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板ガラスの熱割れ強度 - 旭硝子の Glass Plaza
4-6 強度・安全 4-6 板ガラスの熱割れ強度 窓にはめ込まれたガラス、特に熱線反射ガラス、 2熱割れ防止のための注意 熱割れの面で条件が厳しくなりますので注意し 熱線吸収板ガラス、網入板ガラスなどは、太陽 熱割れを防止するためには、基本的に、切断・ てください。 日射を吸収し、その温度上昇で割れることがあ 施工を良好に行い、ガラスのエッジ強度を低下 ●サッシ・カーテンウォールの取り付け状態 ります。この割れの現象を熱割れと呼んでいま させないこと、ガラス内での温度差をできるだ および構造について す。 け大きくしない使用状態とすることが重要です。 ①ガラスとサッシのクリアランスは5mm以上確 以下に、各条件下での注意事項を列挙します。 保し、ガラスとサッシの間をできるだけ断熱する 1熱割れ現象とその特徴 ●ガラス品種について ようにします。 ●熱割れ現象 ①熱線吸収板ガラス、サンルックス、サンカッ ②サッシが熱容量の大きいコンクリートに直付 日射が直接当たる窓ガラスの被照射部は、吸熱 トΣ、ラミセーフセキュリティまたはセキュレの けされている場合、日射を受けてもサッシ温度 して高温となり膨張します。一方、ガラスの周辺 クールベールタイプなどの製品は、日射吸収率 が上がらず、ガラス周辺部が低温のままになり、 被照射部との温度差が大きくなるので、特に熱 部はサッシに呑み込まれているため日射を受け が高く、日射熱を多量に吸収するので、被照射 ず、またサッシや躯体への放熱もあり、低温のま 部は高温となり、通常のガラスと比較して熱割 割れ防止の注意が必要です。 まになり膨張しません。このため、高温部の熱 れが生じやすくなります。これを防止するために ●施工について 膨張を周辺部が拘束する状態になります。これ は、金属サッシとガラスとの断熱を十分に行い、 ①ガラスエッジはクリーンカットされ周辺に傷の をガラス内部の力の状態でいうと、ガラス周辺 ガラスエッジ部からサッシへの放熱を防ぐこと ない状態で施工してください。 部に引張応力が発生していることになります。こ が必要です。 ②ガラスとサッシが直接に接触しないよう、十 の引張応力 (熱応力ともいう)は、被照射部と周 ②網入・線入板ガラスは、金網や金属線が封入 分にクリアランスをとった状態ではめ込んでく 辺部との温度差に比例し、ガラスのエッジ強度 されているためクリーンカットがしにくく、金属 ださい。 ③パテは断熱性が悪く、水密性も良くないので、 を超える引張応力が発生するとガラスが破壊し とガラスの熱膨張率が異なるため、エッジ強度 ます。この現象を一般に熱割れと呼んでいます。 はフロート板ガラスの半分程度となります。さら 弾性シーリング材(シリコーン系やポリサルファ ●熱割れの特徴 に、雨水や結露水がサッシ内に浸入して錆が発 イド系) をご使用ください。 熱割れは基本的には、ガラスの被照射部と周辺 生すると、強度低下を引き起こすことがあるの ●使用状態について 部との温度差が著しい場合に生じるのですが、 で、水密性の高い施工や防錆処理が必要です。 次のような状態を避け、ガラス温度がなるべく 施工状態が悪くエッジ強度が低下している場合 ③特に、網入板ガラスを用いた複層ガラス等(サ 高くならないように注意してください。 ①ガラスの内側にカーテンやブラインド、その には、さらに起こりやすくなります。また、熱応 ンルックス、サンカットΣと網入板ガラスを用い 力の大きさは、窓の方位やガラスの品種、ガラ た合わせガラス・複層ガラス、Low-Eガラスと 他の遮蔽物を密着させないでください。ガラス スの使われ方によって違いがあるほかにも、日 網入板ガラスからなるサンバランス、フロート板 が吸収した熱が放熱されにくくなります。 影の状態、カーテンの影響、ガラスの大きさに ガラスと網入板ガラスからなるペアガラス)は、 ②冷暖房用エアーを直接ガラスに当てたり、強 も左右されます。 以下に、ガラスの熱割れの主な特徴を示します。 ①ガラスの熱割れが発生しやすいのは、冬期の 晴れた日の午前中です。冬期は大気が澄んでい (a)非分岐破壊 日射 る日が多く、特に建物南面への日射量が大きく なり、しかもサッシ周辺の温度が低下しているか らです。 ②普通、ガラスの熱割れは、ガラスの太陽エネ 高温部 吸熱 ルギー吸収率、エッジの状態だけでなく、サッシ 直角 低温部 の取り付け状態、影の状態、使用状態などの条 件が複合して発生するものです。 放熱 ③ガラスの熱割れの状態は、 図 1 のように、ガ (b)分岐破壊 放熱 ラスのエッジから始まり、まずエッジ辺に直角に 走り、それから蛇行していることが特徴です。 ④ガラスの熱割れには、クラックが1本だけ入る 熱割れ 壊とがあります。 ( 図 1(a)、(b)参照)非分岐破 壊は、一般に、小さな熱応力で熱割れが発生し たことを示し、分岐破壊は、比較的大きな熱応 拘束 膨張 圧縮応力 引張応力 非分岐破壊と、クラックが2本以上入る分岐破 中央部=高温 サッシ仮想線 力で熱割れが発生したことを示します。 周辺部=低温 図1 4-6-1 熱割れ現象 直角