...

2015年3月 No.443

by user

on
Category: Documents
6

views

Report

Comments

Transcript

2015年3月 No.443
уᚏᚖႆষ‫ڨ‬ɒɗȡ
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
唖娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃阿
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
愛娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃挨
震災特集
東日本大震災を通して,私たちが残せるものとは何か:
災害対策といのちの教育
菅
野
武*
はじめに
地域医療に関わる医療者として南三陸町に働
く私に訪れた,平成23
年3月1
1
日の東日本大震
災。私たちは病院内で被災し,津波は多くの患
者やスタッフを一度に飲み込んだ。3日間に渡
り食料も電気も医療資機材も無い中で患者と寄
り添い支えあい過ごし,私自身最後のヘリで救
出された。その後再び南三陸町に戻り,医療統
括本部を仲間と立ち上げ,多くの医療支援チー
ムとつながりながら残された命をつないだ。
そうし た急性期対応を 受け,私は 米TI
ME誌
「2
0
1
1
年世界で最も影響力のある1
0
0
人」に選
療や生活を,早期に目標設定しないと,いたず
出された。震災から4年間で1
4
0
回を超える講
らに支援ばかりに頼り再生への道がむしろ遠の
演・発表の機会を与えられ,のべ1万5千人以
く危険を抱えている。その支援さえも,いつま
上の皆さんと学び考えてきた1)。助けに行く災
で続くのか分からないものであるからこそ。
害対策だけでなく,これまであまり注目されて
Phas
e
0.災害が起こる前の準備
こなかった「被災地域で,どのようにして自分
達のいのちをつなぐか」という災害対策の課題
災害の現場において,マニュアルを確認して
を,実際の被災状況や事例とあわせて共有した
いる余裕はないことが多い。しかし,常日頃か
いと思う。
ら訓練していることは実行に移せる。訓練の際
に,自分に割り当てられた役割のみに着目する
Phas
e
(時期)
,Ne
e
ds
(需要),Re
c
our
s
e
s
(人
のではなく,ひとりひとりが「優先すべきは何
的資源):スライド 1
か」という視点を持って訓練にあたること。地
組織における災害対策マニュアルにおいて,
震,津波,川の氾濫,台風,土砂災害など,急
記載されていることの多くは急性期対応であ
に発生し時間的な余裕がない自然災害を想定す
る。参集基準や,本部の立ち上げ,役割の分担
る場合には避難する先(建物の最上階など)に
など。しかしながら,被災者の人生はその後も
あらかじめ水,食料,医療資機材を配置してお
続いてゆく。自分達自身が被災者として生きる
くことも重要である。避難の騒乱の中でこれら
可能性を考えた時,維持継続可能な生活や医療
の物資を搬入することは容易でなく,そうした
が提供される状況になるまでをゴールの設定と
訓練やマニュアルは不適切である。高齢者や年
すると,被災期のダ メージの大きさによってそ
少者などの弱者を誘導し搬送するだけで相当の
の先の設定が可能となる。時期を意識できたと
人手と時間を要することを知っておかねばなら
きに本当の災害対策がはじまる。特に,医療機
ない。
関や地域コミュニティそのものが大きな被害を
また,医療者はその職業的特性から,年齢・
受ける災害においては,自立した維持可能な医
役職関わらず,全体を俯瞰する立場や命を守る
砦としてみなされることが多い。災害発生時の
*東北大学大学院医学系研究科
現場においては,医療者の落ち着いた振る舞い
消化器病態学分野,
そのものが皆を安心させる。
高知県災害医療アドバイザー
-1
-
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
【事例】公立志津川病院での被災と救出までの
院のスタッフが頑張ることができた理由は,そ
3日間1):スライド 2,3
こに「支えるべき人がいる」だった。明日への
2
0
1
1
年3月11
日1
4
時4
6
分,長い大きな揺れか
希望を持ち,人と人が支えあうことは,絶望の
ら4
0
分ほど,最上階の5階へ寝たきりや介助歩
淵でも大きな力を生む。
行の入院患者を搬送中に,1
5
m近い津波が茶色
2日目の昼,潮位の低下と共に避難者の一部
の壁のように押し寄せた。仕事仲間も,友も,
は高台へ向けて歩き始めた。けれど多くの高齢
運びきれなかった自分の患者も,住んでいた町
者や患者は瓦礫を越えて歩くことは困難で,私
もすべてが一瞬で失われた。4階天井まで迫る
も共にその場で救出を待った。その後自衛隊の
濁流に,正直自分もだめだろうと思った。死を
ヘリが飛来し,3日目の午前までかけて患者の
間近に感じたとき,残される家族への思いが頭
搬送を行った。次に診る医療者が混乱しないよ
をよぎった。結婚指輪をはめ,防水の携帯電話
う,段ボールで急ごしらえしたカード (臨時ト
で津波の写真を撮った。自分がここに居た証を
リアージタグ)に患者の名前・生年月日・病名
残そうとした。周りの看護師たちは油性マジッ
などの医療情報を記し,体に直接貼り付けた。
クで腕や体に名前を書きあっていた。かろうじ
そして,各搬送に当院スタッフを同乗させ申し
て生き残り,第1波の潮位低下の折に必死で4
送りした。震災3日目の最後のヘリで私自身も
階から1
0
名近く救出し,周辺からの避難者と合
救出されたとき,初めて「まだ生きている」と
わせて約2
3
0
名が病院5階で夜を過ごした。
実感し,涙した。
酸素や点滴等の医療資機材や備蓄の水・食料
は下階にあり津波で流されてしまった。医療者
Phas
e1.被災期(超急性期)
:発生時~数日
として生き残った我々に出来たことは,そばに
「生きぬく」
寄り添い励ますことであった。もし自分一人で
予測や想定,人間の技術を過信してはいけな
被災していたら,絶望していたかもしれない。
い。これがあれば大丈夫という発想は危険であ
けれど受難ともいえる災害の中,私や志津川病
る。まず「自分のいのち」を守ってよい。その
上で,志に従って行動した人も尊い。自身の安
全を確保し,二次災害にならないよう努める。
逃げた者も責められるべきではない。すべての
人が落ち着いて行動できるわけではない。直後
にはパニックとなる人も,茫然自失となり放心
状態となる人もいる。行動できない人を安易に
非難せず,許容すること。そして自分自身も過
度に追い詰めず責めないこと。生き残ったこと
は宝ものである。
「できないこと」を悩むよりも「自分にでき
ることはなにか」と考え行動すること。できる
こととは必ずしも医療者としての業務でなくて
も よい。その際に指揮命令系統,作業ご との
リーダーを明確とすると混乱が少ない(訓練の
際にも役割を固定化しすぎ ないこと)。特定の
誰か(院長,部長,所長など)がいないと動き
出せない状況にしない。
【事例】南三陸町医療統括本部の立ち上げ,運
営,自立への道1)
私は被災3日目の3月1
3
日に自衛隊のヘリに
よって石巻赤十字病院に患者と共に移送され,
-2
-
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
Phas
e2.急性期:数日~2週間
申し送りの後そこから友人医師の車を借りて仙
「2次被害のリスクを減らす」
台に戻った。そして3月16
日に長男がこの世に
生まれてきてくれた。私の体験と息子の誕生の
避難所などで被災者あるいは支援者として医
様子が,NHKを通して日本中世界中に流れ,私
療に関わる際に,
「何もない」が当たり前で,医
の安否を知った多くの友人から連絡をいただい
療も物資も需要と供給のバランスが大きく崩れ
た。自分を飲み込もうとした海の近くへ再び行
たところから始まる。災害被災地域では インフ
くことは,正直とても怖かったが,覚悟を決め
ラおよび物資そして支援者の状況が,時々刻々
3月2
1
日に南三陸町最大の避難所ベイサイドア
と変化してゆく。そのため定期的な情報収集と
リーナに戻った。自分に出来ることを探しに。
共有,絶えずアセスメントを行うことが重要で
約1か月間ベイサイドアリーナにおいて私自
ある。情報収集と発信はとても大切だが難し
身寝袋で生活しながら,直接的な医療活動では
い。
「取りに行く情報収集」が必要で,必要なも
なく,南三陸町の災害医療の中継拠点として医
のを報告しろ,という形式では何も把握できな
療統括本部を立ち上げ,全国から の医療支援
い。まず立ち上げ時には報告様式を簡略化して,
チームのマネジ メント業務と各避難所の状況把
日々更新する形が望まし く,できるだけ情報収
握に専念した。非番で被災を免れた同僚,西澤
集と処理専門に早期から人員を割くべきである。
医師はいち早く救護所をベイサイドアリーナに
報告書式には,あえて自由記載のスペースを作
設営していたので,彼をトップとして,地元医
り,気付きを柔軟に共有することも貴重である。
療者が支援を受け止めるネットワークの基点と
情報発信に関しては,複数のツールや窓口を持
なれるように,またうまく業務を分散させて自
つことが重要である。普及の進みつつある衛星
分たちも潰れないように意識した。避難所への
携帯電話も便利であるが,時間当たりにやり取
医療支援チームの派遣先調整だけでなく,感染
りできる情報量は少ないので,安否・生存確認
症の発生動向や支援物資の分配状況なども,機
や比較的単純な情報のやりとり以外の使用には
動力と情報収集能力を持った医療チームと連携
用いにくい。壊滅的被害の場合には早期の移動
して情報収集した。そして集めた情報は行政と
基地局(車両や空輸による)の設置+災害時優
共有した。支援チームには事務,山岳ガ イド な
先携帯電話とルーターの配布が現実的で,イン
ど 非医療者も参画し て くださることで,生き
ターネット回線の早期復旧により,やり取りで
残った住民の命をみんなでつないだ。医療だけ
きる情報量が劇的に増加する。今回の東日本
をやりに来た者はおらず,医療活動でなくとも
大震災においては外傷専門のチームの役割は
被災者の命のために出来ることを果たしてくれ
限定的であったが,DMAT(Di
s
as
t
e
rMe
di
c
al
た。そうした熱い思いを持って被災地に来てく
As
s
i
s
t
antTe
am)のような機動力を持った自
れることは,擦り切れそうな私達の心を力強く
己完結型のチーム(医師,看護師,薬剤師,ロ
支えてくれた。4月1
8
日より仮設診療所(後に
ジスティクス)は,情報収集の面からも被災地
南三陸診療所へ移行)の運用開始によって,地
域に負担をかけない点からも大変重要である。
元医療機関が暫定的ではあるが再開した。後任
受傷期に続いて多数の避難者が発生した事例に
配置の決定と,同僚の理解を得て,私は5月よ
おいては,高齢者や内科疾患を持つ要支援者に
り東北大学消化器内科での勤務,研究へ移るこ
対する避難所などでのサポートの重要性が注目
とにした。これは震災前から決めていたことで
された。こうしたニーズに応えるため,日本医
はあったが,津波で破壊された町並みを見ると
師 会 のJMATや 一 般 医 の 支 援 チ ー ム も,
後ろ髪ひかれる思いはあった。そんな中,4月
DMATを参考に多職種連携自己完結型になる
後半に米TI
ME誌の「世界で最も影響力のある
ことが望ましい。さらに今後は,直接的な医療
1
0
0
人」に選出された。英雄と報じられた自分
支援だけでなくアドバイスや後方搬送に関する
を覆っていた感情は,むしろ助けられなかった
判断のために,公衆衛生医,全身管理のできる
命への悔しさであった。
プライマリケア医,精神疾患やせん妄に対応で
きる精神科医などが医療マネジ メント部署の
ミーティングに災害早期から関わるべきである。
-3
-
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
Phas
e3. 亜急性期:3週間~数か月
が大規模災害の発生2週間後~1か月あたりに
「支援からの自立を意識」
集中して発生してくることを知っておくべきで
被災地域の医療者も,支援で入る医療者も,
ある。いずれの疾患も一度発症すると致命的な
過剰なヒロイズムに浸らず謙虚であること。で
経過をたどるおそれが十分あるので,避難所で
きれば地元に根差し精通した地元医療者を,体
の衛生指導や巡回時にも,深部静脈血栓症のス
制を構築する意思決定機関(医療統括本部な
クリーニングとともに重点的に探ってゆく必要
ど)に組み込むこと。地元医療者(災害医療
がある。疾患の早期発見のためには,血圧変動
コーディネーター)には災害医療そのもの以上
チェック目的の血圧計や,心電計(簡易でもよ
に,もともと持っている地域のネットワークや
い)
,酸 素 飽 和 度 測 定 器(パル ス オキシ メー
人のつながり(Re
s
our
c
e
s
)を活かして行政や保
ター)などを避難所に早期に設置し,また,被
健福祉との連携を図り,外部へ自分たちの被災
災者自身にも「呼吸苦・胸痛(→心筋梗塞や心
状況や需要(Ne
e
ds
)を伝える役目を与えるこ
不全)
」,
「片側の手足のしびれや呂律の異常(→
と。そこにブレ インとして支援団体を加える。
脳卒中)
」,
「黒色便やふらつき(→出血性消化性
自身が被災地域の医療者の場合には積極的に医
潰瘍)
」など が 急に 始 まった際には 必ず 医療
療統括部門に参画すること。また他方で,早期
チームに相談するように継続して啓発すること
から「代わりのきく体制」をめざし,自立した
が重要である(避難所ト イレのドアに貼るなど
維持可能な形態を模索する。特定の人物だけが
目に留まるように)
。早期に発見対応すること
頑張り続けなくてはならない状況は,いずれ破
で,死亡事例の減少のみならず医療ニーズの軽
綻する可能性が高い。意識して休養をとり,皆
減につながる。高齢化の進む日本における災害
で仕事も休養も分担する。継続的な支援チーム
時には,外傷の対応のみならず背景疾患やその
の配置調整や休養の取り方の分配などに,支援
後の発生しうる虚血性臓器障害とでもいうべき
チームのブレ インが積極的に関わると,自ら申
災害亜急性期の疾患群への理解啓発が必要であ
し出にくい地元医療者も休むことができる。
る。また,嚥下能力の低下している高齢者を中
避難所の運営に関しては,普段からの地域包
心に,避難所などで十分な口腔ケアができずに
括ケアの延長にある。ト イレ,入浴,清掃など
食事形態も合わないことなどから誤嚥性肺炎が
の管理を通してインフルエンザや嘔吐下痢症の
増加してくることも知っておくべきである。
衛生管理をする際には,適切な指導と避難者自
【事例】災害ストレスと消化性潰瘍
身に関わらせることが重要である。手洗い用の
給水ポッド の早期設置やアルコールだけでなく
(東北大学消化器内科の研究より)
:
塩素系の消毒薬,清掃の仕方によっては感染拡
スライド 4,5
大を来しうることも繰り返し伝えながら避難者
検討Ⅰ:東日本大震災発生直後から の3か月
の自己管理能力向上を図る。また,高リスク者
間,および 前年同時期に宮城県内の7施設
の情報共有が重要である。災害弱者(在宅酸素
において内視鏡的に新たに消化性潰瘍と診
療法,透析,不安定な精神疾患を持つ,癌治療
断された症例を後ろ向き研究とし て集積し
などで麻薬や特殊な薬を要する,インスリン使
た2)-4)。東日本大震災後の3か月間で,胃・
用者,介護力を要する高齢者,妊婦,乳幼児)
十二指腸潰瘍症例は約1
.
5
倍,特に出血性潰
などを把握し,優先的に非被災地域へ移送する
瘍は2
.
2
倍に増加し た。震災後潰瘍のピ ーク
ことを検討する。とりあえず1か月で十分なの
は発災1
0
日目付近に認め,潰瘍の成因として
で,供給の不安定な被災地域で彼らを何とかサ
H.
pyl
or
i(He
l
i
c
obac
t
e
rpyl
or
i)陰性かつ非
NSAI
Ds
(nons
t
e
r
oi
dalant
i
i
nf
l
ammat
or
y
dr
ugs
)患者の割合が全体の2
4
%を占め,20
1
0
年の1
3
%から有意に増加した(P<0
.
0
5
)。東
日本大震災後に著明な消化性潰瘍の増加を
みとめ,H.
pyl
or
i陰性かつ非NSAI
D群の割
合の震災後の有意な増加から,大規模災害時
ポートしようとし続けるよりも,支援の手の届
きやすいところへ。それは結果的に被災地域の
医療介護の負担軽減につながるので,急性期を
過ぎるあたりで検討すべき事項である。
そして,災害関連疾患として,脳梗塞,心筋
梗塞,心不全などの虚血性疾患と出血性胃潰瘍
-4
-
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
の 強 度 の 精 神 的 ス ト レ ス は H.
pyl
or
iや
てい る 8)-11)。避難環境に いた者には,死
NSAI
Dと独立して消化性潰瘍を引き起こす
別,住居の喪失,失業といった精神的ストレ
可能性がはじ めて示された 2)。震災後の出
ス,さらに食事や水分摂取の不安定さ,寒冷,
血性潰瘍の特徴は,多発し,胃に多く,輸血
などの環境ストレスが加わっていたと予測さ
3)。
を要した患者が多かった(P<0
.
0
5
)
れる。
Phas
e4.慢性期,復旧期:6か月~
「コミュニティの再形成,こころと
生きがい」
多くの住民が仮設住宅や新しい生活環境に移
行し,避難所が閉鎖されてゆく慢性期には,自
治体レベルでは,いかにして失われたコミュニ
ティを再形成してゆくかが問われる。当該市町
村だけで新しいビジョンを描くことは容易では
なく,町作りは「今を生きるもののためだけで
はなく,未来にここに住む子供たち世代のた
め」であることを明確にしなくてはならない。
検討Ⅱ:上述の20
1
1
年の症例において,非出血
被災自治体職員もまた被災者であり,持続可能
性潰瘍群をコントロールとして東日本大震災
で代わりのきく業務をめざし,また次なる災害
後 の 潰 瘍 出 血 の 危 険 因 子 を 求 め る ロジ ス
への備えとしても,多地域間の自治体職員の交
ティック回帰分析を行った。避難環境OR4
.
4
流を平素から行うことは重要である。
-9
.
6
)は,潰瘍サイズ2c
m以
(9
5
%CI
:2
.
1
被災し た個人個人とし ては,全体の復旧ビ
上OR5
.
0(9
5
% CI
:2
.
7
-9
.
3
)や,抗 血 栓 薬
ジョンと大きく異なる点がある。それは,大き
-5
.
5
)と独立して災害時
OR2
.
4(9
5
%CI
:1.
0
な喪失感から 立ち直る時期は,その人ご とに
の潰瘍出血の有意な危険因子であった4)。
よってばらつきが大きいということ。住む場所
や家族,仕事を失い,生き残った自分を責める
罪悪感(Sur
vi
vor
’
sgui
l
t
)を乗り越えることは
容易ではない。心のケアなどという言葉でくく
り,専門家だけが対応すべきこととしてはなら
ない。カウンセリングを行うだけでなく,被災
者自身が「生きていてもいいのだ。生き残った
ことは罪ではない」という赦し,必要とされる
生きがいやりがいを見つけられるよう支援して
ゆく。そしてやがては支えられるばかりの「被
災者」から 次の困難へ力や思いを伝え助ける
「震災経験者」へと変わる日が来ると信じるこ
と。そのために,被災地域だけでなく,広く傾
聴と許容,必要とし 支えあうことが重要であ
強度の精神的なストレスが交感神経刺激に
る。
よるカテコラミン分泌を介した血管攣縮と血
液濃縮・凝固亢進傾向,内皮障害を引き起こ
し 臓器虚血へつながることは報告されてお
おわりに
り5)-7),また,災害時の強度の精神的スト
復興とは,次へバトンをつなげられた時であ
レスが同じく臓器血流の低下を介して虚血性
る。3月1
0
日震災前に戻ることではない。未来
心疾患や脳梗塞の増加と関連しているとする
を創る気概を胸に進みたい。東日本大震災は,
報告が,東日本大震災の報告を含めてなされ
これからの日本が抱える問題を前倒しにした。
-5
-
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
解決への取り組みやこの困難からの学びは,日
t
heGr
e
atEas
tJapanEar
t
hquake
: ac
as
e
-
本そし て世界の問題へのヒントとなると信ず
c
ont
r
ol s
t
udy of 3
2
9 pat
i
e
nt
s
.J
る。震災経験を社会全体で共有し,それぞれに
Gas
t
r
oe
nt
e
r
ol
.2
0
1
5Jan;5
0
茨:3
1
4
0
.
アプローチすることで世界は変わる。「自分に
5.Zgr
agge
n L,Fi
s
c
he
rJE,Mi
s
c
hl
e
rK,
できることは何か」といつも問うことが大切で
e
t al
: Re
l
at
i
ons
hi
p be
t
we
e
n
ある。
he
moc
onc
e
nt
r
at
i
onandbl
oodc
oagul
at
i
on
阪神淡路大震災の経験者そしてその子供の世
r
e
s
pons
e
st
oac
ut
eme
nt
als
t
r
e
s
s
.Thr
omb
代が,東日本大震災においてたくさん助けに来
Re
s
.2
0
0
5;1
1
5
:1
7
5
-8
3
.
てくださった。彼らが口々に言うことは「あの
6.Aus
t
i
n AW, Pat
t
e
r
s
on SM, von
ときの恩返し,恩渡しである」と。彼らの背中
Käne
l R:He
moc
onc
e
nt
r
at
i
on and
をみると,そこには被災者から震災経験者に変
he
mos
t
as
i
s dur
i
ng ac
ut
e s
t
r
e
s
s
:
わる日が来る力強さを感じる。世代を越えて,
i
nt
e
r
ac
t
i
ngandi
nde
pe
nde
nte
f
f
e
c
t
s
.Ann
個人に社会に継承される困難に負けないしなや
Be
havMe
d.2
0
1
1;42
:1
5
3
-7
3
.
かな強さ,それが真に私たちが東日本大震災か
7.Ghi
adoniL,Donal
dAE,Cr
opl
e
yM,e
t
ら学び残すべきことの本質であろう。
al
: Me
nt
al s
t
r
e
s
s i
nduc
e
s t
r
ans
i
e
nt
e
ndot
he
l
i
al dys
f
unc
t
i
on i
n humans
.
参考文献
Ci
r
c
ul
at
i
on.2
0
0
0;1
4 :2
4
7
3
-8
.
1.寄り添い支える 公立志津川病院 若き内
科医の3・11菅野
8.AokiT,Fukumot
oY,Yas
udaS,e
tal
:
武[河北新報出版セン
The Gr
e
at Eas
t Japan Ear
t
hquake
ター,全1
8
4
ページ, 2
0
1
1
.
1
2
.
3
0
発行]
di
s
as
t
e
randc
ar
di
ovas
c
ul
ardi
s
e
as
e
s
.Eur
2.KannoT,I
i
j
i
maK,AbeY,e
tal
: Pe
pt
i
c
ul
c
e
r
s af
t
e
r t
he Gr
e
at Eas
t Japan
He
ar
tJ.2
0
1
2;33
:2
7
9
6
-8
0
3
.
9.AokiT,Takahas
hiJ,Fukumot
oY,e
t
e
ar
t
hquake and t
s
unami
: pos
s
i
bl
e
al
: Ef
f
e
c
t of t
he Gr
e
at Eas
t Japan
e
xi
s
t
e
nc
eofps
yc
hos
oc
i
als
t
r
e
s
sul
c
e
r
si
n
Ear
t
hquake on c
ar
di
ovas
c
ul
ar di
s
e
as
e
s
.
humans
.J Gas
t
r
oe
nt
e
r
ol
.2
0
1
3 Apr
;48
Ci
r
cJ.2
0
1
3;25 :4
9
0
-3
.
允:4
8
3
-9
0
.
1
0
.Kar
i
o K:Di
s
as
t
e
r hype
r
t
e
ns
i
on-i
t
s
3.Kanno T,I
i
j
i
ma K,Abe Y,e
t al
:
c
har
ac
t
e
r
i
s
t
i
c
s
,me
c
hani
s
m,and
He
mor
r
hagi
c ul
c
e
r
s af
t
e
r Gr
e
at Eas
t
manage
me
nt
.Ci
r
cJ.2
0
1
2;7
6
:5
5
3
-6
2
.
JapanEar
t
hquakeandTs
unami
:f
e
at
ur
e
s
(Re
vi
e
w)
.
of pos
t
di
s
as
t
e
r he
mor
r
hagi
c ul
c
e
r
s
.
1
1
.JoodK,Re
df
or
sP,Ros
e
ngr
e
nA,e
tal
:
Di
ge
s
t
i
on.2
0
1
3;8
7
茨:4
0
-6
.
ps
yc
hol
ogi
c
als
t
r
e
s
sandi
s
c
he
mi
cs
t
r
oke
:a
4.Kanno T,I
i
j
i
ma K,Koi
ke T,e
t al
:
Ac
c
ommodat
i
oni
nar
e
f
uge
es
he
l
t
e
rasa
r
i
s
kf
ac
t
orf
orpe
pt
i
cul
c
e
rbl
e
e
di
ngaf
t
e
r
-6
-
c
as
e
-c
ont
r
ols
t
udy.BMCMe
d.2
0
0
9;1
員:5
3
.
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
唖娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃阿
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
愛娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃挨
震災特集
東日本大震災後の保健師活動からの学び
-保健師の本来性と被災現地の意味-
末永カツ子*1,臼井
玲子*2,佐藤奈央子*3,水沼
一子*4
支援を行いながら,必死に保健所の通常業務
の立て直しを行っていった。それは,管轄す
る2市1町(石巻市,東松島市,女川町)の
保健師からの避難所での胃腸炎や感染症の発
生予防やト イレの問題や地域住民へのこころ
のケア等の支援要請への対応でもあった。
芋 市町(地区)担当による支援
① 総括保健師による調整
2
3
年3月末,筆者らが石巻保健所の仮事
務所(図1)を訪問した際には,パソコン
やファックスの情報機器や重要な資料等を
喪失し 情報が迅速に収集できず苦慮する
中,総括保健師には目前に種々の即対応し
なければならない仕事が集中していた。こ
状況の中で,総括保健師は,県庁への応援
保健師の要請等を行い,管内の保健師活動
を立て直そうとしていた。
4月に入ると,保健所保健師と応援保健
師たちが参加するミーティングが毎晩開催
されるようになった。ミーティングでは,
管轄市町の保健師活動内容や課題が報告さ
れその後の対応について話し合われた。総
括保健師は,このミーティングによって得
た情報に基づき,市町の具体的課題へのア
ドバイスができるようになり,必要な支援
を組み立てることができるようなっていっ
た。
1.はじめに
地域保健法の制定以降,介護保険法制定をは
じめとするその後の保健医療福祉制度改革によ
る施策や事業の縦割化に伴い保健師の分散配置
が進められた。これより,保健師の活動形態は
「地区担当制」から施策や分野ごとに事業を展
開する「業務担当制」が主軸となってきた。こ
のことと並行して住民の視点で地域全体を捉え
地域の健康課題の解決ために分野横断し協働し
地域保健活動を展開するという保健師本来の機
能が低下しているとの指摘がなされてきたⅰ。
このような状況下で起こった東日本大震災後
の被災現地の保健師に求められた活動は,緊迫
した状況下で次々と生じるマニュアルにない保
健活動におけるリーダーシップやマネジ メント
力の発揮であったⅱ。この活動の中で保健師ら
は,自己の活動のあり方への問い直し を迫ら
れ,平時から地区の人々の生活や健康課題を捉
え地域住民同士や関係者との信頼関係を築いて
おくことや「地域担当制」の重要性を強く再確
認していった。
そこで,本稿では,活動拠点を失い行政機能
が混乱した2つの被災現地において「地区担当
制」による活動を復活させた取り組みを紹介す
る。その上で,「保健師の本来性」「被災現地の
意味」について考える。
2.地区担当制を復活させての活動
1)石巻保健所による市町支援(2
3
.
3
.
1
1
~6月
上旬)
茨 津波で水没した庁舎からの脱出
市内を流れる川を遡った水により水没した
石巻保健所では,避難してきた30
0
人の住民
とともに職員40
0
人が庁舎内に4日間閉じ込
められたⅲ。この間,保健師たちは健康問題
を抱える避難者へのケアを実施し た。その
後,保健所は,仮住まいとなった高校や大学
の建物を拠点として,管轄する市町の被災者
【図1】石巻保健所の仮事務所となった管内高
校の教室(平成2
3
年4月,撮影)
*1東北大学,*2大崎保健所,*3南三陸町
*4元丸森町
-7
-
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
さ上げ工事や,災害公営住宅・役場・保健セン
ター・病院等のハード 面の建設工事が進められ
ている。加えて,安心して暮らし続けることが
できる町とするためのまちづくり計画や,障害
者計画,健康づくり計画の策定等,ソフト面の
とりくみも進められている。
茨 住民と協働しての地区活動の実施へ
① 健康づくり計画策定を協働して
上記の計画のうち,健康づくり計画の策
定は,保健センターの保健師や管理栄養士
ら(以下,保健師ら)の所属課が担当部署
となる。南三陸町の保健師らは,通常の事
業に加え,震災対応の事業,個別支援に追
われ達成感のない状況の中で,23
年1
0
月に
は大震災後の活動の振り返りの中で地区担
当の大切さを実感し,それまでの「業務担
当制」に加え「地区担当制」をとることを
決断した。そして,震災直後から沿岸部に
外部支援者として入った退職保健師や大学
教員に応援を求め,地区毎の健康づくり活
動を実践するために健康づくり計画を地域
住民とともに策定し てい くことを選択し
た。
② 地区担当としての働きかけ
2
4
年度には,保健師らは,地区担当者と
推進員とが顔が見える関係となる契機とす
るために担当地区に出向き,保健福祉推進
員たち(以下,推進員)と話し合いながら,
健康づくり計画を協働して策定し地区活動
をしたいと呼びかけていった。
③ 地区懇談会,保健福祉推進員会議にて
2
6
年度の計画策定を進めていくための取
り組みとして,6月~9月には,町内の4
つの地区で保健福祉推進員と地区担当者と
の「地区懇談会」をもった。この懇談会で
は,地区住民の健康面について気になるこ
とを出し合ってもらった。この懇談会を終
えて1
1
月の地区住民への報告会において保
健師らの課長は,
「他の計画は,すべてコン
サルタント会社に委託するが,健康づくり
計画は地域住民と協働し て策定し たい」
「困難な選択を保健センターのスタッフた
ちが決断したものである」ことをあいさつ
の中で伝えた。
さらに,保健師らは,27
年1月には,計
画策定をさらに進めていくための保健福祉
推進員会議を開催,計画策定のめの作業部
隊への推進員の参加を求めるとともに,健
②
保健所の地区担当制の復活
保健所保健師は,市町支援保健活動班の
総括をこの総括保健師とした体制の下,管
轄市町の担当を決め,県内から派遣された
保健師達とペアを組み市町支援にあたっ
た。
「地区担当制」を取り入れることの判断
は,業務担当による活動形態では,管轄市
町の求める支援の把握や必要な情報提供を
迅速にできなかったことによる。地区担当
となった保健師の役割は,市町へ県防災対
策本部等からの保健活動に関わる情報を伝
え,市町での保健活動に必要な物資や人員
等に関わる要望を持ち帰る役割を担った。
鰯 総括保健師への支援
2
3
年3月末,石巻保健所の仮事務所(管内
高校に設置)は,市町に応援に入っている県
内保健師たちの宿泊場所にもなっており,夜
には派遣市町からも戻ってきてはいたが,総
括保健師も含め保健所保健師たちと情報を共
有する場はなかった。そこで,筆者らは,応
援保健師と石巻保健所保健師らによるミー
ティングを行うことを助言した。そして,こ
のミーティングに参加しながら,地区担当と
なった保健所保健師とともに,直接市町に出
向き,市町保健師たちへ統括保健師からの情
報を伝えた。
2
3
年3月末から6月までの期間,筆者らが
行った総括保健師への具体的なサポートをま
とめると,①ミーティングを実施することの
へ助言,②統括保健師が保健師活動全体を把
握するためのスケジュール表や市町・支所毎
の健康課題の整理表の作成などのバックアッ
プ,③ミーティングに参加し,保健師たちの
報告を聞き次の活動へ方向づけを行えるよう
にするためのディスカッションへの参加等で
あった。
2)南三陸町でのとりくみ(2
5
.
3
~2
7
.
1
)
大震災直後の南三陸町では,多くの町職員の
命と行政活動の拠点等を失い行政組織機能が混
乱していた。その後,県内外の外部支援者らに
よる応援を得ることにより,その機能を少しず
つ回復させてきている。しかし,現在も,町職
員の約3分の1が派遣された職員となっている
(2
6
年1
2
月)。
このような状況の中で,復興計画(23
~3
2
年
度)に基づき,かつての生業を取り戻そうとか
-8
-
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
康調査等への協力を求めた(図2)。この
会議には,推進員,南三陸町のスタッフの
他に,気仙沼保健所,東北大学南三陸町応
援チームメンバーが参加した。
震災直後,庁舎の水没から脱出後,市町へ派
遣した保健師からの支援活動全般にわたる問い
合わせ,保健物資調整,県庁からの指示や問い
合わせ,マスコミ対応,保健所長の代理職務等
…が殺到した。
この混乱の中,大学の先生たちが訪ねてきて
くれこれまでの活動を聞いて私の頭を整理して
いただいた。このことによって,今までにない
悲し くつらい経験の中で私が遠くに置いていた
大切なことを近くにしっかりと置くことができ
た。それは「震災であろうとなかろうと,これ
まで実践してきた住民と協働した地域づくりを
する,その保健師の役割は変わるはずがない。
形のあるものはなくなるけれど,これまで培っ
た市町保健師や住民との関係はなくなっていな
い。地域に出向きたくさんの住民の方々と出会
い,話を聞き,困っていることをまとめ,どう
解決してくか市町と協働しその仕組みづくりを
する,それをボトムアップし住民の自立を促す
支援をすればいいということである」というこ
とを…。
【図2】保健福祉推進員会議でのグループワー
ク(平成2
7
年1月,撮影)
④
行政機能が混乱した中で求めた支援
震災直後の行政機能が混乱した状況は,
南三陸町に支援に入った田上氏 ⅳ に よる
「自治体の司令塔が混乱,限られた資源の
効率活用ができていなかった」「需要と供
給,外部支援と受援がミスマッチ」
「平時に
できないことは,有事にはできない(みん
なの健康をみんなで守るという)
」等の指
摘からも理解できよう。
保健師らは,このような状況の下(震災
後6か月時点)で「地区担当制」を取り入
れたたものの,それまで実践したことなく
どのように展開したらよいか分からなかっ
た。そのため,震災後1
0カ月で外部支援者
となっていた県内他町の退職保健師に地区
活動実施へのスーパーバイズを求めた。こ
の保健師は,地域住民と協働しての健康づ
くり計画策定や地域活動の実践経験をも
ち,退職後も沿岸部の保健師たちの活動を
支援してきた保健師であった。この保健師
の呼びかけで,筆者らも震災後1年経過時
点からこの活動に参加することになった。
次に紹介するのは,南三陸町のリーダー保健
師が,2
7
年1月に開催した保健福祉推進員会議
において,推進員に報告し呼びかけた内容の記
録であるⅵ。
「震災後は,通常の保健事業に加え,震災対
応の事業,個別対応に追われ,忙しい,余裕が
ない,達成感もない状況があった。そのような
中で,
「地区担当制」の大切さを実感した。しか
し,どのように地区活動を始めていったらよい
かわからなかった。そこで,外部支援者(退職
保健師)に支援を求めた。支援者らは,私たち
の保健活動の現状に寄り添いながらどうしたら
よいか一緒に考えてくれた」とこれまでの取り
組みの経過を報告した。その上で,以下のよう
に自分たちの思いを伝えた。
・住民の暮らしや健康を守るために推進員と健
康づくり計画を協働して策定し,パートナー
として一緒に健康づくり活動をしたい,
・計画ができてからが勝負,元気で健康な南三
陸町をつくっていくために一緒に地域で保健
活動をやっていきたい。
3.東日本大震災時の体験と学び
以下には,上記の2つの取り組みにおける保
健師のリーダーたちの体験や学びを理解できる
手記等を紹介する。
まず,震災直後の石巻保健所総括保健師によ
る手記であるⅴ。
4.被災現地の意味
以下では,「保健師活動とは何か」「保健師の
本来性とは何か」について希求し続けている市
川の捉え方と,上記の2人のリーダー保健師た
ちの被災地の体験や学びと照合し,「被災現場
の意味」「保健師活動の本来性」ついて考える。
市川は,長く宮城県保健所等の公衆衛生看護
-9
-
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
活動の第一線にあり,宮城県公衆衛生看護学校
や大学で保健師教育にも力を注いだ。その後,
東北大学大学院情報科学研究科に研究の場を
得,博士論文「看護における地域看護の特性と
その構造化に関する研究」をまとめた。この論
文の内容を,本誌「公衆衛生情報みやぎ3
7
8
号
から1
1
回にわけて発表してきた。それをまとめ
発行し たのが「保健師活動の原点とかたち」
ⅶ)である。以
(編著者・発行:市川禮子20
1
1
下ではこれらを紐解いていくことにする。
まず,以下に示すのが市川の研究における問
題意識である。
保健師は,長い活動史を持つにも関わらず,
自己の理論的足場を固めないまま社会ニーズや
国策の下で,それに従い,揺らぎながら歩みを
続け,今また平成福祉の中で保健師が「地域が
見えなくなった」と嘆く不透明な存在になって
いる。
次に,時代とともに変化する社会的ニーズや
国の政策の下で,保健師のよって立つものが揺
らいでいるにもかかわらず,保健師活動の発
祥・制度化以来,公の立場にあり存続してきた
意義について,市川は以下のように述べる。
大正1
2
年の関東大震災にその活動を記し,昭
和1
6
年の保健婦規則制定から現在,消えること
なく続いてきた保健師活動には,公が公の立場
で住民の健康と生活を守る責任をとるための実
質的役割があり,その役割を保健師は担いこれ
まで存続してきていると考えられる。
上記のような捉え方から,市川は,自身の30
数年にわたる実務と実践活動記録等の分析を行
い「保健師活動とは何か」という自身に課した
命題を,保健師であれば誰もが体得しているは
ずの簡潔な言葉で表すことを試み,以下のよう
に保健師活動の特徴や活動を駆動する特性要素
を示した。
保健師は,一定の地区を担当し,地域の保健
問題を感知し看護と公衆衛生の技術を用い,自
己の裁量により個とマスの問題に働きかける。
縦割り行政の隙間から漏れ落ちたものを,また
自力で意思表出できない人々の問題をすくい上
げる。かつ地域の健康問題に関わり,手立てが
無いものは創造し社会の公的セーフティネット
として自己の技術を働かせる。そして,保健師
が本来性として持つ特性要素を意識化し自己の
活動を行うことにより,行政の隙間から漏れて
命を落とすことや,健康の破壊,自死や虐待の
等の社会問題を未然に防止するためのセーフ
ティネットを形成することが可能となる。
保健師活動を起動させる特性要素とは,「a
サービ スの隙間をうめる,b健康を損なう問題
を見つける,c健康問題に能動する,d資源を
活用する,e必要な機能を繋ぐ,f問題の現状
と要因を反映する,g個人または人々のセルフ
ケア力を啓発する,h直接ケアする,iサービ
スを統合・総合化する」の9つである。
ここに示された特性要素は,市川の意図した
ように,実務を経験した者であれば納得できる
保健師の本来的な活動を駆動させる上で不可欠
な要素といえよう。
本来性の「本来」とは,広辞苑によると,
「①
ありのままであること。もともと。はじ めか
ら。元来。」「②当然そうあるべきこと。あたり
まえ。」とある。また,哲学的に「本来性」とは,
現在求められる姿から未来に向けてそのあり方
を問う際に,過去を振り返ることにより「本来
的な自己存在ⅷ」を発見,獲得することである
といえよう。すなわち,自分たちはこれまでど
ういう存在であったのか(過去),そして,こ
れから何を為すべきか(未来)を考え,今,こ
こにあるべき自己を生成していくということで
ある。
市川が示す上記の保健師活動の特徴や特性要
素は,保健師制度発生から受け継がれてきた基
本的活動から帰納的に導かれたものであり,保
健師活動の目的,方法,姿勢・態度が含まれて
いる。これらを総合したものが保健師活動の本
来性,固有性,専門性といえよう。すなわち,
「地区を担当し個と地区全体をみて,能動性,
広域性,包括性を特徴とし保健活動を展開して
いくこと」であり,行政組織に身を置きながら
地域住民との間にあり,
「住民のニーズをボト
ムアップでアドボケイトしつつ,必要なサービ
スの提供や直接ケアを行い,施策や事業を自律
的,裁量的に実施していくもの」である。
上記に紹介した2つの取り組みが行われた被
災現地では,大量の職務をこなすことが求めら
れ,不十分な資源の中で,保健福祉行政の第一
線の職員として,そして,専門職としての責務
を全うする必要があった。また,マニュアルが
通用しない状況が発生し,組織の指揮命令系統
が混乱する中で,即応的・即時的判断が求めら
-1
0
-
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
れた。このような極限状態の中で,保健師らに
受け継がれてきた活動の本来性が呼び戻され,
これがさらに鮮明に意識化され保健師活動への
確信となり,市川の示した特性要素を駆動させ
ることができ,自律的,裁量的判断を促し て
いったのではないだろうか。保健師にとって
「被災現場の意味」は,このような「保健師活
動の本来性を呼び戻す場」となったことと考え
る。
5.おわりに
被災から4年経過しようとしている現在,災
害公営住宅の建設や高台移転等が進められてい
る中,プレ ハブ 仮設や民間賃貸住居などに約
7万人の人 々が暮らし ている(26
年1
2
月末現
x
i
在) 。2
7
年1月2
1
日宮城県は,災害公営住宅
など恒久的な住まいの整備が終わる市町では,
仮設住宅の入居期限を原則として5年までとし
延長しない方針を公表した。被災者の大半は,
2
3
年の春~夏に入居しており,残りあと1年ほ
どとなるX。津波被害に遭った沿岸部の人々に
とって,このような住居の問題を含め津波に
よって引き起こされた種々の課題に立ち向かう
ための生活が日常となっている。また,被災現
地の保健師たちにとっても,復興に向けての活
動と日々の保健活動とが重なりあうものとなっ
ており,地域の人々と被災地で活動する支援者
等との協働が強く求められている。
このような中で,今私たちに求められるの
は,「保健師の本来性」を踏まえ,自律的,裁
量的に地域の健康課題に対応できる保健師の育
成ではないだろうか。
ⅰ
ⅱ
地域における保健師の保健活動に関する検討
会報告書,平成2
5
年3月
ht
t
p:
//www.
j
pha.
or
.
j
p/s
ub/pdf
/me
nu0
4
_
2_
h2
4
_
0
2
.
pdf
平成2
4
年度3
.
1
1
宮城県災害保健活動の連携検
-1
1
-
証事業報告書「東日本大震災の体験を,今に,
未来につなぐ」,編集・発行:東北大学大学
院医学系研究科地域ケアシ ステム看護学分
野,平成2
5
年2月
ⅲ 石巻からの活動報告―東日本大震災から1年
の軌跡―:編集・発行:宮城県東部保健福祉
事務所宮城県石巻保健所,平成2
4
年3月
ⅳ 田上豊資,大規模災害にいかに備えるのか~
平時における計画,訓練,関係機関の連携~
平成2
6
年度国立保健医療科学院危機管理研修
資料
ht
t
p:
//www.
phc
d.
j
p/0
2
/ke
nkyu/s
onot
a/
pdf
/SG_
ke
nko_
ki
ki
kanr
i
_
1
4
1
2
0
1
_
51
.
pdf
ⅴ
末永カツ子,地域ケアシ ステム看護学分野
「ボランティア活動報告」
,東北大学大学院
医学研究科・医学部 東日本大震災記録集,
編集・発行:東日本大震災記録集編集委員会,
p2
2
1
2
2
4
ht
t
p:
//www.
me
d.
t
ohoku.
ac
.
j
p/d_
r
e
por
t
/
doc
/0
0
3
.
pdf
ⅵ 佐藤奈央子,健康づくり活動を「協働して」
いくために,南三陸町平成26
年度第2回保健
福祉推進員会議配布資料(平成27
年1月2
0
日)
ⅶ 市川禮子,保健師活動の原点とかたち1
0
.
地
域看護の構造について,2
0
1
1
ⅷ 黒岡佳柾,本来性,その教育的性格-ハイデ
ガーとプラトン-,立命館大学人文科学研究
所紀要(1
0
1
号),p1
1
1
-1
4
3
ht
t
p:
//www.
r
i
t
s
ume
i
.
ac
.
j
p/ac
d/r
e
/kr
s
c
/
hs
s
/book/pdf
/no1
0
1
_
0
5
.
pdf
ⅸ 宮城県仮設住宅入居状況(平成2
6
年1
2
月3
1
日
現在)
ht
t
p:
//www.
pr
e
f
.
mi
yagi
.
j
p/s
i
t
e
/e
j
e
ar
t
hquake
/nyukyoj
okyo.
ht
ml
ⅹ
平成2
7
年1月22
日朝日新聞朝刊記事:震災仮
設 原則あと1年 宮城県方針 入居期限延長せ
ず
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
唖娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃阿
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
愛娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃挨
健康づくり特集
宮城県精神保健福祉センターにおける自死対策事業について
西
條
尚
男*
福祉手帳の判定等,精神障害者の福祉や人権擁
1.精神保健福祉センターの業務
護に関する法的業務を行っています。
平素,宮城県精神保健福祉セン ター(以下
「当セン ター」という。)の事業の推進につき
2.当センターにおける自死対策事業
ましては,多大なる御協力を賜り厚く御礼を申
し上げます。さて,当センターについては,馴
(本県では平成2
6
年1月から御遺族の御心情
染みの薄い読者も少なくないと思われ ますの
に配慮し,法律の名称,統計用語,著作物の引
で,本題に入る前に当センターの概要について
用等を除き,可能な限り「自殺」ということば
御紹介します。当センターは,昭和40
年の精神
を「自死」に代えて使用しています。)平成24
年
衛生法改正で地域精神保健の第一線機関に保健
8月,国の自死対策の指針である「自殺総合対
所が位置付けられた際に,保健所の精神保健業
策大綱」の見直しが行われ,
「地域レベルの実践
務をバックアップする専門機関として,都道府
的な取組を中心とする自殺対策の転換を図る必
県に任意設置できるようになりました。当時は
要性」や,
「若年層や自殺未遂者対策を充実する
「精神衛生センター」という名称でした。その
こと」が掲げられました。宮城県においては,
後,精神衛生法の改正があり,人権擁護が強化
大綱の見直しや東日本大震災による影響を踏ま
された精神保健法への改正(昭和6
2
年)では「精
え,平成2
5
年3月に「宮城県自殺対策計画」の
神保健センター」に,精神障害者福祉が盛り込
見直しを行いました。当センターにおいても,
i への改正(平成7
まれた「精神保健福祉法」
県計画における基本的な方向性(①自死対策の
年)では「精神保健福祉センター」と改められ
社会的な取組の推進
ました。平成1
4
年には地方分権推進計画を踏ま
関する県民の理解の推進
えて名称や組織が弾力化されるとともに,精神
推進と相談支援体制の充実)に基づき,自死対
医療審査会の事務局等の行政事務を行うように
策事業を展開しているところです。当センター
なり,都道府県(指定都市)に必置の機関とな
における主な自死対策事業は下記のとおりで
りました。現在,全国6
9
か所に設置されていま
す。
す。宮城県内では,当センターのほか,仙台市
茨
②自死や心の健康問題に
③心の健康づくりの
電話相談(全国統一ダ イヤル相談を含む)
には仙台市精神保健福祉総合センター(はあと
「こころの電話相談」(専用回線による電
ぽーと仙台)が設置されています。精神保健福
話)では,一般の相談のほかに,自死に関連
祉センターは,精神保健福祉法において,
「精神
する相談にも対応しています。今後とも,相
保健の向上,精神障害者の福祉の増進を図るた
談についての啓発普及を図りながら,相談体
めの総合技術センター」と位置づけられていま
制の充実を図ることとしています。
す。(同法第6条)
芋
精神保健福祉セン ターにおける具体の業務
啓発普及事業
は,精神保健の啓発普及,関係機関等への技術
1)市町村等における講話等への講師派遣
指導,技術援助及び教育研修,精神保健にかか
2)広報課みやぎ 出前講座:「働く人の心の
る調査研究,精神保健福祉相談,組織の育成等
健康~うつ病を中心に~」への講師派遣
の精神保健福祉の技術センター事業のほか,精
当センターでは,平成19
年度に自死対策
神医療審査会の審査に関する事務,自立支援医
の一環として,働き盛り世代の心の健康に
療(精神通院医療)の判定及び精神障害者保健
関するアンケート調査を従業員数1
0
0
名以
上の事業所の御協力を得て実施しました。
*宮城県精神保健福祉センター
その結果,回答をいただいた4割にあたる
所長
-1
2
-
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
方が心身の不調があり,7割が悩みやスト
ただけます。)今後も当該リーフレ ットに
レスを抱えていることがわかりました。ま
ついては,より活用しやすいものに改訂し
た,「男 性 の ストレ ス発 散 方 法が 飲 酒 や
ながら,作成し ていきたいと考えてい ま
ギャンブルとなっている」,「相談機関が周
す。
知されていない」等の課題が浮き彫りにな
4)自殺対策強化月間(3月)
りました。平成2
3
年には,小・中規模程度
国では,最近の自死をめぐる厳しい情勢
の事業所を対象に「従業員の心の健康対策
を踏まえ,様々な悩みや問題を抱えた人々
の必要性について」等アンケート調査を実
が支援を求めやすい環境を作るための施策
施しました。その結果,対策を必要として
の展開(生きる支援)ができるよう,例年,
いる事業所では,その半数が「事業場内で
月別自死者数の多い3月を「自殺対策強化
の学習機会や外部機関の情報提供を望んで
月間」と定めています。当センターでは,
いる」という結果が出ています。これらの
全国一斉こころの健康相談統一ダ イヤルを
ことから,当センターでは,みやぎ出前講
ホームページにおいて周知しています。
座(県が重点的に取り組む施策等に関する
鰯
テーマについて,県民の皆様の理解を一層
人材育成
深めていただくことを目的に,県職員が皆
各自治体での自死対策の推進をはかるた
様の集会などに出向いて実施する講座で
め,研修会を開催しています。地域における
す。詳細については宮城県総務部広報課に
実効性の高い自死対策事業の展開に向け,施
お問合せください。
)の枠を利用して,県民
策としての自死対策事業のあり方について理
向け講演会を実施しており,職場における
解していただくことを目的とするものです。
メンタルヘルス対策の啓発・普及に寄与し
また,若年者の自死対策に関連して,学校関
ています。
係者と地域関係者が共通認識を持って若年者
3)県民への情報提供(リーフレット作成)
の支援に取り組めるようにすることを目的
自死予防対策啓発リーフレット「つなが
に,行政関係者のほか,学校関係者,相談機
りを信じて~あなたと生きたい人がいます
関関係者,医療機関関係者を対象にした研修
~」を作成し,関係機関へ配布し,相談機
会を実施しています。
関等について県民の皆様への周知に努めて
なお,当センターでは,若年者の自死対策
おります。自死は,個人の問題と思われて
に焦点をあて,若年者の自死行動のリスク因
きましたが,実際の多くは,健康問題や家
子,リスク行動,保護因子,介入について調
庭問題,経済・生活問題など,さまざまな
査及び分析をし,本県において実施可能な若
要因が複雑に絡み合う中でこころやからだ
年者自死予防支援策を検討しました。その内
に不調をきたして発生すると考えられてい
容は平成2
4
年8月「若年者の自殺対策に関す
ます。多くの自死は,さまざまな悩みによ
る調査研究等事業報告書」に詳し く報告して
り心理的に「追い込まれた末の死」といえ
い ます。当該報告書は,当セン ターホーム
ます。自死に及ぶ前には何らかのこころの
ページでも公開しています。ぜひ御覧くださ
病を抱えていた人が多いことが分かってい
い。
ます。気分の落ち込み等に身近な人が気づ
き,悩みを抱える人を支援できる体制づく
允
自死遺族支援
り,地域のつながりを整えていこうとする
宮城県自死遺族支援連絡会に参加し,遺族
取組など自死を予防する取組が始まってい
支援について情報交換や意見交換を行ってい
ます。当センターでは,関係機関等が「つ
ます。平成2
6
年9月には「自死という言葉を
なぐ」役割を担えるよう,相談機関等が記
知っていますか?」と題するシンポジウムを
載されたリーフレットを作成し,関係機関
開催し まし た。このシン ポジ ウムでは「自
に配布しています。
死」への言い換えの意味を当事者や支援に携
(当センターのホームページでも御覧い
わる方々からお話をいただきました。各団体
-1
3
-
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
のご尽力により,このシンポジウムは,自死
3.今後の展望(当セン ターに期待され るこ
をめぐる問題,取組等を県民に周知する絶好
と)
の機会となりました。
自死対策の総合的な支援機関として,地域に
おける自死予防対策の情報の集約を行い,広く
印
市町村等への技術支援
自死問題に関する情報を県民や関係者に提供
市町村等に設置された自殺対策推進会議等
(啓発普及)すること,自死を考えている者,
に参加し,助言等をおこなっています。
自死未遂者及び自死遺族等に対して適切な支援
が提供される体制を整備すること,地域におけ
咽
東日本大震災に伴う自死対策の取組
る関係機関・団体と協力し,地域における自死
被災地の現状及び課題を把握し,災害後の
対策に関する人材を育成するための研修会を行
地域精神保健福祉活動と自死対策を連動さ
い,相談支援のネットワークの構築と連携の強
せ,研修・技術支援に取り組んでいます。こ
化を図ること等により,地域の自死対策の向上
れらの取組については,「みやぎ 心のケアセ
を図ることが期待されています。
ンター」等関係機関と連携し,地域精神保健
活動のなかで,今後も継続していく考えです。
ⅰ
正式名称:「精神保健及び精神障害者福祉に
関する法律」
-1
4
-
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
唖娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃阿
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
愛娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃挨
健康づくり特集
最期の食事
畠
山
絵
里*
私は栄養士とし て,やまと在宅診療所が運
もちろんですが,患者様を介護するご家族のサ
営 す る 医 療 コ ミ ュ ニ テ ィー カフ ェ「c
oFFe
e
ポートもとても大切です。自宅で生活を継続す
doc
t
or
s
」と診療所の両方に勤務しております。
るためには介護者の存在は必須です。ご家族が
カフェでは管理栄養士として健康教室や,栄養
介護に疲れてしまわないように,様々なサービ
相談などを行っています。診療所の方では,在
スを組み合わせ多方面から支え合います。
宅診療を受ける患者に対しての訪問栄養指導と
先日,私も連携の一端を担うべく,管理栄養
共に,診療アシスタントとして患者様宅への車
士として介入しました。主治医より,自宅で療
の運転から診療の際のカルテ入力補助,患者様
養する,がん末期の患者様に献立の提案をして
のバ イタル計測,処置のアシ スタント など を
ほしいと依頼されました。患者様は,7
0
代女性
行っています。
の肺癌末期の方で自宅にて酸素療養を受けてい
私は今まで,病気になったら最期は病院でと
ました。徐々に食欲がなく,最近は担当医から
いうイメージしかなく,住み慣れた自宅で家族
処方されたエンシュアだけは「生きるために飲
に見守られながら最期を迎えられる在宅訪問診
まなくてはいけない」と思っているようでし
療を経験し,全てが驚きの連続でした。先生が
た。そこで,エンシュアを使ったアレンジレシ
家で診察をしてくれ,家で採血やエコー検査な
ピ を紹介し て欲し いということで訪問し まし
どができ,必要があれば自宅で手術も行いま
た。介護者の息子さんが「できるだけ口から食
す。そして診察中に患者様やご家族と和やかに
べさせたい」とのことで,食事も少量ですが食
お話をされ患者様とご家族が安心して自宅で過
べられていたので,何か食べたいものを聞いて
ご せるように不安を取り除いて支えていきま
みると,
「食べたいものは何もない」との返事で
す。病院に通うことができない方や,お家でお
した。すると息子さんが,症状が悪化する前に
看取りを考えている方にとって在宅医療はとて
家族で外食に行き,ハンバーグをたくさん食べ
も素晴らしい形だと感じました。
られたというお話をして下さり,「やわらか和
風ハン バーグ」の提案をさせていただきまし
た。それなら食べられそうということでご家族
と一緒に患者様宅のキッチンで調理実習を行う
ことになりまし た。エンシ ュアを使ったかぼ
ちゃプリンと和風ハンバーグを作りました。調
理のひと工夫やアレンジ方法などをお話しなが
ら 和やかな雰囲気で進みまし た。料理が完成
し,患者様に持っていくと,
「匂いと見た目も良
いね」と喜んでくださいました。昼食の時間よ
りも早く出来てしまい,直接食べている姿は見
られませんでしたが,翌日に電話確認したとこ
在宅では多職種との連携が不可欠です。一人
ろ完食されたと聞きとても嬉し く思いました。
の患者様に対して医師,訪問看護師,ケアマネ
息子さんに,トマトが好きだから今度はトマト
ジャー,訪問介護など様々な職種が連携し,患
を使ったレシピを考えて欲しいと言われていた
者様とご家族を支えています。患者様のケアは
ので,次のレシピを考えようとしていた矢先,
患者様の病態が急変しお亡くなりになられたと
*やまと在宅診療所登米
知りました。後で担当のケアマネジャーから,
管理栄養士
-1
5
-
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
調理実習で作ったハンバーグとプリンがその患
養士だからこそできる新し い価値の形を模索
者様の最期の食事だったことを教えていただき
し ていこうと思います。さらに,その中で見
ました。患者様の最期の食事に関わることがで
え たも のを 医 療 コ ミ ュニ テ ィカフ ェ c
oFFe
e
き,忘れることのできないとても貴重な経験が
doc
t
or
s
での介護者向け介護食講座・料理教室
できたと感じています。
など“地域の場作り”に取り入れていきます。
食べることは誰でも楽しみなことです。寝た
私たちは医療介護に従事する者として病院の外
きりの患者様には食べることは生きる楽しみで
で,もっと患者や地域の人たちに近い所の自宅
もあります。ただ,どうしても
人は最期を迎
やカフェのようなコミュニティスペースでも,
えるにあたり食べる力が低下して,医者から処
今後の新しい可能性を考えなければいけないの
方されるお薬のような栄養剤を飲むようになる
ではないでしょうか。まだ色々と迷いながらで
ことが多いです。だから私は食べることの本当
はありますが,これからも,やまと在宅診療所
の意味に立ち戻り管理栄養士として一人でも多
の一員として地域の方々が安心して暮らせる医
くの患者様の食べる楽しみ,生きる楽しみに関
療や場所作りに努めてまいります。
われるよう,これから 努めていこうと思いま
す。
やまと在宅診療所では日々在宅診療に同行さ
せていただいているので,栄養面だけでなく患
者様の病状の変化や家族の介護状況,他職種と
の関わりなど患者様を取り巻く全体を把握する
方法やコミュニケーションを学びます。それは
栄養指導を行う以上に多くの学びに繋がりま
す。患者様の最期に立ち会ったり,急に具合が
悪 くなる状況で慣れないこと,戸惑うことも
多々ありますが,私はそういう状況でも管理栄
養士として何ができるかを見つけていこう,栄
-1
6
-
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
唖娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃阿
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
愛娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃挨
行政からの報告
平成2
6
年版宮城県環境白書の概要
宮城県環境生活部環境政策課
1.はじめに
東日本大震災の発生から4年が経過いたしま
した。これまで県内外の方々の御協力をいただ
きながら,復旧・復興に取り組み,放射性物質
による環境汚染対策や,震災復興事業における
環境保全対策など,環境面での課題は未だに山
積しておりますが,災害廃棄物の処理が平成25
年度で終了するなど,復旧・復興事業は着実に
進んでおります。
平成23
年1
0
月に策定した「宮城県震災復興計
画」では,平成2
6
年度から平成2
9
年度の4年間
を「
再生期」
と定めております。今年度は,これ
までの3年間の「
復旧期」
における取組や課題へ
の対応状況等を踏まえ,「
創造的な復興」
を成し
遂げるための各種施策を展開しております。
喫緊の環境問題への対応と本県の豊かな環境
を守ることを目的として平成2
3
年度に導入した
「
みやぎ環境税」
事業では,再生期に配慮した視
点を盛り込んで事業を展開しているほか,被災
市町が実施する復興まちづくり等が環境に配慮
した創造的な復興となるよう,支援を行ってお
ります。
東日本大震災とその後の原発事故の経験か
ら,エネルギーに対する関心が非常に高まって
おり,さらに,地球温暖化が世界的な問題と
なっていることから,再生可能エネルギーの導
入と省エネルギーの推進に積極的に取り組んで
いく必要があります。
県では,平成2
5
年度に策定した「地球温暖化
対策実行計画(区域施策編)」と「再生可能エ
ネルギー等の導入促進及び省エネルギーの促進
に関する基本的な計画」により,低炭素社会の
実現に向けた様々な事業に積極的に取り組んで
いるところです。
また,県内には,国立公園に指定されている
金華山島や栗駒山,ラムサール条約湿地である
伊豆沼等豊かな自然環境があり,これらを将来
世代に引き継いでいくため,その保全に取り組
んでおります。東日本大震災により被災した三
陸地域の復興を目的に,平成25
年5月に「三陸
復興国立公園」が創設され,本県では陸中海岸
国立公園地域が編入されており,今後は南三陸
金華山国定公園の編入が期待されています。こ
れらの自然環境については,有望な観光資源と
して復興エコツーリズム等の推進により,国内
外からの誘客数の増加を目指すとともに,復興
の加速化や,被災により大きな影響を受けた沿
岸部の生態系の保全に努めていきたいと考えて
おります。
この環境白書は,平成2
5
年度における宮城県
の環境の状況及び県が実施した環境施策につい
て取りまとめたものです。
-1
7
-
2.「宮城県地球温暖化対策実行計画(区域施
策編)」と「再生可能エネルギー等の導入促
進及び省エネルギーの促進に関する基本的
な計画」
の策定について
茨 計画策定をめぐる経過
地域からの地球温暖化対策を強力に推進す
るため「地球温暖化対策の推進に関する法
律」
(平成1
0
年法律第1
1
7
号。以下,
「温対法」
とい う。)第20条第2項に 基づ き策定し た
「
“脱・二酸化炭素”連邦みやぎ 推進計画」
が,平成2
2
年度で終期を迎えることから,新
たな「宮城県地球温暖化対策実行計画(区域
施策編)」(以下,
「実行計画」という。)の策
定を進めるとともに,併せて,再生可能エネ
ルギーの導入促進と省エネルギーの促進に関
する具体的な方向性を定めた「再生可能エネ
ルギー等の導入促進及び省エネルギーの促進
に関する基本的な計画」(以下,「再エネ・省
エネ計画」という。
)についても中間点検に着
手しました。
平成2
3
年3月に発生した東日本大震災(以
下,「震災」という。)により,本県を取り巻
く状況が一変し,原子力発電所の停止や国の
エネルギー基本計画の抜本的見直しなど,地
球温暖化対策やエネルギー政策を取り巻く状
況は大きく変化しました。
こうしたことから,二つの計画をゼロベー
スで見直すため,平成2
4
年度に計画策定のた
めの検討組織を立ち上げたほか,宮城県再生
可能エネルギー等・省エネルギー促進審議会
への諮問を行い,基礎調査を実施しました。
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
暮らし
・一人ひとりが自然に二酸化炭素削減に努
めている暮らし
② 地域の姿
・地域エネルギーの利活用が進んだ地域
・低炭素型のまちづくりが実現されている
地域
・低炭素型の交通への転換が実現している
地域
③ ものづくり
・クリーンエネルギー産業の発展による富
県宮城の実現
・環境にやさしい農業と食の地産地消の推
進
・森林・林業ビジネス・バイオマス産業の
活性化
さらに平成2
5
年度には,国の温室効果ガス排
出量削減目標の策定状況なども踏まえなが
ら,本県の目標や目指すべき方向性について
検討し,新計画を策定しました。
※「自然エネ・省エネ計画」は平成2
6
年1
0
月の条例
改正に伴い名称が「再生可能エネルギー等の導入
促進及び省エネルギーの促進に関する基本的な計
画」に改められています。
芋
計画の概要
計画の体系
二つの計画は「宮城県環境基本計画」の
重点プログラムである「地域からの温暖化
対策」を推進するため,地球温暖化対策に
関する基本的な方向性を示したものです。
このうち,実行計画では,地球温暖化対
策の方向性を,再エネ・省エネ計画では,
温暖化対策の中核となる再生可能エネル
ギーの導入や省エネルギーの促進に関する
具体的な方向性を示しています。
計画の中では,震災復興が進む中で増加
すると見込まれている温室効果ガス排出量
やエネルギー消費量を抑え,低炭素社会実
現に向けた基盤づくりに努めることを目指
しています。
② 計画期間・基準年
震災復興とともに計画の実現を目指すた
め,計画期間は「宮城県震災復興計画」
(平
成2
3
年1
0
月策定)の終期と合わせて平成2
6
年度から平成3
2
年度までとしています。
また,基準年は,震災前の状況としてイ
メージしやすい震災発生直前の平成22
年度
としています。
①
3.「宮城県地球温暖化対策実行計画(区域施
策編)
」
について
県は,環境保全と経済発展の両立を政策の一
つに掲げ,真に豊かな富県宮城の実現を目指し
ながら復興に向けた取組を進めています。
県民や事業者,行政など県民が一丸となって
低炭素社会を目指し,エネルギー多消費型社会
から省エネルギー型社会への転換を図ります。
茨 宮城県の将来像
実行計画では,平成32
年度の県の将来像を
「日々のくらし」
「地域の姿」
「ものづくり」の
三つの視点に分け,目指す姿を示しています。
① 日々のくらし
・低炭素型の建物による快適な暮らし
・エネルギーの効率的利用が図られている
-1
8
-
芋
温室効果ガス排出削減目標
震災後,原子力発電所の稼動停止に伴う火
力発電所の稼働増加や,震災復興活動による
増加に伴い,平成3
2
年度の温室効果ガス排出
量は平成2
2
年度比で約15
%増加すると見込ん
でいます。
実行計画では,平成3
2
年度の温室効果ガス
排出量を削減対策により震災前の水準まで戻
す一方,間伐や森林経営活動に伴う森林吸収
量を確保することにより,目標年(平成32
年
度)における排出量を基準年比3
.
4
%削減す
ることを目指しています。
(目標)
平成3
2
年度 1
,
9
6
6
万6千t
(平成2
2
年度 2
,
0
3
6
万7千t
)
▲排出削減量の目標
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
鰯
施策の方向性
日々の生活,事業活動における低炭素化
の推進
家庭やオフィスなど民生部門における温
室効果ガス排出量は年々増加傾向にあるこ
とから,建物や設備・機器の低炭素化を推
進します。さらには,県民・事業者のライ
フスタイル転換を目指します。
② 地域づくりと連動した取組の推進
災害に強い自立・分散型エネルギーシス
テムの導入を目指します。
中でも再生可能エネルギー等を活用した
新たなまちづくりを行う市町村への支援,
地域のエネルギー資源を活用するための検
討組織に対する支援や木質バイオマスの収
集利用体制の整備に努めます。
③ 低炭素・エネルギー産業育成と産業界全
体の低炭素化
クリーンエネルギーに関連する産業の誘
致・育成を図るほか,二酸化炭素の吸収源
となる森林の整備や県産材の利活用促進な
ど森林・林業の活性化による低炭素化を推
進します。
④ 取組促進に関わるコーディネート
一人ひとりが地球温暖化防止行動をおこ
す「きっかけづくり」や地球温暖化防止活
動を実践する人材の育成に努めます。
また,産・学・官の連携による技術開発
の促進を図るほ か,「
『ダ メだっちゃ温暖
化』宮城県民会議」などを活用し,各機関
との協働による地球温暖化対策に係る県民
運動を推進します。
①
と再生可能エネルギーの積極的な導入が重要と
なります。
この計画では,復興に向けた新たなまちづく
りの中で,環境と防災に配慮したエコタウンの
形成を推進します。
茨 計画目標
① 再生可能エネルギー等の導入量
平成3
2
年度 3
0
,
7
4
7
TJ
平成2
2
年度 2
4
,
1
0
7
TJ
② 省エネルギーによるエネルギー消費量の
削減率 5
.
1
%(平成2
2
年度消費量ベース)
4.「再生可能エネルギー等の導入促進及び省
エネルギーの促進に関する基本的な計画」に
ついて
実行計画に掲げる温室効果ガス排出削減目標
を実現するためには,化石燃料の効率的な利用
-1
9
-
※平成3
2
年度のエネルギー消費量に占める再生可能
エネルギーの割合を6
.
7
%(平成2
2
年度比0
.
2
ポイン
ト増)とします。
※ J(ジ ュ ール)とは 熱 量 の 単 位 で,1TJ(テ ラ
ジュール)(1兆J)は県内約1
4
世帯分の年間エネ
ルギー消費量に相当。
芋
基本方針と重点プロジェクト
イ 震災復興にあわせた建物の低炭素化の促
進
家庭やオフィスなどの民生部門では冷暖
房におけるエネルギーの消費がエネルギー
消費量全体の4割を占めることから,建物
のエネルギー消費効率を改善することが重
要となります。
震災に伴い,建築物の建設需要が高まっ
ていることから,省エネルギー改修に対す
る支援など,建築物の高断熱化を推進しま
す。
ロ 太陽光発電設備の普及加速化
本県では太陽光発電が比較的優位である
ことから,引き続き住宅への太陽光発電設
備の積極的な導入促進に努めるほか,県が
保有する遊休地や施設の屋根などに,民間
活力を活用した導入を推進します。
ハ 県民総ぐるみの省エネルギー行動の促進
民生部門のエネルギー消費は年々増加傾
向にあり,全体の4割を占めています。
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
震災に伴うエネルギー不足の経験を生か
して継続的な省エネの取組につなげるため
に,地域で活動する地球温暖化防止活動推
進員の活動支援や環境教育の充実に努めま
す。
ニ 地域に根ざした再生可能エネルギー等の
導入と持続的利用の推進
地域のエネルギー資源を活用するために
は,地域ぐるみの取組に発展させることが
重要です。
県は市町村や関係団体などと連携し,地
域の検討組織へ支援を行うとともに,県が
プラットホームとなって組織連携や情報共
有を図り,各地での取組の機運醸成と普及
加速化に努めます。
ホ 環境と防災に配慮したエコタウンの形成
促進
沿岸部などでは,震災復興に向け,高台
移転などの新たなまちづくりが進められて
います。
県は,市町など関係機関との連携を強化
し,環境配慮型のまちづくりを支援するほ
か,災害時におけ る防災拠点でのエネル
ギーの確保を図るため,公共施設への再生
可能エネルギーの導入に努めます。
ヘ 産学官連携による環境・エネルギー関連
産業の振興
震災後,環境関連分野の研究開発が盛ん
になる一方,再生可能エネルギー等の導入
加速化により,産業分野活性化への期待が
高まっています。
環境と経済の両立した真に豊かな「富県
宮城」の実現に向け,新技術に関する産業
創出や人材育成,取引の創出に向けた取組
を進めます。
5.宮城県環境基本計画の進捗状況について
環境基本計画は,環境基本条例により,良好
な環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期
的な目標並びに県の施策の大綱を定めるもので
あり,目指す将来像を明らかにし,地域社会を
構築するすべての主体間で将来像に対する認識
の共有化を図るものとしての役割を有していま
す。
また,「再生可能エネルギー等の導入促進及
び省エネルギーの促進に関する基本的な計画」
や「循環型社会形成推進計画」といった環境分
野の個別計画に基本的方向性を与えるものとし
て策定しており,地球温暖化対策や資源循環型
社会形成などの個々の分野の具体的な目標や施
策は,これらの個別計画において定めることに
なり,各個別計画は,基本計画の実施計画とな
るものです。
各個別計画は,計画の目標を達成するため,
各種指標による目標値を設定し,毎年度,施策
の進捗状況の点検評価を行うこととしており,
「当該年度に達成すべき目標値等」に対する
「指標の現況値」の状況を示す「達成度」及び
「前年度実績値」からの改善度により評価を行
いました。
その結果,測定可能な直近年度において,管
理指標1
9
項目のうち,7項目で「当該年度に達
成すべき目標値等」を達成しています(結果の
詳細は,環境政策課ホームページ をご 覧下さ
い)。
6.平成2
6
年版宮城県環境白書の入手方法
県行政庁舎地下1階の県政情報センターで,
一部59
0
円で販売しています。郵送による販売
も行っていますのでお問い合わせください。
また,環境白書インターネット版として,当
課ホームページに全文を掲載し ておりますの
で,合わせて御利用ください。
▲みやぎe行動(e
c
odo!
)
マスコット キャラクター
「e(イー)ちゃん」です。
-2
0
-
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
唖娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃阿
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
愛娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃挨
行政からの報告
平成2
5
年度仙台市の環境事業実績の概要
仙台市環境局環境部環境企画課
1.環境の現況
大気,水,土壌に関する各種測定値等から,
著しい汚染の進行などは見られず,大都市とし
ては豊かな生態系が形成されています。
しかし,大気汚染,水質汚濁,騒音・振動の
一部で国の環境基準を達成していない項目があ
り,今後も注意深く監視を続け,改善のための
施策を講じていく必要があります。
1.1 大気環境
1)大気汚染
平成2
5
年度は,住宅地域などに設置してい
る一般環境大気測定局11カ所,自動車排出ガ
スの影響を受ける道路周辺に設置している自
動車排出ガス測定局6カ所及び逆転層を観測
する気象観測局1カ所で常時監視を行いまし
た。
一般環境大気測定局では,二酸化硫黄,二
酸化窒素,浮遊粒子状物質,微小粒子状物質
(PM2
.
5
)について環境基準を達成しました
が,光化学オキシダントは,すべての測定局
で環境基準を達成しませんでした。光化学オ
キシダントの濃度は,全国的に原因物質の排
出削減が進んでいるにもかかわらず増加傾向
にあり,海外からの原因物質の移流が影響し
ている可能性があります。
自動車排出測定局では,二酸化硫黄,二酸
化窒素,浮遊粒子状物質,一酸化炭素につい
て環境基準を達成しましたが,微小粒子状物
質(PM2
.
5
)は1カ所の測定局で環境基準を
達成しませんでした。
また,その他の有害大気汚染物質について
は,国が定める優先取組物質のうち測定方法
が確立されている2
1
物質について,市内4地
点で測定を行い,すべての測定地点で環境基
準を達成あるいは指針値を下回っています。
2)悪臭
平成2
5
年度の苦情件数は30
件で,前年度と
比べ9件減少しました。全苦情件数に対する
悪臭苦情の件数の割合は約15
%で騒音に次ぐ
大きさとなっています。
-2
1
-
1.2 水環境
1)河川・湖沼・海域
平成2
5
年度は,河川43
地点,湖沼12
地点及
び海域2
6
地点で,定期的に水質調査を実施し
ました。
カド ミウムなどの「人の健康の保護に関す
る環境基準」については,すべての地点で環
境基準を達成しました。
「生活環境の保全に関する環境基準」につ
いては,水の汚れを表す代表的な指標である
BODとCODでみると,河川ではすべての水
域で環境基準を達成し ているものの,湖沼
(大倉ダム,七北田ダム)及び仙台港地先海
域(丙)の水域で環境基準を達成しませんで
した。
なお,深沼海水浴場は,東日本大震災以降
開設されていないことから,水浴場の水質判
定は行っていません。
2)地下水
地下水は,市内3
5カ所で揮発性有機化合物
等の2
8
項目について,概況調査を行っていま
すが,平成2
5
年度は,3地点において環境基
準を達成しませんでした(PCB超過1地点,
砒素超過1地点,テトラクロロエチレン超過
1地点)。
また,過去に汚染が確認された井戸につい
ての継続調査では,硝酸性窒素及び亜硝酸性
窒素,砒素,鉛,テトラクロロエチレンにつ
いては,一部の地点で環境基準を達成しませ
んでしたが,今後とも継続的に調査を行う予
定です。
1.3 地盤・土壌環境
1)地盤沈下
市内4カ所の地盤沈下測定局において地下
水位と地盤収縮量を測定しています。平成22
年度末に顕著な地盤収縮が観測され まし た
が,東日本大震災によるものと考えられ ま
す。今後も様々なデータと併せて地盤沈下の
状況を監視していく必要があります。
2)土壌汚染
平成2
6
年3月末現在,市内の土壌汚染対策
法に基づ く指定区域(法に基づ く調査の結
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
果,土壌の汚染状態が基準に適合しないこと
が判明した区域)は27
件となっています。
1.4 騒音・振動・公害苦情
新幹線,航空機,自動車の騒音測定を各測定
地点で行いましたが,新幹線鉄道の騒音は,一
部環境基準を達成し ていない地点がありまし
た。また,航空機の騒音については,霞目飛行
場周辺住宅地内の特に飛行場に近接している1
地点で環境基準を達成しませんでした。
自動車騒音については,主要な幹線道路に面
する1
5
区間の面的評価を行いました。今回評価
対象となった15
,
6
1
6
戸のうち,昼夜とも環境基
準を達成したのは約8
5
%で,交通量の多い幹線
道路に面する地域での達成率が低くなっていま
す。
また,公害苦情の件数は,19
4
件でした。その
うち,騒音・振動及び悪臭に関する苦情が16
9
件で全体の約8
7
%を占めています。
1.5 化学物質
1)化管法による集計結果
平成2
5
年度は,平成24
年度分として市内の
2
3
4
事業所から62
種類の化学物質の届出があ
りました。届出のあった排出量・移動量の合
計は8
2
7
トンで,届出排出量及び移動量が多
い物質は,鉛化合物,トルエン,マンガン及
びその化合物で,上位1
0
物質を合計すると全
体の約9
4
%となっています。
2)ダ イオキシン類
平成2
5
年度は,大気13
地点,河川等の水質
2
6
地点,河川等の底質16
地点,土壌11
地点に
おいて調査を行い,すべての地点で環境基準
を達成しています。
1.6 廃棄物
再生可能紙類の焼却施設搬入抑制指導(平成
1
7
年度~),家庭ごみ等有料化(平成20
年度~)
によりごみ減量・分別意識の向上が図られ,近
年,ごみ排出量は減少傾向にありましたが,東
日本大震災以降,ごみ排出量が急増しました。
現在は震災直後よりは減少はしていますが,震
災前の水準には回復しておらず,さらなるごみ
の減量・リサイクルの推進が必要です。
平 成2
5
年 度 のご み 排 出 量 は,対 前 年 度 比
0
.
9
%減の約39
万トンとなり,その内訳は生活ご
みが2
4
万5千トン(対前年比0
.
6
%減)
,事業ご
みが1
4
万5千トン(対前年比1
.
3
%減)となりま
した。
(図1 ごみ排出量の推移)
産業廃棄物については,平成24
年度に発生し
た総量は1
,
7
3
1
千トン でし た。総発生量から有
償物量2
0
千トン を除いた排出量は1,
7
1
1
千トン
で,そのうち汚泥と解体工事現場等から排出さ
れるがれき類で全体の約8割を占めています。
1.7 地球環境問題
仙台市の平成2
5
年の平均気温は1
2
.
7
℃ であ
り,昭和2年からこれまでの平均気温の推移を
みると,1
0
0
年あたり2
.
2
℃ の割合で上昇してい
ます。こうした気温上昇の原因として,地球温
暖化あるいは都市化によるヒートアイランド現
象などが考えられています。
仙台市の平成2
3
年度の温室効果ガスの総排出
-CO2となりました。平
量は推計で6
5
7
万3千t
-CO2と比較し
成1
7
年度の総排出量88
3
万8千t
て,2
1
.
2
%の減少となっていますが,これは東
日本大震災の影響による一時的な減少と推定さ
れ,今後は大幅な増加に転じるものと見込まれ
ます。
(図2
仙台市の温室効果ガス排出量及び
電力排出係数の推移)
※電力排出係数とは,1kWhの電力を使用する際に排
出される二酸化炭素排出量(㎏)で,電力使用量か
ら二酸化炭素排出量を計算するために使用されるも
のです。
-2
2
-
また,酸性雨に ついては,市役所で測定を
行っており,その出現率は,昨年度より若干低
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
く4
2
%となっています。
2.2 資源循環都市づくり
1)ごみ減量・リサイクル
東日本大震災から3年以上経過し,震災の
影響によると思われるごみの増加については
落ち着きを取り戻しつつあります。
平成2
5
年度は,ごみ減量・リサイクルを推
進するために缶・びん・ペットボトル等容器
包装の分別・リサイクル,紙類と生ごみのリ
サイクル,てんぷら油のリサイクル,ごみ減
量・リサイクルの啓発及び広報を積極的に行
うなど様々な施策を展開しました。
2.「杜の都環境プラン」環境施策の体系に基
づく取り組み
平成23
年3月に改定し た「杜の都環境プ ラ
ン」では,「『杜』と生き,『人』が活きる都・
仙台」を環境面から 目指すべき都市の全体と
し,その下に具体的な4つの分野別都市像を掲
げ,必要な施策を体系化しています。さらにこ
れらに共通する仕組みづくりや人づくりの観点
を加え,その実現に向けた取り組みを行ってい
ます。
平成2
5
年度に実施した主な取り組みは次の通
りです。
2 .1 低炭素都市づくり
1)再生可能エネルギー等の有効活用
仙台市では,東日本大震災の経験を踏まえ,
国や県の支援制度を活用し,指定避難所を中
心とした防災拠点に,太陽光発電と蓄電池を
組み合わせた防災対応型太陽光発電システム
を導入することとし,平成2
5
年度末までに市
内小中学校等1
7カ所を対象に整備を進めまし
た。
なお,平成2
5
年度末現在,上記を含めた仙
台市所管施設等での太陽光発電の設置数は69
カ所で,最大出力は 計7
0
0
kWとなってい ま
す。発電した電力はそれぞれの施設で利用し
ています。
2)地球温暖化防止の啓発事業
一人でも多くの方に二酸化炭素削減に繋が
るライフスタイルやビジネススタイルについ
て考え行動してもらうための啓発を行いまし
た。市民,事業者,行政などが協働し「省エ
ネ・創エネ・畜エネ」の3Eの実践啓発に取
り 組 む「せ ん だ いE-Ac
t
i
on2
0
1
3
実行委員
会」を組織し,緑のカーテン普及啓発事業,
七夕ライトダウン イベントや打ち水イベント
などを実施し,多くの市民が参加しました。
-2
3
-
2.3 自然共生都市づくり
1)生物多様性の保全
生物多様性に関する情報,生き物デ ータ
ベース,農作物の被害等を増加させている野
生生物や,生態系を脅かす外来生物に関する
情報をホームページに掲載しています。
2)百年の杜づくり
平成2
4
年7月に策定した「緑の基本計画」
に基づき,百年の杜づくりの推進に向けて,
各種施策に継続的に取り組みました。
3)水環境の保全
水の循環に視点を置いたまちづくりを進め
るために,行政・市民・事業者がそれぞれの
立場で,互いに協力しながら水環境の保全の
ために取り組んでいます。平成25
年度は六郷
堀・七郷堀での非かんがい期における通水の
実施や天水桶手づくり講座,四ツ谷用水発見
イベント等を開催しました。
2.4 快適環境都市づくり
1)自動車環境負荷低減対策
自動車環境負荷を低減させるため,市民・
事業者とともに総合的・計画的に推進してい
ます。平成2
5
年度は エコド ラ イブ 運動の推
進,公用車への次世代自動車等を導入しまし
た。また,公用車として導入した電気自動車
は業務での使用に加え,市民まつり等のイベ
ント時に展示するなど 市民への普及啓発を
行っています。
2)環境美化
ごみの散乱の問題を「まちづくり」という
観点で捉え,市民・事業者と市が協働で快適
なまちづくりを進めることを目指し,「全市
一斉『ポイ捨てごみ』調査・清掃キャンペー
ン(アレマキャンペーン)
」などを実施しまし
た。
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
2.5 良好な環境を支える仕組みづくり・人
づくり
1)環境教育・学習
市民・NPO・学校・事業者・行政などのメ
ン バーで構成される「杜の都の市民環境教
育・学習推進会議(
「FEEL Se
ndai
」)」にお
いて環境学習プログラムの開発や普及の促進
のほか,環境に関する市民への意識啓発や関
係団体等との連携・交流等をおこなっていま
す。
また,小中学校や科学館,市民センター等
においても環境教育・学習に関する取り組み
を行いました。
2)環境に配慮したライフスタイル・ビジネス
スタイルを促す取り組み
環境への配慮として,環境にやさしい製品
やサービ スを優先的に購入する「グリーン購
入」の取り組みを推進しました。
3)環境国際交流
環境負荷の低減や環境保全のためには国や
地域を越えた情報交換や連携も必要なことか
ら イクレ イ(I
CLEI
:持続可能性を目指す自
治体協議会)を通じた活動に参加するなど,
環境分野での国際交流を推進しています。
3.「杜の都環境プラン」の実効ある推進のた
めの取り組み
仙台市役所は,行政機関であると同時に大規
模な事業者・消費者として地域に大きな影響を
及ぼす立場にあります。地域の中で先導的に推
進していくために,市役所自らの環境負荷低減
に取り組んでいます。
1)環境マネジ メントシステムの推進
平成1
8
年度に策定した「新・仙台市環境行
-2
4
-
動計画-持続可能な地域をつくるエコプラン
-」に基づき,効果的な環境負荷低減を目指
した取り組みを進めています。平成26
年3月
に改定した計画第9版では,「購入電力量」
「一般廃棄物排出量」
「リサイクル率」の3項
目について,震災前の水準に戻す目標(計画
期間5年)を掲げるとともに,大きな節電効
果が期待される施設にはビルエネルギーマネ
ジ メントシ ステムやLED照明等の省エネ設
備を積極的に導入するなど,ハード面の取り
組みを強化しました。
平成2
5
年度の市の業務に伴う二酸化炭素総
排出量は,基準年度(平成16
年度)と比較し
て1
1
.
0
%の削減となり,目標の1
3
.
7
%削減の
達成とはなりませんでした。また水道使用量
に係る目標は達成しましたが,一般廃棄物排
出量,リサイクル率,次世代自動車等の比率
に係る目標については非達成という結果とな
りました。
2)地球温暖化対策の推進
平成2
5
年度は地球温暖化防止に向けた職員
一人ひとりの取り組み項目をまとめた「地球
温暖化対策行動」を策定し,環境負荷低減行
動に率先して取り組みました。
3)環境影響評価(環境アセスメント)制度の
推進
平成2
6
年3月3
1
日現在,環境影響評価法及
び仙台市環境影響評価条例で手続きを行った
案件は1
8
件となっています。
また,仙台市が実施する公共事業について
対象としている「仙台市環境調整システム」
による平成2
5
年度の運用件数は5件となりま
した。
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
唖娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃阿
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
愛娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃挨
感染症情報
宮城県感染症発生動向調査情報
(平成2
7
年2月2日~平成2
7
年3月1日,第6週~第9週)
宮城県結核・感染症情報センター*
宮城県結核・感染症情報センターでは,「感染症法」に基づき,県内の医療機関の協力を得て,感
染症の患者発生報告と病原体の検出報告を行っています。ここでは月間の動向を提供します。
1.全数届出対象疾患届出状況
一類感染症
疾患名
期間・地域
2月2日~3月1日
2015年累計
宮城県 仙台市 県全域
県全域
届 出 な し
二類感染症
疾患名
結核
期間・地域
2月2日~3月1日
2015年累計
宮城県 仙台市 県全域
県全域
1
1
7
1
8
4
8
三類感染症
2.定点把握疾患報告状況
・県全域でインフルエンザの流行がみられまし
た。
・仙南管内で感染性胃腸炎の流行が継続しまし
た。
・石巻管内でA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流
行が継続しました。
3.病原体検出状況
(保健環境センター検出分)
病
2月2日~3月1日
2015年累計
疾患名
宮城県 仙台市 県全域
県全域
コレラ
0
1
細菌性赤痢
0
0
腸管出血性大腸菌感染症
2
1
3
3
腸チフス
0
0
パラチフス
0
0
期間・地域
四類感染症
2015年累計
期間・地域 2月2日~3月1日
疾患名
宮城県 仙台市 県全域
県全域
E型肝炎
0
0
A型肝炎
0
0
エキノコックス症
0
0
オウム病
0
0
Q熱
0
0
つつが虫病
0
0
デング熱
0
0
日本紅斑熱
0
0
ブルセラ症
0
0
ボツリヌス症
0
0
マラリア
0
0
レジオネラ症
1
1
2
レプトスピラ症
0
0
五類感染症
2015年累計
期間・地域 2月2日~3月1日
疾患名
宮城県 仙台市 県全域
県全域
アメーバ赤痢
0
5
ウイルス性肝炎
0
0
カルバペネム耐性腸内細菌感染症
1
1
2
3
急性脳炎
0
0
クリプトスポリジウム症
0
0
クロイツフェルト・ヤコブ病
0
0
劇症型溶血性レンサ球菌感染症
0
0
後天性免疫不全症候群
1
2
3
4
ジアルジア症
1
1
1
梅毒
1
1
2
破傷風
0
0
バンコマイシン耐性腸球菌感染症
0
0
風しん
0
0
麻しん
0
0
侵襲性インフルエンザ菌感染症
0
1
侵襲性髄膜炎菌感染症
0
0
侵襲性肺炎球菌感染症
1
5
6
1
1
水痘(入院例)
1
1
2
2
播種性クリプトコックス症
0
0
*宮城県保健環境センター微生物部
HP:ht
t
p:
/
/
www.
i
he
.
pr
e
f
.
mi
ya
gi
.
j
p/~ka
ns
e
nc
e
nt
e
r
/
-2
5
-
原
体
月検出件数* 2
0
1
5
年累計
A(H1)型
0
インフルエンザ AH1pdm
0
A(H3)型
5
6
6
4
ウイルス
B型
1
1
エンテロウイルス
0
コクサッキーウイルス
0
エコーウイルス
0
アデ ノウイルス
0
風しんウイルス
0
ヒトパレコウイルス
0
GⅠ群
1
2
ノロウイルス GⅡ群
3
1
3
GⅠ群及びGⅡ群
3
ロタウイルス
3
サポウイルス
1
1
3
アストロウイルス
0
ライノウイルス
0
A型肝炎ウイルス
0
RSウイルス
0
O1
5
7
1
1
O2
6
0
O1
4
5
0
腸管出血性
O1
0
3
0
大腸菌
O1
2
1
0
O1
1
1
0
その他
0
腸管毒素原性大腸菌
0
腸管侵入性大腸菌
0
腸管病原性大腸菌
1
腸管凝集付着性大腸菌
1
他の下痢原性大腸菌
1
1
サルモネラ
0
j
e
j
uni
0
カンピ ロバ ク C.
ター
C.
c
ol
i
0
赤痢菌
0
腸炎ビブリオ
0
黄色ブド ウ球菌(毒素産生性)
1
エルシニア エンテロコリチカ
0
A群溶血性レンサ球菌
0
*2月2日~3月1日の検出日で集計
4.トピック
インフルエンザ患者数は,第4週にピークと
なりその後減少し,第9週には県全域で警報継
続基準値の一定点当たり10
人を下回りました。
小中学校等の学級閉鎖やインフルエンザ入院患
者数も減少傾向にありますが,インフルエンザ
警報は継続中ですので,今しばらくは手洗い等
の日常的な予防に努めてください。
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
唖娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃阿
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
愛娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃挨
感染症情報
仙台市感染症発生動向調査情報
<平成2
7
年2月2日~平成2
7
年3月1日>
仙台市衛生研究所微生物課
集計(感染症法*に基づく全数報告件数)
疾患名
第6~9週
合計
第6週
第7週
第8週
第9週
結核
2
0
2
3
7
腸管出血性大腸菌感染症
0
0
0
1
1
カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症
0
1
0
0
1
後天性免疫不全症候群
1
0
1
0
2
ジアルジア症
1
0
0
0
1
侵襲性肺炎球菌感染症
1
0
2
2
5
水痘(入院例に限る)
0
0
1
0
1
梅毒
0
0
1
0
1
風しん
0
0
0
0
0
麻しん
0
0
0
0
0
・腸管出血性大腸菌感染症の
報告あり。
5
7VT2
:1例
O-1
・カルバペネム耐性腸内細菌科
細菌感染症:Ent
e
r
obac
t
e
r
ae
r
oge
ne
s,推定感染地域:
国内
・水痘(入院例に限る):臨
床診断例,ワクチン接種歴
無し
*感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
集計(患者数*)
週報定点把握対象
感染症名
第6~9週
合計
第6週
第7週
第8週
第9週
RSウイルス感染症
6
6
6
4
2
2
咽頭結膜熱
7
1
1
1
0
1
2
4
0
A群溶血性レンサ球菌
咽頭炎
1
2
8
8
3
1
0
3
8
3
3
9
7
感染性胃腸炎(小児科)
4
1
9
3
3
8
3
4
8
3
6
2
1
,
4
6
7
2
8
1
5
4
0
1
5
9
8
4
3
1
3
1
1
伝染性紅斑
2
8
9
3
1
2
0
8
8
突発性発しん
1
5
1
6
1
1
1
0
5
2
百日咳
0
0
0
0
0
ヘルパンギーナ
1
2
0
0
3
水痘
手足口病
流行性耳下腺炎
2
8
8
5
2
3
インフルエンザ
6
2
0
3
5
6
2
6
6
2
0
1
1
,
4
4
3
急性出血性結膜炎
0
0
0
0
0
流行性角結膜炎
1
2
4
1
8
感染性胃腸炎
(ロタウイルス)
0
0
1
1
2
クラミジア肺炎
(オウム病を除く)
0
0
0
0
0
細菌性髄膜炎
0
0
0
0
0
マイコプラズマ肺炎
0
1
0
1
2
無菌性髄膜炎
0
0
0
0
0
マイコプラズマ肺炎
(小児科)
0
0
1
1
2
川崎病
0
0
0
0
0
不明発しん症
2
1
1
1
5
*感染症発生動向調査における患者定点医療機関から報告された患者数
-2
6
-
コメント
[咽頭結膜熱]
増加傾向。
第7~9週は例年同時期と
比較してやや多い。
[A群溶血性レンサ球菌
咽頭炎]
減少傾向。
第6,8週は例年同時期と
比較してかなり多く,第7,
9週はやや多い。
[感染性胃腸炎(小児科)
]
第7週に減少したが,やや
増加傾向。
宮城野・若林区で第4週か
ら6週連続で警報レベルを
継続。
第6,9週は例年同時期と
比較してやや多い。
小学校鰯,中学校茨および
高齢者施設茨で集団感染事
例の報告あり。4施設の患
者検体から ノロウイルスを
検出,1施設(小学校)の患
者検体からロタウイルスを
検出。
[伝染性紅斑]
第6週は例年同時期と比較
してやや多く,第8週はか
なり多い。
[インフルエンザ]
第5週から5週連続で減少。
第 7 週に 警 報 終 息 基 準 値
(定点当たり報告数1
0
人)
を下回った。
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
唖娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃阿
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
愛娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃挨
仙台市内病院病原体検出情報
感染症情報
7
年2月2日~3月1日>
<平成2
独立行政法人国立病院機構仙台医療センター
臨床研究部ウイルスセンター
ウイルス分離状況
2
0
1
5
年
第6週
第7週
第8週
第9週
2月2日~2月8日 2月9日~2月1
5
日 2月1
6
日~2月2
2
日 2月2
3
日~3月1日
インフルエンザウイルスA(H1)型
0
0
0
0
A(H3)型
1
0
0
0
B型
0
0
0
0
C型
0
0
0
0
解析中
1
2(1
)
1
0
パラインフルエンザウイルス 1型
0
0
0
0
2型
0
0
0
0
3型
0
0
0
0
4型
0
0
0
0
解析中
0
0
0
0
ヒト メタニューモウイルス
0
1
0
0
RSウイルス
1
5(4
)
0
0
ムンプスウイルス
0
0
0
0
麻疹ウイルス
0
0
0
0
アデ ノウイルス
0
0
2(1
)
0
エンテロウイルス
0
0
0
0
ライノウイルス
0
1
0
0
単純ヘルペスウイルス
1
0
0
0
1
1
0
0
0
0
0
0
5
/3
5
1
0
/3
2
3
/2
0
0
/2
8
第6週
第7週
第8週
第9週
サイト メガロウイルス
未
同
定
分離総数/検体総数
抗原検出状況
2
0
1
5
年
2月2日~2月8日 2月9日~2月1
5
日 2月1
6
日~2月2
2
日 2月2
3
日~3月1日
インフルエンザウイルス
4
5
2
7
A型
4
5
2
5
B型
-
-
-
2
RSウイルス
1
2
0
0
ノロウイルス
4
3
1
3
ロタウイルス
0
0
0
1
アデ ノウイルス(便中)
0
0
0
0
アデ ノウイルス(呼吸器)
0
0
1
0
アデ ノウイルス(眼科)
0
0
0
0
※溶連菌
0
1
0
3
水痘帯状疱疹
0
0
0
0
単純ヘルペス
陽性数/検体総数
0
0
0
0
9
/10
5
1
1
/8
6
4
/9
0
1
4
/1
3
0
コメント :①ハ
゚
ラ
イ
ン
フ
ル
エ
ン
サ
゙
ウ
イ
ル
ス
についてもイ
ン
フ
ル
エ
ン
サ
゙
ウ
イ
ル
ス
と同様に「解析中」の欄を設けました。
②一覧に無いウイルス
が分離された場合に記載する為の「その他のウイルス
」欄は廃止し,今後はコメント
にてご連絡いたします。
*なお,これらの成績は主に以下の医療機関から定期的に送られてくる検体を解析したものです。
永井小児科医院,庄司内科小児科医院,仙台医療センター
-2
7
-
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
唖娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃阿
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
愛娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃挨
保健所長からの便り
平成2
6
年度第1
1
回
保健福祉事務所長等会議
平成2
7
年2月6日
今月の会議では,以下の報告がありました。
保健・医療専門部会
を設置することとされていることから,現在,
県では,関係機関との体制整備を検討していま
1.災害派遣制震医療チーム(DPAT
:Di
s
as
t
e
r
す。
Ps
yc
hi
at
r
i
cAs
s
i
s
t
anc
eTe
am)について
自然災害や犯罪事件・航空機・列車事故等の
2.平成2
7
年度宮城県献血推進計画について
集団災害が発生した場合,被災地域の精神保健
宮城県では,献血が不足しています。平成25
医療機能が一時的に低下し,さらに災害ストレ
年度は合計1
1
1
,
8
9
1
人の受付があり,91
,
0
9
6
人が
ス等により新たに精神的問題が生じる等,精神
献血し ました。昨年度と比べると53
8
人減少し
保健医療への需要が拡大します。このような災
ました。平成2
5
年度の必要献血者数は9
2
,
4
9
0
人
害の場合には,被災地域の精神保健医療ニーズ
でしたので,1,
3
9
4
人の不足でした。
の把握,他の保健医療体制との連携,各種関係
宮城県献血推進協議会で,来年度の計画を決
機関等とのマネージ メント,専門性の高い精神
定し,ピンバッチ配布や献血PR用アニ メむす
科医療の提供と精神保健活動の支援が必要で
び丸でCM作成・放映により啓発を図ることに
す。このような活動を行うために,厚生労働省
し ました。皆様も全血献血(特に4
0
0
ml
)と成
では,DPATの活動要領を定め,体制整備を進
分献血にご協力ください。
めています。
DPATとは,都道府県及び 政令指定都市に
3.避難計画〔原子力災害〕作成ガイド ライン
よって組織される,専門的な研修・訓練を受け
について
た災害派遣精神医療チームです。DPATは精神
女 川 原 子 力 発 電 所 か ら 概 ね30
㎞内 のUPZ
科医師,看護師,業務調整員(ロジスティクス)
(緊 急 時 防 護 措 置 を 準 備 す る 区 域:Ur
ge
nt
を含めた数名で構成されます。なお,地域の実
Pr
ot
e
c
t
i
veAc
t
i
onPl
anni
ngZone
)を含む関係
情に応じて,都道府県等の職員だけでなく,関
7市町は,住民避難計画を作成することとされ
連機関(大学付属病院,国立病院,公立病院,
ています。このたび,宮城県では,その作成に
その他の病院,診療所等)の職員で構成するこ
あたっての基本的事項を定めたガ イドラインを
とができます。各班は,被災地の交通事情やラ
作成しました。内容は,広報手段,避難手段,
イフラインの障害等,あらゆる状況を想定し,
避難方法,避難者支援体制等です。関係市町に
交通・通信手段,宿泊,日常生活面等で自立し
対しては,本ガ イドラインを参考に,年度内に
ている必要があります。
避難計画を策定するよう要請しています。
災害時には県災害医療本部にDPAT調整本部
-2
8
-
(文責:大崎・栗原保健所長
大内みやこ)
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
唖娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃阿
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
愛娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃挨
保健所長からの便り
仙
台
市
保
健
所
長
会
ています。
暦の上では立春を過ぎ,まだ寒いながらも陽
射しの中に春の訪れを感じる今日この頃です。
予防接種は,感染症対策として最も基本的か
今冬のインフルエンザの流行も,昨年12
月の第
つ効果的な対策の一つであり,国民の生命と健
5
2
週(1
2
月2
2
日~28
日)をピークに,徐々に減
康を守る重要な手段です。し かし,わが国で
少傾向となってきています。
は,予防接種の副反応による健康被害の問題を
去る1月2
8
日に,平成2
6
年度の仙台市地域保
背景に,予防接種行政に対して慎重な対応が求
健福祉研究業績発表会が開催されました。今年
められてきた過去の経緯から,いわゆる「ワク
度は,2
6
題の演題応募があり,当日は13
題が口
チン・ギャップ」の問題が生じています。すな
頭で発表されました(表1)。今年度も,保健所
わち,WHOが勧告しているワクチンのいくつ
をはじめ,健康福祉局・子供未来局の各部署か
かがわが国では未だ予防接種法の対象になって
ら,幅広い分野にわたる演題が発表され まし
おらず,先進諸国と比べて,公的に接種するワ
た。発表会は,昨年度に引き続き学会形式でし
クチンの種類が少ない現状になっています。こ
たが,私が座長を務めた「災害」「障害保健福
うした現状に対応するため,厚生科学審議会感
祉」のセッションも,コメンテーターからの質
染症分科会予防接種部会等において,
「広く接
問や意見等をいただき,多くの参加者が熱心に
種を促進していくことが望ましい」として7つ
参加していました。この発表会を通じて,誌上
の疾病が挙げられていました。この中で,平成
掲載される演題も含めて,自分達の活動を振り
2
5
年度から,Hi
b感染症,小児の肺炎球菌感染
返り,課題を整理し今後の取組みに活用させて
症及びヒトパピローマウイルス感染症(ただし
いくことができますので,今後も多くの職員に
現在では積極的な接種勧奨は一時的差し控えと
積極的に参加してもらいたいと思います。
なっています。
)の3疾病が定期の予防接種に
さて,3月に入ると,お子様のいる家庭で
位置づけられ,平成26
年1
0
月からは,水痘,高
は,そろそろ入園や入学前の準備が始まりま
齢者の肺炎球菌感染症が加わりました。残りは
す。4月からの入園・入学に備え,保護者の予
おたふくかぜとB型肝炎ですが,このうちB型
防接種への関心を高めるとともに,子どもへの
肝炎については,今年1月15
日に開催された予
接種漏れを見直すために最適な時期として,3
防接種・ワクチン分科会で,小児のB型肝炎ワ
月1日~7日までの7日間,「子ども予防接種
クチンの定期接種化に関して審議され,公費で
週間」が実施されます。ワクチンで防ぐことが
接種が受けられるようにすべきとの意見で一致
で き る 病 気(VPD:Vac
c
i
nePr
e
ve
nt
abl
e
したとの審議結果が報道されています。B型肝
Di
s
e
as
e
s
)から子ども達を守るため,予防接種
炎ワクチンについては,19
9
2
年にWHOがユニ
の普及・実施に関し,地域の実情に合わせた広
バーサルワクチンとして全世界の国々が実施す
報・啓発の取り組みについて各都道府県医師会
るよう勧告し,2
0
1
3
年までに1
8
3
か国で乳幼児
等が企画・実施するものです。仙台市でも,市
を対象とした予防接種を導入済みです。わが国
民への広報に努めるとともに,土曜日・日曜日
でも,今回の審議結果を受けて,早期に定期接
や平日の夜間等に,通常の診療時間に都合のつ
種化が実現されることが期待されます。
かない人達が予防接種を受けられる体制をとっ
-2
9
-
(文責:太白区保健福祉センター 下川寛子)
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
表1
分
野
平成2
6
年度地域保健福祉研究業績発表会(演題)
テ
ー マ
① 食肉市場における枝肉輸送車および牛枝肉積み込み機の衛生管理
について
②
食
品
衛
生
③
環
災
境
衛
生
害
食 肉 衛 生 検 査 所
食 肉 衛 生 検 査 所
仙台市における腸管出血性大腸菌0
1
5
7の分子疫学情報共有事業に
ついて -腸管出血性大腸菌0
1
5
7の遺伝子解析-
衛生研究所微生物課
④
エルシニア・エンテロコリチカによる食中毒事例について
-稀な食中毒事例から得られた教訓-
泉
①
仙台市におけるPM2
.
5
高濃度事例の解析
衛生研究所理化学課
①
若林区における震災後のこころのケア活動について
-アルコール関連問題への取組み-
若林区障害高齢課
②
仮設住宅における被災者への健康支援を考える
-大規模プレハブ仮設住宅の支援-
太白区家庭健康課
仙台市の高次脳機能障害者支援事業における相談者背景と主訴傾
向の調査 -在宅急性期と社会生活期についてー
児童・母子保健
属
平成2
6
年度「食肉まつり」で実施した市民啓発活動について
-一般市民の「生食」に関する意識調査(アンケート)結果につ
いて-
①
障 害 保 健 福 祉
所
区
衛
生
課
障
害
者
総 合 支 援 セン タ ー
②
仙台市精神障害者退院促進地域移行支援事業の成果と課題
-9年間の実践報告ー
精 神 保 健 福 祉
総 合 セ ン タ ー
①
ちいさく生まれた子の親の会を支援して
-1
3
年間のあゆみとその課題-
宮城野区家庭健康課
②
絵本の素晴らしさを保育に活かすために
~子どもの心を育む絵本とは~
鶴ヶ谷第二保育所
③
「食生活に関する調査票」の活用について
-乳幼児食育研究会の活動より-
長 命 ヶ 丘 保 育 所
④
公立保育所における地域子育て支援のあり方
-一時預かり保育の現状と課題-
支
-3
0
-
倉
保
育
所
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
唖娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃阿
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
愛娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃挨
ちょっとひと息
伊達っこ パリ通信
VOL.
6
~宮城,岩手,福島の
青い鳥たちへ~
大津波が東日本を襲ったあの日から丸4
年。遠く離れていても,いや遠く離れている
からこそ,なおさらこの3月は故郷への想い
が強くなります。
2
0
1
1
年3月1
1
日は多賀城市で仕事をしてい
るはずでした。しかし予定の1週間前にキャ
ンセルになってしまったのです。もし,あの
日,多賀城市にいたら…頂いた命への感謝と
何かせずにはいられない気持ちで,全国から
寄せられた救援物資を持ち,仲間と避難所に
伺いました。想像をはるかに超えた状況にも
関わらず,子供たちの生き生きした声に逆に
元気をもらったことをよく覚えています。
復興への長い道のり。被災地の未来を担う
子供たちにこそ,夢を失わず歩いていってほ
しい,そんな気持ちで仲間達と立ち上げたの
が,「SENDAI
青い鳥PROJECT」でした。
フランスから届いた何百本ものワイン
仙台七夕まつりのスタンド で
チャリティー販売しました
子供たち自身に綴ってもらう「将来の夢」の
作文を元に毎年6名の奨学生が選ばれていま
す。「この応援資金で,あきらめていた看護
学校に行けます」
「進学し,大好きな野球部に
入部し ます」毎年12
月に行われる贈呈式で
は,子供たちの喜びの声を聞くことができま
す。この4年間で,合計2
4
名の子供達にそれ
ぞれ10
0
万円の夢の応援資金が贈られました。
SENDAI
青い鳥PROJECTの
シンボルマーク
SENDAI
青い鳥PROJECTの初めてのイベ
ントは2
0
1
1
年5月7日のチャリティーバザー
でした。プロジェクトの参加者一人ひとりが
物資集めに奔走した結果,全国各地から届い
た様々な品物を仙台サンモール商店街のお店
の一角をお借りし,販売したのです。被災地
でチャリティーバザー?と首をかしげる人も
いました。その一方で「小さい子供がいるの
で被災地へ泥かきには行けない。チャリティ
バザーで商品を買うことで,貢献できるなん
て。
」と喜んでくれた方もいらっしゃいまし
た。このバザーを皮切りに,様々なイベント
を企画し,その参加費を義援金にあてまし
た。スタッフはみな手弁当でしたが,共に楽
しみながら,そして子供たち夢を後押しした
い,目に見える支援をしたいという気持ちで
強く結ばれていました。
小さな活動の積み重ねと,支援が全国,フ
ランス,ド イツ,アメリカなど海外にも広がっ
たことで,20
1
1
年は仙台市の震災孤児6人へ
1
0
0
万 円ず つ贈 るこ とが で き まし た。翌 年
2
0
1
2
年からは公募制とし,宮城・福島・岩手
の被災3県に枠を広げ奨学生を募集しました。
昨年の夢の応援資金贈呈式の模様
SENDAI
青い鳥PROJECTの名前は,日本
でもお馴染みの童話,メーテルリンクの『青
い鳥』に由来しています。困難にも負けず,
幸せを掴もうと冒険する,主人公のチルチル
とミチルの姿に東北の子供たちを重ねたもの
です。震災を乗り越え,夢を追いかける子供
たちにエールを送りたい!その想いを「夢の
応援資金」という形にすべく,今年も様々な
チャリティー活動を通して義援金を集めてい
ます。私たちのプロジェクトに共感してくだ
さった方,ぜひご支援をお願いいたします。
宮城,岩手,福島の青い鳥たちのために。
SENDAI
青い鳥PROJECT公式ホームページ
ht
t
p:
//www.
s
e
ndai
aoi
t
or
i
.
c
om/
文・写真
髙野志津
フリーアナウンサー。Dat
e
FM(FM仙台),楽天
イーグルススタジアムDJ,NHK仙台放送局キャ
スターを経て,現在フランス在住。
-3
1
-
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
唖娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃阿
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
愛娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃挨
協会だより
平成2
7
年度 宮城県公衆衛生研究振興基金研究助成の募集
一般財団法人 宮城県公衆衛生協会
趣
旨
桓 研究年度
一般財団法人宮城県公衆衛生協会(以下「協
研究は,単年度をもって完結することを原
会」という。
)は,公衆衛生の向上を図り,健
則としますが,特に継続研究の価値のあるも
康で文化的な県民生活の建設に寄与する事を目
のについては,その限りではありません。
的として設立されております。この目的達成の
一環として,宮城県公衆衛生研究振興基金(以
内
下「基金」という。)を造成し,公衆衛生領域
敢 助成金額
の研究に対して助成を行っております。
容
一研究課題につき15
万円から3
0
万円程度で
ここでいう研究とは,公衆衛生領域における
自然科学を主に,人文科学,社会科学を含めた
す。
柑 助成研究期間
広い意味での調査研究をいい,個人研究,共同
平成2
7
年7月1日から平成28
年3月31
日ま
研究のいずれでも差し支えありません。独自性
でとします。
のある研究が多数応募されます事を期待してお
ります。
応募手続
敢 応募方法
対
象
当協会指定研究助成申請書に必要事項を記入
敢 研究の内容
の上,正本1通をご送付下さい。当協会ホー
公衆衛生に関連する研究(調査を含みます。
以下同じ。)で,研究成果が公衆衛生の向上に
ムページ(ht
t
p:
//www.
e
i
s
e
i
kyokai
.
or
.
j
p)
からダウンロード することができます。
寄与し,県民の福祉に役立つ研究であるこ
柑 応募期間
と。
平成2
7
年4月1日から平成27
年5月31
日ま
柑 研究者の資格
でとします。
代表研究者,共同研究者は,いずれについ
お問い合わせ
ても資格は問いません。ただし,公衆衛生活
担当 :総務部総務課 須藤
TEL:0
2
2
7
7
1
4
7
2
2 FAX:0
2
2
7
7
6
8
8
3
5
Emai
l
:j
ouhou@e
i
s
e
i
kyokai
.
or
.
j
p
動に従事する人が実質的な研究活動を行うこ
とが必要です。
-3
2
-
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
唖娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃阿
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
哀
愛娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃挨
協会だより
お知らせ
2
0
1
5 2
月号(№44
2
)に掲載致しました,震
〒9
8
2
0
2
5
2
災特集【「子どもの村東北」が開村し ました】
仙台市太白区茂庭台2丁目1
6
-9-1
について,読者より「子どもの村東北」の所在
TEL:0
2
2
-2
8
1
-9
6
5
3
地についての問い合わせがありまし たで所在
FAX:0
2
2
-2
8
1
-9
6
5
9
地・連絡先及びアクセスを記載致します。
Emai
l
:c
e
nt
e
r
t
@s
os
c
vj
.
or
g
地図
特定非営利活動法人子どもの村東北
-3
3
-
ホームページより引用
公衆衛生情報みやぎ№4
4
3
あ と が
き
早いもので,公衆衛生情報みやぎも3月号を
第3
4
回公衆衛生功労者表彰式も,盛会に終了す
発刊することとなりました。月日はあっという
ることができました。受賞されました大友仁先
間です。皆様のお手元にこの号が届 くころに
生,山本蒔子先生おめでとうございます。来月
は,寒さが緩んでいてほしいものです。この時
号におきましてご紹介申し上げます。
期は寒暖の差が激し く,体調を崩しやすい季節
です。皆様もご注意下さい。
今後も読者の皆様からのご意見・情報をお待
ちしております。
さて,事務局も年度末ということで何かとば
(事務局:j
ouhou@e
i
s
e
i
kyokai
.
or
.
j
p)
たばたし ているところです。安西・野家記念
-3
4
-
Fly UP