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プレス発表資料 平 成 25 年 1 月 18 日 秋 田 大 学 炎症性腸疾患の新たな発症機構を解明 「米国科学アカデミー紀要」に研究成果を発表 秋田大学大学院医学系研究科の高須賀俊輔助教、堀江泰夫講師らは、マウスをモデル動物として 用い、炎症性腸疾患が発症する新たな機構を解明しました。 この発見は、脂質代謝異常による炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎等)の発症に関わる ことが予想され、その治療への応用も期待されます。本研究は内閣府の最先端・次世代研究開発支 援プログラムの一環として行われ、秋田大学生体情報研究センターの佐々木雄彦教授との共同研究 として、2013 年 1 月 15 日(米国時間)に『米国科学アカデミー紀要』 (Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)のオンライン速報版で公開されていま す。 Early Edition Article on http://www.pnas.org/content/early/recent on the week of January 15, 2013 【 参 考 】 細胞膜を構成するリン脂質の一つである PI(3,5)P2 はリン酸化酵素 PIPKⅢによって生成されま す。この酵素を欠損するマウスを作製すると、PI(3,5)P2 が欠乏し、腸上皮細胞のリソソームが 膨潤し、激しい炎症性腸疾患がおこりました。さらに、腸上皮細胞と同様に、胎児への栄養供給 に重要な臓側内胚葉(visceral endoderm)細胞で PIPKⅢを欠損させると、着床直後の栄養不足 により胎児が死亡することも明らかになりました。すなわち、PIPKⅢによる PI(3,5)P2 の生成は、 成体、胎児において、外部から細胞内への栄養吸収に必須の役割を担っており、その破綻が炎症 性腸疾患の発症につながるという新しい知見です。本酵素を欠損するマウスは、激しい線維化を 伴う貴重な炎症性腸疾患モデル動物であり、クローン病や潰瘍性大腸炎の新たな治療法開発への 応用が期待されます。 【お問い合せ先】 秋田大学大学院医学系研究科医学専攻病態制御医学系 微生物学講座 (秘書)高橋 TEL:018-884-6290 FAX:018-836-2607 E-mail: [email protected]