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「社会保障・税番号大綱」に関する意見募集結果(団体等)

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「社会保障・税番号大綱」に関する意見募集結果(団体等)
参考資料3-2
「社会保障・税番号大綱」に関する意見募集結果(団体等)
番号
意見提出者
ご意見の内容
1 NPO 法人東アジ ● 該当箇所
ア国際ビジネ
【5ページ】
ス支援センタ
(5)我が国の理念
ー
我が国では、未だ番号制度がない中で、なぜ今回導入するのか。それは、国民の権利を守ること、すなわち社会保障給付を適切に受ける権利、さらには種々の行政サービスの提供を
適切に受ける権利を守ることにある。
(以下省略)
● 意見内容
【(5)の記述を以下のように改めるべきと考える】
(5)我が国の理念
我が国では、未だ番号制度がない中で、なぜ今回導入するのか。それは、国民主体の真の民主主義国家である我が国を、情報通信技術の上で支えるための基盤を形成することにある。
そもそも番号制度の本質は、国民と国家との間の「義務と権利」を明確化する社会契約番号である。それゆえ、番号制度はあらゆる社会インフラに優先し重要な地位を占め、国民が我
が国の一員として誇りを持って社会活動を主体的に果たす上で番号制度は不可欠の制度である。
現在、我が国は未曽有の危機に直面している。危機を克服し真の復興を成し遂げるためには、国民が国家に対して果たすべき義務と、国民の生命・人権・生活に係る国家の保障を受
ける権利が適正に執行されることが重要であり、それが成熟した民主主義国家を構築する上での第一歩である。番号制度は、こうした国家を構築するための基盤となる。
番号制度導入の狙いは、国民の権利を守ること、すなわち社会保障給付を適切に受ける権利、さらには種々の行政サービスの提供を適切に受ける権利を守ることにある。
(以下原案のまま)
● 理由
「理念」として掲げられた「国民の権利を守ること、すなわち社会保障給付を適切に受ける権利、さらには種々の行政サービスの提供を適切に受ける権利を守ること」は、番号導入
の狙いであって、理念とは言い難い。
番号制度とは、
「国民と国家間の義務と権利を相互に保証するための社会契約番号」であり、番号制度は「成熟した民主主義国家を構築する上での重要な基盤」と位置づけるべきと考
える。
未曽有の危機に直面している我が国を再生し、IT 先進国として国際的地位を確保する上でも、番号制度は重要な施策として位置づけるべきであり、そうした趣旨を「理念」として加
えることを提案する。
● 該当箇所
【13ページ~14ページ】
3.番号制度に必要な3つの仕組み
(2)情報連携
複数の機関において、それぞれの機関ごとに「番号」やそれ以外の番号を付して管理している同一人の情報を紐付けし、紐付けられた情報を相互に活用する仕組みをいう。
(中略)
この際、連携される個人情報の種別や理由等を明確にするために、制度上、情報連携基盤(法令で定める事務について「番号」に係る個人情報を情報保有機関(括弧書き略)間で
やり取りするための電子情報処理組織をいう。以下同じ。)を利用することを義務付ける必要がある。
なお、情報保有機関から税務署長等に対する確定申告書、法定調書の提出手続及び厚生労働大臣に対する当該情報保有機関の従業員等に係る年金や雇用保険の資格取得等の手続に
ついては専ら一方の行政目的を達成するために法令の規定に基づいて申告義務者、法定調書提出義務者又は雇用主の義務として行う行為にほかならないことから、
「情報を相互に活用
する」情報連携には当たらないものである。
【脚注 11】所得税と住民税においては、所得税の確定申告書の提出が住民税の申告書の提出とみなされ、市町村による所得税に関する情報の閲覧が法定されていることから、確定申
告データ及び確定申告データと一体となって付随する情報等については、国税・地方税間の情報連携に該当しない
● 意見内容
【情報連携に係る説明(定義)を以下のように改める。】
1
(2)情報連携
情報連携とは複数の機関において、それぞれの機関ごとに「番号」やそれ以外の符号を付して管理している同一人の個人情報を紐付けし、他の情報管理機関が管理する紐付けられ
た個人情報を業務上必要とする機関が収集、照会、閲覧または縦覧する、あるいは情報管理機関から届出、報告または通知を受ける仕組みをいう。
(中略)
この際、連携される個人情報の種別や理由等を明確にするために、制度上、情報連携基盤(法令で定める事務について「番号」に係る個人情報を情報管理機関(括弧書き略)の間
で、「番号」から推定できない措置を講じ、「番号」と一意に対応する符号により個人を識別し。授受するための電子情報処理体系をいう。以下同じ。)を利用することができる。
情報連携基盤を利用しないで「番号」に係る個人情報を情報連携する場合は、その情報連携手段は上記括弧内で示した要件を講じ、その情報連携の記録を本人に開示するために情
報連携基盤の記録へ統合しなければならない。
なお、情報管理機関から税務署長等に対する確定申告書、法定調書の提出手続及び厚生労働大臣に対する当該情報保有機関の従業員等に係る年金や雇用保険の資格取得等の手続は、
専ら行政目的を達成するために法令の規定に基づいて申告義務者、法定調書提出義務者又は雇用主の義務として行う届出あるいは報告であり、上記の情報連携基盤を利用しない情報
連携に該当する例である。
所得税と住民税においては、所得税の確定申告書の提出が住民税の申告書の提出とみなされ、市町村による所得税に関する情報の閲覧が法定されていることから、国税庁を情報管
理機関とした、上記の情報連携基盤を利用しない情報連携に該当する例である。
(【脚注 11】は削除)
● 理由
① 情報連携は個人情報の機関から機関への受渡しであり、受取った機関が個人情報を「活用」することまでは含まないと理解するべきである。したがって、ここでは受渡しの形態(照
会、閲覧等)を明確に示すことが適当である。原文のとおり「活用」とすると、情報連携の意味が広範囲かつ曖昧となり、どのように「活用」するかまでを示す必要がある。
さらに、情報連携は情報管理機関から要求機関への一方向の流れであり、原文の「相互に」が双方向の情報交換を意味するとすればそのような行政手続は存在しない。当大綱「第
2 2.(5)事務手続の簡素化、負担軽減に関するもの」で示される所得照会や住民票照会等の情報連携も「相互に活用」するのではなく一方向である。
また、情報保有機関は本人の(暗黙の)同意を得てその個人情報を管理しているのであって、保有している訳ではないので、
「情報管理機関」とするのが適当である。(大綱全体につ
いて)
② 全ての情報連携に情報連携基盤の利用を義務付けるのは現実的でない。e-Tax や住基ネット等既存の情報連携システムを活かすのであれば、情報連携を広義(常識的)にとらえて、
情報連携基盤と同等の要件をその情報連携手段に付加することを義務付けることが現実的であり、「番号」に係る個人情報のセキュリティ・ホールもふさぐことができる。
③ 上記①の理由で、専ら一方の行政目的を達成する行為であるから「「情報を相互に活用する」情報連携に当たらない」という説明は成立たない。また、大綱の中でこのような個別の
例外を示すこと自体不自然であり、本来はこのなお書きは削除すべきである。
④ 同様に上記①および②の理由で、
「情報の閲覧が法定されている」ことは情報連携に当たらないことの説明にはならない。本来はこの脚注は削除すべきである。
● 該当箇所
【14ページ】
3.番号制度に必要な3つの仕組み
(2)情報連携(最後の文節)
なお、情報保有機関から税務署長等に対する確定申告書、法定調書の提出手続及び厚生労働大臣に対する当該情報保有機関の従業員等に係る年金や雇用保険の資格取得等の手続
については、専ら一方の行政目的を達成するために法令の規定に基づいて申告義務者、法定調書提出義務者又は雇用主の義務として行う行為にほかならないことから、
「情報を相互
に活用する」情報連携には当たらないものである。
● 意見内容
【上記の記述を以下のように改めるべきと考える】
なお、情報保有機関から税務署長等に対する確定申告書、法定調書の提出手続及び厚生労働大臣に対する当該情報管理機関の従業員等に係る年金や雇用保険の資格取得等の手続に
ついては、専ら一方の行政目的を達成するために法令の規定に基づいて申告義務者、法定調書提出義務者又は雇用主の義務として行う行為にほかならないが、当該情報には「番号」
が記載されることから、情報保有機関の間で交換される情報と同等のセキュリティレベルが要求される。従って、情報連携基盤を通じた情報の交換を行うこととする。
ただし、e-Tax や eLTax 等これまで確立され、利用効果が顕著に表れているシステムについては極力現行システムの維持・存続を図ることとし、情報連携基盤の運用機関にこれら
システムの管理を移管し、アクセスログの収集や保全を行う機能の追加等を行うこととする。
● 理由
確定申告情報や年金・雇用保険等の資格取得・喪失等の手続情報は、社会保障・税制度の上で基盤となる情報であることから、最も重要な属性情報であると言える。現に、確定申告
情報や年金・雇用保険等の資格者情報等は地方税算定の基礎情報として自治体にて活用されている。
2
また、これら手続には新たに「番号」が記載されることから、氏名、生年月日等他の個人情報データ項目と同等に、当該情報保有組織の設定するセキュリティ・レベルで保護される
必要がある。そうした観点から、これら情報を情報連携基盤外に置くということは、あらゆる情報連携を管理運営する情報連携基盤の観点から、重大なセキュリティホールを招来する
危険がある。
その際に、民-官の情報は「見える番号」としてインターネット上を交換されることになるが、何等かの方法で「見える番号」と関連付けられた間接的な「見えない番号」を生成す
る方法も考えられる。ただし、こうした方法を採用した際には、番号変換プロセスを民間にも導入することになるが、通常法定調書等の申告では、該当者全員分を一括で送付するケー
スも多く、現実的であるとは考えにくい。
そこで、「見えない番号」に拘ることなく、従来の仕組みをそのまま継承し、情報連携基盤上に委譲することが望ましいと考える。
なお、この該当箇所については「情報連携の概念を拡大して考えるべき」という意見もあり、意見2として併記した。
● 該当箇所
【20ページ】
5.番号制度の可能性と限界・留意点
(4)本人同意の取扱い(5番目の文節)
したがって、番号制度の導入について、原則として本人同意を前提としない仕組みとする一方、前記4.(3)③への対応のとおり、「番号」の恣意的な利用を防止し国民に対
してあらかじめ番号制度の活用事務について明らかにするため、
「番号」を付番する事務の範囲及び情報連携を行う事務の範囲を法律又は法律の授権に基づく政省令に規定すると
ともに、自己情報のコントロールという観点から、情報連携を通じた個人情報のやり取りに係るアクセス記録について、マイ・ポータル上でいつでも本人が確認できる仕組みを
設けることとする。
● 意見内容
【上記の記述を以下のように改めるべきと考える】
したがって、番号制度の導入について、原則として本人同意を前提としない仕組みとする一方、前記4.(3)③への対応のとおり、「番号」の恣意的な利用を防止し国民に対
してあらかじめ番号制度の活用事務について明らかにするため、
「番号」を付番する事務の範囲、情報連携を行う事務の範囲及び情報連携できる個人情報の範囲を法律により制定
することとし、この法律に基づくこれら情報連携に係る機関または組織、情報連携の条件、頻度、情報連携の手段等(以下、アクセス・ポリシーという)は設定あるいは更改の
都度公開し、行政手続法の意見公募手続により国民への周知と意見の反映を経て決定することとする。又、個人情報の自己コントロールの観点から、情報連携による個人情報の
授受に係るアクセス記録について、いつでも本人が確認できる仕組みとして、第三者機関に訴求窓口を設置し、疑義が生じた際は随時異議申し立てが可能な体制を備えることと
する。
● 理由
情報連携のための法制は、常に国民の監視のもとで設定されなくてはならない。したがって、その根拠は国会審議を経た法律に基づくものとし、それらを経ない政省令等で規定する
ことは適切ではない。
また、EU 諸国で実施されているように、アクセスポリシーの透明性を図るためには、アクセス・ポリシー内容の公開と事前の国民への周知による合意を得る必要がある。国民合意の
方法については、将来的には「番号」をベースとした電子署名に基づくインターネット投票等の応用が考えられ、このような仕組みを導入することは、国民の意思を直接反映する仕組
みを構築する足掛かりになると考えるが、当面の最低限必要な手段として「パブリック・コメント」によることとした。
また、アクセス記録の確認の仕組みは重要であり、マイ・ポータルを経ないでも随時確認できる仕組みが必要で。 同時に疑義が生じた場合の訴求窓口を明示すべきと考える。
● 該当箇所
【26ページ】
(1)付番対象となる個人は、住民基本台帳法第7条第13号の住民票コードが住民票に記載されている日本の国籍を有する者及び同法第30条の45の表の上欄に掲げる中長期在留
者、特別永住者等の外国人住民とする。
● 意見内容
(1)付番対象となる個人は、住民基本台帳法第7条第13号の住民票コードが住民票及び住民票の除票に記載されている日本の国籍を有する者及び同法第30条の45の表の上欄に
掲げる中長期在留者、特別永住者等の外国人住民とする。
● 理由
海外在住者等で住民登録が国内にない者であっても、社会保障や税に係る権利と義務を有してケースもあることから、付番の対象を住民票コードが住民票に記載されている日本国民
に限定するのではなく、海外転出等を異動事由とする住民票の除票に記載されている日本国民もその対象にすべきである。
3
● 該当箇所
【42ページ】
Ⅷ情報連携
1.「番号」に係る個人情報の提供等
(1)情報保有機関は、番号法又は番号法の授権に基づく政省令で、①情報連携基盤を用いることができる事務の種類、②提供する情報の種類、③当該情報の提供元・提供先等を規
定した上で、情報連携基盤を通じて当該情報を提供することができることとする。
(2)情報保有機関は、情報連携基盤を通じて、他の情報保有機関の保有する情報の提供を求めることができることとし、自己の保有する情報の提供を求められた情報保有機関は、
当該情報を情報連携基盤を通じて提供するものとする。
(3)上記(1)(2)の際、「番号」は「民-民-官」で広く利用される「見える番号」であることから、個人情報保護の観点から、これを直接、個人を特定する共通の識別子として
用いてはならないこととする。
(中略)
(6)情報連携基盤は、情報保有機関間で行われた情報連携基盤を通じた「番号」に係る個人情報のやり取りに関する全てのアクセス記録を、一定期間保存するものとする。
【脚注 31】 事業者からの法定調書の提出や制度上情報の共有が想定されている確定申告書等の国から地方団体への送付など、法令に基づき書面又は電子的手法を通じて情報収集がな
されているものについては、情報連携に該当しない。
● 意見内容
【情報連携に係る説明条項案を以下のように改める】
(1)情報保有機関は、情報連携に係るアクセス・ポリシーで規定された機関がこれを担い、①情報連携をすることができる事務の種類、②提供する情報の種類と範囲、③当該情報
の参照先等を規定した上で、情報連携基盤または同等の保全措置を講じた情報連携手段を通じて当該情報を連携することができることとする。
(2)情報参照機関は、情報連携基盤または同等の要件を満たす情報連携手段を通じて、他の情報管理機関の管理する「番号」に係る個人情報の参照を求めることができることとし、
自己の管理する情報の参照を求められた情報管理機関は、当該情報を情報連携基盤または同等の要件を満たす情報連携手段を通じて参照させるものとする。
(3)上記(1)(2)の際、
「番号」は「民-民-官」で広く利用される「見える番号」であることから、「番号」に係る個人情報の保護の観点から、これを直接、個人情報を特定する共
通の識別子として用いるのではなく、「番号」と一意に対応し、さらに「番号」から推測できない措置を講じた符号によることとする。
(6)情報連携基盤は、情報管理機関の間で行われた「番号」に係る個人情報の連携に関する全てのアクセス記録を統合し、一定期間保存しマイ・ポータルを通じて公開するものと
する。
【脚注 31】 事業者からの法定調書の提出や制度上情報の共有が想定されている確定申告書等の国から地方団体への送付など、法令に基づき書面又は電子的手法を通じて情報収集がな
されているものは、当該法令に定められた情報連携手段に情報連携基盤と同等の要件を付加して情報連携をする。
【項番(4)として情報連携の手段の定義を以下のように追加し、項番(4)以降を順次繰り下げる】
(4)情報連携は、複数の機関において、それぞれの機関ごとに「番号」やそれ以外の番号を付して管理している同一人の個人情報を紐付けし、他の情報管理機関が管理する紐付け
られた個人情報を業務上必要とする機関が収集、照会、閲覧または縦覧する、あるいは情報管理機関から届出、報告または通知を受ける仕組みをいう。
情報連携は「番号」に係る個人情報を保護するために、「番号」から推測できない措置を講じた符号により個人を識別して授受しなければならない。
情報連携の手段は、当該措置を講じた電子情報処理体系である情報連携基盤、あるいは情報連携を行う事務の根拠法令で規定される情報連携手段があるときは、当該手段に同
等の措置を付加したものとする。
● 理由
① 情報管理機関の単位(粒度)は情報連携すべき業務の内容によって異なることから、予め一意の機関に設定するのではなく、情報連携に係るアクセス・ポリシーで都度定義する必
要がある。従って、情報管理機関の単位は省庁及び自治体単位に限定されるのではなく、関わっている業務に対応した組織の単位(部局や課等の単位)でその範囲を設定すべきであ
る。
② <意見2>に示した理由①により情報保有機関は情報管理機関とする。また、情報連携は「番号」に係る個人情報の「提供」ではなく「参照」とするべきである。さらに、情報連
携を要求した機関を「情報参照機関」とし、この機関は情報連携で参照した「番号」に係る個人情報を原本のまま保存してはならない旨の規定を設けるべきである。
③ <意見2>に示した理由②により情報連携を情報連携基盤のみに限定することは現実的でない。
④ 情報連携の個人識別に直接「番号」を用いてはならなとするだけでは不十分であり、個人識別の手段を示すべきである。この場合、
「番号」を「見える番号」としているが、本大綱
の P34 脚注(2)によれば、
「「番号」を一定の関数、手順等を用いて変換することで新たに符号を生成した場合であって、生成した符号が「番号」と一対一に対応する関係にあるときは、
生成した符号についても、「番号」に該当することとする。」とあり、これは「見えない番号」も「番号」であることを示唆しており本大綱の中で矛盾しており、この脚注は削除すべ
4
きである。
⑤ <意見2>に示した理由③および④と同様であり、このケースも「法令に基づき書面又は電子的手法を通じて情報収集がなされている」ことは情報連携の対象外とする理由になら
ない。このケースが情報連携ではないとすれば、行政手続きで他機関の管理する「番号」に係る個人情報の参照のほとんどは情報連携の対象外となる。
⑥ 本大綱では情報連携の例外となるケースを都度示しているため、情報連携の定義が曖昧になっている。このことは情報連携基盤を情報連携の絶対条件とするために現状との乖離を
避けることから発生していると考えられる。情報連携を広義に定義し、情報連携基盤をその必須条件としないことが必要である。予定される番号法の冒頭で定義条項を設けて情報連
携の定義を示すことが最も望ましい。
⑦ アクセス記録は情報連携基盤にて一定期間保存すべきであるが、その閲覧手段の記載がない。保存されらアクセスログはマイ・ページを通じて本人に公開することになるため、そ
の記載を追加すべきである。
● 該当箇所
【44ページ】
Ⅸ 自己情報の管理に資するマイ・ポータル
2.機能
個人がマイ・ポータルを通じて、①自己の「番号」に係る個人情報についてのアクセス記録の確認、②情報保有機関が保有する自己の「番号」に係る個人情報の確認、③電子申請、
④行政機関等からのお知らせの確認を行うことができることとする。
(中略)
4.運営機関
マイ・ポータルの運営機関は、情報連携基盤の運営機関と同一の機関とする。
● 意見内容
【上記の記述を以下のように改めるべきと考える】
2.機能
個人がマイ・ポータルを通じて、①自己の「番号」に係る個人情報についてのアクセス記録の確認、②情報保有機関が保有する自己の「番号」に係る個人情報の確認、③申請を要
する事項の告知、④行政が管理している申請に必要な情報の申請者の意思に基づく公開、⑤電子申請、⑥行政機関等からのお知らせの確認を行うことができることとする。
4.運営機関
マイ・ポータルの運営機関は、情報連携基盤の運営機関と同一の機関または当該機関の主務大臣の指定を受けた民間を含む組織とする。但し、情報連携基盤は個人を特定する情
報を保有しない原則になっているため、情報連携基盤の運営機関と同一の機関がマイ・ポータルを運営する場合は、マイ・ポータルを通じて交換される情報は都度情報管理機関と
の間で情報の授受を行うこととする。
● 理由
マイ・ポータルは、申請主義からプッシュ型行政サービスへの大きな一歩であると考える。そのためには、従来の申請主義で見られた虚偽の申請や申請を行わないことによる不利益
等を解消するために前向きな機能装備が必要であると考える。
また、マイ・ポータルの運営機関が情報連携基盤と同一組織とする場合は、情報連携基盤では個人情報の保有は認めない原則になっているため、同一の運営機関が管理するのであれ
ば、情報保有機関との間で必要な情報を都度授受するような仕組みが必要になる。
なお、マイ・ポータルの運用機関については、今後マイ・ポータルの利活用範囲が拡大することを考慮して、情報連携基盤の運用機関以外の機関(民間の事業者等を含む)による運
営の道も用意すべきと考える。
● 該当箇所
【44ページ】
ⅩⅠ 第三者機関
1.設置等
(1)内閣総理大臣の下に、番号制度における個人情報の保護等を目的とする委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(4)委員長及び委員は、内閣総理大臣が、両議院の同意を得て、これを任命する。
● 意見内容
【上記の記述を以下のように改めるべきと考える】
5
(1)第三者機関は、立法府及び行政府と切り離し、司法府の管轄のもとで完全に独立した機関として設置し、番号制度における個人情報の保護等を目的とする委員会(以下「委員
会」という。)を置く。
(4)委員長は最高裁判所判事がこれを務め、委員については、内閣総理大臣が、両議院の同意を得て、これを任命する。
【挿入】
(6)第三者機関が苦情処理に円滑に対応可能なように、国民の苦情処理窓口を行うための専門の事務局を設置する。
● 理由
第三者機関は、番号制度を立案し維持管理する立法府ならびに行政府と切り離した組織に設置すべきである。それゆえ、その性格から司法府の管轄で設置するのが望ましいと考える。
現に EU の多くの国は、立法・行政とは独立した組織としている。
また、第三者機関の重要な機能として苦情処理業務があり、かかる業務を円滑に実行可能な組織を充実しない限り、第三者機関の役割は生きてこないと考える。
● 該当箇所
【48ページ】以降追加
● 意見内容
【以下の記述を追加すべきと考える】
ⅩⅠ 事業者ポータル
事業者ポータルは事業者が行う行政手続を事業者の目的に応じてワンストップ化し、ナビゲーションする機能を想定している。当ケースでは、事業者の人事労務に関する手続の
うち、被用者の入社に関る手続をナビゲーションにしたがってワンストップで行う。このような事業者ポータル実現のためには次のような点を考察する必要がある。
(1)行政手続に共通する企業コードによる識別と認証の導入
事業者は共通の企業コードによって事業者ポータルにログインし、認証を受ける。また、必要に応じて電子署名を付しその認証を受ける。事業者ポータルから連携する各行政手
続は事業者ポータルによる認証と電子署名を信頼し、個別の認証手続や電子署名を要求しないことが求められる。
(2)事業所の識別
行政手続によっては企業内の事業所の識別が必要なケースがあり、企業コードは事業所を識別できる粒度であることが求められる。識別が必要となる主な行政手続には次のよう
なものが対象になる。(()内は管轄機関)
・給与支払事業所:所得税・給与所得の源泉徴収(税務署)/住民税特別徴収(市区町村)
・雇用保険適用事業所:雇用保険被保険者資格得喪等(公共職業安定所)
・労働災害保険適用事業所:労働保険料申告、労災保険給付認定等(労働基準監督署)
・法人事業税/住民税課税対象事業所:法人二税の申告(都道府県、市区町村)
(3)代理人による手続への対応
当ケースでは社会保険労働士が事業者の代理として手続を行う場合が多く、他の行政手続においても税理士や行政書士等による代理手続は多い。したがって、事業者ポータルに
は事業者と共に、代理人の認証と正当な代理人であることの証明機能が求められる。
● 理由
現状の行政関連手続は事業者や代理人経由で行う部分が多く存在する。
従って、個人向けのマイ・ポータルとともに「事業者ポータル」の機能を定義する必要があると考える。
● 該当箇所
【25ページ「第3 法整備」の冒頭】
【34ページ】
(注2)
「番号」を一定の関数、手順等を用いて変換することで(複数回にわたって変換することを含む。)、新たに符号を生成した場合であって、生成した符号が「番号」と一対一に対
応する関係にあるときは、生成した符号についても、「番号」に該当することとする。
【42ページ】
Ⅷ 情報連携
1.番号に係る個人情報の提供等
(3)上記(1)(2)の際、「番号」は「民-民-官」で広く利用される「見える番号」 であることから、個人情報保護の観点から、これを直接、個人を特定する共通の識別子と
6
して用いてはならないこととする。
● 意見内容
【主要な用語の定義を、予定される「番号法」に定義条項を設け以下のように示す】
① 「番号」とは、住民基本台帳法第7条第13号の住民票コードが住民票及び住民票の除票に記載されている日本の国籍を有する者、及び同法第30条の45の表の上欄に掲げる中
長期滞在者、特別永住者等の外国人住民を行政事務に共通して一意に識別する符号をいう。
② 「番号」に係る個人情報とは、「番号」もしくは「番号」と一意に対応する符号によって識別される個人情報をいう。
③ 情報管理機関とは、関係法令により「番号」に係る個人情報を収集、記録および管理し、かつ、単一の行政上の目的(役割)をもつ組織またはその集合体をいう。
④ 情報連携とは、行政機関もしくは行政機関に準ずる機関が関係法令で定められる行政事務遂行のために他の情報管理機関の管理する「番号」に係る個人情報を収集、照会、閲覧ま
たは縦覧する、あるいは他の情報管理機関から届出、報告または通知を受けることをいう。情報連携において、
「番号」に係る個人情報を識別することが必要な場合は、他から「番号」
を推定できない措置を講じた「番号」と一意に対応する符号を識別子とする。
⑤ 情報連携基盤とは、行政機関もしくは行政機関に準ずる機関の間で、
「番号」または「番号」と一意に対応する符号を他から認識あるいは推定できない措置を講じて情報連携し、か
つ、その記録を開示するための措置を講じた電子情報処理体系をいう。
● 理由
大綱の中では用語の定義が数箇所に分散して示されており、必ずしも理解しやすいとはいえない。
また、箇所によっては相互に矛盾すると思われる記述もある。(<意見6>●理由③参照)
したがって、「第3 法整備」の冒頭で以下の記述を正しく解釈するための重要な用語の定義を示すことが適当である。
① 「居住者」は住民基本台帳記載されている者(外国籍居住者を含む)、「居住者であった者」は住民票の除票として一定期間記録が保存されている者をいう。これは死亡者や海外移
住者に係る行政手続きの遡及処理をする場合等に必要となる。
② 「「番号」と一意に対応する符号」は、上記該当箇所34ページ(注2)と42ページの記述の不整合を正すため「番号」と分けて記述する。したがって、34ページの(注2)は
削除するべきである。
③ 情報管理機関(大綱案では情報保有機関)の粒度を示すために「単一の行政上の目的」という記述を入れた。
④ <意見2>の理由①と同じ理由による。また、同理由②により情報連携基盤を通じることという条件は省いた。
⑤ 情報連携基盤の最も基本的な要件のみを示した。他の要件については各条項で補記する。
2
神奈川県保険
医協会
●
該当箇所
P.1「第1 はじめに」→本文 10 行目「今後、大綱をいわゆるパブリックコメントに付し、国民の皆様のご意見を伺い、
・・・」
● 意見内容
国民の意見を反映させるためにもパブリックコメントの期間を延長するとともに、パブリックコメントよりも国民が簡易に意見を述べられる仕組みを検討すべきだ。また、意見募集
とあわせて、大綱の内容を国民に周知するための広報活動を強化すべきである。
● 理由
番号制の導入は国民生活に大きく関わる事項にも関わらず、パブリックコメントの期間が 1 カ月では短すぎる。またパブリックコメントで多くの国民意見が徴収できるとは言い難い。
特にパソコンを持っていない、パソコンを使えない等、いわゆる「IT弱者」はパブリックコメントが実施されていることすら知る術がない。
更には、現状で大綱案の内容が国民に広く知れ渡っているとは考え難い。政府は今秋の法案提出というスケジュールの遵守に躍起になり、国民への説明、理解を蔑ろにしている印象
さえ受ける。
まずは国民の意見を真意に受け止めることが、大綱にも記述されている「国民の信頼を高める」ことに繋がるものと考える。そのためにも広報活動の強化と、幅広く国民意見を集約
するための方策を検討すべきである。
●
該当箇所
P.2「第2 基本的な考え方」→「1.番号制度の導入の趣旨」→「(1)背景」→本文 11 行目~「特に、・・・・制度・運営の効率性や透明性を高めることも、国民の信頼を高める
上で極めて重要である。 社会保障制度や税制に対する国民の信頼を得るには、給付や負担の公平性を実感してもらうことが重要である。・・・」
● 意見内容
政府は「消えた年金問題」をはじめとする昨今の公務員による情報漏洩や情報改ざん事件に対して、国民への謝罪とともに、事件の起こった経緯、問題点、改善点など詳細に説明す
る責任があると考える。
● 理由
7
該当箇所では、社会保障・税分野の制度・運営に関する国民の信頼向上が述べられているが、番号制とは、いわば「データ化された個人情報の使い方」である。国民は制度の内容以
前に、情報の使い方や情報管理のモラルの部分で、政府や公務員に不信感を抱いているのである。それは、消えた年金情報や昨年多発した公務員の情報漏洩、データ改ざん事件などの
事実が物語っている。
このような状況下では、秘匿性の高い個人情報を多岐に渡って使われることに国民が不安を抱くのは当然のことである。政府は番号制導入を検討する前に、データ化された個人情報
を国や自治体が管理、利用することに対する国民の不安を払拭することが最優先課題だと考える。
●
該当箇所
P. 4「(3)制度導入の目的と期待される効果」→本文 7 行目~「・・・IT化を通じ効率的かつ安全に情報連携を行える仕組みを国・地方で連携し協力しながら整備することによ
り、国民生活を支える社会的基盤を構築すること・・・」
● 意見内容
該当箇所の下線部については、番号制とは異なる制度のことであり、それも検討段階のものである。国民に誤解を与えぬためにも、下線部及び下線部に係る文章は削除すべきである。
● 理由
IT戦略本部において検討中の「国民ID制度」について、番号制の情報連携基盤を流用する点など関連・共通していることは理解するが、制度及び制度に係る法律は異なるもので
ある。
番号制は、あくまで社会保障と税の範囲に係る制度案であり、他分野、他の制度、それも検討段階のものと混同した記述は、「番号制=国民ID制度」といった大きな誤解を国民に
与えかねない。また、不正確な理解のまま制度が導入された場合、現場での無秩序な利用・運用を生み、米国や韓国と同様の不正利用が社会問題化する恐れがある。更には、2018 年度
を目途とした番号法の見直しの際に、「なし崩し的な利用範囲の拡大」が検討されていくのではないかと危惧を抱く。
繰り返しになるが、番号制はあくまで社会保障と税の行政手続き上の範囲に係る制度案であり、他の制度、それも検討段階のものと混同した記述は慎むべきである。
●
該当箇所
P. 4「(3)制度導入の目的と期待される効果」→本文 19 行目~「・・・さらに、 IT化された情報連携システムの範囲をより拡大した場合には、自らの利用する医療・介護等の
社会保障サービスに関する情報の入手・活用が可能になる・・・・また、個人の匿名性を確保した上で診療情報等の二次利用を行えば、 医療統計データの効率的な収集が可能となり、
医学の向上にも資することとなる。」
● 意見内容
該当箇所の下線部については、番号制とは異なる制度のことであり、それも検討段階のものである。国民に誤解を与えぬためにも、下線部及び下線部に係る文章は削除すべきである。
● 理由
該当箇所の下線部については、先述の「国民ID制度」の他に、IT戦略本部において検討されている「どこでもMY病院構想」「シームレスな地域医療情報連携」「医療情報デー
タベースの活用」(以下:医療IT戦略)等のことを指しているものと理解する。大綱では後述で「将来的には幅広い分野での利用も目指しつつ」としているが、前述の医療IT戦略
が番号制の制度内(範囲内)の構想であるとは読み取れず、あくまで情報連携基盤を介して関連・共通した別の制度であると理解している。
しかし、国民の多くが医療IT戦略の内容を把握しているとは考え難く、「番号制の導入によって医療・健康情報の自己管理・活用が可能となる」「自分の医療情報が目的外利用さ
れる」といった大きな誤解を国民に与えかねない。事実、一部報道や有識者の講演会等では、番号制の導入によって医療・健康情報の利活用範囲が拡大し、医学の発展、医療・健康産
業の創出が期待できるといった趣旨の内容が散見される。こうした不正確な理解のまま制度が導入された場合、現場での無秩序な利用・運用を生み、米国や韓国と同様の不正利用が社
会問題化する恐れがある。更には、2018 年度を目途とした番号法の見直しの際に、「なし崩し的な利用範囲の拡大」が検討されていくのではないかと危惧を抱く。
番号制は、あくまで社会保障と税の行政手続き上の範囲に係る制度案であり、他の制度、それも検討段階のものと混同した記述は慎むべきである。
(参考資料)
 『共通番号制度 実現に向けて -6-』東京大学大学院 永井良三教授 2011.4.25 生産性新聞 http://first.umin.ne.jp/JPC-SED20110425.pdf
 『共通番号制の促進で一致 同友会が仙台市長と意見交換』 2011.7.16 日本経済新聞
本文中「共通番号と診療情報を関連づけて自治体が管理すれば、病院が被災しカルテが消失しても的確な治療、投薬をしやすい。市長は「番号制の導入は得るものの方がリスクより
大きい」と強調した。」
http://www.nikkei.com/news/article/g=96958A9C93819481E3E4E2E3978DE3E4E2E5E0E2E3E39797EAE2E2E2?n_cid=DSANY001
●
該当箇所
8
P.4~5「(4)諸外国の制度」→全文
● 意見内容
諸外国との比較は意味をなさず、全文削除すべきである。
● 理由
諸外国の番号制度については、歴史や文化、導入に至る経緯など、各国で事情が異なるはずであり、本文ではそうした言及が全くなされていない。また、本文中に記載されている「セ
クトラルモデル」など、用語の説明さえない。
本来なら、各国の事情と日本の現状を比較した上で、番号制の導入の目的や意義、有効性の説明がなされるべきである。該当箇所の文章は言葉足らずの表現で国民を惑わすだけで、
記載の必要がある内容とは言い難い。
●
該当箇所
P. 6「2.番号制で何ができるのか」→「(1)よりきめ細やかな社会保障給付の実現」→「①社会保障の各制度単位ではなく家計全体をトータルに捉えて医療・介護・保育・障害
に関する自己負担の合計額に上限を設定する「総合合算制度(仮称)」の導入」
● 意見内容
総合合算制度(仮称)の仕組みは、経団連など経済界が提唱する「社会保障個人会計(仮称)」に他ならず、社会保障費の総額管理による公的給付の縮小、医療費抑制、医療の市場
化に道開く恐れが高く、導入に反対する。
● 理由
政府は大綱、社会保障・税一体改革成案において、低所得者対策の強化策として総合合算制度(仮称)の導入を提唱しているが、これは社会保障の費用及び給付と所得を一元管理す
る仕組みであり、これは経済界が提唱する「社会保障個人会計(仮称)」そのものである。
社会保障個人会計(仮称)は、2004年の経団連提言で「財産相続時における、社会保障受給額(特に年金給付)のうち本人以外が負担した社会保険料相当分と相続財産との間で
調整を行う仕組みも検討すべきである」と提唱。また、2005年のNTTデータ経営研究所レポートでは、社会保障個人会計について、限度額管理(給付に一定の限度額を設定した
うえで、給付が限度額を超えた場合は超過分を一定期間繰り延べたり、他制度からの余剰額を付け替えたりする)や単年度清算(年度毎に公費の回収を試み、回収出来ない場合のみ、
死後、相続財産から回収)、死亡時清算(死亡時点で遺産から公費を回収する)など、公的給付の縮小、医療費抑制、医療の市場化のための“究極の社会保障費総額管理システム”と
して提唱されている。
5月29日の番号制シンポジウム(東京)のフロア質疑において、峰崎内閣参与は以下のとおり発言している。
「国家管理の一元管理への懸念という問題については余り触れられておりませんので、メリット、デメリットの最初のところなのですが、これは逆に使われることもあるのではない
かと。率直に申し上げて、それは政治の問題だと思うのです。社会保障を充実させていくのか、あるいは考え方によっては小さい政府に持っていって社会保障は自立自助でいったほう
がいいのだというふうに思っている人たちが政治の実権を握った場合には、そちらに行くだろう。そういう意味で言うと、それはシステムの問題ではなくて、主として我々が選んでい
く政治の価値観の方向をどう選択するかというところに実は問題は帰着するのではないでしょうか」
この発言は、言い換えれば“政治の方向如何で番号制の利用方法が如何様にも変わる”と解釈できる。また、政府の議論が番号制の導入理念・目的よりも番号制“システム”の導入
を優先させるという“逆転現象”が生じているとも受け取れる。
社会保障の基本は憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」であり、いくら政権が交代しようが変わらぬ国民の重大な権利のはずである。番号制は、政治権力に濫
用されない確固たる理念・目的によって検討すべき制度・システムであるべきものであり、その確固たる理念・目的が定まらない以上、番号制の導入についても反対する。
(参考資料)
 「社会保障・税一体改革成案について」 平成 23 年7月1日閣議報告 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/pdf/230701houkoku.pdf
 「IT と社会保障~個人会計で公的医療保険を救えるのか~」2005 年 6 月 21 日 株式会社 NTT データ経営研究所ストラテジック・コンサルティング本部
http://www.ipp.hit-u.ac.jp/pe/docs/050621ogasawara.pdf
 2011.5.29 開催 「番号制度シンポジウム in 東京【議事録】」http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/symposium/tokyo/siryou13.pdf
●
該当箇所
P. 6~7「2.番号制で何ができるのか」→「(1)よりきめ細やかな社会保障給付の実現」→「② 高額医療・高額介護合算制度において、自己負担限度額の上限に達した場合、国
民が医療機関や介護事業者に費用を立て替えることなく、その後の医療・介護サービスを受けることができるようにすること」
● 意見内容
なぜ現行の高額医療・高額介護合算制度の改修・変更によって、同様のサービスが実現できないのか。その理由を明確、詳細に説明すべきである。
9
●
理由
現行の高額医療・高額介護合算制度は、費用の一時立て替えの他にも受給者が医療保険、介護保険双方の保険者に申請する必要があるため、受給者に手間や負担がかかっていること
は理解する。しかし大綱では、番号制でなければ上記サービスが実現しない理由が明確ではなく、説明不足の感が否めない。現行制度や関連する法律、制度の改修・変更で実現するの
であれば、番号制導入に係る費用や負担、情報漏洩などのリスク等は削減できると考える。
●
該当箇所
P. 7「③ 給付過誤や給付漏れ、二重給付等の防止。具体的には、以下のような把握、確認が容易になる・・・」
● 意見内容
なぜ現行制度の改修・変更によって、同様の業務改善が実現できないのか。その理由を明確、詳細に説明すべきである。
● 理由
現行制度や関連する法律、制度の改修・変更で改善するのであれば、番号制導入に係る費用や負担、情報漏洩などのリスク等は削減できると考える。なぜ番号制でなければ改善でき
ないのか、その理由が明確ではなく、説明不足の感が否めない。
●
該当箇所
P. 8「(3)災害時の活用に関するもの」→「① 災害時要援護者リストの作成及び更新 要介護認定や障害等級等の情報等、 分野横断的に要援護者の情報を集約できるとともに、
各種個人情報に変更等が生じた場合にも迅速なリストの更新が可能となる。また、他市町村からの転入者が要援護者であった場合、市町村を越えての情報のやり取りが容易になる。 さ
らに本人同意の下、 服薬情報等もリストに掲載し、医療機関等とも連携を図ることができれば、 仮に震災等の災害が起きたときにも、避難所等への効率的な医薬品配給や医療の提供
に寄与する。」
● 意見内容
なぜ現行の行政事務等のシステムにおいて迅速なリストの更新が不可能なのか。番号制でなければならない説明をすべきである。また服薬情報等のリストについては、情報の分散管
理の観点から番号制に掲載すべきではない。
● 理由
各種個人情報については、市町村や保険者がそれぞれ管理するものであり、制度によって更新の早さが変わるものではない。また、災害時対策については、緊急措置の分野横断的な
リスト作成を「特例措置」として認めるなど、現行の制度改正や行政事務等のシステム改修によって対応が可能だと考える。
服薬情報については、医療IT戦略の「どこでもMY病院構想」において、2013年度より「電子版お薬手帳」の交付を検討していることから、制度間における情報の重複が生じ
ることとなる。これは大綱に後述されるシステム上の安全措置「分散管理」の観点を逸脱しているものと考える。
3・11の東日本大震災の際には、被災地・避難所のみならず広範囲に渡る停電が起こり、インターネットをはじめとする通信インフラは壊滅状態にあった。いくら各種個人情報が
電子的に保存・管理されていても、被災地(現場)において即時活用できなければ何の意味もなさない。事実、被災者への医療支援では紙の「お薬手帳」が非常に役立ったとの報告も
ある。
●
該当箇所
P. 8「(3)災害時の活用に関するもの」→「② 災害時の本人確認 被災住民が避難所等で自己の4情報(氏名、住所、生年月日及び性別をいう。以下「基本4情報」という。)
及び「番号」を告知することにより、迅速に避難者リストの作成が可能になる。」
● 意見内容
なぜ現行の行政事務等のシステムにおいて迅速なリストの作成が不可能なのか。番号制でなければならない説明をすべきである。
● 理由
現行でも各市町村では住民基本台帳によってデータによる住民管理を行っており、同様のリスト作成は可能と考える。
●
該当箇所
P. 8「(3)災害時の活用に関するもの」→「③ 医療情報の活用 災害に伴いかかりつけの病院が被災し、個々人の医療情報が滅失する可能性がある。このため災害時における特
段の措置として、保険者が保有するレセプト情報を医療機関等が「番号」を基に確認できるようにすれば、継続的、効果的な医療支援を行うことができる。」
10
●
意見内容
3・11の東日本大震災における被災者の医療支援においても、レセプト情報の活用は実施されており、番号制でなければ出来ないものではない。
● 理由
3・11の東日本大震災における被災者の医療支援において、社会保険診療報酬支払基金等の呼びかけにより、患者の調剤・医療レセプトの情報提供が行われた。対応が若干遅れた
点はあったが、この教訓は今後の震災時等の対応に活かされるものであり、番号制でなければ出来ない対応ではない。
(参考資料)
 「東日本大震災の被災者に対するレセプト情報の提供の取組について」 平成 23 年 4 月 15 日 社会保険診療報酬支払基金
http://member.kpa.or.jp/ippan_page/topics/22kinkyu/jyuryo/20110415_77.pdf
●
該当箇所
P. 9「(4)自己の情報の入手や必要なお知らせ等の情報の提供に関するもの」→全文
● 意見内容
自宅にパソコン等がない、パソコン等の操作に不慣れな「IT弱者」は相当数存在すると考えるべきであり、対応策を明確に示すべきである。
● 理由
大綱の P.6「(5)我が国の理念」では「低所得で資産も乏しい等、真に手を差し伸べるべき者に対して、給付を充実させるなど、社会保障をよりきめ細やかに、かつ的確に行うこ
とが重要であり・・・」と記述されている。事実、政府が主張する「真に社会保障の受給が必要な対象者」とは、低所得者や高齢者などであり、ITの利用が困難な層と一致するもの
と考えるべきである。
「IT弱者」を置き去りにすることは、番号制の理念に相反することに他ならず、情報提供やサービス受給に格差が生じる可能性が高い。
●
該当箇所
P. 9~11「(5)事務・手続の簡素化、負担軽減に関するもの」→「① 添付書類の削減等」→全文
● 意見内容
なぜ現行制度、システム等の改修・変更によって、同様の簡素化、負担軽減が図れないのか。その理由を明確、詳細に説明すべきである。
● 理由
現行制度や関連する法律、各行政事務システムの改修・変更等で改善するのであれば、番号制導入に係る費用や負担、情報漏洩などのリスク等は削減できると考える。なぜ番号制で
なければ簡素化・負担軽減が図れないのか、その理由が明確ではなく、説明不足の感が否めない。
●
該当箇所
P. 11「② 医療機関における保険資格の確認」→「医療機関におけるオンラインでの医療保険資格の確認を可能にすることにより、 レセプトへの資格情報の転記ミスや保険者の異
動情報が確認できないこと等により生じている医療費の過誤調整事務が軽減でき、医療機関・審査支払機関・保険者等における事務コストを削減できる。」
● 意見内容
医療機関に対し、実質的に電子化・オンライン化を強要することに他ならず、反対する。また保険者異動の係る事務手続き等の責任の所在は保険者にあり、医療機関の事務コスト削
減には結び付かない。実態と法的根拠を踏まえて、正しい記載内容に変更すべきである。
● 理由
保険資格の確認をオンライン化することは、医療機関の電子化・オンライン化を強要することに他ならず、ITに対応できない医療機関を廃業に追い込むことになる。2009年に
は全国の開業保険医約2200名が国を相手に起こした「レセプトオンライン請求義務化撤回訴訟」は記憶に新しく、政府は番号制の導入によって同じ過ちを繰り返そうとしている。
医師不足が深刻な社会問題となっている現状で、医療機関の淘汰に繋がる恐れのある制度を導入すべきではない。
また、被保険者の保険者異動に関わる事務手続き等については、保険者にその責務があり、異動後すみやかに被保険者証の回収や脱退手続き、加入手続き事務等を行わなければなら
ない。保険医療機関は「保険医療機関及び保険医療養担当規則 第三条」によって、患者の被保険者証で資格確認を行うことが規定されているだけであり、資格喪失等による医療費の
過誤調整事務は範疇外である。しかし現状では、保険者の被保険者証の回収の遅滞等により、患者が旧被保険者証を持参して来院するケースが少なくない。その際、保険者は当該患者
のレセプトを保険医療機関に “返戻”し、医療機関に過誤調整を押し付けるといった対応を行っている場合が多い。いわば保険医療機関はやらなくても良い事務処理を保険者にやらさ
れているのが実態である。こうした現状から考えれば、過誤調整事務の軽減は保険者だけのメリットであり、医療機関のメリットは皆無である。
11
●
該当箇所
P.11~ 12「(4)本人同意の取扱い」→本文 12 行目~「・・・医療・介護等のサービスの内容の情報を用いることで医療・介護等のサービスの質や公衆衛生・医療水準の向上に資
するとするものが含まれている。・・・医療・介護等のサービスの充実や質の向上は、国民生活の充実に直結するものであり、 番号制度の下でできる限り多くの場面で用いることがで
きるようにすべきものである。」及び 19 行目~「③ 難病等の医学研究等において、継続的で正しいデータの蓄積が可能となる。」「④ 地域がん登録等において患者の予後の追跡が
容易となる。」
● 意見内容
番号制の下で医療、健康、介護分野に関わる機微性の高い情報を取り扱うべきではない。
● 理由
該当箇所で示す「医療・介護等のサービスの質や公衆衛生・医療水準の向上」に関わる個人情報の管理及び活用等については、IT戦略本部において検討されている「どこでもMY
病院構想」「シームレスな地域医療情報連携」「医療情報データベースの活用」(以下:医療IT戦略)等、及び総務省が 7 月 19 日より議論を開始した「日本版EHR事業推進委員会」
などと範囲が重複するものと理解する。異なる制度間で同じ情報の収集・管理・利用を行うことは、大綱に後述されるシステム上の安全措置「分散管理」の観点を逸脱しているものと
考える。
医療・介護に関する個人情報には、個人の生命・身体・健康等に関わる極めて機微性の高い情報が含まれている。番号制はあらゆる場面での利用が想定されていること、また将来的
に民間事業者への利用にまで範囲を拡大することを視野に入れていることから、機微性の高い医療・介護情報を取り扱うことは、ハッキングやなりすまし等の悪意による情報漏洩のリ
スクが高まるし、漏洩した際の国民の不利益は計り知れない。
極めて機微性の高い医療・介護等の情報については、特定の法律・制度のもとで厳格なルールに則って管理・運用すべきものである。同時に、国民個々の同意を条件とすることは勿
論のこと、制度導入に対する国民全体の理解が必要不可欠であり、大綱に後述される「特段の措置を定める法制の整備」では、対応として不十分だと考える。
●
該当箇所
P. 20「(4)本人同意の取扱い」→本文 12 行目~「番号制度の導入について、原則として本人同意を前提としない仕組みとする一方、前記4.(3)③への対応のとおり、「番号」
の恣意的な利用を防止し国民に対してあらかじめ番号制度の活用事務について明らかにするため、「番号」を付番する事務の範囲及び情報連携を行う事務の範囲を法律又は法律の授権
に基づく政省令に規定するとともに、自己情報のコントロールという観点から、情報連携を通じた個人情報のやり取りに係るアクセス記録について、マイ・ポータル上でいつでも本人
が確認できる仕組みを設けることとする。その上で、機微性の高い個人情報のやり取り等あらかじめ本人の同意を得て「番号」の利用又は情報連携を行う必要がある個人情報について
は、その旨法律又は法律の授権に基づく政省令に記載することとする。」
● 意見内容
該当箇所を見る限り、自己情報コントロール権から「同意権」「自己決定権」が欠落している。これは憲法13条で保障されるプライバシーの権利を逸脱している内容であり、全面
的に再検討すべきである。
また、個人情報の取扱いは国民の権利に大きく関わる事項であり、政省令での規定は極力避けるべきである。
● 理由
自己情報コントロール権とは、自己に関する情報を収集、保管、利用、提供するその各段階において、その目的について事前に知らされて、検討した上で、「同意権」を通じてコン
トロール(自己決定)する権利である。本人同意を前提としないということは、「同意権」「自己決定権」の形骸化を意味する。憲法13条で保障されるプライバシーの権利でも保障
される人権の中でも中核ともいうべき重要な人権であり、いかなる制度においても侵害することは許されない。
また、情報連携の行う範囲等について政省令で規定することは、国民の知らぬ内に重大な事項が決定されることになりかねない。個人情報の取扱いについては、国民の権利、生活に
大きく関わる重大事項であり、国会の議決による法律によって定めることを原則とすべきと考える。政省令での規定は実務的な内容に限定し、委任範囲は極力最小限に止めるべきであ
る。
3
大阪府羽曳野
市保健福祉部
保険健康室保
険年金課
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
「第2 基本的な考え方」の「1.番号制度の導入の趣旨」、「2.番号制度で何ができるのか」、「7.今度の進め方」
● 意見内容 及び ●理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
1.社会保障・税番号制度導入の必要性について
制度導入の理念及び効果として、国民の利便性、負担・分担の公平性、行政事務の効率化等が掲げられていますが、現行法令(制度)下においても、既存スキーム(枠組)の中で
の効率化の徹底、さらには「縦割行政」を排する法改正等(市町村での総合システム化等の対応を含む)によって、これらの目的達成は可能な部分が大きいと思われます。その点で
12
は、当該制度導入の現行の社会保障制度(システム)の枠組みから見た必要性(メリット、制度導入の必要性、利便性等)についての掘り下げた検討が不十分であると考えます。
2.制度改革と併せての総合的な番号制度の検討について
制度の導入によるメリットとして「きめ細かな社会保障給付の実現」等が掲げられ、総合合算制度や高額介護合算制度の現物給付化等が例示されていますが、市町村行政事務に携
わる者としては、これらの制度への対応として番号制度の導入の必要性が感じられません。また、制度導入で何ができるのかとの点では、
「これだけのために厖大なシステム改修経費
をかけるのか」という感じもします。
また、例えば、要援護者リストシステムに有効とされていますが、既に構築している市町村もある中、システム改修等において二重投資になるのではないかとも感じられます。
こうした点では、社会保障・税一体改革の全体的な枠組みの中での番号制度のあり方を総論的にもう少し明確化し、併せて費用対効果(特にイニシャルコスト)も明確に打ち出し
ていく必要があると思います。
3.社会保障カードとの関係について
長年にわたり検討がなされ実証実験も実施した社会保障カード制度との関係の記載、整理がなされていないように思われます。
4.市町村の現場の意見の反映について
中間整理に基づく平成 22 年 12 月から平成 23 年 1 月にかけての地方3団体意見集約(全国知事会、全国市長会、全国町村会)がなされ、平成 23 年 5 月には「社会保障・税番号要
綱等」についての各都道府県・指定都市担当課長説明会」も開催されたとされています。しかし、社会保障・税行政に第一線で携わる市町村には伝達の会議が開催されず、蚊帳の外
という印象がぬぐえません。国の方針策定等の一定の段階においては、市町村の意見を述べることができる機会の確保に配慮していただくようお願いします。
4
全国商工団体
連合会
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
① よりきめ細やかな社会保障給付の実現(P6)
② 番号制度の限界(P19)
● 意見内容
① 共通番号制度がなくても、社会保障給付の実現は可能
② 番号制度が完全でないことを認めており、それ以上の大きな意義があるとは思えない
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
① 国税庁には、KSKシステムがすでに存在しており、所得把握は可能。ITの導入は、国、地方ですでに推進しており、この活用をはかればよい。応能負担の原則が大企業・大資
産家優遇の租税特別措置でゆがめられているのが問題であり、消費税増税よりまず、ここにメスを入れて財源を確保すべきである。また、社会保障の充実をいうのであれば、高い国
保料(税)のために、約445万世帯が滞納し、正規の保険証がなく医者にいきたくともいけない国民の実態に目を向け、国庫負担を引き上げるべきである。
② 番号制度にはやはり大きな問題がある。まず、個人情報の漏れが起きプライバシー侵害の危険性はないのか、昨今の企業等の個人情報の流出報道からみて心配である。また、アメ
リカでは深刻な「成りすまし」被害が発生してと聞くが、日本では本当に大丈夫なのか。こうした事態が発生したら、取り返しがつかず大変なことになる恐れがある。
さらに、税金の滞納、保険料の滞納がこの共通番号制では、一番にチェックされ、病院の診療が受けられないなどの事態が発生するのではないか。いまでも、国保料の滞納で差押
えが全国で起きている。社会保障と滞納徴収は本来別個のものであり、国民の生存権を保障する憲法25条との混同は許されない。
そして、第三者機関を設置するとしても、今問題になっている原発を推進する経産省と保安院の関係、また税金を徴収する国税庁と国税不服審判所の関係ではいずれも、きちんと
独立した関係になっていないため、しっかりとした権限をもつ第三者機関としての役割を果たしきれていないのが実態であり、国民の利益を十分守れていない。あてにならない第三
者機関であり、重ねて共通番号制度は必要ない。
5
札幌市医師会
北区支部
本案は社会保障の再建・拡充を目指したものとは言い難い。本案の利便性が過大に強調され、起こりうるリスクとその対策に対する配慮が不足している。
本案は、行政手続、課税徴収や社会保障の管理上、いくつかの利点がある。また、総合合算制度による一部の低所得者救済が可能となり、高額医療・高額介護合算制度で患者が負担軽
減の恩恵を受ける点は評価する。一方、また本案導入により、電子レセプトの縦覧・突合点検等による過剰な社会保障の給付制限につながり、国民が十分な医療を受けられなくなること
を我々は危惧している。さらには、経団連が主張しているような社会保障受給額が負担した社会保険料を超えたものは、死亡時に相続財産によって清算するなど、社会保障に関する情報
を、番号を用いて個人単位で名寄せ・突き合せする社会保障個人会計につなげることがないよう強く要望する。本案により上述のような行き過ぎた施策を実行することがあれば、社会保
障を後退させ、ゆがめることになる。本大綱が施行されても、国民皆保険が維持、発展し、国民が公平に十分な医療を受けられることを強く要望する。
本案は、個人情報漏洩とそれによる深刻な被害を招き、経済的及び社会的に甚大な損失を引き起す可能性がある。また、政府は、年齢や判断能力の如何を問わず一律に共通番号記載 IC
カード(同カード)所持を強制し、国民個人が管理責任を負うとした。しかし、同カードの盗難・紛失により諸手続が困難となったり、不正利用等が起こり得る。同カードを用いた医療・
健康情報流出の危険性も高くなる。ここまで個人に責任を負わせることが、本当に弱者救済、利便性の向上につながるとは考えがたい。同カードの交付要件を再検討し、政府が責任を持
って管理する体制の整備を強く求める。また、税番号制施行下で個人情報漏洩等が起きた場合、被害者への補償救済策等をはじめとする具体的な対応に関しても、政府が責任を持って実
行することを求める。
医療、介護、福祉、課税徴収等、各分野にまたがる全国的なネットワーク構築を目標とする同案のコストは莫大である。現在の医療崩壊と被災地医療の困窮、財政状況を鑑みれば、現
13
在の社会保障の維持・拡充にこそ、その資金を優先的に充当すべきである。
上記の点を改善することを強く求め、現段階での本大綱による共通番号制導入には反対する。
6
日本税理士会
連合会
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.26
第3 法整備
Ⅱ 個人に付番する「番号」
1.付番(1)
● 意見内容
付番の対象となる個人は、「住民基本台帳法第7条第 13 号の住民票コードが住民票に記載されている日本の国籍を有する者、同法第 30 条の 45 の表の上欄に掲げる中長期在留者、特
別永住者等の外国人住民及び日本国内に財産を有し日本国内源泉所得を得る非居住者とする。」とすること。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
付番の対象となる個人を、「住民基本台帳法第7条第 13 号の住民票コードが住民票に記載されている日本の国籍を有する者及び同法第 30 条の 45 の表の上欄に掲げる中長期在留者、
特別永住者等の外国住民とする」としているのは、納税義務を負う非居住者たる個人を番号制度の外に置くことなり、課税について著しい不公平を生ずる懸念がある。
すなわち、非居住者たる個人もしくは番号を付番されている日本居住個人が、海外の非居住者を経由することにより、日本の国内源泉所得に関する納税を不当に免れる可能性を高め
ることとなる。これにより、納税者が不公平感を抱く結果を招き、政府の番号制度の欠陥について国民の不信感を高めることとなるため、極力すべての納税義務者に付番するような制
度とすべきである。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.31-32
第3 法整備
Ⅲ 「番号」を告知、利用する手続の範囲
6.税務分野(1)国税、
(2)地方税
● 意見内容
「国税」と「地方税」の重複の排除も検討すること。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
「番号」の利用分野として、
「6.税務分野」においては、国税と地方税が分けて記載されている。国税と地方税には共通又は類似している手続きが多いことから、これらを整理する
ことが必要である。「番号」及び「法人番号」の導入に併せて、国税と地方税が共通している申告・申請等の手続については、重複を排除すべきである。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.31-32
第3 法整備
Ⅲ 「番号」を告知、利用する手続の範囲
6.税務分野(1)国税、(2)地方税
● 意見内容
大綱で記述されている「税務代理人等」とする箇所を、「税理士又は税理士法人」に改めること。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
大綱では、税務署長等に提出する確定申告書や法定調書等の書類に「番号」を記載する者として「税務代理人等」という表現が使われており、ここで記述されている「等」とは税理
士以外の者を想定していると思われる。確定申告書等の税務書類の作成が可能なのは、本人のほか、税理士法の規定により、税理士又は税理士法人のみであることから、当該箇所は「税
理士又は税理士法人」に改めるべきである。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
14
P.38
第3 法整備
Ⅵ 「番号」に係る個人情報の保護及び適切な利用に資する各種措置
8.「番号」に係る個人情報の安全管理措置義務
● 意見内容
中小企業の事務負担が過度にならないように配慮すること。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
「番号」を取り扱い得る事業者は、
「当該情報の漏えい、滅失又はき損の防止その他の「番号」に係る個人情報の安全管理のために、相当な措置を講じなければならない。」とされて
いる。
個人情報保護の観点や目的外利用を防止するうえで当然に必要な対策であるが、
「番号」を取り扱い得る事業者とは、源泉徴収義務者・特別徴収義務者たる事業者等を指し、多くの中
小企業が含まれることとなる。これら中小企業の事務負担とのバランスを考慮することが必要である。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.39-40
第3 法整備
Ⅵ 「番号」に係る個人情報の保護及び適切な利用に資する各種措置
11.代理の取扱い(1)法定代理、(2)任意代理
● 意見内容
税理士が納税者から税理士業務を委嘱された場合には、電子申請に係る代理送信や申告に必要な納税者情報をマイ・ポータルから取得することができる仕組みを確立する等、税理士
の立場を明確にすること。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
「番号」に係る個人情報の開示請求等について、未成年者又は成年被後見人については法定代理人による「法定代理」を、本人自身で開示請求等を行うことが難しい者で法定代理人
が存しない場合には「任意代理」を認めている。
しかし、大綱 P.32 では、
「具体的には、本人及び税務代理人等が税務署長等に提出する確定申告書や法定調書等の書類に「番号」を記載することや、このために必要な事務に「番号」
を用いることがこれに該当する。」とし、税務代理に「番号」を用いることは許容しているにもかかわらず、税務書類の代理送信や開示請求等についての税理士の代理について触れられ
ておらず、今後、納税者が税理士に代理を依頼するにあたり不安を残すものとなっている。
今後とも電子申告の更なる普及推進を図るためには、国と税理士が一丸となって番号制度を推進していくことが肝要であると考えている。そのためには番号制度における税理士の立
場を明確にすることが必要である。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.45
第3 法整備
Ⅹ マイ・ポータルへのログイン等に必要なICカード
1.概要
● 意見内容
IC カードに番号を例外なく記載すること。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
「番号」を可視化するためには、「番号」を IC カードに記載することが必須である。
しかし、
「マイ・ポータルへのログイン等に必要な IC カード」の箇所では、
「ただし、当該 IC カードの交付を受ける住民が IC カードに「番号」の記載を希望しない場合も考えられる
ため、その場合の対応について、引き続き検討する。」とある。IC カードに番号を記載することへの反対意見及び反対意見への対応を検討することに反対である。
IC カードに記載する「番号」は、氏名と同じである。IC カードに「番号」を記載しないことを許容すると、さらにその「番号」を確認するための手続きが必要となり、社会保険、年
金、税務、医療、福祉等のいずれの分野における手続きについてもコストが増加することになる。
IC カードに「番号」を例外なく記載することにより、給付と負担・課税の公平が保たれ、社会全体のコストが減少するのである。また、災害時にも役立つこととなる。
15
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.45
第3 法整備
Ⅹ マイ・ポータルへのログイン等に必要なICカード
● 意見内容
意見5で述べた「税理士が納税者情報をマイ・ポータルから取得することができる仕組みの確立」を前提とした場合、日税連が発行する電子証明書もマイ・ポータルにログインでき
る IC カードに追加すること。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
マイ・ポータルへのログイン等に必要な IC カードについては、住民基本台帳カード及び公的個人認証サービスにおける電子証明書を改良したものを活用する旨記載がある。しかし、
この IC カードでは税理士資格の有無を確認することができず、税理士が納税者情報をマイ・ポータルから取得することができる仕組みを確立することが困難になると思われる。
現在、税理士資格を証明することができる電子証明書は日税連が発行する電子証明書のみである。
したがって、日税連が発行する電子証明書もマイ・ポータルにログインできる IC カードに追加すべきである。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.53
第3 法整備
ⅩⅢ 法人等に付番する番号
1.付番
● 意見内容
付番対象となる法人について、
「また、会社法人等番号を有しない登記のない法人等(外国普通法人も含む)に対しては、国税庁において、登記のある法人等に係る会社法人等番号と
重ならない番号を付番することとする。」とすること。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
個人への付番と同様、外国普通法人に対して強制的に付番しなければ、課税の公平性を欠くこととなる。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.54
第3 法整備
ⅩⅢ 法人等に付番する番号
4.検索及び閲覧
● 意見内容
法人であっても、個人と同様、法人自身の情報(アクセス記録の確認、申告情報の開示、行政機関等からのお知らせ等)を確認できる制度とすること。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
個人については、
「マイ・ポータル」によりアクセス記録の確認、申告情報の開示等が行えるとのことであるが、法人についても法人自身についての法令や条例に基づき税務当局が取
得する各種税務情報(青色申告か否か、課税事業者か否か、前年の申告内容、採用している評価方法等)については適正な納税義務を果たすために必要である。したがって、個人の「マ
イ・ポータル」と同様に法人自身の税務情報及び社会保険情報を開示する制度を確立すべきである。
7
サイバー税理
士連盟
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.26
第3 法整備
Ⅱ 個人に付番する「番号」
1.付番(1)
16
●
●
意見内容
付番の対象となる個人に、「日本国内源泉所得を得る非居住者」を追加すべきである。
理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
非居住者たる個人が日本国内源泉所得に係る課税を不当に免れる可能性を排除するため。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.38-39
第3 法整備
Ⅵ 「番号」に係る個人情報の保護及び適切な利用に資する各種措置
10.「番号」に係る個人情報へのアクセス及びアクセス記録の確認
(1)「番号」に係る個人情報へのアクセス
● 意見内容
「ア」において、マイ・ポータル上で「当該個人に開示を行なっても事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがない情報」についてのみ開示できることとされているが、原則として
すべての情報を開示することとし、不開示情報については、法令で具体的に限定列挙すべきである。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
「事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」という当局の裁量に委ねられた基準は、開示の範囲が不当に狭められるおそれがあり、結果的に自己訂正権が制約されることになる。
例えば、税務分野において法定調書はすべて開示されるべきである。なぜなら、法定調書として収集された情報が開示されなければ、その情報に誤りがある場合(例えば、番号の誤
記入等)、訂正請求が不可能になる。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.39
第3 法整備
Ⅵ 「番号」に係る個人情報の保護及び適切な利用に資する各種措置
10.「番号」に係る個人情報へのアクセス及びアクセス記録の確認
(2)アクセス記録の確認
● 意見内容
「イ」において、「除外事由を設ける」こととされているが、アクセス記録はすべて確認できるようにすべきであり、除外事由を設けるべきではない。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
除外事由を設けることは、P.17(3)③の最高裁判決が指摘する「管理・利用等が法令等の根拠に基づき、正当な行政目的の範囲内で行われるものであること」かどうかを確認する
ことができない。
●
●
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.53
第3 法整備
ⅩⅢ 法人等に付番する番号
1.付番
意見内容
「(3)法令等の規定に基づき設置されている登記のない法人」に「普通外国法人」も追加すべきである。
理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
個人への付番と同様、普通外国法人に対して強制的に付番しなければ、課税の公平性を欠くこととなる。
17
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.19
第2 基本的な考え方
5.番号制度の可能性と限界・留意点
(2)番号制度の限界
● 意見内容
番号制度の限界を補完・改善するには、「納税者権利憲章」の制定が必須である。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
番号制度が実効性を持つためには、税務当局と納税者の相互信頼関係が醸成される必要があり、そのためには、税務行政における適正手続の保障が必要であるため、
「納税者権利憲章」
の制定が必須となる。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.20、P.23
第2 基本的な考え方
6.番号制度の将来的な活用
7.今後の進め方
(4)今後のスケジュール
● 意見内容
番号制度の将来的な利用拡大及び民間サービス等での活用については、絶対反対である。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
番号制度の利用は社会保障分野と税務分野に限定すべきである。行政機関に番号制度が利用拡大されると、国家管理・監視社会となり、P.15 で危惧された問題が発生する。
また、番号制度が民間で利用されると、際限のない個人情報の集積が行われることになり、個人情報の漏えい問題や個人情報の売買などの弊害が生じ、今回想定される番号制度導入
の理念に反することになる。
番号制度が導入されている諸外国においても、民間利用の拡大に対しては歯止めの措置が講じられていることも参考にすべきである。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.49
第3 法整備
ⅩⅠ 第三者機関
2.権限・機能等
(2)発見・調査した問題を解消する権限・機能
● 意見内容
委員会の勧告に従わない行政機関及び地方公共団体に対しては、国会に報告する年次報告書においてその勧告の内容、行政機関等の名前を公表すべきである。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
委員会は、その活動内容を記載した年次報告書を作成し、国会に報告すべきである。
その年次報告書には、勧告に従わない行政機関等を公表し、勧告の実効性を担保する必要がある。
8
東京地方税理
士会制度部
●
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.26
第3 法整備
Ⅱ 個人に付番する「番号」
1.付番(1)
意見内容
18
●
付番の対象となる個人に、「日本国内源泉所得を得る非居住者」を追加すべきである。
理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
非居住者たる個人が日本国内源泉所得に係る課税を不当に免れる可能性を排除するため。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.38-39
第3 法整備
Ⅵ 「番号」に係る個人情報の保護及び適切な利用に資する各種措置
10.「番号」に係る個人情報へのアクセス及びアクセス記録の確認
(1)「番号」に係る個人情報へのアクセス
● 意見内容
「ア」において、マイ・ポータル上で「当該個人に開示を行なっても事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがない情報」についてのみ開示できることとされているが、原則として
すべての情報を開示することとし、不開示情報については、法令で具体的に限定列挙すべきである。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
「事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」という当局の裁量に委ねられた基準は、開示の範囲が不当に狭められるおそれがあり、結果的に自己訂正権が制約されることになる。
例えば、税務分野において法定調書はすべて開示されるべきである。なぜなら、法定調書として収集された情報が開示されなければ、その情報に誤りがある場合(例えば、番号の誤
記入等)、訂正請求が不可能になる。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.39
第3 法整備
Ⅵ 「番号」に係る個人情報の保護及び適切な利用に資する各種措置
10.「番号」に係る個人情報へのアクセス及びアクセス記録の確認
(2)アクセス記録の確認
● 意見内容
「イ」において、「除外事由を設ける」こととされているが、アクセス記録はすべて確認できるようにすべきであり、除外事由を設けるべきではない。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
除外事由を設けることは、P.17(3)③の最高裁判決が指摘する「管理・利用等が法令等の根拠に基づき、正当な行政目的の範囲内で行われるものであること」かどうかを確認する
ことができない。
●
●
●
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.53
第3 法整備
ⅩⅢ 法人等に付番する番号
1.付番
意見内容
「(3)法令等の規定に基づき設置されている登記のない法人」に「普通外国法人」も追加すべきである。
理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
個人への付番と同様、普通外国法人に対して強制的に付番しなければ、課税の公平性を欠くこととなる。
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
19
P.19
第2 基本的な考え方
5.番号制度の可能性と限界・留意点
(2)番号制度の限界
● 意見内容
番号制度の限界を補完・改善するには、「納税者権利憲章」の制定が必須である。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
番号制度が実効性を持つためには、税務当局と納税者の相互信頼関係が醸成される必要があり、そのためには、税務行政における適正手続の保障が必要であるため、
「納税者権利憲章」
の制定が必須となる。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.20、P.23
第2 基本的な考え方
6.番号制度の将来的な活用
7.今後の進め方
(4)今後のスケジュール
● 意見内容
番号制度の将来的な利用拡大及び民間サービス等での活用については、絶対反対である。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
番号制度の利用は社会保障分野と税務分野に限定すべきである。行政機関に番号制度が利用拡大されると、国家管理・監視社会となり、P.15 で危惧された問題が発生する。
また、番号制度が民間で利用されると、際限のない個人情報の集積が行われることになり、個人情報の漏えい問題や個人情報の売買などの弊害が生じ、今回想定される番号制度導入
の理念に反することになる。
番号制度が導入されている諸外国においても、民間利用の拡大に対しては歯止めの措置が講じられていることも参考にすべきである。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.49
第3 法整備
ⅩⅠ 第三者機関
2.権限・機能等
(2)発見・調査した問題を解消する権限・機能
● 意見内容
委員会の勧告に従わない行政機関及び地方公共団体に対しては、国会に報告する年次報告書においてその勧告の内容、行政機関等の名前を公表すべきである。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
委員会は、その活動内容を記載した年次報告書を作成し、国会に報告すべきである。
その年次報告書には、勧告に従わない行政機関等を公表し、勧告の実効性を担保する必要がある。
9
社団法人信託
協会
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第2-7-(3).(22~23 頁)
「番号制度の導入に伴う各種のメリットを実現していく際には、新たなシステム開発が必要となり、相応のコストが発生せざるをえない。
」
「「番号」を導入するための費用・期間につ
いては、一般的に、情報の活用範囲を広くするほど大きく・長くなることや、個人情報保護の仕組みの在り方等で相応の増減があり得ることから、システム等の技術設計や調達に当た
っては、費用対効果を十分に踏まえて検討を行う。また、費用を誰がどのように負担するかについて、受益者負担の観点も踏まえつつ、別途検討する必要があること等について、留意
する必要がある。」と記載されている箇所について。
● 意見内容
20
番号制度の導入に当たっては、行政のみならず、民間においても相当規模の負担・コストが発生することが予想される。したがって、具体的な制度設計や実務の詳細な検討において
は、関係者との事前協議を行い、十分な準備期間の設定を含め、金融機関が実務面でも対応可能な制度設計とすることとされたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
税分野における番号の利用だけでなく、金融機関利用者と金融機関との双方の利便性向上に資する民間における幅広い活用がされることが期待されるもの。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第3-Ⅲ-6-(1)(2).(31~32 頁)
「国税/地方税に関する法令の規定に基づき税務署長等/地方公共団体に提出する書類への記載及びこれに係る利用その他番号法の授権に基づく政省令で定める利用」
「具体的には、本人及び税務代理人等が税務署長等/地方公共団体の長に提出する確定申告書/申告書や法定調書等の書類に「番号」を記載することや、このために必要な事務に「番
号」を用いることがこれに該当する。」と記載されている箇所について。
● 意見内容
金融機関が、提出する支払調書に番号を記載する前提として、管理するすべての口座に番号を登録することは、すべての既存顧客や株主等から番号の申し出を受けることが必要とな
り、金融機関の膨大な口座数および全顧客との接触機会に限界がある現状を勘案するに現実的ではない。すべての口座に番号を登録するよう義務付けすることについては慎重に検討さ
れたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
銀行口座数は極めて膨大(約 8 億口)、かつ株主数も膨大な数(4700 万人/社)にのぼる。顧客との接触機会が限られる等の理由から、全ての既存口座への番号登録は現実的ではない。
特に、株主名簿管理人は株券電子化の際に証券会社等に口座開設をしなかった株主の口座管理を行っている(特別口座管理)。多数存在する特別口座株主から番号を収集するのは容易
ではなく、実質的に連絡がとれていない株主(いわゆる所在不明株主)が多く存在するため、すべての株主に付番することは不可能に近い。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第3-Ⅲ-1.(28 頁)
「具体的には、国民は基礎年金番号又は・・・を用いる手続において、当該番号に代えて「番号」を用いることができることとし、
・・・厚生年金基金、企業年金連合会、企業年金基
金、・・・又は適用事業所は、上記手続に係る事務において、「番号」を用いることができることとする。」と記載されている箇所について。
● 意見内容
厚生年金基金、企業年金基金又は適用事業所(以下、
「企業年金基金等」)は、給付事務等の年金業務に関する事務において、
「番号」を用いることができる旨記載されているが、当該
年金業務に係る事務の委託を受けている信託銀行等の金融機関等が「番号」を用いることができるのかという点や、当該金融機関等は情報連携基盤を通じて、他の情報保有機関の保有
する情報の提供を求めることができるのかという点については、明確に示されていないと考える。
これらの点について、委託を受けている金融機関等は、企業年金基金等と同様に番号制度を活用できる旨、明確化していただきたい。
また、委託を受けている金融機関等において、基礎年金番号と当該番号の二重管理をしないで済むように配慮頂きたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
確定給付企業年金や厚生年金基金では、給付の支給や掛金の計算に関する業務その他の業務を信託銀行等の金融機関等に委託することができることとされている(確定給付企業年金
法第 93 条、厚生年金保険法第 130 条第 5 項)。
金融機関等が業務委託を受けている企業年金制度において、受給者への給付支払等について支障が生じることのないよう、配慮いただきたい。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第3-Ⅴ-1(1)(35 頁)
「・・・法令に基づき「番号」を取り扱い得る事業者(「番号」に係る個人情報を取り扱う委託を受けた者(再委託、再々委託等の場合を含む。以下同じ。)を含む)又は・・・その
他法令の規定に基づいて書面に第三者の「番号」の記載を求められる者は、「番号」の告知を受ける際、本人確認を行うとともに、
「番号」の真正性を確保する措置を講じるよう努めな
ければならない。」と記載されている箇所について。
● 意見内容
企業年金制度において、給付事務等の委託を受けている金融機関等が加入者や受給者の「番号」を管理することとなった場合、当該「番号」については年金基金や事業主経由で入手
することになると考えられる。この場合、本人確認の義務が課せられるのは、個人から直接「番号」の告知を受ける年金基金や事業主であり、年金基金や事業主から「番号」を入手す
21
る金融機関等には、本人確認の義務はない旨、明確化していただきたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
35 頁の脚注 22 において、本人確認を行う事業者の例示として「現時点では、金融機関又は源泉徴収義務者・特別徴収義務者等たる事業者等が考えられる。」と記載されている。企業
年金制度の給付事務の委託を受けている金融機関等は、加入者・受給者への年金・一時金給付を行う際に源泉徴収を行っていることから、この脚注 22 を踏まえると本人確認の義務があ
るようにも読取れる。しかし、給付事務の委託を受けている金融機関等は、事業主又は年金基金経由でしか「番号」を入手できないと考えられるため、当該金融機関等には本人確認の
義務がない旨、明確化を求めるもの。
10
東京保険医協
会
●
該当箇所
第2基本的な考え方>1.番号制度の導入の趣旨>(2)課題について
(大綱 3 ページ)
● 意見内容
営利活用を踏まえた番号制度は国民のためにはならない。営利を目的とした民間事業までもが情報連携基盤を活用できるとすれば、それに対しては明確に反対する。
● 理由
大綱 3 ページ 10 行目より、
「国民が不満・負担等を感じる状況は、民間サービスにおいても生じており、民間事業者も正確な本人特定・本人確認のために多大なコスト・時間・労力
を要している状況にある。」と表記されている。このようなことを大綱に記述しているからには、将来的には情報連携基盤の活用を民間にも推し進めるのであろうと推測する。また、平
成 23 年 2 月 22 日に行われた第 5 回社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会では、各経済団体と意見交換をしており、議事要旨の中では将来の民間活用の可能性もゼロでは
ないことがうかがえる。もし、営利を目的とした民間事業までもが情報連携基盤を活用できるとすれば、それに対しては明確に反対する。
平成 23 年 2 月 23 日に行われた第 6 回社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会において各医療団体等が述べているように、医療は社会保障という枠組みの中で提供される
もので、高い公共性と非営利の部分で価値があるものである。営利を追求するところで患者の診療情報等を利用されることは健全な国民生活を損なうことにつながり、反対である。
●
該当箇所
第2基本的な考え方>2.番号制度の導入の趣旨>(3)制度導入の目的と期待される効果について
(大綱 4 ページ)
● 意見内容
匿名化情報は匿名ではない。データベースの運営、特に機微性のある医療情報の取り扱いについては国民の意思を尊重すること。
● 理由
当該箇所の最後の段落において「個人の匿名性を確保した上で診療情報等の二次利用を行えば、医療統計データの効率的な収集が可能となり、医学の向上にも資することとなる」と
されているが、医療情報の取り扱いについてまだ議論がなされていない現時点で二次利用について言及することはあまりにも時期尚早である。また匿名性の確保について、真に匿名化
を実現することは困難であると認識する。医療統計データとして有用なデータを構築するには地域情報、年齢といった情報がどうしても必要になる。東京大学大学院情報学環の山本隆
一氏によれば、個人特定を困難にするため様々な対策を講じているが、完全な匿名化とは言えないとされている。
医療情報の匿名化については海外諸国でも問題とされている部分である。イギリスでは国民のプライバシーを守るために、個人の医療情報については公開・非公開だけでなく、デー
タベースに登録をしないという選択肢も患者に提示し、患者の意思に基づいて運営されている。特に機微性のある医療情報についてはイギリスの例にならって国民の意思が最大限に尊
重されるような措置が取られなければならない。
●
該当箇所
第2基本的な考え方>1.番号制度の導入の趣旨>(5)我が国の理念について
(大綱 5 ページ)
● 意見内容
番号制度はきめ細かな社会保障と逆行する。きめ細かい社会保障は個別に対応することが前提であり、それに逆行する番号制度には反対である。
● 理由
まず税と社会保障を一体的に考えることは必要なのか。社会保障とは個人の負担額に応じて給付の質と量が決まるようなものではなく、個人の必要度に応じて社会保障給付を国家が
責任を持って遂行するべき公共サービスである。もし負担に応じて給付が決まるようであれば、それはもはや社会保障とは言えない。正確な所得の把握と適切な社会保障給付は全く別
の問題である。
22
当該箇所(大綱 5 ページ)においては今回番号制度を導入する目的は国民の「社会保障給付を適切に受ける権利」、「種々の行政サービスの提供を適切に受ける権利」を守るためであ
る旨が記されているが、この「適切に」という言葉だけでは 2 通りの運用が考えられる。すなわち「不正に必要以上の給付・サービスを受けることを是正すること」と、
「給付・サービ
スの抑制」である。現時点での本大綱の考え方としては前者の解釈であろうが、所得の把握を前提とした公平・公正な給付を目指すという点では後者の解釈に転換することもありうる。
本来、各家庭・各人の状況は全く異なるもので、社会保障給付というものはそれぞれ個別に対応が求められるものである。所得把握だけでは測り知れない事情を汲み取ることができな
いのであれば、むしろこれまでよりきめ細かい保障を達成することは不可能であると考える。
本文中にもあるように今回導入する番号制度は主として給付のための番号として制度設計することとされている。上記のとおりきめ細かい社会保障は個別に対応することが前提とな
ってくるのでその前提に逆行する番号制度には反対である。
●
該当箇所
第2基本的な考え方>2.番号制度で何ができるか>(1)よりきめ細やかな社会保障給付の実現について
(大綱 6 ページ)
● 意見内容
総合合算制度は社会保障の柔軟性を奪い、形骸化させるものである。国民的議論を待ち、民意を無視してはならない。
● 理由
番号制度を導入すれば今までよりきめ細やかな社会保障給付を実現できると考えるのは大きな誤りである。端的な例をあげるとすれば、所得・負担額が明確にわかったからといって
各人に必要な保険給付や要介護度の認定がされるようになるのかというともちろんそうではない。きめ細やかさを決定するのは番号ではなく各制度の内容と心のこもった運営であろう。
また大綱 6 ページ中に掲げる「総合合算制度(仮称)」は社会保障個人会計にも繋がる恐れがある。これは年金、医療、介護、雇用保険等の社会保障情報を、番号を用いて個人単位で
名寄せ・突合して明確にする仕組みである。社会保障個人会計においては個人における負担と給付の割合が明らかになり、負担額の少ない経済的弱者を足手まといだと認識させ、社会
的地位を脅かす恐れがある。また制度包括化は各社会保障制度の柔軟さを奪い、給付の硬直化をも招いてしまうのではないか。本来であれば国民的議論が必要である施策であるのに、
総合合算制度が何たるかがまだ国民に周知されていない段階で政府が導入を決定することは国民の意思を無視することにつながる。
●
該当箇所
第2基本的な考え方>2.番号制度で何が出来るのか>(3)災害時の活用に関するものについて
(大綱 8 ページ)
● 意見内容
不明確な番号制度の定義付けは医師と患者の信頼関係を損なう。
● 理由
大綱 8 ページ文中①及び③に「医療機関等」という表現があるが、医療従事者の立場からするとこれは非常に曖昧な表現である。医療行為は患者から得られた情報と患者の同意のも
と行われ、個人の秘密は厳しく守られてきた歴史的な原則がある。個人情報の保護はヒポクラテスの時代から医療が成り立つための大原則である。この原則によって医師・患者の信頼
関係が築かれ、臨床医療が成立してきた。個人情報の保護は欧米5つの学会が共同で作成し、米英の代表的な医学誌に同時発表した「医師憲章」にも明文化されていることである。そ
の後、日本医師会も独自の医師憲章を作成して、個人情報の保護を求めている。医療情報は特に機微性の高い個人情報であることから、医療機関等という表現にどのような組織が含ま
れるのかを明確にしてもらわなければ、患者にメリット、デメリットを伝えることができず、信頼関係を損なうおそれがあり、ひいては医療の根幹を揺るがすものともなりうる。
また、第2―2.
(6)③難病等の医学研究“等”(12 ページ)でも同じように目的が曖昧なままとなっている。
「誰が使うのか」
「どのような目的に使われるのか」を明確に定義され
ないままであれば、具体的な意見を述べることができず、パブリックコメントを募る意義も薄れてしまう。
プライバシー保護の不十分な番号制度には反対の立場であるが、なんとしても番号制度を実現するのであれば、このような曖昧な表現を残さず具体的な内容をもって制度の範囲を明
確化することが必要である。
●
●
該当箇所
第2>5.番号制度の可能性と限界・留意点>(2)番号制度の限界
(大綱 19 ページ)
意見内容
幻の「所得捕捉格差」是正ではなく、税制の抜本的改革が必要である。
23
●
理由
大綱の全体の要旨としては国民全員の所得を把握しないといけないという立場であったのに対し、該当箇所では「事業所得や海外資産・取引情報の把握には限界がある」と指摘して
いるようにすべての所得は補足できないという限界性を説明している。そのように、この制度は重大な欠陥を持ち合わせている。
この所得の正確な捕捉の障碍としていわゆる「クロヨン」問題があると考えられるが、果たしてこのクロヨン問題とは実在するのであろうか。所得捕捉格差があるというならその実
態を示すべきである。所得捕捉格差があるかどうかを検証もせずに共通番号によってすべての国民の所得を把握し、適切な社会保障を目指すというのは砂上の樓閣を築こうとするよう
なものである。
高額所得者に対しては、把握された所得に対する課税も累進的とは言えない。平成 19 年の政府資料である申告納税者の所得税負担率では、申告所得額が 5000 万円から 1 億円の層
の所得税負担率 26.5%をピークにそれ以上の高額所得者の所得税負担率は極端に減少している。真に公平な税負担を掲げるのであればまずは番号制度の導入よりも税制の抜本的改革を
先に行うべきではないのか。また日本は企業による社会保障費の負担が少ないことで知られている。まずこのことを改めるべきである。
●
該当箇所
第2>5.>(4)本人同意の取り扱いについて
(大綱 19~20 ページ)
● 意見内容
本人同意を前提としない番号制度は国家によるプライバシーと利益の侵害である。
● 理由
大綱 20 ページにおいて原則として本人同意を前提としない仕組みとするとされているがこれは信じ難い暴論である。国家が国民の個人情報を集積することは、個人情報が外部に漏
洩するかどうかの問題ではなく、憲法 13 条に保障された「最大の尊重をされる」べき個人の人権の問題である。個人情報の取扱について国民の同意を前提としないのであれば、仮に
法律で定めたとしてもそれは国家による重大な憲法違反である。
そもそも年齢も判断能力も問わずに日本国内にいるすべての人に番号が強制的に付番され、国民に管理責任を押し付けるということにも同意しかねるところである。海外ではエスト
ニアのように、出生と共に個人認証番号を付番する国もあるが、我が国においては戸籍制度がすでに存在し、大きな問題を起こすことなく今日まで運営されてきた。
戸籍制度等にみられるようにこれまでの行政サービスの実績を鑑みれば、多額の費用を投じて個人のプライバシーを脅かし、利益が少なく危険極まりない番号制度を導入することは
まさに百害あって一利なしといえるだろう。
●
該当箇所
第2>2.>(5)事務・手続きの簡素化、負担軽減に関するもの>②医療機関における保険資格の確認
(大綱 11 ページ)
第2>7.今後の進め方>(3)番号制度の導入に係る費用と便益について
(大綱 22 ページ)
● 意見内容
社会保障サービスの為に必要なインフラであれば、システム導入のコストは国が責任を持つべきである。
● 理由
政府の試算では番号制度を導入するにあたり初期費用が最大 6000 億円も必要になるとしている。これに対する経済効果を示していただきたい。初期費用には金融機関、医療機関、介
護事業所等の民間側の負担は含まれていないと思われる。本文中に「…費用を誰がどのように負担するかについて、受益者負担の観点も踏まえつつ、別途検討する必要がある…」との
表記があるが導入のコストについては国が責任を持つべきである。そして、誰がどのような経済的利益を得るのかを示して欲しい。医療機関窓口において瞬時に医療保険資格の確認が
可能になれば確かに便利ではあるが経済的な利益はわずかである。そのシステムの導入コストが高額で、なおかつ各医療機関の負担を強いられるという事であれば、いくら事務コスト
を下げられると言っても導入は難しい。我が国の保険診療においては、消費税はかからず患者から徴収しない一方で、医療機関は診療に使う機器については消費税を払わなければなら
ないと同時に実質的には診療報酬には消費税が反映されず医療機関は厳しい経営を強いられている。金融機関、医療機関、介護事業所で働く人も国民であり、これらの場所で働く人々
がメリットを感じられないのに費用負担を強いることは許されない。社会保障サービスの為に必要なインフラということであれば、導入のコストにおいても国が責任をもつのが当然で
ある。
また、なりすまし対策や被害を被った国民への保障といった社会的コストも含まれておらず、政府の試算は雑なものであると言わざるを得ない。番号制度導入によって諸手続きの簡
素化など事務コストは削減できるだろうが、それは国民にとっては間接的な便益にすぎず、国民が恩恵を感じられるのは各社会保障制度による給付を充実させることによってしか達成
できない。
24
●
該当箇所
第3 法整備>1.社会保障分野
(大綱 33 ページ)
● 意見内容
納税者番号と社会保障番号を共通の番号とする必要性はない。むしろ有害であり、共通番号としないこと。
● 理由
社会保障の給付は年金のような現金給付サービスと、医療のような現物給付サービスに大別される。社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会中間とりまとめ (平成 22 年 6 月
29 日)の段階では B-1 案「税務分野+社会保障の現金給付に利用」、B-2 案「税務分野と社会保障情報サービスに利用」というように分かれていたはずであるが、本大綱においてはそ
の二つを混同している。機微な情報に関しては特段の措置を設けるという言葉だけではプライバシーは守られない。例として「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」がすすめる
ナショナルレセプトデータベースがある。このデータベースでは、蓄積したデータの使用に関して研究のみを目的として活用の検討を始めている。しかしこのデータベースに格納され
ているデータは2回暗号化を施したと言いつつも、東日本大震災では患者のレセプト情報を引き出し、個人を特定することが可能であることを白日の下に晒した。このナショナルレセ
プトデータベースの是非については医療界でも統一意見が熟成されていないが、百歩譲歩してこのデータベースの存在を許したとしても、研究のみを目的としているデータベースを、
将来は民間活用も考えている情報連携基盤にリンクさせることに関して全くメリットを感じることができない。むしろプライバシーの問題を考えればデメリットのほうがはるかに大き
い。遺伝的疾患や重大な疾患情報が漏洩した場合、社会保障の充実はおろか、むしろ個人の生活や、雇用まで脅かしてしまうことを忘れてはならない。
医療情報に関してはあくまでも情報連携基盤を通じて番号と紐付けせず、それらとは別の体系で独立させるべきである。
●
該当箇所
第2>4.>(3)住民基本台帳ネットワークシステム最高裁判決との関係
(大綱 17 ページ)
第3法整備>Ⅺ 第三者機関について
(大綱 48 ページ)
● 意見内容
第三者機関は強い独立性を確保するべきである。
● 理由
平成 23 年 6 月 24 日の第 10 回社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会では公正取引委員会のような国家行政組織法第 3 条に基づく委員会ではなく、同法第 8 条に基づ
く委員会の設立ということも検討している。しかし 8 条委員会は所管省庁に従属する組織のため、公正取引委員会のような独立性はなく、人事や予算などで親省庁と密接な関係がある。
このような独立性のない委員会を設立したとしても、それは形だけの第三者機関であり、そのような貧弱な監視機能で国民のプライバシーを守れると考えているようであれば言語道断
である。福島第一原発の事故は独立性のない委員会が所管省庁を監視できないことを教えてくれた。
万が一国民の情報が漏洩すれば芋づる式に秘匿な情報までも他人の目にさらされてしまう。そのようなプライバシーの問題だけでなく、マイポータル等での本人なりすましにより、
実際に金銭的な被害を受けることもありうる。事後的に不正利用、犯罪を取り締まったとしても被害者の被った損害の埋め合わせとはならない。
すでに諸番号制度を導入しているヨーロッパ諸国では第三者機関の管理・監視機能を強めプライバシーの確保に注力している。住民基本台帳ネットワークシステム最高裁判決による
要件「個人情報を一元的に管理することができる期間または主体が存在しないこと」に対する対策としては、分散管理、番号そのものではなく符号を使用、符号から番号を推測できな
い様にする旨が記載されている。これは大綱 5 ページに挙げられているオーストリアのセクトラルモデルを参考にしているものであると認識するが、そのオーストリアでは第三者機関
であるデータ保護委員会が政府から独立しており、各政府機関同士がデータを融通する場合にはデータ保護委員会を介さなければならないというシステムになっている。国民のプライ
バシーを守り、国民から信頼されるに足りるものとしたいのであればオーストリアのように第三者機関を介するシステムが妥当である。また、ドイツにおける第三者機関であるデータ
保護監察官は連邦議会や各州議会により選出されており、公的機関を監督することとなっている。
よって、第三者機関の行政上の立場については上記の国々にならい、独立性を確保すること。
11
埼玉県商工団
体連合会
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
① よりきめ細やかな社会保障給付の実現(P6)
② 番号制度の可能性と限界・留意点(P19)
● 意見内容
25
①
②
共通番号制度がなくても、社会保障給付の実現は可能
番号制度が完全でないことを認めている以上、デメリットの方が大きい
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
① すでに税金の分野でいえば、国税庁の国税総合管理 (KSK)システム、住民税・国保料(税)の IT 導入がされており、世帯・個人の所得確認は可能。さらに、低所得者ほど負担の重い
国保料(税)によって、納税したくてもできない人が増えており、番号制度により滞納だけがチェックされ、行政サービスの給付制限など、真に手を差し伸べるべき者に対する社会保
障の充実がなされないことも考えられる。また、国保の都道府県単位化によって、行政がきめ細かい対応ができなくなる懸念もある。莫大な費用(税金)を使ってまで番号制度や国保
の都道府県単位化を導入する必要はない。
② 個人情報流出などの恐れが大いにある。近年だけみても行政や大手企業による個人情報の流出もあり、個人情報管理の徹底がされていない。第三者機関を設置するとしても同様で
あり、番号制度が完全でないことを認めている以上、なおさら必要ない。
12
全国銀行協会
①
制度導入に向けた準備(関係者との事前協議等)の必要性
・該当箇所: 第1 [大綱1ページ]
・意見内容: 「国と地方公共団体・関係機関との相互調整を行うなど、地方公共団体等の実情や費用対効果を踏まえ、スケジュール等の弾力性を確保しつつ、制度導入に向けた準備を
進めて参りたい」とあるが、番号制度の導入に当たっては、行政・民間の双方において相当規模の負担・コストが発生することが想定されることから、具体的な制度設計
や実務の詳細な検討においては、関係者との事前協議を行ったうえで考え方を早急に明確化し、十分な準備期間の設定を含め、実務面でも対応可能な制度設計としていた
だきたい。
・理由 : 番号制度導入にあたっては、制度設計次第ではあるが、行政のみならず民間においても相当規模のコスト発生が見込まれる。例えば源泉徴収を行う金融機関等は、法定調書
への「番号」等の記載において事務・システム対応等によるコスト負担が生じることとなる。このため、行政のみならず民間において生じるコストについても十分に留意し、
さらに民間での事務・システム対応の容易性やコスト、「番号」等の記載のフィージビリティに十分配慮した制度設計、導入スケジュールとすることが必要であるため。
②
法定調書等への「番号」又は「法人番号」の記載
・該当箇所: 第2-2.(2) [大綱7ページ]
・意見内容: 「今後「番号」又は「法人番号」の記載の具体的な開始時期、正しい「番号」の告知や本人確認の担保方法について検討」とあるが、関係者との事前協議を含めて可能
な限り早期に検討を開始し、具体的な内容を明示していただきたい。
加えて、要件確定から施行までの期間は、金融機関側の準備に必要な期間を十分確保できるようにする等、「番号」等の記載のフィージビリティに十分に配慮した導入
スケジュールとしていただきたい。
・理由 : 法定調書に「番号」等を記載にあたっては、金融機関側の受付態勢整備等の事務対応、システム開発等を行うこととなり、十分な準備期間が必要となるため。
③
法定調書等への「番号」又は「法人番号」の記載
・該当箇所: 第2-2.(2) [大綱7ページ]
・意見内容: 「所得把握の精度の向上等の実現」のためには、法定調書を提出している既存口座に、お客さまの「番号」等を付す必要が出てくると考えられるが、金融機関に「番号」
等の記載を義務付けることは非現実的である。お客さまから金融機関に自主的に「番号」等を申告する制度的なインセンティブを付与する等の対応が必要である。
金融機関側での「番号」等の受付、「番号」等記載のための事務・システム対応や、「番号」等が付されている口座と付されていない口座の管理等が必要となるとみら
れ、金融機関において相応の事務・システム対応とコスト負担が発生する。公的なコスト負担も含め、十分な配慮をお願いしたい。また、制度設計については、関係者の
十分な事前協議が不可欠である。
④
法定調書等への「法人番号」の記載
・該当箇所: 第2-2.(2) [大綱7ページ]
・意見内容:法定調書に「法人番号」を記載する場合には、
1)公開情報の「法人番号」についても告知の有無に関わらず、全量の「法人番号」を記載するのではなく、告知を受けた法人分のみを記載する手続を基本としつつ、「法
人番号」が広く一般に公開され自由に流通されるものであることを踏まえた柔軟な運用を検討していただくとともに、
2)法定調書を提出する可能性のある対象先には、すべからく告知するよう求めることは避ける扱いとしていただきたい。
26
・理由 :1)付番機関のホームページ等にて、金融機関で「法人番号」を付与しなければならないことになると、当該法人であるのか十分な一致確認ができない可能性があるため。
2)例えば、「利子等の支払調書」であれば、法人の総合課税先で定期預金や譲渡性預金等の取引があると、法定調書を提出しなければならないケースがある。全ての対象先に
告知するよう求める必要があると、金融機関にとって相応に重い負担となるため。
⑤
法定調書の拡充
・該当箇所: 第2-2.(2) [大綱8ページ]
・意見内容: 「法定調書の拡充についても検討を進める」とあるが、検討開始時期、拡充を検討する範囲等について、可能な限り早期に具体的に明示していただきたい。なお、検討
に当っては、実務面での対応可能性等を含めて金融機関との事前協議を行ったうえで十分な準備期間を設定することが必要である。
ただし、法定調書の拡充によって、個人預金を含めた全ての既存口座への付番をすることは現実的ではないと考える。また、仮に預金口座の開設等に拡充する場合であ
っても、一定の時期以降の新規開設口座に限定する等、金融機関の実務を十分に踏まえた実効性の高い制度としていただきたい。
・理由 : 今後、「番号」等の記載が必要となる法定調書が拡充される場合、事務・システムの対応範囲が広がると予想される。当面必要となる法定調書への事務・システム対応等を
検討するに当っても、将来的なシステムの拡張性等も考慮する必要があるため。
⑥
ICカードによる本人確認・券面記載事項
・該当箇所: 第2-3.(3) [大綱14ページ]
・意見内容: ICカードについては、犯罪収益移転防止法上の本人確認書類とするとともに、口座の不正利用を防ぐ観点から、現状の住民基本台帳カードと同様に顔写真付きとし、
「番号」を券面に記載すべきである。
また、ICチップ内の情報の確認を想定する場合には、受付窓口ごとに確認用の機器を準備することとなり、新規投資または既存機器への影響や公的な負担等の検討が
必要である。
・理由 : ICカードは、現行の住民基本台帳カードを活用しつつ住民票コードと一対一対応した「番号」を記載したものと理解しているが、犯罪収益移転防止法上、住民基本台帳カ
ードは本人確認書類として認められている一方、住民基本台帳法では本人確認時に住民票コードの告知を求めることは禁止されているため上記の扱いを求めるもの。
⑦
ICカード(ICチップの利用等)
・該当箇所: 第2-3.(3)等 [大綱14ページ]
・意見内容: 現行の住民基本台帳カードでは、ICチップに搭載された「券面事項確認AP」の利用により強固な本人確認が可能となっているが、同様の機能を継続して提供いただ
きたい。
本人の同意を得ることを前提に、民間事業者によるICチップ内情報の2次利用を可能とすることを許容いただきたい。その際、住民基本台帳カードでは画像情報でI
Cに保存されている「住所」の文字情報化についてもご検討いただきたい。
また、住民基本台帳カードのICチップの読取りに必要となる照合番号(有効期限8桁+生年月日6桁)は、実務上の入力負担が大きいため、番号制度のICカードでは桁
数の短縮をご検討いただきたい。
⑧
今後のスケジュール
・該当箇所: 第2-7.(4) [大綱23ページ~]
・意見内容: 「平成23年秋以降、可能な限り早期に番号法案及び関係法案を国会に提出する」とあるが、金融機関に関するどの法律・政省令・監督指針などが制定・改正されるかに
よって事務・システム対応等の検討が必要となるため、対象となる法律等については可能な限り早期に明示していただきたい。
利用範囲の拡大を踏まえた番号法の見直しを平成30年を目途に行うとされているが、番号制度の対応で相応のコスト負担が発生することから、費用対効果の観点を踏ま
え、前倒しで議論していただきたい。
また、利用範囲の拡大の対象に民間利用が含まれることを明記するとともに、民間利用の議論も前倒しで実施していただきたい。
⑨
「番号」の変更
27
・該当箇所: 第3-Ⅱ-2 [大綱26ページ~]
・意見内容: 「番号」の変更が行われる場合、「番号」を取り扱う事業者は改めて告知を受けない限り変更後の「番号」を把握することはできないため、結果として変更前の「番号」
を支払調書に記載して提出することになる。
このような場合において、「番号」を取り扱う事業者に対して、変更後の「番号」を確認し支払調書を再提出すること等が求められれば、実務上の負担が極めて大きく
なることから、「番号」の変更に関して「番号」を取り扱う事業者に負担がかからないように配慮いただきたい。
⑩
年金分野における番号の利用等
・該当箇所: 第3-Ⅲ-1 [大綱27ページ~]
・意見内容: 厚生年金基金、企業年金基金又は適用事業所(以下、「企業年金基金等」)は、給付事務等の年金業務に関する事務において、「番号」を用いることができる旨記載さ
れている。しかし、当該年金業務に係る事務の委託を受けている信託銀行等の金融機関等が「番号」を用いることができるのかという点や、当該金融機関等は情報連携基
盤を通じて、他の情報保有機関の保有する情報の提供を求めることができるのかという点については明確に示されていないと考えるため、委託を受けている金融機関等は、
企業年金基金等と同様に番号制度を活用できることを明確にしていただきたい。
また、委託を受けている金融機関等において、基礎年金番号と当該番号の二重管理をしないで済むように配慮いただきたい。
・理由 : 確定給付企業年金や厚生年金基金では、給付の支給や掛金の計算に関する業務その他の業務を信託銀行等の金融機関等に委託することができることとされている(確定給付
企業年金法第93条、厚生年金保険法第130条第5項)。
金融機関等が業務委託を受けている企業年金制度において、受給者への給付支払等について支障が生じることのないよう、配慮いただきたい。
⑪
税務分野における番号の利用等
・該当箇所: 第3-Ⅲ-6.(1) [大綱31ページ~]
・意見内容: 金融機関が「番号」等の告知を受けることになる申告書・法定調書等は、金融機関における事務・システム等の対応範囲を明確にするため、可能な限り早期に具体的に
明示していただきたい。あわせて、明示する法についても早期に示していただきたい。
また、制度の円滑な実施のため、どのような場合に金融機関に番号を告知する必要があるかについて、国や地方自治体からの十分な情宣活動をお願いしたい。
・理由 : 「番号」の告知については広く国民に周知する方法を検討する必要があるが、民間金融機関等による周知には限界があるため。
⑫
大災害時における預金等の払戻し
・該当箇所: 第3-Ⅲ-7 [大綱33ページ]
・意見内容: 個人預金は、源泉分離課税であり法定調書を提出していないことから「番号」が付番されないと考えられる。この点を踏まえ、大災害時における預金等の払戻しの事務
に「番号」を用いる場合の制度設計については、お客さまがICカードや番号通知書を持参する等の対応としていただきたい。
・理由 : 個人を含めた預金口座に対し、金融機関が積極的に「番号」を付与(情報収集)することは非現実的であるため、制度設計については十分な協議をお願いしたい。
⑬
告知を受ける場合の本人確認と「番号」の真正性の確保
・該当箇所: 第3-Ⅴ-1(1)(2) [大綱35ページ]
・意見内容: 本人確認及び「番号」の真正性確保の在り方については、個別法等で個別に規定するとあるが、番号を取り扱い得る事業者に過度な負担が生じないように十分に配慮し
たうえで可能な限り早期に検討を開始し、具体的な内容を明示していただきたい。
なお、検討すべき事項としては、「顔写真付きのICカードの提示で足りるとするのか、それとも真贋判定機能付きR/W等で、ICチップを読み取ることによって確認
を行う必要があるのか」、「ICカードを所持していない場合、他の本人確認資料と「番号」が記載された通知書の提示によって確認するのか、それとも当局に「番号」
の真正性を確認する仕組みとするのか」等が考えられる。
・理由 : 金融機関側の事務・システム対応等のため、十分な準備期間が必要となるため。
なお、真贋判定機能付きR/W等を個々の金融機関の全ての窓口に設置する場合は、相当の投資が必要となることも考慮いただきたい。
また、仮に当局への「番号」等の確認が必要とする仕組みを検討する場合には、「番号」の確認に時間を要するとお客さまとの銀行取引に支障をきたす懸念があることも考
慮いただきたい。
28
⑭
告知を受ける場合の本人確認と「番号」の真正性の確保
・該当箇所: 第3-Ⅴ-1(1) [大綱35ページ]
・意見内容: 企業年金制度において給付事務等の委託を受けている金融機関等が加入者や受給者の「番号」を管理することとなった場合、当該「番号」については年金基金や事業主
経由で入手することになると考えられる。この場合、本人確認の義務が課せられるのは、個人から直接「番号」の告知を受ける年金基金や事業主であり、年金基金や事業
主から「番号」を入手する金融機関等には本人確認の義務はないことを明確にしていただきたい。
・理由 : 本人確認を行う事業者の例示として「現時点では、金融機関又は源泉徴収義務者・特別徴収義務者等たる事業者等が考えられる(脚注22)」とされている。企業年金制度の
給付事務の委託を受けている金融機関等は、加入者・受給者への年金・一時金給付を行う際に源泉徴収を行っていることから、この脚注22を踏まえると本人確認の義務がある
ようにも読み取れる。しかし、給付事務の委託を受けている金融機関等は、事業主又は年金基金経由でしか「番号」を入手できないと考えられるため、当該金融機関等には本
人確認の義務がないことの明確化を求めるもの。
⑮
「番号」の告知義務
・該当箇所: 第3-Ⅵ-1 [大綱36ページ]
・意見内容: 金融機関への番号告知義務を忌避した者に対する措置を仮に検討する場合には、金融機関での個別対応を不要とするよう慎重に検討し、必要に応じ金融機関との事前協
議を行っていただきたい。
なお、金融機関には、お客さまに対し、能動的に番号告知を促す義務はないという理解でよいか、念のために確認したい。
⑯
「番号」の記録されているデータベースの作成
・該当箇所: 第3-Ⅵ-5.(2) [大綱37ページ]
・意見内容: 既存のデータベース等への「番号」を付加する正当な理由に該当する範囲を可能な限り番号法等に記載することで確定するとあるが、対象となる範囲については早期に
明示していただきたい。
⑰
「番号」に係る個人情報の安全管理措置義務
・該当箇所: 第3-Ⅵ-8 [大綱38ページ]
・意見内容: 番号を取り扱い得る事業者に対し、「情報の漏えい、滅失又はき損の防止その他の番号に係る個人情報の安全管理のために、相当な措置を講じなければならない」とし
ているが、事業者に対して過度な負担を強いることがないようにしていただきたい。
また、「個人情報の安全管理のために、相当な措置」とは、具体的には、どのような措置を想定しているのか確認したい。さらに「番号」は、個人情報保護法上の個人
情報に該当する場合、「相当な措置」とは、個人情報保護法上の安全管理措置のことを指すのか確認したい。
⑱
公的認証サービスの改良
・該当箇所: 第3-Ⅹ-3 [大綱47ページ]
・意見内容: 民間事業者が、署名検証者・認証検証者とならずに電子証明書を利用する場合、地方共同法人が担う認証局等が提供するサービスを利用することとされているが、事務・
システム対応の容易性やコストに十分配慮した制度設計としていただきたい。
⑲
第三者機関の権限・機能
・該当箇所: 第3-ⅩⅠ-1,2 [大綱48ページ~]
・意見内容: 第三者機関に個別に監督権限を付与する内容となっているが、個人情報の取り扱いに関して金融機関も検査対象となる場合には、既存の監督体制との関係も踏まえ、監
督官庁である金融庁への授権などにより効率的な体制とすることも検討いただきたい。
29
13
一般社団法人
情報サービス
産業協会
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第2 基本的な考え方 1.番号制度の導入の趣旨
3頁(3)制度導入の目的と期待される効果
6頁(7)大震災時における真に手を差し伸べるべき者に対する積極的な支援
● 意見内容
情報システムは今や産業・社会のインフラであり、番号制度はこれら個別の情報インフラをデータ連携させるための必要不可欠な基盤であり、早期実現が必要です。
国民の理解と利用の促進を図る観点から、可能な限り実行可能性を判断できる導入効果の可視化(例えば、政府内で名寄せ事務が削減されることによる人件費の公表など)に取り組
むようお願いいたします。
また、東日本大震災をふり返るとき、被災者の本人確認や住民データ喪失時の対応などにおいて、極めて重要な役割を果たすことか改めて認識され、その整備が焦眉の急となってい
ます。しかしながら、現在検討中の番号制度により国や自治体のデータを番号で紐付けるだけでは、被災者にとってのメリットは限定的になります。例えば国民の連絡先(携帯電話、
メールアドレス)や、給付先の口座を事前登録する制度があれば、通常時の行政コスト削減に加え、被災時には円滑な支援が実施できます。今回の震災を教訓に、番号制度の枠にとど
まらない、上記のような制度の構築を検討する必要があります。
今回の震災ではインターネットを通じた民間の支援も大いに注目されていますが、官の力だけではなく、民の力を有効利用するために、国民 ID 制度の趣旨についても適切な理解を得
て実現に至るよう、スケジュールを踏まえた着実な実施をお願いいたします。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
7.今後の進め方
22頁
(3)番号制度の導入に係る費用と便益
● 意見内容
システム等の技術設計や調達に当たっては、オープンな標準技術の採用と、透明性・公平性が担保された調達の実施をお願いするとともに、これを機とした新技術創造への配慮もお
願いいたします。これにより、品質の向上とコストの削減を見込むことが出来るだけでなく、将来的に民間まで番号制度・情報連携基盤を広げる際には、国内外のシステム・企業・団
体・人とつながり、大きな市場を生むことができるようになります。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
27~33頁
第3 法整備 Ⅲ「番号」を告知、利用する手続の範囲
1.年金分野~7.その他
● 意見内容
利用範囲として、1.年金分野~7.その他まで7つの分野での利用が想定されています。
今後制度導入に向けた具体的な検討を始めるにあたっては、まずは関係機関の範囲を明確にするため、23頁(4)今後のスケジュールを踏まえつつ、個々の適用分野における導入
時期が明らかとなるよう記述を見直す必要があると考えます。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第3 法整備
26頁
Ⅱ 個人に付番する「番号」 1.付番(2)
36頁
Ⅳ「番号」に係る本人確認等の在り方 1.本人確認及び「番号」の真正性確保措置
● 意見内容
番号制度は民間での利用促進も重要な視点であり、企業が社員管理等で導入する場合の対応について、早期に方向性を示していただきたい。
例えば、事前に社員より告知を受けた番号(被扶養者を含む)の真正性の確認方法等は、番号制度導入の基盤となる部分であり、平成26年の番号交付までに更なる利用環境の整備
30
が必要と考えます。また、日雇いや派遣などの様々な雇用形態についても整理・検討が必要です。
また、41頁3.情報保有機関との関係では、
「(1)番号制度導入時において、
『番号』の告知を求めることのできる情報保有機関」といった記述は民間を含むことが可能となるよう
記述を見直しいただきたい。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
40頁
12.情報保護評価の実施
● 意見内容
情報保護評価の承認は、注30に記載があるものの、ソリューション提供事業者も対象であることを本文において明記する必要があると考えます。
これにより、情報保有機関が、情報保護評価承認済みのクラウドサービスやパッケージソフトを利用することができるようになり、ソリューション提供事業者は、情報保護評価済み
のサービスを提供できるようになります。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
50頁 ⅩⅡ罰則
● 意見内容
制度全体において、罰則の検討は極めて重要ですが、犯罪削減の観点では、システム的な対策も極めて有効であり、その具体的対策内容を公に明らかにしないまでも、情報保有機関
内のコンプライアンスに関するルールやガイドラインを明確化する取り組みも有益と考えます。
14
一般社団法人
eビジネス推
進連合会
【提出意見-1:制度設計に当たって付加すべき利用シーン】
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
「第2 基本的な考え方」中の
「1.番号制度の導入の趣旨 (3)制度導入の目的と期待される効果」
「5.番号制度の可能性と限界・留意点」
「6 番号制度の将来的な活用」
「第3 法整備」中の
「Ⅵ 「番号」に係る個人情報の保護及び適切な利用に資する各種措置」 等
● 意見内容
(1) 行政サービスのみならず民間においても利活用可能な制度とすべきであり、そのための制度設計を至急議論すべきです。
(2) その際、民間サービスの利用者の本人確認や年齢認証などに活用できるよう、当該サービス提供者からの照会事項(年齢・本人確認情報等)に該当するかどうか必要な情報の
みを当該事業者に回答することを可能とする仕組みとすることを検討していただきたい。それに伴い、本人確認等を求める法令等の所要の改正のほか、このケースにおける番号
情報の入手は「番号の告知要求の制限」の対象外と扱うようにしていただきたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
(1) 大綱「第2-1-(6)実現すべき社会」には、
「国民にとって利便性の高い社会」を実現するとあります。国の税金を投入する制度の導入に際しては、コストとメリットの双
方を十分に考慮した上で誰もが実感できる「利便性」を提供することが必要です。その意味で大綱が示す実現すべき社会を真に実現するためには、行政のみならず民間によるサ
ービスも含めた社会全体での幅広い仕組みになるように制度設計を目指すべきです。
(2) 民間での番号の利用に関してセキュリティ確保の観点から懸念を主張する意見もありますが、上記意見内容(2)のような基盤が形成されれば、民間サービス事業者自体は個
人情報を大量に保有しなくてもすみ、利用者からすれば民間事業者に預ける個人情報を最小限にすることが可能になり、かえって社会全体として個人情報保護の向上に資すると
もいえます。また、上記意見内容のような基盤が形成されれば、マネーロンダリング防止、青少年保護等の重要な政策目的を達成する基盤として機能することにもなります。
(3) 大綱 20 頁の最終段落では、民間との連携を示唆する記述があるものの、その内容や導入時期、システムの拡大可能性等は不明であり、民間との連携のニーズをシステム設計を
行う現時点から考慮に入れて詳細に検討する必要があります。
(4) 大綱 36 頁で、
「何人も不当な目的で「番号」の告知を求めてはならない」とありますが、上記意見内容(2)の内容が実現されるためには、当該ケースでは「不当な目的」に
該当しないとする解釈・運用をする必要があります。
31
【提出意見-2:民間企業に「番号」をばらまくこととなる制度設計への疑義】
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
「第2 基本的な考え方」中の
「2.番号制度で何ができるのか
(2)所得把握等の精度の向上等の実現に関するもの」
「第3 法整備」中の
「Ⅲ 「番号」を告知、利用する手続の範囲」 等
● 意見内容
民間企業が税・社会保障分野の手続きとして官に提出する書類において番号を記載させる等民間企業でも番号を官が利用させることを前提とした仕組みになっていますが、その制度
設計は不適切であり、民間企業は番号を保有しなくてすむ形で全体の仕組みを再度検討するべきです。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
(1) 大綱7頁によれば、税務当局が所得情報等を名寄せ・突合できるよう、税務当局に提出される申告書・法定調書等の提出義務者となる民間企業に対して、
「番号」等の記載を求め
ることとされています。ここに端的に表現されているとおり、今回の仕組みは、対象となる7分野での番号利用において、官だけでなく官に必要書類を提出する等の行為を行う民
間企業にも番号の記載・利用を求めることが前提となっていると考えます。
(2) 書類での記載等の利用を求められる民間企業は、大手企業だけでなく多数の中小企業も存在しており、そのようなものも含めて高いセキュリティの確保を民間に負担させ直罰の
可能性を負わせるのは明らかに現実的でなく社会的コストをいたずらに増大させることになります。したがって、民間企業が番号を保有しない形での制度設計を検討するべきです。
【提出意見-3:システム設計のあり方】
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
「第2 基本的な考え方 7.今後の進め方」中の
「(1)国民の納得と理解を得るための活動」
「(3)番号制度の導入に係る費用と便益」
等
● 意見内容
(1) 要件定義やコスト等システム設計の内容の選択肢をきちんと示したうえで、国民の判断を仰ぐステップが必要です。
(2) 「情報連携基盤」のシステム構成及び個々の行政機関を中心とする「情報保有機関」のシステム構成全体を捉えた最適性の視点をもった検討が必要です。
(3) 国民にとって真に利便性の高い仕組みとする観点から、利用シーンと一体で要求水準を検討すべき(例えば民間サービスでの年齢確認、本人確認等に利用するのであればリアル
タイム性も必要になる)と考えます。
(4) システムを構築する技術などシステム設計は、柔軟性を有するインターネットテクノロジーの活用を含め、要求水準に照らした観点から真に必要なものを透明性のある形で検討
していくことが必要です。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
(1) 今回の制度は国民生活に広く関係し所要のコストも発生する問題であることから、システムの実現方式と投資の妥当性を透明性のある形で国民が検証できる材料が提供されるこ
とは必要不可欠なステップです。しかしながら、現段階ではそのようなものは明確に示されていません。
(2) 既存の行政システムの中には、独自技術や独自製品を利用しブラックボックス化された旧い構造のものも数多く残されており、
「情報連携基盤」側の機能を最小限にするための対
応として既存システム側の修正が多くなるとすれば、結果としてシステム全体としては高コストで非常に硬直的な仕組みになる懸念もありえます。
(3) 大綱では、実現すべき社会として「国民にとって利便性の高い社会」と明示されており、今回のシステムは国民の利便性が向上したと実感できるものでなくてはなりません。そ
の意味では、様々な利用シーンを想定してシステムの要求水準を検討・決定する必要があります。例えば、民間サービスを利用する際の年齢確認、本人確認等に番号を利用すると
する場合、リアルタイム性は必須です。
(4) 21 世紀ではIT力が国力の帰趨を制します。その意味では、新たなIT投資は、要求水準を確実に満たし発展性にとんだ仕組みでありコストもかからないものとすべきと考えま
す。したがって、柔軟性を有するインターネットテクノロジーの活用を含め幅広く検討していくことが必要です。
(5) 上記(2)から(4)までの観点等を適正に議論するためには、ある特定の技術分野の者だけでなく幅広い分野の技術関係者等の知見を集めることが必要不可欠であり、また透
明性のある形で議論する必要があります。
32
【提出意見-4:マイ・ポータルの運営】
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
「第3 法整備」中の
「Ⅸ 自己情報の管理に資するマイ・ポータル」
等
● 意見内容
情報連携基盤のAPI開放等を通じて、マイポータルの運営は民間にも開放するべきと考えます。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
大綱「第2-1-(6)実現すべき社会」には、「国民にとって利便性の高い社会」を実現するとあり、そのためには、民間の創意工夫を活用することが有効であると考えます。
【提出意見-5:システムの運営機関】
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
「第3 法整備」中の
「Ⅶ 「番号」を生成する機関 1.組織形態」
「Ⅷ 情報連携 4.情報連携基盤の運営機関」
「Ⅸ 自己情報の管理に資するマイ・ポータル 4.運営機関」
等
● 意見内容
番号生成機関、情報連携基盤の運営機関及びマイ・ポータルの運営機関の選択肢をメリット・デメリットを含める形で示し、パブリックコメントに付して幅広く国民の意見を聞く手
続きが必要です。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
上記運営機関のあり方はシステムの目的や運用等とも密接にかかわることから、選択肢を示して国民的議論を行った上で決定すべきと考えます。
【提出意見-6:当該システムに関わる官の情報セキュリティのあり方】
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
「第2 基本的な考え方」中の
「4 安心できる番号制度の構築 (2)個人情報の保護の必要性」
等
● 意見内容
情報連携基盤のシステム構築・運用に関与する国・地方公共団体の職員、関連する団体の職員が過失・無作為のために事故を生じさせた場合にも、その職員個人もきちんと責任を追
及される仕組みが整備されることが必要です。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
今回の仕組みに多数の公務員等が関与することになるが、過失・不作為の場合の職員個人個人の責任追及が民間と比べるとなされない傾向が一般的にあります。したがって、職員個
人を内部で厳正に処分するなど所要の仕組みが制度設計の中に入れ込まれていなければなりません。
15
反住基ネット
連絡会
●
●
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
大綱のすべてにわたり、意見を申し上げます。
意見内容
社会保障・税番号制度の導入に反対します。
理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
はじめに
6月30日、政府・与党社会保障改革検討本部は「社会保障・税番号大綱」を決定し、同日番号制度創設推進本部は、社会保障・税に関わる番号制度における「番号」の名称を「マ
イナンバー」と決定した。
この番号制度は、まさに国民総背番号制そのものである。国民総背番号制に対しては、1970 年代の「各省庁統一個人コード」、1980 年代の「グリーンカード」計画があったがいずれ
33
も頓挫。そして 2002 年に稼働した住基ネットは 10 年たっても広がらず、推進派さえ「電子政府化促進の大きなボトルネック」と評する状態である。2007 年から検討され始めた「社会
保障番号・カード」は、現場からメリットに疑問が出された上に住基ネットの二の舞になるのではないかという不安が解消できずに挫折した。
私たちは住基ネットに反対してきた立場から、このような国民的市民的批判を招いてきた制度であり、なおかつ過去に4度住基ネット廃止法案を提出してきた民主党政権が、拙速か
つ強引に導入を進めていることに、驚きと失望、怒りを表明し、番号関連法案を提出しないことを強く求めるものである。
1
番号制度による基本的人権の侵害は深刻である
今回の番号制度は、住基ネットを使った新たな個人番号の「付番」、官民複数の機関で記録されている個人情報を共有し活用する「情報連携」、利用者が番号の持ち主本人であること
を証明する「本人確認」のためのカードの所持、という3点をセットにしている。
この番号制度によって、国民(外国人住民を含む)一人ひとりの情報を生涯を通じて「タテ」につなげ、個人をどこまでも追跡可能にするとともに、その個人情報を官民含め、分野
を超えて「ヨコ」につなげることで、あらゆる個人情報を一覧可能にすることがめざされている。さらに本人を確認する電子IDカードを所持・提示させることで、個人がどこで何を
したか、すべて把握し記録することが可能となり、国家の視線の前で個人は丸裸にされる。
大綱自ら、
「仮に、様々な個人情報が、本人の意思による取捨選択と無関係に名寄せされ、結合されると、本人の意図しないところで個人の全体像が勝手に形成されることになるため、
個人の自由な自己決定に基づいて行動することが困難となり、ひいては表現の自由といった権利の行使についても抑制的にならざるを得ず(萎縮効果)、民主主義の危機をも招くおそれ
があるとの意見があることも看過してはならない。」(15 頁)と述べているように、番号制度のもたらす人権侵害は計り知れない。
しかも情報共有する対象は、福祉・年金・介護・医療・労働・税金というもっともプライバシーに関わるセンシティブ(機微)情報である。社会的に不利な立場におかれ、差別と排
除の対象とされている人たちにとって、自らの情報がどこで誰に見られて不利な扱いをされるかわからないという、深刻な人権侵害の恐怖に晒されて生きることが強いられる。
2 「個人情報保護の措置」では人権侵害は防げない
(1) 「国民の懸念」への対策は不十分
大綱では、番号制度に対して国民が
① 国家管理への懸念(国家により番号をキーに名寄せされ個人情報が一元管理)
② 個人情報の追跡・突合に対する懸念(集積された情報の外部漏洩や差別的に扱われる)
③ 財産その他の被害への懸念(成りすましや不正利用、改ざんの被害)
という懸念を抱いていると認め、安心して利用できるよう十分な個人情報保護方策を講じるとしている。
しかし、その対策は法令上の規制(利用目的の制限・明示、告知要求制限、データベース作成禁止、守秘義務・第三者提供の制限、安全管理措置など)や自己情報へのアクセス記
録確認、罰則強化など、いずれも住基ネット導入時のものと大差なく、住基ネットに対する「国民の懸念」は解消しなかった。ましてや今回の番号制度は、
「住基ネットの本人確認情
報(氏名、住所、生年月日、性別、住民票コード等)よりも秘匿性の高い社会保障・税に関わる情報を中心としており、かつ、住基ネットが行わないこととしているデータマッチン
グを行うこととするものであることから、一層高度の安全性を確保することが求められる。」(18 頁)のであり、対策は全く不十分である。
(2) 「第三者機関」では、懸念は解消しない
住基ネットでは講じられなかった第三者機関の設置が今回は予定されている。しかし「社会保障・税番号要綱」では独立性ある「三条委員会」を想定していたにもかかわらず、大
綱では位置づけが不明となった。目玉となる個人情報保護策があやふやなまま法案策定に向かうのは拙速という他ない。
また、第三者機関が調査できる対象から犯罪捜査などは除外されており、国家による監視に対する懸念を払拭するものにはなり得ない。
総務省は、住基ネットでは同調査委員会を「第三者機関だ」と主張してきたが、その実態は住基ネットを推進する以外の何ものでもなく、不安や懸念に応えられなかったことを総
括すべきである。今回の第三者機関の業務も、要綱で「番号に係る個人情報の保護の普及啓発」となっていたものが、大綱では「番号法に関する普及啓発」となっており、番号制度
をチェックするよりは、追認、推進する機関になる可能性が大きい。
(3) 「成りすまし」は防げず、さらに国家監視が強化される
大綱ではアメリカ、韓国などで成りすまし等の不正利用が社会問題していることを指摘、その対策として、番号のみでの本人確認を禁止し、電子IDカードでの確認を原則とした。
さらに番号告知の忌避や虚偽の告知に対する罰則も予定さしいる。しかしその結果、番号告知の際には電子IDカードの提示が必須となり、カードは常時携帯、提示が義務化され、
不携帯が処罰の対象となっていく。これは、なりすましなどへの不安解消を口実に、国家による監視をより強めるものである。
カードの交付は「住民基本台帳カードの交付同様、ICカード交付時に厳格な本人確認を行い、不正取得の防止や偽変造の防止等のための適切な措置を講じる」(45 頁)とされて
いるが、住基カードは 2010 年だけでも首都圏で数十件の不正取得事件が発生するなど、いまだに成りすまし取得による被害が続いており、不正は容易く防げない。今後は成りすまし
防止を口実として、指紋その他の本人生体情報の記録化が危惧される。
34
(4) 自己情報コントロール権を言いつつ「選択制」は認めていない
「国民の権利を守り、国民が自己情報をコントロールできる社会」の実現が強調されているが、自己情報コントロール権でもっとも重要な、付番と利用の「選択権」は保障されて
いない。そればかりか大綱では、原則として本人同意を前提としない仕組みにすることを明確にした(20 頁)。その理由として、
a)情報過疎の状態におかれ行政が把握しにくい真に手を差し伸べるべき者に適切な給付を行うことが困難となる。
b)意図的に不正申告を行い、又は不正受給を受けている者が番号制度に参加することも期待できず、制度導入の目的が図れない
の2点をあげている。
しかし、a)は理由にならない。番号制度は住基ネットを前提としているために、野宿者や配偶者などによる暴力から逃れるため、住民票を避難先に移せない人など、住民登録が
できない「真に手を差し伸べるべき者」は、そもそも給付対象から漏れてしまう。現に定額給付金の際には、受け取れないことが問題になった。しかも本人の拒否権(オプト・アウ
ト)という形での本人同意であればa)は問題にならない。したがって真の理由はb)であり、国家による国民監視の徹底こそが番号制度の目的であることを示している。
(5) 最高裁判決を踏まえれば違憲の番号制度
大綱では、住基ネットを合憲とした最高裁判決の求める要件を踏まえた番号制度にする必要が謳われている。しかし判決は、民間利用を禁止し、データマッチングを行わないこと
を前提とした判決であり、官民含めたデータマッチングを目的とする番号制度は、前提が異なっている。
番号制度の導入により住基ネットは一挙に利用拡大するであろう。情報連携基盤と医療・介護などの民間機関を含めたすべての情報保有機関に、住基ネットから4情報が提供され、
常に住基ネット情報と同期化するためにオンライン結合される。番号の生成機関は住基ネットの指定情報処理機関である地方自治情報センターを基礎とした法人が行い、住民票コー
ドは「マイナンバー」と「国民ID」と一体化する。そして、住基カードの利用は、広く民間での本人確認に拡大される。つまり、最高裁判決が合憲判断をした住基ネットとはまっ
たく別のものに変質し、合憲判断自体は見直されなければならない。
大綱では、「見える番号」(公開され窓口等で提示し、ICカードに記載される共通番号=マイナンバー)と、「見えない番号」(情報連携に使用し、国民には知らせない国民IDコ
ード=符号)とを組み合わせた番号制度とし、「見える番号」を情報連携に使用しないことで、最高裁判決の「個人情報を一元的に管理することができる機関又は主体が存在しない」
という要件を充足した制度設計であるかのように説明している。
しかし「見える番号」と「見えない番号」とは、いずれも住民票コードから生成され、一体となって「国民総背番号」として機能するようになっている。さらにこの「情報連携基
盤」は総務省が所管することになっており、情報連携基盤と情報保有機関を兼ねる一元管理可能な機関になっている。
いったん番号制度が導入されれば、法改正によってどのようにも利用可能となる。住基ネットにおいて、区市町村が住基情報を国民総背番号制につなげない歯止めとして制定して
きた外部結合を制限する個人情報保護条例が、住基ネット稼働時に総務省の指導により条例改正を強いられ、結合されてきた歴史を、私たちは忘れていない。
この番号制度によって最高裁判決をクリアするというのは、国民を欺くトリックである。
『大綱』においては、<見えない番号>については何の注釈もなく「符号」と書かれているだけで、この仕組みは一読してもわからないようになっている。肝心のこのデータマッ
チングの仕組みについては、未だ「引き続き検討」とされてブラックボックスであり、国民から「見えない」システムになっている。このような『大綱』でパブリックコメントを求
め法案を策定することは許されない。
3
「失敗した住基ネット」の反省がない番号制度構想は、非現実的な政策である
大綱(18 頁)では、
「住基ネットが行わないこととしているデータマッチングを行うこととするものであることから、一層高度の安全性を確保することが求められる」とされている。
確かに住基ネット自体には、データマッチングの機能はない。しかし住基ネットは、構想段階からすでにデータマッチングの基盤システムとして、政策的に位置づけられていた。先ご
ろまで「ユビキタス社会」などの名称で、まったく新たな政策の展開手段として、住基ネットを利用したデータマッチングの構想は繰り返し宣伝されてきたが、それらはなにひとつ実
現していない。
政策目的としては何も実現しないまま、ずるずると運用が続いている「金食い虫のお荷物」というのが、市町村の住基ネット観であることはご承知の通りである。
番号制度とそのための情報連携基盤は、宣伝された「ユビキタス社会」などとは異なり、「現行制度の効率的な実施」を主要に意識しているという意味では、「地に足のついた」構想
といえるのかもしれない。しかしこの「現実性」は、「失敗した住基ネット」の継続的な運用を前提とすることで、完全に損なわれている。
私たちの調査によれば、住基ネットの年間運用経費として住民一人あたり 2,239 円、利用サービス 1 件あたり 32,774 円を負担している小規模自治体(人口約 2900 人)があった(2004
年度~2008 年度の年度平均値)。この数字は、どう考えても「非現実的」、というか「超現実的」とでも呼ぶべきものである。
また 30 万人規模の特例市の例では、一人あたり経費は 71 円、300 万人規模の政令市の場合は 22 円となっており、小規模自治体になるほど住基ネットの住民負担が、過大になってい
る。
10 年近く運用されながら、行政事務効率化も政策目的も実現されていない。住基ネットは明らかに失敗している。標準的人口規模の自治体から見れば、それは看過できない「お荷物」
である。法制度による義務づけがあるので運用せざるを得ないが、この経費を市町村の独自判断で他の事業に転用できるなら、住基ネットは何年も前に止まっていただろう。
「典型的な無駄遣いのシステム」である住基ネットを、
「情報連携基盤」は基礎システムとして要求しているが、そこには失敗への反省がまったくない。政府がそのような認識である
以上、
「情報連携基盤」構想が行政事務の効率化を叫んでも、机上の空論でしかない。結果として住基ネットの高コスト体質は、そのまま「番号制度の高コスト体質」として拡大されて
35
いく社会保障・税改革とそのための番号制度を推進する前に、住基ネット失敗の原因を調査、分析し、責任を明らかにすることが政府には求められている。
4
何のための番号制度なのか
今回の番号制度は、これら基本的人権を侵害するリスクを侵してまで導入するメリットはない。
(1) 目的である政策が不確定なまま、手段である番号導入だけ先行
番号制度導入の目的として、消費税率アップにともなう逆進性を「給付付き税額控除」で補完するために、所得を把握する社会保障・税共通番号の必要が言われてきた。しかし、
消費税率アップそのものの先行きが不透明であり、政府検討会では財務省や内閣府から「逆進性」そのものを否定したり、
「給付つき税額控除」について不正受給などの問題点を指摘
する報告書も出されている。
7月1日に閣議報告された「社会保障・税一体改革成案」でも、
「逆進性の問題については、消費税率(国・地方)が一定の水準に達し、税・社会保障全体の再分配を見てもなお対
策が必要となった場合には、制度の簡素化や効率性などの観点から、複数税率よりも給付などによる対応を優先することを基本に総合的に検討」とされ、
「給付付き税額控除」実施の
先行きは不透明である。また、「所得比例年金」「最低補償年金」創設も、国民的議論や環境整備が謳われるのみで、実現のメドはたっていない。にもかかわらず、手段である共通番
号導入だけを先行させることは、本末転倒である。
所得の把握についても、大綱では「全ての取引や所得を把握し不正申告や不正受給をゼロにすることなどは非現実的であり、また、番号を利用しても事業所得や海外資産・取引情
報の把握には限界があることについて、国民の理解を得ていく必要がある。」
(19 頁)と番号制度の限界を認めている。それでも「番号制度の導入と制度改革による一定の改善には大
きな意義がある」と述べているが、もはや何のための社会保障・税番号制度導入かわからないものになっている。
大綱では番号制度によって実現可能な事務を、自治体ヒアリングを参考にして列挙している。しかし列挙されている事務の実施にはさまざまな前提条件の整備が必要であり、整備
自体が困難な課題もあり、番号制度だけで実現できるわけではない。中には社会保障カードの検討過程で、現場から利便性に疑問が出されていたものも含まれている。番号制度導入
を前提として利用事務を聞くこと自体、はじめに番号導入ありきの転倒したやり方であり、番号制度導入自体が目的ではないかと疑わせるものである。
(2) 災害時に番号制度の利用は期待できない
4月28日の「社会保障・税番号要綱」で唐突に大震災時における番号の利用が導入理由に追加され、大綱で災害時に活用可能な取組があげられている。しかし、番号制度の検討
過程で災害時の利用が最初から検討されていたわけではなく、大震災を番号制度導入の理由に付け加えたとしか思えない。
あげられている取組は、番号制度がなければできないことではない。もし番号が必須であれば、被災時に番号を記載した電子IDカードを所持していなければ、これらの支援が受
けられなかったり、後回しにされてしまうことになりかねない。
そもそも電気も通信も途絶し、パソコンやカード読取機などが失われている中で、どうやって活用できるのか疑問である。それどころか、すべての情報連携を「情報連携基盤」に
依存する脆弱なシステムであり、万一これが機能しない事態になれば、日常生活がすべて麻痺し甚大な被害が発生する。災害に強いのは、このようなネットワークシステムに依存し
た対策ではない。
住基カードの自治体独自利用において、地方自治情報センターが無償提供している災害利用システムが既に存在している。しかし、独自利用をしている自治体は1割程度しかなく、
避難者確認システムや救急支援システムは15ある無償提供システムの中で最も使われていないのが実態だ。自治体は、災害時にこれらのシステムは使えないと判断しているわけだ。
5
社会保障の抑制・削減に使用が可能な番号制度
(1) 番号制度の目的は、社会保障の対象者の監視
番号制度の目的として、真に手を差し伸べるべき者に対する社会保障の充実が宣伝されてきた。しかし、むしろ社会保障の抑制・削減に使われる危険性が大きい。
大綱では、
「真に手を差し伸べるべき者に対するセーフティネットの提供が万全ではなく、不正行為の防止や監視が必ずしも行き届かない状況にある」と述べ、不正行為の防止や監
視の強化のために番号制が必要だとしている。そして「真に」を強調し、
「手を差し伸べるべき者」の対象を絞り込むことが意図されている。社会保障切り捨ての口実として、不正行
為が利用されてきた歴史も忘れてはならない。
(2) 「真に手を差し伸べるべき者」から保障を奪うことが可能に
きめ細かな給付を実現させるため、世帯単位に医療・介護・保育・障害に関する自己負担額に上限を設定する「総合合算制度」導入が可能になると提案している。しかし、以前か
ら個人・世帯単位に社会保障の給付と負担の関係を見えるようにすることで、社会保障給付を抑制しようとする「社会保障個人会計」が検討されてきた。
番号制度は、特定の人や世帯を対象に、医療費や社会保障費をどれだけ使っているか、税金や保険料などをいくら払っているか、という給付と負担関係の可視化を可能にするとい
う。その結果、重い疾病や障がい、要介護状態などによって多くの給付を受けている世帯・個人や、低所得によって少ない負担になっている世帯・個人など「真に手を差し伸べるべ
き者」に対して、利用を抑制する圧力がかかる可能性の方が大きい。
36
こういった不安や懸念に対し、番号制度創設推進本部が5月29日に開催した「番号制度シンポジウムin東京」において、番号制度創設推進本部事務局長である峰崎直樹内閣官
房参与は、
「それは政治の問題であり、小さい政府に持っていって社会保障は自立自助でいったほうがいいのだというふうに思っている人たちが政治の実権を握った場合には、そちら
に行くだろう。」と、政権が代われば番号制度が福祉削減に利用される可能性を認めている。
さらにシンポジウム基調報告者は、ハンディキャップを持つ人が保険制度のヘビーユーザーになるのは社会の共助であり当たり前としつつも、
「おっしゃるように、だれがこの保険
制度の頻繁な利用者かというのは、当然それは出すことが目的です。例えば末期医療においてどれだけお金が使われたのか、それは定義の問題ですが、お金が使われた後、一人一人
の生存日数を考えたときに、末期医療に使っている保険制度を通じての支出は、どういう意味があるのかという点については広く国民的に議論する以外にないところまで来ています。
」
と、可能性を肯定している。
政府が導入しようとしている番号制度は、単なる社会保障の抑制ではなく、特定の個人・世帯を狙い撃ちにした抑制を可能にする危険性をはらんでいる。
6
導入にかかる費用と便益が明らかにされていない
番号制度導入に巨額の費用がかかることは明らかである。しかし費用については、2010 年6月の「中間取りまとめ」で粗い試算が公表されただけで、大綱に至るまで明らかにされて
いない。
「中間取りまとめ」では 4000 億円から 6100 億円と試算されているが、その他各機関におけるシステム改修費用やシステム導入費用など多額の費用が必要となる。しかしそれに
対する便益の試算はまったく明らかにされていない。
そして、費用を誰がどのように負担するかも示されていない。大綱では、
「受益者負担の観点を踏まえつつ別途検討」とされており、医療・介護など各機関や自治体、さらに利用者に
負担が転嫁されるおそれが強い。また、
「個人情報保護の仕組みの在り方等で費用に増減があり得ることから、システム等の技術設計や調達に当たっては、費用対効果を十分に踏まえて
検討を行う」と、財政事情によって個人情報保護が値切られることも予想される。
費用と便益や誰が費用負担するかを明らかにしないまま、番号法の国会提出はあり得ない。
16
次世代ICカ
ードシステム
研究会
(Ⅰ)災害時の本人確認
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
番号制度で何ができるのか(8ページ)
(3) 災害時の活用に関するもの
②
災害時の本人確認
被災住民が避難所等で自己の4情報(氏名、住所、生年月日及び性別をいう。以下「基本4情報」という。)及び「番号」を告知することにより、迅速に避難者リストの作成
が可能になる。さらに、地方公共団体の独自の取組として、本人の同意を前提に、顔写真データを地方公共団体が保有する仕組みを設けることも考えられる。
● 意見内容
災害時の本人確認方法及び災害時の個人情報の取り扱い等のセキュリティ要求についてガイドラインを作成すべきです。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
災害時には緊急避難の観点及び利用可能なパソコン等のツールが少ないことから、「番号」を利用した方法が想定されております。「番号」は国民一人ひとりに付番するため9桁以上
の桁数が必要です。このため、
「番号」を予め記憶して利用することはほぼ不可能であり、これに代わる方法に配慮すべきです。
災害時には利用可能なインフラに合わせたオンラインでの確認や、オフラインでの確認を使い分ける必要があることを考慮する必要があります。その場合、通常時と異なる本人確認
方法、個人情報等のセキュリティが求められるべきですが、これらについて明確になっていません。そこで、これら内容を明確にし、ガイドライン化すべきです。
(Ⅱ)顔写真
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
(3) 本人確認(14ページ)
具体的には、券面に基本4情報及び顔写真が記載され、公的個人認証サービスを標準搭載し、(中略)
● 意見内容
本人確認のため券面に顔写真を記載することに合わせて、ICカードに顔写真の電子データを格納すべきです。また、顔写真の集め方等の運用について十分検討すべきです。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
対面で本人確認をするため券面に記載された顔写真を利用します。これはセキュリティの観点から考えると、ICカード保持者本人とカードに記載された顔写真を比較することによ
る生体認証をしていることに相当します。このことは、ICカードの所有による要素と併せて二要素認証を実施していることに相当します。
そこで、顔写真による生体認証を正しく実現するためには、顔写真の真正性が確保されている必要があります。このため、ICカード上のICチップに顔写真の電子データを格納し
このデータと券面に記載された顔写真を比較することで真正性が確認できるようにするべきです。
37
顔写真が記載されたICカードを交付するためには顔写真の収集方法等の運用上の課題が多く想定されます。これら課題検討のため、以下の事例を参考に検討すべきです。
・ 住民基本台帳カード
・ IC運転免許証
・ 電子パスポート
(Ⅲ) 導入時のサービス
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第2 基本的な考え方(3ページ)
1.番号制度の導入の趣旨
(3)制度導入の目的と期待される効果
IT化された情報連携システムの範囲をより拡大した場合には、自らの利用する医療・介護等の社会保障サービスに関する情報の入手・活用が可能になるとともに、様々な
手続の簡素化やオンライン閲覧等行政の電子化にもつながるものであることから、国民の利便性の更なる向上も実現できる
2.番号制度で何ができるのか(6ページ~12ページ)
7.今後の進め方
(3)番号制度の導入に係る費用と便益(22ページ)
● 意見内容
医療保険証(特に健康保険被保険者証等)として利用する機能はサービス導入時に実現すべきものと考えます。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
番号制度導入のため国民の理解を得るためには、国民が便益を実感できる魅力的なサービスを実現すべきです。そのため、番号制度の開始の早い時点で国民全員が利用したくなるサ
ービスの実現が不可欠と考えます。
大綱に記載されている「番号制度で何ができるのか」の中で上記条件を満たすサービスは「医療保険証(特に健康保険被保険者証等)」と考えます。
資料
1.政策レポート-社会保障カード(仮称)について
http://www.mhlw.go.jp/seisaku/2009/03/02.html
2.「社会保障カード(仮称)の基本的な計画に関する報告書」の取りまとめについて
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/04/s0430-4.html
(Ⅳ)導入時のスケジュール
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
7.今後の進め方
(4)今後のスケジュール(23ページ)
● 意見内容
国民に対してサービスの具体的な内容及びこれらの導入スケジュールを明確にすべきです。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
大綱の中では、多くの内容が今後の検討又は調整事項とされ、実現するサービスの具体的内容及び導入計画等が明記されていません。これは「番号」の想定する範囲が広範にわたり、
十分な検討が必要であるためと想定いたします。
しかし、国民全員が利用したくなるサービスを実現するためには、番号制度の開始の早い時点でのサービスの導入スケジュールを明確化し、国民の理解を得ることが不可欠と考えま
す。
(Ⅴ)ICカード機能
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
1.概要及び3.番号制度に必要な3つの仕組み(12ページ)
38
(3)本人確認の中で、「利用者が本人であることを証明するために」、「対面での」及び「オンラインでの」仕組みが記載されています。
Ⅹ マイ・ポータルへのログイン等に必要なICカード(45ページ)
● 意見内容
(マイ・ポータルへのログイン以外の)ICカードの利用シーンを具体的に明示すべきです。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
大綱ではマイ・ポータルへのログインが利用シーンとして示されていますが、これは電子認証及び電子署名の機能の概要に相当します。
「2.番号制度で何ができるのか」の中で想定されている利用方法ごとに利用シーンが述べられておりますが、詳細が明確になっていません。
例えば、将来的に実現するとされている医療保険証(特に健康保険被保険者証等)について電子認証、電子署名の機能とも異なり、どのような機能により実現するのかなど明確にす
べきです。
ICカード機能は、各種利用シーンごとに必要となる機能のうち、セキュリティに関連する項目が求められる機能となります。
このセキュリティ機能について、海外カード(European Citizen Card, ECC)などでは、機能を3種類(本人確認機能(Identification), 電子認証(Authentication), 電子署名
(Signature)に分類してます。
これらのことから、ユースケースを3つの機能ごとに整理した上で、ICカードの技術的な機能を整理することを提案します。
参考資料:
CEN/TS 15480-1:2007“Identification card systems. European Citizen Card. Physical, electrical and transport protocol characteristics”
CEN/TS 15480-2:2007 “Identification card systems. European Citizen Card. Logical data structures and card services”
CEN/TS 15480-3:2010 “Identification card systems. European citizen card. European citizen card interoperability using an application interface”
(Ⅵ)ICカードの交付対象者、導入方法
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P26
Ⅱ 個人に付番する「番号」の1.
付番、(2)項において、「前略...住民コードに一対一対応した「番号」を書面により個人に通知する...以下略」
P45,46 X マイ・ポータルへのログイン等に必要なICカード
1 概要
自己の「番号」に係る個人情報についてのアクセス記録の確認等を行うことができるマイ・ポータルにログインするため、また、法令に基づき「番号」を取り扱い得る事業者等
が本人確認をした上で「番号」を確認できるようにするため、ICカード(中略)を交付できるようにする。
2 交付等
(1)市町村長は、当該市町村が備える住民基本台帳に記録されている住民に対し、住民が申請する場合には、当該住民に係るICカードを交付するものとする。
● 意見内容
大量のICカードを交付するため、現在の住民基本台帳カードと同じ運用方法を採用することが考えられます。しかし、この運用方法では交付に時間がかかるため現実的には導入が
困難です。そのため、現在の住民基本台帳カードとは異なった交付方法を検討すべきです。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
現在の住民基本台帳カードは自治体窓口でカード交付をしておりますが、一人当たり約 30 分程度かかっています。これを全国民へ配布するために単純に適用すると、自治体窓口での
作業量が膨大となります。このため、交付に長期間必要となり、短期間での交付実現は困難です。
今回の大綱の中で想定している交付方法の中で、特に時間がかかる項目は以下項目となります。
・ ICカード大量発行及び(対面の本人確認等の)事務手続き
・ 顔写真収集及びカード発行のための処理
・ 電子証明書の生成及び格納
そのため、これら 3 つの点について実現可能な運用方法を検討すべきです。
(Ⅶ)民間利用の推進
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第2 基本的な考え方(20ページ)
39
6.番号制度の将来的な活用
その上で、番号制度の情報連携基盤がそのまま国民ID制度の情報連携基盤となり、将来的に幅広い行政分野や、国民が自らの意思で同意した場合に限定して民間のサービス
等に活用する場面においても情報連携が可能となるようセキュリティに配慮しつつシステム設計を行うものとする。
番号法全般
● 意見内容
民間活用の推進のため、国民が多様な情報端末(スマートフォン・携帯電話等)を用いて、番号制度のサービスの一部を利用できるようにすべきです。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
国民が常時保有している携帯電話等を活用することが国民の利便性に大いに寄与します。そのため、将来民間事業者がサービス提供を計画する時に広く利用されることで、サービス
の活用シーンも飛躍的に増えることが想定されます。
そのため、番号制度導入に伴い実現するサービスの検討の中で、これら多様な情報端末にも十分に配慮した検討をすべきです。
事例:災害時の本人確認、引越手続ワンストップ、この他、ライフイベント手続きごとの各種ワンストップサービス等
17
姫路民主商工
会
○
該当箇所
① よりきめ細かな社会保障給付の実現
② 所得把握の制度の向上等の実現
○ 意見内容
① 共通番号がなくても、社会保障給付は実現可能
② 共通番号がなくても、所得把握はすでになされている
○ 理由
① よりきめ細かな社会保障給付の実現を目指すのなら、まず応能負担の原則をいかに実現するかを考えるべき
今の国保料は払いたくても払えない国保料になっている、そんな人は正規の保険証もなく、具合が悪くて医者に行きたくても10割負担では、お金の心配で行けずに、重症になり
命を落とすこともあった。
② 現在でも国税庁には、KSK システムがあり所得の把握は可能である。
18
日本新聞協会
社会保障・税に関する「共通番号」については、年金、医療、税務など広範囲の分野での利用が想定されており、「効率的できめ細かい社会保障が実現できる」「所得捕捉率の不公正是
正に役立つ」といった評価の声が新聞協会加盟各社からも出ている。ただ、新聞協会としては、罰則強化が前面に出ることで、いわゆる「過剰反応」による情報提供の萎縮や、個人情報
の保護に名を借りた情報隠しが生じ、憲法が保障する報道の自由や、それに基づく国民の知る権利に重大な障害をもたらすのではないか、という懸念を抱く。
2005年に個人情報保護法が全面施行された際、個人情報保護を理由とした匿名化が社会のさまざまな場面で進んだ。警察の匿名発表が増えたのをはじめ、JR福知山線脱線事故の
際に、報道機関の取材に対し、病院が被害者の安否確認を拒否したり、行政当局が懲戒処分を受けた公務員の実名を隠したりする事態が起きた。個人情報保護法は第50条で、
「放送機関、
新聞社、通信社その他の報道機関」などが報道目的で取り扱う個人情報については、個人情報取り扱い事業者の義務等は「適用除外」とすると定めている。また、同法第35条でも、表
現の自由などを尊重して、主務大臣の権限の行使を制限している。こうした条文があるにもかかわらず、一般にはこの規定が浸透していないのが実態だ。
社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会の下にある個人情報保護ワーキンググループの報告書(6月23日)によると、
「番号法」においても、個人情報保護法第35条及び
第50条に相当する適用除外の規定を設ける必要があるのかどうか検討すべきではないかという指摘があった。これに対し、報道の自由または取材の自由の制約というのは憲法論の領域
であり、そもそも、報道の自由を妨げてならないというのは法律や大綱に書き込む以前の当然の話であるとの意見もあった。まずはこの点に関する立法者の考え方を明確にしていただき
たい。公益目的の取材活動への協力も罰則の対象になるというのであれば、報道機関として対処が必要になってくる。
さらに、共通番号制度の法案策定作業にあたっては、社会の存立に不可欠な情報の流通が阻害されることがないように、周知徹底することを強く求める。
19
日本証券業協
会
1.総論
・ 証券界では、予てより税制改正要望などにおいて、金融所得課税の一体化など、投資家がリスクを取りやすい投資環境の整備のため、番号制度の導入について進めていただきたい
と申し上げている。
・ したがって、今回、番号制度導入が正式に決定され、大綱が公表されたことは、大変意義のあるものと評価している。
・ しかしながら、番号制度については、当面の利用範囲として、主に社会保障と税分野が想定されているが、証券界としては、少なくとも「犯罪収益移転防止法(犯収法)」、
「金融商
品取引法(金商法)」、「税法」などの法令や自主規制規則に基づいて行う業務を遂行する目的での番号の利用については、制度導入当初から認めていただきたい。
・ 具体的には、犯収法、いわゆるマネーロンダリング防止のための本人確認や、不公正取引防止のための顧客口座の管理に利活用することなど、是非とも実現できる方向で検討を進
めていただきたい。
40
・ 上記以外にも、情報保有機関の取得する住所情報の民間事業者での利用等、番号制度の民間活用の可能性ある領域は広いと考えられる。今後の対応も含めた柔軟な対応をお願いし
たい。
・ また、民間において、個人情報の管理が求められることは理解できるものの、番号を利活用する場面は限られる(=見える番号のみを利活用するに留まる)と考えることから、必
要以上のセキュリティ態勢やシステム構築を求められることのないよう配慮いただきたい。
・ 新制度導入に際しては、国民(顧客)にできる限り負担のかからない仕組みを導入し、手続きを課す場合は、その方法や周知期間等をよく調査・検討した上で、実務上の取扱いを
決める必要があると考える。そうした観点からも、例えば、
「番号制度」と「少額投資非課税制度(日本版ISA)」
(注)の導入時期との関係など、政府や民間における二重投資に繋
がる要因については、関係当局が横断的に連携し、協調することで、国全体で見た社会的なコスト負担の最小化や事務の効率化が図られるよう配慮していただきたい。
・ その一方で、民間事業者における番号の取得や管理に係る実務の策定や、それに伴うシステム変更等に当たっても、十分な周知・対応期間を設けていただくことはもとより、国民
にとって番号を利用することのメリットを感じるような措置を講じるなど、円滑な番号制度の定着を図るための施策を別途講じていただくことも必要である。
・ 証券界においては、番号制度の導入が顧客管理や税実務に与える影響が非常に大きいと想定されることから、法令の整備により制度を具体化するに当たっても、引き続き意見を汲
み取っていただく機会が得られるようお願いしたい。
2
各論
以下、大綱における各項目に沿って、各論についてコメントを述べる。
頁
7
8
9
大綱の内容
大綱の内容に対するコメント
第2 基本的な考え方
2.番号制度で何ができるのか
(2)所得把握の精度の向上等の実現に関するもの
(中略)
このような対応が可能となるよう、税務当局に提出される既存の申告
書・法定調書等については、その提出者(申告を行う者、法定調書の提出
義務者等)に対し、提出者本人及び記載項目とされている第三者(扶養控
除の対象者、給与等の支払を受ける者等)に係る「番号」又は「法人番号」
の記載を求めることとする。なお、今後「番号」又は「法人番号」の記載
の具体的な開始時期、正しい「番号」の告知や本人確認の担保方法等につ
いて検討を進める。また、番号制度の導入趣旨を踏まえ、諸外国の事例も ・ 番号制度の導入は、社会保障と税の一体改革が根底にあり、民所得を正確に把握したうえ
参考として、法定調書の拡充についても検討を進める。
で、公平・公正な社会保障給付を目指すものであると考える。尚、法定調書の拡充について
は、具体的な拡充範囲及び拡充のスケジュールについても議論した上で、制度が開始される
までに明確に示されるべきと考える。
(3)災害時の活用に関するもの
防災福祉の観点から、以下のような取組に活用可能である。
①~③(省略)
④ 生活再建への効果的な支援
被災者生活再建支援金等の申請に当たって、必要な証明書等の添付書
類が不要になるなど支援金等の迅速・適正な支給が可能になる。また、
援助対象者を長期にわたって把握することが可能になることから、被災
地市町村から転出した場合にも、必要な支援を継続して行うことが可能
になる。さらに、震災等の異常事態発生時には、金融機関から被災者へ ・ 金融機関から被災者への預金の払戻し等を「番号」を活用して行う場合、国民のニーズと
の預金の払戻し等を「番号」を活用してスムースに行うことも可能とす
しては金融商品により活用可能かどうかの差異が極力生じないことが望ましいと考えられ
る。
る。よって、被災者対応に関しては、横断的・一律的な適用を中心に検討すべきである。
(5)事務・手続の簡素化、負担軽減に関するもの
① 添付書類の削減等
国民が申請・申告等をする場合に必要な行政機関が発行する書類の添
付を省略化すること等で、国民の利便が高まるとともに、各機関の事務
41
コストも削減できる。具体的には、現時点の制度(時限立法措置による
ものも含む。)を前提として、以下のようなものが想定される。
【所得情報等に関する証明書(所得証明書、納税証明書等)の添付が省 ・ 添付書類の削減の論点として、国民の利便性を高めるという観点からは、行政機関が発行
略される手続の例】
する書類だけではなく、金融商品による所得の確定申告に添付することとなる民間事業者が
番号制度の導入に併せて、税法上の守秘義務が課せられている所得情
発行する書類の削減も検討対象に加えていただきたい。具体的な書類の例として、上場株式
報等の提供を可能とする立法措置が講じられていることを前提に、以下
等の配当等に係る「支払通知書」や「特定口座年間取引報告書」が挙げられる。
の手続における所得情報等に関する証明書の添付を省略することが想
定される。
・ 国民年金法(昭和 34 年法律第 141 号)等による加給年金、振替加算
及び障害基礎年金の申請に関する手続
(以下省略)
②(省略)
③ 法定調書の提出に係る事業者負担の軽減
・ 通常、証券会社が顧客に対して開設する口座は、法定調書の提出が不要とされている国債
現在、国と地方にそれぞれ記載事項が共通であるものを提出する義務
等の取引しかできない口座ではなく、法定調書の提出対象とされている株式等も含めた幅広
のある一定額以上の給与、年金の支払調書について、オンラインでの電
い金融商品に対して資できる口座である。ついては、証券会社が、顧客に係る将来的な法定
子的な提出状況を踏まえ、電子的な提出先を一か所とするなど事業者負
調書の提出等に備え、新規顧客については口座開設時に、既存顧客については制度施行時に、
担の軽減が実現できるとともに、各機関の事務コストも削減できる。
一律に「番号」の告知を求めることは「正当な目的」にあたり、
「不当な目的」には該当しな
いとの取扱いとしていただきたい。
14 3.番号制度に必要な3つの仕組み
(3)本人確認
・ 大綱では、対面やオンラインでの本人確認については記載されているが、本人確認の方法
個人が「番号」を利用する際、利用者が本人であることを証明するため
として、郵送により番号を確認するケースは明記されていない。
の本人確認(公的個人認証サービス等)の仕組みをいう。
ここでは、本人確認を郵送での本人確認書類のやり取りを通じて行うことについて排除す
この仕組みは、対面での本人確認やオンラインでの本人認証に活用する
るものではなく、また、郵送で「番号」の告知を行うことや、
「番号」を記載した書類を送付
必要がある。こうした本人確認をした上で、利用者が「番号」の持ち主で
することについても制限するものではないと理解しているが、本文においてその旨を明確化
あることを確認する仕組みとすることが望ましい。
していただきたい。
具体的には、券面に基本4情報及び顔写真が記載され、公的個人認証サ
ービスを標準搭載し、「番号」をICチップに記録した後記第3ⅩのIC
カードを現行の住民基本台帳カードを改良の上、国民に交付し、対面での
本人確認やオンラインでの認証に活用することが考えられる。
(以下省略)
22 7.今後の進め方
(3)番号制度の導入に係る費用と便益
番号制度の導入に伴う各種のメリットを実現していく際には、新たなシ
ステム開発が必要となり、相応のコストが発生せざるをえない。我が国の
厳しい財政事情を踏まえれば、番号制度の導入に伴う国及び地方公共団体
の各種事務の一層の行政効率化により、より大きなコスト削減効果の実現
を図らなければならない。
「番号」を導入するための費用・期間については、一般的に、情報の活 ・ 番号制度の導入に伴い、番号を記載した支払調書等の提出等が求められるなど、証券会社
用範囲を広くするほど大きく・長くなることや、個人情報保護の仕組みの
ではシステム対応等に大きなコストをかけて対応せざるを得ないことが想定される。番号制
在り方等で相応の増減があり得ることから、システム等の技術設計や調達
度の一端を担う民間事業者にとっても、一定のメリットを感じられるような仕組みとしてい
に当たっては、費用対効果を十分に踏まえて検討を行う。また、費用を誰
ただきたい。
がどのように負担するかについて、受益者負担の観点も踏まえつつ、別途
そうした観点からも、証券会社から顧客に送付する法定の書類(取引残高報告書など)が
検討する必要があること等について、留意する必要がある。
不届きの場合、証券会社から国税庁などの情報保有機関が保有するデータベースに照会を行
費用については、制度設計の仕方によって、実際のシステム改修の程度
うことによって最新の住所情報を入手できるようにしていただきたい。
やその費用が異なってくることに留意する必要がある。
また、その際には、投資家の利便性の観点からも、番号の告知をした者は、異動時の告知
42
期間については、利用範囲を狭く限ったとしても、システム改修、「番
号」交付、周知・広報等に要する期間を考慮に入れると、システム稼動ま
でに少なくとも3~4年程度はかかる見込みであり、費用と同様、各利用
事務に係る制度設計の仕方によって異なってくることに留意する必要が
ある。
また、番号制度を導入する場合の費用及び便益について、行政の効率化
による経費削減効果を含め、国民にわかりやすく示すこととしている。
23 (4)今後のスケジュール
番号制度の導入時期は制度設計や法案の成立時期により今後変わり得る
が、以下を目途とする。
番号制度が円滑に施行されるよう、システム技術等の活用に当たっては、
既存インフラとの整合性、将来の維持管理コスト、制度や業務要件等の可変
性等を十分に考慮しながら弾力性を担保しつつ取り組むことが必要である。
ア 平成 23 年(2011 年)秋以降、可能な限り早期に番号法案及び関係法律
の関係法案を国会に提出する。
イ 法案成立後、可能な限り早期に第三者機関を設置し、業務を開始する。
ウ 平成 26 年(2014 年)6月、個人に「番号」、法人等に「法人番号」を
交付する。
(※)後記第3ⅩのICカードについては、確実な本人確認の実施や国民の
利便性の向上を図る観点から、導入や更新等に伴う種々のコストも勘案
しつつ、国民への交付の在り方を検討
エ 平成 27 年(2015 年)1月以降、「番号」を利用する分野のうち、社会
保障分野、税務分野のうち可能な範囲で「番号」の利用を開始する。
オ 平成 30 年(2018 年)を目途にそれまでの番号法の執行状況等を踏まえ、
利用範囲の拡大を含めた番号法の見直しを行うことを引き続き検討する。
26 第3 法整備
Ⅱ 個人に付番する「番号」
1.付番
(2) 市町村長は、出生等により新たに住民票に住民票コードを記載
した場合には、後記第3Ⅶ1.に規定する番号生成機関から指定
された、住民票コードに一対一対応した「番号」を書面により個
人に通知するとともに、住民基本台帳法に基づき、当該個人に係
る住民票に当該「番号」を記載するものとする。ただし、ICチ
ップに「番号」が記録された後記第3ⅩのICカードが当該記録
に係る者に既に交付されている場合には、当該記録に係る者に対
して改めて当該通知を要しないものとする。
をしたこととみなしていただきたい。
なお、繰り返しになるが、番号制度の導入に伴い、証券会社ではシステム対応等に大きな
コストをかけて対応せざるを得ないことを勘案し、民間に過度な負担が生じないようご配慮
いただきたい。
・ 金融機関及び事業会社の番号登録のためのシステム対応等、番号制度の導入に伴い義務的
に発生する投資負担については、減税・補助金等の制度的インセンティブを設定していただ
きたい。
・
番号制度が国民や日本社会にもたらすメリットは、社会保障分野・税分野以外にも利用範
囲を拡大するものでより大きなものとなる。特に行政関連法規に従った公益性の高い目的に
おける利用などは非常に重要であり、早期の実現のためにも平成 30 年を待つことなく速やか
に検討が開始されるべきである。
・ 中でも、
「犯収法」
、
「金商法」、
「税法」、
「自主規制業務」等の業務遂行のために番号を利用
する場合については、番号制度施行時から利用を開始できることとしていただきたい。
・ 実際の金融機関における番号告知に関しては、取扱口座・契約が多数に上る事から、国民
への制度周知徹底までを含めた余裕ある導入期間を準備いただきたい。
・ 今後、番号の当初の付番等実務的な対応について、実現可能なスキームを構築すべく、証
券会社等関係業者と調整を図りながら、検討していただきたい。
仮にICカードが普及しない状況下では、例えば、顧客から運転免許証などの本人確認書
類に加えて住民票の写しを徴求する必要が生じるなど、証券会社における本人確認実務にお
いて過剰な負担となることが懸念される。ICカードの普及を促進するための方策も引き続
き検討していただきたい。
・ 住民票に「番号」が記載されるのであれば、住民票の写しにも一律「番号」が記載される
こととしていただきたい。
・ 平成 26 年 6 月の付番後速やかに、全国民に対して「番号」が通知されることとしていた
だきたい。実際の制度開始(平成 27 年 1 月)までの期間が短いので、国民は自身の番号を
極力早期に認識できるように通知していただきたい。顧客が自身の番号を認識していること
は、番号の告知を受ける金融機関にとって大前提となる。
26 2.変更
・ 番号の変更請求については、番号を変更しないことによる財産的、身体的危害が発生する
「番号」を通知された者は、「番号」の変更を請求することができる。変
可能性があるなど真にやむを得ない場合に明確に限定し、必要最小限に抑え、悪意のある者
更請求の要件等については、特段の要件を設けないこととする案や、
「番号」 が何度も変更請求が行うことのないようにすべきである。また、変更・失効した場合には、
の悪用により不利益を受けた場合その他市町村長が適当と認める場合等に
当該情報が「番号」を取り扱う事業者に対して適切にフィードバックされる方法等について
43
・
請求できることとする案等が考えられるが、行政事務コストやシステム上の
も考慮していただきたい。
負荷等の観点も踏まえ、今後、番号法案策定時まで引き続き検討する。
・ 変更・失効の際の対応は行政側で行うものとし、
「番号を取り扱いうる事業者」側で対応が
必要のないものとしていただきたい。
31 Ⅲ 「番号」を告知、利用する手続の範囲
6.税務分野
・ 国民の申請・申告手続きの簡素化を図り、利便性の高い社会を実現するため、税務分野に
(1)国税
おける利用には、次のものが含まれることとしていただきたい。
・ 国税に関する法令の規定に基づき税務署長等に提出する書類への記載
① 既に番号の告知を受けた顧客が住所や氏名の変更(以下「住所変更等」)した場合に、金
及びこれに係る利用その他番号法の授権に基づく政省令で定める利用
融機関に対する告知や本人確認書類の提示を不要とすること
具体的には、本人及び税務代理人等が税務署長等に提出する確定申告
② 番号を用いた突合作業等を通じて税当局において特定個人の住所変更等が確認された場
書や法定調書等の書類に「番号」を記載することや、このために必要な
合、地方税の適切な納付等のため当該住所変更等情報(変更後住所や氏名の情報を含む)
事務に「番号」を用いることがこれに該当する。
が金融機関に提供されること
・ 国税に関する法令の規定に基づき、税務職員等が適正かつ公平な国税
なお、その際には、フィードバックの迅速性を始め、金融機関の事務負担・コスト負荷
の賦課及び徴収のために行う事務に係る利用その他番号法の授権に基
の増加がないよう十分留意していただきたい。
づく政省令で定める利用
・ 特口座等について税法に基づく管理行うために、顧客から告知を受けた番号を用いた検索
具体的には、税務職員等による申告書の処理、調査等に係る事務に「番
システムを構築し、検索を行うことは「法定調書等の書類に「番号」を記載するために必要
号」を用いることがこれに該当する。
な事務」に該当するものと考えて差し支えないことを確認したい。
(2)地方税(省略)
33 Ⅳ 「番号」に係る個人情報とは
「番号」に係る個人情報とは、①「番号」、②情報連携基盤を通じた情報
連携の対象となるものとして法定された社会保障及び税分野の個人情報、③
(情報連携基盤を通じた情報連携の対象とはならないものの、)法令に基づ
き「番号」を取り扱い得る事務において「番号」と紐付いて扱われる社会保 ・ 「番号」と紐付いて扱われる社会保障の及び税分野の個人情報をいう」とされているが、
障及び税分野の個人情報をいう。
どの程度の牽連性をもって「紐付いて」いるものとされるのか、より明確にしていただきた
(以下省略)
い。
今後Q&A等で、具体的に紐付いていることとされる事例、されない事例をより詳細に提
示していただきたい。
35 Ⅴ 「番号」に係る本人確認等の在り方
・ 「告知を受けた「番号」の真正性を確保するということ」について、番号を取り扱う事業
1.本人確認及び「番号」の真正性確保措置
者に過度な確認義務が強いられることにならないようにしていただきたい。
(1) 「番号」の告知(法令の規定に基づいて書面に「番号」を記載す
ることを含む。以下同じ。)を求めることのできる行政機関、地方 ・ ICカード及び番号を記載する書面(通知書)を税法上及び犯収法上の本人確認書類とし
て認めていただきたい。この場合、当該通知書には、
「番号」のほか4個人情報(住所、氏名、
公共団体又は関係機関の職員等(職員等には労働者派遣事業の適正
生年月日及び性別)が記載され、かつ、
「番号」を証する書類として有効なものであり、番号
な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭
や住所等の変更に伴い、再発行等がされる書類であることを前提としている。
和 60 年法律第 88 号。以下「労働者派遣法」という。)に規定する
派遣労働者を含む。以下同じ。)及び法令に基づき「番号」を取り ・ また、これらの書類を本人確認書類として認めていただく場合には、当該提示されたカー
ド等に記載された番号が正確な番号であるとする運用としていただきたい。真正性が疑わし
扱い得る事業者(「番号」に係る個人情報を取り扱う委託を受けた
い「番号」が判明した場合であっても、例えば、番号を記載した各種支払調書の再提出が義
者(再委託、再々委託等の場合を含む。以下同じ。)を含む。)又は
務付けられるなど証券会社に過度に負担がかかるような取扱いとしないでいただきたい。
その従業者等(従業者等には労働者派遣法に規定する派遣労働者を
含む。以下同じ。)その他法令の規定に基づいて書面に第三者の「番 ・ 証券会社の既存の顧客より、法により「番号」のみ追加で告知を受ける際にも“本人確認”
号」の記載を求められる者は、「番号」の告知を受ける際、本人確
が必要と読めるが、既に運転免許証等の本人確認書類による本人確認がなされている場合に
は、改めて本人確認書類の提示を求める必要はないものとしていただきたい。
(犯収法におい
認を行うとともに、「番号」の真正性を確保する措置を講じるよう
努めなければならない。
ては、既に本人確認書類を用いた本人確認をしたことのある顧客との取引の際に、当該本人
確認に係る記録上の者と同一であることを示す書類の等の提示又は送付を受けるか、顧客し
か知り得ない事項等の申告を受ければ、本人確認済みの顧客との取引として、改めて本人確
認書類の提示等を求める必要はないこととなっており、当該犯収法の考え方と同様でよいと
思料する。)
44
・
仮に、番号の真正性確認を目的に、追加的な業務が義務付けられる場合は、真正性確認の
ための手段・仕組みを政府にてご提供いただきたい(例えば、金融機関・事業会社が4情報
を国税庁などの情報保有機関が保有するデータベースに入力・送信すると正確な番号情報が
参照できるシステムの提供など)。
36 Ⅵ 「番号」に係る個人情報の保護及び適切な利用に資する各種措置
・ 新規及び既存の顧客から一律的に番号の告知を受けることを「正当な利用目的」として認
1.「番号」の告知義務
正当な利用目的で「番号」の告知を求められた者は、「番号」を告知
めていただきたい。
しなければならず、正当な理由なく、「番号」の告知を忌避してはなら
税務分野での利用の一つとして支払調書に番号を記載して提出することが想定されるが、
ない。
現行税法上の規定に基づく支払調書の提出であれば、結果的に支払調書が提出されない場合
2.「番号」の告知要求の制限
も想定される。そのような顧客については番号の告知を受けてはならない、あるいは、支払
何人も不当な目的で「番号」の告知を求めてはならない。
調書を提出する際に番号を告知するとされると実務上の対応が極めて困難となる。
3.「番号」の虚偽告知の禁止
・ 「告知義務」については、顧客に対して課されるものであって、
「証券会社が顧客から番号
何人も虚偽の「番号」を告知してはならない。
の告知を受けなければならない」と義務付けられることは避けていただきたい。
・ 番号の告知を受ける十分な経過期間を設けることが必要であると考えるが、金融機関にと
っては、既存口座に告知が義務付けられた場合であっても、既存口座を開設する「すべての
顧客」の番号を取得することは不可能であることにご留意いただきたい。また、告知者への
インセンティブ等についても検討していただきたい。
・ 既に「正当な利用目的」で番号を取得した顧客との間で、以下の事象に対応する際に改め
て番号を確認することが「正当な利用目的」に該当することを確認したい。
① 本人の属性に変更があった場合に当該顧客に番号の告知を要求すること(連絡先電話番
号・勤務先変更等4情報以外の情報)。
② 証券会社が発行するカード喪失・再発行手続の際に番号の告知を要求すること。
③ 店舗外取引用ユーザID・パスワード再発行の際の番号の告知を要求すること。
④ 住所不明による取引停止解除手続の際の番号の告知を要求すこと。
36 5.「番号」に係る個人情報の閲覧、複製及び保管等の制限
(2) 法令に基づき「番号」を取り扱い得る事業者又はその従業者等は、 ・ 各所に「正当な理由」の範囲を法令で明示することとされているが、過剰なまでに限定列
正当な理由なく、「番号」の記録されているデータベース等を作成
挙された場合には、当該範囲を少しでも外れたようなケースは取扱うことができなくなると
してはならない。
いった事務の制約となってしまうことが懸念されることから、そうしたことが生じないよう
従業者(出向者、親子会社において親会社が一体的に人事管理等
法令で配慮をすべきである。
を行っている子会社の従業者又は退職者等を含む。)の源泉徴収票
の提出若しくは金融機関等による支払調書の提出等法令に基づき
「番号」を取り扱い得る事務に利用するため、「番号」の記録され
たデータベース等を構築するに当たり、上記事務を含めた用途で利
用されている既存のデータベース等に、「番号」を付加して作成す
るとき、又は法令に基づき「番号」を取り扱い得る事業者若しくは
その従業者等が同事業者の従業者本人の同意が得られている目的
の範囲内で、同人の個人情報を利用してデータベース等を作成する
際に、同データベース等を法令に基づき「番号」を取り扱い得る事
務にも併せて利用するために、「番号」を付記するとき等正当な理
由に該当する範囲を、可能な限り番号法又は同法の授権に基づく政
省令に記載するなどの方法により、確定することとする。
(3) (省略)
(4) 行政機関、地方公共団体、関係機関の職員等又は法令に基づき「番 ・ 「みだりに他人に知らせ」及び「不当な目的」に該当する範囲につき御教示いただきたい。
号」を取り扱い得る事業者若しくはその従業者等は、業務に関して
例えば、税務上の観点等から必要な個人情報を民間の事業者間で授受する必要がある場合に
知り得た「番号」に係る個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、
は、当該個人情報に番号を付記して授受することも可能であることを確認したい。なお、そ
45
又は不当な目的に利用してはならない。
れが可能である場合には、番号制度の一端を担う民間の事業者に過度なシステム構築等の負
(5) 事業者又はその従業者等が業務により「番号」
(法令に基づき「番
担を生じさせない観点から、番号の告知や本人確認等の実務フローも含めて、現行の実務と
号」を取り扱い得る事業により知り得た「番号」を除く。)を知っ
乖離しないよう御配慮いただきたい。
た場合、当該「番号」を他人に知らせ、若しくは不当な目的に利用 ・ 番号の告知を受ける手段として、郵送は必須であることは前述したとおりである。
し、又は文書、図画若しくは電磁的記録に記録して保管してはなら
郵送により告知を受ける番号の真正性を確認する手段として、ICカード券面に記載され
ない。27
た番号の複写物は不可欠となることから、「番号」は複写可能とされる必要がある。
また、法令に基づき番号を取り扱い得る事業により知り得た番号については、業務上必要
27 「番号」は、ICカードの裏面に記載するなど、「番号」ができるだ
な範囲で番号の複写等が可能であることを明記いただきたい。
け複写されない措置を検討する。
38 8.「番号」に係る個人情報の安全管理措置義務
行政機関、地方公共団体、関係機関又は法令に基づき「番号」を取り扱い ・ 大綱「Ⅳ 「番号」に係る個人情報とは」における個人情報の定義のうち、「①」について
は番号を取扱い得る事業者が取得する「見える番号」を規定し、
「②」については情報連携基
得る事業者は、当該情報の漏えい、滅失又はき損の防止その他の「番号」に
係る個人情報の安全管理のために、相当な措置を講じなければならない。
盤において利用する「見えない番号」を規定していると思料する。
「見えない番号」については、高度な安全性を求める必要がある一方で、
「見える番号」は
他の個人情報やリンクコードと紐付けられてはじめて個人情報に該当するものと考えられる
ため、
「見える番号」そのものに過度な安全管理措置義務等の措置を講じることのないように
していただきたい。
・ 具体的には、
「現行の個人情報保護法における規制と同様の安全管理措置」とし、個人情報
保護法及び各省庁定めるガイドラインにける規定と乖離しない措置にしていただきたい。
40 12.情報保護評価の実施
(3) ⅩⅠの委員会は、行政機関及び関係機関(義務付け対象者)向けガ
イドライン、並びに地方公共団体及び法令に基づき「番号」を取り扱 ・ 「番号」を取り扱い得る事業者向けガイドラインについては、個々の関係機関のシステム
い得る事業者(非義務付け対象者)向けガイドラインを作成するもの
の実情や意見を踏まえ、現実に即した基準とされるようご留意いただきたい。現状を踏まえ
とし、情報保護評価の実施についての助言を行うことができることと
ずに、一律の基準がガイドラインで適用されることは無いように配慮いただきたい。特に金
する。ガイドラインには、情報保護評価を実施しなければならない情
融機関に関しては、金融監督当局の管理監督基準との整合性とっていただきたい。
報システムについての基準や、情報保護評価の実施方法、実施手順等
を記載することとする。
45 Ⅹ マイ・ポータルへのログイン等に必要なICカード
1.概要
(1) マイ・ポータルにログインするために、現在は署名サービスのみ
に限られている公的個人認証サービスに認証用途を付加する。
(2) 電子証明書の有効期間を現行の3年から5年に延長し、公的個人
認証の利便性を高める。
(3) 民間事業者の窓口等で電子的に本人確認を行うため署名検証者を ・ 「民間事業者の窓口等で電子的に本人確認を行うため署名検証者を民間事業者に拡大する」
民間事業者に拡大する。
とあるが、前述の理由から窓口での電子的なICカードによる本人確認方法の採用を義務と
(4) 「番号」の告知の際、「番号」の真正性を担保するため、ICカ
しないようにしていただきたい。
ードの券面に「番号」を記載し、ICチップに「番号」を記録する。
48 ⅩⅠ 第三者機関
1.設置等
(1) 内閣総理大臣の下に、番号制度における個人情報の保護等を目的
とする委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(2) 委員会は、次のような業務を行う。
・ 「番号」を取り扱う事業者は第三者機関により監督されるとあるが、事業者にとって過度
ア 行政機関、地方公共団体、関係機関又は「番号」を取り扱う事業
な運用負担が発生しないようにしていただきたい。
46
者(以下「監督対象機関等」という。)による「番号」に係る個人
情報の取扱いの監督
イ~キ(省略)
また、現行の監督当局による監督・検査と重複が無いように、第三者機関による監督内容
については事前に明示し、あらかじめ関係各方面から意見を聞く機会を設けていただきたい。
50 ⅩⅡ 罰則
以下の行為又は者を処罰する罰則を創設し、必要に応じて国外犯処罰規定
及び両罰規定を設ける。
これらの罰則の更に具体的な内容や法定刑、他の罰則の必要性、社会保障 ・「番号」取扱事業者に関する罰則定は今後検討する旨があるが、罰則規定は個人情報保護法
に準ずるものとしていただきたい。
又は税務の
個別法における処罰範囲の拡大・法定刑の加重の要否等について制度全体
の在り方を踏まえ、検討を進める。
51 2.行政機関の職員等以外も主体となり得るもの
(1) 「番号」を取り扱う事業者若しくはその従業者等又は受託業務の従 ・ 各所に「正当な理由」の範囲を法令で明示することとされているが、限定列挙にすること
事者等(以下「「番号」を取り扱う事業者等」という。)が、正当な理
が意図されている訳ではないことを確認させていただきたい。「その他正当と認められる理
由がないのに、「番号」の記録されているデータベースを提供した行
由」のような条文文言が必要であり、過剰な限定列挙は「番号」に係る事務の制約となって
為
しまうことを懸念する。
「番号」に係る個人情報を取り扱う委託を受けた者に対して提供す ・ 「正当な理由」に該当する範囲につき御教示いただきたい。例えば、税務上の観点等から
るとき、従業者(出向者、親子会社において親会社が一体的に人事管
必要な個人情報を民間の事業者間で授受する必要がある場合には、当該個人情報に番号を付
理等を行っている子会社の従業者又は退職者等を含む。)の人事管
記して授受することも可能であることを確認したい。なお、それが可能である場合には、番
理・福利厚生のために必要で、第三者への提供につき当該従業者の同
号制度の一端を担う民間の事業者に過度なシステム構築等の負担を生じさせない観点から、
意があるとき、法令に基づき「番号」を取り扱い得る事業者の事業が、 番号の告知や本人確認等の実務フローも含めて、現行の実務と乖離しないよう御配慮いただ
合併、分社化、営業譲渡等により承継されるに際し、「番号」の記録
きたい。
されているデータベースを移転するとき、又は法令に基づき提供する
とき等正当な理由に該当する範囲を、可能な限り番号法に記載するな
どの方法により、確定することとする。
20
東京株式懇話
会
21
株式会社野村
総合研究所
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
31 頁~32 頁
第3法整備
Ⅲ「番号」を告知、利用する手続の範囲
6.税務分野
(1)国税、(2)地方税
● 意見内容
申告書や法定調書等の書類への「番号」の記載については、下記理由欄記載の事情も勘案いただき、実務上無理のないような配慮をお願いしたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
① 振替株式(社債、株式等の振替に関する法律(平成 13 年法律第 75 号)第 128 条)を発行している会社にあっては、株主に関する情報は社債、株式等の振替に関する法律第 151 条
に定める通知により入手するのが原則であり、自社の努力にて多数の株主の一定の情報(「番号」)を入手することは不可能である。
したがって、「番号」情報については下記②の場合を除き、社債、株式等の振替に関する法律第 151 条に定める通知事項とする必要がある。
② 振替株式発行会社の株主には、社債、株式等の振替に関する法律第 131 条第 3 項に定める「特別口座」に記録された株主が多数存在する。この特別口座に記録された株主の多くは
その所在が不明である等連絡を取ることすらできない者が多い。これら特別口座に記録された株主も含め「番号」情報を入手することは現実的ではなく、振替株式の発行会社に過度の負
担を強いるものと思料される。
● 該当箇所
14~17頁
4.安心できる番号制度の構築
47
(1)「番号」の保護等の必要性
(中略)
(2)個人情報の保護の必要性
(中略)
(3)住民基本台帳ネットワークシステム最高裁判決との関係
44頁
4.運営機関
● 意見内容
懸念の類型としてあげられている「国家管理の懸念」に対応するためには、大綱に挙げられている制度上の保護措置、システム上の保護措置に加えて、組織の抑制と均衡を図るため、
情報連携基盤の主管組織と情報保有機関は分離すべきである。
● 理由
大綱では、個人情報保護の必要性と、住民基本台帳ネットワークシステム最高裁判決との関係から、各情報保有機関は「民-民-官」で広く利用される「番号」を情報連携の手段とし
て直接用いず、符号と情報連携基盤を通じてのみ情報連携を実現する事になっている。
しかしながら、情報連携基盤と情報保有機関の主幹組織が同一になってしまうと、情報の追跡・突合の懸念は解消することはできない。よって、情報連携基盤の主管組織と情報保有
機関とは分離すべきである。
国民の不安を払拭し、制度を正しく機能させるためには、全体のガバナンス構造を整理することが重要であり、第三者機関、情報連携基盤、情報保有機関等のステークホルダーの関
係性・独立性や、それら機関ごとの権限・役割の分担・分掌等を明確化すると同時に、問題発生時の責任分界点についても予め明らかにしておくことが必要である。
●
該当箇所
17頁
4.安心できる番号制度の構築
(3)住民基本台帳ネットワークシステム最高裁判決との関係
(中略)
② 個人情報を一元的に管理することができる機関又は主体が存在しないこと
(中略)
②については、
(a)情報連携の対象となる個人情報につき情報保有機関のデータベースによる分散管理とし、
(b)情報連携基盤においては、
「民-民-官」で広く利用される「番号」
を情報連携の手段として直接用いず、当該個人を特定するための情報連携基盤等及び情報保有機関のみで用いる符号を用いることとし、
(c)更に当該符号を「番号」から推測できな
いような措置を講じる。
● 意見内容
情報連携基盤については、情報を一元管理しえない方式とすべき(情報連携基盤技術 WG の中間まとめで言及されている、アクセストークン方式)とすべきであり、情報連携基盤の設
計段階での基本要件として、情報集中把握の可能性や能力を持ちえないないことを定義しておく必要がある。
● 理由
最高裁判決に鑑みると、(a)については、情報保有機関のデータベースを分散化するだけではなく、情報連携基盤においても、情報が一元管理しえないシステム・運用にすることが
肝要である。つまり、情報連携基盤が国民の情報を「一元管理していない」という事だけではなく、仕組み上「一元管理をすることができない」システムとすべきであり、それにより
合憲性を高めることができる。
例えば連携するデータは全て情報連携基盤の中を通す仕組み(ゲートウェイ方式)とした場合、いくら国が情報を不正に覗き見ることはしないと言っても、P15「①国家管理への懸念」
は払拭できない。
●
該当箇所
17~18頁
4.安心できる番号制度の構築
(3)住民基本台帳ネットワークシステム最高裁判決との関係
(中略)
48
④ システム上、情報が容易に漏えいする具体的な危険がないこと
(中略)
④については、情報連携の際の暗号化処理等、システム上のセキュリティ対策を十分に講じる。
● 意見内容
P18 に記載されているような、情報が容易に漏えいしないための仕組みに加え、情報が漏えいした場合に被害を最小限に抑える仕組みも検討・記載頂きたい。
● 理由
プライバシー対策としては、情報が漏洩しないようにすることはもちろん大事だが、万一漏洩した場合の影響範囲、被害を最小限に留めるための方策についても検討する必要がある。
例えば情報連携基盤を通じて連携する情報内には番号を持たないようにすることや、連携する情報を必要最小限にする(例えば給付の際に所得制限を行う場合、所得額そのものでは
なく、受給資格範囲内の所得額かどうか否かのみを連携する)ことなどにより、漏えい時のプライバシーインパクトをある程度抑えることができる。
●
該当箇所
20頁
6.番号制度の将来的な活用
(中略)
その上で、番号制度の情報連携基盤がそのまま国民ID制度の情報連携基盤となり、将来的に幅広い行政分野や、国民が自らの意思で同意した場合に限定して民間のサービス等
に活用する場面においても情報連携が可能となるようセキュリティに配慮しつつシステム設計を行うものとする。
● 意見内容
情報連携基盤を国民ID制度の基盤とするために、当基盤は国際標準又は事実上の標準の技術をベースに設計することに留意いただきたい。
● 理由
国民ID制度の観点では、国民の行政に対するアクセシビリティ向上や、官民の情報連携(グローバル企業・海外企業も含む)
、そしてそれに伴う、新たな市場の創生が重要になる。
そのため、情報連携基盤の仕組みには独自技術の採用は避けるべきであり、国際標準技術を採用することで拡張性を持たせる必要がある。また、標準技術の採用により、競争によるサ
ービス品質の向上とコストの削減につなげることができる。番号制度に関するシステム調達については、自由競争が発生するような調達手法(WTO GP 協定準拠等)が必須となるため、
この面からも国際標準の積極的な採用が求められる。
上記のように、今後の制度には、行政内に留まらない汎用的な情報連携、本人による同意、連携を行う事業者の(公開・明示された)認定基準等に関する枠組みが必要となってくる
が、その際具体的には ITU-T で標準化されつつあり、諸外国で採用されデファクトスタンダードとなっている“トラストフレームワーク”を参考とすべきである。またこれによって、
官民での情報連携を、プライバシーを守りつつ、安価に実現できるため、民間企業の番号制度に対する期待や要望に応えることも可能となる。
●
該当箇所
22~23頁
(3)番号制度の導入に係る費用と便益
(中略)
「番号」を導入するための費用・期間については、一般的に、情報の活用範囲を広くするほど大きく・長くなることや、個人情報保護の仕組みの在り方等で相応の増減があり得
ることから、システム等の技術設計や調達に当たっては、費用対効果を十分に踏まえて検討を行う。また、費用を誰がどのように負担するかについて、受益者負担の観点も踏まえ
つつ、別途検討する必要があること等について、留意する必要がある。
費用については、制度設計の仕方によって、実際のシステム改修の程度やその費用が異なってくることに留意する必要がある。
● 意見内容
費用対効果を向上するためには、既存の民間リソース等の有効活用がキーとなるため、その旨記載頂きたい。
● 理由
番号制度の大きな目的の一つが、少子高齢化社会を迎えた日本の財政状況の改善である以上、費用対効果は最重要課題である。費用対効果を向上させるためには、政府がすべてのシ
ステムを構築・運営するのではなく、一部については要件を提示した上で、その要件にあった、民間事業者が運営するサービスを利用するなどの点に十分配慮した上で、制度を進める
べきである。特に、ポータルや認証機能については、すでに多数の国民が民間事業者のサービスを利用しているため、国は当該サービスを認定するだけで、高い費用対効果と国民視点
の電子行政を両立できる。
49
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P35 Ⅴ 「番号」に係る本人確認等の在り方
1.本人確認及び「番号」の真正性確保措置
(2))「番号」を取り扱う個別具体の手続における本人確認及び「番号」の真正性確保等の在り方については、後記第3ⅩのICカードを活用した本人確認及び「番号」の真正
性の確認を基本としつつ、手続ごとに要求される本人確認等の厳密さのレベルが異なることから、番号法には規定せず、個別法等で個別に規定する。
● 意見内容
本人確認および真正性の確認に関しては、書面による確認方法もとりうることを明記すると共に、真正性確認のための具体的かつ現実的な手法・手段を明記してほしい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
「ICカードを活用した本人確認及び「番号」の真正性の確認を基本とする」とあるが、現段階では IC カードを全国民に配布するかは未定であり、また IC カードへの対応を事業所
等関連する企業に義務付けることには大きな困難が生じると考えられる。
特に、初期の番号登録は大規模かつ広範囲になる事が予想されることから、事務的な負荷はかかるものの、現実的な処理方法である書面による対応を当初時点から考慮する必要があ
る。また、その際の番号の真正性確認のための現実的な手法・手段を明記することは実際の事務設計を行うに際して必須であると考えられる。
例えば、事業者が情報保有機関に対して番号及び番号に係る個人情報を用いて番号の真正性を照会するための情報システムの提供なども考えられる。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P40 Ⅵ 「番号」に係る個人情報の保護及び適切な利用に資する各種措置 12.情報保護評価の実施
(1)
「番号」に係る個人情報の適正な取扱いを担保するため、
「番号に係る個人情報の保護に関する事前評価(以下「情報保護評価」という。)を実施し、情報システムの構築又は改
修が「番号」に係る個人情報へ及ぼす影響を評価し、その保護のための措置を講じることとする。
(3)ⅩⅠの委員会は、行政機関及び関係機関(義務付け対象者)向けガイドライン、並びに地方公共団体及び法令に基づき「番号」を取り扱い得る事業者(非義務付け対象者)向
けガイドラインを作成するものとし、情報保護評価の実施についての助言を行うことができることとする。ガイドラインには、情報保護評価を実施しなければならない情報シス
テムについての基準や、情報保護評価の実施方法、実施手順等を記載することとする。
● 意見内容
「番号」を取り扱い得る事業者における情報保護評価の策定に関しては、事業者の業種(金融機関等)や規模に応じた対応を考慮頂きたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
番号の取り扱いにおける情報保護の影響度に関しては、事業者そのものの規模や業種により大きく異なるものと考えられる。実際の情報保業評価のルール作りにおいては、一律のも
のではなく、上記考慮を踏まえた複数の選択肢を示してほしい。
●
該当箇所
43~44頁
3.情報保有機関が保有する基本4情報の住基ネット基本4情報との同期化
(1)情報連携基盤とつなぐ情報保有機関は、番号制度導入時において、
「符号」を自らが有する個人情報のデータベースと紐付けるため、自らが保有する基本4情報が住基ネットの
基本4情報に突合するよう努めることとする。
(中略)
(3)
(1)で住基ネットの基本4情報と突合した、情報連携基盤とつなぐ各情報保有機関が保有する基本4情報について、情報連携基盤とつなぐ各情報保有機関は、必要な頻度で住
基ネットの基本4情報との同期化に努めることとする。
● 意見内容
(1)については、「符号」の紐付けを基本4情報の同期化に基づいて実施する以外の方法についても、検討すべできてある。
(3)については、符号とデータ紐付けを行った後の基本4情報同期化の努力義務の必要性について、理由をご記載いただきたい。
● 理由
(1)については、符号の紐付けは番号制度実現の中で最も費用がかかると想定される部分であり、その実現手段については、一律基本4情報の突合で行なうのが効率的なのかを含
め、さらに検討すべきである。
(3)については、なぜこのようなことが必要なのか目的が不明瞭である。すでにデータと符号の紐付けが出来ているのであれば、情報保有機関側の基本4情報を住基ネットと定期
50
的に同期することを努力義務化する必要性があるのか、検討の必要がある。
●
該当箇所
48頁
ⅩⅠ 第三者機関
1.設置等
(1)内閣総理大臣の下に、番号制度における個人情報の保護等を目的とする委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(2)委員会は、次のような業務を行う。
ア 行政機関、地方公共団体、関係機関又は「番号」を取り扱う事業者(以下「監督対象機関等」という。)による「番号」に係る個人情報の取扱いの監督
イ 「番号」に係る個人情報の取扱いに関する苦情の処理
ウ 情報連携基盤及びその他の機関と接続する部分の監査
エ 情報保護評価の実施に関する助言及び報告書の承認
オ 番号法に係る適格認証手段の承認
カ 所掌事務に係る国際協力
キ 「番号」に係る個人情報の保護方策並びに番号法に関する普及啓発及び相談の受付
● 意見内容、
(1)について
第三者機関は三条委員会として設置することを明記いただきたい。
(2)について
第三者機関の監督・監査対象は「番号」に係る個人情報を扱う機関のみでなく、当制度と関係性が高く個人情報を扱う機関も含めるべきである。
さらに、将来的には、第三者機関の監督範囲は、個人情報保護法制全体とすることを想定しつつ、既存の監督機関と適切な役割分担となるよう、同機関を設立すべきである。
● 理由
(1)について
第三者機関は行政府からの独立性を確保するため、八条委員会ではなく三条委員会として設置することが、本制度の必須条件である。
(2)について
当制度と関係性が高く個人情報を扱うものについては、本来「番号」同様に監督・監査されるべきである。よって、番号制度に深く関わる機関である、住基ネット、マイ・ポータル、
公的個人認証サービスなども監督・監査の対象とすべきである。また、将来的に第三者機関の監督対象を個人情報保護法制全体に広げることは、円滑な制度運用及び国際協調に資する
ものと考えられるからである。
22
福岡県保険医
協会
●
該当箇所
大綱そのものの問題点
● 意見内容
「社会保障・税番号大綱」は、個人情報保護の見地から、絶対に中止するべきである。そもそも、日本国では旧社会保保険庁の職員が好奇心からと言え無断無用の閲覧が発覚し、大
量の懲戒解雇処分になったことがある。今後は、好奇心以外の目的で悪用される事は確実であろう。また、結論を言えば、徴税情報と社会保障の組み合わせが同時に出来るため、うっ
かりして税金を収めなかった市民から、社会保障である健康保険の保険証の発行を厳密に停止するなど、診療機関のアクセスを抑制し、ひいては生命の危険を及ぼす重大な運営を促進
することは間違いない。また、将来は、住民基本台帳以外の各種の私的調査会社のデーターとの結合ないし、自動的なデーターのマージにより、個人情報がどんどん蓄積される事は自
明である。
従って、例えば、OECD のガイドライン個人情報8原則の第7番目には、
「個人参加の原則」つまり、
「データーベースの個々の欄は、対象となる個人が自由に閲覧が出来、その内容に
不服があれば、仮にそれが、たとえ一個人の日記の一部であったとしても、その個人情報の内容の閲覧が出来、それに異議を申し立てる事が可能であり、且つその情報の修正と削除が
可能である。」と言う項目が謳われている。
基本的には、
「社会保障・税番号大綱」には、反対であるが、大綱が出来上がった場合でも、OECD 個人情報保護の原則第7項目の「データーの対象となる個人が参加する権利」を法
律で保障するべきである。基本的には、電子的個人情報は、「生死の欄」以外は、公には認めないと言う程度の慎重さが求められている。
23
企業年金連合
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
51
会
24
日本経済団体
連合会
①
②
③
④
P9 第2-2-(4)自己の情報の入手や必要なお知らせ等の情報の提供に関するもの
P22 第2-7-(3)番号制度の導入に係る費用と便益
P23 第2-7-(4)今後のスケジュール(エ)
P43 第3-Ⅷ-3.情報保有機関が保有する基本4情報の住基ネット基本4情報との同期化
● 意見内容
① 「国民が、社会保障・税に関する自分の情報や、利用するサービスに関する情報を自宅のパソコン等から容易に閲覧可能となり、必要なサービスを受けやすくなるなど国民の利便
が高まる。」とあるが、企業年金の加入者が自分の年金加入記録をもれなく確認する為には、全ての企業年金が番号制度を利用することが必要である。情報連携基盤の利用については、
年金確保支援法の成立により実現する、企業年金連合会が企業年金基金の委託により住基ネットから住所情報の提供を受ける方式等、多様な方法に対応できるようにすべきである。
② 「費用を誰がどのように負担するかについて、受益者負担の観点も踏まえつつ、別途検討する必要があること等について、留意する必要がある。」とあるが、企業年金は国から補助
がなく、番号制度導入の為の公的補助が必要である。また、情報保有機関からの情報取得に必要な費用についても、積極的に利用促進を図ろうとする機関に過大な負担とならないよ
うすべきである。
③ 「平成 27 年(2015 年)1月以降、
「番号」を利用する分野のうち、社会保障分野、税務分野のうち可能な範囲で「番号」の利用を開始する。」とあるが、企業年金においては基礎
年金番号と「番号」の紐付けが必要である為、まず、日本年金機構が先行して制度導入し、紐付けられた日本年金機構からのデータ提供を可能とする制度設計とすべきである。
(④関
連)
④ 「(1)情報連携基盤とつなぐ情報保有機関は、番号制度導入時において、「符号」を自らが有する個人情報のデータベースと紐付けるため、自らが保有する基本4情報が住基ネッ
トの基本4情報に突合するよう努めることとする。」とあるが、企業年金においては、基礎年金番号と「番号」が紐付けられた日本年金機構からのデータ提供を可能とする制度設計と
すべきである。
1.総論
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
(全般)
● 意見内容
急速な少子高齢化が進展するなか、社会保障と税・財政の一体改革を推進するための基盤として、番号制度の早期導入は不可欠である。今般、政府により「社会保障・税番号大綱」
がとりまとめられたことは貴重な第一歩であり、この機を逃すことなく、法案成立や工程の明確化等、更なるスピード感をもって番号制度を実現させる必要がある。
番号制度は、社会保障・税のみに限定するのではなく、幅広い行政分野に適用することにより、諸外国に比して著しく遅れている行政部門の電子化を促進し、国民に対し安心で利便
性の高い行政サービスの提供に資するべきである。さらに、プライバシー等に配慮しつつ民間サービス等で活用し、国民の利便性を向上させ、国民共有の財産である番号制度の有効活
用を図るべきである。
2.民間サービスにおける番号制度の利用
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第2 基本的考え方
6.番号制度の将来的な活用(P.20~)
~まずは国民の生活に直結する社会保障及び税の分野において広く「番号」を活用する~。その上で、番号制度の情報連携基盤がそのまま国民ID制度の情報連携基盤となり、
将来的に幅広い行政分野や、国民が自らの意思で同意した場合に限定して民間のサービス等に活用する場面においても情報連携が可能となるようセキュリティに配慮しつつシス
テム設計を行うものとする。
7.今後の進め方
(4)今後のスケジュール(P.23)
平成 30 年(2018 年)を目途にそれまでの番号法の執行状況等を踏まえ、利用範囲の拡大を含めた番号法の見直しを行うことを引き続き検討する。
● 意見内容
住所、氏名など、比較的機微性の低い情報に関しては、国民(顧客)利便性向上や、より的確な法令順守の確立等との比較考量を行い、制度導入当初から民間での活用を認めるべき
である。
例えば、法令により本人確認や法定書類の確実な送付が求められている以下のような民間業務から、活用を認める。
・ 金融機関等が、「犯罪収益移転防止法(犯収法)」「金融商品取引法(金商法)」等の法令などに基づいて行う業務に係る顧客口座の管理を行う場合。
・ 金融機関等から顧客に送付する法定書類等の重要書類が不届きの場合等に、金融機関等が番号を利用して情報連携基盤等に最新の住所情報の照会を行うこと。
52
・ 民間保険会社の年金保険の受け取りの際に必要な「現況届」について、公的年金と同様に保険会社が照会を行うこと。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
大綱の「実現すべき社会(P.5)」に示された通り、番号制度(情報連携基盤)は、社会保障・税のみならず、行政に過誤や無駄がなく、国民にとって利便性の高い社会の実現を基本
理念とするものである。その実現のためには、可能なものから番号制度を民間サービスに活用していくことが重要である。当面、準公的とも言える金融サービスに活用することで、民
間活用の道を開くことが考えられる。また、これにより、民間におけるシステム改修の費用も含めた、費用と便益の改善にも資する。
3.東日本大震災の復旧・復興への活用
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第2 基本的な考え方
1.番号制度導入の趣旨
(7)大災害時における真に手を差し伸べるべき者に対する積極的な支援(P.6)
今般、東日本大震災という未曾有の大災害が発生し、被災者救援・震災地復興が我が国における最大の課題となっている。
特に、今後の被災者の生活再建には、中長期的な取組が必要であり、番号制度の迅速な導入は、これに資するものと考えられる。
また、今後起こり得る大災害にあらかじめ備え、実際の災害発生時に即応でき、復興再建の局面でも効力を発揮するよう、防災福祉の観点からも、番号制度の在り方を考え
る必要がある。
第3 法整備
Ⅲ.「番号」を告知、利用する手続の範囲
7.その他(P.33)
具体的には、上記の各分野における「番号」の利用に伴い金融機関が保有することとなる「番号」の範囲内において、今般の東日本大震災のような大災害時における預金等の
払戻し及び保険金の支払いなどの事務に「番号」を用いることがこれに該当する。
● 意見内容
番号制度の法定化、本格運用を待つことなく、東日本大震災の被災者に対し、本人確認が可能な IC カード(仮称「電子被災者カード」
)の配布等を行い、自治体や医療機関等で必要
なデータを共有しながら確実で迅速な被災者支援を行うべきである。
また、様々な行政サービスや支援措置のほか、保険金の支払いなどの民間サービス提供の迅速化、円滑化に役立てていくべきである。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
未曾有の被害をもたらした東日本大震災の被災者支援、復旧・復興は、わが国が直面する最大の課題である。今回の震災では、被災者が全国に避難しており、被災自治体以外の自治
体による申請受付等、全国レベルの行政サービス連携が求められる。被災者一人一人の公的な本人確認・本人証明を確実に行い、被災者に係る膨大な各種手続の負担を軽減し、生活の
安定や精神的なケアに目途がつくまで、被災者一人一人に対し、多くの専門家や関係者が連携して、的確にきめ細かい支援を継続し、中長期的にフォローする基盤を構築する必要があ
る。
4.医療・介護情報の電子化に関する工程の明確化
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第2 基本的考え方
2.番号制度で何ができるのか
(6)医療・介護等のサービスの質の向上等に資するもの(P.11~)
~医療・介護等のサービスの充実や質の向上は、国民生活の充実に直結するものであり、番号制度の下でできる限り多くの場面で用いることができるようにすべきものであ
る。以下に、利用場面の一例を示すが、今後、施策の優先順位や費用対効果を見極めつつ、社会保障分野サブワーキンググループにおける議論や医療・介護等のサービス関係
者からの意見を踏まえて更なる利用場面の拡充を検討する。
第4 情報の機微性に応じた特段の措置(P.55)
~医療分野等の特に機微性の高い医療情報等の取扱いに関し、個人情報保護法又は番号法の特別法として、その機微性や情報の特性に配慮した特段の措置を定める法制を番号
法と併せて整備する。
● 意見内容
医療・介護分野への番号制度の活用、電子化の推進について、明確な工程を示すべきである。
53
●
理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
医療・介護分野において番号制度を活用し、より質の高いサービスを行うとともに、重点化・効率化を図っていくことは、高齢化社会における喫緊の課題である。
2010 年 6 月に政府 IT 戦略本部が取りまとめた「新たな情報通信技術戦略・工程表」では「どこでも MY 病院」構想に係る工程表が示されている。本大綱において、医療・介護分野に
おける番号制度の適用時期を明示し、着実な進展を図るべきである。
5.企業実務への配慮
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第2 基本的考え方
7.今後の進め方(P.21)
(1) 国民の納得と理解を得るための活動
(2) 地方公共団体等との連携
● 意見内容
今後、制度の具体化の検討にあたり、「法令に基づき「番号」を取り扱い得る事業者」となる企業の実務への影響などを十分に考慮すべきである。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
源泉徴収や特別徴収を行う企業は、
「法令に基づき「番号」を取り扱い得る事業者」となり、法令の規制を受けるとともに、データベースやシステム改修、業務フローの見直し等を行
う必要が生ずる。
番号制度の円滑な導入が図られるよう、企業サイドの準備期間やコスト、実務の流れなどに十分に配慮しつつ、制度の具体化を進めて頂きたい。
<実務上配慮が必要な事項(例)>
・ 「番号」が変更された場合に誤りが生じない手続整備
・ 法定調書拡充の内容・形式
・ 接続テスト等を含めたシステム改修への十分な準備期間
等
25
日本弁護士会
連合会
「社会保障・税番号大綱」について,問題とすべき点は多岐にわたるが,主な問題点に絞って,意見を述べる。
はじめに
全国民等に固有の番号を割り振る「共通番号」制度は,官民両分野に存在する膨大な個人情報を極めて容易に名寄せしうる(連携させる)
,情報を管理する者にとっては便利なツール
だと言われている。一方で,情報を管理される国民等の側から見た場合,名寄せされる個人情報の範囲が広範になればなるほど,プライバシーに重大な脅威をもたらすツールとなるこ
とは疑いのない事実である。
当連合会は,このような問題意識から,2007年10月23日に「
『社会保障番号』制度に関する意見書」を,同年12月13日に「『社会保障カード(仮称)』に関する意見書」を,
2008年8月27日に「『社会保障カード(仮称)の基本的な構想に関する報告書』に関する意見書」を,2010年8月19日に「『税と社会保障制度共通の番号』制度創設に関す
る意見書」をそれぞれ公表した。また,2010年10月8日には,第53回人権擁護大会において,国民一人ひとりに業務分野を越えた共通番号を割り振るなど,個人の自己情報コ
ントロール権を侵害するような「番号制」の導入を行わないこととする決議を採択した。
これらを踏まえて,以下,「社会保障・税番号大綱」(以下「大綱」という。)の問題点を指摘するが,その要旨は,次のとおりである。
問題点 1
「共通番号」制の具体的な必要性や利用目的が,全く明らかとされていない。
必要性や利用目的が具体的に明らかにされない限り,本制度によるプライバシー権などに対するリスク受忍の当否,費用対効果の妥当性等は検討できない。
問題点2
大綱は,個人情報の利活用の推進を優先し,プライバシー権(自己情報コントロール権)の核心的内容である,情報主体の「事前の同意」による情報コントロール権の保障をない
がしろにしている。また,「共通番号」を民-民-官で広く利用することに伴うリスクを現実の問題として検討しておらず,示された対策も,極めて抽象的かつ不十分である。
問題点3
大綱は,具体的な利用目的が定まっていないことなどもあり,概略の費用対効果の検討すら示していないため,検証できない。
以下,詳述する。
54
問題点1 「共通番号」制の利用目的が全く明確となっていないこと(「共通番号」制の具体的必要性が明らかでないこと)
1
政府は「共通番号」の導入目的を具体的に国民に明らかにすべきである
大綱では,「共通番号」制の導入によって,「複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であるということの確認を行うための基盤を提供することにより」,「① より公平・公
正な社会」,「② 社会保障がきめ細やかかつ的確に行われる社会」,「③ 行政に過誤や無駄のない社会」,「④ 国民にとって利便性の高い社会」,「⑤ 国民の権利を守り,国民が自己情
報をコントロールできる社会」を実現することを理念として掲げる(5~6頁)。そして,
「共通番号」制があれば,
「よりきめ細やかな社会保障給付」,
「所得把握の精度の向上」や「医
療・介護等のサービスの質の向上等」が実現するかのように主張する(6~12頁)。
しかし,大綱には,①社会保障分野や税務分野において,政府が,
「共通番号」制を使って,国民のために,具体的にどのような施策を講じたいのかについて,何ら論及がない。大
綱に掲げられた諸施策は,結局のところ,
「共通番号」制によって政府が実現したいと考えるものではなく,「共通番号」制があれば実現できるといったものを,網羅的に並べている
に過ぎないのであって,そもそも上記諸施策導入の必要性は議論されていない。また,上記の施策を国民が強く求めているといった立法事実も存在しない。
しかも,②「共通番号」制があれば,上記の施策が実現できるという,目的と手段(「共通番号」制)の関連性は,何ら明らかにされていない(むしろ,「共通番号」制とは無関係
と思われるようなものも多い。)。したがって,政府において,当該施策を講じるために,そもそも情報連携が必要なのか,さらにはどの範囲の情報連携が必要なのか(例えば,なぜ,
納税と社会保障分野全体の情報連携が必要なのか。),情報連携のために「共通番号」が必要なのか,代替手段はないのかなどといった点を,具体的に明らかにすることが必要である。
「共通番号」は政策実現のための一ツール(一情報システム)に過ぎない。そして,そもそも情報システムについては,その利用目的が具体的に明らかにならない限り,その効率
性(最適化)や,最善のプライバシー保障システムの検討,費用対効果の検討などができない。将来の「拡張性」という要請も含めて,まずは,
「共通番号」制の利用目的が具体的に
明らかにされなければ,その当否について結論を出すことは不可能である。
繰り返し当連合会が主張しているように,
「共通番号制を導入すれば何ができるのか」ではなく,
「実現すべき政策をまず議論し,決定した上,そのために共通番号制を導入するこ
とは必須か」,「政府の本来の役割である充実した社会保障制度を実現することとの関係で,共通番号制が本当に必要となるのか」を検討するという形で,国民的な議論を促すべきで
ある。
2
「共通番号」は情報化社会に必要不可欠なインフラとは言えない
大綱は,複数の機関に存在する個人情報が同一人の情報であることを確認する基盤(「共通番号」制)が,情報化された現代社会に必要不可欠なインフラであるかのように主張する。
しかし,このような結論付けがなされる根拠は全く示されていない。
(1) コンピューターネットワークの発達に伴い,現代社会では,金融機関の名寄せをはじめとして,基本4情報だけでも,相当程度,個人情報の同一性確認が可能となっている。こ
うした状況の中で,「共通番号」を利用した,より確実・容易な同一性確認手段を新たに導入することは,むしろプライバシーにとって危険である。
もともと,「共通番号」制は,プライバシー権保障との関係で,「国民総背番号制」として忌避されるべき存在であった(当連合会も,そのような意見である。)。これまで,政府
にとって都合の良い「国民総背番号制」が導入されなかったのは,プライバシー権の保障と両立することが不可能であるとの認識が根底にあったからに他ならない。
「共通番号」制は,これまでの情報保有機関における情報管理のあり方を根本から覆す制度である。現在行われている情報連携では,どのような不都合があるのか,プライバシ
ーへの重大なリスクを伴う「共通番号」制を導入するほどの不都合なのか,政府は国民に対し,今般「共通番号」制を導入しなければならない具体的かつ説得的な論拠を明らかに
することが必須である。
(2) 高度情報通信技術が進展する中で実現すべき社会とは「プライバシー権を保障するための基盤が整備された上で,便利さを追求できる社会」であるべきである。このような社会
において必要不可欠なインフラは,情報保有機関に分散されている個人情報の同一性確認が,その目的を超えて「容易には」できないし,情報結合もされないというシステムにな
るはずである。
(3) また,仮に,政府が国民ID制度の創設を目標とし,国民一人ひとりを,他と完全に識別できるID(番号等)が必要であると考えているのであるとしても(そもそも,そうし
た目的があるのであれば,それを国民に明らかにすべきであるが),この国民ID(番号)を,そのまま「共通番号」として,あらゆる個人情報(個人データ)に付するということ
とは,全く異なる問題であることを認識すべきである。
例えば,全世界の電子政府のひとつのモデルとなっているオーストリアでは,国民IDが存在しているが,各分野のデータにその国民IDをそのまま付するなどということをし
ておらず,「分野別番号」で管理している(分野をまたがる情報連携は,国民IDとは別の,暗号処理された番号を用いて行っている。)。
3
情報連携のために,各情報保有機関が「共通番号」を保有することは不要なはずである
仮に,政府の考えるような広範な情報連携が必要とされたとしても,現在検討されている「情報連携基盤」のシステムは,
「IDコード」を用いて他の情報保有機関の個人情報と連
携させるシステムであるから,各情報保有機関が保有する情報に「共通番号」が付されていなくとも,情報連携は可能となるはずである。
「共通番号」を情報連携の手段として用いることを禁止する大綱の立場からすれば,各分野の個人情報にまで,
「共通番号」を付する必要性は全く認められず,プライバシー保護の
観点からは有害極まりない。
55
4
大災害時における「共通番号」の活用には重大な疑問がある
大綱では,「共通番号」制の早期導入が,東日本大震災の被害を受けた被災者の生活再建に資するものであるという。また,今後の大災害の備えにもなるという(8頁)。
しかし,具体的に大綱が指摘する災害時の「共通番号」の活用場面は,非現実的であり,かつ「共通番号」の必要性が疑わしいものばかりである。詳細は割愛するが,①医薬品配
給の遅延等は輸送ルートの損壊等が主な原因であり,
「共通番号」によって解決される問題ではないこと,②避難者リストの作成や預金払戻しなどに際し,基本4情報以上に,被災者
が記憶しているとは限らない「共通番号」を要求する必要性はないこと,③レセプト情報は診療情報のごく一部に過ぎず,到底効果的な医療支援を可能とするに足る情報ではないこ
と,④生活再建支援金の支給遅延は,自治体による建物損壊状況の把握の遅延等に由来するものであり,「共通番号」で把握できるような情報ではないことを特に指摘しておく。
大綱の論調に触れる限り,消えた年金問題をきっかけに,問題解決に何ら資することのない社会保障番号を導入しようとした旧政権と同じであるとしか感じられない。
5 「共通番号」と「住民票コード」との関係を明らかにすべきである
大綱は,「共通番号」を「住民票コード」から生成することを予定している。しかし,その結果,今後「住民票コード」がどのように扱われることになるのか全く論及していない。
現在認められている利用目的はそのまま維持する予定なのか,これまでに付番された利用事務の住民票コードは,
「共通番号」に置き換えるのか,地方自治体の利用は従来どおり自
由に認めるのかなどについて,明確に政府の考えを示すべきである。
問題点2 プライバシー権(自己情報コントロール権)のとらえ方が,単に利用状況を確認できれば足るといった程度に限定解釈されていること。また,プライバシー保護に関して検討
されている諸対応策が,極めて抽象的かつ不十分であること。
1
個人情報の利用等の状況を確認する仕組みによってプライバシー権が保障されたことにはならない
情報主体が自己の私的事柄に関する情報の取扱いについて自ら決定する権利(自己情報コントロール権)の本質は,
「自己の個人情報を知らないうちに,収集・保管・利用・提供(以
下「収集・利用等」という。)されることを防止する,逆にいえば,自己情報の収集・利用等を,自らの同意によって決定(コントロール)できる」点にある。これに対し,大綱は,
「共通番号」の利用や情報連携について,原則として本人同意を前提としない仕組みとする一方で,アクセス記録の確認を国民等が行いうることを強調しており,これによって自己
情報コントロール権の保障が実現されると考えている(19~20頁等)。
(1) しかし,第1に,自己情報コントロール権の核心は,個人情報の収集・利用等に対する「事前の同意」によるコントロールである。この点に鑑みるならば,国民が事後的にアク
セス記録を確認した時点では,個人情報は,自らの意思に基づかずに,当該機関や他の機関によって,提供時とは異なる目的で既に収集・利用等されてしまっているのであって,
権利が保障されているとは評価し得ない。
(2) 第2に,大綱では,
「共通番号」制における収集・利用等ができる事務については,法律ないし法律に基づく政省令に明記する旨主張されている。しかし,現在,住基ネットの利
用事務を規定する住民基本台帳法別表を見ても,その規定の抽象性故,自己の個人情報が一体どのような目的で収集・利用等されるのかを理解することは困難である。特に,この「共
通番号」制では,民間分野を含めて広範な事務での利用が予定されているから,その困難性は更に高まる。したがって,
「共通番号」制における利用事務を法律や政省令で規定する
ことによって,「事前の同意」に代わると考えることは困難である。特に,「共通番号」制が扱う情報の質を考えれば(ここが住基ネット判決との大きな相違点である。
),たとえ法
律に規定があろうと,自己情報コントロール権が実質的に保障されたとは到底評価し得ない。
(3) 第3に,
「共通番号」制における個人情報の利用・提供等のアクセス記録の確認は,コンピュータを操作して「マイ・ポータル」にアクセスして行うことが想定されている。しか
し,世の中には,コンピュータを使えない(または使わない)国民が一定割合存在するのであり,このような人にとっては,何ら有益ではない。
(4) 第4に,全ての個人情報の収集・利用等が,情報連携基盤を通じてやりとりされるわけではない。したがって,このような情報のやりとりは,
「マイ・ポータル」を利用した事後
的な確認の機会が存しない。
(5) 第5に,情報連携基盤を通じた個人情報のやりとりであっても,行政機関個人情報保護法第14条などに規定される除外事由を踏まえた除外事由が設けられる(39頁)。したが
って,このような除外事由に該当すれば,「マイ・ポータル」を利用したアクセス記録の確認ができない。
(6) 第6に,犯則調査又は犯罪の捜査等一定の事由を目的として保有されている個人情報は,本人の確認のみならず,第三者機関においても,チェックができないこととされている
(49頁)。したがって,この例外の設定の仕方によっては,第三者機関による事後的なチェックすら有名無実化するおそれがある。
以上のように,
「マイ・ポータル」があったとしても,目的外利用や不正アクセスの監視は限定的なものとならざるを得ない。しかも,不正利用等が確認できた場合に,本人の情報
利用中止請求や,訂正請求に関わる迅速な手続が保障されていない点も,重大な問題である。
また,反対に,
「マイ・ポータル」において,自己に関わる広範な情報の利用・提供等に関する記録が確認できるシステムにした場合,なりすまし等により不正にアクセスされるな
どした場合には,自己に関する広範な,機微情報を含む個人情報が漏えいする結果にもなる。これは,かえって自己情報コントロール権に対するリスクとなるものである。
2
最高裁判決の引用が部分的かつ形式的である
大綱は,住基ネット最高裁判決を引用する(17~18頁)。しかし,その引用内容はまさしく我田引水である。
56
住基ネット最高裁判決は,結論を導くに当たり,住基ネットによって管理・利用等される情報(本人確認情報)の性質を検討している。そして,
「個人の内面に関わるような秘匿性
の高い情報」ではなく,住基ネット導入以前から,市町村において管理・利用したり,法令に基づき必要に応じて他の行政機関等に提供されていた情報であると指摘した。これを前
提に,
「個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表するもの」ではないとか,
「プライバシーに関わる情報の取扱いについて自己決定する権利ないし利益が違法に侵害された」
とはいえないとしているに過ぎないのである。
にもかかわらず,大綱では,情報連携を行おうとしている情報の性質を考慮しても,より高度の安全性が確保できれば当然に合憲となると考えているようである。これは大きな誤
りである。例えば,要綱でも特別の配慮が必要だと指摘されている診療情報のような機微情報を考えた場合,どれだけ安全措置を講じようと,本人の関与なく第三者へ情報提供する
ことが違憲とされる可能性は十分に残されている。
3
個人情報の不正利用・漏洩の危険を現実の問題として捉えるべきである
「共通番号」制による不正利用・漏洩について,大綱でも,
「懸念」という用語が用いられているとおり(中間とりまとめよりも後退している。),その危険を現実のものとして捉え
ているのか疑問がある。
そもそも,過去の情報漏洩の例を引くまでもなく,セキュリティに完璧はない。最近では,高度なセキュリティを有するはずの米ソニーがサイバー攻撃を受け,
「氏名」
「性別」
「住
所」などだけでなく「パスワード」や「オンラインID」といったオンライン上でのなりすましを可能にする情報が7700万件も流出したとの新聞報道がなされている。しかも,
一部にはクレジットカード情報が含まれているという。大手ゲームソフト会社でも,同様の個人情報の大量流出事故が続発している。
「共通番号」制度が先行しているアメリカや韓国における共通番号制の弊害面(個人情報の統合やなりすまし被害など)について大綱においてようやく言及がなされたが(14~
15頁),弊害が生じた理由やその対応策・実効性などについて,政府はいかなる調査・検討を行っているのか定かではない。大綱では,具体的な調査・検討の形跡が見られないが,
そのような段階で「共通番号」制を検討することは,将来的に重大な被害をもたらすおそれが極めて高い。
セキュリティレベルを高めれば,アメリカや韓国のような弊害は起きないといった考えは,誤りである。
4 「システム上の安全措置」として,「共通番号」を使った情報保有機関同士の直接の情報連携が不可能な仕組みを故意に欠落させている
大綱は,「共通番号」を用いない情報連携の仕組みを構築することで,国家管理や情報漏洩の懸念に対応できる「システム上の安全措置」が図られると主張する。
しかし,情報連携基盤技術WGで議論されているモデルでは,各情報保有機関が「共通番号」と結びつく形で個人情報を保有することとなっている。よって,情報保有機関同士が,
(情報連携基盤を通さずに)直接に「共通番号」を用いて情報のやりとりを行うことが極めて容易であり,まったく「システム上の安全措置」たり得ていない。
したがって,少なくとも,政府も参考にしたオーストリアの制度のように,情報保有機関同士で,直接に,情報主体の同一性確認が確実に行えないことを担保するために,各情報
保有機関の個人情報に,「共通番号」を記録することは禁止する「システム上の安全措置」を講じるべきである。
5
罰則では不正利用・漏洩に対応できない
大綱は,民-民-官で広く「共通番号」が利用されることに伴い,個人情報の突合(データマッチング)の危険性や,
「共通番号」に係る個人情報の漏えい等の危険性が飛躍的に増
大するという批判に対して,
「共通番号」に係る個人情報を閲覧したり記録したりすることを法律で制限し,その違反に対する罰則を強化することによって,対処できるものと考えて
いるようである(16頁,36~38頁)。
しかし,このような対応で「共通番号」に係る個人情報の保護を図ることはできない。
大綱では,
「共通番号」は目に見える番号として民-民-官という流れの中で使用される仕組みになっている。また,マイ・ポータルへのログイン等に必要なICカードの表面には
「共通番号」が記載される。そのため,「共通番号」は他人の目に晒されるものとして世の中に存在することになる。そして,「共通番号」は,全ての国民等に,漏れなく・重複しな
い個人識別番号として割り振られるものであるから,民間事業者にとって,極めて確実な個人識別手段として決定的に有意義なものとなる。
「共通番号」が存しない現在においてすら,
銀行預金口座から携帯電話の所有者を調査するなどという違法な個人情報調査広告が行われているように,民間分野での個人情報のマッチングは莫大な利益を生んでいるのであるか
ら,
「共通番号」の利用範囲が広がれば広がるほど,民間事業者にとって「共通番号」がますます魅力的な存在となり,民間分野においては,例え法律で禁止されていたとしても,
「共
通番号」の下に個人情報データベースが作られる危険性が高まることは必至である。
したがって,このような利益を求めて,敢えて「違法」を行う者に対して,罰則でその取り締まりを図ることができないことは明らかである。闇市場で流通する「共通番号」にひ
も付けされた個人情報の売買の増大を取り締まることは極めて困難であると言わなければならない。
また,このような悪質な場合は別としても,情報保有機関による,法の制限に反する「共通番号」に係る個人情報の記録や漏洩などは,過失犯が多いと考えられる。特に,
「共通番
号」の利用事務が広範に認められることを合わせ考えるならば,故意の立証は困難になることが予想される。したがって,故意犯処罰を予定している大綱の罰則案ではこれに対応で
きない。逆に,過失犯まで含めて処罰を行おうとする場合には,犯罪成立の事案が無限定に広範化するおそれが高い。
以上のように,法律でその閲覧・記録等を制限し,罰則の強化によって,
「共通番号」に係る個人情報の不正利用や漏えいに対応できるという考えは,現実的でないと言わざるを得
ない。
57
6
本来的な意味での情報保護評価は不可能である
大綱は,情報保護評価(プライバシー影響評価・PIA)を行うことを謳っている(40~41頁)。
しかし,情報保護評価は,制度目的を達成するために,プライバシー侵害の程度が最小限の制度は何かを探るシステムである。
「共通番号」制のように,制度目的が明らかとならな
い制度については,本来的な情報保護評価を行うのは不可能である。
また,各情報保有機関の保有する個人情報に「共通番号」が記録されるようなシステムが,そのまま認められてしまうようなPIAであるならば,存在価値はなく,評価手続をす
るだけ時間と費用の無駄であるといっても過言ではない。
7
第三者機関が本来的な役割を果たすとは考えられない
大綱は,個人情報の保護のために,第三者機関の設置を予定している。
しかし,要綱の段階で三条委員会とすることが明記されていたが,大綱では明記されていない。これは独立性の強い第三者機関の成立を拒絶する意思の表れである。
「共通番号」制
により様々な個人情報を利用しやすくする制度の創設を志向しながら,その運用が適正に行われているかをチェックする第三者機関についてその独立性と強い権限を認めないという
方向性は到底受け容れがたい。
また,第三者機関が設置されるのは,情報連携基盤の開発後であるという。しかも,権限内容を見る限り,共通番号を巡る個人情報の取扱いしか第三者機関の監視対象とはならな
いようであるし,違法取扱い等に対する救済権限も不十分である。
こうした事実を前提とすれば大綱の考え方は,
「共通番号」制の導入を前提として,プライバシー侵害の危険に対する気休めの対応策を示しているに過ぎない。第三者機関は作った
が,実際には独立性が確保されず,また,約1億3000万人の「共通番号」制に関わるプライバシー等を保護するという,世界最大規模の対象を有する日本において,適切な権限
を行使しうるだけの人的・物的資源,予算などが十分に投下されないといった組織になりかねない。
8
小括 大綱のプライバシー保護策は極めて不十分である
以上述べたとおり,大綱の掲げるプライバシー保護のための諸施策は,極めて不十分である。
以上を前提として考えた場合,プライバシーに配慮した制度設計という思想(プライバシーバイデザイン)からは,
「共通番号」制というものは生まれてこない。プライバシー権の
保障の実質化という観点からは,番号を使用するにしても,個人情報の収集・利用目的ごとに分類された「分野別番号」を維持し,
「容易には」各分野の個人情報が連携されないよう
にするシステムを保障することが必要である。
問題点3 費用対効果の検討がほとんどなされていないこと
1
費用対効果を国民に明らかにすべきである
大綱では,具体的な費用対効果のシミュレーションが全く示されていない。これは,制度の構造が定まっておらず,誰がどのような負担を負うかということを確定できないという
根本的な問題が未解決だからであるが,そうであるとしても,どのような制度にすれば誰がどれくらいの費用を負担することになり,誰にどのような効果があるかを,概略でも示す
べきである。そうすることによってこそ,この制度に関わることになるそれぞれの立場から,制度に対する検討評価が行われることになるのである。
その際,まず,費用については,単にシステムの開発と整備のための費用だけでなく,
「共通番号」制の弊害面に関する費用(国が訴えられる費用,各民間企業が訴えられる費用,
個人がなりすまし被害の回復に要する社会的費用など。個人情報漏えいが起きた場合は,その情報統合の可能性から,多額の損害が見込まれる。)を考慮すべきである。
反面,効果については,国民の労力の削減,公務員の労力の削減など(例えば,30分かかっていた作業が10分でできるようになったから,20分に相当する人件費の削減がで
きた)といった計算上の効果を示すのではなく,国民が納得しうるだけの現実の費用(=支出)削減効果を示すべきである。
また,上記の費用対効果の検証に当たっては,
「共通番号」制度の創設ではなく,現行のシステム自体を変えることによって,プライバシー権保障や費用対効果の面で,より優れた
効果が見込めないかといった検証も重要となる。
2
国民の被害回復の方策を明らかにすべきである
これと関連して,個人情報の漏洩・不適切利用があった場合,情報主体は重大な被害を受けることとなるにもかかわらず,大綱では,情報漏洩が(できるだけ)起きない(システ
ムを構築する)ことを前提とするだけで,この点に対する何らの手当も行っていない。情報漏洩等を行った者が罰則の適用を受けても,何ら被害回復は図られないのである。
簡易迅速に被害回復を実現するための制度の創設など,個人の被害回復手段を制度として検討していないことは,プライバシー権保障への不十分さが現れているだけでなく,費用
対効果の十分な検証にもつながらない。
26
社団法人日本
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
58
27
画像情報マネ
ジメント協会
「第2 基本的な考え方」
● 意見内容
(1) 現在の国際社会は ICT を活用して,行政,企業など全ての分野で経営効率,質の向上を競い合って進化させています.その中で日本の電子行政は必ずしも十分なレベルに達してい
ないと思います.当該番号制度は,このような ICT 社会の基盤となるもので,広い利活用により電子行政の質と機能を大きく進化させて,国際的な競争力を高める基盤となるものです.
この番号制で後れを取ると,行政機能の国際的な遅れだけでなく経済の国際競争力の低下に繋がることも考えられます.こういった事を念頭において,当該番号制のビジョン(将来
の日本のあるべき姿)を議論すべきと考えます.
日本の電子行政のビジョンを見据えて,当該番号制を社会保障税での利用だけでなくだけでなく,他の行政全般での利用ならびに民間への開放など将来の位置づけを明らかにする
必要があると考えます.
(2) 当該番号を民間でも使用することを可能とする.
例えば,銀行決裁をこの番号で可能とすれば,税の補足も容易になると考えます.このように,金融,製造,サービスなど幅広く民間へ開放することで,国民の利便性が高まりま
す.
(3) 国民に付与する番号を個人を認識する手段として一般化した後で,国際的な標準とする.これにより,日本のシステムは国際的に通用するものとなります.
(4) 上記でも述べておりますが,今,ICT を活用することで,行政サービスの効率向上や社会の透明性確保に繋げることが求められています。一方、紙のほうが人に優しい文書も多数
存在します.このためにも、現在保有している多くの紙文書も電子化して一元的な ITC 環境で管理するべきです.
電子化の際には,紙を電子に変換するプロセスを証明する必要があります.変換した人を特定するためにも,当該番号を使用すべきと考えます.
市民が主役の
地域情報化推
進協議会
●
該当箇所:P5(6)実現すべき社会
「国民が公平・公正さを実感し、国民の負担が軽減され、国民の利便性が向上し、国民の権利がより確実に守られるように」と理念を明確に謳っていることを高く評価する。しかし、
所得把握に関しては確定申告書、法定調書などは情報連携せずに情報を送るといった具体的な姿が見えるものの、総合合算制度などは具体的な姿が見えず、理念と具体的内容に相違を
感じる。
●
該当箇所:P8 ③ 医療情報の活用
「保険者が保有するレセプト情報を医療機関等が「番号」を基に確認できるようにすれば、継続的、効果的な医療支援を行うことができる。」とあるが、災害時においては特別法を設
定し、レセプト情報だけでなく診療情報なども活用すべきと考える。
●
該当箇所:P13(2)情報連携
「他の機関が有するデータベースのうち特定の情報を必要とする際に、本人を一意に特定する何らかの識別子を介して新たな情報を取得することとなる。」としているが、どの範囲で
どのような内容で利用されるのか、また誰がどのような責任で運用するのか、国民に不安を与えないためにも具体的にすべきと考える。
●
該当箇所:P21(2)地方公共団体等との連携
地方公共団体等との連携にあたっては、
「国・地方公共団体等が相互に意見交換を行う場を設けるなど」と記述されているが、番号制度における具体的な国と地方の業務範囲、適用範
囲、業務プロセス、国と地方の責任範囲、費用対コスト等を明確にするため、実務者等が入った国と地方の協議の場を早急に設置すべきであると考える。(検証の必要性)
●
該当箇所:P23(4)今後のスケジュール オ
「平成30年(2018年)を目途にそれまでの番号法の執行状況等を踏まえ、利用範囲の拡大を含めた番号法の見直しを行うことを引き続き検討する」となっているが、将来的な
利用範囲の拡大とその実現に向けた工程表を国民に示すべきと考える。
●
該当箇所:P44 4.情報連携基盤の運営機関
情報連携基盤の権限、法的位置づけ、運営機関および所管省庁などを明確にして、国民に示すべき。
●
該当箇所:P46 交付等(10)
国民負担と費用対効果を考慮し、可能な限り既存の住基カードを活用できる工夫をすべと考える。また、ICカードの有効期間は住基カードと合わせて10年(ただし子どもの有効
期間は別途検討)とすべきである。
●
該当箇所:P48
第三者機関
59
第三者機関は国民の不安を払拭するためにも、行政機関からの独立した組織とすべく法的位置づけを明確にする。三条委員会など独立性の強い組織が望ましい。
●
該当箇所:P55 第4 情報の機微性に応じた特段の措置
医療情報については「特段の措置を定める法制を番号法と併せて整備する」ことになっているが、災害時にレセプト情報だけしか使えないという状況は現場に混乱をきたしかねない。
医療情報は医療の質を向上させるために非常に有効な情報であり、充分なセキュリティを確保した上で、災害時でも通常時にも有効利用できるような仕組みを検討していただきたい。
28
全国保険医団
体連合会
当連合会は、社会保障と税に係わる個人情報を国家が一元的に管理する「共通番号制」は、社会保障の理念を変質させる「社会保障個人会計」や情報漏洩・プライバシー権侵害などが
懸念され、反対である。
この「共通番号制」は現在政府が推し進めている「社会保障・税一体改革成案」の柱の一つに位置づけられている。当会は、「社会保障・税一体改革成案」に対しても、「自助」「共助」
を強調し「公助」を救貧対策に限定するなど社会保障の理念を変質・後退させるものとして、反対の立場を表明している。
本来、国民主権の我が国においては、国家が国民に監視されることはあっても、国民が国家に監視されることはあってはならない。私たちは「共通番号制」創設に反対すると同時に、
その先の、国民一人一人のあらゆる個人情報が国家に一元管理される「国民ID」制についても反対である。この点で大綱は、将来的な活用としながら「番号制度の情報連携基盤がその
まま国民ID制度の情報基盤となり」と、明記されており見過ごすことはできない。
以下、大綱の問題点を示し、「共通番号制」創設に反対の意見を述べる。
1. 「共通番号制」とそのIT化は、あくまで手段である。その目的は、我が国の社会保障制度と税制度を、憲法 13 条、14 条、25 条の理念に基づいて発展させることでなければならな
いが、大綱では、その目的とするところの全体像や原則が不明確であり、また、その点での国民的議論も不十分である。
また、大綱では、社会保障と税の役割として所得再分配機能を挙げている。しかし問題は、どういう原則のもとでの所得再分配機能にするかである。すなわち、社会保障と税の在り
方としては、憲法の理念と社会的公正・公平を重視して、応能負担原則を強化する方向でなければならない。ましてや消費税のような逆進性を強める方向であってはならない。これは
国民の多くが望むところである。
このように国民生活に大きな影響を与える「共通番号制」を国民的議論や周知が不十分なままで拙速に創設することは、先々、各制度間の整合性を欠くなど不合理を招き、時間や費
用がムダになる可能性がある。
2. 「共通番号制」創設は、そもそも国民の望んだものではなく、産業政策として財界から出された要求である。
「共通番号制」創設とIT化によって、社会保障と税の「給付と負担」に
関する情報を、番号を用いて名寄せ・突合して、容易に個人単位で把握することができる。そのことによって、負担と給付を連動させ、政府・財界が考える負担の範囲内に給付を抑え
る「社会保障個人会計」につながることになる。
日本経団連は 2004 年 9 月に「社会保障制度等の一体的改革に向けて」の提言の中で「社会保障個人会計の導入」を掲げ、
「財産相続時における、社会保障受給額(特に年金給付)の
うち、本人以外が負担した社会保険料相当分と相続財産との間で調整を行う仕組みも検討すべきである」とし、死亡時に財産が余っているのは、保障が手厚すぎたと判断し、死後精算
で遺産・相続財産から給付金を回収することも考えている。
経済産業省(産業構造審議会基本政策部会)の社会保障改革に関する主な意見(2011 年 5 月)では、年金について「自宅を担保として一定金額を毎年借り入れ、死亡時に自宅を売却
し負債を返済するリバースモーゲージ制度の利用を促進すべき」との意見も出されている。
このようにして、
「負担と給付」のバランスを考えることは、長期疾病や難病患者、障がいを抱える人たち等が、負担に比べて給付が多いとの理由で、社会保障制度から排除されかね
ない。本来社会保障は、基本的人権を保障する制度である。個人レベルで損得勘定をするものではない。
3. 社会保障や税に関する個人情報はきわめて秘匿性の高いものである。プライバシーが厳重に保護されなければならない。既存の住基ネットの住民票コードは、行政の事務に相当数利
用されているといわれているが、十分な機能と権限を有するプライバシー保護のための第三者機関は未だ創設されていない。レセプトオンライン請求システムでも、患者の病名や治療
内容などの個人情報を取り扱うにもかかわらず、その保存、削除、消去などの詳細な取り決めがなされずにスタートし、今日に至っている。今後将来にわたって、電子データ化された
個人情報の流出や目的外利用を防止するための具体策は不明確である。
7月 22 日の健康保険組合連合会総会では、情報が一部の業者から製薬会社などに流れ、それが製薬会社の営業活動に使われる懸念があるようだ、と情報の取扱いに関する異例の注意
喚起がされている。
また「将来的な活用」として、民間保険会社など営利企業の利活用が示されている点も問題である。すでに、生命保険協会は電子データの利用を要求しており、営利企業に利活用さ
れる危険性も高い。
すでに施行されている、住基ネットやレセプトオンライン請求システムなどから、プライバシー保護に関する課題や、技術的な問題点を明らかにし、営利を目的とする民間資本によ
る利用禁止はもちろん、国の使用にも制限を加え、国民がコントロールできる仕組みをつくることが必要である。大綱では、第三者機関の創設や、情報漏えいなど問題発生時の最終責
任を含めた罰則規定などは、一定示されたが、問題発生時の責任の所在や、被害者の救済制度は見あたらない。
60
また、OECDプライバシー保護8原則の遵守のための具体的施策等も不十分であり問題が多い。例えば、番号制度の導入について「本人同意を前提としない」としている点は、国
家によるプライバシー権、自己情報コントロール権の侵害となりかねない。しかも、本人個人情報保護として示されている「自己情報の管理に資するマイポータル」は、インターネッ
トを介するものであり、お年寄など多くの「IT弱者」を想定しない内容である。大綱で示す「国民に安心して番号制度を利用していただくための十分な個人情報保護方策」にはなり
えていない。
4. 「共通番号制」創設を前提にして、
「社会保障・税一体改革成案」で「低所得者」世帯の自己負担に上限を設ける「総合合算制度」の創設が打ち出されており、大綱でも同項目が示さ
れている。①世帯員一人ひとりの年収総額や納税額・保険料納付額と、②医療、介護、保育、障害に関する自己負担の総額について、
「共通番号制」を用いて、国が一元管理するとされ
ている。給付と負担を個人単位で明らかにして一元管理するシステムは、
「低所得者」を対象にした「社会保障個人会計」の試行にほかならない。世帯全体の負担上限を設定する合算制
度は必要だが、現行の医療・介護合算制度の拡充や、4つの制度ごとに負担上限を設けるなど、「共通番号制」を前提としない負担軽減策を検討すべきである。
5. 大綱では、事務・手続の簡素化、負担軽減の項目で「医療機関における保険資格の確認」として、レセプトオンラインでの医療保険資格の確認、レセプトへの転記ミスや事務コスト
削減など、利点をことさら強調している。しかし、実質的に電子化対応できない医療機関を廃業に追い込むことになりかねない。
また、高額医療・高額介護合算制度についても、自己負担限度額が上限に達した場合の費用立替の改善は示されているが、医療保険、介護保険双方への申請についての改善は触れら
れていないことから、引き続き申請は必要となると思われる。ここでも利点だけが強調されており、問題である。
それ以外にも、利点として掲げる事項全体について、なぜ現行制度や関連する法律等の改善でできないのかの説明も不十分である。
6.
導入目的の一つとして示されている「正確な所得把握」は、
「消費者を顧客としている小売業等に係わる売上げ(事業所得)や、グローバル化が進展する中で海外資産や取引に関する情
報の把握などには一定の限界があり、番号制度も万能薬ではない」(「平成 22 年度税制大綱」)と、政府自らが認識している。国民生活に多大な影響を及ぼす制度導入であるにも係わら
ず、「『番号』を利用しても事業所得や海外資産・取引情報の把握には限界があることについて、国民の理解を得ていく必要がある」と、目的の破綻を大綱において公言する政府の姿勢
に、一層の疑念を抱かざるを得ない。
仮に「正確な所得把握」のための番号制を導入するのであれば、利用目的を限定し、公平・公正を期すために、どのような回避手段も許さない規制や、把握した所得に対する総合課
税によって応能負担原則を強化することが必要である。
7. そもそも番号制度を導入している諸外国と日本とでは、国民の政府への信頼や政府の情報公開の透明性などの前提が異なる。このような前提を抜きして、
「共通番号制」創設やIT政
策を進めようとしているため、日本ではインフラ整備ばかりが先行し、国民への社会サービスやプライバシー保護が二の次になっている。また、社会保障費が抑制されている中、導入
費用だけでも 6000 億円を超える試算が示されており、その導入と維持に係わる莫大な費用についても強く疑問に思うところである。その費用対効果も十分検討されているとは思われな
い。
しかも大綱では「番号制度の導入に係る費用と便益」として、「費用を誰がどのように負担するかについて、受益者負担の観点もふまえつつ、別途検討する必要がある」としており、
問題の山積する「共通番号制」の導入、維持に係わる莫大な費用を、消費税増税によって賄うことが危惧される。
日本では、まず、行政の情報公開制度の充実をはかり、政府の信頼と透明性の向上をはかることが重要である。
8.
7 月 30 日に福岡県で行われた「リレーシンポジウム」に当連合会からも参加した。フロア発言では、これまでの社会保障制度改悪による影響と問題が震災で噴出したが、社会保障制
度ごとの検証なしに共通番号制度を進めることは問題であるとの発言や、個人情報の取り扱い、情報漏えいなどへの懸念や問題点などの意見が出された。これらの意見は、当連合会の
意見及び懸念を裏付けるものである。
29
プライバシ
●
ー・アクション
札幌
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
全体
意見内容
【パブリックコメント募集について】
まだ全国のシンポジウム開催が終わってもいないのに、8月6日締め切りで行なうこと自体がおかしい。またその周知方も HP 中心で、国民に中身も詳細に知らせないで、進めようと
している。さらに意見提出の方法も、郵送か E メールだけと言うのも「弱者」の存在を考えていない。
【大綱についての意見】
中身をみても、まだ何に使うのかが明確でないまま、付番してシステムだけを作って先々使い方を考えよう、という内容で、住基ネットのときと全く同じやり方であり膨大な税金の
無駄使いが目に見えている。またこの震災に乗じて、目的を後付けにしている。
そもそも、日本は人口減少社会(ダウンサイジング)に向かっており、税収も減っている。ここで、なぜ膨大な税金を遣う(住基ネットでさえ費用対効果がないシステムであるにも
61
関わらず今に至っており、自治体及び担当者は悲鳴を揚げている)、共通番号を付けて、IC カードを全国民のみならず一定の外国人にまで配布して、
「公平・公正な社会」ができるのか、
救済されるはずの「弱者」とは誰なのか、何処をどう読んでも全く不明であって、これを見る限り、またも費用対効果が全く見合わない、震災のあとでもあり却って「増税の元」にな
る、利権がらみの「公共事業」であるとしか言いようが無い。
また超高齢社会はこの国の必然であり、社会保障、年金、健康、納税、雇用情報を紐付けしてし名寄せしたところで、重複して受給している数などは微々たるもので、これまでの別々
の健康保険番号や高齢者医療番号、ようやく統一された年金番号などでも十分把握することはできる。わざわざ膨大な税金を更に投入してやるべきことではない。かつて鳩山由紀夫前
総理が親から貰っていた「お小遣い」などは当然、贈与税脱税に他ならず、知らなかった、ばれたから納税した、で済まされるべきものではないはずだ。それを見つけるためにわざわ
ざ全国民に番号をつけて「管理・監視」するなどもってのほか。また世襲政治家が「相続税を免れる」現状を見逃すべきではない。国会議員自らがこれを真っ先に解決し、まっとうな
「納税」を行なっていただきたい。
住基ネットは4(6)情報だが、この「共通番号ネットワークシステム」は膨大なセンシティヴ個人情報が「紐付け」
「芋づる式」に名寄せマッチングされるから、漏洩や「なりすま
し」が横行することが(外国でもたくさん被害がでており訴訟費用は自己責任)十分考えられる。漏洩した情報はもはや取り返しがつかない。これから設置を考えるという「第三者委
員会」や罰則、お金(賠償)で済まされる問題ではない。
全国民の同意なしに「総背番号」を付け、IC カードを携帯させ、「(みえる)番号」を書かないと罰則もあり、「名寄せ・データマッチング」を行い、
「民間」に個人情報を使わせる、
国民にメリットが無い、却って負担だらけの言語道断の「金食い」システムであり、反対する。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
住基ネットは最高裁判決でも「個人情報の名寄せ・マッチング」を、
「違憲」としており、上記に記述したように、またしても国民一人ひとりの「同意」無く、個人情報を民間に開放
するというシステムで、またしても憲法違反に他ならないからである。
30
埼玉県民主医
療機関連合会
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
① よりきめ細やかな社会保障給付の実現(P6)
② 番号制度の可能性と限界・留意点(P19)
● 意見内容
① 共通番号制度がなくても、社会保障給付の実現は可能
② 番号制度が完全でないことを認めている事からも、デメリットは甚大である。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
① すでに税金の分野でいえば、国税庁の国税総合管理システムや住民税・国保料(税)でもIT導入がされており、世帯・個人の所得確認は可能である。さにら、低所得者ほど税負
担が重く、納税したくてもできない人が増加している。滞納により保険証がなく窓口負担金が払えず病気になっても病院に行けず手遅れで死亡する事態もある。番号制度で滞納がこ
とさらチェックされ給付制限につながればさらに深刻な事態になる懸念がある。莫大な費用をかけて導入する必要はない。
② 個人情報流失などの恐れが大いにある。近年だけみても行政や大手企業による個人情報流失事件が発生しており、個人情報管理が徹底されていない。第三者機関が設置されても流
失事故・事件の防止にはならない。規模の大小にかかわず流失は個人にとって甚大な損害を被ることである。番号制度が完全でないことを認めている以上、必要はない。
31
大阪府歯科保
険医協会
● 全体について
意見: 病歴や受診履歴などの医療情報をはじめ、様々な個人情報が集積・統合されているため、ひと度、情報が漏えいすれば、プライバシー侵害の大きさは計り知れない。万が一、
情報漏えいした場合の国の責任さえ、明らかにされていない。また個人情報が国に一手に掌握され、社会保障の個人会計などの国民総管理体制につながる危険性がある。
現在、医療機関に対する行政手続法を逸脱した不当な指導・監査が実施されている。番号制の導入は、これらの不当な指導・監査を強化するものである。
番号制を導入するよりも医療の窓口負担を無料にするなど、社会保障制度の改善・充実こすべき。
番号制の導入は反対。
●
第1
「大綱をいわゆるパブリックコメントに付し、国民の皆様のご意見等を伺い、そのご意見等も踏まえ」
意見: 大綱の内容が十分に国民に理解されているとは言い難く、現状で意見を集約するのは不可能と考える。情報格差が深刻化するなかで、ほとんどの国民がパブリックコメントを
実施していることさえ知らないのが実態だ。国は、あらゆる手段を通じて大綱内容の周知を図るべきであり、パブリックコメントの募集期間を延長すると共に、意見集約の在り
方を抜本的に見直すべき。
●
第2-1-(1)
「国民に一定の負担を求める社会保障や税の分野においては、情報化の進展を踏まえて、制度・運営の効率性や透明性を高めることも、国民の信頼を高める上で極めて重要である」
62
意見:
社会保障制度への信頼を高める上で極めて重要なことは、制度内容の拡充であり、単に効率性や透明性を確保するだけでは社会保障制度への信頼は得られない。
社会保障制度への信頼を高めるために社会保障・税一体改革による給付抑制と国民負担増を見直し、医療の窓口負担や保険料の引き下げなどの抜本的な拡充こそすべき。
●
第2-1-(2)
「国民が行う行政手続等においては、一つ一つの手続に重複した添付書類が求められるなど煩雑かつ不便でコストがかかり、制度上利用できるサービスであってもそれを知らないため
にみすみす受給の機会を逃してしまう、などといった国民の負担や不公平が生じている」
意見: 住民が窓口に相談・申請に来た際に「利用できる制度をすべて紹介する」
「同時申請の受け付けやその際の提出書類の簡素化」などの措置をとればよく、番号制導入の理由には
ならない。むしろ番号制導入によるデメリットの方が大きい。
「国民それぞれの実情にあったサービスを提供するための前提としての正確な本人特定ができず」
意見: 現在でも免許証や住民票、被保険者証、郵便物等で本人確認はされている。むしろ番号を導入した際の情報漏えいや成りすまし犯罪の横行などのリスクの方がはるかに高い。
「真に手を差し伸べるべき者に対するセーフティーネットの提供が万全ではなく」
意見: 番号税が導入されていないことが原因ではない。国や地方自治体の社会保障給付の抑制政策が真の原因であり、このような政策こそ見直すべき。
●
第2-1-(3)
「番号制度の目的は、正確な本人確認を前提に」
意見: 「第2-4-(1)」(大綱)でも触れられている通り、番号が本人確認の方法となっているアメリカや韓国ででは成りすましによる犯罪や被害が深刻化している。万全なセキ
ュリティーが無い限り、成り立たない。
「番号制度の構築に当たっては、こうした『番号』の有する性格や諸外国の状況を踏まえて十分な対策を講じる必要がある」
意見: ソニーなどの情報漏えい事件を見ても分かるようにセキュリティーに万全はなく、情報漏えいのリスクが高い。また十分な対策が示されていない。国民の声や不安に反対して
強硬に番号を導入するのであれば、確実に国民の情報を守る方法を示すべき。また漏えいした場合の国の保障も明らかにすべき。
「番号制度の活用により、所得情報の正確性を向上させることができ、それをベンチマークとして、社会保障制度や税制において、国民一人ひとりの所得・自己負担等の状況に応じた
よりきめ細やかな制度設計が可能となり、ひいてはより適切な所得の再分配を行うことができるようになる」
意見: 大綱が「第2-5-(2)」で述べている通り、海外で完結する取引は補足できない。また小売業、サービス業などの売り上げや少額アルバイト料などの所得を正確にとらえる
ことにも限界がある。「適切な再分配」というのであれば、逆進性の高い消費税を社会保障目的税化して、増税することこそやめるべき。
●
第2-1-(5)
「国民の権利を守ること、すなわち社会保障給付を適切に受ける権利、さらには種々の行政サービスの提供を適切に受ける権利を守る」
意見: 現在、福祉行政の現場では、国保料滞納による財産の差し押さえや保険証の取り上げ、生活保護の給付削減や窓口での申請阻害など、国民への権利侵害が日常化している。こ
れらの問題は番号制が無いから起こっているのではなく、国や地方自治体の社会保障抑制政策から生み出されている。多額のインフラ整備費用や維持管理費用の掛かる番号制度
がなくても国や自治体に「社会保障給付や行政サービスを適切に受ける権利を守る」姿勢があれば、現行制度の改善で国民の権利を守ることは十分可能。
●
第2-1-(6)
「⑤ 国民の権利を守り、国民が自己情報をコントロールできる社会」
意見: そもそも国民一人ひとりに対して番号制に参加・不参加の意思が問われておらず、自己情報をコントロールできてない。また能力や環境等、さまざまな理由で IT 情報にアクセ
スできない国民(高齢者や低所得者など)が多数いる。高齢者は、自分で自己情報にアクセスできず、他人に頼らざるを得ない。情報漏えいの危険性が高まることが懸念される。
「番号制度は、国民が国や地方公共団体等のサービスを利用するための必要不可欠な手段となるという、いわば国民と国・地方公共団体等との間の新しい信頼関係を築く絆となるもの
であり、その前提として国や地方公共団体等が国民一人ひとりの情報をより的確に把握するための仕組みである」
意見: 能力や環境等、さまざまな理由で自己情報の管理や利用できない国民が行政サービスから除外される恐れがある。また番号ななければ国や地方自治体等のサービスが受けられ
ないのは、国民側からすれば非常に不便である。
63
●
第2-1-(7)
「今後の被災者の生活再建には、中長期的な取組が必要であり、番号制度の迅速な導入は、これに資するものと考えられる。また、今後起こり得る大災害にあらかじめ備え、実際の災
害発生時に即応でき、復興再建の局面でも効力を発揮するよう、防災福祉の観点からも、番号制度の在り方を考える必要がある」
意見: 災害時に最も必要なのは人である。被災者の安否確認や被災・被害状況の把握など、番号だけでは役に立たない。公務員などの公的部門の専門知識を持つ人員が多数必要であ
る。東日本大震災では、昨今の自治体合併や公務員のリストラの影響によって、公的部門の人員が削減され、被災自治体での人員不足や、全国的にも支援要請に応えられない自
治体が多数生まれ、被災地の再建・復興の足かせとなっている。また電気・通信網の断絶により、番号が住民の被災状況の把握に役立たない可能性が高い。合わせて住基ネット
の例から見ても、自分自身の番号を把握している国民がほとんどおらず、実質的に役に立たないことが予想される。
●
第2-2-(2)
意見: 現在でも所得把握はきちんとされており、新たに費用をかけて番号制を導入する必要はない。また利用目的も明らかにしないまま導入すべきでない。
●
第2-2-(3)
「①社会保障の各制度単位ではなく家計全体をトータルに捉えて医療・介護・保育・障害に関する自己負担の合計額に上限を設定する「総合合算制度(仮称)」の導入」
「② 高額医療・高額介護合算制度において、自己負担限度額の上限に達した場合、国民が医療機関や介護事業者に費用を立て替えること」
意見: 負担した額だけを記録できる IC カード等でも十分対応が可能。むしろ番号を利用した社会保障の個人会計による給付抑制が懸念される。
●
第2-2-(4)
「国民が、社会保障・税に関する自分の情報や、利用するサービスに関する情報を自宅のパソコン等から容易に閲覧可能となり、必要なサービスを受けやすくなるなど国民の利便が高
まる」
意見: 能力や環境等、さまざまな要理由で IT 情報にアクセスできない国民(高齢者・低所得者など)にとっては、メリットがない。
●
第2-4
意見: 万全なセキュリティーはなく、情報漏えいの危険性が高い。また第三者機関による監視というが、内閣内の委員会であり、その効力は疑わしい。アメリカや韓国を見ても罰則
では、成りすますなどの犯罪がなくならないことが明らか。
●
第2-5-(4)
「番号制度の導入について、原則として本人同意を前提としない仕組みとする」
意見: 本人の同意なしに番号制に参加させられことが自己情報のコントロールの観点からして誤り。自己情報へのアクセス記録を見れるだけで自己情報のコントロールができるとは
言えない。番号制は導入すべきでないが、万が一、導入するとしても本人の制度参加への同意は取るべき。
●
第2-7
「具体的には、政府広報を今後とも積極的に実施するほか、中央・地方の各界各層の協力を得て本年度及び来年度の2か年をかけて全国 47 都道府県で番号制度に関するシンポジウム
を行うこととしており、5月 29 日の東京開催を皮切りに、各地でシンポジウムを開催しているところである」
意見: シンポで反対や不安の声が多いときは、番号制の導入そのものを止めること。
●
第2-7-(3)
「番号制度の導入に伴う各種のメリットを実現していく際には、新たなシステム開発が必要となり、相応のコストが発生せざるをえない。我が国の厳しい財政事情を踏まえれば、番号
制度の導入に伴う国及び地方公共団体の各種事務の一層の行政効率化により、より大きなコスト削減効果の実現を図らなければならない」
意見: 現在、地方自治体では、財政再建、行政の効率化と称して、独自の医療費助成に一部負担金が導入される、生活保護等の見舞金等が削減されるなど、福祉の住民サービスが削
減される一方である。例え名目であっても社会保障の充実や事務の効率化を謳う番号制導入のための自治体各行政の効率化で一層、福祉施策等が縮小することが懸念される。ま
た効率化のために多大な費用をかけ、膨大な個人情報を漏えいの危機にさらすことに反対である。番号制導入の費用を社会保障に回すべき。
●
第2-7-(4)
「番号制度の導入時期は制度設計や法案の成立時期により今後変わり得るが、以下を目途とする」
意見: 国民の意見を集約している最中であり、導入ありきの議論は止めるべき。
64
32
株式会社NT
Tデータ
●
該当箇所
全般
● 意見内容
「番号」を用いて民間企業が独自に収集した情報については、導入初期から利活用を認めてほしい。また、民間での利用も考えて、カードの券面に「番号」を記載してほしい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
「将来的」に「自らの意志で同意した場合に限定して民間のサービス等に活用する」とされているが、民間での活用が導入初期から実現されなければ、民間企業の協力は得にくい。
民間企業では、単に「番号」を追加して、情報を収集し、国に提供するだけではなく、既存の情報との名寄せを行うなど、整備のために多大な投資が必要になる。
「民間にとっての使
いやすさ」を取り込むことで、民間企業が積極的に導入に向けて協力が期待できるため。
●
該当箇所
全般
● 意見内容
「政府」に提供された情報は、「府省」「地方自治体」の枠を超えて共有・活用してほしい。しかし、行政事務を行うに必須ではない情報(犯罪情報など)は、共有・活用に、一定の
制限を設定してほしい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
私たち市民は、自己の情報を「各府省」
「自治体」の窓口を通し、
『1つの「政府」
』に提出している。
「政府」が持つ情報は、府省、自治体の枠組みを超えて共有・活用されることで、
行政内業務の効率化と住民利便性の向上が期待できるため。
●
該当箇所
全般
● 意見内容
情報開示について私たち市民がコントロールできる仕組みを構築した上で、段階的に行政側が保有する情報を民間へ提供できる仕組みを設けてほしい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
上述のように、民間企業が収集した情報に限定することで、導入初期から活用できることが望ましいと考えている。しかし、
「政府」が保有する情報を民間に提供し、ビジネスに活用
できることは、民間企業のみならず、私たち市民にとってもメリットが期待できるため。なお、その際には、民間企業間のセキュリティレベルが揃わないなど、課題もあるので、段階
的な提供が望ましい。
●
該当箇所
全般
● 意見内容
今回の番号制度は、将来、行政手続における添付書類の省略や、ライフイベント手続のワンストップ化に向けた、非常に重要な制度と考えており、政策の実現に向けて、着実に進め
てほしい。また、特に住民生活と直結する地方公共団体が、重要な役割を持つと考える。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
政府が持つ情報は、機関や組織の枠を超えて共有・活用されることで、行政内部や関係する民間業務の一層の効率化や競争力の強化が期待できるため。
●
●
該当箇所
P31 第3 法整備 Ⅲ 5.労働保険分野
・労働者災害補償保険法に基づく年金たる保険給付の支給に関する手続その他番号法の授権に基づく政省令で定める利用
意見内容
年金たる保険給付の支給に関する手続の他、休業補償給付、休業給付等を加えるべきではないか。
65
●
理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
労働者災害補償保険法では年金たる保険給付以外に休業補償給付、休業給付等が存在し、これは労働者が業務又は通勤が原因となった負傷や疾病による療養のため労働ができず、そ
のために賃金を受けていないときに支給される。
これら業務において、他の事業所において労働していたり、自営業その他により収入を得ていたりした場合、年金たる保険給付の支給に限るとその重複した状態を見過ごす可能性が
あり、その防止として利用範囲に含めるべきと考えるため。
●
該当箇所
P35 第3 法整備 Ⅴ 「番号」に係る本人確認等の在り方 1.本人確認及び「番号」の真正性確保措置
● 意見内容
申請情報に記載する番号の真正性について、責任の範囲を明確にする必要がある。利用者の「番号」を、任意で収集した場合、その真正性を担保する手段の提供や、誤った情報の提
供があった場合などの対応について、方針を明らかにし、セキュリティ要件等を明らかにし法制度化した上で、必要なシステム化等の措置を講じるべきと考える。
● 理由
番号制度は民間での利用促進も重要な視点であり、確実な本人確認手段が確保され、番号の真正性が担保されないと、企業が社員管理等で導入する場合など業務実行上、様々な問題
や非効率が発生する恐れがあるため。
●
該当箇所
P48 ⅩⅠ 第三者機関
設置等
(2) 委員会は、次のような業務を行う。
P42 『Ⅷ 情報連携 1.「番号」に係る個人情報の提供等
(1)情報保有機関は、番号法又は番号法の授権に基づく政省令で、①情報連携基盤を用いることができる事務の種類、②提供する情報の種類、③当該情報の提供元・提供先等を規
定した上で、情報連携基盤を通じて当該情報を提供することができることとする。
● 意見内容
新たな情報連携事務手続きの開始に当たり、情報連携基盤のこの手続きに関わる設定情報等を事前に審査し、承認を経て運用が開始される手順を追加するべきではないか。
また、その際、情報連携基盤で処理される手続きが、番号法又は番号法の授権に基づく政省令に準拠しているか客観的に審査等できる仕組みや組織が必要ではないか。
この組織は、情報連携基盤の運営組織や業務を監査する立場の組織が適切であるため、第三者機関が審査業務を行うことも考えられる。
● 理由
情報連携には複数の情報保有機関が関わるため、番号法又は番号法の授権に基づく政省令とシステム設定の整合性を客観的な機関により判断することで、国民に向けた安全性の見え
る化と、運営責任の明確化が明確になると思われるため。
33
社団法人日本
損害保険協会
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
【大綱 p.1第1 はじめに】
(前略)国と地方公共団体・関係機関との相互調整を行うなど、地方公共団体等の実情や費用対効果を踏まえ、(以下略)
● 意見内容
本大綱では、詳細が今後の検討や政省令に委ねている事項が多く見受けられる。今後の詳細制度設計にあたっては、法令に基づき「番号」を取り扱い得る事業者等の実情や費用対効
果も十分踏まえていただくよう、ご検討をお願いしたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
番号制度導入の目的や期待される効果については十分理解しているところ、一方で、金融機関等法令に基づき「番号」を取り扱い得る事業者等においては、番号告知の受領、本人確
認、法定調書等への番号記載、個人情報保護法よりも厳格な安全管理措置など、実務への大きな負担も想定される。
このため、例えば、法定調書等への番号記載・提出時期といったスケジュールや制度の詳細設計にかかる今後の検討に際しては、地方公共団体等に限らず、実務上の義務が発生する
民間事業者団体とも十分な対話をお願いしたい。
66
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
【大綱 p.24(4)今後のスケジュール】
オ 平成 30 年(2018 年)を目途にそれまでの番号法の執行状況等を踏まえ、利用範囲の拡大を含めた番号法の見直しを行うことを引き続き検討する。
● 意見内容
番号法において、平成 30 年(2018 年)前後を基点とする見直し条項が盛り込まれるものと理解して良いか。
また、可能な限り早期に民間が「番号」を活用できる方向でのご検討をお願いしたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
番号制度の基本理念の1つである国民の利便性の向上等の観点から、情報連携基盤を通じた民間サービス等への番号活用が我が国において重要かつ早期に実施すべき課題であり、見
直し条項は今後の検討の時間軸を広く示す上で必要と考えている。
この点、大綱において「第2 基本的な考え方」においては左記の記載があるものの、「第3 法整備」においては同様趣旨の記載がないため、あえてお伺いするもの。
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
【大綱 p.33 7.その他】
具体的には、上記の各分野における「番号」の利用に伴い金融機関が保有することとなる「番号」の範囲内において、今般の東日本大震災のような大災害時における預金等の払戻
し及び保険金の支払いなどの事務に「番号」を用いることがこれに該当する。
● 意見内容
当該部分は具体的な記載をしている箇所であるが、法定調書を提出する保険種類(例えば積立保険)と災害時に保険金支払いが想定される保険種類(例えば地震保険)とは必ずしも
その範囲が同一でないため、災害時等には「保有」しているものに限定せず、「番号」を活用していくことが望ましい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
大綱に記載された範囲内で「番号」を用いるだけでは、大綱が意図する本件箇所の目的(p.8「④ 生活再建への効果的な支援」に記載。)を十分に果たすことが出来ないと考えられる
ため。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
具体的には、上記の各分野における「番号」の利用に伴い金融機関が保有することとなる「番号」の範囲内において、今般の東日本大震災のような大災害時における預金等の払戻し
及び保険金の支払いなどの事務に「番号」を用いることがこれに該当する。
● 意見内容
「Ⅲ 「番号」を告知、利用する手続きの範囲」において、
「1.年金分野」から「7.その他」までの具体的な利用にかかる「末尾記載ぶり」に違いがあるが、いずれにしても、法及
び政省令で定められた特定の事務に「番号」を用いることは、選択的規定(いわゆる出来る規定)であることを確認させていただきたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
大災害時における保険金のお支払い等の事務に「番号」を用いることについては、各保険会社の判断や実際のケースに応じた実務現場の判断を踏まえてなされるものと考えるため。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
【大綱 p.36 4.「番号」を利用する個別法による罰則の検討】
正当な理由なく、本人確認等義務、告知義務、告知要求制限、虚偽の告知の禁止に違反した場合について処罰する規定を社会保障又は税務の個別法上設けることを検討する。
● 意見内容
民間事業者が告知を受領する場合(民-民)
、例えば、大災害時における保険金の支払いなどの事務に「番号」を用いるためには事前に顧客から番号を告知いただく必要があると考え
られるが、こうした実務における告知義務違反への対応について法令等に明記をお願いしたい。
具体的には、番号法で告知義務を規律しつつ、番号を取り扱い得る事業者等における顧客からの番号告知の受領にあたっては、例えば、一定の告知を求める行為を行えば足りるとす
る等の記載をお願いしたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
大綱においては、告知義務等の違反に対する罰則を「社会保障又は税務の個別法上設けることを検討する」とあるが、
「民-民」の利用場面は「民-官」の利用場面に比べて、 告知
いただく際の顧客とのトラブルがより不安視され、罰則の規定もなじまない面がある。
67
したがって告知を求める(事業者)側の行うべき対応について法令等で規定されることが必要と考えている。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
【大綱 p.49 ⅩⅠ 第三者機関 2.権限・機能等】
委員会は、以下の権限・機能を有する。なお、通常は、委員会による監督等は、監督対象機関等に係る既存の監督体制による監督等を前提とし、できる限り効率的に行う。
● 意見内容
大綱の通り、「既存の監督体制を前提とし、出来る限り効率的に行う」とのことについては当該方向でお願いしたい。
一方で、委員会の委任等による各府省の監督水準にバラツキが生じることのないよう、お願いしたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
例えば、金融機関等においても所管省庁が一でなく、異なっているが、番号制度における個人情報の保護等を目的とした監督(資料の提出や説明、検査等)の水準については、異な
ることがないと考えるため。
34
番号制度によ ● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
る社会保障・税
「第三者機関(P48-50)」について
の「見える化」 ● 意見内容
実現に関する
第三者機関は、3条委員会もしくは人事院型の独立性をもった組織とすることとし、国民の安心と信頼を得るためにも、その独立性が担保されるべきである。
研究会
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
・ 第三者機関の監視機関としての法的位置づけは、公正取引委員会等と同様の3条機関とすべきであることから。国家が個人情報を取り扱うことが国民の不安の1つであるのに、首
相の下に置く位置づけ、あるいは諮問機関(8条)的位置づけとなってしまってはならない。
・ 総務省、厚生労働庁、国税庁、その他番号を取り扱う府省庁、地方公共団体等、民間組織は、第三者機関からみて、情報保有機関または番号を取り扱う組織として、フラットに一
列に並ぶべきであることから。監視部門(第三者機関)と被監視部門(情報保有機関)の関係を明確に位置づけることが必要であり、そこに第三の特別な地位を持つ省庁等を設ける
べきではない。
・ 第三者機関が EU のインフォメーション・コミッショナーと同等の権限を有することになれば、EU 並みの保護水準に近づくこととなり、日本と EU 間の越境データ問題の決着、さら
には、クラウド・コンピューティングのビジネスにも資するところが大きいことから。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
「『番号』を告知、利用する手続きの範囲(P27-33)」について
● 意見内容
番号制度をどの手続き・サービスから適用するのか、どの範囲まで適用するのかを決め、そのための詳細検討早急に行う必要がある。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
・ 円滑な番号制度導入のためにも、「国民の利便性向上」、「費用対効果」についての具体的な内容提示のうえ、国民の理解を得る必要があることから。
・ 関係する情報保有機関の責任部署が検討・準備のための十分な期間を確保するためにも、どの行政サービスに番号制度を導入するのかを決定する必要があることから。
・ 同様に、金融機関、民間企業等、協力を求める関係者の範囲、協力依頼の内容・手続きについても早急に具体的内容を明らかにする必要があることから。
・ 地方税を含む歳入庁、国税と年金機構の統合など、当初案としてあげられていた構想に対する現在の考えも明らかにすべきであることから。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
「自己情報の管理に資するマイ・ポータル(P44)」について
● 意見内容
マイポータルは番号と個人の重要なデータの両方を扱う仕様であるため、情報保有機関の一種であると位置づけ、他関連機関との関係を整理すべきである。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
・ マイポータルも個人のデータを扱う仕様であり、情報保有機関の一種であると理解すべきであることから。したがって、マイポータルとその他の情報保有機関が同一の組織になる
ことはあってはならない。また、情報連携基盤も情報保有機関と同一の組織になるべきではない。マイポータル、情報連携基盤、情報保有機関の3つの機関は分立すべきである。
(例
68
えばマイポータルの主管は内閣府とし、情報連携基盤は情報保有期間ではない第三者機関とすべきである)
・ 適切な制度運用を担保するためにも、情報保有機関、マイポータル、情報連携基盤及び第三者機関の役割、関係を明確にすべきであることから。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
「マイポータルへのログイン等に必要な IC カード(P45-48)」について
● 意見内容
ICカードを希望者のみに配布する場合は、ICカードを持たない国民も等しくサービスを受けるための措置が必要である。
一方で、ICカードを全国民に配布するのであれば、的確に本人に配布するための手段について詳細かつ具体的に検討する必要がある。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
・ ICカードはその真正性が担保できる仕組みを実現できるが、紙で配布した場合は、どのように番号の真正性を確保し、なりすましなどの不正を防止するかの具体策を検討する必
要があることから。
・ ICカードを全国民へ配布する場合は、その期間や配布の順番、具体的な配布方法、更新時の対応など、具体的なシミュレーションを行ったうえで方法を決定する必要があること
から。
・ 顔写真をカード情報として持つ場合、対象者を撮影することが必要となるが、高齢者や障がい者への対応も検討する必要があることから。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
番号制度に係る情報システムについて
● 意見内容
番号制度の確実な運用のためには、システム構築の範囲と内容を早急に固め、十分な構築期間をもってシステム導入をすべきである。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
・ 「7.今後の進め方 (3)番号制度の導入に係る費用と便益(P22~P23)」に示されているように、導入するための費用・期間は情報の利用範囲に大きく左右され、利用範
囲を狭く限ったとしてもシステム稼動までに少なくとも3~4年を要することから。導入を急ぐばかりに障害やトラブルが頻発するシステムとならないよう、十分な構築期間が必要
である。
・ また、円滑かつ確実な情報システム構築のためにも、共通番号制度の情報システム構築に関するCIOを設置すべきであることから。
35
NPO法人個
人情報保護有
識者会議
①
①
該当箇所(3)番号制度の導入に係る費用と便益 (22 頁~23 頁)
意見内容
国民一般及び民間事業者にとって、番号制度を導入する場合の費用及び便益について、具体的に示す必要がある。
① 理由
番号制度の効用として、①よりきめ細やかな社会保障給付の実現、②所得把握の精度の向上等の実現、③災害時の活用、④自己の情報の入手、必要なお知らせ等の情報の提供、⑤事
務・手続の簡素化、負担軽減、⑥医療・介護等のサービスの質の向上等が挙げられている(6 頁~12 頁)。このような便益に対する費用等の負担(国家財政、受益者負担等)について、
広く費用対効果を検討し、より具体的に列挙すべきである。特に民間事業者(源泉徴収義務者や特別徴収義務者)は既存のデータベース等に「番号」を付加する費用、「番号」に係る各種の
制限や刑罰のリスクが新たに発生するが、この費用に対する便益が十分説明されているとは思われない。
②
②
該当箇所 ⅩⅠ 第三者機関 1.設置等(48 頁)
意見内容
委員会は国家行政組織法第 3 条に基づく委員会とし、具体的には、内閣府の外局として、内閣府設置法(平成 11 年法律第 89 号)第 49 条第 3 項の規定に基づく、いわゆる三条委員会
等の設置形態とするべきである。個人情報保護に関する権限に関しては、各省庁の個人情報保護担当部署の上位に位置づけ、統一的な権限の行使と機能を有するものとすべきである。
② 理由
実効性を担保するため及び EU の越境規制を緩和するために十分な独立性と権限を持った組織体とするべきである。また今後の個人情報の取り扱いの多様化に対応できる組織体とすべ
きである。
69
③
③
該当箇所 ⅩⅡ 罰則 2.行政機関の職員等以外も主体となり得るもの(51 頁)
意見内容
刑事罰を科することから、罰則の対象行為である、提供、盗用、詐欺等行為、管理侵害行為、虚偽記録、虚偽陳述等について、構成要件をできるだけ具体的に明確に定めるべきであ
る。また、正当理由に該当する範囲についても、できるだけ具体的に明確に定めるべきである。
③ 理由
民間事業者を過度に萎縮させたり、罰則の対象であることを認識しない事業者が対象となったりするおそれがあり、そのようなことのないように留意すべきである。
36
広島県保険医
協会
先ごろ政府が公表した「社会保障・税番号大綱」について意見を述べる。
1.導入の理念について
政府は、番号制度を導入する理由として、
「国民の権利を守ること。すなわち社会保障給付を適切に受ける権利、種々の行政サービスの提供を適切に受ける権利を守ることにある」と
説明している。また、主として給付のための「番号」として制度設計し、低所得で資産も乏しい等、真に手を差し伸べるべき者(本当に困っている国民)を支えていくための社会的イ
ンフラとも説明している。
しかし、現在、番号制度がないことで守られていない権利は何なのか?番号制度を導入することでどのように権利が守られるのか?これらについての説明はない。
「より細やかな社会
保障給付実現」「所得把握の精度の向上」などを挙げているものの、「権利が守られる云々」の説明とはかみ合わない。行政への申請など、国民の利便性が向上するなどのメリットが強
調されるが、「番号制度シンポジウム in 東京」では結論として「効率の良い行政運営に番号制度は不可欠」「あくまでも行政執行目的で導入すべき」などの説明があったと聞いており、
利便が増すのはむしろ行政のみではないか?
また、大災害時にも役立つとして、例えば被災住民が避難所等で自分の氏名、住所などの他、番号を告知することにより、迅速に避難者リストを作ることができると説明している。
氏名と住所は覚えていても番号を覚えていなければ避難者リストは作れないことになるのか?氏名、住所、生年月日、性別がわかれば避難者リストを作成することは十分可能と考える。
よって、具体的にどのように国民の権利が守られるのかを丁寧に説明し、改めて導入の是非を国民に問うべきである。
2.国民のプライバシーは守れるのか?
国民の権利を守ると同時に、国民のプライバシーを守ることも大変重要である。住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)が国民のプライバシーを侵害するなどと問題にな
ったが、番号制度は医療や介護の情報、納税の情報など様々な情報を名寄せすることが前提であり、また、民間においての利用も前提とするなど、国民のプライバシーに係わる影響は
住基ネット以上に重大ではないか?こと、私たちが関わる医療分野では、患者の医療情報は絶対に漏えいさせてはいけない情報であり、個別法でもって個人情報保護、プライバシーを
保護するといっても、政府が大綱に記しているように、情報漏えいが起こりはしないか、情報の国家管理が強化されるのではないかといった不安が常に付きまとう。
また、政府は番号制度を立ち上げる初期費用だけで6000億円と試算しているが、これだけ巨額の費用を投じても、本当に国民の権利や国民のプライバシー等が保障され、国民一
人一人が安心できるシステムが構築できるとは正直思えない。
そう思わざるを得ないのは、はっきりしない理念をかざし、番号制度の導入ありきで議論を進めているために、番号の使い方は後回しとしているからである。導入すれば「権利を守
る」がいつの間にか「権利を抑制し、監視を強める」ことになりかねない。医療や社会保障の抑制に使用する可能性も否定できない。
3.社会保障費抑制につながる番号制度導入に反対する
番号制度を、医療、社会保障の抑制に使用する可能性が否定できないと考える理由の一つに、「総合合算制度」が盛り込まれたことが挙げられる。大綱では、「番号で医療・介護・保
育・障害に関する自己負担の合計額に上限を設けることが可能となる」と説明されている。しかし、現在でも医療と介護の自己負担額を合算して上限を設ける制度はある。番号制度に
よる総合合算制度では、社会保障に関する給付と負担の関係が個人単位で明らかとなる。これは「社会保障個人会計」に他ならない。
「多く負担した人は手厚い医療を受けられ、負担が
少ない人は給付が少なくて当たり前」という差別化が容易となろう。
以上、大綱に記された番号制度は多くの問題を抱えており、導入には反対である。
37
国際銀行協会
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第3・XIII(法人等に付番する番号)
● 意見内容
法人番号については、徴税目的に限らず、民間部門を含め多様かつ適切な利用が可能であると理解しているが、これら徴税目的以外の適切な利用の可能性を踏まえて、民間事業者、
国内外の金融当局等、関係者との間で十分な事前協議を行い、効率的でかつ社会的効用の大きい制度とするよう慎重な制度設計をお願いしたい。たとえば、米国では金融機関のシステ
70
ミック・リスク管理のため金融機関自身とその取引先である法人に対し法人識別子(LEI)を付番し、その属性情報(法人識別子、商号・名称、所在地、設立国、法的形態、最終親法人
の法人識別子)を公開して金融機関及び金融当局のシステミック・リスク管理に資する制度の導入が予定されており、このような制度は金融取引のクロスボーダー化を踏まえ国際的に
調和させる必要があるため日欧を含む各国金融当局との間で協議が行われていると理解しているが、かかる国際的な制度と本大綱に含まれる法人番号とは、主たる目的が異なるとはい
え、ともに他の適切な利用を可能とする拡張性を持っている。これらの制度が相互調整されることなく重複して適用されることとなると、金融機関の事務負担・システム負荷も大きく
なり、取引先の利便性も損なわれることとなる。これらの制度はいずれも検討段階にあることから、可能な限り事前に調和させることが望ましいと考える。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
法人番号制度において公開の対象となる「法人等基本3情報」は、商号・名称、所在地及び会社法人等番号に限られ、システミック・リスク管理目的に必須と考えられるグループ法
人間の親子関係に関する情報は含まれない。今後米国の LEI と同様の規制がわが国でも導入されることとなると、法人番号ではこれに対応できないものと考えられる。
38
富士通株式会
社
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
(全般)
● 意見内容
① 番号制度の導入は、わが国の少子高齢化が進展する中で求められる社会保障制度の改革と行政事務の効率化を実現する基盤として必要不可欠なものと考えます。関連機関での議論
を集約し、今回、法案策定に向けて「大綱」として取り纏められたことは大変意義深いものと考えます。
② 引き続き番号制度の早期の実現のために、制度の詳細、関係する機関とその役割(国と地方の役割分担を含む)
、システム全体の設計などを検討し、予定通りの法案提出、工程表の
明確化を望みます。
③ 今後の検討にあたっては、国民にとって安心で、かつ利便性の高い社会を実現するとの「基本的な考え方」に立ち、広がりのある柔軟性を持った制度検討がなされることを期待し
ます。
④ 今回の東日本大震災では、災害時の本人確認、医療データの連携・活用等、共通番号があればより迅速に対応できたであろう事象が多くみられております。災害発生時の活用を念
頭に置いた導入の検討を行うと同時に、東日本大震災の被災地区において前倒しで導入されるよう、必要な検討を行うべきと考えます。
39
大阪府歯科医
師会
●
40
専税協議会
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第2-2.番号制度で何ができるのか-(5)事務・手続きの簡素化、負担軽減に関するもの
第4 情報の機微性に応じた特段の措置
● 意見内容
近年の飛躍的な情報通信の技術の発達の中において、様々な便利な面があり恩恵を受ける事もあるが、その半面大手企業の顧客情報の漏えい事件等、情報漏えいに関する事件が近年
相次いでおりデメリットも多い。
今回の番号制度の導入にあたっても、レセプト事務作業の効率化をはかれる反面、診療情報をはじめ個人情報の漏えいの可能性ばかりか、個人情報の不正使用・目的外使用の恐れも
あり、慎重に情報を取り扱うべきである。情報漏えいの可能性を極力低くする為に強固なシステムが構築して頂きたい。
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
1.1 頁 第 1 はじめに
25~26 頁 Ⅰ 基本理念
2.2 頁 (1)背景
2 頁 (2)課題
7 頁 (2)所得把握の精度の向上等の実現に関するもの
3.2~6 頁 1.番号制度の導入の趣旨
(4)諸外国の制度
(6)実現すべき社会
4.5~6 頁 (6)実現すべき社会
6 頁 (7)大災害時における真に手を差し伸べるべき者に対する積極的な支援
8 頁 (3)災害時の活用に関するもの
5. 6 頁 2.番号制度で何ができるのか
14~18 頁 4.安心できる番号制度の構築
20 頁 6.番号制度の将来的な活用
71
6.2~3 頁 (2)課題
6 頁 2.番号制で何ができるか
22~23 頁 (3)番号制度に係る費用と便益
7. 45 頁 Ⅹ マイ・ポータルへのログイン等に必要なICカード
8.50~52 頁 ⅩⅡ 罰則
● 意見内容
1. 番号制度には反対する。個人情報を国家が一元的に管理することにより、国家が人権を侵害する危険性が増大する。すなわち、国家権力を制限して国民の権利・自由を守ることを
目的とする憲法に抵触する。
2.・ 申告納税制度の理念に反しない制度設計になっていない。
・ 番号制により所得の再分配を行うことはすべきでない。租税法律主義に基づく国会の議決をへた法律によりすべきである。
・ 番号制を導入しても所得把握の精度の向上につながらない。
3. 諸外国の制度は番号制度の導入の根拠にならない。
4.・ 実現すべき社会に番号制が必要な理由の説明の関連性がない。
・ 震災と番号制を結びつけるべきではない。まして震災は番号制導入の理由にならない。
・ 民主党政権の「大綱」の構想は、個人の自由を尊重する憲法秩序になじまない。国民監視ツール導入は、民主主義の観点からも国民の理解を得られない。
5.・ 「番号制で何ができるのか」の前記に「将来的には幅広い分野での利用も目指しつつ」とされており、番号適用の範囲を拡大することを前提にしたうえで狭い範囲の検討をして
いて意味がない。特に安全性については、最大限の適用範囲を示したうえで検討する必要がある。
・ 国民の権利の侵害をしてはならないという憲法の視点からの制度設計になっていない。
6.・ 番号制導入の理由にコスト・時間・労力を挙げているにもかかわらず、費用、効果について具体的数値が示されていない。憲法に抵触する番号制は導入すべきではないが、大綱
に書く以上、コスト・時間・労力の比較数値を示す必要がある。
・ 行政コストの効率化の前提は人権が守られることにある。
7.・ 番号制導入とセットになったICカード導入に反対する。
・ 国家にもたれてしまった国民一人ひとりの情報は、もともと国民一人ひとりの財産なのだから、告知すれば自己情報のアクセス記録が確認できるようなシステム、マイ・ポータ
ルは、本末転倒である。
8. 主権者たる国民を救済する措置を最優先課題として設けるべきである。そして、無過失損害賠償責任規定を設けるべきである。
●
理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
上記 1.について
個人情報を公権力によって一元的に管理することを国民が認識したまさにその瞬間から、憲法 21 条 表現の自由「干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由」および「情報及び思
想を求め、受け、及び伝える自由」(世界人権宣言第 19 条)を享受することへの委縮が生じ、または番号制度の濫用による公権力による侵害が生ずる可能性がある。番号制度の創設に
よるこれらのリスクを国民に周知させた上で、国民の理解を得る必要がある。
一方、公権力により管理される個人情報は、信頼関係ある私人間のそれを遥かに超えるものであるから、私人間を遥かに超える信頼関係が、公権力との間で必要である。
従って、番号制度創設の前提として、公権力への信頼の根拠をまず国民に示すことが先決である。さらに、番号制度の民間への解放により、プライバシー権(憲法 13 条幸福追求権)
の侵害が生ずるおそれもある。
一旦侵害された人権の回復は困難をきわめることから、救済措置を規定し、国民の信 頼と理解を得ることが前提である。しかし、それ以前に精神的自由を制約する危険を内在的に
はらんだ制度である以上、立法には極めて慎重であるべきである。
しかし、25 頁の 5 つの基本理念によれば、番号制度を利用する公権力および民間による人権侵害については触れられていない。人権については、5 つ目に個人情報へのアクセス権が
触れられているのみであり、表現の自由およびプライバシー権が侵害された場合の救済措置には一切触れられていない。
従って、番号制には反対である。
上記 2.について
申告納税制度は、納付すべき税額が納税者のする申告により確定することを原則とする方式であり、国民主権の税法的表現として捉えることができる。
よって、番号制による所得の把握は、申告納税制度を補完する役割以上にはなってはならない。あくまで、納税者・国民が主役であり、国家が主体となりかねない番号制導入はすべ
72
きでない。
さらに大綱には、所得税の公正性を担保するために、正しい所得把握体制の環境整備が必要不可欠で、そのために社会保障・税共通の番号制度を進める旨が述べられている。しかし
憲法に定める租税法律主義のもと、公正な税制は国会における立法で担保するのがルールである。
また、正しい所得把握体制のための番号制導入といっても、我が国においては、給与所得者に対して源泉徴収制度及び年末調整制度が採用されている。事業所得者に対しては、申告
納税制度のもと確定申告制度が採用されていて、必要に応じて税務官公署による税務調査によりそのチェックがなされている。さらに、金融取引等についても、法定調書提出義務(52
種類、合計提出枚数 1 億 9,439 万)、特定口座等様々な施策が採用されている。これらの施策をもとに現行の KSK システム(国税総合管理システム)により現状においても既に正確な所
得の把握がなされていると考えられ、番号制導入を図ったとしても、飛躍的に所得の把握水準が向上するとは考えられない。
上記 3.について
① アメリカの人口は 2010 年において約 3 億人。しかし、2003 年以来 2005 年にかけおおよそ 5 千万人が成りすまし犯罪で犠牲になったとされている(連邦議会下院司法議会「犯罪・
テロ行為及び国土安全保障委員会」での証言 2007 年 12 月 18 日)。納税者番号を盗用した成りすまし犯罪にIRSは機能していない。
(連邦議会上院財政委員会 公聴会「成りすま
し犯罪:誰があなたの番号を使ったのか」での証言)
② 10 桁の官民汎用の共通番号制を実施しているスウェ-デンも成りすまし犯罪者に手を焼いている。(大阪弁護士会 2011 年 2 月 1 日 内閣官房社会保障改革担当室宛意見書より)
番号管理がすすんだスウェ-デンでも、課税漏れが国内総生産(GDP)の約 10%ということである。これは、無届就労、地下経済、他のEU諸国への課税源の移転が含まれる。
③ ドイツでは、共通番号は憲法違反であるとの判決(BverGE65,1,Urteil v.15.12.1983)がある。その後、2007 年 7 月よりドイツでは納税者番号を使って納税目的以外の情報を入手
することやデータベースを構築することは禁止された。
④ イギリスでは、人権を蝕む「国民IDカード制」は 2010 年 12 月 21 日に全面廃止に至った。
以上、諸外国では、番号制度が機能するどころか破綻に陥っている。従って諸外国の番号制度の採用の事実は、番号制度推進の趣旨にあたらない。
またアメリカでは、成りすまし犯罪の被害者に対する救済への法的対応が甘く、自己情報に虚偽があった場合の是正について大変な労と費用と時間を要する。
日本で番号制を採用した場合、このような犯罪がおこらないという保障はない。
従って、国民にとって利便性が高い制度であるとはいえず、国民の権利を守り、自己情報をコントロ-ルできる社会になるとの保障はない。
上記 4.について
番号制度導入の趣旨における「国民の権利を守り、国民が自己情報をコントロールできる社会」を実現するために番号制度が必要であるとのことだが、
「番号制度は、地方公共団体等
のサービスを利用するための必要不可欠な手段となる」とあり、番号を使わなければ権利が守れないことにもつながり、憲法違反の可能性もある。
また、
「大震災時における真に手を差し伸べるべき者に対する積極的な支援」として共通番号は大震災に役に立つような書きぶりは、
「情報バックアップ強化の必要性」を、
「共通番号
の必要性」に摩り替える詭弁であり、看過できない。被災者救援では、国籍は、どこの住民か、旅行者か、などを問うてはいけない。今回の大震災でも、健康保険証がなくとも保険診
療を認める措置をとっている。むしろ、大震災では、共通番号で一元的に各種のデーターベースに分散集約管理された個人情報が、大量に外部に漏洩・流出した場合、被災住民のみな
らず、国民全体が大きな被害をうける。
上記 5.について
番号制導入の目的として、きめ細かい制度設計が可能となり、ひいては国民の権利の行使及び利便性の向上に繋がるとされている。併せて番号制を導入することにより可能となる具
体的な政策及びサービスが列挙されている。しかし本来であれば、選挙等により、列挙されている政策及びサービスについて国民レベルで議論を行い、その方向性について共通認識を
得た上で、利用範囲を明確にした番号制導入を検討すべきである。
また、大綱では、個人情報の保護の必要性には触れるものの、番号濫用の実情等には触れておらず検討される情報が偏っており、国民の判断材料になる情報が不足している。
それらのビジョン・情報が不足している現状において、番号制が導入され、結果として行政事務の効率化が図られるのみの制度となる可能性が高く、国民の権利の行使、利便性に繋
がらない。
今回の「大綱」の「番号制度で何ができるのか」
「安心できる番号制度の構築」を読んでいると「原発は安全」といってきたのとダブってくる。むしろ、共通番号をつくらず、国民情
報を一元化しない方が「安心」「安全」である。
上記 6.について
番号制は、税や年金のほかに、医療や介護にも利用するとのことだが、カバーする情報の範囲が広がると流出の恐れがあるプライバシーも広がる。とくに医療は病歴や治療歴といっ
た「他人に知られたくない情報」を含む場合も多い。低所得や障害といったことまでわかってしまう可能性もある。
住民票コード、共通番号のように、生まれた時から誰とも重複しない 1 個の背番号を強制的に割り当て、国があらゆる情報を一元的に管理するシステムは、国家が各人の番号で国民
をトータルに統制・監視できることにもつながり、人間の尊厳に関わる重大な問題をはらんでいる。
73
平成 22 年 4 月 7 日に開かれた国家戦略室の「社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会(第 4 回)」で(株)野村総合研究所の安田氏が、「番号制度がなくてもできないことは、
実はほとんどない。」と述べている。
一部の課税逃れ及び不正受給を行うものを例に挙げ、新たな税制、新たな社会保障の構築が困難であるという考え方は否定する。それゆえの番号制という考えも否定する。
番号制は、全国民に強制的に番号を割り振り、所得の状況などの情報を管理される制度で、住基ネットの比べ物にならない国民を番号で管理する総背番号制である。ジャーナリスト
の斎藤貴男氏は「納税者の番号、社会保障の番号といえば聞こえはいいが、例えば反対する人はすべて脱税する人と認識されてしまう。低所得者対策が必要というなら、自らが納税状
況や所得状況を証明する書類を出し、自己申告する制度にすればいいのでは」と話している。
一旦番号制が導入されると行政側の意向しだいで、納税者・国民のプライバシーは無制限に侵害される恐れがある。そうなる前に、我々は「自由」が持つ計り知れない価値を再確認
する必要がある。
上記 7.について
番号制に関する検討会は不正行為に対し「IC カード」を導入し、確実な本人確認ができる仕組みとする、としているが、国民 IC カード制は、使い方を誤ると、国民の自由を束縛す
る、「現代版電子通行手形」のような監視ツールになる。警察官が IC カードリーダー(読取機)を持って巡回し、職務質問に IC カードの提示を求める社会が想定される。
イギリスで去年 5 月に誕生した新連立政権(保守党・自民党連立)は、
「国家が必要以上に国民の個人情報を収集しない方針」を打ち出し、前労働党政権下で導入した国民 IC カード
制を「恒常的な人権侵害装置」であるとして、廃止を決定した。
この決定は重く受け止める必要がある。また、我が国の番号制導入前で本当に良かったと思う。なぜなら導入費は最低 1,300 億円、利用範囲を拡大すれば最低 2,000 億円以上に膨ら
むといわれており、そのうえ多額のランニングコストがかかるので、試してみてだめだからやめよう、などということは許される額ではない。まして東日本大震災により今後多くの財
政支出が予定されている時である。
このような未曽有の大震災の時に、個人の自由を尊重する憲法秩序になじまず、莫大な財政支出を伴う番号制、ICカード制の導入はドサクサ紛れとも受け取れ、国民の視点からか
け離れている。
上記 8.について
番号法において、行政機関、地方公共団体等の職員等および事業者等もしくはその従業者等が正当な理由がないにもかかわらず個人情報等を提供した場合の罰則を設けるとする。
しかし、
「正当な理由」はきわめて抽象的で規範的要件であり、不明確な表現である。50 頁の欄外において、これは刑事責任であるから、故意がなければ処罰されないとのことであ
る。
しかし、何をもって「正当な理由」とするのかしないのか具体的な判断基準がない。
刑事責任というのであれば、罪刑法定主義の観点からも、「正当な理由」を明確にすべきである。
さらに国民が被った損害の賠償責任は誰が負うのか、なにも規定されていない。
番号制度による損害のリスクは国民が一方的に負うことになるのであろうか。
一
番号制度のシステムに不備があった場合の損害賠償責任について
番号制度の構築主体は行政主体であり、行政主体の利便性に資するものである。
国民の利便性はその反射的効果に過ぎない。従って、国家賠償法2条の趣旨に鑑み、番号制度システムを公の営造物とみなして、国又は公共団体が無過失責任を負うべきであり、
その旨の規定を設けるべきである。
二 番号制度システムを使用して国民に損害が生じた場合の責任
番号制度は、人権侵害を及ぼしかねない危険をはらんだ制度であるから、民法の定める過失責任主義では国民の救済を十分に行なうことができない。
自動車などの交通機関及び危険・有害な設備を使用する工業の発達により、無過失責任を定める特別法がいくつも立法された経緯と趣旨に鑑み、国・公共団体の無過失責任規定を
設けるべきである。
41 金融税制・番号 ●
制度研究会
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
社会保障・税番号大綱(以下「大綱」という。)
P6「2.番号制度で何ができるか」
P20「6.番号制度の将来的な活用」
P27「Ⅲ 「番号」を告知、利用する手続の範囲」
P44「4.情報連携基盤の運営機関」
P45「Ⅹ マイ・ポータルへのログイン等に必要なICカード」
74
P48「ⅩⅠ
第三者機関」
●
意見内容
1. はじめに
今回の社会保障・税大綱(以下「大綱」という。)においては、番号制度の大枠が示されたものの、今後の課題として、
① 民間分野における国民の利便性の向上
② 番号制度のコスト
③ 番号制度のユースケース
④ 第三者機関の在り方とプライバシー保護策
があげられる。今後、番号制度の議論を更に深めるために、これらの課題について、当研究会としての意見を述べる。
2.
民間分野における国民の利便性の向上
大綱において、番号制度は、国民にとって利便性の高い社会を実現することを理念とするとしており、また、平成 30 年(2018 年)を目途に、利用範囲の拡大を含めた番号法の見
直しを行うことを引き続き検討するとされている。
国民にとって利便性を高める観点からも、金融機関において、単に税務利用だけでない事務についても、番号制度を利用することを認めるべきと考える。
そこで、金融機関が番号制度を利用するに当たっては、当面、法律上の金融機関に課せられた事務について番号制度の利用を認めつつ、国民の利便性の観点から更なる利用を認め
るに当たっては、プライバシー上の懸念もあることから、利用目的を一つひとつ議論しながら立法措置により番号の利用を認めていくといった、ホワイトリスト的アプローチによる
利用を認めるべきと考える。
当面の具体的な利用については、下記のようなものが考えられる。
① 本人確認:大綱には、民間事業者の窓口等で電子的に本人確認を行うため署名検証者を民間事業者に拡大するとあり、金融機関における対面やオンラインによる口座開設時の
本人確認においてもICカードを活用
② 名寄せ:同一グループの金融機関内での顧客情報の名寄せに番号を活用(金融商品取引法上の適合性原則のために必要なものに限る)
③ 税務利用における事務の簡素化:顧客に対する税務上の各種書類の発行・交付の軽減(金融機関からマイ・ポータルへの通知による書類交付の代替、又は下記記入済み申告制
度の導入による各種書類の発行・交付の廃止)
3.
番号制度のコストについて
番号制度を導入するためには、官民双方に大きなコストがかかることが想定されるが、今回の大綱においては、そのコストがどの程度か、また、国と民間でどのようにコストを分
担するのか明らかではないが、少なくとも、大綱に災害時の活用等について記載されているように、番号制度は「社会的なインフラ」であると考えれば、第一義的なコストは国が負
担するものと考える。
4.
番号制度のユースケース
また、今回の大綱では、番号制度というシステム設計と個人情報保護の仕組みという「ハード面」は定められつつあるが、国民にとって最も重要な、番号制度をどう活用していく
のかという「ソフト面」での検討は、具体化しつつあるものの、まだ十分であるとは言えない。そこで、こうした、どのように活用するかという「ソフト面」、つまり、番号制度のユ
ースケースについて、下記のような内容を提案する。
① 金融所得一体課税に係る番号の利用
当研究会では、これまで一貫して、利子所得を含む金融所得一体課税の推進を主張してきた。特定口座を通じて、利子所得を株式譲渡損失と損益通算し、かつ申告不要制度を活
用するためには、銀行と証券会社の間など複数の金融機関の特定口座間で、所得を名寄せするシステムが必要となる。当研究会では、番号を活用した「金融所得確認システム」を
提言してきたが、番号制度の導入により、それが可能となる。
なお、そのためには、利子所得について、現行の源泉分離課税から申告分離課税に移行することが必要となる。
② 日本版ISAから日本版IRAへ
さらに、こうした金融所得一体化を踏まえ、当研究会では、老後の生活のための資産を自助努力で形成することを支援する投資非課税制度「日本版 IRA」を提案している。日本
版IRAによって、現行の公的年金や企業年金の問題点を補完することができる。
現在の証券優遇税制は 2013 年(平成 25 年)末に廃止され、2014 年(平成 26 年)に税率を本則(20%)に戻す際には、日本版ISAを導入するとされている。日本版ISAは、
資産形成を支援する目的ではあるが、
「貯蓄から投資へ」の流れを促進する観点から創設される暫定的な措置(非課税口座開設は制度導入時から 3 年)という位置付けであり、老後
に備えるための制度としての意味合いは小さい。
75
したがって、2013 年末の証券優遇税制の廃止にともない、本格的に資産形成を促進する制度を導入するのであれば、こうした暫定的な日本版ISAに変えて日本版IRAの導入
することが望ましいと考える。
この制度の運用に当たっては、非課税口座は1人1口座であることを確認することが必要である。1人1口座であることを正確に確認するためには、重複する可能性のある住所
や氏名ではなく、国民1人1人に重複なく付与された番号を利用することが合理的である。また、日本版 IRA が導入された場合には、制度の適正な運用を行うために必要な金融機
関の業務(限度額管理)にも番号制度を活用することができる。
③ 記入済み申告制度
番号制度が導入されれば、税務当局が、番号を活用することで個人の所得情報を、効率的かつ正確に収集・名寄せすることが容易になる。そこで、申告時に税務当局が、番号に
より把握している納税者の所得情報をあらかじめ記載して納税者に送付する「記入済み申告」の導入が可能となる。
「記入済み申告」によって、納税者にとっては、申告書作成負担の緩和されるメリットがある。同時に、正しい申告書の入手による税務当局の効率性の向上に資することにもな
る。
なお、大綱においては、「自己の過去の税務申告や納付履歴に関する情報」「確定申告等を行う際に参考となる情報」について、自宅のパソコン等から容易に閲覧が可能となると
いった記述見られることから、こうした情報提供の延長上に「記入済み申告」があるのではないか。
④ 法定調書の拡充等
大綱において「法定調書の拡充についても検討を進める」とあり、正確な所得を調べるためには、必要に応じた法定調書の拡充が必要となる。ただし、拡充の検討に当っては、
実務面での実行性等を踏まえた対応が必要となる。
そして、法定調書の拡充を通じて得られた所得情報については、最低保障年金の導入、消費税率引上げ時の逆進性対策などの社会保障政策を行う際に必要な情報となる。
5.
第三者機関の在り方とプライバシーの保護策
さらに、番号制度の導入に当たっては、個人のプライバシーに対する懸念が出てくる。今回の大綱においても、個人情報の保護を目的とする第三者機関の設置が記述されている一
方、情報連携基盤の運営機関については、引き続き検討するとされている。
住基ネットに係る最高裁判決において、番号制度は、個人情報を一元的に管理することができる機関又は主体が存在しないこと等の要件を備える必要があるとされており、情報連
携基盤はあらゆる情報が集まる場所であることから、情報保有機関となるような個別の省庁による運営とは切り離す必要があると考える。
また、昨今の原子力行政に見られるように、原子力行政を推進する経済産業省と、それを監督する保安院が同一省庁内であったことで、チェックアンドバランスが機能しなかった
ことを踏まえれば、行政を執行する個別の情報保有機関が、同時に情報連携基盤の運営機関となることは適当ではないと考える。
そこで、情報連携基盤の運営機関については、情報保有機関ではない第三者機関、又は別の独立した法人の設立が必要と考える。
●
42
東京税理士会
理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
今回の社会保障・税大綱(以下「大綱」という。
)においては、番号制度の大枠が示されたものの、今後の課題として、
① 民間分野における国民の利便性の向上
② 番号制度のコスト
③ 番号制度のユースケース
④ 第三者機関の在り方とプライバシー保護策
があげられ、これらについて、今後、更に議論が必要であると考えるため。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
【大綱7P】
第2 基本的考え方
2.番号制度で何ができるのか
(2)所得把握の精度の向上等の実現に関するもの
また、番号制度の導入趣旨を踏まえ、諸外国の事例も参考として、法定調書の拡充についても検討を進める。
」
● 意見内容
法定調書の拡充については、その範囲と金額の両面の拡充が考えられるが、いずれにしても、拡充については慎重に検討すべきで、特に中小事業者の事務負担が過度にならないよう
に考慮すべきである。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
法定調書を拡充しても、全ての取引や所得を完全に把握することは困難である。従って、法定調書の拡充については、どのような取引(情報)を番号制度の対象とすれば不正受給が
76
減り、税収が増えるかは慎重に検討すべきである。
また、大規模事業者に比べ中小事業者の多くは事務担当のスタッフに人数を割くことが難しいのが現状である。法定調書の拡充については、中小事業者の事務負担が過度にならない
ように考慮すべきことは忘れてはならない。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
【大綱20P】
5.番号制度の可能性と限界・留意点
(4)本人同意の取扱い(5番目の文節)
したがって、番号制度の導入について、原則として本人同意を前提としない仕組みとする一方、前記4.(3)③への対応のとおり、「番号」の恣意的な利用を防止し国民に
対してあらかじめ番号制度の活用事務について明らかにするため、
「番号」を付番する事務の範囲及び情報連携を行う事務の範囲を法律又は法律の授権に基づく政省令に規定す
るとともに、自己情報のコントロールという観点から、情報連携を通じた個人情報のやり取りに係るアクセス記録について、マイ・ポータル上でいつでも本人が確認できる仕
組みを設けることとする。
● 意見内容
社会保障及び税分野の個人情報については、法令に基づき「番号」を取り扱う事務ごとに、「どのような情報を管理するのか」を法令等で明確にする必要がある。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
正確な所得把握をするために、社会保障・税番号に対してコストを膨大にかけたり、社会保障・税番号を使って国家が国民を管理することがあってはならない。
したがって、プライバシー権を保護する観点から、国家が管理する個人情報は必要最低限にすべきである。
社会保障及び税分野の個人情報については、法令に基づき「番号」を取り扱う事務ごとに、「どのような情報を管理するのか」を法令等で明確にする必要がある。
また、自己情報のコントロールという観点から、マイ・ポータル上で個人情報として管理する項目(不開示項目を除く。)及びアクセス記録について、いつでも本人が確認できる仕組
みを設けることは当然のこととし、疑義が生じた際には第三者機関に随時異議申し立てが可能な体制を整備する必要がある。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
【大綱38P】
第3 法整備
Ⅵ 「番号」に係る個人情報の保護及び適切な利用に資する各種措置
8.「番号」に係る個人情報の安全管理措置義務
行政機関、地方公共団体、関係機関又は法令に基づき「番号」を取り扱い得る事業者は、当該情報の漏えい、滅失又はき損の防止その他の「番号」に係る個人情報の安全
管理のために、相当な措置を講じなければならない。
9.「番号」に係る死者の識別情報の安全管理措置義務
行政機関、地方公共団体、関係機関又は法令に基づき「番号」を取り扱い得る事業者が、
「番号」に係る死者の識別情報を、保存年限の規定等により保存している場合には、
個人情報と同等の安全管理措置を講じるものとする。
● 意見内容
個人情報の取扱いについて、情報漏えい等安全管理措置が義務付けられることは当然のことと考える。しかし、中小事業者に過度な負担にならないよう考慮すべきである。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
個人情報を取り扱うのは、行政機関、地方公共団体や日本年金機構等の関係機関だけでなく、法令に基づき「番号」を取り扱い得る事業者、すなわち源泉徴収義務者等の中小企業者も
含まれる。大規模事業者に比べ中小事業者の多くは事務処理に多くの手間が掛けられないのが現状であり、中小事業者に過度な負担にならないよう考慮すべきである。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
【大綱39P、40P】
第3 法整備
Ⅵ「番号」に係る個人情報の保護及び適切な利用に資する各種措置
11.代理の取扱い
77
(2)任意代理
ア 本人自身で開示請求等を行うことが難しいものの法定代理人が存しない者が、
「番号」に係る個人情報の開示請求等及びアクセス記録の確認を行えるようにするため、
任意代理を認めることとする。その際、代理人への成りすましを防止するため、厳格な代理人確認手段をとるものとする。
●
意見内容
マイ・ポータルの情報開示について、
(1)において、
「番号」に係る個人情報の開示請求等については、未成年者又は成年被後見人の法定代理人による代理行使を認めることとする、
とされ、
(2)ア において、本人自身が開示請求等を行うことが難しいものの法定代理人が存しない者の場合、任意代理を認め、代理人の成りすましを防止するため、厳格な代理人確
認手段をとるものとする、とされている。
そこで、例えば、税務代理人である税理士が納税者本人のマイ・ポータルから「確定申告等を行う際に参考となる情報を確認」をID、パスワードのみではなく、日税連認証局が発
行するICカードにより代理人である税理士の本人確認をし、情報を閲覧できるような仕組み等、代理人たる有資格者の立場を明確にする必要がある。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
大綱32Pに、
「本人及び税務代理人等が、税務署長等に提出する確定申告書や法定調書等の書類に「番号」を記載することや、この為に必要な事務に「番号」を用いることがこれに
該当する。」とあり、税務代理については認めている。
しかしながら、納税者から税理士が税務書類の作成及び提出等の委任を受け、税務書類の申請・申告を電子的方法によって、納税者本人の電子署名を省略し、税理士のみの電子署名
にて送信する「代理送信」、及び開示請求等について税理士等の有資格者の代理について全く触れられていない。
また、電子政府構想の中枢である電子申告の急激な普及推進を考えるならば、「代理送信」の法制化をすべきである。
従って、納税者が税理士等国家資格者の代理について記載がないことから、納税者及び税理士等国家資格者の双方に不安を残すものとなっている。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
【大綱P44】
第3 法整備
Ⅸ 自己情報の管理に資するマイ・ポータル
1.設置
情報保有機関が保有する自己の「番号」に係る個人情報を確認できるように、かかる情報を、個人一人ひとり合わせて表示することができるマイ・ポータルを設けること
とする。
2.機能
個人がマイ・ポータルを通じて、①自己の「番号」に係る個人情報についてアクセス記録の確認、②情報保有機関が保有する自己の「番号」に係る個人情報の確認、③電
子申請、④行政機関等からのお知らせの確認を行うことができることとする。
● 意見内容
マイ・ポータルの設置については個人のみについて記載があるが、法人についても設置すべきである。
法人であっても、法人自身の①アクセス記録の確認、②申告情報の開示、③電子申請、④行政機関等からのお知らせ、等を確認できる方法を設置すべきである。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
法人においても、個人と同様な法人自身の各種税務情報(青色申告か白色申告か、消費税の年度別課税売上高、予定納税情報その他採用している評価方法等)
、社会保険情報及び労働
保険情報等を開示する方法を設置すべきと考える。
また、法人に対して給与所得の源泉徴収及び年末調整に必要な扶養家族情報等についての開示も検討すべきである。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
【大綱P44】
第3 法整備
Ⅸ 自己情報の管理に資するマイ・ポータル
1.設置
情報保有機関が保有する自己の「番号」に係る個人情報を確認できるように、かかる情報を、個人一人ひとり合わせて表示することができるマイ・ポータルを設けること
とする。
2.機能
78
個人がマイ・ポータルを通じて、①自己の「番号」に係る個人情報についてアクセス記録の確認、②情報保有機関が保有する自己の「番号」に係る個人情報の確認、③電
子申請、④行政機関等からのお知らせの確認を行うことができることとする。
● 意見内容
【上記の記述を以下のように改めるべきと考える】
2.機能
個人がマイ・ポータルを通じて、①自己の「番号」に係る個人情報についてのアクセス記録の確認、②情報保有機関が保有する自己の「番号」に係る個人情報の確認、③権利喪失
回避の為の要申請事項の早期告知、④その他、申請者の意思に基づく有益行政情報⑤電子申請、⑥行政機関等からのお知らせの確認を行うことができることとする。
また、個人及び法人の納税義務者がマイ・ポータル及び現在の電子申告受付システムにより税務書類の申請・申告を行う場合、現在の電子申告システム及び利用者識別番号の利
用も可能とすべきである。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
マイ・ポータルは、申請主義からプッシュ型行政サービスへの大きな一歩であると考える。そのためには、従来の申請主義で見られた虚偽の申請や申請を行わないことによる不利益
等を解消するために前向きな機能装備が必要である。
また、個人の確定申告者が3月13日から15日において、マイ・ポータルから大量の税務申告がされる可能性が大であり、この個人確定申告書の提出は他の行政申請手続きでは考
えられない量である。従って、その負荷に耐えられるかの危惧があり、現在の電子申告システムの普及を考えるならば、現在利用されている電子申告受付システムは継続すべきである。
また、現在の電子申告システム利用者は、法人関係の利用において税理士等の「代理送信」等によって22年度において70%超の利用率である。従って、現在の電子申告システム
及び利用者識別番号を廃止し「番号」のみとすることは現在の電子申告システム利用者の混乱をもたらすものとなり、利用率向上の妨げとなるからである。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
【大綱P45】
第3 法整備
Ⅹ マイ・ポータルへのログイン等に必要なICカード
● 意見内容
税務申請・申告は納税者本人及び税務代理人である税理士以外の者が、納税者本人のICカードを利用して本人に成りすましてマイ・ポータルから電子申請・申告をおこなう可能性
があり、想定される問題点の防止策を構築すべきである。
また、現在の電子申請・申告システムの普及推進を図るためには、国家資格者の士業団体が発行する電子証明書もマイ・ポータルにログインできるようにすべきであり、税務代理人
である税理士に限っては、日税連認証局が発行する電子証明書に限定すべきである。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
税務申請・申告は税理士法第2条及び第52条によって「無償独占」が定められており、税理士法違反によって納税者が不利益を被る場合がある。今後ICカードの普及によって本
人の成りすましによる税理士法違反が増加することが懸念される。従って、例えば、電子申請・申告をする場合、
「このシステムは本人及び税務代理人である税理士等以外の者は利用で
きません。」等の表示をする等の対策を講じるべきと考える。
また、マイ・ポータルにログインできるICカードは、その者に係る住民票に記載された氏名、住所、生年月日、性別及び「番号」その他政令で定めた事項が記載され、かつ、現行
住民基本台帳カードに記録されている事項に加え、
「番号」及び公的個人認証サービスの電子証明書その他政令で定める事項が記録された半導体集積回路が組み込まれ、現行の住民基本
台帳カードの機能も有するカードである。
従って、このICカードの所有者が保有する国家資格など個人の属性に関する情報を格納することができないと考えられることから、このICカードで電子申請をした場合、代理人
の国家資格等を確認できないことから、その代理人の資格を確認するには国家資格者の士業団体が発行する電子証明書を追加すべきである。
43
社団法人生命
保険協会
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
・ P23 7(4)今後のスケジュール
・ P27 Ⅲ「番号」を告知、利用する手続の範囲
● 意見内容
・ 当協会では、6月に「番号制度を通じた生命保険事業におけるICTの利活用について」の意見書を提出しているが、大綱において、大災害時における保険金支払などの事務に「番
号」の利用を認めることを明記いただいたことは、被災者の迅速な生活再建の観点から適切な対応であると考える。
・ 但し、大災害時における利用について実効性を確保する観点から、生命保険契約者及び保険金受取人等に支払調書を提出するために生命保険会社が「番号」を取得するタイミング
について、生命保険契約締結時等に取得することを許容いただきたい。
79
・ また、大災害時における死亡保険金等の支払には、顧客の生死や避難先に係る情報、死亡保険金受取人等の確定のための戸籍謄本等の情報などが必要となるが、このような情報も
利用対象となることを確認させていただきたい。
・ 当協会では、社会保障・税に係る利用及び大災害時における利用以外にも、生命保険事業に係る業務において番号の利活用を要望しており、番号制度の導入当初から、生命保険会
社に「番号」の利用を認めていただきたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
・ 大災害時に被災者自身が自治体を訪問して生命保険金等の請求に必要な証明を取得することは困難または大きな負担を伴うことになり、被災者自身が生命保険会社に請求をしなく
とも、生命保険会社から被災者に対して請求案内することの意義は極めて大きい。
・ 社会保障・税に係る利用及び大災害時における利用以外の場面においても生命保険会社が番号を利用することは、生命保険契約者等にとっての利便性の向上(確実な保障の提供及
び手続負担の軽減等)、行政機関及び生命保険会社のサービスの品質の向上や事務効率化・コスト低減に資する。生命保険事業は、公的な社会保障を補完する私的保障の役割を担って
おり、事業の公共性、官民一体となった国民の社会保障の充実等の観点も踏まえ、生命保険会社の番号利用を検討いただきたい。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
・P23 7(3)番号制度の導入に係る費用と便益
(4)今後のスケジュール
● 意見内容
・ 「番号」を取扱う事業者及び当該事業者から委託を受ける事業者において「番号」が円滑に利用されるよう、当該事業者における導入・維持管理コスト、システム開発の準備状況
等を踏まえて、「番号」の利用に関する制度設計及び導入時期を検討いただきたい。
・ 「番号」の具体的な仕様(桁数、体系等)
・利用事務について、可能な限り早期に、具体的にお示しいただきたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
・ 「番号」を取扱う事業者及び当該事業者から委託を受ける事業者が円滑に「番号」を利用した事務を行うためには、当該事業者のシステム開発等の準備期間等が必要であるととも
に、「番号」の具体的な仕様は「番号」を取扱う事務・システムの構築に必須となる。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
・ P20 6.番号制度の将来的な活用
● 意見内容
・ 保険募集人登録事務に「番号」を利用していただきたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
・ 保険募集人登録事務において住民票や登記事項証明書等の書類の取得が不要となり、行政機関及び生命保険会社の事務が効率化される。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
・ P21 7.今後の進め方(1)国民の納得と理解を得るための活動
● 意見内容
・ 番号制度を全国民に早期に周知し、また全国民が「番号」を活用できるようにしていただきたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
・ 番号制度で実現する手続が従来の手続方法と複線化すると、行政機関・民間企業における事務が極めて非効率となる。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
・ P22 7.今後の進め方(3)番号制度の導入に係る費用と便益
● 意見内容
・ 「番号」の個人への通知(※1)やICカードの発行(※2)は市町村長が行う等、番号制度の運営主体は多元化・分散化することとなったとしても、各自治体・行政機関等にお
ける事務手続、システム仕様等については統一化・標準化していただきたい。
80
※1 P26 Ⅱ1.(2)
※2 P46 Ⅹ2.(1)
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
・ 各自治体・行政機関等で事務手続・システム仕様が区々であると、国全体としての投資効率が著しく低下すると思われるとともに、民間企業では複数の自治体及びその住民、行政
機関等と「番号」の授受等を行うことになり、民間企業における過重な投資が必要となる。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
・ P26 Ⅱ2.変更
● 意見内容
・ 「番号」が変更された場合、生命保険会社による支払調書の提出等の行政機関への情報連携は旧番号で行うことも許容いただきたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
・ 生命保険契約者等の「番号」が変更された場合、生命保険会社が新たな「番号」を確実に取得することは実務上困難である。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
・ P27 Ⅲ1.年金分野
● 意見内容
・ 厚生年金基金・確定給付企業年金・確定拠出年金等の企業年金制度等における給付の受給及び掛金に関する手続等については「番号」の利用範囲とされているが、当該手続等の委
託を受ける生命保険会社等の年金受託機関(事業者)においても、
「番号」を利用することができることを確認させていただきたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
・ 企業年金制度等における給付の受給及び掛金に関する手続等については、当該企業年金制度等を実施する基金・事業主から生命保険会社や運営管理機関等に委託されることが多い
ため、当該手続等の委託を受ける事業者においても「番号」を利用することにより、企業年金関係の事務が効率化される。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
・ P36 Ⅳ1.番号の告知義務
● 意見内容
・ 「番号」の告知義務は国民に課せられており、事業者が取得義務を負うものではないことを確認させていただきたい。
・ また、本人から虚偽の「番号」の告知が行われ、当該「番号」に基づき事業者が手続きを行った場合でも、事業者は責を問われないことを確認させていただきたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
・ 顧客から「番号」が告知されない、又は正しく告知されないことも想定されるが、事業者は国民に行為を強制することはできないこと、正しい「番号」か否かを確認する手段がな
いことに鑑み、事業者の行う取引が過度に制約を受けることのないよう制度を構築いただきたい。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
・ P36 Ⅳ5.「番号」に係る個人情報の閲覧、複製及び保管等の制限
● 意見内容
・ 取引履歴や属性情報等を集録した既存の顧客データベースに、法令で求められる業務を行うために番号を付加することは「正当な理由」として認められることを確認させていただ
きたい。
・ また、本人確認時等において、提示されたICカードの「番号」とデータベースの「番号」の照合を行う等の対応は「正当な理由」として認められることを確認させていただきた
い。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
・ 事業者は既に独自の顧客データベースを有しており、既存のデータベースと別に番号の管理のみを行うためにデータベースを構築することはコストの負荷が大きく、非効率的であ
ることから、実態を踏まえた制度を構築いただきたい。
81
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
・ P44 Ⅸ自己情報の管理に資するマイ・ポータル
● 意見内容
・ 「マイ・ポータル」で、生命保険契約に関する手続において必要となる住民票等の公的証明書を生命保険契約者等自身がダウンロードしたうえで、公的証明書として利用できるよ
うにしていただきたい。
・ 「マイ・ポータル」で国民に提供する情報は、社会保障や税務に係る行政情報に限定せず、社会保障や税務に係るサービスに資する民間事業者からの情報も含めていただきたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
・ 国民が自身の行政情報を利用しやすくすることにより、生命保険契約者等の利便性が向上するとともに、行政機関及び生命保険会社の事務も効率化される。
・ 更に、国民は民間事業者と様々な取引を行っており、
「マイ・ポータル」によりこうした取引情報の確認や取得が可能となることにより、利便性が向上するとともに、紙媒体での情
報提供が減少することにより民間事業者の効率化に資する。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
・ P45 Ⅹマイ・ポータルへのログイン等に必要なICカード 1.(3)
● 意見内容
・ 民間事業者の窓口等で電子的に本人確認を行うための署名検証者が民間事業者に拡大されることを歓迎する。
・ 上記署名検証者が民間事業者に拡大されるのは、番号制度利用開始時(平成27年1月)と同時であることを確認させていただきたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
・ 本人確認事務が効率化される。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
・ P14 3.(3)本人確認
● 意見内容
・ ICカードに少なくとも「番号」
「氏名」
「住所」
「生年月日」を記載いただくとともに、ICカードを住民基本台帳カード等と同様に犯収法上の本人確認書類として位置づけ、また
「番号」を犯収法上の本人確認記録として保管することが可能となるよう、法令上、必要な措置を講じていただきたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
・ ICカードを契約取引上の本人確認に用いることが可能となり、さらに、転送不要郵便物等による取引関係文書の送付が不要な犯収法上の本人確認書類としても用いることが可能
となるため、利便性が増す。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
・ P48 Ⅺ 第三者機関
● 意見内容
・ 生命保険会社については、すでに主務官庁(金融庁)の監督を受けている状況を考慮し、番号制度における個人情報保護等に対する監督体制についても、二重監督体制とならない
よう制度を設計いただきたい。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
・ 生命保険会社は、法令等に基づき、主務官庁である金融庁により監督・検査を受け、事業運営の実態に即した個人情報の適切な取扱いのための措置を講じている。
大綱において「監督対象機関等に係る既存の監督体制による監督等を前提」(49 頁)と記載されているとおり、主務官庁による適切な監督等を前提とすることにより、実効的な個
人情報の保護が図られ、事業者の過度な負担が回避されると考えられる。
44
特定非営利活
動法人日本セ
●
該当箇所
全般について
82
キュリティ監
査協会
●
意見内容
「主権者たる国民の視点に立った番号制度の構築」という基本的な考え方は大変素晴らしいものであり、社会保障・税に関わる番号制度というこれからのわが国に欠くべからざる重
要な制度として、是非実現すべきと思います。実現にあたっては、これまでの検討を生かし、更に、国民への説明責任をより強く打ち出すことで、国民が安心し、信頼できる制度にし
ていただきたい。
● 理由
社会保障・税に係わる番号制度(以下、番号制度という。)は、社会保障・税の一体改革を効率的に推進すると共に、行政サービスの充実にも資する重要な制度であると考えます。こ
の制度を推進するためには、国民の理解が不可欠です。この制度に対する国民の懸念がプライバシーの保護や個人情報の漏えい等にあることから、現在、番号制度創設推進本部の下に、
有識者で構成されるワーキンググループが設置され、プライバシー保護と情報セキュリティのあり方について検討が行われています。これらのワーキングの検討成果を確実に実装し、
運用することはもとより、実装や運用が確実に行われていること、あるいは、番号制度の利用にあたっての準備段階や運用段階で情報セキュリティ上の問題がないことを、情報セキュ
リティ監査制度に基づく監査などにより確認し、それを国民に説明していくことが、番号制度が国民の信任を得るために有効な手段であると考えます。
●
該当箇所
P14 から P18 (1)、(2)、(3)のタイトル
● 意見内容
「4.安心できる番号制度の構築」の項としての内容を分かりやすくするため、以下の通り内容を明確にすることが望ましいと考えます
(1)「番号」の保護等の必要性と対応
(2)個人情報保護の必要性と対応
(3)住民基本台帳ネットワークシステム最高裁判決に従った個人情報の保護
● 理由
4.安心できる番号制度の構築 というタイトルは、具体的に構築すべき内容を記述するものと解釈できます。
(1)、
(2)のタイトルは「必要性」
、
(3)は「関係」というタイトルに
なっており、この必要性等を踏まえた構築の基本的考え方が明記されていない印象があります。ところが(2)、(3)は具体的内容が記述されています。内容を明確にしたタイトルに
より、国民に、より考え方が分かりやすくなると思います。
●
該当箇所
P14~15
(1)「番号」の保護等の必要性
● 意見内容
「番号」の保護対策の記述について、より、具体的にすべきと考えます。「第3 法整備」に記述されている内容を踏まえれば、下記の内容を記述することが望ましいと思います。
・付番に際する安全措置
・情報連携基盤を使用した連携に関する安全管理措置
・番号を取り扱うものの規律の確保
● 理由
(2)、
(3)は具体的内容が記述されていますが、
(1)は抽象的な記述に終わっています。番号の取り扱いに関する具体的な考え方を記述し、法整備に記述されている対策の理由を
明記することで、全体が分かりやすくなると思います。
●
該当箇所
P16
下から3行目以降
● 意見内容
「番号制度の整備・運営の透明性を確保し、国民に対する説明責任を果たせる体制づくり」を記述することが、望ましいと考えます
● 理由
番号制度の導入にあたり、国民が自己情報をコントロールできる仕組み、及び情報漏えい等をしっかり防ぐ対策を講じるなど、個人情報の保護が肝要であると記述されています。こ
83
の点は大切な点であり、確実に行っていただきたいと思います。これに加えて、事故や不明な点が生じたときに、国民がその原因を迅速に知り、政府が適切な対応を取っていることが
分かる仕組みが必要だと思います。
福島原子力発電所の事故の対応の際に、状況の把握に手間取り、情報の開示が遅れたり、より悪い情報が後から提供されるなどがあり、国民の不信を招く事態になったと考えます。
番号制度においては、このようなことがあってはならないと思いますので、適切な対策を取るばかりではなく、事故等の際に原因を速やかに把握し、国民が迅速に知ることができるこ
とが重要です。また、事故のなどの重大性の程度によって、説明の仕方や説明者の職位等を定め、国民が納得できる説明をすることも大切だと考えます。
情報システムに事故が起こることは避けられませんが、事故の対応が速やかで適切であれば、国民はむしろ信頼を増すと思いますので、これに応える体制を整備することを記述する
ことが、国民の安心をより高めると考えます。
●
該当箇所
P18
「④については、・・・」 の文章末尾
● 意見内容
「情報連携全般に関しての情報セキュリティガバナンス(連携基盤ならびに連携基盤を利用して情報を連携する各組織全体に対する統制)を確立し、連携に伴い新たに発生する情報
セキュリティ上のリスクを適切に管理すること、および情報セキュリティの状況を定期的に国民に報告すること」を追記すべきと考えます。
● 理由
情報連携基盤の運営組織及び情報連携基盤の各利用機関が情報セキュリティポリシーに従って適切な情報セキュリティ対策を行っていても、情報連携するだけで、責任の移転とリス
クの増大が生ずることに留意しなければならなりません。これらを適切に管理するために、国として情報連携に係わる活動全般を統括する情報セキュリティガバナンスを確立すること
が望ましいと考えます。
以下、責任の移転及び新たなリスク等について述べます。
第一に、情報連携により生ずる責任の移転があげられます。従来、個別に情報を管理していた場合に、情報の連携作業は国民個々の責任においてなされてきました。しかし、情報連
携すると、連携する主体(国又は連携機関を利用する主体)が責任を負う部分が生じます。
例として、転出・転入の際を挙げます。従来、まず、本人が旧住所地の市町村に転出届を提出し、転出証明書を受け取ります。その後、新住所地の市町村に転入届を提出し、住民票
の移動が完了する。このプロセスでは、転出元の住所や転入先の住所などの記名ミスや転出証明書の紛失などの責任はすべて本人が負うことになります。
仮に、転出と転入がリンクされ、自動的に転出入が処理されることを想定した場合、転出入処理に伴う処理ミスで本人が不利益を被った場合の責任は、転出入処理に係わった主体が
負うことになります。転出入処理に伴う処理ミスとしては、入力のミス、ネットワークのエラー、処理プロセスにおけるシステム上のトラブル、データの書き換えや保管に伴う事故等
が考えられます。
多くの機関が連携業務を支えていると考えられるので、どの主体のどのような理由によりミスが生じたのかの原因究明を行い、責を負うべき主体を明確にすると共に、再発防止策を
講じ、速やかに本人に伝えることが、国民の信頼を高めることになります。このためには、情報連携基盤システムに係わる主体のみでなくそれを用いてデータの照合等を行う全ての機
関の状況を監視し、事故の切り分けと事故原因の究明、責任の明確化、本人及び国民への説明責任を果たせる体制を国において整えることが必要であると考えます。
第二に、連携に伴うリスクの増大についても検討が必要です。従来あった情報を連携するだけであるので、一見、情報セキュリティ上のリスクは増えないように考えられます。しか
し、情報連携により脅威が高まるため、リスクは増大するので、ぜい弱性に対する対策を強化する必要があります。
情報セキュリティ上のリスクは、一般に次のように定式化できます。
情報セキュリティ上のリスク=情報資産の価値×脅威×ぜい弱性
情報連携は、連携することによる利便性を向上するものです。これは正規の利用者にとっても、不正な利用者にとっても同様の効能をもたらします。不正な利用者は、従来よりも簡
単に複数の機関にまたがる情報を取得できるようになりますので、従来よりも、より積極的に情報を入手しようとするようになると考えられます。つまり、同じ情報でも脅威が高まる
ことになるということです。これに対しては、ぜい弱性対策をより強化しなければ、情報セキュリティ上のリスクを従来と同じ水準にすることができないことになります。
更に、情報連携により、ある機関の事故が他に波及するというリスクもあります。このため、ある機関の事故が他のシステムへ影響しないように如何に防ぐのかが問われます。例え
ば、標的型攻撃などにより、政府機関等の職員が保有する特権を、本人が気付かない間に乗っ取られた場合、それを踏み台としてより権限の大きな特権を詐取し、時機関のシステムの
みならず、情報連携基盤や他の機関のシステムなどを自由に操れるようになる高度な攻撃を受けることが懸念されます。
以上に述べたとおり、連携するということにより生ずるリスクがあります。これを適正に管理するためには、番号制度全体として情報セキュリティのリスク管理を行う体制が必要と
いえます。
なお、事故対応においては、コンピュータネットワークシステムのセキュリティに絶対ということは言えないことを念頭に、想定外の事態にも対応する必要があります。場合によっ
ては、一時的に情報連携基盤システムを停止するなどを即座に判断し、対処する必要があることも想定しなければならないと考えます。その場合に、誰がどのような権限と責任を持っ
て事故の対処を行うかをあらかじめ定めておくことが必要です。
84
第三に、情報セキュリティのリスク許容水準が情報を開示する機関(情報開示機関)と情報を開示される機関(情報被開示機関)とで異なることが想定されるため、総体的に厳格な
リスク許容水準を必要とする機関が、総体的に緩やかなリスク許容水準の機関と連携した場合に、リスクが高まる恐れがあります。
仮に、情報被開示機関のリスク許容水準が緩やかな場合には、
(ア)情報開示機関が情報に関して適切なコントロールを行うか、
(イ)情報被開示機関のリスク許容水準を厳格化し、情報開示機関側に合わせること
が必要です。
このように、情報連携を行うだけいくつかの機関が新たなリスクを負うことになるため、情報開示機関ごとに開示ポリシーを設定し、被開示機関側に提示するか、政府統一の開示ポ
リシーを作成し、全体でポリシーに準拠することが不可欠です。それらのポリシーが整備された場合に、開示ポリシーの整備状況とポリシーに則った適正な開示がなされていることを
監査することが、各機関が情報を適切に管理していることを国民に示すために必要と考えます。
以上の述べたように、情報を連携することにより情報セキュリティのリスクは高まります。各機関が各々のポリシーにより、情報セキュリティ対策を行っていても十分とはいえませ
ん。国民のプライバシー保護の観点からも、制度全体としての統一的なポリシーとその適用をおこなうことで、高まったリスクを下げる必要があると考えます。また、情報セキュリテ
ィに 100%の安全ということはないため、想定外の事態に遭遇した時に迅速に対処する必要があります。このためにも、制度に参加する組織全体を統括し、事故の状況把握、原因の分析
(切り分け)、対処を円滑に進める、国としての体制が重要です。すなわち、番号制度全体に対する国としての情報セキュリティガバナンスを確立することが望ましいと考えます。
更に、情報セキュリティガバナンスを確立し、統制がとれていることを国民説明するために、情報セキュリティ報告書を作成・公開し、国民に情報セキュリティに関する状況を正確
に報告することが望まれます。
●
該当箇所
P21
(1)(2)の間
● 意見内容
新たに以下の項を追加すべきと考えます
(2)政府の体制整備
番号制度全般の情報セキュリティ並びに個人情報を保護し、制度全般として統制がとれ、緊急時にも迅速な対応をし、かつ、透明で国民が信頼できる説明責任を果たせすために、
政府の体制を整備することを記述すべきと考えます。
● 理由
情報連携による番号制度の仕組みは、単に既存のシステムを連携するというだけのものではなく、連携そのものにより情報セキュリティ上のリスクが高まる仕組みであることはすで
に述べました。
このため、政府として万全の態勢をとることが不可欠です。具体的な組織体制及び責任の所在の明確化を行い、制度が的確に運営されていることを常時確認でき、万が一の場合にも
適切な対応がとれるようにすることが必要です。
●
該当箇所
P26
⑤の後
● 意見内容
以下の文章を付け加えることを提案します。
⑥ 番号制度に関わるシステムが安全に構築・運用されていることを適切に確認し、国民にその状況を正しく伝達する透明性の高い制度運営を行うこと
● 理由
国民の信頼をより高めるために、政府が国民に対する説明責任を果たすことを理念として記述すべきと考えます。
●
●
該当箇所
P44
Ⅸの前
意見内容
85
職員ポータルの設置を提案します
● 理由
番号制度によって様々な国民情報に接することができる職員(行政機関、地方自治体、民間企業等の職員)の情報へのアクセスログを確実に取得し、国民の請求に基づき確認できる
仕組みが必要です。このログは職員の不正行為に対する抑止効果があるばかりでなく、万が一システムへの不正な侵入があった場合にも検知を速める効果があります。
どの職員がどの情報にいつアクセスし、何を行ったかを確実に把握し、適正な処理を行っていることが確認できる仕組みを整備することで、番号制度の透明な運営と国民に対する説
明責任を果たすことができると考えます。
45
電子認証局会
議
<意見1>
● 該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P-14 (3)本人確認
.....
具体的には、券面に基本4情報及び顔写真が記載され、公的個人認証サービスを標準搭載し、
「番号」をICチップに記録した後記第3ⅩのICカードを現行の住民基本台帳カー
ドを改良の上、国民に交付し、対面での本人確認やオンラインでの認証に活用することが考えられる。...
● 意見内容
“公的個人認証サービスを標準搭載”とありますが、より明確に“署名用電子証明書及び認証用電子証明書を標準搭載”とした方がよいと考えます。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
「サービスを搭載」と言う表現は、何を搭載しているのか解りにくいためです。
<意見2>
● 該当箇所
P-35
(2)…
また、民-官、民-民のそれぞれの取引の場面で求められる適切な認証の在り方について、電子署名及び認証業務に関する法律(平成 12 年法律第 102 号)に基づく認定認証業
務の活用を含めて検討を行う。
● 意見内容
公的個人認証証明書と民間認証事業者(認定認証事業者とそれ以外の認証事業者 ※脚注 1)の電子証明書の役割分担としては、以下が望ましいと考えます。
① B to G : 民間認証事業者
② C to G : 公的個人認証サービス
③ B to B : 民間認証事業者
④ C to B : 民間認証事業者(但し一部公共性が高い利用用途は公的個人認証が適当)
※ここで述べる“B”の範囲は個人事業主も含みます。
公共性が高い利用用途は、原則として基本4情報の開示が必要な厳格な本人認証が望まれていると考えられ、公的個人認証証明書の利用が想定されます。
一方で、公的個人認証証明書は「ユニークコード」が格納されていることから、一般的な商取引で使用するには個人情報保護の観点からも、具体的に検証者と用途(業務)を制限す
べきと考えます。
また、反復継続して用いる民間サービスでの利用(オンラインバンキングやネットオークション、大学の学生証明書のようなアカウント等の属性付きの認証を想定)や事業者に所属
する個人としての利用に対しては、民間認証事業者がすでに行っているビジネス事業分野と重複する事もあり、また、情報保護の観点からも、公的個人認証の利用は限定されるべきだ
と考えます。
<公的個人認証証明書の民間での利用拡大が望まれる例>
・ 医療機関等が電子的な方法で本人確認を行う際の本人認証
・ 金融機関が、電子的に口座開設を受け付ける際の本人認証
・ 認定認証事業者が認定認証業務に限定せず、広く認証業務を行う際の本人認証
<公的個人認証証明書の民間での利用拡大すべきでない例>
・ 金融機関が、オンラインバンキングなどのログインで反復継続して行う本人認証
→ 明確な民間利用であり、すでに、民間認証事業者の証明書で実施されている(公的個人認証証明書で口座開設、同時にその銀行専用の認証用証明書を民間で発行しオンラインバ
86
ンキングで利用するような役割分担を想定)
・ 保険会社、クレジット会社などが、電子的に申込みを受け付ける際の電子署名
→ 明確な民間利用であり、民間認証事業者の証明書で実施
・ 法人等の事業者に所属する個人としての電子署名や本人認証
● 理由
民間での様々なサービス利用を公的個人認証証明書1つでまかなった場合、Web 上に残ったサービス利用履歴の名寄せ・集積が容易となり、利用者本人の意図しない個人情報の不正
利用が懸念されます。利用目的に応じた使い分けが望ましいと考えます。
脚注 1:本コメント内においては、署名法に基づく認定認証業務を行う事業者を「認定認証事業者」とします。
<意見3>
● 該当箇所
P-35
(2)…
また、民-官、民-民のそれぞれの取引の場面で求められる適切な認証の在り方について、電子署名及び認証業務に関する法律(平成 12 年法律第 102 号)に基づく認定認証業
務の活用を含めて検討を行う。
● 意見内容
市場における経済合理性に基づいた制度設計が必要と考えます。
市場の健全な発展のためには、「官が行うサービス」と「民が行うサービス」の性格の違いを制度設計に反映させる必要があると思われます。
本来、行政サービスは経済的合理性を求める性格のものではなく、広く国民へ平等なサービスを提供することを目的としているものです。
また、行政サービスの原資は税金であり、経済合理性を顧みない事業の損失は、最終的に国民の負担となってしまいます。
したがって、時代に即したスピード感のある利用場面への適応は「経済的合理性に基づいて」変化できるサービスが、より利用者のニーズに応える事ができると思われます。
このような場面に「官が行うサービス」を持ちこむよりは、
「民が行うサービス」の機動性を活用することが、より合理的であると考えられます。
● 理由
民間サービスは、電子署名法の下、B to G や B to B の分野で既に 10 年来の実績を積んでおり、今後もこれらの仕組みを大いに活用すべきです。
このように考えてくると、官民両サービスがそれぞれの得意とする分野で力が発揮できるような制度を整備することこそ重要だと考えます。
<意見 4>
● 該当箇所
P-45
(1)マイ・ポータルにログインするために、現在は署名サービスのみに限られている公的個人認証サービスに認証用途を付加する。
(3)民間事業者の窓口等で電子的に本人確認を行うため署名検証者を民間事業者に拡大する。
● 意見内容
公的個人認証証明書を認証用途に利用拡大することは、広い利用が想定され有効であると考えます。例えば、公共性の高い民間サービスにて利用開始時の審査等において、公的個人
認証証明書に格納された4情報を確認して、利用者の厳密な本人認証を効率的に実施することが可能です。
ただし、公的個人認証証明書を利用する民間の利用者(検証者)を無制限に拡大することは、個人情報の不正な利用や、番号による不正な名寄せリスクも想定されるので、民間の利
用者(検証者)の拡大については、慎重な議論を望みます。
このような問題を回避するためには、日常的に反復、継続して利用する場合、公的個人認証証明書では無く、認定認証事業者が公的個人認証証明書にて本人確認を実施し、必要な属
性情報を付加して発行する電子証明書を「民-民」分野で利用することが、利用者のリスク低減に繋がると考えます。
尚、この際、認定認証事業者が行う認定認証業務以外であっても、認証業務の本人確認を実施するために公的個人認証証明書を検証できるようになることが望ましいと考えます。
● 理由
公的個人認証証明書を無制限に民間利用に拡大する場合、名寄せリスクの増大と個人情報の不正利用が懸念されます。また、システム面でも署名検証者の拡大に伴う検証システムの
肥大化は、安全性を確保するための困難性が増大、運用コストの増大、およびシステム停止に伴い発生する混乱等のリスクをも増大させることにもなるためです。
87
<意見 5>
● 該当箇所
P-45
(1)マイ・ポータルにログインするために、現在は署名サービスのみに限られている公的個人認証サービスに認証用途を付加する。
(3)民間事業者の窓口等で電子的に本人確認を行うため署名検証者を民間事業者に拡大する。
● 意見内容
まず「署名検証者を民間事業者に拡大する。」とは、P-47(6)の内容から、「署名検証者及び認証検証者を民間事業者に拡大する。」とされたほうがより明確になると考えます。
その上で、認証検証者を民間事業者に拡大する前提であれば、今後の認証用の証明書プロファイルの検討は、単に個人ポータルへのログオンへの利用を要件のすべてとはせずに、適
切で効率的な民間利用を考慮した証明書プロファイルの検討がなされるべきだと考えます。
例えば、医療機関の窓口や、公共性の高い Web サービスにて本人認証に利用する場合を考えると、署名用証明書同様に、基本 4 情報を証明書プロファイル上に記載すべきと考えます。
この議論は、大綱の趣旨、範囲を超えており、今後より詳細な検討が別途必要になると考えます。
● 理由
大綱で示された公的個人認証証明書の民間利用拡大の方向性は、社会保障と税の範囲を超えた民間での利活用が想定され、既存の民間認証事業者の電子証明書との整合などへ、大き
な影響があると考えられるからです。
<意見 6>
● 該当箇所
P-47
(6)署名検証者及び認証検証者は、現在の行政機関等だけでなく、民間事業者であって政令で定める基準に適合するものとして総務大臣が認定する者を加えるものとする。
これら以外の民間事業者が公的個人認証サービスの電子証明書を利用する場合には、本人の同意を得た上で、電子証明書を発行する認証局等が署名検証者及び認証検証者とな
ることとする。
● 意見内容
ユースケースが非常に不明確のまま議論されているように思われます。「総務大臣が認定する民間の検証者」以外の民間事業者であっても、「本人の同意を得た」場合は、認証局に検
証結果を問い合わせる事により利用できる、とありますが、認定された検証者とそれ以外の民間事業者との違いとは、どの様なものなのか不明確です。
ユースケース、認定される民間検証者、それ以外の民間事業者、の各定義を明確にしたうえで、それらに対しどの様な個人情報が、どの様な制御のもとで流通するのかを整理してお
く必要があるのではないかと考えます。
また、電子証明書の保有者は「本人が同意」することで、どの様なリスクを背負うことになるのかも明らかにしておくとともに、
「本人の同意」を得る方法についても具体化が必要と
考えます。現在の表現では、公的個人認証サービスが提供する証明書に関して、利用者のオウンリスクであれば、いかようにも利用できるとも受けとめられるからです。
そのような事を回避するためにも、本人が同意した旨を証跡として残す等の具体的運用まで踏み込んだ検討が必要であると考えます。(オンライン利用のみならず、対面利用について
も検討する必要があると考えます。)
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
ユースケースが非常に不明確で、実際に利用環境が構築される際に混乱が予想されるためです。
<意見 7>
● 該当箇所
P-53
ⅩⅢ 法人等に付番する番号
● 意見内容
“法人等に付番する番号“の議論だけでなく、企業が係わる年金、労働保険、納税、の電子申請や実務を効率化するための”企業ポータル“の在り方も議論されるべきであり、その
際、企業ポータルにアクセスするための認定認証事業者の電子証明書の在り方の議論も必要と考えます。
例えば、認定認証事業者から発行した電子証明書により企業ポータルへアクセスすること等が挙げられます。
88
●
46
社団法人日本
民間放送連盟
●
47
日本マルチペ
イメントネッ
トワーク推進
協議会
●
現在、認定認証事業者は、署名用の電子証明書の発行しか許されていませんが、認証用途が認められれば Web への安全なアクセスをはじめ、より多様な活用が可能となります。
理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
公的個人認証証明書が認証用の証明書を発行するのと同じ理由で、利用者から認定認証事業者も認証用途の証明書を発行することが求められると考えられるからです。
該当箇所
報道機関としての取材・報道に関する意見
● 意見内容
今回公表された「社会保障・税番号大綱」では、番号に係る個人情報やプライバシーをいかに厳密に保護するかに重点がおかれ、第三者機関の設置や情報漏洩等に対する罰則につい
ては言及されていますが、その一方で、社会にとって有益かつ必要な個人情報の流通が損なわれぬよう措置されるべきことについては触れられていません。
個人情報の流通面における問題は、個人情報の保護に関する法律(以下、「個人情報保護法」)においても、法の制定当時から懸念され、民放事業者の立場から見ると、現に今日、国
民の「過剰反応」や「情報開示への萎縮」、法を隠れ蓑とした「情報の隠匿」などの問題が顕在化しています。
われわれ民放事業者は、
「社会保障・税番号制度」の全容が必ずしも明らかになっていない現時点においては、本制度により管理社会の深化とともに「報道の自由」が損なわれるので
はないかと改めて危惧するものであり、本制度の立法化にあたっては、
「個人情報保護法」との整合・関連なども勘案のうえ、報道機関による取材・報道に関する行為に多少なりとも規
制や制限などが及ぶことの無いよう、十分に議論が行われるよう要望します。
また、報道・取材活動が、直接的に法制度上の規制を受けることがない場合にも、
「個人情報保護法」の現状と同様の問題が生じぬよう、立法化の段階から十分に留意される必要があ
ると考えます。
さらには、本制度の適用分野は将来的には国民生活全般に拡大される可能性があることから、そうした場合においても報道・取材の自由が保障されるよう、現時点から将来を見据え
た法案作成が行われることを併せて要望します。
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
p.20 第2 6.番号制度の将来的な活用
● 意見内容(1)
本番号制度について、将来的には幅広い分野での利用も目指すとしていることから(第2の2.(p.6))、「番号制度の将来的な活用」において電子収納との連携について明記するこ
とを要望いたします。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
現状、国庫金および一部自治体の地方公金においてペイジーによる電子収納が導入されていますが、電子収納普及を妨げる一つの要因として、納付情報を管理する各官庁・各自治体
のシステムが個別であること、個々の納付情報を識別する番号もそれぞれ別番号体系となっていること、そしてそれらの情報連携の仕組みの整備が不十分なことがあげられます。
番号制度の活用によって、各官庁・自治体の納付情報が紐付けられ、その番号を用いた電子収納(ペイジー)が可能になれば、国民生活の利便性向上に大きく寄与できると考えます。
p.3「(3)制度導入の目的と期待される効果」
p.9「(5)事務・手続きの簡素化、負担軽減に関するもの」
p.21「(2)地方公共団体等との連携」
また、国民個人の「マイ・ポータル」において、納付すべき国税・地方税・社会保険料等が一覧できるようになれば、利便性の向上とともに納付漏れの防止効果も期待できます。
p.44「Ⅸ 自己情報の管理に資するマイ・ポータル」
なお、ペイジーについては、以下のサイトで概要の説明をしております。ご参照ください。
http://www.pay-easy.jp/(一般利用者向けサイト)
http://www.jampa.gr.jp/(導入企業・団体向けサイト)
● 意見内容(2)
国庫金等の電子納付の際に、あらかじめ官公庁から発行された収納機関番号・納付番号・確認番号が必要となりますが、今後、
「番号」又は「法人番号」の記載等も要する場合は、関
係者との事前協議も含めた早期の検討開始、具体的な内容の提示をしていただくよう要望いたします。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
ペイジーでは、利用者利便の向上及び電子化推進の観点から、標準帳票仕様を制定し、それに準拠した納付書・請求書を用いています。ペイジーの標準帳票については、総務省から
自治体に向けて通知文書(平成 18 年 4 月 1 日付け総税企第 88 号総務省自治税務局企画課長通知)が出されており、現在、ペイジー導入済みの自治体だけでなく未導入の自治体もペイ
ジー標準帳票に準拠した様式を採用されています。この標準帳票に「番号」等を記載するにあたっては、収納機関等における事務対応、システム対応等の十分な準備期間が必要となる
ためです。
89
48
福井県保険医
協会
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
p1「第1 はじめに」の「今後、大綱をいわゆる・・・・・準備をすすめてまいりたい。」
● 意見内容
「国民の意見等を伺う」のであれば、パブリックコメントの期間をもっと長くすべきであり、その手段と広報活動を強化すべきである。
税番号導入に反対する。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
この制度の導入は、国民生活に大きく関わってくるものであるにもかかわらず、国はマスコミ以上の広報や意見募集の取り組みを行い、国民にこの大綱と制度導入にかかる意見を広
く求めているとは思えない。
まずは国民の意見を真意に受け止める方策があってこそ、大綱にも書かれている「国民の信頼を高める」ことにつながるのではないか。
そもそも、
「社会保障・税一体改革成案」の一つの柱とされている税番号制の導入は、自助・共助を強調した社会保障改革(そもそもこの時点で社会保障とは考えられないが)ととも
に、社会保障の理念を変質させる「社会保障個人会計」や情報漏洩・プライバシーの侵害等が懸念され、導入には反対である。
●
該当箇所
p6「2.番号制で何ができるのか。(1)よりきめ細やかな社会保障給付の実現」「①社会保障の各制度ではなく家計全体をトータルに捉えて医療・介護・保育・障害に関する自己負担の
合計額に上限を設定する「総合合算制度(仮称)の導入」
● 意見内容
総合合算制度(仮称)の仕組みは、経団連など経済界が提唱する「社会保障個人会計(仮称)」にほかならず、社会保障費の総額管理による公的給付の縮小、医療費抑制、医療市場化
の恐れが高く、導入に反対する。
● 理由
番号制は、そもそも国民が望んでいる制度なのか。社会保障・税一体改革成案において、低所得者対策の強化策として総合合算制度(仮称)の導入を提唱しているが、これは社会保
障の費用・給付と所得を一元管理する仕組みであり、これは経済界が提唱する「社会保障個人会計(仮称)」そのものである。
日本経団連は、2004 年 9 月に「社会保障制度等の一体的改革に向けて」の提言の中で「社会保障個人会計の導入」を掲げ、「財産相続時における、社会保障受給額(特に年金給付)
のうち、本人以外が負担した社会保険料相当分と相続財産との間で調整を行う仕組みも検討すべできある」とし、死亡時に財産が余っているのは、保障が手厚すぎたと判断し、死後清
算で遺産・相続財産から給付金を回収することも考えている。
経済産業省(産業構造審議会基本政策部会)の社会保障改革に関する主な意見(2011 年 5 月)では、年金について「自宅を担保として一定金額を毎年借入、死亡後に自宅を売却し負
債を返済するリバースモーゲージ制度の利用を促進すべき」との意見も出されている。
また、5月 29 日の番号制シンポジウム in 東京での質疑において峯崎内閣参与は「国家管理の一元管理への懸念という問題については余り触れられておりませんので、メリット、デ
メリットの最初のところなのですが、これは逆に使われることもあるのではないかと。率直に申し上げて、それは政治の問題だと思うのです。社会保障を充実させていくのか、あるい
は考え方によっては小さい政府に持っていって社会保障は自立自助でいったほうがいいのだというふうに思っている人たちが政治の実権を握った場合には、そちらに行くだろう。 そう
いう意味で言うと、それはシステムの問題ではなくて、主として我々が選んでいく政治の価値観の方向をどう選択するかというところに実は問題は帰着するのではないでしょうか。そ
ういった意味でいつでもきちんと低所得者層に、我々は今の段階では、税金を払っていないような人にもマイナスの所得税、すなわち給付つき税額控除を適用するようことができない
だろうといったような方向に今舵を切ろうとしているわけでありまして、ある意味では、番号制度が入ることによって、そういうことができる可能性が開けてくるという点は一つ大き
いポイントではないのだろうかと私は思っています。
」と発言している。
この発言は、換言すれば「政治の方向如何で番号制の利用方法も如何様にも変わる」と言える。
社会保障は、個人ベースで帳尻を合わせるようなものではない。
「給付と負担」のバランスを考えることは、長期疾病や難病患者、障がいを抱える人などが負担に比べて給付が多いと
いう理由で、社会保障制度から排除されかねない恐れがある以上、番号制の導入には反対である。
●
該当箇所
p6~「2.番号制で何ができるか」
「(1)よりきめ細やかな社会保障給付の実現」
「②高額医療・高額介護合算制度において、自己負担限度額の上限に達した場合、国民が医療機関や介
護事業者に費用を立て替えることなく、その後の医療・介護サービスを受けることができるようにすること」「③給付過誤や給付漏れ、二重給付の防止。具体的には・・・・」
● 意見内容
現行制度の改善や変更によって同様のサービスや業務改善ができないのか。その理由を明確に述べるべきである。
● 理由
90
現行の制度の改善や変更によって同様のサービスや業務改善ができるのであれば、番号制導入による費用の発生、情報漏洩などのリスクは削減できる。現行制度では不可能であると
いう理由をはっきりと述べるべきである。
●
該当箇所
p11「②医療機関における保険資格の確認」「医療機関におけるオンラインでの医療保険資格の確認を可能にすることにより、レセプトへの資格情報の転記ミスや保険者の異動情報が
確認できないこと等により生じている医療費の過誤調整事務が軽減でき、医療機関・審査支払機関・保険者等における事務コストを削減できる。」
● 意見内容
医療機関に対し、実質的に電子化、オンライン化を強要することに他ならない。保険者異動にかかる事務手続き等の責務は保険者にあるものであり、医療機関の事務コストを論ずる
以前の問題である。
● 理由
保険資格の確認をオンライン化することは、医療機関の電子化、オンライン化を強要することにほかならず、IT に対応できていない医療機関を廃業に追い込むことになる。2009 年に
は全国の開業保険医約 2200 名が国を相手に起こした「レセプトオンライン請求義務化撤回訴訟」は記憶に新しく、政府は番号制の導入によって同じ過ちを繰り返そうとしている。医師
不足が深刻な問題となっている現状において、医療機関の淘汰につながる恐れのある制度を導入すべきではない。
また、被保険者の保険者異動にかかる事務手続き等については、保険者の責務であり、異動後速やかに手続きを行い、被保険者証の回収を行うことに努力を傾けるべきである。保険
医療機関は保険医療機関及び保険医療養担当規則第3条によって、患者の被保険者証で資格確認を行うことが規定されているだけであり、資格喪失等による医療費の過誤調整事務は担
当外である。しかし、現状では保険者の被保険者証の回収の遅滞等によって患者が旧被保険者証を持参して受診するケースが少なくない。その際、保険者は当該患者のレセプトを保険
医療機関に返戻し、医療機関に過誤調整を押しつけるという対応がとられることが多々ある。いわば本来、保険医療機関がやらなくてもよい事務処理をやらされているのが実態である。
こうした現状から考えれば、過誤調整の事務軽減は保険者側のメリットであり、医療機関は「被っている迷惑」が解消されるかもしれないのであって、メリットは皆無である。正確な
記載をしていただきたい。
●
該当箇所
p11~「
(4)本人の同意の取扱い」
「・・・・医療・介護等のサービスの充実や質の向上は、国民生活の充実に直結するものであり、番号制度の下でできる限り多くの場面で用いるこ
とができるようにすべきである。」
● 意見内容
番号制のもとで医療、健康、介護分野にかかわる秘匿性の高い情報を扱うべきではない。
● 理由
まず、「社会保障・税一体改革成案」のある「自助」「共助」を主とした社会保障制度下において、「国民生活の充実に直結するもの」となりうるのか。はなはだ疑問である。
医療・介護にかかる個人情報は、個人の生命・身体・健康に関わる極めて秘匿性の高い情報が多く含まれている。番号制はあらゆる場面での利用が想定されていること、また将来的
に民間事業者への利用にまで範囲を拡大することを視野に入れていることから、ハッキング・なりすましなどによる情報漏えいのリスクが高まり、漏えいした際の国民が受ける不利益
は計り知れない。
極めて秘匿性の高い個人の情報については、特定の法律・制度のもとで厳格なルールに則って管理・運用すべきものであり、国民個々の同意を条件とすることはもちろんのこと、制
度導入に対する国民全体の理解がまず必要不可欠である。
現状において、いくら利便性や合理性を説かれても、社会保障・税一体改革成案にある社会保障の構想をみると、他の大きな目的があるとしか思えず、期限ありきで導入を検討され
ていること自体に反対である。
49
大分県歯科医
師会
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
全般
● 意見内容
この制度は、年金、医療介護などの個人情報が行政間でスムースな連携ができ、税の公正、所得の適切な配分には効率的であることは認めます。
一方事務手続きなどの効率化と引き換えに、大事な個人情報が個人の監督外で、国の一元管理により利用されることが懸念されます。
システムの不備等で、個人情報の漏えいも危惧されるところです。
以上の対策が大綱に示されていますが、慎重を期すためにもまだまだ議論が必要であると考えます。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
91
税制上の守秘義務がある所得情報の提供を可能にする立法処置の整備も必要。
海外でも報告があるが、「なりすまし」への対策が見えてこない。
個人資産、病歴等を国が管理することへの不安を拭いきれない。
50
栃木県保険医
協会
当会は、社会保障と税に係わる個人情報を国家が一元的に管理する「共通番号制」は、社会保障の理念を変質させる「社会保障個人会計」や情報漏洩・プライバシー権侵害などが懸念
され、反対です。
以下、大綱の問題点を示し、「共通番号制」創設に反対の意見を述べます。
1. 番号制は、あくまで社会保障と税の範囲に係る制度案です。IT戦略本部において検討中の「「国民ID制度」と、番号制の情報連携基盤を流用する点など関連・共通していますが、
制度及び制度に係る法律は異なるものです。他分野、他の制度、それも検討段階のものと混同した記述は、「番号制=国民ID制度」といった大きな誤解を国民に与えかねません。
また、不正確な理解のまま制度が導入された場合、現場での無秩序な利用・運用を生みかねません。さらに、2018年度を目途とした番号法の見直しの際に「なし崩し的な利用
範囲の拡大」が検討されていくのではないかと危惧します。
5月29日に東京で開催された番号制シンポジウムのフロア質疑において、峰崎内閣参与は以下の発言をしています。
「国家管理の一元管理への懸念という問題についてはあまり触れられていませんので、メリット、デメリットの最初の所なのですが、これは逆に使われることもあるのではないか
と。率直に申し上げて、それは政治の問題だと思うのです。社会保障を充実させていくのか、あるいは考え方によっては小さい政府に持っていって社会保障は自立自助でいったほう
がいいのだというふうに思っている人たちが政治の実権を握った場合には、そちらに行くだろう。そういう意味で言うと、それはシステムの問題ではなく、主として我々が選んでい
く政治の価値観の方向をどう選択するかというところに実は帰着するのではないでしょうか」
この発言は、言い換えれば〝制度の方向いかんで番号制の利用方法がいか様にも変わる〟と解釈できます。また、政府の議論が番号制の導入理念・目的よりも番号制システムの導
入を優先させるという状況とも受け取れます。
社会保障の基本は憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」であり、いくら政権交代をしようとも変わらぬ国民の重大な権利です。番号制は、政治権力に濫用さ
れない確固たる理念・目的によって検討すべき制度・システムであるべきものであり、その確固たる理念・目的が定まらない以上、番号制の導入には絶対反対です。
2. 政府は大綱、社会保障・税一体改革成案において、低所得者対策の強化策として総合合算制度(仮称)の導入を提唱していますが、これは社会保障の費用及び給付と所得を一元管
理する仕組みで、経済界が提唱する「社会保障個人会計(仮称)」そのものです。
2004年9月の日本経団連提言「社会保障制度等の一体改革に向けて」で、
「財産相続時における社会保障受給額(特に年金給付)のうち本人以外が負担した社会保険料相当分と
相続財産との間で調整を行う仕組みも検討すべきである」と提唱しています。
しかし、社会保障とは元来社会的な相互助け合いの制度であり、個人単位で負担と給付のバランスを考えるようなものではありません。
「給付と負担」のバランスを考えることは、
負担に比して給付の多い長期疾病や難病患者、障がい者などが、負担に比べて給付が多いとの理由で、社会保障制度から排除されかねません。
3. 社会保障や税に関する個人情報は極めて秘匿性の高いものです。プライバシーは厳重に保護されなければなりません。既存の住基ネットの住民票コードは、行政の事務に相当数利
用されていると言われていますが、十分な機能と権限を有するプライバシー保護のための第三者機関は未だ創設されていません。
レセプトオンライン請求システムでも、患者の病名や治療内容など個人情報を取り扱うにもかかわらず、その保存、削除、消去などの詳細な取り決めがなされずにスタートし、今
日に至っています。今後将来にわたって、電子データ化された個人情報の流出や目的外利用を防止するための具体化は不明確です。
また、
「将来的な活用」として、民間保険会社など営利企業の利活用が示されている点も問題です。生命保険協会は電子データの利用を要求しており、営利企業に利活用される危険
があります。
すでに施行されている住基ネットやレセプトオンライン請求システムなどから、プライバシー保護に関する課題や技術的な問題点を明らかにし、営利を目的とする民間資本による
利用禁止はもちろん、国の使用にも制限を加え、国民がコントロールできる仕組みを作ることが必要です。大綱では、第三者機関の創設や情報漏洩など問題発生時の最終責任を含め
た罰則規定は一定示されていますが、問題発生時の責任の所在や被害者の救済制度は見当たりません。
さらに、番号制度の導入について「本人同意を前提としない」としている点は、自己情報コントロール権の侵害になりかねません。自己情報コントロール権とは、自己に関する情
報を収集、保管、利用、提供するその各段階において、その目的について事前に知らされて検討した上で「同意権」を通じて自己決定する権利です。
本人同意を前提としないということは「同意権」「自己決定権」の形骸化です。
また、情報連携の行う範囲等について政省令で規定することは、国民の知らないうちに重大な事項が決定されることになりかねません。個人情報の取り扱いについては、国民の権
利、生活に大きく関わる重大事項であり、国会の議決による法律によって定めることを原則とすべきです。
4. すべての取引を番号で管理すれば「正確な所得把握」ができるという考え方については、「番号制度も万能薬ではない」と政府自らも認めていることです。
仮に「正確な所得把握」のために番号制を導入するのであれば、利用目的を限定し、公平・公正を期すために、どのよう回避手段も許さない規制や把握した所得に対する総合課税
によって応能負担原則を強化することが必要です。公平・公正の税負担は、納税者番号制とは別の税制改革の課題です。
5. そもそも番号制度を導入している諸外国と日本とでは、歴史的経緯やプライバシー保護に関する問題意識、社会保障や税制度の透明性などの前提が異なります。
92
このような前提を抜きにして、
「共通番号制」創設やIT政策を進めようとしているため、日本ではインフラ整備ばかりが先行し、政府の試算では初期費用だけでも最大6000憶
円を超えるとされています。その導入と維持に係わる莫大な費用についても強く疑問に思うところであり、費用対効果を十分に検討されているとは思われません。
51
株式会社日立
製作所
①将来的な幅広い電子行政サービスへの活用
● 該当箇所: P6 第2 2.番号制度で何ができるのか
● 意見内容: 大綱は、社会保障・税の分野に番号利用の範囲を決定し、制度導入にむけた当面の方向性、及び将来的な広がりとして、幅広い電子行政や官民連携なども視野に入れた
制度であるものと示しています。
ただし、当該箇所の説明において、当面の話のみ項目立てされているので、 (7)として、将来的に高度な行政サービスや事務効率のための幅広い活用などとして、基
盤部分に関する将来的な行政サービス高度化等(「新たな情報通信技術戦略」にて謳われているワンストップサービス等)への活用についても記載してはいかがでしょうか。
● 意見理由: 「社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会中間取りまとめ」に対するパブリックコメント(平成 22 年 7 月 16 日から 8 月 16 日まで実施)では、
「『選択肢Ⅰ「利用
範囲をどうするか」』について」の問いに対し、「C案 スウェーデン型(幅広い行政範囲で利用)」を希望する意見が最も多い結果となっております。
②地方公共団体等の対応事項
● 該当箇所: P21 第2 7・(2)地方公共団体等との連携
P23 第2 7・(4)今後のスケジュール
● 意見内容: 地方公共団体等が、付番された「番号」の国民への通知、関連する既存システムの改修、関連する条例・規則等の改正に係る具体的な検討を推進することが重要と考え
ます。
● 意見理由: 大綱では、2014 年 6 月付番、2015 年 1 月稼動されており、全地方公共団体等が一斉に導入になると、その準備期間も含めて短期間になることが想定されます。
③住基ネット不接続団体への「番号」付番
● 該当箇所: P26 第2 Ⅱ 個人に付番する「番号」
● 意見内容: 「番号」が住民票コードと一対一になるとすれば、住基ネット不接続団体である矢祭町等に対しては、別途「番号」の付番方法等の取扱を整理しておく必要があると考え
ます。
● 意見理由: 現時点では、矢祭町等では住民に住民票コードが付番されておりません。
④第三者機関による監視・監査項目の具体化
● 該当箇所: P38 第3 IV-10.「番号」に係る個人情報へのアクセス及びアクセス記録の確認
P48 第3 XI 第三者機関
● 意見内容: 国民が確認できるマイポータル上からの開示については、P38 アクセス記録の確認として方向性が示されています。しかし、P48 第三者機関による監視・監査については、
方向性が示されていません。第三者機関についても、実施すべき定期監査・随時監査、監視などの機能やその体制等に関する方向性を示すことが重要と考えます。
また、監査の独立性を担保するため、第三者機関と情報連携基盤の運営機関は別組織としてはいかがでしょうか。
● 意見理由: P16 の表中では、国家管理への懸念に対応する制度上の保護措置として「第三者機関による監視」が示されております。しかし、その具体的な監視に係る方向性が示さ
れていません。
方向性となる要件を示すことによって、アクセス記録のあり方やアクセス記録の保管方法・その分析方法などシステム対応としての議論が進められるかと考えます。
⑤連携対象データの標準化
● 該当箇所: P42 第3 Ⅷ 情報連携
● 意見内容: 情報保有機関間では、情報連携基盤を通じて「番号」に係る個人情報の提供をすることができると認識しています。情報連携するデータフォーマット名やデータフォー
マット構成、そのデータ項目(項目名、属性、桁数など)の標準化が必要かと考えます。情報連携を効果的に行うため、情報連携する電子的フォーマットの全国的な共通
化の整備推進を明記してはいかがでしょうか。
● 意見理由: 情報連携基盤を通じて連携される「番号」に係る個人情報には、例えば所得証明書情報があります。地方公共団体毎に独自データフォーマットで運用されていることも
93
あり、情報連携基盤で情報交換を行う際は、データフォーマットやデータ項目及びその項目の意味などが標準化されていないと正しく業務連携できないと考えます。
また、
「新たな情報通信技術戦略(平成 22 年 5 月 11 日)」P.5 ⅳ)においても、
「行政手続に係る電子的フォーマットの全国的な共通化や企業コードに係る政府・地方自
治体の行政機関間・官民間の連携、地方自治体相互間における標準仕様を活用したバックオフィス連携と業務プロセスの改革等を推進する」と記載されています。
⑥マイ・ポータルの安全対策
● 該当箇所: P44 第3 Ⅷ 2.機能
● 意見内容: マイ・ポータルは、国民へのオープンなネット窓口になるものと認識しています。個人に必要な機能(①~②)を実現することはもちろんではありますが、国民が安心・
安全で継続的に利用するための機能(各種サイバー攻撃対策、内部攻撃)も検討することが重要と考えます。
● 意見理由: 昨今では、グローバルでのサイバー攻撃や内部からの攻撃等も事案として発生しているため、IT に不慣れな利用者を守るためにも安全保護対策も必要かと考えます。
⑦第三者機関の監査範囲
● 該当箇所: P48 第3 ⅩI 1.(2)ウ
● 意見内容: P48( Ⅷ 1.(5) )にて、”情報連携に関連する業務”について監査を受ける旨の記述がされておりますが、現記載の監査の範囲だけでなく、必要に応じて情報保有
機関内も一部対象とすることも可能としてはいかがでしょうか。
● 意見理由: P42 Ⅷ 1.(5)にて、「情報連携基盤の運営機関及び情報保有機関は、情報連携に関連する業務に携わることができる職員をあらかじめ限定し、関係する端末やデー
タベースへのアクセスを適切な方法により制御するとともに、事後的な当該機関内又はⅩⅠの委員会等による監査を受けるものとする。」と記載されています。
⑧第三者機関の監査時期
● 該当箇所: P50 第3 ⅩI
2 (3)ア
● 意見内容: ①稼働前だけでなく、連携業務の見直し時等に適宜監査する環境整備が必要と考えます。
②情報連携の行為を監査するに当り、”随時”だけでなく”定期的な監査”が必要ではないでしょうか。
● 意見理由: 監査結果の国民への報告等を定期的に実施するなど、透明性の確保に関して、第三者機関が行政の連携事務を正しく監査するということを国民にアピールすることが重
要ではないでしょうか。
⑨個人事業主等への「法人番号」の付番
● 該当箇所: P53 第3 ⅩⅢ 1.付番
● 意見内容: 付番対象として、大綱に記載された 4 つの条件を満たす法人の他に、個人事業主等に対する付番も検討してはいかがでしょうか。
● 意見理由: 様々な用途での自由な利活用が可能な「法人番号」は、ビジネス活性化に大いに寄与すると考えます。しかしながら、個人事業主を識別する手段が事業主個人の「番号」
しか存在しないと、例えば、各種情報提供等のサービスを受ける場合、従業員が個人事業主自身の「番号」を知る必要が出てくるため、個人情報保護の観点からの課題等
が出てくると考えられます。従いまして、個人事業主に対しても、事業主個人の「番号」とは異なる、自由な流通・利活用が可能な「法人番号」の付番を検討することも
重要と考えます。また同様に、申告義務のない団体等であっても経済活動を行う主体に対しては、「法人番号」を付番することが重要と考えます。
⑩「法人番号」及び法人等基本3情報の活用方法
● 該当箇所: P54 第3 ⅩⅢ 4.検索及び閲覧
● 意見内容: 法人番号及び法人等基本3情報の公開については、検索、閲覧できるサービスをホームページ等で提供する場合、検索、閲覧した結果を取得するといった活用の形式・
手段も重要かと考えます。
● 意見理由: 法人番号を自由に流通させることができ、官民を問わず様々な用途で利活用するための、検索・閲覧結果を取り込むといった活用の手段や形式の検討も重要かと考えま
した。
52
わたしたち生
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
94
活者のための
「共通番号」推
進協議会
●
P13 (2)情報連携
P15、① 国家管理への懸念、② 個人情報の追跡・突合に対する懸念について
意見内容
情報連携とは具体的に何を表すのか明確にすべき。
まず、連携の範囲として情報保有機関をどのように定義するのか。自治体に関連するものだけでも、市立病院、県立病院、学校などは別とするのか、一部事務組合などは統合するの
かなど、多様な定義が考え得る。
次に、マイナンバーによって突合されている状態と、情報連携基盤を用いて連携される状態の違いを説明すべき。いわゆる「番号」に係る個人情報と、情報連携の対象となる個人情
報の違いを明確にすべき。
「番号」を用いるが、連携基盤を用いない事務はあり得るのか、また、その逆の「番号」は用いないが連携基盤を用いる事務はあり得るのか。
確定申告書などは情報連携ではないとの定義であるが、他にどのような業務が対象となるのか明確にすべき。
国民に不安を与えないためにも、どの範囲、内容で情報連携するかを明確にし、「情報連携」で個人情報を一元管理されるとの懸念に対して十分な説明を行うべき。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
情報を連携するには、情報保有機関は連携用番号を個人情報に対応づける作業が必要。それだけのメリットがあるのか、業務のケースなどを挙げて説明すべき。
また、国民に理解を得るためにも具体的な国民の利便性向上などのメリットをより明確すべき。同時に、見える番号、見えない番号など国民に理解しにくい部分についても十分な説
明を行い、理解を得る必要がある。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P21 (2)地方公共団体との連携
● 意見内容
地方公共団体との連携に当たっては、国と地方の業務範囲、業務プロセス、責任範囲、コスト負担などの具体的な内容を明確にするため、実務者等が入った国と地方の協議の場を早
急に設置すべき。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
実務者レベルの協議による実現性の検証が不可欠である。
番号制度の運用においては地方公共団体の協力が不可欠であり、想定スケジュールの範囲内で地方公共団体が必要な検討を行い、準備を完了させるためにも双方の意思疎通、決定は
欠かせない。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P17、注釈13の「幅広い行政分野における情報連携」
● 意見内容
現状では民間分野への拡大は明言されていない。しかし、行政サービスの多くは行政単独で実現するものではなく、特に医療・介護・年金・雇用など社会保障分野においては、民間
企業との協力の下、実施するものが多く存在している。そして、そこで民間の役割は非常に大きいものがある。
そのような事情を考慮すると、民間との情報連携なくして住民サービスの向上、行政事務効率化は望めない。地方における社会保障関連の財源不足・人材不足などを鑑み、行政分野
だけでなく、民間分野も視野に入れた情報連携をすべきである。
番号法の見直しも 2018 年では遅く、早急に民間分野も含めた番号法の改正について検討を進めていくべきである。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
下記資料では災害時における番号の利用について検討しており、民間分野における活用が不可欠となっている。平時においても同様な使い方がなされていなければ、いざ災害が起こ
ったときに活用できない可能性がきわめて高い。
『災害時における共通番号の活用』に関する提案(2011.6.20 わたしたち生活者のための「共通番号」推進協議会)
http://activity.jpc-net.jp/detail/21th_productivity/activity001034/attached.pdf
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P48 第三者機関
95
●
意見内容
「内閣総理大臣の下に、番号制度における個人情報の保護等を目的とする委員会を置く」という記述のみであり具体的な設置方法が不明確である。第三者機関には十分な独立性が不
可欠である。
諸外国のプライバシコミッショナー制度などと同様に、国家行政組織法 3 条および内閣府設置法 49 条・64 条に規定されるような独立性の高い組織、いわゆる三条委員会のような組
織とすべき。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
個人情報の保護やプライバシ保護の観点から、第三者機関は情報保有機関からは独立し、中立的な立場で活動しうる存在でなければならない。
地方公共団体も中央省庁も情報保有機関の一つであり、第三者機関はこれらから独立した存在である必要がある。十分な権限のもとで活動し、国民のプライバシ保護に対する懸念を
払拭すべきである。
さらに、EU の取り組みなど諸外国の状況を考慮しても日本国内に十分なプライバシ保護機関が存在することはネットワークを介した国際的な経済活動の円滑な実施の上でも不可欠の
ものと考えられる。
53
プライバシ
●
ー・アクション
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
全体に関わる意見となりますが、主に「第2 基本的な考え方」を取り上げます。
意見内容
1 社会保障・税番号制度の前提となる政策、制度が全く確立していないうえ、近い将来に確立できる展望も無いなかでの番号制先行導入に反対します。
2 仮に目的とする社会保障・税制度改革を実現できるとしても、その実現のために共通番号制度は必須要件ではないので、共通番号制度自体の導入には反対します。
3 原発震災と同様、技術およびそれを操作する人間に100%絶対安全ということはあり得ず、一度間違いや事故を起こしたら、取り返しのつかないことになり、そういった観点か
らも、個人情報保護および人権擁護にとって極めてリスクの大きい共通番号制度および国民IDカードシステムの導入には反対します。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
1 項目ごとに反対の理由を述べます。
(1)所得の把握が大前提とされていますが、果たして可能なのでしょうか。
① 「所得等の把握」と簡単に触れられていますが、そのためには国税庁、税務署職員の大増員が必要になります。現状、国税については申告を必要としない方がおそらく全国で
500万人とか1千万人はいると思われます。その方々全員が確定申告をすることが必要となります。外部委託化するとしても、徴税コストは大幅にアップし、費用対効果の観
点からも無謀な計画といえます。
② ①をクリアして実施したとしても、所得の把握が完璧になるのは、給与所得者が大半で、さらには低収入の非正規労働者などからも容赦なく徴収する、など本来目指されてい
た不公平税制の是正にはつながりません。お金持ち、高額所得者への適正課税は夢のまた夢ではないでしょうか。問題は、税制の抜本的改正であり、共通番号制度と納税者番号
制度の導入で解決するかの幻想を振りまくのは止めていただきたいのです。
(2)社会保障の充実どころか、むしろ抑制や「弱者切り捨て」が進むのではないでしょうか。
① 今回の大綱には具体的表記はされていないものの、政府・与党が提唱している「給付付き税額控除」を導入するには、現在の扶助費(生活保護関連経費など)を数倍上回る福
祉予算が必要となります。今回は、家計全体をトータルに捉え、保健・福祉・医療支出の上限を設定する「総合合算制度」を導入するとしていますが、これも同様です。
ア) その財源を一体どこから捻出するのか、その議論、検討、政策化が無い中での総合合算制度の提案は、絵に描いた餅であり、詐欺的提案でしかありません。
あたかも社会福祉が充実するかのような幻想をばら撒くことは許されません。
このままでは大衆課税である消費税の税率大幅引き上げしか可能性はなく、まずはそういった負担と給付との関係についての政策提案をしてから番号制度の導入論議をす
べきです。
ウ) このように政策なき番号制度導入が進むと、結果としては旧政権や財界が提唱していた「社会保障個人会計」と同様、社会保障費の総額規制および世帯、個人単位での抑
制が進むことにつながります。
② 「真に手を差し伸べる者」という言葉が使われていますが、その対象が規定されていません。例えば生活保護申請の窓口で申請すら受けられず放置された方、要介護認定で漏
れた方などなど、基準すら示されず、一種「情緒的」表現が繰り返されていることに危惧を感じます。結果として対象者の精査、いや選別が進むのではないでしょうか。
「総合合算制度」は、かつての経済財政諮問会議や日本経団連などが提唱してきた「社会保障個人会計」と、どこが違うのか、明確にかつ具体的に説明していただきたいと思
います。
(3)災害時の活用を何故突然加えたのでしょうか
「要援護者リスト作成、更新」
「本人確認」
「医療情報活用」
「生活再建支援」ともっともな理由が並べられています。この項については、各方面からのご批判が多数寄せられてい
ると思いますが、ひと言で「現場を知らない」政治家と官僚の作文としか思えません。
「自己の4情報と番号を告知」ということは、番号をすらすらと言える人がどのくらいいるの
かと考えていらっしゃるのでしょうか。そうでないとすれば、国民IDカード的なものを常時、まさに就寝時も当然に外出時も携帯していることが前提となります。IDカードの
96
常時携帯を義務付けるということでしょうか。
また、医療情報の活用では、災害時の大きな混乱の中で、情報流出の危険性は高まりますから、むしろ避けるべきではないでしょうか。
その他も同様、絵に描いた餅的な提案をすべきではありません。
(4)自己情報を自宅で確認できる、ことにどのくらいの意味があるのでしょうか
金融機関のインターネットモバイルバンキングや航空会社のマイレージサービスなど、個人のパソコンや携帯サイトから自己情報を入手、活用する機会が増えていますし、上手
に活用すれば便利であることは事実です。しかし、国が公的サービスとして実施するものとして、どの程度活用されるのか、この間の電子的サービスの経過からして疑問符が付き
ます。システムは、使い勝手つまりメリットがあるから利用頻度が上がるのであり、前記したサービスと比べ、本システムの利用頻度が高くなるとは思えません、根拠を示してい
ただきたいものです。
また、情報格差が大きく、未だにパソコンを所有していない、操作出来ない方々が多数に上っているのが現実であり、このサービスが共通番号制度導入のインセンティブになる
とは思えません。
この項については、他の項と比べても具体例が列挙されていることが、逆に気になります。これだけの行政サービスに活用できるから、有益な制度ですよ、とアピールしたいと
いう意図が透けて見えます。これについては、まず、住基ネットのきちんとした検証を実施、報告するべきです。年金業務以外にほとんど利用されていない現行の住基ネットをど
う見ているのでしょうか。
また、これは各種サービスに関するポリシーの違いかと思いますが、負担と受益ということからも、受益について原則は申請主義と考えています。申請主義を前提とすれば、受
益当事者あるいは代理者は、各種サービスの窓口と直接やりとりすることで、サービスの内容やそのメリット・デメリット、制度的是非などを知ることになります。こういったや
りとりの中の一部分に所得・納税証明書や住民票・記載事項証明書などは含まれており、そこだけ省力化されたとしても、大きなメリットとはいかないのではないでしょうか。
(5)医療・介護等のサービスの質的向上は、番号制度によって実現するといった課題ではない
自治体が所管している保健情報、医療機関の診療情報、医療・検診・研究機関が進めている医療の向上などを一括して論じている乱暴な項です。例えば、2009年に全国的に
大きな問題となった「レセプトオンライン請求義務化」などは、小規模・個人医療機関の死活問題に直結していましたから、問題とされたのです。
その他現場サイドでは大きな課題が山積していますが、そういった現状を提示せず、あたかも多くの課題が解決出来るように幻想をばら撒く点では、この項も同様に乱暴な提案
です。ひと口に「保健」
「医療」「福祉」といっても、それぞれの制度には様々な機関、組織が関わり、一つひとつに様々な課題を抱えていますが、一体、この大綱の起案者は、ど
こまで現実、現場を把握したうえで提示されているのでしょうか。
2 あり方としての批判意見
(1)我が国の理念
従来は高額所得者の所得把握目的、今回は、社会保障給付、行政サービスを適切に受ける権利を保障することが目的であり、
「本当に困っている国民を支えていくための社会イン
フラ」として設計したとされています。
このことこそが、最も国民的に議論されるべき課題であり、番号制度が先にあるわけではありません。番号制度の導入が、あたかも公平・公正な社会を実現するかの如き幻想を
ばらまくべきではありませんし、技術が政策、制度に先行する、あるいは技術が政策をリードすることは、技術の思い上がりであり、これまでの原子力政策ひとつをとっても言え
ることです。
(2)実現すべき社会
公平・公正な社会、社会保障がきめ細かに、行政に過誤・無駄がない、利便性、国民の権利と自己情報コントロールできる社会と導入の理由が述べられています。
再三にわたって述べますが、問題なのはどういった政策と制度を採用するかにあり、そこの議論や具体化が無いなかで、ツールとしての番号制度を先行して導入すべきではあり
ません。番号制度は、時の政府によっていかようにも活用できるわけであり、国家と国民との信頼、すなわち政策的合意なくして導入することは、極めて危険です。
社会保障と税の一体改革で、真に手を差し伸べる者たちを救済すると公言しましたが、それらを実現する政策はすべてと言っていいほど破綻しています。年金改革、歳入庁設置
構想、給付付き税額控除などすべてはお題目にすぎなくなっているのが現状です。
(3)即刻中止し、出直しを求めます
番号制度の一人歩きはだめです。即刻中止し、政策と制度を整え、国民・市民に信を問い、国民的議論を経て、そのうえで番号制度の可否を問うべきです。
54
奈良県保険医
協会
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
「第2 基本的な考え方」の「1.番号制度の導入の趣旨」の「(1)背景」について
● 意見内容
「このような時代背景に鑑みれば、従来以上に、社会保障と税を一体として捉え、
」とあるが、ことさらに「社会保障と税を一体として」捉えなくてはならない必然性はない。共通番
号のもとで管理することが、効率性や二次利用など、国民の個人情報の一元的な管理と利用に適するという、政府から見た情報管理上の意図に資するほかに、国民にとって重要で真に
有益となる面があるのか疑問である。それよりも、共通番号のもとで管理されることで生じるデメリットを考慮すれば、結論ありきの恣意的な背景説明であり、不当である。
97
●
理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
共通番号制度の必要性の背景説明が、国民をミスリードするおそれがあるから。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
「第2 基本的な考え方」の「1.番号制度の導入の趣旨」の「(2)課題」について
● 意見内容
「国民がこれまで行政に対して抱いてきた不満は、国民一人ひとりが公平・公正に扱われているだろうか、自分の納めた税金や保険料にふさわしい社会保障給付がきめ細やかに、か
つ的確に行われているだろうか、自分の権利がしっかりと守られ、そのことを自分の目で確認することができるだろうか、といった点において、必ずしも十分な制度が構築されてこな
かったことにある」と指摘している。これは、番号制度によって解決されるべき課題として認識されているものと読めるが、徴税額や給付内容などへの不満は政策面に対するところが
大きいのではないか。国民の不満の内容を一面化している。さらに、ここで指摘された不満は、IT や番号制度によらずしても行政執行の工夫において解決が図られるべき課題である。
さらに、この課題が共通番号によって解決するとも、必ずしも言えない。ここでも恣意的な課題設定と説明であり、不当である。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
共通番号制度が求められる課題の設定・説明が、国民をミスリードするおそれがあるから。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
「第2 基本的な考え方」の「1.番号制度の導入の趣旨」の
「(3)制度導入の目的と期待される効果」について
● 意見内容
1) 「番号制度の目的は、正確な本人確認を前提に、3.
(1)で定義する「番号」
(以下「番号」という。)を活用して所得等の情報を把握し、それらの情報を社会保障や税の分野で効
果的に活用するとともに、IT化を通じ効率的かつ安全に情報連携を行える仕組みを国・地方で連携し協力しながら整備することにより、国民生活を支える社会的基盤を構築するこ
と」としている。
しかし、個人情報保護の観点から、実現に向けての難易度も高く、極めて重大な危惧があるため、このような「社会的基盤」を、現段階で実現をめざして具体化を図ることそのも
のに到底賛成できない。
想定される番号制度においては、情報の真正性・安全性(漏洩の絶対的防止)・不当利用の防止等が決定的に必要な条件だが、いずれも不安が残る。
2) 「このような番号制度の活用により、所得情報の正確性を向上させることができ、それをベンチマークとして、社会保障制度や税制において、国民一人ひとりの所得・自己負担等
の状況に応じたよりきめ細やかな制度設計が可能となり、ひいてはより適切な所得の再分配を行うことができるようになる。また、低所得者対策として、医療・介護等に係る自己負
担を抑制するための2.(1)①で定義する「総合合算制度(仮称)」を導入することも可能となる。その結果、真に手を差し伸べるべき者に対する社会保障の充実や、負担・分担の
公正性の確保、各種行政事務の効率化が実現できる。
さらに、IT化された情報連携システムの範囲をより拡大した場合には、自らの利用する医療・介護等の社会保障サービスに関する情報の入手・活用が可能になるとともに、様々
な手続の簡素化やオンライン閲覧等行政の電子化にもつながるものであることから、国民の利便性の更なる向上も実現できる。2 また、個人の匿名性を確保した上で診療情報等の二
次利用を行えば、医療統計データの効率的な収集が可能となり、医学の向上にも資することとなる」と述べている。
しかし、そのようなメリットのみがすべて享受できるとは思えない。
さらに、福島第一原発の事故をめぐる国の対応を見ても明らかなとおり、重要な情報は国民に隠蔽され、国民生活の安全は保障されず、システムの評価や運用、規制、被害回復な
ど、あらゆる角度から失敗を積み重ねているといっても過言ではない。最も高度な安全対策が求められる分野でさえこのような政府であり、その信頼は地に落ちている。国民の高度
な個人情報を一括して管理できる社会的基盤を、現在の政府に安心して委ねることは到底できない。
特に、医療にかかわる個人情報の利用も想定されるところにおいては、第一線で医療を担う保険医の団体として、番号制度が診療情報の二次利用などプライバシー面で、あるいは
営利的な利用にも道が開かれるなど、患者・国民の利益を損ない、脅かす制度になることも懸念されるので、より慎重にならざるをえない。
よって、国民生活上の利便性のみを強調する「期待される効果」には、とても同意できない。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
共通番号制度の目的も、期待される効果も、内容に同意できるものでなく、国民をミスリードするおそれがあるから。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
98
大綱の全体にわたって
● 意見内容
現時点で、創設へ向けた具体化に反対である。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
「共通番号制」が今、国民にとって本当に必要な制度なのか、そして国民に支持されているのか疑問である。そして、現段階では、我々にとっては問題点の懸念が大きく、それが国
民のなかでもほとんど知られず議論もされているとは言いがたいから。
55
狭山民主商工
会
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
① よりきめ細やかな社会保障給付の実現(P6)
② 番号制度の限界(P19)
● 意見内容
① 共通番号制度がなくても、社会保障給付の実現は可能
② 番号制度が完全でないことを認めており、それ以上の大きな意義があるとは思えない
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
① 税金の分野でいえば、国税庁の国税総合管理(KSK)システム、地方では、住民税・国保料(税)のIT導入はされており、世帯・個人の所得確認は可能なはずです。社会保障
の充実については、大企業・大資産家優遇税制をただす・無駄な大型公共事業などを削るなどで、可能です。特に、法人税率を平成9年の法人税率の水準に段階的に戻す、所得税・
住民税・相続税の最高税率も平成9年の水準に戻す、
「研究開発費減税」などの大企業優遇税制をただす、証券優遇税制を廃止する、不要不急の大型公共事業を中止延期する、政官財
の癒着や特権による浪費をなくす、軍事費を大幅に削減する、政党助成金を廃止する、等で、充分可能であると思います。
② 番号制度は、とにかく個人情報、プライバシーの侵害の観点から大変危険です。
最近日本有数の企業ですら個人情報を流失させた件、ひとつをとってみても、この制度によって、個人が大変な被害を被る可能性が高いことを示しました。
また、本当に社会保障を必要としている人が、税金の滞納、保険料の滞納によって真っ先に調べられ、病院の診療が受けられない事態も起こりうるので、この共通番号制度は反対
です。
56
慶應義塾大学
ネットビジネ
スイノベーシ
ョン研究コン
ソーシアム
●
該当箇所
P.2 第 2 基本的な考え方
全般
● 意見内容
情報連携の仕組みは不可欠であり、その基盤を構築しようという取り組みを推進するべきである。ただし、具体的な制度設計に関しては、下記に列挙する他の意見も踏まえたうえで
十分な議論が必要である
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
国民にきめ細かく公正なサービスを提供する観点からも、行政の効率を高める観点からも、プライバシーに配慮しながら、各機関の保有する個人や法人にかかわる情報を連携させる
必要性は高く、その基盤を構築しようという取り組みは重要であり、推進するべきである。特に災害時などにおいて、迅速かつ公正にサービスを提供するための取り組みは速やかに進
めていく必要がある。ただし、具体的な制度設計に関しては、下記に列挙する他の意見も踏まえたうえで十分な議論が必要である
●
該当箇所
P.14
4.安心できる番号制度の構築
P.20
6. 番号制度の将来的な活用
● 意見内容
国民によりよいサービスを提供するためには、医療機関やさまざまな公共的サービスを提供する民間企業までが、プライバシー配慮の上で情報連携の輪に参加しうる枠組みを用意し、
早期実現にむけて推進すべきである。
● 理由
たとえば、民間事業者がサービス提供する際に顧客の属性確認の必要があるとき、当該民間事業者からの照会によって、正確に個人の存在確認や年齢認証などができる基盤を官が提
供する仕組みがあれば、民間事業者が「番号」を入力する必要がなく、かつ保持する個人情報を最小限にした上で、マネーロンダリング防止、青少年保護、個人情報保護の向上に資す
るといった利点がある。その観点からも民官システムの連携の必要性は高い。
99
●
該当箇所
P.44 Ⅷ 情報連携
4.情報連携基盤の運営機関
情報連携基盤の運営機関の具体的な組織の在り方については、引き続き検討する。
● 意見内容
マイポータルの運営は民間に開放すべきである。
● 理由
大綱では運営機関を情報連携基盤と同一のものとすると記されており、マイポータルを官が運営することを示唆している。官「も」運営することを必ずしも排除するものではないが、
民間参入ができることを制度的に明記するべきである。
●
該当箇所
P.14 3 (3) 本人確認
P.45 X マイ・ポータルへのログイン等に必要な IC カード
● 意見内容
IC カードなどの個別技術ではなく、目的や要件を整理すべきである。
● 理由
マイポータルへのアクセスに IC カードを使うなどの記述が見られるが、必要とされるセキュリティレベルに応じた適切な手段を用いることが適当である。同じく、IC カードへの保
険証機能の一元化が書かれているが、このような具体的実装を書くことが、後の足かせとなることが想定される。法案化にあたっては、個別技術ではなく、達成したい目的や要件を示
す方式にすべきであり、かつそれが適切なものであることを検証するために、透明性を以て投入されるコストとその内訳の根拠を開示すべきである。また、必要とされるセキュリティ
レベルによって、採用する認証方式などをかえて、たとえばスマートフォンを通じて、民間が運営するマイポータル上で自分の年金記録を確認する、といったことが可能となるように
すべきである。
●
該当箇所
P.21 7. 今後の進め方
● 意見内容
現場(特に自治体)の声を反映させるべきである。
● 理由
制度の実際の運用にあたっても、情報連携基盤を活用し発展させるにあたっても、自治体をはじめとする現場が大きな役割を果たす。関与する国・地方公共団体による責任の明確化
をはじめ、制度的には小さく見える決定が、現場には大きな影響を与えることが多々あり、地方公共団体に費用負担が発生する部分があるのであれば、それを明確化したうえで、その
声をあらかじめ十分に聞いておくことが重要である。
●
該当箇所
P.6 2. 番号制度で何ができるのか
P.36 VI 「番号」に係る個人情報の保護及び適切な利用に資する各種措置
P.50 XII 罰則
● 意見内容
リスク負担とコスト負担を民間にしわ寄せするシステム化に反対する。
● 理由
税に関する番号制では、税務当局が所得情報等を名寄せ・突合できるよう、税務当局に提出される申告書・法定調書等の提出者、すなわち所得等を給付する民間企業に対して「番号」
等を記録し管理することを求めている。
これは民間が自らの選択で番号を利用する、前項 2 で述べたものとは異なり、民間で保有する必要がない「番号」の記録・管理を求めるものであり、セキュリティ上のリスクをばら
100
撒くことにもつながり、かつそのリスクを民間に負担させたうえに刑事制裁まで課そうしている点で適切な制度設計とは言えない。税務処理のための番号の記録・管理は税務当局内で
完結することが可能である。また、そのためのコスト負担も外からは見えない形で民間にしわ寄せする必要もなく、認めるべきではない。
57
特定非営利活
動法人電子認
証局市民ネッ
トワーク福岡
●
該当箇所
大綱 17 ページ
4.安心できる番号制度の構築
(3)住民基本台帳ネットワークシステム最高裁判決との関係
②個人情報を一元的に管理することができる機関又は主体が存在しないことに対する制度設計
「(a)情報連携の対象となる個人情報につき情報保有機関のデータベースによる分散管理とし、(b)情報連携基盤においては、
「民-民-官」で広く利用される「番号」を情報連携
の手段として直接用いず、当該個人を特定するための情報連携基盤等及び情報保有機関のみで用いる符号を用いることとし、(c)更に当該符号 を「番号」から推測できないよ
うな措置を講じる。(およびその脚注)
● 意見内容
この最高裁判決②の理念的主旨は重要で尊重すべきものでありますが、この判決の時点と現在とでは、分散型データベースの統合利用技術など情報管理やそのセキュリティに関連す
る技術の前提が大きく異なっています。私どもは技術者の団体として、本判決文の理念的主旨は尊重しつつ、制度設計としては、この判決文の文言の表層にとらわれずに、シンプルな
システム構成にすべきと考えます。
具体的には、(a)の分散管理は必要ですが、(b)の「番号」を情報連携の手段として直接用いないこと。(c)の符号から「番号」を推測不能にする措置は本大綱に盛り込まず、最高裁判
決②の主旨の尊重しつつも、技術的観点から健全で合理的な制度設計にすべきだと考えます。
● 理由
一般に情報システムは複雑化するほど攻撃手段の巧妙化が可能になり、また実装レベルでの脆弱性も増加します。
「(b)の「番号」を情報連携の手段として直接用いないこと」
「(c)の符号から「番号」を推測不能にする措置」は、名寄せされた個人情報に対して一定の保護の効果は持つと考えられ
ますが、結局はどこかの組織が一元的に暗号鍵などを管理をすることとなります。しかもそのデメリットも見逃すことができません。
特に、大きいデメリットは下記の 2 点だと考えられます。
(1) 不正利用の検出、利用記録の検査がシステム的に困難であること
(2) 実装技術や関連が複雑なため開発コストが著しく増加する
(3) 処理能力などの性能要件が厳しくなるため使用機器などのコストが増加する
●
該当箇所
大綱 45 ページ
X
マイ・ポータルへのログイン等に必要な IC カード
IC カードは、住民基本台帳カードのこれまでの国及び地方公共団体における普及の拡大の取組の経過等を踏まえて、可能な限り、現行の住民基本台帳カード、住基ネットや公
的個人認証サービス等を活用しつつ、住民基本台帳カードが有する機能等に加え、下記のとおり改良するものとし、住民基本台帳カードの交付同様、IC カード交付時に厳格な本
人確認を行い、不正取得の防止や偽変造の防止等のための 適切な措置を講じることとする。
なお、利用者の利便性の向上を図るため、IC カードの普及を前提としつつ、将来的には多様な本人確認等の手段を利用できるように検討する。
● 意見内容
まず私どもは、公的個人認証制度や住民基本台帳カードによる申請、届出のシステムは普及率や利用率は極めて低いレベルが継続しており、莫大な公的資金の投下に相応する投資対
効果という視点から、国民の利便性向上においても行政事務の効率化においても、失敗であったという前提に立ちます。したがって、新しいシステムへの投資を行うには、この失敗に
対する分析とその対策が必須だと考えます。
しかしながら本案では、マイ・ポータルへのログイン手段として、住民基本台帳カードと公的個人認証システムの利用を基本とするとされており、再び無駄な投資が行われてしまう
ことを懸念します。
また、マイ・ポータルは、個人が自己の情報をコントロールする権利を維持するうえで必要なものであるため、国民の誰もが困難なく容易に自己の権利を行使できることが肝要であ
ると考えます。
私どもは、事業の当初から、より普及率の高い IC カードである、運転免許証や保険証などの機能を拡張し、認証手段として利用可能にすることを提案します。
また、公的個人認証は電子署名を目的とするものであるため、セキュリティ上の問題から、マイ・ポータルへのログインの電子認証には利用してはならないと考えます。
また、無駄な投資を避けるために、IC カードについて実際の利用者数や利用率の向上、使い勝手の向上のための対策を要件に含める必要があると考えます。
101
●
58
日本電信電話
株式会社
理由
厳密な本人確認は必要なものですが、そのための多くの国民が利用を忌避してしまうようなシステムは本末転倒です。
マイ・ポータルは、国民が自己の情報の管理に安心感を持つために必要なもので、本制度が普及拡大するために必要なものです。
したがって、可能な限り当初から多くの国民が容易に自分のマイ・ポータルにアクセスできることが事業の成功につながると考えます。
◎「番号」の利用範囲および情報連携における識別子について
● 該当箇所
p27 第3-Ⅲ 「番号」を告知、利用する手続の範囲
p42 第3-Ⅷ 情報連携
● 意見内容
個人情報保護の観点から、次のような考え方にもとづいた制度設計を行うべきと考える。①「番号」を告知、利用する手続の範囲については必要最小限の範囲に制限する。②情報連
携基盤を介した情報連携については、「番号」を用いず、符号を識別子として用いて実現する。③「番号」と符号が結び付かないように、互いを推測できない方策を講じる。
● 理由
近年個人向けの情報端末機器の高度化と普及により、機器や搭載ソフトウェアに対応づけられた識別子を介して、利用者の行動履歴が横断的かつ長期的に事業者に把握されることに
ついての懸念が高まっている。
「番号」は、情報端末機器に付される識別子と比べて、悉皆性と唯一性が備わっている点で価値が高い反面、不正な個人情報集約に使用された場合のリス
クも大きいため、法制度およびシステムの両面でのプライバシ保護方策が求められる。
アクセス記録の取り扱いについて
● 該当箇所
p39 第3-Ⅵ-10.(2)アクセス記録の確認
p42 第3-Ⅷ-1.「番号」に係る個人情報の提供等(5)(6)
p50 第3-XI-2.(3)情報連携基盤等の監査および情報保護評価に関する権限・機能
● 意見内容
アクセス記録の取扱いに関して、情報連携基盤のアクセス記録と情報保有機関のアクセス記録は各々で分散して管理し、必要に応じて、Ⅸのマイ・ポータルの確認機能およびXIの
委員会等の監査権限にもとづき、各機関から収集する制度設計とすべきではないか。
● 理由
個人情報の追跡・突合に対する懸念に関連して、アクセス記録をいずれか1つの機関で集約して管理することは、個人情報そのものに加えて過去の更新履歴や継続的なアクセス履歴
を含めた個人情報のライフサイクルを包括して管理することになり、最も大きなプライバシ保護上のリスクとなるため、特に十分なセキュリティ対策が必要である。
59
グローバルフ
レンドシップ
株式会社
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
対象の大綱全般や表紙の「主権者たる国民の視点に立った番号制度の構築」
、第 2 基本的な考え方(3)制度導入の目的と期待される効果の 4 ページの「~番号制度の目的は、正確な
本人確認を前提に~」や、3.番号制度に必要な3つの仕組み等。
● 意見内容
意見の中心は、「正確な本人確認」と、「本システムでの情報移送等」に関してです。先ず、国内のみならず海外で被災し生死を彷徨うような場面も含め、究極の本人確認をしなけれ
ばならない場面では、DNAやレントゲン画像等も利用しなければならない場面もあると認識します。そういった際に正確な本人確認を可能とする機微な認証情報(個人情報)をいか
に運用管理するかの問題がありますし、そもそも認証手法の多様化に対応しないといけません。次に、資料からは少なくとも複数の公的機関、地方行政、一部民間事業者、そして本人
に個人情報が移送される可能性が読み取れます。大綱資料全般から読み取れるのは、従前の対策よりも高度な対策を実施するという方針が明確に貫かれていること。ならば情報漏洩事
故がすでに発生した仕組みや、類似の従前の仕組みに再度巨額の投資を行い仕組みを構築するのでは、国民理解は得られない情勢です。
既存IT投資も無駄にしないながらも、ちょっとした工夫・対策が必要と考えます。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
政府機関の情報セキュリティ対策のための統一管理基準解説書
(http://www.nisc.go.jp/active/general/pdf/K304-101C.pdf)
の 1.3.1.4 情報の移送の(5) 電磁的記録の保護対策の【強化遵守事項】で記載されている内容が、丁度今回のシステムでは該当する場面が多数あると考えます。
(f) 行政事務従事者は、要機密情報である電磁的記録を移送する場合には、必要な強度の暗号化に加えて、複数の情報に分割してそれぞれ異なる移送経路を用いること。
102
解説:情報を分割し、これを異なる経路で移送することを求める事項である。
要機密情報を移送する場合には、当該要機密情報が情報量的に解読不能となるように、分割して移送を行うこと。この考え方は、専門用語で秘密分散技術といわれ、例えば、
1個の電子情報についてファイルを2個に分割し、それぞれ暗号化を施した上で一方を電子メール、他方を CD-R、DVD、MO、USB メモリ、フラッシュメモリ等の外部電磁的記
録媒体で郵送する方法が挙げられる。
上記統一管理基準に関するマニュアル群からも、当該技術を用いることが、機密性3や2の情報を強化遵守対処して移送する際の手法として明記されている事項です。
また、当該技術に関しては現・一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)から、秘密分散技術に関する調査報告書が公開(当時ECOM:次世代電子商取引推進協議会)され
ており、そこには個人情報に対する法律家の法的意見書も同時に公開されています。
(http://www.jipdec.or.jp/archives/ecom/results/h21seika/H21results-10.pdf)
尚、認証に関しては、「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」の技術的安全管理措置に~秘密分散技術を用いた認証。とあります。
(http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/privacy/kaisei-guideline.pdf)
上記純国産技術を利用するに、事故発生時の損害規模に比べ特段の業務を圧迫する負荷の増大やコスト増がないのであれば、機密性レベルが低い場合や民間の情報管理等でも利用す
れば良く、既存IT投資を有効活用して情報管理リスクを根本的に改善し、更にクラウドの安全有効活用と国民が理解しやすい「割符」の概念を利用した情報移送と本人確認情報等の
運用管理や保全に用いることで、全体コストも圧縮もできると考えます。
60
株式会社三菱
総合研究所
●
該当箇所
【2ページ】
一方、国民がこれまで行政に対して抱いてきた不満は、国民一人ひとりが公平・公正に扱われているだろうか、自分の納めた税金や保険料にふさわしい社会保障給付がきめ細やかに、
かつ的確に行われているだろうか、自分の権利がしっかりと守られ、そのことを自分の目で確認することができるだろうか、といった点において、必ずしも十分な制度が構築されてこ
なかったことにある。
● 意見内容
このような不満が本当に存在するのか、本当に存在したとして、どの程度の国民がその不満を抱いているのかについて、根拠を明確にするべきであり、明確にできなければ削除する
べきである。
● 理由
これは行政と国民の信頼関係の問題であり番号制度以前に議論すべき事柄である。このような根本的な問題を大綱冒頭の最も重要な書き出しで指摘するためには、明確な根拠が必要
だからである。
●
該当箇所
【3ページ】
行政においては、これを補うために多大なコストと時間と労力をかけて数多くの書類を審査し、結果として人的なミスを誘発しやすい作業を毎年繰り返している。
● 意見内容
不正防止、監視行為として現在どのようなことを行っており、どれ程のコスト、時間、労力を要しているのか。また、番号制度の導入により、それらのコストや時間がどの程度削減
されるのか、明確にするべきである。明確にできなければ削除すべきである。
● 理由
番号制度を導入するにあたっては、現状の課題を明確にするとともに、期待される効果を明確にすることが、国民の理解を得る上で必要である。
●
該当箇所
【3ページ】
さらに、国民が不満・負担等を感じる状況は、民間サービスにおいても生じており、民間事業者も、正確な本人特定・本人確認のために多大なコスト・時間・労力を要している状況
にある。
● 意見内容
民間サービスとは具体的に何で、それらのうち、どの程度のコスト・時間・労力が不満・負担等の対象となっているのかを明確にするべきである。また、大綱の趣旨は、行政サービ
スに係る事務が対象ではないのか?その趣旨に照らすと、唐突な 3 行が民間サービスに係る表現として挿入さるのは相応しくない。削除すべきである。
● 理由
103
民間サービスの問題を解決するための番号制度としても位置付けるなあば、大綱に記述される内容は、大幅に追記されなければならないので、そうなっていないため、指摘させてい
ただく。社会保障・税番号として、民間サービスでの活用も考慮するなら、現在の行政サービス分野での活用に関する記述と同程度以上に構成されなければならないが、その検討はど
この場でも行われていない。よって上記 3 行は削除するべきである。
● 該当箇所
【3ページ】
・ 所得の申告漏れを防止するために税務署に提出される法定調書(取引情報)のうち、名寄せが困難なものについては活用に限界がある
・ より正確な所得・資産の把握に基づく柔軟できめ細やかな社会保障制度・税額控除制度の導入が難しい(所得比例年金や給付付き税額控除等)
・ 長期間にわたって個人を特定する必要がある制度の適正な運営が難しい(年金記録の管理等)
・ 医療保険等において保険者等の関係機関相互の連携が非効率(旧保険証利用を原因とした過誤調整事務等)
・ 養子縁組による氏名変更を濫用された場合に個人の特定が難しい
● 意見内容
現状の課題だが、番号制度導入理由としては不適切であり、削除すべきである。
● 理由
税業務における所得の正確な把握、基礎年金番号の徹底、住基ネットのデータ更新の徹底等、現行業務をより適切に遂行することにより実現可能であり、新たに番号制度を導入する
理由とはならない。また、現在の業務において番号等の徹底した管理ができていない状況で、新たな「番号」ならば管理・解決できる理由が見当たらない。
● 該当箇所
【4ページ】
このように番号制度の活用により、(中略)その結果、真に手を差し伸べるべき者に対する社会保障の充実や、負担・分担の公正性の確保、各種行政事務の効率化が実現できる。
● 意見内容
番号制度の導入理由としては不十分であり、削除すべきである。
● 理由
番号制度の導入により期待される効果が、行政事務の効率化等の行政業務分野に限定されるのであれば、費用対効果の観点から、新たな付番を行わず、住民票コードをそのまま活用
した方が現実的である。住基ネットと基礎年金番号の徹底と連携により実現することで十分であり、新法制度を必要とせず、本大綱も不要である。
●
該当箇所
【7ページ】
・ 健康保険法(大正 11 年法律第 70 号)に基づく給付金支給に当たっての他制度の給付状況の確認(傷病手当金の支給に当たっての障害年金等の給付状況確認等)
● 意見内容
番号制度を導入しても、実現は困難であるので、削除するべきである。
● 理由
現状、①各健康保健、年金では制度により世帯収入を基準にした給付が行われている、②各制度の世帯の定義が異なっている、という状況の下、個人の収入、給付状況を正確に把握
することができたとしても、世帯単位でしかも世帯の定義が異なる状況では、これらの問題は解決しない。
●
該当箇所
【8ページ】
② 災害時の本人確認
● 意見内容
番号制度を導入することで改善されるわけではないので、削除するべきである。
● 理由
104
券面に記載された 10 桁以上の「番号」を記憶していない場合、ICカードを所持していない場合には、本人確認が現状の仕組みから改善せず、現状での避難者リスト作成作業と同じ
状況となる。
また、災害時に亡くなられた方の本人確認が可能となるよう、生体認証の仕組みを取り入れる等しない限り、
「番号」導入による構造的進歩はない。亡くなっている方がICカードを
所持していても、本人カードであるかどうかは判断不能である。
●
該当箇所
【13ページ】
(1)付番
新たに「番号」を最新の基本4情報と関連づけて付番する仕組みをいう。
● 意見内容
付番の仕組みとして、基本4情報との関連付けは適切ではないので、削除するべきである。
● 理由
最新の基本4情報との関連づけには、住所情報における町丁目の記載方法や半角・全角の統一、外字問題などのさまざまな課題を解決することが必要であり、膨大な作業が予想され、
番号制度導入による改善にならないからである。また、住所情報が必ずしも最新とは限らない。したがって、多大なコストが必要とされるとともに、現在のスケジュールでは実施困難
である。
また、海外居住者等の住民票のない日本国籍保有者については、基本4情報の関連づけができない。
住基法による基本4情報を基底とした制度設計には無理があるので、撤回し、根本的な検討を踏まえて、大綱を書き直すべきである。特に、すべての情報連携ケースで住所を必須と
するわけではないため、住基法を基底とすると、不十分な制度設計に陥る危険性が高い。
憲法第 10 条の記述に遡り、その理念に基づいて、再検討をするべきである。
●
該当箇所
【17ページ】
②については、(a)情報連携の対象となる個人情報につき情報保有機関のデータベースによる分散管理とし、(b)情報連携基盤においては、「民-民-官」で広く利用される「番号」
を情報連携の手段として直接用いず、当該個人を特定するための情報連携基盤等及び情報保有機関のみで用いる符号を用いることとし、
(c)更に当該符号を「番号」から推測できない
ような措置を講じる。
● 意見内容
本件は技術的手法により解決するという趣旨ではなく、制度設計を行うという趣旨で記述されるべきなのに、技術的にもきわめて曖昧な記述がなされているので、削除するべきであ
る。
● 理由
どんな手法であれ、結果的に各情報保有機関で個人の特定ができれば、それぞれのデータベースにある個人の情報を集めることで、個人の情報をすべて集約することができる。これ
を行う機関を作らないという制度設計に関する記述がなされるべきなのに、記述されていない。
● 該当箇所
【18ページ】
情報連携基盤を通じた「番号」に係る個人情報へのアクセス記録について、マイ・ポータル(情報保有機関が保有する自己の「番号」に係る個人情報等を確認できるように、かかる
情報を、個人一人ひとりに合わせて表示する電子情報処理組織をいう。以下同じ。)上で確認できるようにする。
● 意見内容
個人情報のアクセス記録については、プッシュ型で定期的あるいは利用の都度、本人に知らせるべきである。よって、最後に、
「同時に、記録更新の都度、本人に知らせることができ
るようにする。」を追記する。
● 理由
本人は、いつ個人情報を使用されたか確認すべき契機が分からないため、プッシュ型による情報提供も(選択できることが)必要である。
105
● 該当箇所
【20ページ】
その上で、番号制度の情報連携基盤がそのまま国民ID制度の情報連携基盤となり、将来的に幅広い行政分野や、国民が自らの意思で同意した場合に限定して民間のサービス等に活
用する場面においても情報連携が可能となるようセキュリティに配慮しつつシステム設計を行うものとする。
● 意見内容
削除するべきである。
● 理由
本大綱で国民ID制度まで記述することは、なんら、検討されておらず、不適切である。大綱本文中、国民IDという記述は、ここ一か所であり、あまりに唐突である。さらに、民
間サービスへの活用も、先に指摘し 3 行しか、関連記述が無く、これまた検討されていないために、ここで記述するのは不適切である。
● 該当箇所
【23ページ】
番号制度を導入する場合の費用及び便益について、行政の効率化による経費削減効果を含め、国民にわかりやすく示すこととしている。
● 意見内容
以下のように修文すべきである。
「番号制度を導入する場合の費用及び便益について、行政の効率化による経費削減効果を含め、国民にわかりやすく示し、かつ、費用対効果が認められなかった行政業務等について
も明確にして国民の意見を確認する。」
● 理由
方針として明確に記述すべきである。特に、
「こととする」という表現は、用いるべきではない。
● 該当箇所
【28ページ】
具体的には、国民は基礎年金番号又は各種共済の長期組合番号等を用いる手続において、当該番号に代えて「番号」を用いることができることとし、国、日本年金機構、各共済組合、
国民年金基金、国民年金基金連合会、厚生年金基金、企業年金連合会、企業年金基金、石炭鉱業年金基金又は適用事業所は、上記手続に係る事務において、
「番号」を用いることができ
ることとする。
● 意見内容
「『番号』を用いることができる」ではなく、「『番号』を用いる」とする。
(2ヶ所)
● 理由
番号制度の導入効果を上げるには、より多くの機関、より多くの国民が「番号」を利用しなくてはならない。
「『番号』を用いることができる」では、利用しない機関を許してしまう。
個別業務においては番号は不要なので強制する(義務付ける、罰則を設ける)ことが必要である。
● 該当箇所
【32ページ】
・ 国税に関する法令の規定に基づき、税務職員等が適正かつ公平な国税の賦課及び徴収のために行う事務に係る利用その他番号法の授権に基づく政省令で定める利用
具体的には、税務職員等による申告書の処理、調査等に係る事務に「番号」を用いることがこれに該当する。
● 意見内容
給与所得者については、勤務先にて「番号」が用いられる可能性を示唆する記述と考えられ、他の箇所、特に、年金、健保については、同様に勤務先にて「番号」が用いられること
を記述し、番号制度の利用機関の範囲との整合性を確保するべきである。
● 理由
給与所得者については、勤務先にて「番号」が用いられる可能性を示唆する記述と考えられたため、他の勤務先での処理が考えられる分野を指摘した。
106
●
該当箇所
【33ページ】
・ 金融関連法令の規定に基づき、金融機関が行う業務のうち、震災等の異常事態の発生時における預金等の金融機関による払戻し等に係る利用その他番号法の授権に基づく政省令で
定める利用
具体的には、上記の各分野における「番号」の利用に伴い金融機関が保有することとなる「番号」の範囲内において、今般の東日本大震災のような大災害時における預金等の払戻し
及び保険金の支払いなどの事務に「番号」を用いることがこれに該当する。
● 意見内容
記述内容があいまいであり、削除するべきである。
● 理由
震災時のみに利用可能でも、金融機関の保持する情報との名寄せが必要になるため、活用できない。きちんと検討した結果で記述しなければならない。
●
該当箇所
【45ページ】
自己の「番号」に係る個人情報についてのアクセス記録の確認等を行うことができるマイ・ポータルにログインするため、また、法令に基づき「番号」を取り扱い得る事業者等が本
人確認をした上で「番号」を確認できるようにするため、ICカード(その者に係る住民票に記載された氏名、住所、生年月日、性別及び「番号」その他政令で定める事項(以下「カ
ード記載事項」という。
)が記載され、かつ、現行の住民基本台帳カードに記録されている事項に加え、「番号」及び公的個人認証サービスの電子証明書その他政令で定める事項が記録
された半導体集積回路が組み込まれ、現行の住民基本台帳カードの機能も有するカードをいう。以下同じ。)を交付できるようにする。
● 意見内容
デバイスとしてICカードを特定し、しかも、住基カードで暗に限定する内容となっており、番号制度の運用として大綱に記述するのは相応しくないので、削除するべきである。
● 理由
行政の効率化を目的として導入する番号制度が、既存の行政が発行する証(各種免許証、住基カード、年金手帳等)との連携を含めずに堰堤されたICカードを交付することが決定
されている記述なっており、不適切である。携帯電話等の国民に普及済みのデバイスの利用の可能性も含めて、再検討が必要である。
● 該当箇所
【53ページ】
ⅩⅢ 法人等に付番する番号
● 意見内容
法人等に付番する目的は何か、明確になっていないので、本XⅢを削除するべきである。
● 理由
「第 2 基本的な考え方」で示された「番号」の目的と異なり、個人の所得情報の把握以外の目的が分からない。
61
埼玉県保険医
協会
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.4 上から19行目
「さらに、IT化された情報連携システムの・・・」
● 意見内容
はじめに番号を鍵として第三者による医療情報の利用が描かれている。
高度情報社会において個人情報、特に機微性の高い医療情報の漏洩はあってはならない。ましてやICカードの成りすましの問題もある。本大綱上の「第三者機関」に判断を委ねる
のではなく、第三者利用の制限をするべきではないかと考える。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.5~6 下から11行目~
107
(6)実現すべき社会
全文
P.19~
下から6行目~
(4)本人同意の取扱い
全文
● 意見内容
国民が自己情報をコントロールする社会を目指すのであれば、番号制度を利用するか否かを判断することも自己情報のコントロールと考える。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
今般、高度情報社会において自己に関わる情報を自身で管理することは極めて重要なことであり、国民一人一人が責任を持って取り扱うべき事柄であると考える。従って、自己情報
をどのように扱うかは個々人の判断に委ねられるべきである。
しかし、この番号制度においては原則として本人同意を前提としない仕組みとすると規定されており、国民一人一人が番号制度を利用するか否かを判断することができないことにな
っている。国民が自己情報をコントロールできる社会を目指すのであれば、国民が自身で考え、自己情報の利用について管理し、責任を持つことが重要であると考えるが、強制的に参
加させられるのであれば、これは自己情報をコントロールできる社会ではなく、国家による国民の情報管理と捉えられても仕方がない。
真に国民が自己情報をコントロールできる社会を目指すのであれば、番号制度に参加するか否かを判断するのも個々人ごとの判断であるべきであり、一律に国民全員参加とする番号
制度は、大綱の中で掲げられている「国民の権利を守り、国民が自己情報をコントロールできる社会」とは乖離するものである。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.8 (3)災害時の活用に関するもの
全文
● 意見内容
激甚災害時には、停電など社会インフラが停止し、医療機関は物資不足、マネジメント不能、マンパワー不足などで必要な医療そのものの提供が困難に陥る。
現場では「情報」以前の対応が必要とされており、激甚災害時に本制度を活用できるとの例示は空想的である。情報を確実に提供する体制の確保は現状の行政機能では不可能ではな
いか。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.9~11
(5)事務・手続の簡素化、負担軽減に関するもの
② 医療機関における保険資格の確認
全文
● 意見内容
1.本来医療機関が保険証提示以上の確認をする必要はない。資格管理を行う事業所・保険者の責任を徹底すべきである。
2.資格喪失後受診で苦労している医療機関が、保険証の資格確認を共通番号を利用して行いたい場合に、共通番号カードを読み取る専用情報端末機器の設置が必要ならば、国の責任
で希望するすべての医療機関に対応可能な専用情報端末機器を無償で設置するべきである。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
1.健康保険法施行規則第 51 条(被保険者証の返納)「事業主は、被保険者が資格を喪失したとき、その保険者に変更があったとき、又はその被扶養者が異動したときは、遅滞なく、
被保険者証を回収して、これを保険者に返納しなければならない。この場合(被保険者が任意継続被保険者である場合を除く。
)において、協会に返納するときは厚生労働大臣を経由
して行うものとする」にあるとおり、資格喪失受診は被保険者、事業所、保険者の責任であり、医療機関が責任を負うものではない。
2.
「1」で述べたように、保険証の資格確認は医療機関の仕事ではない。しかし、資格喪失後受診で苦労している現状から、確認ができるのなら行いたいという医療機関はあるかもし
れない。
しかし、現状では、保険医の運動でレセプトオンライン請求義務化が原則電子請求義務化となり、対応できない医療機関においては電子請求を行わなくてもよいとなっているよう
に、すべての医療機関がオンライン化・電子化できているわけではない。また、規模により費用の面から対応できない医療機関が出てくる可能性もある。以上の点から保険証の資格
確認の実施を希望する医療機関に、確認にあたり専用情報端末機器の設置が必要ならば国が無償で行うべきである。
また、共通番号を鍵として、被保険者証、レセプト情報を閲覧できるようにすることが検討されていることを考えると、IT に対応できない医療機関は廃業せざるをえなくなる。医
師不足が叫ばれる今日の我が国において、医療機関の数を減らすような施策を国が主導することは、医師不足解消に対する施策に反するものである。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
108
●
P.15~16
上から13行目~
(2)個人情報の保護の必要性
全文
意見内容
個人情報に関する懸念がいくつもあげられているが、個人情報保護法の改定など対策・整備を講じてから大綱を作成しないと、整備しないまますすめられてしまうのではないか。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.35
下から3行目
2.「番号」のみで本人確認を行うことの禁止
全文
● 意見内容
「著しく異常かつ激甚な非常災害への対応等特別の理由がある場合を除き、「番号」のみで本人確認をしてはならない。」とあるが、非常時であっても番号のみで本人確認をするべき
ではない。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
この規定からは、非常時にどのように本人確認を行うのかがわからない。
番号のみで本人確認を行ったとしても、多くの国民が自身に与えられた番号を正確に記憶しているか、カードを持っているかしていれば番号による本人確認は可能かと思うが、今回
の震災のように身分証明書など本人確認できるものをすべて失った被災者が番号に関するカードを所持し続けることができるとは思えない。また、被保険者証番号を記憶している国民
はほとんどいないと思われるため、番号制度における「番号」を国民一人一人が正確に記憶していることに期待するのは極めて安易であると言わざるを得ない。
仮に、番号カードや番号を正確に記憶していたとしても、インフラが寸断された被災地においてはコンピューター機器、情報通信ネットワークを使用するシステムは即効性のある支
援策とは言えず、効果的な被災地支援になると考えることも難しい。また、被災地において番号のみで個人を識別し、後に識別が違っていて財産的・精神的損害を受けた場合の責任は
どこが負うのか、この大綱からは読み取ることができない。
上記から、非常時であっても番号のみで本人確認を行うことはその取り扱う情報の重要性を考えたとき、極めて危険な行為といえる。個人情報保護の観点からも本人確認はいかなる
場合であっても慎重に行うべきであり、番号のみでの本人確認は認めるべきではない。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
P.55
第4 情報の機微性に応じた特段の措置
全文
● 意見内容
医療分野等における情報は極めて機微性が高く、一度、情報が漏れることがあれば回復不可能なプライバシー侵害を起こす可能性があるため、番号制度における医療分野の情報の取
扱いは止めるべきである。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
大綱の中では、医療分野の情報は特段の措置を整備するとなっており、また、個人情報保護法が制定された際にも立法府において医療分野等の個別法を検討することが付帯決議され
ている点に注目してみても、当時から、情報流出、特に医療分野での情報流出が甚大なプライバシー侵害を引き起こす可能性があることを認識していたことを示している。しかし、今
回の社会保障・税番号大綱においてどのような特段の措置を講じるかは示されていない。このような状況下で、極めて機微性の高い医療情報を番号制度の中に組み込むのは危険という
ほかない。また、プライバシー侵害を引き起こす可能性を立法府などが懸念していたことを考えると、立法府や行政府で情報流出の可能性を認識していることになる。医療情報は一度
流出し、悪用されるようなことになれば甚大な被害を引き起こし、また、回復不可能な被害を生じさせる。
情報流出の危険性が少なからず存在すること、医療情報が流出することは回復不可能なプライバシー侵害を引き起こす可能性があること、この2点だけを捉えて考えても、今回の社
会保障・税番号制度に医療分野の情報を組み込むことは、番号制度によって享受する患者のメリットと比較衡量しても、プライバシーを保護する方が重要と考える。
62
情報産業労働
組合連合会
「社会保障と税の共通番号制度」について、国民生活の安心と利便性の向上の視点から積極的な推進を求める立場で、今回提示された大綱について補強意見を提起します。
意見の概要は、①「共通番号」の活用について、国民生活の安心と利便性向上の視点からは多様な分野での利活用も考えられることから、システム的には多様性や拡張性を視野に入れ
た検討を求める、②個々人への番号の付番に関しては、国の責任の下で特定の機関で行うことで、個々人の特定性を確実にする方向での制度化を求める、③制度導入の時間軸について、
慎重な検討は必要であるがスピード感を持った取り組みを求める、という三点となります。
●
該当箇所
<2.番号制度で何ができるのか>および<情報の機微性に応じた特段の措置>
109
(1)よりきめ細やかな社会保障給付の実現
(3)災害時における活用
(6)医療・介護等のサービスの質の向上
医療分野等における個人情報保護法の特別法を整備
● 意見内容
国民が安心して生活できる社会保障制度を構築に向けて、医療や介護の分野では提供されるサービス品質の向上も重要ですが、災害時や救急要請時等の緊急時において個々人の医療
等に関する情報の把握と伝達も極めて重要であると考えます。
今回まとめられた大綱においても、東日本大震災における教訓を踏まえ『災害時における活用』として、①災害時要援護者リストの作成及び更新、②本人確認、③医療情報の活用、
等が示されています。
アウトリーチ型の福祉を推進するためには、行政分野における多様な活用が不可欠であると考えるところです。
とりわけ、医療情報の活用では、医療機関等におけるデータベースネットワークの構築も始まっていることから、将来的には個々人の既往歴や処方薬等に関する医療機関や薬局等の
データベースの参照を可能とすることで、災害時等に加えて救急要請時における対応での活用も可能となるような、幅広いシステムとのリンクを視野に入れた検討を求めたいと思いま
す。
加えて、医療機関等のデータベースについては、情報セキュリティの確保を高める必要はあるものの、医療機関相互でのリンクが可能になれば東日本大震災で明らかとなったように、
災害等により喪失した診療や処方の記録も復旧できるものと考えます。
● 理由
行政による様々な福祉策が講じられながら活用されていないケースもあり、必要な行政サービスについて申請を待つのではなく、積極的に行政サイドからアプローチする取り組みが
求められると考えます。そのためには、多様なシステム等とのリンクが不可欠であり、データを多様に活用できる汎用性のあるシステムの構築を求めたいと考えます。
医療情報を活用する具体的な事例として、災害時に限らず高齢者や障害者さらには一般的には健常に近い者であっても、急性疾病等により意識を失うなどして救急要請の対象となっ
た時には、既往歴や処方薬などの「メディカル情報」を、医師に迅速かつ的確に伝えることが極めて重要なことであると考えます。
現状では、「救急情報キット」として、「メディカル情報」のアナログ情報を特定の場所(主として冷蔵庫等)に保管するという手段が取られ、その配布と周知が行政の取り組みとし
て行われていますが、配布対象は高齢者等に限定されているとともに、情報が更新されていないケースも想定されます。
したがって、
「共通番号」の活用により、災害時や救急要請時の「メディアカル情報」の把握と伝達を確実なもとすべく、当面の利用分野は限定するとしても、将来においては医療機
関等のデータベースネットワークとのリンクも視野に入れた汎用性を求めます。
ただし、個々人のセンシティブ情報に関わることから、その情報セキュリティの構築については可能な限り高めることを求めたいと思います。
● 該当箇所
<3.番号制度に必要な3つの仕組み>および<Ⅶ「番号」を生成する機関>
付番・情報連携・本人確認
生成する機関の組織形態
● 意見内容
大綱にあるように『国民一人一人に、唯一無二の番号』を付与することが不可欠であることから、その付番機関は政府の特定機関に限定するとともに、情報セキュリティをより一層
高める必要があることから、生体認証も含めて本人特定性の精度を高めるべきと考えます。
● 理由
これまでの年金制度では、一人の国民に複数の年金番号を付与するとともに、住所・氏名という同一人でありながら変更の可能性があるデータにより個別認証を図ったことが、いわ
ゆる「未払い年金」等の発生する要因となり、国民の制度不信に繋がったことは否めないと考えます。
したがって、大綱にあるように『国民一人一人に、唯一無二の番号』を付与することが不可欠であるとともに、行政サービスの基盤は住民登録にありますが、付番機関については地
方共同法人を設立するのではなく、国の機関として責任を持って運営されるべきと考えます。
その上で、個別データの保管については分散して保管するなど、情報セキュリティを高めたシステム構築を求めます。
●
該当箇所
<7.今後の進め方>
(3)番号制度の導入に関わる費用と便益
110
●
意見内容
大綱においては、
『期間については、利用範囲を狭く限ったとしても、~システム稼働までに少なくとも3~4年程度はかかる見込みであり』とあるが、情報セキュリティ確保の側面
では慎重な検討が求められるものの、積極的な推進が求められると考えます。
● 理由
社会保障制度に関する国民の信頼の失墜理由は、年金制度におけるシステムへのデータ移管のミスにあったことを背景としていることは否めない事実であると考えます。それが、現
在の国民年金の未納の理由にも繋がっていると考えられ、社会保障に関する国民の信頼確保は喫緊の課題であると考えます。
したがって、情報セキュリティ確保は図りつつも、積極的な推進について明確に示すべきと考えます。
63
日本労働組合
総連合会
全体に関わる意見
大綱で示された共通番号導入の基本的な方向性については賛成であり、国民各層との対話活動、政府・与・野党の協議等を通じ、早期の法案化をはかっていただきたい。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第 2 基本的な考え方 1.番号制度の導入の主旨 (5)我が国の理念
つまり、番号制度は、まずは、公平性・透明性を担保し、もって本当に困っている国民を支えていくための社会インフラであり、国民にとって、そのようなメリットが感じられる
ものとして設計されなければならない
● 意見内容
公平性・透明性を担保でき、かつ大多数の国民が共通番号の導入を必要と認識できる必要且つ最小限の分野、すなわち、まずは社会保障のうち「年金」と税務分野から迅速に導入す
べきである。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
我が国の理念に示された通り、
「まずは、本当に困っている国民を支えていくための社会インフラ」とすることに賛成する。上記の「まずは」という言葉を尊重し、本当に困っている
国民への社会保障と税の共通番号として、迅速に導入すべきである。言い換えれば、共通番号は「なくてはならないもの」から導入すべきである。
一方、医療・介護等のサービスにおいて、番号制度の下でできる限り多くの場面で用いる(P11 から 12(6)
)等とするいわゆる「利便性」の向上については、「あったら良い」程度
と解釈されかねず、言い換えれば「なくても良い」こととなる。
また、
「利便性」や「民―民」での活用を強調しすぎると、個人情報の流出、情報漏洩などの懸念が高まる。従って、共通番号の将来的な利用範囲拡大は視野に入れつつも、共通番号
が国民に根付くまで必要且つ最小限の分野から導入すべきである。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第 2 基本的な考え方 1.番号制度の導入の主旨 (5)我が国の理念
低所得で資産も乏しい等、真に手を差し伸べるべき者に対して、給付を充実させるなど、社会保障をよりきめ細やかに、かつ、的確に行うことが重要
● 意見内容
所得捕捉率(可能な限り 100%)の仕組みと、給付を充実させるための財政的裏付け(の仕組み)も同時に検討し、国民へ周知すべき。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
『真に手を差し伸べるべき者に対して、給付を充実させる』ことを実現するには、例えば生活保護基準未満の所得の人が確実に生活保護制度をはじめとする支援が受けられるよう完
全捕捉(捕捉率 100%)が必要となる。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第 2 基本的な考え方 4.安心できる番号制度の構築
(3)住民基本台帳ネットワークシステム最高裁判決との関係
(b)情報連携基盤においては、「民-民-官」で広く利用される「番号」を情報連携の手段として直接用いず、当該個人を特定するための情報連携基盤等及び情報保有機関のみで
用いる符号を用いる
● 意見内容
「番号」と「符号」の仕組みと関係を明確にすべき。
111
なお、「民―民」で活用する場合、個人情報の保護を最大限守るようにすべき。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
この「符号」が個人に固有の記号として付与されるのかが、大綱では判然としない。P23 においても、
「符号」の発行開始時期は明らかとされておらず、また、P25 以下の「法整備」
の内容にも「符号」の在り方についての記述はほとんどない。「符号」の内容をより具体的に説明する必要があると考える。そのことにより、
「符号」の取扱いにおける措置等について
検討することが可能となる。
「民―民」の活用は、p13 の注に記載の趣旨であり、事業者が不正に個人情報にアクセスしたり、事業者同士が個人情報をやりとりする等(例えば、契約の際に「番号」の告知を求
め、支払能力や健康情報などを確認して顧客の選別を行う等)の問題が生じないよう、適切な活用範囲の限定と適切なルールづくりが必要である。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第 2 基本的な考え方 5.番号制度の可能性と限界・留意点
(4)本人同意の取扱い
「番号」の恣意的な利用を防止し国民に対してあらかじめ番号制度の活用事務について明らかにするため、
「番号」を付番する事務の範囲及び情報連携を行う事務の範囲を法律又
は法律の授権に基づく政省令に規定する
● 意見内容
政省令の規定ではなく、法律事項とすべき。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
法律の授権に基づいた『政省令』であっても、『政省令』は民意を反映することなく規定される懸念がある。「国家管理への懸念」を少しでも解消するために、政省令で規定せず、基
本的には『法律』事項とすべきである。または、政省令で規定できる事項について、あらかじめ明らかにしておくべきである。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第 2 基本的な考え方 7.今後の進め方 (2)地方公共団体等との連携
介護・福祉をはじめとする国民生活に密接に関連する行政は、その多くが地方公共団体において実施されている。また、地方税の課税のため市町村が扶養情報等を名寄せした所得
情報が各種福祉施策の基盤ともなっている。(中略)
したがって、番号制度の導入に当たっては、国・地方公共団体等が相互に調整し、地方公共団体等の実情も踏まえながら、その在り方について議論・検討を進めていくことが必要
である。(中略)
全国知事会・全国市長会・全国町村会の地方三団体に対して、番号制度の利用場面等について意見を照会し、回答・提案をいただいており、大綱においては、この提案に対する各
府省の検討結果に基づいて、利用場面を記載しているところである。
● 意見内容
国民生活に密接な地方行政の意見を尊重することは、まさに真に手を差し伸べるべき人に能動的に番号が活用されることにつながる(申請型からお知らせ型への転換)とともに、
「国
家管理」への懸念の払拭ともなる。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
介護・福祉分野においては、多くの地方公共団体で国の基準に加えて独自の支援や給付が行われており多種多様である。また国民からみて、社会保障、税ともに「国」よりも「地元」
や「地方」で生活を実感しているものである。
従って、共通番号も実生活に不可欠なもの、または直結するものでなければ、共通番号導入の必要性が広く理解されない。そのためには、法による枠組み設計は国の役割とし、地方
の実情を踏まえながら利用方法や範囲を決定していくべきである。
また、広報活動についても、国民生活に近い地方公共団体を軸にした広報活動に力点を置くべきである。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第 2 基本的な考え方 7.今後の進め方 (3)番号制度の導入に係る費用と便益
第 3 法整備 Ⅲ.「番号」を告知、利用する手続きの範囲 6.税務分野
費用については、制度設計の仕方によって、実際のシステム改修の程度やその費用が異なってくることに留意する必要がある。期間については、利用範囲を狭く限ったとしても、
システム改修、
「番号」交付、周知・広報等に要する期間を考慮に入れると、システム稼動までに少なくとも3~4年程度はかかる見込みであり、費用と同様、各利用事務に係る制
112
度設計の仕方によって異なってくることに留意する必要がある。
● 意見内容
給付つき税額控除への活用について具体的に検討し、それに必要な行政の体制や費用等について明確にすべき。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
政府は、
「平成 22 年度税制改正大綱」※において、給付つき税額控除の導入検討とその前提として番号制度を整備することを掲げている。番号大綱では、早ければ 2015 年から実施す
るとしており、スタートと同時に給付つき税額控除への活用もできるよう十分な準備をはかる必要がある。
「制度設計の仕方によって、実際のシステム改修の程度やその費用が異なってくる」との指摘は当然である。税制改革の検討とセットで、必要となる情報の範囲、行政機関のあり方
や連携の仕方、事務量と必要人員等について具体的に検討すべき。また、実務を担っている現場の意見もよく聞いていただきたい。
※「平成 22 年度税制改正大綱」抜粋
・ 給付付き税額控除は多くの先進国で既に導入されています。我が国で導入する場合には、所得把握のための番号制度等を前提に、関連する社会保障制度の見直しと併せて検討を進めます。
・ 逆進性対策として、軽減税率も考えられますが、非常に複雑な制度を生むこととなる可能性があることなどから、
「給付付き税額控除」の仕組みの中で逆進性対策を行うことを検討していきます。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第 2 基本的な考え方 7.今後の進め方 (3)番号制度の導入に係る費用と便益
一般的に、情報の活用範囲を広くするほど大きく・長くなることや、個人情報保護の仕組みの在り方等で相応の増減があり得ることから、システム等の技術設計や調達に当たっ
ては、費用対効果を十分に踏まえて検討を行う
● 意見内容
システムの入札および発注の透明性を確保し、独占性を排除すること。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
費用推計にあたっては、ハード及びソフトを含むシステムの更新に掛かる費用等を考慮することとする。
さらに、社会保険庁における「社会保険オンラインシステム」では、国会等において(注)、社会保険庁がシステムの内容を十分に把握していなかったことや不透明な契約について指
摘された経緯があるため、システムの入札および発注の透明性を確保し、独占性を排除するべきである。また、公契約のルールを併せて検討すべきである。
(注)例えば、平成 15 年度決算審査措置要求決議(2005(平成 17)年 6 月 7 日、参議院決算委員会)において、以下の指摘があった(一部抜粋)
。
『ITシステム、とりわけレガシー・システムの調達は、技術的専門性の高さから、その多くがシステム事業者任せになり、システムの詳細がどうなっているのか、各府省側でその内容の把握が不
十分なまま特定事業者との間で随意契約が繰り返され、その結果、不透明な契約内容、割高な契約額、システム事業者が開発したソフトウェアの著作権の帰属、システム開発費を分割払としたことに
よる多額の残債の存在、政府全体として平成 15 年度におけるIT調達にかかわる決算額を確定することのできない事実等の多くの問題が生じている。
一方、会計検査院の「決算確認システム」では、その運用業務委託契約の業務内容を全面的に見直すとともに、契約方法を随意契約から一般競争契約へ移行させた結果、委託経費がそれまでの約
30 分の1に削減できたように多大の成果も見られる。
』
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第 3 法整備
Ⅲ「番号」を告知、利用する手続きの範囲
2.医療分野
国民は、被保険者証等の記号及び番号を用いる手続等において、当該番号に代えて「番号」を用いることができることとするとともに、国、都道府県、市町村、全国健康保険協
会、健康保険組合連合会、健康保険組合、各共済組合、国民健康保険組合、後期高齢者医療広域連合、社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会若しくは国民健康保険
中央会、適用事業所又は保険医療機関若しくは保険薬局等は、上記手続に係る事務において、
「番号」を用いることができることとする
● 意見内容
医療情報に関する特別法(案)の内容について、国民へ周知すべき。また、その際、国民の生活に密接な関係にある地方自治体の声を聞き、まずは国民にとって必要不可欠な医療情
報にとどめるべき。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
医療情報は災害時の活用に役立つがセンシティブである。医療情報の活用に関しては民間企業が医療情報を得たとき、顧客情報に結びつくことに懸念がある。地域住民の生活に密接
なのは地方自治体であり、その基本的な情報を管理している
113
●
●
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第 3 法整備 Ⅵ「番号」に係る個人情報の保護及び適切な利用に資する各種措置
12.情報保護評価の実施
番号制度開始と同時に運用に供される情報連携基盤等のシステムについては、ⅩⅠの委員会が設立される前に開発が行われることが想定される
意見内容
(4)に関し、第三者機関に係る法律の規定を先行して施行し、情報連携基盤等のシステムの構築の段階から情報保護評価が行われる体制を整えることが必要である。
理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
国民の懸念の解消のためには、第三者機関による情報保護評価の実施が重要なポイントとなるため、後付とせず、先行して施行すべき。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第 3 法整備 Ⅶ「番号」を生成する機関 3.情報保有機関との関係
番号制度導入時において、
「番号」の告知を求めることのできる情報保有機関は、当該情報保有機関が保有する利用者に係る基本4情報を住基ネットの基本4情報と突合した上で、
番号生成機関に対し、当該基本4情報に係る「番号」の提供を求めることができるものとする
● 意見内容
基本4情報で該当する情報が見つからない場合や、基本4情報で特定できずに残った記録の取扱い等について、十分に検討しておくことが必要である。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
突合漏れや情報不備が理由で不利益を発生させないため。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第 3 法整備 Ⅲ「番号」を告知、利用する手続きの範囲
6.(2)地方税
地方税に関する法令又はこれらに基づく条例の規定により地方公共団体に提出する書類への記載及びこれに係る利用その他番号法の授権に基づく政省令で定める利用
● 意見内容
地方税の現年課税について検討課題として明記すべき。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
共通番号の導入により、技術的には、現在前年課税となっている地方税を現年課税とすることが可能となるのではないか。現年課税は、民主党のなかでも検討されてきた課題であり、
利用範囲に係わる課題として明確に位置づけ、大綱に追加すべき。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第 3 法整備 Ⅷ 情報連携 1.「番号」に係る個人情報の提供等
(2)情報保有機関は、情報連携基盤を通じて、他の情報保有機関の保有する情報の提供を求めることができる
(3)
「番号」は「民-民-官」で広く利用される「見える番号」であることから、個人情報保護の観点から、これを直接、個人を特定する共通の識別子として用いてはならないこと
とする。
● 意見内容
情報連携基盤の運営機関は情報保有機関から独立した中立機関とすべき。また民間における情報保有機関においては当該機関の行う社会保障サービスの実施に必要な範囲での情報提
供のみを求めることができることとすべきである。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
例えば“サービス提供者が利用者の支払能力を確認するために、年金給付額や預貯金残高を確認する”ことなどは認めてはならない。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第 3 法整備 ⅩⅠ第三者機関 1.設置等
内閣総理大臣の下に、番号制度における個人情報の保護等を目的とする委員会(以下「委員会」という。)を置く。
114
●
意見内容
第三者機関は、中立性、独立性を確保できる体制とし、労働者代表(および市民団体の代表)などを委員として参画させるべき。
また、国民が身近な場所で相談できるよう、相談や苦情処理窓口を全国に設置すること検討すべき。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
大綱に「番号制度における個人情報の保護等を目的とする委員会を置く」という記述があるが、法的位置づけが不明確である。法的に、中立性、独立性を確保できるよう位置づける
べき。また、雇用労働者の立場からの適切な意見反映が不可欠なことから、その代表を正規委員として参画させるべき。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第 3 法整備 ⅩⅡ 罰則
罰則の更に具体的な内容や法定刑、他の罰則の必要性、社会保障又は税務の個別法における処罰範囲の拡大・法定刑の加重の要否等について制度全体の在り方を踏まえ、検討を
進める
● 意見内容
行政による逸脱やなりすましなどの不正利用に対しては、厳しい監視や罰則を設けるべき。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
現在、罰則について公務員の守秘義務違反は1年以下の懲役又は 50 万円以下の罰金であるが、地方公務員は1年以下の懲役又は3万円以下の罰金である。個人情報を扱う行政機関等
に関してはかなり重く罰則を設けているため、抑止力を強めるべき。
●
該当箇所(どの部分についてのご意見か、該当箇所が分かるよう明記してください)
第 3 法整備 ⅩⅢ法人等に付番する番号 1.付番
(1)国の機関及び地方公共団体
(2)登記所の登記簿に記録された法人等
(3)法令等の規定に基づき設置されている登記のない法人
(4)
(1)から(3)に掲げる法人等以外の法人で、国税・地方税の申告・納税義務、源泉徴収義務若しくは特別徴収義務若しくは法定調書の提出義務を有し、又は法定調書の提出
対象となる取引を行うもの
● 意見内容
法人等への付番について、実態を踏まえた有効な付番とするとともに、法人等の「等」の対象範囲を明確にすべき。
● 理由(可能であれば、根拠となる資料等を添付してください)
「(3)法令等の規定に基づき設置されている登記のない法人、(4)それ以外の法人で国税・地方税の申告・納税義務、源泉徴収義務若しくは特別徴収義務若しくは法定調書の提出義務
を有するもの」という記載では、対象範囲があいまいであり、その範囲を具体的に明示すべき。
特に、労働組合、労働福祉団体、政治団体等が含まれるか否か明確にしておく必要がある。
64
大阪弁護士会
第1 意見の趣旨
「社会保障・税番号大綱」において示された税と社会保障に関わる共通番号制度の導入には、反対である。
第2 意見の理由
1 はじめに
(1) 政府・与党社会保障改革検討本部は、従前検討されていた「社会保障・税に関わる番号制度」に関し、2011年(平成23年)6月30日、
「社会保障・税番号大綱」
(以下「大
綱」という。)を決定し、国民及び法人を特定する番号を新たに付番して、これを年金、医療、介護保険、福祉、労働保険、税務等の税と社会保障に関わる各行政分野に共通して利
用し(以下「共通番号」という。)、もって各行政分野間にまたがる個人及び法人に関する情報のコンピュータマッチング(
「名寄せ」、
「紐付け」、
「情報連携」ともいう。以下、単に
「マッチング」という。)を促進し、併せて本人確認を行う制度について、その概要を明らかにした。政府は、上記制度の導入を目指し、平成23年秋以降、可能な限り早期に上記
内容を盛り込んだ番号法案を提出する予定である。
(2)上記制度(以下「共通番号制度」という。)は、政府が保有する個人及び法人等に関する情報(以下「個人情報等」という。)をマッチングして活用すること及び本人確認を目的
として、すべての国民及び法人(以下「国民等」という。
)に付された共通番号の利用を中核とした大規模な情報システム(以下「情報連携基盤」という。)の導入を前提としてい
115
る。共通番号制度の主たる目的は、行政の効率にあるが、上記各行政分野の情報は、個人の私生活全般(税務分野においては私人間の取引も含まれる。また金融機関の預金口座等
財産情報とのマッチングも検討対象である。)にわたるものであるだけに、かかる大規模システムの不具合、濫用によって、国民のプライバシー権が侵害される危険性が大きく、当
該システムが国家による国民監視・統制の道具として利用される危険性も無視できない。
(3)とりわけ、本会は、かかる共通番号の利用を中核とした制度ないしシステムの導入については、一貫して反対し、警鐘を鳴らしてきた。2010年(平成22年)12月3日、
政府は、
「社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会」を開き、
「社会保障・税に関わる番号制度」の導入に向けての中間整理を行っているが(以下「中間整理」という。)
、
本会は、これに対応して、2011年(平成23年)2月1日、
「政府が検討している「社会保障・税に関わる番号制度」に関する意見」を政府に対し提出し(以下「意見書」とい
う。)、その中で、国民等に付された共通番号の利用を中核とした情報システムは、かつて日本弁護士連合会や本会が反対してきた住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基
ネット」という。
)及び社会保障番号制度を遙かに超える規模で政府が制度横断的に個人情報を一元的に管理するシステムであると言わざる得ないこと、かかる共通番号制度のもと
にマッチングされる個人情報は、公的制度のみならず、私人間の取引に関する情報にまで及び、事実上、国民の私生活の全領域を包括するものであることを指摘し、かかる制度な
いしシステムは、それ自体、憲法13条に基づくとされる国民のプライバシー権を侵害し、監視国家の出現を準備するものに他ならないこと等を指摘した。
(4)しかしながら、中間整理を踏まえて、共通番号制度は、本会の意見書が提示した問題点や疑問に十分に答えたものとなっておらず、次のとおり問題があるので反対である。
2
共通番号制度導入の必要性自体が希薄であること
大綱では、共通番号制度の必要性について十分な説明がなされていない。
共通番号制度を巡る議論は、自公政権時代の社会保障カード(仮称)導入論から始まっており、民主党政権下においても、2009年(平成21年)10月8日、鳩山前首相が「納
税者番号制度」の創設に向けた検討を開始するよう指示したのを皮切りに、平成22年度税制改革大綱(2009年(平成21年)12月22日閣議決定)に、
「社会保障・税共通の
番号制度の導入」を進める方向性が示されている。
ところが、議論の期間が長期にわたるにもかかわらず、肝心の共通番号制度の必要性、導入の利点については、抽象的な説明はあっても、具体的な必要性・利点が国民になされて
きたとは言い難い。
大綱においても、共通番号制度の効果として、
「よりきめ細やかな社会保障給付の実現」、
「所得把握の精度の向上等の実現に関するもの」
、
「災害時の活用に関するもの」等が列挙さ
れているが、現行制度においても行われている個人情報等のマッチングに加えて、なぜあえて共通番号制度を導入した方がよいのか、共通番号制度によって実現するとされる制度や
サービス(マイ・ポータル、ICカード)の必要性・需要、行政の効率向上などの政策効果について、内容が具体的に説明されているものはない。
本会は、意見書において、政府が主張する共通番号制度の必要性ついて問題点を指摘したが、大綱においては、その疑問に答えるどころか、更に内容が希薄となっており、
「災害時
の活用に関するもの」のように東日本大震災後に十分に内容を検討もせずに付け加えたと思われるものもある。
以上のとおりであって、大綱では共通番号制度の必要性が十分に説明されていないと言わざるを得ない。
3
プライバシー権侵害のおそれ
共通番号制度においては、プライバシー権の十分な保障がなされていない。
(1)個人情報等の一元的な集中ないし管理の危険性
意見書において指摘したとおり、従来の我が国における国民等に関する情報の管理は分散管理を特徴としており、そのマッチングを行う一元的な制度ないしシステムは存在して
いなかった。
この点、日本弁護士連合会は、2002年(平成14年)10月11日、
「自己情報コントロール権を情報主権として確立するための宣言」
(以下「宣言」という。)を公表し、住
基ネットの導入に示されるような個人情報等の一元的な集中ないし管理への傾向に異議を唱え、個人情報の分散管理を意識的に進めることを提唱している。
また、最高裁第一小法廷2008年(平成20年)3月6日判決は、国民に悉皆的に付番した住民票コードを利用した住基ネットを合憲としつつ(以下「住基ネット最高裁判決」
という。)、その判断の前提には、
「現行法上、本人確認情報の提供が認められている行政事務において取り扱われる個人情報を一元的に管理することができる機関又は主体は存在し
ない」という立法事実の認定があった。同判決は、個人情報の一元的集中ないし管理が国民のプライバシー権(憲法13条)にとって危険なものであるという認識では、上記宣言
と同じ問題意識を共有している。
ところが、中間整理及び大綱における共通番号制度は、従来の情報政策における分散管理を大きく転換して、国民一人一人又は各法人に悉皆的に付された共通番号を利用して国
民等に関する情報のマッチングを積極的に行うことを目的としている。マッチングの対象として予定されている情報は、個人の私生活全般にわたり事実上国民の私生活の全領域を
包括するものだけに、かかる制度の導入は、共通番号を主キーとした個人情報等の一元的集中ないし管理をもたらし、住基ネット最高裁判決の前提を覆すおそれがある。
しかしながら、政府は、中間整理においても、共通番号制度と住基ネット最高裁判決の上記判示との整合性を検討しておらず、住基ネット最高裁判決に対する態度を明確にして
いなかった。
もっとも、本会の意見書による指摘の後、大綱等において、住基ネット最高裁判決との整合性が検討され、政府は共通番号制度の要件として、
「個人情報を一元的に管理すること
のできる機関又は主体が存在しないこと」を挙げ、住基ネット最高裁判決の枠組みを守る姿勢を示すに至っている。
しかしながら、そのための制度設計としては、(a) マッチングの対象となる個人情報につき情報保有機関のデータベースによる分散管理とし、(b) 情報連携基盤においては、
「民
116
‐民‐官」で広く利用される「番号」をマッチングの手段として直接用いず、当該個人を特定するための情報連携基盤等及び情報保有機関のみで用いる符号を用いることとし、(c)
更に当該符号を「番号」から推測できないような措置を講じる、としているに過ぎない。
上記制度設計に示されているように情報保有機関のデータベースが分散管理されていたとしても、それらのデータベースが情報連携基盤というシステムに繋がることによって、
各情報保有機関は、従前に比べて遙かに容易に他の情報保有機関から情報を取得することが可能となることは明らかである。大綱に述べる上記制度設計は、マッチングの手順を多
少煩雑にしただけで行政がマッチングを濫用した場合にはなす術がなく、情報連携基盤を運営する主体か又は各情報保有機関が事実上「個人情報を一元的に管理することのできる
機関又は主体」となることを防止することはできない。
特に、大綱は、行政によるマッチングを規制する番号法の制定をうたいながら、マッチングができる事務、情報、利用者を番号法の授権に基づき政省令で定めることができると
して委任立法を可能としている。これでは、政令・省令によって、省庁は、自由に利用範囲を広げることができるので、行政によるマッチングの濫用を防ぐことは不可能と言わざ
るを得ない。
加えて、大綱は、情報連携基盤の運営主体についても明らかにしていない。行政によるマッチングの濫用を防ぐためには、情報連携基盤の運営主体は、情報連携基盤の利用主体
であってはならないことは言うまでもない。まして、住基ネットを所管する総務省やその外局が情報連携基盤の運営主体となることは絶対に許されないが、大綱は、その点につい
ても態度を明確にしていない。
以上のとおりであって、大綱に示された共通番号制度は、行政によるマッチングの濫用に対して、まったく脆弱な制度であって、個人情報等の一元的な集中及び管理を防ぐこと
はできないと言わざるを得ない。
(2)自己情報コントロール権の保障が不十分
近年、高度情報化社会の進展を背景として、プライバシー権の一内容として、個人に関する情報を当該個人がコントロールする権利(以下「自己情報コントロール権」という。)
を認める見解が強まっている。(前記宣言参照)。
マッチングに内在するプライバシー権侵害の危険性に鑑みれば、行政によるマッチングの濫用や情報漏洩を防ぐためにも、今後更に自己情報コントロール権としてのプライバシ
ー権を明確に確立し、これを強化する必要がある。
大綱においても、自己情報コントロール権を意識した記載が随所に見られるが、大綱に示された番号法においては、自己情報コントロール権としてのプライバシー権を憲法上の
権利として保証することを明記することとはされておらず、大綱は、この点について態度を明確にしていない。憲法上の保障内容が明確にされていない以上、前記(1)で述べた
行政によるマッチングの濫用や情報漏洩に対し、国民はまったく無防備であると言わざるを得ない。
大綱は、自己情報へのアクセス記録を確認ができることをもって自己情報コントロール権が保障されるかのように述べるが、自己情報へのアクセス記録の確認は、自己情報コン
トロール権の効果の一内容に過ぎず、自己情報コントロール権自体を認めずに単に自己情報へのアクセス記録の確認できるサービス(しかも、アクセスの範囲はかなり限定的であ
る。)があるだけで、自己情報コントロール権が保障されたということはできない。
また、自己情報コントロール権においてより重要な機能は、情報の処理に関する情報主体の同意権である。そして、自己情報コントロール権を憲法上の権利として認めるのであ
れば、自己情報コントロール権に基づく同意権もまた憲法上の保障を受けると言わざるを得ない。
この点、共通番号制度において個人に関する情報の処理を当該個人の個別の同意もなく行うことに憲法上の疑義は生じないのか、大綱は何ら説明していない。とりわけ、当該個
人は、共通番号の告知などが義務付けられており、強制的に共通番号制度の利用に参加させられ、いかなる場合でも離脱の自由(利用しない自由)は認められない。ここにおいて、
共通番号は、単なる事務処理のための便宜的な番号ではなく、国民に新たな義務負担を強いるものであることは明らかである。かかる態様における情報処理を国家が当該個人の個
別の同意もなく行うことは(しかも、大綱では、法律ではなく、政省令で同意を不要にできる。)、自己情報コントロール権侵害とならないのか、極めて疑問である。
以上のとおりであり、大綱は、自己情報コントロール権の憲法上の権利性について明確な態度を示していないうえ、当該権利と共通番号制度の矛盾点についても十分な検討を行
っておらず、共通番号制度においては、自己情報コントロール権が保障されているということはできない。
(3)濫用防止等の監視・監督制度の脆弱さ
大綱に示された第三者機関では、行政によるマッチングを効果的に監視・監督することはできない。
大綱は、プライバシー権の保障のため、行政によるマッチングを監視・監督する第三者機関の設立を提言している。
かかる第三者機関は、領域横断的な対応が要求される情報政策において、行政に対する抑制(権力分立)及び政治的(党派的)コントロールの排除という点で独立行政委員会と
して設立する合理性を有しており、逆に独立行政委員会でなければ、行政によるマッチングを効果的に監視・監督することはできない。
しかしながら、第一に、大綱では、第三者機関の独立性と権限について十分な説明がない。公正取引委員会のような高度の独立性を有した、内閣府設置法第49条1項に基づく
委員会あるいは庁又はいわゆる三条機関(国家行政組織法3条)でなければならず、いわゆる八条機関のような諮問的な審議会では設置の意味がないが、大綱では、その点につい
てまったく明記していない。
第二に、大綱では、第三者機関が扱うマッチングの範囲も番号法の適用されるマッチングに限られており、番号法の適用されるマッチングに例外がある以上、第三者機関が行政
を監視・監督する機能は著しく制限される。そもそも、第三者機関は、情報連携基盤を用いるマッチングに限らず、個人情報の収集・利用・提供全般を監視するための機関である
べきであり(前記宣言参照)、情報連携基盤を用いないマッチングが存在するのであれば、かかるマッチングも監視・監督の対象とすべきである。第三者機関の監視・監督の範囲を
制限すれば、かえって情報連携基盤を利用したマッチングについての監視・監督の効果も減殺される可能性がある。
117
第三に、大綱では、第三者機関の人員、予算について何ら説明がない。
以上のとおりであり、大綱に示された第三者機関では、行政によるマッチングを効果的に監視・監督することは期待できないと言わざるを得ない。
(4)以上述べたとおり、共通番号制度は、国民等に関する情報の一元的な集中ないし管理の危険の排除にも、自己情報コントロール権の保障にも、効果的な第三者機関による監視・
監督にも失敗していると言わざるを得ず、国民は、共通番号制度のどこにもプライバシー権の保障を見出せないと言わざるを得ない。
4
まとめ
以上のとおり、番号制度は、そもそも、その必要性に問題があるうえ、プライバシー権侵害のおそれも多く、国民に多額の経費負担を強いる可能性があるので、その導入には反対
である。
65
兵庫住基ネッ
ト問題等連絡
会
(意見1)
● 主な該当箇所(「社会保障・税番号大綱」の該当ページ)
主権者たる国民の視点に立った番号制度の構築(表紙)
国民の権利を守ること(5ページ)
新しい信頼関係を築く絆となる(6ページ)
● 意見内容
そもそも、共通番号制なるものが、「大綱」に掲げるような「国民の権利の擁護・拡大につながるものか、基本的に疑念が大きい。特に、「新しい信頼関係を築く絆となる」とうたわ
れているが。こうした美辞麗句を使用することは避けるべきである。「国民の幸福につながるか?」を基本視点とすべきである。
● 理由
こうした制度は基本的に国に対する信頼関係の存在が前提になるはずだが、住基ネットの現状が示すように、国民の信頼が得られていないことを直視すべきである。共通番号制は、
共通番号をマスターキーにして、国民一人一人の個人情報を名寄せ、照合するもので、権利拡大どころか、プライバシーの剥奪につながるものである。共通番号制の導入によって、国
民の管理・監視が進むと考えざるを得ない。「主権者たる国民の視点に立った番号制度の構築」とあるが、共通番号制の導入による利便性向上によって、国民は「主権者」であるより、
単なる管理対象になる恐れがある。
(意見2)
● 主な該当箇所(「社会保障・税番号大綱」の該当ページ)
初めに番号あり?(2~24ページ)
● 意見内容
住基ネットについての検証を行うべきである。
また、日弁連意見書も指摘しているとおり、まず、あるべき社会保障・税制の姿を明確に提示すべきである。
● 理由
番号制度ばかりの先行は不適正であり、フェアプレーでない。当然、住基ネットについての検証も行うべきである。
また、まず実現すべき社会保障・税制の姿を明確に提示すべきであり、次に、名寄せ、番号利用の必要性・合理性等を検討すべきであるにもかかわらず、政府案では「初めに番号あ
り」の宣言になっていて、本末転倒である。
(意見3)
● 主な該当箇所(「社会保障・税番号大綱」の該当ページ)
安心できる番号制度の構築(14ページ)
● 意見内容
国が膨大な個人情報を集中管理し、民間利用も予定されていることへの危険性
● 理由
「大綱」によれば、6分野もの膨大な個人情報を集中管理するとのことだが、利便性の一方、プライバシー侵害などの危険性、個人情報の国家管理に対する懸念などを払拭すること
はできない。
加えて、様々な個人情報を名寄せするのみならず、民間利用も予定されているなどこのシステムに対する経団連の期待は大きい)。プライバシー侵害の恐れは住基ネットにまして重大
118
である。国や地方自治体だけでなく、民間企業が共通番号を元にしたデータベースを作成・保有することになり、成り済まし犯罪多発の危険性が予想される。制度上の保護措置および
システム上の安全措置(16ページ)の有効性の検証が必要である。
(意見4)
● 主な該当箇所(「社会保障・税番号大綱」の該当ページ)
よりきめこまやかな社会保障給付の実現(社会保障個人会計(4、6ページ)
● 意見内容
総合合算制度(仮称)の導入は、社会保障制度と基本的に相容れない施策である。どうして、これが「よりきめこまやかな社会保障給付の実現」といえるのだろうか。理解できない。
● 理由
共通番号制度によって、社会保障の給付を、個人が負担した税金や保険料の範囲内とする「総合合算制度」の導入が例としてあげられている。本来の社会保障とは全く異質の、この
「社会保障個人会計」考え方は、経団連などの提言でもあり、社会保障の基本理念と真っ向から相容れないものである。社会保障費削減の一環としか考えられない。
(意見5)
● 主な該当箇所(「社会保障・税番号大綱」の該当ページ)
番号制度の可能性と限界・留意点(18・19ページ)
● 意見内容
様々な限界がありながら、番号制度を強行しようとするのは、問題である。
● 理由
「国民の権利を守り、新しい信頼関係を築く」としながら、このような限界の多い制度を導入しようとするのは、理解に苦しむ。
(意見6)
● 主な該当箇所(「社会保障・税番号大綱」の該当ページ)
費用と便益(22ページ)、今後のスケジュール(23ページ)
● 意見内容
厳しい財政事情の折から、費用負担、コストベネフィトをも含めた明細を早急に明示し、それまでは手続きを凍結すべきである。拙速は避けるべきである。
● 理由
「システム開発など相応のコストが発生せざるを得ない」と、「大綱」には漠然としか触れられていない(初期費用だけで、6000億円とも言われる)。費用便益を欠いた「大綱」
は有効性を持たない。東北大震災などに莫大な費用が必要であり、増税不可避の意見も強まる中で、十分な検証を欠いた新システムの導入は、賛成できない。加えて、現下の不安定な
政治・社会状況の中で、関係法案の国会提出など、論外である。
66
全国青年税理
士連盟
(該当箇所)
P19(2)番号制度の限界 他
(意見)
番号制度導入の是非について国民に対する説明責任が果たされていない。
(理由)
① 番号制度導入=正確な所得把握ができる という誤解の放置
税制改正大綱や民主党のマニフェストでは正確な所得を把握するために番号制度を導入することとしており、正確な所得の把握ができることを前提として給付付き税額控除や年金
一元化などの構想が語られているが、その一方で今回の大綱では「番号制度を導入しただけで、これらが即座に実現できるわけではなく、社会保障制度や税制等の諸制度の改革を併
せて検討していくことが必要である」という認識を示している。
しかし、そのような認識を示しながら、結局はどういう形の制度改革を併せ検討するのかは全く語られないまま、直後に、
「そのような制度改革と併せても、全てが完全に実現され
るわけではない。例えば、全ての取引や所得を把握し不正申告や不正受給をゼロにすることなどは非現実的であり、また、
「番号」を利用しても事業所得や海外資産・取引情報の把握
には限界があることについて、国民の理解を得ていく必要がある」とだけ記述するなど、制度改革については消極的とも取れる記述を行った上で、
「しかし、これら全てが完全には実
119
現できないにしても、番号制度の導入と制度改革による一定の改善には大きな意義がある。」と結局は根拠のない自画自賛で導入を正当化している。
制度構築の前提にこのような大きな矛盾があることを認めながら、これを周知して問題意識を高め、対抗策を検討するといったことをせず、国民に解決策を示すこともなくただ放
置し「国民に理解を得ていく」方針で進んでいることにより、結局は「番号制度の導入=正確な所得把握」というキーワードだけが独り歩きし、国民の多くは「番号制度を導入すれ
ば全ての所得が正しく公平に把握される」という誤解ないし過度の期待を抱かされ、その結果、番号制度の導入はもちろん、給付付き税額控除や年金一元化などの実施についてもそ
の誤解ないし過度の期待に基づき、誤った評価を下す危険にさらされている。
制度構築の前提に矛盾があるのにその周知・検討・解決策の提示をせず、国民の誤解ないし過度の期待を放置することは、国民をミスリードすることに繋がるため、国民に対する
説明責任の観点から非常に問題があると言わざるを得ない。
②
番号制度の導入による所得把握の費用対効果が説明されていない
納税者番号制度としての側面から言えば、徴税コストが徴収税額を上回るような不経済な徴収方法をとることは基本的に許されない。
特に、番号制度の導入や国民ID制度の導入といったITインフラ型の施策は、長期にわたり巨額の税金を投入することになるIT版公共事業であることなども考慮して費用対効
果を考える必要がある。
そこで、国民に対しても費用対効果に対する説明が必要になり、このたびの番号制度の導入により、徴収税額が増え、あるいは徴税コストが減るのかどうか、具体的には、これま
で捕捉し得なかった所得が新たに捕捉できるようになるのかどうか、またその場合、どのような種類の所得をどのような対象者からどれだけ捕捉可能であると考えられるのか、また、
これまで捕捉できていた所得も含め、その所得捕捉については納税者番号制度の導入によることが最も効率が良いのか、それとも、既存の制度の枠組みの中で工夫し対処した方が効
率が良いのか、といった検討が必要になる。
しかし、残念ながらこれらの点に関しては現在までの所、ほとんど議論も検討もなされておらず、データの開示や周知など、国民に対する説明責任についても果たされていない。
③
導入が国民生活に与える影響(特に不利益部分)が説明されていない
国家管理への懸念、不正行為のリスク、目的外利用のリスクなどに関してはある程度は検討がなされているが、いずれも不十分な内容であり、例えば納税者番号制度として利用す
る場面で、給与の支払いをする際に相手方の納税者番号の提示がない場合、必要経費や損金に算入できないのかどうか、といった、取引の実態はあるけれども番号の記載がない取引
についての取り扱いなど、現実味のある話が語られておらず、国民に対する説明責任が果たされていない。
④
所得の把握だけでは公平な社会を実現できず、逆に、「今そこにある不公平」をかえって助長する
所得税に関して言えば、金融所得の総合課税を目指していた時代においては納税者番号制度(例えばグリーンカード制度)の導入により名寄せで個人の所得を把握合算し、総合課
税のもと超過累進税率を課すことで課税の公平の実現に資することができるという制度設計も可能だったと思われるが、昨今の税制調査会等における議論は課税の公平の理念を忘れ、
課税庁の立場を代弁するが如く、財源として徴収しやすい税制を目指す傾向にあり、足の速い金融・資本所得に関しては応能負担原則を無視して定率・低税率での課税のみで済ませ、
足が遅く逃げることが出来ない勤労所得などに対しては応能負担原則を過度に適用して超過累進税率で重課するといった二元的所得税論の考え方が支配的である。
また、現行税制は金融所得の総合課税を目指したグリーンカード制度の頓挫以降、金融所得に対する総合課税が実施されても金持ちが困らないように、直接税から間接税(消費税)
への税負担シフトが行われ、それに伴う最高税率の引き下げや税率ブラケットの拡大など累進税率緩和策が行われ、さらには有価証券譲渡益課税の非課税規定など優遇規定も重ねて
措置されてきたため、既に包括的所得税論の税体系そのものが骨抜きにされ、応能負担原則が形骸化させられているという状況にある。
本来は不労所得であり担税力が最も高いと金融所得への課税が適正になされず、あるいは、応能負担原則に基づく適正な課税が形骸化させられた現状のまま、即ち、何ら不公平税
制の是正措置をとらないまま、番号制度の導入を行うことは、番号制度の導入により把握できる所得(足の遅い給与所得など)と把握できない所得(足の速い国外関連所得のほか、
事業所得など)、あるいは、把握され名寄せされても税負担が増えない所得(例えば分離課税の金融・資本所得)と把握され名寄せされれば税負担が増える所得(例えば総合課税の給
与所得や事業所得)との間で、さらなる課税の不公平を助長することにもつながりかねない。
⑤
弱者把握の手段としての番号制度の限界と弱者把握の必然性への疑問
番号制度により所得を把握するのは課税するためだけではなく「真に手を差し伸べるべき人」即ち「社会的弱者」を把握し、例えば給付付き税額控除などの施策を実施するためで
もあると説明されているが、所得の把握だけではその人が「真に手を差し伸べるべき人」であるかどうかは判断し得ないというのが現実である。
極端な例で言えば、多額の資産を相続しぶらぶらしている人は所得はゼロだが社会的弱者でもなければ「真に手を差し伸べるべき人」でもない。
また、捕捉される所得の偏りも問題である。例えば所得の多寡による年金の給付制限についても、現行制度では給与所得の多寡のみで判定しているため、事業所得や金融所得など
がいくらあっても制限が行われないといった不公平が生じている。
番号制度により全ての種類の所得はもちろんのこと、資産の保有や親族の援助の有無などまで把握することを許すのであればいざ知らず、実際にはそこまで精緻な番号制度(≒国
民総背番号制度)を構築するには国民からの国家に対する絶対的な信頼がなければならず、現在の日本の国情を考えれば、実現不能と言わざるを得ない。
さらに言えば、弱者の所得や資産をわざわざ把握せずとも、税の徴収について応能負担原則を徹底した上で国民全体に定額の給付を行えば、結果として弱者には手厚い制度になり、
120
同じ効果が達成できるため、そもそも弱者の所得を把握する必然性がないにもかかわらず、そのあたりの検討や議論も十分になされないまま番号制度導入ありきで国民不在の議論が
行われている現状は、非常に由々しき事態だと言わざるを得ない。
⑥
共通番号制でなければならない理由が不明瞭である。
番号を納税者番号として利用する場合は、民-民間で可視番号を提示して取引が行われることが想定されているため、納税者の事務負担の増大といった問題のほか、民間における
データ蓄積によるプライバシーの問題や、なりすましなど不正利用の問題が生じる可能性が指摘されているが、これに対する有効な解決策は提示されていない。
一方、番号を社会保障番号などとして税以外の行政サービスに利用する場合は番号を可視化する必然性はない。
これら性質の異なる番号をあえて共通番号にすることでプライバシーや不正利用などの問題をさらに増大させることに合理性があるとは思えない。
そもそも共通番号制の話は税と社会保険の徴収の一体化、即ち歳入庁構想に端を発しているが、現在の所、歳入庁構想に関しては議論がなされておらず、とりあえずは既存のどの
省庁で取り扱うかと言った「導入ありき」の議論に変わってしまっている。
これでは、一体化の是非や、何故共通番号制度でなくてはならないのか?何故独立した番号ではいけないのか?といった疑問について国民に対し十分な説明がなされているとは言
えず、国民不在のところで番号制度の内容が変質しているのではないかという危惧を抱かざるを得ない。
(該当箇所)
大綱全般
(意見)
番号制度の導入目的がカモフラージュされ、国民不在の議論で利用目的が拡大されている懸念がある。
(理由)
このたびの番号制度は、
「社会保障・税に関わる番号制度」と銘打ち、税のみを対象とする納税者番号制度ではなく、年金・医療・介護・雇用等の社会保障に関する番号制度を兼ねる
ものであるとされ、さらには、給付付き税額控除や所得比例年金などに利用する「主として給付のための番号」であることを強く押し出して、国民がこれまで根強く反対してきた納税
者番号制度や国民総背番号制度などとは違うものであるといったニュアンスで説明されている。
しかし、税制改正大綱や民主党のマニフェストに一貫して書かれている番号制度の導入目的は「正しい所得把握体制の環境整備」であり「所得の把握を確実に行うこと」であって、
検討会の議論においても、第一義的には納税者番号制度として利用することが想定され(いわゆるA案)、ただ、それだけでは「国民にメリットが感じにくい」ため、社会保障給付への
利用を付加すること(いわゆるB-1案)や、さらに社会保障情報サービスへの利用を付加すること(いわゆるB-2案)や、場合によってはそれ以外の行政サービスまでをも対象と
すること(いわゆるC案)が検討されるといった形でオプションを増やしているだけの話であり、実質的には納税者番号制度であるものに「給付のための番号」という名目を付し、さ
らに利用目的を拡大することで導入目的をカモフラージュしているだけであると言わざるを得ない。
利用目的の拡大は制度構築のための社会的コストを増大させるのみならずプライバシーやセキュリティーなどの問題を惹起・増大させ、闇雲にこれを許せば国民の監視・監督・統制
といった国民主権をゆるがしかねない国民総背番号制度へと向かう危険性もある。
しかも、これらの問題に対処するため、わざわざ情報管理のための複雑なシステムやセーフティーネットを構築・維持・管理しなければならなくなり、こちらにも巨額のコスト(税
金)が、しかも長期にわたって必要となる。
にもかかわらず、現在は国民の利便性の名のもとに、納税者番号制度としての本質を見えにくくさせ、さらには、番号制度の利用目的の拡大により利を得るIT関連業界の期待に沿
った施策を実施することを目的とするかの如く、利用目的を拡大する議論がなされている。
また、「新たな情報通信技術戦略」(平成22年5月11日:高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)においては「社会保障・税の共通番号の検討と整合性を図りつつ(中略)
府省・地方自治体間のデータ連携を可能とする電子行政の共通基盤として、2013年までに国民ID制度を導入する」ことや「民間IDとの連携可能性を検討する」ことが盛り込ま
れ、平成22年6月22日にはその工程表が閣議決定されているが、これは検討会の議論における「C案」を想定したものであると目されており、税制改正大綱や民主党のマニフェス
トには語られていない利用目的が国民不在の状態で番号制度に付されようとしている。
(該当箇所)
大綱全般
(意見)
このたびの「社会保障・税共通の番号制度」(以下「番号制度」という。
)は、今一度、白紙の状態から議論をやり直すべきである。
(理由)
平成22年度税制改正大綱(平成21年12月22日)に、納税環境整備の一環として番号制度の導入や歳入庁の設置などが盛り込まれ、これを受けて内閣府国家戦略室の「社会保
121
障・税に関わる番号制度に関する検討会」
(以下「検討会」という。
)や税制調査会の納税環境整備小委員会で議論がなされた。その後検討会からは「社会保障・税に関わる番号制度に
関する検討会 中間取りまとめ」が公表されるとともに平成22年7月16日付でパブリックコメントが公示され、意見募集が行われたが、これら一連の議論及び意見募集については、
番号制度の導入自体が目的化して、国民不在の状態で拙速に議論を進めているのではないかという疑念を強く抱かざるを得ないものであった。
また、同年7月の政局により事実上議論が中断され、パブリックコメントに寄せられた国民からの批判などに十分応えることもないまま、同年11月には「社会保障・税に関わる番
号制度に関する実務検討会」が開始された。翌12月には「社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会中間整理」の公表、さらに平成23年1月には「社会保障・税に関わる
番号制度についての基本方針(案)」を公表、同年4月には「社会保障・税番号要綱」を公表するなど、結局は、拙速、かつ、導入ありき用途拡大ありきの議論が強引に推し進められて
いる。そして6月には今回の「社会保障・税番号大綱」が公表され、早ければ今秋には国会に関連法案の提出がなされようとしている。
しかし、その一方で、肝心の国民に対する周知活動や国民からの意見収集については、ほぼ全ての内容を閣議決定してしまってから後付けでリレーシンポジウムなどの開催予定が組
まれているに過ぎず、その内容についても、導入の是非を判断するための知識・情報を国民に提供するためのものではなく、導入や用途拡大を「既に決まったもの」として無理やりに
でも国民に納得させようとするためのものではないかと思われることなど、極めて不十分・不適当なものであると言わざるを得ない。
番号制度はシステム構築や法整備いかんで国民主権をゆるがす国民総背番号制にもなり得る制度であり、課税・徴収のための情報収集という名目のもと、課税庁が主権者である納税
者の管理や監視を強化するための納税者番号制度となり得る制度であるという認識から、納税者主権及び申告納税制度の趣旨に照らし、その導入については慎重に考えるべきである。
従って、主権者たる国民が不在の状況で番号制度導入が決定されることは本来あってはならず、今一度、白紙の状態から議論をやり直すべきである。
67
東京青年税理
士連盟
●
該当箇所
2頁(1)背景
社会保障制度や税制に対する国民の信頼を得るには、給付や負担の公平性を実感してもらうことが重要である。その観点から、給付や負担の基準となる所得等の情報を的確に把
握し、それに基づいた制度運営を行うことが求められている。
3頁(2)課題
法定調書(取引情報)のうち名寄せが困難なものについては活用に限界がある。
7頁(2)所得把握の精度の向上等の実現に関するもの
税務当局が取得する各種所得情報や扶養情報について。「番号」又は「法人番号」を用いて効率的に名寄せ・突合することが可能になり、より正確な所得把握に資する。
● 意見内容
番号制導入が、莫大な費用やさまざまなリスク負担に見合うほど、税制度の公平感達成や、所得の申告漏れ、所得把握の精度向上に資するものであるという根拠が示されておらず、
実証的な根拠や数値的な考え方を示すべきである。
● 理由
我が国においては、給与所得者に対しては源泉徴収制度及び年末調整制度が、事業所得者に対しては申告納税制度のもと確定申告制度が採用されている。申告納税制度とは、納税す
べき税額が納税者の申告によって確定することを原則とする制度で、この正確性を担保することを目的として青色申告制度、帳簿書類の備付義務、課税当局による質問・検査権、租税
罰則などが採用されている。したがってこうした枠内での所得把握は相当程度まで正確に行われていると考えられる。
税制度の不公平感は、こうした枠内でのわずかな把握もれや申告もれに起因するものではなく、たとえば金融・証券税制における金融資産への過度の軽課措置や相続税における基礎
控除額の高さなどによるものが大きいと考える。
この点を考慮すれば、莫大な費用やさまざまなリスク負担を伴う番号制度の導入が、それに見合う程度まで税の不公平感払拭に役立つものかどうかは疑問が残る。番号制導入が、ど
の程度、所得の申告漏れや所得把握の精度向上に資するもので、どの程度、税の公平感達成に貢献するものか、実証的な根拠や数値的な考え方を示されない限り、安易に番号制導入を
受け入れることはできない。
●
該当箇所
3頁(2)課題
所得の申告漏れを防止するために税務署に提出される法定調書(取引情報)のうち、名寄せが困難なものについては活用に限界がある。
7頁(2)所得把握の精度の向上等の実現に関するもの
税務当局が取得する各種所得情報や扶養情報について。「番号」又は「法人番号」を用いて効率的に名寄せ・突合することが可能になり、より正確な所得把握に資する。
● 意見内容
1.名寄せが困難な法定調書がどれくらいあるのか明らかにすべきである。
2.税務行政における扶養情報の名寄せ作業の困難さがどの程度であるのか明らかにすべきである。
3.番号制度を導入しても所得把握の精度の向上は達成できない。
122
●
理由
1.名寄せが困難な法定調書がどれくらいあるのか明らかにすべきである。
番号制度の導入の理由の一つに、名寄せが困難な法定調書の存在が掲げられている。しかし、名寄せが困難な法定調書はどれくらいあるのかが明らかではない。それほどの枚数で
はないなら、番号制度を導入するほどの必要性がないのではないか。
2.税務行政における扶養情報の名寄せ作業の困難さがどの程度であるのか明らかにすべきである。
現在でも扶養情報の大部分は税務当局に把握されているはずである。とすれば、番号制度は、専ら税務行政の効率化のために導入されることになる。
この効率化という点に関して、現在の税務行政において、扶養情報を名寄せすることに、どれくらいの事務負担や困難さを伴うのかを明らかにすべきである。
それほどの事務負担ではないなら、番号制度を導入するほどの必要性がないのではないか。
3.番号制度を導入しても所得把握の精度の向上は達成できない。
番号制度を導入しても、
「事業所得や海外資産・取引情報の把握には限界がある」
(大綱19頁(2)番号制度の限界より)
。導入により扶養情報や法定調書の名寄せ・突合は効率化
されるかもしれないが、所得の把握の精度はほとんど高まらない。番号制度を導入しても、導入の目的である所得把握の精度の向上は達成できない。
●
該当箇所
7頁(2)所得把握の精度の向上等の実現に関するもの
● 意見内容
申告納税制度の理念に反しないような制度設計をすべきである。
● 理由
1.申告納税制度について
申告納税制度は、納付すべき税額が納税者のする申告により確定することを原則とする方式である。申告納税方式のもとでは、課税庁の処分(更生・決定)は、第二次的・補充的
な地位を占めるにとどまる。(北野弘久「税法学原論(第6版)」青林書院 P.261)
申告納税制度は、憲法理論的には国民主権主義の税法的表現・展開としてとらえることができる。そこでは納税者・国民はいわば租税法法律関係における「主役」としてとらえら
れる。(北野弘久「税法学原論(第6版)」青林書院 P.14)
2.申告納税制度の理念に反しないような制度設計をすべきである。
番号制による所得の把握は、申告納税制度を補完する役割を果たすものと考えられる。しかし、番号制の過度の利用は、申告納税制度の理念に反する恐れがある。したがって、番
号制が申告納税制度の理念に反しないような制度設計をすべきである。あくまで「納税者・国民」が主役であり、番号制導入によって「国家」主体とならないようにすべきである。
●
該当箇所
11頁 ③法定調書の提出に係る事業者負担の軽減
7~8頁(2)所得把握の精度の向上等の実現に関するもの
税務当局に提出される既存の申告書・法定調書等については、その提出者(申告を行う者、法定調書の提出義務者等)に対し、提出者本人及び記載項目とされている第三者(扶
養控除の対象者、給与等の支払を受ける者等)に係る「番号」又は「法人番号」の記載を求めることとする。
また、番号制度の導入の趣旨を踏まえ、諸外国の事例も参考として、法定調書の拡充についても検討を進める。
● 意見内容
番号制度が導入されることによって行政側の事務負担だけ軽減されて、結論として事業者ひいては国民の事務負担が増加する旨記載すること。特に中小零細事業者にとっては事務負
担の増加は酷であり、事業に影響を及ぼす恐れがあること。また、提出先の一元化は納税者番号を導入しなくても可能であることから、事業者の事務負担の軽減理由としては削除する
こと。
● 理由
1.記載要件が増える
現在の「法定調書」に納税者番号を追加して記載しなければならなくなり、この番号を相手先に確認しなければならないため、現在より事務負担が増加する。
2.提出すべき法定調書が増える
所得捕捉のために新たに法定調書の提出を求められることになるため事業者の事務負担が増加する。
3.中小零細事業者にとって事務負担の増加は問題である
現在、源泉徴収制度、年末調整制度、法定調書の作成その他社会保険事務については事業者に大変な事務負担を強いている。大企業については、これらの事務の体制が整っている
123
と思われるが、中小零細事業者においてはその事務の体制を整えることは困難であり、その負担は重たいものとなっている。そのため、納税者番号制度を導入することによって、新
たな事務負担を中小零細事業者にまで強いることは酷であり、事業に支障を及ぼす恐れがある。
4.提出先の一元化について
現在法定調書のうち一定額以上の給与の資料については税務署長に提出し、さらに、給与支払報告書を市区町村に提出している。給与については、個人が所得税の確定申告書を税
務署長に提出することによって、その情報が市区町村長に回送され個人住民税が賦課徴収されている現状がある。従って、現状のこのシステムを応用することにより税務署への提出
先の一元化は充分計ることは可能である。納税者番号を導入することによって軽減される事務負担ではない。
●
該当箇所
3頁(2)課題
① 複数の機関に存在し、かつそれぞれに蓄積される個人の情報が同一人の情報であるということの確認を行うための基盤が存在しない為に、より正確な所得・資産の把握に基づ
く柔軟できめ細やかな社会保障制度・税額控除制度の導入が難しい。
5頁(5)我が国の理念
② 今回導入する番号制度は、低所得で資産も乏しい等、真に手を差し伸べるべき者に対して、給付を充実させるなど、社会保障をよりきめ細やかに、かつ、的確に行うことが重
要であり、そのためにも受益・負担の公平性・透明性を高めようとするものである。
19頁(2)番号制度の限界
③ 「番号」を利用しても事業所得や海外資産・取引情報の把握には限界がある。
● 意見内容
1.番号制度の導入による、国民の資産の管理の範囲とその方法が不明
2.国民の資産の国外移転への危惧
● 理由
1.番号制度の導入による、国民の資産の管理の範囲とその方法が不明
上記該当箇所の①②によると、番号制度の導入により、正確な所得及び資産の把握に基づき柔軟できめ細やか、かつ公平・透明な社会保障の充実をめざしていることがわかる。
ただし、その基礎となる資産を把握する範囲とその方法の記述が欠落している。
したがって、具体的に管理する国民の資産の範囲とその方法について明らかにすべきである。
2.国民の資産の国外移転への危惧
国が国民の資産を管理しようとする意図を国民が見抜けば、納税者の中には、回避行動に出るものもいるかもしれない。資産を海外に移転することは、その一つとして想定される。
上記該当箇所③で認めている様に、海外資産の把握には限界があるということは、国民にも明白である。
したがって、番号制度の導入によって、国民の財産が国外に移転するという恐れがある。
●
該当箇所
1.費用に関すること
22~23頁(3)番号制度の導入に係る費用と便益
費用については、制度設計の仕方によって、実際のシステム改修の程度やその費用が異なってくること
2.効果に関すること
2~3頁(2)課題
制度上利用できるサービスであってもそれを知らないためにみすみす受給の機会を逃してしまう、などといった国民の負担や不公平が生じている
多大なコストと時間と労力をかけて数多くの書類を審査し、結果として人的ミスを誘発しやすい作業を毎年繰り返している
9~11頁(5)事務・手続きの簡素化、負担軽減に関するもの
事務・手続きの簡素化が図られ、国民及び国・地方公共団体等の負担が軽減され、利便が高まる
● 意見内容
費用及び効果に関して具体的数値が示されておらず、国民生活に大きくかかわる番号制度であるのにもかかわらず十分な議論がなされたとは言えない。国民が番号制度を十分に理解
していない状態での番号制度導入には反対である。
● 理由
124
1.費用に関すること
費用については、制度設計の仕方によって、実際のシステム改修の程度やその費用が異なってくる
国家の財政が危機的状況にある中において多額の財政支出を要するIT版公共事業とも言える番号制度は、本人の同意を必要としない強制的なものであり、処罰規定を設けたうえ
での番号の告知義務を負わせるものであるため、財政的なもの以外にも、国民に多くの負担を負わせることになる。それゆえに、番号制度の導入を進めるためには番号制度について
の国民の十分な理解が必要となる。国民の理解のためにはコストについての丁寧な議論が必要不可欠なものと考える。制度設計により費用が異なるにしろ、いくつかのパターンを示
したうえでの費用対効果の議論をすべきである。
番号制度導入に伴う開発コスト、保守管理に伴う運用コスト、ますます巧妙化するサイバー攻撃に対応するセキュリティーコスト、情報漏えいなどが生じた場合の賠償コスト、国
民の負担となる番号制度導入に対応するためのコンプライアンスコスト(国家協力費用)などすべてのコストを試算したうえで行政側からのみならず国家・国民全体としての費用対
効果を見極めなければならないが、議論の前提となる具体的な数値が示されていない。
賠償コストについては制度上の保護措置を講じることが述べられているものの、情報保護の絶対的な安心・安全はありえないものと考える。福島第一原発事故に見るように、絶対
的安全とされていた原発が取り返しの付かない大事故を起こしている。コスト的に有利とされた原子力発電が賠償コストまで含めると結局は割高なものとなりうる状況である。
番号制度導入により、行政の事務処理効率がよくなることはある分野である程度、想像できるものの、その効果が、行政の事務負担軽減による人員削減等により、最終的に国民に
帰属するものでなければならない。効果が費用を上回らなければならないことは言うまでも無い。そのためにも費用及び効果について具体的な数値等を示した上で国民に分かりやす
く丁寧に説明し、議論を尽くすべきである。
2.効果に関すること
費用と同様に効果についての具体的な数値等が示されていない。具体的な数値等を示すべきである。
(1)制度上利用できるサービスであってもそれを知らないためにみすみす受給の機会を逃してしまう、などといった国民の負担や不公平が生じている。
不正な受給をなくし、
「真に手を差し伸べるべき者に対して、給付を充実させる」ことは賛成である。しかし、どの程度「受給の機会を逃してしまう」者が存在し、番号制度を導
入することで、どの程度これらの者が減少するのかを明らかにしたうえで丁寧な議論をすべきである。
(2)多大なコストと時間と労力をかけて数多くの書類を審査し、結果として人的ミスを誘発しやすい作業を毎年繰り返している
人権が守られることを前提として、行政の事務効率がよくなることは行政コストが減少し、最終的には国民の負担が減少すると考えるので賛成である。しかし、番号制度を導入
することでどの程度事務効率がよくなり、それにより、人員削減等の行政コストがどの程度減少するのかを明らかにしたうえで丁寧な議論をすべきである。
(3)国民及び国・地方公共団体等の負担が軽減され、利便が高まる
公開として「添付書類の削減」とあるが国民側からは効果は極めて少ない。行政側の効果が大きいのであれば、その効果を具体的に示すべきである。
事務処理件数×導入により減少する事務処理時間×時間当たり人件費
で測定可能である。もし、測定が困難であるならば事務作業分析がなされていないことが考えられる。負担の軽減には番号制度導入以前に事務作業分析を行うべきである。国民に
番号を附番し管理するよりも、国・地方公共団体の事務処理に統一した管理による負担の軽減を優先すべきである。
番号制度は取り扱う個人情報が非常に秘匿性の高い情報であるため人権に対する問題も孕んでいる。利便や効率を追求するにはあまりにも大きなリスクを抱える制度といえ、番号
制度による効果が「真にやむをえない利益」とは考えられない。
平成23年秋以降、可能な限り早期に番号法案等の国会提出することはあまりに性急であり、国民の十分な理解どころか議論もなされていない。
東日本大震災により今後多くの財政支出が予定されている。この状況から巨額な財政支出を伴うと思われる番号制度は施策の優先順位からしても後順位であり、議論が尽くされな
い状態で導入すべきではない。
●
該当箇所
36頁 Ⅵ 「番号」に係る個人情報の保護及び適切な利用に資する各種措置
(特に39頁 8.「番号」に係る個人情報の安全管理措置義務 に関連して)
● 意見内容
1.国民が安心・納得できる個人情報の保護管理体制の提示を求める。
2.個人情報が漏洩した際の対応を明らかにすることを求める。
(1)絶対安全を前提にしてはならない。
(2)損害発生時の立証責任は情報保有機関及び加害者に。
● 理由
125
1.国民が安心・納得できる個人情報の保護管理体制の提示を求める。
(1)番号制度の導入により個人情報が増加し集中することで有用性が高まる一方で、情報の漏えい・濫用の危険性も同時に高まることは「大綱」15頁でも認識されているものであ
る。大綱では「情報の漏えい・濫用の危険性」について、どの程度認識しているのか疑問である。
(2)例えば、2002年5月26日、東京ビューティーセンター事件では、約3万人分の情報がインターネットに流出し、二次被害(迷惑メールなど)があった。この事件では、被
害者が東京地方裁判所に提訴し、損害賠償を認める判決が言い渡された。
その他、クレジットカード情報が漏洩し不正使用による二次被害が生じたり、社員による不正持ち出しといった人為的な漏えいがある一方で、外部の者からサーバーへの不正ア
クセス攻撃により情報を持ちだすと行った事件も起きている。つい最近では今年4~6月のソニー等の個人情報漏洩件数(例えば、4月19日のSOEへの不正アクセス攻撃これ
によるソニーグループとしての漏洩数は1億160万件。
)は多大なものとなっている。
(3)まずは、これらの個人情報漏洩事件を総括し、同様な事件が起こらない体制を構築できることを証明しなければならない。
(4)さらに、過去に生じた個人情報漏洩事件にとどまらず、情報技術に関する専門家をはじめとした各種専門家を通じて、国民にとって納得できる情報管理体制を構築できることを
証明しなければならない。
大綱は、個人情報漏洩に関する総括と対策の記載が不足している。
2.個人情報が漏洩した際の対応を明らかにすることを求める。
(1)絶対安全を前提にしてはならない。
東日本大震災により絶対安全とされていた福島原発が津波により被害を受け、未曾有の事故を起こしたことは誰の目にも明らかである。
つまり、絶対安全などというものはない、ということを前提にしなければならない。
具体的には、万が一、情報漏洩が起きた際に、その被害を如何に迅速に最低限に抑えるのか。あるいは、漏洩した情報を差し押さえたり、取り戻したり、二次利用を防いだりす
るには、どのようにするのか、この議論を落としてはならない。
(2)損害発生時の立証責任は情報保有機関に。
日本の民事訴訟では、原則として自己に有利な法律効果の発生を求める者は、その法律要件の事実について証明責任を負うと考えられている。この考え方を個人情報を漏洩され
た国民にそのまま当てはめることは国民に酷である。
よって、個人情報漏洩による損害について、その立証責任は情報保有機関及び加害者に求めなければならない。
以上の内容が解決されない状況では、社会保障と税番号制度を導入できる状況ではないと考える。
●
該当箇所
14~18頁
4.安心できる番号制度の構築
(1)「番号」の保護等の必要性
(2)個人情報の保護の必要性
(3)住民基本台帳ネットワークシステム最高裁判決との関係
20頁
6.番号制度の将来的な活用
4~5頁
1.番号制度の導入の趣旨
(4)諸外国の制度
38~39頁 10.「番号」に係る個人情報のアクセスおよびアクセス記録の確認
● 意見内容
1.番号制度が憲法の保障するプライバシー権(国家からみだりにプライバシーに介入されない権利)を侵害しない制度か慎重に検討すべきである。
2.プライバシー権の保障というアプローチからの制度設計を行うべきである。
3.諸外国の状況を検討し、日本において憲法違反にならないかを検討すべきである。
また、国民に諸外国の状況や問題点を明らかにし、問題点については対応策を説明すべきである。
4.自己情報コントロール権の観点からマイ・ポータルの制度をより検討すべきである。
● 理由
1.プライバシー権について
プライバシー権について憲法上明文の規定はないが、憲法13条(個人の尊重・幸福追求権)により保障されるものと解されている。プライバシー権は、国家からの関係からする
と、私生活・私事に属する事項に対して公権力がみだりに介入することを拒否、排除する権利である。
126
国家を運営するにあたり、国民の個人情報を管理することが必要になってくることはある。しかし、プライバシー権を保障するためには、国民の個人情報の管理は必要最低限のも
のでなければならない。
2.番号制はプライバシー権を侵害するものであってはならない。
大綱P15(2)では情報漏えいによるプライバシーの侵害については書かれているが、プライバシー権は国家からの自由を保障するものであり、この自由権の観点からの検討が
されていないことに問題がある。
番号制は、国民の情報を串刺しにして一元的に管理するものであり、また、管理する情報も国民の生命・財産などに関わるプライバシーとして保護すべき重要性が最も高いもので
ある。このため、国民のプライバシーに対して国家が大きく介入できることから、プライバシー権を侵害する恐れがある。大綱P16の表では、国家による管理への懸念に対する保
護措置として第三者機関による監視や自己情報へのアクセス記録の確認があげられているが、これを講じたからといって、国家による管理という状況は変わるものではない。
また、番号制度の導入の理念は、対応P.5によると、
「社会保障給付を適切に受ける権利」、
「種々の行政サービスの提供を適切に受ける権利」を守ることにあるとしている。これ
らの国家による国民の自由権の保障は大事ではあるが、国家からの自由であるプライバシー権を害するものであってはならない。その他に番号制導入のメリットとして、事務・手続
きの簡素化、国民がサービスを受けることの利便ということなどがあるが、プライバシーの権利を侵害してよい理由とはならない。
以上のように、番号制はプライバシー権を侵害する恐れがある制度である。そのため、プライバシー権を侵害するものでないか慎重に検討すべきである。
3.プライバシー権を保護するアプローチでの制度設計をすべき
番号制がプライバシー権を侵害するかどうかは、制度の仕組みによっても大きく変わると考えられる。少なくとも、プライバシー権を侵害しないよう必要最低限に番号制を利用す
るというアプローチで検討すべきである。
しかし、大綱では国民のプライバシーを配慮するという考えは書かれていない。むしろ、積極的に番号制度を活用するという理念に基づいている。例えば、大綱P20の番号制の
将来的な活用では、幅広い行政分野や民間への利用も検討されている。番号制の利用範囲が拡大すればそれだけ国家の管理する情報は増え、国家によるプライバシーへの介入が大き
くなることになる。また、情報漏えいのリスクも高まる。プライバシー権の保障のためには、利用範囲についても必要最低限の限定的なものにすべきである。
4.住基ネット最高裁合憲判決について
住基ネットについては最高裁において合憲の判決がでているが、番号制度にはそのまま当てはまるものではない。つまり、合憲判決の要件を満たせば、番号制度を導入してよいと
いうわけではない。
なぜなら、番号制度は住基ネットとは制度自体がまったく異なるものだからである。大きな違いとしては、番号制の管理する情報は国民の生命・財産に関する事項であり、住基ネ
ットに比べプライバシーとして保護されるべき重要性が高いものとなっていることがあげられる。また、住基ネットの番号は、民-官のみの間で使用されるものであるのに対して、
番号制の番号は民-民-官と本人と行政以外のところでも使用される番号となっていることもあげられる。
以上のような違いから番号制がプライバシー権を侵害する憲法に違反するものでないかということについては新たに検討しなければならない。この判断基準は、住基ネットの判決
よりもより厳格なものでなければならない。
5.諸外国での状況について
(1)イギリスでは、国民の人権を侵害しているという理由から国民ID番号カード制が廃止となっている。
(2)ドイツでは、共通番号制は憲法違反とされており、共通番号制は採用されていない。
(3)アメリカでは、共通番号により成りすましが横行しており、解決策も見出せていない状況である。これは大綱P15においても書かれており、防止する必要があるとしているが、
具体的な対策については書かれていない。
ドイツ、イギリスでは、共通番号制は人権を侵害する制度と考えられており、アメリカでは現実に人権侵害が起きている。日本においても、人権を侵害する可能性があり、現実の
運用面においても人権が侵害される可能性があることから、人権を侵害することにならないか慎重に検討する必要がある。また、諸外国の状況や問題点についても国民に明らかし、
問題点についてはその対応策を具体的に説明すべきである。
6.自己情報コントロール権について
プライバシー権の社会権的側面として、国家などの保有する自己に関する情報の訂正、削除などを求めることもできるという自己情報コントロール権がある。
大綱のP38の10では、マイ・ポータルにより情報にアクセスできるものとされている。しかし、全ての情報にアクセスできるのではなく、不開示情報などもあるということに
なっている。そもそもこの不開示情報などとはどういったものかが明らかではない。また、この不開示情報などが誤った情報であった場合に訂正・削除を求めることができないため、
自己情報コントロール権を侵害する恐れがある。
さらに、情報へのアクセスはマイ・ポータルを通じたもののみとなっているようである。大綱P.39(2)アクセス記録の確認においては、マイ・ポータルへの接続が困難な者
等も確認できるようなその他の仕組みを設けて行うこととすると書かれているが、情報そのものへのアクセスは、マイ・ポータルへの接続が困難なものについては特に書かれていな
い。自己情報コントロール権の観点から、情報へのアクセスについてもマイ・ポータルへの接続が困難なものへの対応が必要である。
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