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(昨年度の活動成果)をダウンロード - ウェブ管理サービス | webline.jp
「住みたい都市」への挑戦
CONTENTS
1
はじめに
3
Part 1 地域課題実習
5
■ 市民支援 - 福祉・市民活動‐
7
市民活動を体験して考える協働型まちづくりプロジェクトⅢ
8
数字で捉える地域経済Ⅴ
10
障害児の余暇活動の支援ボランティアⅡ
12
■ 環境 ‐エコ活動‐
15
地域から水と大気を考えるエコプロジェクトⅡ
16
横浜エコキャンパスプロジェクト
18
エコの芽を育てるプロジェクト@横浜Ⅲ
20
横浜地産地消推進プロジェクト
22
■ 創造都市
25
ガラスシティ・プロジェクトⅢ
26
モビリティデザインの実践 28
中国研修を通じた国際化対応人材育成プロジェクトⅡ
30
松原商店街バザール創造プロジェクトⅡ
32
和田べんプロジェクト
34
公共空間の活用と賑わいまちづくり
36
ワダヨコプロジェクト
38
Part 2 地域研究
41
介護問題と小規模多機能型居宅介護サービス
42
教職員・学生のための事業所 ( 大学 ) 内保育のあり方に関する調査研究
44
LED 屋外広告の在り方に関する研究
48
災害時の状況を想定した机上訓練による災害時要援護者対策の検討
50
電動アシスト自転車による利便性の向上と地域活性化の可能性
52
松原商店街の経済学序論
56
パートナーシップによる事業の組織形態に関する考察
60
近代化遺産としての製糸・撚糸工場の再生に関する研究
62
上海市の創造都市に関する考察
66
Part1 地域課題実習
CITIZENS SUPPORT -welfare・civic activities市民支援 ‒ 福祉・市民活動‒
現在日本では少子高齢化が進む中、政府は制度面でも供
給面でも対応が遅れています。同時に、供給の質に対する
要望の強まりや、潜在ニーズの顕在化、新たな問題も生じ
てきました。
全国の市町村の中で最大の人口を抱える横浜市では、少
子化にも関わらず深刻な待機児童問題を抱えています。
1980年代以降小さな政府化が進んでいることも行政の対応
が遅れる一因となっています。こうした背景を受け、行政
も営利企業も担えない、住民へのサービス供給の主体とし
て、新しい公共への期待が高まっています。
そこで私たちのカテゴリーでは、新しい公共として横浜
市でも数多く存在するNPOについて調査を行うとともに我
々自身が新しい公共として活動することで、地域の実態を
明らかにしました。
市民活動プロジェクトでは、NPOへのインターンシップ
を通して、NPOが住民支援という点で非常に重要な役割を果
たしていることを認識すると同時に、NPOを存続させること
が難しい現実を知りました。そこで、「NPOの持続性」に着
目しまとめています。
数字で捉える地域経済Ⅴでは、横浜市における待機児童
が発生する社会・経済的背景を、保育所の分布に入所状況
を表した地図データを用いることで明らかにしようと試み
ています。
障害児の余暇活動の支援ボランティアⅡでは、横浜国立
大学のボランティアサークル「ポップコーン」として、障
害のある方々に対し、公共交通機関の利用や、食事の介助
を行うなど様々な活動を通して、障害を持つ方々の視点か
ら社会を見つめています。
市民支援
市民活動を体験して考える協働型まちづくりプロジェクトⅢ-NPOの持続性を考える-
近年では社会の様々なニーズに応える市民団体の活動が盛んとなり、その一つの活動形態としてNPOが注目されています。NPO
は多種多様な分野において行政・企業とは異なった役割を担い、その働きは新しい公共としても注目されています。特に横浜では多く
の市民活動団体がそれぞれの趣旨・使命を持って活動に取り組んでいます。私達はインターンシップを通してNPOの実態や課題を体
感し、それを基に協働型まちづくりについて話し合いました。今回私達は『NPOの持続性』に着目し、NPOが安定して持続してい
くために必要なことについてまとめました。
1.新しい公共としてのNPO団体
現在、全国の市町村で最大の人口を抱える横浜市では、新しい公共といわれるNPOの必要性が高まってきています。NPOでの
インターン活動を通して、その重要性を肌で感じました。しかし同時に、運営の難しさも学びました。理念を追求するためにおおよそ
利益を度外視して活動をしているため、資金繰りが苦しくなる。補助金も、いつ、いくらもらえるのか、不確実性が高いものだという
ことでした。一方で、神奈川県の職員の方は「NPOには可能な限り自立してほしい。どうしたらよいだろうか。」と話していました。
では、NPOを持続させるためにはどういう要素が必要なのでしょうか。そして行政はどう支援したらよいのでしょうか。私たちは、
NPOを存続させることが難しい現実を知り、これらの点について考えてみようと思いました。
2.NPO団体へのインターン
私達は、様々なNPO団体にインターンすることを通して、現在の市民活動の実態や課題を知ることを目的に活動してきました。ま
ず、夏までは、それぞれのメンバーが、何を目的にこのプロジェクトに加わったのかを発表し、それをもとに今回のインターンで何を
調査するのかを決定しました。そして、実際に福祉、環境、情報メディアといった分野のNPOに約 10 日から 2 週間程度のインター
ンを行いました。インターンを終えた夏以降は、それぞれがインターン先で学んだことを発表し、「NPOの持続性」というテーマで、
ミーティングを重ねてきました。
3.「NPOの持続性」に関する現状と解決策
■人材・収入の観点から見たNPO
それぞれが夏休みに参加してきたインターン先の現在の状況を、人材と収入源の二つの観点でまとめました。
表1
人材・収入の観点から見た各NPO団体の特徴
●は最も大きい割合の項目であることを示す
表2
NPO団体の全体的特徴
活動を通して見えた問題点・課題
・人件費を考えると運営スタッフを増やすことは容易ではない
・運営スタッフが少ないため実際の活動はボランティアを中心とする団体が多いが、いつも十分な人数が集まるわけではない(団体や
活動について知らない人が多いためボランティアが集まらない)
・独自の事業だけで経営を成り立たせているNPO団体は少ない
以上のことから、問題点をまとめると
①どのような活動をしているのか、一般の方や企業がわからない=情報不足
②寄付や補助金は永続的に得られるとは限らず、安定した収入源を別に求める必要がある=安定した収入源の必要性
であると考えられます。これらを踏まえ、NPOの持続のために何が必要かについて考察しました。
①広める(情報不足と対応)
NPO
情報発信
効果
行政
内容
人材面
・団体の活動
賛同者が増え、ボランティアとして
・地域にとっての必要性
方法
活動に参加する人が増える
企業
・広報活動の充実
・同じ分野の団体で協力した広報
活動の安定的持続
住民
②収入源の充実(安定した収入源の必要性と対応)
安定させるための収入源の確立
効果
収入面
福祉団体
→
食堂経営(さなぎの食堂)
財源が増え、補助金や寄付の有無に
情報メディア
→
広告収入(ヨコハマ経済新聞)
大きく左右されなくなる
財政基盤の強化
4.市民活動を持続させるための提言
①NPOの活動を周囲に広め、②収入源を充実させるためには、行政のNPO支援のあり方を変える必要があります。現在、神奈川
県では主に補助金を交付することでNPOの活動を支援していますが、単に活動資金を援助するだけでは持続、自立は達成されません。
NPOの持続に必要な、①行政がNPOの地域の活動について積極的に周囲に広報すること、②NPOの理念と整合する業務を提供す
るか探して紹介する、といった支援のあり方が望ましいといえます。地域にとって欠かせないNPOが増加してきている今、一つでも
多くのNPOが存続の危機に陥らないよう、そして高い持続性を保てるよう、行政は支援のあり方を変えるべきだと私たちは考えます。
■メンバー
学生:木村大智(経済/3 年), 松本志(教育/3 年), 木内あゆみ(工/3 年), 坂田健(経営/1 年), 山本裕起(経営/1 年)
担当教員: 高見澤実(工学研究院), 志村真紀(地域実践教育研究センター)
■連携
特定非営利活動法人アクションポート横浜
市民支援
数字で捉える地域経済Ⅴ
- 地図上データによる待機児童問題の可視化 -
私たちのプロジェクト名は「数字で捉える地域経済 V」です。地域社会における課題を設定し、それを数字(データ)によって分析し、解
決することを目標として活動しています。今回はデータの把握に GIS(地理情報システム)という分析ツールを用い、地理情報をベースに問
題を視覚的に表現することにしました。今年は待機児童の問題に焦点をあてて経済的及び社会的背景と要因を探っています。また同時に、数
字(データ)だけでは捉えられない実情もあるという視点から、実際に横浜市役所にヒアリングに伺ったりしています。
1.待機児童問題への挑戦
課題というものは人々が何か不便だと感じた時に生じます。それゆえ、多くの住人を抱える地域において少なからず課題は存在しており、
私たちがいるこの横浜市もその例外ではありません。高齢化や交通利便性の問題等、市内の地区それぞれが抱えているものがあり、その状
況は統計データを介して報道されます。統計データを使用して地域課題を可視化する当プロジェクトで今回扱うのは保育所待機児童問題で
す。この問題を選んだ理由は、平成 22 年 5 月 17 日に記者発表された資料が発端となり、関心が高まったためです。そこで書かれていたの
は、同年 4 月 1 日時点で 1,552 人の保育所待機児童数がいるということで、日本の市区町村別にみると最多の数字でした。横浜市としては
認可保育所を増やしているにも関わらず、待機児童数が増えていくといういわゆる「いたちごっこ」に悩まされています。そこで、私たち
はこの一年という期間を踏まえ、問題が顕著に表れている区のうち、限定して戸塚区における保育所待機児童数の現状とその課題解決を探
る目的の下、活動していきました。
2.待機児童問題解決へのアプローチ方法
私たちは、横浜市においてなぜ待機児童が存在するのかという問題を設定し、その社会的・経済的原因をGISを用いて分析することで明
らかにしようとしています。そのために、週に一度定期的に集まり、どの様な視点で分析を進めていったら良いのか、分析を行うにあたりど
の様なデータが必要になるかといったことを話し合っています。また、適宜市役所の方に訪問し、職員の方々のお話を伺うことで待機児童に
関する理解をより深めています。夏季からはGISの学習も併せて行い、1 月までに分析に用いる一通りの技術を習得することが出来ました。
3.待機児童問題解決に対する仮説設定
前期には中区白書と横浜市民生活白書という二冊の統計書を検討して各自にテーマを選定しました。その際横浜市都市計画課の方で聞き取
り調査を行い、待機児童問題を軸とする方針を固めました。夏休みから後期には、情報を空間的に分析する事を目的とした地理情報システム
(GIS)の研修を行い、更に前期に得られた市の保育施設の待機児童問題、特に新興住宅地と高齢地域の混在する戸塚区の状況について議論を進
め、データを収集しました。この活動を通じ、待機児童の数が施設の交通の便、提供するサービスの質の差などに左右されるという仮説が立
ちましたので、今後は GIS を用いてこれらの実証と分析を行っていきたいと思います。
4.まとめ・次年度の活動の方向性
本PJでは、なぜ、横浜市において待機児童が存在するのかという問題設定に対してその社会・経済的背景を保育所の分布に入所状況を表
した地図データを用いることで明らかにしようと試みました。この待機児童問題は横浜市だけでなく働く女性にとっても働く上で重要な問題
です。その問題を解決する糸口を見つけることが横浜市民、特に、働く女性市民を支援することにつながると考えています。しかし、1 年間
この問題に取り組み、仮説的なものは立つことができましたが、それを GIS を用いることで実証・分析することは来年度の課題です。また、
横浜市 GIS 担当の方にそれに伴い、大変貴重なアドバイスを頂きましたのでそれを具体的な作業に落とし、来年度の成果報告会で待機児童問
題を通じた市民支援を形作ることをメンバー一同、目標にしています。
■メンバー
学生:志田敬祐(経営 3 年), 志水優剛・高橋済(経済1年),藤洋実・橋本りえ・羅集広(国社)
担当教員:長谷部勇一(経済学部
教授),
■協賛
横浜市都市経営局政策部政策課 GIS 担当
岡部純一(経済学部
教授),
相馬直子(経済学部
准教授)
【保育所の分布に入所状況を表した地図データ】 (出典:横浜市都市経営局政策課 GIS 担当)
【横浜市の方に待機児童問題についてのお話をお伺した際の写真】
【戸塚区保育所と道路関係の地図データ】
市民支援
障害児の余暇活動の支援ボランティアⅡ
-地域の交流を通して障害を考える-
障害児の余暇活動の支援ボランティアは、横浜国立大学のボランティアサークル「ポップコーン」を実施母体として行われている活動で、
ポップコーン以外にも「たけのこ」や「よいしょ」など大学内の様々なサークルとも協力しながら行っているものです。月に 1 度、朝から夕
方までの半日間、学生が企画した様々な場所へ障害を持つ方々と出かけ、交流を深めています。今年度も動物園、サイエンスセンター、美術
館など様々な場所へ出かけ、夏休みやクリスマスなどのイベントの際にはパーティや合宿も行いました。
1.障害児の余暇支援ボランティアの背景と目的
地域には様々な人々が住んでいますが、実際にその中で多くの人と交流する機会がある人はどのくらいいるのでしょうか。近所の人、友人、
学校や職場の人間関係など、普段の生活で自分と実際に関わりを持つ人は限られてしまいがちです。障害児の余暇支援ボランティアでは、日
常生活の中ではなかなか交流する機会を持つことのない障害を持つ方々と月に一度という一定のペースで交流をすることで絆を深め、お互い
の理解を深めることが目標となっています。自分自身の生活を基準としてしまいがちな中、そばにいる年齢や性別、国籍、生まれ持った環境
が異なる人の存在に気づき、関わりを持つことで日々見落としてしまいがちな毎日の風景や地域の新しい一面発見することができるのではな
いでしょうか。そんな中、この活動を通して学生メンバーも「障害」を持つ人たちについて自分なりに意識することができるようになったよ
うに思います。
2.学生と保護者の連携と手作りの活動
ポップコーンのボランティア活動では、毎月 2 人から 3 人ほどPJと呼ばれるその月の活動内容を企画する学生を選び、彼らが当日の参加
者を募集し、行き先や活動内容を決定します。準備は活動日の 2-3 週間ほど前から行われ、目的地までの交通機関や所要時間などを計算に入
れながら計画を立てます。多くの施設の場合、活動の趣旨を伝えると当日の活動が円滑に進むよう企画の内容や時間帯を考慮してくださるな
ど、地域の様々な公共施設がどのように人々のために工夫をこらしているかということを感じることもできます。実際の活動日には、電車や
バスといった公共機関を利用し、自ら昼食を選んでお金支払うなど障害者の方々が自分の力でできることは自分で進んで取り組めるよう、学
生メンバーは少しだけお手伝いをしながら交流し、一日の活動を楽しむというのが主な流れです。活動前後には保護者の方々とも企画につい
ての報告や感想を送り合うなどして毎月の活動を振り返り、次に生かしています。
3.「思いやり」と「気づき」の時間
障害児の余暇支援ボランティアの魅力の一つとして、月に一度という一定の頻度で活動が行われることが挙げられます。はじめて活動に参
加した時は緊張していた人でも、毎月の活動に参加していくうちにお互いの名前や性格を理解していき、より交流の幅を広げることができま
す。保護者の方々にも当日の体調状態などの留意点を細かく伝えてもらえるため、安心して臨むことができます。障害を持つ方々と共に時間
を過ごすことで、相手を思いやり、また思いやってもらえる喜びを感じることができるだけでなく、毎月の活動で様々な場所を訪れることで
自分の暮らす地域の魅力や問題点などに気づくことができる機会にとなりました。
4.より幅広く継続的な活動に向けての課題
地域には多様な人々が共に暮らしています。どのような人たちと関わるか、どのような場所を訪れるか、どのような企画に参加するかはす
べて自分次第です。この 1 年間のボランティア活動は自分たちの暮らす地域とその人々の良さや課題を見つけ、また自分自身と「障害」につ
いて考える良い機会となりました。限られた期間だけではなく、長期にわたって継続的にこの活動を続け、日々変わっていく問題点をどのよ
うにとらえ、解決していくかを考えることが今後の課題です。また、現在のメンバーだけでなく毎年入学してくる新入生や活動希望者をどの
ように巻き込んでいくか、というのも重要となると考えています。
■メンバー
学生:荒武れいな(代表),廣瀬翔太(旧代表),伊藤寿美礼(2 年),吉田玲子(2 年),他 / 担当教員:中川辰雄
■連携
神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台79-1
横浜国立大学ボランティアサークルポップコーン(代表:荒武れいな)
ENVIRONMENT -eco activities環境 ‒エコ活動‒
近年、世界各国での経済発展に伴い、自然環境に対する
負荷は増大してきています。我々の暮らす神奈川県や横浜
市をはじめとする各自治体では、このような環境問題の解
決に向け様々な取り組みが行われています。
環境カテゴリーでは、食料も含めた資源やエネルギー問題
などグローバルな問題を身近な暮らしに密着した課題として
位置づけ、持続可能な生活の実現を目標としています。この
目標の実現のために、我々学生だけではなく地方自治体や
NPOなど学外の各種団体と連携しながら、環境学習、情報
発信を行うイベント開催・参加等、各プロジェクトの課題
設定のもと活動しています。
具体的には、環境政策の調査や国大生の環境意識向上、
横浜市民の環境意識向上、横浜での地産地消の推進が挙げ
られます。各地域の状況やニーズを踏まえ、大学生の強い
エネルギーで多くの人を巻き込み、横浜を日本に誇れるよ
うなエコ地域にしたいと考えています。
環境
地域から水と大気を考えるエコプロジェクトⅡ
今や環境問題はグローバルなものとして認知され、対策も大きなものになっています。しかしその効果は実感を伴わないものが多く、ロー
カルな取り組みが求められるようになりました。神奈川県では良質で安定的な水の供給を目的とする「水源環境税」の導入などグローカルな
取り組みで注目を集めています。このプロジェクトでは神奈川県の事例を中心に環境政策を広く学び、行動します。
1.環境をとらえる
環境問題を考えるといっても視点や手法は様々です。私たちが注目したのは地域的
な環境政策です。環境問題の影響はグローバルなものが多く、地球温暖化はその最た
る例といえます。そんな環境問題の対策を地域限定で取り組むことに意味はあるので
しょうか。また環境対策の結果の便益を受けるのはその地域の人のみならず、世界中
の人にまで及ぶのです。これでは環境対策の費用を負担した地域の住民は損していま
せんか。これが地域的環境政策の一つの問題点です。
神奈川県は現在いわゆる「水源環境税」を導入しています。これは県民から徴収し
た税を県の水源整備に充てるというものです。前述の課題は生じないように見えます
が、その税収に見合った水源対策は講じられているのでしょうか。具体的に水源保全
とは何を指すのでしょうか。
「足柄ふれあいの村」付近の小川
また国全体の問題として林業衰退に伴う森林荒廃や、外国資本による水源林の買収な
どがあげられます。水源を守ることは今や全国共通の問題といえるでしょう。神奈川県の現状を知ることはその問題をとらえるきっかけにも
なります。
神奈川県の行う環境政策は水源保全にとどまりません。新エネルギーや電気自動車、ごみ問題など、身の回りのあらゆる面で対策が講じら
れているのです。本来環境問題とは学際的、複合的なものです。学部横断的に人が集まり、前年までの蓄積を生かすことのできるプロジェク
トでは広い視野で環境問題をとらえることが可能になります。この特徴を生かし、水の問題を端緒としながらも県の行う政策の全体を活動の
対象とします。
2.環境をまなぶ
地方の環境政策や、
具体的な環境問題
について学習
県内の水源や
森に足を運び、
自ら現状を体感
各自が分野毎に
学習したものを
1つにまとめ、
県に提出
3.環境をかえる
前期は主に神奈川県監修の『参加型税制・かながわの挑戦―分権時代の環境と税―』をテキストとし、神奈川県の実情と水問題に特化した
地域の環境政策を学びました。夏期休業時には足柄ふれあいの村、丹沢湖、飯泉取水堰等に赴き、実際に現状を見るとともに、話を聞くこと
でより深く水源について学ぶことができました。後期は各自が広い範囲の環境問題について取り組んでおり、これらを一つにまとめたレポー
トを作成中です。担当する分野は以下の通りです。
1.水質保全(来山)、2.水道事業(新垣)、3.森林環境(岡芹)、4.排出権取引(森山)、5.新エネルギー(西田)、6.電気自動車(足立)
これらはいずれも、プロジェクトのテーマである「グローカルな環境政策」に合致しており、あらゆる政策を網羅的にまとめることで神奈
川県の地域特性も浮き彫りになると考えています。
またメンバーからは
「今回のプロジェクトでは、水と大気について、私が所属する工学部では考えないような視点から捉えることができてとても興味深かったで
す。同じものでも見方を変えると全く違うものになることを学ぶことができました。」(来山)
「前年度、本プロジェクトの 1 年間の集大成として、各人が章を担当する報告書を神奈川県に提出できたのは貴重な体験でした。その体験を
今年度にも引き継ぎ、中身のあるものを作りたいと思います。」(岡芹)
「地域について研究するにつれて、自分の住んでいる地域の実態を知り、地域を見つめなおすことができました。この経験を専攻分野の研究
にも生かしていきたいです。」(西田)
などの感想を得ました。各メンバーがこのプロジェクトを終えた後にも有用な考え方を習得したことが、何よりの成果となりました。
下の写真は現地観察で訪れた丹沢湖の様子です。台風の後だったため森から流れてきた木が湖面に広がっています。木を伐採し
ても山から搬出することができず、このように大雨によって流れ出てくるのです。何かしらの対策が必要だと感じました。
4.環境をつなぐ
環境問題への対策は一朝一夕に行われるものではありません。神奈川県では地域独自の取り組みとして「水源環境税」を導入しましたが、
その道のりは長く険しいものでした。神奈川県は関東唯一の水源自給県であることを知っている人は県内にどれくらいいるのでしょうか。環
境意識の高まりがみられるものの、その実情は身近なところでも知らないことが多くあるのです。
「グローカルな取り組み」の本質はこのギャ
ップを埋めることにあるといえます。このプロジェクトではメンバー自身が地域の実情を知り、政策を学ぶことで環境問題の捉え方を見直し、
改めて情報の発信者となることを目指しました。前年までの蓄積を生かした活動を行いましたが、今後はより広い視野を持つこととプロジェ
クトの組織化のために、ウェブなどを活用した取り組みが考えられます。
■メンバー
学生:森山
寛章(経営学部1年)、来山
拓海(工学部2年)、新垣 聖也、西田
担当教員:経済学部非常勤講師/(財)東京市政調査会
高井
正
舜(経営学部2年)、岡芹
裕輝、足立
喜一朗(経済学部3年)
環境
横国エコキャンパスプロジェクト
横国エコキャンパスプロジェクト(通称ヨコエコ)は、横浜国立大学の学生の環境意識の啓発を目的として、有志の学生が募り、2008 年 9 月
に発足しました。現在、学部の 1 年生から修士の 1 年生まで約 40 名で活動を行っています。ヨコエコの【ヨコ】には横浜国立大学の【ヨコ】、
横のつながりの【ヨコ】、横浜市の【ヨコ】の 3 つの意味が込められています。これら 3 つの【ヨコ】に、エコロジーの【エコ】を組み合わ
せたのがヨコエコです。
1.活動の目的・背景
ヨコエコは、横浜国立大学の学生の環境意識の啓発を目的として発足した団体です。発足以来、
学生に対する意識啓発や、環境美化活動の企画、運営等、横浜国立大学の様々な環境活動に関与
しています。背景として、学内で様々な環境施策が打ち出される一方、学生の環境意識が低いこ
とが問題点として浮かび上がったため、ヨコエコの発足に至りました。平成 20 年度∼21 年度の
学長裁量経費プロジェクトにも採用されています。また、学内における活動だけではなく、ヨコ
エコの【ヨコ】の由来にもあるように、他大学や行政組織とも協働しています。
2.環境意識の向上に向けて
ヨコエコの 3 つの【ヨコ】
基本的に週に一回以上集まり、前期は勉強会、後期はグループワークを行いました。このような活動を通して参加メンバーのスキルアップ
を図っています。また本学学生の環境意識の向上に向けて、大きく 3 つの班に分かれて活動しており、それぞれの班毎に課題を設定し、活動
しています。加えて本学で実施される様々な環境活動に参画し、これらの活動を広く学生に広報するほか、多くの学生が参加しやすいような
仕組みを考えています。特に年に 2 回実施される全学一斉清掃の企画、運営に、本学の施設部と協働し、力を入れています。また、通年で ESD
を推進している団体である RCE 横浜若者連盟に参加しています。その他学外で実施される様々なイベントに関しても、他のプロジェクトと協
働するなど、随時積極的に参加しています。
3.活動内容・成果
■学内における環境活動
・本学の環境活動を紹介する動画の放映(3 月)
大学生協で実施されたオリエンテーションにおいて、参加した新入生を対象に本学の環境活動を紹介する動画教材を放映した。
・大学の環境報告書の作製(8 月)
大学事務局施設部が作製する横浜国立大学の環境報告書「エコキャンパス白書 2010」の編集作業に参加しました。具体的には「学生の環
境活動」という特集ページを設け、ヨコエコを含めた学生団体の環境活動を紹介しました。
・全学一斉清掃の広報・運営活動(6 月、10 月)
全学一斉清掃は毎年春と秋に実施される全学的な環境美化推進活動です。より多くの学生の参加を目標に広報活動及び、当日の運営を行
いました。例にあげると、ポスターやホームページ等を作製し、全学生に参加を呼びかけました。結果春と秋をあわせて約 40 名の参加者
が集まりました。
■班ごとの活動
・情報班
様々な情報媒体の管理を行っています。今年度、大学の環境活動を広く認知してもらうための WEB ページを作成しています。
・交流班
他大学の環境系サークルとの交流など様々なイベントの企画を行っています。今年度は、RCE 若者連盟への参加、環境行動フォーラムへ
参加しました。その他にも、エコプロダクツ展 2010 の見学を企画し、企業や大学の環境活動について学ぶことができました。
・意識向上班
勉強会やグループワークの主催、上記に記したイベントの企画を実施しています。
■参加メンバーのスキルアップ
・横浜市資源リサイクル事業協同組合職員による出前講座
横浜市資源リサイクル事業協同組合の職員の方をお招きし、横浜市のごみ分別について実際に分別を体験しながら学ぶことができました。
・勉強会
2010 年前期には、環境活動を進めていくにあたり必要となる知識や、考え方を学びました。毎週ひとつのテーマについて担当グループが
発表することにより、プレゼンテーション能力を向上させることもできました。
・修士の学生によるスキルアップ講座
勉強会と並行して、修士の学生が学部の学生に対して、ビジネスメールの書き方など、活動を進めていくうえで必要な知識及び手法を伝
えました。
・グループワーク
2010 年度後期にはグループワークを行い、その手法を学ぶとともに 2011 年度の具体的な活動計画を立てました。
全学一斉清掃の様子②
全学一斉清掃の様子①
環境報告書の作成
全学一斉清掃のポスター
横浜市資源リサイクル事業協同組合職員
による出前講座
4.課題・来年度に向けて
私たちの一番の目的は横浜国立大学の学生の環境意識の啓発です。しかし今年度の全学一斉清掃における、学生の参加人数はまだあまり多
くないのが現状です。目的の達成には、もっと多くの学生にこのような環境活動を知ってもらうことが必要だと感じています。そのため、例
年の活動を継続した上で、より効果的な広報の手段を考え、参加者を増やしていきたいです。また来年度は、後期のグループワークで企画し
た案を実現することに力を注いでいこうと思います。
■メンバー
参加学生:環境情報学府 1 年中原康敬(代表)/経済学部 2 年石亀紘旺/野口昇悟/松本嶺樹/教育人間科学部地球環境課程 2 年鷲見麻織/山元香穂
教育人間科学部地球環境課程 1 年井垣裕之/市村俊樹/川瀬彩/水上貴斗
担当教員:教育人間科学部
中村栄子/松本真哉
■連携
横浜市環境創造局、横浜市地球温暖化対策事業本部、横浜市資源リサイクル事業協同組合
環境
エコの芽を育てるプロジェクト@横浜Ⅲ
本プロジェクトでは、地球温暖化をはじめとする環境問題について、横浜市民の方々に様々なワークショップを通じて気づき、環境保全に
対する意識向上、実践を促していく活動を行っています。2010 年度は、従来通り CO2 削減の生活改善カードゲーム(写真 4 参照)を使ってイベ
ントに出展すると同時に、特定の地元に根付いたお馴染みの環境団体になることを目標にしました。特に、身近な環境問題として省エネルギ
ーに焦点を当て、省エネに関する紙芝居などを使い新たなイベントを企画・実践し常盤台地区の親子と交流を深めました。
1.横浜市にエコの芽を育てる下地作り
本プロジェクトでは、横浜市地球温暖化対策事業本部など各種団体と連携しながら、メンバー
による独自の課題設定により進めています。具体的には、環境教育教材の作成と活用(ワークショ
ップやイベント等)などを通じて、横浜にエコの芽を育てる下地づくりを行っています。
2.環境イベントへの参加と実施
昨年度までに使用したカードゲーム(写真 4 参照)は比較的難易度が高く、低年齢のこどもには
取り組みにくい一面がありました。それらの問題点を改善して、イベントに出展しました。さら
写真 1.2010 年度エコの芽メンバー
に、今年度は年齢が低くても理解できるクイズ付き紙芝居を作成しました。この紙芝居を主にして、エネルギー資源枯渇問題に焦点を当てた
「エコでホットなクリスマス会」を常盤台コミュニティーセンターで実施しました。
3.エコ活動の内容と成果
(1)「市民創発・環境行動フォーラム 2010」での共同出展
2010 年 6 月 5、6 日、太陽油脂株式会社、NPO 法人 YUVEC、本学の他の地域課題 PJ の方々と共
同で以下の流れで出展をしました。今回複数のグループと共同だったので、同一の目標の共有と円
滑なシナリオの作成に苦労しました。
①石鹸作り
パーム油と水酸化ナトリウムを容器に入れ、5 分ほど振るだけで石鹸が完成します。この石鹸
は環境負荷が低く、子どもが協力して手作りで行いました。
②発電実験
写真 2.力を振り絞って発電中!!
ハンドル式発電機を用いて発電実験、蓄電競争を行いました。参加者は発電によりエネル
ギーが必要なこと、また豆電球と LED を交互に発電し、発電するのにエネルギー使用量に違
いがあることなどを驚いていました。電気の有限性、節電の大切さに気付いてもらえたと思
います。
③エコカードゲーム
②で行った発電実験と関連づけて「蛍光灯と LED」や、
「エアコンと扇風機」の CO2 排出量
の差を感じてもらいました。エコカードゲームとは、自身のライフスタイルとそれに伴う CO2
排出量を簡潔に知ることのできるツールで、写真に示している昨年度(2009 年度)に制作され
写真 3.誰が一番 CO2 排出量を減らせる?
たものです。子ども達は、消費電力を減らすと CO2 排出量が減ることに気づいていました。
(2)クリスマス会の開催(常盤台コミュニティーハウスにて)
2010 年 12 月 18 日、幼児から小学生まで、約 50 名を対象に省エネをメインテーマとした「エコ
でホットなクリスマス会」を開催しました。5 チームに分かれて省エネに関する 3 つのゲームをし、
獲得ポイント数をチーム対抗で競わせました。各チームには、大学生が 1 人ずつリーダーとしてチ
ームに加わり、チームをまとめるとともに子どもたちの理解の手助けをしました。
写真 4.CO2 削減の生活改善カードゲーム
①発電競争
ハンドル式発電機を回すことで電池に充電し、その電池を扇風機や豆電球につないで、それ
らがどれくらい長く動き続けるかを競うゲームです。これにより、子供たちに電気に対する親
しみや、電気とは何かということ、電気を作るにはエネルギーが必要であることを感じてもら
いました。
②クイズ形式紙芝居
小さい子にも分かりやすく、馴染みやすいツールの作成を目指し、省エネがテーマのクイズ
付き紙芝居を作成しました。低学年の子にも楽しく取り組んでもらえるよう、見ている人も参
写真 5.全員で何秒電球を灯せるかな?
加型のクイズ付きの紙芝居となっています。内容は、主人公が悪者により奪われた町の電気を
取り返すため、省エネに関するクイズに挑戦していき、電気を取り戻すというストーリーです。
このクイズ内容は、電気の大切さ、省エネの必要性、具体的な省エネになる行動などについて、
以下に例を示します。
③エコの芽式フルーツバスケット
電気を使わず、体を動かし暖まれることを強調し、省エネのゲームとして行いました。
写真 6.読み聞かせの上手な大学生!
電気を奪った悪者ガッキ―
救世主エナジィ登場
「クイズが当たれば返す」
Q1)電気が使えなくなったらどうなるかな?
無事に電気を取り戻す
節電の大切さを学ぶ
Q2)どちらがより省エネになるかな?
図 1 クイズ形式紙芝
居
2 つの企画を通して、参加者には楽しんで頂いたと思います。しかし本プロジェクトの目的である、環境意識を高め、環境行動につなげ
るところまではできなかったように感じました。ステッカーにエコ宣言を書くなど、直接意識を高める機会が必要であったように思います。
4.今後の取り組み
今年度、主に子どもたちを対象に省エネの啓蒙を中心に活動しました。特にクリスマス会では常盤台コミュニティーハウスで行うことによ
り、地域における認知度を高める機会になりました。
今後の活動の課題としては、①子どもたちに環境について教えるときに、対象年齢を限定したり年齢に合わせて説明を変えたりするなど、
理解してもらうということを念頭に置いて考えていく。②今後、常盤台コミュニティーハウスなどで行う活動機会を増やし、地域の方々にエ
コの芽の活動を知ってもらう。③プロジェクトの人数を増やし、規模を拡大していく。ということが挙げられます。
今年一年の活動を経て、地域の環境意識の向上にはより多くの人が気づき、意識向上、実践する必要があると実感じました。その為には、
本プロジェクトのような小さな活動だけではなく、同じような志を持つ団体が結束することにより、大きな影響力を与えられると思いました。
■メンバー
江崎勇一(物質工三年)、北澤伊代(経営四年)、笹谷なお子(教育一年)、水上貴斗(教育一年)、市村俊樹(教育一年)、
森山達哉(教育一年)、惣宇利仁美(経営一年)
■連携
/
担当教員:学際プロジェクト研究センター
YES(ヨコハマエコスクール)、常盤台コミュニティーハウス、NPO 法人 YUBEC
田中稲子
環境
横浜地産地消推進プロジェクト
地産地消―その土地でとれたものをその土地で消費すること―は、私たちの健康や環境を守るとともに、二酸化炭素や輸送コストの削減に
もつながります。その取組みは、消費者の安心・安全志向の高まりと、食育や地域活性化につながるという生産・消費両者からの期待を受け、
全国各地で行われています。横浜市も例外ではありませんが、都市と農業は相反するイメージがあり、認知度は十分とはいえません。そこで、
私たちは横浜の農業の現状を知り、その魅力を発信するためには何をすべきか考え、横浜の地産地消に少しでも貢献したいと思い活動してい
ます。
1.農業都市
横浜
横浜市は人口 350 万人余りを数える大都市でありながら、神奈川県内
最大の農地面積を誇り、小松菜生産量は全国でもトップクラスという県
内屈指の農業地域でもあります。私たちはそんな「農業都市ヨコハマ」
の魅力を発信すべく、地産地消の推進、延いては横浜産野菜を活かした
地域活性化につなげたいと考えました。
生産現場視察で訪れた神奈川区の農地。農業専用地区*
として指定されている。
*農業専用地区…都市農業の確立と都市環境を守ることを目的とした横
浜市独自の農業振興策。
2.食と農をつなぐために
私たちが生産者と消費者の間に入り、地産地消の場を提供することで、少しでも多くの人に横浜の農産物の魅力を知ってもらいたいと思い、
以下の活動を行いました。
①
横浜の農業の現状把握
②
横浜産野菜の提供
③
市内で地産地消を推進している団体のイベントへの参加
3.横浜の現状と取組み
①
横浜の農業の現状把握
「生産現場視察」
泉区、神奈川区、緑区の農家や直売所を見学しました。生産
販売や安全性へのこだわりから都市農業が抱える土地問題ま
で、生産者の苦労と努力を肌で感じることができました。横浜
産野菜を使った料理も堪能し、地産地消推進の重要性をより強
く認識しました。
直売所に並ぶ新鮮なお野菜。
5 種類のジャガイモのミルフィーユ
見た目はお肉そのもの。
ジャガイモの常識を覆されました。
横浜野菜のバーニャカウダ
本当に美味でした!!
②
横浜産野菜の提供
5 月「清陵祭」
横浜産トマトを使用した料理と地場野菜を販売。
6 月「市民創発・環境行動フォーラム」
③
地場野菜を販売。
市内で地産地消を推進している団体のイベントへの参加
7 月「HAMA
Boom
Boom! プロジェクト」
新横浜の環境意識向上のきっかけとして養蜂を行っているプロジェクト。
その団体が企画する蜂蜜採取の体験に参加しました。
8 月「親子料理教室
エプロンキッズクラブ」
地産地消を通じて都筑のまちおこしをしようと集まった飲食店経営者の会である「都筑フードネット」主催の料理教室。
【都筑野菜でパパッ
とランチ】と題し、短時間で豪華な料理が完成しました。
11 月「濱の鉄人
料理コンテスト」
地産地消を進めるため、横浜市内の料理人や農家、流通事業者の方々が参加
する「濱の料理人」という団体を中心に企画・運営を行いました。プロ・ア
マの 2 部門で地産地消メニューを募集し、当日は 7 名の精鋭陣が自慢の料理
を披露してくれました。
濱の鉄人の作品「里芋の肉マン」は
戸塚区の「和ダイニング櫓(やぐ
ら)」で。
いただけます。
4.地産地消推進のために
活動を通じて多くのイベントに参加する中で、人々の食に対する意識の高まりを感じました。
「新鮮でおいしいものを」というのは誰もが望
むことです。地産地消がそれを実現できることは言うまでもありません。地産地消を広めていくには、生産者と消費者の距離をできるだけ縮
めることが重要です。そのために生産者と消費者の交流機会を設けること、生産者や生産地域、購入できる場所などの情報の提供と普及、ま
た食生活への関心が高まっていることから、食育の取組みと連携して地産地消を推進していくことも有効であると考えます。地産地消の取組
みはすぐに効果が表れるものではなく、根気よく継続的に続けることが大切です。したがって今回の活動も、継続していく中でよりよいもの
へと発展させ、市民意識の向上と横浜における農業の活性化に貢献したいと思っています。
■メンバー
学生:岡崎真結(経営 3 年)、進藤悦史(教育 3 年)、昔宮賢典(経営 3 年)、田中辰弥(経営 3 年)、塚田拓也(経営 3 年)、吉村真帆(教育 3 年)、
加藤浩(経営 1 年)、熊谷直貴(教育 1 年)
■連携
都筑フードネット、濱の料理人
/ 担当教員:井上徹 (国際社会科学研究科)
CREATIVE CITY
創造都市
1990 年代以降にヨーロッパのいくつかの都市で起きた製
造業の衰退、失業率増加、そして都市空間の荒廃において、
再生のカギとなったのは創造的なパワーを活かして各都市・
地域の潜在能力を引き出して地域経済を再活性化させたこ
とにありました。具体的には工場跡地を有効に利用して工
場のリノベーションを行い、アートなどの創造産業によっ
て空間を活用するといった再生事例があり、それらは「創
造都市」と言われるようになりました。この「創造都市」
の流れはヨーロッパだけでなく、日本にも広がり、特に横
浜およびその周辺地域では、より発展した考え方で都市・
地域の諸課題を創造的に解決していくことが展開されつつ
あります。
例えば、横浜市の関内・関外エリアではアートを用いた
町の再活性化が行われているなかで、川崎市においては音
楽、映像、ガラスなどの創造産業により再活性化が行われ
ており、ガラスシティプロジェクトは川崎のコンテクスト
をデザインに反映させたガラスの創出をしています。また、
モビリティデザインの実践プロジェクトでは人々の移動の
しやすさから地域・都市空間の機能を総合的にデザインす
ることによって、環境、福祉、そして経済面に連動する提案
を綾瀬市や厚木市にて行っています。
そして、現代の国際間および地域が抱える諸課題の根幹
には、コミュニケーションの減少や、地域コミュニティの
衰退が挙げられます。中国研修のプロジェクトは国際的な
コミュニケーションという観点から日本と中国との交流を
深めています。地域コミュニティの観点からは、松原商店
街バーザール創造プロジェクト、公共空間の活用プロジェ
クト、和田べんプロジェクト、そしてワダヨコプロジェク
トが、それぞれの活動を通してコミュニティ機能を再活性
化させ、商店街を核とした地域の向上を図っています。
創造都市
ガラスシティ・プロジェクトⅢ
川崎の地域資源―工業・ハイテク・住宅地―のイメージをもとに、クールでスタイリッシュな「かわさきガラス」を創出します。都市
は眠っていて活用されていない資源の宝庫であり、中でも川崎には工業に関わる地域資源が多く存在しています。廃ガラスもそれらの地
域資源のなかにある材料の 1 つであり、私達はそれを原料として再利用します。そして、当プロジェクトのメンバーと川崎におけるガラ
ス作家が一体となって KUGA(Kawasaki Urban Glass Associates) を組織化し、川崎の新産業として発展させていくことを目的としています。
1.川崎市におけるガラス文化
私たちガラスシティ・プロジェクトは川崎のガラス文化という貴重な地域資源を広く知ってもらうための活動を行っています。川崎に
は日本で最初のガラス教育機関「東京ガラス工芸研究所」があり、これまでに 800 人以上の卒業生(現在は全国各地で活躍しています)
を輩出してきました。またガラス工芸作家の工房が川崎市内各地に存在し、作家達がそれぞれの技法でガラス工芸を制作しています。そ
のため川崎市はガラス工芸を地域資源の一つとして捉え、川崎の文化として広く認知されるよう働きかけてきました。しかしながら現状
では市民でも一部しかこの文化を認知しておらず、このままでは貴重な文化が埋もれてしまいます。ガラスシティ・プロジェクトはガラ
ス工芸文化の認知を通して、工業都市として発展してきた川崎が文化都市としても成長していく過程を応援していきます。
2.川崎市内のガラス工芸作家との連携による「かわさきガラス」の創出
今年度は KUGA をより発展させるために、作家の方々との連携、そして「かわさきガラス」の創出に重点を置いて活動しました。年間
の活動としては、前期に市のかわさきガラス創出に関する会議への出席、作家の方々とのミーティングや、製品創出のための街頭アンケー
トなどを行ないました。また、それらと並行してグループ内をデザイン班、HP 制作班に分け、個別でも作業を進めていきました。そして
後期は本格的に「かわさきガラス」のデザインと制作を開始しました。各工房にて作家の方と試作を繰り返し、グループ内でその進捗状
況を報告しあいました。そして年度末に行なわれる展示会に向けて、いくつかの「かわさきガラス」を完成させました。
3.完成した「かわさきガラス」のデザイン
川崎市内のガラス業者の協力によって廃ガラスを得て、廃フロートガラスを用いた (i) マウスパッド、(ii) コースター、(iii) 角皿、(iiii) 照
明という「かわさきガラス」を制作しました。これらは、ハイテク工業都市、コンピューター部品、たくさんの住宅、そして高層ビル・
マンションといった川崎における地域資源のコンテクストや特徴をコンセプトとしています。これらの完成した「かわさきガラス」は、2
月中旬の川崎国際環境技術展、3 月中旬のかわさきガラス WORLD 展において展示と試験販売を行う予定です。
4.「かわさきガラス」を根付かせるために
実際にガラス製品が完成し、販売するという段階に入り、課題が見えてきました。製品の価格、販売方法をどのように設定するかとい
うことです。ガラス製品は一つ一つ作るのか大量に生産するのかでその価格設定の仕方が変わってきます。また販売方法についても、市
内店舗にての委託販売、KUGA 参加作家の工房にての販売、HP 上での販売などを想定していますが、まだ実現していない状況です。さら
に「かわさきガラス」を広め、川崎に根付かせるためには、KUGA を自立して継続していけるような組織へと展開していくことが今後重
要になってきます。来年度以降は、これらの課題解決を図りながら、より大きくプロジェクトを展開していきます。
■メンバー
学生:伊藤綾(工学院 修士2年), 加藤寛泰(東京大学大学院 修士1年), 玉木裕希(工学院 修士1年), 森口貴之(経済学部 4年),
三浦真宏(経済学部 4年), 小林峻(工学部 4年) , 北村泰 (経営学部 4年), 小林佑輔(工学部 3年), 高尾美由紀(工学部 2年),
佐藤智樹(工学部 1年) / 担当教員:志村真紀 (地域実践教育研究センター 准教授)
■連携
KUGA(Kawasaki Urban Glass Actions)、 川崎市経済労働局産業振興部新産業創出担当
工場・工業地帯:12%
ハイテク:5%
住宅地:4%
映画:4%
多摩川:4%
海:3%
音楽:3%
多摩丘陵・生田緑地:3%
サッカー :3%
岡本太郎:3%
ワークショップで意識化された
川崎における地域資源
(i)マウスパッド
(ii)コースター (iii)角皿
(iiii)照明
創造都市
モビリティデザインの実践 - 地区スケールの交通マネジメント提案 -
人々の移動のしやすさ、すなわち モビリティ を総合的にデザインする考え方を、具体的な地域での改善提案活動を通して学びました。
交通計画や都市計画等の講義・演習だけでは充分には培われない まちづくりと移動環境のつながり や 交通手段間の連携 などの実践的な
プランニングマインドのバランス感覚を、実際の地域との連携・協力の中で身につけることができました。平成 22 年度は、綾瀬市において
高速道路IC開業を見据えた地区交通対策提案、厚木市において中心市街地活性化対策を取り扱い、都市交通問題の解決の新しい方向性を実
践的に社会に提示していきました。
■前期テーマ:綾瀬市寺尾釜田地区 ( 高速道路IC開業を見据えた地区交通対策提案 )
1.高速道路IC開業を見据えた地区交通対策の必要性
本地区において東名高速道路のIC建設が計画されています。IC建設による本地区内の通過交通の増加 ( 動線の変化 )、住環境の悪化が懸
念される中で、地区の交通対策の見直し・立案の必要性が高まっています。地区交通の問題把握・課題整理、特に自動車交通の様々なニーズ
をコントロールする方法を学び、実務でまちづくりを行っている綾瀬市の方に提案することで、地区交通対策の方法を学びました。
2.フィールドワークでの地区交通課題の抽出・CTM概念の導入
課題抽出にあたり、まず本地区のフィールドワークを行いました。地区の現状を確認するだけでなく、 ヒヤリ ・ ハット する場所を探し、
ヒヤリハット図を作成することで、本地区の重点的な交通課題をメンバーで把握・共有しました。次に自動車や歩行者など交通手段別に動線
を考えるグループを作り、CTM(※下記参照 ) という概念を用いて、理想的な地区ネットワークのあり方を検討しました。最終的に、地区の
将来的ニーズや現在の地域の魅力も踏まえて、総合的な地区改善策を取りまとめ、綾瀬市職員の方に発表を行いました。
3.CTM( 総合的交通管理手法 ) などを用いた地区の交通改善提案
本地域の課題を大きく自動車と歩行者で分けて検討しました。CTMにより交通手段ごとの課題や理想とする動線を地図上に重ね合わせ、動
線がぶつかる地点 = 交通課題地点 ごとに規制・対策を行い、折り合いをつけていくことで総合的交通管理を行いました。その際、道路段
階構成を考慮しました。それに伴い、具体的には道路規制の見直し ( 一方通行の設定、速度抑制デバイスの導入など )、道路断面の見直しなど
の検討を重ね、とりまとめを行いました。より総合的な提案とするため、親水性向上、地域内公園の整備などの提案も盛り込み、本地域にお
ける一体的提案としました。
■モビリティデザインとは
モビリティ:移動のしやすさ、動ける環境
デザイン:(総合的に)空間・機能を設計する行為
⇒都市計画・都市デザイン・交通の工夫で
人々の移動をより望ましい方向にもっていく捉え方
(低環境負荷・福祉連動・経済活性
⇒中心市街地だけ、バスだけ、歩行者だけ・・・でなく
■CTM (Comprehensive Traffic Management) : 総合的交通管理
⇒80年代からイギリスで適応されている考え方
自動車の動線
「総合的」で「有機的」な繋がりのある考え方が必要
地区交通対策 提案図
ハンプの導入
バスの動線
各交通手段の現在の問題点と、
それぞれの理想的なネットワーク案を検討
これらを場所・時間帯で優先順位をつけて
地図上で重ね合わせ、需要・容量の管理を行う
– スピード抑制
– 歩行者専用道との接合部で
は段差解消
歩行者専用道路
– 通学路として
– 点線部はイメージ
– 既存のものは維持
一方通行
– 地区内交通の移動は維持
– 歩道幅拡幅のため
自転車の動線
交通の折り合いをつけ、全体としてバランスよく
機能するよう交通管理システムを作り上げていく
歩行者の動線
図:CTM の例
綾瀬市寺尾釜田地区提案図
■後期テーマ:厚木市本厚木駅北口地区 ( 中心市街地の交通対策案や景観創出 )
1.本厚木駅前中心市街地活性化に向けた提案
厚木市は神奈川県中央に位置し、歴史的には大山街道の宿場町で、戦後の国土開発計画では首都圏における副次核都市として位置づけられ
るなど、自立性の高い中規模都市としての歴史を持っています。東名高速道路厚木インターチェンジ、小田急小田原本線本厚木駅を有して交
通の要衝としても大きな役割を果たしています。企業の研究施設、大学を有する一方で、相模川に面し、丹沢山地の山麓に連なる地形という
、多面的な要素を有しています。これだけのポテンシャルと歴史を有しながら、その中心の衰退は著しく、その再生についての検討が求めら
れています。中心市街地に乗り入れ台数の多いバスターミナルを抱えているほか、地下歩道空間、歩行者専用空間などを抱えており、厚木市
の中心市街地問題は都市交通問題と密接に連携しています。以上より、地域実習課題モビリティデザインにおいて、中心市街地と交通の演習
課題として、ふさわしい条件を兼ね備えていることは明らかです。加えて、担当教員が厚木市のまちづくりにこれまで多面的に関わってきて
おり、また本学教育人間科学部OGが都市政策部局に勤務していることもあり、演習実施に際して、市役所の全面的な協力を得られる体制を
有しています。よって、後期は、厚木中心市街地をケーススタディとしました。
2.複数班構成による多種多様な提案の創出
全体で1つの案を提案した綾瀬市寺尾釜田地区での実習に対し、厚木市を対象とした活動では、3∼4人の班を作り、班ごとに案を作成・
提案しました。実際に本地区を歩いて調査し、さらに歩いただけではつかめない本地区の現状について、厚木市役所の方にヒアリングを行っ
た。その後、会議を重ねていく中で、各班の案に対する先生や他の学生との議論を通して、各自の提案を改善し、まとまった案を厚木市役所
にて市役所職員の方に向けて発表しました。
3.中心市街地の魅力創出のための多様なアプローチ
各班で本地区の中で着目している点が異なることもあり、各班がそれぞれの特色を出した提案となりました。厚木がかつて宿場町であった
ことに着目し、一番街から相模川に抜ける水路を通す案、一番街の敷地を減らし、駅前広場を設ける案、一番街の横方向にゾーニングを行い
、通りに特色づけをする案、道路の断面構成・地下道・バス停の見直しによる整備を行う案、本地区を4つのゾーンに分けて、それぞれの良
い部分を引き出す案と、多岐にわたった提案となりました。どれも大胆な提案なので、実現するのは難しいかもしれませんが、学生らしい視
点から地区の活性化を考えることが出来ました。
■まとめ・今後の課題
人々の移動のしやすさ、すなわち モビリティ を総合的にデザインする考え方を、2地区での改善提案活動を通して、学ぶことが出来まし
た。現在の都市交通の問題把握・課題整理を行い、そこから解決に必要となるものの考え方、特に様々な交通手段のバランスのとり方だけで
なく、都市計画や福祉政策、環境政策、他の政策領域との連携の取り方などを学ぶことが出来ました。
計画する際の思考のち密さ、表現の美しさ、プレゼンテーション能力などをもっとレベルの高いものにしていくことが出来れば、さらに中
身の濃い実習が行えたと思います。
面的色付け ~商店街マップ~
 見直し提案
凡例
•
一番街前面区画を広
場として活用する
•
居酒屋や風俗を一箇
所に集中し、一番街
の風紀を維持する
•
道路交通網の見直し
(通過交通・歩行者)
● 飲食店
● コンビニ
点
在
可
● 服・雑貨
● 美容・健康
● 医療
● 銀行
点
在
不
可
厚木市役所での発表
参加者集合写真
● 娯楽
● 居酒屋
● 風俗
厚木市提案の一例
■メンバー
髙橋優希、小林昴弘、遠藤寛之、中本侑香子、門倉孝行、小田千尋、尾関淳、佐藤保大、外山友里絵、高田康平、小保方良、小幡慎二、渡辺拓郎、
城間陽介、赤間遼太、土井良介、長谷卓、平林由梨恵、福沢樹、梯朔太郎 / 担当教員:中村文彦
■連携先
前期:綾瀬市役所インター推進室 / 後期:厚木市役所まちづくり計画部
創造都市
中国研修を通じた国際化対応人材育成プロジェクトⅡ
中国経済の発展は神奈川・横浜などの地域の発展と密接に関連している。中国の活気あるエネルギーを日本社会がどのように受け止め、活
用するかが日本の持続可能な発展を可能にする鍵となる。そこで大切なのは等身大の中国を知ることである。本プロジェクトは中国語を履修
している学生を対象に、夏季休暇期間に中国研修旅行を行い、現実の中国に触れることを通じて、中国語学習意欲を高め、中国への理解を深
め、各自の専門との接点を見つけ、社会に出て、何らかの形で中国と関わりのある分野で役立つ人材に育っていくことを目標とする。
1. 研修旅行の目的
港町ということで昔から国際色豊かな町横浜はで学ぶ私たちは、
交通、通信技術が発達しグローバル化した今日の社会で、日本に
いるだけでは学べないようなことを体験することでそれに対応で
きるだけの人材になろうというのをプロジェクトの目標としまし
た。その第一歩として海外の国の本当の姿を自分たちの目で知り、
肌で実感しようということが今回の研修旅行の大きな目的でした。
そこで、日本と同じアジア圏において近年驚くべき経済成長を遂
げている中国を訪問することとなりました。今回の研修旅行で着
目しようとした点は参加者によってバラバラでした。実際に学部
もバラバラで中国の経済に特に関心を持って参加した人、初めて
の海外の経験のきっかけとして参加した人、言語や建築などの文
化の違いを見たいと思ってきた人などです。そこでの統一性は求
められませんでした。ただ共通しているのは海外というものを実
研修旅行帰国時集合写真
感したいということでした。
2.中国研修のスケジュール概要
2010 年 9 月 13 日∼27 日の夏季休暇約 2 週間を利用して長江流域沿いの無錫・揚州・武漢・上海と中国各地を、それぞれ本校との協定校
である江南大学、揚州大学、華中師範大学、華東師範大学の日本語学科の学生と交流をしながら訪問しました。工業特区のある無錫では久保
田農業機械会社や蘇州天博数据有限会社の中国にある日系企業を訪問して回りました。その後揚州では日本と関連の強い鑑真和上を祭ってあ
る大明寺を見学し、武漢では世界最大級の三峡ダムを見学しました。どこも観光地として整備されていました。上海では上海万博やヤクルト、
資生堂、サントリーの中国社を見て回り、そこで勤めている日本人の方に中国での企業の展開方法や中国でビジネスをする上で注意していた
こと、今後の展望などをうかがいました。そのほかにも各地での移動中や自由時間で本当の中国、等身大の中国を実感できるようになってい
ました。
3.研修旅行から得たもの
私たちは無錫・揚州・武漢・上海と中国各地のそれぞれ本校との協定校の学生と交流会をしました。交流会では私たち日本の学生は日本の
文化について、中国の学生の方々はその地域のことについてそれぞれ事前に調べ用意したプレゼンを発表し合い、その後には中国の学生の方
に案内してもらい一緒に食事に行きました。その中で中国の学生の考えていることや、実際に中国の人が持っている日本に対するイメージを
聞くことができました。私たちが交流した学生の方々は本当に日本に対して友好的でした。少しほっとして、すごくうれしく感じたのを覚え
ています。またそのほかには、上海万博や南京虐殺資料館など各地の観光地にも足を運びました。そのような研修旅行を通じて本当の中国を
理解しようと努めました。研修後、参加者の皆さんに感想文を書いていただきました。その観点はやはり人それぞれでした。しかし共通する
ものがありました。それは自分達が得てきた知識とのギャップでした。それが経済的なことであったり文化的なことであったり、国民性であ
ったり。私たちは実感しました。自ら得た情報ほど自らを刺激してくれるものはないな、感じました。実際に、感想文の中には「中国語をも
っと勉強しようと思う。」
「ぜひ、また海外に行ってみたい。」など、今回の研修旅行が今後の行動の後押しとなってくれたとの感想たくさん書
いていました。
また、今回学部も学年もバラバラだった研修旅行のメ
ンバーと仲良くなれたり、交流した大学の学生とも連絡
が取れあえたり出来ているのは今回の研修旅行で得たも
のの一つだと思います。
4.私たちがすべきことと、できること
夏季の中国研修中もその後も日本では中国との緊張し
た状況がメディアで流されています。しかしながら、実
際に尋ねた中国は違ったものでした。私たちが交流した
中国の学生の方々はとても友好的でした。先も言ったよ
うに今回の研修旅行で私たちが感じたのはギャップでし
た。私たちが普段日本で生活している中で作られた中国
のイメージとのギャップでした。日本では中国のことを
華中師範大学の学生と交流している様子
あまりよく思っていない人は少なくないと思います。し
かし、それは間違いなのだと思います。実際に現地で生
活する学生の方々と交流して、実際に中国の人が感じて
いる日本に対する気持ちを知ることができたと思います。
だから実際に経験してきた私たちはそれを伝えていかな
ければならないのだと思います。また、今後は中国だけ
にとどまらずそのほかの多くの国に足を運んでみたいと
いうきっかけになりました。
■メンバー
学生:小野瀬 謙顕 (経済), 濱 彰史(経済), 犬塚 陽介(経
済),西澤 充晴(経済), 馬場 洋平(経営),大島 夏織(経営),
上海市内観
礒邉 美穂(経営),
中名生 知之 (工学), 濱野 翔平(教育), 分部 健太郎(教
育), 松崎 大(教育), 中田 瞳(教育), 森川 由紀(教育), 秋
山 彩芽(教育), 片岡 栞(教育), 寺本 麻祐子(教育), 馬場
美保世(教育), 佐々木 晴菜(教育), 引間 雪子(教育), 王
小凡(教育), 杜 南(教育院),
担当教員:村田 忠禧(教育人間科学部 教授), 于 臣(教
育人間科学部 講師) , 白水 紀子(教育人間科学部 教授) ,
長谷部 英一(教育人間科学部 准教授)
学生同士でそれぞれの国の文化などについての報告会
創造都市
松原商店街バザール創造プロジェクト
- 意識改革と街路照明調査-
意識改革−商店街の方々だけで持続的に催せるようなイベントの提案をしようと考えました。そのための課題は、商店街の内部構造にある
ことが調査を進めていくうちにわかり、ワークショップ等を行うことにより、商店街の中に協力し合える体制を作ることを目的に活動を進め
ました。
街路照明調査−松原商店街の街路灯は老朽化が進んでおり、付随する放送設備もほぼ使用不可能な状態になっています。このような現状か
ら街路灯を新設し、安全かつ安心感を得られるような空間演出を目的とし、それを機に松原商店街のさらなる発展を望みます。
1.松原商店街の問題と解決方法の提案
昨年度行われた食べ歩きのイベントが持続的に行われなかった主な原因として、人手不足、商店街全体のことに消極的な店主の存在が挙げ
られます。前者については、イベントを学生主体で行ったために生じてしまった問題であるといえます。これを踏まえて、店主の方々が協力
しあってできるようなイベント案を出したのだが、それは実現が難しいという結果になりました。それが後者の原因に当たるのだが、イベン
ト時に必ずしも全ての店主の方が協力的だという訳ではないそうで、
「協賛金を納めてくれるが、運営には協力をしない」店主の方も多いとの
ことでした。さらに、商店街で行われている会議にも参加しない方も多いらしく、実際は協力し合う体制が整っていないことが問題として挙
げられました。現代では、買い物の形態も大きな変化を遂げており、全国各地で衰退していく商店街も多い中、松原商店街は非常に元気な商
店街であると言えます。しかし、将来的にも松原商店街の魅力を存続させ、また、時代に合わせた新しい魅力を創出するためには、商店街の
中での協力し合える体制というのは必要不可欠であると考え、今年度は「協力し合える体制作り」を目的とした活動を行いました。
2.提案のブラッシュアップ
まず、5 月にメンバー同士で話し合いを重ね、松原商店街の見学に行きました。その後もメンバー同士の話し合いを行い、イベント案や体
制の改善方法に関する案を作成し、商店街の方々と意見を交換するという過程を繰り返しブラッシュアップしました。その間に、商店街の店
主の方々に対するアンケートやインタビューも行い、そして、最終的に決定したワークショップを 12 月から 2 月にかけて 3 回行いました。
3-1.ワークショップの成果
イベント案の作成においては、アプローチの方法を変えることを考え、それは前述の通り、持続的な
開催を目的としたためで、昨年度を「商店街全体を巻き込む」イベントと定義すると、今年度はまず、
協力的な店舗間でイベントを行い、徐々に消極的であった店舗を巻き込んでイベントを大きくしていく
「店舗を少しずつ巻き込んでいく」イベントであると言えます。具体的には、協力してくれる店舗でお
すすめの食材を持ち寄り、その日の献立の提案を行うというもので、これは、小規模かつ店主の方々同士で行えるので、課題であった人手不
足も解消することができるのではないか、という狙いがあったのですが、この案も上述の理由で実際には行うことができなかったので、商店
街の内部構造の改善について本格的に取り組むこととなりました。商店街の内部構造の改善方法を考える際、PCM 法を用いたワークショップ
を行うことにしました。PCM 法とは、「関係者分析→問題分析→目的分析→プロジェクトの決定→評価」というプロセスで行うことで、様々
な立場の人が参加し、模造紙にポストイットを貼っていくことで、自由に様々な意見を集めることができる、という利点があります。ワーク
ショップの目的としては、①青年部以外の若手の店主の方を巻き込むこと、②商店街の内部構造について話し合う場を設けること、③商店街
に協力的な体制ができること、の3つが挙げられます。このうち、①、③の目的については十分に達成できなかったが、②の目的については
達成することができたと思います。
Q1
松原商店街の夜間通行の有無
Q2
松原商店街の夜間通行の頻度
Q3
松原商店街を通る際の交通手段
Q4
松原商店街を夜間通った時の印象評価(14 形容詞対 7 段階評価)
Q5
街路照明における配慮事項の重要度
(11 項目 6 段階)
田町、浅間町の地域住民に各 300 部配りました。交通手段は徒歩が 66%で明らか
Q6
街路灯の改善によって望む商店街のイメージ
Q7
改善後に商店街を通るかどうか
に多く、72%の人が夜間に歩いたことがあり、夜間印象で浅間町女性に顕著であ
Q8
改善後に商店街の夜間営業が増えたら、商店街に来た
いかどうか
Q9
自由意見
3-2.現状の照明に対しての住民意識調査アンケート
アンケートは松原商店街の街路の夜間の利用率から、現状の夜間街路に対する
印象、どのような街路灯を望むか、また改善による効果を予測する内容とし、宮
るが、かなり暗く感じています。女性にとって夜間の明るさは防犯性につながる
住民意識アンケート項目
ので、無視出来ない事実です。Q5からも、明るさ、つまり安心感を 1 番に、次に多かったのは省エネ効果でした。Q6 の新街路灯に求めるイ
メージは伝統的より新しい商店街でした。改善後の効果は以上が夜間に通りたい、または来たいと言っており、松原商店街の夜に安心感を得
られれば、さらなる発展が臨まれます。Q9 では、消費者の生の意見を聞くことができました。照明に対しての提案や、怖さの原因など他多
数、街路灯の方向性を決める上で参考にしようと考えています。
このように、街路灯問題は目を背けられない問題です。誰もが不安を感じ、怖いと言われている松原商店街の夜間のイメージを改善するこ
とを地域住民が最も切望しているという結果が得られました。
3-3.現状の照明照度計測
右図のように、4 箇所を計測。2m 間隔に、道路の両端から 0.5m 内側と道路中央計3点、水平面照度を、
また街路灯中央付近で鉛直面照度を計測しました。
路面照度平均値と鉛直面最小照度は④以外が、均斉度は②と③が基準を満たしました。測定箇所①は漏
れ光があったため、均斉度が低くなったと考えられます。4箇所の測定結果を比較すると照度のばらつき
が激しい結果がでました。その一番の原因は街路灯がランダムに配置しているからです。④は街路灯が少
ないので JIS 基準以下ですが、防犯照明ガイドのクラス B(水平面平均照度 3lx,鉛直最小照度 0.5lx)の指針よ
り高い結果でした。測定結果だけで考えると暗いという状況ではなかったです。
ようするに、心理的な要素が大きく影響しているわけで、それは昼間の賑やか
さとの対比で、より寂しいという印象を与えてしまうからです。この松原商店
街の大通りから一歩外に出ると真っ暗で照度の差が歴然です。照度のばらつき
による対比効果で暗い場所と明るい場所が出てきてしまっているので、怖さを
生じてしまうのではないでしょうか。商店街の周りは暗いので、そこで暗順応
と明順応を応用し、目を慣らすことが大事だと考え、国道 16 号に面した入り
口は照度を高くして奥に行くほど低くするという、照度のグラデーションを提
案します。つまり、商店街の出入り口の外側の照度に出来るだけ近い照度の照
明を配置すれば、商店街に入った時または出たときに照度の差を感じなくなる
のだと考えました。
4.まとめ
松原商店街は、戦後から独自の発展を遂げてきました。それによって、現在の魅力が存在するのと同時に、現在抱えている問題もその独自
性に起因していることが活動を通して明らかになりました。つまり、各店舗の個性が強い松原商店街において、それが個人主義という形で協
力する体制への弊害にもなっているのです。しかし、やはり将来的に考えると協力というのは必要なことであり、それを実現することが今後
も課題となるでしょう。今年度の活動では、実際にワークショップに参加してくれる店主の方はそれほど増えなかったが、一方で、来てくれ
なかった店主の方にも将来に対する不安や協力することの必要さという意識があることが調査からわかりました。街路灯に関しては現状を把
握することができたが、これは街路灯取り替えプロジェクトの第 1 歩に過ぎません。これから、照明の方向性をコストとのバランスを考えな
がら、提案し一刻も早くこの問題を解決したいものです。そして、改善後は店舗の営業時間が長くなり買い物客が増加するという松原商店街
の発展を願います。このプロジェクトで松原商店街の方々との接触を重ね、大学と松原商店街の絆がまた一段と深くなりました。来期も連携
を組んで新たなプロジェクトの始まりです。
■メンバー
学生:久保田萌(教育人間科学部 2 年), 小林翔(工学部 3 年) , 吉野遼平(工学部 3 年)
担当教員: 福多佳子(VBL 講師) , 松行輝昌(VBL 講師)
■連携
洪福寺松原商店街振興組合, 上田直子(横浜国立大学大学院 国際社会科学研究科 講師), 金井智恵子(株式会社 横浜フリエスポーツクラブ)
岸岡真人(神奈川県 商工労働局), 関口範久(神奈川県 商工労働局), 齋藤勝利(横浜市 経済観光局), 神田憲治(大成建設株式会社)
創造都市
和田べんプロジェクト
- 地域と大学をつなぐ試み -
和田町には、商店街と大学など、他の地域にはない資産があります。これらの資産を活かし、この地域に生活する人々にとって暮らしやすい
街にするを目指し、2001 年から大学と商店街が中心となって地域活性化活動を進めてきました。和田べんプロジェクトはそこから派生したプ
ロジェクトであり、和田町商店街で作る弁当 和田べん を大学内で販売し始めたことが始まりです。当プロジェクトは今年度で 7 年目を迎え、
これまでに築き上げてきた地域との信頼関係を大切にし、これからも 和田べん の販売を中心に、常に新しい取組を続けていきます。
1.7年目を迎えた活性化活動
私たちは、商店街と大学・学生をつなぐ仕組みを提案・実施することで、地域内の連携を深め、地域に力をつけることを目的としています。
これまで、「商店街 MAP の作成」「学生アイデアコンテストの実施」など毎年さまざまな新しい取組を行ってきましたが、今年度は初心に帰
り、プロジェクトの軸でもある 和田べん 販売の現状を評価し、見つめ直すことにしました。
また、地域課題実習科目の単位化に伴い、工学部・工学府のみだったチームに、教育学部・経営学部・経済学部という新たなメンバーを迎
え、より広い視点で考えてみる機会となりました。
2.地域への参加
週 1 回のプロジェクト内のミーティングに加え、月 1 回の和田町タウンマネジメント協議会の参加、6,10,12 月の和田町べっぴんマーケッ
トでの和田べん販売することにより、和田町活性化に携わる商店・町内会・保土ヶ谷区などとのコンタクトを保ちました。
3.継続、そして新しい取り組み
今年度は、これまでに継続し続けている取り組みに加え、3つの新しい取り組みを行いました。
(1)以前から継続している取り組み
①弁当販売
工学部A棟1階にて、毎昼販売しています。現在は、「ひまわり亭」と「神戸屋」の 2 店舗
で弁当を出していて、商店の従業員が販売をしているため、1つの営業として自立していま
す。毎日の弁当製造は負担が大きいため、販売店舗の拡大に至れないことが問題です。
②べっぴんマーケットへの参加
【べっぴんマーケットでの販売の様子】
和田町商店街で行われる 3 月、6 月、10 月、12 月のべっぴんマーケットにブースを出店し、
普段は大学でしか購入できない和田べんを販売しています。
③タウンマネジメント協議会への参加
商店、住民、行政の方々、大学教員や学生などが月 1 回集まる協議会に参加し、議事録を取っています。
この機会に、和田町活性化活動に取り組む、国大生を含めた他のプロジェクトとの情報交換を行います。
④「協議会ニュース」の発行
月 1 回、町内全体の回覧板 100 部と掲示板 11 部にて、タウンマネジメント協議会での協議内容、
和田町活性化に取り組む他の団体の活動内容を取り上げることで、住民に情報を発信します。
⑤「わだまち駅界隈」への連載
和田町駅周辺の活性化に取り組む団体「スタジオ☆へそちく」が発行する新聞(不定期)の一部に、
【協議会ニュース】
国大の情報(国大橋工事や大学院編成の話題)を掲載することで、住民に国大の情報を発信します。
(2)新しい取り組み
①保土ヶ谷区花フェスタへの参加
保土ヶ谷区が主催する 花フェスタ にブース出店し、弁当販売に加え、昨年度活動報告のパネルを展示するなどして、
和田べんプロジェクトの活動を広めました。
②和田べん実態調査
現状で販売されている 和田べん が、大学でどれ程認知されているかに疑問を感じ、学生へアンケート調査に踏み切りました。
質問内容は、和田べんの認知度/学生の昼ごはんのニーズ(場所や食べるもの)/和田町商店街の利用率などです。
結果から、以下の3つの問題が上がりました。
問題1
(アンケート総数:300人弱)
和田べん の意義( 和田町商店街の弁当 として意識している人が少ない/商店街へ足を運ぶことにつながらない)
問題2
購入者層の偏り(文系の人の多くが和田べんの存在を知らない、買った事がない)
問題3
メニューの偏り(女性のニーズと異なる)
▶結論:学内での弁当販売で完結してしまっている。学生を商店街に運ぶためには新たな販売スタイルを試みる必要がある。
③新たな販売スタイルの創出
②での問題を改善すべく、以下の3つの提案を出しました。
提案1
新たなメニューの提供(旬/その店のアイデンティティーを表す商品/女性ウケ)
提案2
商店の宣伝(売っている商品と店、場所などが一致する広告物の作成)
提案3
販売場所の拡大(文系の学生も来る/食べる場所を伴う)
▶結論:今年度は協力を承諾した「盛光堂」の桜餅とイチゴ大福を期間限定で販売する。
そして、1月 18 日(火)∼21 日(金)に工学部A棟 1 階和田べん販売所の横で、1月 25 日(火)∼28 日(金)に図書館 1 階ラウン
ジで販売しました。販売する桜餅とイチゴ大福には、店頭で同じ商品がもう1つもらえる 当たりくじ をつけました。これにより、
学内での販売およびPRに終わらず、直接学生に商店街足を運んでもらうきっかけになることが期待できます。
【期間限定販売の様子】
4.まとめ・今後の課題
今回の活動を通して、少なからず和田べんのPRは出来たと思われます。その理由としては、販売を通して活動内容を直接話す機会があっ
たことや、普段見慣れない場所での販売であることで、購入しなくても活動紹介を見た人がいたからと考えられます。2週間という短期間で
の販売でしたが、4日もすると販売が定着し、「この場所で売っている」という記憶から、食後に商品を求めて購入に来る人が多数いました。
今年度の取り組みに対する反省点としては、活動をする時期がテスト前に被ってしまい学生の動きが読めなかったことです。学部ごとに考
慮した販売の時間や場所などを再度考え直す必要があります。
今回は大学と商店街を当たり券でつなぐというものでしたが、その後の店頭へ引換に訪れた人の動向を調査することで、どのようにしたら
商店街に学生が根付いてくれるか考えるためのデータになります。
今後の活動に関しては、これを皮切りに、定期的に、参加店舗を増やし、季節の商品など期間限定で学内販売することを目標にしています。
またアンケートの意見にありながら、今回は持ち運びやすさという点を重視したため実現できなかったが、食べる場所の提供も実現していき
たいと考えています。具体的には和田べんを通して店の紹介などもしつつ、学内で孤食している人たちをつなぐような空間提供などを行って
いきたいと考えています。
■メンバー
学生:野口、加藤、関口、猪原、関口、古山、外山、佐久間、高垣、桃田、内田 / 担当教員:高見沢実
■連携先
和田町タウンマネジメント協議会、盛光堂、ひまわり亭、大学生協、工学府社会空間システム学建築学コース都市計画研究室
創造都市
公共空間の活用と賑わいまちづくりⅡ
1955 年に発足した和田町商店街は、横浜からの帰り道に買い物に寄る中心的地域として栄えてきました。近年は、和田町駅を中心として約
80 店舗が軒を連ね、また横浜国立大学生など多くの学生の通学の経路となっています。しかし、その商店街も近隣の大型スーパーなどによっ
て以前のような活気を失いつつあり、学生が多く行き交うにも関わらずその学生の利用率はとても低くなっています。そうした問題意識から、
私たちはこの 1 年間『学生と商店街のつながり』という観点に基づき、商店街の公共空間を利用し活動を行ってきました。
1.今、商店街に必要なものは何か
和田町商店街は横浜国立大学の側にあり、通学や下宿生の生活空間として国大生と密接な関わりがあるにもかかわらず、国大生の商店街利
用率は低くなっています。当 PJ では当初、利用する国大生が少ない理由はその空間の使われ方にあるのではないかと考え、商店街という公共
の空間をどうすれば豊かで、賑わいのある場所に出来るのかを考え活動していました。しかしこれまで和田町商店街で行ってきた活動を通し、
和田町商店街をさらに活気づけていくために必要なことは「繋がり」を作り出していくことなのではないかと考え、今年度は学生・地域・商
店街のそれぞれの間に「繋がり」を作り出していくためには何が必要か、また、学生同士が繋がり、さらに地域・商店街と繋がっていくため
にはどうしたら良いのかを考え、大学と地域が繋がり、学生も地域住民も巻き込んでいくことのできるような枠組みを作ることを目的として
活動を行いました。
2.学生・商店街・地域住民を繋げる枠組みづくり
今年度は学生と商店街と地元住民の関係性の強化を目標に掲げ、一昨年度か
ら継続して行っている「en カフェプロジェクト」を基に「わだまち大学プロジ
ェクト」を実行し、和田町タウンマネジメント協議会などを通して学生・商店
街・地域との関係づくりを行ってきました。話し合いやミーティングによる関
係強化の他にも、学生と商店街が今までどのような活性化事業を行ってきたの
かを展示やワークショップを通して街の人に知ってもらう事や、和田町商店街
界隈で活動している学生団体同士が協力し合える枠組み作りに取り組みました。
3.『わだまち大学』という枠組みの持つ意味
『わだまち大学』企画組織図
今回和田町べっぴんマーケットにおけるこれまでの活動を通し、和田町で活動する学生同士、また地域の人と学生とのコミュニケーション
をより円滑にとれる場を作りたいという想いから『わだまち大学』という枠組みを作りました。
『わだまち大学』とは、学生団体同士が繋がりを持ち協力し合ってイベントを行うことでより効果的な活動にすることを目的とし、私達学
生が大学で学んでいることを地域の方々にも知ってもらうための場です。
このような枠組みの中で当 PJ では今年度、以下の 2 つの企画を中心に行いました。
①オープンカフェ、ストリートライブの実施
今年度も引き続き、6 月、10 月、12 月の和田べっぴんマーケットに合わせて計 3 回、オ
ープンカフェとストリートライブを開催しました。べっぴんマーケットを訪れた方がストリ
ートライブを楽しみながら休憩できるスペースを作り、和田町商店街の平沼園さん、Yuzuriha
さんのご協力の下、お茶やコーヒーの無料提供も行いました(en カフェ)。また今年度の新
たな試みとして、ストリートライブの様子を撮影し Ustream(動画共有サイト)で生配信を
行う社会実験も行いました。
⇒ストリートライブに新たに参加してくださるようになった地域の方や国大生がいた事や、
和田町商店街で活動する他の PJ,
団体と協力して運営を行った事で人と人との新たなつな
がりも生まれました。オープンカフェ・ストリートライブのレイアウトをその回ごとの天候
や出演者に合わせ変えることで、公共の空間をより良く使っていくという点に関しても考え
オープンカフェ・ストリートライブの様子
る事ができました。また、今回ストリートライブを Ustream で配信したことはまだ実験的な段階ではありましたが、出演してくださった方々
や我々の活動を公に広めていくことができ、和田町の PR にもつながるという意味でこれから十分に活用していけると感じました。
オープンカフェ・ストリートライブのレイアウトの変化(左:6 月
右:12 月)
②わだまち*フラワープロジェクト
12 月のべっぴんマーケット時に、訪れてくれた子供たちにブリキのポットに自由に絵を描いてもらい、花の苗を植えてもらうという、フラ
ワーポットの製作ワークショップを行いました。できあがった 30 個のフラワーポットはその後、商店街のいくつかのお店に協力していただ
いて、店舗前に置き管理してもらいました。
⇒自分たちの町の景観を自分たちの手で作っていくということを体感してもらうことができ、まちづくりについて考えるきっかけにもなり、
子供たちにも、一緒に参加した大人の方たちにも商店街に親しみを感じてもらえたのではないかと思います。
わだまち大学ポスター
オープンカフェロゴ
オープンカフェの様子
4.これからの『わだまち大学』
公共空間に賑わいをもたらすという目的の下これまでオープンカフェを継続して運営してきましたが、今年度はその他に「わだまち大学」
という枠組み作りやフラワープロジェクトといった新たな試みにもチャレンジでき、当 PJ 自体が今まで以上に地域や商店街と関わることがで
きました。今、商店街に賑わいを作り出すために求められているのは人と人とが繋がっていくという関係作りであり、今後も「わだまち大学」
という枠組みを強化していくことで、繋がりが繋がりを生み、新しい関係を生み、そこにさらなる賑わいが創りだされていくのだと思います。
■メンバー(学生・担当教員)
学生:村本真菜(教育・4 年)、森聡美(経営・3 年)、米森智子(経営・3 年)、阿部なつみ(工学・2 年)、岡村太亮(工学・2 年)、川村健太
(工学・2 年)/ 担当教員:秋元馨(工学研究院)
■連携・外部協力(敬称略)
和田町商店街協同組合、和田西部町内会、相鉄ローゼン、平沼園、盛光堂、YUZURIHA、ホクレア、クリーニング白洗、ハナコー花店、工藤
不動産、神戸屋フルカワ、マルヤ玩具店、真珠堂、京浜鮮魚、和音、サリーガーデン、松永恵子、音一平、池内光子、関東クリスチャン教会
ゴスペラーズ、ヒトツキ、A&G、横浜へなちょこ大道芸団、みんけん、MR.ナガノ、高橋きみとし、和田べん PJ、ワダヨコ PJ、横浜 FC、サ
トウミツエ、星野好晃
創造都市
ワダヨコプロジェクト
私たちワダヨコは「場を創り、絆を結ぶ」ことを目的として 2010 年 4 月に結成された横浜国立大学生から成る団体です。相鉄線和田町駅近
くの旧町内会館を学生がリフォームすることで、学生と地域の方々の交流の場を創りました。リフォーム案は学内コンペティションによって
決定し、学生が施工を行いました。また、リフォームと同時進行で、子供が気軽に学生に勉強を教えてもらえる寺子屋を開き、地域の子供た
ちと学生がふれあう機会を創り、リフォーム完成後には展示会も開催し、学生や地域の活動を発信する拠点となっています。
1.場を創り、絆を結ぶ
会場のある和田町商店街は住宅も多く、相鉄和田町駅や、保育園から大学までが近くにありますが、関係が希薄でこれらのポテンシャルを
地域活性化に十分に活用できていないのが現状です。そこで、旧和田町町内会館を「リフォーム」し、「ギャラリー」・「寺子屋」として学生が
主体となって運営することで、学生ならではの発想や活動をまちに還元し、商店街・住民と、横浜国立大学との繋がりを創りだすことで、地
域の活性化につなげていくことを目指しています。
2.和田町との連携と助成金
Office Wit の石井一彦様から旧町内会館を無償で貸して頂き、会場としました。また、和田町のタウンマネジメント協議会に出席し、地域の
方々との連携をして、ご協力して頂き回覧板や掲示板などで地域への告知などを行いました。そして、横浜市芸術文化振興財団の「文化芸術
による地域づくり事業」に応募して助成金を頂き、リフォームを行いました。
3.リフォームと寺子屋とギャラリー
・学内コンペティションによる町内会館のリフォーム ( 施工期間 2010 年 8 9 月 )
横浜国立大学生からリフォーム案を募り、和田町商店街主催のイベントにおいて地域の住民の方々、町内会に関わる方々、大学の先生方の
投票によって審査を行いました。そこで選ばれた案を安全性、採算性などを考慮して改善し学生が施工を行いました。
・寺子屋の運営(2010 年 6 月∼、週 1 回)
近年、和田町地区では子供の放課後の学習場所のニーズが高まっています。そこで、小・中学生を対象に子供が学生に気軽に勉強を教えて
もらえる寺子屋を週1回2時間運営しています。子供が宿題などの教材を持参し、大学生が補助する形で勉強を教えています。
・アート活動を発信するギャラリースペース (2010 年 10 月∼、今年度は 3 回、月 1 回を予定 )
横浜国立大学内には数多くの団体があり、アートに関わるものも少なくないですが、その活動を人々に披露する場が圧倒的に不足している
のが現状です。そこで、リフォームされた会館をギャラリーとして開放し、陶芸部の展示会を開催するなど普段アートに接することの少ない
地域の方々に発信する拠点として運営しています。
4.まとめと今後の活動について
この1年を振り返ってみて、私たちがワダヨコという活動をする事が出来たのは、環境に恵まれ、連携先の方々を始めとして多くの方々に
見守られ、ご協力、ご参加して頂いたからです。ご協力して下さった方々の期待に応えられるようにこれからもワダヨコの活動を継続させて
いきたいと考えています。寺子屋は今年度開いたクリスマス会のような交流会も含め、定期的に開き、利用者の意見も取り入れてより良いも
のにしていきたいと思っています。また、今年度はギャラリーを3回しか開催出来ませんでしたが、来年度以降は地域で活動している団体に
も声をかけ、より多くのギャラリーやイベントを開き、地域の方々に大学生の作品や活動を発信し、ワダヨコを通して人と人とをもっと繋げ
ていきたいと考えています。
■メンバー
学生:西田周平、井倉香織、池亀立哉、権藤史子、鶴和誠子、戸崎友理、橋本尚一郎、山下慶 ( 建築 /4 年 ) 金宝華 ( 国際共生 /4 年 ) 岸本し
おり、日向大樹、渡辺智美、渡辺愛美 ( 建築 /3 年 ) 木下智世 ( 国際共生 /3 年 ) 塩津亜矢佳 ( 建築 /2 年 ) 國本泰穂、五月女和香、坂上将之、
嶋浦早紀、曽我勇太、高橋麻里奈、武内茉緒、西出壮宏、前田海登、曲萌夏、宮川大亮、目崎優人、山口千尋、山本悠加里 ( 建築 /1 年 )
担当教員:野原卓、藤岡泰寛 ( 工学研究院准教授 )
■連携
青木和雄様 ( 和田町町内会 )、石井一彦様 (office wit)、 竹内化成様、横浜市芸術文化振興財団様、和田町西部町内会様、和田町タウンマネジ
メント協議会様
施工
実施施工 08/18 09/18/2010
リフォーム案のコンペティション 06/12/2 01 商店街に学生と地域の人々の交流スペースを、というテーマで貸し
一つ一つのボックスを組み合わせ、下図のような設計図通りに棚を製作しました。大量の木板
スペースのリフォーム案を学内で募りました。集まった渾身の8案
を使用しましたが、数種類にパターン化された板を組み合わせて製作したため、限られた期
をべっぴんマーケットにて公開審査を行い、一般の方を含め 70 近
間内での施工が可能になりました。
くの票が集まりました。
施工完成 09/18/2010
室の規模の割に多く散乱していた荷物がすっきりと収納されました。
また、棚が壁全体を覆うことで室内の統一感が感じられます。
▲べっぴんマーケットにて1位に選ばれた案。
棚が壁を覆い、収納として機能します。
またそれがところどころ壁から
引き出されることで、空間を仕切るなど、ユーザーに合わせた柔軟な
使い方が可能になります。
寺子屋
ギャラリー
普段の寺子屋
クリスマス会
UNBUILT 展 陶芸展
持参した教材で勉強をしています。
他の子どもや大学生と仲良くなって、 コンペで選ばれなかった作品や、施
国大陶芸部の作品を展示することで、
棚には勉強が終わった後に読めるよ
寺子屋に通うのが楽しくなるように
行風景の写真を飾ることで、この場
地域の方に国大で行われている活動を
うに寄付して頂いた本もあります。
あああああああ
クリスマス会を開きました。
ができるまでの歩みを発信しました。 知ってもらう良い機会となりました。
広報活動
月刊ワダヨコ
わだまち界隈
タウン二ュース
ワダヨコが発行し、毎
和田町駅周辺地域エリア
株式会社タウンニュー
月和田町西部町内会の
マネジメントプロジェク
ス社が発行している新
回覧板で回して頂いて
ト』の一環としてスタジ
聞折り込みチラシ。2
います。現在6号まで
オ☆へそちくが年4回発
010年10月14日
発行しています。
行しています。2010
号に 人材の地産地消
年秋号に掲載されました。
を と紹介されました。
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