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xi,j+1 - Kawamata Laboratory, Tohoku University

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xi,j+1 - Kawamata Laboratory, Tohoku University
電子情報通信学会技術研究報告, No. CAS2000-54, pp. 59-66, July, 2000.
荷重平均値フィルタを用いたサブバンド動画像符号化
魏 浩千
川又 政征
東北大学大学院工学研究科
〒 980-8579 仙台市青葉区荒巻字青葉 05
E-mail:[email protected]
本稿では荷重平均値フィルタを用いた 3 次元サブバンド符号化法を提案する.これは,著者らがすで
あらまし
に提案している静止画像のサブバンド符号化で用いた荷重平均値フィルタを動画像符号化に拡張したものである.フ
レーム間の動き推定としては階層的なブロックマッチング法を用いる.このときのブロックサイズは可変である.時
間方向に対するサブバンド分割は動き推定で得られた動きベクトルを利用して,現フレームのマクロブロックと参照
フレームのマクロブロックとのフィルタリングが行われる.空間方向に対するサブバンド分割では荷重平均値フィル
タを適用する.荷重平均値フィルタの重みづけは,補間される画素の周辺部の性質に応じて決定される.提案法によ
る動画像の符号化実験を行った結果,同じ符号化率においても MPEG-1 による復号画像に比べ約 1dB から 2dB の画
質の向上を得ることができた.
サブバンド符号化, 荷重平均値フィルタ, 階層的なブロックマッチング法.
キーワード
3-D Subband Video Coding Using a Weighted Mean Filter
Ho-Cheon WEY and Masayuki KAWAMATA
Graduate School of Engineering, Tohoku University
Aoba05, Aramaki, Aoba-ku, Sendai 980-8579, Japan
E-mail:[email protected]
This paper presents a 3-D subband video coding scheme which is an extesion of our previously
Abstract
proposed 2-D subband coding using a weighted mean filter to the temporal domain. To reduce the motioncompensated error, a hierarchical variable size block matching algorithm is employed for motion estimation. Motioncompensated temporal analysis and a spatial subband filter decompose a video signal into 3-D spatio-temporal
subbands. Experimental results using several test video sequences show that the proposed scheme improves image
quality in PSNR about 1-2 dB better than that of MPEG-1.
Key words
Subband Coding, Weighted Mean Filter, Hierarchical Variable Size Block Matching.
電子情報通信学会技術研究報告, No. CAS2000-54, pp. 59-66, July, 2000.
Analysis part
1
まえがき
x
近年,3 次元サブバンド分割による動画像符号化法が
Synthesis part
H1(z)
↓2
↑2
G1(z)
H2(z)
↓2
↑2
G2(z)
い相関関係は,画像の電力を時間軸の低周波数フレーム
はなく時間的冗長成分も取り除くことができる [1][2] .ま
x
(a) Two-channel analysis/synthesis filter banks
注目を集めている.フレーム間に内在する時間軸での高
に集中させることができるため,空間的冗長成分だけで
∼
↓2
x
た,この方法では動き推定の処理を行わないため,従来
+
のフレーム間予測による動画像符号化法に比べ符号化処
+
↓2
−
理に必要な計算などが少ないという特徴を持つ.しかし,
y0
y1
↑2
∼
F (・)
x
↑2
F (・)
現在のところ MEPG などの従来のフレーム間予測によ
る符号化法に比べ,圧縮率および画質といった符号化性
(b) Two-channel filter banks with critical
sampling constarint
能が劣っている.その原因としては,連続したフレーム内
の動き物体を考慮せず時間軸のフィルタリングが行われ
図 1: 2 チャンネル完全再構成フィルタバンク.
るためである.その結果,画像の電力が高周波数フレー
ムに残ってしまい,圧縮率が悪くなったり,時間軸に対
するエイリアシングが生じ画質が劣化する.
このような問題点を解決するために,本稿では 3 次元
2
サブバンド符号化法とその動画像
符号化への拡張
サブバンド符号化法に動き推定法を導入することにより,
サブバンド動画像符号化法の性能を改善させる.提案す
る符号化法では,まず入力フレームに対する動き推定が
行われる.入力フレームは複数の異なる解像度の画像に
階層化され,上位階層 (低解像度) で求めた動きベクトル
を下位階層 (高解像度) に伝搬させていく [3].動き推定
で用いられるマクロブロックサイズは可変である.これ
により画像内の局所的な動きや大きな動きに対して良好
な動き推定が行われる.時間軸に対するサブバンド分割
は,動き推定で得られた動きベクトルを用いてマクロブ
ロックの動きに沿ってフィルタリングが行われる.空間
軸に対するサブバンド分割では,著者らがすでに提案し
てる荷重平均値フィルタを用いて符号化が行われる [4].
この方法では任意の画素を補間する際に補間画素周辺の
性質を調べ,その性質に応じて参照画素の重みづけを変
化させ画素を補間する.
本提案法を用いて動画像の符号化を行った場合,同じ符
号化率において MPEG-1 に比べ,1dB から 2dB 程度の
2.1
クリティカルサンプリング制約下での
フィルタバンク
2 チャンネルフィルタバンクのブロック図を図 1 (a) に
示す.サブバンド分割で用いられるフィルタ Hi (i = 1, 2)
と合成側のフィルタ Gj (j = 1, 2) との関係がある一定の
条件を満す場合,かつそのときに限り図 1 (a) のフィル
タバンクは入力信号 X と出力信号 X̃ が一致する完全再
構成可能なものとなる [5].このような構造はクリティカ
ルサンプリング制約を加えることにより,図 1 (a) は図
1 (b) に示すような簡略化された構造となる [6].ここで,
クリティカルサンプリング制約とは,間引きされる点を
制限するとともにフィルタ係数の構造的な制限を与える
ことを意味する.クリティカルサンプリング制約を満足
するフィルタの代表的なものとしてはハーフバンドフィ
ルタがある.図 1 (b) のサブバンドフィルタで分割された
信号 y0 (n) と y1 (n) は次式のように表すことができる.
画質の向上を得ることができる.また,600Kbits/sec 以
y0 (n) = x(2n)
下の符号化率で符号化を行った場合においても,MPEG-
y1 (n) = −x(2n) + F (x(2n − 1))
1 で生じるブロック歪みやエッジの歪みを低減させるこ
とができる.
(1)
ここで,F はハーフバンド特性を有するフィルタを示し,
以下第 2 章ではクリティカルサンプリング条件でのフィ
x(2n) と x(2n+1) は入力信号 x(n) のポリフェーズ成分で
ルタバンクについて説明を行い,動画像符号化に拡張す
ある.入力信号 x(n) は yi (n) (i = 0, 1) の関数として表わ
る際に必要な動き推定法とその問題点について述べる.
されているため,ポリフェーズ成分 x(2n) と x(2n+1) か
第 3 章からは具体的に提案するサブバンド動画像符号化
ら入力信号 x(n) に戻すことができる. したがって,
法について説明し,第 4 章では提案法の符号化実験につ
図 1 (b) で合成側のサブバンドフィルタは分割側での間
いて述べ, 以上を第 5 章でまとめる.
引きによって失われた画素を補間する補間フィルタと見
電子情報通信学会技術研究報告, No. CAS2000-54, pp. 59-66, July, 2000.
なすことができる.この時,サブバンド信号 y1 (n) は補
間による入力信号の誤差信号となり,y0 (n) は入力信号
3-D subbands
Video
を間引きした信号となる.
MC temporal
analysis
Spatial
analysis
3-D subband
coding
Buffer
画像符号化を目的としてサブバンド分割を行う場合は,
R
motion vectors
補間フィルタ F (·) による誤差信号 y1 (n) を小さくするこ
R3D
Motion Rmv
estimation
とにより画像のデータ量を削減することができる.補間
フィルタを用いたサブバンド符号化としては,線形フィル
Channel
Rate control
R : generated rate
Rmv : 3-D subband rate
R3D : motion vector rate
タを用いた方法や非線形フィルタを用いた方法など様々
な研究結果が報告されている [6, 7, 8].
著者らは,すでにクリティカルサンプリング制約の下
で用いるフィルタバンクの補間フィルタとして荷重平均
図 2: 提案する動画像符号化法のブロック図.
値フィルタを提案している [4].荷重平均値フィルタの重
みづけは,補間される画素の周辺部の性質に応じて決定
される.
2.2
I P P P P I
フレーム間動き推定
動き推定はフレーム間予測による動画像符号化法の性
能を決めるもっとも重要な要素である.本報告では代表
的な動き推定法であるブロックマッチングを用いる.ブ
I : Intra picture
P : Predictive picture
ロックマッチングでは,入力フレームを重複しない同サ
イズのマクロブロックに分割し,各マクロブロックに対
して動きベクトルの推定が行われる.現フレームの各マ
図 3: 提案法で用いられる GOP 構造.
クロブロックは参照フレーム内の探索範囲に対応するマ
クロブロックとの類似度が計算される.参照フレームで
P
の類似度の一番高いマクロブロックが現フレームのマク
P
ロブロックに対する動きベクトルとして保存される.一
般的な傾向として,マクロブロックサイズを小さくする
P
P
t-H
t-H
t-LH
t-LL
と推定による誤差は小さくなるが比較演算のための計算
量が多くなる.逆に,ブロックサイズを大きくした場合
には,計算量は少なくなるが,ブロック内部の動きが一
(a) input frames
(b) temporal subbands
(c) 3-D subbands
定であるという前提が成り立たなくなり,推定誤差が大
きくなってしまう.
3
提案するサブバンド動画像符号化法
提案する動画像符号化システムは図 2 に示すように大
きく 3 つの処理 (動き推定,3 次元サブバンド分割,ビッ
ト符号量の割り当て) で構成されている.提案法では図
3 に示すようなフレーム構造を用いて符号化を行う.こ
のようなフレーム構造は GOP(Group of Pictures) と呼
ばれ MPEG でも用いられている.
I-ピクチャはフレーム毎の 2 次元サブバンド分割により
符号化される.P-ピクチャは各フレーム間の動き推定が行
われ,この時,得られた動きベクトルを利用してフレーム
間のサブバンド分割を施すことにより t-H, t-H ,t-LL,
t-LH フレームへと変換される (図 4 (b) 参照). t-H, tH ,t-LL, t-LH フレームは,さらに,それぞれ空間領域
のサブバンド分割が施され個別に符号化される (図 4 (c)
参照). 提案法では P-ピクチャ4 フレームの電力を最低
図 4: P ピクチャの 3 次元サブバンド分割.
周波数フレーム t-LL に集中させ,その他の t-LH, t-
H, t-H フレームは粗く量子化することによりフレーム
のデータ量を削減する.
3.1
可変サイズブロックマッチングによる
階層的な動き推定法
提案法では,可変サイズのブロックマッチングを階層
的な動き推定に加えることにより,固定サイズのブロッ
クマッチングによる動き補償の誤差を低減させる.マク
ロブロックは画像内の物体の回転・拡大といった動きの
程度によりブロックサイズを可変にして分割される.ま
た,探索範囲を広げることにより生じる計算量の増加を
押えるため階層的な動き推定法を用いる.以下にそのア
ルゴリズムを説明する.
可変のマクロブロックサイズを [N ×N, N/2×N/2, N/4×
電子情報通信学会技術研究報告, No. CAS2000-54, pp. 59-66, July, 2000.
N/4] の 3 レベルとする.まず,参照フレームと現フレー
: connected pixel
: unconnected pixel
ムは複数の異なる解像度の画像へと階層化が行われる.
多重解像度に分割されたフレームの内,上位階層(低解
(b+a)/√2
像度)の画像は N × N サイズのマクロブロックに分割
が行われ,各マクロブロックの動き推定が行われる.こ
うして得られた N × N サイズの初期レベルでの各マク
ロブロックを親ノードブロックと呼ぶことにする.各親
ノードブロックは N/2 × N/2 画素の 4 つの子ノードブ
ロックに分割され,さらにそれぞれの子ノードブロック
Current frame B(m,n) Reference frame A(m,n)
の動き推定が行われる. 不要な分割が行われないように
t-L frame
(b-a)/ √
2
4 つの子ノードブロックの動き推定誤差の和の平均を親
ノードブロックの動き推定誤差と比較する.子ノードブ
ロックの平均動き推定誤差が親ノードブロックの推定誤
差より小さい場合に限り,子ノードブロックのさらなる
分割が行われ,その他の場合には分割は行われない.こ
の過程を初期レベルの全てのマクロブロックに施すこと
により,各マクロブロックサイズは,3 レベルに分割に
Current frame B(m,n) Reference frame A(m,n)
t-H frame
した場合において推定誤差を最小とするようなサイズに
図 5:
なる.
動きベクトルを用いた時間軸サブバンド
フィルタリング.
上位階層での動き推定が終了し,求めた動きベクトル
を下位階層(高解像度)に伝搬させながら動きの推定が
行われる.伝搬の際には各階層で推定したフレーム間誤
差と一つ上位の階層のフレーム間誤差との比をとる.そ
の比は誤差の改善度を示している.
誤差が改善されていなければ,下位階層で得られた動
きベクトルをマクロブロックの動きベクトルとして採用
する.
3.2
動き推定で用いられた参照フレーム A(m, n) での画素集
合であり,非連結画素とは動き推定で用いられなかった
参照フレーム A(m, n) の画素集合である.各画素に対
するフィルタリングは連結の有無を表すフラグビットに
よって判断される.しかし,フラグビットに関する情報
入力フレームの 3 次元サブバンド分割
連続した入力の P-ピクチャ4 フレームは各 2 フレーム
間の動き推定が行われた後,時間と空間軸のサブバンド
フィルタリングを施すことにより 3 次元サブバンドへと
分解される.時間軸に対するサブバンドフィルタリング
では動き推定で得られた動きベクトルを利用して,現フ
レームでのマクロブロックと参照フレームでのマクロブ
ロックとのフィルタリングが行われる.
3.2.1
分類される.ここで,連結画素とは現フレーム B(m, n) の
動きベクトルを用いた時間軸サブバンド分割
連続した P-ピクチャ4 フレームに対して各 2 フレーム
は時間軸に対するサブバンドフィルタリングを施すこと
により,低周波数フレーム t-L と高周波数フレーム t-
H との 2 つのフレームに分割される.この内,各 t-L フ
レームは,新たにサブバンドフィルタリングを施すこと
により,t-LL と t-LH フレームに分割される.こうし
て,4 フレームの画像の電力を最低周波数フレーム t-LL
に集中させることができる.時間軸に対するサブバンド
フィルタリングは以下のように行われる.
動き推定によって得られた動きベクトルを用いて 2 フ
レーム内の全画素は連結画素と非連結画素の 2 つの集合に
は復号器に伝送する必要はない.これは復号過程でも符
号化の逆の順番で画像復号が行われれば,伝送された動
きベクトルから画素の分類が符号化同様に行うことがで
きるためである.
連結画素は参照フレーム A(m, n) の動き軌道に沿って
フィルタリングが施される.一方,参照フレーム A(m, n)
での非連結画素は,元の画素値を時間軸低周波数フレー
ム t-L での同位置の画素に置き換えられる.このことを
図 5 に示す.その他の画素に対しては次式に示すフィル
タリングが施される.
連結画素:
1
t-L(m − d¯m , n − d¯n ) = √ A(m − d¯m , n − d¯n )
2
1
+ √ B̃(m − d¯m + dm , n − d¯n + dn )
2
1
1
t-H(m, n) = √ B(m, n) − √ Ã(m − dm , n − dn ).
2
2
非連結画素:
2A(m, n)
√
2
1
t-H (m, n) = √ (B(m, n) − Ã(m − dm , n − dn )),
2
t-L(m, n) =
電子情報通信学会技術研究報告, No. CAS2000-54, pp. 59-66, July, 2000.
ここで,t-L(m, n) は低周波数フレーム内の画素を示し
1 2 3 4 5 6 7
t-H (m, n) は高周波数フレーム内の画素を示している.
また,(dm , dn ) は動きベクトルを示し,d¯m と d¯n は,そ
1
2
3
4
5
6
7
れぞれ dm と dn に一番近い整数値を示してる.Ã(m, n)
と B̃(m, n) は動きベクトルを 0.5 画素精度で行われた時
の補間フレーム内の画素を示している.
3.2.2
荷重平均値フィルタによる空間軸サブバンド分割
時間軸サブバンド分割で得られた 2 つの t-H フレー
ムと t-LH, t-LL フレームは,それぞれ個別に空間領域
におけるサブバンド分割が行われ,符号化される.クリ
ティカルサンプリング制約を加えた時に用いられる補間
x
フィルタはサブバンド分割と合成側で同じである.本節
x
: pixels belonging to the lower subband
: down- and upsampled pixels
: interpolated pixel
では,クリティカルサンプリング制約の下で設計された
図 6: Quincunx 間引き.
補間フィルタとして,荷重平均値フィルタを用いる.荷
重平均値フィルタでは,補間される画素周辺の性質によ
Edge direction
り,隣接する各参照画素の重みを変えて画素の補間を行
う [4].重みづけの決定法を以下に示す.
xi-1,j
間引きには quincunx 間引きを用いる.その場合の対
φ
象領域を図 6 に示す.間引かれた後,(4,4) の位置にある
xi,j-1 xi,j
画素を補間する時には,次に示す 5 つの場合の画素の分
散値を求める.この内,分散値が最小となる場合を補間
θ
xi,j+1
xi+1,j
される画素周辺の性質と見なして参照画素の重みが決定
される.
: Interpolated pixels
Case 1 : (4, 3) (3, 4) (4, 5) (5, 4) (平坦部分)
図 7: 荷重平均値補間フィルタ.
Case 2 : (4, 1) (4, 3) (4, 5) (4, 7) (水平方向)
Case 3 : (1, 4) (3, 4) (5, 4) (7, 4) (垂直方向)
Case 4 : (3, 6) (4, 5) (4, 3) (5, 2) (対角方向)
ここで, φ は次の近似式で与えられる.
Case 5 : (3, 2) (4, 3) (4, 5) (5, 6) (対角方向)
φ=
π
π
xi−1,j − xi+1,j
),
− θ = − arctan(
2
2
xi,j+1 − xi,j−1
ここで,(·, ·) は図 6 で示される画素の位置を表している.
画素 xi,j の画素値は次のように決定される.ここで,補
xi,j = (1 −
間画素 xi,j と参照画素 xi+l,j+m (l, m = −1, 0, 1, l = m)
の位置関係を図 7 に示す.
+
Case 1 の場合
xi,j =
0.5
)(xi,j+1 + xi,j−1)
1 + A2
0.5
(xi−1,j + xi+1,j ) ,
1 + Γ2
1
(xi,j+1 + xi−1,j + xi,j−1 + xi+1,j ) .
4
ただし, Γ =
xi−1,j − xi+1,j
xi,j+1 − xi,j−1
.
Case 2 の場合
xi,j =
1
(xi,j+1 + xi,j−1 ) .
2
Case 3 の場合
xi,j
1
= (xi−1,j + xi+1,j ) .
2
Case 4 または Case 5 の場合
1
(xi,j+1 + xi,j−1) cos2 φ
2
1
+ (xi−1,j + xi+1,j ) sin2 φ ,
2
xi,j =
4
符号化実験
以上述べた提案法の有効性を示すため動画像の符号化
実験を行いその結果を示す.実験で用いた標準ビデオ画像
は flower garden, table tennis, football であり,いずれ
も SIF フォーマット (352 × 240 サイズ,30 frames/sec)
の 100 フレームである.符号化実験の評価は提案法と
MPEG-1 による各符号化率における復号画像の画質比較
により行う.実験で用いた MPEG-1 エンコーダーおよ
電子情報通信学会技術研究報告, No. CAS2000-54, pp. 59-66, July, 2000.
びデコーダーはインターネット上のウェブサイト1 から
入手した.
表 1: 提案法と MPEG-1 による復号画像の画質比較
(符号化率 1.2 Mbps の場合).
提案法では可変ブロックサイズによる階層的な動き推
定法を用いてる.提案法では,マクロブロックの可変サ
イズのレベルを 5 段階とした.つまり,サイズは [ 64 ×
64, 32 × 32, 16 × 16, 8 × 8, 4 × 4 ] 画素である.ま
た,動きベクトルの探索範囲は ±7 画素とした.これは
MPEG-1 の場合と同じ条件である.各マクロブロックに
は,ブロック分割の有無を表す 1 ビットの情報が必要と
なる.このため,動き推定では quad-tree 法によるマク
ロブロック分割の情報と動きベクトルの情報が保存され
る.動きベクトルと 3 次元サブバンドの符号化法として
は適応算術符号化を用いることにする.画質の評価とし
Video
Frame
sequences
types
(dB)
(dB)
(dB)
flower garden
frames 1-100
Y
U
V
26.99
29.86
32.12
28.21
31.37
33.90
+1.22
+1.51
+1.78
Y
U
33.03
38.81
34.82
39.62
+1.79
+0.81
V
38.01
39.81
+1.80
Y
30.66
31.64
+0.98
U
V
34.85
36.55
36.07
37.76
+1.22
+1.21
table tennis
frames 1-100
football
frames 1-100
MPEG Proposed
Gain
ては次式で表せる PSNR (Peak-to-peak Singal to Noise
Ratio) を用いた.
参考文献
[1] P. P. Vaidyanathan, Multirate systems and filter
PSNR =
10 log
2
(画像のダイナミックレンジ)
[dB]
N,M
ˆ j)]2
(1/M N )
[I(i, j) − I(i,
i,j=1
ˆ j) は復号画像,M と
ここで,I(i, j) は入力原画像,I(i,
N はそれぞれ画像信号の縦横サイズを示している.
表 1 は提案法を用いて 1.2 Mbps で符号化したときの
banks, Prentice-Hall, 1993.
[2] C. I. Podilchuk, N. S. Jayant, and N. Farvadin,
“Three-Dimensional Subband Coding of Video,”
Trans. on IEEE Image Processing, vol. 4, pp.125–
139, Feb. 1995.
復号画像に対する MPEG との画質の比較結果である.提
[3] P. A. Chou, T. Lookabaugh, and R. M. Gray, “Op-
案法を用いて動画像符号化を行った場合,各テスト画像に
timal Pruning with Applications to Tree-Structured
対して約 1 dB から 1.8 dB 程度の画質を向上させること
Source Coding and Modeling,” in Proc. IEE 137(4),
ができた.図 8 には符号化率を 2.4 Mbps から 340 Kbps
pp.205-212, Jun. 1990.
まで変化させた時の画質 PSNR を示す.ここで,各符号
化率での画質 PSNR はテスト画像 100 フレーム毎の輝
度要素 Y の平均を取ったものである.最後に,符号化率
640 Kbps での復号画像を図 9 に示す.図 9 に示されて
いるように MPEG-1 による復号画像で生じる平坦部分
でのブロック歪みや輪郭周辺でのモスキート歪みが提案
法によるものでは大幅に低減されてることがわかる.
5
[4] H. C. Wey and M. Kawamata, “Low Bit-rate Subband Image Coding with Critical Sampling Constraint Using a Weighted Mean Filter,” in Proc.
IEEE Int. Symp. on ISPACS, Nov. 2000, to be presented.
[5] K. Irie, and R. Kishimoto, “A Study on Perfect
Reconstruction Subband Coding,” IEEE Trans. on
むすび
CSVT, vol. 1, no. 1, pp.42-48, Mar. 1991.
本稿では,荷重平均値フィルタを用いたサブバンド動
画像符号化を提案した.時間軸に対する入力フレームの
サブバンド分割は動き推定で得られた動きベクトルを利
用してフィルタリングが行われた.このことにより,連
続した 4 フレームの電力を 1 フレームに集中させること
ができた.空間軸に対するサブバンド分割には,著者ら
[6] O. Egger, W. Li, and M. Kunt, “High compression image coding using an adaptive morphological
subband decomposition,” Proc. of the IEEE, 83(2),
pp.272–287, Feb. 1995.
[7] F. J. Hampson and J. C. Pesquet, “A nonlinear sub-
がすでに提案している荷重平均値フィルタを適用した.
band decomposition with perfect reconstruction,”
符号化実験を行った結果,提案法は MPEG-1 によるも
in Proc. IEEE Int. Conf. Acoust. Speech, Signal
のに比べ符号化率と画質いずれにおいても符号化性能を
Processing, pp.1523–1526, May 1996.
向上させることができた.特に,符号化率を低くしたと
[8] D. A. F. Florêncio and R. W. Schafer, “Per-
きに生じる復元画像の歪みを MPEG-1 によるものに比
fect reconstructing nonlinear filter banks,” in Proc.
べ大幅に低減させることができた.
IEEE Int. Conf. Acoust. Speech, Signal Processing,
1 http://www.mnsi.net/jschlic1/r3jdt/avi2mpg1
ver 1 10 src.zip
pp.1814–1817, May 1996.
電子情報通信学会技術研究報告, No. CAS2000-54, pp. 59-66, July, 2000.
40
38
38
sequence : Table tennis
solid line : Proposed method
dashed line : MPEG-1
36
34
PSNR(dB)
PSNR(dB)
36
34
32
32
30
30
28
0
sequence : Football
solid line : Proposed method
dashed line : MPEG-1
500
1000
1500
2000
2500
0
500
rate (Kbits/sec)
1000
1500
2000
2500
rate (Kbits/sec)
図 8: 符号化率を変化させたときの平均 PSNR.
(a) original image
(b) proposed method (27.82 dB)
(c) MPEG-1 (25.97 dB)
(d) original image
(e) proposed method (33.52 dB)
(f) MPEG-1 (31.75 dB)
(g) original image
(h) proposed method (29.80 dB)
(i) MPEG-1 (30.12 dB)
図 9: 符号化率 640Kbps での復号画像の比較,(a)–(c) F lower garden 54 フレーム目, (d)–(e) T able tennis, 50 フ
レーム目 (f)–(h) F ootball 15 フレーム目.
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