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熱抵抗、熱特性パラメータについて

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熱抵抗、熱特性パラメータについて
LSI 製品 パッケージ の
熱抵抗、熱特性パラメータについて
No.AEA-0003 J
目次
1.目的
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2.準拠規格
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
3.用語とその定義
4.測定環境
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1,2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
5.測定用基板仕様
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
6.チップ温度の測定方法
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
1. 目的
このアプリケーションノートでは、ロームが製造したLSIチップを封入しているパッケージ群の熱抵抗と熱特性パラメータ
の定義及びその活用方法を示します。
2. 準拠規格
このアプリケーションノートに記載している内容は、JEDEC規格(JESD51-2A,3,5,7,9,10)に準拠しています。
3. 用語とその定義
3.1 TA(Ambient air temperature)
周囲環境温度。
3.2 TJ(Junction temperature)
ジャンクション温度。
3.3 TT(The temperature at the top center of the outside surface of the component package )
パッケージ上面中心温度。
3.4 θJA(Theta from Junction to Ambient)
ジャンクションから周囲環境までの熱抵抗。複数の経路から放熱しています。
3.5 ΨJT(The thermal characterization parameter to report the difference between junction temperature and
the temperature at the top center of the outside surface of the component package)
ジャンクションからパッケージ上面中心までの熱特性パラメータ。パッケージ上面以外にも熱伝導するため、その放熱量
によって値が変化します。
図1.熱抵抗θJAと熱特性パラメータΨJT の定義(例:HTSOP-J8)
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熱抵抗、熱特性パラメータについて
図2.データシート記載例(例:HTSOP-J8)
4. 測定環境(JESD51-2A)
熱抵抗測定は図3のようにJESD51-2A(Still-Air)に準拠した環境下で実施しています。
JESD51-2A(Still-Air)準拠
アクリルチャンバー
図3.熱抵抗測定環境
表1.熱抵抗測定機器
測定器
熱特性測定器
サーモスタット
K型熱電対(NOTE1)
メーカー
Mentor Graphics
Mentor Graphics
坂口電熱
型番
T3Ster
T3Ster
K6010
備考
Class1 / Φ0.1mm
(NOTE1) K型熱電対をパッケージ上面中心に固定し、パッケージ上面中心温度TTを測定しています。
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熱抵抗、熱特性パラメータについて
5. 測定用基板仕様
熱抵抗測定は表2、図4、図5のようにJESD51-3,5,7,9,10 に準拠した測定用基板で実施しています。
表2.熱抵抗測定用基板寸法(PKG最長辺の長さをPKGサイズとして適用しています。)
(NOTE1)
測定基板
SMD
(PKGサイズ<27mm)
BGA,THD
(PKGサイズ≦40mm)
1層基板
4層基板
1層基板
4層基板
測定基板
SMD
(PKGサイズ<27mm)
BGA,THD
(PKGサイズ≦40mm)
1層基板
4層基板
1層基板
4層基板
基板材
基板寸法
FR4
114.3mm x 76.2mm x 1.57mmt
114.3mm x 76.2mm x 1.6mmt
FR4
114.5mm x 101.5mm x 1.6mmt
1層目(表面)銅箔
銅箔パターン
銅箔厚さ
実装ランドパターン
70µm
+電極引出し用配線
実装ランドパターン
70µm
+電極引出し用配線
サーマルビア
ピッチ
直径
1.20mm
Φ0.30mm
1.20mm
Φ0.30mm
スルーホールビア
直径
Φ0.85mm
Φ0.85mm
2層、3層目(内層)銅箔
銅箔パターン
銅箔厚さ
74.2mm☐(正方形)
35µm
35µm
99.5mm☐(正方形)
(NOTE2)
4層目(裏面)銅箔
銅箔パターン
銅箔厚さ
74.2mm☐(正方形)
70µm
70µm
99.5mm☐(正方形)
(NOTE1) サーマルビア:貫通ビアで、全層の銅箔と接続しています。配置はランドパターンに従います。
(ヒートシンク付パッケージに対応しています)
(NOTE2) スルーホールビア:THD実装用の貫通ビアで、1層目銅箔と接続しています。
配置、寸法はランドパターンに従います。
図4.熱抵抗測定用基板断面構造(SMD:ヒートシンク付タイプ)
図5.熱抵抗測定用基板断面構造(THD:DIPタイプ)
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熱抵抗、熱特性パラメータについて
6. チップ温度の測定方法
半導体の温度測定方法には次の2通りがあります。
・表面温度測定(接触測定/非接触測定)
・ジャンクション温度測定(チップ上のPNジャンクションの温度を測定)
それぞれのメリット/デメリットは表3の通りです。
表3.測定方法の違いによるメリット/デメリット
測定方法
メリット
表面温度測定
測定が容易。
ジャンクション温度測定
直接ジャンクションの温度をモニタ
するため精度が良い。
デメリット
直接ジャンクション温度をモニタする
わけではない。
環境による誤差を含みやすい。
半導体に測定用の端子が必要。
極細 熱電対
表面温度測定
表面温度測定
熱電対(接触)
ジャンクション温度測定
サーモビューワ(非接触)
図6.各測定方法のイメージ
表面温度測定によって半導体の温度測定を行う場合には熱特性パラメータ(ΨJT)を用いて計算します。
(※ ΨJTはジャンクション温度TJとパッケージ上面中心温度TTとの温度差を表す熱特性パラメータで、ローム従来表記 θJC
と同義です。)
熱電対をパッケージ上面中心にしっかり固定さえできればパッケージ上面中心温度TTを精度よく測定できるため、
この熱特性パラメータを用いて精度よくジャンクション温度を算出することができます。
(但し、基板の放熱性能(レイヤ数、銅箔占有率、ビア数など)によって熱特性パラメータは変化するので、JEDEC環境
との差分を考慮しておく必要があります。)
TJ = TT + ΨJT ⋇ P
(TJ:ジャンクション温度、TT:パッケージ上面中心温度、P:消費電力)
また、熱抵抗(θJA)を用いて簡易的にジャンクション温度を算出することもできます。
(但し、熱特性パラメータよりもJEDEC環境との差分による影響を受けやすくなります。)
TJ = TA + θJA ⋇ P
(TJ:ジャンクション温度、TA:周囲環境温度、P:消費電力)
パッケージ表面温度で温度限界までの余裕度を確認するなら、パッケージ表面温度TC≒TTと考えると、
TCMAX = TJMAX - ΨJT ⋇ P
(TCMAX:パッケージ表面最高温度、TJMAX:ジャンクション最高温度、P:消費電力)
からパッケージ表面温度の上限TCMAXを算出できます。
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ご 注 意
1) 本資料の記載内容は改良などのため予告なく変更することがあります。
2) 本資料に記載されている内容は製品のご紹介資料です。ご使用に際しては、別途最新の仕様書を必ず
ご請求のうえ、ご確認ください。
3) ロームは常に品質・信頼性の向上に取り組んでおりますが、半導体製品は種々の要因で故障・誤作動する
可能性があります。
万が一、本製品が故障・誤作動した場合であっても、その影響により人身事故、火災損害等が起こらない
ようご使用機器でのディレーティング、冗長設計、延焼防止、バックアップ、フェイルセーフ等の安全確保
をお願いします。定格を超えたご使用や使用上の注意書が守られていない場合、いかなる責任もローム
は負うものではありません。
4) 本資料に記載されております応用回路例やその定数などの情報につきましては、本製品の標準的な動作
や使い方を説明するものです。
したがいまして、量産設計をされる場合には、外部諸条件を考慮していただきますようお願いいたします。
5) 本資料に記載されております技術情報は、製品の代表的動作および応用回路例などを示したものであり、
ロームまたは他社の知的財産権その他のあらゆる権利について明示的にも黙示的にも、その実施また
は利用を許諾するものではありません。上記技術情報の使用に起因して紛争が発生した場合、ロームは
その責任を負うものではありません。
6) 本製品は、一般的な電子機器(AV機器、OA機器、通信機器、家電製品、アミューズメント機器など)
および本資料に明示した用途への使用を意図しています。
7) 本資料に掲載されております製品は、耐放射線設計はなされておりません。
8) 本製品を下記のような特に高い信頼性が要求される機器等に使用される際には、ロームへ必ずご連絡
の上、承諾を得てください。
・輸送機器(車載、船舶、鉄道など)、幹線用通信機器、交通信号機器、防災・防犯装置、安全確保のため
の装置、医療機器、サーバー、太陽電池、送電システム
9) 本製品を極めて高い信頼性を要求される下記のような機器等には、使用しないでください。
・航空宇宙機器、原子力制御機器、海底中継機器
10) 本資料の記載に従わないために生じたいかなる事故、損害もロームはその責任を負うものではありません。
11) 本資料に記載されております情報は、正確を期すため慎重に作成したものですが、万が一、当該情報の
誤り・誤植に起因する損害がお客様に生じた場合においても、ロームはその責任を負うものではありま
せん。
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お客様がかかる法令を順守しないことにより生じた損害に関して、ロームは一切の責任を負いません。
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14) 本資料の一部または全部をロームの許可なく、転載・複写することを堅くお断りします。
ローム製品のご検討ありがとうございます。
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