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原子力発電所の安全対策
東京電力と原子力発電 原子力発電所の安全対策 災害に強い発電所づくりの推進 免震重要棟の建設 新潟県中越沖地震の発生時に建物内への入室が困難に 2007年7月に発生した新潟県中越沖地震以降、柏崎 なったことなどをふまえ、災害発生時に対策活動の拠点と 刈羽原子力発電所では、設備の点検・評価、復旧作 なる緊急時対策室や通信・電源などの重要設備を集合させ 業、耐震強化工事など、災害に強い発電所の構築に た「免震重要棟」を建設し、柏崎刈羽原子力発電所では 向けた取り組みを着実に進めています。これらの取り 2010年1月より、福島第一原子力発電所・福島第二原子 組みは福島第一原子力発電所・福島第二原子力発電 力発電所では2010年7月より運 所でも展開しており、着工準備中の東通原子力発電 用を開始しています。 所の原子炉設置許可申請にも反映しています。 免震重要棟は、建物と地盤の間 にゴムなどの柔らかい部材 (免震装 置) をおくことで、地震の揺れを吸 耐震安全性向上の取り組み 免震重要棟 (柏崎刈羽原子力発電所) 収する免震構造としており、新潟 新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原子力発電所で 県中越沖地震を超える震度7クラ は、発電所の耐震安全性を向上させるため、耐震強化に向 スの地震が発生した場合において けた地震の揺れをあらためて設定し、必要な耐震強化工事 も、緊急時の対応に支障をきたす を全7プラントで行っています。 ことがないように設計しています。 緊急時対策室 (柏崎刈羽原子力発電所) 福島第一原子力発電所・福島第二原子力発電所におい ては、全10プラントについて、安全上重要な機能を有する 主要な設備・施設の耐震安全性を確認しています。また、 新潟県中越沖地震で得た知見などもふまえ、発電所の耐震 性向上のための様々な取り組みを継続的に行っています。 防災組織・体制の強化 初期消火体制を充実させるため、化学消防車・水槽付消 防ポンプ車を配備するとともに、消火要員を増員しました。 また、定期的に原子力災害発生の想定に基づく訓練や所 員の消火訓練など、様々な訓練を実施しています。 サポート サポートを強化して強固な構造に変更 配管などのサポートの強化 (イメージ) 発電所構内に設置された自衛消防センター 緊急時の対応力強化に向けた防災訓練 配管などのサポートの強化 (柏崎刈羽原子力発電所) 「 安全・安定運転のために」 福島第一原子力発電所 防災安全部 防災安全グループ 佐藤 真理 大地震などによる被害に迅速・的確に対応するため、原 子力発電所では日頃から様々な訓練を重ねています。 原子炉建屋の屋根を支えるトラス (イメージ) 鋼材の追加 (柏崎刈羽原子力発電所) 私は消防訓練の計画・実施に携わる中で、 「日頃の訓練で できない行動は、いざという時にもできないため、日常の 訓練を通じて身に染みこませることが大切」だと考えていま す。暑い夏場でも重い防護服を着て、非常時に備えた訓練 に励んでいる消防隊員の姿を見ていると、非常に頼もしく 思います。 私も、発電所の一員として、発電所の安全を確保するた めに、 「自分たちの職場を自分で守る」 「必ずやる」という熱 い思いを絶やさず、日々の業務を行っています。 70 発電所での人材育成について 柏崎刈羽原子力発電所の復旧状況 原子力発電所では設備面の安全対策のみならず、人 ● 験することにより、ヒューマンエラーの防止や、異常 事象の未然防止・早期発見に役立て、発電所の安 1、6、7号機の営業運転再開について 柏崎刈羽原子力発電 材面においても安全運転対策に取り組んでいます。 模擬設備での訓練や、過去の失敗事象などを疑似体 サ ス テ ナ ビ リ テ ィ の 実 現 に 向 け て 所では、設備の点検・ 復旧、耐震強化工事な どを一つひとつ丁寧に 進め、設備の健全性を 確認し、国や地元自治 全・安定運転に努めています。 体のご了解をいただい 定期検査終了証受領(1号機) たプラントごとに運転 東 京 電 力 の 経 営 と C S R の 実 践 を再開しています。 技能訓練棟 これまでに、7号機は 原子力発電所において、設備の健全性を維持し、安全運 2009年12月、6号機 転を続けるためには、優秀な運転員・保全員を確保し、技 は2010年1月、1号機 は2010年8月4日に営 能の維持向上をはかることが重要です。 技能訓練棟では、現場で使用している機器と同型のもの 業運転を再開しました。 総合負荷性能検査(1号機) を設置し訓練することにより、東京電力社員や協力企業職 員の原子力に関する知識の習得や、設備の運転保守技術・ 東 京 電 力 グ ル ー プ の 環 境 へ の 取 り 組 み 技能の向上をはかっています。 営業運転を再開した7号機(手前) と6号機(中央) 技能訓練棟(福島第一原子力発電所) 模擬原子炉(福島第一原子力発電所) ● 失敗に学ぶ教室 他号機の進捗状況 ・2∼4号機 過去に起こした失敗を繰り返さないため、 「失敗に学ぶ教 設備の点検・評価、耐震強化工事などを作業安全と火災 東 京 電 力 グ ル 防止を徹底しながら、着実かつ慎重に進めています。 室」という研修を行っています。 「失敗に学ぶ教室」は、専用の模擬設備を利用して過去の 失敗事例を疑似体験することで、発電所作業に携わる者全 ・5号機 建物・構築物、機器の設備点検、耐震強化工事及び系 ー プ と 社 会 と の 関 わ り 統機能試験が完了しました。 員の安全意識の向上をはかっています。 2007年に再発防止対策の取り組みの一つとしてスター トしたこの教室は、順次内容を充実させており、現在では 23項目のカリキュラムを実施しています。 放射性物質の付着を疑似体験 光る溶剤を使って放射性物質の付着を疑似体験し、放射性管理区域内での正し い作業手順を学びます。 配管などのサポートの耐震強化工事 (3号機) 物品の運搬 方法を学ぶ 放射性物質の 付着が考えら れる物品は抱 えない 放射性物質が付着した物 品を運ぶときに抱えてし まうと… 作業服に放射性物質が付着する ことを確認(青白く光って見える のが放射性物質を模擬した溶剤) 主排気筒の耐震強化工事(3号機) 東 京 電 力 と 原 子 力 発 電 タービンの点検・復旧作業 (4号機) 71