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眼科診断トレーニング
眼科診断トレーニング 難渋症例にチャレンジ! 出題者 眼科診断トレーニング 井上智之 Tomoyuki Inoue 多根記念眼科病院 〒 550-0024 大阪府大阪市西区境川 1-1-39 観察のポイント ①繰り返す角膜炎による抗ヘルペス治療既往 ②角膜知覚の低下 ③小さく弱々しい樹枝状病変 ④病変部上皮よりの HSV-DNA の同定 ⑤他の感染微生物の同定は認めない ⑥抗ヘルペス治療(アシクロビル)に抵抗性 問題点 の 整理 繰り返す角膜ヘルペス治療既往のある角膜樹枝状病変を伴う角膜炎において,角膜知 覚低下および病変部 HSV-DNA の存在より角膜ヘルペスの再発と診断してアシクロビ ル眼軟膏治療を行うも,症状の改善を認めない. memo 症 例 75 歳 男性 主 訴 左眼 異物感 経 過 数年前より繰り返す角結膜炎にてヘルペス治療を受けている.1 カ月前より左眼異 物感が徐々に悪化したので受診.検査結果より,アシクロビル眼軟膏治療を開始 したが,3 週間継続するも病変は改善なく拡大した. 検査結果 角膜知覚: 検体検査: 右:60mm 左:20mm 病変角膜上皮検体より単純ヘルペスウイルス(Herpes 前眼部所見: simplex virus;HSV)-DNA 3.1×105 コピー同定され 角膜傍中心部に枝別れのある線状角膜上皮病変を認めた た.ほかの感染微生物は同定されなかった. (写真). 解答と解説は「眼科グラフィック」5 巻 2 号に掲載