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Aの1回目(ガイダンス) - 清道研究室Web はじめのページ

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Aの1回目(ガイダンス) - 清道研究室Web はじめのページ
2016/4/21
自己紹介
基礎生物学A
愛知県立芸術大学 教養教育
清道 正嗣
氏名:清道 正嗣(せいどう まさつぐ)
職:愛知県立芸術大学 教養教育 教授
 学位:理学博士


専門:分子レベルの生理学、視覚生理学、
生物発光
 オフィスアワー



毎週月曜日14:30-15:30
研究室:講義棟3階北端。旧音楽棟2F西端
授業の目的
今日の予定
内容説明
 授業Web
 http://seidou.aichi‐fam‐u.ac.jp/
 試験について
 「生物学と科学」導入部
 受講受付
 ユニパも自分でちゃんとやる




大学の授業の一般的な注意点
自分で勉強する
 週一しかない
 大学の教員は、宿題や小テストはやりたがらない
 ノートは自分のために取る
 分かっている所はメモらなくても...

どれだけ説明がいるかは、人次第(記憶力・今ま
での知識...)
 評価方法
 試験
大学生のレベルで答える

授業の目的
生物科学の基礎を復習し、大学生にふさわし
いレベルで理解する
到達目標

高校までに学習した生物学の基本概念を復習
し、理解し直す

健全な懐疑精神をはぐくみ、主張と事実を明
確に区別して扱えるようになる

生物学に対するカジュアルなたわごとを排除
できるようになる。
試験
記述形式で試験する。
前期試験日時:
2016年7月25日月曜日3時間目
 他人の助けをその場で借りることは禁止
(アナログ・デジタルを問わず通信機・
本・辞書・助言者はダメと言うこと),
自作の資料・ノートは持ち 込み可
 試験問題はWebにあらかじめ記載


1
2016/4/21
この授業の目的
鑑賞者を育てる=健全な懐疑精神=学問への協力
 科学的な見方に慣れる
 自然の姿に、自分の好みを投影しない
 観察者の限界を受け入れる
 信念と異なる自然を受け入れる
 カジュアルな生物学のウソを見分けられる
この授業での注意点





良くできた自然の仕組みと、いい加減な自然
の仕組みを学ぶ
生物を対象とする科学
 「なぜこんなにも異なる生物がいるのか」



「なぜこの生物は、このような形と機能なの
か」
生命現象の基本ルールを確立する
自然はしゃべらないから、真実は分からない
「(広い意味の)観察」だけが人にできること
 自然と入出力が同じならば同じ仕組み(モデル)

観察
反証 可能
な仮説
予想
現象
結果
実験
現象
自然の仕組み
科学の時代: 仮説(反証可能な理論)と
一般原理の探求
反証可能性
科学はモデル

数式が見かけ上ない←厳密に見えないので、
いい加減な理論を作りやすい
科学は段階を踏んで発展してきた
 博物学の時代(記録の時代):個別の報告

観察
科学としての生物学以外のことは、各専門
家に相談すること(生物学者は医者でも哲
学者でもない)
生物を対象とする科学
 事実と反証(検証)可能な法則(仮説)


モデル
説得合戦は論争の専門家(サイコップ)
とやってくれ
生物学
生物学

信念だけに基づく主張や、説得のためだけ
に作られた論議は認めない

生物学(アカデミックな本物)の基本的な概念・
現象を学ぶ
 生物学の基本原理を学ぶ

この授業は科学の授業であって、宗教や道徳
の授業ではない!

「科学は反証可能な仮説を立てることができるもの
を対象とする」
Karl R.Popper
 「もし○○が起きたら、この仮説は間違いだと言
える」←反証可能
 「証明可能」とは違う
 「この仮説から、○○が起きる」
 ↑実際に起きたからと言って、その仮説だけが
正しいことを証明したことにならない(他の仮
説からも、同じ予想が導かれる予想かも)
2
2016/4/21
反証可能性

科学はモデル
自然はしゃべらないから、真実は分からない
 「(広い意味の)観察」だけが人にできること
 自然と入出力が同じならば同じ仕組み(モデル)

「反証可能な仮説」からなる法則が科学
 完全性の証明はできない
 モデルは、それが打ち出す予測によっ
て自分を確かめていく
 そうは言っても…少々の不都合で捨てた
りはしない
観察
観察
反証 可能
な仮説
予想
偶然と予言

偶然は検証できる

予言は、検証できない(反証可能性が
ない)
生物学の歴史的な発展

珍しいもの、役に立つもの→博物学(分類
学)
アリストテレス、フンボルト、ファーブ
ル
 生命とは何か?←神学、哲学
 生物固有の一般法則はあるのか?→生物学


メンデル、ダーウイン、シュレディン
ガー…
現象
自然の仕組み
実験
反証対策する分野

宗教
 T.アクィナス「神学大全」13世紀
アラブの哲学(ギリシャ哲学の後
継)とキリスト教との矛盾の解消
(631問も...)
 焚書、宗教裁判、魔女狩り

困った表現
カジュアル(通俗的)な生物学の問題点
生物学

現象
結果
モデル

「わかりやすい・面白い」「比喩」には、陥穽があ
る
 物語の誤謬
 ヒトは物語を好む。価値観・道徳、
 誤った因果律の検出
 時間に前後関係があっても、前者が原因とは限
らない
 安易な目的論
 「~をするために○○ができた」は本当か?
「○○があったから~ができる」の可能性は?
3
2016/4/21
カジュアルな生物学の
まずさの分かる例
カジュアル(通俗的)な生物学の例

「わかりやすい・面白い」「比喩表現」
 ゴクラクチョウの形態と行動

適応(目的に合っている)している理由は?
wikipedia
NHK


高い位置の葉を食べるために進化した
問題点?
カジュアルな学問と本当の学問
事実と後付けの説明
 東洋人の特徴(目頭、小さな鼻、扁平丸顔)
 寒さへの適応(眼球保護、放熱を減らす。
1960カールトン・クーン)
 熱応答速度を測ってみたら、差はなかった
(A・T・スティーグマン1960-1970)
 鼻が大きい方が、吸気があったまって肺
の保護に...
 訂正は、広がらない
 味覚の位置による差

カジュアルな表現の問題点
カジュアルな生物学の例

ロードランナーの足が速くなった理由は?
Warner Bros.Entertainment Inc


ワイリー・コヨーテとの競争の結果、進化した
問題点は?

「わかりやすい・面白い」「比喩表現」
 キリンの模様は、隠れるために進化したか?
「メスを惹きつけるためのもの」
≠「~ために進化した」
カジュアルな生物学の例


食われたら進化できない。はじめから早ければ
コヨーテは死に絶えるので、変わる必要がない
「わかりやすい・面白い」「比喩」には、陥穽が
ある
 物語の誤謬
 ヒトは物語を好む。価値観、慣れ、意外性
 誤った因果律の検出
 時間に前後関係があっても、前者が原因とは
限らない
 安易な目的論
 「~をするために○○ができた」は本当か?
「○○があったから~ができる」の可能性
 キャッチフレーズと真の意味を分けて考える

4
2016/4/21
カジュアルな表現が
カジュアルな学問
物語(期待)は、ストーリーに合った誤
謬を引き起こす...
 人類が絶滅を...
 子を守るために...
 NHKでも、「目的論的表現」や「擬人
化」が...
 「遺伝子が生き残るために…」
 「子孫を残すために、雄を選ぶ」
 ○○○○は、そういった本を…

さらなる生物学における問題


おら、金出せや!
観察者問題
 自然はしゃべらない
 自己投影や無知から、
物語を作成しやすい
 観察者の寿命
ごめんなさい;_;
も、持ってません
 24hr観察は...
カジュアルで何が悪いか?


間違っている

せっかく先人が苦労して見つけた(作り出し
た)成果を、間違って伝えている

間違った解釈から、間違った主張を展開し、
社会に負担をかける
本当の学問の方が、より面白い


ヒトが思いつかないようなことがらの鑑賞
意外性、歴史性、隠された一般原理
ファイナルアンサー
この授業を受ける
or
他の授業を受ける
尽きない多様性←見かけ上ありとあらゆる例外が
見つかる「自然の女神は、性悪」
5
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