,約3,510人の裁判官(う ち,女性は,約700人)がいます。 (平成26年12月現在) 16 Q.法服の色はどうして黒なの? A. 法服の色は,大審院 (戦前の最上級裁判所) の時代から黒色とされ ています。法服は,厳 粛に秩序正しく手続が 行われなければならな い法廷において,人を 公正に裁くべき者の職 責の厳しさを象徴する ものとしてその着用が 義務付けられているも 裁判官の法服 (女性) のです。黒色とされた のは,黒色が他の色に染まることはないとい う点で,公正さを象徴する色として最適なも のであると考えられたためといわれています。 げん しゅく ちつ じょ ほう てい しょうちょう Q.裁判所職員のバッジはどういうものなの? A. 裁判所職員のバッジは,八咫の鏡をかたちど や た り,中心に裁判所の「裁」の字を浮かした形を しています。鏡が非常に 清らかで,はっきりと, 曇りなく真実を映し出す ことから,八咫の鏡は, 裁判の公正を象徴するも のと言われています。 裁判官のバッジ くも しょうちょう Q.裁判にはどのくらいの時間がかかるの? A. 裁判にかかる時間はその事件によってさまざ まで,一概には言えませんが,事件を受け付け てから決着が付くまでの期間の平均は,民事裁 判では,地方裁判所で8.5月,簡易裁判所で 2.7月,刑事裁判では,地方裁判所で3.0月,簡 易裁判所で2.1月となっています。 (平成26年の司法統計による) 17 ぼうちょう Q.裁判を傍聴するにはどうすればよいの? A. 公開の法廷で行われる裁判は,原則として, ほう てい 誰でも傍聴することができますので,どの法 廷でも自由にお入りいただいて結構です。た だし,傍聴希望者が大勢いる事件では,傍聴 券が必要な場合があります。 なお,法廷内では,写真撮影や録音は許可 がない限りできないことになっていますので, ご注意ください。 もっと詳しく知りたい方は 裁判所について,より詳しく知っていただ くためにウェブサイトを設けています。裁判 所ウェブサイトでは,裁判所の組織や手続の 紹介といった一般的な事項から最高裁判所や 各地の裁判所の裁判例情報,司法統計などの 専門的なもの,裁判所職員の採用試験に関す る情報まで,幅広い情報を提供していますの で,アクセスをしてみてください。 ◆裁判所ウェブサイト http://www.courts.go.jp/ ◆裁判員制度ウェブサイト http://www.saibanin.courts.go.jp/ ◆知的財産高等裁判所ウェブサイト http://www.ip.courts.go.jp/ 18 平成27年10月発行