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地方都市行政視察について

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地方都市行政視察について
平成23年度建設委員会地方都市行政視察調査報告書(案)
1.視察先及び調査内容
視察日
視察先
調査内容
平成 23 年 10 月 31 日(月) 長野県長野市
平成 23 年 11 月 1 日(火) 長野県松本市
長野市の商店街活性化の取り組みに
ついて
松本駅周辺交通施設整備事業につい
て
2.調査内容
長野県長野市
1.市の概要
長野市は長野県北部(北信地方)に位置し、長野県の県庁所在地で県内
第1位の人口を有する。
市内を犀川や千曲川などが流れ、市域全体としては中央高地気候の特徴
が強く表れるが、一部豪雪地帯については日本海側気候の特徴も持ち合わ
せている。
長野駅周辺は古くから善光寺の門前町として発展し、また市域には古戦
場で有名な川中島や、真田十万石の城下町・松代も含まれている。
人口は 387,146 人、世帯数 153,202 世帯、面積 834.8 ㎢(H23.4.1 現在)
平成23年度の予算規模は全会計合計で2738億8千万円(一般会計
1547億6千万円、特別会計671億3850万円、企業会計519億
8150万円)となっている。
2.調査の経過
長野市議会委員会室において、事業の概要説明を受け、質疑応答を行っ
た後、商店街活性化事業の一環として整備された「ぱてぃお大門」等の現
地視察を行った。
説明者:長野市議会事務局次長
小林氏
産業振興部商工振興課課長補佐
商業振興担当係長
坂口氏
(株)まちづくり長野
和田氏
主査
西沢氏
タウンマネージャー
1
越原氏
3.説明内容
(1)長野市の商店街活性化事業について
長野市における年間の商品販売額や事業所数は、バブルの崩壊よりやや
遅れて、冬季オリンピックが長野で開催された前年の平成9年をピークと
し、それ以降年々減少の傾向を続けている。さらに、売り場面積や従業員
数は、中型のロードサイド店がオリンピックの開催にあわせ郊外に多数出
店したことで、わずかながら増加傾向にあるが、それにも関わらず販売額
が低下している。このことは面積当たりの収益力が低下しているもので、
深刻な状況と考えている。
このような状況のなか、長野市では「第四次長野市総合計画」及び「長
野市産業振興ビジョン」のもと、様々な助成・補助事業などを通じ「力強
い商業への転換」を目指し、次に掲げる商業振興施策を推進している。
①商店街環境整備事業
(ア)商店街環境整備事業
街路灯、アーケード、カラー舗装、などの設置に対する助成
(イ)電灯料助成事業
街路灯、アーケードの維持管理に要する電灯料に対する支援
(ウ)商店街駐車場設置事業
商店街の来街者の利便を図るための駐車場・駐輪場整備に対する支援
(エ)街路灯維持管理事業
商店街団体が設置した街路灯、アーケードの修繕に対する支援
②商店街活性化事業
(ア)ミニ博物館設置事業
店舗・事務所に市にゆかりのある美術品・工芸品・資料等を展示する
事業に対する支援
(イ)商店街イベント事業
活力とにぎわいのある商店街を作るために、自ら企画して実施するイ
ベントの実施に対する支援
(ウ)にぎわい演出事業
路上や店舗前に設置する共通のディスプレイや花鉢による継続的な装
飾に対する支援
(エ)ホームページ開設事業
商店街の活性化のため自ら管理運営するホームページの開設や作成に
2
関する講習会の実施に対する支援
(オ)商店街マップ作製事業
市民や観光客の利便を図るための商店街マップ作製に対する支援
(カ)空き店舗活用事業
商店街における空き店舗を利用して、集客に役立つ施設の設置や店舗
の誘致を行う事業に対する支援
(キ)中心市街地空き店舗等活用事業
事業者等が中心市街地の空き店舗等を活用して事業を行う場合に、改
修費や賃借料に対する支援を行う
(ク)まちづくり協議会活動事業・商店街活性化策定事業
地域の個性を生かした魅力あるまちづくりを推進するため具体的な方
策を定める事業に対する支援
(コ)販路拡張及び技術向上事業
商店街団体が行う研修会、講演会、展示会事業に対する支援
(サ)事務局職員雇用事業
商店街振興組合等中小企業団体のおける事務を行う職員の雇用に対す
る支援
③関連施策
(ア)起業支援事業
商工団体等が設置するインキュベーション施設の認定と、起業塾等の
開催により、起業希望者を支援
(イ)中小企業振興資金融資
中小企業者に対する融資制度
(2)商店街パワーアップ計画について
他自治体にもみられる「商店街加入促進条例」について、長野市におい
ても商店街や連合会から制定の要望があった。しかしながら、市が商店に
対し商店会への加入を直接促すような条例の制定はなじまないとの意見が
あった。そのような中で「長野市商店街の活性化に関する条例」に名称及
び内容を変更し、また市からではなく議員提出の条例として、平成22年
3月30日に施行された。この条例施行を契機に、商店街連合会・商工会
議所を中心に商店会加入のマニュアルを作成し効果をあげている。
3
(3)株式会社まちづくり長野のタウンマネジメントについて
①株式会社まちづくり長野
会社概要
長野市中心市街地活性化基本計画に基づくまちづくり事業を推進するた
めに、長野商工会議所を中心に、長野市、商店街、地元企業等の出資によ
り設立された。
【設立】平成15年1月17日
【資本金】8500万円
【主な事業】
・商業施設管理運営事業
・地域支援・協力事業
・創業支援事業
・商店街活性化支援事業
・長野市中心市街地活性化協議会事務局
等
②中心市街地の動きと事業経緯
平成11年
長野市中心市街地活性化基本計画策定
平成12年
長野そごう撤退(7月)、ダイエー長野店撤退(12 月)
平成14年
TMO認定(長野商工会議所)
長野市がダイエー長野店跡の土地と建物を取得
平成15年
株式会社まちづくり長野設立(長野商工会議所・民間企業・
商店街等出資)
「TOMATO食品館」オープン(もんぜんぷら座 1 階)
「楽茶れんが館」オープン(旧長野市物産館)
平成16年
株式会社まちづくり長野に長野市が 500 万円出資(6%)、
3セク特定会社となる。長野商工会議所にかわり株式会社
まちづくり長野がTMO認定
平成17年
「ぱてぃお大門蔵楽庭」オープン
平成18年
長野銀座A-1 地区再開発事業「トイーゴ」オープン
「表参道もんぜん駐車場」オープン
平成19年
長野市中心市街地活性化基本計画認定(5 月)、変更(8 月)
平成20年
起業家インキュベーション施設オープン
共通駐車サービス券事業開始
平成23年
「ぱてぃお大門」一部リニューアル実施
4
4.主な質疑応答(概要)
問:オリンピックのインフラ整備の結果、人の流れが変わるなど、市街地
の商店街に影響はあったか。
答:インフラ整備による郊外店舗の増加などに伴い、平成10年以降中心
市街地の通行量は減少している。例として、今回視察する「ぱてぃお
大門」の前の406号線は3mから22mに拡幅したため、善光寺か
ら駅へ向かう観光客が減った。
問:主要な観光・文化施設である善光寺を中心とした商工課と観光課の連
携は。
答:観光課と商工課は別。緩やかな連携はあるが、具体的な施策で結びつ
いていることはなく、課題ととらえている。
問:まちづくりの今後の方向性はどのようなものか。
答:長野市の人口はすでに減少傾向となっており、今後も何十年の間に4
万~5万人の減少が見込まれる。当然のことながら税の減収は避けら
れず、従って街を郊外に広げるのではなく、小さな街にして行政負担
を減らしていく方向を考える必要がある。
問:具体的な取り組みは。
答:中心市街地に顕在する空き店舗対策を行う必要を感じている。また、
居住人口を増やす取り組みとして、シェアハウスなども研究していき
たい。
5
長野県松本市
1.市の概要
松本市は長野県中部(中信地方)に位置し、市街地は松本盆地の中央に
あり、梓川と奈良井川が市を二分するように流れている。
国宝『松本城』を中心とする城下町で、戦災を免れたことから旧開智学
校(重要文化財)などの歴史的建造物が多く残る。県庁所在地ではないが、
日本銀行松本支店や松本空港、信州大学本部などがあり、県中央部に位置
する「副県都」のような存在となっている。
商業販売額は長野市に次いで県内第2位、工業生産額は安曇野市、上田
市に次いで県内3位となっている。
2005年の合併以後の市域は、長野県内で最も広く、全国の市の中で
も20位となっている。
人口は 243,721 人、世帯数 99,868 世帯、面積 987.77 ㎢(H23.10.1 現在)
平成23年度の予算規模は全会計合計で1620億1361万円(一般
会計885億4千万円、特別会計481億4894万円、企業会計253
億2467万円)となっている。
2.調査の経過
松本市議会委員会室において、事業の概要説明を受け、質疑応答を行っ
た後、松本駅周辺交通施設整備事業として整備済みの「松本駅東西自由通
路」及び「お城口(東口)」整備現場等の現地視察を行った。
説明者:建設部建設課課長補佐
道路担当係長
中島氏
3.説明内容
(1)整備の目的
松本駅及びその周辺において公共交通機関への乗り換えの利便性、快適
性の向上、ならびに集中する自動車・歩行者の交通の流れの円滑化を図る
と共に、賑わいやゆとりの空間として交通結節点の機能向上に寄与するこ
とを整備の目的としている。また、駅を挟んだ東西の均衡のとれた発展と
お城口(東口)に集中する交通機能の分散化を図るため、お城口(東口)
に比べて都市基盤整備の遅れているアルプス口(西口)周辺と駅東西自由
通路の整備を行う。
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(2)事業概要
①事業主体 松本市
②総事業費 117億円
③工期 平成13~19年度
④整備個所別の概要(事業別概要)
(ア)松本駅東西自由通路
長さ110m、幅10~15m、面積1420㎡
エレベーター東西口各1基、エスカレーター東口4基・西口2基
多機能トイレ、市民サービススペース(住民票自動交付機・観光案内所)
太陽光発電(30kw)等
総工費:約68億円
(イ)アルプス口(西口)広場
整備面積6880㎡
一般車の乗降場3台、タクシー乗降場3台、路線バス乗降場2台
送迎用バス乗降場、自家用車整理場 等
(ウ)その他
松本駅西口線、市道 2503 号線等西口広場接続道路整備
等
※なお、その他の関連事業として西口自転車駐車場や周辺歩道、お城口(東
口)の整備も行っている。(事業費、工期は別)
(3)事業経過
H10~11 年度
11 年 9月
12 年 12 月
13 年 7月
12 月
14 年 12 月
15 年 1月
16 年 3月
6月
自由通路、アルプス口(西口)広場、松本駅西口線の概
略設計
松本駅周辺交通施設整備連絡協議会設置、整備に関する意
見聴取
JR東日本と市による「松本駅・駅前広場整備構想検討会」
を設置、自由通路のあり方を検討
「松本駅周辺交通環境改善計画」策定
松本駅西口線(アルプス口広場含む)等の都市計画変更
国の事業認可を受け「国庫補助交通結節点改善事業」とし
て事業着手
松本駅東西自由通路の都市計画決定
国の自由通路事業認可を受け、JR東日本へ詳細設計委託
自由通路詳細設計完了
市道 2503 号線の一部及び 2323 号線が完成・共用開始
自由通路の施行協定をJR東日本と締結
7
7月
18 年 5月
19 年 4月
8月
23 年現在
自由通路の工事着手
自由通路暫定供用開始
自由通路全面供用開始
アルプス口(西口)広場竣工
お城口(東口)整備中
4.主な質疑応答(概要)
問:西口へのアクセス道路の整備にあたり、影響があった地権者数や世帯
数はどのくらいか。
答:地権者数としては西口の道路広場に関係して協力いただいた地権者数
は122世帯である。
問:土地取得の契約までにかかった期間は。
答:概ね4年間で全ての契約を終えた。
問:東西自由通路の整備にあたり、JRの所有地内での施設再整備の費用
負担の割合は。
答:自由通路整備において通路の整備に約27億円、駅舎整備に約33億
円、その他を含めると合計で約68億円かかっているが、JRの負担
分は駅舎内のバリアフリーに係る8000万円である。
問:自由通路の管理や維持・修繕は市が行うのか。
答:自由通路の維持経費で年間約2500万円を市が支出している。
また、維持経費は国の補助金はない。
問:賃借料はかかるのか。
答:線路上空部分は無償。線路を外れた駅ビル部分については、区分地上
権を設定し、賃借料を支払っている。
問:駅に設置されている太陽光パネルについて、消費電力の何パーセント
を賄っているのか。
答:約5%程度である。
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