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1. 体裁・書式 2. 内容の構成

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1. 体裁・書式 2. 内容の構成
1. 体裁・書式
レポート・論文を作成する場合,内容が適切であることはもちろん重要だが,体裁や書式が決め
られたルールにしたがったものであることも同様に重要である.以下に,必ず守らなければならない
これらのルールについて示す.これらのルールに従っていないレポートは,採点の対象としないので
じゅうぶんに気をつけて,習慣づけてしまうことが必要である.
1-1
レポート用紙
レポート用紙は,A4 サイズの用紙を用いる.縦置き,横書きとする.本文のほかに,必ず必要事
項(科目名,提出日,提出者の学籍番号・専攻と氏名)を記入した表紙をつけ,左上 1 箇所をホチ
キスで留める.クリップなどで仮留めしてはいけない.
1-2
書式
レポートの書式は,1ページあたり,40 字×40 行とする.上下左右の空白は上下左右各 25mm と
し,下中央にページ番号を振る.ページ番号は,表紙を除いた本文の 1 ページ目から,1から順に
振る.本文以外の資料(実験材料や質問紙など)を付録としてつける場合は,付録にはページ番号
を振る必要はない.付録が大量にあり,ページ番号を振る方がよい場合は,付録の中で1からペー
ジ番号を振る.
なお,手書きによるレポートも受け付けるが,なるべくワープロ(ワードなど)・表計算ソフト(エクセ
ルなど)を用いて作成することを推奨する.ワープロで作成する場合,フォントは明朝体あるいはゴシ
ック体を用い,奇抜なフォントは用いないようにする.本文のフォントサイズは 10.5 ポイント程度とす
る.レポートはコピーを取る場合があるので,白黒 2 色で作成する.特に指示があった場合を除き,
写真やグラフなども白黒で作成しなければならない.
2.
2-1
内容の構成
全体の章立て
心理学のレポートは,原則として「要旨」「目的」「方法」「結果」「考察」「引用文献・参考文献」と
いう 6 つの章立てで構成される. 以下,それぞれの章でどのようなことを書くべきかについて説明す
る.
2-2
要旨
目的,方法,結果の各章の要点をそれぞれ 1,2 文で簡潔に書き,それらに基づく結論(得られた
結果から要するに何が言えるのか)を記述する.一般に,全体で 300~400 字程度でかまわない.
各章の要点といっても,単にそれぞれの章から重要そうな文章を抜き書きしてつなぎ合わせるので
はなく,どのような内容の論文であるのか,要旨を読めば大まかな流れが把握できるように書かなけ
ればならない.
0
2-3 目的
この研究(実験・調査・観察,あるいはその組み合わせ)は何を調べるためのものであるのか,つ
まり何を目的にして実験(調査・観察)をおこなったかを,読んだ人が誰でも容易にかつ詳細に理解
できるような文章で記述する.
「目的」は,単に「~を調べるため」と書くだけでは,どこに意義があるのか,なぜこの研究をおこな
う必要があったのか(必然性)がよくわからない.これでは読者は「面白そうな研究だな,読んでみよ
う」とは思わないだろう.よって「目的」の章では,
z
「問題の提起(そもそもなぜこのテーマを取り上げるのか)」
z
「この問題が心理学(人間行動のしくみを解明する上で)どのように位置づけられるのか」
z
「この問題に関してどのような先行研究があり,何がわかっており,何がわかってないか」
z
「何を調べればさらに問題の解明が進むと考えられるか」
z
「そのためにはどのような研究をおこなう必要があるか」
z
「どのような仮説を設定して研究をおこなったか」
について,できるかぎりわかりやすく,順序よく記述していき,どうしてこの問題提起から今から述べる
研究をおこなうに至ったのかを説明しなければならない.つまり,「~について調べる」といった漠然
とした状態から,さまざまな情報を検討した上で,明確で具体的な予想(仮説)を立てるまでのプロ
セスを記述することが必要となる.
この章は,論文の最初の部分であるから,最初に書き始めることになるだろうが,必ずしも最初に
書き上げなければならない部分ではない.わかりやすく,順序よく書くためには,自分が取り上げた
テーマについてよく理解していること,関連する先行研究にどのようなものがあったのかをきちんと調
べておくことの両方が必要である.まず書き始める前に,自分が研究テーマについて考えたこと,調
べたことをすべて残らず書き出してみて,議論の組み立て方を考えることから始めよう.
また,実験実習の授業においては,これらの作業はほとんどが担当教員から「あらかじめ指示され
た」ものである場合がほとんどである.しかし,配布資料等を丸写しするのではなく,各自が参考文
献を加え,情報を大幅に追加した上で,あなた自身がすべての研究を計画し進めたかのように書き
上げることが求められる.
2-4
方法
「方法」の章では,研究(調査,観察,実験)の対象,材料・装置(用いた機材,刺激,質問紙等),
実施手続きを書く.それぞれの項目ごとに節にわけてタイトルをつける方がわかりやすい.
方法の記述でもっとも心がけなければならないことは,読者がこれを読んで同じ研究を同じやり方
でできる(これを「追試」という)ように,実験の中身を不足なく詳しく説明することである.研究の内容
をまったく知らない人が読んでわかるようなものをこころがける必要がある.
ただし,質問紙や実験に使った材料などをすべて載せると,非常に量が多くなる場合もあるだろ
う.そのようなときには,「付録」として論文末尾に添付し,本章においては「詳細については付録を
参照」などと引用する書き方でもよい.方法の説明には,図や表を用いた方がわかりやすい場合も
あるので,各自わかりやすいように工夫しよう.たとえば,実験室の見取り図が必要だったり,観察を
おこなった場所をわかりやすく説明することが必要 だったりする場合は,デジカメで写真 を撮って,
それを貼り付けるなどするのもよいだろう.以下,各項目について書く内容を詳しく説明する.
1
なお,実習時に配布される資料では,方法については箇条書きなどでより簡潔に説明されている
ことが多いが,レポートではこれをそのまま引き写してはならない.わかりやすくなるよう的確に言葉
を補って,文章として書き換えることが必要である.ただし,だからといってだらだらと文章のみを書
き連ねるだけでは読みにくさを助長する場合もあるので,適宜節をわけるように工夫すること.要は
いかに読みやすくわかりやすい説明をするか,ということにつきる.
2-4-1
研究の対象
研究対象者の人数や属性を記述する.属性には,年齢(範囲 and/or 平均値,場合によっては
年齢の内訳も),性別,職業などが含まれる.テーマによって必要な属性情報はさまざまであるが,
年齢と性別については,常に記述した方がよい.例えば,
z
実験参加者は,男性 30 名(平均年齢 20.5 歳)と女性 30 名(平均年齢 20.4 歳)の 60 名
で,いずれも大学生であった.
z
調査対象者は,19 歳から 22 歳までの大学生 120 名(平均年齢 21.1 歳)で,性別の内訳
は男性 75 名,女性 45 名であった.
などである.
その他,研 究 対 象 者の特 定の能 力 (視覚に関 わる実 験なら視 力は正 常か,色 覚 に異 常はない
か,など),経 験(コンピュータの複 雑な操 作を必 要とする実 験なら,過 去の利 用 経 験やタイピング
能力)など,研究結果を解釈する際に関係がある(その能力や経験の多少によって,よくできたりで
きなかったりの違いがある)と考えられる属性があれば,それも合わせて測定し,記述しなければなら
ない.
2-4-2
材料・装置
実験や観察をおこなった場合は,図版などの刺激,刺激を呈示したりデータを計測するための装
置など,用いた材料を記述する.必要ならば装置や刺激の写真やイラスト,観察現場の写真などが
あるとよりわかりやすい.質問紙調査の場合は,質問項目をわかりやすくまとめて列挙し,それぞれ
がどのようなものを測定している項目であるかについても詳しく説明する必要がある.
2-4-3
手続き
まず,実験の場合は,基本的に,時間の流れに沿って順番に実施の流れを記述しなければなら
ない.その内 容は,実 験 者は何をしたか,実 験 参 加 者は何 をしたか,装 置がどのように動 作し,刺
激はどのように提示されたか,実験参加者にはどのような教示が与えられたか,などである.箇条書
きにしたり,流れ図を作 ったりすると分かりやすいだろう.観 察の場合もほぼ同様である.調査の場
合は,どのような手続きで調査 対象 者 に質問紙を配布し,回 答結 果を回収したかについて記述 し
なければならない.
2-5
結果
データの分析の手順,及びその結果を記述する部分である.いくつかの分析のまとまりごとに節
タイトルをつけ,分けて書く方がわかりやすいだろう.
結果の記述では,単に文章で分析結果の数値を書き並べるだけではなく,図や表を有効に使っ
て,読者にわかりやすくするように心がける必要がある.読者にとって,あるテーマに関してどのよう
な分析がおこなわれ,その結果どのようなことがわかったのかが,順序だてて理解できるように書くこ
2
とが重要である.とくに,検定結果がとても複雑だったり,非常に数が多かったりする場合は,それら
を表にまとめて記載しておくことは,読者にとって大変助けとなる.以下に,結果記述の際に留意す
る点について述べる(図表の書き方については,「4. 図表の書き方」で詳しく説明する).
2-5-1
結果を述べるための 5 つの手順
結果を記述する際は,通常はいくつかの分析結果について順序立てて述べていくことになる.そ
れぞれの分析結果を記述するにあたっては,次の順序で情報を書いていけばよい.
なお,統計的分析をおこなった場合は,結果の記述方法についてもさまざまなルールがある.こ
こで挙げる例を参照するほか,「心 理統 計法」等の講義で説明される内容や本 資 料末 尾に示 した
参考文献などを参考にすること.
(1)結果をあらわす数値の明示
結果をあらわす数値(平均値,中央値,標準偏差など)として何を選んだかを明示する.
例:「条件Aと条件Bごとに,実験参加者の評定値の平均値を求めた.」
(2)図表の挿入と説明
変数が明確になるような図表を挿入し,その内容を説明する.
例:「評定値の平均値を条件A,条件Bごとに示したのが図 1 である.」
(3)どのような統計手法を使うかの明示
あらかじめ立てていた仮説と照らし合わせながら,どのような統計手法を用いて得られたデータに
ついて検討をおこなうのかを記述する.
例:
①「条件Aと条件Bの評定平均値の差を比較するために,対応のある t 検定をおこなった.」
②「条件Aと条件Bとの関連について調べるために,ピアソンの積率相関係数を求めた.」
(4)使われた統計手法の結果の明示
使われた統 計手 法の結 果について必要な情 報 を漏らさずに述べる.有 意な差や効 果が得られ
た場合は必ず数値を書き,有意でない場合には数値は書かないのが一般的である.
例:
①「対応のある t 検定の結果,条件A(評定平均値 5.35)と条件Bの平均値(評定平均値 6.89)
の間には,1%水準で有意差が認められた( t (10) =4.56, p <.01).」
②「ピアソンの積率相関係数を求めたところ, r =.86 という有意な値が得られた.」
(5)得られた統計的結果の意味の記述
得られた統計的結果の意味するところを記述する.心理学における統計の活用で重要なのはこ
の点である.単に有意な差や効果が得られたということが重要なだけではなく,それが何を意味し
ているかを必ず記述しなければならない.
例
①「すなわち,条件Aよりも条件Bの平均値の方が,有意に高いことが明らかになった.」
②「非常に高い正の相関が得られ,条件Aと条件Bの関連は強いことが明らかになった.」
2-5-2
数値の記述に関するルール
結 果を記 述 する際は,多くの場 合,統 計 的 分 析 の結 果 から得られた数 値を元に論 じることが必
要となってくる.こうした数値については,図表あるいは本文中のどちらかで記述されていればよく,
図表中に数値が明記されているのであれば,それを本文中で再掲する必要はない.
数値を記述する場合に心がけるべきことは,(いくら計算機やソフトウェアがたくさんの桁数を出力
したとしても)小 数 点 以 下 の桁をダラダラ書きすぎないことと同 じ性 質 の数 値 は論 文 中 ですべて桁
3
数を揃えることである.
数値の記述スタイルは,自分たちが測定した値の精度にもとづいて決める必要がある.基本的に
は,平均を計算する時のように,測定した値に関して何らかのかけ算・割り算をおこなう際の計算結
果は,測定した値の小数点以下の桁数より「一つ多い」桁数で記述するようにする.さらに,その平
均値に基づいて標準偏差を計算したら,その値はさらに「一つ多い」桁数で記述する.例えば,次
のような表記となる.
「1」 と回答した人の人数が,クラス A では 10 人・クラス B では 15 人・クラス C では 9 人:整数
→「1」と回答した人数は,全クラス平均で 11.3 人:小数点以下 1 桁(2 桁目を四捨五入)
→標準偏差は 3.21:小数点以下 2 桁(3 桁目を四捨五入)
また,統 計 的 検定をおこなったり,多 変量 解 析 をおこなったりした場 合の統 計値(相 関 係数,推
測統計における F 値や t 値,χ 2 値など)は,小数点以下 2 桁までを記述する(3 桁目を四捨五入
する)ことが多い.整数の平均値を小数点以下 1 桁(2 桁目を四捨五入)とする以外は,多くの場合
小数点以下 2 桁までを記述する(3 桁目を四捨五入する)と覚えておいてもよいだろう.もちろん,小
数点 3 桁以下を含む数値をもとに議論する場合がまったくないというわけではないので,必要な時
は担当教員が別途指示する.
2-6
考察
論文の中で一番重要で,なおかつ一番難しい部分である.まず「考察」とは何であるかをしっかり
理解する必要がある.考察とは何を記述するところかというと,
z
主要な結果を紹介し,その結果が何を意味しているか
z
研究の当初の目的や問題,仮説と,結果との関係
¾
仮説が支持されたかどうかを判定し,仮説が支持されなかったのであれば,その理由に
ついて解釈を加える
z
研究の計画や実施方法についての問題点
z
この問題を今後どのように追究し,どのように発展させるべきか
などである.これらの要素がすべて含まれている必要があるわけではないが,少なくとも結果が出た,
だからどうだ,の「だから」以降の段階を記述するものであると考えてほしい.つまり,あるテーマに関
して集めたデータを分析した結果から,自分たちがあらかじめ考えていた仮説は検証されたか,デ
ータに示された人間の行動はどのような理由によるものだと解釈することができるか,あるいはこの研
究を発展させるとすればどのような方向性が考えられるのか,などについて,自分で考えたり,他の
類似した研究の結果を参考し,関連付けたりしながら,考えや解釈を述べる章ということになる.
なお,複雑だったり大量だったりしない分析による結果にもとづいて考察をおこなう場合は,結果
と考察はまとめて 1 章とした方がわかりやすい場合もある.しかし,まずは「結果」と「考察」のそれぞ
れがレポート・論文の中でどのような位置づけのものであるかをしっかり理解するために,基礎実験
実習ではそれぞれ別個の章を立てて記述しよう.
2-7
引用文献・参考文献
論 文 を書く上で,過 去 に出 版された文 献(書 籍 や論 文)を参 考 にしたり,文 中 で引 用 したりする
場合がある.引用文献とは,レポート中で紹介した書籍や論文のことであり,参考文献とは,レポー
ト中で直接ふれてはいないが,作成の際に参考にした書籍や論文のことである.一般に,何かのレ
4
ポートや論文を作成する場合,ひとつの引用・参考文献もないようなことは考えられない.基礎実験
実習においても,必ずテーマに関する書籍や論文(おそらく多くのものは実習中に担当教員から紹
介があるはずである)をよく読み,自分のレポートの中にうまく生かさなければならない.「うまく生 か
す」ということは,「文献から抜き書きしたものを適当につなぎ合わせる」ということは当然違うので注
意すること.
2-7-1
文中での引用の明示
文 中で書 籍 や論 文を引 用する場 合 ,引 用 した文 章の最 初 ,あるいは末 尾の適 切 な箇 所で,引
用であることを明記する必要がある.例えば,次のような書き方がある.
例 1:文頭で明記する場合
「山鳥(2004)によると,音読とは,呈示された単語を音に変換することであり,一方意味読とは,
ある程度意味を拾い出すことをいう.」
例 2:文末で明記する場合
「音読とは,呈示された単語を音に変換することであり,一方 ,意味読とは,ある程度意味を拾
い出すことをいう(山鳥, 2004).」
例 3:著者が 3 名以上いる文献を,複数回引用する場合
初出 「清水・清水・千野(1993)は,個人の内面の世界の一端を探ることを意図して,「三つの願
い」という検査をおこなった.」
2 回目以降 「清水ら(1993)の「三つの願い」検査の結果,次のようなことがわかった.」
例 4:章や節の多くの部分を,特定の書籍にもとづいて記述する場合 1
「本節では,社会的スキルの生起過程モデルについて,相川(1990)にもとづいて議論する.…」
また,文献の引用したい箇所の中に引用文献(つまり,あなたの引用したい文献の著者が引用し
ている文献)が存在する場合がある.こうした場合,本来はその「引用されている文献」についても同
様に入手して読む必要がある(つまり「孫引き」をしてはならない).日本語で書かれた論文・書籍で
あれば,よほどのことがない限り入手できるはずである.しかし,それがどうしてもできない場合は,必
ず「引用の引用」であることが分かるような表現にしなければならない.例えば,
例:
「清水(1996)によると,「清水・清水・千野(1993)は,個人の内面の世界の一端を探ることを意図
して,「三つの願い」という検査をおこなった.」という.」
などとする.くれぐれも,孫引きを乱用してはならない.なお,文献リストには,どちらの文献も記載し
なければならない.
2-7-2
インターネット上の資料の引用
最近は,インターネット検索を利用して資料を集めることも多くなってきた.インターネット上にある
ホームページ,PDF ファイルなども立派な著作物である.これらに書かれている情報を引用する場
合も,論 文 や書 籍を参 照したときと同 様に引 用 元を明 記する必 要がある.ただし,出 版されている
論文や書籍を紹介したホームページなども多数存在するが,それにもとづいてあたかも論文や書籍
から引用したように見せかけるのは「孫引き」であり,決してやってはならないことである.
1
ただし,たとえ概念の説明の部分であったとしても,引用ばかりの論文が好ましくないことは言うま
でもない!!
5
2-7-3
文献リスト
引用した文献は,参考にした文献は,レポート末尾にそれぞれ「引用文献」「参考文献」としてリス
トアップする必要がある.これらの文献リストは,適当に書き並べればよいというものではない.きちん
とした並べ方 ・書き方のルールがあるので,それを必ず守って書かなければならない.本レポート,
および卒業 論文等,人 間心理学 科 で作成されるすべてのレポート・論文については,下記のルー
ルにしたがって作成するものとする.
以下のような書き方のスタイルで作成した文献リストを,著者の姓のアルファベット順(日本語によ
る書籍や論文の場合は,著者名をローマ字に直した場合の順)に並べる.日本語の文献と,英 語
など外国語の文献を分けて書く必要はない.同一著者の文献が複数ある場合は,年代の古い方か
ら順に並べる.
特に引用文献については,「本文中で引用されているのにリストにない」「リストにあるのに本文中
で引用されていない」というようなことがないよう注意しよう.
(1)学術雑誌掲載論文
学術雑誌に掲載された論文を引用する場合に必要な文献情報は,掲載する順に 1)著者名,2)
出版年,3)論文の題名,4)掲載された学術雑誌名,5)掲載された巻・号,6)掲載されたページ(始
め~終わり)である.掲載された巻数は太字ゴシック体,英文雑誌の場合は,掲載された学術雑誌
名は斜字体とする.
大沼夏子・箱田裕司・大上渉 2002 目撃した出来事の情動性は情報源モニタリング能力にいか
に影響するか 心理学研究, 73, 391-398.
Rosenblum, K., Anderson, M. L., & Purple, R. L. 1981 Normal and color defective
perception of Fechner-Benham colors: Implication for color vision. Vision Research ,
21, 1483-1490.
(2)書籍
書籍を引用する場合に必要な文献情報は,掲載する順に 1)監修・編・著者名,2)出版年,3)書
名,4)出版社名である.ただし,監修者や編者が存在する,すなわち「章ごとに執筆者が異なる」書
籍の特定の章から引用する場合は,1)当該章の著者名,2)出版年,3)当該章名,4)書籍の監修・
編者名,5)書籍名,6)出版社名となる
(書籍全体を引用する場合)
狩野裕・三浦麻子 2002 グラフィカル多変量解析(増補版) 現代数学社
R.J.スタンバーグ(宮 元 博 章 ・道 田 泰 司 監 訳 ) 2000 アメリカの心 理 学 者 心 理 学 教 育 を語 る
北大路書房
Wallace, P. 1999 The psychology of the Internet. Cambridge University Press.
(監修者や編者が存在する書籍の特定の章から引用する場合)
Gabrielsson, A., & Lindstrom, E. 2001 The influence of musical structure on emotional
expression. In P. N. Juslin & J. A. Sloboda (Eds.), Music and Emotion:Theory and
Research . New York: Oxford University Press. Pp. 431-449
酒 田 英 夫 1991 視 覚 と空 間 認 知 の脳 内 メカニズム 伊 藤 正 男 (編 ) 脳 と思 考 紀 伊 国 屋 書 店
Pp. 243-263.
6
(3)インターネット上の資料
インターネット上のホームページを引用する場合に必要な文献情報は,掲載する順に 1)著者名,
2)発表年,3)表題,4)アドレス(URL)である.
川上善郎・川浦康至・山下清美 1998 サイバー空間における日記行動報告書
http://homepage2.nifty.com/rumor/nikki/nikki.html
7
3. 文章の書き方
レポートや論文は,学術的な性格をもつものである.学術的というのはどういう意味かというと,事
実と筆者の考えを読者である他者に伝達する手段であるということである.そして,その基本的な構
造は,前提や事実から結論を導いていく論証であるということになる.また,論文を書く上で想定す
べき読者は,ゼミの先生や同級生ではなく,この分野が必ずしも専門ではない人である.あいまいな
表現はなるべく使わないようにして,どんな人が読んでも「ああ,この研究はこういうものなんだな」と
いうことが同じように理解されるように記述することを心がけなければならない.
3-1
個人的見解(主観)は原則として書かない
原則として筆者はレポート・論文中に登場しない.例えば「私は~と思う」「私は~と考えた」といっ
たような表現は用いずに,「~と思われる」「~と考えられる」といった表現を使う.受動態を使うことに
よって,より客観性が高められる.
3-2
適切な時制を使用する
目的や仮説の章は,現在時制で書く.方法,結果といった章は,原則として過去時制で記述す
る.なぜなら,既におこなったことについて書くものだからである.
3-3
文章は簡潔に,できるだけ短い文を用いる
だらだらと文章を書き連ねるのではなく,できるだけ簡潔で短い文章を用いる.目安としては 1 文
を 40 字前後とすることを心がけるとよいだろう.また,「第一に」「第二に」や「まず」「次に」など箇条
書き的な表現を使うことによって,読者が理解しやすい簡潔な表現を心がけるべきである.
ただしこれは「箇 条 書き」や「体 言 止 め」を推 奨しているわけではない.特 に方 法の章 などでは,
書くべき情報を箇条書きや体言止めで書きたくなるかもしれないが,極力文章で書くように心がけて
ほしい.
×「図 1 を見ると,~のようなことがわかるようであるが,~のことを示していないわけではないよう
である.」←文が長い上に,意味も曖昧!!
○「図 1 は,次の 2 つの可能性を示している.第一に~,第二に~である.」
×「実験参加者は,男性 20 名,女性 40 名の計 60 名.実験日は,2005 年 6 月 10 日.」←体言止
め
○「実験参加者は,男性 20 名,女性 40 名の計 60 名であった.実験がおこなわれたのは,2005
年 6 月 10 日である.」
3-4
自分勝手な略語を使わない
何度も出てくる比較的長いキーワードをわかりやすい単語で表現したり,実験の条件群の命名な
どを簡潔におこないたいことがある.こういう場合は,必ず最初は元々の表現を明記した上でどのよ
うな略語を用いるかを明確に記述してからおこなう.また,用いる略語は内容をよくあらわしたものと
しなければならない.
8
×「方向感覚能力の高い群を A 群,低い群を B 群とする.」←アルファベットと内容の対応がない
○「方向感覚能力の高い群を高群,低い群を低群とする.」
3-5
必ず提出前に推敲・校正をする
レポート作成に割ける時間は限られている.しかし,書きっぱなしで提出するようなことがあっては
ならない.必ず提出する前に数回読み直し,誤字脱字はないか,意味不明な表現はないか,もっと
わかりやすく書くことはできないか,などさまざまな点についてチェックすること.
3-6
返却されたレポートを読み直す
担当教員やチューターのコメントをよく読んで,どこが問題であったのかをよく考える.最初の頃は
いろいろと行き届かない点やミスがあっても仕方がないだろう.しかしその代わり,指摘されたミスは,
二度と繰り返さないようにすること.
4.
4-1
図表の書き方
図・表に共通の注意事項
まず,図と表を作成する場合に,両者に共通して留意しなければならない点について説明する.
4-1-1
通し番号と見出し
図や表には必ず通し番号と見出しをつけなければならない.レポート中で初出の図から順に番号
をふっていけばよく,章ごとに番号をふり直す必要はない.また必要があれば,図表中で用いられて
いる用語や符号の説明もつける必要がある.
4-1-2
図表と本文の対応
レポート中に図や表を載せた場合,必ず本文でそのことについてふれなければならない(逆に言
えば,本文に登場しない図や表は載せる必要がない).読者に特に注目してもらいたい部分につい
ては,図表のどの部分を示しているのかを明確にし,本文で説明を加える必要がある.「結果は図x
の通りであった」,「表xから・・・と結論できる」のような簡単すぎるふれ方では,読者はどこを見てい
いのかわからなくなり,困惑してしまうかもしれない.
4-1-3
形式の統一
同類の内 容 のものは,同 一の形式の図表にしなければならない.例えば,似たようなデータをを
図式化するのに,片方の図は棒グラフ,次の図では円グラフ,といったように,異なる種類のものを
混在させないようにする.
4-1-4
図と表の重複
同一の内容のデータを図と表で重複して記載しないように注意する.図にしたものを表にしたり,
表にしたものを図にしたりする必要はない.
4-2
図に関する注意事項
図に関する注意事項は,以下に示すとおりである.詳細については,次ページの例を参照するこ
と.
4-2-1
図の種類
図 は,グラフ(折 れ線 ,棒 ,円 など),散 布 図 ,刺 激 や理 論 の説 明 図 や写 真 などがある.連 続 量
(切れ目なく続いているとみなしてよい量 例えば 1 日目と 2 日目)の変数を横軸として縦軸の変数
9
の変化を示すような場合は折れ線グラフ,カテゴリカル(バラバラで連続していない量 例:男性と女
性)な変数を横軸とする場合は,棒グラフを用いるのが一般的である.
4-2-2
通し番号
図は下中央に「図1,図2・・・」または「Figure 1,Figure 2,・・・」と通し番号をつける.
4-2-3
見出し
図の見出しは,通し番号に続けて記述する.その図の意味を簡潔にわかりやすく示 す表現を工
夫する必要がある.「実験の結果」とか「平均と分散」などという表題では,具体的に何の結果や何
の平均や分散であるかがわからないので,見出しをつける意味がない.
4-2-4
軸・目盛
縦軸,横軸の軸名,目盛を必ず適切に記入する.数値が軸となる場合は単位を明示しなければ
ならない.また,同じ変数を縦軸に取る複数の図を書く場合,いずれの図の目盛りも同じにしておか
なければならない.エクセルなどでグラフを作成する場合は,自動的に縦軸の目盛りが設定されて
しまい,必ずしも適切なものとならないことがあるので,に特に注意すること.
4-2-5
白黒印刷
図は,白黒で十分に表現可能であるから,カラーにする必要はない.白黒で作成すること.また,
立体グラフや影付きグラフなども,かえって読み取りにくくなるので避けること.
4-3-6
注
図に関する注は,図の下方に記述する.
10
1文字
2文字
3文字
900
800
600
500
400
300
200
100
0
単眼視
両眼視
観察条件
図1 文字の正誤判断における文字数の効果
100
セットサイズ小
セットサイズ大
80
再生率(%)
反応時間(ms)
700
60
40
20
0
1
2
3
4
5
6
経過時間(h)
図2 忘却曲線における刺激セットサイズの効果
11
4-3
表に関する注意事項
表に関する注意事項は,以下に示すとおりである.詳細については,次ページの例を参照するこ
と.
4-3-1
通し番号
表は上中央に「表1,表2・・・」または,「Table 1,Table 2,・・・」と通し番号をつける.
4-3-2
表題
表の表題は,図と同様,表の意味を端的に言い表す表現を工夫すること.
4-3-3
位置揃え
見やすいように表中のデータ位置は揃えること(がたがたに並ばないようにする).
4-3-4
罫線
罫線は最小限にとどめる.一般的には,縦の罫線は描かない.
4-3-5
注
表に関する注は,表の下方に記述する.
表3 小学生の学年ごとの学校外学習時間(単位:時間)
平日
平均学習
土曜日
内訳
平均学習
内訳
時間
家庭学習
塾
時間
家庭学習
塾
1年生
0.71
0.66
0.05
0.72
0.72
0.00
2年生
1.07
0.98
0.09
0.54
0.54
0.00
3年生
0.88
0.76
0.12
0.27
0.27
0.00
4年生
1.34
0.87
0.47
0.92
0.80
0.12
5年生
1.25
0.85
0.40
0.95
0.73
0.22
6年生
1.49
1.00
0.49
1.19
0.68
0.51
悪い例(桁数も配置も不揃い)
要因 A
5.23
1.23
良い例
要因 B
要因 A
要因 B
6.10
5.23
6.10
1.9
4.20
1.90
12
【参考文献】
荒木晶子・向後千春・筒井洋一 2002 自己表現力の教室 情報センター出版局
フィンドレイ(細江達郎・細越久美子 訳) 1996 心理学実験・研究レポートの書き方-学生のた
めの初歩から卒論まで 北大路書房
小笠原喜康 2002 大学生のためのレポート・論文術 講談社現代新書
小笠原喜康 2003 大学生のためのレポート・論文術 インターネット完全活用編 講談社現代新
書
戸田山和久 2002 論文の教室-論文から卒論まで NHK 出版
【参考になるインターネット上の資料】
梶山皓 2000 E テキスト「レポートの書き方」
http://www2.dokkyo.ac.jp/~msemi008/index2/e_text/index.html
向後千春 スタディ・スキル http://www.kogolab.jp/educ/tips/
岡知史 2003 論文の書き方の基礎概念(上智大学文学部社会福祉学科_岡知史)
http://pweb.sophia.ac.jp/~t-oka/edu/writing/index.html
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