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入門講義配付物2 一. 推定とみなす 推定…たぶんこうだろうとして扱う

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入門講義配付物2 一. 推定とみなす 推定…たぶんこうだろうとして扱う
入門講義配付物2
一. 推定とみなす
推定…たぶんこうだろうとして扱う。そうじゃないと反証すれば,そうでな
いことになる。
みなす…事実にかかわらずそういうものとして扱う。そうじゃないと反論し
ても無駄。
二 動産と不動産
1. 物…有体物
2. 不動産…土地とその定着物をいう。土地と建物と思えばよい。
3. 動産…不動産以外
4. 主物と従物
EX 万年筆(主物),キャップ(従物)
独立の物だが,経済的には,一体
主物を売れば,従物も売ったことになる。(87 条2項)
5. 果実
CF 鑑定評価基準 不動産の経済価値
天然果実
は,一般に交換の対価である価格によって表
法定果実…利息,賃料など
示されるとともに用益の対価である賃料によ
って表示され,これらの価格と賃料との間に
三 法律行為
1. 意義 意思表示を要素とする は,いわゆる元本と果実との間に認められる
相関関係が認められる。
法律要件
とりあえず,契約などのことだと思えばよい。
意思表示…「買いたい」「売りたい」などの思っていることを表示するこ
と。従って意「思」表示という。意「志」表示ではないことに注意
して欲しい。
2. 契約の成立
意思表示と意思表示の合致
EX AはBに「この土地を売りたい」と申し込みの意思表示をした。こ
れに対してBは,「この土地を買いたい」と承諾の意思表示をした。
この場合,意思表示が合致しているので,契約は,成立する。
*注意…契約が成立したかどうかということと,成立した契約が有効かど
うかは全く別の問題。たとえ,詐欺などがあっても,意思表示が合
致しさえすれば,成立はする。
3. 有効・無効と取消
無効…はじめから効力なし。取り消すまでもなく無効。
取消…取り消すまでは有効。
取り消すと初めに遡って無効となる
(121 条)
。
取り消さなかったとき…有効のまま
取り消したとき…契約のときから無効となる。
* このように初めに遡って効力が生じることを「遡及効」という。
* 契約が無効であるときの事後処理(後で論文を書くとき大切)。
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入門講義配付物2
EX AはBに甲土地を売り,引き渡した。Bは代金をはらった。しかし,こ
の契約は,無効であった(はじめから無効な場合も,取消により遡
及的に無効になった場合も同じ。)
甲土地について…AはBに対して,所有権に基づいて返還請求できる。
代金について…BはAに対して,不当利得に基づいて,返還請求できる。
契約が無効なのに,Aが代金を持っているのは,不当に利得したこ
とといえるからである(703 条)。
4. 強行法規と任意放棄
強行法規…特約しても無駄。売春契約などの公序良俗に反する契約は無効
であるとする 90 条など。
任意規定…当事者が特約すれば,法律の規定よりも,特約の方が優先され
る規定。例えば,リンゴを買った場合,原則として,リンゴの引渡
と代金の支払いは原則として同時だが(533 条),当事者がつけで
買ったときは,後払いとなる。
5. 悪意と善意
悪意…ある事実を知っていること
善意…ある事実を知らないこと
四 意思表示
「買いたい」「売りたい」などの思っていることを表示すること
1. 要素…内心的効果意思と表示意思と表示行為。ただ,理解の上では,内心的
効果意思と表示行為だけ押さえればよい。
2. 詐欺(騙すこと)
EX AはBに「おまえの持ってる土地の近くにごみ処理場ができる」と
騙されて,「売りたい」と意思表示をしてしまい,契約が成立して
しまった。
この場合,だまされたAさんが土地を引き渡さなければならないのではあ
まりにもかわいそうなので,Aさんは契約をなかったことにできる。これを
取消という(96 条1項)。
EX2 AはBに「おまえの持ってる土地の近くにごみ処理場ができる」
と騙されて,「売りたい」と意思表示をしてしまい,契約が成立し
てしまった。その後,Bはこの土地をCに売却した。AはAB間の
契約を取り消して,Cに土地を返せといえるか。
(1) Cが,「Aがだまされた」ということを知っていたとき…このときは,
Cは知ってたなら買わなければいいのであり,Cを保護する必要は
ないから,Aは,Cに対して,「取消」を主張することができ,土
地を返せといえる。
Aは 事情をしっていた C には,取消を 主張できる。
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悪意
第三者
対抗できる。
(2) Cが「Aがだまされた」ことを知らないとき…このときは,Cはちゃ
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入門講義配付物2
んと取り引きしたのだから,もし,後で「返せ」といわれたら,予
想できない損害を被ることになる。一方,だまされたAには,軽率
と言う意味で落ち度があるから,AはCに対して「取消」を主張す
ることができない(96 条3項)。
Aは 事情を知らない C には,取消を 主張できない。
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∥
∥
善意
第三者
対抗できない。
* なお「ちゃんと取り引きした以上,ちゃんと権利を取得できるべきだ」
という考えないし価値観を「取引安全」ないし「動的安全」という。
3. 強迫
EX AはBに脅されて,甲土地をBに売った。
この場合も,AはAB間の契約を取り消せる。
では,BがすでにCに売っていた場合は
この場合は,Aは,Cの善意・悪意にかかわらず,取消を対抗すること
ができる。なぜなら,詐欺の場合と違い,Aには全く落ち度がないからで
ある。
4. 瑕疵ある意思表示について
詐欺にしても,強迫にしても,Aはまがりなりにも「土地を売りたい」
という内心的効果意思は有している」しかし,Aがこのように思ったのは,
詐欺ないし強迫されたためであり,意思表示に欠点があったといえる。
このような欠点のことを「瑕疵」という。
5. 心裡留保(93 条)
EX Aは,冗談でBに「売りたい」と言った。
表示…売りたい
内心…売りたくない
この場合,内心と表示に不一致があり,表意者(Aのこと)はそのこと
を知っている。Aとすれば,冗談だから,無効と言いたいが,そんなこと
をしたら,Bの取引安全が害されてしまう。とすれば,こんなひとさわが
せな冗談を言ったAが悪いのだから,この契約は有効でよい。
ただ,相手方BがAの冗談を知っていたか,知ることができたときは,
相手方Bを保護する必要はないから,例外的に無効となる。
(なお,この場合,無効を第三者に対抗できるかについては,7.を参照)
6. 通謀虚偽表示(94 条)
EX AはBとぐるになって,Aの土地をBに売ったことにした。もち
ろん,Aとしては,売る気など全くない。
表示…売りたい
内心…売りたくない
この場合,Aに売るつもりがなかったのであるし,相手方Bもぐるなの
だから,相手方の取引安全を考える必要もない。従って,この契約は無効
である。
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では,BがCに売った場合はどうだろうか。
この場合,Cが悪意なら無効を対抗できる。しかし,Cが善意であれば
無効を対抗できない(94 条2項)。この場合は,Cの取引安全を図る必要
があるし,もともとこんないんちきな契約をしたAがわるいからである。
7. 心裡留保を知っていたBが善意のCに売却した場合
この場合,相手方が知っているのだから,この契約は無効である。しかし,
これを善意のCに対抗できるだろうか。この点もし対抗できるとすると,ふ
ざけた冗談を言ったAが保護される一方,善意のCの取引安全は保護されな
いことになる。しかし,Cを保護する条文はないので,解釈によってCを保
護するしかない。
ところで,通謀虚偽表示で 94 条2項によりCが保護される場合を考えてみ
ると①Aは表示に対応する内心がないことを知っている。②Bもこれを知っ
ている。③第三者Cは善意無過失である。④AとBは通謀している。という
状況にある。他方,この事例では,④は認められないものの①②③の全ては
満たしており,通謀虚偽表示に似ているといえる。
そこで,通謀虚偽表示ではないが,これに似ているので,94 条2項を類推
してCを保護することになる。
8. 錯誤(95 条)
EX Aは甲土地を乙土地と勘違いをしてBに売った。
表示 甲土地を売りたい
内心 甲土地は売りたくない
この場合,表意者Aは,内心と表示の不一致を知らないのだから,無効と
しなければかわいそうである。しかし,他方,相手方Bにしてみれば,簡単
に無効とされては,取引安全を害され,たまったものではない。
そこで,①重要な勘違いであること(要素の錯誤)②重過失がないことと
いう二つの要件を満たした場合に限り,無効であるとした。
なお,この要件を満たし,無効主張が認められるときは,善意の第三者に
も対抗できる。第三者保護の規定がないからである。
9. 善意,悪意,無過失,無重過失
善意
悪意
無過失
有過失
善意無過失
軽過失
重過失
善意無重過失
重過失
悪意
10. 意思の欠缺
錯誤,通謀虚偽表示,心裡留保では,表示に対応する内心がないので,こ
れを意思の「欠缺(欠缺)」という欠缺とは,ないことと思えばよい。
11. 意思主義と表示主義
内心と表示が食い違う場合,内心を優先させる考えを意思主義(表意者保
護),表示を優先させる考えを表示主義(取引安全保護)という。
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