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No.47 (PDF:98KB)

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No.47 (PDF:98KB)
網走水試ミニレター
N o . 47
2016. 2. 5
新 し い 年 に な り 少 し 世 界 の 水 産 業 の 動 向 を 見 て 、地 域 の 問 題 を 見 つ め る
ことも意義のあることと考え、
「 世 界 漁 業 ・ 養 殖 業 白 書 2 014 年 」
(日本語要
約 版 )を 見 て み ま し た 。水 産 庁 や 道 で は 毎 年 白 書 を 作 成 し て い ま す が 、FAO
による作成は 2 年に 1 度ですので少し古いですが最新版になります。
▼序文で「8 億人もの人々が現在も慢性的な栄養不良に苦しみ続けてお
り 、( 中 略 ) 将 来 の 世 代 の た め に 天 然 資 源 を 保 護 し な が ら 地 球 に 住 む 人 々
に対して食料を供給するという巨大な挑戦に我々は対処しなければなり
ま せ ん 。」と 漁 業 ・ 養 殖 業 の 役 割 を 強 調 し て い ま す 。試 験 研 究 に お い て も 、
つい生産量や生産金額に目が行ってしまいがちですが、水産業に携わる
我々皆が巨大な挑戦の一部を担っていることを意識していたいものです。
▼ 2011 年 世 界 の 漁 獲 量 は 9,370 万 ト ン で 、 1996 年 (9,38 0 万 ト ン ) に 次 ぐ
史 上 第 2 位 の 記 録 で し た が 、 1996 年 以 降 は 頭 打 ち の 状 態 が 続 い て い ま す 。
漁 獲 量 が 増 え た 地 域 や 漁 業 も あ れ ば 減 っ た 地 域 や 漁 業 も あ り 、そ れ ら が 補
完 し あ っ て 漁 獲 量 が 維 持 さ れ て い る よ う で す 。海 面 漁 獲 量 が 100 万 ト ン を
上 回 っ た 1 8 か 国 で 世 界 の 漁 獲 量 の 76 % を 占 め 、そ の う ち 10 か 国 が ア ジ ア
になっています。漁獲量の多い国は中国、インドネシア、米国、ペルー、
ロシア、日本、インド、チリ、ベトナム、ミャンマー 、ノルウェー、フィ
リ ピ ン 、韓 国 、タ イ 、マ レ ー シ ア 、メ キ シ コ 、ア イ ス ラ ン ド 、モ ロ ッ コ の
順 で す。た だ し 、ペ ル ー、日 本 、チ リ 、ノ ル ウ ェ ー 、タ イ、ア イ ス ラ ンド
は 、 こ の 10 年 で 大 幅 に 漁 獲 量 が 減 少 し 、 米 国 、 フ ィ リ ピ ン 、 韓 国 は 安 定 、
その他の国は大幅に漁獲量を増やしています。
▼ 養 殖 業 の 生 産 量 は 2012 年 に は 史 上 最 高 の 9,040 万 ト ン を 記 録 し 、 漁
獲 量 に 迫 る 勢 い で す 。生 産 量 が 多 い の は 断 然 中 国 で 世 界 の 61% 、ア ジ ア だ
け で 8 8 % を 占 め て い ま す 。 2008 年 以 降 ア ジ ア で は 漁 業 に よ る 生 産 量 を 上
回 っ て い ま す 。オ ホ ー ツ ク 管 内 で 漁 獲 量 の 多 い ホ タ テ ガ イ や サ ケ を 養 殖 業
と 考 え る と 重 要 性 が 高 く な っ て い る 傾 向 は 世 界 と 同 じ よ う に 思 い ま す 。国
立 研 究 開 発 法 人 水 産 研 究 セ ン タ ー の 第 3 期 中 期 計 画 ( H23 ~ 27 ) や 道 庁 の
日本海漁業振興においても養殖業を柱のひとつに位置づけています。
▼ 2011 年 世 界 の 水 産 物 輸 出 額 は 過 去 最 高 を 記 録 し ま し た 。 ま た 、 FAO
の 魚 価 指 数 ( 平 均 単 価 の 指 標 ) は 20 02 年 か ら 上 昇 し 、 2013 年 は 最 高 値 を
示 し ま し た 。 中 国 は 水 産 物 の 最 大 の 輸 出 国 で あ り な が ら 2011 年 以 降 、 米
国 、日 本 に 次 い で 世 界 第 3 位 の 輸 入 国 に な っ て い ま す 。 一 方 、海 域 の 漁 業
資源のうち持続可能な範囲内で漁業が行われている資源の割合は
7 1 . 2 %(2011 年 ) で 、 28.8% は 乱 獲 の 状 態 に あ る と 指 摘 し て い ま す 。 ま た 、
7 1 . 2 %の う ち 十 分 に 利 用 さ れ て い る 状 態 に あ る 資 源 は 、61.3%で 、残 り 9.9 %
が 開 発 初 期 の 段 階 と 推 定 さ れ て い ま す 。天 然 資 源 の 利 用 は す で に 限 界 に 来
て お り 、養 殖 業 の 伸 展 に よ っ て な ん と か 人 口 増 加 率 を 上 回 る 水 産 物 供 給 量
の増加率が続いているようです。
(網走水試 上田)
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