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医薬品インタビューフォーム - バイエル薬品医療関係者向け情報

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医薬品インタビューフォーム - バイエル薬品医療関係者向け情報
2007年12月作成 (新様式第4版)
日本標準商品分類番号
873334
医薬品インタビューフォーム
日本病院薬剤師会のI F記載要領(1998年9月)に準拠して作成
血液凝固阻止剤
生物由来製品・指定医薬品・処方せん医薬品注)
(レビパリンナトリウム注射液)
注)注意-医師等の処方せんにより使用すること
剤
形
水性注射剤
規 格 ・ 含 量
1瓶(5mL)中、レビパリンナトリウム
5,000 国際単位(抗第Ⅹa因子活性)含有
一
和名:レビパリンナトリウム(JA N)
洋名:reviparin sodium(JA N,IN N)
般
名
製造・輸入承認年月日 輸 入 承 認 年 月 日: 1 9 9 9年 9 月22日
薬 価 基 準 収 載・ 薬 価 基 準 収 載 年 月 日: 1 9 9 9年12月17日
発 売 年 月 日 発 売 年 月 日: 1 9 9 9年12月17日
開 発 ・ 製 造 ・ 製造販売元:バイエル薬品株式会社
輸入・発売・提携・
販 売 会 社 名 提 携:アボット ラボラトリーズ 担 当 者 の 連 絡 先・
電話番号・FAX番号
本IFは2007年7月改訂の添付文書の記載に基づき改訂した。
I F 利用の手引きの概要―日本病院薬剤師会―
1.医薬品インタビューフォーム作成の経緯
当該医薬品について製薬企業の医薬情報担当者 (以下、MRと略す) 等にインタビューし、
当該医薬品の評価を行うのに必要な医薬品情報源として使われていたインタビューフォー
ムを、昭和63年日本病院薬剤師会 (以下、日病薬と略す) 学術第2小委員会が 「医薬品インタ
ビューフォーム」 (以下、IFと略す) として位置付けを明確化し、その記載様式を策定した。
そして、平成10年日病薬学術第3小委員会によって新たな位置付けとIF記載要領が策定され
た。
2.IFとは
IFは 「医療用医薬品添付文書等の情報を補完し、薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に
必要な医薬品の適正使用や評価のための情報あるいは薬剤情報提供の裏付けとなる情報等
が集約された総合的な医薬品解説書として、日病薬が記載要領を策定し、薬剤師等のため
に当該医薬品の製薬企業に作成及び提供を依頼している学術資料」 と位置付けられる。
しかし、薬事法の規制や製薬企業の機密等に関わる情報、製薬企業の製剤意図に反した情
報及び薬剤師自らが評価・判断・提供すべき事項等はIFの記載事項とはならない。
3.IFの様式・作成・発行
規格はA4判、横書きとし、原則として9ポイント以上の字体で記載し、印刷は一色刷りと
する。表紙の記載項目は統一し、原則として製剤の投与経路別に作成する。
IFは日病薬が策定した 「IF記載要領」 に従って記載するが、本IF記載要領は、平成11年1月
以降に承認された新医薬品から適用となり、既発売品については 「IF記載要領」 による作
成・提供が強制されるものではない。また、再審査及び再評価 (臨床試験実施による) がな
された時点ならびに適応症の拡大等がなされ、記載内容が大きく異なる場合にはIFが改
訂・発行される。
4.IFの利用にあたって
IF策定の原点を踏まえ、MRへのインタビュー、自己調査のデータを加えてIFの内容を充実
させ、IFの利用性を高めておく必要がある。
MRへのインタビューで調査・補足する項目として、開発の経緯、製剤的特徴、薬理作用、
臨床成績、非臨床試験等の項目が挙げられる。また、随時改訂される使用上の注意等に関
する事項に関しては、当該医薬品の製薬企業の協力のもと、医療用医薬品添付文書、お知
らせ文書、緊急安全性情報、Drug Safety Update (医薬品安全対策情報) 等により薬剤師等
自らが加筆、整備する。そのための参考として、表紙の下段にIF作成の基となった添付文
書の作成又は改訂年月を記載している。
なお適正使用や安全確保の点から記載されている 「臨床成績」 や 「主な外国での発売状況」 に
関する項目等には承認外の用法・用量、効能・効果が記載されている場合があり、その取
扱いには慎重を要する。
目 次
Ⅰ.概要に関する項目
1.開発の経緯
2.製品の特徴及び有用性
1
Ⅱ.名称に関する項目
1.販売名
2.一般名
3.構造式又は示性式
4.分子式及び分子量
5.化学名(命名法)
6.慣用名、別名、略号、記号番号
7.CAS登録番号
3
Ⅲ.有効成分に関する項目
1.有効成分の規制区分
2.物理化学的性質
3.有効成分の各種条件下における安定性
4.有効成分の確認試験法
5.有効成分の定量法
4
Ⅳ.製剤に関する項目
1.剤 形
2.製剤の組成
3.注射剤の調整法
4.製剤の各種条件下における安定性
5.溶解後の安定性
6.他剤との配合変化(物理化学的変化)
7.電解質の濃度
8.混入する可能性のある夾雑物
9.製剤中の有効成分の確認試験法
10.製剤中の有効成分の定量法
11.力 価
12.容器の材質
6
Ⅴ.治療に関する項目
1.効能又は効果
2.用法及び用量
3.臨床成績
8
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
1.薬理学的に関連ある化合物又は化合物群
2.薬理作用
12
Ⅶ.薬物動態に関する項目
1.血中濃度の推移・測定法
2.薬物速度論的パラメータ
3.吸 収
4.分 布
5.代 謝
6.排 泄
7.透析等による除去率
16
Ⅷ. 安全性 (使用上の注意等) に関する項目 22
1.警告内容とその理由
2.禁忌内容とその理由
(原則禁忌を含む)
3.効能・効果に関連する使用上の注意とその理由
4.用法・用量に関連する使用上の注意とその理由
5.慎重投与とその理由
6.重要な基本的注意とその理由及び処置方法
7.相互作用
8.副作用
9.高齢者への投与
10.妊婦、産婦、授乳婦等への投与
11.小児等への投与
12.臨床検査結果に及ぼす影響
13.過量投与
14.適用上及び薬剤交付時の注意
(患者等に留意すべき必須事項等)
15.その他の注意
16.その他
Ⅸ.非臨床試験に関する項目
1.一般薬理
2.毒 性
28
Ⅹ.取扱い上の注意等に関する項目
30
1.有効期間又は使用期限
2.貯法・保存条件
3.薬剤取扱い上の注意点
4.承認条件
5.包 装
6.同一成分・同効薬
7.国際誕生年月日
8.製造・輸入承認年月日及び承認番号
9.薬価基準収載年月日
10.効能・効果追加、用法・用量変更追加等の年月
日及びその内容
11.再審査結果、再評価結果公表年月日及びその内容
12.再審査期間
13.長期投与の可否
14.厚生労働省薬価基準収載医薬品コード
15.保険給付上の注意
.文 献
1.引用文献
2.その他の参考文献
31
.参考資料
主な外国での販売状況
32
.備 考
その他の関連資料
33
本IF中、抗第Xa因子活性に基づくレビパリンナ
トリウム、ローモリン注の表示単位は「国際単
位」で表記した。従って、実際の試験において、
「IU Ph. Eur.」「IU」 「U」 を用いて実施したもの
については下記の変換系数を用いた。
1 IU Ph. Eur.=1国際単位
1 IU=0.818国際単位
1U=0.692 IU=0.566国際単位
Ⅰ.概要に関する項目
未分画ヘパリン(ヘパリン)は、1916年にMcLeanにより発見された血液凝固
阻止作用を有する酸性ムコ多糖類であり、ウロン酸とD-グルコサミンから構
成され、その分子量は5,000~30,000である1)。ヘパリンの抗凝血作用は、
主にアンチトロンビンⅢとの結合を介した血液凝固第Ⅱa因子(トロンビン)及
び第Ⅹa因子の阻害作用によるものであり、その他、第Ⅸa因子、第 a因子、
第ⅩⅡa因子等の凝固因子の阻害作用も有している。ヘパリンは、その抗凝血
作用から、血液透析における体外循環装置使用時の血液凝固の防止を初めと
し、各種血栓症の治療及び予防に本邦及び海外において広く臨床使用されて
いる。しかしながら、トロンビンの作用を強く阻害することから、出血を助
長する危険性が問題とされてきた。
1976年、スウェーデンのAnderssonらが、ヘパリンと同等の抗凝血作用を
有する一方で、出血助長の危険性を測る指標の1つである活性化部分トロン
ボプラスチン時間(APTT)の延長作用が弱い低分子分画のヘパリン(低分子
ヘパリン)を発見して以来2)、ヘパリンの分子量の違いによる凝固因子阻害
活性の差異が注目されるようになった。その後の研究において、凝固機序の
要である第Ⅹa因子の阻害には、分子量約4,000の画分で十分であり、分子量
が5,000以上の画分は、第Ⅱa因子、第Ⅸa因子、第 a因子阻害活性が発現
するため、APTTの延長を起こすことが明らかにされた。
低分子ヘパリンは、ヘパリンに代わる薬剤として、欧米では主に術後の血栓
予防を適応として、すでに広く用いられているほか、血液透析時の血液凝固
防止にも使用されており、1994年に欧州薬局方に収載されている。
ドイツのクノール社(現 アボット社)は、ヘパリンを化学的に分解することに
より、低分子ヘパリンであるレビパリンナトリウムの製法を1981年に確立
した。レビパリンナトリウムは、重量平均分子量が約4,000で、抗第Ⅹa因子
活性/抗第Ⅱa因子活性の比は3.8~6.4である。
1993年7月に第Ⅰ相試験を実施し、1994年4月から、クノールジャパン株式
会社(現 アボットジャパン株式会社)及び三井製薬工業株式会社(現 バイエル薬
品株式会社)が、「血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析)」 を適応
症として本剤の共同開発を開始し発売に至った。
Ⅸ
Ⅸ
1.開発の経緯
--
Ⅰ.概要に関する項目
2.製品の特徴及び有用性
(1)レビパリンナトリウムの重量平均分子量は約4,000である。
(2)抗第Ⅹa因子活性/抗第Ⅱa因子活性の比は3.8~6.4である(in vitro)。
(3)APTT延長作用は軽度であり(ウサギ)、また出血時間の作用も強くなか
った(イヌ)。
(4)一般血液透析患者を対象とした臨床試験において、血液透析中の血漿中
抗第Ⅹa因子活性は高いレベルに維持され、各種凝固時間(カルシウム再
加時間、APTT)延長作用は軽度であった。
(5)副作用は2.95%(19例/643例)に認められている。その内訳は、瘙痒感
7件(1.09%)、出血性の副作用7件(1.09%)、頭痛2件(0.31%)、発疹2件
(0.31%)、悪心1件(0.16%)、嘔吐1件(0.16%)、倦怠感1件(0.16%)、目
のかすみ1件(0.16%)、血清Caの低下1件(0.16%)であった。
また、28例(4.35%)48件の臨床検査値異常変動が報告されている。
(承認時)
(1)重大な副作用
1)出血(頻度不明):消化管出血等の重篤な出血があらわれることがあ
るので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤を減
量又は中止するなど、適切な処置を行うこと。
2)血栓症(頻度不明):ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)等、血小板
減少を伴う血栓症があらわれることがあるので、異常が認められ
た場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
3)血小板減少(頻度不明):血小板減少があらわれることがあるので、
血小板数を測定し、異常が認められた場合には投与を中止するな
ど、適切な処置を行うこと。
4)ショック(頻度不明):ショックがあらわれることがあるので、観察
を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な
処置を行うこと。
(2)重大な副作用(類薬)
外国において、類薬投与前後に中枢神経系の手術、腰椎の穿刺、硬膜外麻酔
を含む脊椎麻酔等を施行した場合に、出血あるいは血腫又はそれに伴う神経
症状等の重篤な有害事象が発現することが報告されている。
--
Ⅱ.名称に関する項目
1.販売名
(1)和 名
ローモリン®注
(2)洋 名
LOWMORIN®Injection
(3)名称の由来
Low molecular weight heparin から命名した。
2.一般名
(1)和 名(命名法)
レビパリンナトリウム(JAN)
(2)洋 名(命名法)
reviparin sodium(JAN,INN)
3.構造式又は示性式
CH2OSO3Na
O
CH2OR1
H
CH2OR1
H
CO2Na
H
HO
O
O
H
OR1
R3
H
H
H
O
O
H
OH
H
H
OSO3Na
H
NHR2
H
H
OR1
H
H
H
OR1
H
H
O
R4
OH
O
O
H
R3
H
O
H
NHR2
CH2OH
O
R4
OH
H
H
OR1
O
HO
H
H
H
n
R1= H or SO3Na
R2= SO3Na or COCH3
R3= H
or
R4= CO2Na
R3= CO2Na
R4= H
4.分子式及び分子量
分子量:重量平均分子量は約4,000である。
(2,000~6,000の割合は、52.5~87.5%に分布)
5.化学名(命名法)
本剤は架橋構造を有し化学名を記載できないため、本質として記載した。
本質:ブタ小腸粘膜由来のヘパリンを亜硝酸分解にて解重合した低分子量ヘ
パリンのナトリウム塩;大部分の構成成分は、鎖の非還元末端において2-Oスルホ-α-L-イドピラヌロン酸構造を有し、還元末端においては6-O-スル
ホ-2,5-アンヒドロ-D-マンニトール構造を有する;硫酸エステル化の度合は
二糖当たり約2.1である。
6.慣用名、別名、略号、記号番号
治験番号:KM-311
7.CAS登録番号
9041-08-1
--
Ⅲ.有効成分に関する項目
1.有効成分の規制区分
2.物理化学的性質
生物由来製品、指定医薬品、処方せん医薬品
(1)外観・性状
白色の粉末で、においはない。
(2)溶解性
各 種 溶 媒 における溶解度(15~25℃)
溶 媒
溶解度(w/v%)
水
> 50
メタノール
< 0.01
エタノール(95)
< 0.01
ジエチルエーテル
< 0.01
ヘキサン
< 0.01
0.1 mol/L 塩酸
> 50
0.1 mol/L 水酸化ナトリウム
> 50
(3)吸湿性
吸湿性である。
吸湿率
相対湿度
吸湿率(%)※
22.5
10.89
44
15.63
66
21.16
88
41.83
※
:21℃保存7日間の吸湿率
(4)融点(分解点)、沸点、凝固点
融点:明確な融点を示さず、220~230℃で白色から褐色に変化し、約
250℃で完全に分解した。
(5)酸塩基解離定数
該当資料なし
(6)分配係数
該当資料なし
(7)その他の主な示性値
pH:6.0(1W/V%水溶液)
20
比旋光度:[α]
=約+44.5°(4W/V%水溶液)
D
--
Ⅲ.有効成分に関する項目
3.有効成分の各種条件下に
おける安定性
試験名
温度
苛
酷
試
験
湿度
光
保存条件
保存期間
結 果
60℃
ガラス容器
(開栓、暗所)
乾燥減量値の低下以外、他の
6ヵ月
試験項目に変化なし。
21℃、90%RH
ガラス容器
(開栓、暗所)
わずかに黄色味を帯び、粘凋性
の塊を経て固形状となった。乾
3ヵ月 燥減量の増加及び旋光度の値の
減少を認めた以外、他 の 試 験
項目に変化なし。
蛍光灯9万ルクス21℃
長期保存試験 25℃、60%RH
加速試験
保存形態
40℃、75%RH
ガラス容器
(気密)
3日
変化なし。
乾燥減量値の増加傾向を認めた
アルミニウム容器
36ヵ月
が、他の試験項目に変化なし。
(気密、暗所)
アルミニウム容器
(気密、暗所)
6ヵ月
乾燥減量値の増加傾向を認めた
が、他の試験項目に変化なし。
測定項目:性状、確認試験(抗第Ⅱa因子活性に対する抗第Ⅹa因子活性の比、分子量分布)、
pH、溶状(澄明性・色調・400nmでの吸光度)、旋光度、乾燥減量、定量(抗第Ⅹa
因子活性、抗第Ⅱa因子活性)
4.有効成分の確認試験法
5.有効成分の定量法
(1)抗第Ⅹa因子活性と抗第Ⅱa因子活性の比
(2)重量平均分子量及び分子量分布
(3)ナトリウムの定性反応
吸光度測定法(抗第Ⅹa因子活性及び抗第Ⅱa因子活性)
--
Ⅳ.製剤に関する項目
1.剤形
(1)剤形の区別、規格及び性状
1瓶(5mL)中、レビパリンナトリウム5,000国際単位(抗第Ⅹa因子活性)
を含有する無色澄明な注射液である。
(2)溶液および溶解時のpH、浸透圧比、粘度、比重、安定なpH域等
本剤のpHは5.5~6.8、浸透圧比(生理食塩液に対する比)は約1である
(3)注射剤の容器中の特殊な気体の有無及び種類
なし
2.製剤の組成
(1)有効成分(活性成分)の含量
1瓶(5mL)中、レビパリンナトリウム5,000国際単位(抗第Ⅹa因子活性)
を含有する
備考:ブタの小腸粘膜由来
(2)添加物
塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム
3.注射剤の調製法
4.製剤の各種条件下に
おける安定性
<適用上の注意>
(1)調製時:本剤は保存剤を含有していないので、開封後は速やかに使用し、
分割使用は避けること。
(2)調製時:ヘパリン及び低分子ヘパリン類は抗ヒスタミン剤(塩酸プロメ
タジン等)、テトラサイクリン系抗生物質(塩酸テトラサイクリン等)、
フェノチアジン誘導体(塩酸クロルプロマジン等)と試験管内で混合する
と反応し沈殿を生じると報告されているので、本剤との混注は避けるこ
と。
加速試験の結果より、アンプルと瓶の安定性が同等であることから、瓶の長
期保存においても安定であることが推定される。
安定性試験
苛
酷
試
瓶 験
保存条件
保存期間
-10℃、暗所
3ヵ月
60℃、暗所
3ヵ月
褐色を帯びた黄色の液となり、pHが低下
した。抗第Ⅹa因子活性及び抗第Ⅱa因子
活性が各々低下した。
温度
光
加速試験
加速試験
�
�
�
� 長期保存試験
結 果
変化なし。
蛍光灯積算照度
120万ルクス(21℃)
積算照度で 変化なし。
120万ルクス・時間
40℃、暗所
6ヵ月
pHがわずかに低下したが、規格内であっ
た。他の試験項目に経時的変化なし。
40℃、暗所
6ヵ月
pHがわずかに低下したが、規格内であっ
た。他の試験項目に経時的変化なし。
25℃、暗所
36ヵ月
pHがわずかに低下したが、規格内であっ
た。他の試験項目に経時的変化なし。
測定項目:性状、確認試験(抗第Ⅱa因子活性に対する抗第Ⅹa因子活性の比、分子量分布)、
pH、浸透圧、無菌試験、不溶物異物試験、定量(抗第Ⅹa因子活性、抗第Ⅱa因
子活性)
5.溶解後の安定性
該当資料なし
--
Ⅳ.製剤に関する項目
6.他剤との配合変化
(物理化学的変化)
巻末(P33、34)に記載する。
7.電解質の濃度
1瓶(5mL)中に塩化ナトリウム0.9W/V%を含有する。
8.混入する可能性のある夾雑物
過酷試験(60℃、3ヶ月)により、重量平均分子量及び分子量2,000~6,000の
範囲に含まれる割合が低下し、低分子量化体の増加が示唆された。
9.製剤中の有効成分の
確認試験法
(1)抗第Ⅹa因子活性と抗第Ⅱa因子活性の比
(2)重量平均分子量及び分子量分布
10.製剤中の有効成分の定量法
吸光度測定法(抗第Ⅹa因子活性及び抗第Ⅱa因子活性)
11.力価
本剤5mLは抗第Ⅹa因子活性5,000国際単位(力価)を含有する。
12.容器の材質
瓶:無色透明のガラス
--
Ⅴ. 治療に関する項目
1.効能又は効果
血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析)
2.用法及び用量
本剤を直接又は生理食塩液により希釈して投与する。
(1)出血性病変又は出血傾向を有しない患者の場合
通常、成人には体外循環開始時、レビパリンナトリウムとして16国際
単位/kgを体外循環路内に単回投与し、体外循環開始後は毎時8国際単
位/kgを抗凝固薬注入ラインより持続注入する。なお、体外循環路内の
血液凝固状況などに応じ適宜増減する。
(2)出血性病変又は出血傾向を有する患者の場合
通常、成人には体外循環開始時、レビパリンナトリウムとして13~16
国際単位/kgを体外循環路内に単回投与し、体外循環開始後は毎時7~8
国際単位/kgを抗凝固薬注入ラインより持続注入する。なお、体外循環路
内の血液凝固状況などに応じ適宜増減する。
3.臨床成績
(1)臨床効果
1)出血性病変又は出血傾向を有しない安定期血液透析患者
出血性病変又は出血傾向を有しない安定期血液透析患者141例にお
ける二重盲検試験において、残・凝血及び透析効率を指標とした有
効率(有効以上)は98.6%(139/141)であった。
2)出血性病変又は出血傾向を有する血液透析患者
出血性病変又は出血傾向を有する血液透析患者74例における二重盲
検試験において、残・凝血及び透析効率を指標とした有効率は95.9
%(71/74)であった。
3)出血性病変又は出血傾向を有しない安定期血液透析患者に対する長
期投与試験
承認時までに実施された国内延べ46施設、総計281例を対象とした
一般臨床試験(長期投与試験)における残・凝血及び透析効率を指標
とした有効率は6ヵ月投与群99.3%(279/281)、12ヵ月投与群100%
(90/90)であった。また、長期投与において遅発性の副作用は認め
られなかった。
対 象
有効率(有効以上)
出血性病変又は出血傾向を有しない安定期血液透析患者
98.6%(139/141)
出血性病変又は出血傾向を有する血液透析患者
95.9%( 71/74 )
出血性病変又は出血傾向を有しない安定
期血液透析患者に対する長期投与試験
6ヵ月投与群
99.3%(279/281)
12ヵ月投与群
100%
( 90/90 )
(2)臨床薬理試験:忍容性試験11)
健常成人(18例)に本剤8.2~40.9国際単位/kgを単回投与した結果、8.2
国際単位/kgの1例に軽度~中等度の頭痛、40.9国際単位/kgの2例に軽
度の頭重感及び頭痛が認められたが、いずれも臨床的に問題となる程度
ではなく、また、用量に相関性はないことから、拘束などの環境因子の
影響によるものとも考えられ本剤投与との関連性は不明と判断された。
その他には特記する症状は認められず、皮下投与による局所での忍容性
(投与部位)も良好であった。また、健常成人(6例)に24.5国際単位/kg
を1日1回5日間反復投与した結果、1例に一行の下痢と中等度の腹痛、1
例に軽度~中等度の頭痛、1例に一行の下痢が認められたが、それぞれ
一過性のものであり、下痢は冷飲物を飲んだ後の出現のため本剤投与と
の関連性はないと判断された。また頭痛については、拘束などの環境因
子の影響によるものと考えられ本剤投与との関連性は不明であった。
--
Ⅴ. 治療に関する項目
3.臨床成績
その他特記すべき所見は一切認められなかった。
注)本剤の承認された初回透析時の用量は、開始時13~16国際単位/kgで、
持続時は毎時7~8国際単位/kgである。
(3)探索的試験:用量反応探索試験
血液透析患者における有効性、安全性及び有用性の検討を行うこと、並
びに患者個々の至適投与量を求め、その分布を検討することにより初回
透析時の用量を設定することを目的として実施した。
初回透析時の用量の設定は、至適投与量の分布から最も症例の多い用量
を下限とし、その分布の低用量から累積した症例の割合が約85%に達す
る用量を上限とした。
用法は、未分画ヘパリン及び既承認の他社低分子ヘパリンで繁用されて
いる方法、つまり透析開始時に体外循環路内に単回投与し、引き続き持
続投与する方法を採用した。開始時と持続時(1時間あたり)の用量比は、
第Ⅰ相試験の薬動学的パラメータのシミュレーションから抗Ⅹa因子活
性が最も安定に推移する2:1を採用した。また、第1回透析時の用量(ス
テップS)は、第Ⅰ相試験の結果及び既承認の他社低分子ヘパリンの成績
から、効果が期待できる用量とした。第2回以降は、定められた投与量
判定基準に基づき増減することとした。
なお、一般血液透析患者を対象にした試験と出血性血液透析患者を対象
にした試験に分けて実施した。
1)出血性病変又は出血傾向を有しない安定期血液透析患者6)
62例を対象に、有効性、安全性及び有用性を検討するとともに、
患者個々の至適投与量を求めてその分布を検討した。ステップSは、
シミュレーションの結果より開始時16.4国際単位/kg、持続時8.2国
際単位/kg/hrとした。2回目以降の透析では、透析器内残血スコア
及びエアトラップチャンバー内凝血スコア(残血・凝血スコア)を指
標として判定基準に基づき投与量を増減し、個々の症例の至適投与
量を求めた。
その結果、有効率は95.1%、安全率は93.5%、有用率は95.1%であ
った。副作用は解析対象62例中2例(3.2%)にみられ、内訳は1例に
全身瘙痒感と発疹が、1例に嘔吐が発現した。臨床検査値異常変動
は1例に好酸球の増加がみられた。
至適投与量が求められた症例の割合は95.1%(58/61)であった。ス
テップSが至適投与量となった症例が52.5%(32/61)と最も多くを占
め、至適投与量分布の低用量から累積した症例の割合が約85%に
達した用量もステップS(83.6%)であった。
以上の成績から、一般血液透析患者における初回透析時の用量は、
開始時16.4国際単位/kg、持続時8.2国際単位/kg/hrとすることが
適切と判断された。
2)出血性病変又は出血傾向を有する血液透析患者7)
64例を対象に、有効性、安全性及び有用性を検討するとともに、患
者個々の至適投与量を求めてその分布を検討した。ステップSは、
出血の助長の危険性を考慮し、一般血液透析より低用量の開始時
13.1国際単位/kg、持続時6.5国際単位/kg/hrとした。2回目以降の
透析では、残血・凝血スコア及び出血の程度を考慮して判定基準に
基づき投与量を増減し、個々の症例の至適投与量を求めた。
その結果、有効率は92.1%、透析中及び透析終了後の出血の変化を
透析前と比較した安全度1の安全率は98.4%、副作用及び臨床検査
値異常変動より判定した安全度2の安全率は92.1%、有用率は90.5%
であった。副作用は解析対象63例のうち2例(3.2%)に認められ、そ
の内訳は1例に瘙痒感が、1例に手術創及び動脈側穿刺部位からの出
血が発現した。臨床検査値異常変動は1例にAl-Pの上昇がみられた。
--
Ⅴ. 治療に関する項目
3.臨床成績
至適投与量が求められた症例の割合は93.2%(55/59)であり、ステ
ップSが至適投与量となった症例が40.7%(24/59)と最も多くを占
めた。至適投与量分布の低用量から累積した症例の割合が約85%
に達した用量は、本試験で設定した最高用量であるステップH2(開
始時16.4国際単位/kg、持続時8.2国際単位/kg/hr)であり、その割合
は93.2%(55/59)であった。
以上の成績から、出血性透析患者における初回透析時の用量は、開
始時13.1~16.4国際単位/kg、持続時6.5~8.2国際単位/kg/hrとす
ることが適切と判断された。
(4)検証的試験
1)無作為化平行用量反応試験
該当資料なし
2)比較試験
1.出血性病変又は出血傾向を有しない安定期血液透析患者を対象とし
た試験5)
既承認のヘパリン製剤であるヘパリンカルシウムを対照薬とし、一
般血液透析患者149例を対象とした二重盲検交差比較試験を実施し
た。
本剤の初回透析時の用量は、第Ⅱ相試験の結果から開始時16国際
単位/kg、持続時8国際単位/kg/hrとした。対照薬は、承認された
用法・用量を用い、両剤とも残血・凝血スコア及び穿刺部の止血状
況に基づき、適宜増減しながら各薬剤の治療期終了時に総合評価を
行うこととした。
本試験の主要評価項目は、静脈側穿刺針抜針後の止血時間(以下、止
血時間)、安全性及び有用性とした。
抗凝血薬使用による止血時間の延長を短くすることは、安全性が向
上するだけでなく、血管の指圧に起因するシャントへの悪影響を軽
減し、透析終了時の止血看護の省力化につながることから、有効性
を評価するための指標として適切であると考えた。しかし、個体間
差が大きく、必ずしも鋭敏な有効性の指標とは言い難いので、その
影響を取り除くため本試験を交差比較により実施した。本試験の結
果、止血時間、安全性及び有用性において本剤と対照薬との間に有
意差は認められなかったが、副次評価項目である有効性1(残血・凝
血スコア及び透析効率を基準に判定)及び有用性では同等であり、両
薬剤とも同様に適切な透析が行い得ることが示された。
一方、副次評価項目である凝血学的検査においては、抗凝血作用の
指標である血漿中の抗第Ⅹa因子活性が、本剤投与時で高いレベル
に維持された。また、出血の助長を反映する凝固時間のパラメータ
であるカルシウム再加時間及びAPTTの延長は、軽度であった。
更に、遊離脂肪酸の上昇及び中性脂肪の減少は、軽微であった。
以上の成績から、本剤は、有効性1並びに有用性でヘパリンカルシ
ウムと同等であり、更に凝血学的検査及び脂質検査において本剤の
特長が明らかにされ、一般血液透析において有用な薬剤と考えられ
た。
2.出血性病変又は出血傾向を有する血液透析患者を対象とした試験8)
既承認の低分子ヘパリン製剤であるダルテパリンナトリウムを対照
薬とし、出血性病変又は出血傾向を有する血液透析患者161例を対
象とした二重盲検並行群間比較試験を実施した。
本剤の初回透析時の用量は、第Ⅱ相試験の結果から、開始時13~
16国際単位/kg、持続時7~8国際単位/kg/hrの範囲内とした。対
照薬は、承認された用法・用量を用い、両剤とも残血・凝血スコア、
出血の程度及び穿刺部の止血状況に基づき適宜増減し、終了時に総
- 10 -
Ⅴ. 治療に関する項目
3.臨床成績
合評価を行うこととした。
本試験の主要評価項目は、有効性、安全性1(出血の程度の変化より
判定)、安全性2(副作用及び臨床検査値異常より判定)及び有用性と
した。
本試験の結果、本剤の有効率は95.9%であった。安全性1並びに安
全性2においては、高い安全性を示し、安全率はそれぞれ98.7%、
93.5%であった。有用性では本剤の有用率は97.3%であった。
以上の成績より、本剤は出血性病変又は出血傾向を有する患者の血
液透析における抗凝血薬としても有用であると考えられた。
3)安全性試験:長期投与試験9)
一般血液透析患者を対象とした長期投与試験を実施した。6ヵ月投
与例の最終評価時の205例及び12ヵ月投与例の6ヵ月経過時の107
例、計312例の成績を6ヵ月投与群として、12ヵ月投与例の最終評
価時の107例の成績を12ヵ月投与群として評価した。
初回透析時の用量は、第Ⅱ相試験の結果に基づき第Ⅲ相試験の一般
血液透析試験と同じ用量である開始時16国際単位/kg、持続時8国
際単位/kg/hrとし、2回目以降の用量は残血・凝血状況及び止血状
況により適宜増減することとした。
その結果、6ヵ月投与群における安全率は93.6%で、副作用発現率
は3.1%(9例、12件)、12ヵ月投与群における安全率は94.8%、副作
用発現率は4.1%(4例、5件)であり、一般血液透析患者を対象とし
た第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験の成績と比べて、差は認められなかった。
また、有効率は6ヵ月投与群において99.3%、12ヵ月投与群におい
て100%であり、効果の減弱はみられなかった。有用率は6ヵ月投
与群において96.8%、12ヵ月投与群において97.8%であった。
脂質検査値の推移は、総コレステロール及びリポ蛋白(a)の経時的
な減少、HDLコレステロールの増加等が認められた。一般に長期
血液透析患者においてはリポ蛋白(a)の増加や中性脂肪の増加、
HDLコレステロールの減少等の脂質代謝異常がみられる。本試験
で本剤は慢性透析患者における脂質代謝に対して悪影響を及ぼさず、
長期投与に適した薬剤であると考えられた。
以上の成績より、本剤は6ヵ月及び12ヵ月の長期投与においても安
全性に問題なく、高い有効性及び有用性を示し、一般血液透析患者
に対する抗凝血薬として臨床的に有用であることが認められた。
(5)治療的使用
1)使用成績調査・特別調査・市販後臨床試験
該当しない
2)承認条件として実施予定の内容又は実施した試験の概要
該当しない
- 11 -
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
1.薬理学的に関連ある
化合物又は化合物群
ダルテパリンナトリウム
パルナパリンナトリウム
ヘパリン(ナトリウム、カルシウム)
2.薬理作用
(1)作用部位・作用機序
レビパリンナトリウムは、未分画ヘパリンと同様に、アンチトロンビン
Ⅲ (ATⅢ) と結合し、ATⅢの第Ⅹa因子に対する抑制作用を強く促進す
ることにより、抗凝固作用を発現すると考えられる。しかし、未分画ヘ
パリンと異なり、出血の助長に強く関与する抗トロンビン (第Ⅱa因子)
活性の促進は弱い。分子量約5,000を境に、それより小さいヘパリン鎖
はATⅢの抗第Ⅱa因子活性を促進しないことが知られている39) 。レビパ
リンナトリウムは平均相対分子量が3,500~4,500と小さく、5,000を超
える分子の含量が少ないために抗第Ⅱa活性が弱くなり、抗第Ⅹa因子
活性/抗第Ⅱa因子活性の比が大きくなったと考えられる。
レビバリンナトリウムの凝固系に対する作用機序
UFH
レビバリン
負電荷高分子物質
静止血小板
ⅩⅡa因子
ⅩⅡ因子
活性化血小板
ⅩⅠ因子
組織因子
ⅩⅠa因子
Ca2+
Ⅸ因子
Ⅶa因子
Ⅸa因子
Ⅶ因子
レビバリン
2+
2+
Ⅹ因子
Ca2+
Ca
Ⅷ因子
Ca
Ⅷ因子
Ⅹ因子
ATⅢ
Ⅹa因子
ATⅢ
Ca2+
Ⅴ因子
活性化血小板
UFH
プロトロンビン
レビバリン
レビバリン
ATⅢ
トロンビン
UFH
ATⅢ
静止血小板
フィブリノゲン
フィブリン
UFH
:凝固因子・血小板の活性化
:弱い促進
:強い促進
:弱い抑制
:強い抑制
UFH:未分画ヘパリン
- 12 -
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
(2)薬効を裏付ける試験成績
1)in vitro におけるヒト血漿の凝固時間に対する作用10)
目的及び方法
健康男子5名より得られた血漿に、レビパリンナトリウムあるい
はそれと同等の抗第Ⅹa因子活性の未分画ヘパリンを添加し、活
性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、プロトロンビン時間
(PT)、トロンビン時間及び第Ⅹa因子凝固時間に及ぼす影響を比
較した。
成 績
レビパリンナトリウムは、APTT、トロンビン時間及び第Ⅹa因
子凝固時間を濃度依存的に延長した。PTにおいては、検討した濃
度の範囲で有意な延長を示さなかった。
ヒト血漿におけるレビパリンナトリウム (●) 及び未分画ヘパリン (○)
のAPTT、 PT、 トロンビン時間及び抗第Ⅹa因子凝固時間に対する作用
APTT
☆
☆
300
##
##
25
☆
☆
##
##
200
☆ #
☆
150
☆
☆
20
☆
☆
PT (sec)
APTT (sec)
PT
☆
☆
☆
☆
250
☆ #
100
☆☆
☆☆ ☆
* *
50 ☆☆
**
**
☆
☆
##
#
15
**
☆
0
☆
☆☆
☆
10
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
0.0
0.5
2.0
2.5
トロンビン時間
第Xa因子凝固時間
## ## ## ##
☆ ☆ ☆
☆ ☆ ☆ ☆
☆ ## ## ##
## ##
300
** **
**
250
**
200
150
☆
☆☆
☆
0
F.Xa clotting time (sec)
300
50
1.5
Concentration(国際単位/mL)
##
100
1.0
Concentration(国際単位/mL)
☆ ☆ ☆
☆ ☆ ☆ ☆
Thrombin time (sec)
2.薬理作用
##
250
##
##
**
**
0.8
1
**
200
**
150
100
☆
☆
*
0.2
0.4
50
0
0
0.2
0.4
0.6
0.8
Concentration(国際単位/mL)
0
0.6
Concentration(国際単位/mL)
*、# :P<0.05、**、## :P<0.01(vs 薬剤非添加時、Dunnett法)
☆:P<0.05、☆☆:P<0.01(vs レビパリンナトリウム群、Mann-whitneyのU-test)
(mean±S.E.) (n=6)
- 13 -
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
2)イヌを用いた血漿透析モデルにおける有効性4)
目的及び方法
外シャントを作製したビーグル犬を麻酔下で、中空糸透析器を用
いて、4時間の血液透析を実施した。被験薬としてレビパリンナ
トリウム又は未分画ヘパリンの50国際単位/kgを静脈内にbolus投
与し、さらに透析開始直後から透析終了まで、血液回路の動脈側
より25(低用量)、50(中用量)又は100国際単位/kg/hr(高用量)の
速度で持続注入した。
透析開始前(被験薬投与前)、透析開始5、30、60、120、180及び
240分後に血液を採取してAPTT及び抗第Ⅹa因子活性を測定した。
同時に、動脈側及び静脈側のエアトラップチャンバーの圧力を記
録し、その差を回路内圧とした。さらに、透析開始前及び開始
180分後に、耳介を穿刺して出血時間を測定した。
成 績
レビパリンナトリウムは透析器での血液凝固の指標である回路内
圧上昇が軽度で、低用量において6例全例で血液透析を完遂する
ことができた。一方、出血時間に関しては、高用量においてのみ
出血時間の有意な延長を認めた。
抗第Ⅹa因子活性の上昇及びAPTTの延長は、用量依存性が認め
られた。しかし、レビパリンナトリウムの各投与量での血漿中の
抗第Ⅹa因子活性の上昇は有意に高値であり、APTT延長は軽度
であった。
2.薬理作用
血液透析における回路内圧(A)、血漿中抗第Ⅹa因子活性(B,E)、出血時間(C)、
及びAPTT(D,F)に対する未分画ヘパリン(UFH)、レビパリンナトリウムの作用
B. 血漿中抗第Ⅹa因子活性
A. 回路内圧(透析開始4時間後)
(透析開始4時間後)
N.S.
N.S.
*
200
血漿中抗第Ⅹa因子活性(IU/mL)
回路内圧 (mmHg)
250
#
##
150
100
50
0
(4)
(5)
25
50
100
UFH
25
50
**
##
**
2.5
2
#
##
1.5
1
0.5
0
100
**
3
(4)
(5)
25
50
レビパリンナトリウム
25
100
UFH
投与量(国際単位/kg/hr)
50
100
レビパリンナトリウム
投与量(国際単位/kg/hr)
C. 出血時間
D. APTT(透析開始4時間後)
**
*
5
$
3
2
1
0
##
40
$$
APTT(秒)
出血時間(秒)
4
N.S.
50
投与開始
投与開始180分後
$$
30
##
20
#
10
25
50
100
UFH
25
50
100
レビパリンナトリウム
投与量(国際単位/kg/hr)
0
(4)
(5)
25
50
UFH
100
25
50
100
レビパリンナトリウム
投与量(国際単位/kg/hr)
$ : p<0.05, $$ : p<0.01 ( vs 透析前値、paired t-test )
# : p<0.05, ## : p<0.01 ( vs 25国際単位/kg/hr, one-way ANOVA and Dunnett test )
* : p<0.05, ** : p<0.01 ( vs UFH, Student t-test or Aspin-Welch's test after F-test )
(mean±S.E.) (n=6)
- 14 -
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
2.薬理作用
F. APTT(経時変化)
E. 血漿中抗第Ⅹa因子活性(経時変化)
UFH 25 国際単位/kg/hr
UFH 50 国際単位/kg/hr
UFH 100 国際単位/kg/hr
レビパリンナトリウム 25 国際単位/kg/hr
レビパリンナトリウム 50 国際単位/kg/hr
レビパリンナトリウム 100 国際単位/kg/hr
3
UFH 25 国際単位/kg/hr
UFH 50 国際単位/kg/hr
UFH 100 国際単位/kg/hr
レビパリンナトリウム 25 国際単位/kg/hr
レビパリンナトリウム 50 国際単位/kg/hr
レビパリンナトリウム 100 国際単位/kg/hr
50
40
$$
$$
2
##
$$
$$
1.5
##
##
#
$$
1
#
**
##
**
##
**
**
APTT(sec)
Plasma anti-Xa activity(IU/mL)
$$
2.5
30
$$
**
**
(n=5)
(△:n=5)
20
$$
$$ $$
**
##
## ** *
0.5
$$
$$
#
(○:n=4)
(n=4)
0
0
60
120
180
240
Time after administration(min)
10
0
60
120
180
240
Time after administration(min)
*:P<0.05、**:P<0.01(vs UFH 23 国際単位/kg/hr)
:#:P<0.05、##:P<0.01
(vs UFH 23 国際単位/kg/hr)$$:P<0.01(vs UFH 100 国際単位/kg/hr)
(Student t-test or Aspin-Welch´s test after F-test)
(mean±S.E.) (n=6)
- 15 -
Ⅶ.薬物動態に関する項目
1.血中濃度の推移・測定法
(1)治療上有効な血中濃度
該当資料なし
(2)最高血中濃度到達時間11)
Ⅶ-1-(3)の項参照
(3)通常用量での血中濃度11)
1)単回投与
健常成人男子6例に本剤の8.2、24.5及び40.9国際単位/kgを単回投
与したときの血漿中抗第Ⅹa因子活性は、いずれも投与後5分に最
高値(各々0.21、0.61及び0.89aⅩaIU/mL)を示し、その後は時間経
過とともに低下した。AUCは8.2国際単位/kgで0.25aⅩaIU・
hr/mL、24.5国際単位/kgで1.20aⅩaIU・hr/mL、40.9国際単位
/kgで2.28aⅩaIU・hr/mLであり、用量相関性が認められた。
健康成人男子に単回静脈内投与したときの血漿中抗Ⅹa因子活性の推移
(aXa IU/ml)
○: 8.2 国際単位/kg
●:24.5 国際単位/kg
□:40.9 国際単位/kg
(mean±S.D.) (n=6)
0.9
0.6
0.3
0
0
1
2
4
(時間)
8
12
ローモリン注の薬物動態のパラメータ
投与方法
単回静脈内投与
投与量
C5min
AUC (0-24hr)
(国際単位/kg)(aⅩa IU/mL)(aⅩa IU・hr/mL)
T1/2
(hr)
8.2
0.21±0.02
0.25±0.03
1.27±0.17
24.5
0.61±0.06
1.20±0.13
1.69±0.08
40.9
0.89±0.06
2.28±0.29
1.95±0.08
(mean±S.D.) (n=6)
- 16 -
Ⅶ.薬物動態に関する項目
2)反復投与11)
健常成人男子6例に本剤24.5国際単位/kgを1日1回、5日間反復静脈
内投与したときの投与5日目の血漿中抗第Xa因子活性の推移は、初
回投与時と同様、投与後5分に最高値を示し、その後速やかに消失
した。またAUC0-24hrとT1/2は1日目と5日目でほとんど差は認めら
れなかった。
1.血中濃度の推移・測定法
注)本剤の承認された初回透析時の用量は、開始時13~16国際単位
/kgで、持続時は毎時7~8国際単位/kgである。
5日間反復静脈内投与したときの血漿中抗第Xa因子活性の推移
(aXaIU/mL)
1日目
5日目
(mean±S.D.) (n=6)
0.5
aXa活性
0.4
0.3
0.2
0.1
0
0
1
2
4
8
12
(hours)
Time
反復静脈内投与時の抗第Xa因子活性の薬物動態パラメータ
投与量
n
24.5
国際単位/kg
6例
投与日
血漿中抗第Xa因子活性
(aXaIU/mL)
T1/2
AUC (0-24hr)
(hr) (aⅩa IU・hr/mL)
投与
5分後
投与
2時間後
投与
4時間後
1日目
0.54±0.05
0.23±0.03
0.09±0.03
1.56±0.15
1.19±0.16
5日目
0.55±0.03
0.26±0.02
0.11±0.03
1.80±0.28
1.40±0.18
(mean±S.D.)
(4)中毒症状を発現する血中濃度
該当資料なし
2.薬物速度論的パラメータ
(1)吸収速度定数
該当しない
(2)バイオアベイラビリティー
該当しない
(3)消失速度定数(Kel)
0.5541±0.0738/hr(8.2国際単位/kg, iv)
0.4120±0.0205/hr(24.5国際単位/kg, iv)
0.3559±0.0143/hr(40.9国際単位/kg, iv)
- 17 -
Ⅶ.薬物動態に関する項目
2.薬物速度論的パラメータ
(4)クリアランス(Cl)
27070±4301mL/hr/kg(8.2国際単位/kg, iv)
20380±2444mL/hr/kg(24.5国際単位/kg, iv)
20101±1603mL/hr/kg(40.9国際単位/kg, iv)
(5)分布容積(Vdss)
48794±4560mL/kg(8.2国際単位/kg, iv)
49370±4928mL/kg(24.5国際単位/kg, iv)
56373±4038mL/kg(40.9国際単位/kg, iv)
(6)血清蛋白結合率
参考12)
3
H-レビパリンナトリウムとラット、イヌ及びヒトの各血清に添加した
ときの蛋白結合率はそれぞれ75~76%、67~68%及び76~78%であ
った。
3.吸 収
(1)吸収部位
該当しない
(2)腸肝循環
該当資料なし
〈参考〉
雄性ラットに3H-レビパリンナトリウム1mg/kg(110国際単位/kg)を
単回静脈内投与したところ、投与後48時間までに胆汁中へ排泄された
放射能は投与量の0.4%、尿及び糞中への排泄率は、それぞれ81.8%及び
3.3%であった。このときの体内残存率は10.6%であり、総回収率は
96.1%であった。胆汁中への排泄が極微量であったことから、腸肝循環
はほとんど生じないものと推察された。
4.分 布
(1)血液-脳関門通過性
該当資料なし
(2)胎児への移行性
参考12)
3
H-レビパリンナトリウムを妊娠18日目の雌性ラットに1mg/kg(110国
際単位/kg)の用量で単回静脈内投与したところ、母獣の器官・組織内
放射能濃度分布は雄性ラットと同様の傾向を示した。胎児の各臓器に
おける放射能はいずれも投与後4時間で最高濃度に達したが、その濃度
は非常に低く母獣血漿中放射能濃度の約1/2に過ぎなかった。その後胎
児の放射能濃度は母獣血漿中放射能濃度とほぼ同程度の値で推移した。
(3)乳汁中への移行性
参考12)
3
H-レビパリンナトリウムを1mg/kg(110国際単位/kg)の用量で分娩後
10日目の雌性ラットに単回静脈内投与したところ、乳汁中放射能濃度
は投与後2時間で最高濃度に達し、その後、緩やかに低下した。乳汁中
放射能濃度は投与後2時間までは血漿中濃度よりも低かったものの、8
時間で約2倍、24時間では約3倍高い値を示した。しかしながら、最高
濃度を呈した投与後2時間でも0.09μg eq./mLとかなり低い濃度であ
ったことから、乳汁中への移行性は低いことが示された。
- 18 -
Ⅶ.薬物動態に関する項目
4.分 布
(4)髄液への移行性
該当資料なし
(5)その他の組織への移行性
参考12)
3
H-レビパリンナトリウムを雄性ラットに1mg/kg(111国際単位/kg)の
用量で単回静脈内投与したところ、肝臓及び消化管を除くすべての臓
器で投与後5分に最高濃度に達した。この時点で、血漿よりも高い濃度
を示したのは膀胱及び腎臓のみであった。肝臓は投与後4時間に、一方、
消化管への放射能の分布率は投与後8時間でそれぞれ最高となった。投
与後24時間では大脳及び小脳を除くすべての臓器において血漿よりも
高い放射能濃度を示した。投与後168時間にはほとんどの臓器で放射能
が若干残存する程度にまで低下したが、腎臓には比較的高い放射能濃
度が認められた。
3
H-レビパリンナトリウムを雄性ラットに単回静脈内投与したときの器官・組織内放射能濃度
組 織
放射能濃度(μg eq./g or mL)
5分
1時間
4時間
8時間
24時間
72時間
血 液
血 漿
血 球
大 脳
小 脳
下垂体
眼 球
ハーダー氏腺
顎下腺
甲状腺
胸 腺
心 臓
肺
肝 臓
腎 臓
副 腎
脾 臓
膵 臓
白色脂肪
膀 胱
筋 肉
皮 膚
骨 髄
精 巣
精 嚢
前立腺
3.516±0.225
5.907±0.395
0.733±0.137
0.052±0.003
0.059±0.007
1.042±0.061
0.459±0.149
0.807±0.084
1.403±0.275
1.821±0.104
0.453±0.026
0.854±0.071
2.248±0.589
0.605±0.033
10.179±1.257
0.956±0.117
0.631±0.164
0.943±0.052
0.152±0.021
16.277±5.649
0.405±0.049
1.051±0.281
0.752±0.184
0.179±0.017
0.404±0.091
0.563±0.097
0.232±0.026
0.505±0.155
0.079±0.029
0.017±0.006
0.017±0.003
0.250±0.043
0.164±0.038
0.517±0.040
0.743±0.096
1.090±0.232
0.181±0.033
0.236±0.042
0.380±0.091
0.718±0.136
3.095±0.074
0.230±0.048
0.247±0.041
0.537±0.070
0.099±0.025
3.867±1.305
0.168±0.010
0.537±0.085
0.541±0.022
0.157±0.055
0.230±0.074
0.290±0.089
0.066±0.002
0.085±0.011
0.045±0.006
0.043±0.009
0.041±0.011
0.205±0.068
0.127士0.027
0.299±0.028
0.621±0.086
0.690±0.114
0.101±0.013
0.187±0.026
0.190±0.013
0.742±0.049
2.767±0.241
0.246±0.015
0.349±0.043
0.581±0.106
0.099±0.039
3.076±0.411
0.148±0.024
0.248±0.066
0.579±0.063
0.218±0.050
0.251±0.057
0.266±0.020
0.036±0.004
0.042±0.003
0.028±0.009
0.021±0.002
0.021±0.007
0.122±0.027
0.065±0.013
0.186±0.028
0.379±0.046
0.403±0.039
0.076±0.008
0.117±0.015
0.114±0.009
0.508±0.055
2.676±0.346
0.150±0.011
0.292±0.030
0.392±0.044
0.050±0.008
1.869±0.772
0.083±0.012
0.130±0.020
0.381±0.047
0.170±0.021
0.257±0.083
0.227±0.110
0.008±0.001
0.008±0.001
0.009±0.001
0.005±0.001
0.005±0.001
0.082±0.013
0.021±0.003
0.087±0.012
0.125±0.010
0.178±0.009
0.032±0.002
0.033±0.005
0.053±0.006
0.163±0.026
1.848±0.295
0.052±0.012
0.140±0.029
0.117±0.031
0.023±0.009
0.199±0.035
0.021±0.004
0.072±0.028
0.153±0.012
0.065±0.022
0.073±0.026
0.089±0.016
0.004±0.001
0.003±0.000
0.006±0.001
0.004±0.002
0.004±0.002
0.046±0.012
0.016±0.006
0.073±0.016
0.072±0.012
0.129±0.042
0.017±0.002
0.023±0.003
0.032±0.004
0.117±0.010
0.714±0.139
0.037±0.003
0.074±0.019
0.056±0.012
0.012±0.003
0.053±0.006
0.021±0.006
0.047±0.007
0.073±0.010
0.032±0.003
0.041±0.008
0.062±0.015
胃*
小 腸*
大 腸*
盲 腸*
0.26±0.02
1.90±0.52
0.48±0.13
0.27±0.01
0.50±0.30
0.92±0.65
0.23±0.05
0.24±0.03
0.95±0.24
5.08±2.05
0.37±0.13
1.43±0.12
1.84±0.53
5.70±0.64
1.23±0.68
9.57±4.88
0.07±0.03
0.35±0.02
1.01±0.64
1.23±0.13
0.04±0.01
0.15±0.02
0.19±0.09
0.13±0.07
*:消化管は内容物を含めた状態で測定したため、投与量に対する%で示した。
5.代 謝
(mean±S.D.) (n=3)
(1)代謝部位及び代謝経路
該当資料なし
(2)代謝に関する酵素 (CYP450等) の分子種
参考12)
レビパリンナトリウムを雄性ラットに1mg/kg(111国際単位/kg)及び
10mg/kg(1,114国際単位/kg)の用量で1日1回7日間反復静脈内投与し
たときの、肝薬物代謝酵素系に対する影響を検討したところ、本剤に
は肝薬物代謝酵素系に対する作用は認められなかった。
(3)初回通過効果の有無及びその割合
該当しない
- 19 -
Ⅶ.薬物動態に関する項目
5.代 謝
(4)代謝物の活性の有無及び比率
〈参考〉
雄性ラットに3H-レビパリンナトリウム1mg/kg (111国際単位/kg) を
単回静脈内投与して得られた血漿、尿及び腎臓中の代謝物組成を高速
液体クロマトグラフ法により検討した。いずれの試料においても、未
変化体画分の経時的な減少とともに低分子量化した代謝物画分の増加
が認められた。
H-レビパリンナトリウムをラットに静脈内投与したときの血漿中、尿中及び腎臓中未変化体及び代謝物画分の配分率
3
排泄部位
投与後時問
未変化体画分配分率 (%)
代謝物画分配分率 (%)
血漿中
5分
1時間
4時間
92.8
88.9
16.3
7.2
11.1
83.7
尿中
0-4時間
4-8時問
8-24時間
87.4
17.7
2.5
12.6
82.3
97.5
腎臓中
5分
1時間
4時間
24時間
81.1
79.4
57.3
53.8
18.9
20.6
42.7
46.2
(5)活性代謝物の速度論的パラメータ
該当資料なし
6.排 泄
(1)排泄部位
主排泄経路は尿中である。
(2)排泄率11)
ローモリン注を健康成人男子に単回静脈内投与したときの
抗第Ⅹa因子活性の尿中排泄率
累積排泄率(投与量に対する%)
投与方法
投与量
(国際単位/ kg)
単回
静脈内投与
8.2
7.44±3.91
7.44±3.91
7.44±3.91
24.5
16.53±2.17
16.53±2.17
16.53±2.17
40.9
18.84±1.17
19.35±1.23
19.35±1.23
0~6時間
0~12時間
0~24時間
(mean±S.D.) (n=6)
(3)排泄速度
該当資料なし
- 20 -
Ⅶ.薬物動態に関する項目
7.透析等による除去率
(1)腹膜透析
該当資料なし
(2)血液透析13)
血液透析療法などを受けている腎疾患の患者では、本剤の半減期は健
常人よりも約1.5倍の延長を示したが、これは腎血流量やクレアチニン
クリアランスの減少によるものと考えられる。また、尿量が過少の血
液透析患者による本剤の除去率(透析器を1回通過するごとに血漿中抗第Ⅹa
因子活性が除去される割合)は5%を下回り、透析では除去されにくいこ
とが示された。
(3)直接血液灌流
該当資料なし
- 21 -
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
1.警告内容とその理由
2.禁忌内容とその理由
該当しない
〔禁忌(次の患者には投与しないこと)〕
(1)本剤の成分に対し過敏症状又は過敏症の既往歴のある患者
(2)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
「Ⅷ 11.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」 の項参照
(解説)
1)承認時の臨昧試験において、ショック、アナフィラキシー様症状等の
重篤な副作用は発現していないが瘙痒感が7件 (1.09%)、発疹が2件
(0.31%) 報告されている。また、外国でショックが報告されている。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者に投与した場合、重篤な
経過をたどる可能性がある。
2)妊娠中の投与に関する安全性は確立されていない。
〔原則禁忌(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合
には慎重に投与すること)〕
(1)高度な出血症状を有する患者
(2)重篤な肝障害又はその既往歴のある患者
(3)ヘパリン起因性血小板減少症(HIT:heparin-induced thrombocytopenia)
の既往歴のある患者
「その他の注意」
(2)の項参照
(解説)
1)本剤の主薬理作用の過剰発現により出血症状を助長するおそれがある。
2)肝障害を助長するおそれがある。
3)HITが発現しやすいと考えられる。
3.効能・効果に関連する
使用上の注意とその理由
該当しない
4.用法・用量に関連する
使用上の注意とその理由
該当しない
5.慎重投与とその理由
該当しない
- 22 -
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
6.重要な基本的注意と
その理由及び処置方法
(1)本剤の使用にあたっては、観察を十分に行い、出血の増悪がみられ
た場合には減量又は投与を中止すること。
(2)本剤の抗凝血作用を急速に中和する必要のある場合にはプロタミン
を投与する。プロタミン1mgは本剤の82国際単位の効果を抑制す
る。
(解説)
1)本剤の投与量の不足は、体外循環での透析器内残血もしくはエアトラ
ップチャンバー内の凝血を引き起こす可能性がある。一方、本剤の投
与量が至適投与量を超え過剰に投与された場合は、残血・凝血がみら
れないものの出血助長の危険性を伴うことが考えられる。よって、本
剤を投与する際は、残血・凝血の状態及び抜針後の止血時間を十分観
察し、用量を調整することが必要である。
2)本剤使用中に出血が起きた場合、緊急に体外循環を中止する場合など、
本剤の抗凝固作用を急速に中和する必要があるときは、ヘパリンの中
和剤として使用されているプロタミンを用いる。プロタミン1mgは本
剤の82国際単位の効果を抑えることが明らかにされている。臨床試験
においても本剤投与後にプロタミンを投与することにより、出血との
関連のある抗トロンビン活性及びAPTT活性を中和することが確認さ
れている。
7.相互作用
(1)併用禁忌とその理由
該当しない
(2)併用注意とその理由
[併用注意](併用に注意すること)
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
血液凝固阻止作用を有する薬剤
出血傾向が増強するこ 両剤の抗凝血作用が相加的に
(ヘパリン,ワルファリンカリウム等) とが考えられる。
増強される。
血小板凝集抑制作用を有する薬剤 出血時間の延長が認め 血小板凝集抑制作用により,
(塩酸チクロピジン,ジピリダモール等) られることがある。
本剤の作用が増強されること
サリチル酸誘導体 (アスピリン等)
がある
非ステロイド系抗炎症剤
(ジクロフェナクナトリウム等)
血栓溶解剤
(ウロキナーゼ,t-PA製剤等)
血栓溶解作用により本剤の作
用が増強されることがある。
ペニシリン系抗生物質
セファロスポリン系抗生物質
(ラタモキセフナトリウム等)
血小板減少の可能性がある。
強心配糖体 (ジギタリス製剤)
ニトログリセリン
本剤の作用が減弱する 機序不明
可能性がある。
塩酸プロプラノロール
プロプラノロールの作用 本剤がプロプラノロールの血
を増強することがある。 漿蛋白結合を阻害する。
- 23 -
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
8.副作用
(1)副作用の概要
総症例643例中19例 (2.95%) 23件の副作用が報告されている。その内
訳は、瘙 痒感7件 (1.09%)、出血性の副作用7件 (1.09%)、頭痛2件
(0.31%)、発疹2件 (0.31%)、悪心1件 (0.16%)、嘔吐1件 (0.16%)、 怠感1件 (0.16%)、目のかすみ1件 (0.16%)、血清Caの低下1件 (0.16%)
であった。また、28例 (4.35%) 48件の臨床検査値異常変動が報告され
ている。(承認時)
1)重大な副作用
出
血 (頻度不明):消化管出血等の重篤な出血あらわれること
があるので、観察を十分に行い、異常が認
められた場合には本剤を減量又は中止する
など、適切な処置を行うこと。
血 栓 症 (頻度不明):ヘパリン起因性血小板減少症 (HIT) 等、血
小板減少を伴う血栓症があらわれることが
あるので、異常が認められた場合には投与
を中止するなど、適切な処置を行うこと。
血小板減少 (頻度不明):血小板減少があらわれることがあるので、
血小板数を測定し、異常が認められた場合
には投与を中止するなど、適切な処置を行
うこと。
シ ョ ッ ク (頻度不明):ショックがあらわれることがあるので、観
察を十分に行い、異常が認められた場合に
は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2)重大な副作用(類薬)
外国において、類薬投与前後に中枢神経系の手術、腰椎の穿刺、硬
膜外麻酔を含む脊椎麻酔等を施行した場合に、出血あるいは血腫又
はそれに伴う神経症状等の重篤な有害事象が発現することが報告さ
れている。
3)その他の副作用
頻度
0.1~5%未満
種類
血 液
出血あるいは出血悪化
皮 膚
肝 臓
消化器
その他
頻度不明
貧血(赤血球減少、ヘモグロビン減少、
ヘマトクリット減少
発疹、瘙痒感
AST (GOT)、ALT (GPT)、
Al-P上昇
悪心、嘔吐
頭痛、 怠感、血清Caの低下、
目のかすみ
このような症状があらわれることがあるので、投与中及び投与後
は観察を十分に行うこと。
- 24 -
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
8.副作用
(2)項目別副作用発現頻度及び臨床検査値異常一覧
項目別副作用発現率
総症例数
副作用発現例数(発現率%)
副作用発現件数
643例
19例(2.95%)
23件
副作用発現件数
副作用の種類
*:例数(発現率%)
血液*
皮下出血
出血(術部)
血尿
眼底出血
下血の増悪
皮膚*
瘙痒感
発疹
消化器*
嘔吐
悪心
その他*
頭痛
目のかすみ
血清Caの低下
怠感
7例(1.09)
3件(0.47)
1件(0.16)
1件(0.16)
1件(0.16)
1件(0.16)
8例(1.24)
7件(1.09)
2件(0.31)
2例(0.31)
1件(0.16)
1件(0.16)
5例(0.78)
2件(0.31)
1件(0.16)
1件(0.16)
1件(0.16)
臨床検査値異常変動
総症例数
臨床検査値異常発現例数(発現率%)
臨床検査値異常発現件数
検査異常の種類
血
液
学
的
検
査
血
清
生
化
学
的
検
査
赤血球減少
ヘモグロビン減少
ヘマトクリック値減少
血小板減少
白血球増加
白血球減少
好中球増多
好中球減少
白血球分画 好酸球増多
リンパ球増多
単球増多
総蛋白減少
アルブミン低下
AST(GOT)上昇
ALT(GPT)上昇
Al-P上昇
Al-P変動**
LDH上昇
K上昇
Ca減少
P上昇
**投与前:異常
643例
28例(4.35%)
48件
検査値異常発現件数
(発現率%)
5/604(0.83)
5/604(0.83)
5/604(0.83)
2/604(0.33)
1/604(0.17)
2/604(0.33)
2/567(0.35)
2/567(0.35)
3/567(0.53)
2/568(0.35)
1/568(0.18)
2/598(0.33)
1/588(0.17)
1/600(0.17)
3/600(0.50)
4/552(0.72)
1/552(0.18)
1/599(0.17)
2/605(0.33)
1/603(0.17)
2/497(0.40)
(高値)、投与後:正常→異常 (高値)
- 25 -
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
8.副作用
(3)基礎疾患、合併症、重症度及び手術の有無等背景別の副作用発現頻度
要因
背景因子
性別
男
女
年齢
~39
40~49
50~59
60~69
70~
65歳未満
65歳以上
入院・外来
外来
入院
外来⇔入院
急性・慢性腎不全
急性
慢性
原疾患
慢性糸球体腎炎
糖尿病性腎症
その他
出血性合併疾患
その他の出血
手術後
ブラッドアクセス手術後
穿刺部の止血困難
体重(kg)
40未満
40~50未満
50~60未満
60~70未満
70以上
合併症
有
無
既往歴
有
無
透析歴(年)
5年未満
5年以上
透析膜
再生繊維
半合性繊維
合成繊維
その他
ブラッドアクセス
内シャント
グラフト
その他
透析時間
4時間未満
4~4.5時間未満
4.5~5時間未満
5時間以上
併用薬剤
有
無
総例数
320
323
62
132
164
173
112
461
182
520
99
24
1
642
426
90
127
44
44
40
12
77
236
222
85
23
550
93
237
395
301
341
184
177
281
1
596
15
32
45
485
66
47
632
11
例数
4
15
1
5
8
2
3
15
3
14
5
0
0
19
16
0
3
1
2
0
0
4
8
5
2
0
16
3
8
11
11
8
0
12
7
0
17
2
0
1
15
3
0
19
0
症状発現
率(%)
1.25
4.64
1.61
3.79
4.88
1.16
2.68
3.25
1.65
2.69
5.05
0.00
0.00
2.96
3.76
0.00
2.36
2.27
4.55
0.00
0.00
5.19
3.39
2.25
2.35
0.00
2.91
3.23
3.38
2.78
3.65
2.35
0.00
6.78
2.49
0.00
2.85
13.33
0.00
2.22
3.09
4.55
0.00
3.01
0.00
(4)薬物アレルギーに対する注意及び試験法
類似化合物 (ヘパリン) の投与により過敏症発現の報告がある。
- 26 -
件数
6
17
1
7
9
2
4
18
5
17
6
0
0
23
19
0
4
1
2
0
0
5
10
6
2
0
19
4
10
13
12
11
0
15
8
0
20
3
0
1
18
4
0
23
0
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
9.高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので慎重に投与すること。
(解説)
高齢者では肝・腎機能が低下していることが多く、血漿中の抗第Ⅹa因子
活性濃度の上昇又は血中半減期の延長が生じるおそれがある。
10.妊婦、産婦、授乳婦等への
投与
(1)妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠
している可能性のある婦人には投与しないこと。
(2)動物実験 (ラット) で、母乳中へ移行することが確認されているので、
投与中は授乳を避けさせること。
(解説)
1)生殖毒性試験 (ラット及びウサギ) において、本剤の胚致死作用が示
唆された。
2)動物 (ラット) で乳汁中への移行が確認されている。
11.小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立して
いない。
(解説)
使用経験がない。
12.臨床検査結果に及ぼす影響
該当資料なし
13.過量投与
<参考>
本剤の抗凝血作用を急速に中和する必要のある場合にはプロタミンを投与す
る。プロタミン1mgは本剤の82国際単位の効果を抑制する。
14.適用上及び薬剤交付時の注意
(患者等に留意すべき
必須事項等)
15.その他の注意
(1)調 製 時:本剤は保存剤を含有していないので、開封後は速やか
に使用し、分割使用は避けること。
(2)調 製 法:ヘパリン及び低分子ヘパリン類は抗ヒスタミン剤(塩酸
プロメタジン等)、テトラサイクリン系抗生物質(塩酸テトラサイク
リン等)、フェノチアジン誘導体(塩酸クロルプロマジン等) と試験管
内で混合すると反応し沈殿を生じると報告されているので、本剤と
の混注は避けること。
(1)外来透析患者では、穿刺部の止血を確認してから帰宅させること。
(2)ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)はヘパリン-血小板第4因子複合
体に対する自己抗体(HIT抗体)の出現による免疫学的機序を介した
病態であり、重篤な血栓症(脳梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症等)を
伴うことがある。HIT発現時に出現するHIT抗体は100日程度で消
失~低下するとの報告がある。また、投与終了数週間後に、HITが
遅延して発現したとの報告もある。
16.その他
- 27 -
Ⅸ.非臨床試験に関する項目
1.一般薬理
(1)一般症状及び行動観察14, 15)
ラットの一般症状及び行動に対し、レビパリンナトリウムの10及び
21.5mg/kg(1,050及び2,494国際単位/kg)の静脈内投与でなんら影響は
みられなかった。
(2)中枢神経系に対する作用(マウス、ラット)16)
レビパリンナトリウムは、4.64及び10mg/kg(459及び990国際単位
/kg)の静脈内投与で自発運動量、ヘキソバルビタール睡眠時間及びペ
ンテトラゾールにより誘発された痙攣になんら影響を及ぼさず、10及
び21.5mg/kg(1,050及び2,494国際単位/kg)の静脈内投与でも痛覚及び
正常体温に対し影響を及ぼさなかった。
(3)自律神経系、平滑筋及び消化器系に対する作用(モルモット、ラット)17~19)
摘出回腸標本に対してレビパリンナトリウムはなんら作用を示さず、
ア セ チ ル コ リ ン 、 ヒ ス タ ミ ン 及 び B a C l 2に よ る 収 縮 に 対 し て は 1
×10-5M(4.1国際単位/mL)の濃度で非特異的に軽度抑制したが、腸管
輸送能及び胃酸分泌には10mg/kg(990及び1,050国際単位/kg)の静脈
内投与でもなんら影響を及ぼさなかった。
(4)呼吸・循環器系に対する作用(麻酔イヌ)20)
レビパリンナトリウムは、46.4mg/kg(4,222国際単位/kg)を静脈内投
与しても、呼吸、血圧、心拍数、心電図、最大左室内圧一次微分値
(LV dP/dtmax)、心拍出量及び大腿動脈血流量に対しほとんど影響を及
ぼさなかった。
(5)泌尿器系に及ぼす影響(ラット)21)
レビパリンナトリウムは、尿量に対しては21.5~10mg/kg(226~1,050
国際単位/kg)の静脈内投与で影響を及ぼさなかったが、尿中のNaイオ
ンは4.64mg/kg(487国際単位/kg)以上で、Clイオンは10mg/kg(1,050
国際単位/kg)で50~60%減少した。
(6)その他の作用(ラット)22)
レビパリンナトリウムは、1~10mg/kg(92~920国際単位/kg)の静脈
内投与でもカラゲニンによる足蹠浮腫に対し影響を及ぼさなかった。
2.毒 性
(1)単回投与毒性試験23, 24)
動物種
投与経路
ラット
静脈内
性
♂
♀
イヌ
静脈内
♂
LD50値 (mg/kg)
〔国際単位/kg〕
2,610
〔237,510〕
2,150
〔195,650〕
>2,000
〔>210,000〕
(2)反復投与毒性試験25~28)
ラット、イヌともに、本剤の薬理作用に基づくプロトロンビン時間及び
部分トロンボプラスチン時間の延長あるいは抗第Ⅹa因子活性の増加並
びに主薬理作用の過剰発現による出血傾向の亢進に本剤の局所障害性や
投与時のミスなどの外部要因が加わって生じたと考えられた投与部位障
害が変化の主体であった。そのほか、主に投与部位からの出血による二
次的変化として、リンパ節での赤血球処理と考えられる赤血球貪食像等
が認められた。さらに26週間投与の慢性毒性試験では、投与部位の障
害に関連したと考えられる白血球系細胞の変化がみられたほか、ラット
においては、明らかな貧血とそれに対応した造血亢進所見 (網状及び多
染性赤血球の増加、脾臓の髄外造血等) とともに、貧血による乏血性変
化と考えられる器質的変化が肝臓 (肝細胞壊死) 及び腎臓 (ネフローシ
- 28 -
Ⅸ.非臨床試験に関する項目
2.毒 性
ス) に認められた。これらの変化はいずれも可逆的であり、性差は認め
られなかった。
動物種
投与期間
投与経路
4週
静脈内
26週
静脈内
5週
静脈内
26週
静脈内
ラット
イヌ
投与量 (mg/kg/日)
最大無毒性量 (mg/kg/日)
〔国際単位/kg/日〕
〔国際単位/kg/日〕
10, 35, 125
10
〔1,060 3,710 13,250〕
〔1,060〕
5
5, 25, 125
〔390〕
〔390 1,950 9,750〕
40
10, 20, 40
〔4,240〕
〔1,060 2,120 4,240〕
10, 20, 40
10
〔780 1,560 3,120〕
〔780〕
(3)生殖発生毒性試験29~32)
ラット妊娠前及び妊娠初期投与試験 (Seg.Ⅰ) 及び胎児器官形成期投与
試験 (Seg.Ⅱ)、ウサギSeg.Ⅱにおいては親動物 (F0) の生殖機能に影響
は認められなかったが、ラット周産期及び授乳期投与試験 (Seg.Ⅲ) で
は80mg/kg/日(8,480国際単位/kg/日)で死産児を出産する母動物数の
増加並びに哺育不良がみられ、分娩・哺育への影響が認められた。次
世代 (F1) の胎児及び出生児については、ラットSeg.Ⅰでは80mg/kg/日
(8,480国際単位/kg/日)で、ラットSeg.Ⅱでは50mg/kg/日(5,800国際単
位/kg/日)以上で、ウサギSeg.Ⅱでは40mg/kg/日 (4,640国際単位/kg/
日) 以上で着床後死亡率の増加がみられ、本剤の胚致死作用が示唆され
た。また、ラットSeg.Ⅲでは80mg/kg/日(8,480国際単位/kg/日)で出
生率の低下がみられたほか、出生時体重の減少、4日齢生存率及び離乳
率の低下、体重増加抑制、外耳道開孔及び精巣下降の遅延などの発育
抑制作用が認められた。また、催奇形性作用は認められなかった。
生殖・発生毒性
動物種 投与経路
妊娠前及び妊娠初期投与試験 ラット
無影響量 (mg/kg/日)
〔国際単位/kg/日〕
親動物 胎児・出生児
20, 40, 80
80
40
静脈内
〔2,120 4,240 8,480〕
〔8,480〕 〔4,240〕
ラット
静脈内
25, 50, 100
100
25
〔2,900 5,800 11,600〕
〔11,600〕 〔2,900〕
ウサギ
静脈内
20, 40, 80
80
20
〔2,320 4,640 9,280〕
〔9,280〕 〔2,320〕
ラット
静脈内
20, 40, 80
40
40
〔2,120 4,240 8,480〕
〔4,240〕 〔4,240〕
胎児器官形成期投与試験
周産期及び授乳期投与試験
投与量 (mg/kg/日)
〔国際単位/kg/日〕
(4)その他の特殊毒性
1)抗原性33)
モルモット及びマウスを用いたいずれの試験においても陰性であり、
レビパリンナトリウムは抗原性を有しないと考えられた。
2)変異原性34~37)
復帰突然変異試験、in vitro 染色体異常試験並びに in vivo 染色体
異常試験においても陰性であり、レビパリンナトリウムは変異原性
を有しないと考えられた。
3)局所刺激性38)
イヌを使用し、0.5mL/site (3,000国際単位/site) で静脈内、動脈内、
筋肉内、皮下及び傍静脈に単回投与したところ、臨床適用経路であ
る静脈内投与では何ら障害性は認められなかった。筋肉内、皮下及
び傍静脈への投与では主薬理作用に関連した出血が対照よりもやや
強く認められた。
- 29 -
Ⅹ.取扱い上の注意等に関する項目
1.有効期間・使用期限
使用期限:3年 (安定性試験結果に基づく)
外箱、容器に使用期限を表示
2.貯法・保存条件
室温保存
3.薬剤取扱い上の注意点
規制区分:生物由来製品、指定医薬品、処方せん医薬品注)
注) 注意-医師等の処方せんにより使用すること
4.承認条件
該当しない
5.包装
ローモリン注 5,000国際単位:5mL×10瓶
6.同一成分・同効薬
同一成分:クリバリン®注1000(アボットジャパン)
同 効 薬:ダルテパリンナトリウム
パルナパリンナトリウム
7.国際誕生年月日
1992年1月15日
8.製造・輸入承認年月日
及び承認番号
輸入承認年月日:1999年9月22日
承 認 番 号:21100AMY00237
9.薬価基準収載年月日
1999年12月17日
10.効能・効果追加、用法・用量変更
追加等の年月日及びその内容
該当しない
11.再審査結果、再評価結果
公表年月日及びその内容
再審査申請中である
12.再審査期間
6年(1999年9月22日~2005年9月21日)
13.長期投与の可否
該当しない
14.厚生労働省薬価基準収載
医薬品コード
3334405A2029
15.保険給付上の注意
該当しない
- 30 -
.文 献
Ⅸ
1. 引用文献
1)太田和夫:透析療法とその周辺知識 南江堂 (東京), 249-256, 1979
2)Andersson L. O. , et al.:Thrombosis Research 9, 575-583, 1976
3)V. V. Kakkar.:Thrombo Haemost., 74 (1), 364-368, 1995
4)加藤正巳ほか:応用薬理 53 (6) 435-441, 1997
5)太田和夫ほか:臨床医薬 13 (10) 127-156, 1997
6)太田和夫ほか:臨床医薬 13 (8) 105-123, 1997
7)太田和夫ほか:臨床医薬 13 (8) 126-140, 1997
8)太田和夫ほか:臨床医薬 13 (10) 157-183, 1997
9)太田和夫ほか:臨床医薬 14 (3) 85-118, 1997
10)木林健治:バイエル薬品社内資料
11)中川雅夫ほか:新薬と臨床 46 (7) 2-49, 1997
12)奥山光明ほか:生体科学研究所社内資料
13)A. Baumelou, et al.:Nephron, 68, 202-206, 1994
14)H. P. Hoffmann, et al.:アボット社社内資料
15)H. P. Hoffmann, et al.:アボット社社内資料
16)H. J. Teschendorf:アボット社社内資料
17)C. D. Müller:アボット社社内資料
18)W. Hornberger:アボット社社内資料
19)K. Rübsamen:アボット社社内資料
20)H. D. Lehmann:アボット社社内資料
21)C. D. Müller:アボット社社内資料
22)Th. Pfister:アボット社社内資料
23)B. W. Neumann:アボット社社内資料
24)鈴木泰二ほか:日本生物化学センター社内資料
25)G. Blaich:アボット社社内資料
26)R. Neidhardt:アボット社社内資料
27)F. Leuschner:アボット社社内資料
28)B. W. Neumann:アボット社社内資料
29)J. Hellwig:アボット社社内資料
30)K. Engelmann:アボット社社内資料
31)K. Engelmann:アボット社社内資料
32)J. Hellwig:アボット社社内資料
33)山田恭史ほか:日本バイオリサーチセンター社内資料
34)H. Träger:アボット社社内資料
35)H. Träger:アボット社社内資料
36)H. Träger:アボット社社内資料
37)H. Träger, et al.:アボット社社内資料
38)W. Neumann:アボット社社内資料
39)D. P. Thomas, et al.:Thrombosis Research 28, 343-350, 1982.
2. その他の参考文献
該当資料なし
- 31 -
.参考資料
主な外国での発売状況
外国における販売状況(2002年2月現在)
国 名
販売名
許可年月
適応症
1992年3月 術後深部静脈血栓予防(一般外科)
CLIVARINE® 1994年3月 術後深部静脈血栓予防(整形外科)
1997年5月 血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析)
ドイツ
CLIVARINE® 1993年4月 術後深部静脈血栓予防(一般外科)
ポルトガル CLIVARINE® 1993年5月 術後深部静脈血栓予防(一般外科)
フランス
上記を含み世界20ヵ国で販売されている。
- 32 -
.備 考
ローモリン®注の他剤との配合変化試験
その他の関連資料
本品を5%ブドウ糖注射液など22種の薬剤と濃度250国際単位/mLで配合
し、室温散乱光下における本品の安定性を調べた。本品は、これら薬剤を
配合した場合でも、配合後24時間までその溶状、pH及び抗第Ⅹa因子活性
に変化はなく、安定であった。
ローモリン注の配合変化試験
配合薬:商品名
分類
(メーカー)
大塚糖液 5%
糖
類
別
(大塚製薬工場)
キリット注 5%
pH
5.9
6.1
(大塚製薬工場)
マルトス-10
6.0
(大塚製薬工場)
5% フルクトン注
4.1
(大塚製薬工場)
ソリタ-T3号
血
液
代
用 (味の素ファルマ)
剤 ソリタ-T1号
5.1
5.1
(味の素ファルマ)
フィジオゾール・3号
4.8
(大塚製薬工場)
KN補液3B
5.4
(大塚製薬工場)
アクチット注
5.4
(日研化学)
リプラス・3号
5.2
(扶桑薬品)
ラクテックD注
4.9
(大塚製薬工場)
*
試験項目
配合直後
24時間後
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
無色澄色
6.5
243
100
無色澄色
6.6
242
100
無色澄色
6.3
242
100
無色澄色
5.7
243
100
無色澄色
5.3
244
100
無色澄色
5.3
241
100
無色澄色
4.9
247
100
無色澄色
5.6
246
100
無色澄色
5.4
251
100
無色澄色
5.3
249
100
無色澄色
5.0
243
100
無色澄色
6.6
248
102
無色澄色
6.5
249
103
無色澄色
6.4
253
105
無色澄色
5.7
250
103
無色澄色
5.3
248
102
無色澄色
5.3
245
102
無色澄色
4.9
251
102
無色澄色
5.5
246
100
無色澄色
5.4
249
99
無色澄色
5.3
257
103
無色澄色
5.0
248
102
抗第Ⅹa因子活性の単位は国際単位/mL
- 33 -
.備 考
その他の関連資料
ローモリン注の配合変化試験 (続)
配合薬:商品名
分類
(メーカー)
ヴィーンD注
血
液
代
(日研化学)
用
品 リンゲル液
pH
5.4
5.7
(大塚製薬工場)
大塚生食注
5.5
(大塚製薬工場)
低分子デキストランL注
5.5
(大塚製薬工場)
EL-3号
5.5
(味の素ファルマ)
ポタコールR
5.0
(大塚製薬工場)
プロテアミン12注
�
�
�
(テルモ)
酸
輸 プラスアミノ
液
6.1
4.5
(大塚製薬工場)
アミパレン
7.0
(大塚製薬工場)
モリプロンF
6.0
(味の素ファルマ)
12%イスポール注
5.7
(日本製薬-武田)
*
試験項目
配合直後
24時間後
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
外 観
pH
抗第Ⅹa因子活性
残存率 (%)
無色澄色
5.4
251
100
無色澄色
5.9
246
100
無色澄色
6.0
244
100
無色澄色
5.5
241
100
無色澄色
5.5
250
100
無色澄色
5.0
250
100
無色澄色
6.1
252
100
無色澄色
4.6
249
100
無色澄色
6.9
248
100
無色澄色
6.0
250
10
無色澄色
5.8
251
100
無色澄色
5.5
259
103
無色澄色
6.1
255
104
無色澄色
6.1
248
102
無色澄色
5.6
232
96
無色澄色
5.6
253
101
無色澄色
5.0
242
97
無色澄色
6.1
246
98
無色澄色
4.6
243
98
無色澄色
7.0
243
98
無色澄色
6.0
253
101
無色澄色
5.8
249
99
抗第Ⅹa因子活性の単位は国際単位/mL
注)Ⅷ 14 (2) も合わせて参照
- 34 -
資料請求先:学術情報
提 携:
(2007年12月作成)LOW-1.5(SN)
資材記号
LOW-07-9002
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