...

愛媛県心と体の健康センターにおける自殺対策の 6年間の振り返り

by user

on
Category: Documents
10

views

Report

Comments

Transcript

愛媛県心と体の健康センターにおける自殺対策の 6年間の振り返り
愛媛県心と体の健康センターにおける自殺対策の
6年間の振り返り
平成 28 年3月
愛媛県心と体の健康センター
目次
1 愛媛県地域自殺対策の概要・・・・・・・・・・・・・・1
2 愛媛県における自殺対策事業の経緯・・・・・・・・・・・・3
3 自殺の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
4 県の取り組み(県自殺予防対策連絡協議会資料参照)・・・・・・11
5 心と体の健康センターにおける人材育成事業の取り組み・・・・・18
1
愛媛県地域自殺対策の概要
愛媛県における自殺対策は、平成 18 年度に「愛媛県自殺予防対策連絡協議会」
を設置し、平成 19 年度から『モデル事業(モデル地区:久万高原町)を実施し
県下に普及していく』ことと『県全体の底上げを図り、地域の特性に応じた対
策を展開していく』ことを目的に、地域自殺対策推進事業として「企画評価委
員会」を立ち上げ、事業の検討・評価や、保健所担当職員等の実務者レベルに
よるワーキング部会、各保健所における地域自殺対策事業、モデル事業の継続
などの取り組みを開始した。当センターでは、モデル事業の企画及び技術援助
や、関係機関に対する協力支援等を実施してきた。
平成 21 年度には内閣府が、地域における自殺対策の強化を図るために「地域
自殺対策緊急強化基金事業」を開始した。県においてもまだまだ市町での自殺
対策に対する意識や取り組みが乏しいことから、これを機に保健活動における
自殺予防対策の意義や必要性を認識することで、わが町の自殺予防対策を考え
実践し、県全体の底上げをしていくことを目的に、平成 22 年度当センターにお
いて自殺対策企画実践研修会を開催した。そこで、わが町の課題を整理し明確
化することで、日頃の活動の中での自殺対策、関係機関との連携を活用した支
援に気づき、各地域における自殺対策の推進を図るきっかけとなった。
その後、平成 23 年度には、
「地域自殺対策緊急強化基金事業」に加え、
「うつ
病医療体制強化事業」が新規事業として予算化され、それを活用して認知行動
療法をはじめ、様々な自殺関連研修を企画・実施し、保健・医療の関係者のス
キルアップに努めた。このような人材育成事業を推進していくことで平成 21 年
度は 20 市町中3市町、平成 22 年度は8市町と取り組みに消極的であった市町
補助事業についても、自殺対策の理解が徐々に深まり、平成 23 年度には 20 市
町すべてが活用し取り組み始め、愛媛県における自殺対策事業が本格化してき
た。その後も当センターでは、県民からの自殺関連の相談に対応するとともに、
自殺対策に携わる関係者の相談援助対応能力の向上を目指し、地域で連携を図
りながら自殺対策を進めていくことを目的とした研修に重点を置き、企画・実
施している。
平成 25 年度には、各保健所と当センターにおいて地域自殺予防情報センター
を開設し、関係機関との連携を密にしながら、自殺未遂者及び自死遺族等から
の相談等を実施し支援の充実を図っている。特に、地域の実情を考慮した自殺
対策を進めていくための基礎資料として、統計資料等の自殺対策関連の情報収
集や提供を行っている。
平成 26 年度には、3年間にわたって県下すべての保健所や市町がこれまで取
1
り組んできた自殺対策の事業について、地域の実情や課題をもとに再検証し、
より地域の実情に沿った対策に繋げていくための企画・評価研修を実施し、愛
媛県全体の自殺対策の底上げに力を入れた。
今回、国の流れとともに、自殺対策を進めてきたこれまでの6年間を振り返
ってみた。
平成 26 年の自殺統計(厚労省「人口動態統計」)では、愛媛県の自殺者数が
284 人と 300 人を下回り、愛媛県で自殺対策に着手し始めた平成 18 年の死亡率
26.5 から、平成 26 年では 20.5 と減少している。これには、自殺に関する知識
の普及や地域の取り組みなどを進めてきたことが一定の効果に繋がったと考え
られる。
このまとめを次年度からの事業のすすめ方を考えていくための参考といたし
たい。
平成 28 年度は、地域自殺対策強化事業が内閣府から厚労省に移管される。
より地域の実情やライフステージに応じた課題や問題を明確にし、
「こころの
健康を高め、孤立を防ぐ地域づくり」を保健・医療・福祉だけでなく、教育や
労働等の関連施策と連携を図りながら推進していくことで自殺予防対策に繋が
ると思われる。
引き続きその活動がそれぞれの地域で展開できるように支援していきたい。
2
2 愛媛県における自殺対策事業の経緯
県の取り組み(自殺対策事業)
年度
国の動き
<平成>
8年
11 年
・WHO「自殺予防のためのガイドライン」
公表
H12 年 3 月「健康日本 21」の中で自殺者
の減少が目標値として記載
14 年
厚生労働省自殺防止対策有識者懇談会「自
殺予防に向けての提言」報告
「自殺予防に向けての政府の総合的な対
17 年
策について」
〇「自殺対策基本法」(H18.10.25 施行)
18 年
〇愛媛県自殺予防対策連絡協議会の設置
自殺対策推進室設置(内閣府内)
自殺予防総合対策センター設置
〇「自殺総合対策大綱」
(H19.6.8 閣議決
定)
19 年
〇地域自殺対策推進事業(H19~21 年度)
・自殺対策モデル事業(久万高原町)
〇「自殺総合対策大綱」一部改正
〇自殺対策加速化プラン
20 年
〇いのちを守る自殺対策緊急プラン
〇「地域自殺対策緊急強化基金」
21 年
〇愛媛県地域自殺対策緊急強化基金条例
〇愛媛県地域自殺対策緊急強化事業実施要綱
〇地域自殺対策緊急強化事業
22 年
〇H19~21 年度のモデル事業後の継続支援
〇地域自殺対策緊急強化事業
23 年
〇愛媛県地域自殺対策緊急強化基金条例改正
〇地域自殺対策緊急強化事業
〇うつ病医療体制強化事業
24 年
〇地域自殺対策緊急強化事業
25 年
〇地域自殺予防情報センター運営事業
〇地域自殺対策緊急強化事業
26 年
〇地域自殺予防情報センター運営事業
〇地域自殺対策緊急強化事業
27 年
〇地域自殺予防情報センター運営事業
〇地域自殺対策強化交付金事業
3
〇「自殺総合対策大綱」改正
3 自殺の状況
(1)自殺による死亡数・死亡率(人口 10 万対)の年次推移
人口動態統計による全国の自殺者数と自殺死亡率の推移は、平成 10 年にピークがあり、
その後平成 21 年までは深刻な状態が続いていたが、平成 22 年から減少してきている。愛
媛県においても同じような経過をたどっており、平成 25 年に少し増加がみられるが、平成
10~19 年までの横ばい状態から平成 20 年を境に減少傾向がみられる。
死亡率
(2)愛媛県における自殺死亡者数の推移
人口動態統計による愛媛県の自殺者数の性別の推移は、男性は平成 19 年の 293 人をピー
クに減少傾向にあったが、平成 24、25 年は少し増加し、平成 26 年は減少している。女性
は 100 人前後の横ばい傾向である。
人
450
400
350
300
総数
250
男
200
女
150
100
50
0
H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26
4
(3)保健所別自殺 SMR の推移
保健所別に平成 17 年から3年毎の平均および平成 26 年の自殺 SMR の推移をみると、
男性では、減少傾向の保健所が多く、特に宇和島保健所で減少傾向が目立っている。近年
では、四国中央と西条でも減少している。女性は、男性と比べると横ばい傾向がうかがえ
るが、近年では、四国中央と八幡浜で減少している。
男性
160
140
120
100
80
60
40
20
0
愛媛県
四国中央
西条
今治
中予
八幡浜
宇和島
松山市
H17~19年
113
120
105
97
135
109
129
113
H20~22年
102
101
96
73
133
106
122
101
H23~25年
107
119
116
102
97
114
105
102
H26年
106
67
101
109
125
141
73
105
女性
140
120
100
80
60
40
20
0
愛媛県
四国中央
西条
今治
中予
八幡浜
宇和島
松山市
H17~19年
94
95
80
105
101
100
101
89
H20~22年
98
97
82
103
101
68
103
111
H23~25年
97
104
110
96
89
123
64
94
H26年
99
36
124
98
129
104
83
93
5
(4)愛媛県における平成 26 年の死因割合
人口動態統計による平成 26 年における年代別の死因割合は、男性では 40 歳未満で自殺
死亡が一位を占めており、特に 20 歳代は半数以上を占めている。女性は 10 歳代と 20 歳代
で死因の一位を占めている。
男性
70歳以上
60歳代
自
50歳代
殺
悪性新生物
心疾患(高血圧性除く)
40歳代
脳血管疾患
30歳代
肺
20歳代
不慮の事故
炎
その他
10歳代
0%
20%
40%
60%
80%
100%
女性
70歳以上
60歳代
自
50歳代
殺
悪性新生物
心疾患(高血圧性除く)
40歳代
脳血管疾患
30歳代
肺
炎
不慮の事故
20歳代
その他
10歳代
0%
20%
40%
60%
80%
6
100%
(5)愛媛県における年齢階級別自殺者数の推移
警察庁自殺統計(自殺日・住居地)による年齢階級別の自殺者数の推移は、男性の 30、
50、60 歳代で減少傾向がみられ、20、40 歳代 80 歳以上は横ばい、70 歳代で増加傾向がみ
られた。女性では、増減はあるが、70 歳代と 80 歳以上で増加傾向がみられた。
男性
70
60
50
H21年
40
H22年
30
H23年
20
H24年
10
H25年
0
H26年
女性
35
30
25
H21年
20
H22年
15
H23年
10
H24年
H25年
5
H26年
0
7
(6)愛媛県における自殺者の年齢階級別割合の年次推移
警察庁自殺統計(自殺日・住居地)による年齢階級別自殺者の割合の変化は、男性では
50 歳代、60 歳代の割合は減少しているが、20 歳代、70 歳代では増加している。平成 26
年には、40 歳未満で3割を占めている。女性では 50 歳代がやや減少し、60 歳代、70 歳代
で増加がみられる。
男性
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
18
28
21
21
44
53
54
45
40
21
5
H21年
47
33
40
19
2
H22年
14
23
17
27
25
16
31
34
59
37
30
45
50
34
30
30
32
19
2
H24年
16
9
44
58
32
33
26
9
H23年
80歳以上
70-79
60-69
34
50-59
35
40-49
29
H25年
25
5
H26年
18
14
16
17
30-39
20-29
20歳未満
女性
100%
90%
80%
70%
10
11
25
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
11
13
15
14
23
12
16
21
32
22
19
15
17
17
15
12
12
10
1
H21年
8
0
H22年
13
8
11
5
H23年
14
13
11
2
H24年
8
16
18
26
80歳以上
70-79
60-69
50-59
10
40-49
14
15
30-39
12
9
6
3
20-29
9
1
H25年
H26年
20歳未満
(7)保健所別自殺者の年齢階級の特徴
警察庁自殺統計(自殺日・住居地)より、保健所別の平成 22 年~26 年の5年間の合計で
年齢階級の特徴をみてみると、男性では、四国中央保健所の 50 歳代と今治保健所の 40 歳
代で高く、八幡浜保健所では 70 歳以上が4割を占めている。40 歳未満の若年層は、松山市
に次いで西条、宇和島、今治、中予保健所の順で高かった。女性では、宇和島保健所の 60
歳代が高く、40 歳未満の若年層は松山市についで東予地域が高い傾向がみられた。
男性(H22~26年)
100%
90%
80%
70%
93
8
17
136
8
21
223
40%
234
30%
164
20%
164
10%
0%
105
27
14
18
41
22
35
28
10
9
4
2
20
25
31
27
8
11
7
26
60%
50%
6
11
36
18
22
16
27
9
15
8
8
0
17
18
11
18
3
10
4
12
2
68
22
3
3
80歳以上
70-79
75
27
30
20
42
59
60-69
50-59
40-49
71
50
13
30-39
20-29
20歳未満
女性(H22~26年)
100%
90%
72
6
80%
81
4
70%
60%
111
50%
10
14
4
17
7
14
40%
77
30%
71
4
17
54
4
7
45
11
3
1
13
1
20%
10%
0%
10
8
8
6
14
11
11
6
18
6
21
25
39
6
10
7
5
1
1
3
9
0
1
9
14
12
27
13
8
6
2
2
21
6
3
2
1
0
80歳以上
70-79
60-69
50-59
40-49
25
30-39
25
3
20-29
20歳未満
(8)愛媛県における自殺未遂歴の状況
警察庁自殺統計(自殺日・住居地)より、自殺死亡者の未遂歴をみてみると、全体で2
割程度の未遂歴があり、特に女性では未遂歴有の割合が高いことが分かる。全国と同じ傾
向がみられた。
H26年 自殺死亡者の自殺未遂歴の割合
全体
あり
男
なし
不詳
女
0%
20%
40%
60%
10
80%
100%
4 県の取り組み(県自殺予防対策連絡協議会資料参照)
<平成 19~21 年度>
愛媛県地域自殺対策推進事業報告書によると、平成 18 年まで精神保健福祉活動の一環と
して自殺対策を実施しており自殺予防に特化した事業には取り組んでいなかった。
平成 19 年度に「地域自殺対策推進事業」を実施するにあたり、①他の地域の参考となる
モデル事業の実施と②県全体の自殺対策の底上げを図ることを目標とし、事業を計画した。
モデル地区には、県下で自殺死亡率の高い久万高原町を指定した。また、県全体で自殺
対策に取り組むため、二次医療圏ごとに設置されている保健所を単位に、地域特性に応じ
た自殺対策を実施することとし、効果的な事業実施のため、研修会やワーキング部会など
以下の事業を合わせて実施した。
平成 21 年度までの3ヵ年で実施してきた自殺対策推進事業の成果を踏まえ、県民が自殺
予防やうつ病に対して知識・意識を深めることができるよう普及啓発をさらに強化すると
ともに、民間団体や市町の活動を支援し、県民にとって身近なところでの取り組みの幅を
広げること目的として、地域自殺対策緊急強化事業を実施した。
<平成 22 年度~事業内容>
(1)自殺予防対策連絡協議会の開催
自殺予防対策を効果的に実施するために、保健、医療、福祉、産業、教育等の関係機関・
団体で構成する連絡協議会を開催し、連携体制を強化して具体的な取り組みの方向性につ
いて協議した。
平成 22 年度
実施回数
協議事項
1回
平成 21 年度自殺予防対策事業の実施状況について
平成 22 年度自殺予防対策事業の計画について
平成 23 年度
1回
平成 22 年度自殺予防対策事業の実施状況について
平成 23 年度自殺予防対策事業の実施計画について
各機関の平成 23 年度の自殺対策について
平成 24 年度
1回
平成 23 年度自殺予防対策事業の実施状況について
平成 24 年度自殺予防対策事業の実施計画について
各機関の平成 24 年度の自殺対策について
平成 25 年度
1回
平成 24 年度自殺予防対策事業の実施状況について
平成 25 年度自殺予防対策事業の実施計画について
各機関の平成 25 年度の自殺対策について
平成 26 年度
1回
地域自殺予防情報センターの活動状況報告について
平成 25 年度自殺予防対策事業の実施状況について
平成 26 年度自殺予防対策事業の実施計画について
各機関の平成 26 年度の自殺対策について
11
平成 27 年度
1回
愛媛県の自殺の現状について
地域自殺予防情報センターの活動状況報告について
地域自殺対策緊急強化事業の振り返りについて
平成 27 年度自殺予防対策強化事業について
各機関の平成 27 年度の自殺対策について
【構成機関・団体】 団体数 24→25(平成 23 年度)→26(平成 24 年度)
愛媛労働局(メンタルヘルス対策支援センター)、愛媛県臨床心理士会、愛媛いのちの電話、
愛媛県民生児童委員協議会、愛媛産業保健推進センター、愛媛労働基準協会、愛媛県医師
会、愛媛県精神保健福祉協会、愛媛県精神神経科診療所協会、愛媛県義務教育課、高等教
育課、人権教育課、保健スポーツ課、子育て支援課、健康増進課、心と体の健康センター、
労政雇用課、松山市保健所、松山保健所、愛媛大学医学部、愛媛県商工会議所連合会、愛
媛県看護協会、警察本部、県立中央病院救命救急センター、愛媛県薬剤師会(23 年度より)
日本精神病院協会愛媛県支部(24 年度より)
(2)ワーキング部会の開催
地域自殺対策推進事業検討連絡会の下部組織として、保健所自殺対策担当職員による実
務者の部会を設置し、事業の検討・情報交換を実施した。県外研修の伝達や事業の検討、
情報交換を実施することで、担当者の知識の向上や担当者間で情報の共有ができ、効果的
な事業展開につながった。
平成 22 年度
実施回数
協議事項
3回
平成 21 年度、22 年度地域自殺対策事業について
研修復命報告
事業の進行状況について
平成 23 年度市町補助金事業について
平成 22 年度地域自殺対策推進事業のまとめ
平成 23 年度地域自殺対策推進事業について
平成 23 年度
3回
平成 23 年度事業の取り組みについて
普及啓発用媒体の作成について
研修復命報告
平成 24 年度地域自殺対策緊急強化事業について
平成 24 年度
3回
平成 24 年度事業の実施計画について
ワーキングの持ち方について
平成 25 年度
3回
平成 24 年度事業の実施状況と平成 25 年度事業計画について
地域自殺対策緊急強化事業について
心と体の健康センターからのデータ提供
各所での取り組み状況
12
平成 26 年度
2回
平成 26 年度振り返りと平成 27 年度計画について
研修報告(自殺未遂者ケア研修報告)
関係者研修「認知行動療法について」
平成 27 年度
3回
地域自殺対策強化事業(新交付金事業)について
地域自殺対策推進センター運営事業について
(3)人材育成(保健関係者)研修の開催
自殺対策に関係する機関の職員を対象に、自殺対策に関する知識、理解を深めるため、
研修会を開催した。
うつ病医療体制強化事業(厚生労働省所管)平成 23 年度
研修の詳細は別記(P. 18~27 )
(4)相談支援等強化事業(委託)
民間のノウハウを活用し効果的な事業を実施するため、対面的相談支援事業、電話相談
支援事業、人材育成事業、普及啓発事業、強化モデル事業のメニューからなる事業を実施
する4~6団体に対して事業を委託している。
平成 27年度は、愛媛いのちの電話、こころ塾、松山自殺防止センター、日本産業カウン
セラー協会、愛媛県司法書士会の5団体が、電話相談や対面型相談、ラジオを通しての普
及啓発、こころとくらしの市民無料相談会などを実施した。
(5)市町実施事業
市町の実施する自殺対策事業の補助
平成 21 年度(3市町)四国中央市、伊予市、西予市→22 年度継続
実施市町
平成 22 年度
四国中央市、伊予市、西予市、今治市、松山市、久万高原町、八幡浜市、
内子町(8市町)
平成 23 年度
継続8 新規 12 (20 市町)
平成 24 年度~
20 全市町
◎普及啓発事業中心から相談、人材育成事業へと展開されている。
◎各市町の主な事業内容(P.14~P.17)
*平成26年度企画評価研修時の提出シートをもとに①人材育成事業、②強化モデル事
業、③対面型相談支援事業、④普及啓発事業に分け、主な事業内容を掲載した。
*網掛けについては、自殺対策全般の取り組み年度を表し、矢印については、事業ごと
の取り組み状況を表した。
13
① 人材育成事業
市町
H22
H23
H24
H25
H26
H27
主な内容
四国中央
実務者研修、ボランティア養成、
市
ゲートキーパー養成、ゲートキーパースキルアップ
新居浜市
ゲートキーパー養成、実務者研修
職員研修、困難事例検討会
西条市
実務者研修、研修参加、ゲートキーパー養成、事例検
討会、ゲートキーパースキルアップ(若年者)
今治市
実務者研修、職員研修、ゲートキーパー養成、思春期・
産後・ゲートキーパーフォローアップ研修及び連絡会
上島町
ゲートキーパー養成、実務者研修
松山市
庁内担当者会、ゲートキーパー研修、ゲートキーパー
スキルアップ、相談指導者研修
伊予市
ゲートキーパー養成、出前講座、研修派遣、実務者研修
東温市
ゲートキーパー養成、実務者研修、ゲートキーパーフ
ォローアップ
久万高原
ゲートキーパー養成、ゲートキーパースキルアップ、研修会、
町
支援ネットワーク会議、健康推進委員会、地域講座
砥部町
人材養成講座、研修派遣、実務者研修、ゲートキーパー養成
松前町
アルコール対策研修、ゲートキーパー養成、研修派遣
八幡浜市
職員研修、実務者研修、出前講座
大洲市
ゲートキーパー養成、実務者研修
西予市
実務者研修、研修派遣、ゲートキーパー養成
内子町
リーダー養成研修、研修派遣、傾聴講座、ゲートキー
パー養成、ゲートキーパースキルアップ・連絡会
伊方町
実務者研修、健康教室、ゲートキーパー講座
宇和島市
担当者研修、保健師スキルアップ研修、ゲートキーパ
ー養成
松野町
実務者研修、ゲートキーパー養成
鬼北町
傾聴ボランティア講座、実務者研修、教職員研修
(PTA)
愛南町
民生委員研修、ゲートキーパー養成、実務者研修、学
習会、研修派遣・関連研修会
14
② 強化モデル事業
市町
H22
H23
H24
H25
H26
H27
主な内容
四国中央
市
新居浜市
西条市
担当者連絡会
今治市
連絡会
上島町
リスク地域への支援
リフレッシュ事業
松山市
意識調査、推進委員会、自殺対策基本計画策定
かかりつけ医・精神科医との連携検討
伊予市
うつスクリーニング、メンタルヘルスチェックシステ
ム、若者(中学生)健康教室、
東温市
推進協議会
久万高原
うつスクリーニング
町
地域見守り推進員訪問サポート、自死遺族支援、実態
把握、ハイリスク者支援(H26 対面型へ)
、地域見守
りネットワーク構築(H26 人材育成へ)
、自殺対策検
討部会(H26 人材育成へ)
砥部町
松前町
八幡浜市
大洲市
西予市
内子町
伊方町
宇和島市
松野町
鬼北町
愛南町
ケース検討
15
③ 対面型相談支援事業
市町
H22
H23
H24
H25
H26
H27
主な内容
四国中央市
健康相談、個別指導(心理)
、うつスクリーニング
新居浜市
健康相談
西条市
健康相談
今治市
産後メンタルヘルス対策、個別相談会
上島町
個別相談、法律相談
松山市
市民無料相談会、経済生活問題相談
伊予市
健康相談(心理)
、
(Dr)
東温市
健康相談
久万高原町
うつスクリーニング
砥部町
健康相談(Dr)、
(精神保健福祉士)
松前町
個別相談(Dr)
、酒害相談
八幡浜市
酒害相談、個別相談(Dr)
、酒害つどい
ハイリスク者フォロー
大洲市
西予市
個別相談、うつスクリーニング対応
内子町
個別相談(心理)
伊方町
宇和島市
健康相談、思春期相談・親のつどい
松野町
思春期相談
鬼北町
個別相談、中学校での相談
愛南町
健康相談(Dr)
16
④ 普及啓発事業
市町
H22
H23
H24
H25
H26
H27
主な内容
四国中央
健康まつり・健康教育、街頭啓発キャンペーン、啓発パンフ作成。
市
配布
新居浜市
健康教育、予防週間啓発、リーフレット作成、高卒生向け「独
り立ち*サポートブック」作成、医師講演会
西条市
講演会、ポケットティッシュ・リーフレット作成
今治市
フォーラム、紙芝居・リーフレット等作成、公開セミナー、
健康教育
上島町
健康教育、リーフレット配布、健康まつり
松山市
街頭キャンペーン、講演会、ポケットティッシュ・パンフレ
ット作成、フォーラム、職域セミナー、学校への啓発、小中
生へのパンフ作成、自殺未遂者へのパンフ作成、予防月間・
週間でのグッズ配布
伊予市
健康福祉まつり、健康教育、フォーラム、リーフレット配布、
広報掲載、連絡会
東温市
普及啓発媒体作成、健康講座、フォーラム、携帯サイト運営
久万高原
地域講習会、中高生及び保護者向け講座、事業所職員メンタ
町
ル講座、中学生心の講座、教職員研修
砥部町
出前講座、ポケットティッシュ作成、イベント
松前町
講演会、パンフレット作成、健康講座、イベント
八幡浜市
講演会、健康講座、健康教育、リーフレット作成、ストレスチェック
大洲市
健康教育、講演会、リーフレット、ポケットティッシュ配布、
ファイル作成(若年層)
西予市
講演会、パンフレット作成、健康教育
内子町
出前講座、ゲートキーパースキルアップ講座、学習会、イベ
ント、講演会、リーフレット配布
伊方町
健康教育、パンフレット配布、イベント講演会
宇和島市
パンフレット・講座テキスト作成、講演会、健康教育、一人
暮らしサポートブック作成
松野町
講演会、健康教育、パンフレット配布、産業まつり、マグネ
ットホルダー配布、高齢者向け健康づくり対策
鬼北町
講演会、ポケットティッシュ・パンフレット作成、健康教育、
愛南町
講演会、パンフレット配布、学習会、思春期講演会、高卒後
の新生活応援ブック作成、相談窓口啓発
17
5 心と体の健康センターにおける人材育成事業の取り組み
平成 18 年度 自殺予防対策連絡協議会 設立
【平成 19 年度 愛媛県地域自殺対策推進事業 開始】
◎「地域自殺対策推進事業」の一環として、保健関係者等自殺対策に従事する職員の自殺
対策に関する知識、理解を深めるため研修会を開催。
当時、県下で自殺死亡率が高く、健康づくり計画の
中に「こころの健康」を重要課題としてとりあげ、自殺対策に
も関心が高かった久万高原町をモデル地区として事業が
<平成 19 年度>
始まった。
目的:自殺対策の先駆的な取り組みを実施している地域の活動を
報告してもらうことで、自殺対策の理解と事業の推進に繋げる。
内容:講演「久万高原町の取り組み」 久万高原町立病院 宇都宮 愼先生
講演「青森県の取り組み」
青森県立精神保健福祉センター長 渡邉 直樹先生
<平成 20 年度>
目的:自殺予防総合対策センターで取り組んでいる基礎調査をもとに、自殺の現状や自殺
対策の方向性について学ぶとともに、今後自殺対策として重要となる依存症を理解する。
内容:講演「自殺の現状と実態調査~自殺予防と遺族支援のための基礎調査~」
意見交換「自殺予防の観点からみた依存症の援助~依存症の理解と支援のあり方」
講師 国立精神・神経医療研究センター
自殺予防総合対策センター
自殺実態分析室長 松本 俊彦先生
<平成 21 年度>
目的:平成 22 年2月5日に公表された「いのちを守る自殺対策緊急プラン」についての
説明をもとに、今後の地域での自殺対策を考えるとともに、3年間のモデル事業として取
り組んだ活動内容を報告してもらうことで、具体的な事業展開について学ぶ。
内容:講演「今後の自殺対策」国立精神・神経医療研究センター
自殺予防総合対策センター長 竹島 正先生
講演「久万高原町の取り組み」
久万高原町保健福祉課
吉岡 美鈴保健師
【平成 22 年度 自殺対策緊急強化事業 開始】
◎自殺企図者、自殺未遂者等に対して、地域の実情に応じた適切な対応や支援を行えるよ
う担当者のスキルアップを図るための研修会を開催。
18
(1)心と体の健康センターにおける人材育成事業(自殺危機対応スキルアップ研修)
①企画実践評価研修
<平成 22 年度>自殺対策企画実践研修会
目的:保健活動における自殺予防対策の意義を考える機会とし、自殺対策の地域の実践
報告を通して、わが町の自殺予防対策の推進を図る。
内容:・保健事業の中での自殺予防の意義について
・自殺予防に関する統計の見方 内子町での取り組み
・シンポジウム わが町の自殺予防対策
鹿児島県・四国中央保健所・西予市
気づき
○わが町の課題の整理・明確化
平成 23 年度から県内全市町において
○日頃の活動を通じた自殺対策
自殺対策の事業化がスタート
○関係機関との連携を活用した支援
<平成 23 年度~>
・各市町が地域の実情と課題を的確に把握し、地域で実情に沿った計画立案、事業実施
・保健所圏域において、ワーキング部会、自殺対策検討連絡会を実施し、ネットワーク
整備や支援方法について検討し、県全体の自殺対策の底上げを図る
<平成 24 年度(
「自殺総合対策大綱」策定5年目)>企画評価研修会(1年目)
目的:自殺対策にどのような視点で取り組むことが重要かを確認する。
自治体の実情に応じた企画立案、評価能力の向上を図る。
内容:第一回
・シンポジウム 先進地の取り組み
秋田県保健師・東京都保健師
第二回
・話題提供
「保健師が自殺対策の中で果たしている役割ならびに自殺低下に
影響を及ぼす要因の検討」心と体の健康センター保健師
「自殺対策の評価と現状」県庁保健師
・講義とワークショップ「自殺対策の企画立案・評価」
ヘルスプロモーションセンター 島田美喜先生
第三回
・ワークショップ「次年度に役立つ企画書づくり」
19
<平成 25 年度>企画評価研修会(2年目)
目的:自殺対策にどのような視点で取り組むことが重要かを学び、地域においてより
効果的な自殺対策に取り組む。
内容:・話題提供「自殺対策の現状について」県・市の取り組み
・講演「自殺対策のこれから」筑波大学医学医療系教授 高橋祥友先生
<平成 26 年度(地域自殺対策緊急強化事業)>企画評価研修会(3年目)
目的:これまで(自殺対策の3年間の取り組み)の自殺対策における地域の現状及び課
題を再検証し、活動内容や進め方について具体的な方法論を学び、次年度の活動
を推進する。
内容:第一回(事前シートの提出<別添資料参照>)
・話題提供「自殺対策事業の経過について」
・演習「これまでの自殺対策の取り組みと評価」
・講義「自殺対策を推進するための地域の見方」 センター所長
・講義「効果的な自殺対策の推進のために」~地域診断に基づく PDCA の実施
に向けて~
東京純心女子大学 特任教授 島田美喜先生
第二回
・講義及び演習
「コミュニティ・アズ・パートナーモデルを用いた地区分析」
「地域の実情に応じた活動計画策定のポイント」
第三回(報告シートの提出<別添資料参照>)
・演習報告会及び講義
「見えた!感じた!ひらめいた!今後の保健活動における自殺対策」
<成果>
・取り組み4年が経過し、これまでの取り組みの振り返りを行い問題と課題を明確にした。
さらに有効的な地区診断の手法を学び、事業を再度見直し各地域の実情に沿った次年度計
画立案に結びつけることができた。それにより県全体の自殺対策の底上げにも繋がった。
<課題>
・今後は、地域の実情に沿った計画立案をもとに、日頃の活動の中で PDCA サイクルを意
識して実践していく。
・自殺対策の視点を各地域の様々な事業や活動の中で活かしながら、関係機関と連携を図
っていく。
・県レベルでは、自殺対策の取り組むべき方向性、保健所レベルでは、地域の課題や取組
について、ワーキング部会を活用して検討していく。
20
②認知行動療法研修
【平成 22 年度 うつ病に対する医療等の支援体制の強化】
○うつ病患者 平成8年 約 43 万人 ⇒ 平成 20 年 約 104 万人(12 年間に 2.4 倍)
【平成 23 年度~ うつ病医療体制強化事業(厚労省所管の基金事業新規)
】
目的:うつ病の治療において、認知行動療法を薬物療法と併せて実施することにより、
自殺のリスクが下げることが知られており、認知行動療法を普及させることは自殺
対策としての有用性が高いと考えられる。そのため、主に精神医療において専門的に
うつ病患者の治療に携わる者に対し、その普及を図るための研修を行う。
心と体の健康センター
◆認知行動療法を学び実践できるスキルを身につけるため、精神科に勤務する医療職や
行政保健師を対象に研修会を開催。
<平成 23 年度>うつ認知行動療法研修会
目的:医療機関、行政機関等関係機関に対し、うつ病の認知行動療法の基礎的知識と
基本技能の獲得を図る。
内容:第一回
・講義と演習「認知行動療法の理論と実際~基礎編~」
・座談会「認知行動療法の具体的なすすめ方」
独立行政法人精神・神経センター 認知行動療法センター長 大野裕先生
第二回
・講義及び演習「うつ病デイケアの実際」
講義①取り組みについて
講義②のぞいてみよう!集団認知行動療法
演習③ロールプレイ・まとめ
広島県立総合精神保健福祉センター
・講義「医療現場における集団認知行動療法の実際」
正光会宇和島病院 医師 渡部亜矢子先生
第三回
・実践報告及びグループワーク「認知行動療法の実際」
・実践者相談会
『認知行動療法の定着化』を目標としたが、実践に繋がりにくかった。
→取り組むための「助言指導」
「事例検討」等のフォローアップ研修が必要⇒継続
21
平成 24 年度 うつ病医療体制強化事業(厚労省)から人材養成事業へ移行(内閣府)
<平成 24 年度>精神医療関係者研修(認知行動療法研修会)
目的:認知行動療法についての基礎的知識と基本技能の獲得をめざし、事例をもとに
概念化を図り具体的な技法のすすめ方を学ぶ。またマインドフルネス、集団認知
行動療法等関連技法について学び、現場に応じて実践できる能力の向上を図る。
内容:①認知行動療法(講師及びアドバイザー:独立行政法人精神・神経センター
認知行動療法センター長 大野裕先生)
第一回
・事例検討「認知行動療法の具体的なすすめ方」
第二回
基礎研修
・講義と演習「認知行動療法の理論と実際」~基礎コース~
第三回
フォローアップ研修
・事例報告「認知行動療法の基本技術を事例から学ぼう」
・話題提供「愛媛県における認知行動療法の現状~アンケート結果~」
・講話「認知行動療法の広がり、最新トピックス」
②マインドフルネス研修
・講義と演習「マインドフルネスの実践」
慶神会武田病院 DBT 臨床研究プロジェクトチーム顧問 石井朝子先生
③集団認知行動療法研修
・ワークショップ「うつ病の集団認知行動療法とその実践」
筑波大学医学医療系保健医療学域教授 岡田佳詠先生
正光会宇和島病院
渡部亜矢子先生、福田詩子先生
・実践報告「集団認知行動療法の取り組み」心と体の健康センター、久万高原町
正光会宇和島病院
・講演「集団認知行動療法の概要」
独立行政法人精神・神経センター認知行動療法センター 田島美幸先生
愛媛での認知行動療法の取り組み推進に向けて
地域への発信、CBT 実践の拡大
① センターの試行的取り組みから一般事業化へ
対象者の公募、医療機関への協力依頼
② できるところから、できる形で広げていく
保健所、市町などへ協力
③ 質の保証:研修会の開催、実践事例のスーパー
バイズ
22
事例の積み重ねと、実践者の
情報交換会
+ 研修
平成 25 年度 当センター内に地域自殺予防情報センター機能を設置
人材養成事業は、地域自殺予防情報センター事業として実施
<平成 25 年度>精神医療関係者研修(認知行動療法研修会)
目的:認知行動療法の基礎的知識と基本技能の獲得をめざし、地域での展開方法につい
て学ぶ。
*対象者として、産業保健・学校保健関係者の参加も呼びかけた。
内容:第一回
基礎研修(受講未経験者)
・講義とワークショップ「認知行動療法の理論と実際」~基礎コース~
独立行政法人精神・神経センター 認知行動療法センター長 大野裕先生
田島美幸先生
第二回
フォローアップ研修(基礎研修受講済の者)
・講義と演習「認知行動療法のすすめ方」~参加者からの事前質問から~
独立行政法人精神・神経センター 認知行動療法センター長 大野裕先生
○基礎研修は、職員の異動等により定着化が難しく今後も必要 ⇒継続
○フォローアップ研修は、実践者とそうでない者の差がみられ、未実施者にとっては
演習等が難しい印象で、取り組みへのハードルの高さに繋がっている。
○幅広い職種の参加で、それぞれの現場での認知行動療法実践の拡大に繋がった。
<平成 26 年度>精神医療関係者研修(認知行動療法研修会)
目的:認知行動療法の基礎的知識と基本技能の獲得をめざし、事例を通して認知行動療
法の技能向上を目指す。
内容:第一回
基礎研修(受講未経験者)
・講義と演習「認知行動療法の理論と実際」~基礎コース~
愛媛県心と体の健康センター 職員
第二回
フォローアップ研修(認知行動療法実践者)
・講義と演習「認知行動療法のすすめ方」~事例を通して学ぶ~
独立行政法人精神・神経センター 認知行動療法センター長 大野裕先生
○基礎研修では、当センター職員で講義及び演習を担当した。
(センターとして、それ
ぞれの現場の日々の活動における身近な技術支援としての役割を担うため)
○認知行動療法は概ね医療機関や行政・学校現場での知識の普及は図れてきたが、
特に地域の現場での実践や活用に結びついていない。より実践に繋がる研修が必要。
23
地域での活用を進めていくためには、
活用を検討している段階での助言・後押し
事例に活用している段階での具体的助言
が必要
地域の支援者対象の中期研修導入(事例検討会)
平成 27 年度 地域自殺対策強化事業のハイリスク者支援事業の自殺危機対応
スキルアップ研修として実施
<平成 27 年度>自殺危機対応スキルアップ研修(認知行動療法研修会)
目的:認知行動療法の基礎的知識と基本技能の獲得をめざし、事例を通して認知行動療
法の技能向上を目指す。
内容:第一回
基礎研修(受講未経験者)
・講義と演習「認知行動療法の理論と実際」~基礎コース~
愛媛県心と体の健康センター 職員
第二回
中期研修(地域保健に携わる事例提出可能な実践者)
・事例検討(5事例)
第三回
正光会宇和島病院 渡部亜矢子先生
フォローアップ研修(認知行動療法実践者)
・講義と演習「認知行動療法のすすめ方」~事例を通して学ぶ~
独立行政法人精神・神経センター 認知行動療法センター長 大野裕先生
○中期研修の開催効果
・認知行動療法を活用する上での課題・不安の解消に繋がった。
・認知行動療法を活用することへの意欲の高まりが得られた。
○今後、心と体の健康センターに求められる役割
・支援者が自信を持って活用するための、身近な技術支援機能
・引き続きスキルアップのための段階的な研修の実施
24
③その他自殺危機対応スキルアップ研修
目的:自殺ハイリスク疾患や具体的対処法の基礎知識の理解と技術の習得を目指し、
地域自殺対策関係者のスキルアップを図る。
【平成 23 年度】
パーソナリティ障害
アルコール等依存症
・講義「パーソナリティ障害の
・講義「アルコール依存症の
理解と対応」
大阪市立大学院
医学教室
・講演「大人の発達
理解と援助」
神経精神
障害への理解」
肥前精神医療センター
永田利彦先生
杠 岳文先生
・講義及びワークショップ
京都大学大学院
・講義「薬物依存症の理解と
<2日コース>
援助~自殺対策の切り口から~」
「弁証法的行動療法の実際」
医療法人慶神会武田病院
石井朝子先生
発達障害
医学研究科
十一元三先生
・講義「薬物依存に対するCB
Tプログラムの有効性と導入」
国立精神神経医療研究センター
松本俊彦先生
【平成 24 年度】
企画評価、認知行動療法の強化に重点を置いた研修の開催
【平成 25 年度】
若い世代の自殺対策・ハイリスク者支援に焦点を当てたスキルアップ研修の開催
若年層対策
パーソナリティ障害
・事例検討~地域の事例に
どう関わるか~
・講演「パーソナリティ障
害の理解と対応」
アルコール等依存症
・講演「アルコール
問題の理解と対応」
肥前精神医療センター
発達障害
・講演「発達障害
の理解と対応」
京都大学大学院
医学研究科
杠 岳文先生
十一元三先生
帝京大学病院
林直樹先生
・講演「思春期の病
理と対応」
・話題提供
「相談の現状からこ
れからのあり方
を考える」
愛媛大学大学院
精神神経科学
堀内史枝先生
【平成 26 年度】
これまでの自殺対策緊急強化事業<基金>での取り組み(3年間)を再検証し、今後の対策
に向けて地域の実情に応じた企画立案に重点を置いた研修の開催
25
*発達障害に
若年層対策
関する研修に
講演「自傷する若者の
ついては関連
心理理解と適切な
・講演「自殺予防から見た
が深いひきこ
対応援助」
アルコール健康障害
もり対策推進
対策」
事業にて継続
アルコール等依存症
・実践報告「県内のアルコー
ル対策の現状について」
国立精神・
神経センター
実施
国精研
松本俊彦先生
自殺予防総合対策センター
竹島
正先生
【平成 27 年度】
引き続き若年層対策やアルコール問題のハイリスク者支援の技術向上を目指す研修に加え、
トラウマケアや救急医療現場での自殺未遂者支援に重点を置いた研修の開催
救急での未遂者対策
・講演「救急医療現場に
おける自殺未遂者対策」
アルコール等問題
・体験発表
・講演及び演習
・ 実践報告「地域保健に
「被災者や被害を
・ワークショップ「救急医療現
場における自殺未遂者対応
トラウマケア
おける取り組み」
・講演「アルコール依存症
の現状と課題」
と自殺~依存症の理
~事例から学ぶ~
昭和大学病院
解と支援の実際~」
かすみがうらクリニック
救命救急センター
猪野亜朗先生
三宅康史先生
支えるために
~PFA を学ぶ~」
兵庫県こころの
ケアセンター
大澤智子先生
若年層対策
・講演「小児科医療におけ
る子どものこころ相談
の現状と課題」
・講演「子どものこころ問
題:理解と対応、支援ネ
ットワーク」
・GW
くす小児科 久寿正人先生
愛大病院子どものこころ
センター堀内史枝先生
日本医科大学
武蔵小杉病院
岸 泰宏先生
各研修における成果と課題
<救急での未遂者対策>
・自殺未遂者対応として早い段階での精神科的介入の必要性の理解は深められた。今後は
一般救急や地域のかかりつけ医等と精神科救急や地域との連携を強化し、未遂者支援を
進めていくことが必要。
<アルコール等依存問題>
・アルコール関連問題と自殺には密接な関係性があることや対応には、様々な関係機関の
連携が不可欠であることは学んだが、回復支援体制の構築を図っていくためのさらなる連
携を深める研修が必要。
26
<トラウマケア>
・突発的な災害が自殺の引き金になり得ることから、状況に合わせた対応することで未然
に予防できる方法として PFA をもとに具体的支援について学ぶことができたが、身近なと
ころで起きうる事故や虐待等によっておこるトラウマに焦点を当て、支援者が相談対応技
術を身につける研修も必要。
<思春期青年期の自殺予防セミナー>
・若年層の自殺予防対策を強化する必要があることから、今回の研修で多職種による取り
組みについてのグループ討議を実施し、子供の成長発達の過程で切れ目のない支援の重要
性を理解することができた。今後は単発で終わる研修でなく、ライフステージを通して思
春期の様々な問題を考えていく場として、着目したいテーマをもとにさらにセミナーを展
開していく。
27
Fly UP