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東京 23 区におけるキリスト教会の立地と 地域活動に関する研究 A study
1/2 東京 23 区におけるキリスト教会の立地と 地域活動に関する研究 A study on the location and community activity of the church in Tokyo. 00-1718-2 永井 恵一 指導教官 十代田 朗 小規模教会率 大規模教会率 8.7 15.5 9.7 18.1 18.6 18.4 17.1 20.0 24.2 19.6 24.9 11.7 11.1% 16.7% 0.0% 25.0% 37.5% 24.2% 13.9% 25.0% 39.1% 46.7% 41.2% 20.0% 33.3% 16.7% 42.9% 17.9% 12.5% 15.2% 25.0% 12.5% 13.0% 6.7% 5.9% 20.0% 2.23 区内のキリスト教会の立地 特性 23 区内の 689 教会のうち、区別 には世田谷区が最も多く 84 教会が ある。また、1 平方キロメートル当 りの教会数(「教会密度」と呼ぶ) や、区の人口を教会数で除した「1 参加 1教会当人口︵ 千人︶ 0.93 0.92 0.89 0.87 0.83 0.75 0.64 0.58 0.52 0.51 0.49 1.12 交流 教会密度 港区 19 品川区 21 中央区 9 板橋区 28 北区 17 練馬区 36 大田区 38 足立区 31 江戸川区 26 江東区 20 葛飾区 17 総計 689 3.23 区内のキリスト教会の地域活動の特徴 (1)アンケート調査の概要 23 区内の教会の概要とその地域活動の実態を明らかにするため、 689 教会を対象にアンケート調査を行った(2003 年 10 月∼2004 年 1 月)。その結果、205 通(30%)の回答が得られた。 (2)地域活動の分類 自由回答で記入された地域活動の内、教会が主体となって行う活動 を、施設貸出しやコンサートなど何かを「提供」する活動、教育や弱者 の支援、バザーなど「交流」する活動、の 2 タイプ 5 項目(28 小項目) に分類し、さらに、教会主体で行うのではなく、地域が行っている何 らかの活動に「参加」するタイプ 2 項目(8 小項目)を加えて、合計 3 タイプ 7 項目(36 小項目)に整理した(表 2)。 (3)地域活動に対する意識 地域活動に関して 3 つの質問をした(表 3)。教会の活動が地域に貢 献していると思うか、という質 表 2 地域活動の分類 問には 6 割近くの教会で肯定的 タイプ 項目 小項目 計 割合 な回答をした。それに対し、教 101 49.3% 空間提供 52 25.4% 会が地域に働きかけることが、 教会施設の貸出 48 23.4% 教会にとって重要だと思うか、 結婚式・葬儀 7 3.4% 文化 63 30.7% という質問には 8 割近い教会が 講演会・シンポ 24 11.7% 「とても思う」と回答した。逆 展示会 2 1.0% コンサート 57 27.8% に、地域が行っている活動に参 142 69.3% 教育 71 34.6% 加することについては、約 3 割 子供の教育活動 32 15.6% の教会で「重要だとは思わない」 語学教室 29 14.1% 料理教室 5 2.4% と回答している。教会も地域の 音楽教室 8 3.9% 一主体として、地域と共生する ゴスペル教室 7 3.4% その他の文化教室 16 7.8% ことが重要だという意見がみら 支援 57 27.8% れる一方で、教会と地域との目 育児支援 10 4.9% 女性の自立支援 1 0.5% 的は異なるため地域参加は重要 フリースクール 3 1.5% 日本語教室 6 2.9% でないとの意見もあり二分して 健康相談 1 0.5% いる。現在の教会の活動姿勢と 高齢者の交流会 6 2.9% 老人ホーム訪問・介護 6 2.9% して、「地域のために」活動する 身障者施設訪問 2 1.0% ことが重要であると考えること 福祉作業所の運営 1 0.5% 手話教室 3 1.5% はできても、「地域と共に」活動 身障者との交流 3 1.5% 病院訪問 8 3.9% するという考えにはあまり至っ ホームレス支援 8 3.9% ていないと言える (1) 。 交流会 8 3.9% カウンセリング 5 2.4% (4)地域活動の実態 イベント 90 43.9% どのような教会でどのような バザー 88 42.9% お祭り 5 2.4% 地域活動が行われているのかを 44 21.5% 明らかにするため、各項目の該 コミュニティ活動 38 18.5% まちづくりへの参加 7 3.4% 当率を全体平均で除した特化係 町内会への参加 11 5.4% 地域イベントへの参加 14 6.8% 数表を算出した(表 4)。 地域委員 5 2.4% ①施設形態:教会堂を有してい 周辺の清掃 2 1.0% その他 7 3.4% る教会では、主に空間・場を「提 平和運動への協力 3 1.5% 供」する活動やイベントがよく 献血運動への協力 2 1.0% 裁判支援 2 1.0% 行われている。また、「交流」活 データ総数 205 100.0% 動では、教育の分野の活動がア 表 3 地域活動に対する意識 パートを会堂にして 地域に貢献 地 域 に働 き 地域の活動 い る 教 会 で 多 く み ら 活動への意識 し て い る と か け る こ と への参加は 思うか は重要か 重要か れ、「参加」活動では、 16.1% 79.5% 33.2% 教 会 堂 や ビ ル を 使 用 とても思う まあ思う 43.4% 15.6% 33.7% する教会など、ある程 あまり思わない 34.1% 2.4% 26.3% 4.9% 1.0% 2.4% 度 施 設 の 整 っ た 教 会 まったく思わない 無回答 1.5% 1.5% 4.4% より、民家や公共施設 総計 100.0% 100.0% 100.0% 提供 教会数 1.はじめに (1)研究の背景と目的 近年地域活動やまちづくりの現場に対する NPO の役割が大きくなっ ているが、これは従来の伝統的コミュニティの衰退により、活動の新 たな担い手を模索している為とも言える。西洋社会では 70 年代後半 の NPO の成立以前から、「隣人愛、奉仕の精神」を重要視するキリスト 教会(以下「教会」)による様々な地域コミュニティ活動が根付いてい るが、わが国においては当然こうしたコミュニティはなく、また寺社 の氏子・檀徒コミュニティも都市化社会の中で崩壊してしまってい る。ところが、1995 年の阪神・淡路大震災時には教会が核となって生 活物資や情報の供給にあたるなど、教会が宗教とは直接関係のない活 動で地域と接点を持ち、貢献する例も見受けられる。また教会付属の 幼稚園等、特に宗教を意識せずに教会の事業と関わる局面も多い。 そこで本研究では、東京 23 区内に存在する教会を対象として、ま ず、1)教会の立地を把握した上で、2)教会の性質と地域コミュニティ 活動の現状、及び 3)活動を支える/阻害する要因を把握することを目 的とし、最終的に教会がわが国でも地域コミュニティの担い手となり うるのかを議論する上での一助となることを目指す。なお、現状では 教会の地域福祉活動に関する神学的側面からの研究 1) 、明治期のキ リスト教会の立地の変遷に関する研究 2)等はみられるものの、教会に よる地域コミュニティ活動の全般的な傾向や特徴を横断的に調査研 究したものはみられない。またキリスト教の信仰と価値観をふまえて 地域福祉実践の原則に言及するもの 3)も見られるが、キリスト教国と いう背景が前提に記されており、日本社会への適応は難しい。 (2)研究の対象と方法 本研究では、礼拝やミサ、地域 表 1 区別立地特性 伝道を目的とした特別礼拝、聖書 研究会を除いた、地域を対象に行 われている活動を地域活動とし、 これを対象とする。本研究で扱う 区 教会のデータは、『キリスト教年 鑑』4)に掲載されているものを参考 新宿区 66 3.62 4.1 23.0% 18.0% にする。同書の 2003 年度版からは 渋谷区 41 2.71 4.7 13.2% 36.8% 23 区内に立地する 689 の教会が抽 豊島区 32 2.46 7.4 13.8% 10.3% 台東区 23 2.28 6.8 22.7% 18.2% 出された。また、教会の現状と地 中野区 32 2.05 9.3 16.1% 6.5% 域活動の実態を明らかにするため 杉並区 64 1.88 8.0 16.9% 20.3% 文京区 20 1.77 8.7 5.0% 25.0% にアンケート調査を行った。その 荒川区 18 1.76 9.7 25.0% 18.8% 他、各種の文献調査、各教会やそ 世田谷区 84 1.45 9.5 16.7% 23.1% 千代田区 16 1.37 2.5 7.1% 50.0% の地域に対してヒアリング調査等 目黒区 17 1.16 14.4 6.3% 25.0% 墨田区 14 1.02 15.7 25.0% 16.7% を行った。 教会当りの人口」で比較すると、新宿区や渋谷区に教会が密集してい ることがわかる(表 1)。 信徒数の少ない教会(全体の 2 割に当る 28 人以下)と多い教会(同 233 人以上)の区内での割合をみると、教会密度の低い葛飾区や江東 区、江戸川区で小規模の教会の割合が高く、千代田区、中央区、港区、 渋谷区など都心部で大規模の教会の割合が高いことがわかる。 2/2 表 4 地域活動の実態(特化係数表、「コミュ」はコミュニティ活動の意) 施設形態 タイプ 提供 交流 参加 (項目) 空間 文化 教育 支援 イベント 教会堂 1.15 1.23 1.10 1.05 0.99 1.07 1.12 0.97 ビルテナント 0.68 0.16 1.08 0.84 1.08 0.75 0.47 0.78 民家 0.47 0.30 0.50 0.89 0.67 0.83 0.88 1.43 アパート 0.51 0.99 0.00 1.44 2.17 0.90 1.14 1.16 公共施設 0.00 0.00 0.00 0.72 1.44 1.80 0.00 2.33 無回答 0.51 0.49 0.41 0.54 0.72 0.45 0.57 1.16 幼稚園あり 1.28 1.56 1.03 1.22 0.99 0.85 1.74 0.86 なし 0.94 0.87 0.99 0.95 1.00 1.03 0.83 1.03 1-20 0.26 0.20 0.25 0.78 0.89 1.01 0.41 1.19 21-50 1.29 1.19 1.29 0.96 0.92 0.86 0.98 0.74 51-100 0.84 0.94 0.78 1.04 0.94 0.86 0.99 0.81 101-200 1.23 1.45 1.28 1.14 1.14 1.51 1.44 0.98 2011.50 1.24 1.54 1.22 1.37 0.76 1.44 1.96 0.0-0.4 1.10 0.80 1.38 1.05 1.13 1.22 0.93 0.87 0.4-0.7 0.91 0.89 0.95 0.96 0.97 1.05 0.95 0.99 0.7-1.0 0.97 1.31 0.68 0.93 0.84 0.67 1.09 1.16 無回答 1.35 1.75 0.72 1.44 1.28 0.80 1.52 1.04 住宅地 1.02 1.04 1.01 0.98 0.69 1.02 1.06 0.93 商店街 1.00 1.03 0.80 1.07 0.81 0.88 1.01 1.22 オフィス街 1.22 0.59 1.63 1.11 0.96 1.08 1.03 0.93 学生街 1.01 0.88 1.08 1.23 1.54 1.60 0.89 1.81 工場街 1.01 1.97 0.00 0.23 0.36 0.00 0.38 0.00 病院多い 0.68 1.31 1.08 1.39 1.42 3.60 1.52 3.11 ホテル多い 2.03 0.00 3.25 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 キリスト教会多い 1.01 1.42 0.72 1.04 0.89 0.60 1.01 1.81 他宗教施設多い 1.01 0.99 1.63 1.39 2.14 0.90 0.57 0.00 大通り周辺 1.21 1.18 1.21 0.91 0.64 0.91 0.92 0.90 駅周辺 1.24 1.20 1.10 0.99 0.72 1.04 1.04 1.03 アジア系多い 0.88 1.37 0.42 0.96 0.93 0.78 1.09 1.42 欧米系多い 1.01 1.97 0.00 1.15 1.42 1.20 0.76 0.00 在日朝鮮人多い 0.68 0.00 1.08 1.39 1.42 2.40 0.76 0.00 総計 101 51 62 142 71 57 90 44 附属 教会規模︵人︶ 近隣率 立地条件 コミュ その他 0.95 1.14 0.90 0.00 1.24 2.25 1.35 0.00 2.70 0.00 1.35 0.00 0.99 0.00 1.00 1.23 1.24 0.75 0.69 1.39 0.70 1.27 1.14 0.00 1.99 1.54 0.82 1.49 0.97 0.99 1.24 0.61 1.20 0.00 0.90 1.13 1.15 1.44 1.08 0.00 2.10 1.63 0.00 0.00 3.60 0.00 0.00 0.00 2.10 0.81 0.00 0.00 0.81 1.31 1.10 0.99 1.41 2.55 0.00 0.00 0.00 0.00 38 7 計 154 24 13 4 2 8 38 167 39 63 46 38 19 59 89 48 9 155 61 20 18 6 3 1 36 4 67 59 23 6 3 205 の一室を使用して会堂にしている教会などで多く見られた。 ②幼稚園の併設:幼稚園・保育園を運営している教会では、施設貸出 などの「提供」活動や、バザーなどのイベント活動は多く見られるが、 支援活動や「参加」活動などが熱心に行われているわけではない。 ③教会規模:全体的には大規模の教会ほど活動に熱心だが、支援活動 については大規模でもあまり行われておらず、地域の問題に対応した 活動よりも、文化活動や教育活動、バザー等のイベント開催など、組 織力を活かした活動が多く行われている。コミュニティ活動は町内会 への参加、周辺の清掃などの値は高いが、狭義のまちづくり活動をし ているわけではない。小規模な教会では、「提供」「交流」の値は低いも のの、「参加」の特にコミュニティ活動が高い値を示している。また、 50 人∼100 人程度の中規模の教会では、活動が全般的に少ない。この 人数の規模の教会では信徒間のまとまりに欠けること、資金面の課題 など、活動を行う上での問題があるのではないかと推測される。 ④近隣率:徒歩や 20-30 分程度で教会に来ることのできる信徒の割合 を近隣率と定義し、特徴をみた。「提供」活動は、近隣率が低い、地域 との関係が浅い教会でよく行われている。中でも、文化活動はその傾 向が著しい。しかし、空間提供は関係が深くなるほど盛んに行われて いる。「交流」活動も、近隣率が低い教会でよく行われている。バザー などイベント活動は近隣率が高い、つまり地元の信徒が多いほど行わ れているが、講座や福祉ボランティアは幅広い人材を要するためか、 近隣率と逆の関係にあるのが現状である。最後に、「参加」活動は、地 域との関係が深い教会に多くみられる。 ⑤立地条件:オフィス街やホテルの多いところでは、文化活動が多く なっている。大通りや駅周辺の交通の便が良い所にある教会でも「提 供」活動が盛んである。「交流」活動が盛んなのは、学生や在日朝鮮人、 病院や他宗教施設の多いところである。特に病院の多い地域にある教 会では、病院訪問やカウンセリング等の支援活動が多く行われてい る。これらの特色ある地域で活動が盛んなのは、地域の問題や課題が 明確に示されるためと考えられる。キリスト教会の多い地域では、キ リスト教の文化などが地域に理解されやすいこともあるのか、地域イ ベント参加などのコミュニティ活動が多く行われている。 4.特徴的なキリスト教会の地域活動∼ケーススタディ 本章では、教会の地域活動を支える、或いは阻害する要因は何であ るのかヒアリング調査の具体例を交えて考察する。 (1)独特な活動 新宿区大久保地域には比較的大きな教会や韓国人のための礼拝を 行う教会などが集中する。日本福音ルーテル東京教会は、地域との共 生を目指し、市民コーラスグループに施設を提供したりオルガンコン サートを行うなど積極的だが、他の教会では地域との情報交換がうま くできておらず、市民団体の呼びかけに応じないことも少なくない。 足立区西新井本町にある在日大韓基督教会西新井教会では、地域に 多い在日朝鮮人のために日本語学校オモニハッキョを開講し、既に 22 年目となっている。在日 1 世の日本文化理解の為に始められ、現在も 15 人前後が学んでいる。日本語講師は関東全域から 8 名のボランティ アが来て協力している。 まちづくり活動に参加している例も新宿区若松町の東京信愛教会 や北区豊島 8 丁目の王子北教会(共に日本基督教団)等でみられたが、 牧師の個人的な参加に留まっており、宗教に関係なく活動している。 世田谷区赤堤 1 丁目の東京新教会では、新たに NPO を設立して区か ら助成金を受け取り、不登校の生徒や青年らをサポートする場をつく っている例もみられた。これらの教会では、キリスト教の精神を持ち つつも、それを前面に押し出さずに活動していることが特徴的であ る。しかし、支援や教育活動に比べると、まちづくりは未だ例が少な く必要性が感じられていない分野であると言えよう。 (2)地域活動の阻害要因 地域に働きかけることが重要だと思っていても、活動ができていな い教会が JR 渋谷駅周辺に幾つかある。人通りが多く都市の中心部に 立地しているが地域活動の例は少ない。問題は近隣率が低く、教会が 何かを求められたとき柔軟に対処できるだけの人手がないことであ る。教会を管理する人員となる信徒が地域に少ないこと、地域との繋 がりが希薄であるために、教会施設の貸出等の活動ができないためだ と考えられる。このような状況下では、コンサートや講演会などの「提 供」活動以上に地域と深く関わっていくことが困難な状況である。 上野や浅草の教会では、教会と地域とが密接に関わっている。団体 として関わっているのではなく、信徒が地域の役員なども勤めてい て、地域の祭りの準備のために教会を休む人もいれば、地域で行われ る祭りの際に休憩所として教会施設を開放したりもする。教会で他宗 教の活動をすることは当然できないが、少し寛容になれれば、このよ うな形で地域の活動を支える役割を担うことはできる。 5.結論 ①教会の立地については、教会密度の低い城東エリアでは小規模の教 会が多く、逆に都心3区や渋谷では大規模の教会が多い。 ②教会の地域活動に対する意識では、教会が地域に働きかけることに ついては高い支持率があるものの、地域の活動に教会が参加すること については賛否が分かれる。 ③教会の地域活動は大きく「提供」「交流」「参加」の 3 タイプ、7 項目 36 小項目に分類できた。教会規模別に見ると大規模教会で組織 力を活かした文化・教育・イベント活動が多く行われている。近隣率か らみると「提供」「交流」活動は近隣率が低い教会で多く行われ、逆 に「参加」活動は近隣率が高く地域との関係が深い教会に多く見られ る。立地条件別に見ると支援活動を多く行うのは、病院が多い地域・ 在日朝鮮人が多い地域等の地域の問題や課題が明確に示される場所 に立地する教会であることがわかった。 ④ケーススタディからは、特色ある活動を行っている教会はあまり宗 教性を前面に押し出さずに活動していること、また近隣率が低いこと は、対応できる人員がいないこと・地域との繋がりが希薄であること を意味し、地域活動の阻害要因となっていることが指摘できる。 補注 (1)「地域のために」「地域と共に」とは、文献 3)の中において教会の地域福祉実 践を 2 つのタイプに分類したものの名称である。 参考文献 1)北川博司(2003),「キリスト教社会福祉と教会の課題:高齢社会における地 域福祉実践の一考察」,同志社大学神学研究科修士論文.2)望月卓郎(1996), 「近世初期および明治前期のキリスト教伝播期における教会等施設の立地と分 布に関する研究」,東京工業大学情報環境学専攻修士論文.3)G・ラベル(1998), 「教会と社会福祉実践 活動指針の具体的展開」,新教出版社.4)キリスト教年鑑 編集部編(2002),「キリスト教年鑑 2003」,キリスト新聞社