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講演資料(PDF形式:2.73MB)

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講演資料(PDF形式:2.73MB)
身近にせまる温暖化
∼気象庁の最近の取り組みから∼
気象庁 地球環境・海洋部 気候情報課
調査官 石原幸司
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
1
地球温暖化について考えよう!
2
地球の気温を考えよう①
地球の気温は、太陽から来るエネルギーと地球から出るエネルギーとのバラ
ンスで決まります
地上気温の分布
(1981∼2010年平均値 by JRA-55)
① 太陽からの放射エネルギーを断面積
で受け取り、その70%を吸収します。
② その分だけ地球の全表面から宇宙に
帰っていきます。
③ ①=②とすると、地球の地表気温は
約-19℃に!(放射平衡温度)
実際はどうやら15℃くらい
3
地球の気温を考えよう②
空気の中の温室
効果ガスが地球
から出て行くエ
ネルギーを再び
地球に戻します
全国地球温暖化防止活動推進センター「すぐ使える図表集」http://www.jccca.org/chart/
空気の中の温室
効果ガスがもっ
と増えたら?
4
これまでの温室効果ガス濃度の変化
2013年の平均濃度は396.0ppmで、工業化以前(1750年ころ、278ppm)に比べ
て42%増加しました。
IPCC第5次評価報告書第1作業部会報告書(図6.6、図6.11)、WMO温室効果ガス年報第10号
5
2014年の値は11月までのデータに基づく速報値
世界の気温変化①(1891∼2014年)
各点:各年の年平均気温平年差
青い線:5年移動平均
2014年
赤い直線:長期変化傾向
100年あたり0.70℃の割合で上昇しています。
2014年の気温は最も高い値に!
http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_wld.html
6
世界の気温変化②
IPCC第5次評価報告書第1作業部会報告書(図5.7)
7
世界のCO2排出量
全国地球温暖化防止活動推進センター「すぐ使える図表集」http://www.jccca.org/chart/
8
日本の温室効果ガス排出量の変化(2013年度速報値)
2013年度の温室効果ガス総排出量は13億9,500万トン(前年度比+1.6%)。
化石燃料消費量増加により、産業部門及び業務その他部門で増加。
平成26年11月 環境省公表資料より(http://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg/)
9
気候変動国際交渉の経緯
気候変動枠組条約(UNFCCC)(1992年∼)
カンクン合意
(COP16)
(2010年)
締約国会議(COP)
京都議定書(COP3)(1997年)
C O P 1 7 ( 2 0 11 年 11 ∼ 12 月 ) @ ダ ー バ ン
各国が掲げる削減
目標・行動の推進
特別作業部会ADP(2012年5月∼)
202 0 年 以 降 全 て の 国 が 参 加 す る 法 的 枠 組 を 2 0 1 5 年 ま で に 策 定
日本は、当初は1990年比
25%削減を目標としていた
が、COP19にて2005年比
3.8%削減(1990年比3.1%
増加)を新目標として表明
2008年
京都議定書
第一約束期間
C O P 1 8 ( 2 0 1 2 年 11∼ 1 2 月 ) @ ド ー ハ
・京都議 定 書 第 二 約 束 期 間 の 決 定 ( 8 年 )
2012年
C O P 1 9 ( 2 0 1 3 年 11月 ) @ ワ ル シ ャ ワ
国内準備を開始し、COP21に十分先立って約束草案を示すことで合意
COP20(2014年12月)@リマ
2013年
京都議定書
第二約束期間
約束草案には、参照値(基準年等)・期間・対象範囲等を含める。
201 5 年 1 1 月 1 日 ま で に 各 国 の 約 束 草 案 を 総 計 し た 報 告 書 を 作 成 。
2020年
2020年
COP21(2015年11∼12月)@パリにて決定
10
地球温暖化はどこまで分かったか?
∼IPCC第5次評価報告書より∼
IPCC:気候変動に関する政府間パネル
人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的
な評価を行うことを目的として、1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画 (UNEP)により設立され
た組織。195か国が参加。2007年にノーベル平和賞を受賞。
11
観測事実①
•気候システムの温暖化には疑う余地がない。
•最近30年の各10年間は、1850年以降のどの10年間よりも高温。
•
•
•
世界平均地上気温は、1880∼2012年の期間
に0.85℃上昇。
最近30年の各10年間の世界平均地上気温は、
1850年以降のどの10年間よりも高温。
地域的な変化傾向のデータが十分そろう期
間(1901∼2012年)では、ほぼ地球全体で
地上気温が上昇している。
3つの地上気温観測データセットによる、世界平均気温で、
1961∼1990年平均を基準とした偏差で示しています。
IPCC第5次評価報告書第1作業部会報告書(2013) http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar5/
12
観測事実②
•気候システムに蓄積されたエネルギーの90%以上は海洋へ。
•上部に加え、海洋深層でも水温が上昇。
•
1992∼2005年において、3000m以深の海洋深層
で水温が上昇している可能性が高い。
•
海洋の温暖化は、気候システムに蓄えられたエ
ネルギーの変化の大部分を占め、1971∼2010年
の期間ではその90%以上を占めている。
気候システムの貯熱量変化
海洋(上部)
海洋(深層)
氷の融解
陸地
大気
可能性の幅
(1021J)
1971∼2010年において、海洋の上部(0∼
700m)で水温が上昇したことはほぼ確実。
エネルギー
•
海洋上部:0∼700m
海洋深層:700m∼海底
年
IPCC第5次評価報告書第1作業部会報告書(2013) http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar5/
13
観測事実③
•氷河はほぼ世界中で縮小し続けている。
•北極域の海氷面積や北半球の積雪面積は減
少し続けている。
•
•
過去20年にわたり、グリーンランド及び南極
の氷床の質量は減少しており、氷河はほぼ世
界中で縮小し続けている。
また、北極の海氷面積及び北半球の春季の積
雪面積は減少し続けている。
海面水位の近年の上昇率は過去2千年の上昇
率より大きい。
•
•
世界平均海面水位は、1901∼2010年の期間に、
0.19m上昇した。
19世紀半ば以降の海面水位の上昇率は、それ
以前の2千年間の平均的な上昇率より大き
かった。
IPCC第5次評価報告書第1作業部会報告書(2013) http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar5/
14
地球温暖化の要因
人間活動が20世紀半ば以降に観測された温暖化の主な要因であった可能性が極め
て高い。
気候モデル
人為的な温室効果ガスや
エーロゾルの濃度変化を、、、
観測
与える
与えない
IPCC第5次評価報告書第1作業部会報告書(2013) http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar5/
15
将来の気温、海面水位の変化予測
さらに、・・・
•ほとんどの陸域で、極端な高温が増加、極端な低温が減少。
•地域によって、極端な降水はより強く、より頻繁になる。
全国地球温暖化防止活動推進センター
http://www.jccca.org/ipcc/ar5/wg1.html
16
排出量と気温上昇量
二酸化炭素の累積排出量と気温上昇量は、ほぼ比例関係にあります。
•
•
人為的な二酸化炭素排出のみによ
る温暖化を、50%より大きい確率
で1861∼1880年の期間から2℃よ
り低く抑えるには、全ての人為的
発生源からの累積二酸化炭素排出
量を、同期間以降で0∼約1210GtC
に制限する必要があります。
2011年までに既に515GtCが排出さ
れています。
早い時代に多く排出すると、そ
の分、後の時代に排出できなく
なってしまいます。
GtC:炭素換算のギガトン(1012kg)
IPCC第5次評価報告書第1作業部会報告書(2013) http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar5/
17
これまでの近畿地方の気候変化
18
日本の気温変化(1898∼2014年)
各点:各年の年平均気温平年差
青い線:5年移動平均
赤い直線:長期変化傾向
100年あたり1.15℃の割合で上昇しています
http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_jpn.html
19
補足:ヒートアイランド現象
2013年8月の気温分布(℃)
都市化の影響(℃)
2013年8月の累積30℃超時間
土地利用の変化
・緑地や水面の減少
・アスファルトなど人工被覆面の増大
建築物の影響
・建物による太陽からの光の吸収
・ビルの密集による風通しの悪化
人工排熱の増大
気象庁「ヒートアイランド監視報告(平成25年)」
20
彦根の気温変化(1894∼2014年)
細い折れ線:各年の値
太い折れ線:5年移動平均値
太い直線:長期変化傾向
21
彦根での暑い日・寒い日の変化(1894∼2014年)
熱帯夜日数(最低気温が25℃以上)
長期変化傾向:1.4日/10年
冬日日数(最低気温が0℃未満)
長期変化傾向:-2.5日/10年
猛暑日日数(最高気温が35℃以上)
長期変化傾向:0.2日/10年
真夏日日数(最高気温が30℃以上)
長期変化傾向:0.7日/10年
22
日本の降水量の変化①(1898∼2014年一部2013年)
以下の51地点のデータを元に算出。
旭川,網走,札幌,帯広,根室,寿都,秋田,宮古,
山形,石巻,福島,伏木,長野,宇都宮,福井,高山,
松本,前橋,熊谷,水戸,敦賀,岐阜,名古屋,飯田,
甲府,津,浜松,東京,横浜,境,浜田,京都,彦
根,下関,呉,神戸,大阪,和歌山,福岡,大分,
長崎,熊本,鹿児島,宮崎,松山,多度津,高知,徳
島,名瀬,石垣島,那覇
年降水量
棒グラフ:各年の値
太線(青):5年移動平均
直線(赤):長期変化傾向
雨の降らない日、大雨の日ともに
増えています。
雨の降った日の年間日数
(日降水量1.0mm以上)
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/temp/an_jpn.html
日降水量100mm以上の年間日数
23
日本の降水量の変化②(1976∼2014年)
短時間強雨の発生回数
が増えています。
地球温暖化の影響の可能性がありますが、
アメダスの観測期間は約40年と比較的短
いことから、地球温暖化との関連性をよ
り確実に評価するためには今後のさらな
るデータの蓄積が必要です。
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/info/heavyraintrend.html
24
大阪での雨の降り方の変化(1883∼2014年)
日降水量50mm以上日数
年降水量
雨の降らない日の年間日数
25
京都での雨の降り方の変化(1881∼2014年)
日降水量50mm以上日数
長期変化傾向:0.9日/100年
年降水量
雨の降らない日の年間日数
長期変化傾向:7.3日/100年
26
和歌山での雨の降り方の変化(1880∼2014年)
日降水量50mm以上日数
年降水量
長期変化傾向:-11.4mm/10年
雨の降らない日の年間日数
長期変化傾向:7.5日/100年
27
これからの近畿地方の気候変化
28
温暖化予測の方法
気候システムの理解
気候モデル
計算結果
コンピュータ上に
地球を再現
時計を進める
日本付近を拡大
人為的な温室効果ガスや
エーロゾル(大気中に浮遊
する微小粒子)の濃度変化
(シナリオ)を与える
日々の天気予報と
原理は同じ
温暖化予測
29
今世紀末までの気温の変化(大阪府)
年をとおして2.5∼3.0℃程度上昇します。
(℃)
4.0
棒グラフは将来と現在との差、
ひげは年々変動の標準偏差
平均気温の変化
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
-0.5
-1.0
年
春
(3∼5月)
夏
(6∼8月)
秋
(9∼11月)
冬
(12∼2月)
大阪の年平均気温
現在:16.9℃
将来:19.7℃
(屋久島:19.4℃)
気象庁「地球温暖化予測情報第8巻」(2013)のデータを使用
30
今世紀末までの暑い日、寒い日の変化(大阪府)
猛暑日(最高気温35℃以上
の日)の年間日数の変化
熱帯夜(最低気温25℃以上
の日)の年間日数の変化
冬日(最低気温0℃未満の
日)の年間日数の変化
(日)
35.0
(日)
60.0
(日)
10.0
30.0
50.0
5.0
40.0
0.0
25.0
20.0
30.0
-5.0
15.0
20.0
10.0
-10.0
10.0
5.0
0.0
0.0
-5.0
-10.0
-10.0
-20.0
年
-20.0
-25.0
年
大阪の現在:11.6日
棒グラフは将来と現在との差、
ひげは年々変動の標準偏差
-15.0
大阪の現在:37.4日
年
大阪の現在:0.1日
極端に暑い日はさらに増え、寒い日はさらに減ります。
気象庁「地球温暖化予測情報第8巻」(2013)のデータを使用
31
今世紀末までの猛暑日の年間日数の変化
どの府県も15日前後増えます。
「縦棒」は年々の変動の
ばらつき具合
猛暑日の年間日数の将来変化
気象庁「地球温暖化予測情報第8巻」(2013)のデータを使用
近畿地方と各府県の比較
32
今世紀末までの各種階級別日数の変化(大阪府)
日降水量100mm以上の
年間発生回数の変化
(日)
1.5
1時間50mm以上の年間発生回数の
変化
年間無降水日数(日降水量
1mm以下の日)の変化
(日)
0.8
0.7
0.6
1.0
0.5
0.4
0.5
0.3
0.2
0.0
0.1
-0.5
0.0
-0.1
-1.0
年
大阪の現在:0.3日
棒グラフは将来と現在との差、
ひげは年々変動の標準偏差
-0.2
年
大雨や短時間強雨の頻度が増えます。
一方、雨の降らない日も増えます。
気象庁「地球温暖化予測情報第8巻」(2013)のデータを使用
大阪の現在:約267日
33
1時間30mm以上の激しい雨の年間発生回数(近畿地方)
・棒グラフ(灰色)は現在気候
・棒グラフ(赤色)は将来気候
近畿地方と各府県の比較
1時間30mm以上となる降水の
年間発生回数の将来変化
気象庁「地球温暖化予測情報第8巻」(2013)のデータを使用
34
地球温暖化対策
35
地球温暖化によるさまざまな影響
文部科学省・気象庁・環境省「日本の気候変動とその影響(2012年度版)」、IPCC第5次評価報告書第2作業部会報告書(2014)
36
緩和策と適応策
平成27年夏、政府の適応計画を策定予定
37
わたしたちにできること①
全国地球温暖化防止活動推進センター
∼省エネ∼
http://www.jccca.org/pamphlet_panel/panel/
38
わたしたちにできること②
気象庁作成のパンフレットより
∼災害から身を守る∼
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/ooame-kaminari-tatsumaki/index.html
39
気象庁の役割
日々の天気予報、防災情報の提供に加えて・・・
気候の観測と監視
写真提供 三井造船
温暖化予測と解析
情報発信・提供
40
ご清聴ありがとうございました
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
41
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