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事後評価書 - 経済産業省

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事後評価書 - 経済産業省
事後評価書
1.政策評価の対象とした施策
・革新的部材産業創出プログラム
2.政策評価を担当した部局又は機関及びこれを実施した時期
(1)担当
経済産業省
・産業技術環境局
研究開発課
・製造産業局
ナノテクノロジー・材料戦略室、非鉄金属課、ファインセラミックス室、
化学課、鉄鋼課、産業機械課、素形材産業室、航空機武器宇宙産業課
(2)時期
・平成16年4月∼平成17年3月
3.政策評価の観点
・必要性、有効性、効率性
4.政策効果の把握の手法及びその結果
(1)手法
・学識経験を有する者の知見を活用した評価の実施
(2)結果
・別紙「4 施策効果」及び「5.1 研究開発プログラムの有効性」に記述
5.学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
評価を広い視点から可能な限り、客観的に行うため、省外の高い見識や知識を有する以下
の有識者の知見を活用することとした。具体的には、メールレビューにより意見を聴取した。
氏 名
所
属
藤本 暸一
早稲田大学 客員教授
木内 学
国立大学法人 東京大学 名誉教授
北森 武彦
国立大学法人 東京大学 教授
6.政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報に関する事項
・過去の評価レポート(別紙 参考4)
7. 政策評価(事後評価)の結果
・別紙のとおり
別紙
革新的部材産業創出プログラムに関する
施策評価(事後評価)結果
平成17年3月
経済産業省
産業技術環境局
製造産業局
研究開発課
ナノテクノロジー・材料戦略室
非鉄金属課、鉄鋼課、化学課、
ファインセラミックス室、産業機械課、
素形材産業室、航空機武器宇宙産業課
目
次
1.施策の概要 ·····························································1
1)施策の目的 ···························································1
2)施策の目標 ···························································1
3)予算の推移およびスケジュール ·········································2
2.施策の必要性 ···························································3
1)背景 ·································································3
2)行政関与の必要性 ·····················································3
3.目標の達成状況と妥当性 ·················································5
1)研究開発の成果、施策の目標達成状況 ···································5
①各事業の目標達成状況 ·················································5
②プログラム中間評価時の達成状況 ·······································11
2)施策目標の妥当性 ·····················································18
①上位施策との関連 ·····················································18
②施策の中における個別事業の妥当性に関する検討 ·························20
③産業界より見た施策の妥当性 ···········································22
④国内外の施策の関連動向より見た施策の必要性 ···························25
⑤施策を構成する各事業の妥当性に関するまとめ ···························31
4.施策効果 ·······························································32
1)技術的施策成果 ·······················································32
2)セラミックス系事業の技術波及効果および経済的効果 ·····················33
①技術波及効果 ·························································33
②特許が与えた産業界へのインパクト ·····································35
③セラミックス系事業の特許よりみた経済的効果 ···························39
④セラミックス系事業の技術波及効果、 経済・社会的効果に関するまとめ
·······································································44
3)金属系事業の有効性および経済的効果 ···································45
①材料開発 ·····························································46
②新素材の適用産業分野 ·················································49
③素材の加工方法 ·······················································51
④部材適用先の商品の動向 ···············································55
⑤金属系プロジェクトの有効性および経済的効果に関するまとめ ·············63
4)マイクロ化学分析・生産システム ·······································64
5)次世代半導体ナノ材料高度評価技術 ·····································66
5.施策の有効性、効率性 ···················································70
1)研究開発プログラムの有効性 ···········································70
2)施策パッケージとしての有効性 ·········································71
3)研究開発プログラムの効率性 ···········································74
4)研究開発マネジメントの妥当性 ·········································75
6.分析結果を踏まえた今後の改善策等 ·······································77
1)研究開発プログラムの成果 ·············································77
2)今後必要な改善点 ·····················································78
添付資料
調査の概要 ···················································79
参考資料1)
有識者ヒアリング結果 ·········································90
参考資料2)
代表論文リスト ···············································96
参考資料3)
研究開発実施機関が掲載されたホームページの URL ················98
参考資料4)
過去の評価レポート ···········································98
参考資料5)
本施策に関する政策情報 ·······································98
参考資料6)
特許検索式 ···················································99
参考資料7)
用語説明 ·····················································103
1. 施策の概要
1)施策の概要
①
施策の目的
新市場及び新規雇用の創出による経済低迷の現状打破、並びに我が国材料産業の国際競争力強化を
図るため、微細成形性、高強度等の特性を有する高機能素材の開発を支援し高付加価値材料産業(材
料・部材産業)を構築する。具体的には、成形加工された部材において、材料の機能を最大限引き出
すために、加工時の特性変化を見込んだ材料創製と成形加工の最適化とを一体として研究することで、
高機能(高付加価値)部材創製技術を確立する。また、研究から製品化までのリードタイムを短縮す
る研究生産システム技術の開発により、新材料の迅速な産業利用等を実現する。
②
施策の目標
材料創製技術と成形加工技術を一体化した研究開発の推進により、部材、部品化された際に、材料
が有する本来の機能(電気的特性、強度等)を成形、加工することにより損なうことなく、最大限活
かす高付加価値な部材製造技術を開発するとともに、研究生産システム技術の開発により、新材料の
産業利用の早期実現を達成する。
これら技術開発の成果である高付加価値な部材及び生産システムを、標準化を積極的に進めるとと
もに、政府調達制度等を活用するなどし、普及を図り、高付加価値部材の利用促進を図る。
また、新規産業研究開発においては、新規機能を付与した材料の開発を図る。
1
2)
予算の推移およびスケジュール
表1−1に示すように、本プログラムは合計8事業で構成されており、平成15年度終了する事
業が 1 事業、継続中の研究開発事業が 5 事業、研究開発調査が 2 事業である。
これら事業の予算の推移およびスケジュールを表1−1に示す。
表1−1
施策構成事業
研
期究
H9
間開
発
(年度) 97
プログラムの予算の推移およびスケジュール
H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18
98
99
0
1
2
3
139
420
600
304
1,623 1,583 1,561 1,424
964
革新的部材産業創出
プログラム
1.材料プロセス
革新技術
精密部材成形用材
1 料創製・加工プロセ
ス技術
H14
∼
H18
H14
金属ガラス成形加工
2
∼
技術
H18
H6
3 シナジーセラミックス ∼ H6
H15
超高温耐熱材料MG H13
4 Cの創製・加工技術
∼
研究開発
H17
2.研究生産システム
技術
344
マイクロ化学分析・
生産システム
5
156
830
高効率マイクロ化学
5
H14 プロセス
5'
686
4
1,108
H15
∼
H17
3.部材としての
複合評価技術
次世代半導体ナノ材 H15
6 料高度評価プロジェ ∼
クト
H17
1,923
4.研究開発調査事業
7
革新的構造材料産
業技術対策調査
H16
8
無機新素材産業技
術対策
H14
∼
H17
24
20
プログラム期間
2
6
2.
施策の必要性
<背景>
我が国の素材産業は、国際的に高い技術力と競争力を有し※1、情報通信機器産業、機械産業等の
広範な産業を支える基盤産業であり、高信頼で高性能な材料を情報通信機器や自動車等の部品・組立
産業等の製造産業に提供することで我が国の経済社会の発展を支えている。
しかしながら、昨今の国際競争の激化により、川上産業(素材産業群)は、革新的な新材料創製に
向けた研究開発による高付加価値化が求められている。また、川下産業(製造産業群)は、付加価値
の高い製品部門やサービス部門への経営資源の集中を進め、材料加工部門のアウトソーシング(材料
調達から部材調達へ)を進めている。このため、材料の汎用的な加工等ではアジア諸国の技術向上に
より、国内産業の空洞化がおこっている。一方、両者の中間に位置する部品産業が担うべき範囲が拡
がりつつあるとともに、素材産業の部材産業への転換、社会的なニーズを踏まえたコンテンツを持つ
材料の開発が求められている。
海外動向は、欧州において、第5次フレームワークプログラム(Competitive and sustainable
growth Program)として、電子材料、材料加工成形等の新規な横断的技術を先進材料のプロセンシン
グに組み入れる技術、化学産業における新規な性質を付与した高付加価値材料の創製技術等について
1999年からプロジェクトを実施しているところ。
※1 材料産業技術貿易額でみると、1999年の輸出額対価受取額が1927億円、輸入対価支払
額が883億円その差額が1044億円であり、国際的に高い技術力を有する。また、材料産業貿
易額(1999年「経済産業省工業統計表「財務省貿易統計」では、輸出額9兆0800億円、輸
入額7兆4500億円と国際的な競争力を有する。
<行政関与の必要性>
・現在の日本経済は長期の低迷下にあり、産業活力の再生と持続的な発展基盤の構築が国民ニーズと
して強く求められている。これらのニーズに応えるためには、技術革新によるイノベーションを促
進し産業競争力を維持、強化することにより、新規市場及び新規雇用を創出することが必要である。
このような中で素材産業は、国際的に高い技術力と競争力を有し、情報通信機器産業、機械産業等
の広範な産業を支える基盤産業であり、高信頼で高性能な材料を情報通信機器や自動車等の製造産
業に提供することで、我が国の経済社会の発展を支えている。
しかしながら、昨今の日本経済の低迷や国際競争の激化により、次世代の最終製品を支える新材料
創製に向けた素材産業の研究開発活動が低下している。一方、ユーザー産業は付加価値の高い製品
部門やサービス部門への経営資源の集中を進め、材料加工部門のアウトソーシング(材料調達から
部材調達へ)を進めており、素材産業の部材産業への発展が求められている。
・現状を分析すると、川上産業は、規模の拡大を指向してより川上へ移行するとともに、プロセス技
術に研究開発の重点が移り革新的な材料の開発が鈍る傾向を示し、川下産業は、高付加価値部門へ
の集中を指向してより川下へシフトすることで、その中間に位置する部品産業が担うべき範囲が拡
がりつつある。さらに、材料の汎用的な加工等はアジア諸国の技術向上により、国内産業の空洞化
が起こっており、材料創製から製品までを結ぶ糸が細くなりつつある。これは、潜在需要を開拓す
るプロダクトイノベーションが材料創製から製品まで連続的に起こりづらい産業構造が構築され
3
つつあることを意味している。
・今後、我が国が国際産業競争力を強化、維持するには、革新的新機能を有する材料を創製し、これ
ら新機能材料の実用化に必要な成形加工技術を開発することで、高付加価値な材料/部材を提供し
うる諸外国より一歩先じたテクノロジーを開発、保持していくことが必要である。
また、基礎研究分野における発見(新材料創製の起点)から新材料の製品化までの期間が年々短縮さ
れる傾向にあり、製品化までの研究開発の迅速化が、材料産業の競争力強化の重要なポイントとな
っている。
・本施策は、基礎研究を基に生み出された新材料創製技術を材料生産技術へと昇華させる際に存在す
る技術的バリアを科学的システム的なアプローチにより効果的に取り除くものであり複数の研究機
関及び企業の知見を結集する必要があるため、民間の自主的取り組みには限界がある。本施策は、材
料の創製加工プロセス技術の開発※2、研究生産システム技術の開発※3を行うものである。
※2
材料プロセス革新技術:
材料創製技術の開発と成形加工技術の開発とが分離して実施された際に生じる、開発された新材料の成
形性が悪く実用化に耐えない等の問題を回避するため、材料創製技術と成形加工技術の開発を一体的に捉
えて実施し、材料機能の制御をこれまでにない水準で実現しようとする革新的内容の技術開発である。ま
た、材料創製を部品等の実用化へ直結させる研究開発である。
※3
研究生産システム技術:
高機能性化学品等の多品種、変量生産等にかかる研究開発期間の大幅な短縮化並びに微小空間での化学
反応による精密構造制御及び計測・分析の高速化、極微量化等を実現するための分析・生産システムを開
発するとともに、本システムの早期実用化を図るものである。
4
3.目標の達成状況と妥当性
1)研究開発の成果、施策の目標達成状況
①各事業の目標達成状況
革新的部材創出プログラムは6つの研究開発事業で構成され、1事業がH15年度末に終了し、
1事業が中間評価を受けた段階で、他は事業開始より1∼2年の継続事業である。
各事業の目標達成状況は以下に示す
また中間評価を終えた事業の評価概要を表3−7に示す。
(1)精密部材成形用材料創製・加工プロセス技術
<目的>
2006年度までに精密な微細形状を付与するとともに成形加工することで材料機能を最大限
発揮させる材料創製技術と加工技術との一体的研究開発を実施する。
<目標>
高精密部材、機能性マイクロ機器部品等を創製するための高精密成形加工技術(加工精度0.
3マイクロメーター)、高精密金型技術を確立。
指標:現状3マイクロメートル程度の製品加工寸法精度に対して、金型加工の寸法精度を0.
1マイクロメートル(現状の十倍程度)に高精度化するとともに、微細構造に耐えうる強度、
靱性を有する材料の開発によって0.3マイクロメートルの製品加工寸法精度を実現すること
を目指す。
<概要>
表3−1
精密部材成形用材料創製・加工プロセス技術における研究開発内容
研究開発分類
①材料技術の開発
研究開発項目
・高易加工性を有するとともに、高強度・高靭性等の特
性を有する金属材料創製技術
②高精密金型材料創製・加工 ・転写成形加工等による高精度なマイクロ成形加工を安
技術の開発
定して行うためのイオンビーム等を用いた金型精密加
工技術
・新規金型材料創製
②高精密部材成形加工技術 ・インクジェットプリンターノズル
の開発
・光コネクタ
など精密部材への適用
<目標達成状況>
(2002年度末実績)
研究開発項目①「高易加工性金属系新材料の開発」においては、高精密成形を実現する高易
加工性とともに高強度、高靱性、高伝導性の機能を有する高易加工性金属系材料の開発、およ
び合金材料等の組成設計・組成制御、組織制御等をナノからマイクロメートルに至る領域で安
定的に制御する技術の開発に着手した。
研究開発項目②「高精密金属金型材料創製・加工技術の開発」においては、高精密成形加工
を安定して行うための高強度高靱性高耐磨耗性金属金型材料創製技術の開発とサブマイクロメ
ートルオーダーの金型寸法精度を可能とする高精密金型加工技術の開発に着手した。
5
研究開発項目③「高精密部材成形加工技術の開発」においては、寸法精度がサブマイクロメ
ートル以下であるマイクロ機器部品、精密部材の製造を可能とする、高精密部材成形加工技術、
ならびに成形性予測技術の開発に着手した。
(2003年度末実績)
研究開発項目①「高易加工性金属系新材料の開発」においては、被加工材として最適な合金
材料の組成設計、組成制御、組織制御を長時間安定的に実現する精密電解析出法技術の開発を
実施して、作製したNi−W合金めっき材料の強度、靱性、組成、結晶粒径およびそれらの均
一性について評価を進め任意の点で成形前においてビッカース硬さHV650、引っ張り強度
1300MPa、また、180°曲げの成形加工後も破断しない材料を開発した。
研究開発項目②「高精密金属金型材料創製・加工技術の開発」においては、高精密金型材料
として、超微粒タングステンカーバイト粉末を直接炭化法の適正化によりBET法換算粒度で
61nmの粉末を作製する条件を見いだし、また0.3μm級タングステンカーバイト原料粉
末を使用した粒成長を抑制した焼結後において結晶粒径0.3μm級、硬さ2040HV(HR
A94.0相当)、抗折力4.7GPaの合金を得た。さらに金型高精密加工技術において、切
削加工精度:±0.1μm(隣接するV溝の中心間距離)放電加工精度:±0 3μm(丸穴の
直径)面精度・組み付け精度±0 3μmを達成した。また、超硬合金金型表面へ密着性の高め
た機能性硬質薄膜の開発を進め、2倍の耐久性を得た。さらに、様々な材料組織の被加工性を
比較して金型加工技術へ反映するために、FIB加工した合金の表面粗さと合金組織依存性を
評価を進め、超硬合金で平均面粗さ6.2nmの加工条件を見いだした。
研究開発項目③「高精密部材成形加工技術の開発」においては、LSIマイクロテストプロ
ーブ成形用金型を用いたプレス試験を実施して、先端位置精度±0.5μmを満たす加工技術、
高精密プレス装置を用いて75μm厚のSUS板に対してφ20μm以下のインクジェットノ
ズル径に±0.3μmの寸法精度の加工技術、超多心小型光コネクタ(24心)において、0.
3μm級超微粒超硬合金金型にて、成形条件等を改良して穴位置配列精度±0 5μmの成形加
工技術をそれぞれ達成した。また成形性予測技術において常温・高温時の機械的性質、変形解
析等と、金型形状転写率を明らかにするため樹脂充填工程でピンに作用する力硬化冷却工程で
の樹脂特性(フィラー粒径分布)
・成形条件(圧力)と転写性の関係について、フィラー粒子と
基材樹脂の混成体モデルを構築した。樹脂流動解析を実施して、樹脂流入速度低速化とライナ
ー部における樹脂硬化進展に伴う粘度増大との間に最適領域が存在することを予測する知見を
得た。
<精密部材成形用材料創製・加工プロセス技術>
(2)金属ガラス成形加工技術
<目的>
2006年度までに金属ガラスがもつ特性を発現する内部組織、構造を制御するとともに成形
加工することで、材料機能を最大限発揮する材料創製技術と加工技術との一体的研究開発を実
施する。
<目標>
金属ガラスを題材として線材、板材及び複雑形状等を与える際の材料創製技術及び粘性流動を
6
利用した熱制御加工技術を開発することで、高機能部材のネットシェイプ加工を実現する。
指標:
・鉄基を中心に現行のジュラルミンの結晶金属材料に比して引っ張り強度が現状の2倍以上(6
00MPa → 1,500MPa )
・表面平滑性が5倍以上(現状精度±0.005mm→目標精度±0.001mm以下:表面平滑性の向上に
より、加工の粗さが減少し、精度が向上する。
)
・冷却速度が300℃/秒以下で製造可能な金属ガラス材料成分設計の開発
(現状106℃/秒→ 300℃/秒:現在の技術では非晶質金属を製造するには超高速冷却しなけ
ればならないが、材料組織制御により低速冷却でも非晶質な材料創製を可能とする。)
・加工工程が現状の1/2 (粘性流動性の向上によるニアネット複雑成形が可能となり加工
工程が簡略化される。)
(現状:切削加工及び仕上加工が必要→後加工レス)等
<概要>
表3−2
金属ガラスの成形加工技術における研究開発内容
研究開発分類
①材料技術の開発
研究開発項目
・表面平滑性、粘性流動性等をもつ金属ガラスを題材と
して、熱加工後も特性を損なわない組織制御技術
・冷却速度が300℃/秒以下で製造可能な金属ガラス
材料成分設計
②加工技術の開発
・線材、板材及び複雑形状を与える際の熱制御による成
形加工技術
③ネットシェイプ加工技術の ・超精密部品や高感度センサー等の機械部品への適用
開発
<目標達成状況>
(2002年度末実績)
・鉄基金属ガラスは2㎜φ、チタン基金属ガラスは1.5㎜φの鋳造丸棒(冷却速度300℃
/秒)になる合金組成を見出した。
・金属ガラスを用いた最適加工方法を検討、実施。各種課題の抽出を行った。
(2003年度末実績)
・外径6.0mm、内径4.0mmのTi基金属ガラスパイプの作製に成功し、これを用いて
作製したコリオリ流量計で従来比感度6倍を達成した。
・溶湯加圧鍛造法及び新開発の低温蒸着法を用いて試作したNi基及びZr基金属ガラス
圧
力センサで従来比感度2倍以上を達成した。
・Fe基金属ガラスヨーク材を用いたリニアアクチュエータが、特定の駆動条件下で従来の軟
磁性材より大きな推進力を発生できることを確認した。
・直径1.7mmのNi基金属ガラス製超精密歯車を射出成型法により試作し、これを用いた
直径2.4mmのマイクロギヤードモータが高負荷・超寿命であることを確認した。
・Mg基金属ガラスを用いて、電磁振動がガラス化に有用であることを確認した。
<金属ガラス成形加工技術>
(3)
超高温耐熱材料MGCの創製・加工技術
<目的>
7
2005年度までに超高温耐熱材料MGC ( Melt-Growth Composites:液融成長複合材料)
を、工業炉部材、熱電対保護管、高温部材試験用治具、ガスタービン用部材等に適用し、エネ
ルギー効率の飛躍的な向上をもたらす。
<目標>
MGCの耐久性、機械的強度特性、化学反応性等の健全性について明らかにし、MGC材料を
用いて複雑な形状の部品を鋳造できるニアネット鋳造技術を確立する。
指標:
・MGCの創製方法に係る分析データベース(成分構成と対比した耐久性、機械的強度特性、
化学反応性等)
・MGCニアネット鋳造に必要となる知見・データの蓄積度
<概要>
表3−3
超高温耐熱材料MGCの創製・加工技術研究開発における研究開発内容
研究開発分類
①材料技術の開発
②加工技術の開発
研究開発項目
・MGCの耐久性、機械的強度特性、化学反応性等の健
全性の解明
・MGC材料を用いて複雑な形状の部品を鋳造できるニ
アネット鋳造技術を確立
<目標達成状況>
(2002年度末実績)
・YAG系、GAP系の成分において、1700℃で250時間までの組織安定性等に関する
データを取得。
・3次元複雑形状部材鋳造用鋳型の最適成形プロセスに関する知見を蓄積。
(2003年度末実績)
・ YAG系、GAP系の成分において、1500℃で実環境評価試験を行い部材改良に関す
るデータを取得。また、試験片にて1700℃、1000時間までの熱特性データを取得
した。
<超高温耐熱材料MGCの創製・加工技術研究開発>
(4)
シナジーセラミックス
<目的>
2003年度までにセラミックス材料の社会・産業分野におけるより一層の高度かつ広範
なニーズへの適応を図るべく、相反する特性の調和や、種々の機能の同時付与を可能とす
る高次構造制御技術を用いて、現在のレベルを凌駕する革新的な材料特性を持った材料(シ
ナジーセラミックス)の創製技術を確立する。
<目標>
従来セラミックスでは実現できなかった相反する特性の調和(例えば強度と靭性)や種々の機
能の付与による新しいガスタービン用セラミックス材料や長寿命セラミックス摺動材料、環境
浄化材料等の合成技術を開発し、実用化する。
指標:
(ⅰ)定量的指標【現状値】(平成15年7月現在)
8
・1500℃における強度:450MPa
・弾性率:緻密質の1/2
・耐熱性:1300℃、気孔率:40∼90%、かつ平均細孔径:50μm以下の範囲で任意に制御可
能
・比摩耗量:従来材料の1/20以下(5×10-10 mm /N2)
・固体摩耗係数:0.28
・400℃以上の高温環境下での環境汚染物質のNOx転化率
:3%酸素共存下、600℃で90%以上、かつ所要エネルギーを従来技術比約1/3に低減。
(ⅱ)定性的指標
・新規高機能セラミックス材料の創製状況:3次元ネットワーク細孔構造を有するCaZrO/MgO
多孔質複合体の開発。
・耐酸化性、高温ガス耐性等の腐食性を評価する技術の開発。
・潤滑性や耐摩耗性向上を目指した表面修飾技術や表面加工技術の開発等。
<概要>
表3−4
シナジーセラミックス技術研究開発における研究開発内容
研究開発分類
研究開発項目
①高温エネルギー材料技術の ・高耐性耐熱材料技術
開発
・流体透過機能材料技術
②超精密材料技術の開発
・高性能摺動材料技術
・表面修飾技術
・表面加工技術
③高機能能動材料技術の開発 ・選択浄化機能材料技術
・耐食性電気化学セル材料技術
・電力機器用抵抗体等への適用化技術
④先端評価・設計技術の開発 ・破壊予測技術
・部材中の応力分布の解析・評価技術
<目標達成状況>
(2003年度末実績値)
・1500℃における強度
・弾性率
:450MPa
:緻密質の 1/2 以下
・耐熱性:1300℃、気孔率:40∼90%、かつ平均細孔径:50μm以下の範囲で任意に制
御可能
・比摩耗量
:従来材料の 1/20 以下(1×10-10mm2/N)
・固体摩耗係数
:0.28
・400℃以上の高温環境下での環境汚染物質の NOx 転化率
:10%酸素共存下、600℃で 80%以上、エネルギー消費量が現
行触媒技術の 1/2 以下に低減
最終目標に対する各技術の達成度はいずれも95%を越えており、また個別要素技術にお
いては100%達成したものが大半で、全体の達成度も95%と判断される。
<シナジーセラミックス>
9
(5)
マイクロ化学分析・生産システム
<目的>
2005年度までに高機能材料創製に係る実験室レベルでの研究成果をそのまま生産プロセス
に移行することを可能とするマイクロ化学プラント技術及びマイクロ化学チップ技術を開発す
るとともに、これら技術を活用したシステムの早期実用化を図る。また、両技術を統合し、共
通基盤化するために、マイクロ化学技術の体系化を行う。
<目標>
マイクロ化学プラント技術を工業的実生産プロセスへと発展させるための単位操作であるマイ
クロリアクター、マイクロミキサー等を合成化学・化学工学的な観点から開発するとともに単
位操作を集積化した生産プロセス化技術の開発を行う。
マイクロ流体制御技術やそれを実現するチップ加工技術及びそれらを用いた計測分析手法を確
立することにより、計測・分析や化学物質生産に係る時間の大幅短縮と廃液の大幅な削減を目指
す。
指標:
・マイクロ空間内での反応速度制御性分散・混合特性等と拘束空間空間形状サイズの関連性を
明らかにし、マイクロ空間特有の物性を利用した酸化還元反応、有機金属触媒反応等に対す
る装置モデルを開発する。
・計測・分析や化学物質生産に係る時間の大幅短縮と廃液の大幅な削減を目指す
(従来比:大きさ1/100、反応処理時間1/10,000、トータル分析・合成時間1/100)
<概要>
表3−5
マイクロ化学分析・生産システム技術研究開発における研究開発内容
研究開発分類
①マイクロ化学プラント技術
の開発
②マイクロ化学チップ技術の
開発
③マイクロ化学技術の体系化
研究開発項目
・超小型フロー型反応器の開発
・研究開発期間を大幅に短縮させる技術の確立
・計測・流体制御デバイス,モジュールの開発
・システム化技術の確立
・共通基盤技術
・技術の体系化
<目標達成状況>
(2003年度末実績値)
1)微粒子製造用マイクロデバイスを開発し、数10nm∼数μmの均一粒径微粒子製造に成功した。
2)オンチップ熱レンズ測定装置を開発し、従来のラボ分析で用いられている分光高度計に対して
100倍(検出下限値1×10-4(ABS)→8.5×10-7(ABS))高感度を達成した。
3)マイクロチップを用いたアレルギー分析法を開発し、従来法と比べて、測定時間:3時間/
項目→20分/項目、試料量:50μL→2μL測定時間、資料量を約1/10とすることに成功し
た。
4)マイクロ化学プロセス設計や運転・制御を支援し、事業化に活用することのできるネットワ
ークアプリケーションの開発を目的とした協調的データベースの拡充し、シミュレーションモジュ
ールとの融合手法の開発に着手した。
<マイクロ分析・生産システムプロジェクト>
10
(6)
次世代半導体ナノ材料高度評価
<目的>
2005年度までに高性能で低消費電力の半導体に必要となる数十種類にのぼる材料について、
ナノレベルで複雑に影響し合う材料間の相互影響評価手法を確立するとともに、最適材料統合
化(インテグレーション)技術開発等微細ナノ環境下で優れた材料特性を発揮する実用部材を
実現するための技術開発を行う。
<目標>
省エネに必要な銅デュアルダマシン、配線層の多層化(10層程度)に対応した配線材・層間
膜材・絶縁材、バリアメタル、CMPスラリー等の半導体配線形成用材料の材料間相互影響を
解明し、それら材料間相互影響まで評価可能な統合部材開発支援ツールを開発する。開発成果
により消費電力低減をもたらす高性能実用部材(材料セット)を開発する。
指標:
・半導体用の高性能実用部材の実用化
・材料メーカーの開発期間の短縮(開発期間半減)
<概要>
表3−6
次世代半導体ナノ材料高度評価における研究開発内容
研究開発分類
①評価方法の開発
研究開発項目
次世代の微細半導体集積回路での材料−材料間及び材料
−プロセス間の相互影響まで評価できる材料単体での評
価方法の標準化
・低誘電率層間絶縁膜材料
・銅配線CMP 周辺材料
・バッファーコート材料、再配線用絶縁材料、
・アセンブリー工程用ウェーハ加工材料
②統合部材開発支援ツールの ・統合部材開発支援ツール(半導体材料評価専用 TEG(Test
開発
Element Group))の開発
<目標達成状況>
(2003年度実績値)
1) 130nm技術ノード及び90nm技術ノードの1層∼3層のCu配線TEGを試作し、配線
構造、電気特性を評価。
2)試作TEGを用い、それぞれの材料毎に以下の評価を実施。
・low-k材料: 7種類の材料につき電気特性、塗布・成膜状況等
・CMPスラリー: Cu用スラリー4種類、バリア用スラリー2種類の材料につき基
本的な研磨特性(研磨速度、均一性等)
・B/C・再配線材料: 7種類の材料につき塗布・成膜状況等
・B/Gテープ: 4種類の材料につきウェハー研削後のダメージの状況
<次世代半導体ナノ材料高度評価プロジェクト>
②
プログラム中間評価時の達成状況
図3−3にプログラム中間評価時のロジックモデルとプロジェクトの達成状況を示す。
図3−3に示すように本プログラムは6つの研究開発事業で構成され、シナジーセラミックスが
11
H15年度末に終了し、超高温耐熱材料 MGC の創製・加工技術プロジェクトが中間評価を受けた
段階で、他は事業開始より1∼2年の継続事業である。
図3−3中の2点鎖線は、各プロジェクトの中間評価等での進捗状況から、各成果項目の達成状
況を大まかに示した物である。図で示したようにシナジーセラミックスは既に実用展開を図りつつ
ある段階で、順調に進捗している。
また金属ガラス成形加工技術プロジェクトは素材開発がかなり早く進捗している。
MGC プロジェクトでは、NEDO 基盤技術研究促進事業を利用して素材の特性解明を進めている
おり、実用化シナリオ再設定を行ってMGC部材技術やシステム要素技術に研究の力点をシフトし
ている。
他の3事業はほぼ予定通りの進捗であり、施策全体としては計画どおり開発が進んでいるといえ
る。
12
表3−7
中間評価を終えたプロジェクトの評価概要
プロジェクト:MGC超高効率ガスタービンシステム技術研究開発 中間評価(H15/9)
総合評価
エネルギー問題、地球温暖化等の地球環境問題が高まる中でエネルギー合理化に資する超高効率ガス
タービンの開発は社会的必要性の高い研究課題であり、1700 ℃の超高温での使用が期待できる独自
開発の新材料MGC を用いて先端的で挑戦的なガスタービン技術を開発する本プロジェクトは、わ
が国発の未来技術として超高温ガスタービン技術での国際的優位性を確保する上からも重要である。
特に、1700 ℃無冷却タービン用部品製造技術への挑戦は大きな意義がある。
研究開発成果については、中間目標を達成する良好な成果が上がっていると判断され、特に、単純サ
イクルガスタービンの熱効率38 %の見通しが得られたこと、シミュレーション技術を中心にMGC
を用いたガスタービンシステムの実現可能性を示したこと、複雑形状部材の鋳造を可能にする画期的
な技術を開発したことなどは高く評価できる。情勢変化に対応し、研究計画の見直しを行った結果、
5年間プロジェクトに相応しい現実的な目的・目標となった。特に、MGC 部材研究開発に集中した
ことは妥当な判断と言える。
ただし、本ガスタービンの実用化を目指す上で、1700 ℃の温度条件と実機に必要な10000 時間程度
の運転でMGC 部材が物性上、構造上の問題を起こさないか、長時間の燃焼振動に耐えられるかな
ど、今後の開発において早期に成果を上げるべき課題が多い。特に、平成15 年度∼17 年度の研究計
画における個々の研究課題について、どのような業務分担で研究を実施し、その調整や成果、情報の
交換を行っていくかを十分に検討することなど慎重にマネジメントを行い、意欲的に研究を進めてほ
しい。
MGC 材料については、基盤的技術情報の整備に配慮しつつ、実用材料として使いこなすための技
術体系の確立に向け研究開発を持続、発展させることを望む。実用化、事業化の見通しについては、
早期実用化を考えている分野での実現性、市場規模等の見通しが明確には示されていないため、今後
実用化のシナリオの明確化を望む。
今後に対する提言
本プロジェクトの本来の目的は、超高温耐熱MGC 材料の適用による超高効率ガスタービンの実現
であるが、MGC 材料をいきなりガスタービンに適用するのではなく、早期での実用化の可能性の
高い分野で実績を積むことを優先する方針は妥当である。
今後のプロジェクトにおいて、MGC ガスタービン部材の製造技術を完成させるとともに、1700 ℃
レベルの超高温ガスタービンの厳しい環境下においてもMGC がガスタービン部材として信頼性を
有することを実証することが重要である。ただし、こうしたMGC 部材開発研究の成果が超高効率
ガスタービンの実現にどのように生かされるかを明確にした上で、プロジェクトを推進すべきであ
る。また、MGC 材料について、ファインセラミックスや複合材料についての既存の研究データと
比較して特性をまとめることを望む。
一方、MGC 部材技術やシステム要素技術に研究の力点がシフトしたことによって、超高効率ガス
タービンの実機実現のテンポが当初計画より遅れるのは望ましくないことから、ガスタービン実機を
2010 年前後に実現するために、研究内容を、ガスタービンの実機で耐えられる1700 ℃の温度条件と
実機の耐用時間に見合った実験時間で性能チェックをできるよう計画強化をすべきであり、それとと
もに、2010 年までにフィールドテストが終わるよう研究計画を組み直す必要があるとの意見がある。
研究評価委員会報告 中間評価結果反映概要(H16/2:NEDO)
評価のポイント
実用化、事業化の見通しについては、早期実用化を考えている分野での実現性、市場規模等の見通し
検討は行っているが、今後更なる実用化のシナリオの明確化を望む。
反映(対処方針)のポイント
・ 早期実用化を考えている分野(高温試験用治具、熱電対保護管)については実用化の前倒し策な
ども検討した上でシナリオの再設定を行う。
・ 実環境評価試験を優先して実施し、MGC材料に対する水蒸気を含む燃焼ガスの影響を今年度末
を目処に明確化する。
計画を一部修正(実用化シナリオ再設定)−中間評価以後の予算に反映し、削減
13
プロジェクト:シナジーセラミックス 中間評価(H14/3)
総合評価
本研究開発プロジェクトの最終目的は、環境保全・省エネルギー・省資源の社会・産業ニーズに応え
る材料・部材の創製であるが、今回の開発成果はこれら分野における直接的な成果や、産業基盤技術
の強化に大きく貢献するとともに、多様な産業分野への波及効果が期待されるものである。
研究開発のコンセプト・体制は、これまでのセラミックス材料の研究開発に比べ質的に大きく飛躍し
ており、その体制・運営・広報活動等は同様な産学官による研究開発事業のモデルとなりうる優れた
ものである。知的資産・人的資産・研究連携なども大きな成果といえる。
ついては、本研究開発プロジェクトは、更に研究開発を発展させながら、今後も継続すべき重要な国
家事業であると評価する。なお、今後についてはこれまでの評価及び「今後の研究開発の方向等に関
する提言」を尊重して、プロジェクトを推進して行くことを期待する。
今後の研究開発の方向等に関する提言
(1)プロジェクト後半の在り方について
・本プロジェクトは、コンセプト、推進体制、期待される成果とも素晴らしいものがあるので、基本
的には現状の形態を維持しつつ継続・発展させて頂きたい。そのためには将来の実用化を念頭におい
て得られたシーズ技術を更に発展させるとともに、体系的な技術に仕上げることを重視すべきであ
る。
・研究開発は、短期的な視野から見た場合は、実用的な優れた材料を生み出す技術を開発する必要が
あり、コスト及びコスト削減のための可能性の検討や、工業的プロセス確立のための技術開発にも注
力する必要がある。長期的な視野からは、種々のシーズを生み出し、将来の日本独自の材料技術を生
み出す核とする必要がある。
本プロジェクトの場合は、研究開発が後半にさしかかっているので、コストダウンとともに実用技術
としてのブレークダウンを実現し、課題によっては早めに民間企業に実用化研究を委ねるなど、ケー
スバイケースの運用を検討して頂きたい。
また、コスト等の短期的視野を見据えつつ、長期的視野も念頭に置いた種々のシーズを見いだす努力
にも力を注ぐなど、短期的視野と長期的視野をバランスよく進める必要がある。
・「シナジーセラミックス」が適用される可能性のある分野については、現在想定されている部材・
システムについて、適用条件を更に精査して絞りこむ必要があると同時に、適用対象として、エネル
ギー・環境関連以外にも目を向け、「シナジーセラミックス」関連市場を更に広げる試みもあってよ
い。
・具体的に検討すべき課題としては、「個別要素技術に関する評価」に記載された指摘・提言等を踏
まえて、後半の研究開発を進めて頂きたい。
・また、我が国の中小企業の競争力向上と底辺の下支えを図るために、開発成果やノウハウを中小の
メーカーに開示することを望む。広報活動をグローバルに展開する工夫や、開示される側との積極
的な情報交換などを行って欲しい。また、技術普及のために技術的円熟度を高める努力を期待する。
・更に、本プロジェクトの成果を活用して世界の産業をリードしていくために、シナジーセラミック
スの製造プロセスを標準化し、規格を広めることにより、国際的な標準化をリードして頂きたい。
標準化、LCA などでの国際的なイニシアティブをプロジェクトリーダーに期待したい。
(2)プロジェクト終了後の研究開発の方向等について
・本プロジェクトに関しては、完了時までの成果の厚みと広がりを継承・発展させ、より一層の実用
化展開を進めるために、プロジェクト終了後も更に継続的な研究開発を実施することを提言する。最
終段階において本プロジェクトを総括する際は、次フェーズにおける研究開発の方針と課題等につい
ても、併せて検討・提示して頂きたい。
本プロジェクトで得られた基礎研究の成果やシーズ技術をより発展させ、「シナジーセラミックス」
という体系的技術に仕上げ、民間での実用化という大きな花を咲かせることにつなげるために、更な
る段階の研究開発を推進すべきである。
・一般的に材料開発は、基盤的研究の面では出口・コストにとらわれる必要はない。
・シナジーセラミックスという概念を提唱し、材料開発及び実用化を考慮した研究を進める本プロジ
ェクトが、他の国にない独自の研究開発成果を上げたことは、国際競争力の高い次世代産業の芽と成
りうることから、このようなプロジェクトが今後とも増加することを期待したい。
14
・
15
15
16
16
17
17
2)
①
施策目標の妥当性
上位政策との関連
科学技術基本計画(平成13年3月30日閣議決定)「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改
革に関する基本方針」(平成13年6月26日閣議決定)総合科学技術会議「ナノテクノロジー・材
料分野の産業発掘の推進について」(2003/7/23)は国の指針を示すものであり、本プログラムの目
標との関連では、材料分野は重点的研究開発資源配分分野であり、 ナノテクノロジー・材料分野の
5つの産業で創出する 戦略目標とされており、また分析・評価を含むナノ加工・計測の分野は、基
盤となる最も重要な分野と位置付けられている。
<閣議決定等上位の政策決定>
科学技術基本計画、総合科学技術会議等の各方面より部材技術の研究開発を早急に推進すること
が求められている。さらに、「産業発掘戦略−技術革新」( 「経済財政運営と構造改革に関する基
本方針2002 」(2002年6月閣議決定)に基づき2002年12月取りまとめ)のナノテ
クノロジー・材料分野における戦略目標(10年後に、世界市場を主導できる我が国初の企業を
ナノテクノロジー・材料分野の
5つの産業
で創出する。)に対応するものである。
●「科学技術基本計画」
(平成13年3月30日閣議決定)−要約−
第2章重要施策
2.国家的・社会的課題に対応した研究開発の重点化
経済や産業の活性化により持続的に経済発展を遂げていくため、重点化方針としては、我が国が
目指すべき国の姿の実現に向けて必要となる科学技術分野野の中から、知的資産の増大、経済的
効果(新産業・雇用創出)、社会的効果(健康・生活向上)に寄与の大きな、①ライフサイエンス、
②情報通信、③環境、④ナノテクノロジー・材料の4分野に対して、特に重点を置き、優先的に
研究開発資源を配分することとする。
(4)ナノテクノロジー・材料分野
ナノテクノロジー・材料分野は、広範な科学技術分野の飛躍的な発展の基盤を支える重要分野で
あるとともに、特にナノテクノロジーは、21世紀においてあらゆる科学技術の基幹をなすもの
として期待される。
●
「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」
(平成13年6月26日閣議決定)
<新世紀維新が目指すもの−日本経済の再生シナリオ−>
2.構造改革のための7つの改革プログラム
(4)知的資産倍増プログラム
人材大国と科学技術創造立国を実現するために、知的資産を倍増するとの観点から、教育改革を
進めるとともに、ライフサイエンス、情報技術、環境、ナノテクノロジー・材料の④分野への戦
略的重点化を図る。
第1章構造改革と経済活性化
3.経済の再生
社会的ニーズに新しい技術を結びつけるために、市場の整備など社会的イノベーションが必要で
ある。
18
(1)科学技術創造立国・世界最先端のIT国家への足固め
付加価値や経済成長を生み出す最も重要な要素は「知識/知恵」である。21世紀の日本は、科
学技術創造立国及び世界最先端のIT国家を目指さなければならない。
新しいテクノロジーとして、①ライフサイエンス、②情報通信(IT) 、③環境、④ナノテクノ
ロジー・材料の4分野への重点的な研究開発を進める。また、こうしたテクノロジーが潜在的能
力を最大限に生かし、①循環型社会の構築/環境の保全、②高齢化社会への対応、③都市の再生
など、21世紀の日本が真に必要としてる社会的ニーズに応えられるよう、重点的な資源配分が
行われなければならない。
(平成 15 年度
革新的部材産業創出プログラム事前評価書)
本プログラム発足後、2003年7月の総合科学技術会議(第30回)において、ナノテクノロジー・材
料分野の産業発掘の推進においてナノ加工・ナノ計測装置の重要性が取り上げられている。
本プログラムにおいては、これに先行してマイクロ化学分析・生産システム、次世代半導体ナノ材
料高度評価プロジェクトを立ち上げている。
● 総合科学技術会議:ナノテクノロジー・材料分野の産業発掘の推進について(2003/7/23)
第1章 3.ナノ加工・計測の推進 より
ナノテクノロジーの発展において、分析・評価を含むナノ加工・計測の分野は、基盤となる最
も重要な分野であり、情報通信、ライフサイエンス、環境等の分野への波及効果も大きく、最先
端の研究開発と産業の発展に重要なものである。ナノ加工・計測技術なしでは、ナノテクノロジ
ーの発展はないとも言える。ナノ加工・計測技術は、大学、企業等の研究開発機関で研究され、
活用されるものが多い。つまり、研究開発現場での活用が、将来の事業化につながるという特徴
を有している。
しかしながら、ナノ加工・計測装置を研究、開発、事業化する過程において、大学、企業等に
おける研究開発・試作とその製品化の活動がつながっていない。また、大学等の研究開発機関と
企業の間、大企業と中小企業・ベンチャー企業の間及び加工・計測装置メーカーとユーザーとの
間に大きなコミュニケーションの溝が存在している。さらに、個々の装置の市場規模が必ずしも
大きくないため、大企業の経営的視点からも加工・計測装置の製品化はそれほど容易ではない。
この結果、我が国は、要素技術に強みを持つが、製品の使い易さを含む全体としてのシステム
化、用途開発で遅れているとの指摘がある。また、最先端の研究開発に必要な装置の多くを海外
メーカーに依存している分野もある。
ナノ加工・計測装置の事業化・産業化を促すためには、研究者の新しいニーズと装置開発者で
ある企業のシーズ、または、研究者のシーズと企業のニーズを融合させる場が必要である。この
シーズとニーズが出会う場が、大学や企業等の先進ユーザーのニーズに適合した先端装置の研究
開発の促進、その成果の初期市場となる大学、企業等の研究開発機関での活用、最終的には企業
の生産現場への導入というサイクルを促進する場となることが期待される。
あわせて、これらの活動を支える、先端的な研究開発、ナノスケール(ものさし)といった標準
試料の整備、材料データベースの整備、計測手法の国際標準化等を我が国がイニシアティブを取
りながら推進し、あわせて人材の育成を行うことが必要である。
19
②
施策の中における個別事業の妥当性に関する検討
本プログラムは民間需要創出効果と雇用創出効果を施策の目標としており、施策を構成する各事
業はそれぞれこの目標を達成するために、事業毎に個別の民間需要創出効果を掲げている。
表3−8にプログラム達成時点(2010年)における各事業が個別に予想している民間需要創
出効果を示す。
表3−8
プロジェクト名
シナジーセラミックス
精密部材成形用材料創
製・加工プロセス技術
金属ガラス成形加工技
術
次世代半導体ナノ材料
高度評価プロジェクト
各事業の民間需要創出効果
2010年市場規模
雇用規模(人)
(億円/年)
高温エネルギー材料技術
260億円
超精密材料技術
320億円
高機能能動材料
20億円
合計
600億円
(H14度事後評価:ファインセラミックス関連技術開発施策 P54) 多芯光コネクタ
750億円
1,100人
インクジェットプリンタ
2,000億円
2,700人
ノズルヘッド
その他プリンタ
300億円
400人
高精度金型
325億円
640人
高精密マイクロ機器部品製作用金型
1,300億円
2,600人
材料、加工装置
合計
4,675億円
7,440人
(H16年度事前評価書)
合計
5,440億円 28,334人
(H16年度事前評価書)
対象部材
合計
9,300億円 15,000人
マイクロ化学プラント
マイクロ化学分析・生 マイクロ化学を活用した分析装置
産システム
合計
(H15年度事前評価書)
約5,382億円 約8,646人
約2,710億円約10,800人
約8,100億円約19,500人
(H15年度事前評価書)
注)超高温耐熱材料MGCの創製・加工技術研究開発プロジェクトは金額効果を明示していない。
また本プログラムを構成する各事業は大別して、材料プロセス革新技術と、研究・生産システム
技術および部材としての複合評価技術の2つの事業で構成され、材料プロセス革新技術については、
更に金属系 2 事業(精密部材成形用材料創製・加工プロセス技術、金属ガラス成形加工技術)、セ
ラミックス系 2 事業(シナジーセラミックス、超高温耐熱材料MGCの創製加工技術)で構成され
ている。
A)材料プロセス革新技術 (金属系 2 事業、セラミックス系 2 事業)
B)研究・生産システム技術および部材としての複合評価技術
20
A)材料プロセス革新技術のコンセプトはロジックモデル(図3−2)に示したように、図3−4
のようになる。
革新的素材の創製
(素材に関するシーズ)
新規な部品の
創製
素材の特性を活かしたニアネットシェープ加工
加工コストの低減ー素材コストアップの吸収
(加工法・プロセスに関するシーズ・ニーズ)
商品側の部品に対す
る要求特性
(産業界のニーズ)
部材産業の創出
図3−4
材料プロセス革新技術のコンセプト
各事業はその施策効果として、特定の商品向けの新規素材を用いた部品の開発、適用により部材
産業を創出し、それにより生じる経済的効果により我が国の国際競争力を高めることを目的とした
事業である。
また特定産業分野に対する支援(金型産業)の側面もあり、後述の3−2−3でその妥当性を検
証した。
B)の2事業は、マイクロ化学分析・生産システム
次世代半導体ナノ材料高度評価技術で構成
されており、この事業のコンセプトはロジックモデル(図3−2)に示したように、図3−5のよ
うになる。
・材料評価と材料開発の一体化による
材料開発期間の短縮
次世代半導体の開発
研究・生産新ツールの
基盤技術の確立
・計測・分析の高速化、極微量化
・研究開発期間の大幅な短縮に繋がる
研究生産システムの開発
図3−5
化学・分析産業の発展
本事業のコンセプト
本事業は国際的に競争の激しい半導体産業支援、国際競争力の弱い化学・分析産業支援の側面が
あり、国内外の施策の関連動向と比較し、3−2−4で施策の妥当性の観点より分析を行った。
また研究開発シーズの国際競争力、参加企業等の技術ポテンシャルを特許データベースより推定
し、4−4、4−5で施策の有効性の観点より分析を行った。
21
③
産業界より見た施策の妥当性
(1)
金型業界
金型に関する金型業界の現状は図3−6の通りである。(2002,2003 年は機械統計よりの推定値)
金型生産額に関する工業統計によれば、98 年をピークとして、その生産額は減少している。
これは景気後退、製造業の海外進出、アジア周辺国(韓国、中国等)における金型産業の発達等
の影響と思われる。
プレス型
鍛造型
プラスチック型
その他
鋳造型
工業統計合計
2,000,000
1,800,000
金型生産金額(百万円)
1,600,000
1,400,000
1,200,000
1,000,000
800,000
600,000
400,000
200,000
0
1995
図3−6
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
金型の生産額推移(工業統計:経済産業省より)
また表3−9に金型に関する輸出入統計を示すが、海外からの輸入が増加していることが判る。
表3−9
輸出入統計(金額百万円)
プレス、型打ち、押
し抜き用工具
ダイス
輸
出
輸
入
焼結金
ダイアモ
属、サー
ンド
メット
2000
570
784
2001
714
2002
820
2000
2001
2002
金型の輸出入通関統計(財務省統計より)
その他
3,247
5,807
6,536
1,213
1,134
1,312
サーメッ
ト
6,307
2,432
5,175
金属又は金属炭化
ゴム又はプラスチッ
物成形用
ク用
金属鋳造 鋳型ベー 鋳型パ
ガラス成 鉱物性材
用型枠
ターン 射出式、
形用 料成形用 射出式、
ス
その他
その他
その他
圧縮式
圧縮式
95,658
123,989
120,099
3,644
5,205
5,453
1,156
1,084
1,081
373
451
634
872
566
539
537
442
523
918
1,082
1,887
236
228
191
28,171
32,571
35,608
2,511
3,309
4,816
金型業界の事業規模を表3−10に示すが、中小企
業主体の業界であり、生産額の減少、汎用金型の輸入
増加などの苦境を脱するための技術開発力に乏しいと
思われる。
表3−10
金型業界の規模
(出典:日本金型工業会)
22
11,566
12,652
15,123
1,186
1,402
1,577
2,828
3,843
3,764
357
463
521
4,424
4,220
4,157
749
450
288
123,645
124,889
116,598
26,138
27,659
27,442
14,087
12,198
13,636
1,151
1,731
2,477
合計
294,334
325,996
325,020
38,094
42,475
45,236
生産額
事業所の規
事業所数
(百万円)
模
9人以下
8,908
378,762
10∼19
1,294
247,136
20∼29
535
199,627
30∼49
297
X
50∼99
212
260,609
100∼199
59
456,301
200∼299
15
87,561
300人以上
10
X
合計
11,330 1,570,572
図3−7は(社)日本金型工業会が纏めた2001年金型製造業実態<緊急>調査アンケート結
果の一部である。(出典:日本金型協会ホームページ)
74.7
中国
25.3
流出先
韓国
台湾
11.5
タイ
11.1
マレーシア
6.2
アジア
6.0
フィリピン
2.6
シンガポール
2.3
0
20
40
60
80
100
回答%
図3−7−1
金型の発注先が流出したと考えられる国
42.4
借入元金据置
21.3
政府への要望
古い機械買取
35.2
製造原価同等*1
60.8
金型振興政策
45.6
海外流失を止める
0
20
40
60
80
100
回答%
図3−7−2
政府への要望事項
*1:製造原価を構成する工作機械、材料等の内外価格差を日本製品
については同等化して欲しいという要望
図3−7
2001年金型製造業実態<緊急>調査アンケート結果
図3−7より、製造業の海外進出に伴い、金型自体の発注先が進出先のアジア諸国、特に中国、韓
国に流出したと、金型業界は考えている。
本プログラムの中で、精密部材成形用材料創製・加工プロセス技術開発により精密金型開発に関
するプロジェクトが取り上げられているのは、汎用的金型から精密金型への転換を技術的に支援す
るものであり、金型業界のニーズにも沿うもので、妥当である。
23
(2)
セラミックス業界
図3−11はセラミックスに関する公開特許全数の公開件数推移とセラミックス生産額の推移を
示すが、生産額は徐々に増加し、2 兆円に近い産業規模となっている。
(出典:(財)日本ファインセラミックス協会ホームページ)
生産額の内、表3−11に示すように素材の比率は20%程度であり、80%は部品としての生産
額であり、所謂部材産業として成立している。
セラミック素材別の生産額推移(億円)
用途別製品生産額
年度
電気、磁気、
光学
1999
2000
2001
12473
13853
13850
高温-原子
化学-バイオ
力
機械要素
2114
2287
2234
1261
1299
1421
公開特許件数
生産額(億円)
製品生産
内
額合計(億 原料生産額
円)
合計(億円)
その他
1795
1743
1772
55
57
52
17698
19239
19329
3952
4064
3802
セラミックス特許全体
3000
30000
2500
25000
2000
20000
1500
15000
1000
10000
500
5000
0
セラミックス生産額(億円)
表3−11
0
1994
1995
1996
図3−11
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
セラッミックス製品出荷額と特許の推移
これに対し、図3−11に示すようにセラミックス関係の特許の公開件数はここ 10 年間、一貫
して減少しており、民間における技術開発が縮小傾向にあることが推定される。
現状ではセラミックス分野は添付資料に述べるように、特許面からは日本が優位な分野であるが、
技術的に停滞していれば、いずれ海外に逆転される恐れもあり、新しいコンセプトのセラミックス
系事業は必要であり、シナジーセラミックスの研究開発は妥当である。
24
④
国内外の施策の関連動向より見た施策の妥当性
(1)
材料プロセス革新技術
材料プロセス革新技術に関する我が国における最近の国内関連施策、研究開発プロジェクトの状
況を表3−12に示す。
H9
H10
H11
H12
H13
H14
97
98
99
0
1
2
H15
H16
H17
H18
H19
3
4
5
6
7
当該プロジェクト
デジタルマイスタープロジェクト(NEDO)
革新的鋳造シミュレーション技術開発(NEDO)
精密部材成形用材料創
製・加工プロセス技術
環境調和型超微細粒鋼創製基盤技術の開発(NEDO)
自動車軽量化アルミニウム高度加工・形成技術(NEDO)
超微細粒薄板の創製とその自動車への応用(科学技術振興調整費)
強磁場を用いた組織の超微細化による耐熱合金の強靭化(JST:さきがけ)
当該プロジェクト
革新的軽量構造設計製造基盤技術開発(NEDO)
次世代構造部材創製・加工技術開発(NEDO)
金属ガラス成形加工技術
井上過冷金属(JST:ERATO)
金属ガラスの材料科学(科研費)
安定化過冷却液体の大過冷却相変態の利用による
高機能性非平衡金属材料の創製と工業化(科研費)
H6
当該プロジェクト
高効率高温水素分離膜の開発(NEDO)
シナジーセラミックス
セラミックスインテグレーション技術による新機能
材料創製に関する研究(科学技術振興調整費)
当該プロジェクト
超高温耐熱材料MGCの
創製・加工技術研究開発
MGC 材料による新規複合耐熱強度材の開発(科学技術振興調整費)
新世紀耐熱材料プロジェクト(文部科学省)
表3−12
材料プロセス革新技術関連プロジェクトの状況
金属ガラス成形加工技術については、JST:ERATO 井上過冷金属プロジェクトにより、基礎的
冶金開発が行われており、本技術開発はその成果を継承し、実用化を目指すものであり妥当である。
25
(2) 研究生産システム技術
―
マイクロ化学分析・生産システム
マイクロ化学分析・生産システムに関する国内外のプロジェクトの状況を表3−13に示す。
表3−13
マイクロ化学分析・生産システム関連プロジェクトの状況
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
97
98
99
0
1
2
3
4
5
6
7
8
830
高効率マイクロ化学プロセス
1,108
マイクロ化学分析・生産システム
(ドイツ)連邦科学技術省:助成プログラム
化学プロセスマイクロリアクターシステム
(イギリス)コンソーシアム(7大学+企業)
海外動向
分析、合成用マイクロリアクター
(アメリカ)NNI
マイクロマシンプロジェクト
90
バイオ・IT 融合機器開発プロジェクト(NEDO)<F21 >
先進ナノバイオデバイスプロジェクト(NEDO)<F21 >
ナノ微粒子利用スクリーニングプロジェクト(NEDO)<F21 >
次世代化学プロセス技術開発(NEDO)
95
KAST:神奈川科学アカデミー
インテグレーテッド・ケミストリープロジェクト
日本国内
文科省:COEプログラム
ナノ分子工学(早稲田大学)
液相微小空間における単一クラスター計測と反応ダイナミックス(JST:さきがけ)
マイクロチップ集積化による反応・機能制御システムの開発(科研費)
マイクロ・セルプロセッシングのための熱流体高機能プロセス発現機構の創成(科研費)
先端計測分析技術・機器開発プロジェクト(文部科学省)
日本国内においては、1990 年より 10 年間行われたマイクロマシンプロジェクトにおいて、要
素研究としてマイクロ液体操作技術の研究 (日立製作所
担当)が取り上げられ、実施されてい
る。表3−13以外でも各大学、研究所において研究が行われており、また(財)化学技術戦略
機構、(財)マイクロマシンセンターを中心にマイクロリアクターの調査が行われた。
海外においては、ドイツが先導しており、1997 年ドイツ連邦科学技術省が助成プログラム「化
学プロセス用マイクロリアクターシステム」を実施しており、その成果として IMM 社よりは既
にマイクロ流体デバイスが発売されている。
米国ではクリントン政権が 2000 年に発表した NNI(National Nanotechnology Initiative)の
中でナノバイオテクノロジーの関連課題として位置付けられ研究が進められている。
主な研究拠点はオークリッジ研究所、ローレンスリバモア研究所、MIT などである。
26
また、マイクロ分析システムにおいては、DNA 分析などは 1 種のマイクロ化学分析装置であり、
この分野については、特許庁特許マップ(平成 11 年度)
:ゲノム工学・コンビナトリアルケミスト
リーに詳しい。マイクロケミストリーの基礎となるコンビナトリアルケミストリーの分野、ゲノム
工学の分野における特許については、特にアメリカに対し出遅れている。
①コンビナトリアルケミストリー
出典:特許庁ホームページ
特許マップ:ゲノム工学・コンビナトリアルケミストリー
コンビナトリアルケミストリーに関連した技術に対する出願人の国籍別構成を示す。コンビナト
リアルケミストリーの分野では、装置分野でわずかに日本からの出願が認められるだけで、多くは
欧米、特に米国企業の独占状態にある。
コンビナトリアルケミストリーに関連した技術に対する出願人の国籍別構成を示す。コンビナトリ
アルケミストリーの分野では、装置分野でわずかに日本からの出願が認められるだけで、多くは欧
米、特に米国企業の独占状態にある。
② ゲノム工学
出典:特許庁ホームページ
特許マップ:ゲノム工学・コンビナトリアルケミストリー
日本における主要な DNA チップ関連の特許出願は、62 件である。主要な特許出願人を表 1.4.2-1
に示すが、9社中4社が米国企業であり日本企業からの出願は少ない。これは、DNA チップの基
本的な技術を有している企業が米国に集中していることと、外国企業が DNA チップの技術開発に
積極的であるためと思われる。しかし、日本企業の中では、日立製作所の出願が比較的多く、DNA
チップの開発に積極的であることが伺える。
27
表 1.4.2-1 DNA チップの主要出願人(1977∼99 年8月までに公開された出願)
出願人
出願件数
日立製作所
アフィマックス
8
テクノロジーズ (オランダ)
6
アフィメトリックス (米国)
5
モレキュラー・ダイナミックス (米国)
4
ナノゲン (米国)
3
ハイセック (米国)
2
キヤノン
2
日立ソフトウエアエンジニアリング
2
オックスフォード ジーン テクノロジー(イギリス)
2
DNA チップ関係特許の出願件数推移を図 1.4.2-3 に示す。1995 年にピークが見られ、こ
の年の出願は 19 件である。しかし、19 件中、日本国内からの出願は4件のみである。また、
主要な特許出願 62 件中において、外国からの出願件数と、日本国内から出願件数の比較を
図 1.4.2-4 に示すが、日本国内からの出願は 16 件と、約 26%であり、このことからも外国
企業が DNA チップの開発に積極的であることが分かる。
本プロジェクトは有力な装置メーカーと多数の化学メーカーが参画したプロジェクトの企業編
成となっており、本事業の開発成果を活用するユーザー企業が研究開発の初期段階から参入してお
り、早期実用化を狙った効率的な成果の応用展開を図り、海外との遅れを取り戻すことが望まれる。
NEDO においても、基盤技術研究促進事業、産業技術研究助成事業によりバイオ分野へのマイク
28
ロ流体機器の適用促進を図っている。
NEDO
基盤技術研究促進事業(民間基盤技術研究支援制度)
マイクロ化学システム基盤技術の構築 (平成13年度採択実績)
委託先
マイクロ化学技研株式会社
プロジェクトリーダー 渡慶次学
マイクロ化学技研株式会社研究部長
神奈川科学技術アカデミー
ICLプロジェクト副研究室長(兼任)
協力機関
東京大学
研究概要
近年、排気ガス、排煙、食物などの安全性に対する社会的関心が高まってきてお
り、特にダイオキシンや内分泌撹乱物質(環境ホルモン)などの化学物質の問題が
大きくクローズアップされている。こうした問題が取り上げられるようになった
のは、計測分析技術の進歩や、新しい計測分析法の開発に負うところが大きいが、
測定に時間がかかることや、装置が大型であるなどの問題点がある。これらを解
決できる技術として、近年、マイクロチップを用いたマイクロ化学システムが注
目されており、これまでの自社開発の結果、実験室ベースでは極微量分析が可能
なシステムの開発に成功した。本研究では、マイクロ化学システムを産業応用へ
発展させるため、マイクロ化学システムの心臓部であるマイクロ化学チップの製
造技術(高効率ガラス接合技術)を、システム実現のために必須の超高感度検出技
術(ユーザーフレンドリー、かつ小型高性能化)を、さらに応用面として、社会的
ニーズの非常に高い生体関連物質を利用したマイクロバイオ技術を確立する。
NEDO
産業技術研究助成事業
感染症診断用マイクロ流体チップの開発 (平成15年度採択実績)
産業技術総合研究所
プロジェクトリーダー 宮崎 真佐也
研究概要
本研究の最終目標は、医療分野で問題となっているウィルス感染の迅速な検知を
行うためのマイク流体デバイスを開発することにある。すなわち本研究では、
我々の開発したマイクロリアクター製造技術、およびDNA分析技術を組み合わ
せ、臓器移植時の免疫抑制剤投与時あるいはHIV等による免疫力低下時に生じ
るサイトメガロウィルス感染を標的として、血液等から得られるサンプル中ウィ
ルス由来標的遺伝子を迅速に分析するマイクロフローチップを開発する。
国内外の研究開発動向から、マイクロ化学分析・生産システム技術研究開発が取り上げられたの
は、妥当である。
29
(3)部材としての複合評価技術
−
次世代半導体ナノ材料高度評価技術
表3−14に半導体の試験・評価に関連する国内外における研究開発プロジェクトの状況を示す。
表3−14
半導体試験・評価に関するプロジェクトの状況
H9
H10
H11
H12
H13
H14
97
98
99
0
1
2
次世代半導体ナノ材料高
度評価プロジェクト
海外動向
87
H15
H16
H17
H18
H19
H20
3
4
5
6
7
8
1,923
SEMATECH(アメリカ)
MEDEA(欧州)
ASUKA
日本の産学官
プロジェクト
HALCA
MIRAI
次世代半導体デバイスプロセス等基板技術プログラム(NEDO)
次世代半導体材料・プロセス基盤プロジェクト(NEDO)<F21>
半導体アプリケーションチッププロジェクト(NEDO)(F21)
経済産業省
超高密度電子SI 技術(NEDO )
先端的デバイスプロセス装置技術開発(NEDO )
MEMS プローブ半導体検査システムの開発(科学技術振興調整費)
アクティブナノ計測基盤技術の確立(科学技術振興調整費)
文部科学省
先端計測分析技術・機器開発プロジェクト(文部科学省)
半導体産業は日米欧間の国際的に競合の激しい分野であり、更に韓台中に追い上げの激しい分野
でもある。
各国とも産学官挙げた研究開発を行っており、民間主導の ASUKA( 01 開始)、産学官共同の
MIRAI、HALCA のプロジェクトが経済産業省支援の元に行われている。
米国では、国防総省と半導体メーカーが出資し、1987 年 SEMATECH が発足し、更に 1998 年
には外国の半導体メーカーも参加した International
SEMATCH へ発展している。
欧州では 1985 年に EURECA(欧州先端技術共同機構)が発足し、MEDEA は半導体技術の主
要プロジェクトである。更に韓台中においても、積極的に官民一体プロジェクトが進められている。
次世代半導体ナノ材料高度評価技術は半導体関連プロジェクトの一翼をなすものであり、半導体
の材料に注目した本事業は妥当である。
30
⑤
施策を構成する各事業の妥当性に関するまとめ
材料分野は特許で見た国際競争力は全般的に優位な分野であるが、有機化学分野、薬品など国際
競争力の劣る分野も存在する。また材料を適用する部品産業分野においても、製造業の海外進出に
よる産業の空洞化にさらされている分野もある。
新規開発の高機能材料を用い、材料の機能を最大限引き出すために、加工時の特性変化を見込ん
だ材料創製と成形加工の最適化し、高機能(高付加価値)部品創製技術を確立し、また、研究から
製品化までのリードタイムを短縮する研究生産システム技術の開発により、新材料の迅速な産業利
用等を実現することは、我が国製造業の国際競争力を高めるために急務である。
この施策の目的に照らし、本プログラムを構成する各事業の検討結果を表3−15に要約して示
す。
表3−15
施策の妥当性
事業名
施策実施前の状況
施策の取った対応
1.材料プロセ
ス革新技術
①セラミックス ・技術的に停滞状態
・新規技術コンセプトを産学官連携で
系事業
創出
②金属系事業
・金型産業の海外流出
・ 精密部材成形用材料創製・加工プロ
・独自の技術開発を実施し難い中小企業主 セス技術開発プロジェクトの開始
体の業態
・ 新規成形・加工技術シーズを産学官
・金型技術(粉末冶金含む)の停滞
連携で創出
・国際競争力の低い航空機機体製造業
・ 大学発の素材に関するシーズの実
用化展開
2.研究生産
・海外と比較し研究開発体制の立ち遅れ
・産学官連携による集中研体制の構築
システム技術 ・バイオ、有機合成化学への用途開発の遅 ・ユーザー企業の事業開始当初から参
れ
加
3.部材として ・各国とも研究資源を投入している国際競 ・半導体関連施策との連携
の複合評価技術
争の激しい先端分野
・有力企業の事業への結集
・技術ポテンシャルはまだ高い分野
31
4.施策効果
1)
技術的施策効果
添付資料で述べる方法により、施策の効果を検証する。
表4−1に本プログラムの各事業での論文数および特許出願件数を示す。
表4−1
プロジェクト
シナジーセラミックス
精密部材成形用材料創製・加
工プロセス技術
本プログラムの技術的波及効果(論文・特許等)
革新的部材産業創出プログラム成果(共通指標)
論文の被 特許件数 特許権の ライセン 取得ライ 国際標準
年度 論文数
引用件数 出願を含む 実施件数 ス供与数 センス料 への寄与
H6∼
683
0
226
0
0
0
0
H11
H12
187
0
43
0
0
0
0
H13
179
0
42
0
0
0
0
H14
89
0
0
0
0
0
0
H15
113
0
21
0
0
0
0
合計
1251
0
332
0
0
0
0
H14
10
0
0
0
0
0
0
H15
合計
H14
金属ガラス成形加工技術
H15
合計
H13
超高温耐熱材料MGCの創製・ H14
加工技術研究開発
H15
合計
高効率マイクロ化学プロセス(1) H14
マイクロ分析・生産システムプロ
H15
ジェクト
次世代半導体ナノ材料高度評
H15
価プロジェクト
H12
H13
プログラム全体
H14
H15
合計
17
27
20
25
45
1
7
89
97
40
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
8
8
0
8
8
0
0
34
34
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
89
0
34
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
187
180
166
333
1549
0
0
0
0
0
43
42
1
105
417
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
32
2)
セラミックス系事業の技術波及効果および経済的効果
セラミックス系については、事後評価終了または中間評価終了の段階であるので、事業の効果を
纏めて、以下に述べる。
①
技術波及効果
1)論文が与えたインパクト
<シナジーセラミックス>
シナジーセラミックスプロジェクト第 II 期中間評価時点(H13 年 11 月)の実施者報告記載の論
文リスト中の原著論文 389 件より日本語論文、投稿中または印刷中の論文を除外した 222 件につい
て ISI 社データベースにより被引用検索を行った。
解析結果は表4−2に示す。(論文の被引用による評価方法は添付資料 P90∼91 に示す。)
表4−2
シナジーセラミックスの論文の被引用調査結果
投稿先雑誌の種別
論文数
ISI 収録雑誌
ISI に収録されていない雑誌
Science 投稿論文
書誌事項不完全
合計
96
117
1
9
222
投稿先雑誌の
Impact Factor 合
計
124.289
被引用件数
23.872
13.446
161.607
468
34
0
0
502
注)ISI に収録されていない雑誌の大部分は国際学会 Proceeding が主である。
ISI 収録雑誌に投稿された論文について、投稿年度別に年平均被引用数/Impact
Factor 総計
の比(ECR:Expected Citation Rate に相当)を取り、正規化したものを図4−1に示す。
この図より、シナジーセラミックスの国際的注目度は年々向上し、平均では 1.34 であり、国
際的にみて評価の高い研究であったと思われる。
Impact Factor総計
年平均被引用数
年平均被引用数/Impact Factor総計
2
90
1.8
80
1.6
70
1.4
60
1.2
50
1
40
0.8
30
0.6
20
0.4
10
0.2
0
0
1999
図4−1
2000
2001
シナジーセラミックスの論文のインパクト
33
年平均被引用件数/Impact Factor
Impact Factor総計、年平均被引用件数
100
また表に投稿先雑誌の Impact
Factor の平均値の 2 倍程度の年平均被引用を受けた論文をプロ
ジェクトの代表論文として、一覧表として参考資料2の表−1に示す。
<MGC>
本プロジェクトの創出論文は口頭講演主体で、フルレポートも日本語であり、ISI 社の被引用デ
ータベースには収録されていない雑誌への投稿であった。
そのため、本プロジェクトの論文は、JICST の論文検索により、類似の論文を検索した。
その結果 1984 年以降 28 件の論文が検出されたが、その内プロジェクト関係者によるもの
プロジェクト外の著者によるもの
22 件、
6 件であった。
なお検出した論文は一覧表として参考資料2の表−2に示す。
本技術は、論文面で見る限り、殆どプロジェクト外にインパクトを与えていないと思われる。
34
②
特許が与えた産業界へのインパクト
<セラミックス関係プロジェクト全体>
シナジーセラミックス、MGC に共通する技術コンセプトはセラミックスの構造制御である。
この影響を特許マップにより調査した。
図4−2にその結果を示す。
検索は IPDL(特許庁電子図書館)
FI、F ターム検索により実施し、F タームの中に構造制御
に関するタームのあるセラミックスについて実施した。
対象となったセラミックスは炭化物、ホウ化物、ケイ化物+希土類+酸化物であり、これらに関
する特許はセラミックスに関する特許のほぼ2/3を占める。
(セラミックスの特許公開件数全数は図3−8に示したが 94 年以降減少傾向である。)
但し構造制御に関する特許は横ばいであるが、その構成比率は徐々に増加している。
2000
100.0
1800
90.0
1600
80.0
1400
70.0
1200
60.0
1000
50.0
800
40.0
600
30.0
400
20.0
200
10.0
0
構造制御特許比率(%)
公開特許件数
構造制御特許
炭化物基、ほう化物、窒化物、ケイ化物、希土類、亜Cr酸、組成に特徴ある酸化物
構造制御特許の比率(%)
0.0
1994
1995
図4−2
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
セラミックスの構造制御に関する特許の公開件数推移
特許件数が企業の研究活動のバロメータの1つとすれば、企業単独の研究活動が活力を喪失しつ
つある時期に本事業を実施したのは、意義あることと思われる。
またセラミックスの研究活動の方向が、構造制御にシフトしたことも、プロジェクトの影響が窺
える。
35
<シナジーセラミックス>
シナジーセラミックスについて、更にそのコンセプトを用いた特許の公開状況を調査した。
(対象セラミックス)
炭化物、ホウ化物、ケイ化物+希土類+酸化物
検索結果を図4−3に示す。
検索結果より
・ プロジェクト特許は日本で公開された特許のほぼ1/3を占め、プロジェクトの影響が大き
かったことを窺わせる。
(特許出願会社数
142社/(プロジェクト参加企業、団体数13+大学10))
・ 公開特許件数は全体では第1期直後にピークが3年継続し、以降漸減しているが、プロジェ
クト参加企業の特許はそれ程減少していない。
全体
80
プロジェクト
第1期:H6~H10 まで
第2期:H11~H15 まで
70
公開特許件数
60
50
40
30
20
10
0
1994
図4−3
1995
1996
1997
1998
1999
公開年
2000
2001
2002
2003
シナジーセラミックスのコンセプトを持った特許の公開件数推移
36
シナジーセラミックスの適用産業分野を図4−4に示す。
・ 全体の傾向もプロジェクト参加企業の傾向もほとんど同じ傾向であり、自動車関連の排ガス処
理装置への適用以外に電子機器、電気材料分野への適用が盛んである。
・ 固体素子として圧電素子、強誘電体への応用がなされており、電子部材産業への展開が果たさ
れている。
・ プロジェクトが目標としたセラミックス部材の適用産業先が万遍なく含まれており、事業の目
的は達成されていると見なせる。
シナジーセラミックスの適用先
公開件数比率(%)
12.0
10.0
8.0
6.0
4.0
2.0
電子部品
電 子 部 品 /そ の他
固体素子
電子部品
電 子 部 品 /そ の他
通信
固体素子
排気処理
計測
鉄道
蒸 気 機 関 ・ボ イ ラ ー
自動車
内燃機関
精密機械
工 作 機 械 / 切 削 ・研 削
化工機器
機械要素
抵 抗 ・導 電 材 料 ・そ の 他
絶縁材料
電 線 ・ケ ー ブ ル
0.0
公開特許件数比率(%)
プロジェクト創出特許の適用先
37
通信
シナジーセラミックスの適用先産業
計測
蒸 気 機 関 ・ボ イ ラ ー
自動車
内燃機関
工 作 機 械 / 切 削 ・研 削
化工機器
図4−4
機械要素
抵 抗 ・導 電 材 料 ・そ の 他
電 線 ・ケ ー ブ ル
16.0
14.0
12.0
10.0
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
<MGC>
MGCと同様の製造方法(溶融工程を含むもの)によるセラミックスを検索した。その結果を図
4−5に示す。
全体として、1994 年以降 66 件の特許が検出されたが、その内高温、耐熱を目的とする物 15 件、
プロジェクト関係社よりの特許 4 件である。
高温 耐熱
プロジェクト参加企業
溶融工程法全体
16
14
公開特許件数
12
10
8
6
4
2
0
1994
1995
1996
図4−5
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
MGC に関連する特許の公開状況推移
また特許名称より、発明の目的を推定すると、超電導
その他 23 件(名称より用途が推定できない:高温+耐熱
38
25 件、人工骨材等 13 件、耐火材 5 件、
6 件を含む)であった。
③
セラミックス系事業の特許よりみた経済的効果
<施策の経済・社会的効果の指標>
セラミックス系の事業の経済・社会的効果は次のような指標となっている。
シナジーセラミックス(平成14年度事後評価書(平成15年3月))
シナジーセラミックスの研究開発は、対象とする技術領域が広範囲におよび、実用化が想定される
部材や部品の形態も様々である。以下の表4 −5 は現時点で研究開発が進められ、実用化が想定さ
れる部材・部品の範囲内でその市場規模を予測したものである。
当該事業終了1年後の2005 年度は、当然のことながら実用化される部材・部品は少ないが、
その後2010年度にかけて高温エネルギー材料では遮熱材料やセラミックスフィルターで実用化
が進み、また、超精密材料分野でも幅広い分野にまたがって実用化が順次なされ、それに伴い新たな
市場が形成されていくことが予測される。高機能能動材料に関しては、NOX 浄化用セルやイオン
伝導型リアクター、固体電解質燃料電離セルなど、実用化のタイミングは数年遅れ気味となりそうで
あるが、2010年度以降市場は順調に拡大していくことが予測される。
これら部材・部品の市場規模は2010 年度で約600億円、2015年度で約1,500 億円、
2020年度で約2,120 億円、2025 年度で約2,520 億円と予測され、本プログラムは、
これに寄与するものであり、経済への波及効果は大きいと言える。
表4−5 シ ナジーセラミックス市場規模予測(部材・部品) (単位:億円)
年度
高温エネルギー材料技術
超精密材料技術
高機能能動材料
合計
2005
0
20
0
20
2010
260
320
20
600
2015
600
760
140
1500
2020
880
960
280
2120
2025
970
1,050
500
2520
(出典:平成14年度事後評価書 株式会社矢野経済研究所調査(平成15 年1 月))
なお平成16年3月の事後評価時において、2010年における市場規模予測として、超過達成が見込ま
れると表4−6のように報告されている。
表4−6 事後評価(H16年3月)における実施者見通し
事後評価時点の予測
(2010 年)
高温エネルギー材料技術
892 億円
超精密材料技術
41 億円
高機能能動材料
136 億円
合計
1069 億円
39
また以下に示すNEDOの実用化助成事業を活用し、プロジェクト成果の早期実用化を図ってい
る。
株式会社
いすゞ中央研究
所
平成 10∼11 年度
電気化学工業株
式会社
平成 10∼11 年度
省エネルギー型コージ
ェネレーション及び自動
車エンジン用ピストンリ
ングの実用化技術の開
発
金属粉末を原料とする
高熱伝導化アルミニウ
ム焼結体及び粉末の製
造技術の開発
平成 6 年度から平成 10 年度に実施したシナジーセラミックスの技
術開発に係わる委託研究の成果である低摩擦・高強度セラミック
スのエンジン部材への実用化を図るため、材料の部品化技術、低
コスト 製造技術など、工業製品に求められる技術を開発する。
平成 6 年度∼平成 10 年度に実施した「シナジーセラミックスの研
究開発」委託の成果である窒化アルミニウム焼結体及び窒化ア
ルミニウム粉末の製造法(特許出願番号:特願平8−232590、
USP5,837,633)と高熱伝導窒化アルミニウム焼結体の製造
方法(特許出願番号:特願平10−358913)を使用して、金属ア
ルミニウム粉の低温加圧窒化技術、および金属アルミニウムから
の窒化アルミニウム 焼結体製造技術の実用化技術開発を行う。
MGC
具体的な数値目標は無く、以下を目標としている。(平成16年度事前評価書)
航空機産業関連技術開発はその技術波及効果が他産業に比して極めて高く、当該分野において政策
資源を投入し技術開発力を強化することは、我が国産業技術水準の向上に効果大。
また、実用化・事業化の見通しについては、MGC部材の優れた耐熱特性をユーザに知ってもらう
ために、まずリスクの小さい高温機器耐熱部品へ適用し、事業終了後数年以内に実用化を図る。MG
Cガスタービンシステムについては、MGC適用ガスタービンの実用化に向けた実証が必要。
各事業はそれぞれ最終段階に到達しており、特許面からそれぞれのプロジェクトが目指した技術
がアウトプットからアウトカムに到る可能性があるかどうか調査した。
40
<特許からのセラミックス関係プロジェクトのアウトカムの推定>
シナジーセラミックス、MGC プロジェクトが想定した商品への適用状況について、その代表に
ついて、商品特許の公開状況より推定した。
対象とした商品は次の通りである。
シナジーセラミックス
・センサー(高機能能動材料)
・排ガス処理装置(高温エネルギー材料)
・ガスタービン翼へのセラミックス被覆(高温エネルギー材料)
MGC
・ガスタービン翼へのセラミックスの適用
A)センサーへのセラミックスの適用
図4−6に示すように、セラミックスをセンサー(主としてガスセンサ)に適用する特許は
年々増加しており、シナジーセラミックスの成果を活用したこの分野でのアウトカムが期待でき
る。
80
70
公開特許件数
60
50
40
30
20
10
0
1993
1994
図4−6
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
セラミックスのセンサーへの適用特許の公開状況推移
B)内燃機関の排ガス処理装置へのセラミックスの適用
図4−7に特許公開状況の推移を示すが、2001 年以降急増しており、これは東京都が 2003 年末
41
に実施したディーゼル排気ガス中の PM 規制への対応を図ったものではあるが、本プロジェクトの
影響も含め、セラミックス業界の技術的ポテンシャルが高かった効果であり、プログラムとして経
済・社会的成果が大きかったものと思われる。
160
140
公開特許件数
120
100
80
60
40
20
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003
図4−7
セラミックスの排ガス処理装置への適用に関する特許公開状況の推移
また図4−8に自動車用排ガス処理装置に用いられる材料に関する特許の構成率を示すが、セラ
ミックスがその50%以上を占めている。
有機・無機併用
1%
有機物
13%
金属
23%
炭素
3%
ガラス
3%
セラミックス
57%
図4−8
排ガス処理装置に用いられる材料の構成率
42
C)ガスタービンへの適用
図4−9にガスタービンブレードへの遮熱のための被覆に関する特許の公開状況を示す。
被覆に関する特許の数は少ないが、年々増加しており、新規技術の実現可能性は高いと思われる。
被覆
セラミック被覆
25
公開特許件数
20
15
10
5
0
1993
図4−9
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
ガスタービンブレードへの遮熱のための被覆に関する特許公開状況
ガスタービンブレードに用いられる材料に関する特許の公開状況を図4−10に示す。全体とし
ては大きく増加しているが、材料としては依然金属材料が主流であり、その構成比率は漸増してい
る。セラミックス製ブレードに関する特許は増加はしているものの、その構成比率は漸減傾向であ
り、これらからすると、ガスタービンブレードへセラミックスを適用するのはまだかなり先のこと
と予想される。
セラミックス
複合材料
セラミックス比率
金属比率
80
70
70
60
60
50
50
40
40
30
30
20
20
10
10
0
出
願
%
比
率
0
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
公開年
図4−10
ガスタービンブレードに用いられる素材に関する特許公開状況
43
︶
80
︵
公開特許件数
金属
以上の特許公開状況の解析から、シナジーセラミックスはその経済的効果は達成可能と想定でき
る。
MGCについては、その主たる適用先であるガスタービンにおいて、まだ金属を上回るレベルに
到達しておらず、経済的波及効果が現れるまでのは時間がかかるものと考えられる。
④
セラミックス系事業の技術的波及効果、経済・社会的効果に関するまとめ
A) 技術的波及効果
2事業に共通するセラミックスの構造制御に関するコンセプトは広まっており、施策の効果と
思える。
・シナジーセラミックスについては、論文の被引用解析によれば世界的に見て、評価の高い研
究であったと思える。
・MGC については、論文、特許から見て、技術的波及効果が発展途上である研究と思える。
B)適用産業分野
シナジーセラミックスについては、想定している産業分野全てに適用が見込まれており、有効
な研究開発と言える。
C)経済・社会的効果
・シナジーセラミックスについては、事後評価時点での実施者見込みでは 2010 年に想定した
経済的効果を超過して達成する見込みであり、特許の公開状況から代表例を調査した結果も
傾向としては、裏付けられている。
44
3)金属系事業の技術的波及効果および経済的効果
ナノテクノロジー・材料分野産業発掘戦略 (総合科学技術会議(2002/12/5))によれば
グローバルな市場における時間的な戦いと言う色合いが濃くなっている。上記目標を達成するた
めには、これからの3∼5 年に産業として芽を出していくことが必要不可欠である。 と位置付け
られており、ニーズとシーズのマッチングが施策の有効性・効率性を達成するには必須である。
金属系については、研究開発の初期段階であり、研究開発のシーズ、ニーズの両面を特許データ
ベース等より調査した。
対象としたシーズ、ニーズは表4−7に示す。
表4−7
プロジェクト名
調査対象のシーズおよびニーズ
材料面のシーズ
精密部材成形用材料創製・ ・非鉄金属微細粒
加工プロセス技術
金属ガラス成形加工技術
・金属ガラス
45
加工方法のシーズ・ニ 部材・最終商品に対す
ーズ
るニーズ(代表例)
・金型による
・多芯光コネクタ
プレス、型押し
・インクジェットノズル
・金型製造
ヘッド
・高精度金型
・ 溶解・鋳造
・ 精密機械部品
・ 鋳造後の金型内冷 ・ スプリング部材
却
・ 航空機構造部材
・ 粘性流動加工
・ 高精度計測機器部
材
①
材料開発
(1)精密部材成形用材料創製・加工プロセス技術
本プロジェクトが目標とする新規材料は高易加工性金属系新材料の開発であり、近年の微細結晶
材料研究の結果、数ナノメートルの適正な微細結晶粒径制御と緻密な組成制御を実現することによ
り、高強度、高靱性等を有し、かつ微細成形を可能とする高易加工性を発現する材料を創製するこ
とである。
より具体的には、微細粒非鉄金属系素材であり、その開発傾向を IPDL と PATOLIS により調査した。
表4−8は IPDL で検索した新しい冶金原理別の 94年以降の公開特許件数である。
表4−8
冶金原理別公開特許の件数
微細粒
ナノ結晶
マイクロアロイ
ナノ析出物
マイクロ合金
検索キーワード
高純度
組織制御
析出物制御
微量合金
微細粒子析出
微量添加
冶金原理
微細粒
マイクロアロイ
高純度
組織制御
ナノ析出物制御
鉄冶金
150
55
117
73
1
非鉄合金
70
29
239
17
1
合計
220
84
356
90
2
注)高純度:冶金的には不純物を除去し、純度を上げると従来とは異なる優れた特性が得られる。
しかし、キーワード検索の場合、そこまで厳密な検索はできず、かなり誤差が含まれている。
表4−8より微細粒結晶組織により強度を主とした金属の特性を向上させる技術は新しい冶金原
理の応用として関心が高く、過去のプロジェクト(スーパーメタル(H9∼13)、環境調和型超微細粒
鋼創製基盤技術開発(H14∼18))の影響により、かなり開発が進められている事がわかる。
金属ガラスも見方によっては、微細粒金属ではあるが、特許分類上はアモルファス金属に分類さ
れており、上記の表には含んでいない。
微細粒非鉄合金の製法
鍛造、プレス
6%
微細粒を実現するための加工方法に関
金属粉の加工
9%
する解析結果を図4−11に示すが、微
細粒を達成する主要な技術は既に研究が
進んでいるようである。
溶融による
18%
加工による構造
変化
67%
図4−11
46
微細粒金属の製造方法
図4−12には微細粒非鉄金属の基材を示すが、銅、アルミニウムを主体に多くの微細粒非鉄金
属の技術開発がなされている。
微細粒非鉄合金の基材
金属水素化物 鉛
1%
1%
各成分が50%
未満
2%
亜鉛
2%
銅
24%
Mg
10%
チタン
10%
アルミ
35%
図4−12
Mo Tw Nb Ta
Ti Zr
1%
銀 Mn
1% 1%
NiまたはCo
12%
微細粒非鉄金属の基材
47
(2)金属ガラス成形加工技術
バルク・金属ガラスに関する特許公開状況を図4−13に示すが、H4 年より公開件数が増加し
ており、またこの中で本プロジェクトのリーダーである東北大学
井上教授の関与した特許の比率
は30%を占めており、JST:ERATO 井上過冷却プロジェクトの影響が窺える。また海外出願は
98 年頃より出始め米国が11件、韓国 1 件で全体の10%程度であり、まだ日本優位の技術である。
本プロジェクトは、JST:ERATO 井上過冷却プロジェクトを継承し、機械要素への適用を図る
ものである。
国内出願
外国出願
PLが関係した特許
25
公開、公表特許件数
20
15
10
5
0
平2
平3
平4
平5
図4−13
平6
平7
平8
平9
平10
平11
平12
バルク金属ガラスの特許の公開推移
48
平13
平14
平15
②
新素材の適用産業分野
微細粒非鉄金属、金属ガラスともその適用産業分野は図4−14に示すように、現状では素材の
電磁気的特性を活かした電子部品、磁性材料など殆どが電子・電気産業向けであり、微細粒非鉄金
属、金属ガラスの高強度特性を活用した機械要素への適用を図った開発は進んでいないようである。
従って、これら新規素材を機械部品に適用した場合、新規な機能・特性を持った部材が創出され
ることとなり、後進国の追い上げを許さず、我が国の国際競争力向上に寄与すると思われ、施策の
目標を達成する上で有効な開発となる。
微細粒 非鉄合金の適用産業分野
16.0
13.7
14.0
12.6
12.0
11.0
11.0
9.9
10.0
7.7
8.0
6.0
6.0
4.4
3.3
4.0
2.0
7.7
2.2
1.1
3.3
2.7
2.2
1.1
その他
その他電子
基本電子回路
固体素子
電子部品
磁性材料
材料その他
水素吸蔵合金
精密機械
工作機械
化工機器
機械要素
その他
自動車
内燃機
ボイラー
0.0
金属ガラスの適用産業分野
30.0
27.4
26.5
公開特許件数比率(%)
25.0
20.0
15.0
9.4
10.0
5.0
2.6
2.6
2.6
4.3
1.7
0.9
49
測定
微細粒非鉄金属、金属ガラスの現状での適用産業分野
記憶装置
入出力装置
通 信 /そ の他
変電
発 電 ・電 動
電子応用機器
固体素子
電子部品
磁性材料
図4−14
5.1
4.3
工作機械
雑貨
0.0
2.6
なお微細粒非鉄金属の主な適用先は以下の通りである。
自動車関連:14件
Al:12 件(主として自動車構造材)
水素吸蔵合金:23 件
Ni/Co:13 件
電子部材関連:47 件
Cu:11 件(主として配線材料) Ni/Co:16 件(主に磁性材料)
Mg:7 件
Sn、Zn、Pb:9件(主として半田、鉛蓄電池)
50
③
素材の加工方法
(1) 金型(精密部材成形用材料創製・加工プロセス技術)
2つのプロジェクトともニアネットシェープ加工による大幅な加工工数の削減を図れる加工法を
目指しており、共通する加工法は加工温度域に大きな差はあるものの、金型による型押しである。
図4−15に金属のプレス金型(押型含む)の公開特許全数及び構造・製法に関する特許の推移
を示すが、最近 10 年では殆ど横ばいである。
金型全体
材質・構造・製造
300
250
公開特許件数
200
150
100
50
0
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
プレス金型
8%
分割金型
5%
材質・構造・製造
25%
金型交換
23%
潤滑
5%
金型・加熱冷却
4%
金型取付
15%
ダイセット
6%
図4−15
カム型
9%
金型に関する特許公開状況
51
2002
2003
また図4−16に金型の材質、非鉄金属超硬物質の使用方法に関する特許の最近 10 年間での公開
動向を示すが、基材としては鉄系が主体であり、また超硬物質による表面処理が盛んに行われてお
り、精密金型(高級金型)に関するニーズのあることが判る。
普通金型については、表3−9、図3−7に示したように海外、特に韓国、中国に追い上げられ
ており、本研究開発は図3−7に示すように、金型振興政策を求める金型業界のニーズにも沿うも
のである。
金型の材質
その他
19%
鉄系
35%
その他金属以外
15%
非鉄合金
15%
非鉄金属超硬物質
16%
注1) その他金属以外:樹脂、ゴム、木質系など
注2) その他:DLC、メッキ、窒化、セラミックスなどの被覆
非鉄金属超硬物質の使用方法
熱処理
6%
焼結
27%
その他
28%
表面処理
39%
図4−16
金型への超硬合金の適用状況
52
図4−17は超硬合金を金型に適用する特許の公開状況を示したもので、2000 年以降開発が停滞
していることが窺える。
20
18
16
公開特許件数
14
12
10
8
6
4
2
0
1999
2001
2003
1999
2001
2003
1997
1995
1993
1991
1989
1987
1985
1983
1981
1979
1977
1975
1973
図4−17
金型への超硬合金の適用特許の公開状況
図4−18は金型に関する粉末冶金の特許の公開状況を示したものである。
国内
海外
30
公開、公表特許件数
25
20
15
10
5
0
1997
1995
1993
1991
1989
1987
1985
1983
1981
1979
1977
1975
1973
図4−18
粉末冶金の金型への適用特許の公開状況
本プロジェクトは超硬金属を用い、超平滑な金型とそれを可能とする材料の開発を狙っており、
技術的に停滞状況にあると思える金型産業に新たな技術シーズを提供すること目指している。
53
(2)鋳造技術(金属ガラス成形加工技術)
1)
連続鋳造
本プロジェクトでは、金属ガラスを製造する必要上、溶融金属を直接薄板に鋳造するプロセスを
目指し、2 枚の冷却された銅板間に溶融金属を流し込み、薄板を鋳造する技術を実施している。
上記技術により、従来の技術であるインゴットを鋳造し、分塊圧延、熱間圧延する3工程が省略
でき、大きなコストダウンの達成と同時に、高強度金属ガラス展伸材の製造を目指している。
2)
鋳造中の鋳型の冷却
バルク材金属ガラスの鋳造については、一方向凝固を主体とした鋳造中に鋳型を冷却する技術を
応用して開発が進められている。
図4−19は IPDL により溶融または延性状態にある鋳型中の金属の処理
温度(加熱・冷却に
よる)に関する特許につき、冷却をキーワードとして検索した結果を示す。
図中金属ガラスとあるのは、鋳造対象が金属ガラスであるものを示し、2003 年の 1 件の外国特
許を除外し、残り 22 件は本プロジェクトのリーダーである井上教授が関与した特許であり、大学
発の技術シーズの実用化を目指すものである。
国内
海外
金属ガラス
50
45
公開、公表特許件数
40
35
30
25
20
15
10
5
0
1993
図4−19
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
溶融または延性状態にある鋳型中の金属の冷却に関する特許の公開状況
(3)素材の加工方法についてのまとめ
・精密金型については、新規な開発は停滞気味であり、本研究開発により新たな技術シーズの創
出が期待されている。
・金属ガラスのバルク材の鋳造に関しては、本プロジェクトのリーダーである井上教授の研究に
より、シーズが創出されており、その実用展開を本プロジェクトで図っている。
54
④
部材適用先の商品の動向
(1) 精密部材成形用材料創製・加工プロセス技術
本プロジェクトは18億円(平成18年度までの事業総額)の事業により、2010年に表4−9
に示す市場規模を想定している。
表4−9
精密部材成形用材料創製・加工プロセス技術の想定マーケット
多芯光コネクタ
インクジェットプリンタノ
ズルヘッド、
その他プリンタ
高精度金型
高精密マイクロ機器部品製
作用金型材料、加工装置
合計
市場規模(億円/年)
2010年
700億円
雇用規模(人)
2010年
1,100人
2,000億円
2,700人
300億円
325億円
400人
640人
1,300億円
2,600人
4,675億円
7,440人
これらの適用先商品の動向を特許の公開状況から推定する。
<光コネクタ>
光コネクタに関する特許の公開状況を図4−20に示す。
光コネクタ全体の特許はここ 10 年間一環して増加しており、この中でスリーブにより光ファイ
バーの位置決めを行う技術も同様に増加しており、精密加工によりスリーブを製造するニーズ
は根強いと思われる。
ライトガイドの光学的・機械的結合
80
800
70
700
60
600
50
500
40
400
30
300
20
200
10
100
0
0
1994
1995
1996
図4−20
1997
1998
1999
2000
2001
光コネクタに関する特許公開状況
55
2002
2003
ライトガイドの結合全体公開特許件数
スリーブによる物
スリーブによる物
<インクジェットヘッド>
インクジェットヘッド製造に関する特許の状況を図4−21に示す。
ヘッドの製造方法全体の特許は毎年 700 件程度と極めて多数の特許が公開されており、ニーズ
は大きい。
またその加工方法はインク流路形成のためのエッチング、レーザ加工などを含んだ複雑な多
工程加工法が主体であり、切削、切断等の機械的加工法は図4−25に示すように18%と少
数である。
微細な型形成が可能なニアネットシェープ加工(最終製品形状に近い形で仕上げる加工)が
本プロジェクトにより開発されれば、製造コストの大幅な低減が可能となる。
ヘッドの製造方法全体
機械的加工法
900
800
700
公開特許件数
600
500
400
300
200
100
0
1997
1998
1999
樹脂成形法
14%
2000
ガラス加熱成形
0%
2001
2002
機械的方法
18%
電鋳法
7%
溶解・除去
3%
レーザ加工
19%
エッチング
39%
図4−21
インクジェットヘッドに関する特許公開状況
56
2003
(2)金属ガラス成形加工技術
本プロジェクトは23億円(平成14年度から平成18年度まで予定総額)の事業により、表3−
8のような大きな需要を想定している。
<マイクロマシン>
マイクロマシンに関する国際特許分類コードは 2000 年に制定されたので、それ以降の特許につ
いて解析を行った。
図4−22はマイクロマシン(B81B、B81C)に関する特許の公開、公表状況を示す。
図より海外よりの出願率が 33%と極めて国際競争の激しい分野であることがわかる。
海外
海外出願率(%)
600
60.0
500
50.0
400
40.0
300
30.0
200
20.0
100
10.0
0
海外出願率(%)
公開、公表特許件数
国内
0.0
2000
図4−22
2001
2002
2003
マイクロマシンに関する特許の公開状況
この特許の機械要素(F セクション)への適用状況を図4−23に示すが、流体関係機器への適
用が多いことが判る。これはマイクロ化学関連機器およびインクジェット関連機器がここに分類
されているためである。
57
内燃機関
2%
伝動装置
3%
管
1%
軸
1%
熱機器
4%
流体機器
8%
バネ
0%
その他
0%
ポンプ
42%
その他原動機
10%
バルブ
29%
図4−23
マイクロマシンの機械要素への適用状況
また図4−24にはこれらマイクロマシンの成形方法(B セクション)を解析した結果を示す。
図より現状ではマイクロマシンの成形方法はリソグラフを応用した技術、樹脂を用いた成形、光
造形法およびレーザを利用した微細加工が主流となっていることが判る。
鋳造を利用する方法は現在のところ見当たらない。
機械加工 その他金属加工
4%
1%
研削・研磨
9%
組立
5%
リソグラフ
放電・電解加工
19%
4%
その他
2%
積層体
5%
プラスチック成形用
型
8%
光造形
レーザ加工
25%
5%
その他プラスチック
成形
6%
その他溶接
7%
z
図4−24
マイクロマシンの成形方法
遊星歯車機構
精密機械部品(マイクロマシン等)の代表部品として遊星歯車機構の金属ガラスを用いた一体鋳
58
造を取り上げている。
現在、実用的な遊星歯車機構としては、図4−25に示すような精密機械加工で作られた直
径 1.9mm のものが世界最小クラスであり、これ以上の小型化は困難とされている。これは機械
加工および部品組立てが小型化の限界に達しているためである。例えば、この中の太陽キャリ
アは、太陽歯車、キャリアプレートおよび 3 本のピンを別個に加工して顕微鏡下で組立ててい
る。金属ガラスを用いれば、この太陽キャリアが一体鋳造で作製できる可能性があり、更なる
小型化と低コスト化が期待できる。
全体組立状態
図4−25
太陽キャリア
超小型遊星歯車機構(出典:㈱並木精密宝石資料)
遊星歯車機構に関する特許の公開状況を図4−26に示す。
ここでロボットなどはロボット、工作機械、精密機械を含んでいる。
公開公表件数
遊星機構
ロボットなど
200
180
160
公開、公表特許件数
140
120
100
80
60
40
20
0
1994
1995
1996
1997
図4−26
1998
1999
2000
2001
遊星歯車機構に関する特許公開状況
59
2002
2003
図4−27には適用先の構成率を示すが、主体は自動車、輸送機器であり、金属ガラスにより製
造可能な小型歯車装置が必要とされるロボット、精密機械、事務機、電気機器などは14%であ
る。
物流機器、起重機
1%
その他
5%
ロボット、精密機械、
工作機械
9%
事務機器、電気機器
5%
船舶、航空機
3%
図4−27
作業車
19%
遊星歯車機構の適用先
バイク、自転車
7%
60
自動車
51%
歯車の材料に関する特許の公開状況を図4−28に示す。
98 年以降増加しているが、数としてはそれ程多くなく、また適用されている素材は主として樹
脂または樹脂をコーティングする特許で、対象となっている商品は電気製品が主である。
(2003 年の特許の内、金属バネ:2 件、樹脂、樹脂コート:21 件、その他:2 件)
30
歯車特許の公開件数
25
20
15
10
5
0
1997
1998
1999
図4−28
2000
2001
2002
2003
歯車材質に関する特許の公開状況
本プロジェクトでは、金属ガラスの鋳造のままで精密部品の形成が可能な特性を活かし、マイク
ロマシンの構成要素部品へ適用し、それにより 2010 年度において約 1,500 億円の市場創出をめざ
している。その代表例として、金属ガラスを用い、一体精密鋳造による遊星歯車製造技術を開発し
ている。
しかし、特許面を見ると、歯車材質に関するものが近年増加が著しいが、殆どが樹脂または樹脂
コートである。これは、樹脂は一体射出成形による小型化が可能なためと考えられるが、一方で強
度が弱いため実用性に乏しく市場ニーズは小さい。しかし、金属ガラスによる超小型歯車の一体精
密鋳造が実用化できれば、ロボット等精密機械市場への応用が大きく拡大できるものと思われる。
本技術開発(遊星歯車の一体精密鋳造)はデモ的開発であり、金属ガラスによる一体精密鋳造の
適用先を早期に開発するには、商品製造企業への成果の早期発信により、ニーズの発掘を促進する
必要があると思われる。
61
<自動車エンジンバルブ用バネ>
自動車エンジンバルブ用バネは自動車会社にとって最重要保安部品であり、廃車となるまで破
損することが許されない極めて厳しい部品のひとつである。
この分野において神戸製鋼は世界シェアの6割を占め他社の追随を許さぬ圧倒的シェアを世界
的に持っている。
本プロジェクトにも神戸製鋼が参画しているが、部品の性格上自動車会社における実機実証試
験を行わなければ、採用とならないであろう。
またその際、現状の神戸製鋼におけるバネ鋼製造コストとの比較が重要となる。
自動車エンジン用バネに関する特許の公開状況を図4−29に示すが、出願傾向としてそれ程
活発に研究がなされているとは推定できず、また金属系バネに関する関心もそれ程大きくない。
自動車エンジン用ばね
金属製
70
60
50
40
30
20
10
0
1997
1998
1999
2000
2001
2002
その他
4%
異種材組合せ
3%
金属
37%
ゴム
45%
プラスチック
11%
図4−29
バネに関する特許の公開状況
62
2003
⑤
金属系プロジェクトの技術的波及効果および経済的効果に関するまとめ
現状ではこのような新規な素材の適用が考えられていなかった産業分野の部品への適用を図
っており、新規な機能・特性を持った部材が創出されることとなり、後進国の追い上げを許さず、
我が国の国際競争力向上に寄与すると思われ、施策の目標を達成する上で有効な開発となる。
金型分野では海外、特に韓国、中国に追い上げられており、本研究開発はニアネットシェープ
加工による大幅な加工工数の削減を図れる加工法を目指しており金型業界の競争力強化に資す
るものである。
金型に関し、超硬合金を適用する技術はここ数年停滞気味であり、本施策により新規な技術シ
ーズを産業界に提供することを目指している。
部品開発から実商品への適用に関し、シナリオがまだクリアーではないように見える。
63
4)
マイクロ化学分析・生産システム
図4−30にマイクロ流体機器に関する特許の出願人別の特許公開状況を示す。
図より、マイクロ流体要素機器(バルブ、ポンプ等)の外国からの特許は日本特許のほぼ 30%程
度であるが、マイクロリアクター(熱交換器、混合・分離装置等)の外国からの特許は日本特許の
60%となっている。
日本への海外からの出願は全体平均では 10%程度であり、マイクロ化学の分野においては、海外
からの出願がかなりの高率になっており、海外が優位となっている。
要素(海外)
要素(日本)
リアクタ(海外)
リアクタ(日本)
160
140
公開特許件数
120
100
80
60
40
20
0
1997
1998
図4−30
1999
2000
公開年
2001
2002
2003
マイクロ化学特許の出願人別公開状況
図4−31には日本人特許の出願人
別の件数比率を示す。
図より、マイクロ化学については、
公的研究機関、
大学 6%
機器メーカーの出願が 86%と大部
分を占め、化学メーカーは 5%とま
だ少数である。
また大学、国研、個人(大学人も含
化学会社等
4%
PJ参加
化学会社等
1%
むと思われる)は9%であり、装置
PJ参加
機器メーカー
15%
そのものに関するシーズの蓄積はま
だ進んでいないようである。
個人
3%
機器メーカー
71%
またプロジェクト参加企業の出願は
16%である。
図4−31
64
日本特許の出願人別比率
表4−10に日本、海外の出願人上位 10 社を示す。
表4−10
出願人(日本)
松下電工 (株)
セイコ−エプソン (株)
リコ−:(株)
日立製作所:(株)
川村理化学研究所:(財)
富士写真フイルム (株)
ミノルタ (株)
産業技術総合研究所:(政)
東芝:(株)
カシオ計算機 (株)
出願人別公開特許件数
件数
出願人(海外)
メルク パテント GMBH
フラウンホ−フア− G
ゼロツクス CORP
ウエストンブリツジ INTERN LTD
三星電子 (株)
ユイロス AB
イ−ストマン コダツク CO
カリフオルニア INST オブ テクノロジ−
クラリアント GMBH
クラリアント INTERN LTD
38
31
27
21
19
16
12
12
7
7
件数
18
8
6
5
5
3
2
2
2
2
海外出願 142 件の内訳は出願人の名称より判断し、大学、研究所 23 件、バイオ関連企業 8 社、
化学・薬品 26 件、電子機器 32 件、その他不明 53 件であり、日本の出願人分布と比較するとユー
ザー企業の出願が多いことが目立ち、既に実用化展開が図られていることが窺える。
また図4−32には出願人別の特許の適用分野を示す。
海外企業と日本企業の特許の適用分野において特長的なことは、海外企業においては高分子化合
物、有機化合物、薬品への適用例が日本企業より多く、日本企業ではインクジェットが多いことで
ある。またマイクロ化学要素についても、リアクター関係の出願については海外企業の比率が高い。
以上の動向から推定すると、本プロジェクトにはユーザー企業が複数参加していることから、そ
の成果は早期の実用展開が見込まれ、その分野も有機化学分野、バイオ分野、分析・計測システム
分野への適用が想定される。
日本
外国
18.0
公開特許件数比率(%)
16.0
14.0
12.0
10.0
8.0
6.0
4.0
2.0
図4−32
出願人別マイクロ化学関連特許の適用分野
65
測定
試 験 ・検 査
マイクロ化学要
写 真 ・映 画
その他応用
固体電子素子
事 務 機 イ ンク ジ ェ ット
工 業 用 ロボ ット
金属表面処理
工学装置
機械要素
機 構 ・伝 動
機 械 要 素 そ の他
流体移送
化 工 機 器 /加 熱 ・冷 却
化 工 機 器 /混 合 ・分 離 ・粉 砕
バイオ関連
無 機 化 学 /処 理 操 作
衛生設備
治療衛生
微生物工業
有機化学
有 機 化 学 /薬 品
有機化合物
高分子化合物
無機化合物
0.0
検査・測定
製造法
5)次世代半導体ナノ材料高度評価技術
(1)事業の位置付け
表3−14に関連プロジェクトを示したが、本事業は次世代半導体開発と密接な関係のある事業で
ある。また図4−33に本事業を委託されたCASMAT(次世代半導体材料技術研究組合)のホーム
ページに掲載されている関連プロジェクトとの連携状況を示す。
図4−33
次世代半導体ナノ材料高度評価プロジェクトと他プロジェクトとの連携
本プロジェクトでは、60億円(補助事業費予定総額)の事業により下記の効果を目指しているが、
実際の成果は次世代半導体として実現される。
・ 民間需要創出効果: 9300億円
・ 雇用創出効果: 1万5000人
(2)研究シーズのポテンシャル
本事業は半導体開発に必須な配線材料、絶縁材料などの材料を材料メーカー、半導体メーカー、
装置メーカーと共同で、産学官プロジェクトにより、材料評価技術と材料開発が一体化したものと
して研究開発を行うものである。
そのため半導体インライン試験装置メーカーの技術ポテンシャルは重要であり、その状況を特許
公開状況により調査し、図4−34に示す。
図より、毎年 1,000 件以上の特許が公開され、極めて技術開発が盛んで、かつ競合の激しい分野
であることが判る。また海外から日本への出願件数の比率は10%弱であり、先端分野 G
(物理学)、
H(電気)セクションの平均的海外出願比率約12%より低く、当該分野における日本企業の国際
競争力はあると思われる。
66
日本
海外
1800
公開、公表特許件数
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
1995
1996
図4−34
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
半導体インライン試験装置の特許公開件数推移
表4−11に半導体試験装置の出願人別公開特許件数を示す。
表4−11
日本企業
日立製作所
日本電気
東芝
松下電器
ソニー
三菱電機
富士通
アドバンテスト
東京エレクトロン
ニコン
セイコー
三菱マテリアル
安藤電気
沖電気
日本電子材料
出願人別公開特許件数
件数
海外企業
1291三星電子
1112アプライド マテリアルズ
724IBM
624テキサス インスツルメンツ
622シーメンス
514ヒューレット・パッカード
472フォームファクター
311ケイエルエイ−テンコー
282現代電子
251モトローラ
シュルンベルジェ テクノロジー
245
ズ
エスジーエス−トムソン マイクロ
198
エレクトロニクス
190アジレント・テクノロジーズ
158カスケード マイクロテック
153インフィネオン テクノロジース
件数
97
57
55
35
33
27
26
26
21
19
19
18
16
15
15
表4−11より、日本企業においては、半導体メーカーの出願とならんで、計測装置メーカー(ア
ドバンテスト、安藤電気など)の出願も多く、計測メーカーの国際競争力もあると思われる。
67
表4−12に出願人形態別の特許件数を示す。この表からは半導体検査装置に関する技術は主と
して民間に蓄積されていることが窺える。
表4−12
出願人組織別特許件数
国研等
個 人 、大 学 、TLO
日本企業
海外企業
その他
特許件数
36
54
10392
948
11
図4−35に半導体、基板に用いられる有機、無機絶縁材料に関する特許の公開状況を示す。
海外企業の特許は総数 996 件の内 60 件で6%であり、先端分野 G(物理学)、H(電気)セクシ
ョンの平均的海外出願比率約12%の半分であり、日本が強みのある分野である。
日本
海外
180
160
公開・公表特許件数
140
120
100
80
60
40
20
0
1993
図4−35
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
半導体、基板に用いられる有機、無機絶縁材料に関する特許公開状況
また表4−13に出願人別特許件数を示すが、半導体メーカー以外に CASMAT を構成する材
料関係の企業も上位に顔を出しており、有力な半導体メーカー、装置メーカー、材料メーカーが結
集した事業となっている。
表4−13
半導体絶縁材料に
関する
出願人別特許件数
日本企業
京セラ
宇部興産
村田製作所
松下電器
件数
87
82
79
60
住友ベークライト
36
シャープ
30
三 菱 マテリアル
住友金属
日立製作所
富 士 ゼロックス
テ ィー デ ィー ケ イ
富士通
東 芝 ケ ミカル
ソニー
住友化学
住友電気
日本特殊陶業
東レ
JSR
太陽インキ製造
東京応化工業
日本電気
29
29
27
22
21
21
17
16
16
16
15
14
13
11
11
11
68
海外企業
三星電子
IB M
テキ サ ス インスツル メンツ
財 )韓 国 科 学 技 術 研 究 院
ピ レ リ ー ・カ ビ ・エ ・シ ス テ ミ・ソ チ エ
タ ・ペ ル ・ア ツ ィ オ ー ニ
ミネ ソタ マ イニ ン グ ア ン ド マ ニ ュ
ファクチャリング
シー メンス
AT&T
エ ル ジ ー セ ミコン
ダ ウ ケ ミカル
デュポン
ロ ジ ヤ ー ズ ・コ ー ポ レ イ シ ヨ ン
ABB
ア ドバ ンス ド.テ クノロジ ー .
件数
7
4
4
3
3
3
2
2
2
2
2
2
1
1
図4−36に半導体試験における試料の調整に関する特許の公開状況の推移を示す。
半導体
内海外出願
半導体*標準試料
100
90
公開特許件数
80
70
60
50
40
30
20
10
0
1993
1994
図4−36
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
半導体試験における試料の調整に関する特許の公開推移
図より、半導体の試験において標準試料を調整するあるいは用いる特許は毎年10 件弱の公開が
あるが、それ程盛んではなく、また研究開発の対象となっていないように思われる。
本事業により、それが開発されれば、その効果は大きいと予想される。
69
5.施策の有効性、効率性
1)研究開発プログラムの有効性
革新的部材産業創出プログラム参加企業に対し、参加目的についてのアンケート調査結果を図5
−1に示す。
平成14年度以前に開始した4事業を対象に、参加企業、団体へのアンケート調査を実施した。
(25企業・団体にアンケートを送付し、回答は14企業・団体であり、回収率は56%であった。
)
アンケートは図に記載した8項目より、上位3項目を選定する方式で行った。
図は1∼3位にランクされたものの全体であり、新規市場の創出、研究基盤技術の強化が上位を
占めており、研究開発プログラムの意図が十分反映されていると考えられる。
国際競争力の維持・
推進 : 4
11%
新規市場の創出 :
9
24%
世界の市場を主導 :
1
3%
他企業・大学等との
連携 : 4
11%
雇用の創出 : 1
3%
研究者の育成 : 2
6%
研究開発費の調達
: 6
17%
図5−1
研究基盤技術の強化
: 9
25%
事業参加の目的(技術以外)
また表5−1に1位にランクされた項目を示すが、同様の結果である。
1.新規市場の創出
3.研究基盤技術の強化
4.研究開発費の調達
5.研究者の育成
表5−1 プロジェクト参加の目的
70
7
5
1
1
2)施策パッケージとしての有効性
<アンケート結果と分析>
施策の有効性について、施策の前後比較(事業への参加前後)および非事実仮説(施策がなかっ
たとしたら)との比較を事業に参加した企業に対するアンケート調査により検証した。その結果を
表5−2に示す。またそれに対する参加企業のフリーコメントの結果を表5−3に示す。
前後比較より、研究開発費、研究者数にはプログラム参画による影響は見られないものの、他企
業、大学等との連携が増加し、研究推進に役立ったものと推定できる。また事業の効果として、新
産業創出、国際競争力強化があげられており、本プログラムは有効であったと思える。
非事実仮説より本プログラムが存在しないとした場合、本分野の研究開発は大幅に遅れたであろ
うと言う意見が大部分であり、本プログラムは有効であったと思われる。
表5−2
施策の有効性に関するアンケート結果
研究開発費
研究者数
前
後
比
較
非
事
実
仮
説
と
の
比
較
① 当該プログラムに参加して、貴社における革新的(新規)材料分野
の研究開発費は変化しましたか。
1.研究開発費は増加した
1
2.研究開発費は殆ど変らない
12
3.研究開発費は縮小した
1
② 当該プログラムに参加して、貴社における革新的(新規)材料分野
で研究開発者数は変化しましたか。
1.研究開発者数は増加した
1
2.研究開発者数は殆ど変らない
10
3.研究開発者数は減となった
3
③ 当該プログラムに参加して、貴社における革新的(新規)材料分野
での他企業・大学等との連携による共同開発は如何ですか。
他企業・大学
7
等との連携 1.共同開発は増加した
2.共同開発は殆ど変らない
6
3.共同開発は減となった
1
④ 当該事業の成果・効果は施設目標に合致した有効なものとなって
いますか。(複数回答可)
1.新産業の創出に有効
9
2.世界の市場を主導するのに有効
2
事業効果
3.国際競争力の維持・推進に有効
9
4.広範な産業分野の基盤技術の確立に有効
6
5.特に施策目標に有効がない
1
⑤ 当該プログラムがなかったら、貴社において、当該分野の研究を
当該分野の研 実施しておりましたか。
1.実施していた
2
究
2.実施していない
12
⑥ 当該プログラムがなかったら、貴社において、当該分野の研究開発
の進捗は如何ですか。
当該分野の研
1.研究開発は大幅に遅れていると想定される
14
究開発状況
2.研究開発の遅れはそれほど無いと想定している
−
3.その他(
−
⑦ 当該プログラムがなかったら、貴社における当該分野の研究
開発規模はどのようになったと想定されますか。
当該分野の研 1.ほぼ同じ規模で実施
−
究開発規模
2.規模はかなり小さなものになっている
14
3.その他
−
71
また図5−2に現時点での実用化見通しのアンケート結果を示すが、事業化の見通しについては、
6企業が実用化の見通しを持っており、かなり高率であると言える。
実用化は現時点では不明
実用化する見込み
実用化事例有り
0
2
4
6
8
10
回答企業数
図5−2
4事業における現時点での実用化見通し(アンケート調査結果)
表5−3
研究開発費
施策の有効性に関する参加企業のフリーコメント
当 該 プ ロ グ ラ ム に 参 加 し て 、 貴 社 に お け る 革 新 的 (新 規 )材 料 分 野 の 研 究 開 発
費 は変化 しましたか。
( 増 加 額 : 0 .1 億 円 )
研究者数
当 該 プ ロ グ ラ ム に 参 加 し て 、 貴 社 に お け る 革 新 的 (新 規 )材 料 分 野 で 研 究 開 発
者数は変化しましたか。
( 増 員 数 : 1 .5 人 )
前
後
比
較
東 北 大 学 内 に 集 中 研 を 置 い て 、大 学 との 連 携 を 強 化 した 。
他 企 業 ・大 学 等 と の 連 携
弊 社 の 担 当 は 上 工 程 の 原 材 料 で 、下 工 程 と連 携 して 材 料 特 性 を 高 め る た め の
技術的連携が欠かせない。
当該プログラムに参加し
て 、貴 社 に お け る 革 新 的
(新 規 )材 料 分 野 で の 他 企
業 ・大 学 等 と の 連 携 に よ る
共同開発は如何ですか。
実 用 化 に 向 け た 新 た な 研 究 テ ー マ が 立 ち 上 が り、そ の 推 進 に は 大 学 との 連 携
が 効率的 と判 断された。
当 該 事 業 参 加 の 他 企 業 、大 学 との 連 携 に よ って 目 標 を解 決 しようとして い るた
め。
共同開発担当技術者の不足。
成
研
本
開
当該分野の研究
非
事
実
仮
説
と
の
比
較
果実用化のための共同研究やシナジーでの交流がきっかけで始めた共同
究 等 が 増 加 した が ,プロ グ ラム 参 加 との 関 連 性 は 低 い 。
プログラムが唯一であった。
始 前 より有 効 なテー マとして位 置 づけていた。
現 時点での市 場規模 が小 さいため。
開 発 人 員 ・資 本 の 制 約 。
当該プログラムがなかった
ら、貴 社 に お い て 、当 該 分 リス クの 大 きい 技 術 開 発 な の で 敬 遠 して 実 施 しな か った と思 わ れ る 。
野 の 研 究 を実 施 しておりま
リ ス ク が 高 く,高 価 な 装 置 導 入 は 困 難 。
したか。
実 用 化 の リスクが 高 いため。
実 用化を目指 した開発に大きなリスクがある為。
本プログラムが唯一であった。
研 究 開 発 に 多 大 の 費 用 が か か り、ま た 実 用 化 へ の リス クが 高 い た め 。
当該分野の研究開発規模
当 該 プ ロ グ ラム に よ り、開 発 規 模 の 拡 大 は 明 らか で あ った 。
当該プログラムがなかった
ら、貴 社 に お け る 当 該 分 野
の研究開発規模はどのよう
になったと想 定されます
か。
現時点での市場規模による。
開 発 人 員 ・資 本 の 制 約 。
材 料 (金 属 管 )の 入 手 が 困 難 。
リス クの 高 い 研 究 で あ る の で ,当 時 の 状 況 で は 基 礎 的 な 研 究 開 発 は ほ とん ど
できなかった。
リスクの大 きな研 究開 発に対 して民間 としては大 きな投資 が出来 ない。
研 究 開 発 に 多 大 の 費 用 が か か り、ま た 実 用 化 へ の リス クが 高 い た め 。
72
<特許よりの推定>
終了したプロジェクトであるシナジーセラミックスにおいて、施策の有効性を特許面より見ると、
図5−3に示すように、シナジーセラミックスのメインコンセプトであるセラミックスの構造制御
は 1994 年の50%より、プロジェクト終了時(2003 年)の60%まで増加しており、施策は有効で
あったと言える。
2000
100.0
1800
90.0
1600
80.0
1400
70.0
1200
60.0
1000
50.0
800
40.0
600
30.0
400
20.0
200
10.0
0
構造制御特許比率(%)
公開特許件数
構造制御特許
炭化物基、ほう化物、窒化物、ケイ化物、希土類、亜Cr酸、組成に特徴ある酸化物
構造制御特許の比率(%)
0.0
1994
1995
1996
図5−3
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
シナジーセラミックスのメインコンセプトの推移
<プログラムの他施策への波及>
プログラムの他施策との相互作用については、次世代半導体ナノ材料高度評価プロジェクトにお
いて顕著である。
本プロジェクトは高度情報通信機器・デバイス基盤プログラムの MIRAI プロジェクトから影響
を受けて立ち上がり、本プロジェクトは MIRAI とも連携を取り、その研究開発に波及効果を与え
る体制を整えている。(図4−40参照)
73
3)研究開発プログラムの効率性
<事業における研究開発実施者の連携>
事業における研究開発実施者の連携について事業に参加した企業に対するアンケート調査により
検証した。その結果を表5−4に示す。
またそれに対する参加企業のフリーコメントの結果を表5−5に示す。
表5−4
事業における研究開発実施者の連携
①当該事業を実施する上で、他の機関との連携は如何でしたか。
マ研
ン ネ 究 事業・事業間 1.連携は非常に良かった
ト ジ 開 における連携 2.連携は殆どしなかった
メ発
3.どちらともいえない
表5−5
4
2
8
事業における研究開発実施者の連携についてのフリーコメント
数多くの先端技術を複合化する必要があり、他の機関とうまく連携をとることが成功の必
須条件である。
事業・事業間におけ 担当の分野以外の技術課題が明確になり、開発の焦点がハッキリ認識できた。
複数の機関から依頼を受け、評価を実施し、また情報交換を行った。
る連携
当該事業内での連携で目標解決が可能
当該事業を実施する
各実務担当者個人間のチームワークは良好であった。
上で、他の機関との
大学、国研、参加企業メンバーとの交流は活発であり、その中で各種連携が生まれた。
連携は如何でした
か。
第1期の研究は基礎的であり,他機関と連携したが,第2期では連携しにくいテーマ設定と
研
究
開
発
マ
ネ
ジ
メ
ン
ト
なった
参加メンバーが非常に協力的であった。
<プログラム構成の適正性>
プログラムを構成する個別プロジェクトのアピール点は以下のようにまとめられる。
A.革新的な素材の開発と加工法の一体開発による部材の早期商品化(材料プロセス革新技術)と
B.革新的な素材開発ツールの開発、それによる開発期間の短縮を図る製造プロセス革新(研究・
生産システム、複合評価技術)の 2 つの流れによって、部材産業の創出に向かうプログラム構成は
革新的部材産業創出プログラムの目標から妥当である。
・ A.材料プロセス革新技術
¾
セラミックス系材料では、シナジーセラミックスが、第 1 期(1994年∼1998年)
に引き続いた実用化開発を行っている。
¾
金属系材料においては金属ガラス成型加工プロジェクトは文部科学省の井上過冷却金属プ
ロジェクトを引き継いだ実用化プロジェクトであり、重複投資を避け、技術シーズを有効
に活用している。
・ B.研究・生産システム、複合評価技術
¾
マイクロ化学分析・生産システムは、プログラムの上位施策である科学技術基本計画
(2001.9.21)の分野別推進戦略の製造分野において化学プロセスのマイクロモジュール化
が取り上げられている。
¾
次世代半導体ナノ材料高度評価プロジェクトは第 2 期科学技術基本計画重点 4 分野の内、
情報・通信分野と関連が深いプロジェクトであり、この重点分野は「情報家電・ブロード
バンド・IT」産業発掘戦略(2002.12:IT 戦略本部決定)の中に位置付けられている。
74
以上より、本プログラムの構成は適正である。
4)
研究開発マネジメントの妥当性
<プログラム管理手法>
プログラムを構成する各事業の管理手法は表5−6に示した通りである。新エネルギー・産業技
術開発機構(NEDO)が、大学、独立行政法人等の知見を活用しつつ、事業遂行能力、人員等を
有する企業等の中から、公募によって選定する機関に委託し、効率的な研究開発を実施している。
研究開発全体の管理・執行に責任を有するNEDOは、経済産業省と密接な関係を維持するととも
に、必要に応じて外部有識者の意見を各事業に反映させており、研究開発の目的および目標に照ら
して適切な運営管理を実施しているため、妥当である。
表5−6
研究開発のマネジメントの妥当性
対象事業
研究開発マネジメントの妥当性
精 密 部 材 成 形 用 材 料 創 これまでに蓄積されてきた産業界の既存技術と種々の新しい要素技術、
製・加工プロセス技術
学術研究を有機的に結合することによって新しい技術開発を行うため、
(H16年度事前評価書) 産業技術総合研究所中部センターを中核に集中研を構成し、異分野の研
究者が一体となった研究開発により効率的な研究開発を実施する体制を
とっており、妥当である。
金属ガラス成形加工技術 本プロジェクトは、金属ガラスの材料創製と加工技術開発を一体的に行
(H16年度事前評価書) う投資リスクの高い研究開発である。民間企業単独もしくは補助事業で
は短期間での実用化は困難であり、民間企業への負担も大きい。よって、
本事業では委託事業により産学官における集中的な研究開発を実施して
おり、妥当である。
超高温耐熱材料MGCの 本事業は、技術の実用化を目指すものであるが、企業のみでは技術開発
創製・加工技術
リスクが高く、国の応分の負担が必要であるため、民間負担のある研究
(H16年度事前評価書) 開発方式を選択しており、妥当である。
マイクロ化学分析・生産シ マイクロ化学分析・生産技術は、産業技術として海外に比較し遅れてお
ステムプロジェクト
り、未だ歴史が浅く十分な技術基盤が形成されていないため、投資に対
(H15年度事前評価書) する技術的なリスクが高く、民間企業単独では、産業化までを実現する
ことは困難であり、むしろ委託事業の形式により広く産官学の参加を得
て、研究開発を実施することが、重複投資の排除といった研究開発の計
画性、研究開発成果の共有といった観点から適切であり、広くユーザー
企業の参画をも図った研究体制は妥当である。
次世代半導体ナノ材料高 本プロジェクトは、各社で開発している半導体用材料の実用化を加速す
度評価プロジェクト
る技術の構築が目的であり、基盤的研究段階をターゲットとしたもので
(H15年度事前評価書) はない。プロジェクトに参加する各材料メーカーはそれぞれ国際競争力
を有しており、その活力を生かした開発競争を進める方式をとることが
適切であり、補助事業として実施することは妥当である。
<プロジェクト間での連携体制の効率化等>
本プログラムを実行する過程で、表5−7のようなワークショップ、フォーラムを開催し、多数
の参加者が参加を得ており、本プログラムの目的、成果の企業への周知を図るうえで、妥当である
が、これらの活動は施策を構成する各プロジェクトの発足時に実施されたのみでそれ以降のプロジ
ェクトの成果を発信する努力はなされていない。
75
表5−7
ワークショップ等の開催状況
フォーラム等名称
部材産業の創出ワークショップ
ネットワークショップ
ワークショップ:革新的部材産業創出プログラム
R&D ネットフォーラム:
次世代半導体ナノ材料高度評価プロジェクト
76
開催日時
H13/6/26∼7/3
H13/6∼7
H14/1/16
H15/2/5∼2/18
参加者数
413 名
延 18 万アクセス
延 929 人
6.分析結果を踏まえた今後の改善策等
1)研究開発プログラムの成果
本プログラムの目的は、新市場及び新規雇用の創出による経済低迷の現状打破、並びに我が国材料
産業の国際競争力強化を図るため、微細成形性、高強度等の特性を有する高機能素材の開発を支援し
高付加価値材料産業(材料・部材産業)を構築することである。新産業創造戦略においても、日本は
世界的に見て高度部材産業集積地域であるとされており、その日本の優位性をさらに高める上で、本
プログラムの意義は非常に大きいといえる。
平成14年度より開始された革新的部材産業創出プログラムによって、我が国の産業界および公
的研究機関、大学等における部材関連の研究開発が活発化し、その結果として、関連技術の論文発
表、特許出願が促進され、本プログラムは、我が国の部材産業の国際競争力強化、産業基盤の強化、
競争力の向上に寄与しているといえる。
本プログラムを実行する過程で、表5−7のようなワークショップ、フォーラムを開催し、多数
の参加者を得ており、本プログラムの目的、成果の企業等への周知を図る上で、妥当と思われる。
今後もプロジェクト実施者相互間の技術交流を進めていく必要がある。また、プログラム参加企業
においては、他企業、大学等との連携による共同研究が強化されており、本プログラムによって、
国内の大学・公的研究機関および国内の異業種企業との連携の機会が、産業界に与えられたともい
える。たとえば、金属ガラス成形加工技術プロジェクトにおいては、金属ガラスの材料創製と加工
技術開発を一体的に行う投資リスクの高い研究開発であるため、民間企業単独もしくは補助事業で
は短期間での実用化は困難であるが、本事業では委託事業により大学に蓄積された素材技術を実機
化することを目指し、素材メーカー、部材メーカーのみならず、セットメーカーも含めた実施者か
らなる産学官における集中的な研究開発を、技術が蓄積されたプロジェクトリーダー指導のもとに
実施している。
革新的部材産業創出プログラムを構成する事業の大部分が継続事業であり研究開発途上であるが、
金属ガラスのネットシェイプ加工の実現など現在までに開発が成功した事例も報告されてきており、
近い将来それらの事例が実用化されて市場に登場することが期待できる。
また、微細粒非鉄金属、金属ガラス等の新規素材は、その高強度特性等を活用して機械部品など
に適用することを目指しており、その場合には、新規な機能・特性を持った部材が創出されること
となる。
77
2)今後必要な改善点
プログラムを構成する各研究開発事業の相互の関連、シナジー効果について、有識者(木内教授)
の指摘にあるように、プロジェクト参加者はプログラムの目標、目的に対する共通認識を持って研
究開発を行っている。この成果を実用化に向けてさらに繋げていくためには、プログラムとして成
果を産業界に向け発信する場を持ち、より多くの企業に成果の採用を促すことが、必要となる政策
として考えられる。さらに、プログラム内のプロジェクト間の相互交流を図ることで、実施者の技
術水準の一層の向上が期待できる。また、本施策により現時点までに獲得できた成果は、いわば、
新規材料の創製が出来た段階であり、量的な面でのインパクトの大きい革新的部材に直結する成果、
あるいは、革新的部材そのものと云える成果はこれからである。今後この方向へ向けて格段の開発
努力が必要であり、施策面からも実施体制の強化などの強力な指導・支援が必要である。また、開
発された技術によるプロトタイプ機器の開発にとどまらず、ユーザーによる試用とその意見のフィ
ードバックを含めた市場創成事業の推進など、
「技術開発」の段階にとどまることなく、その後の「市
場創成」まで視野に入れた研究開発が考えられる。
部材は、きわめて製品に近いため、研究目的、技術は独立性が高く、プロジェクト間の関連性
を強く持たせることは難しい面がある。例えば、新産業創造戦略に示されている7分野に関わる電
子部材、バイオ部材、環境部材等において、今後とも技術および市場の動向を見据えながら、各部
材の共通基盤を適切に把握、抽出を行い、あるいは重要な基盤技術の発掘、選定を適切に行ってプ
ログラムを推進していくことが必要である。ただし、実用化を視野に置いた場合、具体的なニーズ
を踏まえた開発目標とプロジェクトでの開発目標とのかい離が生じることが予想される。実用分野
では民間主体の研究へシフトすることで、新市場及び新規雇用の創出、並びに我が国材料産業の国
際競争力強化につなげるべきであろう。
78
添付資料
調査の概要
1
調査の目的
経済産業省では経済産業省技術評価指針(経済産業省告示)に基づき、研究開発プロジェクトの
中間評価・事後評価等を実施してきたが、平成14年度から研究開発評価の新たな大綱的指針(平
成13年11月内閣総理大臣決定)及び政策評価法(平成14年4月施行)を踏まえ改訂された技
術評価指針に基づき、複数の研究開発プロジェクトから構成される研究開発施策の評価を開始して
いる。
本調査事業は、本研究開発施策の事後評価を実施する上で必要となる
① 当該施策の技術動向
② 当該施策及び事業に係る波及効果の分析等
について調査し、適正な評価に資する資料を作成することを目的とする。
2
調査方法、内容
(1)当該施策の関連動向調査
国内外の当該施策の関連技術分野における研究開発の実施状況について、情報収集・分析等を
行う。
(2)当該施策の事後的な検証
施策の概要、事業構成等を把握し施策分析を行うとともに、評価指標等の事後的な検証を行
う。
①施策分析
・施策の概要、施策の事業構成
・施策のロジックモデルに関する検討等
②施策の事後的な検証
・事前評価書に掲げる目標、指標等事後的な検証等
(3)当該施策の事後評価の実施に関する検討
施策評価の実施に関し、施策の評価方法の検討や「必要性」、「効率性」、「有効性」の観点か
ら分析を行っていく。
①施策の評価方法
②施策評価の実施に関する検討
・必要性に関する分析
(公益性、官民の役割分担、国と地方の役割分担、民営化・外部委託の可否、緊要性の有無、
他の類似施策、社会情勢の変化を受けた廃止・休止の可否)
・有効性に関する分析
(これまでに達成された効果、今後見込まれる効果及びその発現が見込まれる時期)
・効率性に関する分析
(事業コスト、手段の適正性、効果とコストとの関係に関する分析、適切な受益者負担)
(4)有識者等意見のまとめ
79
当該施策の分析に資するため、アンケート調査または幅広い知見を有する有識者等に対して、
ヒアリング調査を実施し、意見を取りまとめる。
(5)提言
①当該施策の評価に当たっての課題と留意点
②施策事後評価の実施に関する課題と留意点
3
調査フロー
事業の実施方法について、フローを図0−1に示す。これは平成15年3月の産業構造審議会産
業技術分科会評価小委員会基本問題ワーキンググループによる「施策評価実施のためのガイダンス
(案)」に基づいた。
調査・分析フェーズ
プ
・事前評価書
・事業の成果報告書
②施策の位置付け整理
⑤
ロ
ジ
・上位政策、類似施策
・国内外の関連技術動向資料
③施策の事業構成の把握
ク
モ
デ
ル
・事前評価書
・事業の成果報告書
・事業実施者等へのヒアリング
(アンケート)
④施策のアウトプット・アウトカムの特定
ッ
ッ
外
部
環
境
マ
①施策の内容把握
アウトプット・アウトカムの測定結果
⑥アウトプット・アウトカムの測定
⑦評価項目・評価基準の検討
・施策評価基準
・調査・分析結果
・評価に関する資料
⑧施策の事後的検証
・有識者ヒアリング(必要に応じ)
評価フェーズ
事後評価のための参考資料
まとめ
⑨報告書の作成
・施策評価に関する調査・分析・評価報告書
・事後評価のための参考資料
図0−1
事業の実施方法
80
(1)調査・分析フェーズ
調査・分析フェーズにおいては、評価する上で必要な情報を収集し整理する。このため、施策の
目的・必要性を評価する資料としての「外部環境マップ」
、施策全体を俯瞰的に整理し、主として効
率性を評価する資料としての「ロジックモデル」、有効性・効率性を評価する資料としての「成果・
効果測定結果」を具体的に導き出す。
①施策内容の把握
調査・分析を行うにあたっての準備作業として、事前評価書、成果報告書等を活用して施策の概
要・目的・目標・指標・特性等を把握する。
②施策の位置付けの整理
当該施策の上位の行政目的との関係、他省庁等の類似施策との関係、国内外の技術動向、その他
の必要な情報等を把握し、当該施策の位置付けを明確にし整理する。
③ 施策の事業構成の把握
当該施策の中で実施される事業の投入資源・活動内容、及び事業間の連関について把握する。
④ アウトプット・アウトカムの特定
施策の活動がもたらした直接的な結果(以下「アウトプット」と言う)及びアウトプットから波
及する効果(以下「アウトカム」と言う)を特定する。この際、アウトプット及びアウトカムを、
当該施策全体の指標として整理・統合する。
⑤ ロジックモデルの作成
上記②∼④で把握・整理した内容を「施策の背景・目的・目標・投入資源・活動内容・アウトプ
ット・アウトカム」の項目で論理的に展開し、ロジックモデルを作成する。
⑥ アウトプット及びアウトカムの測定
「アウトプット・アウトカム」の程度をできる限り定量的に測定する。
具体的には(成果技術による)技術的波及効果−直接的技術の実用化、
(技術波及による)経済効
果−市場創出(競合技術:市場消滅)、社会効果−国際的な産業競争力の強化を、特許を用い、客観
性のある定性指標化を試みる。
また(知的インフラ整備による)技術的波及効果−被引用は論文の被引用解析により、定量化す
る。(定量化手法の概要は(3)特許調査、(4)論文調査に示す。)
定量化が困難な場合や定量化により誤解を招く恐れがある場合については、定性的な測定に留め
ることにする。
測定は、情報検索と実施者、関係者、有識者に対するヒアリング(又はアンケート)で行う。
81
(2)評価フェーズ
①評価項目・評価基準の決定
表0−1に示す標準的評価項目・評価基準を、当該施策の特性に応じた評価項目・評価基準として
設定する。
なお、効率性の費用対効果については、当該施策の目的の「国際的な産業競争力の強化」を効果
として評価するから、前述したような具体的な評価軸を用いて評価する。
表0−1
標準的評価項目・評価基準
標準的評価項目
1.目的
2.目標達成状況
評
価
基
準
・当該施策の目的が、国民や社会のニーズ又はより上位の行政目的に照らして、妥
当性を有していたか。
・当初設定した目標の達成状況はどうか。また、それらの達成に影響を与えた外部
要因で、当初想定しなかったものはあるか。
・中間・事後評価時点から判断して、施策及び事業の目標設定や達成時期の見通し
は妥当なものであったか。
・事業の成果は総体的に見て施策目的を満たすようなものとなっているか。また、
その見込みはどうか。
3.必要性、有効性、・当初問題と考えた状況は現在どうなっているのか。その状況把握は十分であった
効率性に関する分析 か。
(1)必要性
・当初想定した行政の関与の必要性は、目的に照らして妥当であったか。中間・事
後評価時点から見て妥当であったか。
(2)有効性
・当該施策を実施しなかったと仮定した場合に想定される状況との比較をしている
か。
・当該施策と成果(達成された目標や目的あるいは発生した効果)との因果関係の
分析をしているか。(当該施策の貢献度合い、外的環境要因による影響の分析を含
む。)
(3)効率性
4.指摘事項
・当初予見されていなかった効果はあるか。また、逆に予見されていなかったマイ
ナス面はないか。当該施策の効果的実施を妨げた、あるいはコストを増大させた制
度設計上、あるいは運営上の問題点を抽出しているか。
・研究開発マネジメントは、妥当であったか。(当該施策事業間及び関連施策との連
携等)
・成果が次ぎの段階の研究開発又は実用化に向けて利用されやすい仕組みが用意さ
れているか(成果の帰属、成果の評価システム等)。
・当該施策の成果が、投じた資源量との比較においてどうであったか(費用対効果
等はどうか)。
・必要な効果がより少ない資源量で得られる手法が他になかったか。
・結果的に他の施策と類似し、重複や非効率が目立つ施策となっていないか。
・今後、全般的な評価に基づき、改善すべきポイントは何か。
②評価の実施
主管課等や技術評価調査課が評価者となる場合には、可能な限り外部の専門家や、経済的・社会
的ニーズについて指摘できる有識者等の知見を活用しつつ評価を行う。
具体的には、
a.必要性、有効性を外部環境マップ、ロジックモデル、ポートフォリオ、メトリックス、ヒアリ
ング結果などの調査・分析結果を基に、ロジック評価法、前後比較、非事実仮説などの評価手
法を用い、
b.目標達成状況を評価報告書、成果報告書やヒアリング結果などを基に、
c.効率性(特に費用対効果など)を事前評価書や現状を踏まえた予測などを基に評価を行う。
82
(3)施策効果の測定
施策の効果、特にその施策実施後の将来の経済、社会的効果(アウトカム)の実態を把握するの
は、追跡調査以外には適当な手段がない。そこで施策のアウトプットである特許、論文により簡易
的に推定する手段を試みた。
1)特許調査
特許は技術データとしてみた場合、技術分類が体系的に整備されていること、その体系が世界的
に統一されていること、常にその体系の見直しが技術の進展に合わせ行われていること、過去の特
許にも新規に改定された体系が遡及されること、など極めて良質な技術資料といえる。
A)特許出現パターンよりのアウトカムの予想
図0−2に非線形光学に関する特許の出現パターンを典型的な例として示す。
図0−2に示すように、公開パターンは時期的に大きく次の3つに分類可能である。
① 公開件数の急増時期
新たな商品のニーズが出たか、新たな技術シーズが現れ、多数の企業が開発を競い合う時期
② 公開件数のピーク時期
技術開発は各企業の資源投入のピークとなり、開発競争が継続されている時期
新規な商品、技術は主として①、②の時期に市場に出てくる。更にこの出現パターンを技術
要素別、商品タイプ別に細分して観察すると、優勢となる技術要素、商品タイプが判り、実
際に商品化される技術、商品が推定できる。
図0−2の例では、3 次非線形光学より、2 次のものが優勢であり、実際に市場にでたのは 2
次非線形光学によるものであった。
③ 公開件数の減衰時期
この時期は既に新規な技術シーズが枯渇したか、ニーズを満たす技術が開発されたか、また
は実質的に市場を制する企業(群)が現れ、シェア―が固定化するか、寡占状態となり、競
合する企業が存在しなくなった時期
非線形全体
3次非線形全体
プロジェクト特許公開件数
500
450
400
公開特許件数
350
300
250
200
150
100
50
0
00年
99年
98年
83
97年
特許出現の典型パターン(非線形光学の例)
96年
95年
94年
93年
92年
91年
90年
89年
88年
87年
86年
85年
84年
83年
82年
81年
図0−2
このように特許マップを用いると、特許を単にプロジェクトのアウトプットとして評価するので
はなく、アウトカムを予測するものとして用いることができる。
B)特許による国際競争力の推定
特許庁特許行政年次報告書2003年版において、特許の国際出願の解析をおこなっている。
特許出願数の多い日米欧の三極について、1998 年における日米欧の技術分野別の三極コア出願件
数を見ると、日本は「電子部品、半導体」、「光学」、「表示、音響」の分野での三極コア出願件数
が多い。しかし、「遺伝子工学」、「医薬品」、「バイオ」等のライフサイエンス関連分野における
三極コア出願件数は、欧米が日本を大きく上回る。また、「計算機」、「電子回路、通信」の分野に
おいては、日米格差が拡大している。(図0−3)
図0−3
三極コア出願の日米欧比較
出典:特許庁ホームページ 特許庁特許行政年次報告書2003年版
第3部 第2章 主要技術分野における技術動向 2.三極コア出願の日米欧比較
これらの国際出願特許は各国の特許庁にも出願されており、日本の特許庁への出願状況を図0−
4に示す。
図0−4は 1992 年から 2001 年にかけての日本における特許の出願、登録件数と出願件数に占め
る外国出願の割合を示す。図0−4より、海外よりの出願割合は 1992 年の 10%より徐々に上昇し、
84
2001 年では 13.6%となっている。
登録件数
外国出願率(%)
500,000
20.0
450,000
18.0
400,000
16.0
350,000
14.0
300,000
12.0
250,000
10.0
200,000
8.0
150,000
6.0
100,000
4.0
50,000
2.0
0
海外からの出願率(%)
特許件数
出願件数
0.0
1992年 1993年 1994年 1995年 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年
図0−4
日本における特許出願、登録件数および海外からの出願率の推移
この数値は、全体での平均を見たものであるが、セクション別の海外からの出願率を図0−5に
示す。この図からは生活必需品、化学・冶金のセクションの海外からの出願率が高いことがわかる。
1997
1998
1999
電気
物理学
機械工学
固定構造物
繊維:紙
化学:冶金
処理操作:運輸
生活必需品
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
海外からの出願率(%)
図0−5
特許分類セクション別海外からの出願率
85
25.0
30.0
更にこのセクションの詳細を三極コア出願の日米欧比較を参考に詳細を解析した結果を図0−6
に示す。
図0−6より、化学・冶金セクションにおいては有機化学、有機高分子化合物、バイオ関連につい
て海外からの出願率が 30%を超え、冶金、セラミックス分野は海外出願率が 10%未満であることが
判る。
また生活必需品セクションにおいては、薬品、医学分野の海外出願率が 30%を超えていることが
判り、欧米に比べ、技術競争力の劣る分野は日本の特許データベースにも反映されることが判る。
1997
1998
1999
薬品
医学
冶金
セラミックス
バイオ
有機化学、有機高分子化合物
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
海外からの出願率(%)
図0−6
特許分野別の海外からの出願率
特定分野の技術力の海外比較を行う際、詳細には国際出願を元に行うべきであるが、上記の結果
から、簡易的に日本の特許データベース検索によっても比較が可能である。
この際、どの程度の海外出願率が優劣判定のボーダーラインとすべきか問題となるが、平均的な海
外出願率 10%を一応日本と海外の技術力が拮抗している点とし、これより海外出願率が上回ってい
れば、海外の技術力が優れており、これより海外出願率が下回っていれば、日本が優れていると簡
易的に判断できる。
86
C)特許よりの商品ニーズ、技術シーズおよびニーズの推定
特許は企業の経済活動のある種のバロメータであり、特許の出現パターンあるいは数により商品、
技術に関するニーズの強弱を推定可能である。
特許の出現件数が増加傾向にある、あるいは件数が高水準で推移しているのは、その商品または
技術に対し、企業のニーズが高いことを示している。
またある時点より過去の特許の集積は技術シーズの集積と見なせる。
また見方を変えれば、新たな特許は新たな技術シーズの市場への提供と見なすこともできる。
A)∼C)に述べたように、特許が持つ多量の情報を用い、種々の評価が可能であり、本調査で
は、事業のケースに応じ、表0−2のような調査を実施した。
調査に当たって、対象とした特許はプロジェクト創出特許に限定せず、プロジェクトが想定して
いる分野の全ての日本公開特許を対象とした。
これはプロジェクトに参画していない企業であっても、その分野に関心を持つ企業は海外も含め
多数存在するはずであり、プロジェクトはこれら企業に刺激を与えるとともに、競合関係にあるか
らである。
表0−2
調査対象項目
調査項目
特許出現パターン
評価軸
商品、技術に対するニーズ
市場化の予測
国際競争力
技術シーズの保有者
プロジェクト実施体制の妥当性
技術シーズ
技術の適用産業分野
海外出願率
出願人別特許件数
特許分類コードによる技術要素の解析
87
2)論文調査
論文のアウトプットとしての評価に ISI 社のデータベースを元に、被引用解析を行う方法が行わ
れている。
しかし単なる被引用数の比較のみでは、プロジェクトの規模、研究開発の分野、研究開発のフェ
ーズなどの影響を受け、分野にインパクトを与えた研究なのか、あるいは世界的にみて実績の揚が
った研究開発なのか判断することは不可能である。
これについて、経済産業省
平成 12 年度請負調査「研究開発プロジェクトの知的成果に係わる
波及効果と利用促進に関する調査」に被引用の特性と被引用を用いた評価方法の詳細を調査してい
る。
被引用に関する調査結果は以下のように要約される。
個別の論文について
(1)個別論文の累積被引用件数はプロジェクト期間中ほぼ直線的で、毎年一定数の引用を受け
る(年平均被引用件数)と単純化できる。
(2)年平均被引用件数の高い論文はプロジェクトの代表論文と見なせる。また代表論文を抽出
するには最低 3 年程度の観察期間が必要である。
(3)代表論文としては、プロジェクト論文投稿先雑誌の Impact Factor の平均値の 2 倍程度の
年平均被引用件数を有する論文が妥当と思われる。
(4)個別論文の年平均被引用件数と、それが投稿された雑誌の Impact Factor とは無関係であ
る。
(5)論文群としてみた場合、論文群の年平均被引用件数の平均と、その Impact Factor の平均
値とは緩やかな関係がある。
年度の論文群について
(6)プロジェクト全体の年間被引用件数は論文群の年間被引用件数の累積である。
(7)論文群の年間被引用件数は、2∼4 年後にピークとなり、それ以後漸減する。
論文群の年間被引用件数の平均値(年平均被引用件数)と年間被引用件数の比は論文発表
後 1 年目で 80%程度、ピークで 120%程度、7 年目以降で 80%弱に減少する。
(8)論文群の年間被引用件数/Impact Factor 総和は年度により異なり、この比はプロジェク
トの内部要因、外部要因の変化が有ったことを示すものとして、活用できる可能性がある。
雑誌そのものの Impact Factor は、単独ではその学術雑誌に掲載された全論文の直近 2 年間にお
ける年平均被引用件数と等しい。
各学術雑誌はそれぞれ特定の学術分野をカバーしているので、特定学術分野の論文の年平均被引
用件数は、特定の学術分野をカバーする全学術雑誌の Impact Factor とそれに掲載された論文数か
ら計算することは可能である。
しかし、実際には各プロジェクトがカバーする研究分野は、特定学術分野の中の限られた範囲か、
あるいは複数の学術分野にまたがるものであり、各プロジェクトの研究、学術分野を考慮した年平
均被引用件数の期待値を上記の方法で計算することは現実的でない。
そこで各プロジェクトが創出した論文の投稿先雑誌の Impact Factor 総計を、論文総数の内 SCI
登録雑誌に投稿された論文数で除したものを、平均 Impact Factor とし、その値をプロジェクトが
88
カバーする研究分野で期待される年平均被引用件数とした。
従って(8)は期待被引用率:ECR(Expected
Citation
Rate)の簡易計算法であり、この比
が 1.0 程度であれば、国際的にみて平均的であったと見なせる研究開発プロジェクトといえ、1.0
を大幅に上回るようであれば、国際的に優れた研究開発プロジェクトであるといえる。
本調査では、終了したプロジェクトに対し、ECR による調査、プロジェクト代表論文の抽出を行
った。
89
参考資料1)有識者ヒアリング結果
(1)藤本
暸一氏
1.有識者
・ 氏名:藤本
暸一
・ 所属:早稲田大学
知的財産本部
参与
2.日時
・ 平成16年4月22日(木)13時30分∼14時30分
3.場所
・ 早稲田大学
知的財産本部
4.ヒアリング内容
① 革新的部材産業創出プログラムの位置付け
・ 重点4分野のナノテク・材料の材料は本来ナノテク用材料であり、この施策は重点4分野とは思
わないが、材料分野は今後共我が国として強化すべき分野と思っている。
・ 材料分野は確かに現在では我が国の強い分野ではあるが、特に韓国、中国などに比べ、常に半歩
リードする体勢を維持するために、継続努力が必要である。
・ しかし最近本格的な材料プロジェクトがたたなくなっている。セラミックス分野は後継プロジェ
クトが途絶えてしまっている。また構造用材料プロジェクトも途絶え、鉄が失速すれば、欧米の
二の舞になる。
②革新的部材産業創出プログラムの実用化・産業化促進について
・ 経済産業省のプロジェクトはシーズを即産業化に結び付けようとして、シーズが未熟であっても
無理をする面がある。この点では金属ガラスプロジェクトは、文部科学省の成果を引き継いで、
良く連携がとれている。
・ 材料の性能アップは10%でも十分である。しかし研究面では50%アップが必要かもしれない
が、生産技術とリンクして10%の性能アップを確実に達成しなければ意味が無い。
この10%アップが韓中の半歩先を行くことになる。
・ 産総研はこの生産技術とのリンクと言う点で不十分と思う。産総研にノーベル賞は期待していな
い。旧金材研は製造技術と良くリンクしていた。
・ 日本の製造現場では、Staff がリストラされ、生産技術が落ちている。ハイテクに対応して再構
築が必要だろう。この面での支援も考えないと、プロジェクトの成果が実用化に繋がらない。
・ マーケット調査もきちんと行うべきである。
③革新的部材産業創出プログラムのマネジメント体制
90
・ 生産現場に反映させるための周辺開発ができているか、ケアするまでが PL の責任と思う。
・ シナジーセラミックスについては、PL、産総研のサブ PL が気を配っていたが、経産省のプロジ
ェクトは一般に製造技術とのリンクは薄い感じがした。
・ また競合技術にも気を配るべきである。他でブレークスルー技術が出現することがあり、技術の
本命をきちんと見極める必要がある。
④その他
・ バブル期で金融資本主義は破綻し、これからは知的財産をベースとした産業資本主義の強化へ進
むべきである。
・ しかし知的財産でいつまでも食っていけると思ったらまちがいで、知財戦略は製品 Cycle5年(半
導体では2年)に応じ、5年で稼ぐ積もりでなければならない
・ 今後の日本が強化すべき産業セクターは素材、半導体、機械アッセンブリーと思う。
・ IT は個人の感性の世界で、日本人に向いているとは思えない。
またマイクロソフトのように8000人の技術者を抱え、ビルゲイツの一人の意思で、動けるよ
うな、意思決定の早さ、資源の集中を図れるような企業も企業経営者も日本にはいない。
・ バイオも IT に似たところがあり、個人ベンチャーが強い分野で、日本人には向かないだろう。
日本はハード面では何とかやれるのではないか。
・ IT、バイオについては、全てをやろうとするのではなく、得意分野に特化すべきだろう。
・ 素材・材料は市場+生産技術+信頼性が重要で、チームワークが必要とされ、日本人の得意分野
だろう。
・ プロジェクト評価の際、特許件数での評価を過大に重視しない方がよい。
実施者の特許、知財に関する Policy を記載させるべきだろう。
K/H として実施するのか、特許化して製造移転を図るのか、企業としての方針を述べるべきと
思う。
91
(2)木内
学
東京大学名誉教授
1.有識者
・ 氏名:木内
学
・ 所属:東京大学名誉教授
木内研究室代表
2.日時
・ 平成16年4月27日(火)9時30分∼10時30分
3.場所
・ 木内研究室
4.ヒアリング内容
①
革新的部材産業創出プログラムの位置付け
・国の科学技術行政に施策・プログラム制が導入されたが、その制度や枠組の運用が必ずしも適切に
行われていないと思われるフシがある。
・施策・プログラム制が導入された後、新規プロジェクトをどこに申請したらよいか分らず、NEDO
と相談した結果、地域コンソーシアムや中小企業基盤技術整備事業へ走ったプロジェクトもある。
・本施策・プログラムでは、8分野(プロジェクト)が取り上げられているが、基礎素材を中心とす
る革新的部材創製技術開発プロジェクトが含まれていない。例えば、超微細粒鋼プロジェクトな
どは、3R プログラムの中に位置付けられている。
・本施策・プログラムの中に、異質と思えるようなプロジェクトが含まれているが、経済産業省の
各部局が、本施策の枠内にそれぞれはめ込んだ結果と思われる。
②
プログラムのマネジメント
・革新的部材産業創出プログラムは、独立したプロジェクトの集合体と考えられ、プログラム全体
としての活動計画はないように思われるが、その狙いははっきりしている。
・各事業(プロジェクト)は、プログラムの目標、目的を十分理解して活動していると思う。私自身
は、精密部材成形用材料創製・加工プロセス技術開発プロジェクトに、総合アドバイサーとして
参画しているが、私の知る限り、プロジェクト参加者は、プログラムの大きな目標である成果の
実用化、更には産業化を強く意識して開発を進めている。
・本件の如く、プログラムの狙いを共通認識として持ち、各プロジェクトがその狙いを実現すべく、
自由に開発を進めるような施策・プログラムの枠組があっても良いと思う。
・施策・プログラムによっては、構成する各プロジェクト間に相互作用のあるものもあり得る。施
策・プログラムのタイプや狙いによって、マネジメントもそれぞれ異なるものとなってもよいと
考えられる。
③
革新的部材産業創出プログラムの実用化・産業化促進について
・プロジェクト成果の実用化については、各担当者・企業に対して大きな重みを持って迫っている。
92
・これまでの経済産業省が助成してきた研究開発プロジェクトの中には、開発のための開発を追求
するようなものがまま見られた。90 年代の不況時に、これまでの技術開発助成の成果により助け
られた実績が少なかったという反省がある。
・施策・プログラム制度以降、経済産業省、NEDO の意識は変わったと思う。
・また評価自体も実用化の成否を厳しく問うようになった。
・精密部材成形用材料創製・加工プロセス技術では、既に実用化成果が出始めている。
各社が得意分野のプロセス技術、製造ノウハウなどを持ち寄り、技術シーズを実用化に発展させ
ており、施策・プロジェクト制の良い面が発揮されている。
・このような研究開発は企業単独では出来ないことであり、施策・プログラムによる助成があって、
はじめて可能となることである。
・また、このように、プロジェクトが順調に進展している背景には、成果の帰属について明確な指
針が示されており、担当企業・機関が得られた成果を自らのものとして獲得できるようになった
ことが大きく影響していると思われる。
④
類似施策について
・超微細粒鋼プロジェクトにおいては、物質・材料研究機構の超鉄鋼材料研究プロジェクトとは良
く連絡を取っている。
・精密部材成形用材料創製・加工プロセス技術の金型に関する技術開発と類似するプロジェクトと
して、デジタルマイスター(ものづくり・IT 融合化推進技術の研究開発)があるが、ほとんど交流
はない。
93
(3)北森
武彦
東京大学教授
1.有識者
・ 氏名:北森
武彦
・ 所属:東京大学
工学部
応用化学科
教授
2.日時
・ 平成16年5月14日(金)10時∼11時
3.場所
・ 北森教授室
4.ヒアリング内容
① 革新的部材産業創出プログラムの位置付け
・ プログラム内の他の事業との交流は全く無い。
・ 平成 13 年に機能性化学品室の作成した
−素材産業から部材産業へ−
のストーリーはそれな
りに筋が通ったものであったが、プログラムに入っていないプロジェクトは認められないとの雰
囲気の中で、異質なプロジェクトがプログラムの中に纏められたような感を受ける。
① プログラムのマネジメント
・プログラム開始時のフォーラムはあったが、それ以後革新的部材産業創出プログラムではプログ
ラム全体としての活動はない。
・プロジェクトとしては、NEDO と緊密に連絡は行っている。
③マイクロ生産・分析システムプロジェクトの実用化・産業化促進について
・神奈川集中研に参画している企業はかなり実用化を意識しており、またそのように要請もしてい
る。プロジェクト終了後 2∼3 年で実用化を実現できる企業がかなり出てくると思う。
・ 本プロジェクト以前に神奈川科学技術アカデミー(KAST)内に 98年より5年の「インテグレー
テッド・ケミストリー・プロジェクト」を立ち上げ、マイクロ化学チップを開発している。ブレー
クスルーとなった技術は
93年に着想した熱レンズ顕微鏡であり、これの実用化により、微量分
析が可能となり、連続フロー下のマイクロ化学チップの開発に成功している。
・ この研究室はKAST内の常設研究室となった。
・ またこのKASTのプロジェクトよりジョイントベンチャー:マイクロ化学技研㈱(IMT )が発足し
ている。JV発足の際、経済的支援はなかったが、プロジェクト成果のサンプルを多方面のユーザ
ーに提供し、ユーザー評価を行うに際し、実費販売(利益の出ない)の範囲で研究設備を生産設備
として使用してもよいとの許可があった。これはJVを立ち上げる際の大きな支援であった。これ
により、初期投資なしに、生産のための人を雇うことができ、また企業立ち上げ時の初期の苦しい
時期をしのぐことが可能となった。
・ 昨年3月にはKASTより独立して、自前のラインが持てるようになった。まだ若干赤字であるが、
94
年商数億円で黒字化も直であろう。
・ 現在基礎研究は東京大学の北森研究室で、基盤技術研究は神奈川科学技術アカデミー(KAST )の
マイクロ化学グループで、応用研究は企業との共同研究、製品化研究はベンチャー企業のマイクロ
化学技研㈱(IMT )で進めている。また、応用研究と製品化研究の一部は、NEDOのプロジェクトと
しても進められており、本プロジェクトもマイクロ化学プロセス技術研究組合の神奈川集中研究所
(KAST内)で進められている。
・ 本プロジェクトでは各企業がそれぞれ要素技術の開発を行っているが、今後この技術を各企業で
実機化する時、初期の需要は小さく、大企業では中々設備投資のリスクを負って、実機化に踏み切
れないだろう。大企業では10億円程度の年商がないと躊躇すると思う。
年商規模からすれば中小企業向けのものであるが、しかし、このような先端技術では技術的に対応
できず、ギャップがある。このギャップを埋める手段として、IMT社は活用できると思う。
・ すなわち、各企業の開発した技術を実用化する際、IMT社で受託生産を行うスキムをとれば、技術
を死蔵することなく、実用化可能であり、また企業の若手研究者も自己の開発した技術が実際の売
上につながることにもなり、励みになると思う。
・ 本来このようなタイプの企業はベンチャー企業が適しているが、日本ではベンチャーファンドが
発達しておらず、ベンチャー企業も立ち上げにくい。
その点IMT社を活用する方式は研究開発の実機化を促進する1つのモデルとなる。
④その他
・ 方法論のみの研究開発で、Hard の裏付けのないような研究開発は産業化に繋がらず、疑問であ
る。現状のバイオに関する研究開発はそのようなものが多い。
・ メルク社よりかなり特許がでているが、まだアイデア特許の段階である。
・ マイクロ化学チップを搭載した機器の第 1 号は日本から出てくると思う。
必ずしもドイツ IMM 社のマイクロポンプが優れているとは思わない。
我々のプロジェクトでは別の原理のマイクロポンプを使っている。
・ 最近マイクロ化学に関する国際会議があったが、論文数では今年から日本の論文が多くなった。
この学会での論文採択率は全体で 60%であったが、日本からは約 160 件投稿し、約 130 件が採
択され、採択率は 80%であり、論文の数、質でも優れている。
95
参考資料2)代表論文リスト
表−1
著者
T.Oku, T.Hirano,
M.Kuno, T.Kusunose,
K.Niihara and
K.Suganuma
G.Zhang, Y.Beppu,
T.Ohji and S.Kanzaki
G.Zhang and T.Ohji
シナジーセラミックス(II 期)プロジェクトの代表論文リスト
論文タイトル
発行誌
Synthesis,atomic structures and properties of
carbon and boron nitride fullerene materials
Mater.Sci.Eng.B,
74 (1-3), 206-17
(2000).
Reaction Mechanism and Microstructure
Acta Materialia,
Development of Strain Tolerant In Situ SiC-BN
49 (1), 77-82
In Situ Reaction Synthesis of SiC-BN Composites J.Am.Ceram.Soc.,
84 (7), (2001).
G.Zhang and
Effect of Y2O3-Al2O3 Addition on the phase
J.Ceram.Soc.Japan,
J.F.Yang, Z.Deng and Formation and Densification Process of in Situ 109 (1), 45-48
T.Ohji
SiC-BN Composite
(2001).
Y.Inagaki, T.Ohji,
Fracture Energy of an Aligned Porous Silicon
J.Am.Ceram.Soc.,
S.Kanzaki and
Nitride
83 (7), 1807-09
Y.Shigegaki
(2000).
J.B.Davis,
Fabrication and Crack Deflection in Ceramic
J.Am.Ceram.Soc.,
A.Kristoffersson,
Laminates with Porous Interlayers
83 (10), 2369-74
E.Caristrom and
(2000).
W.J.Clegg
T.Oku, H.Kusunose,
Chemical synthesis of silver nanoparticles
J.Mater.Chem.10,
K.Niihara and
encapsulated in boron nitride nanocages
255-58 (2000).
K.Suganuma
T.Fukasawa, M.Ando
Synthesis of Porous Ceramics with Complex Pore J.Am.Ceram.Soc.,
and T.Ohji
Structure by Freeze-Dry Processing
84 (1), 230-32
M.Kitayama, K.Hirao, Thermal Conductivity of beta-Si3N4:Ⅱ,Effect of J.Am.Ceram.Soc.,
A.Tsuge, K.Watari,
Lattice Oxygen
83 (8), 1985-92
M.Toriyama and
(2000).
S.Kanzaki
G.Zhang and T.Ohji
Effect of BN Content on Bending Strength and
J.Mater.Res., 15
Elastic Moduius of SiC-BN in Situ Composites
(9), 1876-80
J.Am.Ceram.Soc.,
M.Kitayama, K.Hirao, Thermal Conductivity of beta-Si3N4::Ⅰ,Effect
of Various Microstructural Factors
82 (11), 3105-12
A.Tsuge, K.Watari,
(1999).
M.Toriyama and
S.Kanzaki
J.am.Ceram.Soc.,
M.Kitayama, K.Hirao, Thermal Conductivity of β-Si3N4:Ⅲ,Effect of
K.Watari, M.Toriyama Rare-Earth(RE=La,Nd,Y,Yb and Sc)Oxide Additives 84 (2), 353-58
and S.Kanzaki
(2001).
J.F.Yang, G.Zhang
Fabrication of Low-Shrinkage Porous Si3N4
J.Am.Ceram.Soc.,
and T.Ohji
Ceramics by Small Amount Addition of Carbon
84 (7)1639-41
G.Zhang, J.F.Yang
Fabrication of Porous Ceramics with UniJ.Am.Ceram.Soc.,
and T.Ohji
Directionally-Aligned Continuous Pores
84 (6), 1395-97
J.F.Yang, T.Ohji and Influence of Yttria-Alumina Content on
J.Am.Ceram.Soc.,
K.Niihara
Sintering Behavior and Microstructure of
83 (8), 2094-96
Silicon Nitride Ceramics
(2000).
S.T.Oh, K.Tajima,
Fabrication of Porous Alumina with Improved
J.Am.Ceram.Soc.,
M.Ando and T.Ohji
Mechanical Property by Pulse Electric Current
83 (5), 1314-16
Sintering and Nanocomposite Processing
(2000).
Y.Suzuki,
New Uniformly Porous CaZrO3/MgO Composite with J.Am.Ceram.Soc.,
P.E.D.Morgan and
3-D Network Structure from Natural Dolomite
83 (8), 2091-93
N.Kondo, Y.Inagaki, High-Temperature Fracture Energy of
J.Am.Ceram.Soc.,
Y.Suzuki and T.Ohji Superplastically-Forged Silicon Nitride
84 (8), 1791-96
Y.Zhou, K.Hirao,
Very Rapid Densification of Nanometer Silicon
J.Am.Ceram.Soc.,
M.Toriyama and
Carbide Powder by Pulse Electric Current
83, 654-56 (2000).
H.Tanaka
Slntering
W.Feng, E.Sun,
Synthesis and Characterization of
Bull.Chem.Soc.Jpn.
A.Fujii, H.Wu,
Photoconducting Polyaniline-TiO2 Nanocomposite , 73 (11), 2627-33
K.Niihara and
(2000).
K.Yoshino
Y.Zhou, K.Hirao,
Effects of Intergranular Phase Chemistry on
J.Am.Ceram.Soc.,
M.Toriyama,
Microstructure and Mechanical Properties of
84 (7), (2001).
Y.Yamauchi and
Silicon Carbaide Cermics Densified with
J.F.Yang, G.Zhang
Porosity and microstructure control of porous
J.Mater.Res., 16
and T.Ohji
ceramics by partial hot-pressing
(7), 1916-18
N.Kondo, Y.Suzuki
High-strength porous silicon nitride fabricated J.Mater.Res., 16
and T.Ohji
by the Sinter-forging technique
(1), 32-34 (2001).
W.J.Clegg
Controlling Cracks in Ceramics
Science, 286 (5),
1097-99 (1999).
96
年平均
Impact 被引用
被引用
Factor 件数
件数
0.592
32
10.67
2.166
18
9.00
2.017
14
7.00
0.552
14
7.00
2.017
20
6.67
2.017
19
6.33
2.379
18
6.00
2.017
12
6.00
2.017
17
5.67
1.315
17
5.67
2.017
22
5.50
2.017
11
5.50
2.017
10
5.00
2.017
10
5.00
2.017
14
4.67
2.017
13
4.33
2.017
12
4.00
2.017
8
4.00
2.017
11
3.67
1.834
11
3.67
2.017
7
3.50
1.315
7
3.50
1.315
7
3.50
23.872
0
表−2
MGC に関連する論文リスト
タイトル
放射光によるAl2O3/YAG2元系MGC材料の相間応力
評価-YAG相の残留応力状態と負荷応 力挙動Al2O3/YAG結晶MGCの高温変形挙動
がんばっているエンジニアリングセラミックス MGC材料の開
放射光によるAl2O3/YAG二元系MGC材料の相間残
留応力評価
Al2O3/Er3Al5O12/ZrO2三元系MGCの組織と高温強
Al2O3/Y3Al5O12/ZrO2三次系MGCの高温強度特性
超耐熱性一方向凝固共晶複合材料(MGC材料)の放
射光による残留応力測定
高温複合材料の新展開 酸化物共晶複合材料(MGC)
の最近の進歩
Al2O3/Er3Al5O12/ZrO2三元系MGC材料の組織構造
と高温強度特性
一方向凝固Al2O3/YAG複合材料(MGC)の破壊靭性と
インデンテーション損傷の評価
先進高温材料 新しい組織構造を持つMGC材料の高
温特性
各種使用環境下におけるMGC材料の破壊挙動
著者
鈴木裕士, (東京都大 大学院) 秋田貢一, 吉岡靖夫, (武蔵工大
工) 和久芳春, (宇部興産 宇部研) 三沢啓志, (東京都大 大学院
村山洋之介, 花田修治, (東北大 金属材料研) 和久芳春, (宇部
和久芳春, (宇部興産 研究開発本部)
鈴木裕士, (東京都大 大学院) 秋田貢一, 吉岡靖夫, (武蔵工大)
和久芳春, (宇部興産) 三沢啓志, (東京都大)
坂田信一, 和久芳春, 三谷敦志, 清水和敏, (宇部興産)
和久芳春, 坂田信一, 三谷敦志, 清水和敏, (宇部興産 宇部研)
鈴木裕士, (東京都大 大学院) 秋田貢一, 三沢啓志, (東京都大)
吉岡靖夫, (武蔵工大) 和久芳春, (宇部興産)
和久芳春, (超高温材料研)
和久芳春, 坂田信一, 三谷敦志, 清水和敏, (超高温材料研)
林誠二郎, 和久芳春, (超高温材料研)
和久芳春, (超高温材料研)
瀧川順庸, 安富義幸, 河本洋, (JFCC) 柴田義雄, (名城大) 和久
芳春, 坂田信一, 三谷敦志, (超高温材料研)
和久芳春, (超高温材料研) 中川成人, 大坪英樹, (宇部興産)
共晶セラミック複合材料の創製と高温強度特性
インターマテリアル [3] 新しい組織構造を持つ超高温セラミック
和久芳春, (超高温材料研)
ス複合材料の設 計
新しいセラミックス
和久芳春, (超高温材料研)
超耐熱材料開発の動向 一方向凝固酸化物共晶複
和久芳春, (超高温材料研)
合材(MGC)について
2000Kに耐える一方向凝固セラミックス複合材料 MGC
和久芳春, (超高温材料研)
新しい環境調和型耐熱セラミックス材料 MGCについて 和久芳春, (超高温材料研)
複合材料の新しい試み 1650℃で使えそうな唯一の
和久芳春, (宇部興産 宇部研)
材料 MGC(一方向凝固酸化物共 晶複合材料)
21世紀の新耐熱構造材料・MGC
和久芳春, (宇部興産)
ニューサンシャイン計画における化石エネルギー,燃料電池関連
プロジェクト 4. MGC超高効率タービンシステム技術先導研
奥永修史, (新エネルギー・産業技術総合開発機構)
究開発 タービン入口温度1,700℃,無冷却 のガスタービンシ
ステムをめざして
小林健児, 藤原賢治, 中川成人, 横井信哉, (ガスタービン実用性能
MGC超高効率ガスタービン技術の研究開発
向上技術研究 組合)
方向性固化した酸化物-酸化物共晶体の界面
DHALENNE G, REVCOLEVSCHI A, (Univ. Paris-Sud, Orsay,
機械加工可能なガラスセラミックの弾性係数の二階圧力 GERLICH D, HART S, (CSIR, Pretoria)
スーパーマテリアル 13 次世代エネルギー機器開発をリードす
亀田常治, (東芝 電力産業システム技開セ)
るスーパーセラミッ クス その3
HIRANO K, SUZUKI T, (Agency of Industrial Sci. and Technol.,
その場Al2O3/YAG共晶複合材料の破壊靭性と疲れ
MITI, Ibaraki-ken, JPN) KAMEI A, (Sci. Univ. Tokyo, Chiba-ken,
亀裂成長抵抗の方位依存性
JPN) TAMAI F, (Industrial Technol. Center of Saga, Saga-ken,
歯科用セラミックの加工性能の評価
ZHANG G, CAO Y, QI L, (Univ. Maryland at College Park,
DIETRICH M, VERLOTSKI V, VASSEN R, STOEVER D,
新規金属ガラス複合材料TBCの微細構造と性能
(Forschungszentrum Juelich GmbH, Juelich, DEU)
97
研究開発実施機関が掲載されたホームページの URL
参考資料3)
①http://www.casmat.or.jp/
次世代半導体材料技術研究組合
②http://www.mcpt.jp/
マイクロ化学プロセス技術研究組合
③http://www.synergy.or.jp/
ファインセラミックス技術研究組合
④http://www.jrcm.or.jp/index.htm
金属系材料研究開発センター
⑤http://www.rimcof.or.jp/kinzokug.html
次世代金属・複合材料研究開発協会
⑥http://www.jdma.net/index.html
日本金型工業会
参考資料4)
過去の評価レポート
①http://www.meti.go.jp/policy/tech_evaluation/e00/eh130004.html
経済産業省 産業構造審議会 産業技術分科会 評価小委員会
「シナジーセラミックスの研究開発プロジェクト」(中間評価)報告書
報告年度 平成14 年7 月
②http://www.nedo.go.jp/iinkai/hyouka/houkoku/15h/21.pdf
NEDO 評価委員会
報告年度
「MGC 超高効率ガスタービンシステム技術研究開発」(中間評価)分科会
参考資料5)
平成15年9月
本施策に関する政策情報
①http://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/kihon.html
科学技術基本計画
平成13年3月30日
②http://www8.cao.go.jp/cstp/strategies.pdf
分野別推進戦略
平成13年9月21日
③http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizai/tousin/020621f.html
「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」
(平成13年6月26日閣議決定)
「産業発掘戦略−技術革新」 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002 」
(2002年6月閣議決定)に基づき2002年12月取りまとめ
98
参考資料6)
特許検索式
検索データベースとしては、PATOLIS、CD-ROM、特許庁
特許電子図書館(IPDL)を使った。
各データベースは検索の目的、内容により、使い分けた。
(複雑:PATOLIS―
―簡易:IPDL)
各図の検索式は以下に示す。
図3−8
セラッミックス製品出荷額と特許の推移
IPDL による検索:C04B35?+C04B37?+C04B38?
図4−2
セラミックスの構造制御に関する特許の公開件数推移
IPDL による F ターム検索
炭化物、硼化物、窒化物、珪化物、希土類、亜 Cr 酸、組成に特徴ある酸化物セラミックス全体
:4G001+4G031+4G030
その内構造制御の F タームを持つもの:4G001BE00+4G031CA00+4G030CA00
図4−4
シナジーセラミックスの適用先産業
図4−3の PATOLIS 検索結果の広域分類による解析
図4−6
セラミックスのセンサーへの適用特許の公開状況推移
CD-ROM による検索:
[G01N27/00+G01N33/00]*[C04B35/00+C04B37/00+C04B38/00]
+G01N?*セラミックス*電解質
図4−7
セラミックスの排ガス処理装置への適用に関する特許公開状況の推移
IPDL による F ターム検索:4D058JB06
図4−8
排ガス処理装置に用いられる材料の構成率
IPDL による F ターム検索:4D058
JB03
JB04
JB05
JB06
JB12
JB18
図4−9
金属
炭素
ガラス
セラミックス
有機物
有機・無機併用
ガスタービンブレードへの遮熱のための被覆に関する特許公開状況
IPDL による検索:FI*キーワード*FI
被覆全体
:F01D5?*ガスタービン*C23C?
セラミックス:
上式*(C23C4/10+C23C14/10+C23C16/?+C23C20/?+C23C24/+C23C26/00C+C23C28/04)
図4−10
ガスタービンブレードに用いられる素材に関する特許公開状況
IPDL による検索:FI*F ターム
金属材料
:F02C?*3G002(BA06+CA11+EA06)
セラミックス:F02C?*3G002(BA08+CA13+EA08)
99
複合材料
図4−11
:F02C?*3G002(BA09+CA14+EA09)
微細粒金属に関する特許の公開推移
IPDL による公報テキスト検索:キーワードは表4−8に示す
図4−12
微細粒金属の製造方法
PATOLIS による検索
検索式=(C22C5/00:C22C32/00−(C22C1/04+C22C1/05) )*
((微細?*(粒+結晶))+ナノ結晶+ナノスケール結晶+ナノクラスタ+ナノクラスター+ナノ組織)
検索結果の製法別解析
図4−13
微細粒非鉄金属の基材
図4−12の検索結果の基材別解析
図4−14
バルク金属ガラスの特許の公開推移
PATOLIS による検索
検索式=(H01F?+B22D?+B23F?+B22F?+B23K?+C21C?+C21D?+C22C?+G11B?)
*(金属 W ガラス+(非晶質*(金属+合金))+非晶質 W2 金属+非晶質 W2 合金+アモルフアス)
*(バルク?+(ミリ*(厚み+太さ+太径)))
図4−15
金属ガラスの製法
図4−14の検索結果の製法別解析
図4−16
金属ガラスの基材
図4−14の検索結果の基材別解析
図4−17
微細粒非鉄金属、金属ガラスの現状での適用産業分野
図4−12、図4−14の検索結果の広域分類による解析
図4−18
金型に関する特許公開状況
IPDL による F ターム検索
金型全体:4E050
材質、製造、構造:4E050(JA00+JB00+JC00)
図4−19
金型への超硬合金の適用状況
IPDL による F ターム検索
金型材質:4E050
JA01
JA02
JA03
JA04∼JA07
JA08
鉄系
非鉄合金
非鉄金属超硬物質
その他金属以外
その他
100
非鉄金属超硬物質の使用方法:4E050
JA03*JB07-JD04-JD05-JD06 焼結
JA03*JB09-JD04-JD05-JD06 表面処理
JA03*JB010-JD04-JD05-JD06その他
JA03*JB08-JD04-JD05-JD06 熱処理
図4−20
金型への超硬合金の適用特許の公開状況
IPDL による F ターム検索:4E050(JA03+JB07)
図4−21
粉末冶金の金型への適用特許の公開状況
IPDL による F ターム検索:4K018KA18
図4−23
溶融または延性状態にある鋳型中の金属の冷却に関する特許の公開状況
IPDLによる公報テキスト検索:B22D27/04*冷却
図4−24
光コネクタに関する特許公開状況
IPDL による F ターム検索
ライトガイドの光学的・機械的結合:
2H036(JA00+KA00+LA00+MA00+NA00+PA00+QA00+RA00)
+2H037(AA00+BA00+CA00+DA00)
スリーブによるもの:2H036(MA05+MA06+MA07)+2H037DA15
図4−25
インクジェットヘッドに関する特許公開状況
IPDL による検索
ヘッドの製造方法全体:2C057AP00
機械的加工方法:2C057(AP21―AP22)
図4−26
航空機の機体・翼に関する特許の公開状況
CD-ROM による検索
航空機の機体・翼:B64C1?+B64C3?
図4−27
航空機の機体・翼の製造に関する特許解析結果
図4−26の検索結果の解析
図4−28
航空機の機体・翼の材料に関する特許解析結果
図4−26の検索結果の解析
図4−29
マイクロマシンに関する特許の公開状況
CD-ROM による検索:B81B?+B81C?
図4−30
マイクロマシンの機械要素への適用状況
図4−29の検索結果の機械要素別解析
図4−31
マイクロマシンの成形方法
101
図4−29の検索結果の成形方法別解析
図4−33
遊星歯車機構に関する特許公開状況
公開公表件数:CD-ROM 検索:F16H3?
遊星機構:IPDL による F ターム解析:3J028FC01
ロボット等への適用:3J028(FC01*(GA25+GA28+GA33))
図4−34
遊星歯車機構の適用先
IPDL による F ターム解析:用途(GA)の解析
図4−35
歯車材質に関する特許の公開状況
IPDL による検索:F ターム
図4−36
3J009EB07
バネに関する特許の公開状況
IPDL による検索:F ターム
自動車用
:3J059GA07
自動車用金属製:3J059GA07*BC01
図4−37
マイクロ化学特許の出願人別公開状況
PATOLIS による検索
検索式=B81?*(B01?+B03?+F24?+F25?+F28?+F04?+F15?+F16?+F17?)
+キーワード1+キーワード 2
キーワード1=マイクロ化学+マイクロリアクタ+マイクロ反応+マイクロ混合
+マイクロミキサ+マイクロミキシング+マイクロ分離
+マイクロセパレータ+マイクロ熱交換
キーワード2=マイクロ流体+マイクロ流路+マイクロ液体+マイクロバルブ
+マイクロポンプ+マイクロシリンダ
太字で示したもの:マイクロリアクター等
細字で示したもの:マイクロ流体要素機器
図4−39
出願人別マイクロ化学関連特許の適用分野
図4−37の PATOLIS 検索結果の広域分類による解析
図4−41
半導体インライン試験装置の特許公開件数推移
CD-ROM による検索:H01L21/66
図4−42
半導体、基板に用いられる有機、無機絶縁材料に関する特許公開状況
CD-ROM による検索:H01B3?*(半導体+基板)
図4−43
半導体試験における試料の調整に関する特許の公開推移
IPDL による F ターム検索
半導体の資料調整:2G052AA13
標準資料:2G052(AA13*AA39)
102
参考資料7)
用語説明
BET法換算粒度:
窒素ガスの吸着量から試料 1 グラム当たりの比表面積を求める。平均粒径は、粉体の粒子を完全な
球体と仮定して、粉体の粒子の理論密度と比表面積から計算する。例えば、WC 粉末の場合、理論
密度が 15.7g/cm3 なので、BET 値 6.28m2/g で平均粒径 61nm と求まる。
ネットシェイプ加工:
高精度が必要とされる切削加工と同じ形状・精度に塑性加工すること。
ニアネット複雑成形:
複雑な最終形状に近い形での成形を行うこと。
103
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