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観 光.気 象 学 概 論 A TOURISM
観 光.気 象 学 概 論 辺 英 蔵 田 WE NEED "KANKO-KISHOGAKU" or A TOURISM-ORIENTED METEOROLOGY "FOR THOUSANDS UPON THE SUNLIGHT THE MASTERLESS WINDS THOUSANDS AND HAVE OF YEARS THE SEA AND HELD TRYST TOGETHER." LLEWELYN from "THE SEA AROUND US" BY RACHEL POWYS L. CARSON Eizo Tanabe There is no division of science known as "tourism-meteorology,"at least in Japan, but perhaps there should be. Tourism and the weather share an intimate relationship. For example, weather considerations help determine the location of tourist attractions like resorts. The site's temperature, humidity, wind direction and velocity, seasonal winds, and amount of rainfall can spell life or death for a resort. Meteorology is a branch of science with a long history. Nonetheless,conventional meteorology, and the way it presents data, is of little value to the tourist industry. The reason for this has long been pointed out by Kunihiko Baba, Japan's leading authority on ocean meteorology.Some of the traditional users of conventional meteorology are industries like agriculture, fishing, and forestry; those in boat, aircraft, and other means of transportation; and even the military. And the data they use is value-free and emotionless. In contrast to this, the users of a tourism-meteorologywould include a wide variety of individuals. And meteorology of this kind would need to cover all that people do and all that brings them happiness. The data they need would have to have a human face. An unfeeling meteorology without emotions would be of little use. For example, the formula for calculating the fair weather ratio of any particular place is based on the volume of rain at that site. 一41 .一 How do places like Hawaii and the South Pacific fare under they are subject wards, ated however, properly amount to showers the sun shines under of rainfall Or consider a system in a 24-hour the Balearic ture may reach a scorching to a comfortable humidity) and squalls Islands without As you may recall , time . After- embellishes the fair weather the sky . Are such places treis determined by the aggregate ratio off Spain in the Meditterranean. 30 degrees. There, the daytime tempera- After nine in the evening, however , the temperature drops are worn. Is it proper to calculate the comfort index (the daily temperatures? Or evaluate a resort's suitability based extremes? on the face of this earth sonal winds rainbow this system? deal of rain in a short period? level, one wheretuxedos for temperature Where d eposit a great and a beautiful in which of a place based on average on statistics that being bothered and the places where one can enjoy beautiful by wind and waves? sunsets and sea- What is the effect of the differences be - tween high and low tides on resorts? The task of the new touris in- meteorology, which is outlined above , should be to answer such questions. ・.酒に 弱 い 日 本 人 目 次 第4節 第1章 風力 ・ス ポ ー ッ と風 序 論. 第1節 発 想 の契 機 ① 熱 気.球.② ハ ングダライ ダー ① ウイ キ キ ビー チ の観 光 立 地 ③ 軽 飛 行 機. ② デ ィ ズ ニ ー ラ ン ドの休 日 ④ サ ー フ イ ン グ,.ボ ー ドセ イ リ ン グ ③ ヨ ッ トと 日本 近 海 の 海 況 ⑤ ヨ ッ'ト,モ . 第3節 ・ ..台風 わ が 国 の レジ ャー 産 業 と天 候 気 象 リ ター ボ ー ト イ丶リ ケ ー ン に つ い て ・ リ ゾ ー ト と.して の 地 中 海 の 優 位 「楽 園 の条 件 」 ・自然 条 件. ・来 襲 の 頻 度 .. 第3節 との 関係 ・第3め 濠 「天 気 」 ・人 為.的条件 第4節 ・ .熱 低 発 隼 の メ カ ニ ズ み ・ 日.本列 島 の 場 合 ・ 第5節 ・"人聞 の顔 を.した"気 象 学 . 従 来 の気 象 学 第6節 結 論 「楽 園 」 と し て の 日本 の 立 .地に つ い て ・ 各論 第1節 気温 ・地 中 海 の気 温 の 一 日の 変 化 第2節 潮 位.. ・潮 位 と ヨ ッ ト ・晴 天 率 と は? 第2章 . 晴 天率 ・.アジ ア ・モ ン ス ニ ン 地 帯 に つ い て 観 光 気 象 学 の 目的 第5節 .第6節 、 謝 湿度 辞 第1.章 .第3節 風向 ・ハ ッピ ー ア ワ噛 一 第1節 序論 発 想 の 契機 筆 者 が気 象 と レジ 卍 一産 業 の相 関 々係 に興 ・東 は 農 園 ,西 は リゾ 」 ト. 味 を抱 く よ う に な っ た 契 機 は次 の三 つ で あ る 。 一42一 ① ワイ キキビーチの観光立 地 「ワ イ キ キ の 浜 は ほ ぼ東 西 に(正 確 に は 西 逆 に,彼 等 か ら見 れ ば,1年 の 過 半 は 雨 か 風, 北 西 か ら東 南 東 へ)拡 う が って い る 。朝 日 は 業 し て い る わ れ わ れ は,天 才 か手品 師の よう 思 っ た 。 そ し て, 冬 は 木 枯 し の 吹 き ま く る 東 京 で,遊 園地 を営 ダイ ヤ モ ン ドヘ ッ ドの方 角 か ら昇 り,午 後 に に 見 え る の で は な い か,と な って 陽が 西 に廻 る につ れ て ダ イ ヤ モ ン ドヘ 日本 の よ う な 気 候 風 土 の 中 で 商 売 を す る 日 本 ッ ドに順 光 が ま と もに あ た り,あ の 典 型 的 な の レ ジ ャ ー 産 業 人 が,つ ワ イ キ キ の風 光 を描 き出 す 。 な っ た 。」(田 辺 英 蔵 。1973年 季 節 風 は 周 年,殆 くづ くか わ い そ う に 版 業 の ニ ュ ー マ ー ケ ッ ト」 レ ジ ャ ー マ ー ケ テ ィ ん ど北 北 東 で,南 南 西 に ひ ら け た この 浜 は 島 の他 の 部 分 り 海 が 荒 れ て ン グ ・セ ン タ ー 編 集 海 潮 社 版) い る時 で も穏 か だ 。 に もか か わ らず,一 哩, ③ ヨ ッ トと 日本 近 海 の 海 況 1964年,初 二 哩 も沖 か ら磯 波 が 砕 け て 寄 せ て くる か ら サ ー フ ラ イ ダ ー に と って は天 国 で あ る。 気 候 温 暖,雨 「レ ジ ャ ー 産 め て 自分 自身 の ヨ ッ トを持 った 時,先 輩 か ら 次 の よ う な 注 意 を 受 け た 。 「日本 近 海 の 海 況 は 人 々 が 想 像 す る よ り は 量 は少 く,時 々 思 い 出 し た よ う に驟 雨 が 過 ぎそ の後 に 美 しい 虹 が か か る。 吹 く風 る か に 厳 しい 。 海 上 の 天 候 は い つ 変 る か も判 に は常 に花 の香 りが た だ よ う。何 か ら何 まで ら ず,荒 リゾ ー トと して は 理 想 的 に で きて い る こ の 土 り に な ら な い 。 漁 船 型 に し た と こ ろ で,や れ だ し た ら モ ー タ ー ボ ー ト は 全 く頼 は 地 が,世 界 の観 光 の メ ッカ と な る の は 当 然 で り近 傍 の 港 に 避 難 す る よ り仕 方 が な い 。 た と あ って,日 本 で 真 似 を し よ う と して も 自然 条 え 二,三 件 が全 く違 うの だ か ら,よ ん ば り さ え す れ ば,と くよ くそ の 辺 の と 日 の 荒 天 に 遭遇 し て も,乗 組 員 がが に か く生 き て 帰 っ て 来 こ ろ を研 究 して か か らな い と,見 込 み 違 い に れ る,と な る恐 れ が 多 分 に あ る 。」 大 島 以 南 の 島 々へ の 遠 征 な どで き る もの で は (米 ・墨 レジ ャ ー施 設 視 察 報 告 ・田 辺 英 蔵 ・ な い 。 そ の 点,船 底 に デ ィー プ キ ー ル とい う おもり オ シ ヤ ンクル ザ 錘 も持 ち,水 密 の 確 か な 外 洋 帆走 艇 は,原 森 京 介,1963年) 1963年,初 い う 自信 を 自 分 の 船 に 持 て な け れ ば, め て ハ ワ イ の観 光 美 を視 察 した 理 的 に は,如 何 な る荒 天 に も耐 え得 る,最 36歳 の筆 者 は,上 記 報 告 の如 く,観 光 立 地 は も 信 頼 性 の 高 い 船 型 だ とい い 得 る。 グ ロ ノミノレ 動 力 につ い て も,ガ ソ リ ンエ ンジ ンの 洋 上 決 定 的 に 地 球 的 な 気 候 ・気 象 に 支 配 さ れ る 事 実 を認 識 した 。 で の信 頼 性 は極 め て低 い 。 長 年,海 ② デ ィ ズ ニ ー ラ ン ドの 休 日 「ハ ワ イ を 経 て 米 本 土 の 観 光 ・ レ ジ ャ ー 施 績 の あ るデ ィ ー ゼ ル に 勝 る もの は な く,そ の 上 に 帆 走 力 が あ れ ば,た 洋での実 と え エ ンジ ンが 駄 目 ィ ズ ニ ー ラ ン ドが 冬 に な って も,生 還 で き る可 能 性 は低 くな い」 は 休 む こ と を 知 っ て 仰 天 し た 。 『5.月 ま で は 云 々 。(田 辺 英 蔵 「は き な れ た デ ッキ シ ュー 週 末 以 外 は 休 日が あ る か ら気 を つ け ろ 』 と い ズ 」 集 英 社 ・1980年) 設 を 視 察 し た 筆 者 は,デ う の で あ る 。1年 降 り そ そ ぎ,雨 そ の後 の30年 の 日本 近 海 並 び に地 中海,カ を通 じてサ ンサ ン と陽 光 が リ ブ海,南 の 日が 数 日 し か な い と い う カ 太 平 洋 で の航 海 経 験 は,上 記 先 輩 リ フ ォ ル ニ ア の み か ん 畑 の 中 に あ る デ ィズ の 注 意 が 事 実 で あ る こ と を証 明 した 。 「世 界 ニ ー ラ ン ドが,で の 海 は 同 じで は な い。 就 中,日 本 近 海 は世 界 あ る 。 今'(1973年)で こ そ, る う年 は で も 指 折 りの 難 所 で あ る」 と い う 認 識 は, 「そ れ は海 と は 限 らな い 」 と拡 張 さ れ ,レ ジ 366日 開 園 し て い た 後 楽 園 ゆ う え ん ち の 園 長 ャー並 び に レジ ャー 産 業 と地 球 規 模 の 天 候 ・ を し て い た 私 に は,こ 気 象 と の相 関 々係 に対 す る 関心 へ の 契 機 とな 大 晦 日 も 休 む し,2月 に は休 園 もす る が,そ の 当 時(1963年),1年365日,う れ は シ ョ ッ クだ っ た 。 一43一 も拘 らず この シ ーズ ンが レ ジ ャー 産 業 の2つ った 。 の 大 きな 山 を型 成 す る の は,こ の2シ 第2節 が 学 齢 期 の子 供 の 学 校 休 暇 に 当 る か らで あ る。 との 関係 気 候 的観 点 に立 て ば レジ ャ ー,リ 日本 の 観 光 業 者 は永 年 に わ た って 日本 の 不 順 な 天 候 に悩 ま され て 来 た。 ク リエ ー シ ョ ン,観 光 に極 め て 不 適 な シ ー ズ ンが 学 校 休 み の シ ー ズ ン と重 な る の は 日本 列 島 の 不 幸 で ゴ ル デ ン 戦 前 の 観 光 業 とは 主 と して 日本 中 に散 在 す る概 算8万 軒 の観 光 旅 館 を意 味 した が,戦 後 は こ れ に 各 種 観 光 施 設 が 加 わ っ た 。例 え ば 野 球 場,テ ーズ ン わ が 国 の レ ジ ャー産 業 と天 候 ・気 象 ニ ス コ ー ト,サ ッカ ー等 の運 動 施 設, 或 は遊 園 地 等 で あ る 。 日本 に 於 て 最 初 の あ り,こ の不 幸 を春,秋 の 金 シル バ ・銀 両ウ ィ ー クが 代 償 して い る。 第3の 波 「天 気 」 週 日,週 末 の客 数 の 変 動 の 大 差 は そ の 土 地 の 気 象 に関 係 な しに レ ジ ャー 産 業 の負 わ ね ば 恐 ら くは唯 一 の一 な らぬ負 荷 で あ っ て,レ ジ ャー 産 業 は計 画 の 総 合 レジ ャー 施 設 専 業 会社 後 楽 園 ス タジ ア ム 段 階 か ら この 負 荷 に 耐 え られ る構 造 的 強 度 を (現 東 京 ドー ム,1911年 持 た ね ば な らず,そ 創 立)に30年 勤務 し の 方 法 は損 益 分 岐点 を低 た 筆 者 の経 験 に徴 す る に,レ ジ ャ ー施 設 運 営 く押 え る こ とで あ る 。 会 社 の 仕 事 と は 「波 」 との斗 い と して把 握 さ 最 後 に残 る 「第3の れ る。 「波 」 と は, 波 」 天 候 と季 節 の変 化 は 本 稿 の 主 テ ーマ で あ り,自 然 現 象 で あ る が ① 景気 故 に解 決 困 難 で あ り,に も拘 らず そ の影 響 は ② 天候 致 命 的 で あ る。 ③ シーズ ン の3つ 後 楽 園 に は,昔 か ら 「雨 と夜 と冬 と風 」 と の波 で あ る。 大 衆 を相 手 に す る本 業 い う合 言 葉 が あ っ た。 東 欧 製 の レジ ス タ ン ス 界 に あ って は① の 景気 の 影 響 は比 較 的 軽 微 で 映 画 の 題 名 で は な い 。 こ れ は,後 楽 園 の み な あ る。 「鰻 屋 の 主 人 は(不 景 気 で)首 らず,昔 か ら レジ ャ ー産 業,別 名 お 天気 商 売 を吊 る そ ば が,首 を吊 っ た蕎 麦屋 は居 な い」 と小 林 一 三 は云 っ た 。 そ ば屋 も球 場 も大 衆 を相 手 にす る か ら不 況 に強 い 。 こ れ に 反 し,レ ジ ャー 産 業 に た ず さ わ る 人 間 が 夢 に も忘 れ 得 ぬ 「敵 」 の 名 前 で あ る。 多 くの 人 々 は意 外 と気 がつ か な いが,日 本 に対 す る② 天 候 と③ シ ー ズ ン性 の影 響 は 本 質 の 風 土 気 候 は,レ ジ ャ ー産 業 に と っ て極 め て 的,往 苛 酷 で あ る。 々 に して 致 命 的 で あ る。 シ ー ズ ンの 波 と は,休 日 と仕 事 日 との 客 数 の 差 とい う波 で あ る。 人 は休 日 に遊 び仕 事 日 に働 く。 家 族 客 よ く,人 は私 達 業 者 に, 「なぜ パ リの シ ャ ンゼ リゼ の よ う に路 上 に の場 合 は学 齢 期 の 子 供 の休 日が こ の波 を 大 き テ ー ブ ル を出 して,街 路 樹 の下 で お 茶 が 飲 め く左 右 す る。 例 え ば観 光 地,観 る よ うに しな い ん で す か … … 」 とい うが 私 た 園地,テ 光旅館又 は遊 ーマ パ ー ク のハ イ シ ー ズ ン は正 月, 夏 休 み,ゴ ー ル デ ン ウ ィ ー ク,シ ち は経 験:から,そ の よ う な営 業 の 可 能 な 日は ルバーウ ィー ク で あ り,こ れ は成 人 の休 日 とい わ ん よ りは子 供 の 学 校 休 暇期 間 と符 号 す る。 ア ジ ア モ ン ス ー ン地 帯 に於 け る 日本 の 夏 の 高 温 多 湿 , 日本 で は春 秋 に10日,も しか す る と5日 ず つ ぐ ら い しか な い こ とを知 って い る 。 日本 の冬 は 寒 く,夏 は 暑 く,加 え て,ジ ャ 冬 の シ ベ リ ア高 気 圧 に よ る季 節 風 は共 に 日本 が 多 く,晴 れ れ ば,風 が 吹 く。 寒 さが 過 ぎ,ほ っ とす る 間 もな く, の 夏 ・冬 を ま こ とに好 ま しか らざ る観 光,レ 梅 雨 に な り,暑 い 夏 が 来 る。 咲 い た と思 った ジ ャ ー,リ ら も う散 っ て し ま うあ の お花 見 の あ わ た だ し ク リエ ー シ ョン季 節 とす るが,に 一44一 ン グ ル な み の 湿 度,雨 さが,何 と もせ わ しい 日本 とい う国 の 気 候 の る こ と(例,ハ シ ンボ ル で あ る 。 た しか に,桜 は 日本 を よ く 上 記7つ 象 徴 して い る。 ワ イ,カ リ ブ 海,南 太 平 洋)。 の リ ゾ ー トの 条 件 は 実 は 上 記4者 の う ち,雨 と風 は気 象 で あ り,夜 で はな く 「 事 実 」 で あ っ て,地 は 天 文,冬 は季 節,す べ て 人 間 の 力 で は如 何 海,ハ ワ イ,南 「条 件 」 中 海,カ リブ 太 平 洋 赤 道 無 風 帯 通 稱capli- と も し難 い 自然 現 象 で あ り,人 工 ドー ム は レ conezone(南 ジ ャー 産 業 が 自然 力 に対 抗 す る切 札 で あ り, 在 す る 既 設 リ ゾ ー トの 自 然 条 件 を 要 約 羅 列 す 後 楽 園30年 の悲 願 の 達 成 だ っ た 。 れ ば上 記 の 回 帰 線 地 帯)等 々 に無数 に存 「条 件 」 と な る 。 人為的条他 リゾ ト 第3節 「楽 園 の 条件 」 に は上 記 自然 条 件 の他 に, 楽 園 の条 件 日本 を離 れ視 野 を地 球 規 模 に拡 げ た 場 合, ⑧ 民 度 が 低 く通 貨 価 値 が 弱 い こ と。 す な わ ち, 人 は 地 球 上 の天 候 ・気 象 条 件 が極 め て 不 公 平 低 賃 銀 労 働 力,低 廉iな食 品,物 資 の 入 手 が に配 分 され て い る こ と に気 付 く。 カ リフ ォル 可 能 で あ る こ と。 ニ ア 或 は フ ロ リヒ ダの 例 を挙 げ る まで もな く, ⑨ 政 情 が 安 定 して い る こ と。 世 界 に は レジ ャー 産 業 に適 す る天候 気 象 に 恵 ⑩ 歴 史 ・文化 的 遺 跡,歴 ま れ た 地 域 が 広 範 に分 布 して い る。 こ の場 合, 化(音 観 光 地 、 リゾ ー ト地 と して の適 不 適 の評 価 基 安 価 に 楽 しめ る こ と。 準 、所 謂"楽 園 の 条 件"は 次 の個 条 に要 約 さ 楽,踊 史 的 建 造 物,民 り,工 芸 等)が 族文 よ く保 存 され, ⑪ 近 傍 に 文化 施 設 の充 実 した都 会 が存 在 す る こ と(例,コ れる。 自然 条 件 ① 暑 い こ と。 具体 的 に は周 年 裸 で い られ る よ ー トダ ズ ー ル,マ ジ ョル カ 島 のパ ル マ,カ リブ海 の 各 島例 え ば セ ン ト ・ トー マ ス,或 は セ ン ト ・バ ー ッ の グ ス タ ビ ア 等)。 観 光 客 の 多 く は文 明 地 帯 の 住 人 で うな気 候 で あ る こ と。 ② 夜 は涼 しい こ と。 具 体 的 に は,日 中 の 熱 暑 あ り,彼 ら は 自然 の 中 に あ る程 度 以 上 長 く に拘 らず 夜 は 空 調 無 しで ダキ シ ー ドが 着 ら れ る よ う な清 涼 の 気 で あ る こ と。 滞 在 す る と文 明 の風 に触 れ た くな る。 ⑫ 当然 な が ら,上 記11条 件 を満 た す だ けで は, ③ 上 記 の よ うな 陽 気 が 安 定 的 に継 続 す る こ と。 そ の 土 地 に観 光 客 は 訪 れ な い 。 上 記 自然 的 ④ 水 辺 で あ る こ と。 世 界 の リ ゾ ー ト人 の 過 半 は海 浜 型 リゾ ー トで あ り,こ れ を 欠 く もの 準 の 高 い 壮 麗 な,又 文化 的 政 治 的 条 件 を満 たす 立 地 に 文 化 的 水 は 瀟 洒 な ホ テ ル,リ (例 え ば ア リ ゾ ナ の砂 漠 の リ ゾ ー ト等)は ゾ ー ト施 設 が 完 備 す る こ とに よ って,初 プ ー ル で代 替 えす る 。 て 厂地 上 の 楽 園」 リ ゾ ー トは 完 成 す る。 世 ⑤ 白砂 の長 い 浜 とそ の 背 後 に椰 子 の 繁 み を持 め 界 の リ ゾ ー トを概 観 す る に,非 常 に多 くの つ こ と。 地 中海 に は椰 子 林 は存 在 せ ぬ が, 場 合,① 椰 子 林 に 勝 る と も劣 らぬ 地 中海 松 の 美 が あ ⑧ ∼ ⑪ の政 治 ・経 済 ・文 化 的 条 件 を兼 ね備 る。 えて い る。 地 上 の 楽 園 は往 々 に して,上 記 自然 条 件 と人為 的 条 件 との 一 体 不 可 分 な 絡 ⑥ 水 平 線 に 夕 陽 が 落 ち る こ と。望 み 得 べ くん ば そ の 辺 りに 島影 が あ る こ と。 ⑦ 台 風,ハ ∼⑦ の 自然 条 件 を 具備 す る地 域 が み 合 い か ら生 れ る。 リケ ー ン等 人 力 に よる対 処 不 能 の 自然 現 象 が 無 い こ と(例,地 リケ ー ンの 頻 度 が修 複,休 業 等 に 第4節 観 光 気 象 学 の 目的 一 言 に盡 くせ ば ,前 章 に 述 べ た 「楽 園 の 条 よ っ て 損 害 を 回 避 て 得 る低 さ に収 ま っ て い 件 」 を地 球 上 の 天 象 気 象 と照 合 す る こ とが 観 台 風,ハ 中 海)。 又 は, 一45一 光 気 象 学 の 目的 で あ る 。 第6節 従来の気象 学 地 球 は球 型 で あ るか ら地 表 面 に到 達 す る 大 高 橋 浩 一 郎 著 厂日本 の 天 気 」(1963年 初 版) 陽 エ ネ ル ギ ー は 赤 道 に於 て 最 高,極 地 に 於 て の 厂国 土 計 画 と気 象 」 の 項 に,気 象 学 の 目的 最低 と な り,地 軸 は傾 い て い るが 故 に 地 球 上 の各 地 点 に季 節 的 に太 陽 エ ネ ル ギ ー の 輻 射 の が 次 の よ うに列 挙 して あ る。 「気 象 庁 の 表 看 板 は 災 害 防 止 を 目的 と した 差 異が生ず る。 天 気 予 報,気 象 警 報 を 出 す こ とで あ る。 そ れ 次 に地 球 は 東 か ら西 へ 向 けて 自転 して い る 故,上 に お と らず 重要 な こ と は,正 し く気 象 観 測 を 記 太 陽 エ ネ ル ギ ー の 地 表 に於 け る 分 布 行 な い,記 録 し,整 理 を し,い ろ い ろの 事 業 の 差 異 並 び に 変 動 に伴 い,地 球 上 に季 節 風 を 計 画 の基 礎 資 料 とす る こ とで あ ろ う。 予 ・警 生 じる。 地 球 の 自転 と.地軸 の傾 きの2要 素が 地 表 上 の1地 点 に 及 ぼ す 天 候 ・気 象 上 の 影 響 報 は異 常 気 象 が 起 りそ うな 場 合,臨 機 応 変 に 対 策 を と る余 裕 を与 え る こ とが 目的 で あ るが, は圧 倒 的 で あ り,政 治 力,経 済 力 の よ く抗 し そ れ と同 時 に気 候 学 的 に 将 来 起 る で あ ろ う異 得 る と こ ろ で は な い か ら,古 来,地 球上 の多 常 気 象 の程 度 を正 し く見積 って お き,そ れ に くの リ ゾ ー トは,上 記 厂楽 園 の 条件 」 を満 た 応 ず る よ う に恒 久 的 な 国 土 計 画 を 立 て て お く す 天 候 ・気 象 条 件 の 地 を地 球 上 に探 し当 て る こ と は,あ る意 味 で は よ り重 要 で あ る。 こ とに よ って 成 功 して 来 た 。 わ が 国 の リ ゾ ー 月 々 の 降水 量 を くわ し く計 測 して 整 理 して ト法 の如 く,た ま た ま 自分 達 の住 ん で い る土 お くこ と は,飲 料 水 は もち ろ ん,農 業 用 の灌 地 を無 理 矢 理 に リゾ ー ト化 し よ う とい う発 想 漑 用 水,工 グロ バ ル 業 用 水 等 の需 給 計 画 に重 要 で あ り, で は な い 。 近 年 世 界 の 地 球 化 に伴 い,観 光 ま た水 力 発 電 の運 営,電 客 は 国境 を越 え,大 洋 を越 え,気 軽 に彼 ら彼 もなる。 女 らの 「楽 園 」 を選 ぶ 傾 向 は ます ます 顕 著 で あ る。 気 温,降 掴 み,も 水 量,日 源 開発の基礎 資料 と 照時 間な どをは っき りと っ と も効 率 の よ い作 物 を え らぶ こ と は農 業 上 重 要 で あ る 。 第5節"人 間 の顔 を した"気 象 学 家 屋 を 作 るの に も気 候 は重 要 で あ る 。 関 東 気 象 学 は 過 去 に於 て極 め て 無 機 質 な デ ー タ を提 供 して来 た 。 農 業,漁 業 等 の第1次 産 業, 或 は 工 業,軍 事 等 の デ ー タ を提 供 す る場 合, 鉄 道 を 敷 く時 に も気 象 条 件 は 重 要 で あ る。 .気 象 学 は無 機 質無 表 情 で 足 りた が,近 年 例 え ば'天 と関 西 で は家 の 作 り も違 う の は 一 つ は気 候 の 違 い に よ る もの で あ ろ う。 鉄 道 は大 雨 に対 し弱 い もの で あ り,ま た東 海 気 予 報 が レジ ャー並 び に レジ 道 新 幹 線 の よ う に列 車 の 速 度 が速 くな る と風 ャー 産 業 の た め の 予 測 を主 目的 す る よ う に な の 影 響 も大 き くな る の で,そ る に従 つ て"人 な る。 ま た,雪 の 多 い と こ ろ で は 吹 溜 りや な 間 の 顔 を した"気 象 学 が 求 め ら れ る よ う に な り,急 拠 気 象 学 が こ れ に対 応 し始 め た 事 実 は,テ の対 策 が 重 要 に だれ対策 が必要で ある。 レ ビ の天 気 予 報 の キ ャス 空 港 を つ くる時 に も気 象 条 件 を考 えて お く タ ー の パ フ ォー マ ンス の上 に 明 瞭 に看 取 され 必 要 が あ る。 霧 や 煙 霧 の少 い,天 気 の よ い と る。 こ ろが 空 港 と して は望 ま しい し,ま た,滑 走 観 光 気 象 学 が 目的 とす る の は 前 記 の"人 の 顔 を し た"(KK気 間 象 海 洋 コ ンサ ル タ ン ト 社 長 馬 場 邦 彦 の 言 葉),表 情 の あ る気 象 学 で あ る。 路 は主 風 向 に 作 り,離 着 陸 に際 し,横 風 を受 け な い よ うに 設 計 す る 。 港 をつ く る に も,風 の 強 さ,高 潮 の 危 険 度 な ど を充 分 知 って 防 波 堤 をつ くる必 要 が あ り, ま た,荷 役 と関 連 し,悪 天候 に よ り港 で作 業 一46一 が 出 来 な くな る 日が 年 に どれ く らい あ るか を 知 って お く こ と も運 営 上 は 大 切 で あ ろ う。」 前 述 の 天 候 の局 地性,局 (高橋 浩 一 郎 「日本 の 天 気 」 要 約) 名 著 「日本 の 天 気 」 の 中 の 何 処 に も,レ る」 気 象 学 で な い と役 に立 た な い 。 な お,世 ジ 時 性 を勘 案 して も 界 に は天 気 に 恵 ま れ た 地 域 と そ うで な い地 域 の あ る こ とは 明 ら かで あ って,晴 天 ャ ー,リ ゾ ー ト,ツ ー リズ ム に対 す る気 象 学 率 は次 の 「気 温 」 「 風 向 風 速 」 と相 ま っ て そ の 重 要 性 は指 摘 され て い な い 。 の 土 地 の 観 光 施 設,ホ テ ル,リ ゾ ー トの 稼 働 率 を規 定 す る。 す な わ ち 上 記 天 候 条件 は そ の 晴天率 とは 土 地 の レ ジ ャ ー産 業 の損 益 分 岐 点 を規 定 す る 。 従 来 の 気 象 学 と観 光 気 象 学 との 観 点 の 差 を 晴 天 率 につ い て検 討 して み る。 例 え ば,従 来 の 気 象 デ ー タ に示 さ れ る 晴 天 率 と は,1日 に1mm以 の 観 光 業 の 成 績 と存 廃 と は秀 れ て 天候 気 象 の 上 の 降水 の あ っ た 日 を 雨 天 と した比 率 の%で あ るが,リ シ ヤ ワ ワ イ,南 太 平 洋 等 ス コ ール,驟 う観 光 地 に あ っ て は,1mm以 函 数 で あ る。 ゾ ー トの 客 に は こ の表 値 は意 味 を持 た な い 。 何 故 な ら ば,ハ 当 然 な が ら,あ る程 度 以 下 の 損 益 分 岐 点 は企 業 の 営 業 の 継 続 を不 可 能 にす る か らあ る土 地 雨 を伴 第2章 各論 「気 象 」 と い う言 葉 の 包 括 す る要 素 は極 め て 多 岐 で あ り,と り とめ な い よ うに見 え るが, 上 の 降 水 は何 らの 障 害 で は な く,む しろ 人 々 を楽 し ませ る 観 光 業,リ 自然 現 象 だ か らで あ る。 例 え ば1日24時 き要 素 は次 の6つ 間,1時 間の ゾ ー トの観 点 に 立 て ば,注 間 だ け土 砂 降 りで あD'た 場 合,'こ の 1)気 温 日は 雨 天 と して統 計 処 理 さ れ るが,熱 帯 地方 2)湿 度 で は 上 記 の天 候 は 好 ま しい ス コ ー ル で あ って 一 時 問 の 雨 宿 り をカ フ ェ テ ラス ,バ ンガ ロー で 楽 しん だ1日 に 過 ぎ な い 。 す な わ ち観 光 地 3)風 向 4)風 力 5)晴 天率 で は この よ うな 日 は 「晴 」 な の で あ る。 6)潮 位 目す べ である。 逆 の ケ ー ス もあ る。 後 楽 園 球 場 が 露 天 で あ っ た 昔,夏 の球 宴 を よ く雷 雨 が 襲 っ た 。盛 夏 烈 日の 一 日の 夕方,一 第1節 天 に わ か にか き曇 り, 気温 晴 天 率 以 前 に観 光 地 の適 不 適 を決 め る 要 素 大 粒 の 雨 が グ ラ ン ドの乾 い た 土 を舞 い上 が ら は:気温 で あ る。 観 光 客 が 許 容 す る気 温 に は上 せ,観 下 の 限 界 が あ り,地 球 上 の あ る地 点 が 観 光 地 客 は2階 席 の 下 に退 避 す る。 この 雷公 は普 通1∼2時 間 で 通 過 す るの だが,そ の時 と して 適 す るか 否 か は そ の 土 地 の気 温 が この 間 が 試 合 開始 前 に重 な れ ば 試 合 は文 字 通 り流 許 容 限 度 内 に収 ま って い る か 否 か で決 る 。 許 れ,後 和30 容 限 度 に 収 ま る期 間 の長 短 はそ の観 光 地 の 耐 ビ ニ ー ル の レイ ン コ ー ト1万 着 を売 え 得 る最 低 の 稼 働 率 を維 持 し得 る期 間 と重 な 年 代)の 楽 園 ス タ ジ ア ム は1着100円(昭 り さば く一 方,倉 庫 に は1万 個 の弁 当 が 売 れ 残 る 。 当 時 球 場 部 長 で あ った 筆 者 が,止 る。 むな 大 雑 把 な気 象 統 計 の 「 気 温 」 は1日 の 平 均 く広 尾 の 自宅 に早 々 と帰 宅 す る と,道 路 は乾 い て い て 家 人 は件 の 雷 雨 を知 らな い 。 この 如 温 度,す な わ ち 無 機 質,無 表 情 で あ る 故, "日 中 暑 く夜 涼 しい"理 想 型 の 観 光 地 は何 処 く,観 光 産 業 にあ っ て は1日 か と云 う問 に は答 え な い が,あ の うち の何 時 雨 る土 地 が 通 年 が 降 るか,如 何 か る 「局 地 」 に 降 る か が 常 に 客 を招 き得 るか 否 か,否 で あ れ ば どの位 の 期 問 題 に な る。 「人 間 の 顔 を し た」 「表 情 の あ 間 観 光 地 た り得 る か を検 討 す る 目安 に は な る。 一47一 換 言 す れ ば,ど ラ ン に ラ ン ク され た う転 ん で も観 光 地 た り得 ぬ土 地 を排 除 す る役 に は 立 つ 。 往 々 に して 少 な か 「ト リ ス タ ン 」 は,ボ ト ・ボ ル タ ル ス(マ リ ー ナ)の ル 泊 地 に面 す る ス ク リ ニ ング ら ざ る観 光 地 開 発 が 上 記 の 排 除 無 し に計 テ ラ ス で 空 調 を し て い な い の に も拘 ら ず,給 画,実 行 され 失 敗 して い る。 仕 頭 は ホ ワ イ トタ イ で サ ー ビ ス し,客 も これ に準 ず る服 装 を して い た 。 国 立 天 文 台 編 地 中 海 の 気 温 の 一 日の 変化 科 年 表 」(丸 善,1993年 西 地 中 海 に 位 置 す る バ レ ア レス 諸 島(lslas Baleares,ス 涼 しい"観 ペ イ ン領)の 夏 は"日 中 暑 く夜 似 値)に か ら93年 の4年 間 の 夏 期7.月 旬 に か け て,バ レ ア レス諸 島 中 最 大 の 島 マ ジ ヨ ル カ(Mallorca,マ 中 ヨ ル カ と も 発 音 す る) 南 東 岸 の 観 光 地 ア レ ナ ー ル(Arenal)に 観 察 し た 結 果 に 依 れ ば,こ 詳細 な に 観 測 点 な し。 マ ル セ イ ユ,バ 光 地 の 典 型 で あ る 。 筆 者 が1990年 初 旬 か ら9月 版)の 各 地 の 月 別 平 年 気 温 表 」(表1,バ 夏 の 気 温 の1日 「世 界 レア レス ルセロナが 近 述 し た よ うな 地 中海 の の 変 化 と 人 々 の 楽 しみ 方 を 読 み と る こ と は 出 来 な い が,観 は,そ 於 て 依 っ て も,上 「理 の よ う な1日 光 産 業 に と って の 変 化 は 重 要 な,時 に決 定 的 な意 味 を持 つ 。 の 期 間 同地 を含 む 第2節 地 中 海 西 部 は強 力 広 大 な高 気 圧 に覆 わ れ 晴 天 湿度 が 続 く。 日 本 の 夏 に も見 ら れ る よ う に,一 般 人 問 の快 ・不 快 に 関 す る限 り,湿 度 は独 立 に 強 い 高 気 圧 下 で は 天 候 は 安 定 す る 故,地 中 した 要 素 で は な く,暑 さ寒 さ と結 び つ くこ と 海 に 於 て も20ノ ッ ト(約10m/sec),時 に よ っ て 初 め て 人 間 に快 ・不 快 感 を もた す 。 に30 サ ンダ ス ト ム ノ ッ ト程 度 の 雷 嵐(10日 に1回 程 度襲 っ 湿 度 と寒 気 との結 び つ き は最 悪 で あ る。 し て 来 る),或 は 北 西 風,又 と 呼 ば れ 黄 砂 を 伴 う)に は 南 風(カ 中 断 さ れ つ つ2カ 間 の 晴 天 が 継 続 す る 。 高 緯 度(北 分),夏 ダフ ィ 始 め10時 よ り熱 暑 と な り,そ の 頃 よ り温 め ら 地 風)が は50∼60%を の 不 快 感 と体 力 ・気 力 の消 粍 、 喪 失 は往 々 に し 幸 い に して リ ゾ ー トの多 くは 達 上 に 上 昇 す る 。 但 し湿 度 維 持 し,体 の 衣 服 が 濡 れ た時 ヨ ッ トの 上 で は往 々 に して 濡 れ る て ヨ ッ トと ヨ ッ ト乗 りを事 故 へ と導 く。 吹 き,風 速 は 時 に15∼20節(約7.5∼10m/sec)に 温 は300C以 服 を着 な け れ ば な らず,そ 。7 頃 よ り気 温 が 上 昇 し れ た 内 陸 へ 向 け て 海 風(局 し,気 帆 走 す る す べ て の ヨ ッ ト乗 りが 経 験 す る と こ ろ で あ る 。 人 間 は寒 さか ら身 を守 る た め に衣 緯39度30 時 間 の 当 地 の 夏 の 日 の 出 は6時 時 頃 よ り 明 る く な り8時 月 け そ の不 快 感 は 日本 近 海 の 冬 季 の 時 化 の 海 を 殆 ん どは 温 暖 或 は そ れ 以 上 の温 度 の 地 に在 るか ら, 感 と して は 陽 射 し の 湿 度 と寒 気 の 結 合 を顧 慮 す る必 要 は な い 。 温 中 は 目 ま い を起 す 程 の 烈 日 で あ る が,樹 陰, 暖,熱 暑 の 地 にあ っ て は,湿 度 と人 間 との 関 軒 下,家 の 問 係 は次 の2つ の 中 は 涼 し く,人 々 は12∼16時 シェ ス タ に分 か れ る 。 昼 休 を と り,飲 食 店 を 除 く店 舗 の 多 くは 店 を ① 衣 服 を着 て い る場 合 閉 め,銀 行 も郵便 局 も閉店 し,観 光 地 で あ る ② 着 て い ない 場 合 ① の ケ ース,高 温 多 湿 と本 服 着 用 の 結 合 に も拘 らず,海 時 頃(ま 岸 通 りや浜 の 人 出 も減 る。19 だ 日 は高 い)海 風 が弱 ま り,21時 日没 時 に は 清 涼 の気 が 辺 りに満 ち,町 の は賑 い の 極 端 な ケ ー ス は,日 本 の 夏 の サ ラ リー マ ン の 日常 勤 務 の 場 に 認 め られ る(図1)。 元来 を取 り戻 し,10時 頃 か ら夕 食 が 始 め られ,こ 真 夏 で も背 広 を着 得 る英 国 の 衣 服 で あ る背 広, の 時 刻 で あ れ ば盛 夏 と い え ど も冷 房 無 しで あ Yシ る 程 度 の お 酒 落 が 可 能 とな る 。 事 実,昨 本 の 夏 の 通 勤,セ (1993年)に 年 於 て マ ジ ヨ ル カ の 最 高 の レス ト 一48一 ャ ッ,ネ グ タ イ を着 用 して 高 温 湿 潤 な 日 ー ル ス訪 問 等 を強 制 され る 時,湿 度 は 最 悪 の 気 象 条 件 と して 嫌 悪 され る。 1 表 世界各 地の月別平均気 温 番号 地 点 1,月 1 JanMayen 一5 2. 3 Bodo. Trondhcim 4. .Bergen .5 一5 .一2.1 一2 .4. 」0 一3 .一3 .4 1.5 Oslo 15 Goteborg. Haparanda Stockholm Vaasa .Hclsinki Aberdeen Manchester London Plymouth Dublin 一1 16 Reykjavik 一 Eg6desmiide 一12 Angmagssalik 一7 PrinsChristianSund Alborg Kobenhavn DeBilt 一4 6 .7 8 9 10. 11 12 13 14 1 お ー 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 .Luxembourg Zurich Brest Paris Nantes 工yon B6rdeaux Toulouse Marseille LaCoruna Z.aragoza Barcelona Madrid Almeria Gibraltar Lisboa .Leipzig HambUrg. 3月 一5 .1 一7 5 2月 . 一11 一3 .5 .1 一1 .6 一1.1 一6 .0 .6 一8 一6 2.7 3.7 3.9 5.8 一 .8 4.9 〇。5 0.3 〇 一3 5.8 〇.9 5.7 .5 4.1 .9,9 .2 1.4. 7.8 9.3 9.0 一 2.6 .1 6.4. 5.7 8.1 7.0 7.9 8.9 .2 8.0 、5.6 、0.6 9.3 .10.6 4.2 13.6 15.5 13.4 15.6 15.6 16.1 15。9 .15.9 15.9 10.6』 13。5 15.0 14.8 6.5 9。2 .3 3.0 4.5 10.8 6.0 6.6 10..5. 5.7 6.3 6.8 15.6 11 ..7 13.6 13.7 』14 .3 一 〇。9 一4 0.5 一3 一 2.2 5.5 9.2 10.6 '6 10.7 14..0 〇 .7 1.1 .8 6.2 .8 .3.4 .4 .7 .3 5.2 3,6 7.8 6.4 .4.7 9。5. 4.4 9.5 10.6 .4 8.7 7.2 .5 .10 1951-1980 11 1951-1980 1961-1980 1951-1980 1951-1980 .1951-1980 1951-1980 1951-1980 1951-1980 1952-1980 1951-1980. 1.951-1980 5 6 7 8 9 12 13 14 23 8.1 12.4 15.5 17.4 16.7 13.9 9.0 11.4. 15.6 .5.8 14、5 12.ユ 10..7 6.6 13.3 13.5 14.4 14.0 16.4 15.3 11.2 6.6 4.3 10、5 16.7 18.5 .1 12.4 8.1 6.0 11.5 1951-1980 1951-1980 1951-1980 1951-1980 24 8.8 0.6 7.3 8.5 7.4 3.9 8.8 17.9 20.3 19.4 20.6 23.3 .18 .2 11.5 6.5 19.51一1980 13。0 8.3 8.1 10.3 28 29 30 31 32 33 .1 一1 5.4 1.0 2.0 10.5 6。4' 11。7 14.6 16.0 8,0 12.1 6.7. .7 〇.7 5.7 7.9 4.0 6.3 7.1 10。3 8.6 8.6 10.0 11.0 12.9 14.6 16.9 11.2 12.0 14.1 12.0 .1.0.. 14.2 14.2 .11.5・ 9.6 1.0.2 13.6 7.1 一8 4 1973-1980 6.1 13.2 11.3 0.6 0.4 14、3 11.7 .1 3 8.3. 0.9 12.6 .3 16。0 一4 1.2 1951-1980 1951-1980 1951-1980 1951-1969 1951-1980 1951-1980 1951-1980 195.1-1980. 1.2 〇 ,5 .2.2 4.8 4.3 4.5 12.2 .14 8.1 4.5 3.7 7.6 .1 1 ・2 3.5 0.1 10.0 .1 6.7 .8 .2 9.7 10.5 .7.0 .5.8 12.1 13.6 9.3 2.0. .4 7.5 番号 8.2 0.5 2.0 0.5 7.3 15.5 15.4 .16 .9 13..6 15.6 14.9 16.7 .1 4.4 2.8 一5 .5 .6 統計期 間 1951-1980 .1951 -1980 13.3 1.5 6。2 12.6 、13 .7 5.0 一1 .4 '4 .0 16.7 .0 ・10 16.0. 〇 .8 一1 16。6 一 6.3 16.4 9.4 0。7 一1 .3 15.3. 一3 .3 5.0 13.9 一 。2 1.3 8.4 年. 一.4 11.6. .3 一3 5.4 15.2. 11.7 .7 (丸善) 16.5 一7 .9 5.0 .2 .4 14.4 .5 一2 0.5 5.2 12月 16.5 .7 一3 .0 14。1 .1 9.0 9.1 5。0 11月 15.2 一7 。1 3.3 12.6. 13.1 10月 16.9 .5 』4 .2 12 ..8 13.2 9凋 .3 17.1 一9 6.1 15.1 11。1 . 3..3 .6. 1.6 .11 .4 广 8月 13.1 10.7 8.0 . 5.0 2..5 一1 。9 一 〇 3.5 .5 4..9 1.7 12.4 8.8 13.7 9.7 14。0 10.3 1.0 一15 2.3 10。3 12.8. 14.0 .一14.5 .5 6.8 2.7 .4 2..0 .』7 11,7 .8. 一1 7,月 .9。.9 9.0 10.8 4.4 '6 〇' 6,月 .8.1 .7 一4 4.1 』4 与.6 .一 .7.0 一 〇 .8 2.6 .1 1.4 .1 3.6 6.0 一 .8 一3 .3 2.2 3..1 ・3 。8. 一 .8 .5 .一2. 。8 一3 〇 .2 一7 1..0. .1 一7 .3 .1 .3 一 5月 4,月 「 国 立 天 文 台編 「理科 年 表 」1993年 版 」 (℃) 10。8 12.1 9.8 14.4 .14 .9 .13 .4 4.3 3..3 10。9 14.4 13.3 14.0 17.5 17.5 12。3 15.9 16.2 .18 .8 16.2 18.7 15.2 .6 .8 17.6 12.3 11,8 7.1 4。5 6.8 .15.7 . . 18.2 ..17.8 18.1 119 ..23.7 21.0、 23.9 24.0 24.9 23.6 24.2 16.4 17.1 17..7 10.8 17.8 20.7 21.4 1918 231.3 22,4 20.0・ 22.2 22;5 21.3 16.1 15.5 17.4 16.6 .17 .4. 18.1 20。7 16.2 . 、21.0 21.0』 20.2 21.9 .24。3 .5 19.1 20.2 ..22.7 18.6. 2318 』16 23.3 ・25 .6 17.7 .16 .3 1411 13.4 13.3 15.3 15.6 15.6 17.7 14.2 19.5 19.3 18.3 8.6 9.4 7.1 .1.6. 「5.8 ・一4 一 . .4 〇 .5 .9 一 9.6 〇 ・4 .1 一9 .9 一4 」6 .8 一1 一3 .1 .6 .5 .4 4.4 1..2 .5.5 2.4 5.8 3.2. 0.9 7.4 8.5 9.2 .3 .1 11.1 . .12 .2. 10.0 6.1 5.8 712 10.6 7.0 13.2 10,6 16.3 6.2 13.1 13.9 14.0 18.1 11,6 16,6 12.2 9.0 .15.4 15.9 14.3 4.3 5.0 1.9 2.0 』12 .4 14.4 13.9馳 . 「14 .9 18。1 1951一1980 1951二1980 1951-1980 1951-1980 195 .1-1980. 1951-1980 1951-1980 1951-1980 1951-1980 、1951-1980 ・1973」1980 8.8. 8.4 1951-1980 15 16 17 18 19 20 21 22 25 26 27 34 35 36 37 38 39 40 政 情 不 安 定 と い う リゾ ー トと して の マ イ ナ ス 要 因 を持 つ が,そ れ を凌 駕 す る観 光 的魅 力 を 備 え て 多 くの客 を 吸 収 して い る 。 緑 が 濃 く生 物 相 が 豊 か で あ る とい う魅 力 自体 が 湿 潤 に起 因 して い る。 す な わ ち 湿 潤 は 必 ず し も100% の マ イ ナ ス要 因 で は無 い 。 ② の ケ ー ス 「衣 服 を着 な い場 合 」 に於 て は, 寒 くさ え な け れ ば,人 は軽 装 又 は裸 に な る こ と に よ っ て湿 度 の 不 快 を相 当程 度 に 回 避 し得 る 。 ア ジ ア ・モ ンス ー ン地 帯,例 ピ ン,イ えば フ ィリ ン ドネ シ ア,タ イ等 々 の 上 流 階 級 は, 威 厳,品 位,優 雅 を損 う こ とな く,し か も高 湿 度 で も不 快 で な い 「 正 装 」 を考 案 し常 用 す る こ と に よ って,古 図1東 く よ りこの 問 題 を解 決 し て お り,こ の よ う な原 地 の 服 装 はi)着 京 の夏 の 高温 多湿 を示 す ク リモ グ ラ フ 「日本 の天 気 」(高 橋浩 一 郎 ,岩 波 書 店) る人 々 を見 る こ と,ii)自 iii)買 う こ と,に てい 分 も着 て み る こ と, よっ て観 光 客 の異 国 情 緒 を も と よ り湿 度 は低 い 方 が 快適 で あ る 。 満 足 させ る 。 西 欧 文 明 に な じまず,公 健 康 的観 点 で 衆 人 環 視 の う ち に食 事 をす る習 慣 の な い 日 等 例 え ば 美 容 す な わ ち肌 荒 れ に 立 て ば,適 度 の 湿 度 が 望 ま しい か も 知 れ ぬ が,リ ゾ ー トを訪 れ た 観 光 客,滞 の よ う な 否 定 住 者,不 在者 本 人 に と って,く 開 の場 だ け て 楽 な こ の種 の 服 装 は 好 評 な筈 で あ り,ア ロ ハ 又 は こ れ に 類 す る服 永住 者 の場 合 は 「 快 装 と半 ズ ボ ンで 全 行 程 を過 し得 る ア ジ ア ・モ ・ 適」が 「 健康 」 に優 先 す る。 す な わ ち,一 般 ン ス ー ン地 帯 の 大 衆 向 け リゾ ー トの 高 湿 度 は, に湿 度 は 低 い 方 が 好 ま れ る。 「楽 園 の 条 件 」 日本 人 客 に と っ て少 し もマ イ ナ ス 要 因 で は な の 第2項 い と思 わ れ る。 の 「夜 は タキ シ ー ドを着 られ るサ ラ リ と した 夜 気(日 中 の熱 暑 に も拘 らず)」 は な お,高 湿 度 の地 帯(日 本 列 島 の 夏 も含 め こ の 間 の 消 息 を示 す 。 タキ シ ー ドと はす な わ て)で ① の 厂服 を着 る」 こ とが 問 題 に な る の ち 「衣 服 」 で あ る 。 多 くの 場 合 熱 帯 又 は これ は男 性 の 場 合 で あ って,女 性 の服 装 は仕 事 着, に近 い地 帯 に在 る リゾ ー トに於 て も,人 々 は 遊 び着,正 男 女 夫 々 に お し ゃれ を して 人 に見 せ,人 温,高 から 見 られ た い 衝動 に か られ る。 そ の象 徴 が タキ ソ 装 を含 め た 極 め て 自由 で あ り,高 湿 に対 して 秀 れ た適 応 性 を持 つ こ と は 男 性 の ひ と し く羨 望 す る とこ ろ で あ る。 ワ レ シ ー ドと夜 会 服 で あ り,日 中 の熱 暑 と裏 腹 に, 日暮 以 後,空 (例,ダ 調 な しに,着 イ ニ ン グ,ダ 飾 って公 開の 場 ン ス フ ロ ア,ピ 第3節 風向 アノ 気 温 に勝 る と も劣 ら ぬ影 響 を観 光 産 業 に与 バ ー)に 現 れ得 る 気 候 はそ の リゾ ー トの優 位 え るの は風 で あ る。 和 辻 哲 郎 は,い み じ くも で あ り,世 界 の 多 くの 一 流 リゾ ー トは そ の 条 世 界 の 気 象 条 件 と民 族 の資 質 との 相 関 々係 を 件 を満 た して い る 。 検 した 著 者 に 「 風 土 」 の 名 を冠 した 。風 は, 後 に 詳 述 す る 如 く,ア ジ ア ・モ ン ス ー ン地 帯 は上 記 の条 件 を満 た し得 ぬ地 球 上 の1つ 無 気 質 に は,風 向 と風 力(風 の 特 殊 地 帯 で あ る 。 この 地 帯 は湿 潤 の 他 に 台 風, 一50一 速)の2要 持 つ 。 「風 」 に も ま た 観 光 産 業 に は観 光 客 素を 否,正 確 の許 容 す る風 力 の上 限,下 限 が あ り,観 光 産 業 に とっ て好 ま しい風 向 が あ を用 意 して 客 を待 つ 。 客 は1日 の水 浴,テ る 。 そ れ は東 風 で あ る6世 界 中 の海 洋 性,海 ス,ゴ 浜 性 リゾ ー トの 多 くは東 風 帯 に存 在 して い る。 一 般 に,他 の 条件 が 好 ま しい と考 え られ る 赤 識 して切 り上 げ,シ 道 無 風 帯 の南 北 両側 や カ リブ 海,ハ か してバ ー に く り込 み,カ ワ イ の季 ニ ル フ,乗 馬,甲 羅 干 しを こ の 時 間 を意 ャ ワー を浴 び,カ ジュァ ル ・エ レガ ンス 又 は カ ジ ュ アル ・シ ッ クで め クテ ル で 喉 を う る 節 風 も ま た東 風 で あ り,ハ ワ イ に於 て典 型 的 お し,バ に見 られ る よ うに,偏 東 風 は 島 の 脊 梁 山脈 に ィ をBGMに 当 つ て 雨 を降 ら し,湿 気 の 多 く を失 っ て 島 の ゾ ー トで 日毎 に 繰 返 え さ れ る 光 景 で あ り,多 西 岸 に 達 して 海 に抜 け,そ くの 観 光 客 に と って この 一 刻 は1日 こ に ワイ キ キ の リ ゾ ー ト地 帯 が あ る 。 話 は逆 で,通 ン ドの イ ー ジ ー リス ニ ン グ の メ ロデ 日没 を眺 め る。 全 世 界 の 海 浜 リ のハ イ ラ 年10∼25。C イ トと云 っ て好 い 。 そ の た め に は"日 が 西 に の 平 均 気 温 と好 天 に恵 まれ た こ の 地 域 に あつ 落 ち"て 貰 わ ね ば 困 るか ら,通 年 偏 東 風 で あ て,リ るが 故 に 島 の西 側 に 立 地 せ ざ る を得 ぬ ホ テ ル ゾ ー トは古 来,島 の 西 側 に造 られ た。 偏 東 風 は地 球 の 自転 と太 洋 と大 陸 の 分 布,地 に と って,太 球 が 球 型 で あ り地 軸 が 傾 い て い る こ と に よ る る。 日照 量 の差 とい う地 理 的事 実 に 由来 す る故, 東 は農 園 とサ ー フ ィ ン,西 は リ ゾ ー ト この よ うな 声然 の 法 則 に 人 間 が 人 為 的 な 力, 例 え ば経 済 力,政 治 力,行 陽が 西 に 沈 むの は神 の 恵 み で あ 偏 東 風 の 恵 み は他 に もあ る。 一 般 に偏 東風 政 指 導 で 逆 うの は 無 意 味 で あ り,古 来 人 間 は 自然 の法 則 を読 み, は島 の東 側 に風 浪 を もた ら し,西 側 に静 穏 な 水 面 を恵 む 。 ハ ワ イ で もマ ウ イで もグ ア ムで 自然 の 心 に の つ と って リゾ ー トホ テ ル を建 て もサ イパ ンで も,島 の東 側 の 方 が 西 岸 よ り降 て 来 たb「 楽 園 の 条 件 」 の 中 に 「西 向 きで あ 雨 量 が 多 く,従 っ て東 側 は 農 園 と な る。 タ ヒ ジ ヨ ク る こ と」 が 挙 げ ら わ れ て い る の は 冗 句 や レ ト リ ツ ク チ の よ うな小 規模 の 島 で も上 記 の 法 則 は よ く 言 葉 の 遊 びで は無 い 。 近 年 レジ ャー適 地 が 乏 行 な わ れ る と思 わ れ る。 し く な っ た 故 に,上 酒 に 弱 い 日本 人 テ ル,リ 記 「法 則 」 を 無 視 し た ホ ゾ ー ト計 画 が 進 め ら れ,失 敗 す る例 上 記 「ハ ッ ピー ・ツ ア ー の 法則 」 は 日本 以 が 散 見 され る の は故 な し と しな い 。 外 の 欧 米 諸 国並 び に欧 米 文 化 の 影 響 を受 け た ハ ッ ピー ア ワ ー 諸 地 域(日 本 以 外 の 殆 ん ど の リゾ ー ト)の 実 「西 向 き 」 で あ る こ と の も う 一 つ の 重 要 な 態 で あ るが,日 本 並 び に 日本 人 に は 適 用 され 利 点'は 日 没 を 観 賞 し得 る こ と で あ る 。 リ ゾ ー な い 。 何 故 な ら ば,日 本 人 の 観 光 客 は ハ ッ トの条 件 の 中 に ピー ア ワ ー とい う習慣 を持 た ぬ か らで あ り, そ の 理 由 は大 和 民 族 が 消 化 器 中 に ア ル コ ー ル 「日 が 西 に 落 ち る こ と」 と書 く と 人 は 失 笑 し,日 が 東 か ら昇 ち ず 西 に 落 ち な か っ た ら ど う す る,と う 嘯 く が,レ ジ ャー 分 解 酵 素 を 小 量(多 くの 場 合 無 視 可 能 な 微 産 業 就 中 国 際 観 光 の 実 態 を 知 ら ぬ 倨 傲:の言 で 量)し あ る 。 何 故 な ら ば リ ゾ ー トホ テ ル と 日没 と の ば酒 に弱 い か らで あ る。 問 に は密 接 な 関 係 が あ るか らで あ る。 日本 旅 館 で は夕 景 に客 が 着 く とお 部屋 へ お リ ゾ ー トホ テ ル に は ハ ッ ピー 一 一 ・ア ワ ー(happyhour)と 茶 とお 菓 子 を運 ぶ 習 慣 が あ り,お 茶 は多 くの い う言 葉 が あ る 。 酒 を飲 み 始 め る時 間 とい う意 味 で あ る。 ホ テ ル は 通 常 午 後 4時 半 か ら ハ ッ ピ ー ア ワ ー を 始 め,海 海 を 眺 め る バ ー を 開 き,バ チ ラ ン プ を と も し,エ か 分 秘 しな い か らで あ り,平 た く云 え の習 慣 は今 も継 承 され,店 浜又 は ン ド を 入 れ,ト 場 合 ポ ッ トで 代 用 され る よ う に な っ た が,こ ー キ ゾチ ック な カ ク テ ル 一51一 ビ ス と信 じ てヤ・る が,酒 で)喉 も客 も当然 の サ ー を 飲 む前 ・ に(お 茶 を潤 し,甘 い もの を食 べ る とい う"呑 兵 衛"は 居 ない 。 上 記 の 習慣 は大 和 民 族 が 体 質 的 に 酒飲 み で な い こ と を示 して い る 。 日本 の 遠 因 とな る 。 熱 海 は 東 向 きで あ り 日の 出 の 以外 の 「 外 国」(イ ス ラ ム 圏 を除 く)人 に と 美 しさ を誇 るが,普 通 観 光 地 の泊 り客 は 日の つ て夕 暮 れ 時 は カ クテ ル を飲 む時 間,、或 は カ 出 の 時 刻 に は 寝 て い る。 こ れ に 反 し,日 没 時 ク テ ル に よ っ て代 表 され る酒 を お い し く飲 み, に寝 て い る客 は居 な い 。 収 益 の 点 か ら見 る に, 夕 食 の た め に体 調 を整 え る時 刻 で あ る。 酒 を 欧 米 の 観 光 地 の ホ テ ル,レ お い し くす る の は 喉 の 乾 き と空 腹 で あ る。 夕 ピ ー ア ワ ーす な わ ち概 略4時 半 か ら8時 に及 刻 客 が 着 く と同 時 にお 茶 とお菓 子 を捧 げ る 日 ぶ 時 間 帯 にバ ー,テ 本 の観 光 旅 館 の風 習 は,繰 返 え す が,大 和 民 し,日 本 の 観 光 旅 館 で は こ の 時 間 帯 に無 償 の 族 が本 質 的 に酒 飲 み で な い こ との証 左 で あ る 。 お茶 と菓 子 を提 供 して い る 。 欧 米 の リゾ ー ト 日本 人 が 酒 飲 み で な い こ との も う一 つ の証 開 発 の 中 に 「西 向 き」 が 重 要 々 件 で あ る に反 ス トラ ンはハ ッ ラ ス で充 分 に稼 ぐの に反 サ ビス 左 に 食 前 酒 の 欠 落 が 挙 げ られ る。 欧 米 で は し,日 本 に於 て は 殆 ん ど関心 が 示 され ぬ 理 由 パ ーテ ィで も食 堂 で も航 空 機 の 中 で も家 庭 で は,深 も,客 く 日本 人 の飲 酒 習 慣 に根 ざ して い る。 は椅 子 に 坐 る か 坐 ら な い か の う ち に (家庭,パ ー テ ィで は坐 らぬ うち に), 「 何 を お飲 み に な り ます か?」 第4節 の 質 問 を受 け る。 す な わ ち ハ ッピ ー ア ワ ー で あ る。 客 は カ ク テ ル,シ ゾ ー ト客 が 許 容 す る風 力 に は上 限 と下 限 が あ る。 下 限 が あ る と い う意 味 は無 風 は不 可 と云 う こ とで あ る。 風 ャ ンパ ン の杯 を手 は無 い方 が好 い と い う もの で は な い 。 微 風 は に,そ の味 を楽 しみつ つ 夕 食 を待 つ 。 日本 の場 合 は,客 は宴 会 場 に導 か れ,目 風力 既 述 の通 り,観 光 地,リ の 涼 しさ を もた らす 。 無 風 で は ヨ ッ トもセ イ ル 前 の机 の上 に並 べ られ た ビ ール 瓶 が 徐 々 に温 ボ ー トも動 か な い 。 リ ゾ ー トと して の 他 の条 る の を 眺 め つ つ 睨 みつ つ 恨 み つ つ 長 い ス ピ ー 件 を満 た して い て も極 端 に無 風 の 地 域 は熱 暑 チ に耐 え,ひ た す らに 司 会 者 が 開会 を宣 して, 「乾 杯!」 に過 ぎて観 光 客 が 居 た た ま れ な い(例,バ ス ポ ー ツ と風 と叫 ぶ まで 待 つ こ と を当 然 の習 慣 と して 受 風 向風 力 が 問題 と な る レジ ャ ー,ス ポ ー ッ け入 れ て い る。 日本 の 観 光 地 の ホ テ ル,旅 館 の宴 会 の 開 始 は6時,乾 杯 は7時 近 くに な る が 近 年 増 加 の傾 向 にあ る 。 のが 普 通 で あ る。 これ に反 し,欧 米 人 は一 般 に5時 モ ァ ッ,ニ ゴ ー ギ ニ ア の 一 部)。 ① 熱気 球 を過 ぎれ ば飲 み 始 め る 。 欧 米 と 日本 の 熱 気 球 は世 界 の 観 光 地 で観 光 客 に有 料 で こ の習 慣 の 違 い は,大 和 民 族 が 欧 米 人 に比 し 体 験 さ れ て い る。 熱 気 球 は 自走 力 を持 た ぬ て 酒 に 執 着 が 無 い こ と を示 して い る。 「吉 兆 」 故,一 定 時 間,極 め て軽 微 な風 が 一 定 方 向 に招 か れ た あ る フ ラ ン ス 人 は 出 され た 日本 料 に吹 くこ と を前 提 とす る。 欧 米 ・地 中 海 等 理 の 表 現 の見 事 さ と美 味 に 驚 嘆 し なが ら も, で は上 記 の 条 件 を満 た す 環 境 を見 出 す こ と 最 後 に 「一 つ 尋 ね た い。 日本 人 は何 故 サ ケ の は必 ず し も困 難 で は な い(例,ブ 銘 柄 を指 定 せ ず 店 の恣 意 に 委 せ る の か?」 ュ渓 谷,地 と ル ゴ ーニ 中 海 の 夕刻 等 々)が,ア ジァ ゼ 訝 つ た と云 う。 欧 米 に於 て ワイ ン を選 ぶ こ と モ ンス ー ン地 帯,例 は 食 事 そ の もの 以 上 の客 の 楽 しみ だ か らで あ 道)で る。 に近 い状 態 が 定 安 的 に継 続 す る こ とが 稀 だ は無 風 か らで あ る。 大 和 民 族 が アル ニ ー ル飲 料 に弱 く,従 っ て 飲 酒 に恬 淡,無 え ば 日本 列 島(除 北 海 は至 難 と思 わ れ る。 微 風,又 関 心 で あ る こ と は,日 本 の 旅 ② ハ ング ラ イ ダ ー 館 が 立 地 の 条 件 と して 落 日 に こ だ わ らぬ こ と 一52一 宇 宙 技 術(NASA)に よ り開 発 され た 極 め て 安 定 性 の あ る翼 型 の 下 に 人 間 を懸 下 す 波 乗 り板 に 帆 を つ け た 簡 易 な 帆 走 ス る ハ ン グ ラ イ ダ ー は世 界 的 に一 般 化 し,ひ ポ ー ツ 器 具 で あ っ て,近 年 ヨ ッ トハ ー と頃 は ス パ イ,冒 険 映 画 の道 具 だ て に現 れ バ ー の 供 給 難 に よ る艇 置 き料,碇 泊料 の て人 々の 眼 をそ ば たて た。 ハ ング グ ラ イ 高騰 に伴 い,若 者 は砂 浜 か ら出 艇 出来 て ダ ー を楽 しめ る風 の 条 件 も熱気 球 に準 ず る。 棚 に 格 納 出 来,、自 動 車 で 運 べ る ボ ー ド セ ー リ ン グ に"逃 ③軽飛行機 か つ て の軽 飛 行 機,セ ス ナ等 よ り も よ り 簡 易 な,上 記 の ハ ン グ ラ イ ダー に小 型 エ ン ジ ン を付 け た だ け の よ う な軽 飛 行 機 も ま た 一般化 し ,極 く普 通 の1/ジ ャー と して普 及 して い る。 上 記 ① ② ③ の簡 易 な 空 中 飛 行 レジ ャ ーが わ げ 場"を 求めてい る く特 に わ が 国 の場 合)。 ボ ー ドセ ー リ ン グ に は微 風 が適 す るが, 特 別 の ケ ー ス と して 曲芸 的帆 走 を競 う場 合 に強 風 と高 波 の 合 成 す る海 域 を 求 め る 。 一 般 に レー ス 施 行 の風 速 は10ノ ッ トと15 ノ ヅ ト(1ノ ッ トは 風 速1浬/h,概 略 が 国 に於 て 普 及 しな い 理 由 は3つ あ り,そ の 風 速0.51n/sec)の 1は 官 憲 に よ る取 締 りで あ り,そ の2は 注 意 を要 す るめ は,遊 戯 的 ボ ー トセ イ リ 日本 間 あ た りが 好 ま しい 。 列 島 の 狭 隘 さ に依 る適 地 難 で あ り,そ の3は ング で は風 速 ゼ ロ は往 々 に して 命 取 りに 日本 列 島 の気 象 で あ る 。 な る 点 で あ る 。風 に乗 っ て沖 へ 出,風 上 記 軽 飛 行 遊 戯 は そ の性 質 上,微 風 又 は無 無 くな っ た場 合,搭 が 乗 者 は 帆 をた た み, 風 状 態 が 安 定 的 に継 続 す る こ とを要 し,尚 且 ボ ー トを手 で 漕 い で 岸 に帰 っ て 来 な け れ つ,そ ば な らな い 。 こ の 場 合,附 近 に船 が 居 ず, の よ う な天 候 の 頻 度 が そ の遊 び が 商 売 と して 成 立 つ 位 に 頻 繁 で あ る こ とが 求 め ら れ 逆 に 強 風 が 沖 へ 向 って 吹 い て い る 場 合, るが,そ 未 熟 練 者(で の よ うな 天 候 は わが 国 で は 望 み 得 べ く もな い 。 加 え て,国 土 の 狭 隘 に起 因 す る 地 な くと も)の 命 は風 前 の 灯 と な り得 る。 沖 で 無 風 と な り,附 近の 価 の 高 騰 が 空 中 レ ジ ャ ー産 業 の損 益 分 岐 点 を モ ー タ ー ボ ー トに 助 け を求 め る ボ ー ド 引 き上 げ る。 セ ー ラ ーの 姿 は 近 年 湘 南 の夏 の風 物 詩 と ④ サ ー フ ィ ン,ボ ー ドセ イ リ ング ハ ワ イ の例 に 顕 著 に見 られ る如 く,従 来 ウ イン ドサ イ ド は見 捨 て られ て い た 島 の 東 側,風 側 が な っ て い る。 ii)小 型 ヨ ッ ト,通 稱 デ イ ン ギ 手 漕 ぎボ ー トに 帆柱 を立 て た だ けの 簡 サ ー フ ィ ン の適 地 と して 注 目 され て い る 。 易 な もの か らオ リ ン ピ ック競 技 種 目艇 ま 波 の 高 さ は海 上 を 渡 る風 の 強 さ と,そ の風 で 各 種 あ り,日 本 で は"デ イ ンギ"と 俗 が 渡 っ て 来 た距 離 の 函 数 で あ る か ら,ハ 稱 さ れ て い る。 この艇 種 は微 風 ワ 軽 風用 イ の 如 く東 側 に大 洋 を控 え地 形 よ ろ し き を で あ り,稀 に レー 入 の 場 面 で 強 風 を利 す 得 れ ば,す る場 合 もあ るが,押 な わ ち,「島 の 風 側 で あ る東 岸 が 岩 礁 で な く砂 浜 で あ れ ば,サ ー フ ィ ン, し なべ て 日帰 り用 で あ っ て あ る程 度 以 上 海 が 荒 れ て来 れ ば港 ボ ー トセ イ リ ング の うち ア ク ロバ ッ トな パ に避 難 し,競 技 も中 止 され る。 厨 房,便 フ ォ ー マ ン ス の 適 地 を醸 成 す る可 能 能 性 が 所 等 生 活 機 能 を欠 く。 生ず る。 iii)外 洋 帆 走 艇(オ ー シ ャ ン ・ク ル ー ザ ー) ⑤ ヨット ヨ ッ ト の 場 合 は 艇 の 大 き さ,目 厨 房,便 所,寝 的別に 台,要 す れ ば シ ャ ワ ー 等 の 生 活 機 能 を備 え.エ ン ジ ンを 持 ち, 夫 々 の最 適 風 力 を持 つ 。 例 え ば, 船 底 に 垂 錘 を持 っ て 略180度 の復 原 力 を i)ボ 有 し,強 固 な船 体,帆 ー ドセ ー リ ン グ 一53一 柱,帆 装,索 具を 備 え て,数 日,数 十 日,時 洋 航 行 に 耐 え,理 に数 カ月 の外 適 」 の た め に 使 う こ と が 出 来 る 。 同 じサ 論 上 は如 何 か る荒 天 下 イ ズ の 帆 走 艇 す な わ ちSYに 比 べ,MY に あ っ て も安 全 に 航 海 を継 続 し得 る 船 型 は 格 段 に 立 派 な 寝 室,ト と 期 待 さ れ て い る 。 当 然,本 パ ーテ ィ用 の 甲板 … … を楽 しみ 得 る 。 世 船 型の許容 す る 風 力 は 零 と 。。の 問 で あ る 。 iv)ヨ ロ ン, 界 の 海 の プ レ ジ ャ ー ボ ー トの 過 半 がMY ッ ト で あ るの は こ の理 由 に依 る 。 本 来 の 語 義 に よ るyachtと は 「 個 人で 既 述 の 如 くiv)v)2種 所 有 す る遊 び の た め の 贅 沢 な船 」 と規 定 さ れ,こ イ レ,サ (モ ー タ ー ボ ー ト,モ の定 義 に 従 え ば帆 走 艇 で あ る必 理想の海況 は 類 のMY ー タ ー ヨ ッ ト)の 「 無 風 ・平 水 」 す な わ ち 油 要 は 無 く,事 実 全 世 界 の 海 を 遊 弋 す る "ヨ ッ ト"の 大 部 分 は 帆 走 艇 で は な く機 凪,べ 走 艇 で あ り,両 海 洋 嗜 好 性 が 高 い 故,「 無 風 ・平 水 」 で して この 条 件 を満 た す 。 欧 米 人 は秀 れ て 者 は 夫・ 々MY(motor yacht),SY(sailingyacht)の2字 た 凪 で あ る。 地 中海 の 夏 は往 々 に な くて も 略 こ れ に 準 ず る 海 況 で あ れ ば 白 を船 名 の 前 に 附 し て 区 別 さ れ て い る 。100フ 波 を 蹴 立 て て 艇iを疾 走 さ せ,波 ィ ー ト を 越 す 豪 華 ヨ ッ ト は"メ 歓 声 を あ げ,烈 ト"(megayacht)と v)モ ガ ヨ ッ 誇稱 される。 の み な ら ず,カ 日本 人 が 夏 に海 浜 で 見 か け る モ ー タ ー ボ ー ト は"ヨ は メ ガ ヨ ッ トと呼 ば れ る。 リ ブ 海,ハ 類 は 帆 走 艇 で は無 い が i)∼v)に 抱 括 さ れ る"船 遊 び"は 世界 光地 の 普 遍 的 な 遊 び で あ り,彼 ボ ー ト)と 在 り得 ず,海 は 零 か ら ・・に 及 ぶ が,概 況 と は 主 と して 「風 」 で あ 時 に20ノ モ ー ター ボ ー ト は 極 め て ぜ い 弱 な 「船 」 で あ っ て 元 力 に 乏 し く,軽 た め に 船 体 強 度 は 低 く,走 発 し,少 し て5及 し波 が 立 て ば 震 動 や 波 の打 撃 に 天 時の 海,太 至10ノ ー トル)の 中 海,カ ゾ ー ン,謂 所"南 太 平 洋"の 気 象 は よ く上 記 の 期 待 に 応 え 得 る も の と思 わ れ る 。 天 候 定 ら ず,裸 で い ら れ る 夏 期 は1カ 月,そ は,モ づ つ 嵐 が 何 処 か で 発 生 し て い る"(日 ノ ッ ト=1852m/h)の 字 通 り"脱 優 速 を 利 し て,文 兎 の 如 く"港 ッ ト乗 りの 云 い 伝 え)日 ぺ 逃 げ込 む の が 唯 一 の 生 残 り法 で あ る 。 「箱 」 に 過 ぎ な い か ら, 船 の容積 の殆 ん どすべ て を の期 間 に を 通 じ"1日 に2つ 本 の ヨ 本 海 域 の 気 象 条 件 は, ー タ ー ボ ー ト等 海 洋 レ ジ ャ ー の 観 園 の 条 件"の 対 極 に位 置 す る も の と思 わ れ る 。 住 性 で あ る 。 モ ー タ ー ボ ー トは船 底 に エ ン ジ ン を積 ん だ ヨ ッ ト,モ 点 か ら も上 記"楽 速 度 の 次 の モ ー タ ー ボ ー トの 利 点 は 居 リブ 平 洋 の 赤 道 の 両 側 俗 稱 カ プ リ コー ン ・ 台 風 が 頻 繁 に 訪 れ,1年 ッ ト(1 ッ ト, 風 が安定 し 生 存 力 は低 い 。 悪 天 候 が 予 想 さ れ る場 合 ー タ ー ボ ー トは20∼30ノ ッ ト, 日 が 輝 き裸 に 近 い 姿 で い ら れ る 気 象 条 件 が 望 ま しい 。 重 ね て,地 量化 の 航 中 は轟 音 を よ っ て 乗 り心 地 は 極 度 に 悪 く,荒 女 ら(ヨ そ の 客 の求 め る海 況 つ ま りは風 速 ッ ト(約10メ て 吹 き,烈 ,・高 速 で 疾 走 す る 必 要 上 吃 水 が 浅 く,復 太平 世 界 の リ ゾ ー ト,観 「船 」 で あ る 以 上 海 況 の 影 響 を 埓 外 に は る。 ワ イ,南 る。 的 規 模 で 普 及 し,全 iv)v)の2種 裸 洋 の リ ゾ ー トの 海 で の 一 般 的 な 情 景 で あ 大で贅沢 なモー ター ッ ト"又 の衝 撃 に 若 男 女,半 全 裸 で ボ ー ト遊 び を 楽 し む 光 景 は 地 中 海 ーターボー ト ボ ー トで あ っ て,巨 日 の 下,老 「贅 沢 」 「快 一54一 台 風 ・ハ リ ケ ー ン に つ い て あ る 程 度 以 上 に 強 力 な 風 が ホ テ ル,リ ゾー トに 与 え る 影 響 は休 業 と破 壊 で あ り,そ の最 カ の 中 央 平 原 を 覆 う風 車 又 は そ の 残 骸 は,こ の地 に 吹 く風 が 「 暴 風 」 で な い こ と を示 して い る 。 す な わ ち風 車 並 び に石 造 の風 車 小 屋 を 倒 壊 粉 砕 せ しめ ぬ 限 度 内 の 季 節 風 で あ る。 こ れ に 反 し,ハ リケ ー ン,台 風 の如 き極 度 に発 達 した 熱 帯 性 低 気 圧 は大 暴 風 と化 し,そ の 中 心 の 通 過 す る道 筋 に存 在 す る あ らゆ る 自然 物, 人 工 物 を壊 滅 し,水 没 させ,強 風 と激 流 に よ っ て 烏 有 に帰 せ しめ,人 間 は これ に対 抗 す る 方 策 を持 た な い 。 この 問 の消 息 を和 辻 はす で に 「風 土 」 の 中 で 適 確 に表 現 して い る。 リゾ ー トと して の 地 中 海 の 優 位 世 界 に は そ の気 象 条 件 が 「楽 園 」 に適 す る 3つ の 観 光 地 帯 が存 在 す る 。 図2人 地 中海,南 太 平 洋,カ 口に膾多された地 中海の季節風を示 す陶版 リブ 海 の3者 であ り ハ ワ イ を含 む北 太 平 洋,東 南 ア ジ アが こ れ に た る もの は強 力 な 熱 帯 性 低 気 圧 す な わ ち台 風, ハ リケ ー ン等 の 名 を冠 せ られ た 暴風 で あ る 。 続 く。 これ ら の楽 園適 地 の うち 地 中 海 だ けが 暴 風 例 え ば,地 中 海 に暴 風 は な い 。 強風 と暴 風 は同 じで は な い 。 す な わ ち熱 帯 性 低 気 圧 の埓 外 にあ る。 「地 中海 は我 々 の 考 え る よ う な海 で は な い 。 ホ メ ロ ス の 昔 か ら有 名 な 通 り,地 中海 並 び 地 中海 の航 行 に関 して は す で に 『オ デ ュ ッセ に そ の 沿 岸 に は シ ロ ッコ,ミ ス トラ ル … … 等 イ ア』 が きわ め て 確 な知 識 を披 瀝 して い る。 の 名 を冠 せ られ た 強 力 な季 節 風 が あ り,風 速 そ れ ほ ど地 中 海 は航 海 に便 なの で あ る 。 島 が は 時 に25∼30ノ ッ トを越 え,1週 も 多 い 。 港 湾 が 多 い 。 霧 な ど は な くて遠 望 が き レア レス 群 島 に卓 越 す る季 よ る方 位 の 決 定 が 容 易 で あ る。風 は きわ め て 間,10日 吹 き続 け る 。 地 中 海 沿 岸,バ く。7カ 節 風 を図2に 示 す 。 月 ぐ らい は好 天 気 が つ づ き,天 体 に 規 則 正 し く吹 い て い る。 陸風 と海 風 との 交代 繰 返 えす が,こ れ らの季 節 風 は"暴 風"で も き わ め て 規則 正 しい 。 だ か ら地 中海 は 海 の は無い。 民 族 に と って の 子 供 部 屋 だ と言 わ れ て い る」 これ ら の 強 力 な季 節 風 は そ の 強 度,頻 度, (「風 土 」)。 季 節 等 を予 想 して 対 策 を講 じ得 る程 度 の風 で 試 み に 日本 人 が 休 暇 を過 す た め の ヨ ッ トを あ る。 バ レ ア レ ス群 島 の 主 島 パ ルマ の 中 央 平 購 入 し,こ れ を終 年 厂楽 園 」 に係 留 して 休 暇 原 に は,今 で も数 百 の風 車 又 は そ の残 骸 を見 毎 に航 空 機 で 現 地 に 赴 くバ カ ンス 型 態 を選 ん る こ とが 出 来 る 。 こ の 島 の 唯2つ だ とす る。 こ れ は 欧 米 で は極 く普 通 に 行 な わ の農 産物 ア ーモ ン ド とオ リー ブ の う ち の オ リー ブ の搾 れ て い る休 暇 の過 し方 で あ る 。 この 場 合,地 油 のエ ネ ル ギ ー源 は か つ て 季 節 風 で あ り動 力 中 海 だ けが 彼 又 は彼 女 の ヨ ッ 源 は風 車 で あ っ た 。風 力 は電 力 に代 り,風 車 トの 安 全 を保 障 す る。 何 故 な らば,地 は放 置 され て枯 ち る に委 さ れ る か観 光 資 源 と は風 浪 に対 して マ リ ー ナ,港 湾 の 防 波 堤 が充 して生 か さ れ て い る の はエ ー ゲ 海 ミ コ ノ ス の 分 に機 能 す る か らで あ る。 彼 又 は彼 女 が1ん 丘 の上 の風 車 と同様 で あ る 。広 大 なマ ジ ョル 2カ 月 の夏 休 み を船 上 で 過 して 帰 国 し,10カ 一55一 中海 で 月 間 船 をマ リ ー ナ に放 置 し,翌 年 の 夏 に再 び 訪 れ た 時,10カ,月 前 と同 じ よ う に泊 地 に浮 ん で い る愛 艇 を見 得 る と期 待 され る。 ア ジ ア ・モ ンス ー ン地 帯,カ イ,グ リブ 海,ハ ト との 相 関 々 係 は 明 か で あ る 。 風 は 常 に リ ワ ア ム等 で はそ うで は な い 。 これ らの 島 々 にあ って は,若 上 記 の 例 の 「ヨ ッ ト」 を 「ホ テ ル 」 又 は 「リ ゾ ー ト」 と置 き替 え れ ば,「 風 」 と リゾ ー ゾ ー トの存 立 に重 大 な 影 響 力 を持 つ 。 就 航 中, 台 風,バ し万 一 台 風 リ、 ケ ー ン等 の熱 低 の 発 生 頻 度 とそ の 経 路 は リゾ ー トの 死 命 を 制 し得 る 。 ハ リケ ー ンが そ の 地 を通 過 した場 合 は ,た と え現 地 の マ リ悟 ナ の保 管 担 当者 が如 何 に善 意, 熱 低発生 のメカニズ ム 真 摯 な 努 力 を払 お う と,暴 風 の威 力 が あ る限 生 条 件 は海 面 の 幸 均 水 温 が27℃ 界 を越 え れ ば人 力 の及 ぶ 限 りで は無 く,件 の と で あ っ て,27QC未 艇 の安 全 を保 証 し得 るの はお 祈 り と保 険 だ け が 発 生 す る こ と は な い(第4,5図)。 で あ る 。 ア ジ ア ・モ ンス ー ン地 帯 の縁 辺 に あ よ り低 い水 温 の 海 面 で は熱 低 は急 速 に エ ネル り,台 風 の経 常 通 路 で あ る 日本 列 島(図3)に ギ ー を失 っ て そ の 勢 力 を滅 衰 す る。 従 って 北 あ って は,極 太 西 洋,南 く普 通 の台 風 が あ る々 リー ナ を 気 象 学 の教 え る と こ ろ に よれ ば,熱 低 の発 を越 え る こ 満 の水温 の 海面 で熱 低 これ ヨ ー ロ ッパ 近 海 に は 台 風,ハ リ 直 撃 しな か った 場 合 で も,防 波 堤 が 倒 壊 し在 ケ ー ン は無 い。 一 方,カ 泊 ヨ ッ トめ過 半 が 沈 没,大 破 し た例 が あ るb に か け て は高 名 な ハ リケ ー ンの 発 生 ・通 過 地 リブ 海 か らフ ロ リ ダ で あ る 。 台 風 の主 な る発 生 地 で あ る南 太 平 洋, 正 確 に は北 太 平 洋 赤 道 近 傍 に あ って も,仏 領 ポ リネ シ アの ソ シエ テ群 島 附 近 で は,水 温 が 辛 う じて270Cを 保 つ 程 度 な の で,発 生ゼロ と は云 え ぬ が そ れ に近 く,マ ル ケ サ ス 群 島 の 東,「 バ ウ ン テ イ号 の 叛 乱 」 で 名 高 い ピ ッ ト ケ ア ン島 に 至 る と水 温 が急 降 下 し台風 発 生 は ゼ ロ とな る 。 来 襲の頻度 リ ゾ ー トの 条 件 と して は,も とよ り,台 風 ハ リケ ー ンの如 き対 処 不 能 な気 象 の存 在 皆 無 が 望 ま しいが(そ 満 た す が),一 して,地 中海 はその条件 を 方,地 球 上 に は 太 平 洋 に もカ リブ 海 に も,台 風,ハ リケ ー ン通 路 に無 数 の リゾ ー トが 古 く よ り散 在 して い る。 こ れ ら リ ゾ ー トの 生 存 を規 定 す る の は,台 風,ハ リ ケ ー ンの 来 襲 頻 度 で あ る。 来 襲 頻 度 が 一 定度 数 以 下 で あれ ば,そ して 他 の魅 力 が 秀 れ て い れ ば,件 の リゾ ー トは来 襲 の た め の 稼 働 率 の 低 卞,損 害 か らの修 復 の た め の 時 間 と費 用 に 耐 え て 営 業 を継 続 し得 る。 フ ロ リ ダ,カ 図3日 リブ 本 に上 陸 した主 な 台風 経 路 「日本 ・世界 の気 候 図」 海,ハ (1985,東 京堂 出版) リ ケ ー ンの 被 害 に耐 え て リゾ ー トと して 営 業 ワイ,グ ア ム等 々 が 度 重 な る台 風,ハ を継 続 して い る の は,来 襲 頻 度 が あ る限度 以 一56一 図4熱 図5熱 帯低気圧 の発生地域 と年間発生数 帯低気圧の経路の概略 とそれぞれの半球の夏の表面海水温 「日本 ・世界の気候図」 下 に 収 ま っ て い る か ら で あ り,そ く,「 年 に何 回」 時 に 「年 に 十 何 回 」 の 頻 度 れ ら の地 域 の リ ゾ ー ト と し て の 魅 力 が 台 風,ハ で あ る こ とは よ く知 ら れ る 。加 え て 台 風,ハ リケー ン の 被 害 と不 評 を カ バ ー して 余 り あ る か ら で あ リケ ー ン は夏 の観 光 シ ー ズ ンの 最 中,又 り,そ の 前 後 に襲 う。 日本 列 島 は も と よ りリ ゾ ー ト し て ま た,「 観 光 」 が 夫 々 の 土 地 の 第 1の,往 々 に して 唯 一 の 産 業 で あ って 止 め る 適 地 で は な い が,若 し他 の 条件(気 はそ 温 等)が リ ゾ ー トに 適 す る と仮 定 して も,「 風 」 就 中 訳 に い か な い か らで あ る。 一 般 に 西 太 平 洋 地 区 の台 風 に比 して東 太 平 台風 の観 点 に 立 て ば最 悪 の 条件 を具 備 して い リ ブ海 の ハ リケ ー ンの頻 度 は少 い 。 ハ る と云 わ ね ば な ら ず,「 気 温 」 的 に見 れ ば わ ワ イ に あ っ て も カ リ ブ 海 に あ っ て も南 太 平 洋 が 国 唯 一 の リ ゾ ー ト適 地 で あ る沖 縄 の観 光 業 或 は マ リ ア ナ 地 区 に 於 て も,台 の 不 振 の理 由 の 一 半 は 同 地 が 台 風 の 通 路 に位 洋,カ 風,ハ リケ ー ン は 西 暦 年 数 に よ っ て 記 憶 さ れ る 。 例 え ば, 置 す る為 と思 われ る。 「1963年 の ハ リ ケ ー ン 」(ニ ュ ー オ リ ー ン ズ を 直 撃),「1992年 之 を要 す る に,日 本 列 島 は ア ジ ア大 陸 の 東 の縁 辺 に位 地 し,大 陸気 団 と太 平 洋 気 団 の 境 の ハ リ ケ ー ン 」(ハ ワ イ 群 島 カ ウ.ワイ 島 を 直 撃)等 に か ん が み る に,数 々 で あ る。 之 等 の 経 験 年 に1回 目に あ り,大 陸 又 は東 支 那 海 ・南 支 那 海 に発 程 度 の被 害 か ら 生 す る低 気 圧 の通 路 で あ る こ とは,気 象 学 並 は リ ゾ ー ト は 充 分 に 立 ち な お り得 る も の と思 び に 過 去 の デ ー タ の 示 す と こ ろ で あ り(図 わ れ る。 8),そ の 故 に この 国 の 天 候 は変 り易 く,巷 ケ ス 日本 列 島 の 場 合 これ に ひ きか え,ア 間 云 わ れ て い る如 く 「次 の 休 日が晴 れ るか 曇 ジ ァ ・モ ンス ー ン地 帯 る か 降 るの か を予 言 し得 る人 間 は 天気 予 報 官 に於 け る 台 風 の来 襲 は 「 何 年 に一回」で はな を 含 め て こ の 世 に は存 在 しな い 」。 加 え て ア 一57一 ジ ア ・モ ンス ー ン地 帯 の 名 の 示 す 如 く,或 は 指 摘 して 来 た通 りで あ る。 山 本 七 平 が 夙 に指 摘 し た如 く,「 日本 で は安 全 と水 は無 償 で あ る」 と云 わ れ る如 く降 雨 に 第5節 恵 ま れ て い る。 す な わ ち,厂 晴 天 が 安 定 的 に 観 光 客 は晴 天 を好 む。 観 光 地 の 条 件 の 第 一 晴天率 続 く」 と い う リゾ ー トの条 件 の対 極 の 気 象 を は 晴 天 で あ り,雨 は 観 光,リ 持 つ 日本 に於 て リ ゾ ー トを営 業 す る こ との難 ャ ー の 最 悪 の 敵 の 一 つ で あ る か ら,観 光 客 は か し さ は,わ が 国 の 観 光 産 業 界 の 識 者 が 夙 に あ る観 光 地 の 「乾 期 」 に集 中 す る。 本 稿 冒 頭 図6ア ジ ア ・モ ン ス ー ン 地 帯(斜 NATIONALGEOGRAPHIC,July,1975 一58一 線 の 部 分) ゾ ー ト,レ ジ に記 した 如 く,観 光 地 に と っ て,つ ま りは観 前 提 に して計 画 を立 て ね ば な ら な い。 光 客 に と って 問 題 な の は必 ず し も 厂雨 量 」 で は な い 。 沛 然 た る ス コ ール の後 に サ ツ と輝 く 陽 光 は観 光 地 の 点 晴 た り得 る。 観 光 地 の 集 中 す る低 緯 度 地 帯(熱 帯,亜 熱 帯)の 象学者 はdryseason(乾 と観 光 業 者 第6節 潮位 観 光 地 の 選 択 に 当 って 無 視 得 ざ る条 件 の一 天 候 を気 つ に 潮位 が あ る。 潮 位 と は干 満 の差 で あ っ て 一 般 的 に は少 い ほ ど好 い 。 例 え ば ヨ ッ トハ ー バ ー,マ リ ー ナ,海 違 う云 い方 をす れ ば,気 象 学 的,観 光 学 的 に 合,A地 の 干 満 の 差 は 零,B地 は この2大 別 以 外 は あ ま り重 要 で な い 。 地 球 10メ ー トル と す れ ば,建 上 の 気 象 分 類 に は,こ の 他 にcoldseason で ある。 (寒候 期),warmseason(暖 候 期)の2つ 期),wetseason(雨 期)の2つ に大 別 す る 。 が 浜 の ホ テ ル を建 設 す る 場 の干満 の差 は 設 コ ス トの 差 は 歴 然 欧 米 に於 け る レ ジ ャ ー の 大 宗 で あ る ヨ ッ ト あ るが,観 光 的 に は あ ま り重 要 で は な い 。 寒 に つ い て 考 え て 見 る に,干 候 期 の あ る よ うな 高 緯 度 地 帯 は巡 遊 観 光 地 た ル あ る 北 仏 ノ ル マ ン ジ イ,ブ り得 て も滞 在 観 光 地 す な わ ち リ ゾ ー トと して て は,ヨ は無 視 し得 る か らで あ る 。 ば な らず,干 満 に 合 わせ て 浮桟 橋 を上 下 させ ア ジ ア ・モ ン ス ー ン地 帯 に つ い て る た め に十 数 メ ー トル の鉄 の 支柱 を杯 立 させ, 満 の 差 が10メ ー ト ル タ ー ニユ に於 ポ ン ツ ン ッ トの桟 橋 はす べ て 浮 桟 橋 で な け れ 図6に 示 す る如 く,ア ジ ア ・モ ンス ー ン地 干 潮 時 の浮 桟 橋 へ 人 が 登 り降 りす る た め に充 帯 とは 地 球 上 の あ る一 部 に存 在 す る特 異 な気 分 な長 さ の可 動 式 の 斜 路 で岸 と浮 桟 橋 を継 が 象 条 件 の 地 域 を指 す 。 わ れ等 日本 人 は夏 の 高 ね ば な らな い。 温 多 湿 を世 界 普 遍 の 気 候 と錯 覚 して 来 た が, 北 太 西 洋 にハ リケ ー ンが 無 い の が 幸 いで あ 欧 米 に於 て は違 う 「夏 」 が 存 在 し,地 球 的 に る。 見 れ ば 夏 の 高 温 多 湿 は ア ジ ア ・モ ンス ー ン地 ノル マ ン ジ ィの あ るマ リー ナ は,港 の 口 に ロ ック 帯 の特 異 な気 候 条 件 で あ る。 和 辻 は こ の差 を 閘 門 を設 け,満 潮 時 に開 き,干 潮 前 に閉 じる。 明 快 に記 述 して い る 。 「ア ジ ア 大 陸 とイ ン ド洋 との特 殊 な 関 係 か ら 潮 が10メ ー トル引 い て もマ リー ナ の 水 面 は満 太 陽 が 赤 道 を北 に超 えて よ り また 南 に超 え る て い るが 海 へ 出 て行 く こ と は 出来 な い 。 た ま , 潮 時 の 高 さ に維 持 され,ヨ ッ トは 水 面 に浮 い まで の夏 の 半 年 は,南 西 モ ンス ー ンが 陸 に 向 た ま帰 港 した ヨ ッ トは マ リ ー ナへ 入 る こ とは か っ て吹 き,冬 の 半 年 は北 東 モ ンス ー ンが 海 出 来 ず,遙 か 沖 合 の 水 面 で 満 潮 を待 た ね ば な に向 か って 吹 く。 特 に夏 の モ ンス ー ン は,熱 らぬ 。 この よ う な不 便 を承 知 で マ リー ナ を造 帯 の 大 洋 にお い て極 度 に まで 湿 気 を含 み 込 ん り,そ の社 会 的 コ ス トを負 担 す る フ ラ ンス 人 だ 空 気 を 強 い 風 力 に よ っ て 陸 に 吹 きつ け る の は,少 で あ るが ゆ え に,世 界 にお け る 一 つ の 特 殊 な 人 は,根 っか ら の海 洋 民 族 と思 わ れ る 。 風 土 を作 り出 して い るの で あ る 。 くと も ブ ル タ ー ニ ユ 人,ノ ルマ ンジイ 観 光 業 と して は ま こ と に幸 い な こ と に,一 モ ンス ー ン は季 節 風 で あ る。 が,特 に夏 の 般 に大 洋 の 中央 附近 で は干 満 の差 が僅 少 と な 季 節 風 で あ り,熱 帯 の 大 洋 か ら陸 に吹 く風 で る 。例 え ば南 太 平 洋 ソ シエ テ群 島 の 主 島 タ ヒ あ る。 だ か らモ ンス ー ン域 の風 土 は暑 熱 と湿 チ の パ ペ ーテ 港 の干 満 の 差 は30セ ンチ メ ー ト 気 と の結 合 を そ の特 性 とす る」(厂風 土 」)。 ル で あ って,30セ す で に縷 々 述 べ た 通 り,日 本,東 南 アジア 等 ア ジ ア ・モ ン ス ー ン地 帯 に観 光 業 を営 み, ンチ と は ヨ ッ トの場 合 は殆 ん ど無 視 し得 る数 値,す な わ ち干 満 零 と考 え られ る。 また 営 まん とす る もの は,こ の特 異 な 気 候 を 一59一 世 界 に は干 満 の差 が30セ ンチ しか な い 観 光 地 が も う一 つ あ る。 な らひ と夏 で 吹 き飛 ぶ と思 わ れ る 簡 易 な 日除 地 中 海 で あ る。 け 等 の施 設 が 随 処 に見 か け られ,翌 ジ グ ラル タル 海 峡 と い う狭 隘 な 唯 一 の 出入 もそ の ま まの 姿 で 客 を迎 え て い る。 台風 ,ハ 口 しか 持 た ぬ地 中 海 の 海 水 は,月,太 陽 によ リケ ー ン,暴 風 に常 に備 え ね ば な らぬ観 光 地 る潮 汐 作 用 に毎 日追従 す る こ とが 出 来 な い。 に比 べ,建 結 果 と して 地 中 海 は観 光 地 に と って も ヨ ッ ト わ れる。 に とっ て も理 想 的 な 条 件,潮 潮 位 とヨ ッ ト 汐 零 の 利 益 を享 受 して い る。 地 中海 の 海 浜 の 観 光 地,マ リー 年訪 れて 陸 上,海 設 コス トの 大 巾 な削 減 が 可 能 と思 浜 施 設 の み な らず,海 上 を航 行 し, ナ,'ホ テ ル 等 を観 察 して見 る と,日 本 列 島沿 碇 泊,錨 岸 の 港 や マ リ ーナ を見 な れ た 眼 に は,こ れ ら の 少 い こ と は天 の 恵 み で あ る 。例 え ば,, の 施 設 が 海 の威 力,海 i)干 の脅 威 に対 して極 め て 安 易 な対 策 しか 講 じて い な い こ とが 看 取 され 泊 す る ヨ ッ トに と って も,干 満 の差 か ん し ゅつ あ んが ん 出 暗 岩 の心 配 を しない で 済 む 「干 出 」 と は干 潮 時 の み に 露 出 す る る 。 具 体 的 に は 防 波 堤 が 低 く,大 石 を積 み あ 露 出せ ず と も危 険 な深 度 に 出現 す る一 げ た 態 の 簡 易 な構 造 の もの が 多 く,ホ テ ル, 礁 の こ とで あ る 。 も と よ り海 図 に は 「干 レス トラ ン等 の施 設 が水 際 に接 して何 気 無 く 出」 と 明記 され,.海 図 の 深 度 は 干 汐 時 を基 営 業 して い る。 日本 近 海 沿 岸 の 港 湾 施 設 の, 準 に して い る が,干 満 ゼ ロ の海 域 を航 海 し あ の 長 城 の よ う な防 波 場,テ トラ ポ ッ トの 山 を見 慣 れ た 眼 に は,如 何 に も頼 り無 く不 安 に 見 え る。 例 え ば,ア ドリア海 の真 珠 と謳 わ れ 暗 て み れ ば,そ の気 楽 さ は想 像 を越 え る。 もや ii)岸 壁 に船 を舫 う場 合,船 が 上 った り下 っ た りす る心 配 が 無 い 。 る コル フ 島 の 小 島 教 会 の,あ の殆 ん ど水 面 に 浮 桟 橋 で な い 岸 壁 に船 を ロ ー プ で 固 縛 す る 接 す る ば か り に低 い テ ラ ス の風 光 は,日 本 の 時,潮 汐 に対 す る配 慮 を 欠 くと船 が 吊 り下 海 浜 の 観 光 業 者 の 眼 に は奇 蹟 で あ る 。 あ の よ った りそ の逆 が 起 っ た り して μ 一 プ の切 断 , うな建 物 は 日本 で は恐 ら くひ と夏 保 つ まい 。 固定 具 の 破 壊,船 両 者 の 自然 環 境 の 差 異 は歴 然 で あ る 。 る。 地 中 海 で は岸 の杭 に ロ ー プ を結 べ ば後 の 流 出,衝 突 等 を惹 起 す 上 記 の コ ル フ 島 の 景観 は,リ ゾ ー ト適 地 と は心 配 しな くて好 い 。 して の 地 中 海 の も う一 つ の優 位 を示 して い る。 iii)安 心 して 錨 泊 が 出来 る 高 波 の無 い こ とで あ る 。 錨 を打 って 船 を碇 泊 させ る作 業 は高 度 の 既 述 の如 く,一 般 に波 高 は 海 面 に吹 く風 の 技 術 で あ る 。夜 中 に風 が 変 れ ば岸 又 は 他 船 強 さ と,そ の風 が 吹 き渡 る距 離 の 函 数 で あ る。 に接 触 す る危 険 が あ る。 錨 が 充 分 に 海 底 を どち らへ 吹 い て も数 百 マ イル の距 離 しか な い 把 握 して い な い 時,或 地 中海 と,数 千 マ イ ル の 距 離 を吹 き渡 る太 平 に錨 鎖 の 出 し方 が足 りな か った りす る と, 洋 とで は 波 の 高 さ と威 力 が 違 う。 日本 沿 岸 を 睡 眠 中 に走 錨 す る か も知 れ な い 。 ヨ ッ トは 襲 う ウ ネ リの 多 くは,遙 か南 太 平 洋 上 に発 生 錨 の み な らず,錨 鎖 の 目方 で 固定 さ れ て い した 台 風 に起 因 す る。 従 って 地 中海 で は,高 る。 逆 に あ ま り鎖 を 出 し過 ぎる と風 の 変 化 汐,す に よ る船 の 振 れ が 大 き くな る。 ヨ ッ ト乗 り な わ ち 満 潮 と強 風 が 重 な る心 配 もな い 。 敷 衍 す れ ば,普 通 の 強 風 高 波 に耐 え られ る 防波 堤 も台 風,ハ は風 が 強 くな った 時 は上 記 そ の他 の 条 件 を勘 案 して 鎖 の 長 さ を リケ ー ンに対 して 無 力 で あ 決 め る。 通 常 水 深 の3倍 ∼5倍 が 基 準 と考 る。 地 中 海 で は,何 時 襲 って 来 る の か 判 らぬ え られ て い る が(水 深10メ ー トル な ら30∼ ハ リケ ー ン,台 風 の よ うな 超 絶 的 な 気 象 に対 50メ ー トル の 鎖 を繰 り出 す),水 処 す る た め の 準 備 や補 強 は 不 要 で あ る。 日本 に依 って 変 化 し続 け る。 事 実 上 干 満 の 無 い 一60一 深 は干 満 図7CondeNastTraveler,April1993 地 中 海 は錨 泊 す る ヨ ッ トの天 国 で あ る。 加 地 に遊 ぶ 観 光 客 の幸 せ を増 進 せ ん とす る もの う る に,(こ で ある。 「楽 園」 と して の 日本 の 立 地 に つ い て が)夏 れ は干満 とは直接 関係 は ない の 地 中海 で は夜 は風 が お さ ま る もの と期 待 され る。 日本 近 海 はそ うで は な い 。 。 観 光 気 象 の観 点 か ら見 る 時,日 本 列 島 は多 伊 豆 七 島 大 島,式 根 島等 に錨 泊 し,夜 半 天 くの 問 題 を抱 え て い る。 そ の こ と を一 番 よ く もや 候 の 急 変 に よ って 走 錨,舫 い ロ ー プ の切 断, 知 って い る の は他 な らぬ レジ ャ ー産 業 の 経 営 或 は湾 口 か らの 高 波 等 々 の 理 由 で 急 拠 脱 出 者 で あ る。 天 候 気 象 に さ か ら った レジ ャ ー営 した 経 験 を持 た ぬ ヨ ッ ト乗 りは 少 い 。 業 が如 何 に労 多 く して 効 少 い もの で あ るか を iv)潮 汐 は潮 流 を生 む 。 日本 の レ ジ ャー産 業 人 は骨 身 に ご た て学 ん で 潮 汐 の 変 化 に応 じて朝 夕 流 れ を変 え る潮 流 い る 。 国 民 の 側 か ら見 て も,毎 年 の 夏 休 ,黄 は ヨ ッ ト乗 りの 悩 み の種 で あ る。 地 中 海 に 金 週 間等 々 に見 る通 り,レ ジ ャー は国 民 の ス もメ ッ シナ 海 峡 の如 き大 潮 流 を生 ず る 地 点 ト レス の 解 消 で は な く国 民 の ス トレス の最 大 はあ るが,一 の 原 因 の 一 つ と な っ て か ら久 しい 。 戦 後 半 世 般 に潮 汐 の 少 い 地 点 で は 潮 流 も少 い 。 例 え ば バ レア レス 群 島周 辺 を巡 ん ど潮 流 を顧 慮 せ ず に 紀,日 本 の レ ジ ャー 産 業 が そ の 使 命 で あ る "良 質 ・多 様 な レ ジ ャ ー を潤 沢 ・廉 価 に 国 民 彼 らの 航 海 計 画 に立 て る こ とが 出 来 る 。 潮 に提 供 す る こ と"に か く も見 事 に失 敗 した 原 流 は 普 通 海 流 と重 な り合 っ て複 雑 な潮 の流 因 は2つ 航 す る ヨ ッ トは,殆 れ を作 り,船 舶 を惑 わ せ,危 険 に 陥 し入 れ ある。 そ の1つ は 日本 の 国 土 の 絶 体 的 狭 隘(可 る。 そ の 一 つ の要 素 か ら解 放 さ れ る こ と は 地 当 り人 口密 度 第2位 船 乗 りの 幸 せ で あ る 。 界1位)で 結 住 の 西 独 を4倍 抜 い て 世 あ り,そ の2は 日本 の 気 象 条 件 で あ る(図8)。 論 第2次 産 業 と は裏 腹 に,観 光 業,レ ジャー 産 業 に あ っ て は,産 業 の 存 立 は す ぐれ て 天 候 ・気 象 に依 存 す る。 話 は逆 で あ っ て,好 も しい気 候 ・気 象 を 求 め て 人 類 が 移 動 す る こ と こ そ観 光 業,リ ゾ ー ト産 業 の 本 質 で あ る。 欧 米 観 光 先 進 国 に あ っ て は,夙 に観 光 と天 候 ・ 気 象 の 相 関 に着 目 し,一 流 観 光 誌 が 地 球 規 模 の 「観 光 気 象 論 」 を展 開 し て い る(図7)。 一 方 ,人 類 は す で に彼 ら彼 女 らの 「楽 園 」 の 理 想 像 を確 立 し,そ の 理 想 像 の 内 容 も また す ぐれ て 天 候 ・気 象 的 で あ り,第1章 に列 記 し た僅 か 数 力条 の 「楽 園 の 条 件 」 に要 約 し得 る。 図8顕 著 温 帯低 気 圧 の経 路 図 「日本 の 天気 」 人 間 の顔 を した観 光 気 象 学 の 目的 は,地 球 上 世 界 は着 実 に国 境 の 無 い 時代 へ と歩 み 入 っ の 天候 ・気 象 を点 検 し,上 記 「楽 園 の条 件 」 て い る。 観 光 気 象 学 の 観 点 に立 て ば 日本 列 島 を満 た す 立 地 を人 々一 者,行 政 は 「エ デ ンの 東 」 で あ る。 す な わ ち,厂 額 に れ ら の条 件 に背 馳 す 汗 して 働 く」 と ころ で あ って 楽 園 で は な い 。 に指 し示 す 一 方,こ 観 光 客,業 る立 地 を排 除 し,国 際 観 光 産 業,リ エデン ゾ ー ト産 業 の 経 営 基 盤 を強 化 す る こ と に よ っ て,そ 戦 後 半 世 紀,日 本 人 は こ の列 島 が 極 め て秀 れ の 一62一 た 「エ デ ン の 東 」(働 く場 所)で あ る ことを 証 明 し た。 第2次 産 業 す な わ ち 製 造 業 は 第1 次 産 業(農 業),第3次 産 業(レ ジ ャ ー,リ ク リエ ー シ ョ ン,ス ポ ー ッ)と 違 い,土 地 の 広 さ と好 天 の継 続 を必 要 と しな い 。 誰 もそ の 所 在 に 気 のつ か な い よ う な工 場(自 ァス ナ ー,電 卓,カ 動 車,フ メ ラ… ・・ う が全 世 界 の需 要 を満 た す 製 品 を生 産 し得 る。 加 え て,細 長 い列 島 で あ る 日本 の 地 形 が 原 料 の輸 入 と製 品 の輸 出 に理 想 の流 通 路 を確 保 した 。 す な わ ち, 日本 列 島 は 理 想 の 「エ デ ン の 東 」(額 に汗 し て 働 く場 合)で あ り,そ の 成 果 が 世 界 最 強 の 通 貨 厂円 」 とな って 国 民 に もた ら され た。 一方 ,地 球 上 に は 無 数 の 「エ デ ン」 が 存 在 し,そ の 所 在 は観 光 気 象 学 が 明快 に 指 摘 して い る。 大 和 民 族 は,天 候 ・気 象 とい う 自然 の掟 に 逆 わず,自 然 法 則 の 指 し示 す エ デ ン に お もむ き,自 らの 努 力 に よ って 手 に入 れ た 「幸 福 」 す な わ ち 強 力 な 「円 」 の 価 値 を地 上 の 楽 園 に 於 て 実 現 す べ きで あ って,自 然 に さか らっ て かこ 「エ デ ン の東 」 に 逼 息 し身 の 不 幸 を託 つ べ き で はない。 謝辞 本 稿 の 執 筆 に 当 り,わ が 国海 洋気 象 学 の先 達,練 達 の ヨ ッ ト乗 り,数 次 の 日本 オ リ ン ピ ッ ク ヨ ッ トチ ー ム の 気 象 参 謀,KK気 象海洋 コ ンサ ル タ ン ト社 長 馬 場 邦 彦 氏 よ り多 大 の示 唆 と資 料 の 提 供 を受 け た こ と を記 し,深 甚 な る謝 意 を表 す る 。 一63一