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方針(PDF)
対ブルキナファソ 国別援助方針
2012 年 12 月
1.援助の意義
ブルキナファソは、西アフリカ域内外の紛争の仲介や国連平和維持活動(PKO)軍
の派遣等、域内外で紛争の解決に積極的に貢献している。また、同国は西アフリカ経
済通貨同盟(UEMOA)の本部所在国であり、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)
加盟諸国中 6 か国と国境を接することから、域内経済統合の重要な役割を果たすこと
が期待されている1。周辺国が誘拐・テロ等の不安定要素を抱える中、地政学上、同
国の安定は域内全体の安定にとって極めて重要である。
我が国との関係では、国家元首が過去 4 回開催されたアフリカ開発会議(TICAD)
に全て参加した唯一の国家であり、国際場裏における我が国の基本的立場を支持する
友好国である。また、ブルキナファソはゴマの対日輸出第4位であるほか、同国の農
業及び鉱物資源セクター2を中心とした堅調な GDP 実質成長率(5.8%、2003-2010
平均:国際通貨基金(IMF))を背景に、ゴマ等の農産物に加え、鉱物資源の供給源3、
バイク等の日本製品の販売市場として、日本企業が関心を有している。そのため、同
国の安定的な成長を支え、我が国との二国間関係を強化する観点から支援の意義が高
い。
他方、度重なる干ばつの発生等厳しい自然環境にあり、人間開発指数 187 か国中
181 位(2011)であるブルキナファソに対して支援を行うことは、我が国 ODA 大綱
の重点課題である「貧困削減」の観点からも意義が大きい。
2.援助の基本方針(大目標):成長の加速化と人的資本の強化
同国は、実質 GDP 成長率平均 10%とミレニアム開発目標(MDGs)達成のため、
「持続的な開発及び成長の加速化戦略文書(SCADD)2011-2015」を定めている。我
が国は、同戦略で掲げられている優先課題を踏まえ、①「成長の加速化」のけん引役
となるべき農業振興、及び、②経済成長のためにも不可欠な「人的資本の強化」の 2
点に資する支援を行う。
1
ECOWAS は西部アフリカ 15 か国を、UEMOA はそのうち共通通貨セーファーフラン(FCFA)
を採用する仏語圏 8 か国をそれぞれ加盟国とする地域経済共同体。両機関ともに域内の経済統合
の促進を目的とする。
2
金輸出が GDP に占める割合は 7.7%(2010、政府)
、12.1%(2011、政府予測)。綿花生産量は
アフリカ1位(2010、 国連食糧農業機関(FAO))。
3
マンガン鉱山の開発に日本企業が関心を有する。
3.重点分野(中目標)
(1)農業開発
農業は GDP の 33%(2010、世界銀行)、農業従事者人口は就労人口の 8 割を超え、
同国政府は農業を成長の加速化のための優先セクターとして位置付けている。その一
方で、同国の農業生産は国際価格変動の影響を受ける綿花が多くを占めるため、農業
従事者の所得安定化及び向上を図るためには、農業生産の多様化が必要である。右観
点から我が国は輸出の潜在可能性の高い農産物の振興を支援していく。また、近年輸
入量が増加しているコメについて、アフリカ稲作振興のための共同体(CARD)イニ
シアティブ4による稲作支援等を実施し、輸入代替及び食料安全保障に資する協力を
展開していく。また、農村部の住民は自然資源に依存した生活を行っていることから、
環境・気候変動に適応した自然資源の保全と持続的活用に関する支援を行う。
(2)教育の質の向上
同国は、
「基礎教育 10 カ年開発計画」を掲げ、都市と農村地域の格差問題は残しつ
つも、全体としては、2011 年(同計画の終了年)までに小学校教育就学率 80.7%を
達成し、初等教育の普及については一定の成果を上げた。その一方で、依然として学
習環境や教育内容等の教育の質は低く、かつ中学校へ進学する生徒は限定的な状況に
ある。我が国はこれらの課題に取り組み、次期 10 カ年計画の実現に貢献していく。
(3)域内経済統合の促進
物流やエネルギー供給を隣国に依存するブルキナファソが安定的な成長を遂げる
ために、我が国は UEMOA との連携を深めつつ、国境通関の効率化や広域インフラの
整備など、域内経済統合の促進に資する支援を検討していく。
4.留意事項
(1)社会の安定への支援
2011 年に生じた一部軍による反乱とそれに伴う社会的混乱は物価高及び社会公正
の欠如に対する政府への不満に端を発しており、社会の安定を保ちつつ持続的な成長
を実現するためには、基礎生活分野の改善が不可欠である。基礎生活分野の改善につ
いては、我が国がこれまで保健、水・衛生、環境・気候変動分野で行ってきた技術協
力の成果を活かせるように、国際機関との連携や草の根・人間の安全保障無償資金協
力の活用等を検討する。また、政府による政策実施能力の更なる向上を支援するため
にも、専門家派遣のみならず、各分野の技術協力案件において、改善に取り組む。
(2)日本企業進出支援
日本企業が高い関心を有するゴマ等の潜在可能性の高い輸出農産物の開発支援、バ
4
二国間・多国間ドナー及びアフリカの機関、国際機関によって構成される協議グループである。
「アフ
リカにおける緑の革命」の推進を掲げ 2018 年までにサブサハラ・アフリカにおけるコメの生産量を倍
増させ、食料安全保障の実現と農村地帯の開発に貢献することを目指している。
イク等の日本製品の販売促進に資する国境通関の効率化や広域インフラ支援等、我が
国企業の同国での活動に資する経済協力を積極的に行っていく。
(了)
別紙:事業展開計画
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