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邦銀を取り巻く環境と三井住友銀行の戦略

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邦銀を取り巻く環境と三井住友銀行の戦略
一橋大学
三井住友銀行寄附講義
邦銀を取り巻く環境と三井住友銀行の戦略
2016年4月20日
三井住友銀行
経営企画部金融調査室長
森口善正
© Copyright Sumitomo Mitsui Banking Corporation
本日のトピックス
はじめに
邦銀を取り巻く環境
三井住友銀行の戦略
おわりに
1
自己紹介
森口 善正
・1965年生まれ 50歳 奈良県出身
・1989年東京大学法学部卒
【職歴】
1989年:住友銀行入行
1998年:経営企画部金融調査室ニューヨーク駐在、同駐在ヘッド
2006年:経営企画部金融調査室 業務環境・戦略調査グループ長
2011年:経営企画部金融調査室次長
(SMFG会長の経団連副会長としての活動をサポートするチームのヘッド)
2015年:経営企画部金融調査室長
2
三井住友銀行のご紹介
株式会社 三井住友銀行
名称
(英語表記: SMBC
Sumitomo Mitsui Banking
Corporation)
従業員数 28,149人
拠点数
国内本支店数 461ヵ所
海外拠点数
71ヵ所
業容
総資産
貸出金
預金
156兆 4,875億円
68兆 7,969億円
92兆 0,029億円
資本金
1兆 7,710億円
本店東館
〈2015年完成〉
本店
(東京・大手町)
三井住友フィナンシャルグループの
中核的存在
備考
「三井」・「住友」の2大企業グループ
を含む大企業顧客基盤と、中小企業
及び個人の顧客基盤の厚さは本邦
トップレベル
(注)データは2015年9月末時点
大阪本店(大阪・淀屋橋)
3
三井住友銀行の沿革
(1895年創業)
住友銀行
(1876年創立)
三井銀行
(1936年設立)
神戸銀行
(1940年設立)
太陽銀行
(1973年合併)
太陽神戸銀行
(1990年合併)
太陽神戸三井銀行
さくら銀行
(1992年商号変更)
(2001年4月合併)
三井住友銀行
4
三井住友銀行の組織図
三井住友銀行
リテール部門
個人・中小企業のお客さま向け
資産運用、住宅ローン、クレジットカード等
ホールセール部門
国内法人のお客さま向け
融資、債券発行、増資、戦略アドバイザリー等
国際部門
国際展開するお客さま向け
海外展開、海外でのビジネス支援、海外企業との取引等
市場営業部門
お客様の市場取引ニーズへの対応・銀行のリスクのヘッジ
為替・株式・債券のディーリング、デリバティブ取引等
投資銀行部門
高度な経営課題対応へのプロダクツ・ソリューション組成
シンジケートローン、プロジェクトファイナンス等
本部
コーポレートスタッフ部門、リスク管理部門
等
5
複合金融グループとしての三井住友フィナンシャルグループ

銀行業務を中心に、リース業務、証券業務、コンシューマーファイナンス業務、
システム開発・情報処理業務などのさまざまな金融サービスにかかわる事業を行っています
銀行
リース
証券
コンシューマー
ファイナンス、
クレジットカード
シンクタンク・
システム開発・
情報処理等
6
金融とは
直接金融
間接金融
出資・投資
個人
投資家
証券会社
預金
貸出
利息
利息
個人
出資
企業
銀行
配当
企業
企業
配当・利子
貯蓄の吸収 + 信用創造
7
銀行の業務
預金-個人や企業からの預金の受入れ
固有業務
貸出-個人や企業への融資
為替-振込や送金等
付随業務
その他
両替、デリバティブ取引 ほか
投資信託の販売 ほか
8
5つの経済主体と銀行の役割
政府
海外
国債償還
投資、
国債購入
分配、
国債償還
国債購入
銀行
貸出(住宅ローン等)
預金
貸出
企業
預金
家計
9
本日のトピックス
はじめに
邦銀を取り巻く環境
三井住友銀行の戦略
おわりに
10
邦銀を取り巻く環境~4つのトレンド~
1
成熟する国内マーケット
2
拡大する海外マーケット
3
変化する規制環境
4
進化するイノベーション
成熟する国内マーケット
実質GDP成長率
(%)
15
1960~73年平均
(高度成長~オイルショック前)
10
1974~90年平均
(~バブル期)
少子高齢化の進行
(億人)
1.4
65歳以上
人口
1.2
推計値
1.0
0.8
5
90~2012年平均
(失われた20年)
15~64歳
人口
0.6
0.4
0
0.2
0.0
▲5
1960 70
(資料)内閣府
80
90 2000 10 (年度)
15歳未満
人口
1960
80
2000
20
(資料)総務省、国立社会保障問題・人口研究所
40
60 (年)
12
個人金融資産 ~貯蓄から投資へ
万
個人金融資産の推移
個人金融資産に占める比率
(%)
70
(兆円)
2000
1800
その他
1600
年金
保険
1400
投資
信託
1200
株式
1000
60
現預金
50
40
30
800
株式+投資信託
現預金
600
20
400
10
200
0
0
1980
90
2000
(資料)日本銀行 (15年度は12月末の残高)
10
(年度)
1980
90
2000
10
(年度)
13
企業の経済活動
企業の資金余剰・生産性の低下
(兆円)
80
(%)
15
10
企業の設備投資動向
非金融企業の資金過不足
対名目GDP比
(%)
20
設備投資 対名目GDP比
(右軸)
60
15
資金余剰
5
0
40
10
20
5
▲5
資金不足
▲ 10
設備投資額(左軸)
0
▲ 15
1980
90
(資料)日本銀行、内閣府
2000
10
(年度)
1980
90
(資料)財務省、内閣府
2000
0
10 (年度)
14
アベノミクス 新・三本の矢
第一の矢を通じて得られる成長の果実により、
第二・第三の矢の基盤を強化
新・第一の矢
新・第二の矢
希望を生み出す
強い経済
夢をつむぐ
子育て支援
• 賃上げ、最低賃金引上げ
• 設備投資促進
• 働き方改革 等
GDP
600兆円
• 仕事と子育ての両立支援
• 若者の雇用安定、
待遇改善 等
希望出生率
1.8
新・第三の矢
安心につながる
社会保障
• 仕事と介護の両立支援
• 健康寿命の延伸 等
介護離職
ゼロ
第二・第三の矢を通じて、
①将来不安が軽減し、消費を底上げ、
②多様な個人の能力発揮により、イノベーションを創出
15
日本銀行の金融政策
金融政策の変遷
(%)
7
(兆円)
400
公定歩合
(左軸)
6
ゼロ
金利
政策
量的緩和
5
包括緩和
量的・質的
金融緩和
300
マネタリーベース
(右軸)
4
350
250
3
200
2
150
1
100
0
50
▲1
90
95
00
05
無担保コール翌日物
(左軸)
10
0
15 (四半期)
(注)マネタリーベース:日本銀行が供給する通貨のこと。市中に流通する現金と、日銀当座預金(後述)の合計。
(資料)日本銀行
16
マイナス金利政策
マイナス金利政策の仕組み
市中金利の動向
(%)
0.4
10年国債利回り
預金
適用開始
0.3
個人
日銀
当座
日本銀行
預金
銀行
マイナス金利
発表
円TIBOR(3M)
0.2
0.1
企業
貸出
マイナス金利
適用
資金貸借
金融市場
0.0
円LIBOR(3M)
▲ 0.1
▲ 0.2
15/10
(資料)Bloomberg
15/12
16/02
(日次)
17
成長する海外マーケット~新興国の高成長
国別(地域別)名目GDP推移
(兆ドル)
25
世界のGDPシェア予想
米国
22.3
ユーロ圏
+英国
14.0
20
中国
17.1
15
(%)
100
80
15.1
17.8
18.0
3.8
4.8
6.4
7.4
15.5
17.8
中国
10.2
その他
先進国
18.5
ユーロ圏
+英国
24.4
23.2
米国
9.7
5.6
4.9
日本
2005
2015
11.2
60
27.5
10
アジア新興国
(除中国)
3.4
40
5
日本
4.7
20
0
05
(資料)IMF
10
15
20 (年)
0
その他
新興国
10.7
19.6
27.8
(資料) IMF
アジア
新興国
(除中国)
2020 (年)
18
変化する規制環境~国際的な金融規制強化
<金融危機で生じたこと>
<規制強化の背景にある考え方>
(大手金融機関を中心とした)
過度なリスクテイク
(銀行による)
リスクの高い投資を抑制する
<規制強化のメニュー>
リスクの高い投資
(自己勘定取引)の制限
報酬制限
健全性規制の強化
欧米大手金融機関の破綻
金融機関が
破綻しないようにする
⇒救済のため多額の公的資金
を投入
破綻しても
税金を使わないようにする
金融市場の混乱
金融市場の安全性を高める
 自己資本比率の水準向上
 自己資本比率の算出方法
厳格化
世界の金融システムに影響を及ぼす
巨大金融機関(G-SIFIs)には、
特別な規制を適用
金融市場改革
(デリバティブ規制強化等)
※上記を通じて、経済成長に
※ 実体経済への波及
貢献する金融システムを構築
19
進化するイノベーション~新たなプレーヤーの台頭
次々と登場する新たなテクノロジー
顧客ニーズ等の
変化
”Every time,
Everywhere”
テクノロジーの
進化・普及
• モバイル化の進展
• クラウド等による
ITインフラコスト低下
• スマートデバイス
• クラウド
• P2P
• ブロックチェーン
• 人工知能(AI)
• IoT
• ロボット
• ビッグデータ
既存金融ビジネスの
あり方を
大きく変革する
可能性のある
技術も登場
新プレーヤーによる新たな金融サービス
決済
新たなプレーヤー(FinTech企業)の台頭
 ITを活用し、顧客に対して
低コストかつ利便性の高い新サービスを
提供するプレーヤーが多数登場
 新プレーヤーのサービスが、
既存金融機関のビジネスを大きく浸食する可能性も
資産管理
運用
モバイルペイメント
・携帯電話等を用いた資金の支払い
PFM(パーソナル・フィナンシャル・マネジメント)
・個人向けの家計簿・資産管理サービス等
ロボアドバイザー
・人工知能を用いた運用アドバイス
クラウドファンディング
・インターネット経由で不特定多数から資金調達
資金調達
オンラインデータ融資
・決済データ等を基にオンラインで融資審査
20
本日のトピックス
はじめに
邦銀を取り巻く環境
三井住友銀行の戦略
おわりに
21
中期経営計画の概要
10年後を展望したビジョン
最高の信頼を通じて、日本・アジアをリードし、
お客さまと共に成長するグローバル金融グループ
「アジア・セントリック」の実現
「国内トップの収益基盤」の実現
「真のグローバル化」と「ビジネスモデルの絶えざる進化」の実現
3ヵ年の経営目標
1
内外主要事業におけるお客さま起点でのビジネスモデル改革
2
アジア・セントリックの実現に向けたプラットフォームの構築と成長の捕捉
3
健全性・収益性を維持しつつ、トップライン収益の持続的成長を実現
4
次世代の成長を支える経営インフラの高度化
22
リテールビジネス ~ 金融ニーズのトータルサポート
銀証リテール一体化ビジネスモデル
 3大証券会社の一角であるSMBC日興証券と連携し、「銀証リテール一体化モデル」を展開
 2015年に米Citiのリテール部門を統合、お客さまのニーズに合わせたトータル金融サポート体制を強化
資産形成期
資産運用・承継期
積極的な
運用ニーズ
2015年11月1日に、シティバンク銀行の
リテールバンク事業を統合
連携
資産・事業承継
ニーズ
23
リテールビジネス ~ ITの活用・ブランド戦略
ブランド戦略
IT活用によるサービス拡充


スマートフォンのユーザビリティ向上

スマホで残高照会・振込

口座開設用アプリの提供

パスワードカード電子化

SMFG版人生ゲーム

2014, 15年のプロ野球日本選手権シリーズに
特別協賛

テレビCM、Youtubeを通じたプロモーション強化
ソーシャルメディアの活用

Facebook、LINEの
公式アカウントを通じた情報提供

公式キャラクター「ミドすけ」
*期間限定でLINEスタンプを公開

外訪用タブレット

生命保険申込手続の電子化
24
ホールセールビジネス ~ 成長分野への取組み
ベンチャー創出・育成に向けた取組
日本成長戦略クロス・ファンクショナル・チーム
 5~10年後の日本を支える産業を金融ビジネスを
通じてサポートし、日本経済の成長に貢献する
日本成長戦略
国家的プロジェクト
ヘルスケア
✓08年6月以降、山中教授の
ノーベル賞を受賞前から、
iPS細胞の事業化に関する
サポートを実施
ベンチャー
創出
ヘルスケア
農業
観光
インフラ
エネルギー
その他分野
(ベンチャー支援)
大学
研究機関
投資家
東京2020大会
農業
✓農業の加工・販売への
垂直統合を進める、
6次産業化案件へ投資
政府
更なる成長
(IPO・M&A)
ベンチャー
育成
企業
実業家
ピッチコンテスト“未来2016”

ベンチャー企業や大企業からのスピンアウトを応援する
ピッチ(プレゼン)コンテスト「未来2016」を開催

メディカル・ヘルスケア、フィンテック、
ロボット、クールジャパン等、
幅広いテーマから
ビジネスプランを募集
25
ホールセールビジネス ~ 付加価値のある貸出の提供
評価型融資/私募債への取組み(2008年10月~)
 日本総合研究所等が、お客さまの先進的な取組状況を評価
 その結果に応じた条件で貸出等を行うとともに、評価結果をお客さまに還元
 商品ラインナップを拡充し、取組額累計は2015年9月末で約1.4兆円に
商品ラインナップ
取組額累計
(兆円)
1.5
1.0
0.5
0.0
26
イノベーションへの取組み
これまでの取組事例(構想フェーズ)
実行フェーズ
•スマートフォン決済サービスの
取り扱いを開始
•電子商取引向け決済代行
サービス会社設立
•画像認識サービス「GAZIRU」を
活用した品質向上の取組み
金融の枠を超えた
新たな付加価値
ITイノベーション
推進部
(2015年10月新設)
•人工知能「Watson」技術を活用した
コールセンター業務の品質向上
•グローバルアクセラレーターの
活用による新技術の発掘
27
海外ビジネス ~ 既存ビジネスの強化
海外貸出金残高
(10億米ドル)
200
欧州・中東・アフリカ
米州
アジア
150
46
45
61
62
47
航空機リース事業

グループ会社のSMBCアビエーション・キャピタルを
通じて、航空機リース事業を強化

保有機体数は300機超(世界第3位)
51
42
100
40
47
54
68
キャッシュ・マネジメント・サービス

顧客アンケート調査(アジア・パシフィック総合ランキング)
38
大企業
50
52
61
70
77
74
72
キャッシュ・
マネジメント・
サービス
5位
中堅企業 2位
邦銀中、
8年連続1位
中小企業 2位
0
12/3 13/3 14/3 14/9 15/3 15/9
円決済サービス 金融機関 1位
2015年
総合評価
第2位
(邦銀初)
10年連続1位
28
海外ビジネス ~ 海外戦略概要

顧客対応力の更なる強化

持続成長可能なビジネスモデルの確立

「ジャパン・セントリック」から「アジア・セントリック」への転換
日本・アジアの成長をリードする
グローバル金融グループの実現
アジアでの商業銀行業務を強化
アジア
EMEA
“Gateway to Asia”
への進化
米州
アジアでのプレゼンスをエッジとして、
世界中のクライアント企業のグローバル展開をサポート
29
海外ビジネス ~ マルチフランチャイズ戦略
 第2、第3のSMBCを作り出すことを目指し、インドネシア及びベトナムにおいて
オーガニック・インオーガニック両面からフルバンク展開を加速
マルチフランチャイズ戦略のポイント
フルバンク
ローカリゼーション
インドネシア
ベトナム
コミットメント
その他検討国
大企業
中堅企業
中小企業
リテール
SMBC15%出資先
SMBC40%出資先
30
(参考)SMBCのグローバル・ネットワーク ~アジア
ウランバートル
瀋陽
北京
大連(15/7月 支店開設認可取得)
ソウル
天津
常熟 昆山
重慶
:銀行業務を行う拠点(現地法人含む) 35拠点
蘇州
上海
:持分法適用会社 4社
杭州
広州
深圳 台北
ハノイ
ニューデリー
東亜銀行(香港)
15/3月 持分法適用会社化
香港
15/4月 ヤンゴン支店開設
マニラ
プノンペン
バンコック
15/9月 マニラ支店開設
ホーチミン
チョンブリ
ベトナム・エグジムバンク(ベトナム)
ラブアン 持分法適用会社
クアラルンプール
アクレダ・バンク(カンボジア)
15/9月 持分法適用会社化
シンガポール
ジャカルタ
BTPN(インドネシア)
持分法適用会社
パース
シドニー
(参考)SMBCのグローバル・ネットワーク ~米州・欧州
32
(参考)グローバル人材の育成に向けた取組
海外拠点勤務者数の推移
8
6
(千人)
グローバル人材の育成に向けた取組み
日本人
職員
2.2倍

採用活動、グローバル人事室の設置

英語力強化、海外勤務経験者の拡大

外国人材の育成・登用

グローバル・リーダーの育成
現地採用
職員
4
2
0
2001年(合併直後)
2015年3月末
33
(参考)ダイバーシティ ~両立支援、女性のキャリア支援
第1段階
2005(H17)~
第2段階
2008(H20)~
2009年9月
改正育児・介護休業法
第3段階
2014(H26)~
社会
2005年4月
次世代育成支援対策推進法
2013年2月
SMFG なでしこ銘柄選定
推進
組織
リテール部門内の組織
人事部
ダイバーシティ推進委員会
(経営、業務部門、人事部)
対象
リテール部門
の女性
全部門の女性
全従業員
女性のキャリア支援
取組
女性の両立支援
全従業員の働き方改革
ダイバーシティ推進委員会
2014年発足、頭取直轄の委員会組織。
経営陣(頭取)、外部有識者、
業務5部門・部長がメンバー。
「女性活躍推進」「働き方改革」に
取り組む。
© Copyright Sumitomo Mitsui Banking Corporation
34
本日のトピックス
はじめに
邦銀を取り巻く環境
三井住友銀行の戦略
おわりに
35
東京2020に向けて
© Copyright Sumitomo Mitsui Banking Corporation
36
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