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Making sense of the Budget 2009

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Making sense of the Budget 2009
Making sense of the Budget
2009 年度バジェット・ステートメント(要約)
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Making sense of the Budget
The Chancellor’s Budget 2009
今年度の英国税制改正案は 221 ページにわたる 93 項
目の注記と税法改正案から成り、非常に具体的かつ詳細
にわたる規定が多数発表されました。ここでは 2009 年度
英国税制改正案の主要ポイントの概略を説明しています。
今後政府が引き続き諮問、検討すべき分野もまだ数多く
残されている点にご留意頂けますようお願いいたします。
個人所得税
今回の予算案に先立って昨年 11 月に発表された予
算編成方針案に以下の変更点が加えられました。
いずれも 2010 年 4 月 6 日よりの適用です。
この変更を見越した個人が新法施行までに年金拠
出金を通常のレベル以上に増加し最高税率での税
優遇を享受することを封じるため、予算発表日以降
に拠出された今年度の年金拠出金額が2万ポンドを
超える場合でかつ通常の拠出額・拠出パターンに変
更が見られる場合、特別課金の対象となります。

貯蓄
税率

予算編成方針案により導入が発表された追加
最高税率は、当初予定45%を上まる50%と改案
となり、これは15万ポンド以上の所得に対し適用
となります。一方キャピタルゲイン税は18%に留
まり、所得税との格差は32%と増大することとな
ります。
年間所得10万ポンドを超える個人に対する基礎
控除の減額措置が適用となり、所得112,950ポン
ドで基礎控除の適用がなくなることとなります。

15万ポンド以上の所得枠にて算出される配当金
には42.5%の税率が適用されます。

トラスト(信託)課税についても所得税最高税率
50%、配当金も最高税率42.5%が適用となりま
す。
基礎控除は予算案通り増額され6450ポンドとなりま
した。 2009/10年度の基本税率は20%で、37,400ポ
ンド以下の課税所得に基本税率が適用となります。
年金
2011年4月6日より、年収が15万ポンドを超える個人
の年金拠出金に対する税優遇措置が制限され、段
階的に基本税率に減少されることになります。
ISA(非課税貯蓄・投資口座)に対する年間限度枠が
1 万 2 千ポンドに引き上げられます。このうちキャッ
シュ投資枠は 5100 ポンドとなります。新限度枠は 50
歳以上の個人へは 2009 年 10 月 6 日から、その他
の個人へは 2010 年 4 月 6 日以降からの適用となり
ます。
ベンチャー・キャピタル・スキーム
エンタープライズ・インベストメント・スキーム(EIS)、
コーポレート・ベンチャリング・トラスト(CVT)、ベンチ
ャー・キャピタル・トラスト(VCT)といったベンチャー
企業の投資スキームに関する規則が緩和されます。
雇用にかかわる諸税
短期リースプレミアムを活用した、(駐在員など従業
員への)住宅供与に際する節税策がこれまで広く活
用されていましたが、予算案によりこの税制上の取
り扱いが変更となります。2009 年 4 月 22 日以降に
締結あるいは延長される 10 年以下のリースプレミア
ム契約の課税は家賃と同等に扱われることとなり、
これによりリースプレミアム契約の税務上利点が事
実上消滅することとなりました。
PricewaterhouseCoopers LLP - 2
Making sense of the Budget
The Chancellor’s Budget 2009
カンパニーカーの課税
20011/12 年度より、従業員に提供される車に対する
課税制限枠(現行枠は販売価格 8 万ポンド)が撤廃
されます。
また、カンパニーカーにかかるベネフィット算出に使
用する排気量の最低値が 130g/km(2010/11 年度)
から 125g/km(2011/12 年度)に変更となります。ベ
ネフィットの算出は、販売価格に適用税率(排気量に
よりに変動)をかけることで行います。最低排気量の
適用率 15%から排気量が 5g/km 増加する毎に1%
増加、最高税率は 35%までとなります。
法人税
法人税率
法人税の標準税率および小規模法人に対する税率
はそれぞれ 28%および 21%に据え置くことが財務
大臣より確認されています。
国外所得に対する課税関係
国外所得に対する課税関係には以下の4つの主な
改正点があります。
配当
2009年7月1日以降に国内および国外配当を受領
した英国のすべての法人は、その配当が非課税区
分に該当し、租税回避行為規定に抵触しない限り、
法人税法上、非課税所得となります。これにより、ほ
とんどの受取配当が非課税扱いとなることが予想さ
れます。
利子等損金算入制限(デットキャップ・ルール)
デットキャップ・ルールとは英国グループ会社が他の
グループ会社に対し支払う金融費用の損金算入額
を全世界ベースのグループ連結グロス金融費用を
限度として制限する制度です。ファイナンシャル・サ
ービス会社、短期負債およびグループ資金など、い
くつかの例外規定が設けられています。デットキャッ
プ・ルールは2010年1月1日以降開始課税年度に
対し適用されます。
タックス・ヘイブン課税(CFC ルール)
現行の配当政策免除規定(ADP ルール)および事
業持株会社免除規定は2009年7月1日以降開始
課税年度から廃止されます。関連する持株会社免除
規定は経過措置として、なお2011年7月1日まで有
効です。CFC ルールの抜本改正案はなお継続して
審議されており、2011 年 7 月に抜本改正案が公表
される予定です。
トレジャリー・コンセント(財務省事前承認制度)
現行のトレジャリー・コンセントは2009年7月1日よ
り廃止され、当該日より新たに 100 百万ポンド以上
の取引につき、事後届出制度が適用されます。また、
既存のいくつかのジェネラルコンセントルールのよう
に一定の例外規定が設けられています。該当会社
は取引後 6 ヶ月以内に届出を行わなければなりま
せん。
スーパーパラ 13-ローンリレーションシップに係る制限事
項の拡大規定の導入延期
懸念されていたローンリレーションシップに係る容認
できない目的とされる取引として制限される事項を拡
大する規定は 2009 年改正法の中に織り込まれま
せんでした。しかし、当該項目は引き続き検討事項と
されています。
キャピタル・アローワンス
設備および機械の支出に対する 40%のキャピタル・
アローワンスは 2009 年 4 月 1 日以降開始事業年
度に発生した適格支出に対し適用可能となりました
(個人事業者については 2009 年 4 月 6 日以降から
適用となります)。
エネルギーや水資源関係の高効率プラントおよび機
械に関して、100%のキャピタル・アローワンスが適
用できる資産リストの改正がなされました。
また、車両に関するキャピタル・アローワンスについ
ても改正がされています。現行の高級車に関する規
定は環境問題に焦点した新制度に置き換わり、
2009 年 4 月 1 日より一定の二酸化炭素排出基準
値を下回る低排出車両は一般の設備および機械の
キャピタル・アローワンスのプールの一部として処理
されることとなり(20%償却)、基準値以上の車両に
ついては 10%の償却となります。
事業欠損金の繰戻規定
2009 年 11 月 23 日までに終了する 12 ヶ月の課税
年度に発生した事業損失の繰戻期間が現行の 1 年
から 3 年(最大で£50,000)に延長されました。
ローンリレーションシップ規定
予定どおり、ローンリレーションシップ課税の改正が
されています。
2009 年 4 月 22 日以降グループ内の事業債務の免
除については、債権者および債務者双方で課税関
係は生じなくなります(損失の損金不算入および免
除益の益金不算入)。
PricewaterhouseCoopers LLP - 3
Making sense of the Budget
The Chancellor’s Budget 2009
債権者がタックスヘイブン国居住者でない限り、国外
関係会社に対する支払利息および割引債券に係る
未払いの利息相当分は発生主義での損金算入が可
能となります。当該規定は 2009 年 4 月 1 日以降開
始する課税年度から適用されます。なお、当該日以
降開始する 1 期目の事業年度にて、引き続き現金
主義で処理することを選択することも可能です。
グループ・リリーフ規定
法人が資金調達のため外部の銀行に優先株を発行
している場合などにおいて、それが不利な影響を与
えないよう、グループ・リリーフに係るアレンジメント
およびキャピタルゲイングループの適用条件は緩和
される予定です。詳細な規定は法案発表で明らかに
なる予定です。
従来はキャピタルゲイン(またはロス)の対象資産を
グループ外部に売却する場合、一旦グループ内で移
転させたとみなして、当該キャピタルゲイン(またはロ
ス)と他のキャピタルロス(またはゲイン)と相殺でき
ました。今後は最終的なグループ外部の売却がなく
ても、グループ内で資産のみなし移転を行った上で、
当該ゲインとロスを相殺することが可能です。
外国税額控除-国外配当に係る適用税率
法人税率は昨年の改正において 2008 年 4 月 1 日
以降それまでの 30%から 28%に変更されています。
決算日が 4 月 1 日をまたぐ法人が外国税額控除を
適用する場合、支払日における適用税率(30%また
は 28%のいずれかのレート)でその控除額が計算さ
れることとされていましたが、今回の改正により、支
払日における適用税率から、適用税率を加重平均し
てその外国税額控除額を計算することとなります。
北海油田税制
英国および英国大陸棚におけるオイル・ガス会社に
対する税制にも改正がありました。具体的には、新
規の油田開発に対するリングフェンス税率の軽減措
置、権益のスワップに関するキャピタルゲイン非課
税措置の範囲の拡大、使用目的変更時における非
課税化(Change of use rules)および廃鉱費用に関
する損金算入時期の厳格化などが挙げられます。
VAT の記帳時期に関する規定の改正も織り込まれ
ています。
これに伴い、他の EU 加盟国の顧客に対して、商品
またはサービスの提供を行う場合、四半期毎に事業
者は EC セールス・リストを作成・提出しなければな
らないこととなりました。英国の事業者が国外で生じ
た VAT に関する現行の還付手続きについても改正
が行われます。新制度は申請手続きの迅速化と標
準化を目的とし、電子申告形式のシステムとなりま
す。
間接税
VAT 課税売上基準額の増加
VAT 標準税率の変更
現行の 15%の VAT レートは 2009 年 12 月 31 日
までの適用となり、2010 年 1 月 1 日以降は VAT レ
ートは従来の 17.5%に戻ります。2010 年 1 月 1 日
以降の商品の売上やサービスの提供に対しても
15%の税率を適用しようとするスキームに対して、
一定の要件を満たす場合には 17.5%の税率を適用
することとする租税回避防止規定が導入されました。
クロスボーダー取引に関する 2010 年 VAT 改正
(VAT パッケージ)
EU 加盟国間のクロスボーダー取引に係る VAT シ
ステムの簡素化および近代化を目的とする様々な改
正が行われ、2010 年 1 月 1 日以降適用される予定
です。 新しいルールは可能な限りサービスが消費
された国にて VAT が課税されることを目的とするも
のです。現行のルールは原則としてサービス提供者
の所在地にて VAT が課税されることとされています
が、新たな原則的ルールの導入の結果、2010 年 1
月 1 日以降、顧客の所在地にて VAT が認識される
こととなります。課税売り上げ認識のタイミングや
VAT 登録が要求される年間課税売上高の基準値が
2009 年 5 月 1 日以降£68,000 に増額されます。
不動産に関する VAT 課税選択制度
事業者が従来関連取引を VAT 非課税としていた建
物について、課税選択を行うための手続きを簡素化
するための改正が導入され、2009 年 5 月 1 日以降
適用される予定です。
燃料スケール・チャージに関する改正
二酸化炭素排出量を基準に決定される、カンパニー
カーの私的利用部分に関する新しい燃料スケール・
チャージについて、2009 年 5 月 1 日以降、最近の
ガソリン価格の動きを反映した形にて改正されます。
不動産取引に関する印紙税(SDLT)
財務相は現在の増額された SDLT 免税点について
延長適用することを発表しました。この結果、
£175,000 以下の居住用不動産の購入については
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Making sense of the Budget
The Chancellor’s Budget 2009
2009 年 12 月 31 日まで免税となります。法人に対
しては、代替的な資金調達手段として、不動産を担
保とした証券の発行に関する追加規定が導入され
ます。
その他間接税
財務相はその他の間接税についてこれらの税収の
増加を目的とした改正を発表しました。酒税およびタ
バコ税の税率を 2%引き上げると共に、埋立地に関
するランドフィル・タックス、ゲーム税、およびアミュー
ズメント機械に関する免許料の改正を発表しました。
租税回避防止規定
偽装利息
2009 年財政法案において、利息と同等の経済的利
益を生み出すアレンジメントからの収益(偽装利息)
について、法人税法上利息として課税するための規
定が導入されました。この規定は企業が 2009 年 4
月 22 日以降に導入したアレンジメントに対して適用
されます。また、4 月 21 日以前から存在するアレン
ジメントに関しても、そのアレンジメントについて今回
撤廃された改正前の偽装利息に関する規定の適用
がある場合には、同様に適用されます。
支払遅延利息および極端な割引証券
支払遅延利息および極端な割引証券を利用した法
人の租税回避を防止するための改正が 2009 年財
政法案に含まれることが確認されました。歳入関税
庁(HMRC)は英国の規則を EU 法に準拠したものと
すべく改正のプロポーザルを 2008 年 7 月に発表し
ました。その後利害関係者は法令のドラフトを含む
HMRC のプロポーザルに対してコメントをする機会
を与えられました。2009 年財政法案の規定はこのコ
ンサルテーション・プロセスの結果を踏まえて作成さ
れたものです。
HMRC は現行のルールに対する宥恕規定を企業が
利用可能である旨を 2008 年 7 月に公表しています。
営業権償却に係る損金算入防止規定に関する変更
英国の無形固定資産に関する課税は、当該無形固
定資産が 2002 年 4 月 1 日以降に取得または創設
されたかどうかにより異なる規定が適用されることと
なっています。2002 年 4 月 1 日以降取得または創
設された無形固定資産に適用される規定(新ルー
ル)は、一般的に有利な規定となっており、特に償却
費用の税務上の取り扱いは会計上の取り扱いに従
うこととなっています。
一方で、営業権その他の自己創設の無形固定資産
は、関連する事業が 2002 年 3 月 31 日以前から行
われている場合、もしくは関連する資産が 2002 年 4
月 1 日時点で保有されている場合には、新ルール
が適用されないこととされています。そのような営業
権、またはその他の無形資産が実質的に関係会社
から取得された場合、一般にこのような資産は新ル
ールの適用対象とはなりません。一方、いくつかの
グループ内組織再編で、営業権、その他の特定の
自己創設無形資産について、償却費用を税務上の
損金算入費用として取り扱っているケースがありま
す。2009 年財政法案においてそのような損金算入
を防止するための規定が新たに導入されているよう
ですが、まだ法案のドラフトが発表となっていないた
めどのような改正が行われているかは現段階では
不明です。
新規定は 2009 年 4 月 22 日より適用が開始され、
遡及して適用があるものとして取り扱われます。その
ため 2009 年 4 月 21 日以前に発生した営業権に関
する償却費用については、今後は税務上の損金をと
ることができません。
英国税制改正案により新たに導入された
その他の措置
税務手続き
大規模法人には、上級会計担当役員の氏名を歳入
関税庁に報告することが義務付けられます。これら
の役員には、正確な税務報告を行うための適正な会
計システムが整備されていることを検証する責任が
あり、これを毎年証明しなければなりません。さらに、
その内容に虚偽の記載・善管注意義務違反などが
認められた場合には、当該個人にペナルティーが科
せられます。
過大納税による還付金を納税者が迅速に回収でき
るよう、還付金支払に関する規定が緩和される予定
です。同時に、このような還付申請の請求期限が 6
年から 4 年に短縮される予定です。
法人による納税方法をさらに柔軟にする措置が発表
されました。2011 年 4 月以降、歳入関税庁との間で
「Managed Payment Plans (MPP)」を事前合意した
場合、納税者は通常の法定納税期限に関わりなく納
税日を定めることが可能となります。
政府は税務申告書提出遅延、納税遅延に適用され
る罰則制度の改正を発表しました。新たな措置は税
目ごとに異なる現行制度にとって代わり、すべての
税に共通した制度への統一を目指したものとなりま
す。提案されている税率は、3 カ月を超えた提出遅
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Making sense of the Budget
The Chancellor’s Budget 2009
延に課される日割り延滞税のような特定の場合に、
罰金が引き上げられる可能性があります。月額の
PAYE および NIC の納税遅延にも今後罰則が課さ
れることになります。また、過小納税、過大納税に係
る延滞税の税率をすべての税制で調和させることを
目指した新たな措置の導入が予定されています。
不動産投資信託(REIT)
最近の諮問の結果、政府は歳入関税庁が納税者憲
章を作成し、その順守を義務付ける法案を導入予定
であると発表しました。この導入は今秋になることが
予想されています。
業界との諮問の結果、政府は REIT に関する一部
の曖昧な規定を明確にするため、これに修正を加え
ることを発表しました。さらに、当該規定の中では予
測されていないような状況の下で、REIT 制度の恩
典を利用するため、グループが事業活動を再編成す
ることを防止するための権限を認めることが発表さ
れました。特に所有者と居住者が同一の場合に
REIT を不適格とするため、REIT 規定に修正が加え
られる予定です。
脱税者の名前の公表
オフショアーファンド
25,000 ポンド以上の税務損失をもたらすような脱税
行為により処罰された個人および法人の名前を公表
する権限が歳入関税庁に与えられるようになります。
課税主体とならないオフショアーファンドの投資家に
対する規定が、オフショアーファンドの定義とともに
改正されます。
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